説明

表面を改質された(エフェクト)顔料

【課題】表面を改質された(エフェクト)顔料の提供。
【解決手段】本発明は、リン酸エステル、又はホスホン酸塩がフッ素原子を含まないという条件で、金属酸化物/水酸化物処理で、そしてその次に前記リン酸エステル、又は前記ホスホン酸塩、又はその塩で処理することにより得られた外層を含む(多重)コートされた小板状基材に基づく顔料、該顔料の製造方法、及びその使用に関する。
前記外層は、雲母のような、TiO2で被覆された小板状基材の、良好な耐水性及び抗
黄変性能を相まった、非常に良好な光安定化をもたらす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リン酸エステル、又はホスホン酸塩がフッ素原子を含まないという条件で、金属酸化物/水酸化物で、そしてその次に前記リン酸エステル、又は前記ホスホン酸塩、又はその塩で処理することにより得られた外層を含む(多重)コートされた小板状基材に基づく顔料、該顔料の製造方法及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
コーティング材料中に顔料成分として存在する二酸化チタン粒子は、紫外線や湿気にさらされると、白化として知られる、ポリマーの酸化分解を引き起こすことが知られている。この二酸化チタンの効果を抑えるために、クロム、シリコン、アルミニウム、亜鉛、リン又はジルコニウム化合物で二酸化チタニウムを被覆するか又はドープすることが提案されている。
【0003】
欧州特許第0268918号明細書には、二酸化チタンベース顔料上に、水和酸化ジルコニウム被膜を有する耐候性真珠光沢顔料が記載されており、当該被膜は次亜リン酸塩の存在下、ジルコニウム塩の加水分解によって得られる。
【0004】
欧州特許第0342533号明細書には、二酸化チタンベース顔料上に、次亜リン酸塩の存在下、加水分解によって得られる、水和酸化ジルコニウム、及び水和金属酸化物からなる仕上層を有する、耐候性真珠光沢顔料が記載されている。該金属酸化物は、酸化コバルト、酸化マンガン又は酸化セリウムであり得る。
【0005】
改質された真珠光沢顔料は、非水性コーティン膜系において十分な分散性と耐候性を有する。しかしながら、それらは、著しく光散乱を増加し、それ故に光沢や色合いに悪影響を及ぼす、コーティングフィルムにおける、超微粒気泡の形成を引き起こすので、水で希釈可能な系での使用には適さない。さらに、画像の明瞭性(DOI)は、大幅に減少し、コーティングフィルムの再生能力が損なわれている。
【0006】
米国特許第4435220号明細書には、着色された金属酸化物又は金属水素化物でコートされた、例えば、雲母、タルク又はガラス等のような、小板状の、透明な基材に基づく透明な着色顔料が開示されており、当該金属酸化物又は水酸化物層は、前記顔料に改善された分散性、光沢、着色力と熱安定性及び耐候安定性、それと充填性及び粘着性を与えるために、アルカリ土類金属化合物が0.1乃至5質量%含まれている。
【0007】
米国特許第3650790号明細書には、雲母フレーク上に二酸化チタンの薄い層を析出させ、得られた二酸化チタン被膜雲母顔料をpH7乃至11.5における水性スラリー中で可溶性ケイ酸塩で処理し、得られたケイ酸塩処理された顔料をか焼することで製造された、強い干渉色、減少した乳状性及び顕著な光沢を示す真珠顔料、及び得られた顔料が開示されている。米国特許第3650790号明細書に開示されている顔料は、紫外線に対して十分に安定化されていない。
【0008】
欧州特許第0446986号明細書は、粒子表面上に水和酸化アルミニウムのコーティングを有する、強化された光及び湿気安定性を備えている金属酸化物でコートされた雲母顔料に関する。
【0009】
欧州特許第0632109号明細書は、金属酸化物の層と、該金属酸化物層の上の、仕上層でコートされた小板状基材を含む真珠光沢の顔料に関し、前記仕上層は二酸化ケイ素
、少なくとも1つの更なる金属水酸化物又は金属酸化物水和物、及び少なくとも1つの有
機カップリング剤からなる。前記更なる金属水酸化物又は金属酸化物水和物は、セリウム、アルミニウムやジルコニウムの水酸化物又はオキシ水和物、又はそれらの混合物である。使用されるカップリング剤は有機官能シラン、ジルコニウムアルミン酸塩又は金属酸のエステルである。欧州特許第0888410号明細書によれば、添加されたカップリング剤のせいぜい60%が顔料表面と結合することができ、結果として、使用される材料に対応して増加させることが必要である。非結合画分は反応媒体中に残存し、顔料のろ過性を弱める。
【0010】
欧州特許第0888410号明細書には、金属酸化物で被覆された板状基材と金属酸化物仕上層上に位置する被覆層に基づく水性塗料系のための改質された真珠光沢顔料が開示されている。前記被覆層は、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化チタン及び酸化ジルコニウムの群からの少なくとも2つの酸化物、酸化物の混合物及び/又は混合酸化物、及び水性オリゴマーシラン系から出来ている。
【0011】
欧州特許第1084198号明細書は、出発顔料が少なくとも1つの反応性表面改質剤を有する層を含む、表面改質剤でコートされたエフェクト顔料に関する。表面改質剤は、相互に相違しかつスペーサーにより分離された少なくとも2つの官能基により当初の顔料と化学的に結合した化合物である。欧州特許公開第1084198号明細書に記載されている顔料は、表面改質が原因でベースラッカー層において顔料の改良された粘着性を有する。しかしながら、欧州特許公開第1084198号明細書には、耐候性や紫外線に対する安定性を有する真珠光沢顔料は開示されていない。
【0012】
国際公開06/021388号パンフレットは、金属酸化物を含有する薄板状基材及び保護層を含む、真珠光沢顔料に関し、該金属酸化物は1.8以上の屈折率を有する。該保護層は有機化学的表面改質されたSiO2層から構成され、有機化学表面改質はSiO2層に適用されている。
【0013】
米国特許第4209430号明細書は、リン酸化ポリエンを直接ポリオレフィンに添加するか又は顔料上のコーティングとして加えることにより、フェノール系の酸化防止剤及びTiO2顔料を含む熱可塑性ポリオレフィンにおいて黄変を抑える方法に関する。該リ
ン酸化ポリエンはリン酸化剤とポリエン(ポリオレフィン性不飽和化合物)の反応生成物である。
【0014】
欧州特許第0644242号明細書は、(a)ポリオレフィン;(b)酸化防止剤;及び(c)雲母粒子を含む組成物であって、その表面が、酸化防止剤を含むポリオレフィン組成物の黄変を防ぐために、二酸化チタンの第一層及び、それに続くシリカとアルミナのか焼されたコーティングの第二層でコートされている組成物を開示する。
【0015】
国際公開98/58017号パンフレット(米国特許第5951750号明細書)は、ポリオレフィン;酸化防止剤;及び、表面に二酸化チタンのコーティングの第一層と、その上の、Mg、Ca、Ce、Zn、Yの酸化物及びリン化合物並びにドーパントがY、Ca又はCeであるドープされたZrO2からなる群れから選択されたか焼された金属化合
物のコーティングの第二層を有する雲母粒子、を含む真珠光沢顔料、を含む組成物に関する。か焼された保護膜は該組成物の黄変を防ぐ。リン化合物は好ましくはリン酸塩であるが、亜リン酸塩もあり得る。
【0016】
欧州特許第0505086号明細書には、薄板状の又はフレーク状の顔料又は体質顔料の処理方法であって、工程a)上記材料を、11以上のpHを有する亜鉛塩の水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム溶液と、50乃至100℃の範囲の温度で接触させることによ
り該材料の粒子を酸化亜鉛又は水酸化亜鉛でコートすること;及び工程b)前記酸化亜鉛又は水酸化亜鉛で被覆された材料を酸性のリン酸塩溶液、又はリン酸、で処理することにより前記酸化亜鉛又は水酸化亜鉛をリン酸亜鉛に変換すること、によって上記材料の粒子の表面にリン酸塩のコーティングを形成することを含む方法が開示されている。
【0017】
米国特許第4482389号明細書には、耐候安定性を有し、そして金属酸化物でコートされた雲母フレークに基づく真珠顔料であって、金属塩の組合せを含む、安定化性の、クロム含有第2コーティングを備えた顔料に関する。第2層を形成するため、鉄及び/又はマグネシウムが水酸化物、炭酸塩又はリン酸塩の形態で出発顔料上に堆積され、またクロムは水酸化物、炭酸塩又はリン酸塩又はメタクリラトクロム塩化物として出発顔料に堆積される。
【0018】
欧州特許第0757085号明細書には、フレーク状の基材、その表面にコートされた酸化チタン、及び、酸化チタンで被膜された粒子表面上をコートするリン酸金属化合物、又はリン酸金属化合物及び金属酸化物、を含む真珠顔料が開示されている。該真珠顔料は耐変色性や樹脂との親和性(分散性)に優れている。「リン酸金属化合物」と「リン酸金属化合物及び金属酸化物」は最終状態を意味する、すなわち、リン酸又はリン酸塩化合物と様々な金属塩の加水分解生成物を意味する。
【0019】
欧州特許第1479731号明細書は、着色のリン酸複合体系からなる少なくとも1つの層を含む基材に基づく新規なエフェクト顔料、これら顔料の製造及びその使用に関する。着色リン酸複合体系は式Apqxyを有し、Aはアンモニア、周期表の1、2、11及び/又は12族の金属を表し、Bは周期表の3乃至15族の元素、ランタニド及び/又はアクチニドを表し、pは1、2、・・・rを表し、qは1、2、・・・sを表し、xは1、2、・・・nを表し、及びyは2、・・・mを表す。
【0020】
欧州特許第1479730号明細書は、二成分リン酸塩系からなる少なくとも1層を含む基材に基づく新規なエフェクト顔料、これら顔料の製造及びその使用に関する。二成分リン酸塩系は式Axyzを有し、Aは周期表の1乃至14族の元素、ランタニド又はア
クチニドを表し、xは1、2、・・・nを表し、yは1、2、・・・mを表し、ポリ又はピロリン酸塩構造を通じて定義され、zはリン価数やA−カチオンの価数を通じて定義される。
【0021】
国際公開02/064682号パンフレットは、フレーク状の顔料であって、
箔置き性、及び、カップリング剤及び例えば、ペルフルオロアルキル基を有するリン酸塩のような、ペルフルオロアルキル基を有する有機化合物でフレーク状の顔料の表面上をコートすることで得られるコーティング(樹脂)と顔料粒子との間の粘着性に優れる、フレーク状の顔料に関する。
ペルフルオロアルキル基を有するリン酸塩の例は、
式[Rf(Cn2nO)myPO(OM)3-y
(式中、
Rfは直鎖又は枝分かれした炭素原子数6乃至21のペルフルオロアルキル基又はペルフルオロアルキルオキシ基を表し、
Mは水素原子、アルカリ金属、アンモニア及び置換されたアンモニアを表し、
nは1乃至4を表し、
mは0乃至10を表し、及び
yは1乃至3を表す);
式(RfSO2NRCn2nO)yPO(OM)3-y
(式中、
Rfは直鎖又は枝分かれした炭素原子数6乃至21のペルフルオロアルキル基又はペル
フルオロアルキルオキシ基を表し、
Mは水素原子、アルカリ金属、アンモニア又は置換されたアンモニアを表す。)で表される化合物である。
カップリング剤は、好ましくは、シランカップリング剤、チタンベースのカップリング剤及びジルコニウムベースのカップリング剤から選ばれた1つ以上のものである。
【0022】
欧州特許第1090963号明細書は、面配向(箔置き効果)に優れている高度に配向されたフレーク状の顔料に関し、該顔料においては、水和金属酸化物並びに一般式(Rf(Cn2nO)mPO(OM)3-m(A)及び(RfSO2NRCn2nO)mPO(OM)3-m(B)で表される1つ以上のフッ素原子含有リン酸塩又はその塩が真珠の光沢を有する
フレーク状の顔料表面を被覆しており、ここで、
Rfは同一又は相違しており、そして直線的な又は枝分かれした炭素原子数3乃至21のペルフルオロアルキル基又はペルフルオロキシアルキル基を表し、
nは1乃至12を表し、
mは1乃至3を表し、
Mは水素原子、アルカリ金属、アンモニア基及び置換されたアンモニア基を表し、及び
Rは水素原子又は炭素原子1乃至3のアルキル基を表す。
【0023】
国際公開98/30637号パンフレットは、同一方向に回転する電荷を有するイオン群又はイオン性化合物群により各々コートされた基材(S)及び着色剤(C)を使用した、着色剤及び基材、並びに、必要に応じて、層材料(L)として同一方向に回転する電荷を有するイオン群又はイオン性化合物群、からなる複合顔料であって、(I)Sのコーティングの電荷の符号又は、同一であるSのコーティングの電荷の符号とLの電荷の符号、がCのコーティングの電荷の符号と逆であるか、又は(II)SとCのコーティングの電荷の符号が同一でありかつLの電荷の符号と逆であるところの複合顔料に関する。国際公開98/30637号パンフレットにおける好ましい実施態様では、基材が正電荷表面を有するようにするために、二酸化チタンでコートした雲母顔料を最初にHO−SiMe2
−(CH23−P(O)(OH)2で分散させ、そしてその後最初にZr4+で、それから
無機リン酸塩で分散させ、続いてポリアリルアミン塩酸塩溶液を、通常室温で、加える。被覆後、そのようにして得られたコートされた基材をろ過し洗浄した。負電荷表面を有するコートされた着色剤はその後、通常、コートされた基材、好ましくはリン酸塩ジルコニウムでコートされ、及び、必要に応じて、アルキル基又はアリール基によって3−及び6−位を置換された1,4−ジケトン2,5−ジヒドロピロロ−[3,4−c]ピロール(「DPP」)の水分散液に加えられる。
【0024】
国際公開02/42381号パンフレットは、有機アルコールとP25、またはリン酸との反応によりもたらされる生成物で処理された顔料ベースを含む顔料であって、該生成物は該顔料ベースの質量に基づいて約0.01%乃至約5%の量で存在するところの顔料を開示する。顔料ベースの例は二酸化チタン、カオリン、タルク、雲母及び炭酸カルシウムを含む。顔料ベース二酸化チタンは、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、酸化ジルコニウムのような追加的な金属酸化物でさらに処理されてもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0025】
【特許文献1】欧州特許第0268918号明細書
【特許文献2】欧州特許第0342533号明細書
【特許文献3】米国特許第4435220号明細書
【特許文献4】米国特許第3650790号明細書
【特許文献5】欧州特許第0446986号明細書
【特許文献6】欧州特許第0632109号明細書
【特許文献7】欧州特許第0888410号明細書
【特許文献8】欧州特許第1084198号明細書
【特許文献9】国際公開06/021388号パンフレット
【特許文献10】米国特許第4209430号明細書
【特許文献11】欧州特許第0644242号明細書
【特許文献12】国際公開98/58017号パンフレット
【特許文献13】米国特許第5951750号明細書
【特許文献14】欧州特許第0505086号明細書
【特許文献15】米国特許第4482389号明細書
【特許文献16】欧州特許第0757085号明細書
【特許文献17】欧州特許第1479731号明細書
【特許文献18】欧州特許第1479730号明細書
【特許文献19】国際公開02/064682号パンフレット
【特許文献20】欧州特許第1090963号明細書
【特許文献21】国際公開98/30637号パンフレット
【特許文献22】国際公開02/42381号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
本発明の目的は、効果的な保護層を有する、金属酸化物でコートされたフレーク状の顔料を提供することである。特に、該保護層は、顔料の光学的特性に影響を与えることなく、紫外線により誘発される顔料の光触媒活性に対して効果的な保護をもたらす。さらに、顔料は優れた耐候安定性を有し、フェノール系酸化防止剤を含む熱可塑性ポリオレフィンにおいて黄変を抑える。
【課題を解決するための手段】
【0027】
前記目的は、リン酸エステル、又はホスホン酸塩がフッ素原子を含まないという条件で、金属酸化物/水酸化物で、そしてその次に前記リン酸エステル、又はホスホン酸塩、又はそれらの塩で処理することにより得られた外層を含む(多重)コートされた小板状基材に基づく顔料により解決された。
【発明の効果】
【0028】
前記外層は、雲母のような、TiO2で被覆された小板状基材の、優れた耐水性及び抗
黄変性能と相まった、非常に優れた光安定化をもたらし、生成物を高級プラスチック(抗黄変効果)において並びに高級塗装(自動車)において使用可能にする。
【発明を実施するための形態】
【0029】
好ましい実施形態では、顔料は、
(A)小板状基材;
(B)二酸化チタン層;
(C)金属酸化物/水酸化物で、そしてその次にリン酸エステル、又はホスホン酸塩、又はそれらの塩で処理することにより得られた、層(B)上の外層
を含む。
【0030】
前記リン酸エステル、又は前記ホスホン酸塩の塩の例としては、それらの、アルカリ金属、アンモニア、アミン、アルカノールアミン又は四級アンモニウム化合物との塩である。
【0031】
適した小板状基材は、透明であり、部分的に反射する又は反射するものである。その例としては、天然雲母酸化鉄(例えば、国際公開99/48634号パンフレットの場合の
ように)、合成かつドープ雲母酸化鉄(例えば、欧州特許出願公開第0068311号明細書の場合のように)、雲母(黒雲母、バーミキュライト、絹雲母、白雲母、金雲母、フルオロフロゴパイト、カオリナイト又は同類のもの、又は例えば、合成フルオロフロゴパイトのような、合成雲母)、塩基性炭酸鉛、フレーク状の硫酸バリウム、MoS2、Si
2、Al23、TiO2、ガラス、ZnO、ZrO2、SnO2、BiOCl、酸化クロム、BN、MgOフレーク、Si34、及びグラファイト。特に好ましい基材は、雲母、SiO2フレーク、Al23フレーク、TiO2フレーク、及びガラスフレークである。
【0032】
別の好ましい実施形態は、平らな金属粒子のコアとしての使用である。適する金属粒子の例としては、Ag、Al、Au、Cu、Cr、Fe、Ge、Mo、Ni、Si、Ti、又は真鍮又は鋼鉄のようなこれらの合金、のフレークであり、好ましくはAlフレークである。材料次第で、天然の光学的に非干渉な酸化物層が金属粒子表面上に形成される。部分的に反射性のコアは、380乃至800nmの範囲内でその表面上に垂直に入射する光の少なくとも35%の反射率を有することが好ましい。
【0033】
小板状基材のさらなる例としては、例えば、チャイナアクリドン類、フタロシアニン、フルオロルビン、レッド ペリレン又はジケトピロロピロール類など、小板状の有機顔料である。金属酸化物層でコートされた小板状の粒子及びそのエフェクト顔料としての使用は、例えば、独国特許第1467468号明細書、欧州特許第0045851号明細書、独国特許第3237264号明細書、独国特許第3617430号明細書、欧州特許第0298604号明細書、欧州特許第0388932号明細書及び欧州特許第0402943号明細書から、それ自体一般的に既知である。
【0034】
外層(保護層)は金属酸化物被膜でコートされた、特に二酸化チタンでコートされた小板状基材の安定化に適する。それらの例としては、真珠光沢顔料(流動床条件下に窒化物、オキシ窒化物に反応する又は亜硫酸化物等を還元することで反応するものを含む)(例えば、欧州特許出願公開第9739066号明細書、欧州特許出願公開第0948571号明細書、国際公開99/61529号パンフレット、欧州特許出願公開第1028146号明細書、欧州特許出願公開第0763573号明細書、米国特許第5,858,078号明細書、国際公開98/53012号パンフレット、国際公開97/43348号パンフレット、米国特許第6,165,260号明細書、独国特許出願公開第1519116号明細書、国際公開97/46624号パンフレット、欧州特許出願公開第0509352号明細書);多層顔料(例えば、欧州特許出願公開第0948572号明細書、欧州特許出願公開第0882099号明細書、米国特許第5,958,125号明細書、米国特許第6,139,613号明細書)、特にイリオジン(Iriodin)(登録商標)(E.メルク、ダルムシュタット)、フローナック(Flonac)(登録商標)(ケミラ オイ、フィンランド)、ミアリン(Mearlin)(登録商標)(ミアルコーポレーション、ニューヨーク/米国)及びインフィニット カラー(Infinite Color)(登録商標)(資生堂、日本)という名の下、商業的に入手可能な金属酸化物コート雲母小板、及び例えば、二酸化チタンでコートされた金属フレークのようなコートされた金属フレークである。コア粒子の大きさはそれ自体重要ではなく具体的な用途に適合し得る。一般的に粒子は約1乃至200μmの長さ、特に約5乃至100μm、と約0.05乃至5μmの厚さ、好ましくは0.1乃至2μmを有する。小板状の形状を有する粒子は、約2:1乃至約1000:1の長さと厚みの縦横比、及び3:1乃至1:1の長さと幅の比を有する、2つの本質的に平らで平行な表面を有すようなものと理解され得る。
【0035】
好ましいのは低屈折率を有する透明な基材に基づき、基材の上に酸化チタン層を有する小板状の粒子であり、特に天然の、又は合成の雲母、別の層構造のケイ酸塩、ガラス、Al23、SiOZ、特にSiO2、SiO2/SiOX/SiO2(0.3≦x≦0.95)
、SiO1.40-2.0/SiO0.70-0.99/SiO1.40-2.0、又は0.70≦z≦2.0、特
に1.40≦z≦2.0であるSi/SiOZである。TiO2層の上に、例えば、SiO2、Al23、AlOOH、B23又はその混合物、好ましくはSiO2のような低屈折率の金属酸化物を塗布し、そして後者の層の上に更なるTiO2層を塗布することにより、
より色彩が強くかつより透明な顔料を得ることが可能となる(欧州特許出願公開第892832号明細書、欧州特許出願公開第753545号明細書、国際公開93/08237号パンフレット、国際公開98/53011号パンフレット、国際公開98/12266号パンフレット、国際公開98/38254号パンフレット、国際公開99/20695号パンフレット、国際公開00/42111号パンフレット、及び欧州特許出願公開第1213330号明細書)。最も外側の酸化チタン層は本発明の外層(保護層)により安定化され得る。
以下の層構造を有する顔料が特に好ましい:
【0036】
【表1】

【0037】
ここで、TRASUBは低屈折率を有する透明、又は半透明基材であり、特に天然の、又は合成の雲母、別の層構造ケイ酸塩、ガラス、Al23、SiOZ、特にSiO2、SiO2/SiOX/SiO2(0.03≦x≦0.95)、SiO1.40-2.0/SiO0.70-0.99/SiO1.40-2.0、又は0.70≦z≦2.0、特に1.40≦z≦2.0を有するSi/SiOZを表し、及び
STLは、例えば、Cu、Ag、Cr、又はSnの半透明金属層、又は半透明カーボン層、のような半透明層を表す。
【0038】
外層の金属酸化物/水酸化物は好ましくはシリコン(酸化シリコン、水和酸化シリコン)、アルミニウム、ジルコニウム、マグネシウム、カルシウム、鉄(III)、イットリウム、セリウム、亜鉛及びそれらの組み合わせの酸化物/水酸化物から選ばれる。
【0039】
金属酸化物/水酸化物は(多重)コートされた小板状基材の質量に基づき0.1乃至10質量%、好ましくは0.8乃至4質量%での量で存在する。
【0040】
本発明の好ましい実施形態では、金属酸化物/水酸化物はアルミニウム(酸化アルミニウム、水和酸化アルミニウム)、ジルコニウム((水和)二酸化ジルコニウム)、又はそれらの混合物の酸化物/水酸化物である。アルミニウム酸化物/水酸化物は色彩や安定化のために好ましく;ジルコニウム酸化物/水酸化物は安定化のために好ましく、安定化や色彩のためにはそれらの組み合わせが最も良い。
【0041】
酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム及び酸化亜鉛、又は酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム及び酸化マグネシウム、の三元混合物もまた優れた結果を示す。
【0042】
組み合わせで使用する場合、金属酸化物/水酸化物層は2つ以上の対応する金属酸化物/水酸化物の塩を同時に又は連続的に添加することで製造され得る。
【0043】
リン酸エステルの例としては、例えば、ポリ炭素原子数2乃至4のアルキレングリコールモノエーテル及び/又はカルボン酸のポリ炭素原子数2乃至4のアルキレングリコールモノエステルのリン酸エステル(リン酸のエステル)のようなポリオキシエチレン化アルキルエーテルリン酸塩である。
【0044】
これは、例えば、式
【化1】

{式中、R1(は、登場毎に同一でもあり異なるものでもあり得る)は、直線状又は枝分
かれしたアルキル基、特に炭素原子数1乃至20のもの;フェニル基;アルキルアリール基、より具体的には、特に8乃至12の炭素原子数のアルキル鎖を有するアルキルフェニル基;アリールアルキル基、より具体的はフェニルアリール基を表し;n(エチレンオキシドの数)は2から12の範囲であり得、例えば、mは1、2又は3を表す。R1は特に
ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、オレイル基又はノニルフェニル基を表し得る。}
で表されるポリオキシオエチレン化アルキルリン酸塩、又はその塩を指す。最も好ましいのは、nが6、7又は8を表し、R1はメチル基を表し、そしてmは1又は2を表す化合
物である。
【0045】
言及され得る、このタイプの化合物のさらなる例としては、ローデア(Rhodia)によって販売されているブランド名ルブロホス(Lubrophos)(登録商標)とローダファック(Rhodafac)(登録商標)の下で販売されているもの、そして特に下記の製品:ポリオキシエチレン(炭素原子数8乃至10の)アルキルエーテルリン酸塩
ローダファック(Rhodafac)(登録商標)RA600、ポリオキシエチレントリデシルエーテルリン酸塩 ローダファック(Rhodafac)(登録商標)RS710又はRS410、ポリオキシエチレンオレオセチルエーテルリン酸塩 ローダファック(Rhodafac)(登録商標)PA35、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテ
ルリン酸塩 ローダファック(Rhodafac)(登録商標)PA17、ポリオキシエチレン(枝分かれした)ノニルエーテルリン酸塩 ローダファック(Rhodafac)(登録商標)RE610である。
【0046】
さらに、リン酸塩エステルは、一般式
【化2】

(式中、R2とR2’は炭素原子数6乃至20のアルキル基又はエトキシ化されたアルキル基を表す。)で表される、いずれかの材料、又はそれらの塩である。
好ましくはR2とR2'は一般式:アルキル−(OCH2CH2Y
(式中、アルキル置換基は炭素原子数12乃至18を表し、Yは0乃至約4を表す。)で表されるものを表す。最も好ましくはその式で表されるアルキル置換基は炭素原子数12乃至18であり、Yは2乃至約4を表す。描かれた式はモノエステル及びジエステルを表すのが適切であり、また市販のリン酸エステルは一般的に若干のトリエステルと共に、モノエステル及びジエステルの混合物を含む。
【0047】
特に適するリン酸エステルはEFKA−5066、EFKA−5070、EFKA−5207、EFKA−5244、EFKA−6220、EFKA−6225、EFKA−6230、EFKA−8503、EFKA−8510、EFKA−8511、EFKA−8512、EFKA−8530、EFKA−8531、EFKA−8532(チバ スペシャリティ ケミカルズ)、ローダファック(Rhodafac)(登録商標)PA23(ローデア製)、ポリオキシエチレン化されたアルキルエーテルリン酸塩、及びホスホラン(Phospholan)(登録商標)PE169(アクゾノーベル)である。
【0048】
別の好ましい実施例では、リン酸エステル、又はホスホン酸塩が、ローダファック(Rhodafac)(登録商標)PA15のようなアルキル又はアルキルアリールリン酸エステル、又はホスホラン(Phospholan)(登録商標)PR221T(アクゾノーベル製)のような、ポリアリールポリエーテルリン酸塩、又はローダファック(Rhodafac)(登録商標)ASI80(ローデア製)のような、アルキルホスホン酸、又は、ビニルホスホン酸及び/又はビニルメチルホスフィン酸と他のモノマー、例えば、アクリル酸、アクリルアミド、及びアルブライテクト(Albritect)(登録商標)CP30(ローデア製)のような酢酸ビニル、とのコポリマーを含む、ポリビニルメチルホスフィン酸の、特にポリビニルホスホン酸の、ポリマーである。
【0049】
金属酸化物/水酸化物は、一般的に、(多重)コートされた小板状基材の質量に基づき0.1乃至10質量%、好ましくは0.8乃至4質量%の量で存在する。リン酸エステル、又はホスホン酸塩は、一般的に、(多重)コートされた小板状基材の質量に基づき0.1乃至10質量%、好ましくは1乃至6質量%の量で存在する。
【0050】
さらに、本発明は、本発明の顔料の製造方法であって、
(a)フレーク状の(真珠)顔料を水中に懸濁し、懸濁液のpHを約3に調節し、その後、シリコン、アルミニウム、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、ジルコニウム、鉄(III)、イットリウム及びセシウムから選ばれた1つ以上の金属塩の水溶液を懸濁液に、アルカリ水溶液でそのpHを一定に保ちながら、加え、そして添加後、そのpHを約7乃至8.5に調節すること、及び
(b)リン酸エステル、又はホスホン酸塩又はその塩の水溶液を攪拌しながら、結果として得られた懸濁液に加え、そして、添加後、その懸濁液をろ過し、水で洗浄し乾燥させる
こと、を特徴とする。
【0051】
これらの(水和)金属酸化物は、例えば、出発原料として塩化物、硫酸塩、硝酸塩、ハロゲン化物及びオキシハロゲン化物のような対応する金属塩の水溶液をアルカリ加水分解させることによりフレーク状の(真珠)顔料上にコートされ得る。
【0052】
本発明で使用される水和金属酸化物を形成する金属塩の量はフレーク状の顔料の表面上に水和金属酸化物の単一層を形成できる限りにおいて十分である。それ故に、フレーク状の真珠顔料の特定領域が大きい場合は、大量の金属塩が必要となる一方で、小さい特定領域に対しては、少量で十分である。更に、大量の金属塩はフレーク状の真珠顔料の色調(色相、彩度、光沢)での変化を引き起こし、またさらに顔料粒子の塊を容易に発生させるので、これは好まれない。通常、金属塩の量はフレーク状の真珠顔料の特定表面領域に応じて変化することができ、この量はフレーク状の真珠顔料に対して0.1乃至10質量%の範囲内で決定され得る。
【0053】
全工程は10乃至90℃の温度、好ましくは60乃至90℃の温度で行われる。
【0054】
アルミニウムは色彩や安定化のために好ましく、ジルコニウムは安定化のために好ましく、また安定化や色彩のためにはそれら組み合わせが最も良い。
【0055】
アルミニウムの酸化物、又は水酸化物の好ましい前駆体はアルミニウムの塩化物、硝酸塩又は硫酸塩である。ジルコニウムの酸化物、又は水酸化物の好ましい前駆体は、ジルコニウムのオキシ塩化物、硝酸塩又は硫酸塩である。組み合わせでは2つの塩は同時に又は連続して加えられ得る。
【0056】
最適なpHはpH3で、このpHは金属塩の添加後pH7に変えられる。
【0057】
リン酸エステル(リン酸のエステル)又はホスホン酸塩は、pHが7からpH8.5に変化した後に添加される。
【0058】
これから、本発明に従う高配向フレーク状顔料の製造方法についてより詳細に記述する。
【0059】
最初に、フレーク状の(真珠)顔料の水性懸濁液を準備し、そして懸濁液のpHを酸性の水溶液又はアルカリ性の水溶液を用いて約3の所定のpH値に調節する。この加水分解のためのpH値は本発明で使用される金属塩のタイプに応じて変化させ得る。攪拌しながら別に準備した塩の溶液を懸濁液に加えるが、この間懸濁液におけるpHを一定に保つ。添加後、pHはpH3から中性に変える。
【0060】
リン酸エステル、又はホスホン酸塩又はその塩の溶液を、工程a)で得られた生成物に滴下添加する。このコーティング処理中、溶液を扱われる各材料に適したpHと温度に調節し、そして顔料が各材料で均一にコートされるように、各材料を攪拌する。コーティング処理後、顔料をろ過し、水で洗浄し、通常の方法、例えば、100乃至150℃の温度のオーブンで乾燥させて、所望の顔料を得る。
【0061】
本発明による(エフェクト)顔料は、あらゆる通常の目的のために、例えば、大量のポリマー、塗料(自動車産業用のものを含むエフェクト仕上剤を含む)及び印刷インク(オフセット印刷、凹版印刷、ブロンジング及びフレキソ印刷)の着色のために使用され得、そして又、例えば、化粧品における、インクジェット印刷における用途のために、布地の染色のために、セラミック及びガラスのための釉薬、並びに紙及びプラスチックのレーザー
標識のためにも使用し得る。そのような用途は、例えば、「産業有機色素」(W.ヘルプストとK.フンガー、VCH Verlagsgesellschaft mbH、ワインハイム/ニューヨーク、第2版、完全改訂版、1995)のような参考資料から知られる。
【0062】
発明による顔料が干渉顔料(エフェクト顔料)である場合、それらはゴニオ色であり、鮮やかな、高飽和の(光沢のある)色を生じる。それらはそれ故、従来の、透明顔料、例えば、ジケトピロロピロール類、キナクリドン類、ジオキサジン類、ペリレン類、イソインドリノン類等のような、例えば有機顔料、との組み合わせに特に適しており、透明顔料はエフェクト顔料と同様の色を持つことは可能である。しかしながら、特に興味深い組み合わせ効果は、例えば、欧州特許出願公開第388932号明細書又は欧州特許出願公開第402943号明細書におけるのと同様に、透明顔料の色と効果顔料の色が相補的である場合に得られる。
【0063】
本発明による顔料は高分子量有機材料の着色のために優れた成果で使用され得る。
【0064】
本発明による顔料類又は顔料組成物が着色に使用し得る高分子量有機材料は、天然由来の又は合成由来のものであり得る。高分子量有機材料は普通、約103乃至108g/mol又は、より高い分子量を有する。それらは、例えば、天然樹脂、乾性油、ゴム又はカゼイン、又はそれらから誘導された天然物質、例えば、塩素化ゴム、オイル改質アルキド樹脂、ビスコース、セルロースエーテル又はエステル、例えば、エチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、アセト酪酸セルロース又はニトロセルロースであり得るが、特に重合、重縮合又は重付加により得られた完全合成有機ポリマー(熱硬化性プラスチックや熱可塑性物質)。重合樹脂の種類からは、特に、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリイソブチレンのようなポリオレフィンが言及され得、及び塩化ビニル、酢酸ビニル、スチレン、アクリルニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル又はブタジエンの重合生成物のような置換されたポリオレフィン、及び特にABS又はEVAのような前記モノマー類の共重合生成物も言及され得る。
【0065】
重付加樹脂と重縮合樹脂系からは、例えば、ホルムアルデヒドとフェノールの縮合生成物、いわゆるフェノプラスト、及びホルムアルデヒドと尿素、チオ尿素又はメラミンの縮合生成物、いわゆるアミノプラスト、及び表面コーティング樹脂として使用されるポリエステル、例えば、アルキド樹脂のような飽和の、又はマレイン酸樹脂のような不飽和のもの、または直線状のポリエステル類やポリアミド類、ポリウレタン類又はシリコン類に言及されるかもしれない。
【0066】
前記高分子量化合物は、単独で又は混合して、プラスチック塊又は溶融物の形態で存在し得る。それらはまた、それらのモノマーの形態で、或は、例えば、沸騰した亜麻仁油、ニトロセルロース、アルキド樹脂、メラミン樹脂及び尿素−ホルムアルデヒド樹脂又はアクリル樹脂のような、塗料又は印刷インクのためのフィルム形成剤又は結合剤として、溶解された形態の重合された状態でも存在し得る。
【0067】
意図した目的次第で、本発明に従うエフェクト顔料又はエフェクト顔料組成物をトナーとして又は製剤の形態で使用することが有利であると証明されている。コンディショニング方法又は意図した用途次第で、コンディショニング過程の前又は後にエフェクト顔料に一定量の質感改良剤を加えることは有利であり得るが、但し、これが高分子量有機材料、特にポリエチレンの、着色のためのエフェクト顔料の使用に悪影響を与えないことが条件である。適した剤は、特に、少なくとも18個の炭素原子を含有する脂肪酸、例えばステアリン酸又はベヘン酸、或はそれらのアミド又は金属塩、特にマグネシウム塩であり、及びまた、可塑剤、ワックス、アビエチン酸のような樹脂酸、ロジン石鹸、アルキルフェノ
ール又は脂肪族アルコール、例えばステアリルアルコール、又は8乃至22個の炭素原子を含有する脂肪族1,2−ジヒドロキシ化合物、例えば1,2−ドデカンジオール、及びまた、改質マレイン酸コロフォニー樹脂又はフマル酸コロフォニー樹脂でもある。質感改良剤は好ましくは最終生成物に基づいて、0.1乃至30質量%、特に2乃至15質量%の量で加えられる。
【0068】
発明に従う(エフェクト)顔料は、着色される高分子量有機材料に有効ないずれの量でも加えられ得る。高分子量有機材料及び該高分子量有機材料に基づいて0.01乃至80質量%、好ましくは0.1乃至30質量%の発明に従う顔料を含む着色物質組成物が有利である。実際には、1乃至20質量%の濃度、特に約10質量%が、頻繁に使用される。
【0069】
高濃度、例えば30質量%より高いものは、通常、比較的低い顔料含有量を有する着色された材料の製造のための着色剤として使用し得る濃縮物(マスターバッチ)の形態にあり、本発明に従う顔料は慣用の配合物において極めて低い粘度を有すため、依然として良く加工され得る。
【0070】
有機原料の着色をする目的、本発明に従うエフェクト顔料は単独で使用され得る。しかしながら、様々な色調又は色彩効果を達成するため、本発明に従う効果顔料に加え、白色の、着色された、黒色の又はエフェクト顔料のような他の色を与える成分の所望の量を高分子量有機物質に加えることもまた可能である。着色された顔料を本発明に従う効果顔料と混合して使用する場合、総量は高分子量有機材料に基づいて、好ましくは0.1乃至10質量%である。
【0071】
特に高いゴニオ色は、本発明に従うエフェクト顔料と、他の色、特に補色の着色顔料との好ましい組み合わせにより、該エフェクト顔料を用いて為された着色と該着色顔料を用いて為された着色が、10°の測定角で20乃至340、特に150乃至210の色調(ΔΗ*)における差を有して、もたらされる。
【0072】
好ましくは、本発明に従うエフェクト顔料は透明な有色顔料と組み合わされ、該透明な有色顔料は本発明に従うエフェクト顔料と同一媒体に又は隣接する媒体のいずれかに存在することが可能である。エフェクト顔料と隣接する媒体に有利に存在する着色顔料配置の例としては、多層エフェクト被膜である。
【0073】
本発明に従う顔料を用いた高分子量有機物質の着色は、例えば、そのような顔料を、必要に応じてマスターバッチの形態で、ロールミル機又は混合装置又は粉砕機を使って該物質と混ぜることによって行われる。着色された材料はそれからカレンダ加工、圧縮成型、押出成型、コート、注入、又は射出成型のような、それ自体知られている方法を使用して所望の最終形態にされる。可塑剤、充填剤又は安定剤のような、プラスチック産業における慣行的な添加物が慣用の量で、顔料の配合前又は後に、ポリマーへ添加され得る。特に、軟質の成形品を製造するため又はそれらの脆弱性を減少させるために、例えば、リン酸、フタル酸又はセバシン酸のエステルのような可塑剤を成形前に高分子量化合物に加えることが望ましい。
【0074】
塗料やプリントインク類を着色するために、高分子有機材料及び本発明に従うエフェクト顔料は、必要に応じて例えば、充填剤、他の顔料、乾燥剤又は可塑剤のような慣用の添加物と共に、同じ有機溶媒又は溶媒混合物に良く分散されるか又は溶解され、個々の成分は別々に溶解又は分散され得るか、又は多くの成分が一緒に溶解又は分散され、そしてその後全ての成分が一緒にされることが可能である。
【0075】
着色された高分子量有機材料に本発明に従うエフェクト顔料を分散させること、そして
本発明に従う顔料組成物を加工することは、好ましくは、エフェクト顔料がより小さな部分に分けられないようにするために、比較的弱いせん断力の発生条件下で実行される。
【0076】
0.1乃至50質量%の量で、特に0.5乃至7質量%の量で本発明の顔料を含んでいるプラスチック。塗装部門において、本発明の顔料は0.1乃至10質量%の量で使用される。バインダー系の着色において、例えばインタリオ、オフセット又はスクリーン印刷用のペンキやプリントインクのために、顔料は0.1乃至50質量%、好ましくは5乃至30質量%の量、そして特に8乃至15質量%の量でプリントインクに配合される。
【0077】
例えば、プラスチック、塗料又は印刷インクで、特に塗料又は印刷インクで、より特に塗料で、得られる着色は、優れた特性、特にとても高い飽和、際立った定着特性、高い色彩純度と高いゴニオ色によって識別される。
【0078】
着色された高分子量材料がコーティングの場合、それは、特に特殊コーティング(非常に特に自動車仕上剤)である。
【0079】
本発明によるエフェクト顔料はまた、唇又は皮膚の化粧又は髪の毛又は爪のカラーリングに適している。
【0080】
本発明は、従って、化粧品製剤又は配合物であって、該化粧品製剤又は配合物の全質量に基づき、0.0001乃至90質量%の本発明に従う顔料、特にエフェクト顔料、及び10乃至99.9999質量%の化粧品に適する担体材料を含むものに関する。
【0081】
そのような化粧品製剤又は配合物は、例えば、リップスティック、頬紅、ファンデーション、マニキュア液やヘアーシャンプーである。
【0082】
顔料は単独で又は混合物の形態で使用され得る。その上、発明に従う顔料は、例えば、上記の又は化粧品製剤において知られている組み合わせにおいて、他の顔料及び/又は着色剤と共に使用することも可能である。発明に従う化粧品製剤と配合物は、該製剤の全質量に基づいて、0.005乃至50質量%の量で発明に従う顔料を含んでいることが好ましい。
【0083】
発明に従う化粧品製剤及び配合物のために適したキャリア材料はそのような組成物に使用される慣用の材料を含有する。
【0084】
本発明に従う化粧品製剤及び配合物は、例えば、ステック類、軟膏類、クリーム類、乳液、懸濁液、分散液類、粉末又は溶液類、の形態にあり得る。それらは、例えば、リップスティック類、マスカラ製剤類、頬紅類、アイシャドー類、ファンデーション類、アイライン類、パウダー又はマニキュア液である。
【0085】
製剤が、例えば、リップスティック類、アイシャドー類、頬紅類又はファンデーション類のような、ステックの形態にあるならば、該製剤はかなりの部分を脂肪成分からなり、該成分は、1種以上のワックス、例えば、オゾケライト、ラノリン、ラノリンアルコール、水添ラノリン、アセチル化ラノリン、ラノリンワックス、蜜ろう、カンデリラワックス、微晶質ワックス、カルナバ・ワックス、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ココアバター、ラノリン脂肪酸、ワセリン、ワセリンゼリー、25℃で固体であるモノー、ジー又はトリグリセリド又はそれらの脂肪エステル類、メチルオクタデカン−オキシポリシロキサンやポリ(ジメチルシロキシ)−ステアオキシシロキサンのようなシリコンワックス、アビエチン酸グリコール類やアビエチン酸グリセロール類のようなステアリン酸モノエタノールアミン、コロフォン及びそれらの誘導体、25℃で固体である水添油、糖グ
リセリド及び、カルシウム、マグネシウム、ジルコニウムやアルミニウムのステアリン酸塩、オレイン酸塩、ミリスチン酸塩、ラノリン酸塩及びジヒドロキシステアリン酸塩を含む。
【0086】
脂肪成分はまた、少なくとも1種のワックスと少なくとも1種の油の混合物からなってもよく、その場合には例えば以下の油:パラフィン油、パーセリン油、パーハイドロスクアレン、甘扁桃油、アボガド油、カロフィルム油、ヒマシ油、ゴマ油、ホホバ油、約310乃至410℃の沸点を有する鉱油、ジメチルポリシロキサンのようなシリコンオイル、リノレイルアルコール、リノレニイルアルコール、オレイルアルコール、小麦麦芽油のような穀物油、ラノリン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸セチル、ステアリン酸ヘキサデシル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸デシル、アセチルグリセリド、アルコールやポリアルコールのオクタン酸塩及びデカン酸塩、例えば、グリコールやグリセロール、アルコールやポリアルコールのリシノール酸塩、例えば、セチルアルコール、イソステアリルアルコール、イソセチルラノレート(isocetyl lauolate)、アジピン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル及びオクチルドデカノールである。
【0087】
スチック形態のそのような製剤において、脂肪成分は一般的に該製剤の全質量の99.91質量%まで構成し得る。
【0088】
発明に従う化粧品製剤及び配合物は付加的に更なる成分、例えば、グリコール類、ポリエチレングリコール類、ポリプロピレングリコール類、モノアルカノールアミド類、非着色ポリマー状の、無機又は有機充填剤、防腐剤、紫外フィルター又は他の化粧品において慣習の補助剤や添加剤、例えば、天然又は合成又は部分的合成のジー又はトリーグリセリド、鉱油、シリコンオイル、ワックス、脂肪アルコール、ゲルベットアルコール又はそのエステル類、日焼け防止フィルターを含む、親油性機能的な化粧品用の活性成分又はそのような物質の混合物を含む。
【0089】
スキン化粧品に適している親油性機能的な化粧品用の有効成分、有効成分組成物又は有効成分抽出物は、皮膚又は局所使用に承認された成分又は成分の混合物である。
例として、以下のものを挙げ得る。
【0090】
− 皮膚表面と髪に洗浄作用を有する有効成分:これらはオイル類、石鹸類、合成洗剤及び固形物質のような、皮膚を洗浄するのに役立つあらゆる物質が含まれる;
【0091】
− 脱臭及び汗抑制作用を有する有効成分:これらはアルミニウム塩又は亜鉛塩に基づく制汗剤、例えば、トリクロサン、ヘキサクロロフェン、アルコール類や、第四級アンモニウム塩類ようなカチオン材料、及び例えば、グリロシン(Grillocin)(登録商標)(リシノール酸亜鉛と様々な添加剤の組み合わせ)又はクエン酸トリエチル(例えば、ブチルヒドロキシトルエンのような、酸化防止剤と任意に併用して)又はイオン交換樹脂のような殺菌性の又は静菌性のデオトラント材料を包含するデオトラントを含む;
【0092】
− 日光からの保護を示す有効成分(紫外線フィルター):適する有効成分は日光から紫外線放射を吸収しそれを熱に代え得るフィルター物質(サンクリーン);所望の作用次第で、以下の光保護剤類が好ましい:約280乃至315nmの範囲内で日焼けを引き起す高エネルギー紫外線放射を選択的に吸収(紫外線B吸収剤)し、例えば、315乃至400nm(紫外線A範囲)のより長波長を伝送する光保護剤類、並びに315乃至400nmの紫外線A範囲のより長波長の放射線のみを吸収する光保護剤類(紫外線A吸収剤);適する光保護剤類は、例えば、p−アミノ安息香酸誘導体類、サリチル酸誘導体類、ベンゾフェノン誘導体類、ジベンゾイルメタン誘導体類、アクリル酸ジフェニル誘導体類、ベ
ンゾフラン誘導体類、1つ以上の有機シリコン基を有するポリマー状有機紫外線吸収剤類、桂皮酸誘導体、ショウノウ誘導体類、トリアニリノ−s−トリアジン誘導体類、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸及びそれらの塩類、アントラニル酸メンチル、ベンゾトリアゾール誘導体類、及び/又はアルミニウム酸化物でコートされるか又は二酸化シリコンでコートされたTiO2、酸化亜鉛又は雲母から選ばれる無機マイクロ顔料の種類から
の有機紫外線吸収材である;
【0093】
− 昆虫に対する有効成分(防虫剤)は昆虫が皮膚に接触し、そこで活発になるのを防ぐことを意図した薬剤である;それらは昆虫を追い払い、ゆっくりと蒸発する;最も高い頻度で使用される防虫剤はジエチルトルアミド(DEET)である;他の一般的な防虫剤は、例えば、”保護化粧品”(W.ラーブとU.キンドル、グスタフ−フィッシャー−出版社シュツットガルト/ニューヨーク)161ページに見付けられる;
【0094】
− 化学的及び機械的影響からの保護に対する有効成分:これらは皮膚と外部の有害物質の間に障害を形成するあらゆる物質、例えば、水溶液に対する保護のための、パラフィン油類、シリコン油類、植物油類、PCL製品及びラノリン、フィルム形成剤、例えば、有機溶媒の効果からの保護のためのアルギン酸ナトリウム、アルギン酸トリエタノールアミン、ポリアクリル酸塩、ポリビニルアルコール又はセルロースエーテル、又は皮膚に対する厳しい機械的ストレスからの保護のための”潤滑油”としての鉱油類、植物油類又はシリコン油類に基づく物質を含む;
【0095】
− 保湿物質:以下の物質は、例えば、水分制御剤(保湿剤)として使用される:乳酸ナトリウム、尿素、アルコール類、ソルビトール、グリセロール、プロピレングリコール、コラーゲン、エラスチン及びヒアルロン酸;
【0096】
− 角質形成効果を有する有効成分:過酸化ベンゾイル、レチノイン酸、コロイド硫黄及びレゾルシノール;
【0097】
− 例えば、トリクロサン又は第四級アンモニウム化合物類のような抗菌剤;
【0098】
− 皮膚に適用し得る油性の又は油液性ビタミン類又はビタミン誘導体類:例えば、ビタミンA(遊離酸の形態におけるレチノール又はその誘導体)、パンテノール、パントテン酸、葉酸、及びそれらの組み合わせ、ビタミンE(トコフェロール)、ビタミンF;必須脂肪酸;又はナイアシンアミド(ニコチン酸アミド);
【0099】
− ビタミンベースの胎盤抽出物:特にビタミンA、C、E、B1、B2、B6、B12、葉
酸及びビオチン、アミノ酸及び酵素、並びに微量元素類マグネシウム、シリコン、リン、カルシウム、マンガン、鉄又は銅の化合物類を含む有効成分組成;
【0100】
− 皮膚修復複合体類:ビフィスズ菌群のバクテリアの不活性かつ崩壊した培養物から得られる;
【0101】
− 植物と植物エキス:例えば、アルニカ、アロエ、あごひげ苔、セイヨウキヅタ、イラクサ、朝鮮人参、ヘナ、カモミール、マリーゴールド、ローズマリー、セージ、ツクシ又はタイム;
【0102】
− 動物抽出物:例えば、ロイヤルゼリー、蜂ろう、タンパク質又は胸腺抽出物;
【0103】
− 皮膚に適用し得る化粧品油:ミグリオール(Miglyol) 812型の中性油、杏仁油、アボカド油、ババス油、綿実油、ルリヂサオイル、アザミ油、ラッカセイ油、ガ
ンマ−オリザノール、バラの実の種油、麻油、ヘイゼルナッツ油、クロフサスグリの種油、ホホバ油、サクランド種子油、サーモン油、亜麻仁油、トウモロコシ実油、マカダミアナッツ油、アーモンド油、マツヨイグサ油、ミンク油、オリーブ油、ペカンの実油、杏仁油、ピスタチオの実油、菜種油、イネ種子油、ヒマシ油、サフラワー油、胡麻油、大豆油、ヒマワリ油、チャノキ油、グレープ実油又は小麦麦芽油。
【0104】
ステック状における製剤は無水であることが好ましいが、場合によっては一定量の水分を含んでいても良い、しかしながら、水分は一般的に化粧品製剤の全質量に基づいて、40質量%を超えない。
【0105】
本発明に従う化粧製剤及び配合物が半固体状製品であるならば、つまり軟膏類又はクリーム類の形態の場合、それらも同様に無水又は水性であり得る。そのような製剤及び配合物は、例えば、マスカラ、アイライン、ファンデーション、頬紅、アイシャドー、又は目の下のくまを処理するための成分である。
【0106】
一方、そのような軟膏又はクリームが水性である場合、それらは顔料の他に、1乃至98.8質量%の脂肪相、1乃至98.8質量%の水相及び0.2乃至30質量%の乳化剤を含む、油中水型又は水中油型乳剤である。
【0107】
そのような軟膏やクリームは更に例えば、香水、酸化防止剤、防腐剤、ゲル形成剤、紫外フィルター、着色剤、顔料、真珠光沢剤、非着色ポリマーと、並びに無機又は有機充填剤のような、慣用の添加剤も含んでも良い。製剤が粉末状形態にある場合、それらは実質的に例えば、滑石、カオリン、でんぷん、ポリエチレン粉末又はポリアミド粉末のような、鉱物性又は無機又は有機充填剤、及び結合剤、着色剤等のような補助剤からなる。
【0108】
そのような製剤は、同様に香料、酸化防止剤、防腐剤等のような化粧品で通常使用される様々な補助剤を含んでも良い。
【0109】
本発明に従う化粧品製剤及び配合物がマニキュア液である場合、それらは基本的に、溶媒系における溶液の形態のニトロセルロースや天然又は合成ポリマーから成り、該溶液は例えば真珠光沢剤のような、他の補助剤を含むことも可能である。
【0110】
上記の実施形態では、着色ポリマーは約0.1乃至5質量%の量で存在する。
【0111】
本発明に従う化粧品製剤及び配合物は髪を着色するのに使用しても良く、その場合、それらは化粧品産業で通常使用されるベース物及び本発明に従う顔料から成るシャンプー、クリーム又はジェルの形態で使用される。
【0112】
本発明に従う化粧品製剤及び配合物は通常の方法で、例えば、成分を混合する又は攪拌することにより、所望により混合物を溶解するための加熱を伴なって製造される。
【0113】
本発明の様々な特色や側面は以下の実施例で更に説明される。これらの実施例は当業者に本発明の範囲内でいかに操作するかを示している一方、それらは発明の範囲を限定するものでなく、そのような範囲は請求項にのみ定義されている。以下の実施例及び明細書の他の記載や請求項において他の指示がない限り、全ての部とパーセンテージは質量により、温度は摂氏度でありまた圧力は大気圧であるか又は大気圧に近い。
【実施例】
【0114】
<実施例1>
二酸化チタンでコートされた雲母(CIBA XYMARA:登録商標、Silver
Pearl S03)(チバエスシー(CIBA SC)製)50gを500mlの水に分散させた。この懸濁液を75℃に加熱した。200mlの水に溶解させた1.96gのAlCl3の溶液を投薬ポンプを用いて4ml/分で加えた。この懸濁液をNaOH溶
液(1%で)でのpHの埋め合わせによりpH 3に維持した。この懸濁液をpH 3で30分間維持した。その後懸濁液のpHを1% NaOH溶液でpH 7に上げた。この懸濁液をpH 7で30分間維持した。50mlの水に溶解させた0.5gのCIBA EFKA 8512(100%活性物質)の溶液を加えた。この懸濁液をその後pH 7で60分間維持した。この懸濁液をろ過し;顔料を回収し、水で洗浄しそして120℃のオーブンで一晩乾燥させた。
【0115】
<実施例2>
二酸化チタンでコートされた雲母(CIBA XYMARA:登録商標、Silver
Pearl S03)(チバエスシー(CIBA SC)製)50gを500mlの水に分散させた。この懸濁液を75℃に加熱した。290mlの水に溶解させた5.76gのZrOCl2・8H2O AlCl3の溶液を投薬ポンプを用いて4ml/分で加えた。
この懸濁液をNaOH溶液(1%で)でのpHの埋め合わせによりpH 3に維持した。この懸濁液をpH 3で30分間維持した。その後懸濁液のpHを1% NaOH溶液でpH 7に上げた。この懸濁液をpH 7で30分間維持した。50mlの水に溶解させた0.5gのCIBA EFKA 8512(100%活性物質)溶液を加えた。この懸濁液をその後pH 7で60分間維持した。この懸濁液をろ過し;顔料を回収し、水で洗浄しそして120℃のオーブンで一晩乾燥させた。
【0116】
<実施例3>
二酸化チタンでコートされた雲母(CIBA XYMARA:登録商標、Dual Pearl D25)(チバエスシー(CIBA SC)製)50gを500mlの水に分散させた。この懸濁液を75℃に加熱した。300mlの水に溶解させた5.76gのZrOCl2・8H2O AlCl3の溶液を投薬ポンプを用いて4ml/分で加えた。この
懸濁液をNaOH溶液(1%で)でのpHの埋め合わせによりpH 3に維持した。この懸濁液をpH 3で30分間維持した。その後懸濁液のpHを1% NaOH溶液でpH
7に上げた。この懸濁液をpH 7で30分間維持した。50mlの水に溶解させた0.5gのCIBA EFKA 8512(100%活性物質)の溶液を加えた。この懸濁液をその後pH 7で60分間維持した。この懸濁液をろ過し;顔料を回収し、水で洗浄しそして120℃のオーブンで一晩乾燥させた。
【0117】
<実施例4>
二酸化チタンでコートされた雲母(CIBA XYMARA:登録商標、Silver
Pearl S23)(チバエスシー(CIBA SC)製)50gを500mlの水に分散させた。この懸濁液を75℃に加熱した。200mlの水に溶解させた1.96gのAlCl3の溶液を投薬ポンプを用いて4ml/分で加えた。この懸濁液をNaOH溶
液(1%で)でのpHの埋め合わせによりpH 3に維持した。この懸濁液をpH 3で30分間維持した。その後懸濁液のpHを1% NaOH溶液でpH 7に上げた。この懸濁液をpH 7で30分間維持した。50mlの水に溶解させた0.5gのCIBA EFKA 8512(100%活性物質)の溶液を加えた。この懸濁液をその後pH 7で60分間維持した。この懸濁液をろ過し;顔料を回収し、水で洗浄しそして120℃のオーブンで一晩乾燥させた。
【0118】
<実施例5>
二酸化チタンでコートされた雲母(CIBA XYMARA:登録商標、Silver
Pearl S03)(チバケミカルエスシー(CIBA SC)製)50gを500mlの水に分散させた。この懸濁液を75℃に加熱した。200mlの水に溶解させた0
.98gのAlCl3の溶液を投薬ポンプを用いて4ml/分で加えた。この懸濁液をN
aOH溶液(1%で)でのpHの埋め合わせによりpH 3に維持した。この懸濁液をpH 3で30分間維持した。300mlの水に溶解させた2.88gのZrOCl2・8
2O AlCl3の溶液を1.2時間以内に投薬ポンプを用いて4ml/分で加え、この懸濁液のpHはNaOH溶液(1%で)でのpHの埋め合わせにより3に維持した。この懸濁液を再びpH 3で30分間維持した。その後懸濁液のpHを1% NaOH溶液でpH 7に上げた。この懸濁液をその後pH 7で60分間維持した。200mlの水に溶解させた2.5gのアルブライテクト(Albritect)CP30(20%活性物質)(ローディア(Rhodia)製)の溶液を加えた。pHが5.4に落ち、懸濁液はこのpHで30分間維持した。この懸濁液をろ過し;顔料を回収し、水で洗浄しそして120℃のオーブンで一晩乾燥させた。
【0119】
<実施例6乃至8及び9乃至11>
実施例1及び2をCIBA EFKA 8512の代わりに以下を使用して再現した:
【0120】
−オクチルホスホン酸
50mlの水に0.5gの0.8% ローダファック(RHODAFAC)(登録商標)ASI 80(ローディア(Rhodia)製)(80%活性物質)
【0121】
−酸形態中のアルコールエトキシレートに基づくモノー及びジーリン酸エステル類の混合物
200mlの水に10gの5% ホスホラン(Phospholan)(登録商標)R221T(アクゾノーベル製)(25%活性物質)
【0122】
−アルコールエトキシ化リン酸エステル
200mlの水に2.5gの5% ホスホラン(Phospholan)(登録商標)PE 169(アクゾノーベル製)(100%活性物質)
【0123】
<実施例12>
実施例1乃至11からのすべての試料はメチレンブルーテストにおける光安定性についてテストした、水浸漬テスト及び抗黄変テストでは、全ての試料が非処理製品に対して改善を示した。
【0124】
<実施例13>
二酸化チタンでコートされた雲母(CIBA XYMARA:登録商標、Silver
Pearl S19)(チバエスシー(CIBA SC))50gを500mlの水に分散させた。この懸濁液を75℃に加熱した。水中1%ZrOCl2溶液2.61gを投
薬ポンプを用いて4ml/分で加えた。同様に130mlの水に溶解させた1.30gのAlCl3の溶液を投薬ポンプを用いて4ml/分で加えた。その後水中1%ZnCl2溶液0.42gを投薬ポンプを用いて4ml/分で加えた。この懸濁液をNaOH溶液(1%で)でのpHの埋め合わせにより常にpH 3に維持した。この懸濁液をpH 3で30分間維持した。その後懸濁液のpHを1% NaOHでpH 7に上げた。この懸濁液をpH 7で30分間維持した。50mlの水に溶解させた0.5gのCIBA EFKA 8512(100%活性物質)の溶液を加えた。この懸濁液をその後pH 7で60分間維持した。この懸濁液をろ過し;顔料を回収し、水で洗浄しそして120℃のオーブンで一晩乾燥させた。
【0125】
<実施例14>
二酸化チタンでコートされた雲母(CIBA XYMARA:登録商標、Silver
Pearl S19)(チバエスシー(CIBA SC)製)50gを500mlの水
に分散させた。この懸濁液を75℃に加熱した。水中1%ZrOCl2溶液2.61gを
投薬ポンプを用いて4ml/分で加えた。同様に130mlの水に溶解させた1.30gのAlCl3の溶液を投薬ポンプを用いて4ml/分で加えた。その後水中1%MgCl2・6H2O溶液2.10gを投薬ポンプを用いて4ml/分で加えた。この懸濁液をNa
OH溶液(1%で)でのpHの埋め合わせにより常にpH 3に維持した。この懸濁液をpH 3で30分間維持した。その後懸濁液のpHを1% NaOHでpH 7に上げた。この懸濁液をpH 7で30分間維持した。50mlの水に溶解させた0.5gのCIBA EFKA 8512(100%活性物質)の溶液を加えた。この懸濁液をその後pH 7で60分間維持した。この懸濁液をろ過し;顔料を回収し、水で洗浄しそして120℃のオーブンで一晩乾燥させた。
【0126】
<メチレンブルーテスト>
試料の光触媒作用はメチレンブルーの光崩壊により評価した:5gの水における50mgのエフェクト顔料を1滴のメチレンブルー溶液の存在下、マグネチックスターラーで攪拌し光にさらした。比較試料を準備し、同時に、光を排除した状態で攪拌した。試料の色変化は比較試料に関して半時間毎に(4回)評価した。
【0127】
<抗黄変テスト>
イエローインデックスの決定は、酸化防止剤、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を有する二酸化チタンでコートされた雲母を高密度ポリエチレン(HDPE)ステップチップに配合し、QUVメーターにおいて該ステップチップを紫外線光にさらすことにより行う。発生した黄変はハンターラボスキャンメーター(Hunter LabScan meter)上で測定されるイエローインデックスを得ることで観測した。
【0128】
【表2】

【0129】
【表3】

【0130】
ミルベースとレット ダウンを30:70の割合でよく混合した。二酸化チタンでコートされた雲母0.2gとブレンド9.8gを連続してマグネットスターラーで攪拌した。樹脂/顔料分散液を、湿式フィルムアプリケーターを用いて、レネタ カンパニー(Leneta Company)からのレネタ(Leneta)黒及び白チャート(パネル)上に引き出した。フィルムは30分間フラッシュキャビネットでフラッシュし、その後30分間130℃でオーブンで“焼いた”。
【0131】
水に浸す前に、色、光沢、曇り及びDOIについての全ての初期値を測定した。パネルは横長書式で使用された。裏面に、パネルの底部側から5cmに線が描かれ、この側は水面下になった。
【0132】
試験は2つの異なった条件で実施された:
1. 60℃で16時間
2. 80℃で8時間
【0133】
パネルはアルミニウムポット内のパネルホルダーに置かれた。このポットはその後パネル上に描かれた線(5cmの深さ)まで脱塩水で満たした;各試験のために新鮮な水が使用された。このポットは閉じられ、そして、サーモスタットがふたの穴を通して水中に置かれて、60℃か80℃のいずれかに設定された。一旦前記温度に達したら、時間を計測した。試験サイクルの終了後、装置はスイッチを切られ、そしてパネルは水浴から取り除かれた。水滴はパネルから拭い去られ、そして浸された側で色、光沢、曇り及びDOIを測る前にパネルは室温で2時間維持された。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
リン酸エステル、又はホスホン酸塩がフッ素原子を含まないという条件で、金属酸化物/水酸化物で、そしてその次に前記リン酸エステル、又は前記ホスホン酸塩、又はその塩で処理することにより得られた外層を含む(多重)コートされた小板状基材に基づく顔料。
【請求項2】
(A)小板状基材;
(B)二酸化チタン層;
(C)金属酸化物/水酸化物で、そしてその次にリン酸エステル、又はホスホン酸塩、又はそれらの塩で処理することにより得られた、層(B)上の外層
を含む、請求項1に記載の顔料。
【請求項3】
金属酸化物/水酸化物がシリコン(酸化シリコン、水和酸化シリコン)、アルミニウム、ジルコニウム、マグネシウム、カルシウム、鉄(III)、イットリウム、セリウム、亜鉛及びそれらの組み合わせの酸化物/水酸化物から選ばれる、請求項1又は2に記載の顔料。
【請求項4】
金属酸化物/水酸化物が(多重)コートされた小板状基材の質量に基づき0.1乃至10質量%、好ましくは0.8乃至4質量%の量で存在する、請求項3に記載の顔料。
【請求項5】
リン酸エステルがポリ炭素原子数2乃至4のアルキレングリコールモノエーテルのリン酸エステル(リン酸のエステル)及び/又は、例えば、EFKA−5066、EFKA−5070、EFKA−5207、EFKA−5244、EFKA−6220、EFKA−6225、EFKA−6230、EFKA−8503、EFKA−8510、EFKA−8511、EFKA−8512、EFKA−8530、EFKA−8531、EFKA−8532(チバ スペシャリティ ケミカルズ)、ローダファック(Rhodafac)PA23(ローデア製)、ポリオキシエチレン化アルキルエーテルリン酸塩、及びホスホラン(Phospholan)(登録商標)PE 169(アクゾノーベル)のような、カルボン酸のポリ炭素原子数2乃至4のアルキレン グリコール モノエステルである、請求項3に記載の顔料。
【請求項6】
リン酸エステル、又はホスホン酸塩が、ローダファック(Rhodafac)(登録商標)PA15のようなアルキル又はアルキルアリールリン酸エステル、又はホスホラン(Phospholan)(登録商標)PR221T(アクゾノーベル製)のような、ポリアリールポリエーテルリン酸塩、又はローダファック(Rhodafac)(登録商標)ASI80(ローデア製)のような、アルキルホスホン酸、又は、ビニルホスホン酸及び/又はビニルメチルホスフィン酸と他のモノマー、例えば、アクリル酸、アクリルアミド、及びアルブライテクト(Albritect)(登録商標)CP30(ローデア製)のような酢酸ビニル、とのコポリマーを含む、ポリビニルメチルホスフィン酸の、特にポリビニルホスホン酸の、ポリマーである、請求項1に記載の顔料。
【請求項7】
(a)フレーク状の(真珠)顔料を水中に懸濁し、懸濁液のpHを約3に調節し、その後、シリコン、アルミニウム、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、ジルコニウム、鉄(III)、イットリウム及びセシウムから選ばれた1つ以上の金属塩の水溶液を懸濁液に、アルカリ水溶液でそのpHを一定に保ちながら、加え、そして添加後、そのpHを約7乃至8.5に調節すること、及び
(b)リン酸エステル、又はホスホン酸塩又はその塩の水溶液を攪拌しながら、結果として得られた懸濁液に加え、そして、添加後、その懸濁液をろ過し、水で洗浄し乾燥させること、を特徴とする請求項1に記載の顔料の製造方法。
【請求項8】
ペンキ、ラッカー、印刷用インク、粉体塗料、紙塗料、プラスチック、化粧品、インク、セラミック及びガラスのための釉薬、食品及び薬のための装飾用途、及び安全強化用標識(security−enhancing features)における請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の顔料の使用。
【請求項9】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の顔料を含む、ペンキ、ラッカー、印刷用インク、粉体塗料、紙塗料、プラスチック、化粧品、インク、セラミック及びガラスのための釉薬。


【公表番号】特表2010−511757(P2010−511757A)
【公表日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−539693(P2009−539693)
【出願日】平成19年11月26日(2007.11.26)
【国際出願番号】PCT/EP2007/062780
【国際公開番号】WO2008/068152
【国際公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(396023948)チバ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Holding Inc.
【Fターム(参考)】