説明

表面上の位置に固有の情報を外部供給源と同期させる方法及びシステム

回転するレコードの溝内のスタイラスの位置決定を助けるセンサを含む装置。スタイラスの位置は、溝内の一意の位置に存在するオーディオ波形の一部分に対応する。スタイラスの位置とオーディオ波形の部分との対応を使用して、外部ディジタル供給源をアナログ波形と同期させることができる。高速ディジタルデータ経路が、ターンテーブルプラッタを含む制御ユニットを信号処理ユニットに接続する。信号処理ユニット内のソフトウェアが、アナログ波形と外部ディジタル供給源からのディジタル信号とを同期させる。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本願は、2005年2月1日出願の米国特許出願第11/046761号の利益を主張するものであり、この特許出願は、完全に本明細書に記載されているものとしてその全体を参照により本明細書に包含する。
【0002】
(発明の背景)
(発明の分野)
本発明は、ユーザによって選択された表面上の位置を検出し、検出された位置に対する情報に基づいてディジタル供給源を操作するシステム及び方法に関する。
【0003】
(関連技術の説明)
アナログデバイスを操作するためにディスクジョッキー(DJ)によって使用される技術はほぼ共通である。そのような技術の目標は、通常、少なくとも2つのデバイスの間で信号(例えば、オーディオ、ビデオ等)をロック又は同期させることを伴う。これまでに、DJに関して最も人気のあるアナログデバイスは、アナログビニールレコードから音声を作ることができるアナログレコードターンテーブルである。最近、コンパクトディスク(CD)からディジタル化されたアナログ音声を作ることができるCDプレイヤがDJによって受け入れられ、使用されるようになってきた。しかし、CDプレイヤの操作は、従来のアナログターンテーブルほど簡単には達成されない。
【0004】
長年に亘り、アナログターンテーブルを操作するようにCDプレイヤを操作する複数の技術が提案されている。そのような技術の1つは、トラッキング情報を導出するために使用される、ビニールアナログレコードに埋め込まれたタイムコードの使用を伴う。従来のアナログターンテーブルを用いてビニールアナログレコードを「再生する」ことによって、それに埋め込まれたタイムコードを読み取り、CDプレイヤ等の外部ディジタル音源と同期させるのに使用することができる。しかし、この技術を実施する際に、ビニールレコードが再生されている間及び従来のレコードプレイヤが操作されている時に待ち時間が有害に導入され、システムの応答性が劣化する。更に、ビニールレコードに埋め込まれたアナログタイムコードは経時的に摩耗する可能性があり、これによって値段の高い交換ビニールレコードが必要になる。ビニールレコードが交換されない場合、誤りのある再生挙動が生じる。最後に、通常のビニールレコード(タイムコードが埋め込まれていないビニールレコード)が前述のシステムを使用して再生される時、DJは、ディジタル供給源(例えば、音源)を制御及び操作することができない。
【0005】
従来のスリップマットは、ターンテーブルプラッタが回転している時に、ユーザが効果的にレコードのキュー、ビートマッチ、スクラッチ等を行うことを可能にする。スリップマットは、ターンテーブルプラッタが通常の速さで回転している時にレコードをつかむのに丁度十分な摩擦をもたらす。スリップマットは、通常、ターンテーブルプラッタが回転し続けている間に所定の力がレコードに加えられる時、回転を停止する。所定の力がレコードから除去されると、スリップマットはターンテーブルプラッタをつかみ、回転を再開する。スリップマットを形成する材料の種類に応じて、異なるスリップマットは、レコードのキュー、ビートマッチ、スクラッチ等を行うために異なる力の印加を必要とする場合がある。異なるユーザは、様々な活動について異なるスタイル及び好みを有するので、任意の1人のユーザが異なる目的でレコードに異なる大きさの圧力を加える場合があると仮定すると、いずれの従来のスリップマットもが、ユーザの全ての要求を適当に満足することはできない。
【0006】
最後に、従来のアナログターンテーブルは、ユーザがアナログレコードを操作することだけを可能にする。従来のアナログターンテーブルでは、ユーザは、ディジタル媒体に格納されたオーディオファイルが出力される形を制御し、操作することができない。
【0007】
本発明の原動力となったのは、従来の音声操作技術に関するこれらの問題の理解及び認識であった。
【0008】
(発明の要約)
従って、本発明は、関連技術の制限及び不利益に起因する問題のうちの1つ又は複数を実質的に除去する、表面上の位置に固有の情報を外部供給源と同期させる方法及びシステムを対象とする。
【0009】
本発明の利点は、ユーザ、例えばDJが、既存ビニールレコードを再生できるアナログ制御ユニットを介して、オーディオディジタル媒体及びビデオディジタル媒体を制御できることである。
【0010】
本発明のもう1つの利点は、所定の曲に関係付けられた情報をユーザに供給することである。この情報は、ユーザが、ビニールレコードをディジタル供給源に1回だけ同期化し、それを将来の使用のために格納することを可能にする。
【0011】
本発明の原理によれば、トラッキング情報は、ビニールレコード内に埋め込まれたタイムコードから供給されるのではない。そうではなく、トラッキング情報は、制御ユニットから入手される寸法情報から計算することができる。この寸法情報は、ビニールレコードの溝内のアナログターンテーブルからのスタイラスの実際の位置に関係する。
【0012】
従って、本発明のシステムは、溝内のスタイラスの微小ですばやい動き、並びにスタイラスが既存レコード上に垂直に配置される任意の位置を追跡する。本発明はまた、ビニールレコードを介してディジタル供給源を操作する既存の方法の制御(微調整)を更に安定化させる。更に、ユーザは、任意の点で既存ビニールレコードの再生を開始でき、タイムコードが追い付いて外部ディジタル供給源とロックするまで時間を浪費しなくて済む。
【0013】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の説明で示され、一部はこの説明から明白になるか、或いは本発明の実践によって習得することができる。本発明の目的及び他の利点は、以下の説明及び特許請求の範囲、並びに添付図面で具体的に指摘される構造によって実現及び達成される。
【0014】
上記及び他の利点を達成するため、実施され、且つ広義に説明されるように、本発明の目的に従って、表面上の位置に固有の情報をディジタル供給源と同期させる装置は、ピンと、アームを介してピンにピボット回転可能に結合され、スタイラスから第1の所定の距離に配置されるスタイラスと、アームの位置に関連する位置データを生成する位置エンコーダと、スタイラスに結合され、アームの位置に関連するアナログ電気信号を生成できるアナログ信号供給源と、ディジタル信号、位置データ、及びアナログ電気信号を受け取り、ディジタル信号を出力する信号処理ユニットとを含み、位置データは、ディジタル信号の出力を制御する。
【0015】
本発明の別の態様では、アナログ信号及びディジタル信号を処理する方法は、アナログオーディオ波形を生成することと、生成されたアナログオーディオ波形の部分に関連する位置データを生成することと、ディジタル信号を供給することと、位置データに基づいてディジタル信号を出力することとを含む。
【0016】
前述の全般的な説明と次の詳細な説明は共に、例示的且つ説明的なものであり、請求の範囲に規定される発明の更なる説明を提供することを意図している。
【0017】
添付図面は、本発明の理解を深めるために含まれ、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成しており、本発明の実施形態を示し、この説明と共に、本発明の原理を説明する。
【0018】
(図示の実施形態の詳細な説明)
以下に、本発明の実施形態に詳細に言及するが、これらの実施形態の例が、添付図面に示されている。
【0019】
図1に、アナログ信号供給源(例えば、ビニールアナログオーディオレコード)の表面上の位置に固有のオーディオ情報を少なくとも1つのディジタル外部データ供給源と同期化させ、同期させた情報を少なくとも1つのディジタル外部データ供給源と同時に出力する装置の全体を示す。
【0020】
本発明の原理によれば、同期化は、2つの関連するプログラム材料を時間的に一緒にロックした状態に保つ処理と解釈することができる。同期化は、マスタデバイスによって作られる信号が、スレーブデバイスによって作られる信号を制御することを必要とする。従って、マスタデバイスからの信号は、スレーブデバイスからいつどれ位の速さで信号を出力しなければならないかを決定する。従って、マスタデバイスによって出力される信号の変化は、スレーブデバイスによって出力される信号の変化として反映される。
【0021】
図1に示すように、マスタデバイスは、データプロセッサユニット200を介して外部ディジタルデータ供給源300等の少なくとも1つのスレーブデバイスに結合されたコントローラユニット100、例えばターンテーブルユニットとして特徴付けることができる。本発明の一態様によれば、コントローラユニット100及びデータプロセッサユニット200は、物理的に別々のデバイスとして特徴付けることができる。しかし、本発明の代替的態様によれば、コントローラユニット100及びデータプロセッサユニット200を、単一の一体式デバイス内に組み込むことができる。
【0022】
本発明の一態様では、コントローラユニット100及びデータプロセッサユニット200を使用してレコードの溝内のスタイラス(例えば、針)の位置即ち針位置を判定することにより、レコード上の所定の位置に固有のアナログオーディオ波形を、外部ディジタルデータ供給源からの信号と同期させることができる。データプロセッサユニット200は、針位置を、サンプリングされたオーディオ波形の一部分に関連する対応情報と突き合わせることができる。次に、突き合わされた針位置を、例えば外部ディジタルデータ供給源のディジタル信号の一部分と関連付けることができる。従って、アナログレコードからの音声を、少なくとも1つの外部ディジタルデータ供給源のディジタル信号と同時に出力することができる。
【0023】
本発明の別の態様では、コントローラユニット100上の出力ポート102を、データプロセッサユニット200上の対応するSCSI、USB、又は他の適切な種類のポート202に結合し、ディジタル化されたオーディオ信号及びトラック内針位置を判定する際に有用な情報をコントローラユニット100からデータプロセッサユニット200に通信することができる。コントローラユニット100上のアナログオーディオ出力ポート104を、スピーカ等の外部出力デバイス430上の対応するポートに結合し、レコード上の位置に対応するオーディオ信号と同期化されたオーディオ信号を出力することができる。データプロセッサユニット200上の、例えばモデム、シリアル、パラレル、DSL、T1等の通信ポートを、例えばディジタルオーディオ情報又はディジタルビデオ情報を含むデバイス等のディジタル外部データ供給源300に結合し、少なくとも1つのディジタル外部データ供給源の出力を受け取ることができる。データプロセッサユニット200上のビデオ出力ポート206aを、ビデオモニタ等の外部出力デバイス410上の対応するポートに結合し、レコード上の位置に対応するオーディオ信号と同期化されたビデオデータを出力することができる。外部出力デバイス410は、聴衆又はユーザのいずれかに同期化されたビデオデータを出力するプログラムビデオモニタを含むものとすることができる。データプロセッサユニット200上のビデオ出力ポート206bを、ビデオモニタ等の外部出力デバイス450上の対応するポートに結合し、例えばレコード上の位置に対応するオーディオ信号と同期化されていないビデオデータ、又は、同期化されているが閲覧されていないビデオデータ、又はまだ聴衆によって閲覧されていないビデオデータを出力することができる。従って、外部出力デバイス450をユーザが使用して、オーディオ信号と同期化させる前にビデオデータを見ることができる。データプロセッサユニット200上のディジタルオーディオ出力ポート207を、スピーカ等の外部出力デバイス420上の対応するポートに結合し、レコード上の位置に対応するオーディオ信号と同期化させたオーディオ信号を出力することができる。データプロセッサユニット200上のMIDI出力ポート208を、ディジタル記録デバイス又はディジタル再生デバイス440上の対応するMIDIポートに結合し、レコード上の位置に対応するオーディオ信号と同期化させたディジタル外部データを記録し、及び/又は再生することができる。コントローラユニット100上の出力ポート106を、データプロセッサユニット上の対応するミキサポート209に結合し、ディジタル化されたミキシング信号を制御ユニットからデータプロセッサユニット200に通信することができる。データプロセッサユニット200上のキーパッドポート203を、ユーザによるキーパッドからの信号を受け取るためにキーパッド500に結合することができる。キーパッドからの信号は、ユーザがデータプロセッサユニット200を操作することを可能にする。
【0024】
本発明のこの態様では、外部出力デバイス450をデータプロセッサユニット200に結合することができ、外部出力デバイス450は、ユーザが、再生される音声のオーディオ波形、外部出力の波形を見ることを可能にし、外部出力選択が使用される間にオプションの外部出力選択を走査し、ユーザが様々なユーザ機能を実行することを可能にする。更に、モニタは、プログラム、外部出力選択等のすばやい選択を可能にするために、接触感知式とし、及び/又はボタンを含むことができる。
【0025】
本発明の原理によれば、上で説明した様々な構成要素が任意の適切な有線媒体又は無線媒体を介して信号を通信できるように、これらの構成要素を一緒に結合することができる。
【0026】
図2に、本発明の一実施形態によるコントローラユニット100を示す。
【0027】
図2に示すように、ディジタル外部データ供給源の出力信号をアナログレコードからのオーディオと同期させるために、アナログレコード内の針位置を判定しなければならない。従って、コントローラユニット100は、ターンテーブルアセンブリ110、トーンアームアセンブリ120、及びスキャナアセンブリを含むことができ、様々な種類のこれらの構成要素を、以下に更に詳細に説明する。
【0028】
本発明の原理によれば、ターンテーブルアセンブリ110は、例えばスピンドル114を中心に回転可能なターンテーブルプラッタ112を含むことができる。
【0029】
本発明の一態様では、図3A及び3Bに示すように、ターンテーブルプラッタ112は、レコード(図示せず)を支持する支持表面111と、支持表面111の下で所定の深さにあるくぼんだ表面を有する中央部分113とを含むことができる。従って、レコード(図示せず)を、ターンテーブルプラッタ112によって回転されるように支持表面111上に配置することができる。スリップマット(図示せず)を、レコードと支持表面111の間に配置することができ、このスリップマットは、レコードの溝が受ける浸食の量を最小にしながら、ユーザがターンテーブルプラッタ112に関してレコードを回転することを可能にする。低摩擦材料として供給されるスリップマットを、ターンテーブルプラッタ112上にレコードを配置する前に支持表面111上に配置することができる。
【0030】
本発明のまた別の態様では、図4A〜4Bに示すように、ターンテーブル112は、環状凹窩115によって互いから離隔された、同心円状の外側リム112a及び内側リム112bを含むことができる。ターンテーブルプラッタ112の外径は、外側リム112aの外側表面によって画定することができ、中央部分113の外径は、内側リム112bの内側表面によって画定することができ、環状凹窩115の内径及び外径は、それぞれ内側リム112bの外側表面及び外側リム112aの内側表面によって画定することができる。本発明の一態様では、中央部分113の表面を、外側リム112a及び内側リム112bの上側表面の下にくぼませることができる。当然ながら、図4A〜4Bに示されたターンテーブルプラッタ112は、レコードがその上で回転できる支持表面を含まない。従って、後述で更に詳細に説明するように、本発明の原理は、ターンテーブルプラッタ112に結合でき、ターンテーブルプラッタ112から分離できるモジュラスリップマットアセンブリを提供する。
【0031】
図5A〜5Bに示すように、本発明の第1実施形態によるスリップマットアセンブリ150は、例えば、上側部分150bに固定して結合された下側部分150aを含むことができる。本発明の一態様では、下側部分150aは、環状凹窩115内に挿入され、ターンテーブルプラッタ112に関してスピンドル114を中心に回転することができる。上側部分150bは、外側リム112a及び内側リム112bの上の実質的に平坦な支持表面151を含むことができる。
【0032】
本発明の原理によれば、支持表面151の内径は、内側リム112bの内径と実質的に一致することができる。本発明の一態様では、支持表面151の外径は、外側リム112aの外径と実質的に等しいかこれより大きくすることができる。接触表面152は、外側リム112a及び内側リム112bそれぞれの上側表面と接触することができ、スリップマットアセンブリ150をターンテーブルプラッタ112によって完全に支持することを可能にする。本発明の一態様では、接触表面152は、ターンテーブルプラッタ112に関するスリップマットアセンブリ150の動きを容易にする実質的に全ての材料及び構造を含むことができる。本発明の一態様では、スリップマットアセンブリ150の支持表面151は、例えば任意の適切な低摩擦材料(例えば、ウレタンに基づく材料)を含むことができる。本発明の代替的態様では、スリップマットアセンブリ150の支持表面は、例えば、従来のスリップマットよりレコードに関する摩擦係数の高い材料(例えば、ゴムを主成分とする材料)を含むことができる。本発明のまた別の態様では、スリップマットアセンブリの支持表面は、スリップマットアセンブリとレコードの間で生成される場合がある静電気を散逸するのに適した材料を含むことができる。本発明のまた別の態様では、支持表面151の周辺領域内に溝157を形成することができ、溝157は、従来のアナログレコードに似た形態(即ち、コントローラユニットのスタイラスがその表面上を移動する時に信号を作成するのに適切な形態)を含むことができる。
【0033】
本発明の原理によれば、第1実施形態のスリップマットアセンブリ150は、例えば、キー154に結合された摩擦調整手段153を含むことができる。本発明の一態様では、摩擦調整手段153を選択的に操作して、外側リム112aの内側表面全体に実質的に対称に力を掛けることができる。本発明の一態様では、支持表面151の下に配置されたキー154を使用して、摩擦調整手段153を可変に操作することができる。従って、スリップマットアセンブリ150、具体的には上側部分150bをターンテーブルプラッタ112に対して移動するのに必要な力の大きさを、摩擦調整手段153を操作することによって変更することができる。任意の数量のデバイス及び技術を実施して、摩擦調整手段153の機能を実行できる。例えば、図5Cに示すように、摩擦調整手段153は、下側部分150a内に形成された空洞153b内に配置された複数の玉軸受153aを含むことができる。複数の玉軸受は、空洞内からわずかに突き出して、外側リム112aの内側の壁に接触することができる。空洞153bの上側壁153cを、実質的に均一に移動させることによって、複数の玉軸受153aを均一に押すようにキー154に結合することができる。複数の玉軸受153aを押すことによって、玉軸受の回転しやすさを制御することができ、これによって、ターンテーブルプラッタ112に対して環状凹窩115内でスリップマットアセンブリを回転させるのに必要な力の大きさが制御される。
【0034】
本発明の原理によれば、第1実施形態のスリップマットアセンブリ150は、例えば、データプロセッサ/記憶ユニット158を含むことができる。本発明の一態様では、データプロセッサ/記憶ユニット158は、例えば、ASIC及びメモリユニット(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、デュアルRAM、読取専用メモリ(ROM)、EEPROM等)を含むことができ、このASIC及びメモリユニットは、識別情報、書誌情報、寸法情報、及び外部データ情報を記憶して処理することができ、これらの情報については、後述で更に詳細に説明する。本発明のまた別の態様では、データプロセッサ/記憶ユニット158は、識別情報、書誌情報、寸法情報、及び外部データ情報をデータプロセッサユニット200に送ることができる。従って、データプロセッサ/記憶ユニット158を備えた本発明のスリップマットアセンブリは、データプロセッサユニット200と通信できると同時にアナログ信号及びディジタル信号を操作するユーザの能力を高めるポータブルデータ記憶デバイスとして使用することができる。
【0035】
本発明の原理によれば、第1実施形態のスリップマットアセンブリ150は、例えば、データ伝送手段155を含むことができる。本発明の一態様では、データ伝送手段155は、データプロセッサ/記憶ユニット158からプロセッサユニット200にデータを送ることができる。任意の数量のデバイス及び技術を実施して、データ伝送手段155の機能を実行できる。例えば、データ伝送手段155は、情報をデータプロセッサユニット200に送ることができる適切な無線送信/受信デバイス(例えば、WiFiデバイス又は類似物)を含むことができる。本発明のまた別の態様では、データ伝送手段155は、内側リム112bの外側表面に外接する導体リング(図示せず)と接触する導電材料を含むことができる。従って、この態様では、導体をデータプロセッサユニット200に結合し、信号をデータ伝送手段155からデータプロセッサユニット200に送ることができる。
【0036】
本発明の原理によれば、第1実施形態のスリップマットアセンブリ150は、例えば、針下げインジケータ156を含むことができる。本発明の一態様では、針下げインジケータは、例えば支持表面151の下に配置された、タッチパネル156a及び複数の発光ダイオード(LED)156bを含むことができる。従って、支持表面151を、LEDが発する光に対して透明な適切な材料から形成することができる。本発明の一態様では、複数のLED 156bを、複数の同心リングを形成するように配置することができる。しかし、所望の数のLEDを配置できる。タッチパネル156a及び複数のLED 156bは、データプロセッサ/記憶ユニット158と電気的に通信することができる。例えば、タッチパネル156aは、接触信号をデータプロセッサ/記憶ユニット158に送ることができ、送られた接触信号は、物体(例えば、ユーザの指、スタイラス等)が支持表面151に接触する場所(即ち、接触点)を示す。具体的に言うと、接触信号は、接触点と支持表面151の中心(即ち、スピンドル114に対応する位置)との半径方向の距離を示すことができる。送られた接触信号の受取時に、データプロセッサ/記憶ユニット158は、接触点に対応して配置されたLEDを選択的にアクティブ化又は非アクティブ化し、スリップマットアセンブリ上の接触点位置の視覚的確認をユーザに与えることができる。後述で更に詳細に述べるように、接触点は、レコードの溝に接触する従来のスタイラスに機能的に類似するものとすることができる。
【0037】
本発明の一態様では、タッチパネル156aは、任意の既知のテクノロジを使用して設けることができ、例えば、電極の2つのグループ、即ち、スピンドル114に対応する位置に共通の中心を有する複数の同心の円形電極の第1グループと、スピンドル114に対応する位置からスリップマットアセンブリの周辺に向かって放射状に、電極の第1グループと交差する複数の電極の第2グループとを含むことができる。電極の2つのグループは、データプロセッサ/記憶ユニット158と電気的に通信して、スピンドル114に対応する位置からの接触点の半径方向の距離を示すことができる。
【0038】
図6Aに示すように、本発明の第2の実施形態によるスリップマットアセンブリ160は、スリップマットアセンブリ150に関して上で説明したものとほぼ同様に構成することができるが、上側部分160bに移動可能に結合された下側部分160aを含むことができる。従って、下側部分160aを、環状凹窩115内に動かないように固定することができ、上側部分160bは、スピンドル114を中心に回転することができる。本発明の一態様で、下側部分160aの表面形態には、例えば、図4A〜4Bに示されたターンテーブルプラッタ112の表面形態の特色を有するキーを設けることができる(例えば、下側部分160aに形成されるぺグを受ける穴を、環状凹窩115内に形成することができる)。
【0039】
本発明の原理によれば、第2実施形態のスリップマットアセンブリ160は、例えば、摩擦調整手段163を含むことができる。本発明の一態様では、摩擦調整手段163を選択的に操作して、下側部分160aと上側部分160bの間に力を掛けることができる。第1実施形態と同様に、下側部分160aと上側部分160bとの力を、キー154を使用して摩擦調整手段163によって可変に働かせることができる。従って、下側部分160aに対して、よってターンテーブルプラッタ112に対して上側部分160bを移動させるのに必要な力の大きさは、摩擦調整手段163を操作することによって変更することができる。任意の数量のデバイス及び技術を実施して、例えば図6Bに示された摩擦調整手段163の機能を実行できる。図6Bに示すように、下側部分160a及び上側部分160bを、下側部分160aの下側タブ163bと上側部分160bの上側タブ163cの間に配置された複数の玉軸受163aによって、互いに結合することができる。キー154を、下側タブ163b及び上側タブ163cの一方又は両方に結合し、下側部分160aに対して上側部分160bを実質的に均一に上げ又は下げることによって、複数の玉軸受163aを均一に押すことができる。複数の玉軸受163aを押すことにより、玉軸受の回転しやすさを制御することができ、これによって下側部分160aに対して上側部分160bを回転させるのに必要な力の大きさが制御される。
【0040】
本発明の原理によれば、第2実施形態のスリップマットアセンブリ160は、例えば、データ伝送手段165を含むことができる。第1実施形態のデータ伝送手段155と同様に、第2実施形態のデータ伝送手段165は、データプロセッサ/記憶ユニット158からプロセッサユニット200にデータを送ることができる。任意の数量のデバイス及び技術を実施して、データ伝送手段165の機能を実行できる。例えば、データ伝送手段165は、情報をデータプロセッサユニット200に送ることができる適切な無線送信/受信デバイス(例えば、WiFiデバイス等)を含むことができる。本発明のまた別の態様では、データ伝送手段165は、下側部分160aの導電性の表面上に形成される導体リング(図示せず)と接触する導電材料を含むことができる。従って、この態様では、導体リングをデータプロセッサユニット200に電気的に結合し、信号をデータ伝送手段165からデータプロセッサユニット200に送ることができる。
【0041】
図2に示すように、両方の実施形態に関して上で述べたターンテーブルプラッタ112は、ターンテーブルプラッタ112と一体に形成し、ターンテーブルプラッタ112から下に延びる駆動ハブ116を含むベルト駆動ターンテーブルプラッタとして提供することができる。ベルト駆動アセンブリ118内に含まれる駆動シャフト118aは、駆動ベルト117を介してターンテーブルプラッタ112に結合され、ターンテーブルプラッタ112を回転することができる。本発明のまた別の態様では、ターンテーブルプラッタ112を、電磁直接駆動型ターンテーブルプラッタとして提供することができる。従って、周知の手段によってターンテーブルプラッタ112を電磁駆動アセンブリ(図示せず)に結合し、これによって回転させることができる。ベルト駆動アセンブリ又は直接駆動アセンブリを使用して、時計回り又は反時計回りにターンテーブルプラッタ112を回転することができる(例えば、コントローラユニット内に配置された回転方向スイッチ(図示せず)によって通信される信号を介して)。
【0042】
更に図2に示すように、トーンアームアセンブリ120は、トーンアーム124及びトーンアームピン126を介してコントローラユニット100にピボット回転可能に結合されたカートリッジ122を含むことができる。トーンアームピン126は、例えば、スタイラス123を含むことができ、トーンアームピン126を、スピンドル114から第1の所定の距離dに配置することができる。スタイラス123は、ターンテーブルプラッタ112によって支持された既存アナログレコード上の溝の中を走り、溝の形態を感知することができる。このスタイラス123をカートリッジ122内に配置することができ、トーンアームピン126から第2の所定の距離dに位置決めすることができる。カートリッジ122は、一般に、スタイラス123によって感知された機械的振動をアナログ電気信号に変換する少なくとも1つの変換器を含む。更に、カートリッジ122は、後述で更に詳細に述べるように、これらのアナログ電気信号をサンプリングのためにデータプロセッサユニット200に通信する。
【0043】
トーンアームエンコーダ128を、コントローラユニット100上で、スタイラス123がレコードの溝の中に配置された時にトーンアーム124に動作可能に接近して配置することができる。従って、トーンアームエンコーダ128に対するトーンアーム124の位置を、トーンアームエンコーダ128によって、周知の光学的方法、磁気的方法、又は機械式方法を介して検出することができる。
【0044】
本発明の一態様で、トーンアームエンコーダ128は、周知の機械式方法、磁気的方法、又は光学的方法を介して、トーンアーム124、従ってスタイラス123が休止している時、即ち、スタイラスが物理的にレコードから離れている時を検出することもできる。従って、トーンアームエンコーダ128を、トーンアーム124が休止している時(即ち、スタイラスがレコードから離れている時)に、トーンアームエンコーダ128に対するトーンアーム124の位置を示す信号を生成するトーンアーム位置トリガとして使用することができる。
【0045】
トーンアームアセンブリ信号、即ちアナログレコード上のスタイラス123の位置を示すために、トーンアームエンコーダ128に対するトーンアーム124の位置を示す信号と、トーンアーム124が休止している時を示す信号とを、トーンアームエンコーダ128から出力ポート102を介してデータプロセッサユニット200に通信することができる。次に、トーンアームアセンブリ信号をデータプロセッサユニット200が使用して、既存レコードの溝を通るスタイラスの進行を追跡することができる。トーンアームアセンブリ信号は、スタイラスが最初にレコードに接触する点(即ち、ドロップ点)の位置を決定するためにも使用することができる。従って、後述で更に詳細に述べるように、アナログオーディオ信号の一部分を、スタイラス123がその休止位置から移動した距離に関連付けることができる。
【0046】
図7A〜7Bに、本発明の一実施形態による第1スキャナアセンブリを示す。
【0047】
図7A及び7Bに示すように、第1スキャナアセンブリ130は、ターンテーブルプラッタ112の中央部分113内に配置することができる。更に、第1スキャナアセンブリ130を、スキャナ腕132を介してスピンドル114に結合することができる。第1スキャナアセンブリ130は、回転エンコーダ134及びスキャナ136を含むことができる。
【0048】
図7Bに示すように、レコード600がターンテーブルプラッタ112の支持表面111上に配置される時、そのレコードはスキャナ136の近接検出器136bと接触し、走査デバイス136aをアクティブ化し、これによってスキャナ136の走査デバイス136aが、レコード600上に配置された識別情報を走査して検出することができる。
【0049】
図7A〜7Bに示されているように、回転エンコーダ134は、くぼんだ表面及びターンテーブルプラッタ112の支持表面によって支持される既存のレコード600と接触する、柔らかいプラスチックから作られたローラーを含むことができる。スキャナ136は、例えば、バーコード、磁気ストリップ、及び類似物を読み取ることのできる光学スキャナ(例えば、LED、レーザー等)又は磁気種類の走査デバイス136aと、ばねによって荷重を与えられたスイッチ及び類似物等の近接検出器136bとを含むことができる。
【0050】
図7Cに示すように、回転エンコーダ134は、形状において球形のローラー134aを含むことができる。球形ローラー134aは、例えば、球形ローラー134aの赤道に接触して、球形ローラーの回転の速さ及び向き、即ち速度を検出する少なくとも1つの車輪134cを含む円筒形ローラーハウジング134bに収納することができる。従って、既存のレコード600がターンテーブルプラッタ112に置かれる時、球形ローラー134aの上側の極が、レコードに接触する。
【0051】
図7Dに示すように、本発明のまた別の態様では、回転エンコーダ134は、軸134fを介して車輪ハウジング134eに回転可能に接続された円錐形ローラー134dを含むことができる。車輪ハウジング134eは、円錐形ローラー134dの表面に接触し、円錐形ローラーの回転速度を検出する少なくとも1つの車輪134gを含む。従って、レコード600がターンテーブルプラッタ112に置かれる時、円錐形ローラーの上側表面はレコードに接触する。
【0052】
本発明のまた別の態様では、回転エンコーダ134は、上で説明したスキャナ136等のスキャナも含むことができる。従って、この態様では、図7A及び7Bに示されたスキャナ136を除去することができ、この回転エンコーダ134は、レコード600の瞬間回転速度(即ち、回転の速さ及び向き)の測定に加えて、バーコード、磁気ストリップ等の読み取りのできる光学スキャナ(例えば、LED、レーザー等)又は磁気種類の走査デバイスを含む回転識別スキャナとして設けることができる。
【0053】
本発明の一態様では、ターンテーブルプラッタ112の中央部分113のくぼんだ表面は、スピンドル114を中心に回転する。従って、スピンドル114及び第1スキャナアセンブリ130は、固定された位置に留まり、回転エンコーダ134を使用してレコード600の瞬間回転速度を検出できるようになっている。
【0054】
本発明のまた別の態様では、中央部分113のくぼんだ表面は、スピンドル114を中心に回転しない。従って、スピンドル114及びスキャナアセンブリは、ターンテーブルプラッタ112の回転方向と反対の方向に回転することができ、回転エンコーダ134を使用してレコード600の瞬間回転速度を検出することができる。
【0055】
瞬間回転速度信号即ち、ターンテーブルプラッタ112の支持表面上のレコードの瞬間回転速度を示す信号を、回転エンコーダ134又は回転識別スキャナからデータプロセッサユニット200に通信し、回転するターンテーブルプラッタ112によって支持されるアナログレコードの、スタイラス123に対する速さを判定することができる。
【0056】
識別信号、即ち再生される既存レコードの識別を示す信号は、後述で更に詳細に述べるように、アナログレコードの寸法特性及び再生されるアナログレコードに固有の同期化情報の識別に使用するために、スキャナ136又は回転識別スキャナからデータプロセッサユニット200に通信することができる。
【0057】
ラベル信号、即ち実際のアナログレコード上の半径方向セグメント内の溝の一部分を識別する信号は、後述で更に詳細に述べるように、アナログレコード上に配置されたラベルがスキャナに動作可能に近接するたびに、前述のスキャナのいずれか(例えば、スキャナ136、レコードスキャナ146、又は回転識別スキャナ)によって生成することができる。ラベル信号は、データプロセッサユニット200に通信され、後述で更に詳細に述べるように、スタイラスが最初にレコード上に配置された後で、データプロセッサユニット200がスタイラスの位置を正確に示すことを可能にする。
【0058】
図8に、本発明のもう1つの実施形態による第2スキャナアセンブリを示す。
【0059】
図8に示すように、第2スキャナアセンブリ140は、レコードスキャナ146を含むことができる。第2スキャナアセンブリ140は、スキャナ腕142及びヒンジ144を介してコントローラユニット100にピボット式に結合することができる。レコードスキャナ146は、バーコード、磁気ストリップ、及び類似物等を読み取ることができ、レコードの回転速度を測定することもできる、光学(例えば、LED、レーザー)スキャナ又は磁気種類の走査デバイスを含む回転識別型スキャナとして設けることができる。ヒンジ144は、スキャナ腕142をレコード(図示せず)の上で位置決めすることを可能にし、回転スキャナ146は、レコードがターンテーブルプラッタ112によって支持されている間にレコードに配置されたバーコード、磁気ストリップ等を読み取れる。
【0060】
好ましい実施形態では、後述で更に詳細に述べるように、瞬間回転速度信号、識別信号、及びラベル信号を、ターンテーブルプラッタ112がユーザによって直接又は前述の駆動アセンブリのいずれかによって駆動される時のスタイラス123に対するレコードの相対的な速さの判定と、再生されているアナログレコードに固有の寸法特性及び同期化情報の識別とに使用するため、レコードスキャナ146からデータプロセッサユニット200に通信することができる。
【0061】
本発明の一態様で、トーンアームエンコーダ、第1スキャナアセンブリ、及び/又は第2スキャナアセンブリを、任意のコントローラユニットに周知の手段を介してしっかりと結合され、関連する瞬間回転速度信号、トーンアームアセンブリ信号、及びラベル信号をデータプロセッサユニット200に通信できるモジュラ構成要素として設けることができる。
【0062】
図7A〜7D及び8は、図3A〜3Bに示されたターンテーブルプラッタ112と共に使用されるスキャナアセンブリを説明するものであるが、前述のスキャナアセンブリと、前述のスリップマットアセンブリとを、図4A〜4Bに示されたターンテーブルプラッタ112と共に使用することもできる。
【0063】
図9に、本発明の原理によるデータプロセッサユニット200を示す。
【0064】
図9に示すように、データプロセッサユニット200は、少なくとも1つのメディアドライブ210と、少なくとも1つのメモリユニット212と、コントローラユニット100、ディジタル外部データ供給源300、及び外部デバイス400のうちの少なくとも1つと通信できる複数の入力ポート及び出力ポートとを有する標準パーソナルコンピュータ又は専用コンピュータを含むことができる。本発明の一態様では、少なくとも1つのメディアドライブは、ディジタルビデオディスク(DVD)ドライブ、コンパクトディスク(CD ROM)ドライブ、内蔵ハードドライブ、ポータブルハードドライブ等を含むことができる。本発明の一態様では、少なくとも1つのメモリユニットは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、デュアルRAM、読取専用メモリ(ROM)、EEPROM等を含むことができる。本発明の一態様では、入力ポート及び出力ポートは、1つ又は複数のコントローラユニットと通信するために、ディジタルビデオ出力、モニタ出力、ディジタルオーディオ出力、ネットワーク通信接続(例えば、モデム、DSL、T1等)、1つ又は複数のSCSIポート又はUSBポート等を含む。本発明の一態様では、データプロセッサユニット200は、ワードクロックプロセッサ214及びレコードデータベース220を含むこともできる。従って、データプロセッサユニット200は、任意のDVD(又は任意の他の適切なビデオ/オーディオフォーマット)をRAM(又はより高速の選択のためにROM)に格納し、複数のビデオを同時に実行し、ビデオをダウンロードし、プログラム又はオーディオ信号を表すほぼ全ての種類のデータ(即ちオーディオファイル)を格納することができる。
【0065】
本発明の一態様では、データプロセッサユニット内に格納できるプログラムは、自動ロケータプログラム、波形整形プログラム、タイムフィラープログラム、及びアンチスキッププログラムを含むことができる。後述で更に詳細に述べるように、自動ロケータプログラムは、ユーザが、曲のトラック又はアナログレコードの溝内においてスタイラスの位置を決定することを可能にし、波形シェーパプログラムは、ユーザが、外部ディジタル供給源300からの波形(即ちディジタル波形)とコントローラユニット100からの波形(即ちアナログ波形)とを比較し、この2つの波形を一緒にロックし、アナログオーディオ波形が所定の長さの時間、例えば30秒に亘って出力された後にディジタル波形の出力をキューイングすることを可能にし、タイムフィラープログラムは、再生されているレコードに関する外部出力情報がない時に、オーディオ波形にランダムな又は任意のいずれかのビデオ出力を供給し、アンチスキッププログラムは、コントローラユニット100からのオーディオ信号を、そのコントローラユニットと同期化されたディジタルオーディオ供給源からのオーディオ信号に置換する。従って、アンチスキッププログラムは、例えばコントローラユニットのスタイラス123がレコードの溝をスキップするかジャンプする時に、アナログレコードからの曲を再生されたままにすることができる。
【0066】
レコードには、溝内にオーディオ情報が埋め込まれた1つ又は2つの側面が含まれる場合があるので、レコードの各側面を一意に識別してデータベース情報の一意の組によって特徴を表すことができる。従って、レコードの各側面について、レコードデータベース220は、例えばそれぞれ識別情報、書誌情報、寸法情報、及び外部データ情報に関連するデータベース情報が含まれるデータベースフィールドを含む。
【0067】
識別情報を、例えば、前述の走査デバイスのいずれかによって読取可能なラベル(例えば、バーコード、磁気ストリップ等)に含めることができる。本発明の一態様では、このラベルは、アナログレコード上に設けられるラベル区域内に配置することができる。後述で更に詳細に述べるように、ラベルは、スタイラスが最初にアナログレコードの溝の中に配置された後でスタイラスの位置を正確に決定するのに用いられる基礎をデータ処理ユニット200に提供する。従って、ラベルは、アナログオーディオレコードの出力を外部ディジタルデータ供給源の出力と同期させるのを助ける。
【0068】
書誌情報は、例えば、レコード及び/又はレコードの特定の側面の題名、アーティスト名、プロデューサ名、レコード会社名、レコードがその速さで再生されることを意図されている毎分回転数(RPM)等に関する情報を含むことができる。書誌情報は、任意の既知の方法によってユーザインターフェース222を介してレコードデータベース220に入力することができる。
【0069】
外部データ情報は、例えば、アナログレコードのオーディオ信号と同期化される外部データファイルの名前、その外部データファイルの供給源、例えばディジタル外部データ供給源、その外部データファイルのディジタル/アナログオーディオ/ビデオ波形等に関する情報を含むことができる。
【0070】
寸法情報は、一般に、再生される既存アナログレコードの側面に見られる溝の形態(例えば、アナログ波形)を表す情報を含むことができる。
【0071】
寸法情報は、基本的にレコードの各側面が、互いに垂直な2つの側壁を有する単一の螺旋状の溝からなることを認識することによって得ることができ、ここで、側壁は、音声が記録され、再生される2つのステレオチャネルを表す。無音、即ち空気の圧力変動の不在は、滑らかな側壁を有する溝形態によって表される。音声の瞬間は、側壁上に波を有する溝形態によって表すことができる。この波の振幅及び波長が、ビニールレコード内に埋め込まれるオーディオ信号の品質、例えば音量、ピッチ等と、コントローラユニット100からデータプロセッサユニット200に送られるオーディオ信号の品質と、最終的に気圧変動として特定の品質の音声を再生する外部デバイス、例えばスピーカに送られるオーディオ信号の品質とを決定する。溝が内側に向かって、アナログレコードの中央へと進むにつれて、側壁の波は圧縮されて、スタイラス123が溝の長さに沿って、例えば螺旋状の溝の外側から内側へと進行する時に発生するレコード表面速さの差を補償する。
【0072】
従って、図10に示すように、サンプリング処理でアナログレコードの波形マップを生成することによって、寸法情報を生成し、レコードデータベース内に格納することができる。一般に、レコードの側面の波形マップの生成は、ユーザによって開始される制作前ステップの一部とみなすことができる。
【0073】
波形マップの生成において、データプロセッサユニット200は、コントローラユニット100から通信されたアナログオーディオ波形(例えば、アナログ波形)をサンプリングし、サンプリングされたアナログ波形の部分を、スタイラスがその休止位置から移動した距離を示すトーンアームアセンブリ信号の対応する値と相関させる。従って、波形マップは、まず既存のレコード600をターンテーブルプラッタ112に置き、ターンテーブルプラッタ112を回転させ、スタイラスがその休止位置にある(例えば、レコードから離れている)時にトーンアームエンコーダを初期化し、スタイラス123をその休止位置から移動させ、スタイラス123を回転するレコード上の所定の位置(例えば、トラックの始め)に置き、溝側壁とのスタイラス123の相互作用によって生成されたアナログオーディオ波形をサンプリングし、サンプリングされたオーディオ波形をレコードデータベースに格納することによって、生成することができる。本発明の一態様によれば、スタイラスが休止位置にある時のトーンアームエンコーダの初期化では、トーンアームアセンブリが、従ってスタイラスが休止位置(例えば、「0」位置)にあることを示すトーンアームアセンブリ信号をデータプロセッサユニット200に通信する。後述で更に詳細に述べるように、スタイラスの移動距離を示す全ての距離は、この休止位置に基づく。
【0074】
本発明の一態様では、波形のサンプリング中に、スタイラス123が、溝の長さに沿って、例えば螺旋状の溝を回ってレコードの中央に向かって進む時、溝形態の側壁内の波が、速さを落としながらスタイラス123を過ぎて移動し(溝内の波の直線速さ又は接線速さは、スタイラス123の半径にレコードが回転する速さを乗じたものに比例する)、データプロセッサユニット200は、アナログオーディオ波形が全体的に一定のレートでサンプリングされるように、徐々に増加するレートで、スタイラス123と溝側壁との相互作用によって生成されるオーディオ波形をサンプリングすることができる。
【0075】
本発明の原理によれば、オーディオ波形のサンプリングが次第に増加するレートは、針位置と、レコードの表面が基礎ターンテーブル速さ(即ち、基礎サンプリングレート)でスタイラス123を過ぎて移動する時にデータプロセッサユニット200がアナログ波形を生成する速さとに関する情報を使用して決定することができる。具体的には、オーディオ波形がサンプリングされるレートは、スピンドル114からのスタイラス123の瞬間半径方向距離rに反比例する。従って、任意の半径方向距離でのオーディオ波形のサンプリングレートは、基礎サンプリングレートに基づかなければならない。
【0076】
本発明の一態様では、基礎サンプリングレートは、アナログレコードが回転する毎分回転数(RPM)に従って入手することができる。RPM値は、ユーザがデータプロセッサユニット200に直接に入力することができる。本発明のまた別の態様では、基礎サンプリングレートは、前述の走査デバイスのいずれかを用いてラベルのRPMを測定することによって入手することができる。本発明のまた別の態様では、基礎サンプリングレートは、ターンテーブルプラッタ112が回転している速さを示す信号をピッチコントローラ(図示せず)から受け取ることによって入手することができる。本発明のまた別の態様では、基礎サンプリングレートは、ターンテーブルプラッタ112に結合された(例えば、光学的に、電子的に、磁気的に、機械的に等)センサを使用してターンテーブルプラッタ112のRPMを直接に測定することによって入手することができる。
【0077】
本発明の原理によれば、瞬間半径方向距離rは、トーンアームエンコーダ128から通信されるトーンアームアセンブリ信号の値に対応する。トーンアームアセンブリ信号を受け取ると、データプロセッサユニット200は、例えばスピンドル114とトーンアームピン126の間に見られる直線線分に対するトーンアーム124の瞬間角度位置9に関する情報を判定することができる。余弦法則を適用することによって、データプロセッサユニット200は、スタイラス123が溝の長さを進む時の瞬間半径方向距離r、よってオーディオ波形のサンプリングレートを、正確に判定することができる。従って、アナログオーディオレコードをサンプリングする際に、スタイラスの休止位置からの移動距離と、サンプリングされたアナログオーディオ波形のうち、その移動距離に固有の部分との暗黙の対応を、波形マップに格納することができる。
【0078】
本発明の一態様では、スタイラスの移動距離(例えば、円弧の長さ)、スタイラスとトーンアームピンとの距離、及びトーンアーム124のスキャナに関する円弧の方位のうちの少なくとも1つに関連するトーンアームアセンブリ測定値に関する前述のスキャナのいずれかの位置を、波形マップの生成中に判定することができる。本発明のまた別の態様では、前述の測定値を、データプロセッサユニット200に通信することができる。
【0079】
本発明の一態様では、ラベル信号は、ラベルが前述のスキャナのいずれかに動作可能に接近している時、スキャナによってアナログオーディオレコードのサンプリング中に生成される。ラベルがスキャナに動作可能に接近するたびに(例えば、回転時に、ラベルが最初にスキャナによって読取可能になる時)、ラベル信号が、データプロセッサユニット200に通信され、従って、ラベル点が波形マップ上でマークされる。波形マップ上のラベル点の位置は、各ラベル信号の通信時にスタイラスが移動した距離に対応し、後述で更に詳細に述べるように、アナログレコードの溝内におけるスタイラスの位置決定を容易にすることができる。従って、アナログレコードからアナログオーディオ信号をサンプリングする際に、スタイラスがその休止位置から移動した距離と少なくとも1つのラベル点との前述のトーンアームアセンブリ測定値のいずれかに基づく暗黙の対応を、波形マップ内で生成することができる。
【0080】
波形マップがレコードデータベース220内で生成された後で、サンプリングされたアナログオーディオ波形の同期化情報を同期化マップ内に生成することができる。
【0081】
本発明の一態様では、波シェーパプログラムを使用して同期化マップを生成することができる。例えば、波シェーパプログラムは、外部ディジタル供給源からのディジタル出力信号(例えば、ビデオ、オーディオ等)をアナログレコードと同期させるために波形マップ内のアナログ波形の少なくとも2つの部分(即ち、「同期化点」)をサンプリングし、これらの同期化点を波形マップ上でマークすることができる。しかしながら、アナログ波形からサンプリングされる同期化点が多いほど同期化マップが正確になり、従ってアナログ波形とディジタル波形との同期化が正確になる。
【0082】
次に、波形マップ上でアナログ波形からの同期化点をマークし、外部ディジタル供給源からの出力(即ち、ディジタル波形)の対応する部分と突き合わせることにより、ディジタル波形をアナログ波形と同期させることができる。本発明の一態様では、この突合せは、手動で(例えば、ユーザが開始する)又は自動的に(例えば、プロセッサが開始する)実行することができる。
【0083】
ディジタル波形の対応する部分とアナログ波形の同期化点との手動による突合せでは、アナログ波形の一部分(例えば、始め)の第1同期化点(即ち、「開始点」)を選択して波形マップ上でマークし、ディジタル波形の対応する部分と突き合わせることができる。次に、アナログ波形の少なくとも1つの次の同期化点を選択してマークし、ディジタル波形の適切な対応する部分と突き合わせる。ディジタル波形の対応する部分にアナログ波形の同期化点を突き合わせる処理は、アナログ波形と同期化されるディジタル波形の数量に応じて、必要なだけ何回でも繰り返すことができる。本発明の一態様では、波形マップ内に複数のアナログ波形が存在する場合(例えば、アナログオーディオレコードに複数のトラックがある場合)、複数の「開始点」及び続く同期化点のグループを選択することができる。
【0084】
ディジタル波形の対応する部分とアナログ波形の部分の自動突合せでは、データプロセッサユニット200は、ディジタル波形のビート毎分(BPM)を計算し、例えばアナログ波形の最初の2つの小節をサンプリングし、アナログ波形のサンプリングされた部分をディジタル波形の計算されたBPMと突き合わせることができる。その後、データプロセッサユニット200は、波形マップ上で少なくとも1つの開始点をマークし、その開始点をディジタル波形の対応する部分と位置合せし、アナログ波形及びディジタル波形の適当な終了点を計算し、波形マップ上で終了点をマークする。
【0085】
本発明の一態様では、アナログ波形上及びディジタル波形上の、この2つの波形のビートが一致する同期化点をマークするために、ビートスタンピングを実行することができる。
【0086】
本発明のまた別の態様では、波形マップの生成対象であるアナログレコードを、「データギブン」レコードとして提供することができる。「データギブン」レコードとは、所定のディジタル波形に固有のキューイング情報を含むレコードである。従って、「データギブン」レコードから生成された波形マップ上の少なくとも1つの同期化点(例えば、開始点)を、所定のディジタル波形の対応する部分に突き合わせることができる。
【0087】
同期化マップの生成は、特定のアナログ波形の同期化点の全てが、ディジタル波形の対応する部分と突き合わされて、波形マップにマークされた時点で完了する。完成した同期化マップ即ち、本質的にコントローラユニット100からのアナログ信号の実際の波形を有さないマークされた波形マップをデータプロセッサユニット200に格納し、サンプリングされたアナログレコードと同時にディジタル波形を出力するため、必要に応じて再呼出しすることができる。従って、特定のアナログレコードの同期化マップは、休止位置からのスタイラスの移動距離に関するラベル点及び同期化点の位置を記述する情報を含む。従って、特定のアナログレコードについて、後述で更に詳細に述べるように、ラベル信号と、スタイラスが休止位置から移動した距離を示すトーンアームアセンブリ信号の値とに従って、アナログ波形と同時のディジタル波形の出力を制御することができる。
【0088】
本発明の原理によれば、後述で更に詳細に述べるように、アナログレコードが将来に追加のディジタル波形と同期化されるかどうかに応じて、又は元の波形がディジタルデバイス上で再生されるかどうかに応じて、元の波形マップを削除するか、レコードデータベース220に格納することができる。
【0089】
アナログレコードが処理された(例えば、ディジタル波形を同期させる基礎を提供するために、ラベル付けされ、サンプリングされ、分析され、マークされた)場合、アナログレコードの回転速度又は針位置に関係なく、同期化マップが生成された1つ又は複数の外部ディジタルデータ供給源と同時にそのアナログレコードを再生することが可能である。
【0090】
本発明の原理によれば、処理されたアナログレコードを、そのアナログレコードのサンプリングに使用されたものと同一のコントローラユニット(即ち、発信元コントローラユニット)上又はそのアナログレコードをサンプリングするのに使用されなかったコントローラユニット(即ち、非発信元コントローラユニット)上の外部ディジタルデータ供給源からの所定のディジタル波形と同時に再生することができる。更に、様々な波形のサンプリング、同期化等に発信元コントローラユニットと共に使用されるデータプロセッサユニットを、本明細書では発信元データプロセッサユニットと呼称する場合がある。
【0091】
本発明の一態様では、処理されたレコードを再生するコントローラユニットに固有の前述のトーンアームアセンブリ測定値に対する前述の走査デバイスのいずれかの位置は、波形マップの生成中のトーンアームアセンブリに対するスキャナの位置と実質的に同一とすることができる。本発明のまた別の態様では、処理されたレコードを再生するコントローラユニットに固有のトーンアームアセンブリ測定値に対する前述の走査デバイスの位置は、波形マップの生成中のトーンアームアセンブリに対するスキャナの位置と異なるものとすることができる。本発明のまた別の態様では、処理されたレコードを再生するコントローラユニットに固有のトーンアームアセンブリ測定値に対する前述の走査デバイスのいずれかの位置を、波形マップの生成中に通信されるトーンアームアセンブリ測定値に対する前述の走査デバイスの位置に相関させることができる。従って、波形マップの生成中に存在した走査デバイスとスタイラスとの元の空間的関係を、処理されたレコードの再生中に残しておくことができる。本発明の一態様では、元の空間的関係を、前述の走査デバイスのいずれかと、処理されたレコードの再生中に使用されるスタイラスとの空間的関係を使用して判定することができる。
【0092】
本発明の一態様では、処理されたレコードを所定のディジタル波形と同時に再生するコントローラユニット100は、発信元コントローラユニットとすることができる。従って、処理されたレコードを、ターンテーブルプラッタ112上に配置して回転させることができる。処理されたレコードが回転する時、瞬間回転速度信号及びラベル信号が、生成される。レコードのラベル付けされた区域に動作可能に接近した時、第1スキャナアセンブリ又は第2スキャナアセンブリは、ラベルを走査して、少なくとも1つの所定のディジタル波形と同時に再生されようとしているアナログレコードの特定の側面に固有の識別情報を判定することができる。存在するスキャナの種類(例えば、第1スキャナアセンブリ又は第2スキャナアセンブリからのスキャナ)に応じて、レコードの特定の側面のラベルを、スタイラス123に実際に接触するレコードの側面と同一の側面又は反対の側面に配置できる。識別情報の判定の後に、書誌情報及び所定の同期化マップが判定される。
【0093】
その後、トーンアームエンコーダを初期化することができ、スタイラスを、処理されたレコードの溝内の任意の位置に配置することができる。
【0094】
最初に溝内にスタイラス123を配置する際に、トーンアームエンコーダに対するトーンアーム124の位置を示すトーンアームアセンブリ信号を、データプロセッサユニット200に通信することができる。しかし、溝内のスタイラスの正確な位置は、少なくとも1つのラベル信号がデータプロセッサユニット200に通信され、自動ロケータプログラムによって処理されるまでは判定することができない。通信されたラベル信号を考慮してトーンアームアセンブリ信号を処理することにより、処理されたレコードの溝内のスタイラスの正確な位置を判定することができる。
【0095】
例えば、スタイラスが処理されたレコードの溝内の任意の位置に配置され、処理されたレコードを回転させながらアナログオーディオ信号を生成する場合、生成されたアナログ信号は、そのアナログレコードの同期化マップの基礎を提供したアナログ波形と実質的に同一になる。従って、所定のディジタル波形は、生成されたアナログオーディオ信号に、データプロセッサユニット200を介して自動的に同期化される。
【0096】
しかしながら、処理されたレコードの溝内に配置されたスタイラスが操作され(例えば、ターンテーブルプラッタが、「スクラッチされる」、増速される、減速される等)、生成されるアナログオーディオ信号が、同期化マップの基礎を提供したアナログ波形と異なるものになる場合、データプロセッサユニット200は、前述のスキャナのいずれかによって通信される瞬間回転速度信号を使用して、レコードの針位置を正確に判定することができる。
【0097】
従って、レコード上のスタイラスの最後の既知の位置が分かっているので、スタイラスが休止位置から移動した最後の既知の距離、従って同期化マップのアクティブ部分、及び出力される所定のディジタル波形の最後の既知の部分も分かっている。ユーザ操作の時の直前の処理されたレコードの瞬間回転速度がわかっているので、ユーザ操作の直前の針位置でのレコード表面の速度も、スタイラスのその休止位置からの距離に関連する情報を介して判明する。従って、レコードの速度がユーザによって変更される時、データプロセッサユニット200は、スタイラスのその休止位置からの距離を計算することができ、同期化マップ内の針位置を判定できる。従って、瞬間回転速度信号を使用することによって、ディジタル波形を、ユーザが操作する制御ユニットによって作られたアナログオーディオ信号と同時に出力することができる。
【0098】
本発明のまた別の態様では、処理されたアナログレコードを所定のディジタル波形と同時に再生するコントローラユニット100を、非発信元ユニットとすることができる。従って、発信元データプロセッサユニットを、非発信元コントローラユニット内の適当な出力ポートに結合することができる。処理されたレコードのアナログオーディオ信号を、非発信元コントローラユニット上の所定のディジタル信号と同時に出力することができ、この非発信元コントローラユニットは、前述のトーンアームエンコーダ及び第1又は第2のスキャナアセンブリを含んでも含まなくてもよい。非発信元コントローラユニットが、トーンアームエンコーダ及びスキャナアセンブリを全く含まない場合には、欠けている構成要素を然るべく補充することができる。
【0099】
その後、それに関する同期化マップが発信元コントローラユニットを使用して既に作成されている、本質的に上で説明した形で処理されたアナログレコード(即ち、較正レコード)を、非発信元コントローラユニットのターンテーブル上に配置し、回転させることができる。較正レコードが回転する時、瞬間回転速度信号及びラベル信号が生成される。較正レコードのラベル付けされた区域に動作可能に接近した時、第1スキャナアセンブリ又は第2スキャナアセンブリは、ラベルを走査して、較正レコードの特定の側面に固有の識別情報を判定することができる。
【0100】
トーンアームエンコーダが初期化され、非発信元コントローラユニットのスタイラスが較正レコード上に(例えば、較正レコードの始めに)配置された後、トーンアームアセンブリ信号及びラベル信号が通信され、発信元データプロセッサユニット200によって処理される。通信されたラベル信号及びトーンアームアセンブリ信号を使用して、発信元データプロセッサユニット200は、スタイラスが非発信元コントローラユニット上で休止位置から移動した距離に対して測定されたラベル点の新しい組を生成する。従って、較正レコードの発信元同期化マップと較正レコードの非発信元同期化マップとの対応を生成することができる。例えば、発信元コントローラユニットを使用して判定された、ラベル点とスタイラスが移動した様々な距離との関係を、非発信元コントローラユニットを使用して判定された、ラベル点とスタイラスが移動した様々な距離との関係に相関させることができる。次に、この相関を、所定のディジタル波形と同時に非発信元コントローラユニット上で再生される、発信元コントローラユニットによって既に処理されたレコードのいずれにも適用することができる。
【0101】
較正レコードが、非発信元コントローラユニットで再生され、相関が、発信元データプロセッサユニットによって判定された後、発信元コントローラユニットを使用して処理された任意のレコードからの任意のアナログオーディオ信号を、非発信元コントローラユニットを使用して所定のディジタル波形と同時に出力することができる。
【0102】
本発明の原理によれば、スリップマットアセンブリの溝157を、本質的に上述したものと同様にして処理でき、機能性において上で説明した較正レコードと同様に使用することができる。従って、第1実施形態又は第2実施形態のスリップマットアセンブリを使用する時、実質的に上述したものと同様に、溝157について波形マップを生成することができる。その後、この波形マップを使用して、スタイラスが移動した距離をアナログ波形の所定の部分に相関させることができる。
【0103】
全てのレコードが、スピンドル114を挿入できる同一サイズの穴を有するわけではないことに留意されたい。例えば、穴が大きすぎる場合、レコードの半径方向の動きが、針位置とサンプリングされたアナログオーディオ波形との対応を有害に破壊する場合がある。本発明の原理によれば、回転速度を検出できる前述のスキャナは、再生されているレコードの全ての外来の半径方向の動きを補償する信号をデータプロセッサユニット200に送ることができ、これによって、針位置とサンプリングされたアナログオーディオ波形との対応が保存される。
【0104】
上述のように、本発明の原理は、コントローラユニットで再生されるアナログレコードを操作することによって、外部ディジタル信号を直接制御することを可能にする。しかし、本発明の別の実施形態によれば、外部ディジタル信号を、アナログレコードではなく前述のスリップマットアセンブリの操作によって直接且つ直観的に制御することができる。
【0105】
そのような操作では、オーディオファイルを、識別情報、書誌情報、寸法情報、及び外部データ情報と共にデータプロセッサ/記憶ユニット158に格納し、このオーディオファイルにデータプロセッサ/記憶ユニット158を介してアクセスすることができる。ユーザは、例えば、任意の適切な手段を介して、データプロセッサユニット200に送られる格納されたオーディオファイルを選択することができる。次に、外部ディジタル信号を含む、選択されたオーディオファイルに対応する信号を、データプロセッサユニット200から前述の外部出力デバイスのいずれにも出力することができる。本発明の原理によれば、これらの信号の出力を、後述で更に詳細に述べるように、前述のスリップマットアセンブリのいずれか1つを操作することによって制御することができる。
【0106】
第1実施形態では、上述の針下げインジケータ156により、ユーザは、選択されたオーディオファイルの出力、よって外部ディジタル信号の出力を制御することができる。例えば、データプロセッサ/記憶ユニット158は、タッチパネル156aの異なる半径方向セグメントを、選択されたオーディオファイルの異なる部分に割り当てることができる。従って、接触点を生成する時に、タッチパネル156aからデータプロセッサ/記憶ユニット158に送られる接触信号は、データプロセッサ200に、選択されたオーディオファイルの特定の部分を出力させることができる。上述のように、データプロセッサ200と共に針下げインジケータ156を使用することによって、ユーザは、選択されたオーディオファイルのうち、生成された接触点に対応する部分だけを選択的に出力することができる。選択されたオーディオファイルが出力されている間に、接触点を半径方向に沿って内側又は外側に移動することにより、ユーザは、例えば、接触点が半径方向に沿って移動される速さに対応する速さで、選択されたオーディオファイルの出力を早送りするか、又は巻き戻すことができる。
【0107】
第2実施形態では、ユーザは、第2スキャナアセンブリと共に前述のスリップマットアセンブリのいずれかを使用することによって、選択されたオーディオファイルの出力、よって外部ディジタル信号の出力を制御することができる。例えば、レコードスキャナ146に光学スキャナを装備し、レコードスキャナ146を、支持表面151の上に配置することができる。選択されたオーディオファイルが、データプロセッサ200によって出力される時、ユーザは、スリップマットアセンブリを回転させることにより、レコードスキャナ146に、対応する瞬間回転速度信号をデータプロセッサユニット200に送らせることができる。次に、送られた瞬間回転速度をデータプロセッサユニット200が使用して、選択されたオーディオファイルを逆順で出力するか否かを制御することができる。送られた瞬間回転速度信号をデータプロセッサユニット200が使用して、選択されたオーディオファイルが出力される速さを制御することもできる。例えば、ユーザが、スリップマットアセンブリを時計回りに回転する場合に、瞬間回転速度信号は、データプロセッサ200に、選択されたオーディオファイルの出力を早送りさせることができる。逆に、ユーザがスリップマットアセンブリを反時計回りに回転させる場合、瞬間回転速度信号は、データプロセッサ200に、選択されたオーディオファイルの出力を逆転させることができる。
【0108】
支持表面151の内径は、内側リム112bの内径に実質的に一致させることができるので、第1スキャナアセンブリ130は、選択されたオーディオファイルの出力を制御するために第1及び第2の実施形態のスリップマットアセンブリと共に使用するのに適切でない場合がある。しかし、この問題は、支持表面151の内径より大きい寸法を有する適切に粗い/非反射性の材料を配置することによって克服することができる。
【0109】
しかしながら、第2実施形態による選択されたオーディオファイルの出力を制御する方法を、図3A及び3Bに示されたターンテーブルプラッタを使用して達成することもでき、この場合、オーディオファイルを、データプロセッサ/記憶ユニット158ではなくデータプロセッサ200に直接に格納することができる。第2実施形態に従って選択されたオーディオファイルの出力を制御する時には、選択されたスリップマットアセンブリ内の摩擦調整手段を、下側部分150aと外側リム112aの間(第1実施形態のスリップマットアセンブリの場合)又は下側部分160aと上側部分160bの間(第2実施形態のスリップマットアセンブリの場合)に最小限の力を掛けるように設定しなければならない。
【0110】
本発明の趣旨又は範囲から逸脱せずに、本発明に様々な修正形態及び変形形態を作ることができることは当業者に明白であろう。従って、特許請求の範囲及びその均等物の範囲内で、本発明は、本発明の修正形態及び変形形態を含む。例えば、レコードの各側面に関する識別情報は、何らかの種類の走査デバイスによって読取可能なラベルとして与えられるが、各レコード側面に関する識別情報を、周知の手段によってデータプロセッサユニット200に直接に入力することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】レコードの表面上の位置に固有のオーディオ情報を同期させる本発明の原理による装置を示す。
【図2】本発明の一実施形態によるコントローラユニットを示す。
【図3】A及びBは本発明の一実施形態によるターンテーブルプラッタを示す。
【図4】A及びBは本発明の別の実施形態によるターンテーブルプラッタを示す。
【図5】A〜Cは、本発明の一実施形態によるスリップマットアセンブリを示す。
【図6】A及びBは、本発明の別の実施形態によるスリップマットアセンブリを示す。
【図7】A及びBは、本発明の一実施形態による第1スキャナアセンブリを示し、C及びDは、本発明の異なる実施形態による回転エンコーダを示す。
【図8】本発明の別の実施形態による第2スキャナアセンブリを示す。
【図9】本発明の原理によるデータプロセッサユニットを示す。
【図10】寸法情報をレコードデータベースに入力できる方法を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アナログオーディオ波形を生成可能なアナログ信号供給源と、前記アナログオーディオ波形を生成するアナログ信号供給源アセンブリとの空間的関係に関連する位置データを生成する位置エンコーダと、
前記位置データに対応するレートで前記アナログオーディオ波形をサンプリングし、外部ディジタル信号を出力する信号処理ユニットであって、前記位置データが、前記外部ディジタル信号の出力を制御する、信号処理ユニットと
を含む、信号処理装置。
【請求項2】
前記アナログ信号供給源アセンブリは、更に、
スタイラスと、
前記スタイラスに結合された少なくとも1つの変換器と
を含み、前記信号供給源と前記アナログ信号供給源アセンブリとの前記関係が、前記アナログ信号供給源に対する前記スタイラスの位置を示す空間的関係を含む、請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項3】
回転可能な表面の速度を判定する速度センサを含み、前記判定された速度が、前記サンプリングされたアナログオーディオ波形の部分に関連する、請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項4】
前記速度センサが前記回転可能な表面の上に配置される、請求項3に記載の信号処理装置。
【請求項5】
前記速度センサが前記回転可能な表面の下に配置される、請求項3に記載の信号処理装置。
【請求項6】
前記回転可能な表面が前記アナログ信号供給源アセンブリのスピンドルを中心に回転可能である、請求項3に記載の信号処理装置。
【請求項7】
前記速度センサが前記スピンドルに結合される、請求項6に記載の信号処理装置。
【請求項8】
前記アナログ信号供給源アセンブリがプラッタを含み、前記プラッタが、前記回転可能な表面を含み、前記速度センサが前記プラッタに結合される、請求項3に記載の信号処理装置。
【請求項9】
前記速度センサが光学スキャナを含む、請求項3に記載の信号処理装置。
【請求項10】
前記速度センサが磁気スキャナを含む、請求項3に記載の信号処理装置。
【請求項11】
前記速度センサがローラーアセンブリを含む、請求項3に記載の信号処理装置。
【請求項12】
アナログ波形とディジタル波形の処理方法であって、
アナログ波形を生成することと、
前記生成されたアナログ波形の部分に関連する位置データを生成することと、
ディジタル波形を供給すること及びアナログ波形を生成することを独立に実行してディジタル波形を供給することと、
前記位置データに基づいて前記ディジタル波形を出力することと
を含む方法。
【請求項13】
前記生成されたアナログ波形をサンプリングすることを更に含む、請求項12に記載のアナログ波形とディジタル波形の処理方法。
【請求項14】
前記ディジタル波形の少なくとも1つの部分を前記サンプリングされたアナログ波形の少なくとも1つの部分と同期させることを更に含む、請求項13に記載のアナログ波形とディジタル波形の処理方法。
【請求項15】
前記生成されたアナログ波形を前記位置データに対応するレートでサンプリングすることを更に含む、請求項13に記載のアナログ波形とディジタル波形の処理方法。
【請求項16】
前記アナログ波形を生成することが、表面を回転させることを更に含む、請求項12に記載のアナログ波形とディジタル波形の処理方法。
【請求項17】
前記位置データを生成することは、前記回転する表面の速度を判定することを更に含む、請求項16に記載のアナログ波形とディジタル波形の処理方法。
【請求項18】
前記ディジタル波形を出力することが、更に前記回転する表面の前記速度に基づく、請求項17に記載のアナログ波形とディジタル波形の処理方法。
【請求項19】
前記ディジタル波形を出力することが、更に前記生成された周期信号に基づく、周期信号を生成すること
を更に含む、請求項10に記載のアナログ波形とディジタル波形の処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2008−533632(P2008−533632A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−554166(P2007−554166)
【出願日】平成18年2月1日(2006.2.1)
【国際出願番号】PCT/US2006/003418
【国際公開番号】WO2006/083879
【国際公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(505175283)
【Fターム(参考)】