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表面ガス採取装置
説明

表面ガス採取装置

【課題】短時間で効率良く表面ガスを採取することのできる表面ガス採取装置を提供する。
【解決手段】表面ガス採取装置1は、円筒状の筒状部材11と、筒状部材11内でその軸方向に移動可能に設けられる可動部材12と、を備え、筒状部材11と、可動部材12と、皮膚表面Saとにより表面ガスの採取室14を構成した。可動部材12を、採取室14の体積を変化させることによりその圧力を変更可能に形成した。そして、採取室14を、可動部材12の移動に伴う体積の減少により、内部のガスが筒状部材11に設けられた導出口21を介して表面ガス貯留室31に導出されるように形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面ガス採取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、生体(主に人体)の皮膚表面等から放出される微量のガス(表面ガス)を採取し、その成分分析を行うことで被測定者の健康状態等を把握することが行われている。こうした表面ガス採取装置として、表面ガスを採取する空間(採取室)の圧力を外気圧と略同じ状態にして採取するもの(例えば、特許文献1参照)と、採取室の圧力を外気圧に比べて低い状態にして採取するもの(例えば、特許文献2参照)とが知られている。そして、特許文献2のように採取室の圧力を外気圧に比べて低くする、すなわち採取室を陰圧にする表面ガス採取装置では、皮膚表面からの表面ガスの放出が促進されることで、短時間で表面ガスを採取することができるといった利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−214747号公報
【特許文献2】特開2005−214855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献2に記載の表面ガス採取装置は、皮膚表面との間で採取室を構成する半球状のチャンバーと、チャンバーに三方活栓等のバルブを介して接続されたシリンダと、シリンダ内に挿入されるピストンとを備えている。この表面ガス採取装置を用いて表面ガスを採取する際には、先ずチャンバーの開口部を皮膚表面に密着させ、予めシリンダ内に充填されたキャリアガスをチャンバーに送出して採取室(チャンバー内)の空気をキャリアガスに置換する。そして、チャンバーからキャリアガスを一定量シリンダ内に戻し、採取室を陰圧にした状態で一定時間保持してから、採取室に放出された表面ガスをシリンダ内に吸引する構成となっている。
【0005】
このように上記特許文献2の構成では、陰圧にした状態の採取室からさらに表面ガスを含む内部のガスをシリンダ内に吸引することで表面ガスを採取するため、採取室に多くの表面ガスが残留し易くなる。したがって、従来の構成では、効率的に表面ガスを採取することができず、この点においてなお改善の余地があった。
【0006】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的は、短時間で効率良く表面ガスを採取することのできる表面ガス採取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、筒状部材と、前記筒状部材内で該筒状部材の軸方向に移動可能に設けられる可動部材と、前記筒状部材及び前記可動部材を含む要素により構成される表面ガスの採取室に設けられ、表面ガスを貯留する表面ガス貯留室を該採取室に接続するための導出口と、前記導出口を介した前記採取室と前記表面ガス貯留室との間のガスの移動を制御する導出口開閉手段と、を備え、前記可動部材は、前記筒状部材内で軸方向に移動して前記採取室の体積を変化させることにより該採取室の圧力を変更可能に形成され、前記採取室は、前記可動部材の移動に伴う体積の減少により、内部のガスが前記導出口から前記表面ガス貯留室に導出されるように形成されたことを特徴とする。
【0008】
前記表面ガス採取装置において、前記導出口開閉手段は、前記採取室側から前記表面ガス貯留室側へのガスの移動を許容する一方、前記表面ガス貯留室側から前記採取室側へのガスの移動を規制するように構成されることが好ましい。
【0009】
前記表面ガス採取装置において、前記採取室のガスを前記表面ガス貯留室に吸引する表面ガス吸引手段を備えることが好ましい。
前記表面ガス採取装置において、前記採取室に設けられ、キャリアガスを貯留するキャリアガス貯留室を該採取室に接続するための導入口と、前記導入口を介した前記採取室と前記キャリアガス貯留室との間のガスの移動を制御する導入口開閉手段とを備えることが好ましい。
【0010】
前記表面ガス採取装置において、前記導入口開閉手段は、前記採取室側から前記キャリアガス貯留室側へのガスの移動を規制する一方、前記キャリアガス貯留室側から前記採取室側へのガスの移動を許容するように構成されることが好ましい。
【0011】
前記表面ガス採取装置において、前記キャリアガス貯留室に貯留されたキャリアガスを前記採取室に送出するキャリアガス送出手段を備えることが好ましい。
前記表面ガス採取装置において、前記採取室の圧力を検出する圧力センサを備えることが好ましい。
【0012】
前記表面ガス採取装置において、時間を計測するタイマを備えることが好ましい。
前記表面ガス採取装置において、前記可動部材を移動させる駆動装置と、前記採取室の圧力を検出する圧力センサ、及び時間を計測するタイマの少なくとも一方と、前記圧力センサ及び前記タイマの少なくとも一方の出力に基づいて前記駆動装置の作動を制御する制御装置と、を備えることが好ましい。
【0013】
前記表面ガス採取装置において、前記採取室は、前記筒状部材と、前記可動部材と、前記筒状部材の一端側の開口部が接触する生体の皮膚とにより構成されることが好ましい。
前記表面ガス採取装置において、前記筒状部材の一端側の開口部を閉塞する蓋部材を備え、前記採取室は、前記筒状部材と、前記可動部材と、前記蓋部材とにより構成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、短時間で効率良く表面ガスを採取することのできる表面ガス採取装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態の表面ガス採取装置の概略構成を示す斜視図。
【図2】第1実施形態の表面ガス採取装置の概略構成を示す断面図。
【図3】(a)〜(c)第1実施形態の表面ガス採取装置による表面ガスの採取動作を示す模式図。
【図4】第2実施形態の表面ガス採取装置における採取ユニットの概略構成を示す断面図。
【図5】第3実施形態の表面ガス採取装置における採取ユニットの概略構成を示す断面図。
【図6】別例の表面ガス採取装置における採取ユニットの概略構成を示す断面図。
【図7】別例の表面ガス採取装置における採取ユニットの概略構成を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態を図面に従って説明する。
図1に示す表面ガス採取装置1は、人体の皮膚表面から放出される表面ガスを直接採取するものである。同図に示すように、表面ガス採取装置1は、被測定者の測定部位(本実施形態では、腕)Sに装着される採取ユニット2と、本体ユニット3とを備えている。採取ユニット2と本体ユニット3とは、ガスの流路となる第1通気管5及び第2通気管6と、制御信号等を伝達するための信号線7とを介して接続されている。
【0017】
採取ユニット2は略円柱状に形成されており、採取ユニット2の外周には帯状に形成された一対のバンド8がそれぞれ固定されている。各バンド8の先端部には、それぞれ面ファスナー9a,9bが設けられている。そして、採取ユニット2は、バンド8により測定部位Sを取り巻いた状態で面ファスナー9a,9b同士を接触させることより、測定部位Sに装着されるようになっている。
【0018】
図2に示すように、採取ユニット2は、両端が開口した円筒状の筒状部材11と、筒状部材11内でその軸方向に移動可能に収容される可動部材12と、可動部材12を移動させる駆動装置13とを備えている。そして、本実施形態では、可動部材12と、筒状部材11と、測定部位Sの皮膚表面Saとによって、皮膚表面Saから放出される表面ガスを採取する採取室14が構成されるようになっている。
【0019】
詳述すると、筒状部材11には、その内外を連通する導出口21及び導入口22が形成されている。なお、本実施形態では、導出口21及び導入口22は、筒状部材11の一端(図2における下端)近傍に形成されている。また、導出口21と導入口22とは、筒状部材11の中心を挟んで互いに対向する位置に形成されている。そして、導出口21には第1通気管5の一端が接続され、導入口22には第2通気管6の一端が接続されている。また、筒状部材11の内周面には、軸方向に延びる一対のレール部23が、導出口21及び導入口22の近傍にそれぞれ形成されている。
【0020】
可動部材12は、筒状部材11内で軸方向に移動して採取室14の体積を変化することにより、内部の圧力を変更可能に形成されている。具体的には、可動部材12は、筒状部材11の内径と略等しい外径を有する円板状に形成されるとともに、可動部材12の外周縁には、各レール部23に嵌合する嵌合凹部24が形成されている。そして、可動部材12の外周面は、その全周に亘って筒状部材11の内周面に密着しており、筒状部材11と可動部材12との間を介したガスの移動が遮断されるように形成されている。これにより、可動部材12の移動に伴って採取室14の圧力が変更されるようになっている。
【0021】
また、可動部材12の板厚は、可動部材12が皮膚表面Saに接触した状態で、第1及び第2通気管5,6を閉塞するような厚みに形成されている(図3(a)参照)。さらに、可動部材12の皮膚表面Saとの対向面には、収容凹部25が形成されており、収容凹部25に採取室14の圧力を検出する圧力センサ26が設けられている。
【0022】
駆動装置13は、筒状部材11の他端(図2における上端)に固定されるモータ27と、モータ27により回転される回転筒28と、回転筒28内に螺合するネジ軸29とを備えている。ネジ軸29は、可動部材12の略中央に固定されている。そして、可動部材12は、モータ27により回転筒28の回転に伴ってネジ軸29が回転筒28から出没することにより、筒状部材11の軸方向に沿って移動するようになっている。
【0023】
本体ユニット3は、採取室14に放出された表面ガスを貯留する表面ガス貯留室31と、採取室14に供給するキャリアガスを貯留するキャリアガス貯留室32と、駆動装置13の作動を制御する制御装置33とを備えている。なお、本実施形態のキャリアガスには、窒素ガス等の不活性ガスが採用されている。また、表面ガス貯留室31及びキャリアガス貯留室32は、それぞれ箱状の容器により構成されている。
【0024】
表面ガス貯留室31には、第1通気管5の他端が接続されており、表面ガス貯留室31は、第1通気管5及び導出口21を介して採取室14に連通されている。そして、第1通気管5の途中には、導出口開閉手段としての第1逆流防止弁35が設けられている。第1逆流防止弁35は、採取室14側から表面ガス貯留室31側へのガスの移動を許容する一方、表面ガス貯留室31側から採取室14側へのガスの移動を規制するように構成されている。
【0025】
また、表面ガス貯留室31には、表面ガス吸引手段としての吸引ポンプ36が接続されている。吸引ポンプ36は、制御装置33によりその動作が制御され、採取室14内部のガスを表面ガス貯留室31に吸引するようになっている。
【0026】
キャリアガス貯留室32には、第2通気管6の他端が接続されており、キャリアガス貯留室32は、第2通気管6及び導入口22を介して採取室14に連通されている。そして、第2通気管6の途中には、導入口開閉手段としての第2逆流防止弁37が設けられている。第2逆流防止弁37は、採取室14側からキャリアガス貯留室32側へのガスの移動を規制する一方、キャリアガス貯留室32側から採取室14側へのガスの移動を許容するように構成されている。
【0027】
また、キャリアガス貯留室32には、キャリアガス送出手段としての送出ポンプ38が接続されている。送出ポンプ38は、制御装置33によりその動作が制御され、キャリアガス貯留室32のキャリアガスを採取室14に送出するようになっている。
【0028】
制御装置33には、信号線7を介して駆動装置13及び圧力センサ26が接続されている。また、制御装置33には、時間を計測するタイマ39が設けられている。そして、制御装置33は、タイマ39及び圧力センサ26の出力に基づいてモータ27を制御することにより、可動部材12を移動させ、自動で表面ガスを採取するようになっている。なお、採取開始時における採取室14の陰圧の程度(目標圧力)及び採取室14を陰圧にした状態で保持する時間(所定時間)は、目的とする表面ガスの種類に応じて予め設定されている。
【0029】
次に、本実施形態の表面ガス採取装置による表面ガスの採取動作について説明する。
図3(a)に示すように、可動部材12を筒状部材11の一端に位置させた状態で、筒状部材11の一端側の開口部11aを皮膚表面Saに密着させるようにして採取ユニット2を測定部位Sに装着する。
【0030】
続いて、例えば被測定者が図示しない開始スイッチを操作することにより、図3(b)に示すように、制御装置33は、駆動装置13を駆動して可動部材12を筒状部材11の他端側に移動させ、採取室14の体積を増加させることより、採取室14を陰圧にする。このとき、制御装置33は、併せて送出ポンプ38を駆動することにより、第2通気管6を介してキャリアガス貯留室32に貯留されたキャリアガスを採取室14に送出する。これにより、採取室14にキャリアガス貯留室32のキャリアガスが導入される。なお、表面ガス貯留室31から採取室14へガスが導入されることは、第1逆流防止弁35によって規制される。そして、制御装置33は、圧力センサ26によって検出される採取室14の圧力値が目標圧力となると、送出ポンプ38を停止し、タイマ39をリセットして採取室14を陰圧とした状態で保持する時間の計測を開始する。なお、本実施形態では、第2通気管6の内径は小さく形成されているため、キャリアガス貯留室32と採取室14との圧力差で導入されるキャリアガスの量は少なく、所定時間は採取室14を陰圧にした状態が保たれるようになっている。
【0031】
続いて、図3(c)に示すように、制御装置33は、タイマ39により計測される時間が所定時間を経過すると、可動部材12を筒状部材11の一端側に移動させ、採取室14の体積を減少させることにより、第1通気管5を介して表面ガスを含む採取室14内部のガスを表面ガス貯留室31に導出する。このとき、制御装置33は、併せて吸引ポンプ36を駆動することにより採取室14に放出された表面ガスを吸引する。なお、採取室14からキャリアガス貯留室32へガスが導出されることは、第2逆流防止弁37によって規制される。そして、制御装置33は、筒状部材11の一端に位置するまで可動部材12を移動させて皮膚表面Saに接触させ、図3(a)に示すように、採取室14の体積を略ゼロとすることで、表面ガスの採取を完了する。
【0032】
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。
(1)表面ガス採取装置1は、筒状部材11と、筒状部材11内でその軸方向に移動可能に設けられる可動部材12と、を備え、筒状部材11と、可動部材12と、皮膚表面Saとにより採取室14を構成した。可動部材12を、採取室14の体積を変化させることによりその圧力を変更可能に形成した。そして、採取室14を、可動部材12の移動に伴う体積の減少により、内部のガスが筒状部材11に設けられた導出口21から表面ガス貯留室31に導出されるように形成した。
【0033】
上記構成によれば、採取室14の体積を増加させるように可動部材12を移動させることで、採取室14が陰圧となり、短時間で表面ガスを採取することができる。そして、採取室14を陰圧にした状態で一定時間保持してから、採取室14の体積が減少するように可動部材12を移動させることにより、導出口21から表面ガスを導出して採取することができる。そのため、上記特許文献2のように採取室に接続されたシリンダ及びピストンで表面ガスを採取する構成では、同シリンダの体積分しか採取できず、採取室に多くの表面ガスが残留するのに対し、上記構成では採取室14に多くの表面ガスが残留することを抑制できる。特に、本実施形態のように、採取室14の体積が略ゼロとなるように可動部材12を移動させることで、採取室14に放出された表面ガスを略残さず表面ガス貯留室31へ導出することができる。これにより、短時間で効率的に皮膚表面Saから放出される表面ガスを採取することができる。
【0034】
(2)導出口21に接続される第1通気管5に設けられた第1逆流防止弁35を、採取室14側から表面ガス貯留室31側へのガスの移動を許容する一方、表面ガス貯留室31側から採取室14側へのガスの移動を規制するように構成した。上記構成によれば、別途導出口21の開閉を制御せずともよく、可動部材12を移動させるのみで、採取室14から表面ガス貯留室31への表面ガスの導出を行うことができる。
【0035】
(3)採取室14に放出された表面ガスを表面ガス貯留室31に吸引する吸引ポンプ36を備えたため、円滑に採取室14から表面ガス貯留室31への表面ガスの導出を行うことができる。
【0036】
(4)採取室14に導入口22を介してキャリアガス貯留室32を接続し、採取室14にキャリアガスを導入するようにした。
ここで、採取する表面ガスの粘性が高い場合には、同表面ガスの採取室14内での分布に偏りが生じる虞がある。一方、表面ガスを濃縮してセンシング(分析)する際には、採取室14から導出される表面ガスの濃度は一様であることが望ましいが、上記のように表面ガスの分布に偏りがあると、導出される表面ガスの濃度にばらつきが生じてしまう。この点、上記構成によれば、採取する表面ガスの粘性が高い場合でも、同表面ガスより粘性の低いキャリアガスを用いることで、表面ガスの採取室14内での分布に偏りが生じることを抑制し、一様な分布とすることができる。これにより、より効率的で精度の良いガスセンシングが可能となる。
【0037】
(5)導入口22に接続される第2通気管6に設けられた第2逆流防止弁37を、採取室14側からキャリアガス貯留室32側へのガスの移動を規制する一方、キャリアガス貯留室32側から採取室14側へのガスの移動を許容するように構成した。上記構成によれば、別途導入口22の開閉を制御せずともよく、可動部材12を移動させるのみで、キャリアガス貯留室32から採取室14へのキャリアガスの導入を行うことができる。
【0038】
(6)キャリアガス貯留室32に貯留されたキャリアガスを採取室14に送出する送出ポンプ38を備えたため、円滑にキャリアガス貯留室32から採取室14へのキャリアガスの導入を行うことができる。
【0039】
(7)表面ガス採取装置1は、可動部材12を移動させる駆動装置13と、採取室14内の圧力を検出する圧力センサ26と、時間を計測するタイマ39と、圧力センサ26及びタイマ39の出力に基づいて駆動装置13の作動を制御する制御装置33とを備えた。上記構成によれば、自動で目的とする表面ガスを採取することができ、作業者の負担を軽減することができる。
【0040】
(第2実施形態)
次に、本発明を具体化した第2実施形態を図面に従って説明する。なお、説明の便宜上、同一の構成については上記第1実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0041】
図4に示すように、可動部材12には、筒状部材11の他端側に突出する把持部41が形成されており、筒状部材11の他端側は外部に開放されている。筒状部材11の外周面には、時間を計測するタイマ42を有する計測器43が固定されている。本実施形態の計測器43は、操作部43a及び表示部43bを有しており、手動でタイマ42の操作が可能であるとともに、タイマ42の計測時間を視認可能に構成されている。また、可動部材12により設けられた圧力センサ26により検出される圧力は、計測器43の表示部43bに表示される。なお、本実施形態では、吸引ポンプ36及び送出ポンプ38(図4では図示略)は、手動で操作可能となっている。
【0042】
このように構成された表面ガス採取装置1では、採取ユニット2を測定部位Sに装着した後、上記第1実施形態と同様の手順で、例えば被測定者が把持部41を持って可動部材12を移動させることにより、表面ガスを採取する。
【0043】
以上記述したように、本実施形態によれば、上記第1実施形態の(1)〜(6)の作用効果に加え、以下の作用効果を奏することができる。
(8)可動部材12に把持部41を設け、可動部材12を手動で移動させるようにしたため、簡易な構成で表面ガスを採取することができる。
【0044】
(9)採取室14の圧力を検出する圧力センサ26を備えたため、採取室14の圧力を目的とする表面ガスの種類等に応じた値に精度良く調整することができる。
(10)タイマ42を備えたため、容易に目的とする表面ガスの種類や必要とする表面ガスの量等に応じた時間だけ採取室14を陰圧にして表面ガスを採取することができる。
【0045】
(第3実施形態)
次に、本発明を具体化した第3実施形態を図面に従って説明する。なお、説明の便宜上、同一の構成については上記第1実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0046】
図5に示す表面ガス採取装置1は、被測定者に着用された衣服等の採取対象物から表面ガスを採取するものである。表面ガス採取装置1は、筒状部材11の一端側の開口部11aを閉塞する蓋部材51を備えている。そして、本実施形態では、可動部材12と、筒状部材11と、蓋部材51とによって、採取室14が構成されるようになっている。
【0047】
蓋部材51は、筒状部材11の外径と略等しい外径を有する円板状に形成されており、その外周縁の一箇所が蝶番52を介して筒状部材11に回動可能に連結されている。また、蓋部材51の外周縁における蝶番52と対向する位置には、係合爪53が形成されている。一方、筒状部材11の外周面には、係合爪53が係合する係合突起54が形成されている。そして、係合爪53を係合突起54に係合させることにより、開口部11aを閉塞した状態で蓋部材51の位置が固定(ロック)されるようになっている。また、蓋部材51は、係合爪53が係合突起54に係合した状態で、開口部11aと蓋部材51との間を介したガスの移動が遮断されるように形成されている。
【0048】
このように構成された表面ガス採取装置1では、筒状部材11の開口部11aを開いて採取室14内部に採取対象物Wを入れた後、開口部11aを蓋部材51によって閉塞する。そして、例えば使用者が図示しない開始スイッチを操作することにより、上記第1実施形態と同様の手順で、制御装置33が駆動装置13によって可動部材12を移動させることで表面ガスを採取する。これにより、短時間で効率的に被測定者の皮膚表面Saから放出した表面ガスを間接的に採取することができる。
【0049】
以上記述したように、本実施形態によれば、上記第1実施形態の作用効果と同様の作用効果を奏することができる。
なお、上記各実施形態は、これを適宜変更した以下の態様にて実施することもできる。
【0050】
・上記第1実施形態では、筒状部材11に導出口21及び導入口22を設けたが、これに限らず、可動部材12に導出口21及び導入口22の少なくとも一方を設けてもよい。具体的には、例えば図6に示すように、可動部材12に導出口21を形成し、筒状部材11に導入口22を形成してもよい。同様に、上記第2及び第3実施形態において、可動部材12又は蓋部材51に導出口21及び導入口22の少なくとも一方を設けてもよい。
【0051】
・上記第1実施形態では、採取室14にキャリアガス貯留室32を接続したが、これに限らず、例えば図7に示すように、採取室14に表面ガス貯留室31のみが接続される構成としてもよい。同様に、上記第2及び第3実施形態において、採取室14に表面ガス貯留室31のみが接続される構成としてもよい。なお、この構成では、採取室14内部が空気で充填された状態で表面ガスを放出させ、同表面ガスを空気とともに表面ガス貯留室31に導出させることになる。
【0052】
・上記第3実施形態では、可動部材12を駆動装置13により移動させたが、これに限らず、可動部材12に把持部を設け、上記第2実施形態のように手動で移動させるようにしてもよい。
【0053】
・上記各実施形態では、表面ガス採取装置1は表面ガス貯留室31に接続される吸引ポンプ36、及びキャリアガス貯留室32に接続される送出ポンプ38を備えたが、吸引ポンプ36及び送出ポンプ38のいずれか一方のみを備える構成としてもよい。また、表面ガス採取装置1は、吸引ポンプ36及び送出ポンプ38を備えなくてもよい。
【0054】
・上記第1及び第3実施形態では、表面ガス採取装置1は、圧力センサ26及びタイマ39を備えたが、これに限らず、圧力センサ26及びタイマ39のいずれか一方のみを備える構成としてもよい。また、表面ガス採取装置1は、圧力センサ26及びタイマ39を備えなくてもよい。同様に、上記第2実施形態において、表面ガス採取装置1は、圧力センサ26及び計測器43のいずれか一方のみを備える構成としてもよく、また、圧力センサ26及び計測器43を備えなくともよい。
【0055】
・上記各実施形態では、吸引ポンプ36により、採取室14のガスを表面ガス貯留室31に吸引する表面ガス吸引手段として構成したが、これに限らず、例えばシリンダ及びピストン等により表面ガス吸引手段を構成してもよい。同様に、キャリアガス送出手段を例えばシリンダ及びピストン等により構成してもよい。
【0056】
・上記第1及び第3実施形態では、駆動装置13をモータ27と、回転筒28と、ネジ軸29とにより構成したが、これに限らず、例えば駆動装置13をリニアモータにより構成し、可動部材12を筒状部材11の軸方向に直接移動させるようにしてもよい。
【0057】
・上記各実施形態では、導出口開閉手段及び導入口開閉手段を第1及び第2逆流防止弁35,37により構成した。しかし、これに限らず、例えば導出口開閉手段を、採取室14の圧力が所定圧力以上となった場合に、表面ガス貯留室31へのガスの導出を許容する圧力制御弁(リリーフ弁)として構成してもよい。また、例えば導入口開閉手段を、採取室14の圧力が所定圧力以下となった場合にキャリアガスの導入を許容する圧力制御弁として構成してもよい。このように構成しても、可動部材12を移動させることで、別途導出口21及び導入口22の開閉を制御せずに、採取室14からの表面ガスの導出及び採取室14へのキャリアガスの導入を行うことができる。
【0058】
また、制御装置33から制御信号を受けて開閉する電磁弁や、被測定者等により操作されるマニュアル弁により導出口開閉手段及び導入口開閉手段を構成してもよい。
・上記各実施形態では、可動部材12の板厚を、可動部材12が皮膚表面Saに接触した状態で第1及び第2通気管5,6を閉塞するような厚みに形成した。しかし、これに限らず、可動部材12の板厚を可動部材12が皮膚表面Saに接触した状態で、第1及び第2通気管5,6が開口するような厚みに形成してもよい。
【0059】
・上記各実施形態において、筒状部材11と可動部材12との間にOリング等のシール部材を介在させてもよい。また、上記第3実施形態において、筒状部材11と蓋部材51との間にOリング等のシール部材を介在させてもよい。
【0060】
・上記各実施形態では、筒状部材11にレール部23を形成し、可動部材12に嵌合凹部24を形成したが、これに限らず、レール部23及び嵌合凹部24を形成しなくてもよい。
【0061】
・上記第2実施形態では、蓋部材51を筒状部材11に対して蝶番52を介して回動可能に設けたが、これに限らず、筒状部材11の一端側の開口部11aを閉塞できればよく、例えば蓋部材51が筒状部材11の一端に螺着される構成としてもよい。
【0062】
・上記各実施形態では、筒状部材11と可動部材12との間を介したガスの移動が遮断されるように可動部材12を形成したが、採取室14を陰圧にした状態を所定時間保持することができれば、僅かなガスの移動は許容されるようにしてもよい。
【0063】
・上記各実施形態では、採取室14内部の表面ガスを表面ガス貯留室31に導出する際に、可動部材12が筒状部材11の一端に位置するまで移動させたが、これに限らず、筒状部材11の途中で止めてもよい。
【0064】
・上記第1及び第2実施形態では、採取ユニット2を腕に装着したが、これに限らず、足や腹部等の他の部位に装着して表面ガスを採取してもよい。また、人体の皮膚表面から放出される表面ガスに限らず、他の動物の皮膚表面から放出される表面ガスを採取するようにしてもよい。また、例えば収穫された野菜の外皮表面等から放出される表面ガスを採取するようにしてもよい。なお、この場合には、筒状部材11と、可動部材12と、野菜の外皮表面とにより採取室14が構成される。
【符号の説明】
【0065】
1…表面ガス採取装置、2…採取ユニット、3…本体ユニット、11…筒状部材、11a…開口部、12…可動部材、13…駆動装置、14…採取室、21…導出口、22…導入口、26…圧力センサ、31…表面ガス貯留室、32…キャリアガス貯留室、33…制御装置、35…導出口開閉手段としての第1逆流防止弁、36…表面ガス吸引手段としての吸引ポンプ、37…導入口開閉手段としての第2逆流防止弁、38…キャリアガス送出手段としての送出ポンプ、41…把持部、39,42…タイマ、43…計測器、51…蓋部材、S…測定部位、Sa…皮膚表面、W…測定対象物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状部材と、
前記筒状部材内で該筒状部材の軸方向に移動可能に設けられる可動部材と、
前記筒状部材及び前記可動部材を含む要素により構成される表面ガスの採取室に設けられ、表面ガスを貯留する表面ガス貯留室を該採取室に接続するための導出口と、
前記導出口を介した前記採取室と前記表面ガス貯留室との間のガスの移動を制御する導出口開閉手段と、を備え、
前記可動部材は、前記筒状部材内で軸方向に移動して前記採取室の体積を変化させることにより該採取室の圧力を変更可能に形成され、
前記採取室は、前記可動部材の移動に伴う体積の減少により、内部のガスが前記導出口から前記表面ガス貯留室に導出されるように形成されたことを特徴とする表面ガス採取装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表面ガス採取装置において、
前記導出口開閉手段は、前記採取室側から前記表面ガス貯留室側へのガスの移動を許容する一方、前記表面ガス貯留室側から前記採取室側へのガスの移動を規制するように構成されたことを特徴とする表面ガス採取装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の表面ガス採取装置において、
前記採取室のガスを前記表面ガス貯留室に吸引する表面ガス吸引手段を備えたことを特徴とする表面ガス採取装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の表面ガス採取装置において、
前記採取室に設けられ、キャリアガスを貯留するキャリアガス貯留室を該採取室に接続するための導入口と、
前記導入口を介した前記採取室と前記キャリアガス貯留室との間のガスの移動を制御する導入口開閉手段とを備えたことを特徴とする表面ガス採取装置。
【請求項5】
請求項4に記載の表面ガス採取装置において、
前記導入口開閉手段は、前記採取室側から前記キャリアガス貯留室側へのガスの移動を規制する一方、前記キャリアガス貯留室側から前記採取室側へのガスの移動を許容するように構成されたことを特徴とする表面ガス採取装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の表面ガス採取装置において、
前記キャリアガス貯留室に貯留されたキャリアガスを前記採取室に送出するキャリアガス送出手段を備えたことを特徴とする表面ガス採取装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の表面ガス採取装置において、
前記採取室の圧力を検出する圧力センサを備えたことを特徴とする表面ガス採取装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の表面ガス採取装置において、
時間を計測するタイマを備えたことを特徴とする表面ガス採取装置。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の表面ガス採取装置において、
前記可動部材を移動させる駆動装置と、
前記採取室の圧力を検出する圧力センサ、及び時間を計測するタイマの少なくとも一方と、
前記圧力センサ及び前記タイマの少なくとも一方の出力に基づいて前記駆動装置の作動を制御する制御装置と、を備えたことを特徴とする表面ガス採取装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の表面ガス採取装置において、
前記採取室は、前記筒状部材と、前記可動部材と、前記筒状部材の一端側の開口部が接触する生体の皮膚とにより構成されることを特徴とする表面ガス採取装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の表面ガス採取装置において、
前記筒状部材の一端側の開口部を閉塞する蓋部材を備え、
前記採取室は、前記筒状部材と、前記可動部材と、前記蓋部材とにより構成されることを特徴とする表面ガス採取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−50424(P2013−50424A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189751(P2011−189751)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】