説明

表面プラズモン共鳴現象測定装置および測定方法

【課題】 複数の試料を同時に分析することができ、しかも、測定前の調整を簡易化することのできる表面プラズモン共鳴現象測定装置を提供する。
【解決手段】 表面プラズモン共鳴現象測定装置1は、P偏光方向と平行なラインレーザーであって互いに平行なライン方向に広がる複数本のラインレーザーを放射するラインレーザー光源2と、ラインレーザーのライン方向と交差する層方向を有する複数の層10に多層化されたプリズム3を備える。ライン方向に広がるラインレーザーの各部分がプリズム3の各層10にそれぞれ入射されることによって、複数本のラインレーザーの各々が複数の測定用レーザーに分割される。プリズムの各層10の反射面に形成された金属膜13上に、複数の測定セル14を設け、その金属膜13上で測定用レーザーを反射させて、測定セル14で発生した表面プラズモン共鳴現象によって減光した反射光を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の試料を同時に分析する機能(マルチチャンネル多点計測機能)を備えた表面プラズモン共鳴現象測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表面プラズモン共鳴現象(SPR)測定装置は、食品の安全性や環境モニタリング、また、危険物や麻薬の高感度検出を可能とするものであり、環境保全分野、医療分野、農業、畜産、食品産業分野など、多くの分野への応用が期待されている。
【0003】
従来のSPR測定装置は、1度に測定できるサンプル数が少なく、測定効率が悪かった。また、SPR測定装置のサイズが大きく重量も重いため、測定現場に装置を持参して、測定結果をその場で得ることは困難であった。
【0004】
近年になって、携帯型のSPR測定装置の開発が進められてきた。例えば、SPR測定装置を小型化してオンサイトで計測できるようにするために、光源から放射される光をシリンドリカルレンズで線焦点を結ばせると共に、プリズムとガラス基板で作製したセンサーに入射させ、プリズムから反射させた光をリニアCCD受光素子で計測する携帯型のSPR測定装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、この測定装置も1度に測定できるサンプル数が1点であり、測定効率が悪い。
【0005】
携帯型のSPR測定装置の利用例として、環境や農作物などへの汚染物資の現場計測が挙げられているが、農場等のオンサイトで簡便にリアルタイム計測するためには、1度に多数の試料を分析できる機能(マルチチャンネル多点計測機能)が求められる。
【0006】
SPR測定装置をマルチチャンネル化する方法として、光源からの光をビームスプリッターで2光路に分けた後、プリズムで構成されるSPRセンサーの定められた2点にあて、表面プラズモン共鳴現象によって生じた光の減少を2つの独立した光検出器で検出後、検出信号を各々増幅する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。また、別の方法として、プリズムの反射光を光分割ミラーで2光路に分けて光検出器で検出する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、これらの方法では、光路の分割が1次的(線状)であり、1度に測定できる試料数が2点程度に限られているので、飛躍的な測定効率の向上が困難である。
【0007】
そこで、光源からの一本のレーザービームを、複数本(m×n本)のレーザービームに分割するビームスプリッターを用いる方法も提案されている(例えば、特許文献4参照)。この方法によれば、ビームスプリッターによって、一本のレーザービーム(点レーザー)を任意の本数(m×n本)に分けることができ、一度に測定できる試料数を飛躍的に増加させることができ、測定効率を向上させることもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3356212号
【特許文献2】特許第3462179号
【特許文献3】特許第4076962号
【特許文献4】特許第3890362号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記従来のようにビームスプリッターを用いた方法では、複数の試料を同時に分析することはできるものの、複数本の点レーザー(レーザービーム)ごとに、すなわち、複数の「点ごと」に、測定前の調整(レーザーの照射位置の調整など)を行う必要があり、測定前の調整をするのに多大な手間と時間がかかる。
【0010】
例えば、一つの点レーザーについて調整を行うときには、まず、光源の位置を調整してビームスプリッターに入射する光が垂直で中心を通るようにする(手順1)。次にビームスプリッターを調整して、プリズムに入射する角度及び測定セルに入射する位置に調節する(手順2)。上記の手順1と手順2を数回繰り返し調整を行い、最後に検出器の位置を調整し、金属膜で反射しプリズムより放射される光を垂直に受光できるように調節する。そして、m×n本の点レーザーの調整を行うためには、このような調整作業をm×n回も行う必要があった。
【0011】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたもので、複数の試料を同時に分析することができ、しかも、測定前の調整を簡易化することのできる表面プラズモン共鳴現象測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の表面プラズモン共鳴現象測定装置は、P偏光方向と平行なラインレーザーであって互いに平行なライン方向に広がる複数本のラインレーザーを放射するラインレーザー光源と、前記ラインレーザーのライン方向と交差する層方向を有する複数の層に多層化されたプリズムであって、前記ライン方向に広がる前記ラインレーザーの各部分が前記プリズムの各層にそれぞれ入射されることによって、前記複数本のラインレーザーの各々を複数の測定用レーザーに分割するプリズムと、前記測定用レーザーを反射するための前記プリズムの各層の反射面に形成された金属膜と、前記金属膜上に形成された複数の測定セルを有するセンサーと、前記測定セルで発生した表面プラズモン共鳴現象によって減光した反射光を検出する検出器と、を備えている。
【0013】
これにより、ラインレーザー光源から、P偏光方向と平行なラインレーザーであって互いに平行な複数本のラインレーザーが放射され、その複数本のラインレーザーの各々が、複数の層に多層化されたプリズムによって、複数の測定用レーザーに分割される。この場合、プリズムの各層の層方向(層が広がる方向、平面方向)は、ラインレーザーのライン方向と交差しており、ライン方向に広がるラインレーザーの各部分がプリズムの各層にそれぞれ入射されることによって、ラインレーザーが複数の部分(複数の測定用レーザー)に分割される。したがって、プリズムの各層の厚さや層の数を変える(層の厚さや層の数が異なる別のプリズムに交換する)ことにより、測定用レーザーの照射範囲や数を簡単に調整(増減)することができる。そして、この複数の測定用レーザーが、プリズムの金属膜上で反射される。金属膜上には、複数の測定セルが設けられており、測定セルで発生した表面プラズモン共鳴現象によって減光した反射光が、検出器で検出される。
【0014】
このように、本発明では、ラインレーザー(レーザー光の断面がライン状のレーザー)を光源として用い、そのラインレーザーを多層化プリズムで分割した各部分を測定用レーザーとして用いているので、測定前の調整(測定用レーザーの照射位置の調整など)を行う場合には、ラインレーザーごとに調整すれば済む。したがって、従来のように複数本の点レーザー(レーザー光の断面が点状のレーザー)を用いる場合には、複数の「点ごとに」個々に調整する必要があったに比べて、本発明では、複数の測定用レーザーの照射位置等を「ラインごとに」まとめて調整することができ、測定前の調整を大幅に簡易化することができる。このようにして、SPR法によるマルチチャンネル多点計測を実現することができ、一度に多くの試料を測定することが可能になる。したがって、測定効率を向上させることができ、装置を小型化することも可能になる。
【0015】
また、本発明の表面プラズモン共鳴現象測定装置では、前記ラインレーザー光源は、1本のレーザービームを放射するレーザービーム光源と、前記1本のレーザービームを、P偏光方向と平行なライン方向に広がる1本のラインレーザーに変換する第1光学系と、を備え、前記レーザービーム光源と前記第1光学系を複数並べて配置することにより、互いに平行なライン方向に広がる前記複数本のラインレーザーを放射してもよい。
【0016】
これにより、レーザービーム光源と第1光学系を複数並べて配置することによって、ラインレーザー光源を構成することができる。すなわち、レーザービーム光源から放射されたレーザービームは、第1光学系によって、P偏光方向と平行なライン方向に広がる1本のラインレーザーに変換される。そして、このようなレーザービーム光源と第1光学系を複数並べて配置することによって、互いに平行なライン方向に広がる複数本のラインレーザーを得ることができる。
【0017】
また、本発明の表面プラズモン共鳴現象測定装置では、前記ラインレーザー光源は、1本のレーザービームを放射するレーザービーム光源と、前記1本のレーザービームを、P偏光方向と平行なライン方向に広がるシングルラインレーザーに変換する第1光学系と、前記シングルラインレーザーを、互いに平行なライン方向に広がる前記複数本のラインレーザーに変換する第2光学系と、を備えてもよい。
【0018】
これにより、レーザービーム光源と第1光学系と第2光学系によって、ラインレーザー光源を構成することができる。すなわち、レーザービーム光源から放射されたレーザービームが、第1光学系によって、P偏光方向と平行なライン方向に広がるシングルラインレーザーに変換され、このシングルラインレーザーが、第2光学系によって、互いに平行なライン方向に広がる複数本のラインレーザーに変換される。このようにして、互いに平行なライン方向に広がる複数本のラインレーザーを得ることができる。
【0019】
また、本発明の表面プラズモン共鳴現象測定装置では、前記第2光学系は、直方体の対角面に沿って設けられた半透明金属膜を有し、前記第2光学系への入射光を前記半透明金属膜によって透過光と反射光に変換する第1光学ユニットと、直方体の対角面に沿って設けられた金属膜を有し、前記第1光学ユニットからの前記透過光を前記金属膜によって反射光に変換する第2光学ユニットと、を備えてもよい。
【0020】
これにより、第2光学系に入射されたレーザー光(入射光)が、第1光学ユニットの半透明金属膜によって透過光と反射光に変換され、この透過光が、第2光学ユニットの金属膜によって反射光に変換される。このようにして、第2光学系では、1本のレーザー光(第2光学系への入射光)を2本のレーザー光(第1光学ユニットおよび第2光学ユニットからの反射光)に分けることができる。
【0021】
また、本発明の表面プラズモン共鳴現象測定装置では、前記第1光学ユニットからの前記透過光の光量は、前記第2光学系への入射光の光量の45%〜55%であり、前記第1光学ユニットからの前記反射光の光量は、前記第2光学系への入射光の光量の55%〜45%であり、前記第2光学ユニットからの前記反射光の光量は、前記第1光学ユニットからの前記透過光の光量の90%〜100%であってもよい。
【0022】
これにより、第2光学系で、1本のレーザー光(第2光学系への入射光)を2本のレーザー光(第1光学ユニットおよび第2光学ユニットからの反射光)に分けたときに、2本のレーザー光(第1光学ユニットおよび第2光学ユニットからの反射光)の光強度が同程度になる。このように、同程度の光強度をもったレーザー光を比較的簡単に作ることができる。
【0023】
また、本発明の表面プラズモン共鳴現象測定装置では、前記第2光学系は、さらに、直方体の対角面に沿って設けられた半透明金属膜を有し、前記第1光学ユニットまたは前記第2光学ユニットからの前記反射光を前記半透明金属膜によって透過光と反射光に変換する第3光学ユニットと、直方体の対角面に沿って設けられた金属膜を有し、前記第3光学ユニットからの前記反射光を前記金属膜によって反射光に変換する第4光学ユニットと、を備えてもよい。
【0024】
これにより、第2光学系に入射されたレーザー光(入射光)が、上述のように、二つの反射光(第1光学ユニットおよび第2光学ユニットからの反射光)に分けられた後、さらに、その反射光が、第3光学ユニットの半透明金属膜によって透過光と反射光に変換され、この反射光が、第4光学ユニットの金属膜によって反射光に変換される。このようにして、第2光学系では、1本のレーザー光(入射光)から分けられたレーザー光(第1光学ユニットまたは第2光学ユニットからの反射光)を、さらに2本のレーザー光(第3光学ユニットからの透過光および第4光学ユニットからの反射光)に分けることができる。
【0025】
また、本発明の表面プラズモン共鳴現象測定装置では、前記第3光学ユニットからの前記透過光の光量は、前記第1光学ユニットまたは前記第2光学ユニットからの前記反射光の光量の45%〜55%であり、前記第3光学ユニットからの前記反射光の光量は、前記第1光学ユニットまたは前記第2光学ユニットからの前記反射光の光量の55%〜45%であり、前記第4光学ユニットからの前記反射光の光量は、前記第3光学ユニットからの前記反射光の光量の90%〜100%であってもよい。
【0026】
これにより、第2光学系で、1本のレーザー光(入射光)から分けられたレーザー光(第1光学ユニットまたは第2光学ユニットからの反射光)を、さらに2本のレーザー光(第3光学ユニットからの透過光および第4光学ユニットからの反射光)に分けたときに、その2本のレーザー光(第3光学ユニットからの透過光および第4光学ユニットからの反射光)の光強度が同程度になる。このように、同程度の光強度をもったレーザー光を比較的簡単に作ることができる。
【0027】
また、本発明の表面プラズモン共鳴現象測定装置では、前記第1光学系は、前記1本のレーザービームを、前記P偏光方向と平行なライン方向で略均一な光強度を持った前記シングルラインレーザーに変換するレーザーラインジェネレーターレンズを備えてもよい。
【0028】
これにより、第1光学系で、レーザーラインジェネレーターレンズを用いることによって、1本のレーザービームから、P偏光方向と平行なライン方向で略均一な光強度を持ったシングルラインレーザーを得ることができる。すなわち、シンリンドリカルレンズを用いた場合のようなガウス分布を持たず、全体に対して略均一の光強度を持つようなシングルラインレーザーを得ることができる。
【0029】
また、本発明の表面プラズモン共鳴現象測定装置では、前記検出器は、複数のリニアCCD受光素子で構成されており、前記プリズムの各層と前記複数のリニアCCD受光素子の各々は、光ファイバーケーブルによって接続されており、各リニアCCD受光素子は、前記光ファイバーケーブルを介して、前記プリズムの各層の前記測定セルで発生した表面プラズモン共鳴現象によって減光した反射光をそれぞれ検出してもよい。
【0030】
これにより、検出器が、リニアCCD受光素子で構成されているので、受光面積を大きくとることができ、受光のための調整(検出器で反射光を受光する受光位置の調整など)が不要となる。しかも、各リニアCCD受光素子が、光ファイバーケーブルを介して、プリズムの各層からの反射光(各層の測定セルで発生した表面プラズモン共鳴現象で減光した反射光)を、それぞれ別々に検出できるので、隣り合う層からの反射光によって光の干渉を受けるのを防ぐことができる。また、光ファイバーケーブルを用いているので、検出すべき反射光(表面プラズモン共鳴現象で減光した反射光)が、空気中への拡散によって減光してしまうのを防止することができる。また、フレキシブル性を有する光ファイバーケーブルを用いることによって、リニアCCD受光素子を、測定対象の反射光の進む方向(延長線上)以外の位置にも自由に配置することができ、装置の内部設計の自由度が上がり、装置の小型化が容易になる。
【0031】
また、本発明の表面プラズモン共鳴現象測定装置では、前記センサーの前記測定セルに測定試料を入れていないブランク測定時の測定データに基づいて、前記センサーの前記測定セルに測定試料を入れた試料測定時の測定データの補正を行う補正手段を備えてもよい。
【0032】
これにより、試料測定時の測定データを、ブランク測定時の測定データに基づいて適切に補正することができるので、より正確な測定結果を得ることができる。
【0033】
本発明の表面プラズモン共鳴現象測定方法は、P偏光方向と平行なラインレーザーであって互いに平行なライン方向に広がる複数本のラインレーザーを放射することと、前記ラインレーザーのライン方向と交差する層方向を有する複数の層に多層化されたプリズムを用いて、前記ライン方向に広がる前記ラインレーザーの各部分を前記プリズムの各層にそれぞれ入射させることによって、前記複数本のラインレーザーの各々を複数の測定用レーザーに分割することと、前記プリズムの各層の反射面に形成された金属膜上に、複数の測定セルを設けることと、前記金属膜で、前記測定用レーザーを反射させることと、前記測定セルで発生した表面プラズモン共鳴現象によって減光した反射光を検出することと、を含んでいる。
【0034】
この方法によっても、上記の装置と同様、複数の測定用レーザーの照射位置等を「ラインごとに」まとめて調整することができ、測定前の調整を大幅に簡易化することができる。このようにして、SPR法によるマルチチャンネル多点計測を実現することができ、一度に多くの試料を測定することが可能になる。したがって、測定効率を向上させることができ、装置を小型化することも可能になる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、複数の試料を同時に分析することができ、しかも、測定前の調整を簡易化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の第1の実施の形態における表面プラズモン共鳴現象測定装置の構成図
【図2】レーザーラインジェネレーターレンズ(第1光学系)の説明図
【図3】多層化プリズムの説明図
【図4】多層化プリズムの断面図
【図5】複数の測定セルが設けられたセンサーの説明図
【図6】センサーの一例を示す概略図
【図7】センサーの金属膜で測定用レーザーが反射する様子を示す説明図
【図8】複数のリニアCCD受光素子を備えた検出器の説明図
【図9】実施例1におけるSPR強度の差とスクロース濃度の分析結果を示す図
【図10】実施例2におけるSPR強度の差とストレプトマイシン濃度の分析結果を示す図
【図11】本発明の第2の実施の形態における表面プラズモン共鳴現象測定装置の構成図
【図12】第2光学系の第1光学ユニットと第2光学ユニットの説明図
【図13】第2光学系の第3光学ユニットと第4光学ユニットの説明図
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施の形態の表面プラズモン共鳴現象測定装置について、図面を用いて説明する。本実施の形態では、食品の安全性や環境モニタリング、危険物や麻薬の高感度検出等に用いられる携帯型の表面プラズモン共鳴現象測定装置の場合を例示する。
【0038】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態の表面プラズモン共鳴現象測定装置の構成を、図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態の表面プラズモン共鳴現象測定装置の全体の構成を概略的に示した図である。図1に示すように、表面プラズモン共鳴現象測定装置1(SPR測定装置1ともいう)は、ラインレーザー光源2と多層化プリズム3とセンサー4と検出器5を備えている。多層化プリズム3と検出器5は、光ファイバーケーブル6で接続されており、また、検出器5には、コンピューター装置7が接続されている。
【0039】
図1に示すように、ラインレーザー光源2は、1本のレーザービームを放射するレーザービーム光源8と、レーザービーム光源8の先端に取り付けられるレーザーラインジェネレーターレンズ9を備えている。図2に示すように、レーザービーム光源8からは、P偏光成分とS偏光成分をもった1本のレーザービームが放射される。レーザーラインジェネレーターレンズ9は、このレーザービーム光源8から放射されたレーザービームを、P偏光方向と平行なシングルラインレーザー(P偏光成分の方向と平行な方向に広がったラインレーザー)に変換する。すなわち、レーザーラインジェネレーターレンズ9は、P偏光成分とS偏光成分をもった1本のレーザービームを、P偏光成分のみをもった1本のラインレーザー(P偏光とパラレル状のシングルラインレーザー)に変換する。ここでは、ラインレーザーの広がる方向を「ライン方向」と呼ぶこととする。このレーザーラインジェネレーターレンズ9は、1本のレーザービームから変換したシングルラインレーザー(1本のラインレーザー)がライン方向で略均一な光強度を持つという特性を有している。このレーザーラインジェネレーターレンズ9は、本発明の第1光学系に相当する。
【0040】
本実施の形態のラインレーザー光源2は、図1に示すように、レーザービーム光源8とレーザーラインジェネレーターレンズ9の組(シングルラインレーザー光源ともいえる)を、複数(図1の例では4つ)並べて配置することにより、複数本(図1の例では4本)のラインレーザーL1〜L4を放射できるように構成されている。このラインレーザー光源2から放射される複数本のラインレーザーL1〜L4のライン方向(ラインレーザーの広がる方向)は、いずれもP偏光方向と平行であり、かつ、互いに平行である。なお、図1では、4本のラインレーザーL1〜L4を放射する場合について例示したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、ラインレーザーの本数は3本以下であってもよく5本以上であってもよい。
【0041】
図3は、多層化プリズムの構成の説明図であり、また、図4は、多層化プリズムの構成を説明するための断面図である。図3および図4に示すように、本実施の形態の多層化プリズム3は、5つの層10(第1層〜第5層)に多層化されており、平面視で逆台形形状を有している(図1参照)。そして、図1に示すように、逆台形の左辺(図1における左側の辺)に相当する面(左側面)は、ラインレーザー光源2から放射されたラインレーザーL1〜L4が入射される入射面とされており、逆台形の上辺(図1における上側の辺)に相当する面(上面)は、入射面から入射されたラインレーザーL1〜L4が反射される反射面とされており、逆台形の右辺(図1における右側の辺)に相当する面(右側面)は、反射面で反射したラインレーザーL1〜L4が放射される放射面とされている。
【0042】
図3に示すように、ラインレーザーL1〜L4は、ライン方向(ラインレーザーの広がる方向)と各層10の層方向(層が広がる方向)が互いに交差するように、多層化プリズム3に入射される。言い替えると、ラインレーザーL1〜L4が多層化プリズム3に入射することによって、1本のラインレーザーが5つの層10によって5つの部分(第1層に入射した部分〜第5層に入射した部分)に分割されるようになっている。このように多層化プリズム3によって分割されたラインレーザーL1〜L4の各部分が、測定用レーザーとして使用される。
【0043】
本実施の形態では、4本のラインレーザーL1〜L4の各々が多層化プリズム3の5つの層10によって5つに分割されるので、20本(=5×4)の測定用レーザーを得ることができる。なお、図3および図4では、5層構造の多層化プリズム3の場合について例示したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、多層化プリズム3の層数は、4層以下であってもよく6層以上であってもよい。
【0044】
この多層化プリズム3の各層10は光学ガラス製であり、例えばBK7などが材料として使用されている。各層10の端部(周縁部)には接着剤11が塗布されており、この接着剤11によって5つの層10が貼り合わされている(図4参照)。そして、5つの層10を貼り合わせた状態(接着剤11が硬化した状態)では、各層10の間に隙間12(空気の層)が形成されている。この隙間12(空気の層)によって、隣り合う層10の間での光の干渉(例えば、第1層に入射した光と第2層に入射した光との干渉)を抑えることができる。したがって、隣り合う層10の間での光の干渉の少ない測定用レーザーを得ることができる。
【0045】
図5は、センサーの説明図である。センサー4は、多層化プリズム3の反射面に形成された金属膜13(例えば金や銀などの薄膜)と、金属膜13上に形成された複数の測定セル14で構成されている。このセンサー4は、多層化プリズム3と一体的に形成されているともいえる。図5では、m行n列の測定セル14(m×n個の測定セル14)が、センサー4の金属膜13上に2次元的に配列されている。
【0046】
図6および図7を参照しながら、本実施の形態のセンサー4の構成をより具体的に説明する。図6は、センサー4の一例(後述する実施例1、2に用いられるセンサー4の例)を示す概略図であり、図7は、そのセンサー4の金属膜13で測定用レーザーが反射する様子を示す説明図である。図6および図7の例では、センサー4は、5層構造の多層化プリズム3の反射面上に一体的に形成されている。
【0047】
図6(a)は、センサー4の1つの層(多層化プリズム3の1つの層10に対応する)の平面図であり、図6(b)は、その側断面図である。図6(a)に示すように、センサー4の1つの層には、4つの測定セル14が形成されている。したがって、センサー全体では、20個の測定セル14(5行4列の測定セル14)が形成されている(図7参照)。本実施の形態では、多層化プリズム3の反射面上に金属膜13(例えば、金や銀などの薄膜)が蒸着されており、図6(b)に示すように、その金属膜13上に、4つの孔部15を有する粘着性シリコンシート16が貼り付けられている。金属膜13と粘着性シリコンシート16は、密着している。4つの孔部15には、吸湿性マイクロ微粒子(図示せず)が充填されており、この吸湿性マイクロ微粒子には、測定試料が吸着されている。このようにして、センサー4の1つの層につき、4つの測定セル14が形成されており、センサー全体では、20(=5×4)個の測定セル14が形成されている。
【0048】
図7は、センサー4の金属膜13で測定用レーザーが反射する様子を示す説明図である。図7に示すように、本実施の形態では、20個の測定セル14(5行4列の測定セル14)が多層化プリズム3の反射面上に形成されている。そして、この多層化プリズム3に4本のラインレーザーL1〜L4が入射されると、各ラインレーザーL1〜L4は多層化プリズム3の5つの層10によって5つの測定用レーザーに分割され、20本(=5×4)の測定用レーザーが得られる。20本の測定用レーザーは、それぞれ20個の測定セル14の直下の金属膜13に照射されるように、それぞれ照射位置が調整されている。そして、これらの測定セル14に測定用レーザーが入射角θa(プラズモン共鳴角を含む入射角)で照射されると、各測定セル14で発生した表面プラズモン共鳴現象によって減光した反射光(表面プラズモン共鳴現象によって各共鳴角が変化した反射光)が反射角θbで放射される(図1参照)。
【0049】
ここで、測定用レーザーの照射位置の調整について詳しく説明する。本実施の形態では、まず、1本目の測定用レーザーの設置角度を調整し、ラインレーザーL1がプリズム3に入射する角度を調整する。これにより、1本目の測定用レーザーの照射位置(図7における1番左の列の5つの照射位置)が調整される。この調整作業は「ラインごと」にまとめて行うことができる。したがって、20本(5×4本)の測定用レーザーの調整を行う場合であっても、4回の調整作業を行えば済む。そのため、従来のように「点ごと」に調整を行う場合に比べて、本実施の形態では、照射位置の調整作業に要する手間と時間が大幅に軽減される。例えば、従来のように「点ごと」に調整を行う場合には、20回の調整作業を行う必要があったのに対して、本実施の形態では「ラインごと」に調整を行えば済むので、4回の調整作業を行えばよく、調整作業に要する手間や時間が5分の1に軽減される。しかも、この場合、レーザービーム光源8と多層化プリズム3との間の光路上には、レーザージェネレーターレンズ9(第1光学系)しか介在していないので、多くの光学系が介在する場合に比べて、測定データの安定性が高い。
【0050】
図8は、表面プラズモン共鳴現象によって減光した反射光(センサー4の金属膜13で反射した測定用レーザー)を検出する検出器5の説明図である。この検出器5は、2次元的に配列された複数のリニアCCD受光素子17を備えている。図8では、n個分の受光エリアを有するリニアCCD受光素子17(1行n列のリニアCCD受光素子17)がm行並べられており、このようにして、m行n列で2次元的にリニアCCD受光素子17が配列されている。例えば、本実施の形態のように20本の測定用レーザーが用いられる場合には、5行4列のリニアCCD受光素子17が用いられる。
【0051】
各リニアCCD受光素子17と多層化プリズム3の各層10とは光ファイバーケーブル6で接続されている。例えば、本実施の形態では、リニアCCD受光素子17と多層化プリズム3が「測定用レーザーごと」に、つまり「多層化プリズム3の層ごと」に光ファイバーケーブル6で接続される。例えば、各リニアCCD受光素子17の第1列目に相当する部分(図8における一番左の列の受光エリア)は、5本の光ファイバーケーブル6を介して、多層化プリズム3の各層10の第1列目の金属膜13で反射した測定用レーザー(図7における一番左の列の測定セル14で発生した表面プラズモン共鳴現象によって減光した反射光)を検出する。ここでは、説明を省略するが、第2列目〜第4列目についても、第1列目と同様である。
【0052】
コンピューター装置7は、図1に示すように、検出器5(リニアCCD受光素子17)から得られた測定データ(光学データ)を変換するためのコンバーター18と、検出器5(リニアCCD受光素子17)との通信を行うための通信ドライバ19を備えている。このコンバーター18としては、例えば、マルチチャンネル・サンプル/ホールド回路付きのA/Dコンバーターが使用される。また、このコンピューター装置7は、CPU20とRAM21とROM22を備えている。RAM21やROM22には、センサー4の測定セル14に測定試料を入れていない状態の測定データ(ブランク測定時の測定データ)が記憶される。そして、コンピューター装置7は、このブランク測定時の測定データに基づいて、センサー4の測定セル14に測定試料を入れた状態の測定データ(試料測定時の測定データ)を補正する機能を備えている。
【0053】
この機能は、光路の相違によって各測定セル14への光量が相違するのを補正するためのものである。この補正は、種々の方法で行うことが可能であるが、例えば、試料測定時の測定データの値からブランク測定時の測定データの値を減算することによって行われる。すなわち、「補正後の値=試料測定時の値−ブランク測定時の値」という補正用の演算処理が、コンピューター装置7のCPU20で行われる。このコンピューター装置7は、本発明の補正手段に相当する。
【0054】
このような本発明の第1の実施の形態の表面プラズモン共鳴現象測定装置1によれば、複数の試料を同時に分析することができ、しかも、測定前の調整を簡易化することができる。
【0055】
すなわち、本実施の形態では、ラインレーザー光源2から、P偏光方向と平行なラインレーザーであって互いに平行な複数本のラインレーザーL1〜L4が放射され、その複数本のラインレーザーL1〜L4の各々が、複数の層10に多層化されたプリズム3によって、複数の測定用レーザーに分割される。この場合、プリズム3の各層10の層方向(層10が広がる方向、平面方向)は、ラインレーザーL1〜L4のライン方向と交差しており、ライン方向に広がるラインレーザーL1〜L4の各部分がプリズム3の各層10にそれぞれ入射されることによって、ラインレーザーL1〜L4が複数の部分(複数の測定用レーザー)に分割される。したがって、プリズム3の各層10の厚さや層10の数を変える(層の厚さや層の数が異なる別のプリズムに交換する)ことにより、測定用レーザーの照射範囲や数を簡単に調整(増減)することができる。そして、この複数の測定用レーザーが、プリズム3の金属膜13上で反射される。金属膜13上には、複数の測定セル14が設けられており、測定セル14で発生した表面プラズモン共鳴現象によって減光した反射光が、検出器5で検出される。
【0056】
このように、本実施の形態では、ラインレーザーL1〜L4(レーザー光の断面がライン状のレーザー)を光源として用い、そのラインレーザーL1〜L4を多層化プリズム3で分割した各部分を測定用レーザーとして用いているので、測定前の調整(測定用レーザーの照射位置の調整など)を行う場合には、ラインレーザーL1〜L4ごとに調整すれば済む。したがって、従来のように複数本の点レーザー(レーザー光の断面が点状のレーザー)を用いる場合には、複数の「点ごとに」個々に調整する必要があったに比べて、本実施の形態では、複数の測定用レーザーの照射位置等を「ラインごとに」まとめて調整することができ、測定前の調整を大幅に簡易化することができる。このようにして、SPR法によるマルチチャンネル多点計測を実現することができ、一度に多くの試料を測定することが可能になる。したがって、測定効率を向上させることができ、装置を小型化することも可能になる。
【0057】
また、本実施の形態では、レーザービーム光源8と第1光学系(レーザーラインジェネレーターレンズ9)を複数並べて配置することによって、ラインレーザー光源2を構成することができる。すなわち、レーザービーム光源8から放射されたレーザービームは、第1光学系によって、P偏光方向と平行なライン方向に広がる1本のラインレーザーに変換される。そして、このようなレーザービーム光源8と第1光学系を複数並べて配置することによって、互いに平行なライン方向に広がる複数本のラインレーザーL1〜L4を得ることができる。
【0058】
また、本実施の形態では、第1光学系で、レーザーラインジェネレーターレンズ9を用いることによって、1本のレーザービームから、P偏光方向と平行なライン方向で略均一な光強度を持ったシングルラインレーザーを得ることができる。すなわち、シンリンドリカルレンズ9を用いた場合のようなガウス分布を持たず、全体に対して略均一の光強度を持つようなシングルラインレーザーを得ることができる。
【0059】
また、本実施の形態では、検出器5が、リニアCCD受光素子17で構成されているので、受光面積を大きくとることができ、受光のための調整(検出器5で反射光を受光する受光位置の調整など)が不要となる。しかも、各リニアCCD受光素子17が、光ファイバーケーブル6を介して、プリズム3の各層10からの反射光(各層10の測定セル14で発生した表面プラズモン共鳴現象で減光した反射光)を、それぞれ別々に検出できるので、隣り合う層10からの反射光によって光の干渉を受けるのを防ぐことができる。また、光ファイバーケーブル6を用いているので、検出すべき反射光(表面プラズモン共鳴現象で減光した反射光)が、空気中への拡散によって減光してしまうのを防止することができる。また、フレキシブル性を有する光ファイバーケーブル6を用いることによって、リニアCCD受光素子17を、測定対象の反射光の進む方向(延長線上)以外の位置にも自由に配置することができ、装置の内部設計の自由度が上がり、装置の小型化が容易になる。
【0060】
また、本実施の形態では、試料測定時の測定データを、ブランク測定時の測定データに基づいて適切に補正することができるので、より正確な測定結果を得ることができる。
【0061】
(実施例1)
本実施の形態の表面プラズモン共鳴現象測定装置1を用いて、スクロース濃度の20チャンネル同時一斉分析をした実施例を以下に示す。
【0062】
レーザービーム光源8、レーザーラインジェネレーターレンズ9、多層化プリズム3、センサー4、光ファイバーケーブル6、リニアCCD受光素子17を含むSPR測定用の光学系と、コンピューター装置7で実行されるSPR測定用の計測ソフトウエアを作製して、20チャンネルセンサーの評価を行った。
【0063】
レーザービーム光源8からは、波長670nmのレーザービームを放射した。多層化プリズム3は、BK7を材料とした幅3mm厚の光学ガラスプレートを台形形状に加工したものを5枚用意し、周縁部に接着剤11を塗布して貼り合わせ、5層構造の多層化プリズム3を作製した。その多層化プリズム3の反射面に、クロムを5nm蒸着した後、金を45nm蒸着して、センサー4の金属膜13を作製した。
【0064】
このセンサー4の金属膜13の上に、粘着性シリコンシート16(厚さ1mmのサカセ化学製の粘着性シリコンシート)を密着させた。この粘着性シリコンシート16には、直径1mmの4つの孔部15が中心間の距離を4.2mm間隔で設けられており、この4つの孔部15には、吸湿性マイクロ微粒子(ダイヤポリマー株式会社製 商品名 アクアパール)を一定量充填させた。このようにして、1層について4点の測定セル14を持ち、全体として(これらを5層として)20チャンネルの測定セル14を持つセンサー4を作製した。
【0065】
SPRの測定に当たっては、まず、センサー4を所定の位置にセットし、次に14個のセル(セル番号7〜20)に濃度の異なるスクロース(約0.5%〜8.0%の濃度になるように調整したスクロース)を順次マイクロピペットで20μL加えた。残りの6個のセル(セル番号1〜6)には参照としての純水と標準液(1.6%、3.2%、4.8%、6.4%、8.0%のスクロース)を同量入れた。SPR測定装置1の測定ボタン(図示せず)を押すと、直ちに20チャンネル同時にSPR測定が開始され、標準液と純水との差分計測における測定結果が1分後に得られ、コンピューター装置7の画面上に各チャンネルの参照とのSPR強度の差及び測定対象の濃度が表示された。
【0066】
図9は、コンピューター装置7の画面上の表示内容の一部であり、セル番号2〜6の標準液の測定結果が丸印で示されている。この測定結果(標準液の測定結果)から、横軸「スクロース濃度」をxとし、縦軸「SRR強度差」をyとすると、「y=266.14x−187.45」という分析結果が得られた。図9では、この分析結果が直線のグラフで示されている。
【0067】
【表1】

【0068】
表1には、セル番号1〜20の測定結果(差分SPR強度)と、セル番号7〜20のスクロース濃度の推定値(図9の標準液の分析結果のグラフから求めた推定値)が示されている。これらのSPR情報は濃度情報と極めてよく一致しており(R=0.9977)、したがって、本実施の形態の表面プラズモン共鳴現象測定装置1の有用性は明らかである。
【0069】
(実施例2)
また、本実施の形態の表面プラズモン共鳴現象測定装置1の免疫計測への適用の可能性を明らかにするために、ストレプトマイシンとストレプトマイシン抗体を使用して抗原抗体反応に基づく20チャンネル免疫センサーの検証を行った。スクロースの替わりにストレプトマイシンを使用した以外は、実施例1と同様に測定を行った。その結果、以下のように、スクロースの場合と同様の結果が得られ、本発明は免疫計測への応用もできることが明らかになった。
【0070】
すなわち、SPRの測定に当たっては、まず、センサー4を所定の位置にセットし、次に14個のセル(セル番号7〜20)に濃度の異なるストレプトマイシン(約2ppb〜100ppbの濃度になるように調整したストレプトマイシン)を順次マイクロピペットで20μL加えた。残りの6個のセル(セル番号1〜6)には参照としての純水と標準液(10ppb、20ppb、50ppb、80ppb、100ppbのストレプトマイシン)を同量入れた。SPR測定装置1の測定ボタン(図示せず)を押すと、直ちに20チャンネル同時にSPR測定が開始され、標準液と純水との差分計測における測定結果が1分後に得られ、コンピューター装置7の画面上に各チャンネルの参照とのSPR強度の差及び測定対象の濃度が表示された。
【0071】
図10は、コンピューター装置7の画面上の表示内容の一部であり、セル番号2〜6の標準液の測定結果が丸印で示されている。この測定結果(標準液の測定結果)から、横軸「ストレプトマイシン濃度」をxとし、縦軸「SRR強度差」をyとすると、「y=−0.0643x+22.659」という分析結果が得られた。図10では、この分析結果が直線のグラフで示されている。
【0072】
【表2】

【0073】
表2には、セル番号1〜20の測定結果(差分SPR強度)と、セル番号7〜20のストレプトマイシン濃度の推定値(図10の標準液の分析結果のグラフから求めた推定値)が示されている。これらのSPR情報は濃度情報と極めてよく一致しており(R=0.9629)、したがって、本実施の形態の表面プラズモン共鳴現象測定装置1の有用性は明らかである。
【0074】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態の表面プラズモン共鳴現象測定装置1について説明する。ここでは、第2の実施の形態の表面プラズモン共鳴現象測定装置1が、第1の実施の形態と相違する点を中心に説明する。ここで特に言及しない限り、本実施の形態の構成および動作は、第1の実施の形態と同様である。
【0075】
図11は、本実施の形態の表面プラズモン共鳴現象測定装置1の全体の構成を概略的に示した図である。図11に示すように、本実施の形態のラインレーザー光源2は、1本のレーザービームを放射するレーザービーム光源8と、レーザービーム光源8の先端に取り付けられるレーザーラインジェネレーターレンズ9と、レーザーラインジェネレーターレンズ9の先端に取り付けられるビームスプリッター23を備えている。
【0076】
レーザービーム光源8とレーザーラインジェネレーターレンズ9の構成は、第1の実施の形態と同様であり、レーザービーム光源8からは、1本のレーザービームが放射され、レーザーラインジェネレーターレンズ9によって、この1本のレーザービームが、P偏光方向と平行なシングルラインレーザー(P偏光成分の方向と平行な方向に広がったラインレーザー)に変換される。
【0077】
本実施の形態では、レーザービーム光源8とレーザーラインジェネレーターレンズ9の組(シングルラインレーザー光源ともいえる)を1つしか備えておらず、レーザーラインジェネレーターレンズ9から放射されるシングルラインレーザーを、ビームスプリッター23によって、互いに平行な複数本(図11の例では4本)のラインレーザーL1〜L4に変換している。つまり、ビームスプリッター23を用いる点が、第1の実施の形態と相違している。このビームスプリッター23が、本発明の第2光学系に相当する。
【0078】
以下、ビームスプリッター23の構成について、図面を参照しながら詳しく説明する。図11に示すように、ビームスプリッター23は、2段階のスプリッター部(第1スプリッター部24および第2スプリッター部25)を備えている。なお、ここでは、2段階のスプリッター部を備えたビームスプリッター23の場合について説明するが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、スプリッター部は1段階のみでもよく3段階以上でもよい。
【0079】
図12に示すように、第1スプリッター部24は、2つの光学ユニット(第1光学ユニット26と第2光学ユニット28)を備えている。第1光学ユニット26は、直方体の対角面に沿って設けられた半透明金属膜27を有している。この半透明金属膜27は、ハーフミラーとして用いられるものであり、ビームスプリッター23への入射光(レーザーラインジェネレーターレンズ9からのシングルラインレーザー)を透過光と反射光に変換する。第1光学ユニット26の半透明金属膜27(ハーフミラー)は、例えば、単層あるいは多層の誘電体膜などのハイブリッド膜であり、光学的に無偏光の膜で構成される。この半透明金属膜27は、入射光量の45%〜55%を透過光に変換し55%〜45%を反射光に変換するものが好ましく、入射光量の49%〜51%を透過光に変換し51%〜49%を反射光に変換するものがより好ましく、入射光量の50%を透過光に変換し50%を反射光に変換するものが最も好ましい。
【0080】
第2光学ユニット28は、直方体の対角面に沿って設けられた金属膜29を有している。この金属膜29は、ミラーとして用いられるものであり、第1光学ユニット26からの透過光を反射光に変換する。第2光学ユニット28の金属膜29(ミラー)は、例えば、アルミニウム、銀、金などの単層の金属薄膜や、あるいは、これらの金属薄膜に誘電体などの保護膜をコーティングしたハイブリッド膜である。この金属膜29は、入射光量の90%〜100%を反射光に変換するものが好ましく、入射光量の99%〜100%を反射光に変換するものがより好ましく、入射光量の100%を反射光に変換するものが最も好ましい。
【0081】
図12の第1光学ユニット26は、渋谷光学製の誘電体コート並びにマルチARコートが施された3×3×3mmのキューブ型ハーフミラーであり、波長670nm時の入射光(ラインレーザー)が、約50%ずつ透過および反射される。また、図12の第2光学ユニット28は、渋谷光学製のマルチARコートが施された3×3×3mmの直角プリズムであり、波長670nm時の入射光(ラインレーザー)が、約100%反射される。したがって、図12の例では、第1スプリッター部24への入射光(ラインレーザー)の光量を100%とすると、50%の光量の2つの反射光(ラインレーザー)が得られることになる。
【0082】
図13に示すように、第2スプリッター部25は、4つの光学ユニット(2つの第3光学ユニット30と2つの第4光学ユニット32)を備えている。第3光学ユニット30は、直方体の対角面に沿って設けられた半透明金属膜31を有している。この半透明金属膜31は、ハーフミラーとして用いられるものであり、第2スプリッター部25への入射光(第1スプリッター部24からのラインレーザー)を透過光と反射光に変換する。第3光学ユニット30の半透明金属膜31(ハーフミラー)は、例えば、単層あるいは多層の誘電体膜などのハイブリッド膜であり、光学的に無偏光の膜で構成される。この半透明金属膜31は、入射光量の45%〜55%を透過光に変換し55%〜45%を反射光に変換するものが好ましく、入射光量の49%〜51%を透過光に変換し51%〜49%を反射光に変換するものがより好ましく、入射光量の50%を透過光に変換し50%を反射光に変換するものが最も好ましい。
【0083】
第4光学ユニット32は、直方体の対角面に沿って設けられた金属膜33を有している。この金属膜33は、ミラーとして用いられるものであり、第3光学ユニット30からの反射光を反射光に変換する。第4光学ユニット32の金属膜33(ミラー)は、例えば、アルミニウム、銀、金などの単層の金属薄膜や、あるいは、これらの金属薄膜に誘電体などの保護膜をコーティングしたハイブリッド膜である。この金属膜33は、入射光量の90%〜100%を反射光に変換するものが好ましく、入射光量の99%〜100%を反射光に変換するものがより好ましく、入射光量の100%を反射光に変換するものが最も好ましい。
【0084】
図13の第3光学ユニット30は、渋谷光学製の誘電体コート並びにマルチARコートが施された3×3×3mmのキューブ型ハーフミラーであり、波長670nm時の入射光(ラインレーザー)が、約50%ずつ透過および反射される。また、図13の第4光学ユニット32は、渋谷光学製のマルチARコートが施された3×3×3mmの直角プリズムであり、波長670nm時の入射光(ラインレーザー)が、約100%反射される。したがって、図13の例では、第2スプリッター部25への入射光の光量を50%(第1スプリッター部24への入射光の光量を100%)とすると、25%の光量の2つの反射光(ラインレーザー)と25%の光量の2つの透過光(ラインレーザー)が得られることになる。
【0085】
このような本発明の第2の実施の形態の表面プラズモン共鳴現象測定装置1によっても、第1の実施の形態と同様の作用効果が奏される。すなわち、複数の試料を同時に分析することができ、しかも、測定前の調整を簡易化することができる。
【0086】
本実施の形態では、レーザービーム光源8と第1光学系と第2光学系によって、ラインレーザー光源2を構成することができる。すなわち、レーザービーム光源8から放射されたレーザービームが、第1光学系によって、P偏光方向と平行なライン方向に広がるシングルラインレーザーに変換され、このシングルラインレーザーが、第2光学系によって、互いに平行なライン方向に広がる複数本のラインレーザーL1〜L4に変換される。このようにして、互いに平行なライン方向に広がる複数本のラインレーザーL1〜L4を得ることができる。
【0087】
また、本実施の形態では、第2光学系に入射されたレーザー光(入射光)が、第1光学ユニット26の半透明金属膜27によって透過光と反射光に変換され、この透過光が、第2光学ユニット28の金属膜29によって反射光に変換される。このようにして、第2光学系では、1本のレーザー光(第2光学系への入射光)を2本のレーザー光(第1光学ユニット26および第2光学ユニット28からの反射光)に分けることができる。
【0088】
また、本実施の形態では、第2光学系で、1本のレーザー光(第2光学系への入射光)を2本のレーザー光(第1光学ユニット26および第2光学ユニット28からの反射光)に分けたときに、2本のレーザー光(第1光学ユニット26および第2光学ユニット28からの反射光)の光強度が同程度になる。このように、同程度の光強度をもったレーザー光を比較的簡単に作ることができる。
【0089】
また、本実施の形態では、第2光学系に入射されたレーザー光(入射光)が、上述のように、二つの反射光(第1光学ユニット26および第2光学ユニット28からの反射光)に分けられた後、さらに、その反射光が、第3光学ユニット30の半透明金属膜31によって透過光と反射光に変換され、この反射光が、第4光学ユニット32の金属膜33によって反射光に変換される。このようにして、第2光学系では、1本のレーザー光(入射光)から分けられたレーザー光(第1光学ユニット26または第2光学ユニット28からの反射光)を、さらに2本のレーザー光(第3光学ユニット30からの透過光および第4光学ユニット32からの反射光)に分けることができる。
【0090】
また、本実施の形態では、第2光学系で、1本のレーザー光(入射光)から分けられたレーザー光(第1光学ユニット26または第2光学ユニット28からの反射光)を、さらに2本のレーザー光(第3光学ユニット30からの透過光および第4光学ユニット32からの反射光)に分けたときに、その2本のレーザー光(第3光学ユニット30からの透過光および第4光学ユニット32からの反射光)の光強度が同程度になる。このように、同程度の光強度をもったレーザー光を比較的簡単に作ることができる。
【0091】
以上、本発明の実施の形態を例示により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0092】
以上のとおり、本発明によれば、従来のSPR測定装置で極めて困難であったパームサイズ(手のひらサイズ)、オンサイト、リアルタイム、マルチチャンネル同時一斉分析が可能となり、多様性を持つSPR測定分野に新たな展開が開かれたことになった。
【0093】
なお、上述した実施例においては、本発明の効果を証明するという観点からチャンネル数の少ない20チャンネルで検証した。しかし、本発明では、入射光同士の干渉が起こらない条件でセンサーを密にすることができるので、微細加工技術を用いてセンサーをマイクロチップ化にすることで更なる多チャンネル化が容易であり、パームサイズの96穴新規ELISA相当品なども簡単に作ることができる。またパームサイズという条件のままプリズムの層数が増えるような場合でも、プリズムの層の厚さを薄くしていくことで、多チャンネル化に対応できるなど、本発明は多チャンネル化に対して多様性がある。この結果、従来多成分同時分析が望まれていた環境、農薬、食品、ドラッグ、遺伝子などの分野で、本発明に基づく新規化学分析機器の今後の活躍が期待でき、有機物から派生する様々な諸問題の効率的な解決に本発明の寄与は明らかで、本発明は多面的な情報に基づいた信頼性を確立する時代である21世紀における人類の安全と生体サイエンスの草の根的発展に極めて有用であると考えられる。
【符号の説明】
【0094】
1 表面プラズモン共鳴現象測定装置(SPR測定装置)
2 ラインレーザー光源
3 多層化プリズム
4 センサー
5 検出器
6 光ファイバーケーブル
7 コンピューター装置
8 レーザービーム光源
9 レーザーラインジェネレーターレンズ(第1光学系)
10 プリズムの層
11 接着剤
12 隙間(空気の層)
13 金属膜
14 測定セル
15 孔部
16 粘着性シリコンシート
17 リニアCCD受光素子
18 コンバーター
19 通信ドライバ
20 CPU(補正手段)
21 RAM
22 ROM
23 ビームスプリッター(第2光学系)
24 第1スプリッター部
25 第2スプリッター部
26 第1光学ユニット
27 半透明金属膜
28 第2光学ユニット
29 金属膜
30 第3光学ユニット
31 半透明金属膜
32 第4光学ユニット
33 金属膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
P偏光方向と平行なラインレーザーであって互いに平行なライン方向に広がる複数本のラインレーザーを放射するラインレーザー光源と、
前記ラインレーザーのライン方向と交差する層方向を有する複数の層に多層化されたプリズムであって、前記ライン方向に広がる前記ラインレーザーの各部分が前記プリズムの各層にそれぞれ入射されることによって、前記複数本のラインレーザーの各々を複数の測定用レーザーに分割するプリズムと、
前記測定用レーザーを反射するための前記プリズムの各層の反射面に形成された金属膜と、前記金属膜上に形成された複数の測定セルを有するセンサーと、
前記測定セルで発生した表面プラズモン共鳴現象によって減光した反射光を検出する検出器と、
を備えることを特徴とする表面プラズモン共鳴現象測定装置。
【請求項2】
前記ラインレーザー光源は、
1本のレーザービームを放射するレーザービーム光源と、
前記1本のレーザービームを、P偏光方向と平行なライン方向に広がる1本のラインレーザーに変換する第1光学系と、
を備え、
前記レーザービーム光源と前記第1光学系を複数並べて配置することにより、互いに平行なライン方向に広がる前記複数本のラインレーザーを放射する、請求項1に記載の表面プラズモン共鳴現象測定装置。
【請求項3】
前記ラインレーザー光源は、
1本のレーザービームを放射するレーザービーム光源と、
前記1本のレーザービームを、P偏光方向と平行なライン方向に広がるシングルラインレーザーに変換する第1光学系と、
前記シングルラインレーザーを、互いに平行なライン方向に広がる前記複数本のラインレーザーに変換する第2光学系と、
を備える、請求項1に記載の表面プラズモン共鳴現象測定装置。
【請求項4】
前記第2光学系は、
直方体の対角面に沿って設けられた半透明金属膜を有し、前記第2光学系への入射光を前記半透明金属膜によって透過光と反射光に変換する第1光学ユニットと、
直方体の対角面に沿って設けられた金属膜を有し、前記第1光学ユニットからの前記透過光を前記金属膜によって反射光に変換する第2光学ユニットと、
を備える、請求項3に記載の表面プラズモン共鳴現象測定装置。
【請求項5】
前記第1光学ユニットからの前記透過光の光量は、前記第2光学系への入射光の光量の45%〜55%であり、前記第1光学ユニットからの前記反射光の光量は、前記第2光学系への入射光の光量の55%〜45%であり、
前記第2光学ユニットからの前記反射光の光量は、前記第1光学ユニットからの前記透過光の光量の90%〜100%である、請求項4に記載の表面プラズモン共鳴現象測定装置。
【請求項6】
前記第2光学系は、さらに、
直方体の対角面に沿って設けられた半透明金属膜を有し、前記第1光学ユニットまたは前記第2光学ユニットからの前記反射光を前記半透明金属膜によって透過光と反射光に変換する第3光学ユニットと、
直方体の対角面に沿って設けられた金属膜を有し、前記第3光学ユニットからの前記反射光を前記金属膜によって反射光に変換する第4光学ユニットと、
を備える、請求項4または請求項5に記載の表面プラズモン共鳴現象測定装置。
【請求項7】
前記第3光学ユニットからの前記透過光の光量は、前記第1光学ユニットまたは前記第2光学ユニットからの前記反射光の光量の45%〜55%であり、前記第3光学ユニットからの前記反射光の光量は、前記第1光学ユニットまたは前記第2光学ユニットからの前記反射光の光量の55%〜45%であり、
前記第4光学ユニットからの前記反射光の光量は、前記第3光学ユニットからの前記反射光の光量の90%〜100%である、請求項6に記載の表面プラズモン共鳴現象測定装置。
【請求項8】
前記第1光学系は、前記1本のレーザービームを、前記P偏光方向と平行なライン方向で略均一な光強度を持った前記シングルラインレーザーに変換するレーザーラインジェネレーターレンズを備える、請求項2〜請求項7のいずれかに記載の表面プラズモン共鳴現象測定装置。
【請求項9】
前記検出器は、複数のリニアCCD受光素子で構成されており、
前記プリズムの各層と前記複数のリニアCCD受光素子の各々は、光ファイバーケーブルによって接続されており、
各リニアCCD受光素子は、前記光ファイバーケーブルを介して、前記プリズムの各層の前記測定セルで発生した表面プラズモン共鳴現象によって減光した反射光をそれぞれ検出する、請求項1〜請求項8のいずれかに記載の表面プラズモン共鳴現象測定装置。
【請求項10】
前記センサーの前記測定セルに測定試料を入れていないブランク測定時の測定データに基づいて、前記センサーの前記測定セルに測定試料を入れた試料測定時の測定データの補正を行う補正手段を備える、請求項1〜請求項9のいずれかに記載の表面プラズモン共鳴現象測定装置。
【請求項11】
P偏光方向と平行なラインレーザーであって互いに平行なライン方向に広がる複数本のラインレーザーを放射することと、
前記ラインレーザーのライン方向と交差する層方向を有する複数の層に多層化されたプリズムを用いて、前記ライン方向に広がる前記ラインレーザーの各部分を前記プリズムの各層にそれぞれ入射させることによって、前記複数本のラインレーザーの各々を複数の測定用レーザーに分割することと、
前記プリズムの各層の反射面に形成された金属膜上に、複数の測定セルを設けることと、
前記金属膜で、前記測定用レーザーを反射させることと、
前記測定セルで発生した表面プラズモン共鳴現象によって減光した反射光を検出することと、
を含むことを特徴とする表面プラズモン共鳴現象測定方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2012−63238(P2012−63238A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−207471(P2010−207471)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(510249519)株式会社データベース (1)
【出願人】(504193837)国立大学法人室蘭工業大学 (70)
【出願人】(310010575)地方独立行政法人北海道立総合研究機構 (51)
【Fターム(参考)】