説明

表面プラズモン励起蛍光計測装置及び表面プラズモン励起蛍光計測方法

【課題】導電体膜の膜厚の影響が減少し計測の精度が向上する表面プラズモン励起蛍光計測装置及び表面プラズモン励起蛍光計測方法を提供する。
【解決手段】金膜の第1の主面に試料が供給される。金膜の第1の主面に抗体固層膜が定着する。金膜の第2の主面とプリズムの密着面とが密着する。抗体固層膜に被計測物が捕捉され、捕捉された被計測物が蛍光標識される。励起光がプリズムに照射され、蛍光標識された被計測物から放射される表面プラズモン励起蛍光の光量が測定される。膜厚測定光がプリズムに照射され、金膜を透過する透過光の光量が測定される。表面プラズモン励起蛍光の光量の測定値は透過光の光量の測定値により補正される。密着面への励起光の入射角θ1は共鳴角θrに設定される。密着面への膜厚測定光の入射角θ2は臨界角θcより小さい角に設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面プラズモン励起蛍光分光法による計測を行う表面プラズモン励起蛍光計測装置及び表面プラズモン励起蛍光計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
誘電体媒体の中を進む励起光が導電体膜と誘電体媒体との界面に全反射された場合は、界面からエバネッセント波がもれだし、導電体膜の中のプラズモンとエバネッセント波とが干渉する。界面への励起光の入射角が共鳴角に設定されプラズモンとエバネッセント波とが共鳴する場合にエバネッセント波の電場は著しく増強される。表面プラズモン励起蛍光分光法(SPFS)による計測においては、この増強された電場が用いられる。
【0003】
SPFSによる計測においては、導電体膜の表面に被計測物が捕捉され、捕捉された被計測物が蛍光標識される。増強された電場は蛍光標識された被計測物に作用し、蛍光標識された被計測物からは表面プラズモン励起蛍光が放射される。さらに、表面プラズモン励起蛍光の光量が測定され、被計測物の有無、被計測物の捕捉量等が特定される。
【0004】
エバネッセント波の電場増強度は、導電体膜の膜厚に依存する。このため、導電体膜の膜厚にばらつきがある場合は、エバネッセント波の電場増強度にばらつきが生じ、表面プラズモン励起蛍光の光量にばらつきが生じ、計測の精度が低下する。
【0005】
特許文献1においては、表面プラズモン励起蛍光の光量が測定されるときに、散乱光の光量が測定される。また、散乱光の光量から電場増強度が求められ、電場増強度により表面プラズモン励起蛍光の光量が補正される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−216532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、散乱光の光量は導電体膜の表面の状態により変化する。例えば、散乱光の光量は導電体膜の表面の粗さ、うねり等により変化する。このため、特許文献1の補正が行われても計測の精度は不十分である。
【0008】
本発明は、この問題を解決するためになされる。本発明の目的は、導電体膜の膜厚の影響が減少し計測の精度が向上する表面プラズモン励起蛍光計測装置及び表面プラズモン励起蛍光計測方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1から第6までの局面は、表面プラズモン計測装置に向けられる。
【0010】
本発明の第1の局面においては、導電体膜、誘電体媒体、照射機構、測定機構及び補正部が設けられる。
【0011】
導電体膜の第1の主面には試料が供給される。導電体膜の第2の主面と誘電体媒体の密着面とは密着する。
【0012】
照射機構は、誘電体媒体に光を照射し、第1の光路と第2の光路との間で光の光路を切り替える。第1の光路においては、誘電体媒体の内部において臨界角以上の入射角で密着面に光が入射する。第2の光路においては、誘電体媒体の内部において臨界角より小さい入射角で密着面に光が入射する。
【0013】
測定機構は、表面プラズモン励起蛍光及び透過光の光量を測定する。表面プラズモン励起蛍光は、第1の光路を経由する光が誘電体媒体に照射されている間に試料に含まれる被計測物から放射される。透過光は、第2の光路を経由する光が誘電体媒体に照射されている間に導電体膜を透過する。
【0014】
補正部は、表面プラズモン励起蛍光の光量の測定値を透過光の光量の測定値により補正する。
【0015】
本発明の第2の局面は本発明の第1の局面にさらなる事項を付加する。本発明の第2の局面においては、光源、光学系及び駆動機構が照射機構に設けられる。光学系は、光源に放射された光の光路を誘電体媒体へ導く。駆動機構は、光学系を駆動し、光の光路を第1の光路と第2の光路との間で切り替える。
【0016】
本発明の第3の局面は、本発明の第1又は第2の局面にさらなる事項を付加する。本発明の第3の局面においては、第2の光路が第2の主面と垂直をなす。
【0017】
本発明の第4の局面は、本発明の第1から第3までのいずれかの局面にさらなる事項を付加する。本発明の第4の局面においては、光量センサが測定機構に設けられる。光量センサは、表面プラズモン励起蛍光の光路上であって透過光の光路上にある。
【0018】
本発明の第5の局面は、本発明の第1から第4までのいずれの局面にさらなる事項を付加する。本発明の第5の局面においては、透過率導出部、電場増強度特定部及び規格化部が補正部に設けられる。透過率導出部は、測定機構から透過光の光量の測定値を取得し、透過光の光量の測定値から導電体膜の透過率の指標を導出する。電場増強度特定部は、導電体膜の透過率の指標から電場増強度を特定する。規格化部は、測定機構から表面プラズモン励起蛍光の光量の測定値を取得し、電場増強度により表面プラズモン励起蛍光の光量の測定値を規格化する。
【0019】
本発明の第6の局面は、本発明の第5の局面にさらなる事項を付加する。本発明の第6の局面においては、膜厚導出部及び電場増強度導出部が電場増強度特定部に設けられる。膜厚導出部は、導電体膜の透過率の指標から導電体膜の膜厚を導出する。電場増強度導出部は、導電体膜の膜厚から電場増強度を導出する。
【0020】
本発明の第7の局面は、表面プラズモン励起蛍光計測方法に向けられる。
【0021】
本発明の第7の局面においては、導電体膜及び誘電体媒体が準備される。導電体膜の第2の主面と誘電体媒体の密着面とは密着する。導電体膜及び誘電体媒体が準備された後に、誘電体媒体の内部において臨界角より小さい入射角で密着面に光を入射させながら導電体膜を透過する透過光の光量が測定される。透過光の光量が測定された前若しくは後又は透過光の光量が測定されるのと同時に第1の主面に試料が供給される。試料が供給された後に、誘電体媒体の内部において臨界角以上の入射角で密着面に光を入射させながら試料に含まれる被計測物から放射される表面プラズモン励起蛍光の光量が測定される。表面プラズモン励起蛍光の光量の測定値は、透過光の光量の測定値により補正される。
【発明の効果】
【0022】
本発明の第1及び第7の局面によれば、導電体膜の膜厚の影響が減少し、計測の精度が向上する。
【0023】
本発明の第2の局面によれば、第1の光路を経由する光及び第2の光路を経由する光が同一の光源から放射され、光源の数が減少し、表面プラズモン励起蛍光計測装置が簡略化される。
【0024】
本発明の第3の局面によれば、透過光の光量が測定される場合に導電体膜と誘電体媒体との界面における光の反射の影響が減少し、計測の精度が向上する。
【0025】
本発明の第4の局面によれば、表面プラズモン励起蛍光の光量及び透過光の光量が同一の光量センサにより測定され、光量センサの数が減少し、表面プラズモン励起蛍光計測装置が簡略化される。
【0026】
本発明の第5の局面によれば、電場増強度の変化の影響が解消され、計測の精度が向上する。
【0027】
これらの及びこれら以外の本発明の目的、特徴、局面及び利点は、添付図面とともに考慮されたときに下記の本発明の詳細な説明によってより明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】表面プラズモン励起蛍光計測装置の模式図である。
【図2】センサチップの分解図である。
【図3】試料液が流路へ注入された状態の模式図である。
【図4】蛍光標識液が流路へ注入された状態の模式図である。
【図5】励起光の光路の模式図である。
【図6】膜厚測定光の光路の模式図である。
【図7】コントローラのブロック図である。
【図8】透過率と膜厚との関係を示すグラフである。
【図9】膜厚と電場増強度との関係を示すグラフである。
【図10】表面プラズモン励起蛍光計測装置の動作を示すフローチャートである。
【図11】SPR曲線及び入射角と電場増強度との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(表面プラズモン励起蛍光計測装置の概略)
図1の模式図は、表面プラズモン励起蛍光計測装置の望ましい実施形態を示す。
【0030】
図1に示すように、表面プラズモン励起蛍光計測装置1000は、センサチップ1002、照射機構1004、測定機構1006、供給機構1008及びコントローラ1010を備える。センサチップ1002は、金膜1012、プリズム1014、抗体固層膜1016及び流路形成体1018を備える。照射機構1004は、光源1020、光学系1022及び駆動機構1024を備える。測定機構1006は、電荷結合素子(CCD)センサ1026、ローパスフィルタ1028、減光(ND)フィルタ1030、フィルタ入れ替え機構1032及びフォトダイオード1034を備える。光学系1022は、直線偏光板1036、光路切り替えミラー1038及び膜厚測定光導入ミラー1040を備える。
【0031】
表面プラズモン励起蛍光計測装置1000は、表面プラズモン励起蛍光分光法(SPFS)による計測を行う。抗体固層膜1016には被計測物が捕捉される。捕捉された被計測物は蛍光標識される。
【0032】
また、励起光1042がプリズム1014に導かれ、蛍光標識された被計測物から放射される表面プラズモン励起蛍光1044の光量が測定される。
【0033】
さらに、膜厚測定光1050がプリズム1014に導かれ、金膜1012を透過する透過光1046の光量が測定される。表面プラズモン励起蛍光1044の光量の測定値は透過光1046の光量の測定値により補正される。
【0034】
透過光1046の光量は金膜1012の膜厚に依存する。このため、この補正により、表面プラズモン励起蛍光1044の光量の測定値に与える金膜1012の膜厚の影響が減少し、計測の精度が向上する。透過光1046の光量は、散乱光の光量と比較した場合、金膜1012の表面の粗さ、うねり等の影響を受けにくい。
【0035】
表面プラズモン励起蛍光1044の光量が測定される場合は、プリズム1014に励起光1042が照射される。励起光1042は、プリズム1014の内部において密着面1048に全反射される。密着面1048への励起光1042の入射角θ1は共鳴角θrに設定される。励起光1042がプリズム1014に照射されている間は、密着面1048から金膜1012へエバネッセント波がもれだし、エバネッセント波と金膜1012の中のプラズモンとが共鳴し、エバネッセント波の電場が増強される。この増強された電場が蛍光標識された被計測物に作用し、蛍光標識された被計測物から表面プラズモン励起蛍光1044が放射される。表面プラズモン励起蛍光1044の光量はCCDセンサ1026により測定される。
【0036】
透過光1046の光量が測定される場合は、プリズム1014に膜厚測定光1050が照射される。密着面1048への膜厚測定光1050の入射角θ2は臨界角θcより小さい角に設定される。膜厚測定光1050がプリズム1014に照射されている間には、膜厚測定光1050が金膜1012を透過し、透過光1046の光量がCCDセンサ1026により測定される。
【0037】
{センサチップ}
図2の模式図は、センサチップの分解図である。
【0038】
図1及び図2に示すように、センサチップ1002においては、金膜1012の第1の主面1052に抗体固層膜1016が定着し、金膜1012の第1の主面1052に流路形成体1018が接合され、金膜1012の第2の主面1053とプリズム1014の密着面1048とが密着する。流路形成体1018には流路1054が形成される。抗体固層膜1016は流路1054の内部にある。
【0039】
センサチップ1002は、望ましくは、各片の長さが数mmから数cmまでの範囲内にある構造物であるが、「チップ」の範疇に含まれないより小型の構造物又はより大型の構造物に置き換えられてもよい。
【0040】
{金膜}
金膜1012は、薄膜である。金膜1012の膜厚は、望ましくは、30〜70nmである。ただし、金膜1012の膜厚がこの範囲外であってもよい。
【0041】
金膜1012は、スパッタリング、蒸着、メッキ等により形成される。ただし、金膜1012が他の方法により形成されてもよい。
【0042】
金膜1012が表面プラズモン共鳴を発生させる他の種類の導電体からなる膜に置き換えられてもよい。例えば、金膜1012が銀、銅、アルミニウム等の金属又はこれらの金属を含む合金からなる膜に置き換えられてもよい。
【0043】
{プリズム}
プリズム1014は、台形柱体である。望ましくは、プリズム1014は、等脚台形柱体である。プリズム1014の一方の傾斜側面は励起光1042の入射面1066になる。プリズム1014の幅狭の平行側面は膜厚測定光1050の入射面1068になる。プリズム1014の幅広の平行側面は励起光1042の反射面1070及び膜厚測定光1050の出射面1072になる。プリズム1014の他方の傾斜面は励起光1042の出射面1074になる。密着面1048はプリズム1014の幅広の平行側面の全部又は一部を占める。プリズム1014の形状は、臨界角θc以上の入射角θ1で励起光1042を密着面1048へ入射させることができ、臨界角θcより小さい入射角θ2で膜厚測定光1050を密着面1048へ入射させることができるように決められる。
【0044】
臨界角θc以上の入射角θ1で励起光1042を密着面1048へ入射させることができ、臨界角θcより小さい入射角θ2で膜厚測定光1050を密着面1048へ入射させることができる限り、プリズム1014が台形柱体以外でもよく、プリズム1014が「プリズム」の範疇に含まれない形状物に置き換えられてもよい。
【0045】
プリズム1014は、励起光1042及び透過光1046に対して透明な材質からなる誘電体媒体である。プリズム1014は、ガラス、樹脂等からなる。望ましくは、プリズム1014は、屈折率が1.4〜1.6であって複屈折が小さい樹脂からなる。
【0046】
プリズム1014が樹脂からなる場合は、望ましくは、プリズム1014は射出成形により作製される。
【0047】
{流路形成体}
流路形成体1018には、流路1054が形成される。流路1054の途中には反応室1076がある。反応室1076は、接合面1078に露出する。流路形成体1018が金膜1012に接合される場合には、反応室1076の平面位置と抗体固層膜1016の平面位置とが一致させられる。抗体固層膜1016は、反応室1076に露出する。流路1054は、流路形成体1018の非接合面1080に露出し、非接合面1080には注入口1082が形成される。流路形成体1018と金膜1012とは、接着、レーザー溶着、超音波溶着、クランプ圧着等により接合される。ただし、流路形成体1018と金膜1012とが他の方法により接合されてもよい。
【0048】
流路形成体1018は、表面プラズモン励起蛍光1044及び膜厚測定光1050に対して透明な材質からなる。流路形成体1018は、例えば、樹脂等からなる。
【0049】
流路形成体1018は、試料液又は蛍光標識液の飛散を防止し、抗体固層膜1016に接触する試料液又は蛍光標識液の量を一定にすることに寄与する。しかし、流路形成体1018が省略され、抗体固層膜1016の上に試料液又は蛍光標識液が直接的に滴下されてもよい。
【0050】
{供給機構}
供給機構1008は、試料液及び蛍光標識液を流路1054へ注入する。試料液又は蛍光標識液が流路1054へ注入された場合は、それぞれ、試料液又は蛍光標識液で反応室1076が満たされ、第1の主面1052上の抗体固層膜1016に試料液又は蛍光標識液が供給され、試料液又は蛍光標識液が抗体固層膜1016に接触する。
【0051】
{流路への試料液及び蛍光標識液の注入}
図3の模式図は、試料液が流路へ注入された状態を示す。図4の模式図は、蛍光標識液が流路へ注入された状態を示す。
【0052】
図3に示すように、試料液1056が流路1054へ注入された場合は、試料液1056に含まれる抗原1058と抗体固層膜1016に含まれる抗体1064とが生化学反応又は免疫反応により結合し、抗原1058が抗体固層膜1016に捕捉される。また、抗原1058が抗体固層膜1016に捕捉された状態において蛍光標識液1060が流路1054へ注入された場合は、図4に示すように、抗体固層膜1016に捕捉された抗原1058と蛍光標識液1060に含まれる蛍光標識抗体1062とが生化学反応又は免疫反応により結合し、抗体固層膜1016に捕捉された抗原1058が蛍光標識抗体1062に蛍光標識される。免疫反応は、抗原抗体反応とも呼ばれる。
【0053】
{試料液及び蛍光標識液}
試料液1056は、典型的には、血液等の人間からの採取物であるが、人間以外の生物からの採取物であってもよく、非生物からの採取物であってもよい。希釈、血球分離、試薬の混合等の他の前処理が採取物に対して行われてもよい。
【0054】
蛍光標識液1060は、被計測物の抗原1058と結合する蛍光標識抗体1062を含む。蛍光標識抗体1062は、蛍光を放射する蛍光標識となる化学構造部分を含む。
【0055】
試料液1056及び蛍光標識液1060に代えて、それぞれ、気体又は流動性を有する固体からなる試料及び蛍光標識抗体含有物が流路1054へ注入されてもよい。
【0056】
{抗体固層膜}
抗体固層膜1016は、非流動体からなる。したがって、試料液1056又は蛍光標識液1060が抗体固層膜1016に接触しても、抗体固層膜1016は移動しない。
【0057】
抗体1064は、均一に分布する。被計測物に応じて被計測物を捕捉する捕捉体は変更され、被計測物の補足体は抗体固層膜1016に限られない。
【0058】
抗体固層膜1016は、例えば、ラバー製のアプリケーターによりパターニングされる。抗体固層膜1016の直径は、典型的には2mmであり、抗体固層膜1016の層厚は、典型的には100nm以下である。
【0059】
{光源}
図1に示すように、光源1020は、光を放射する。望ましくは、光源1020はレーザーダイオードであり、光源1020から放射される光は、平行光線であり、直線偏光であり、単色光である。
【0060】
光源1020がレーザーダイオード以外であってもよい。例えば、光源1020が発光ダイオード、水銀灯、レーザーダイオード以外のレーザー等であってもよい。光源1020から放射される光が平行光線でない場合は、レンズ、鏡、スリット等により光が平行光線へ変換される。光源1020から放射される光が直線偏光でない場合は、偏光子等により光が直線偏光に変換される。光源1020から放射される光が単色光でない場合は、回折格子等により光が単色光に変換される。
【0061】
{直線偏光板}
直線偏光板1036は、励起光1042の光路上にあり、励起光1042を直線偏光に変換する。励起光1042の偏光方向は、密着面1048に対して励起光1042がp偏光になるように選択される。これにより、エバネッセント波のもれだしが増加し、表面プラズモン励起蛍光1044が増加し、計測の感度が向上する。
【0062】
{光学系}
図5の模式図は、励起光の光路を示す。図6の模式図は、膜厚測定光の光路を示す。
【0063】
図5に示すように、光源1020から放射された光が励起光1042として利用される場合は、光源1020から放射された光が光路切り替えミラー1038により反射される。光路切り替えミラー1038により反射された光はプリズム1014に照射される。プリズム1014に照射された光は、励起光1042の入射面1066へ入射し、密着面1048に反射され、励起光1042の出射面1074から出射する。密着面1048への励起光1042の入射角θ1は、全反射条件θc≦θ1を満たす。したがって、励起光1042が密着面1048へ入射した場合は、励起光1042が密着面1048に全反射され、図4に示すように、金膜1012にエバネッセント波1082がもれだし、エバネッセント波1082が増強される。
【0064】
図6に示すように、光源1020から放射された光が膜厚測定光1050として利用される場合は、光源1020から放射された光が光路切り替えミラー1038により反射される。光路切り替えミラー1038により反射された光は膜厚測定光導入ミラー1040にさらに反射される。膜厚測定光導入ミラー1040により反射された光は、プリズム1014に照射される。プリズム1014に照射された光は、膜厚測定光1050の入射面1068へ入射し、密着面1048から出射し、金膜1012の第2の主面1053へ入射し、金膜1012を透過し、金膜1012の第1の主面1052から出射する。密着面1048への膜厚測定光1050の入射角θ2は、全反射条件θc≦θ2を満たさず(θ2<θc)、望ましくは0°である。密着面1048への膜厚測定光1050の入射角θ2が0°である場合は、膜厚測定光1050の光路が第2の主面1053と垂直をなし、膜厚測定光1050が金膜1012に垂直に入射し、金膜1012とプリズム1014との界面における膜厚測定光1050の反射の影響が抑制され、計測の精度が向上する。
【0065】
光源1020から放射された光の光路を励起光1042の光路と膜厚測定光1050の光路との間で切り替えるため、図1に示すように、光路切り替えミラー1038の位置及び姿勢が駆動機構1024により調整される。駆動機構1024は、密着面1048への励起光1044の入射角θ1を調整するためにも用いられる。駆動機構1024は、モータ、圧電アクチュエータ等の駆動力源を備える。駆動機構1024は、光路切り替えミラー1036を回転させ、光路切り替えミラー1036の姿勢を調整する。駆動機構1024は、光路切り替えミラー1036をリニアステージの上で移動させ、光路切り替えミラー1036の位置を調整する。
【0066】
他の種類の光学系により光源1020から放射された光の光路が励起光1042の光路と膜厚測定光1050の光路との間で切り替えられてもよい。例えば、光路切り替えミラー1038及び膜厚測定光導入ミラー1040の両方又は片方がプリズム等の他の種類の屈曲光学素子に置き換えられてもよい。光路切り替えミラー1038及び膜厚測定光導入ミラー1040以外の光学素子が設けられてもよい。光路切り替えミラー1038の位置及び姿勢を調整する駆動機構に代えて、又は、光路切り替えミラー1038の位置及び姿勢を調整する駆動機構に加えて、光路切り替えミラー1038以外の光学素子の位置及び姿勢を調整する駆動機構、光源1020の位置及び姿勢を調整する機構が設けられてもよい。
【0067】
望ましくは、同一の光源1020から放射された光の光路が励起光1042の光路と膜厚測定光1050の光路とに光学系1022により切り替えられる。これにより、励起光1042及び膜厚測定光1050が同一の光源1020から放射され、光源1020の数が減少し、表面プラズモン励起蛍光計測装置1000が簡略化される。ただし、光源の数が増加するが、励起光1042を放射する光源と膜厚放射光1050を放射する光源とが別個であってもよい。励起光1042の波長及び膜厚測定光1050の波長は、望ましくは同じであるが、異なってもよい。
【0068】
{CCDセンサ}
CCDセンサ1026は、表面プラズモン励起蛍光1044の光路上であって透過光1046の光路上にあり、表面プラズモン励起蛍光1044の光量及び透過光1046の光量の両方を測定する。これにより、表面プラズモン励起蛍光1044の光量及び透過光1046の光量が同一のCCDセンサ1026により測定され、CCDセンサの数が減少し、表面プラズモン励起蛍光計測装置1000が簡略化される。このためには、表面プラズモン励起蛍光1044の光路及び透過光1046の光路の少なくとも一部が一致する必要がある。ただし、CCDセンサの数が増加するが、表面プラズモン励起蛍光1044の光路及び透過光1046の光路が完全に分離されてもよく、表面プラズモン励起蛍光1044の光量を測定するCCDセンサと透過光1046の光量を測定するCCDセンサとが別個であってもよい。CCDセンサ1026が光電子増倍管(PMT)等の他の形式の光量センサに置き換えられてもよい。
【0069】
反射光1084の光量が極小になる入射角θ1ではなく散乱光の光量が極大になる入射角θ1から共鳴角θrが決定される場合は、望ましくは、CCDセンサ1026は、散乱光の光路上にあり、散乱光の光量も測定する。ただし、CCDセンサ1026とは別個のCCDセンサが散乱光の光量を測定してもよい。
【0070】
{ローパスフィルタ、減光フィルタ及びフィルタ入れ替え機構}
フィルタ入れ替え機構1032は、光路に挿入されるフィルタをローパスフィルタ1028と減光フィルタ1030との間で切り替える。図5に示すように、表面プラズモン励起蛍光1044の光量が測定される場合は、ローパスフィルタ1028が表面プラズモン励起蛍光1044の光路に挿入される。図6に示すように、透過光1046の光量が測定される場合は、減光フィルタ1030が透過光1046の光路に挿入される。
【0071】
ローパスフィルタ1028は、カットオフ波長より長い波長の光を透過し、カットオフ波長より短い波長の光を減衰させる。カットオフ波長は、励起光1042の波長から表面プラズモン励起蛍光1044の波長までの範囲内で選択される。例えば、励起光1042の波長が約640nmであって表面プラズモン励起蛍光1044の波長が670nmである場合は、650nmがカットオフ波長として選択される。ローパスフィルタ1028が表面プラズモン励起蛍光1044の光路に挿入された場合は、励起光1042はローパスフィルタ1028により減衰し、励起光1042のごく一部がCCDセンサ1026に到達するが、表面プラズモン励起蛍光1044はローパスフィルタ1028を透過し、表面プラズモン励起蛍光1044の大部分がCCDセンサ1026に到達する。これにより、相対的に光量が小さい表面プラズモン励起蛍光1044の光量が測定される場合に相対的に光量が大きい散乱光の影響が抑制され、計測の精度が向上する。
【0072】
減光フィルタ1030は、光を減衰させる。減光フィルタ1030が透過光1046の光路に挿入された場合は、透過光1046は減光フィルタ1030により減衰し、透過光1046の一部がCCDセンサ1026に到達する。これにより、相対的に光量が大きい透過光1046の光量と相対的に光量が小さい表面プラズモン励起蛍光1044の光量とが同一のCCDセンサ1026により容易に測定される。
【0073】
表面プラズモン励起蛍光1044の光路及び透過光1046の光路が分離される場合は、フィルタ入れ替え機構1032が省略される場合もある。表面プラズモン励起蛍光1044の光量を測定する光量センサと透過光1046の光量を測定する光量センサとが別個であり、透過光1046の光量を測定する光量センサの感度が低い場合は、減光フィルタ1030が省略されてもよい。
【0074】
{フォトダイオード}
図1に示すように、フォトダイオード1034は、励起光1042の出射面1074から出射した励起光1042、すなわち、反射光1084の光路上にあり、反射光1084の光量を測定する。フォトダイオード1034がフォトトランジスタ、フォトレジスタ等の他の形式の光量センサにより測定されてもよい。散乱光の光量が極大になる入射角θ1から共鳴角θrが決定される場合は、フォトダイオード1034が省略されてもよい。
【0075】
{コントローラ}
図7のブロック図は、コントローラを示す。
【0076】
図7に示すように、コントローラ1010は、運転制御部1100及び補正部1102を備える。補正部1102は、透過率導出部1104、電場増強度特定部1106、規格化部1108及び記憶部1110を備える。電場増強度特定部1106は、膜厚導出部1112及び電場増強度導出部1114を備える。
【0077】
運転制御部1100は、表面プラズモン励起蛍光計測装置1000のハードウエアの構成物を制御し、表面プラズモン励起蛍光計測装置1000の運転を担う。補正部1102は、演算を行い、透過光1046の光量の測定値による表面プラズモン励起蛍光1044の光量の測定値の補正を担う。
【0078】
透過率導出部1104は、CCDセンサ1026から透過光1046の光量の測定値を取得し、透過光1046の光量の測定値から金膜1012の透過率の指標を導出する。透過率の指標は、透過率そのものであってもよいし、透過率と一対一に対応する値であってもよい。例えば、金膜1012の第2の主面1053へ入射する膜厚測定光1050の光量が一定であって金膜1012の第1の主面1052からCCDセンサ1026までの区間における膜厚測定光1050の減衰が一定であるとみなせる場合は、透過光1046の光量の測定値そのものが透過率の指標となりうる。透過率の指標は、減光フィルタ1030の減衰率及び膜厚測定光1050の光量で透過光1046の光量の測定値を除することにより導出される。
【0079】
電場増強度特定部1106は、金膜1012の透過率の指標から電場増強度を特定する。
【0080】
膜厚導出部1112は、金膜1012の透過率の指標から金膜1012の膜厚を導出する。金膜1012の膜厚が導出される場合には、記憶部1110に記憶された金膜1012の透過率の指標と金膜1012の膜厚との関係1116が参照され、透過率導出部1104により特定された金膜1012の透過率の指標に対応する金膜1012の膜厚が特定される。
【0081】
図8のグラフは、膜厚測定光1050の波長が635nmであり、金膜1012の光学定数がn=0.22273及びk=3.4533であるとした場合に理論的に得られる金膜1012の透過率と金膜1012の膜厚と関係を示す。
【0082】
電場増強度導出部1114は、金膜1012の膜厚から電場増強度を導出する。電場増強度が導出される場合は、記憶部1110に記憶された金膜1012の膜厚と電場増強度との関係1118が参照され、膜厚導出部1112により導出された金膜1012の膜厚に対応する電場増強度が特定される。
【0083】
電場増強度は、入射角θ1にも依存し、電場増強度が最大になる入射角θ1は金膜1012の膜厚によって変化する。このため、望ましくは、金膜1012の膜厚ごとに電場増強度が最大になる入射角θ1が特定され、電場増強度が最大となる入射角θ1で密着面1048に励起光1042が入射した場合の金膜1012の膜厚と電場増強度との関係が用いられる。
【0084】
図9のグラフは、金膜1012の膜厚と電場増強度との関係の一例を示す。図9は、プリズム1014の2種類の樹脂材料である「E48R」及び「BK7」について理論的に得られる金膜1012の膜厚と電場増強度との関係を示す。
【0085】
関係1116及び1118は、典型的には、数値テーブルである。ただし、関係1116及び1118が演算式として与えられてもよい関係1116及び係1118は、理論的に求められるが、実測されてもよい。
【0086】
関係1116及び1118が結合され、金膜1012の透過率の指標と電場増強度との関係が記憶部1110に記憶されてもよい。この場合は、電場増強度特定部1106において、金膜1012の膜厚を経由せずに金膜1012の透過率の指標から電場増強度が直接的に導出される。
【0087】
規格化部1108は、CCDセンサ1026から表面プラズモン励起蛍光1044の光量の測定値を取得し、電場増強度特定部1106により特定された電場増強度により表面プラズモン励起蛍光1044の光量の測定値を規格化する。規格化は、表面プラズモン励起蛍光1044の光量の測定値を電場増強度で除することにより行われる。
【0088】
コントローラ1010は、ソフトウエアを実行する組み込みコンピュータである。1個の組み込みコンピュータが図7に示すブロックの機能を担ってもよいし、2個以上の組み込みコンピュータが分担して図7に示すブロックの機能を担ってもよい。ソフトウエアを伴わないハードウエアが図7に示すブロックの全部又は一部の機能を担ってもよい。ハードウエアは、例えば、オペアンプ、コンパレータ等の電子回路である。図7に示すブロックによる処理の全部又は一部が、人間の手作業により実行されてもよく、表面プラズモン励起蛍光計測装置1000の外部において実行されてもよい。
【0089】
(表面プラズモン励起蛍光計測装置の動作)
図10のフローチャートは、表面プラズモン励起蛍光計測装置の動作を示す。
【0090】
図10に示すように、センサチップ1002が準備され、表面プラズモン励起蛍光計測装置1000にセンサチップ1002が取り付けられる(ステップS101)。
【0091】
センサチップ1002が取り付けられた後に、透過光1046の光量が測定される(ステップS102)。透過光1046の光量が測定される場合は、駆動機構1024及びCCDセンサ1026が運転制御部1100により制御される。光路切り替えミラー1038の位置及び姿勢が駆動機構1024により調整され、光源1020から放射された光の光路が膜厚測定光1050の光路に設定される。同時に、透過光1046の光量がCCDセンサ1026により測定される。透過光1046の光量の測定値は、コントローラ1010へ転送される。
【0092】
透過光1046の光量が測定された後に、入射角θが測定角θmに設定される(ステップS103)。入射角θが測定角θmに設定される場合は、駆動機構1024及びフォトダイオード1034が運転制御部1100により制御される。光路切り替えミラー1038の位置及び姿勢が駆動機構1024により調整され、光源1020から放射された光の光路が励起光1042の光路に設定される。また、入射角θ1が予想される共鳴角θrの近傍において走査される。入射角θ1の走査と並行して、反射光1084の光量がフォトダイオード1034により測定される。反射光1084の光量の測定値は、コントローラ1010へ転送される。入射角θ1と反射光1084の光量との関係を示す表面プラズモン共鳴(SPR)曲線から反射光1084の光量が極小になる入射角θ1である共鳴角θrが特定され、共鳴角θrから測定角θmが決定される。共鳴角θrと電場増強度が極大になる入射角θ1とはわずかに異なるので、望ましくは、微小角が共鳴角θrに可算又は減算され測定角θmが決定される。図11のグラフは、SPR曲線及び入射角と電場増強度との関係を示す。
【0093】
入射角θ1が測定角θmに設定された後に、試料液1056及び蛍光標識液1060が流路1054へ順次に注入される(ステップS104)。試料液1056及び蛍光標識液1060が流路1054に順次に注入される場合は、供給機構1008が運転制御部1100により制御される。これにより、試料液1056及び蛍光標識液1060が抗体固層膜1016に順次に供給され、蛍光標識された抗原1058が抗体固層膜1016に捕捉された状態になる。膜厚測定光1050の光路が流路1054を通過する場合は、望ましくは、透過光1046の光量が測定された後に試料液1056及び蛍光標識液1060が流路1054に注入される。しかし、膜厚測定光1050の光路が流路1054を通過しない場合は、透過光1046の光量が測定された前及び後のいずれに試料液1056及び蛍光標識液1060が流路1054に注入されてもよく、透過光1046の光量が測定されるのと同時に試料液1056及び蛍光標識液1060が流路1054に注入されてもよい。
【0094】
試料液1056及び蛍光標識液1060が流路1054に注入された後に、表面プラズモン励起蛍光1044の光量が測定される(ステップS105)。表面プラズモン励起蛍光1044の光量が測定される場合は、CCDセンサ1026が運転制御部1100により制御される。表面プラズモン励起蛍光1044の光量はCCDセンサ1026により測定される。表面プラズモン励起蛍光1044の光量の測定値は、コントローラ1010へ転送される。
【0095】
表面プラズモン励起蛍光1044の光量を測定する光量センサと透過光1046の光量を測定する光量センサとが別個であり、励起光1042を放射する光源1020と膜厚測定光1050を放射する光源1020とが別個であり、膜厚測定光1050が流路1054を通過しない場合は、表面プラズモン励起蛍光1044の光量の測定と同時に透過光1046の光量が測定されてもよい。
【0096】
表面プラズモン励起蛍光1044の光量が測定された後に、補正部1102において表面プラズモン励起蛍光1044の光量の測定値が透過光1046の光量の測定値により補正される(ステップS106)。
【0097】
この発明は詳細に説明されたが、上記の説明は、すべての局面において例示であり、この発明は上記の説明に限定されない。例示されない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定されうる。
【符号の説明】
【0098】
1000 表面プラズモン励起蛍光計測装置
1004 照射機構
1006 測定機構
1012 金膜
1020 光源
1022 光学系
1024 駆動機構
1042 励起光
1044 表面プラズモン励起蛍光
1046 透過光
1050 膜厚測定光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面プラズモン励起蛍光計測装置であって、
第1の主面及び第2の主面を有し、前記第1の主面上に試料が供給される導電体膜と、
前記第2の主面と密着する密着面を有する誘電体媒体と、
前記誘電体媒体に光を照射し、前記誘電体媒体の内部において臨界角以上の入射角で前記密着面に前記光が入射する第1の光路と前記誘電体媒体の内部において前記臨界角より小さい入射角で前記密着面に前記光が入射する第2の光路との間で前記光の光路を切り替える照射機構と、
前記第1の光路を経由する前記光が前記誘電体媒体に照射されている間に前記試料に含まれる被計測物から放射される表面プラズモン励起蛍光及び前記第2の光路を経由する前記光が前記誘電体媒体に照射されている間に前記導電体膜を透過する透過光の光量を測定する測定機構と、
前記測定機構により測定された表面プラズモン励起蛍光の光量の測定値を前記測定機構により測定された透過光の光量の測定値により補正する補正部と、
を備える表面プラズモン励起蛍光計測装置。
【請求項2】
請求項1の表面プラズモン励起蛍光計測装置において、
前記照射機構は、
前記光を放射する光源と、
前記光源から放射された前記光を前記誘電体媒体へ導く光学系と、
前記光学系を駆動し、前記光の光路を前記第1の光路と前記第2の光路との間で切り替える駆動機構と、
を備える表面プラズモン励起蛍光計測装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2の表面プラズモン励起蛍光計測装置において、
前記第2の光路は前記第2の主面と垂直をなす
表面プラズモン励起蛍光計測装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれかの表面プラズモン励起蛍光計測装置において、
前記測定機構は、
前記表面プラズモン励起蛍光の光路上であって前記透過光の光路上にある光量センサ
を備える表面プラズモン励起蛍光測定装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれかの表面プラズモン励起蛍光計測装置において、
前記補正部は、
前記測定機構から前記透過光の光量の測定値を取得し、前記透過光の光量の測定値から前記導電体膜の透過率の指標を導出する透過率導出部と、
前記導電体膜の透過率の指標から電場増強度を特定する電場増強度特定部と、
前記測定機構から前記表面プラズモン励起蛍光の光量の測定値を取得し、前記電場増強度により前記表面プラズモン励起蛍光の光量の測定値を規格化する規格化部と、
を備える表面プラズモン励起蛍光計測装置。
【請求項6】
請求項5の表面プラズモン励起蛍光計測装置において、
前記電場増強度特定部は、
前記導電体膜の透過率の指標から前記導電体膜の膜厚を導出する膜厚導出部と、
前記導電体膜の膜厚から前記電場増強度を導出する電場増強度導出部と、
を備える表面プラズモン励起蛍光計測装置。
【請求項7】
表面プラズモン励起蛍光計測方法であって、
(a) 第1の主面及び第2の主面を有する導電体膜並びに前記第2の主面と密着する密着面を有する誘電体媒体を準備する工程と、
(b) 前記工程(a)の後に前記誘電体媒体の内部において臨界角より小さい入射角で前記密着面に光を入射させながら前記第導電体膜を透過する透過光の光量を測定する工程と、
(c) 前記工程(b)の前若しくは後又は前記工程(b)と同時に前記第1の主面に試料を供給する工程と、
(d) 前記工程(c)の後に前記誘電体媒体の内部において前記臨界角以上の入射角で前記密着面に光を入射させながら前記試料に含まれる被計測物から放射される表面プラズモン励起蛍光の光量を測定する工程と、
(e) 前記工程(d)において測定された前記表面プラズモン励起蛍光の光量の測定値を前記工程(b)において測定された前記透過光の光量の測定値により補正する工程と、
を備える表面プラズモン励起蛍光計測方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−220294(P2012−220294A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−85083(P2011−85083)
【出願日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】