説明

表面上の残留物を除去するための洗浄調合物

本開示は、半導体基板から残留物を除去するのに有用な非腐食性洗浄組成物を提供する。前記組成物は、水と、少なくとも1種のヒドラジノカルボン酸エステルと、少なくとも1種の水溶性カルボン酸と、任意で少なくとも1種のフッ化物含有化合物と、任意でカルボキシル基を含まない少なくとも1種の腐食抑制剤とを含有する。本開示はまた、非腐食性洗浄組成物を用いた、半導体基材から残留物を洗浄する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体基板に対する新規な洗浄組成物、および半導体基板を洗浄する方法に関する。より詳細には、本開示は、基板に堆積された金属層または誘電体層のプラズマエッチング後に半導体基板上に形成されたプラズマエッチング残留物を除去するための洗浄組成物、および化学械研磨工程後に基板上に残存する残留物の除去に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路装置の製造において、フォトレジストは、ウェハ基板上にレチクルの原マスクパターンを転写するための中間マスクとして、一連のフォトリソグラフィー工程およびプラズマエッチング工程によって用いられる。集積回路装置製造工程に不可欠な工程のうちの1つは、ウェハ基板からパターン形成したフォトレジストフィルムを除去することである。一般に、この工程は2つの方法のうちの一方によって行なわれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
1つの方法は、フォトレジストで被覆された基板を、主として有機溶剤およびアミンから成るフォトレジスト剥離剤溶液と接触させるウェット剥離(wet stripping)工程を含む。しかしながら、特にフォトレジストフィルムが製造中にUV放射やプラズマ処理を受けた場合には、剥離剤溶液は完全かつ確実にフォトレジストフィルムを除去することができない。一部のフォトレジストフィルムは、そのような処理によって高度に架橋されてしまい、剥離剤溶液に溶解し難くなる。さらに、これらの従来のウェット剥離法において用いられる化学薬品は、時として、ハロゲン含有ガスによる金属または酸化物層のプラズマエッチングの間に形成された無機または有機金属の残留物質の除去には効果がない。
【0004】
フォトレジストフィルムを除去する別法は、プラズマ灰化として知られる工程において基板からレジストフィルムを焼却するために、フォトレジスト被覆ウェハを酸素系プラズマに曝露することを含む。しかしながら、プラズマ灰化もまた上記に示したプラズマエッチング副生成物を除去するためには完全に有効ではない。それどころか、その後、処理した金属薄膜および誘電体薄膜を特定の洗浄液に曝露することによって、これらのプラズマエッチング副生成物を除去しなければならない。
【0005】
金属基板は、一般に腐食に弱い。例えば、アルミニウム、銅、アルミニウム−銅合金、タングステン窒化物および他の金属のような基板および金属窒化物は、従来の洗浄化学薬品を使用することによって容易に腐食してしまうであろう。加えて、装置の幾何学的形状が縮小するにつれて、集積回路装置製造業者によって許容される腐食の量は、益々小さくなっている。
【0006】
ヒドロキシルアミンおよびヒドロキシルアンモニウム塩は半導体基板上の残留物を除去する優れた洗浄能力を有することが知られている。しかしながら、最近の報告では、それらの材料の安全な使用に対する懸念が表明されており、その結果として、半導体工業界によってヒドロキシルアミンタイプの成分を置き換えることが推進されている。従って、より環境にやさしい材料が必要とされている。
【0007】
従って、洗浄液はプラズマエッチング残留物の除去に有効でなければならなく、かつすべての露出した基板材料に対して非腐食性でなければならない。遭遇する広範囲の残留物を洗浄し、かつ露出した基板材料に対して非腐食性である能力は、本開示の洗浄組成物を用いることによって達成される。本開示の洗浄組成物は、その弱酸性の処方により、また酸化および還元機構によって残留物洗浄性能を高めるように作用するとともに、その存在が腐食の抑制および微量金属のキレート化の二重の機能を果たす水溶性有機化合物の組み合わせが存在することにより、半導体基板上に含まれている金属を腐食することなく、半導体基板を効果的に洗浄する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、主として多段階の製造工程の中間工程として、半導体基板からプラズマエッチング残留物および/またはプラズマ灰化残留物を除去するのに有用な非腐食性洗浄組成物に関する。これらの残留物は、残留フォトレジストのような有機化合物、有機金属化合物、および銅、チタン、タンタル、タングステン、コバルト、窒化チタンおよび窒化タングステンなどの金属窒化物のような露出した金属から反応副生成物として形成される金属酸化膜、並びに他の材料の様々な比較的不溶性の混合物を含んでいる。
【0009】
本開示の非腐食性洗浄組成物の一実施形態は、水と、少なくとも1種の水溶性ヒドラジノカルボン酸エステル(hydrazinocarboxylic acid ester)と、少なくとも1種の水溶性カルボン酸と、任意で、少なくとも1種の水溶性フッ化物含有物質と、任意で、カルボキシル基を含まない少なくとも1種の腐食抑制剤とを含有する。
【0010】
非腐食性洗浄組成物の別の実施形態は、水と、カルバジン酸メチル、カルバジン酸エチル、カルバジン酸ターシャリーブチル、およびカルバジン酸ベンジルのうちから選択される少なくとも1種の水溶性ヒドラジノカルボン酸エステルと、1つの付加的な配位子を備えたモノカルボン酸、2つ以上の付加的な配位子を備えたモノカルボン酸、および付加的な配位子を備えたポリカルボン酸のうちから選択される少なくとも1種の水溶性カルボン酸と、テトラメチルアンモニウムフルオリド、テトラブチルアンモニウムフルオリドまたはトリメチルエチルアンモニウムフルオリドのうちから選択される少なくとも1種の水溶性フッ化物含有物質と、任意で、カルボキシル基を含まない少なくとも1種の腐食抑制剤とを含有する。
【0011】
非腐食性洗浄組成物の第3実施形態は、水と、約0.01重量%〜約15重量%の少なくとも1種の水溶性ヒドラジノカルボン酸エステルと、約0.01重量%〜約20重量%の少なくとも1種の水溶性カルボン酸と、約0.0005重量%〜約5重量%の少なくとも1種の水溶性フッ化物含有物質と、任意で、カルボキシル基を含まない少なくとも1種の腐食抑制剤とを含有する。
【0012】
本開示はまた、半導体基板から残留物を洗浄する方法を提供する。前記方法は、半導体基板を用意する工程と、前記半導体基板を洗浄組成物と接触させる工程と、前記洗浄組成物は、水と、少なくとも1種のヒドラジノカルボン酸エステルと、少なくとも1種の水溶性カルボン酸と、任意で、少なくとも1種のフッ化物含有化合物と、任意で、カルボキシル基を含まない少なくとも1種の腐食抑制剤とを含有することと、前記半導体基板を適当なすすぎ溶剤ですすぐ工程と、任意で、前記すすぎ溶剤を除去するとともに、前記半導体基板の完全性を損なわない任意の手段によって前記半導体を乾燥させる工程とを有する。
【0013】
半導体基板から残留物を洗浄する方法の第2実施形態において、前記方法は、半導体基板を用意する工程と、前記半導体基板を洗浄組成物と接触させる工程と、前記半導体基板を適当なすすぎ溶剤ですすぐ工程と、任意で、前記すすぎ溶剤を除去するとともに、前記半導体基板の完全性を損なわない任意の手段によって前記半導体を乾燥させる工程とを有する。この第2実施形態の洗浄組成物は、水と、カルバジン酸メチル、カルバジン酸エチル、カルバジン酸ターシャリーブチル、およびカルバジン酸ベンジルのうちから選択される少なくとも1種の水溶性ヒドラジノカルボン酸エステルと、1つの付加的な配位子を備えたモノカルボン酸、2つ以上の付加的な配位子を備えたモノカルボン酸、および付加的な配位子を備えたポリカルボン酸のうちから選択される少なくとも1種の水溶性カルボン酸と、テトラメチルアンモニウムフルオリド、テトラブチルアンモニウムフルオリドまたはトリメチルエチルアンモニウムフルオリド、少なくとも1種のヒドラジノカルボン酸エステルのうちから選択される少なくとも1種の水溶性フッ化物含有物質と、任意で、カルボキシル基を含まない少なくとも1種の腐食抑制剤とを含有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
特段の断りがない限り、本願において定義するように、記載したパーセンテージはすべて洗浄組成物の全重量に対する重量パーセントであることが理解されるべきである。「溶剤」は周囲温度で洗浄組成物の成分を溶解することができる任意の物質を意味する。特段の断りがない限り、周囲温度は摂氏約16度〜約27度(℃)であると定義する。
【0015】
本開示は、主に半導体基板からのプラズマエッチング残留物および/またはプラズマ灰化残留物を除去するのに有用である非腐食性洗浄組成物に関する。前記非腐食性洗浄組成物は、(A)水と、(B)少なくとも1種の水溶性ヒドラジノカルボン酸エステルと、(C)少なくとも1種の水溶性カルボン酸と、(D)任意で、カルボキシル基を含まない少なくとも1種の腐食抑制剤とを含有する。前記洗浄組成物のpHは約2〜約6である。
【0016】
本開示は、重要な成分として、少なくとも1種の水溶性ヒドラジノカルボン酸エステル(カルバジン酸エステルまたはカルバザートとしても知られている)を含有する。前記水溶性ヒドラジノカルボン酸エステルは、広範囲の他の方法では比較的不溶性であるプラズマエッチング残留物の溶解速度を向上する選択的酸化/還元剤として機能すると考えられる。ヒドラジノカルボン酸エステルは、プラズマエッチング残留物の除去を促進し、かつ金属に対して非腐食性である。本開示の洗浄組成物に用いられるヒドラジノカルボン酸エステルは、式(I)によって記述される。
【0017】
−O−CO−NH−NH (I)
式(I)において、Rは、任意に置換された直鎖もしくは分枝鎖状C〜C20アルキル基、任意に置換されたC〜C20シクロアルキル基、または任意に置換されたC〜C14アリール基である。R基の例としては、メチル、トリフルオロメチル、エチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2,2,2,−トリクロロエチル、ヒドロキシエチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、ノルマルブチル、イソブチル、ターシャリーブチル、sec−ブチル、シクロブチル、ペンチル、1−ヒドロキシペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘプチル、2−シクロヘキシルエチル、オクチル、デシル、ペンタデシル、エイコシル、ベンジルおよびフェニルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0018】
好ましくは、Rは、任意に置換された直鎖もしくは分枝鎖状C〜C10アルキル基、または任意に置換されたC〜C10シクロアルキル基である。好ましいR基の例としては、メチル、トリフルオロメチル、エチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2,2,2,−トリクロロエチル、ヒドロキシエチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、ノルマルブチル、イソブチル、ターシャリーブチル、sec−ブチル、シクロブチル、ペンチル、1−ヒドロキシペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、シクロヘキシルメチル(cyclcohexylmethyl)、シクロヘプチル、2−シクロヘキシルエチル、オクチル、デシルおよびベンジルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0019】
より好ましくは、Rは、任意にフェニルで置換された、直鎖もしくは分枝鎖状C〜Cアルキル基またはC〜Cシクロアルキル基である。より好ましいR基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、ノルマルブチル、イソブチル、ターシャリーブチル、sec−ブチル、シクロブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびベンジルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。最も好ましくは、Rはメチル基、エチル基、ターシャリーブチル基またはベンジル基である。
【0020】
適当なヒドラジノカルボン酸エステルの例としては、カルバジン酸メチル、カルバジン酸エチル、カルバジン酸プロピル、カルバジン酸イソプロピル、カルバジン酸ブチル、カルバジン酸ターシャリーブチル、カルバジン酸ペンチル、カルバジン酸デシル、カルバジン酸ペンタデシル、カルバジン酸エイコシル、カルバジン酸ベンジル、カルバジン酸フェニル、およびカルバジン酸2−ヒドロキシエチルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。ヒドラジノカルボン酸エステルの好ましい例としては、カルバジン酸メチル、カルバジン酸エチル、カルバジン酸プロピル、カルバジン酸イソプロピル、カルバジン酸ブチル、カルバジン酸ターシャリーブチル、カルバジン酸ペンチル、カルバジン酸デシル、カルバジン酸2−ヒドロキシエチルおよびカルバジン酸ベンジルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。ヒドラジノカルボン酸エステルのより好ましい例としては、カルバジン酸メチル、カルバジン酸エチル、カルバジン酸プロピル、カルバジン酸イソプロピル、カルバジン酸ブチル、カルバジン酸ターシャリーブチル、カルバジン酸ペンチルおよびカルバジン酸ベンジルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。カルバジン酸メチル、カルバジン酸エチル、カルバジン酸ターシャリーブチルおよびカルバジン酸ベンジルが、最も好ましいヒドラジノカルボン酸エステルである。
【0021】
ヒドラジノカルボン酸エステルは、2種以上のヒドラジノカルボン酸エステルの混合物であってもよい。そのような場合、ヒドラジノカルボン酸エステルは、1つの化合物について約99重量%までの任意の比率で混合され得る。二成分混合物において、好ましい混合物は、一方の化合物を約95重量%まで含有するであろう。よりと好ましい二成分混合物は、一方の化合物を約75重量%までの含有するであろう。最も好ましい二成分混合物は、各化合物を約50重量%まで含有するであろう。三成分以上の混合物においては、ヒドラジノカルボン酸性エステルは任意の適当な比率で混合され得る。
【0022】
ヒドラジノカルボン酸エステルは商業的に購入することができるし、あるいは米国特許第5756824号に記載されている製法によって調製することもできる。前記特許文献は、参照により余すところなく本願に援用される。
【0023】
本開示はさらに少なくとも1種の水溶性カルボン酸を含有する。好ましい重量範囲内におけるカルボン酸の水性組成物への添加は、組成物のpHを酸性pHに固定し、よって酸性水性組成物を生じさせる。前記酸性水性組成物中では、銅およびアルミニウム(またそれらの合金)の酸化物のような重要な金属酸化物は、熱力学的平衡に基づいて、急速に溶解される。本開示におけるカルボン酸は、1)組成物の残留物溶解特性の増強、2)高い緩衝能(buffering capacity)を有する溶液のpHの調整、3)清浄な露出金属面上における有機金属キレート化種の形成による耐食性の増大がもたらされること、および/または4)さもなければ半導体基板の表面上に再堆積する不要な微量金属をキレート化して捕捉する能力がもたらされ得ることを含むいくつかの有用な機能を有する。
【0024】
本開示の洗浄組成物中に特定の水溶性カルボン酸を含有することの本質的な利点は、金属キレート化機能をもたらすそれらの能力である。本開示におけるキレート剤は金属腐食を低減すると考えられる。キレート剤は単一の金属イオン対して多重結合を形成することができる化合物である。金属カチオンは中心原子と呼ぶことがあり、金属カチオンと共に配位化合物を形成するアニオンまたは分子は配位子と呼ぶことがある。配位子がいくつかの原子から構成される場合、配位子の塩基性や求核性の原因となる原子は、配位原子と呼ばれる。塩基が2つ以上の配位原子を含んでおり、よって錯体において2つ以上の配位座を占め得る場合、その塩基は多座錯形成剤と呼ばれる。1箇所、2箇所、3箇所などの位置を占める配位子は、それぞれ単座配位子、二座配位子、三座配位子などと呼ばれる。多座配位子による錯形成はキレート化と呼ばれ、その錯体はキレートと呼ばれる。ヒドロキシル基、アミノ基、チオ基、メルカプト基、カルボキシル基およびカルボニル基のような基を含む化合物は金属キレート化特性を有し得る。カルボン酸、特にヒドロキシル基を含むカルボン酸は、アルミニウム、銅、アルミニウムおよび銅の合金、チタン、タンタル、タングステンおよび他の露出金属、並びに金属窒化物のような金属間化合物(intermetallic materials)の金属腐食を効果的に抑制することができる。
【0025】
以下の段落における水溶性カルボン酸の下位分類の説明において、別段の定めがない限り、窒素原子または硫黄原子を有する置換基を企図していない。
本開示の洗浄組成物の一実施形態において、少なくとも1種の水溶性カルボン酸は、付加的な配位子を有さない少なくとも1種のモノカルボン酸を含む。このカルボン酸の下位分類の例としては、酢酸、ギ酸、酪酸、プロピオン酸、安息香酸、アクリル酸、吉草酸、イソ吉草酸、トリメチル酢酸およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない、
本開示の洗浄組成物の別の実施形態において、少なくとも1種の水溶性カルボン酸は、1つの付加的な配位子を有した少なくとも1種のモノカルボン酸を含む。このカルボン酸の下位分類の例としては、ピルビン酸、乳酸、グリコール酸、マンデル酸、アセトキシ酢酸、3−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシイソ酪酸、2−ケト酪酸、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0026】
本開示の洗浄組成物の別の実施形態において、少なくとも1種の水溶性カルボン酸は、2つ以上の付加的な配位子を備えた少なくとも1種のモノカルボン酸を含む。このカルボン酸の下位分類の例は、グリセリン酸、グルコン酸、ガラクツロン酸およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0027】
本開示の洗浄組成物の別の実施形態において、少なくとも1種の水溶性カルボン酸は、付加的な配位子を有さない少なくとも1種のジカルボン酸を含む。これらのカルボン酸の例としては、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、メチルマロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、ジグリコール酸、メチルマレイン酸、ピメリン酸、フタル酸、スベリン酸、グルタル酸およびそれらの混合物が挙げられるが。これらに限定されるものではない。
【0028】
さらに本開示の洗浄組成物の別の実施形態において、少なくとも1種の水溶性カルボン酸は、1つの付加的な配位子を備えた少なくとも1種のジカルボン酸を含む。カルボン酸のこの下位分類の例としては、リンゴ酸、オキサロ酢酸で、シトラマル酸、ケトグルタル酸、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0029】
さらに本開示の洗浄組成物の別の実施形態において、少なくとも1種の水溶性カルボン酸は、2つ以上の付加的な配位子を備えた少なくとも1種のジカルボン酸を含む。このカルボン酸の下位分類の例としては、酒石酸、ジヒドロキシフマル酸、糖酸、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0030】
本開示の洗浄組成物の別の実施形態において、少なくとも1種の水溶性カルボン酸は、付加的な配位子を有さない、3つ以上のカルボン酸基を備えた少なくとも1種の化合物(ポリカルボン酸)を含む。このカルボン酸の下位分類の例としては、トリカルバリル酸、トリメシン酸、トリメリト酸、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0031】
本開示の洗浄組成物の別の実施形態において、少なくとも1種の水溶性カルボン酸は、付加的な配位子を備えた少なくとも1種のポリカルボン酸を含む。このカルボン酸の下位分類の例としては、クエン酸、アガリシン酸、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
本開示の洗浄組成物の別の実施形態において、少なくとも1種の水溶性カルボン酸は、少なくとも1つの窒素部分を備えた少なくとも1種のモノカルボン酸を含む。このカルボン酸の下位分類の例としては、グリシン、トリシン(trycine)、N−エチルグリシン、アラニン、サルコシン、3−アミノ酪酸、ピロール−2−カルボン酸、セリン、ホモセリン、アスパラギン、トレオニン、クレアチン、オキサミド酸(oxamic)、グアニジン酢酸、2,3−ジアミノプロピオン酸、マレアミド酸(maleamic)、スクシンアミド酸(succinamic)、アミノオロチン酸、5−アミノ−ピラゾール−4−カルボン酸、5−ニトロ−ピラゾール−3−カルボン酸、2−イミダゾリドン−4−カルボン酸、4−アミノ−2−ヒドロキシ酪酸、3−アミノピラジン−2−カルボン酸、ピラジン−2−カルボン酸、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。このカルボン酸の下位分類の好ましい例は、セリン、ホモセリン、アスパラギン、トレオニン、クレアチン、オキサミド酸、グアニジン酢酸、2、3−ジアミノプロピオン酸、マレアミド酸、スクシンアミド酸、アミノオロチン酸、5−アミノピラゾール−4−カルボン酸、5−ニトロ−ピラゾール−3−カルボン酸、2−イミダゾリドン−4−カルボン酸、4−アミノ−2−ヒドロキシ酪酸、3−アミノピラジン−2−カルボン酸、ピラジン−2−カルボン酸およびそれらの混合物である。このカルボン酸の下位分類のより好ましい例は、セリン、ホモセリン、トレオニン、4−アミノ−2−ヒドロキシ酪酸、およびそれらの混合物である。
【0033】
本開示の洗浄組成物の別の実施形態において、少なくとも1種の水溶性カルボン酸は、各々少なくとも1つの窒素部分を有する少なくとも1種のジカルボン酸またはポリカルボン酸を含む。このカルボン酸の下位分類の例としては、エチレンジアミン四酢酸、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン−N,N’,N’−三酢酸、5H−ジエチレントリアミンペンタ酢酸、1−アミノ−cis−シクロペンタン−1,3−ジカルボン酸およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0034】
本開示の洗浄組成物の別の実施形態において、少なくとも1種の水溶性カルボン酸は、少なくとも1つの硫黄部分を備えた少なくとも1種のモノカルボン酸を含む。このカルボン酸の下位分類の例としては、チオ乳酸、チオフェンカルボン酸、メルカプトプロピオン酸、メルカプトピルビン酸、スルホコハク酸、それのメルカプトコハク酸、チオジグリコール酸およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。このカルボン酸の下位分類の好ましい例は、スルホコハク酸、メルカプトコハク酸、チオジグリコール酸およびそれらの混合物である。このカルボン酸の下位分類のより多くの好ましい例は、メルカプトコハク酸、チオジグリコール酸およびそれらの混合物である。
【0035】
本開示の洗浄組成物の別の実施形態において、少なくとも1種の水溶性カルボン酸は、少なくとも1つの硫黄部分および少なくとも1つの窒素部分を備えた少なくとも1種のモノカルボン酸を含む。このカルボン酸の下位分類の例としては、システイン酸、ホモシステイン酸、システイン、チアゾリジンカルボン酸、ホモシステイン、シスチンおよびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。このカルボン酸の下位分類の好ましい例は、システイン、チアゾリジンカルボン酸、ホモシステイン、シスチンおよびそれらの混合物である。このカルボン酸の下位分類のより好ましい例は、シスチンである。
【0036】
好ましい種類の少なくとも1種の水溶性カルボン酸は、1つの付加的な配位子を備えたモノカルボン酸、2つ以上の付加的な配位子を備えたモノカルボン酸、付加的な配位子を有さないジカルボン酸、1つの付加的な配位子を備えたジカルボン酸、2つ以上の付加的な配位子を備えたジカルボン酸、付加的な配位子を有さないポリカルボン酸、付加的な配位子を備えたポリカルボン酸、少なくとも1つの窒素部分を備えたモノカルボン酸、および少なくとも1つの窒素部分を備えたジカルボン酸またはポリカルボン酸である。
【0037】
より好ましい種類の少なくとも1種の水溶性カルボン酸は、1つの付加的な配位子を備えたモノカルボン酸、2つ以上の付加的な配位子を備えたモノカルボン酸、付加的な配位子を有さないジカルボン酸、1つの付加的な配位子を備えたジカルボン酸、2つ以上の付加的な配位子を備えたジカルボン酸、付加的な配位子を備えたポリカルボン酸および少なくとも1つの窒素部分を備えたモノカルボン酸である。
【0038】
最も好ましい種類の少なくとも1種の水溶性カルボン酸は、1つの付加的な配位子を備えたモノカルボン酸、2つ以上の付加的な配位子を備えたモノカルボン酸、付加的な配位子を有さないジカルボン酸、付加的な配位子を備えたポリカルボン酸および少なくとも1つの窒素部分を備えたモノカルボン酸である。
【0039】
本開示の洗浄組成物に添加される水溶性カルボン酸は、2種以上のカルボン酸の混合物であってもよい。そのような場合、カルボン酸は、一方の酸について約99.5重量%までの任意の比率で混合され得る。二成分混合物において、好ましい混合物は、一方の酸を約95重量%まで含有するであろう。より好ましい二成分混合物は、一方の酸を約80重量%まで含むであろう。最も好ましい二成分混合物は、各酸を約50重量%まで含むであろう。三成分以上の混合物においては、カルボン酸は任意の適当な比率で混合され得る。
【0040】
本開示はさらに水を含む。好ましくは、水は脱イオン化され、超高純度であり、有機汚染物質を含まない。好ましくは、水は、約4〜約17メガオームの最小比抵抗(minimum resistivity)を有する。より好ましくは、水の比抵抗は少なくとも17メガオームである。
【0041】
本開示は、(A)水と、(B)少なくとも1種の水溶性ヒドラジノカルボン酸エステルと、(C)少なくとも1種の水溶性カルボン酸と、(D)任意で、カルボキシル基を含まない少なくとも1種の腐食抑制剤とを混合することによって生じる混合物を含む。
【0042】
水溶性ヒドラジノカルボン酸エステルは、本開示の洗浄組成物中において、約0.01重量%〜約15重量%の範囲で存在する。好ましくは、洗浄組成物中には、約0.05重量%〜約10重量%のヒドラジノカルボン酸エステルが存在する。より好ましくは、ヒドラジノカルボン酸エステルは、0.1重量%〜7.5重量%の量で、洗浄組成物に添加される。ヒドラジノカルボン酸エステルの最も好ましい範囲は、約0.1重量%〜約5重量%である。
【0043】
水溶性カルボン酸は、本開示の洗浄組成物中において、約0.01重量%〜約20重量%の量で添加されている。好ましくは、洗浄組成物中には、約0.05重量%〜約15重量%、より好ましくは約0.1重量%〜約10重量%の水溶性カルボン酸が含有されている。洗浄組成物中におけるカルボン酸の最も好ましい濃度範囲は、約0.1重量%〜6重量%である。
【0044】
本開示の洗浄組成物は、任意で、カルボキシル基を含まない1種以上の腐食抑制剤を含有し得る。これらの腐食抑制剤は、アルミニウム、銅、これらの金属の合金および他の露出した金属のような半導体素子上の露出した金属層の腐食を低減および抑制するために組成物に添加され得る。これらの化合物が腐食を抑制するのを支援する2つの機構、すなわち、1)前記化合物がヒドロキシル基、アミノ基、チオ基、メルカプト基およびカルボニル基のようなカルボキシル基以外の配位子を含むことによって、キレート化特性を有し得る機構と、2)前記化合物が抗酸化特性を有して、金属酸化物の形成を防止し得る機構とが存在する。これらの任意の腐食抑制剤のうちの1種以上の添加もまた、洗浄反応を向上することがある。
【0045】
本開示の組成物に有用なカルボキシル基を含まない腐食抑制剤としては、アスコルビン酸、バニリン、尿酸、ブチンジオール、ベンゾトリアゾール、トリアゾール、グルコース、イミダゾール、2−ブチン−1,4−ジオール、シクロヘキセニルアセトンおよび3−ノネン−2−オンのようなケトン、テトラミソール(tetramisole)、ヒドラジンおよびメチルヒドラジン、エチルヒドラジン、プロピルヒドラジン、ヒドロキシメチルヒドラジン、ヒドロキシエチルヒドラジン、ヒドロキシプロピルヒドラジン、ジヒドロキシエチルヒドラジン、メトキシヒドラジン、マレイン酸ヒドラジンおよびフェニルヒドラジンのようなヒドラジン誘導体、アセトンオキシム、サリチルアルドキシムおよびブタノンオキシムのようなオキシム、ヒドロキノン、ピロガロール、ヒドロキシトルエン、4−メトキシフェニルおよび4−ヒドロキシメチルフェノールのような酸化され易い芳香族化合物および酸化防止剤、メルカプトエタノール、2−プロペン−1−チオール、チオグリセロール、1H−1,2,4−トリアゾール−3−チオール、メルカプトメチルイミダゾール、メルカプトチアゾリン、2−メルカプト−4[3H]キナゾリンおよび2−チオバルビツル酸のようなチオール、サルチルアルデヒドおよび4−ヒドロキシベンズアルデヒド、グリコールアルデヒドジアルキルアセタール、特にグリコールアルデヒドジエチルアセタールのようなアルデヒドおよびその誘導体、並びにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0046】
本開示の洗浄組成物において用いられる場合には、腐食抑制剤は、約0.001重量%〜約15重量%添加される。腐食抑制剤のより好ましい濃度範囲は、約0.005重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.01重量%〜約8重量%である。腐食抑制剤の最も好ましい濃度範囲は、本開示では、約0.01重量%〜約6重量%である。
【0047】
本開示の一実施形態において、半導体基板上に形成されたプラズマエッチおよび/またはプラズマ灰化の残留物を除去するための洗浄組成物は、
(a)水と、
(b)約0.01重量%〜約15重量%の少なくとも1種の式(1)の水溶性ヒドラジノカルボン酸エステル(前記式中、Rは、任意に置換された直鎖もしくは分枝鎖状C〜C20アルキル基、任意に置換されたC〜C20シクロアルキル基、または任意に置換されたC〜C14アリール基である)と、
(c)約0.01重量%〜約20重量%の少なくとも1種の水溶性カルボン酸と、
(d)任意で、約0.001重量%〜約15重量%のカルボキシル基を含まない少なくとも1種の腐食抑制剤とを含有する。
【0048】
本開示の好ましい実施形態において、半導体基板上に形成されたプラズマエッチング残留物および/またはプラズマ灰化残留物を除去するための洗浄組成物は、
(a)水と、
(b)約0.05重量%〜約10重量%の少なくとも1種の式(1)の水溶性ヒドラジノカルボン酸エステル(前記式中、Rは、任意に置換された直鎖もしくは分枝鎖状C〜C10アルキル基、または任意に置換されたC〜C10シクロアルキル基である)と、
(c)1つの付加的な配位子を備えたモノカルボン酸、2つ以上の付加的な配位子を備えたモノカルボン酸、付加的な配位子を有さないジカルボン酸、1つの付加的な配位子を備えたジカルボン酸、2つ以上の付加的な配位子を備えたジカルボン酸、付加的な配位子を有さないポリカルボン酸、付加的な配位子を備えたポリカルボン酸、少なくとも1つの窒素部分を備えたモノカルボン酸、および少なくとも1つの窒素部分を備えたジカルボン酸またはポリカルボン酸のうちから選択される、約0.05重量%〜約15重量%の少なくとも1種の水溶性カルボン酸と、
(d)任意で、約0.005重量%〜約10重量%のカルボキシル基を含まない少なくとも1種の腐食抑制剤とを含有する。
【0049】
本開示のより好ましい実施形態において、半導体基板上に形成されたプラズマエッチング残留物および/またはプラズマ灰化残留物を除去するための洗浄組成物は、
(a)水と、
(b)約0.1重量%〜約7.5重量%の少なくとも1種の式(1)の水溶性ヒドラジノカルボン酸エステル(前記式中、Rは、直鎖もしくは分枝鎖状したC〜Cアルキル基またはC〜Cシクロアルキル基である)と、
(c)1つの付加的な配位子を備えたモノカルボン酸、2つ以上の付加的な配位子を備えたモノカルボン酸、1つの付加的な配位子を備えたジカルボン酸、2つ以上の付加的な配位子を備えたジカルボン酸および付加的な配位子を備えたポリカルボン酸のうちから選択される、約0.1重量%〜約10重量%の少なくとも1種の水溶性カルボン酸と、
(d)任意で、約0.01重量%〜約8重量%のカルボキシル基を含まない少なくとも1種の腐食抑制剤とを含有する。
【0050】
本開示の最も好ましい実施形態において、半導体基板上に形成されたプラズマエッチング残留物および/またはプラズマ灰化残留物を除去するための洗浄組成物は、
(a)水と、
(b)約0.1重量%〜約5重量%の少なくとも1種の式(1)の水溶性ヒドラジノカルボン酸エステル(前記式中、Rはメチル基またはエチル基である)と、
(c)1つの付加的な配位子を備えたモノカルボン酸、2つ以上の付加的な配位子を備えたモノカルボン酸、および付加的な配位子を備えたポリカルボン酸のうちから選択される、約0.1重量%〜約6重量%の少なくとも1種の水溶性カルボン酸と、
(d)任意で、約0.01重量%〜約6重量%のカルボキシル基を含まない少なくとも1種の腐食抑制剤とを含有する。
【0051】
さらに、pH調整剤、界面活性剤、カルボキシル基を含まないキレート剤、消泡剤およびバイオサイドのような添加剤が、任意成分として含有されてもよい。
本開示の洗浄組成物は、任意で、1種以上のpH調整剤を含有してもよい。pH調整剤は、組成物を約2〜約6のpH範囲内に入るように調整する必要がある場合に用いられる。好ましいpH範囲は、約2〜約5である。より好ましいpH範囲は、約2〜約4である。最も好ましいpHの範囲は、約2.2〜約3.5である。本開示に有用なpH調整剤の種類の例としては、ヒドロキシルアミン、アルカノールアミン、アルキルアミンおよびアルキルアンモニウムヒドロキシドが挙げられるが、これらに限定されるものではない。適当なpH調整剤の例としては、ヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレングリコールアミン、N−ヒドロキシエチルピペラジン(N-hydoxyethylpiperazine)、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、エチルメチルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、モノ−n‐プロピルアミン、モノ−n‐ブチルアミン、シクロヘキシルアミン、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン(N,N-dimethyl-1,3-popanediamine)、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、フルフリルアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシド、およびメチルトリ(ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシドが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0052】
半導体表面の濡れを促進し、かつプラズマエッチング残留物を溶解して半導体基板からの除去する力を高めるために、本開示の洗浄組成物中に界面活性剤も任意に含有してもよい。これらの界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性イオン性界面活性剤、または両性界面活性剤、またはそれらの混合物であり得る。好ましくは、本開示の界面活性剤は低レベルの金属性不純物を有する。例としては、アーチ ケミカルズ社からOHSという商品名で入手可能な、アルキルフェノールポリグリシドールエーテル型の非イオン性界面活性剤がある。添加する場合、界面活性剤は、本開示の洗浄組成物中、約0.5重量%(5000ppm)まで存在する。好ましくは、本開示の界面活性剤は、洗浄組成物中、約0.0005重量%(5ppm)〜約0.22重量%(2200ppm)存在する。より好ましくは、本開示の界面活性剤は、洗浄組成物中、約0.001重量%(10ppm)〜約0.1重量%(1000ppm)存在する。本開示の洗浄組成物中の最も好ましい界面活性剤濃度は、約0.001重量%(10ppm)〜約0.05重量%(500ppm)である。
【0053】
本開示の洗浄組成物は、起泡の低減を目的とした添加剤をさらに含有してもよい。用いる場合には、消泡剤は全界面活性剤濃度の約20重量%まで用いられ得る。適当な消泡剤の例としては、デフォーマーWB500(DeFoamer WB 500)(テク セールズ カンパニー(Tech Sales Co.)から入手可能)、ノーフォーム1971(NoFoam 1971)(オイル ケム テクノロジー(Oil Chem Technology)から入手可能)、テゴ フォークメックス(Tego Foaqmex)(デグサ(DeGusa)から入手可能)、スルフィノール104(Surfynol 104)(エア−プロダクツ(Air-Products)から入手可能)、サグ10(SAG 10)(OSiスペシャルティズ インク(OSi Specialities, Inc.)から入手可能)、およびアドバンテージ831(Advantage 831)(ヘルクレス(Hercules)から入手可能)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0054】
本開示の洗浄組成物は、また抗菌性添加剤(例えば殺菌剤、殺藻剤または殺真菌剤)を含有してもよい。用いられ得る抗菌剤の例としては、ケーソンCG(Kathon CG)、ケーソンII(Kathon CG II)、またネオロン950(NEOLONE 950)殺菌剤(ローム アンド ハース(Rohm ans Haas)から入手可能)、メチルイソチアゾリノンおよびアクカール(AQUCAR)シリーズ製品(ダウ ケミカルから入手可能)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。洗浄組成物中に用いられる場合には、抗菌剤の濃度の代表的な範囲は約0.0001重量%〜約0.5重量%となるであろう。
【0055】
本開示は集積回路装置の製造工程に有用なので、洗浄組成物が少ない金属性不純物を有するように注意を払わなければならない。好ましくは、本開示の洗浄組成物は、10ppmの総金属イオン汚染レベルを超過するべきでない。より好ましいのは、5ppm以下の総金属イオン汚染レベルを有する洗浄組成物である。最も好ましいのは、1ppm以下の総金属イオン汚染レベルを有する洗浄組成物である。
【0056】
本開示の洗浄組成物の一例は、
(a)水と、
(b)約0.1重量%〜約7.5重量%のカルバジン酸メチルと、
(c)重量比3:1のクエン酸と乳酸との混合物、約0.1重量%〜約10重量%とを含有する。
【0057】
本開示の洗浄組成物の別の例は、
(a)水と、
(b)約0.1重量%〜約5重量%のカルバジン酸メチルと、
(c)約0.1重量%〜約6重量%のクエン酸および乳酸の重量比1:1の混合物と、
(d)任意で、約0.01重量%〜約6重量%のアスコルビン酸とを含有する。
【0058】
本開示の洗浄組成物の別の例は、
(a)水と、
(b)約0.1重量%〜約7.5重量%のカルバジン酸メチルとカルバジン酸エチルとの重量比1:1の混合物と、
(c)約0.1重量%〜約10重量%のクエン酸と、
(d)約10ppm〜1000ppmの非イオン性界面活性剤とを含有する。
【0059】
本開示の洗浄組成物の別の例は、
(a)水と、
(b)約0.05重量%〜約10重量%のカルバジン酸エチルと、
(c)約0.05重量%〜約15重量%の乳酸と、
(d)組成物のpHを約2〜約5の範囲に調整するのに十分な量のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドとを含有する。
【0060】
本開示の洗浄組成物の別の例は、
(a)水と、
(b)約0.1重量%〜約5重量%のカルバジン酸ターシャリーブチルと、
(c)約0.1重量%〜約6重量%のクエン酸と乳酸との重量比1:3の混合物と、
(d)組成物のpHを約2.2〜約3.5の範囲に調整するのに十分な量のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドとを含有する。
【0061】
本開示の洗浄組成物の別の例は、
(a)水と、
(b)約0.01重量%〜約15重量%のカルバジン酸メチルと、
(c)約0.01重量%〜約20重量%のクエン酸とD−グルコン酸との重量比4:1の混合物と、
(d)任意で、約0.001重量%〜約15重量%のマレイン酸ヒドラジン(maleic hydrazine)と、
(e)組成物のpHを約2〜約6の範囲に調整するのに十分な量のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドとを含有する。
【0062】
本開示の洗浄組成物は、特に半導体基板からフォトレジストフィルムを除去することを意図したものではない。むしろ、本開示の洗浄組成物は、ドライまたはウェット剥離法によって半導体基板からフォトレジストを除去した後のプラズマエッチング残留物を除去することを意図している。
【0063】
従って、フォトレジスト剥離工程は、好ましくは本開示の洗浄方法に先行する。Oプラズマ灰化(plasma ashing)、オゾン気相処理(ozone gas phase-treatment)、フッ素プラズマ処理、熱Hガス処理(参照により余すところなく本願に援用される米国特許第5691117号に記載)など含む、任意の適当なドライ剥離工程を用いることができる。さらに、当業者に知られている任意の従来の有機ウェット剥離溶液を用いることができる。
【0064】
本開示の洗浄方法と組み合わせて用いられる好ましい剥離工程は、ドライ剥離工程である。好ましくは、このドライ剥離工程はOプラズマ灰化工程である。この工程は、真空状態(すなわち1トル)において高温(典型的には250℃)の活性酸素雰囲気を適用することにより、半導体基板から大部分のフォトレジストを除去する。有機物質はこの工程によって酸化されて、プロセスガスによって除去される。しかしながら、この工程は、半導体基板に対する無機または有機金属の汚染物質を除去しない。本開示の洗浄組成物による半導体基板のその後の洗浄は、それらの残留物を除去するのに必要である。
【0065】
本開示の一実施形態は、半導体基板から残留物を洗浄する方法であり、前記方法は、
(a)エッチング後(post etch)残留物および/または灰化後(post ash)残留物を含む半導体基板を用意する工程と、
(b)前記半導体基板を洗浄組成物と接触させる工程であって、前記洗浄組成物は、水と、少なくとも1種の水溶性ヒドラジノカルボン酸エステルと、少なくとも1種の水溶性カルボン酸と、任意で、カルボキシル基を含まない少なくとも1種の腐食抑制剤とを含有する、工程と、
(c)前記半導体基板を適当なすすぎ溶剤ですすぐ工程と、
(d)任意で、前記すすぎ溶剤を除去するとともに、前記半導体基板の完全性を損なわない任意の手段によって、前記半導体を乾燥させる工程とを有する。
【0066】
さらに、本開示の方法の工程(b)に用いられる洗浄組成物は、任意で、pH調整剤、界面活性剤、カルボキシル基を含まないキレート剤、消泡剤およびバイオサイドのような付加的な添加剤を含むことができる。
【0067】
この方法において清浄にされる半導体基板は、有機物および有機金属の残留物を含んでおり、加えて、除去する必要がある様々な金属酸化物を含んでいる。半導体基板は、典型的には、シリコン、シリコンゲルマニウム、GaAsのような第III−V族化合物、またはそれらの任意の組み合わせから構成される。半導体基板は加えて、金属線および誘電材料のような相互接続構造(interconnect features)などの露出した集積回路構造を含んでいてもよい。相互接続構造に用いられる金属および合金としては、アルミニウム、銅と合金化されたアルミニウム、銅、チタン、タンタル、コバルトおよびシリコン、窒化チタン、窒化タンタル、およびタングステンが挙げられるが、これらに限定されるものではない前記半導体基板はまた、酸化シリコン、窒化シリコン、炭化シリコンおよび炭素ドープ酸化シリコンの層を含んでいてもよい。
【0068】
半導体基板は、任意の適当な方法によって、例えば、洗浄組成物をタンクに入れて洗浄組成物中に半導体基板を浸漬する、かつ/または沈めること、半導体基板上に洗浄組成物を噴霧すること、半導体基板上に洗浄組成物を流すこと、またはそれらの任意の組み合わせによって、洗浄組成物と接触させることができる。好ましくは、半導体基板は洗浄組成物中に浸漬される。
【0069】
本開示の洗浄組成物は、約90℃の温度まで効果的に用いられ得る。好ましくは、洗浄組成物は約16℃〜約70℃で使用される。より好ましくは、洗浄組成物は約18℃〜約50℃の温度範囲において用いられる。本開示の洗浄組成物の利点は、それらが周囲温度において効果的に用いられ得るということである。
【0070】
同様に、洗浄時間は、用いる特定の洗浄方法によって、広範囲にわたって変化し得る。浸漬バッチ式工程で洗浄する場合、適当な範囲は、例えば約60分間以内ある。バッチ式工程に対して好ましい範囲は、約2分間〜約40分間である。バッチ式工程に対してより好ましい範囲は、約3分間〜約30分間である。バッチ式洗浄工程に対して最も好ましい範囲は、約3分間〜約20分間である。
【0071】
枚葉処理(single wafer process)に対する洗浄時間は、約10秒〜約5分にわたり得る。枚葉処理に対する好ましい洗浄時間は、約15秒間〜約4分間にわたり得る。枚葉処理に対するより好ましい洗浄時間は、約15秒間〜約3分間にわたり得る。枚葉処理に対する最も好ましい洗浄時間は、約20秒間〜約2分間にわたり得る。
【0072】
さらに本開示の洗浄組成物の洗浄能力を増進するために、機械的撹拌手段を用いてもよい。適当な撹拌方法の例としては、基板上における洗浄組成物の循環、基板上における洗浄組成物の流過または噴霧、および洗浄工程中における超音波またはメガソニックによる撹拌が挙げられる。地面に対する半導体基板の向きは、いかなる角度であってもよい。水平または垂直な向きが好ましい。
【0073】
本開示の洗浄組成物は、オントラック システムズ DDS、SEZシングルウェハスプレーリンスシステム(Ontrak Systems DSS, SEZ single wafer spray rinse system)、バーテック シングルウェハ メガソニック ゴールドフィンガー(Verteq single wafer megasonic Goldfinger)、セミツール ミレニアム シングルウェハ スプレーリンスシステム(Semitool Millenium single wafer spray rinse systems)、および他のツールセットのような従来の洗浄ツールにおいて用いることができる。本開示の組成物の有意な利点は、前記組成物が、全体でも一部でも、比較的非毒性、非腐食性、かつ非反応性の成分から構成されていることによって、前記組成物は広範囲の温度および工程時間において非常に安定していることである。本開示の組成物は、バッチ式および枚葉式の洗浄のための既存のおよび提案されている半導体ウェハ洗浄工程ツールを構成するために用いられるほとんどすべての材料と化学的に適合する。
【0074】
洗浄に後続して、半導体基板を、撹拌手段を用いて、または用いずに、適当なすすぎ溶剤で約5秒間〜約5分間以内にわたってすすぐ。適当なすすぎ溶剤の例としては、脱イオン(DI)水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、N−メチルピロリジノン、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、乳酸エチルおよびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが挙げられるが、これらに限定されるものではない。すすぎ溶剤の好ましい例としては、DI水、メタノール、エタノールおよびイソプロピルアルコールが挙げられるが、これらに限定されるものではない。より好ましいすすぎ溶剤は、DI水およびイソプロピルアルコールである。最も好ましいすすぎ溶剤は、DI水である。前記溶剤は、洗浄組成物を適用するのに用いられる手段に類似した手段を用いて適用され得る。洗浄組成物はすすぎ工程の開始前に半導体基板から除去されてもよい。あるいは、洗浄組成物は、すすぎ工程の開始時には依然として半導体基板と接触していてもよい。好ましくは、用いられる温度は、16℃〜27°Cである。
【0075】
次に任意で半導体基板を乾燥させる。当業において既知の任意の適当な乾燥手段を用い得る。適当な乾燥手段の例としては、スピン乾燥、半導体基板上に乾性ガスを流過させること、またはホットプレートもしくは赤外線ランプのような加熱手段によって半導体基板を加熱すること、マラゴニ(Maragoni)乾燥、ロタゴニ(rotagoni)乾燥、IPA乾燥、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。乾燥時間は、用いる特定の方法に依存するであろうが、典型的には約30秒間〜数分間までのオーダーである。
【0076】
本開示はまた、化学機械研磨を受けた銅および低k誘電体基板上のスラリーおよび金属微粒子、並びに他の残留有機物および金属酸化物残留物を除去するのに有用な非腐食性のCMP後洗浄方法に関する。任意の適当な化学機械研磨工程が用いられ得る。適当な化学機械研磨工程の例は、米国特許第6083840号、米国特許第6517413号、米国特許第6524950号、米国特許第6447693号、および米国特許第6443814号を参照のこと。前記特許文献は、参照により余すところなく本願に援用される。
【0077】
化学機械研磨と洗浄工程との間には、前記研磨された基板が、残留スラリー粒子および他の汚染物質を除去するために、米国特許第6455432号および米国特許第6436832号(参照により余すところなく援用される)に開示されているようなバフ研磨工程によって、または適当な溶剤によって、撹拌手段を用いて、または用いないで、予備洗浄され得る任意選択の工程があってもよい。適当な溶剤の例としては、脱イオン水およびアルコールが挙げられる。基板は、乾燥手段を用いて乾燥させてもよいし、または直接洗浄を開始してもよい。
【0078】
本開示の一実施形態は、CMP後残留物を含む半導体基板を洗浄する方法であり、前記方法は、
(1)CMP後残留物を含む半導体基板を用意する工程と、
(2)前記半導体基板を洗浄組成物と接触させる工程であって、前記洗浄組成物は、水と、少なくとも1種の水溶性ヒドラジノカルボン酸エステルと、少なくとも1種の水溶性カルボン酸と、任意で、カルボキシル基を含まない少なくとも1種の腐食抑制剤とを含有する、工程と、
(3)前記半導体基板を適当なすすぎ溶剤ですすぐ工程と、
(4)任意で、すすぎ溶剤を除去するとともに、前記半導体基板の完全性を損なわない任意の手段によって、前記半導体基板を乾燥させる工程とを有する。
【0079】
さらに、本開示の方法の工程(b)に用いられる洗浄組成物は、任意で、pH調整剤、界面活性剤、カルボキシル基を含まないキレート剤、消泡剤、およびバイオサイドのような付加的な添加剤を含有し得る。
【0080】
CMP後残留物は、半導体基板の表面から除去される残留物質だけでなく、研磨剤粒子のような化学機械研磨工程で用いられるCMPスラリーから後に残される残留物も含んでいる。それらの基板は、低誘電率材料内またはHDP酸化物、TEOS、炭化シリコン、炭素ドープ酸化シリコンおよび有機高分子などの複合材料のような非導電性セラミックの多層スタック内に埋設された(inlayed)銅線のような金属相互接続を含んでいてもよい。炭素ドープ酸化シリコンの例としては、コラール(Coral)(ノベラス(Novellus)、ブラックダイヤモンドI(Black Diamond I)およびブラックダイヤモンドII(Black Diamond Il)(アプライド マテリアルズ(Applied Materials))、オーロラ(Aurora)(ASMインターナショナル(ASM International))、およびオリオン(Orion)(トリコン インダストリーズ(Trikon Industries))が挙げられるが、これらに限定されるものではない。低k誘電体として用いられる有機高分子の例としては、ビスベンゾシクロブテン(ダウ ケミカル(Dow Chemical))、ポリアリーレンエーテル(アライドシグナル製のフレア(FLARE))およびSiLK(ダウ ケミカル)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。Ta、TaN、TiN、TiWまたは他の金属酸化物、ケイ化物および窒化物材料のような他の金属および半導体材料の表面も存在してもよい。銅成分は、完全に銅であってもよいし、または銅合金材料であってもよい。
【0081】
本開示の洗浄組成物は、噴霧、浸漬、または流れのような任意の適当な手法で、洗浄されるべき基板と接触させられてもよいし、ノズル、ホース、パイプ、ブラシまたは同等な手段によって基板に供給されてもよい。洗浄を支援するために、機械的撹拌手段を用いてもよい。適当な撹拌方法の例としては、表面上に洗浄剤を循環させること、表面に洗浄剤を流過させるか噴霧すること、超音波またはメガソニック撹拌、またはブラッシングが挙げられる。ブラッシングおよびメガソニック撹拌が好ましい。地面に対する基板の向きは、いかなる角度でもあってもよい。水平または垂直な向きが好ましい。接触時間は約15秒間〜約120秒間であり得る。好ましい接触時間は、約15秒間〜約60秒間である。洗浄結果は温度に応じて変化し得るが、洗浄を行う温度は重要ではない。好ましい温度範囲は、約16℃〜約27℃である。
【0082】
本開示の洗浄組成物への曝露に後続して、基板は、攪拌手段を用いて、または撹拌手段を用いることなく、適当なすすぎ溶剤によって約5秒間〜約120秒間にわたってすすがれ得る。適当なすすぎ溶剤の例としては、DI水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが挙げられるが、これらに限定されるものではない。すすぎ溶剤の好ましい例としては、DI水、メタノール、エタノールおよびイソプロピルアルコールが挙げられるが、これらに限定されるものではない。より好ましいすすぎ溶剤は、DI水およびイソプロピルアルコールである。最も好ましいすすぎ溶剤はDI水である。すすぎ溶剤は、洗浄組成物を適用するのに用いられる手段に類似した手段を用いて適用され得る。洗浄液は、すすぎ工程の開始前に基板から除去されてもよいし、あるいは、洗浄液は、すすぎ工程の開始時には基板に接触していてもよい。好ましい実施形態において、基板は、まず、洗浄組成物を除去することなく、攪拌手段を用いて、約10秒間〜約30秒間にわたってすすがれ、続いて攪拌手段を用いずに約20秒間〜約90秒間にわたってすすがれる。すすぎ工程の温度は、処理装置に適した、すすぎ溶剤の沸点より低い任意の温度であってよい。好ましくは、用いられる温度は、16℃〜27℃である。
【0083】
次に、基板は乾燥される。当業において既知の任意の適当な乾燥手段が用いられ得る。適当な乾燥手段の例としては、スピン乾燥、基板上に乾性ガスを流過させること、またはホットプレートもしくは赤外線ランプのような加熱手段によって基板を加熱すること、あるいはそれらの組み合わせが挙げられる。乾燥時間は、用いる特定方法に依存するであろうが、典型的には約30秒〜数分までのオーダーである。
【0084】
エッチング後工程および/または灰化工程の後における半導体基板上の残留物の化学的構成は、用いたエッチング工程または灰化工程、並びにそれらの工程に曝露された材料の種類に依存する。特定の残留物または基板の種に合わせて、洗浄組成物を調整しなければならないことがある。
【0085】
従って、本開示の別の実施形態は、半導体基板からプラズマエッチング残留物および/またはプラズマ灰化残留物を除去するのに有用な非腐食性フッ化物含有洗浄組成物に関する。前記洗浄組成物は、(A)水と、(B)少なくとも1種の水溶性ヒドラジノカルボン酸エステルと、(C)少なくとも1種の水溶性カルボン酸と、(D)少なくとも1種の水溶性フッ化物含有物質と、任意で、(E)カルボキシル基を含まない少なくとも1種の腐食抑制剤とを含有する。前記フッ化物含有洗浄組成物のpHは約2〜約6である。
【0086】
この実施形態に用いる成分A、B、C、および任意のカルボキシル基を含まない少なくとも1種の腐食抑制剤は上述した通りであり、上述した濃度でフッ化物含有洗浄組成物中に存在する。
【0087】
本開示のこの実施形態は、少なくとも1種の水溶性フッ化物含有物質をさらに含む。フッ化物含有洗浄組成物中におけるこのフッ化物含有材料の存在は、基板からのある種の灰化後(post ash)またはエッチング後残留物の除去にとって不可欠である。この種の灰化後残留物またはエッチング後残留物は、一般的には比較的不溶性の金属酸化物または金属ケイ酸塩の複雑な混合物を含んでいる。短い工程時間の期間内において良好な残留物の溶解を行うためには、本開示のフッ化物含有洗浄組成物中に、100〜10000ppmの範囲の自由フッ化物アニオンを解離することができる成分が存在することが有益である。
【0088】
本開示に有用な代表的な水溶性フッ化物含有物質としては、フッ化アンモニウムやアルキルアンモニウムフルオリドのようなアンモニウム塩またはHFと反応した脂肪族第一、第二および第三アミンのフッ化物塩、フッ化アンチモン(III/VI)、フッ化バリウム、フッ化スズ(II)またはフッ化アルミニウム(III)のような金属塩、フルオロホウ酸塩化合物、フッ化水素酸およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、これらのフッ化物含有物質は金属イオンフリーである。よりの好ましいフッ化物含有物質は、フッ化アンモニウムおよびテトラアルキルアンモニウムフルオリドである。最も好ましいフッ化物含有物質は非置換のテトラアルキルアンモニウムフルオリドである。
【0089】
フッ化物含有物質の例としては、フッ化アンモニウム、テトラメチルアンモニウムフルオリド、テトラエチルアンモニウムフルオリド、テトラブチルアンモニウムフルオリド、メチルアンモニウムフルオリド、ジメチルアンモニウムフルオリド、トリメチルエチルアンモニウムフルオリド、トリエタノールアンモニウムフルオリド、エタノールアンモニウムフルオリド、メタノールアンモニウムフルオリド、トリメタノールアンモニウムフルオリド、メチルジエタノールアンモニウムフルオリド、ジグリコールアンモニウムフルオリド、ニフッ化水素アンモニウム、テトラフルオロほう酸アンモニウム、テトラフルオロほう酸ナトリウム、フッ化アンチモン(III/VI)、フッ化バリウム、フッ化スズ(II)またはフッ化アルミニウム(III)である。フッ化物含有物質の好ましい例は、フッ化アンモニウム、テトラメチルアンモニウムフルオリド、テトラエチルアンモニウムフルオリド、テトラブチルアンモニウムフルオリド、メチルアンモニウムフルオリド、ジメチルアンモニウムフルオリド、トリメチルエチルアンモニウムフルオリド、トリメチルエタノールアンモニウムフルオリド、トリエタノールアンモニウムフルオリド、エタノールアンモニウムフルオリド、メタノールアンモニウムフルオリド、トリメタノールアンモニウムフルオリド、メチルジエタノールアンモニウムフルオリド、ジグリコールアンモニウムフルオリド(digrycolammonium fluoride)、ニフッ化水素アンモニウムまたはテトラフルオロほう酸アンモニウムである。フッ化物含有物質のより好ましい例は、フッ化アンモニウム、テトラメチルアンモニウムフルオリド、テトラエチルアンモニウムフルオリド、テトラブチルアンモニウムフルオリドまたはトリメチルエチルアンモニウムフルオリド、またはトリメチルエタノールアンモニウムフルオリドである。最も好ましいフッ化物含有物質の例は、テトラメチルアンモニウムフルオリド、テトラエチルアンモニウムフルオリド、テトラブチルアンモニウムフルオリドまたはトリメチルエチルアンモニウムフルオリドである。
【0090】
水溶性フッ化物含有物質は、約0.0005重量%(5ppm)〜約5.0重量%(50000ppm)の量で好都合に添加される。好ましくは、本フッ化物含有洗浄組成物には、約0.005重量%(50ppm)〜約3.0重量%(30000ppm)、より好ましくは0.01重量%(100ppm)〜約2.0重量%(20000ppm)のフッ化物含有物質が含まれている。フッ化物含有洗浄組成物中におけるフッ化物含有物質の最も好ましい濃度範囲は、約0.05重量%(500ppm)〜1.5重量%(15000ppm)である。
【0091】
本開示は、(A)水と、(B)少なくとも1種の水溶性ヒドラジノカルボン酸エステルと、(C)少なくとも1種の水溶性カルボン酸と、(D)水溶性フッ化物含有物質と、任意で、(E)カルボキシル基を含まない少なくとも1種の腐食抑制剤とを混合することによって生じる混合物を含む。
【0092】
本開示の一実施形態において、半導体基板上に形成されたプラズマエッチング残留物および/またはプラズマ灰化残留物を除去するためのフッ化物含有洗浄組成物は、
(a)水と、
(b)約0.01重量%〜約15重量%の少なくとも1種の式(1)の水溶性ヒドラジノカルボン酸エステル(前記式中、Rは、任意に置換された直鎖もしくは分枝鎖状C〜C20アルキル基、任意に置換されたC〜C20シクロアルキル基、または任意に置換されたC〜C14アリール基である)と、
(c)約0.01重量%〜約20重量%の少なくとも1種の水溶性カルボン酸と、
(d)約0.0005重量%〜約5重量%のフッ化物含有物質と、
(e)任意で、約0.001重量%〜約15重量%のカルボキシル基を含まない少なくとも1種の腐食抑制剤とを含有する。
【0093】
本開示の好ましい実施形態において、半導体基板上に形成されたプラズマエッチング残留物および/またはプラズマ灰化残留物を除去するためのフッ化物含有洗浄組成物は、
(a)水と、
(b)約0.05重量%〜約10重量%の少なくとも1種の式(1)の水溶性ヒドラジノカルボン酸エステル(前記式中、Rは、任意に置換された直鎖もしくは分枝鎖状C〜C10アルキル基、または任意に置換されたC〜C10シクロアルキル基である)と、
1つの付加的な配位子を備えたモノカルボン酸、2つ以上の付加的な配位子を備えたモノカルボン酸、付加的な配位子を有さないジカルボン酸、1つの付加的な配位子を備えたジカルボン酸、2つ以上の付加的な配位子を備えたジカルボン酸、付加的な配位子を有さないポリカルボン酸、付加的な配位子を備えたポリカルボン酸、少なくとも1つの窒素部分を備えたモノカルボン酸、および少なくとも1つの窒素部分を備えたジカルボン酸またはポリカルボン酸のうちから選択される、約0.05重量%〜約15重量%の少なくとも1種の水溶性カルボン酸と、
(d)約0.005重量%〜約3重量%のフッ化物含有物質と、
(e)任意で、約0.005重量%〜約10重量%のカルボキシル基を含まない少なくとも1種の腐食抑制剤とを含有する。
【0094】
本開示のより好ましい実施形態において、半導体基板上に形成されたプラズマエッチング残留物および/またはプラズマ灰化残留物を除去するためのフッ化物含有洗浄組成物は、
(a)水と、
(b)約0.1重量%〜約7.5重量%の少なくとも1種の式(1)の水溶性ヒドラジノカルボン酸エステル(前記式中、Rは、直鎖もしくは分枝鎖状したC〜Cアルキル基またはC〜Cシクロアルキル基である)と、
(c)1つの付加的な配位子を備えたモノカルボン酸、2つ以上の付加的な配位子を備えたモノカルボン酸、1つの付加的な配位子を備えたジカルボン酸、2つ以上の付加的な配位子を備えたジカルボン酸および付加的な配位子を備えたポリカルボン酸のうちから選択される、約0.1重量%〜約10重量%の少なくとも1種の水溶性カルボン酸と、
(d)約0.01重量%〜約2重量%のフッ化物含有物質と、
(e)任意で、約0.01重量%〜約8重量%のカルボキシル基を含まない少なくとも1種の腐食抑制剤とを含有する。
【0095】
本開示の最も好ましい実施形態において、半導体基板上に形成されたプラズマエッチング残留物および/またはプラズマ灰化残留物を除去するためのフッ化物洗浄組成物は、
(a)水と、
(b)約0.1重量%〜約5重量%の少なくとも1種の式(1)の水溶性ヒドラジノカルボン酸エステル(前記式中、Rはメチル基またはエチル基である)と、
(c)約0.1重量%〜約6重量%の、1つの付加的な配位子を備えたモノカルボン酸、2つ以上の付加的な配位子を備えたモノカルボン酸、および付加的な配位子を備えたポリカルボン酸のうちから選択される少なくとも1種の水溶性カルボン酸と、
(d)約0.05重量%〜約1.5重量%のフッ化物含有物質と、
(e)任意で、約0.01重量%〜約6重量%のカルボキシル基を含まない少なくとも1種の腐食抑制剤とを含有する。
【0096】
本開示のフッ化物含有洗浄組成物は、任意で、1種以上のpH調整剤、1種以上の界面活性剤、1種以上の泡低減剤および/または1種以上の抗菌性添加剤を含有してもよく、それらのすべては上記に記載されている。
【0097】
本開示は集積回路装置の製造工程に有用なので、フッ化物含有洗浄組成物が少ない金属性不純物を有するように注意を払わなければならない。好ましくは、本開示のフッ化物含有洗浄組成物は、10ppmの総金属イオン汚染レベルを超過するべきでない。より好ましいのは、5ppm以下の総金属イオン汚染レベルを有するフッ化物含有洗浄組成物である。最も好ましいのは、1ppm以下の総金属イオン汚染レベルを有するフッ化物含有洗浄組成物である。
【0098】
本開示のフッ化物含有洗浄組成物の一例は、
(a)水と、
(b)約0.1重量%〜約7.5重量%のカルバジン酸メチルと、
(c)重量比3:1のクエン酸と乳酸との混合物、約0.1重量%〜約10重量%と、
(d)約0.001重量%〜約3重量%のテトラメチルアンモニウムフルオリドとを含有する。
【0099】
本開示のフッ化物含有洗浄組成物の別の例は、
(a)水と、
(b)約0.1重量%〜約5重量%のカルバジン酸メチルと、
(c)約0.1重量%〜約6重量%のクエン酸および乳酸の重量比1:1の混合物と、
(d)約0.001重量%〜約3重量%のフッ化アンモニウムと、
(e)任意で、約0.01重量%〜約6重量%のアスコルビン酸とを含有する。
【0100】
本開示のフッ化物含有洗浄組成物の別の例は、
(a)水と、
(b)約0.1重量%〜約7.5重量%のカルバジン酸メチルとカルバジン酸エチルとの重量比1:1の混合物と、
(c)約0.1重量%〜約10重量%のクエン酸と、
(d)約0.01重量%〜約2重量%のテトラメチルアンモニウムフルオリドと、
(e)約10ppm〜1000ppmの非イオン性界面活性剤とを含有する。
【0101】
本開示のフッ化物含有洗浄組成物の別の例は、
(a)水と、
(b)約0.05重量%〜約10重量%のカルバジン酸エチルと、
(c)約0.05重量%〜約15重量%の乳酸と、
(d)約0.01重量%〜約2重量%のテトラメチルアンモニウムフルオリドと、
(e)前記フッ化物含有洗浄組成物のpHを約2〜約5の範囲に調整するのに十分な量のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドとを含有する。
【0102】
本開示のフッ化物含有洗浄組成物の別の例は、
(a)水と、
(b)約0.1重量%〜約5重量%のカルバジン酸ターシャリーブチルと、
(c)約0.1重量%〜約6重量%のクエン酸と乳酸との重量比1:3の混合物と、
(d)約0.001重量%〜約3重量%のテトラエチルアンモニウムフルオリドと、
(e)前記フッ化物含有組成物のpHを約2.2〜約3.5の範囲に調整するのに十分な量のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドとを含有する。
【0103】
本開示のフッ化物含有洗浄組成物の別の例は、
(a)水と、
(b)約0.01重量%〜約15重量%のカルバジン酸メチルと、
(c)約0.01重量%〜約20重量%のクエン酸とD−グルコン酸との重量比4:1の混合物と、
(d)約0.001重量%〜約3重量%の、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドとHFとの1:1モルの混合物と、
(e)任意で、約0.001重量%〜約15重量%のマレイン酸ヒドラジン(maleic hydrazine)とを含有する。
【0104】
本開示のフッ化物含有洗浄組成物は、特に半導体基板からフォトレジストフィルムを除去することを意図したものではない。むしろ、本開示のフッ化物含有洗浄組成物は、ドライまたはウェット剥離法によって半導体基板からフォトレジストを除去した後のプラズマエッチング残留物および/またはプラズマ灰化残留物を除去することを意図している。
【0105】
従って、フォトレジスト剥離工程は、好ましくは本開示の洗浄方法に先行する。適当な剥離工程は上記に記載した通りである。
本開示の別の実施形態は、半導体基板から残留物を洗浄する方法であり、前記方法は、
(a)エッチング後残留物および/または灰化後残留物を含む半導体基板を用意する工程と、
(b)前記半導体基板をフッ化物含有洗浄組成物と接触させる工程であって、前記フッ化物含有洗浄組成物は、(A)水と、(B)少なくとも1種の水溶性ヒドラジノカルボン酸エステルと、(C)少なくとも1種の水溶性カルボン酸と、(D)水溶性フッ化物含有物質と、(E)任意で、カルボキシル基を含まない少なくとも1種の腐食抑制剤とを含有する、工程と、
(c)前記半導体基板を適当なすすぎ溶剤ですすぐ工程と、
(d)任意で、前記すすぎ溶剤を除去するとともに、前記半導体基板の完全性を損なわない任意の手段によって、前記半導体を乾燥させる工程とを有する。
【0106】
さらに、本開示の方法の工程(b)に用いられるフッ化物含有洗浄組成物は、任意で、pH調整剤、界面活性剤、カルボキシル基を含まないキレート剤、消泡剤、およびバイオサイドのような付加的な添加剤を含有し得る。
【0107】
この方法において洗浄されるべき半導体基板は、有機物および有機金属の残留物を含んでおり、加えて、除去する必要がある様々な金属酸化物を含有し得る。半導体基板は、典型的には、シリコン、シリコンゲルマニウム、GaAsのような第III−V族化合物、またはそれらの任意の組み合わせから構成される。半導体基板は加えて、金属線および誘電材料のような相互接続構造(interconnect features)などの露出した集積回路構造を含んでいてもよい。相互接続構造に用いられる金属および合金としては、銅、チタン、タンタル、コバルトおよびシリコン、窒化チタン、窒化タンタル、およびタングステンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。前記半導体基板はまた、酸化シリコン、窒化シリコン、炭化シリコンおよび炭素ドープ酸化シリコンの層を含んでいてもよい。
【0108】
工程b、工程cおよび工程dにおける処理は上述の通りである。
本開示はまた、化学機械研磨を受けた銅および低k誘電体基板上の、スラリーおよび金属微粒子、並びに他の残留有機物および金属酸化物残留物を除去するのに有用な別の非腐食性のCMP後洗浄方法にも関する。任意選択のバフ研磨工程を含む適当な化学機械研磨工程は上述の通りであり、双方とも後CMP残留物洗浄に先行する。
【0109】
本開示の別の実施形態は、CMP後残留物を含む半導体基板を洗浄する方法であり、前記方法は、
(1)CMP後残留物を含む半導体基板を用意する工程と、
(2)前記半導体基板をフッ化物含有洗浄組成物と接触させる工程であって、前記洗浄組成物は、(A)水と、(B)少なくとも1種の水溶性ヒドラジノカルボン酸エステルと、(C)少なくとも1種の水溶性カルボン酸と、(D)水溶性フッ化物含有物質と、(E)任意で、カルボキシル基を含まない少なくとも1種の腐食抑制剤とを含有する、工程と、
(3)前記半導体基板を適当なすすぎ溶剤ですすぐ工程と、
(4)任意で、前記すすぎ溶剤を除去するとともに、前記半導体基板の完全性を損なわない任意の手段によって、前記半導体基板を乾燥させる工程とを有する。
【0110】
さらに、本開示の方法の工程(b)に用いられるフッ化物含有洗浄組成物は、任意で、pH調整剤、界面活性剤、カルボキシル基を含まないキレート剤、消泡剤、およびバイオサイドのような付加的な添加剤を含有し得る。
【0111】
工程2、工程3および任意で工程4における適当な基板および処理は、上述した通りである。
【実施例】
【0112】
本開示について、下記の実施例を参照して、より詳細に説明する、下記の実施例は、例示を目的とするものであり、本開示の範囲を限定するものとは解釈されるべきでない。別段の定めがない限り、列記するいずれのパーセンテージも重量によるもの(重量%)である。特段の断りが無い限り、試験中の制御された撹拌は、撹拌棒によって200rpmで行った。
【0113】
基本手順1 調合物の混合
まず、カルボン酸を超高純度脱イオン水(DI水)に完全に溶解させることによって、1000gの洗浄組成物を調製した。次に、酸化/還元剤(すなわちヒドラジノカルボン酸エステル、硫酸ヒドロキシルアンモニウムおよび任意の腐食抑制剤)を添加して完全に溶解させた。pH調整剤を用いる場合には、この時点でpH調整剤を添加して完全に溶解させた。他の添加剤を用いる場合には、他の添加剤を最後に添加した。全成分が完全に溶解した後、周囲温度においてpH測定を行った。用いた全成分は商業的に入手可能であり、高純度であった。
【0114】
基本手順2 調合物の混合
まず、カルボン酸を超高純度脱イオン水(DI水)に完全に溶解させることによって、フッ化物含有洗浄組成物を調製した。次に、酸化/還元剤(すなわちヒドラジノカルボン酸エステル、硫酸ヒドロキシルアンモニウムおよび任意の腐食抑制剤)を添加して完全に溶解させた。次に、フッ化物含有物質を添加して完全に溶解させた。次に、非イオン性界面活性剤(OHS)を添加して完全に溶解させた。pH調整剤を用いる場合には、この時点でpH調整剤を添加して完全に溶解させた。全成分が完全に溶解した後、周囲温度においてpH測定を行った。用いた全成分は商業的に入手可能であり、高純度であった。
【0115】
基本手順3 電気化学的測定
電気化学データは、EG&G PARC 263Aポテンシオスタット/ガルバノスタットを用いて得た。電気化学試験セルは、約120mlの溶液容積を有していた。試験はすべて制御された撹拌および温度設定を維持して行なった。電気化学試験セルは、標準水素電極(SHE)に対して+242mVの電位を有する飽和カロメル参照電極と、白金対向電極とを用いた。(a)Si/SiO/Ta/Cu薄膜スタック、または(b)Si/SiO/Ti/Al−4%Cu合金薄膜スタックのいずれかを含む200mmのシリコンウェハ基板を、ダイヤモンドスクライバーを用いて、幅1.5cm×長さ5cmの試験片(test coupons)に切断した。作用電極面として試験溶液に曝露されたCuまたはAl−4%Cu金属膜は、少なくとも1μmだが1.5μm以下の膜厚を有する。作用電極面積はすべての試験に対して0.33cmであった。
【0116】
銅およびアルミニウムの試験片は、薄い酸性溶液に約30秒間浸漬することにより前処理した後、試験前にDI水で簡単にすすいで、いかなる在来の酸化物も除去して、露出金属試験面とした。作用電極領域およびドライ前面金属電気接触点を除く、すべての試験片領域を、試験液への曝露からマスクした。試験片の上方部分はドライ電気接点として空気中に残したまま、作用電極領域が試験液に完全に曝露されるように、試験片を試験液に垂直に沈めた。試験は、1)自然電位(rest potential)(Ecorr)における安定性を確立する開路電位測定、2)固定スキャンレートでの自然電位から+/−20mVにおける直線分極スイープ、および3)5mV/秒のスキャンレートでの自然電位から+/−250mVにおけるターフェル分極の順番を用いて、試料を測定することによって行なった。銅およびアルミニウムのエッチング速度は、ターフェル傾斜(βaおよびβc)、分極抵抗(Rp)および作用電極表面積を用いてStern-Gearyの式から計算される腐食電流密度(μA/cm)から、ファラデーの法則を用いて計算した(エム.スターン(M. Stern)およびエイ.エル.ギアリー(A.L.Geary)、Electrochemical Polarization、Journal of the Electrochemical Society、第104巻、第1号、1957年1月、第56頁を参照されたい)。電気化学エッチング速度は、物理的重量損失測定値およびまた誘導結合プラズマ(ICP)測定値の双方と正確な相関を示した。
【0117】
洗浄組成物の腐食の格付けは、最良を10として1〜10の等級で行った。5オングストローム/分以上のCuエッチング速度は、許容し難いものと見なした。1オングストローム/分以下のCuエッチング速度は、良好と見なした。0.5オングストローム/分以下のエッチング速度は、優れていると見なした。格付けの定義については、表1を参照されたい。
【0118】
【表1】

実施例1〜4および比較例1〜3
実施例1〜4および比較例1〜3は、基本手順1を用いて、表2に列記した洗浄組成物によって調製した。
【0119】
【表2】

銅腐食率は、基本手順3に従った電気化学試験によって、洗浄組成物を50℃の一定温度設定に保持した状態で、2mV/秒の直線分極スキャンレートで、測定した。作用電極はウェハ試験片(a)であった。銅腐食率を表3に列記する。
【0120】
洗浄試験は、露出した銅、多孔性の低k物質、TEOSおよびTiN層を備えた誘電体ビアアレイスタック(dielectric via array stack)を含む基板を用いて行った。前記スタックは、フッ化物含有エッチング工程および酸素プラズマバルクレジスト除去工程から生じた残留物も含んでいた。
【0121】
まずウェハを光学顕微鏡によって精査し、次に、そのウェハを洗浄試験のために約1×1cmの方形試験片に切断した。1×1cmの試験片を、長さ4インチ(4”)のプラスチックのロッキング・ピンセットを用いて保持することによって、約100mlの本開示の洗浄組成物を収容する250ml容積のプラスチックビーカー内に前記試験片を吊り下げることができた。洗浄組成物中に試験片を浸漬する前に、前記組成物を、制御された撹拌を行いながら、50℃の試験条件温度に予熱した。次に、試験片の残留物を含む側面が撹拌棒に面するように、プラスチックピンセットによって保持した試験片を熱した組成物中に配置することによって、洗浄試験を行った。洗浄組成物を制御された攪拌下で試験温度に維持しながら、試験片を洗浄組成物中で2分間にわたって静置した。試験片を試験時間にわたって前記組成物中に曝露させたならば、試験片を洗浄組成物から優しく取り出し、周囲温度(〜17℃)の約150mlのDI水で満たされ、制御された攪拌が行われている第2の250mlプラスチックビーカー中に配置した。試験片を約20秒間にわたってDI水のビーカー中に放置し、次に、優しく取り出し、周囲温度の約150mlのDI水でまた満たされ、制御された攪拌が行われている第2の250mlのプラスチックビーカー中に配置した。試験片を60秒間にわたって第2のすすぎビーカー中に放置し、次いで取り出した。取り出したら、直ちに試験片を手持ち式窒素ブローイングガンからの窒素ガス流に曝露した。前記窒素ガス流は、試験片表面上の小滴を試験片から吹き飛ばし、さらに試験片のデバイス面を完全に乾燥させた。この最後の窒素乾燥工程に続いて、試験片をプラスチックピンセットホルダーから取り外し、約2時間以下の短期間貯蔵のために、デバイス側を上にして被覆プラスチックキャリアに入れた。次に、試験片を、〜30オングストロームのスパッタされた白金の厚い層で軽く被覆し、洗浄した試験片デバイス面上の重要なフィーチャについて、走査型電子顕微鏡法(SEM)画像を収集した。洗浄結果を表3に列記する。
【0122】
【表3】

表3から分かるように、カルバジン酸成分(実施例1〜4)を含むすべての洗浄組成物は、基板の洗浄および銅腐食率の双方において、他の組成物(比較例1〜3)より明らかに性能が優れていた。
【0123】
実施例5〜6および比較例4〜5
実施例5〜6および比較例4〜5は、基本手順1を用いて、表4に列記した洗浄組成物によって調製した。
【0124】
【表4】

銅腐食率およびアルミニウム腐食率の双方を、基本手順3に従った電気化学試験を用いて、50°Cの一定温度環境および2mV/秒の直線分極スキャンレートで測定した。作用電極は、アルミニウム腐食率用のウェハ試験片(a)、および銅腐食率用のウェハ試験片(b)であった。銅腐食率およびアルミニウム腐食率を表5に列記する。
【0125】
洗浄試験は、露出したAl−0.5%Cu線、並びにTiN層、Ti層およびTEOS層を備えた誘電体スタックを含む基板を用いて行なった。前記スタックは、フッ化物含有エッチング工程および酸素プラズマバルクレジスト除去工程から生じた残留物も含んでいた。試験工程は実施例1〜4および比較例1〜3と同様であった。試験条件温度は60℃に保持した。アルミニウム残留物洗浄結果を表5に列記する。
【0126】
【表5】

カルバジン酸エチルおよびHASは、アルミニウム基板から残留物を除去するのに非常に有効であった。測定されたアルミニウム腐食率はすべて非常に低かった。しかしながら、カルバジン酸成分を含有する調合物のみが、アルミニウム技術および銅技術の双方に対して基板腐食率が低い洗浄組成物として用いることができる。
【0127】
実施例7〜11および比較例6〜8
実施例7〜11および比較例6〜8は、基本手順2を用いて、表6に列記したフッ化物含有洗浄組成物によって調製した。銅腐食率およびアルミニウム腐食率の双方を、基本手順3に従った電気化学試験を用いて、60°C+/−2℃の一定温度環境および0.16mV/秒の直線分極スキャンレートで測定した。結果を表6に列記する。
【0128】
【表6】

洗浄試験は、銅技術に基づいた、露出した銅配線を有するデュアルダマシン構造を含む完全な200または300mm基板を使用して行った。これらの基板の未洗浄のデバイス面フィーチャはかなりの量の斑点型の残留物を含んでいた。最初に、基板を光学顕微鏡検査によって精査し、次にその基板を洗浄試験のために約1×1cm方形試験片に切断した。1×1cm試験片をデバイス面を「上」にして、約100mlのフッ化物含有洗浄組成物が入っている200mlのプラスチックジャーの底に配置した。フッ化物含有洗浄組成物中に試験片を浸漬する前に、制御された溶液の撹拌を行うために約80振動/秒に設定された振とう機/水浴のセット内において、フッ化物含有洗浄組成物を試験条件温度(典型的には40℃〜70℃)に予め加熱した。次に試験片を熱したフッ化物含有洗浄組成物中に「表向き」に配置し、一定の撹拌を行いながら、試験片をフッ化物含有洗浄組成物中に試験条件時間(典型的には2〜10分)にわたって放置することによって、洗浄試験を行なった。試験片を試験条件の期間にわたってフッ化物含有組成物中に曝露させたならば、一対のプラスチック「ロックキング」ピンセットによって、試験片を試験液から速やかに取り出し、周囲温度(ほぼ17°C)の約200mlsの超高純度脱イオン水で満たされた第2の250mlプラスチックビーカー中に配置した。緩やかに攪拌しながら、試験片を脱イオン水のビーカー中に約10〜15秒間にわたって放置し、次に、試験片を取り出し、周囲温度の約200mlsの超高純度脱イオン水でまた満たされた第2の250mlプラスチックビーカー中に配置した。緩やかに攪拌しながら、試験片をさらに60秒間にわたってビーカー中に放置して、取り出した。取り出したら、直ちに試験片を手持ち式窒素ブローイングガンからの窒素ガス流に曝露した。前記窒素ガス流は、試験片表面上の小滴を試験片から吹き飛ばし、さらに試験片のデバイス面および裏面を完全に乾燥させた。この最後の窒素乾燥工程に続いて、試験片をプラスチックピンセットホルダーから取り外し、約2時間以下の短期間貯蔵のために、デバイス側を上にして被覆プラスチックキャリアに入れた。次に、試験片を、約30〜50オングストロームのスパッタされた金の厚い層で軽く被覆し、洗浄した試験片のデバイス面上の重要なフィーチャについて、走査型電子顕微鏡法(SEM)画像を収集した。工程条件および洗浄結果を表7に列記する。
【0129】
【表7】

ヒドラジノカルボン酸エステル(カルバザート)が酸性フッ化物含有洗浄組成物中においてヒドロキシルアミン型化合物の有効な代替物であることが示された。TMAFと組み合わせたカルバジン酸メチルは、銅腐食を低く保ちながら、低温かつ短い処理時間で斑点型残留物を成功裡に洗浄した。カルバザートを用いて調剤したフッ化物含有洗浄組成物は、HAS含有組成物よりも、使用するのに安全であり、より環境にやさしいので好ましい。
【0130】
実施例12〜19および比較例9〜10
実施例12〜20および比較例9は、基本手順2を用いて、表8に列記したフッ化物洗浄組成物によって調製した。
【0131】
【表8】

洗浄試験は、銅技術に基づいた、ビア試験構造を含む完全な200mm基板を用いて行った。スタックはSi、SiO、SiC、ブラックダイヤモンドIIおよびTiNハードマスク層、並びにバルクレジスト除去(プラズマ灰化)工程からの残留物を含んでいた。これらの基板の未洗浄のデバイス面フィーチャはかなりの量の側壁ポリマータイプの残留物を含んでいた。試験工程は実施例7〜11および比較例6〜8と同様であった。試験片をフッ化物含有洗浄組成物中に10分間にわたって浸漬する間、フッ化物含有洗浄組成物を70℃の一定温度に保持した。どれだけの側壁残留物が除去されたか、およびハードマスクのオーバーエッチについて、SEMを評価した。工程条件および洗浄結果を表9に列記する。
【0132】
【表9】

フッ化物の添加は、本開示のフッ化物含有洗浄組成物の側壁残留物を除去する能力を明らかに向上した。これは誘電体またはハードマスクを著しく劣化させることなく行われた。
【0133】
本開示について、その特定の実施形態に関してここで説明してきたが、本願において開示した本発明の概念の精神および範囲から逸脱することなく、変更、修正および変形がなされ得ることが認識されるであろう。従って、添付した特許請求の範囲の精神および範囲内にある変更、修正および変形をすべて包含することが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と、
少なくとも1種の水溶性ヒドラジノカルボン酸エステルと、
少なくとも1種の水溶性カルボン酸と、
任意で、少なくとも1種の水溶性フッ化物含有物質と、
任意で、カルボキシル基を含まない少なくとも1種の腐食抑制剤とを含有する、非腐食性洗浄組成物。
【請求項2】
前記洗浄組成物のpHは約2〜約6である、請求項1に記載の非腐食性洗浄組成物。
【請求項3】
界面活性剤、消泡剤、バイオサイドおよびそれらの任意の組み合わせのうちから選択される添加剤をさらに含有する、請求項1に記載の非腐食性洗浄組成物。
【請求項4】
前記水溶性ヒドラジノカルボン酸エステルは下記式(I)を有し、
−O−CO−NH−NH (I)
前記式中、Rは、直鎖もしくは分枝鎖状のC〜C20アルキル基、C〜C20シクロアルキル基、またはC〜C14アリール基である、請求項1に記載の非腐食性洗浄組成物。
【請求項5】
が、メチル、トリフルオロメチル、エチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2,2,2,−トリクロロエチル、ヒドロキシエチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、ノルマルブチル、イソブチル、ターシャリーブチル、sec−ブチル、シクロブチル、ペンチル、1−ヒドロキシペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘプチル、2−シクロヘキシルエチル、オクチル、デシル、ペンタデシル、エイコシル、ベンジル、フェニル、およびそれらの任意の組み合わせのうちから選択される、請求項4に記載の非腐食性洗浄組成物。
【請求項6】
が直鎖C〜C10アルキル基、分枝鎖C〜C10アルキル基、またはC〜C10シクロアルキル基である、請求項4に記載の非腐食性洗浄組成物。
【請求項7】
前記水溶性ヒドラジノカルボン酸エステルは、カルバジン酸メチル、カルバジン酸エチル、カルバジン酸プロピル、カルバジン酸イソプロピル、カルバジン酸ブチル、カルバジン酸ターシャリーブチル、カルバジン酸ペンチル、カルバジン酸デシル、カルバジン酸ペンタデシル、カルバジン酸エイコシル、カルバジン酸ベンジル、カルバジン酸フェニル、カルバジン酸2−ヒドロキシエチルのうちから選択される少なくとも1つである、請求項4に記載の非腐食性洗浄組成物。
【請求項8】
前記水溶性ヒドラジノカルボン酸エステルは、カルバジン酸メチル、カルバジン酸エチル、カルバジン酸ターシャリーブチルおよびカルバジン酸ベンジルのうちから選択される少なくとも1つである、請求項7に記載の非腐食性洗浄組成物。
【請求項9】
前記水溶性ヒドラジノカルボン酸エステルは前記洗浄組成物の約0.01重量%〜約15重量%の量で存在する、請求項1に記載の非腐食性洗浄組成物。
【請求項10】
前記水溶性ヒドラジノカルボン酸エステルは前記洗浄組成物の約0.1重量%〜約5重量%の量で存在する、請求項9に記載の非腐食性洗浄組成物。
【請求項11】
水溶性ヒドラジノカルボン酸エステルは、2種の水溶性ヒドラジノカルボン酸エステルの二成分混合物であり、その二成分混合物は、当該2種の水溶性ヒドラジノカルボン酸エステルのうちの一方が99重量%以内の比率で混合されたものである、請求項1に記載の非腐食性洗浄組成物。
【請求項12】
2種の水溶性ヒドラジノカルボン酸エステルの前記二成分混合物は、当該2種の水溶性ヒドラジノカルボン酸エステルの一方が95重量%以内の比率で混合されたものである、請求項11に記載の非腐食性洗浄組成物。
【請求項13】
2種の水溶性ヒドラジノカルボン酸エステルの前記二成分混合物は、当該2種の水溶性ヒドラジノカルボン酸エステルの一方が75重量%以内の比率で混合されたものである、請求項12に記載の非腐食性洗浄組成物。
【請求項14】
2種の水溶性ヒドラジノカルボン酸エステルの前記二成分混合物は、当該2種の水溶性ヒドラジノカルボン酸エステルの一方が50重量%以内の比率で混合されたものである、請求項13に記載の非腐食性洗浄組成物。
【請求項15】
前記水溶性カルボン酸は、1つの付加的な配位子を備えたモノカルボン酸、2つ以上の付加的な配位子を備えたモノカルボン酸、1つの付加的な配位子を備えたジカルボン酸、2つ以上の付加的な配位子を備えたジカルボン酸、および付加的な配位子を備えたポリカルボン酸のうちから選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の非腐食性洗浄組成物。
【請求項16】
前記水溶性カルボン酸は、1つの付加的な配位子を備えたモノカルボン酸、2つ以上の付加的な配位子を備えたモノカルボン酸、および付加的な配位子を備えたポリカルボン酸のうちから選択される少なくとも1種である、請求項15に記載の非腐食性洗浄組成物。
【請求項17】
前記水溶性カルボン酸は前記組成物の約0.01重量%〜約20重量%の量で存在する、請求項1に記載の非腐食性洗浄組成物。
【請求項18】
前記水溶性カルボンは前記組成物の約0.01重量%〜約6重量%の量で存在する、請求項17に記載の非腐食性洗浄組成物。
【請求項19】
前記カルボキシル基を含まない腐食抑制剤は、前記組成物の約0.001重量%〜約15重量%の量で存在する、請求項1に記載の非腐食性洗浄組成物。
【請求項20】
前記カルボキシル基を含まない腐食抑制剤は、前記組成物の約0.01重量%〜約6重量%の量で存在する、請求項19に記載の非腐食性洗浄組成物。
【請求項21】
前記水溶性フッ化物含有物質は、フッ化アンモニウム、テトラメチルアンモニウムフルオリド、テトラエチルアンモニウムフルオリド、テトラブチルアンモニウムフルオリド、またはトリメチルエチルアンモニウムフルオリド、またはトリメチルエタノールアンモニウムフルオリドのうちから選択される、請求項1に記載の非腐食性洗浄組成物。
【請求項22】
前記水溶性フッ化物含有物質は、テトラメチルアンモニウムフルオリド、テトラブチルアンモニウムフルオリドまたはトリメチルエチルアンモニウムフルオリドのうちから選択される、請求項21に記載の非腐食性洗浄組成物。
【請求項23】
前記水溶性フッ化物含有物質は前記組成物の約0.0005重量%〜約5重量%の量で存在する、請求項1に記載の非腐食性洗浄組成物。
【請求項24】
前記水溶性フッ化物含有物質は前記組成物の約0.05重量%〜約1.5重量%の量で存在する、請求項23に記載の非腐食性洗浄組成物。
【請求項25】
水と、
カルバジン酸メチル、カルバジン酸エチル、カルバジン酸ターシャリーブチル、およびカルバジン酸ベンジルのうちから選択される少なくとも1種の水溶性ヒドラジノカルボン酸エステルと、
1つの付加的な配位子を備えたモノカルボン酸、2つ以上の付加的な配位子を備えたモノカルボン酸、および付加的な配位子を備えたポリカルボン酸のうちから選択される少なくとも1種の水溶性カルボン酸と、
テトラメチルアンモニウムフルオリド、テトラブチルアンモニウムフルオリド、またはトリメチルエチルアンモニウムフルオリドのうちから選択される少なくとも1種の水溶性フッ化物含有物質と、
任意で、カルボキシル基を含まない少なくとも1種の腐食抑制剤と
を含有する、非腐食性洗浄組成物。
【請求項26】
水と、
約0.01重量%〜約15重量%の少なくとも1種の水溶性ヒドラジノカルボン酸エステルと、
約0.01重量%〜約20重量%の少なくとも1種の水溶性カルボン酸と、
約0.0005重量%〜約5重量%の少なくとも1種の水溶性フッ化物含有物質と、
任意で、カルボキシル基を含まない少なくとも1種の腐食抑制剤と
を含有する、非腐食性洗浄組成物。
【請求項27】
前記カルボキシル基を含まない腐食抑制剤は、前記組成物の約0.001重量%〜約15重量%の量で存在する、請求項26に記載の非腐食性洗浄組成物。
【請求項28】
半導体基板から残留物を洗浄する方法であって、前記方法は、
半導体基板を用意する工程と、
前記半導体基板を洗浄組成物と接触させる工程と、前記洗浄組成物は、水と、少なくとも1種のヒドラジノカルボン酸エステルと、少なくとも1種の水溶性カルボン酸と、任意で、少なくとも1種のフッ化物含有化合物と、任意で、カルボキシル基を含まない少なくとも1種の腐食抑制剤とを含有することと、
前記半導体基板を適当なすすぎ溶剤ですすぐ工程と、
任意で、前記すすぎ溶剤を除去するとともに、前記半導体基板の完全性を損なわない任意の手段によって前記半導体を乾燥させる工程とを有する、方法。
【請求項29】
前記半導体基板はエッチング後残留物および/または灰化後残留物を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記半導体基板は化学機械研磨後残留物を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記洗浄方法は、約16℃〜約70℃の温度で行われる、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
半導体基板から残留物を洗浄する方法であって、前記方法は、
半導体基板を用意する工程と、
前記半導体基板を洗浄組成物と接触させる工程と、
前記半導体基板を適当なすすぎ溶剤ですすぐ工程と、
任意で、前記すすぎ溶剤を除去するとともに、前記半導体基板の完全性を損なわない任意の手段によって前記半導体を乾燥させる工程とを有し、
前記洗浄組成物は、
水と、
カルバジン酸メチル、カルバジン酸エチル、カルバジン酸ターシャリーブチル、およびカルバジン酸ベンジルのうちから選択される少なくとも1種の水溶性ヒドラジノカルボン酸エステルと、
1つの付加的な配位子を備えたモノカルボン酸、2つ以上の付加的な配位子を備えたモノカルボン酸、および付加的な配位子を備えたポリカルボン酸のうちから選択される少なくとも1種の水溶性カルボン酸と、
テトラメチルアンモニウムフルオリド、テトラブチルアンモニウムフルオリド、またはトリメチルエチルアンモニウムフルオリド、少なくとも1種のヒドラジノカルボン酸エステルのうちから選択される少なくとも1種の水溶性フッ化物含有物質と、
任意で、カルボキシル基を含まない少なくとも1種の腐食抑制剤とを含有する、方法。

【公表番号】特表2009−542849(P2009−542849A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518302(P2009−518302)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【国際出願番号】PCT/US2007/015169
【国際公開番号】WO2008/005354
【国際公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(305037086)フジフィルム・エレクトロニック・マテリアルズ・ユーエスエイ・インコーポレイテッド (29)
【氏名又は名称原語表記】FujiFilm Electronic Materials USA, Inc.
【住所又は居所原語表記】80 Circuit Drive, North Kingstown, Rhode Island 02852, USA
【Fターム(参考)】