表面プラズモン共鳴センサシステム
【課題】
表面プラズモン共鳴センサシステムを提供する。
【解決手段】
本発明は表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance:SPR)センサシステムに関し、第一光を発生する光源部、前記第一光を偏光させる偏光部、前記偏光された第一光を反射してディスク状の第二光として発散させる回転ミラー、前記回転ミラーに隣接するように配置されて前記第二光の一部を通過させる遮蔽膜、前記遮蔽膜を通過した第二光の一部を集束する複数個のシリンダレンズ、前記集束された第二光を第三光として反射するセンサチップ、及び前記第三光を感知する受光部を含む。前記回転ミラーは平板型で形成され、中心軸を基準として回転し、平板型基板及び前記基板の少なくとも一面に蒸着された金属層を含む。前記センサチップは、プリズム及び前記プリズムの一面に形成される金属薄膜を含む。
表面プラズモン共鳴センサシステムを提供する。
【解決手段】
本発明は表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance:SPR)センサシステムに関し、第一光を発生する光源部、前記第一光を偏光させる偏光部、前記偏光された第一光を反射してディスク状の第二光として発散させる回転ミラー、前記回転ミラーに隣接するように配置されて前記第二光の一部を通過させる遮蔽膜、前記遮蔽膜を通過した第二光の一部を集束する複数個のシリンダレンズ、前記集束された第二光を第三光として反射するセンサチップ、及び前記第三光を感知する受光部を含む。前記回転ミラーは平板型で形成され、中心軸を基準として回転し、平板型基板及び前記基板の少なくとも一面に蒸着された金属層を含む。前記センサチップは、プリズム及び前記プリズムの一面に形成される金属薄膜を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表面プラズモン共鳴センサシステムに関し、より詳細には回転ミラーが装着された表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance:SPR)センサシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
表面プラズモン(Surface Plasmon)というのは、導体表面、所謂、金属薄膜の表面に沿って伝播する自由電子の量子化された振動である。このような表面プラズモンは、プリズムのような誘電体(Dielectric medium)を介してプリズムの臨界角以上の角度で金属薄膜に入射する入射光によって励起されて、共鳴を起こし、この現象を表面プラズモン共鳴という。SPRが起きる入射光の入射角、即ち、共鳴角は金属薄膜に近接した物質の屈折率変化に非常に敏感である。SPRセンサは、このような性質を利用して金属薄膜に近接した物質、即ち、試料の屈折率変化から試料の定量分析及び定性分析と、薄膜である試料の厚さの測定とに利用される。
【0003】
既存のSPRバイオセンサは、光の波数ベクトル(wave vector)或いは運動量を増加させて、表面プラズモンを励起させるために、入射光を高屈折率の透明誘電体であるプリズムを通過させて、金属薄膜で反射する構成、所謂、Kretschmann−Raether構成に従っている。SPRバイオセンサは、光源にて発生した短波長の入射光を、偏光器によって偏光させて、プリズムに入射させる際に、駆動部によって前記光源を動かして、入射角度を変化させることによって、金属薄膜上に存在する誘電物質による有効屈折率或いは有効厚さの変化をSPR角度の変化として測定する。
【0004】
上述のSPRセンサシステムでは光源としてレーザ、または、フォトダイオードのような点受光部(point detector)を使い、前記光源を調節するために振動ミラーを使うか、または、回転ミラーを利用する方式は公知になっている。特に、前記回転ミラーを利用する方式の場合、本願の共同出願人に付与された特許文献1において、その技術がよく説明されている。前記回転ミラーを利用する方式によると、反射した光源の干渉現象が最小化され、前記反射したレーザの光強度の均一度が向上する。
【0005】
図1は従来のSPRセンサシステムの回転ミラーを概略的に図示した斜視図である。図2は図1の回転ミラーで光が屈折する態様を示すための模式図である。図3は図1の回転ミラーで光が屈折される別の態様を示すための模式図である。
【0006】
図1を参照すると、前記回転ミラー900の構成は、1つのプリズム910の平面に金属コーティング930を施した後、2つのプリズム910、920を互いにあわせて接着して製造される。前記2つの半円筒型プリズムを接着させるためには、液体状態のUVエポキシなどの接着剤を使う。
【0007】
図2を参照すると、前記回転ミラーに入射された光は、前記プリズム上の金属コーティングで反射する過程で、前記接着剤940を通過するため、前記プリズム及び接着剤の屈折率の差によって微細な屈折及び反射が起きて、表面プラズモン共鳴現象が発生する金属薄膜の正確な位置上に前記光源を照射することが難しい。これによって、テスト試料測定結果の精度が落ちるという問題点が発生する。
【0008】
図3を参照すると、前記回転ミラーの製造時、2つのプリズムを接着剤940によって接着する過程で、接着剤が均等に分布されなかったり、または、局部的な硬化の差によって、前記2つのプリズムの断面が互いに平行に結合されなかったりする場合が発生する。ひいては、前記回転ミラーの反射面が底面と垂直を成すことができなくなり、同様に表面プラズモン共鳴現象が発生する金属薄膜の正確な位置上に前記光源を照射することが難しくなるという問題がある。
【0009】
また、従来の回転ミラーを利用した方式においては、前記回転ミラーが回転している際に、前記回転ミラーに入射された光は、円形状、即ち、ディスク状の光で反射することになる。この場合に、上述のように、広がる光によって隣接した受光部に受光される光との干渉現象が起きることになり、ひいては、前記受光部が表面プラズモン共鳴吸収による波長の変化を正確に測定し難いという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】韓国登録特許第10−0876608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上述のような従来の問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、平板型の回転ミラーが装着された表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance:SPR)センサシステムを提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、距離調節が可能なテスト試料提供部を備えるSPRセンサシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した本発明の目的を達成するために本発明に係る表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance:SPR)センサシステムは、第一光を発生する光源部、前記第一光を偏光させる偏光部、前記偏光された第一光を反射してディスク状の第二光として発散させる回転ミラー、前記回転ミラーに隣接するように配置されて前記第二光の一部を通過させる遮蔽膜、前記遮蔽膜を通過した第二光の一部を集束する複数個のシリンダレンズ、前記集束された第二光を第三光として反射するセンサチップ、及び前記第三光を感知する受光部を備える。前記回転ミラーは平板型で形成され、中心軸を基準として回転し、平板型基板及び前記基板の少なくとも一面に蒸着された金属層を含む。前記センサチップは、プリズム及び前記プリズムの一面に形成される金属薄膜を含む。
【0014】
本発明の一実施形態において、前記ミラーの厚さは0.5mm〜2mmであり得る。
本発明の一実施形態において、前記ミラーは前記ミラーの中心軸と同じ軸の周りに回転する回転板に固定され、前記回転板の上部面には、前記回転板の中心軸を通る溝が形成され、前記回転ミラーは前記溝に装着できる。
【0015】
本発明の一実施形態において、前記回転板は、円柱または多角柱状であり得る。
本発明の一実施形態において、前記回転板の上部面に形成された溝は、前記回転板の中心軸を交差する十字形状を有することができる。
【0016】
本発明の一実施形態において、前記回転ミラーの横及び縦の各長さは5mm〜20mmであり、前記回転板の直径は8mm〜23mmであり得る。
本発明の一実施形態において、前記光源部はガスレーザ(gas laser)またはレーザダイオード(laser diode)であり得る。
【0017】
本発明の一実施形態において、前記光源部から発生する第一光の断面は点(dot)または線(line)の形状であり得る。
本発明の一実施形態において、前記偏光部は前記第一光をTMモード(Transverse Magnetic mode)に変化させることができる。
【0018】
本発明の一実施形態において、前記回転ミラーの回転速度は1500rpm〜10000rpmであり得る。
本発明の一実施形態において、前記シリンダレンズは、各々の半円筒型の2つのシリンダレンズであり、前記レンズの凸部が互いに対向するように配置することができる。
【0019】
本発明の一実施形態において、前記受光部はイメージディテクタ(detector)用受光部でありうる。
本発明の一実施形態は、前記センサチップに密着して、テスト用試料が提供される試料提供部をさらに含むことができる。
【0020】
本発明の一実施形態において、前記試料提供部は前記試料が通過する貫通路が形成された本体部、弾性材質を有し、前記本体部で前記センサチップと対向する一面に形成されて前記センサチップに密着されるパッド部及び前記本体部で前記パッド部が形成された面と逆の面に形成される調節部を含むことができる。前記調節部は前記パッド部を前記センサチップに密着または隔離させることができる。
【0021】
本発明の一実施形態において、前記パッド部には互いに平行した複数個の貫通孔が形成されることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る表面プラズモン共鳴センサシステムは、平板型の回転ミラーを利用することによって、入射光源が回転ミラーで反射する時、屈折率の変化による入射角及び反射角の変化を防止して精密な測定システムを提供することができる。また、テスト試料提供部に距離調節が可能な調節部を追加することによって、試料提供部をセンサチップに容易に密着させることができ、前記センサチップの着脱が容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】従来の表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resona nce:SPR)センサシステムの回転ミラーを概略的に示した斜視図である。
【図2】図1の回転ミラーで光が屈折される態様を示すための模式図である。
【図3】図1の回転ミラーで光が屈折される別の態様を示すための模式図である。
【図4】本発明に係る表面プラズモン共鳴システムを概略的に示した模式図である。
【図5】図4の表面プラズモン共鳴システムの回転ミラーを示した斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る図4の表面プラズモン共鳴システムの回転板を示した斜視図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係る表面プラズモン共鳴システムの回転板を示した斜視図である。
【図8】本発明のさらなる他の実施形態に係るプラズモン共鳴システムの回転板を示した斜視図である。
【図9】図4の表面プラズモン共鳴システムの試料提供部を示した模式図である。
【図10】図9の試料提供部を示した正面模式図である。
【図11】図9の試料提供部のパッドを示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら、本発明をより詳細に説明する。本発明は多様な変更を加えることができ、様々な形態を有することができるため、特定の実施形態のみを図面に例示し、本明細書において詳細に説明する。しかし、本発明は特定の実施形態に限定されるものではなく、本開示は、本発明の思想及び権利範囲に含まれる全ての変更物、均等物ないしは代替物を含むものである。
【0025】
各図面の説明では、類似する構成要素に対して、同じ参照符号を使用した。図面における構造物の寸法は、本発明を明確にするために、実際の縮尺で図示されているとは限らない。
【0026】
第1、第2などの用語は多様な構成を説明するために使用されることができるが、構成要素はこれらの用語によって限定されてはいけない。これらの用語は1つの構成要素を別の構成要素から区別する目的でのみ使用される。例えば、本発明の権利範囲内で、第1構成要素は第2構成要素として参照されることができ、同様に第2構成要素も第1構成要素として参照されることができる。単数の表現は文脈上において明白に別のことを意味しない限り、複数の表現を含んで良い。
【0027】
本明細書において、「含む」または「有する」などの用語は明細書に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部分品、またはこれらを組み合わせたものが存在することを示すものであり、1つまたはそれ以上の別の特徴、数字、段階、動作、構成要素、部分品、またはこれらを組み合わせたものの存在あるいは付加可能性を排除するものではない。
【0028】
図4は本発明に係る表面プラズモン共鳴システム(Surface Plasmon Resonance:SPR)を概略的に示した模式図である。
図4を参照すると、本発明の一実施形態に係るSPRセンサシステムは光源部100、回転ミラー200、遮蔽膜300、シリンダレンズ400、センサチップ500、受光部600、及び試料提供部700を含む。
【0029】
前記光源部100は前記回転ミラー200に入射される第一光120を発生させる。第一光120を発生する光源部100としては、例えば、レーザダイオード、ガスレーザなどのようなレーザを使うことができる。前記光源部100から発振されるレーザの断面形態は、点(dot)または線(line)の形態であることが望ましいが、これに限定されるものではない。また、前記センサチップ500で発生する表面プラズモン共鳴現象に最適化されるように400〜900nmの波長を有するレーザを使うことが望ましいが、これはレーザの波長が400nm未満の場合には、表面プラズモン共鳴現象が良好に発生せず、900nmを超過する場合に、受光部600のイメージ獲得が困難となり、試料を分析することに問題が生じるためである。
【0030】
前記光源部100は、偏光部110をさらに含むことができる。前記センサチップ500で発生する表面プラズモンは、前記第一光成分のうち入射面に対して平行な成分、即ち、TM偏光(Transverse Magnetic polarized light)成分のみで励起されるため、前記光源部100から発振されるレーザをTM偏光に変換する偏光部110を使ってTMモード(Transverse Magnetic mode)に変化させることが望ましい。
【0031】
図5は図4の表面プラズモン共鳴システムの回転ミラーを示した斜視図である。
図3及び図4を参照すると、前記回転ミラー200は、前記光源部100から発振された第一光を反射して、前記センサチップ500に照射するようにする。前記回転ミラー200は一定速度で回転して、前記第一光を円形状に反射する。即ち、前記第一光をディスク状の第二光240として生成することを特徴とする。前記光源部100から発振された第一光が前記回転ミラー200で反射して、前記ディスク状の第二光240として生成されるためには、秒当たり24フレーム(frame)、即ち、約1500rpm以上の速度で回転することが望ましいが、10000rpmを超過すると、高速回転によって発生する振動などの不安定性が生じるという問題点があるため、前記回転ミラー200の回転速度は1500rpm〜10000rpmであることが望ましい。
【0032】
前記回転ミラー200は四角形の平板型を有する。前記回転ミラーは、前記回転ミラーの本体を構成する薄い四角形のガラス板210の両面に金属220を蒸着して形成する。前記金属は前記ガラス板に、全体的にその厚さが均一になるように蒸着される。前記ガラス板210の両面に金属を蒸着することによって、前記光源部から発振された光をすべての角度で反射することができる。前記蒸着された金属220としては、一般的なミラーに使われる銀、アルミニウム、クロム、ニッケルなどを使うことができる。本実施形態においては、前記ガラス板210の両面に金属を蒸着させて、前記回転ミラーを形成したが、これと異なって前記ガラス板210の一面のみに金属を蒸着させて、前記回転ミラーを形成することもできる。前記ガラス板の一面のみに金属を蒸着する場合には、金属が蒸着された前記ガラス板の一面のみで光の反射が起きるので、これによって前記回転ミラーの回転速度も変更しなければならない。即ち、前記ガラス板の一面のみに金属が蒸着された回転ミラーの回転速度は、前記ガラス板の両面に金属を蒸着した場合の約2倍になるように調整する。
【0033】
前記ガラス板に蒸着される金属層は、全体的にその厚さが均一であり、前記金属層から形成される反射面は前記ガラス板の一面と実質的に平行である。従って、前記光源部から発振された光をすべての角度で均一に反射することができ、それにより前記センサチップへの安定した光の照射が可能になる。
【0034】
また、図1〜図3を参照すると、従来の回転ミラーは、2つの半円筒型のプリズムのうち、いずれか1つのプリズム平面に金属コーティングを施した後、2つのプリズムを互いに合わせて接着して製造されていた。従来の回転ミラーは、前記接着剤として液体状態のUVエポキシなどを用いたが、前記回転ミラーに照射された光が前記接着剤を透過して反射する構造であった。しかし、前記接着剤の屈折率は、空気またはその他の材料の屈折率と相異するため、前記回転ミラーで光が反射する過程において、光の屈折が起きることになる。このような光の屈折のために、前記センサチップへの安定した光の照射が難しくなり、ひいては、受光部で表面プラズモン共鳴角の正確な測定が不安定になりうる。また、前記接着剤が不均一に塗布された場合、前記光を反射する反射面が前記プリズムの平面に対して完全に平行にならないという結果が発生し得る。
【0035】
それに対して、本実施形態に係る回転ミラー200は、別途の接着剤を使わずに、薄いガラス板210の両面に金属220を蒸着して製造するため、入射光または反射光の屈折現象がなく前記入射光の正確な調節が可能である。また、前記接着剤の不均一な塗布によって反射面が傾く現象を防止することができる。
【0036】
前記回転ミラー200は前記第一光、例えば、レーザビームを完全反射できる材料を利用して製造することができる。前記回転ミラー200の大きさは、前記レーザビームを受ける程度の大きさとして、横5mm〜20mm及び縦5mm〜20mmの範囲が望ましい。前記回転ミラー200の回転時の不安定性を最小にするとともに、回転ミラー200を前記回転板230上に安定に装着し、かつ光を効率的に反射するために、回転ミラー200の厚さは、約0.5mm〜2mmの範囲にあることが望ましい。
【0037】
図6は本発明の一実施形態に係る図3の表面プラズモン共鳴システムの回転板を示した斜視図である。
図4〜図6を参照すると、前記回転ミラー200は回転板230の上部に装着される。前記回転板230は円柱状で形成され、前記回転板下部に設けられたモータ(図示せず)に連結され、前記モータの回転軸と前記回転板230の回転軸が一致するように配置される。前記回転ミラー200は薄い板状を有するため、前記回転ミラーの回転軸を前記モータの回転軸と一致させることが難しく、前記回転ミラーの回転時に多少不安定になるが、回転ミラーを前記別に形成された回転板230上に配置することによって安定に回転させることができる。前記回転ミラー200と前記回転板230はそれぞれの回転軸を一致させてUVエポキシのような接着剤で連結することができ、あるいは、前記回転板の上部面に前記回転板の中心を通る溝を形成して前記回転ミラーを挟むことによって連結することもできる。従って、前記モータの動力を利用して、前記回転板と結合された前記平板型回転ミラー200を所望の速度で回転させることができる。
【0038】
前記回転板230の直径は、前記回転ミラーを回転板230に安定に固定できるように、前記回転ミラーの横幅より大きく形成される。回転板230の直径は、前記回転ミラーの大きさによって適切に変形されることができ、一般的に8mm〜23mmの範囲が望ましい。
【0039】
図7は本発明の他の実施形態に係る表面プラズモン共鳴システムの回転板を示した斜視図である。前記回転板250は、前記回転板の上部面に前記回転板の中心を通って交差する十字形状の溝が形成されることを除いては、図6を参照して説明した回転板と実質的に同一であるため、説明を省略する。
【0040】
図7を参照すると、前記回転板250の上部面には前記回転板の中心を通る2つの溝が十字形状で交差して形成される。前記溝の幅は前記回転ミラーの厚さに対応するように構成され、前記回転ミラーは前記2つの溝のうちいずれか1つに装着される。前記回転板は、上部面に互いに交差する2つの溝を形成することによって、前記回転板の回転軸の位置をより正確に判断でき、前記回転ミラーの回転軸をより正確且つ容易に前記モータの回転軸と一致させることができる。本実施形態では前記回転板の上部面に互いに十字形状で交差する2つの溝を形成したが、これに限定されるものではない。十字形状の溝の代わりに、前記回転板の上部面に前記回転板の中心を交差する複数個の溝を形成して、前記回転ミラーが装着されることもできる。
【0041】
図8は本発明のさらなる他の実施形態に係る表面プラズモン共鳴システムを示した斜視図である。前記回転板260が多角柱の形態で形成することを除いては図6を参照して説明した回転板と実質的に同一であるため、繰り返される説明はこれを省略する。
【0042】
図8を参照すれば、前記回転板260は多角柱の形態を有することができる。例えば、前記回転板は六角柱の形態を有することができる。前記回転板の形態は前記SPRセンサシステムの配置構造に従って適切に変更することができ、これで前記回転ミラーの回転をより安定にすることができ、また、前記SPRセンサシステムの様々な構成要素をより効率的に配置することができる。
【0043】
また、図4及び図5を参照すると、前記光源部100から発振される直進性を有する実線形態の第一光を、1500rpm〜10000rpmの速度で回転する前記回転ミラー200の中心で反射した後、その反射光を肉眼、または、一般的な低価の相補型金属酸化物半導体(Complementary Metal Oxide Semiconductor:CMOS)、電荷結合素子(Charge Coupled Device:CCD)などで観察すれば、平均的に前記回転ミラー面の反射地点を中心として発散されるディスク状の第二光240が生成される。
【0044】
前記遮蔽膜300は、前記回転ミラー200と前記シリンダレンズ400との間に配置される。前記遮蔽膜300は、回転ミラー200で反射した前記ディスク状の第二光240の一部、即ち、扇形のレーザビーム310のみを通過させることのできるスリット(slit)の形態であり、前記回転ミラー200の中心から適当な距離に位置することが望ましいが、この場合、前記遮蔽膜300は回転ミラー200の中心軸に近いほどセンサ全体の大きさを小さくできるという長所がある。また、前記遮蔽膜300のスリット間隔は、扇形のレーザビームの挟角が約10゜以内になるように、即ち、前記センサチップ500の1地点に集束された光ビームの入射角であるθb−θaが10゜以内になるように設置することが望ましいが、これは大部分の試料が前記θb−θaが10゜以内の場合、検出可能であり、また、θb−θaが10゜を超過する場合に、解像度が落ちる問題があるためである。
【0045】
前記遮蔽膜300の側面には防止ブロック320が配置できる。前記防止ブロックは光の透過を防止するように作用する。前記回転ミラー200で反射した前記ディスク状の第二光240は、前記SPRセンサシステム内部全体に広がる。前記第二光の一部は前記遮蔽膜300を通過して前記扇形の光ビーム310に変形されるが、残りの光は前記SPRセンサシステム内部に全般的に広がることになり、乱反射及び他の光との干渉を起こすことになる。特に以後に詳細に説明する受光部600は前記センサチップ500で反射する第三光610を感知して、SPRによる波長の変化を測定するが、前記回転ミラーから広がる第二光240と前記第三光610との間で干渉現象が発生し得る。特に、本実施形態に係るSPRセンサシステムは、その制限された大きさの中で各構成要素が互いに隣接して配置されるため、前記干渉現象の発生の可能性がさらに大きくなる。このような干渉現象によって、前記受光部で前記SPRによる波長の変化を精密に測定することが難しいという問題が発生する。従って、前記防止ブロック320は前記回転ミラーと前記受光部600との間に適切に配置され、前記受光部600に受光される第三光が他の光によって干渉される現象を防止でき、ひいては、テスト試料測定結果の精度を高めることができる。
【0046】
前記シリンダレンズ400は複数個のシリンダレンズを並べて配置して、形成される。前記複数個のシリンダレンズは、前記遮蔽膜とセンサチップとの間に適切に配置され、前記遮蔽膜300のスリットを通過した扇形の光である光ビーム310を通過させるとともに、表面プラズモン共鳴を発生させる前記センサチップ500の1地点に前記光ビームを集束させるように作用する。本実施形態では、2つのシリンダレンズが互いに対向するように配置されたが、これに限定されるものではない。本実施形態における前記シリンダレンズ400は、2つのシリンダレンズを互いに対向するように配置して形成される。前記2つのシリンダレンズは前記レンズの凸部が互いに対向するように配置される。上述した通りに2つのシリンダレンズが互いに対向するように配置されることによって、透過される光の透過率を高めて、前記光の密集度を高めることができる。また、1つの両面凸レンズを使う場合より光の透過率をさらに高めることができる。前記シリンダレンズ400は、前記遮蔽膜300とセンサチップ500との間に配置され、前記遮蔽膜300のスリットを通過した扇形の光である光ビーム310を通過させて、表面プラズモン共鳴を発生させる前記センサチップ500の1地点、即ち、前記センサチップ500軸の中心となる地点に前記光ビームを集束させるように作用する。
【0047】
前記センサチップ500はプリズム510、透明基板520及び金属薄膜530を含む。
前記プリズム510は、前記2つの半円筒型のシリンダレンズ400を通過した光ビームを透過させるためにシリカ(SiO2)、BK7、SF11などのガラス、または、プラスチックのような透明な材質から製造されることが望ましい。前記プリズム510の形態は、半円筒型、三角柱型、直六面体型、及び回折格子型であることができるが、これに限定されない。この場合、前記プリズム510上には金属薄膜530が形成される透明基板520が配置され、前記プリズム510と透明基板520は、光学的結合(optical coupling)で接合されることを特徴とすることができ、特に前記光学的結合は、前記プリズム510と透明基板520とを1つとして認識し、レーザビームを反射するためにインデックスマッチングオイル(index matching oil)から成ることができる。前記プリズム510は入射された光ビームの波長を短くすることによって運動量を増加させるため、前記光ビームが金属薄膜530に集束される時、前記金属薄膜530上で表面プラズモン共鳴を誘発する効果を有する。
【0048】
本発明における金属薄膜530は、前記プリズム510上の透明基板520上に形成され、前記金属薄膜530は金(Au)、銀(Ag)、及び銅(Cu)から製造されることが望ましいが、これに限定されるものではない。前記金属薄膜530において、回転ミラー200で反射して、遮蔽膜300及びシリンダレンズ400を順次に通過して、金属薄膜530のいずれか1つの地点に集束された光ビームの入射光によって表面プラズモン共鳴現象を発生させ、また、前記光ビームの入射光を反射して光ビームの反射光である第三光610を受光部600に発振させる機能及び効果を有する。
【0049】
前記センサチップ500は上述の構成に限定されるのではない。例えば、前記金属薄膜530は前記プリズム510上に直接蒸着されて、形成されることができる。即ち、前記センサチップは前記透明基板520及びインデックスマッチングオイルを使わずに、前記プリズム上に金属が蒸着されることによって、一体に形成されることができる。
【0050】
前記受光部600は、前記センサチップ500で反射する第三光610を感知することができる。即ち、前記受光部600は表面プラズモン共鳴吸収による波長の変化、例えば、色変化または強度変化を定量的に測定することができる。前記受光部600は、前記センサチップに入射された光の入射角であるθb−θaと同じ角度で、前記金属薄膜530から反射した第三光610の強度が最小になるイメージ上の暗い部分をモニタすることによって、表面プラズモン共鳴角(θR)をリアルタイムで測定して、試料を分析できる機能及び効果を有する。前記受光部600には、フォトダイオードアレイ(Photo Diode Array:PDA)または電荷結合素子(Charge Coupled Device:CCD)、相補型金属酸化膜半導体(Complementary Metal Oxide Semiconductor:CMOS)などのイメージディテクタ(detector)用受光部が使用されることができる。
【0051】
上述のように、本発明の一実施形態に係るSPRセンサシステムによれば、光源部100から発振された第一光は、偏光部110を通過しながらTMモードに偏光され、前記偏光された光は一定の速度で回転する平板型回転ミラー200で反射して、ディスク状の第二光240として発散される。前記ディスク状の第二光240は、遮蔽膜300を通過しながら扇形の光310である光ビームとなって、シリンダレンズ400を通過した後、プリズム510を通過して金属薄膜530上の1地点に集束される。この時、前記金属薄膜530では表面プラズモン共鳴が発生し、前記光ビームは、金属薄膜530で反射して、前記金属薄膜530上の試料の種類によって変わる共鳴角(θR)が受光部600で測定されることによって、試料を分析することができる。
【0052】
ここで、前記光源部から発振された第一光の断面が点(dot)の状態である場合、前記回転ミラーで反射した第二光は前記第一光の断面の直径に等しい厚さを有するディスク状に作られ、前記第一光の断面が線(line)の状態である場合、前記回転ミラーで反射した第二光は前記第一光の断面の長さに等しい厚さを有するディスク状で作られる。
【0053】
前記試料提供部700は、前記センサチップ500の金属薄膜530上に配置されて、前記金属薄膜上にテスト試料を提供する。前記試料提供部に対しては、以下、図9〜図11を参照して一層詳細に説明する。
【0054】
図9は図4の表面プラズモン共鳴システムの試料提供部を示した模式図である。図10は図9の試料提供部を示した正面模式図である。図11は図9の試料提供部のパッドを示した模式図である。
【0055】
図4、図9〜図11を参照すれば、前記試料提供部700は本体部710、パッド720、及び調節部730を含む。
前記本体部710は、テスト試料が保存された試料保存部(図示せず)と連結されて、前記テスト試料の注入を受ける。前記本体部には前記テスト試料が注入されることのできる複数個の貫通路712が形成されている。
【0056】
前記パッド720は、前記本体部710の前記センサチップ500に対向する一面上に形成される。前記パッド720には互いに平行な複数個の貫通孔722が形成される。前記パッドの貫通孔は、前記テスト試料が通る前記本体部の貫通路712と連通し、前記テスト試料は前記本体部の貫通路を通りながら前記貫通路と連結された前記パッドの貫通孔を通ることになる。前記パッド720は、前記センサチップ500の金属薄膜530と圧縮された状態で接触するため、前記テスト試料は、前記センサチップの金属薄膜上に分布されて、前記センサチップに入射された入射光に対する表面プラズモン共鳴を発生させることができる。前記パッド720は弾性を有する軟質材料で形成される。例えば、前記パッドはゴムで形成されることができる。前記パッドはSPRテスト過程で前記センサチップに圧縮し密着され、ひいては、前記テスト試料が外部に漏洩されないため、安定したテストが可能である。
【0057】
前記調節部730は前記本体部で前記パッド720が形成された一面とは逆の面に接続される。前記調節部730は回転するネジの形態を有していて、前記ネジを一方向に回転する時には前記本体部710を押し出し、他の方向に回転する時には前記本体部710を引っ張るようになる。SPRテストを実行する過程で前記センサチップ500を交換する場合、既存のSPRセンサシステムでは、試料が通る前記試料提供部を分解し、再び組み立てる過程を必要とした。しかし、本発明の一実施形態に係るSPRセンサシステムの試料提供部700は、上述のような調節部730を含んでおり、簡単に前記調節部を操作することによって、前記本体部及びパッドを前記センサチップ500から隔離し、前記センサチップを交換し、または、その他の関連した作業を実施することができる。従って、前記作業をより効率的、且つ、便利に実施することができる。
【0058】
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施例に限定されない。本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範囲内において、各種の変更例または修正例を想到し得ることは明らかであり、これらについても、本発明の技術的範囲内に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0059】
以上に説明した通り、本発明の一実施形態に係る表面プラズモン共鳴センサシステムは、1つの平板両面に金属が蒸着された平板形態の回転ミラーを利用することによって、入射光が回転ミラーで反射する時、異なる屈折率による入射角及び反射角の変化を防止して、より精密な測定システムを提供することができる。また、試料提供部をさらに含み、前記試料提供部に調節部を追加することによって、より便利にセンサチップの交換及びその他の分離作業を実施することができる。
【符号の説明】
【0060】
100…光源部、110…偏光部、200…回転ミラー、210…ガラス板、220…金属、230…回転板、250…回転板、260…回転板、300…遮蔽膜、320…防止ブロック、400…シリンダレンズ、500…センサチップ、510…プリズム、520…透明基板、530…金属薄膜、600…受光部、700…試料提供部、710…本体部、720…パッド、730…調節部。
【技術分野】
【0001】
本発明は表面プラズモン共鳴センサシステムに関し、より詳細には回転ミラーが装着された表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance:SPR)センサシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
表面プラズモン(Surface Plasmon)というのは、導体表面、所謂、金属薄膜の表面に沿って伝播する自由電子の量子化された振動である。このような表面プラズモンは、プリズムのような誘電体(Dielectric medium)を介してプリズムの臨界角以上の角度で金属薄膜に入射する入射光によって励起されて、共鳴を起こし、この現象を表面プラズモン共鳴という。SPRが起きる入射光の入射角、即ち、共鳴角は金属薄膜に近接した物質の屈折率変化に非常に敏感である。SPRセンサは、このような性質を利用して金属薄膜に近接した物質、即ち、試料の屈折率変化から試料の定量分析及び定性分析と、薄膜である試料の厚さの測定とに利用される。
【0003】
既存のSPRバイオセンサは、光の波数ベクトル(wave vector)或いは運動量を増加させて、表面プラズモンを励起させるために、入射光を高屈折率の透明誘電体であるプリズムを通過させて、金属薄膜で反射する構成、所謂、Kretschmann−Raether構成に従っている。SPRバイオセンサは、光源にて発生した短波長の入射光を、偏光器によって偏光させて、プリズムに入射させる際に、駆動部によって前記光源を動かして、入射角度を変化させることによって、金属薄膜上に存在する誘電物質による有効屈折率或いは有効厚さの変化をSPR角度の変化として測定する。
【0004】
上述のSPRセンサシステムでは光源としてレーザ、または、フォトダイオードのような点受光部(point detector)を使い、前記光源を調節するために振動ミラーを使うか、または、回転ミラーを利用する方式は公知になっている。特に、前記回転ミラーを利用する方式の場合、本願の共同出願人に付与された特許文献1において、その技術がよく説明されている。前記回転ミラーを利用する方式によると、反射した光源の干渉現象が最小化され、前記反射したレーザの光強度の均一度が向上する。
【0005】
図1は従来のSPRセンサシステムの回転ミラーを概略的に図示した斜視図である。図2は図1の回転ミラーで光が屈折する態様を示すための模式図である。図3は図1の回転ミラーで光が屈折される別の態様を示すための模式図である。
【0006】
図1を参照すると、前記回転ミラー900の構成は、1つのプリズム910の平面に金属コーティング930を施した後、2つのプリズム910、920を互いにあわせて接着して製造される。前記2つの半円筒型プリズムを接着させるためには、液体状態のUVエポキシなどの接着剤を使う。
【0007】
図2を参照すると、前記回転ミラーに入射された光は、前記プリズム上の金属コーティングで反射する過程で、前記接着剤940を通過するため、前記プリズム及び接着剤の屈折率の差によって微細な屈折及び反射が起きて、表面プラズモン共鳴現象が発生する金属薄膜の正確な位置上に前記光源を照射することが難しい。これによって、テスト試料測定結果の精度が落ちるという問題点が発生する。
【0008】
図3を参照すると、前記回転ミラーの製造時、2つのプリズムを接着剤940によって接着する過程で、接着剤が均等に分布されなかったり、または、局部的な硬化の差によって、前記2つのプリズムの断面が互いに平行に結合されなかったりする場合が発生する。ひいては、前記回転ミラーの反射面が底面と垂直を成すことができなくなり、同様に表面プラズモン共鳴現象が発生する金属薄膜の正確な位置上に前記光源を照射することが難しくなるという問題がある。
【0009】
また、従来の回転ミラーを利用した方式においては、前記回転ミラーが回転している際に、前記回転ミラーに入射された光は、円形状、即ち、ディスク状の光で反射することになる。この場合に、上述のように、広がる光によって隣接した受光部に受光される光との干渉現象が起きることになり、ひいては、前記受光部が表面プラズモン共鳴吸収による波長の変化を正確に測定し難いという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】韓国登録特許第10−0876608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上述のような従来の問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、平板型の回転ミラーが装着された表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance:SPR)センサシステムを提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、距離調節が可能なテスト試料提供部を備えるSPRセンサシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した本発明の目的を達成するために本発明に係る表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance:SPR)センサシステムは、第一光を発生する光源部、前記第一光を偏光させる偏光部、前記偏光された第一光を反射してディスク状の第二光として発散させる回転ミラー、前記回転ミラーに隣接するように配置されて前記第二光の一部を通過させる遮蔽膜、前記遮蔽膜を通過した第二光の一部を集束する複数個のシリンダレンズ、前記集束された第二光を第三光として反射するセンサチップ、及び前記第三光を感知する受光部を備える。前記回転ミラーは平板型で形成され、中心軸を基準として回転し、平板型基板及び前記基板の少なくとも一面に蒸着された金属層を含む。前記センサチップは、プリズム及び前記プリズムの一面に形成される金属薄膜を含む。
【0014】
本発明の一実施形態において、前記ミラーの厚さは0.5mm〜2mmであり得る。
本発明の一実施形態において、前記ミラーは前記ミラーの中心軸と同じ軸の周りに回転する回転板に固定され、前記回転板の上部面には、前記回転板の中心軸を通る溝が形成され、前記回転ミラーは前記溝に装着できる。
【0015】
本発明の一実施形態において、前記回転板は、円柱または多角柱状であり得る。
本発明の一実施形態において、前記回転板の上部面に形成された溝は、前記回転板の中心軸を交差する十字形状を有することができる。
【0016】
本発明の一実施形態において、前記回転ミラーの横及び縦の各長さは5mm〜20mmであり、前記回転板の直径は8mm〜23mmであり得る。
本発明の一実施形態において、前記光源部はガスレーザ(gas laser)またはレーザダイオード(laser diode)であり得る。
【0017】
本発明の一実施形態において、前記光源部から発生する第一光の断面は点(dot)または線(line)の形状であり得る。
本発明の一実施形態において、前記偏光部は前記第一光をTMモード(Transverse Magnetic mode)に変化させることができる。
【0018】
本発明の一実施形態において、前記回転ミラーの回転速度は1500rpm〜10000rpmであり得る。
本発明の一実施形態において、前記シリンダレンズは、各々の半円筒型の2つのシリンダレンズであり、前記レンズの凸部が互いに対向するように配置することができる。
【0019】
本発明の一実施形態において、前記受光部はイメージディテクタ(detector)用受光部でありうる。
本発明の一実施形態は、前記センサチップに密着して、テスト用試料が提供される試料提供部をさらに含むことができる。
【0020】
本発明の一実施形態において、前記試料提供部は前記試料が通過する貫通路が形成された本体部、弾性材質を有し、前記本体部で前記センサチップと対向する一面に形成されて前記センサチップに密着されるパッド部及び前記本体部で前記パッド部が形成された面と逆の面に形成される調節部を含むことができる。前記調節部は前記パッド部を前記センサチップに密着または隔離させることができる。
【0021】
本発明の一実施形態において、前記パッド部には互いに平行した複数個の貫通孔が形成されることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る表面プラズモン共鳴センサシステムは、平板型の回転ミラーを利用することによって、入射光源が回転ミラーで反射する時、屈折率の変化による入射角及び反射角の変化を防止して精密な測定システムを提供することができる。また、テスト試料提供部に距離調節が可能な調節部を追加することによって、試料提供部をセンサチップに容易に密着させることができ、前記センサチップの着脱が容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】従来の表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resona nce:SPR)センサシステムの回転ミラーを概略的に示した斜視図である。
【図2】図1の回転ミラーで光が屈折される態様を示すための模式図である。
【図3】図1の回転ミラーで光が屈折される別の態様を示すための模式図である。
【図4】本発明に係る表面プラズモン共鳴システムを概略的に示した模式図である。
【図5】図4の表面プラズモン共鳴システムの回転ミラーを示した斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る図4の表面プラズモン共鳴システムの回転板を示した斜視図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係る表面プラズモン共鳴システムの回転板を示した斜視図である。
【図8】本発明のさらなる他の実施形態に係るプラズモン共鳴システムの回転板を示した斜視図である。
【図9】図4の表面プラズモン共鳴システムの試料提供部を示した模式図である。
【図10】図9の試料提供部を示した正面模式図である。
【図11】図9の試料提供部のパッドを示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら、本発明をより詳細に説明する。本発明は多様な変更を加えることができ、様々な形態を有することができるため、特定の実施形態のみを図面に例示し、本明細書において詳細に説明する。しかし、本発明は特定の実施形態に限定されるものではなく、本開示は、本発明の思想及び権利範囲に含まれる全ての変更物、均等物ないしは代替物を含むものである。
【0025】
各図面の説明では、類似する構成要素に対して、同じ参照符号を使用した。図面における構造物の寸法は、本発明を明確にするために、実際の縮尺で図示されているとは限らない。
【0026】
第1、第2などの用語は多様な構成を説明するために使用されることができるが、構成要素はこれらの用語によって限定されてはいけない。これらの用語は1つの構成要素を別の構成要素から区別する目的でのみ使用される。例えば、本発明の権利範囲内で、第1構成要素は第2構成要素として参照されることができ、同様に第2構成要素も第1構成要素として参照されることができる。単数の表現は文脈上において明白に別のことを意味しない限り、複数の表現を含んで良い。
【0027】
本明細書において、「含む」または「有する」などの用語は明細書に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部分品、またはこれらを組み合わせたものが存在することを示すものであり、1つまたはそれ以上の別の特徴、数字、段階、動作、構成要素、部分品、またはこれらを組み合わせたものの存在あるいは付加可能性を排除するものではない。
【0028】
図4は本発明に係る表面プラズモン共鳴システム(Surface Plasmon Resonance:SPR)を概略的に示した模式図である。
図4を参照すると、本発明の一実施形態に係るSPRセンサシステムは光源部100、回転ミラー200、遮蔽膜300、シリンダレンズ400、センサチップ500、受光部600、及び試料提供部700を含む。
【0029】
前記光源部100は前記回転ミラー200に入射される第一光120を発生させる。第一光120を発生する光源部100としては、例えば、レーザダイオード、ガスレーザなどのようなレーザを使うことができる。前記光源部100から発振されるレーザの断面形態は、点(dot)または線(line)の形態であることが望ましいが、これに限定されるものではない。また、前記センサチップ500で発生する表面プラズモン共鳴現象に最適化されるように400〜900nmの波長を有するレーザを使うことが望ましいが、これはレーザの波長が400nm未満の場合には、表面プラズモン共鳴現象が良好に発生せず、900nmを超過する場合に、受光部600のイメージ獲得が困難となり、試料を分析することに問題が生じるためである。
【0030】
前記光源部100は、偏光部110をさらに含むことができる。前記センサチップ500で発生する表面プラズモンは、前記第一光成分のうち入射面に対して平行な成分、即ち、TM偏光(Transverse Magnetic polarized light)成分のみで励起されるため、前記光源部100から発振されるレーザをTM偏光に変換する偏光部110を使ってTMモード(Transverse Magnetic mode)に変化させることが望ましい。
【0031】
図5は図4の表面プラズモン共鳴システムの回転ミラーを示した斜視図である。
図3及び図4を参照すると、前記回転ミラー200は、前記光源部100から発振された第一光を反射して、前記センサチップ500に照射するようにする。前記回転ミラー200は一定速度で回転して、前記第一光を円形状に反射する。即ち、前記第一光をディスク状の第二光240として生成することを特徴とする。前記光源部100から発振された第一光が前記回転ミラー200で反射して、前記ディスク状の第二光240として生成されるためには、秒当たり24フレーム(frame)、即ち、約1500rpm以上の速度で回転することが望ましいが、10000rpmを超過すると、高速回転によって発生する振動などの不安定性が生じるという問題点があるため、前記回転ミラー200の回転速度は1500rpm〜10000rpmであることが望ましい。
【0032】
前記回転ミラー200は四角形の平板型を有する。前記回転ミラーは、前記回転ミラーの本体を構成する薄い四角形のガラス板210の両面に金属220を蒸着して形成する。前記金属は前記ガラス板に、全体的にその厚さが均一になるように蒸着される。前記ガラス板210の両面に金属を蒸着することによって、前記光源部から発振された光をすべての角度で反射することができる。前記蒸着された金属220としては、一般的なミラーに使われる銀、アルミニウム、クロム、ニッケルなどを使うことができる。本実施形態においては、前記ガラス板210の両面に金属を蒸着させて、前記回転ミラーを形成したが、これと異なって前記ガラス板210の一面のみに金属を蒸着させて、前記回転ミラーを形成することもできる。前記ガラス板の一面のみに金属を蒸着する場合には、金属が蒸着された前記ガラス板の一面のみで光の反射が起きるので、これによって前記回転ミラーの回転速度も変更しなければならない。即ち、前記ガラス板の一面のみに金属が蒸着された回転ミラーの回転速度は、前記ガラス板の両面に金属を蒸着した場合の約2倍になるように調整する。
【0033】
前記ガラス板に蒸着される金属層は、全体的にその厚さが均一であり、前記金属層から形成される反射面は前記ガラス板の一面と実質的に平行である。従って、前記光源部から発振された光をすべての角度で均一に反射することができ、それにより前記センサチップへの安定した光の照射が可能になる。
【0034】
また、図1〜図3を参照すると、従来の回転ミラーは、2つの半円筒型のプリズムのうち、いずれか1つのプリズム平面に金属コーティングを施した後、2つのプリズムを互いに合わせて接着して製造されていた。従来の回転ミラーは、前記接着剤として液体状態のUVエポキシなどを用いたが、前記回転ミラーに照射された光が前記接着剤を透過して反射する構造であった。しかし、前記接着剤の屈折率は、空気またはその他の材料の屈折率と相異するため、前記回転ミラーで光が反射する過程において、光の屈折が起きることになる。このような光の屈折のために、前記センサチップへの安定した光の照射が難しくなり、ひいては、受光部で表面プラズモン共鳴角の正確な測定が不安定になりうる。また、前記接着剤が不均一に塗布された場合、前記光を反射する反射面が前記プリズムの平面に対して完全に平行にならないという結果が発生し得る。
【0035】
それに対して、本実施形態に係る回転ミラー200は、別途の接着剤を使わずに、薄いガラス板210の両面に金属220を蒸着して製造するため、入射光または反射光の屈折現象がなく前記入射光の正確な調節が可能である。また、前記接着剤の不均一な塗布によって反射面が傾く現象を防止することができる。
【0036】
前記回転ミラー200は前記第一光、例えば、レーザビームを完全反射できる材料を利用して製造することができる。前記回転ミラー200の大きさは、前記レーザビームを受ける程度の大きさとして、横5mm〜20mm及び縦5mm〜20mmの範囲が望ましい。前記回転ミラー200の回転時の不安定性を最小にするとともに、回転ミラー200を前記回転板230上に安定に装着し、かつ光を効率的に反射するために、回転ミラー200の厚さは、約0.5mm〜2mmの範囲にあることが望ましい。
【0037】
図6は本発明の一実施形態に係る図3の表面プラズモン共鳴システムの回転板を示した斜視図である。
図4〜図6を参照すると、前記回転ミラー200は回転板230の上部に装着される。前記回転板230は円柱状で形成され、前記回転板下部に設けられたモータ(図示せず)に連結され、前記モータの回転軸と前記回転板230の回転軸が一致するように配置される。前記回転ミラー200は薄い板状を有するため、前記回転ミラーの回転軸を前記モータの回転軸と一致させることが難しく、前記回転ミラーの回転時に多少不安定になるが、回転ミラーを前記別に形成された回転板230上に配置することによって安定に回転させることができる。前記回転ミラー200と前記回転板230はそれぞれの回転軸を一致させてUVエポキシのような接着剤で連結することができ、あるいは、前記回転板の上部面に前記回転板の中心を通る溝を形成して前記回転ミラーを挟むことによって連結することもできる。従って、前記モータの動力を利用して、前記回転板と結合された前記平板型回転ミラー200を所望の速度で回転させることができる。
【0038】
前記回転板230の直径は、前記回転ミラーを回転板230に安定に固定できるように、前記回転ミラーの横幅より大きく形成される。回転板230の直径は、前記回転ミラーの大きさによって適切に変形されることができ、一般的に8mm〜23mmの範囲が望ましい。
【0039】
図7は本発明の他の実施形態に係る表面プラズモン共鳴システムの回転板を示した斜視図である。前記回転板250は、前記回転板の上部面に前記回転板の中心を通って交差する十字形状の溝が形成されることを除いては、図6を参照して説明した回転板と実質的に同一であるため、説明を省略する。
【0040】
図7を参照すると、前記回転板250の上部面には前記回転板の中心を通る2つの溝が十字形状で交差して形成される。前記溝の幅は前記回転ミラーの厚さに対応するように構成され、前記回転ミラーは前記2つの溝のうちいずれか1つに装着される。前記回転板は、上部面に互いに交差する2つの溝を形成することによって、前記回転板の回転軸の位置をより正確に判断でき、前記回転ミラーの回転軸をより正確且つ容易に前記モータの回転軸と一致させることができる。本実施形態では前記回転板の上部面に互いに十字形状で交差する2つの溝を形成したが、これに限定されるものではない。十字形状の溝の代わりに、前記回転板の上部面に前記回転板の中心を交差する複数個の溝を形成して、前記回転ミラーが装着されることもできる。
【0041】
図8は本発明のさらなる他の実施形態に係る表面プラズモン共鳴システムを示した斜視図である。前記回転板260が多角柱の形態で形成することを除いては図6を参照して説明した回転板と実質的に同一であるため、繰り返される説明はこれを省略する。
【0042】
図8を参照すれば、前記回転板260は多角柱の形態を有することができる。例えば、前記回転板は六角柱の形態を有することができる。前記回転板の形態は前記SPRセンサシステムの配置構造に従って適切に変更することができ、これで前記回転ミラーの回転をより安定にすることができ、また、前記SPRセンサシステムの様々な構成要素をより効率的に配置することができる。
【0043】
また、図4及び図5を参照すると、前記光源部100から発振される直進性を有する実線形態の第一光を、1500rpm〜10000rpmの速度で回転する前記回転ミラー200の中心で反射した後、その反射光を肉眼、または、一般的な低価の相補型金属酸化物半導体(Complementary Metal Oxide Semiconductor:CMOS)、電荷結合素子(Charge Coupled Device:CCD)などで観察すれば、平均的に前記回転ミラー面の反射地点を中心として発散されるディスク状の第二光240が生成される。
【0044】
前記遮蔽膜300は、前記回転ミラー200と前記シリンダレンズ400との間に配置される。前記遮蔽膜300は、回転ミラー200で反射した前記ディスク状の第二光240の一部、即ち、扇形のレーザビーム310のみを通過させることのできるスリット(slit)の形態であり、前記回転ミラー200の中心から適当な距離に位置することが望ましいが、この場合、前記遮蔽膜300は回転ミラー200の中心軸に近いほどセンサ全体の大きさを小さくできるという長所がある。また、前記遮蔽膜300のスリット間隔は、扇形のレーザビームの挟角が約10゜以内になるように、即ち、前記センサチップ500の1地点に集束された光ビームの入射角であるθb−θaが10゜以内になるように設置することが望ましいが、これは大部分の試料が前記θb−θaが10゜以内の場合、検出可能であり、また、θb−θaが10゜を超過する場合に、解像度が落ちる問題があるためである。
【0045】
前記遮蔽膜300の側面には防止ブロック320が配置できる。前記防止ブロックは光の透過を防止するように作用する。前記回転ミラー200で反射した前記ディスク状の第二光240は、前記SPRセンサシステム内部全体に広がる。前記第二光の一部は前記遮蔽膜300を通過して前記扇形の光ビーム310に変形されるが、残りの光は前記SPRセンサシステム内部に全般的に広がることになり、乱反射及び他の光との干渉を起こすことになる。特に以後に詳細に説明する受光部600は前記センサチップ500で反射する第三光610を感知して、SPRによる波長の変化を測定するが、前記回転ミラーから広がる第二光240と前記第三光610との間で干渉現象が発生し得る。特に、本実施形態に係るSPRセンサシステムは、その制限された大きさの中で各構成要素が互いに隣接して配置されるため、前記干渉現象の発生の可能性がさらに大きくなる。このような干渉現象によって、前記受光部で前記SPRによる波長の変化を精密に測定することが難しいという問題が発生する。従って、前記防止ブロック320は前記回転ミラーと前記受光部600との間に適切に配置され、前記受光部600に受光される第三光が他の光によって干渉される現象を防止でき、ひいては、テスト試料測定結果の精度を高めることができる。
【0046】
前記シリンダレンズ400は複数個のシリンダレンズを並べて配置して、形成される。前記複数個のシリンダレンズは、前記遮蔽膜とセンサチップとの間に適切に配置され、前記遮蔽膜300のスリットを通過した扇形の光である光ビーム310を通過させるとともに、表面プラズモン共鳴を発生させる前記センサチップ500の1地点に前記光ビームを集束させるように作用する。本実施形態では、2つのシリンダレンズが互いに対向するように配置されたが、これに限定されるものではない。本実施形態における前記シリンダレンズ400は、2つのシリンダレンズを互いに対向するように配置して形成される。前記2つのシリンダレンズは前記レンズの凸部が互いに対向するように配置される。上述した通りに2つのシリンダレンズが互いに対向するように配置されることによって、透過される光の透過率を高めて、前記光の密集度を高めることができる。また、1つの両面凸レンズを使う場合より光の透過率をさらに高めることができる。前記シリンダレンズ400は、前記遮蔽膜300とセンサチップ500との間に配置され、前記遮蔽膜300のスリットを通過した扇形の光である光ビーム310を通過させて、表面プラズモン共鳴を発生させる前記センサチップ500の1地点、即ち、前記センサチップ500軸の中心となる地点に前記光ビームを集束させるように作用する。
【0047】
前記センサチップ500はプリズム510、透明基板520及び金属薄膜530を含む。
前記プリズム510は、前記2つの半円筒型のシリンダレンズ400を通過した光ビームを透過させるためにシリカ(SiO2)、BK7、SF11などのガラス、または、プラスチックのような透明な材質から製造されることが望ましい。前記プリズム510の形態は、半円筒型、三角柱型、直六面体型、及び回折格子型であることができるが、これに限定されない。この場合、前記プリズム510上には金属薄膜530が形成される透明基板520が配置され、前記プリズム510と透明基板520は、光学的結合(optical coupling)で接合されることを特徴とすることができ、特に前記光学的結合は、前記プリズム510と透明基板520とを1つとして認識し、レーザビームを反射するためにインデックスマッチングオイル(index matching oil)から成ることができる。前記プリズム510は入射された光ビームの波長を短くすることによって運動量を増加させるため、前記光ビームが金属薄膜530に集束される時、前記金属薄膜530上で表面プラズモン共鳴を誘発する効果を有する。
【0048】
本発明における金属薄膜530は、前記プリズム510上の透明基板520上に形成され、前記金属薄膜530は金(Au)、銀(Ag)、及び銅(Cu)から製造されることが望ましいが、これに限定されるものではない。前記金属薄膜530において、回転ミラー200で反射して、遮蔽膜300及びシリンダレンズ400を順次に通過して、金属薄膜530のいずれか1つの地点に集束された光ビームの入射光によって表面プラズモン共鳴現象を発生させ、また、前記光ビームの入射光を反射して光ビームの反射光である第三光610を受光部600に発振させる機能及び効果を有する。
【0049】
前記センサチップ500は上述の構成に限定されるのではない。例えば、前記金属薄膜530は前記プリズム510上に直接蒸着されて、形成されることができる。即ち、前記センサチップは前記透明基板520及びインデックスマッチングオイルを使わずに、前記プリズム上に金属が蒸着されることによって、一体に形成されることができる。
【0050】
前記受光部600は、前記センサチップ500で反射する第三光610を感知することができる。即ち、前記受光部600は表面プラズモン共鳴吸収による波長の変化、例えば、色変化または強度変化を定量的に測定することができる。前記受光部600は、前記センサチップに入射された光の入射角であるθb−θaと同じ角度で、前記金属薄膜530から反射した第三光610の強度が最小になるイメージ上の暗い部分をモニタすることによって、表面プラズモン共鳴角(θR)をリアルタイムで測定して、試料を分析できる機能及び効果を有する。前記受光部600には、フォトダイオードアレイ(Photo Diode Array:PDA)または電荷結合素子(Charge Coupled Device:CCD)、相補型金属酸化膜半導体(Complementary Metal Oxide Semiconductor:CMOS)などのイメージディテクタ(detector)用受光部が使用されることができる。
【0051】
上述のように、本発明の一実施形態に係るSPRセンサシステムによれば、光源部100から発振された第一光は、偏光部110を通過しながらTMモードに偏光され、前記偏光された光は一定の速度で回転する平板型回転ミラー200で反射して、ディスク状の第二光240として発散される。前記ディスク状の第二光240は、遮蔽膜300を通過しながら扇形の光310である光ビームとなって、シリンダレンズ400を通過した後、プリズム510を通過して金属薄膜530上の1地点に集束される。この時、前記金属薄膜530では表面プラズモン共鳴が発生し、前記光ビームは、金属薄膜530で反射して、前記金属薄膜530上の試料の種類によって変わる共鳴角(θR)が受光部600で測定されることによって、試料を分析することができる。
【0052】
ここで、前記光源部から発振された第一光の断面が点(dot)の状態である場合、前記回転ミラーで反射した第二光は前記第一光の断面の直径に等しい厚さを有するディスク状に作られ、前記第一光の断面が線(line)の状態である場合、前記回転ミラーで反射した第二光は前記第一光の断面の長さに等しい厚さを有するディスク状で作られる。
【0053】
前記試料提供部700は、前記センサチップ500の金属薄膜530上に配置されて、前記金属薄膜上にテスト試料を提供する。前記試料提供部に対しては、以下、図9〜図11を参照して一層詳細に説明する。
【0054】
図9は図4の表面プラズモン共鳴システムの試料提供部を示した模式図である。図10は図9の試料提供部を示した正面模式図である。図11は図9の試料提供部のパッドを示した模式図である。
【0055】
図4、図9〜図11を参照すれば、前記試料提供部700は本体部710、パッド720、及び調節部730を含む。
前記本体部710は、テスト試料が保存された試料保存部(図示せず)と連結されて、前記テスト試料の注入を受ける。前記本体部には前記テスト試料が注入されることのできる複数個の貫通路712が形成されている。
【0056】
前記パッド720は、前記本体部710の前記センサチップ500に対向する一面上に形成される。前記パッド720には互いに平行な複数個の貫通孔722が形成される。前記パッドの貫通孔は、前記テスト試料が通る前記本体部の貫通路712と連通し、前記テスト試料は前記本体部の貫通路を通りながら前記貫通路と連結された前記パッドの貫通孔を通ることになる。前記パッド720は、前記センサチップ500の金属薄膜530と圧縮された状態で接触するため、前記テスト試料は、前記センサチップの金属薄膜上に分布されて、前記センサチップに入射された入射光に対する表面プラズモン共鳴を発生させることができる。前記パッド720は弾性を有する軟質材料で形成される。例えば、前記パッドはゴムで形成されることができる。前記パッドはSPRテスト過程で前記センサチップに圧縮し密着され、ひいては、前記テスト試料が外部に漏洩されないため、安定したテストが可能である。
【0057】
前記調節部730は前記本体部で前記パッド720が形成された一面とは逆の面に接続される。前記調節部730は回転するネジの形態を有していて、前記ネジを一方向に回転する時には前記本体部710を押し出し、他の方向に回転する時には前記本体部710を引っ張るようになる。SPRテストを実行する過程で前記センサチップ500を交換する場合、既存のSPRセンサシステムでは、試料が通る前記試料提供部を分解し、再び組み立てる過程を必要とした。しかし、本発明の一実施形態に係るSPRセンサシステムの試料提供部700は、上述のような調節部730を含んでおり、簡単に前記調節部を操作することによって、前記本体部及びパッドを前記センサチップ500から隔離し、前記センサチップを交換し、または、その他の関連した作業を実施することができる。従って、前記作業をより効率的、且つ、便利に実施することができる。
【0058】
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施例に限定されない。本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範囲内において、各種の変更例または修正例を想到し得ることは明らかであり、これらについても、本発明の技術的範囲内に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0059】
以上に説明した通り、本発明の一実施形態に係る表面プラズモン共鳴センサシステムは、1つの平板両面に金属が蒸着された平板形態の回転ミラーを利用することによって、入射光が回転ミラーで反射する時、異なる屈折率による入射角及び反射角の変化を防止して、より精密な測定システムを提供することができる。また、試料提供部をさらに含み、前記試料提供部に調節部を追加することによって、より便利にセンサチップの交換及びその他の分離作業を実施することができる。
【符号の説明】
【0060】
100…光源部、110…偏光部、200…回転ミラー、210…ガラス板、220…金属、230…回転板、250…回転板、260…回転板、300…遮蔽膜、320…防止ブロック、400…シリンダレンズ、500…センサチップ、510…プリズム、520…透明基板、530…金属薄膜、600…受光部、700…試料提供部、710…本体部、720…パッド、730…調節部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一光を発生する光源部と、
前記第一光を偏光させる偏光部と、
平板型基板及び前記基板の少なくとも一面に蒸着された金属層を含み、中心軸を基準として回転して前記偏光された第一光を反射してディスク状の第二光として発散させる回転ミラーと、
前記回転ミラーに隣接して配置されて、前記第二光の一部を通過させる遮蔽膜と、
前記遮蔽膜を通過した第二光の一部を集束する複数個のシリンダレンズと、
プリズム及び前記プリズムの一面に形成される金属薄膜を含み、前記集束された第二光を第三光として反射するセンサチップと、
前記第三光を感知する受光部とを備えることを特徴とする表面プラズモン共鳴センサシステム。
【請求項2】
前記回転ミラーの厚さは0.5mm〜2mmであることを特徴とする請求項1に記載の表面プラズモン共鳴センサシステム。
【請求項3】
前記回転ミラーは前記回転ミラーの中心軸と同じ軸で回転する回転板に固定され、前記回転板の上部面には前記回転板の中心軸を通る溝が形成され、前記回転ミラーは前記溝に装着されることを特徴とする請求項1に記載の表面プラズモン共鳴センサシステム。
【請求項4】
前記回転板は円柱または多角柱の形態であることを特徴とする請求項3に記載の表面プラズモン共鳴センサシステム。
【請求項5】
前記回転板の上部面に形成された溝は、前記回転板の中心軸で交差する十字形状を有することを特徴とする請求項3に記載の表面プラズモン共鳴センサシステム。
【請求項6】
前記回転ミラーの横及び縦の各大きさは、5mm〜20mmであり、前記回転板の幅は8mm〜23mmであることを特徴とする請求項3に記載の表面プラズモン共鳴センサシステム。
【請求項7】
前記回転ミラーと前記受光部との間に配置されており、前記回転ミラーで反射した前記第二光の一部を遮断する防止ブロックをさらに含む請求項1に記載の表面プラズモン共鳴センサシステム。
【請求項8】
前記光源部はガスレーザ(gas laser)、または、レーザダイオード(laser diode)であることを特徴とする請求項1に記載の表面プラズモン共鳴センサシステム。
【請求項9】
前記光源部から発生する第一光の断面は、点(dot)または線(line)の状態であることを特徴とする請求項1に記載の表面プラズモン共鳴センサシステム。
【請求項10】
前記偏光部は前記第一光をTMモード(Transverse Magnetic mode)に変化させることを特徴とする請求項1に記載の表面プラズモン共鳴センサシステム。
【請求項11】
前記回転ミラーの回転速度は1500rpm〜10000rpmであることを特徴とする請求項1に記載の表面プラズモン共鳴センサシステム。
【請求項12】
前記シリンダレンズは、各々半円筒型を有する2つのシリンダレンズなどであり、前記レンズの凸部が互いに対向するように配置されることを特徴とする請求項1に記載の表面プラズモン共鳴センサシステム。
【請求項13】
前記受光部はイメージディテクタ(detector)用受光部であることを特徴とする請求項1に記載の表面プラズモン共鳴センサシステム。
【請求項14】
前記センサチップに密着しており、テスト用試料が提供される試料提供部をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の表面プラズモン共鳴センサシステム。
【請求項15】
前記試料提供部は、
前記試料が通る貫通路が形成された本体部と、
弾性材質を有しており、前記本体部において前記センサチップに対向する一面に形成されて前記センサチップに密着されるパッド部と、
前記本体部で前記パッド部が形成された面と逆の面に形成されており、前記パッド部を前記センサチップに密着、または、隔離させる調節部とを含むことを特徴とする請求項14に記載の表面プラズモン共鳴センサシステム。
【請求項16】
前記パッド部には互いに平行な複数個の貫通孔が形成されることを特徴とする請求項15に記載の表面プラズモン共鳴センサシステム。
【請求項1】
第一光を発生する光源部と、
前記第一光を偏光させる偏光部と、
平板型基板及び前記基板の少なくとも一面に蒸着された金属層を含み、中心軸を基準として回転して前記偏光された第一光を反射してディスク状の第二光として発散させる回転ミラーと、
前記回転ミラーに隣接して配置されて、前記第二光の一部を通過させる遮蔽膜と、
前記遮蔽膜を通過した第二光の一部を集束する複数個のシリンダレンズと、
プリズム及び前記プリズムの一面に形成される金属薄膜を含み、前記集束された第二光を第三光として反射するセンサチップと、
前記第三光を感知する受光部とを備えることを特徴とする表面プラズモン共鳴センサシステム。
【請求項2】
前記回転ミラーの厚さは0.5mm〜2mmであることを特徴とする請求項1に記載の表面プラズモン共鳴センサシステム。
【請求項3】
前記回転ミラーは前記回転ミラーの中心軸と同じ軸で回転する回転板に固定され、前記回転板の上部面には前記回転板の中心軸を通る溝が形成され、前記回転ミラーは前記溝に装着されることを特徴とする請求項1に記載の表面プラズモン共鳴センサシステム。
【請求項4】
前記回転板は円柱または多角柱の形態であることを特徴とする請求項3に記載の表面プラズモン共鳴センサシステム。
【請求項5】
前記回転板の上部面に形成された溝は、前記回転板の中心軸で交差する十字形状を有することを特徴とする請求項3に記載の表面プラズモン共鳴センサシステム。
【請求項6】
前記回転ミラーの横及び縦の各大きさは、5mm〜20mmであり、前記回転板の幅は8mm〜23mmであることを特徴とする請求項3に記載の表面プラズモン共鳴センサシステム。
【請求項7】
前記回転ミラーと前記受光部との間に配置されており、前記回転ミラーで反射した前記第二光の一部を遮断する防止ブロックをさらに含む請求項1に記載の表面プラズモン共鳴センサシステム。
【請求項8】
前記光源部はガスレーザ(gas laser)、または、レーザダイオード(laser diode)であることを特徴とする請求項1に記載の表面プラズモン共鳴センサシステム。
【請求項9】
前記光源部から発生する第一光の断面は、点(dot)または線(line)の状態であることを特徴とする請求項1に記載の表面プラズモン共鳴センサシステム。
【請求項10】
前記偏光部は前記第一光をTMモード(Transverse Magnetic mode)に変化させることを特徴とする請求項1に記載の表面プラズモン共鳴センサシステム。
【請求項11】
前記回転ミラーの回転速度は1500rpm〜10000rpmであることを特徴とする請求項1に記載の表面プラズモン共鳴センサシステム。
【請求項12】
前記シリンダレンズは、各々半円筒型を有する2つのシリンダレンズなどであり、前記レンズの凸部が互いに対向するように配置されることを特徴とする請求項1に記載の表面プラズモン共鳴センサシステム。
【請求項13】
前記受光部はイメージディテクタ(detector)用受光部であることを特徴とする請求項1に記載の表面プラズモン共鳴センサシステム。
【請求項14】
前記センサチップに密着しており、テスト用試料が提供される試料提供部をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の表面プラズモン共鳴センサシステム。
【請求項15】
前記試料提供部は、
前記試料が通る貫通路が形成された本体部と、
弾性材質を有しており、前記本体部において前記センサチップに対向する一面に形成されて前記センサチップに密着されるパッド部と、
前記本体部で前記パッド部が形成された面と逆の面に形成されており、前記パッド部を前記センサチップに密着、または、隔離させる調節部とを含むことを特徴とする請求項14に記載の表面プラズモン共鳴センサシステム。
【請求項16】
前記パッド部には互いに平行な複数個の貫通孔が形成されることを特徴とする請求項15に記載の表面プラズモン共鳴センサシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−72868(P2013−72868A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214819(P2011−214819)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(511151293)ミコバイオメド カンパニー リミテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】MiCoBioMed. Co., Ltd.
【出願人】(502394184)コミコ株式会社 (12)
【住所又は居所原語表記】79,Sinmosan−dong,Anseong−si,Gyeonggi−do,Korea
【出願人】(501245997)コリア リサーチ インスティテュート オブ バイオサイエンス アンド バイオテクノロジー (15)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(511151293)ミコバイオメド カンパニー リミテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】MiCoBioMed. Co., Ltd.
【出願人】(502394184)コミコ株式会社 (12)
【住所又は居所原語表記】79,Sinmosan−dong,Anseong−si,Gyeonggi−do,Korea
【出願人】(501245997)コリア リサーチ インスティテュート オブ バイオサイエンス アンド バイオテクノロジー (15)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]