説明

表面不活性化ポリイソシアネートを含む熱硬化性組成物又は熱活性化可能な組成物

本発明は、少なくとも1種の特定のブロックされたアミンと、室温で固体の少なくとも1種の表面不活性化ポリイソシアネートと、場合により含まれていてもよい水又は水生成物質とを含む硬化性組成物に関する。このタイプの組成物は、加熱されない限り、極めて高い保存安定性を有することを特徴とする。したがって、熱の作用によって硬化する熱硬化性組成物が得られる。熱活性化可能な組成物を製造することもできる。加熱すると、この熱活性化可能な組成物は硬化されないが、活性化されて、水分の影響下で硬化し得るようになる。硬化性組成物は、特に接着剤としての使用に好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性ポリウレタン組成物と、熱硬化性接着剤及び熱活性化可能な接着剤、シーリング材、並びにコーティングとしてのそれらの使用の分野とに関する。
【背景技術】
【0002】
遊離イソシアネート基を有する一成分型湿気反応性(moisture-reactive)ポリウレタン組成物は、長い間、接着剤、シーリング材、及びコーティング材料として使用されてきた。このような系は、混合操作を必要とせず、しかもオープンタイム(可使時間)が長いので、使い勝手が良い。しかし、硬化に必要とされる水分(湿分)は空気から拡散プロセスによって材料に浸透しなければならず、拡散プロセスは内部に向かって硬化が進行する間に次第に緩慢になるため、これらの系は硬化が遅い。更に、これらの系は貯蔵寿命が制限されている。
【0003】
一方では、十分に長いオープンタイム(可使時間)を有し、正確且つ確実な加工を実現し、他方では、非常に速く硬化して、適用後ごく短時間で、塗布又は加工が可能、例えば、接着剤を用いて組み立てた部品を移動させるか又は固定装置を取り外すことができる系が、ある種の用途において望ましい。速い硬化速度と長いオープンタイムとの組合せは、特に、熱硬化性ポリウレタン組成物、いわゆる熱硬化性樹脂(hot cures)によって達成できる。
【0004】
熱硬化性ポリウレタン組成物であって、そのイソシアネート基が、例えば、フェノール、オキシム、又はラクタムをブロック剤として用いて、化学的にブロックされているものがかなり以前から知られている。特に、これらの系は、硬化中に放出されるブロック剤が有毒な蒸気及び不快な臭気を形成する点で有害であり、このことは、特にこの組成物を屋内で使用する場合には不利となり得る。
【0005】
アミンで処理することによって表面不活性化された微細な固体イソシアネートを含む熱硬化性ポリウレタン組成物が、EP 0 062 780 A1及びEP 0 100 508 A2から知られている。これらの組成物においては、表面不活性化イソシアネートは、主にポリオールと共に存在する。これらの系は、室温で保存安定性であり、70℃〜180℃の範囲の温度で揮発性物質を放出せずに硬化する。しかし、ヒドロキシル基とイソシアネート基との反応は遅い傾向があるので、迅速な硬化を実現するためには比較的高い温度又は非常に活性な触媒を使用する必要がある。更に、この組成物は環境から水分を吸収する可能性があり、且つイソシアネートと水との反応によってCO2が形成されるので、適用と硬化との間にいくらかの経過時間がある場合には特に、硬化中に膨れを生じるおそれがある。
【0006】
ポリオールが少なくとも部分的にポリアミンに置き換えられた同様な系が、EP 0 153 579 A2から知られている。これらの系は、前記問題の大幅な軽減を可能にする。しかし、これらの系は、特に、伸長性及び/又は強度を欠いており、その結果として弾性接着剤としての適合性がほんのわずかである。更に、最終硬化生成物が弾性を得るために充分に高い分子量を有するポリアミンを選択することが、極めて制限される。例えば、商品名Jeffamine(登録商標)(Huntsman製)で市販されている長鎖ポリエーテル-ポリアミンタイプのものが比較的高価であっても使用されるか、或いは末端アミノ基を有する他の好適なポリマー構造のものが調製されて使用されるかのいずれかであるが、調製にはかなりの労力が必要である。前記ポリアミンの遊離アミノ基の存在により、更なる不都合が生じる。一方では、アミノ基が、例えば、エステル化合物又は大気中に含まれる二酸化炭素と望ましくない反応をする。他方では、ポリアミンのアミノ基が、その塩基性及び腐蝕性により、取り扱いをひどく制限し、操作安全性に関する問題を引き起こす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】EP 0 062 780 A1
【特許文献2】EP 0 100 508 A2
【特許文献3】EP 0 153 579 A2
【特許文献4】WO 2007/036571 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、表面不活性化イソシアネートに基づく硬化性組成物を提供することによって、技術的現状の欠点を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
意外なことに、特許請求の範囲の請求項1に記載した硬化性組成物によって、この問題が解決可能であることが判明した。
【0010】
前記組成物は、加熱されない限りは保存安定性が極めて高いことを特徴とする。
【0011】
特に、熱の作用によって硬化する熱硬化性組成物を実現することができる。
【0012】
また特に、熱活性化可能な組成物も同様に実現することができる。熱の作用によって、このような組成物は硬化するだけではなく、水分(湿気)の影響下で硬化し得るように活性化される。
【0013】
高い伸長性及び強度を有する組成物、即ち、いずれもDIN EN 53504に従って測定した場合に、少なくとも300%の破断点伸び及び少なくとも3.0MPaの引張強さを有する組成物を、簡単な方法で実現できる。このような材料は、弾性接着剤としてとりわけ好適である。
【0014】
特に、これらの硬化性組成物は、ポリアミンを含まず、その結果、非腐蝕性であり、取り扱い及び操作安全性に関して有利である。更に、極めて速く硬化し、実質的に空隙を含まない。
【0015】
この硬化性組成物は、接着剤として特に好適である。
【0016】
本発明の他の態様は、その他の独立請求項の主題である。本発明の特に好ましい実施形態は、従属請求項の主題である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の主題は、
a)加水分解によって活性化可能な少なくとも1個のブロックされたアミノ基;および
加水分解によって活性化可能な少なくとも1個の追加のブロックされたアミノ基、又は、ヒドロキシル基、メルカプト基、及び第二級アミノ基からなる群から選択される少なくとも1個の反応性基Rのいずれか
を有するアミンBAと、
b)室温において固体である少なくとも1種の表面不活性化ポリイソシアネートDIと、
c)場合により含まれていてもよい、水又は水生成物質と
を含む硬化性組成物である。
【0018】
本明細書で用いる用語「第一級アミノ基」は、有機部分に結合したNH2基の形態のアミノ基を意味する。用語「第二級アミノ基」は、窒素原子が、組み合わさって環の一部ともなり得る2個の有機部分に結合しているアミノ基を意味する。用語「第三級アミノ基」は、窒素原子(=第三級アミノ窒素)が3個の有機部分に結合しているアミノ基を意味し、これらの部分の2個は組み合わさって環の一部ともなり得る。
【0019】
本明細書で用いる用語「室温」は、25℃の温度を意味する。
【0020】
本明細書で用いる、ポリアミン、ポリオール、又はポリイソシアネートなどの「ポリ」で始まる物質名は、それらの物質名に見られる官能基を形式的に1分子当たり2個以上含む物質を意味する。
【0021】
本明細書で用いる用語「ポリマー」は、一方では、重合度、分子量、及び鎖長に関してはさまざまであるが化学的には均一な巨大分子の集合体を意味する。前記集合体は、ポリ反応(polyreaction)(重合、重付加、重縮合)によって生成されたものである。他方、この用語は、ポリ反応によって生じた前記巨大分子集合体の誘導体、即ち、例えば、所定の巨大分子における官能基の付加又は置換などの反応によって得られた、化学的に均一であっても化学的に不均一であってもよい化合物をも含む。更に、この用語は、いわゆるプレポリマー、即ち、巨大分子の形成に関与する官能基を有する反応性有機予備付加体(pre-adduct)も含む。
【0022】
用語「ポリウレタンポリマー」は、いわゆるジイソシアネート重付加法に従って製造される全てのポリマーを含む。この用語は、ウレタン基をほとんど又は全く含まないポリマーも含む。ポリウレタンポリマーの例は、ポリエーテルポリウレタン、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウレア、ポリウレア、ポリエステルポリウレア、ポリイソシアヌレート、及びポリカルボジイミドである。
【0023】
「低臭」物質は、人間が認知可能な、即ち、嗅ぐことができる臭気をごくわずかしか有さない物質と定義する。したがって、低臭物質は強い臭気を有さないので、そのわずかな臭気は、ほとんどの人間に不快感も嫌悪感も感じさせないと考えられる。
【0024】
「無臭」物質は、ほとんどの人間が嗅ぐことができないために、認知可能な臭気のない物質と定義する。
【0025】
本明細書で用いる用語「最終強度」は、完全に硬化した組成物の強度を意味し、「強度」は、特に、引張強さ及び弾性率(elastic modulus)を意味する。
【0026】
BA、R、DI、ALDなどのボールド体で強調表示された用語は、読解と識別の向上に役立つにすぎない。
【0027】
本硬化性組成物は、加水分解によって活性化可能な少なくとも1個のブロックされたアミノ基と、加水分解によって活性化可能な少なくとも1個の追加のブロックされたアミノ基、又は、ヒドロキシル基、メルカプト基、及び第二級アミノ基からなる群から選択される少なくとも1個の反応性基Rのいずれかとを有する、少なくとも1種のブロックされたアミンBAを含む。
【0028】
特に、ブロックされたアミンBAの加水分解によって活性化可能なブロックされたアミノ基は、エナミノ基、オキサゾリジノ基、ケチミノ基、及びアルジミノ基からなる群から選択される。ポリウレタンの化学において、このようなブロックされたアミンBAは、イソシアネート基を含む組成物中でいわゆる潜在性硬化剤として使用されることが知られている物質である。
【0029】
本明細書で用いる用語「オキサゾリジノ基」は、テトラヒドロオキサゾール基(5員環)及びテトラヒドロオキサジン基(6員環)の両方を意味する。
【0030】
ブロックされたアミンBAは、特に、第一級アミン又は第二級アミンとケトン又はアルデヒドとの縮合反応によって得ることができる。ケトンとして特に好適なものは、特に、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソプロピルケトン、ジブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、及びアセトフェノンである。アルデヒドとして特に好適なものは、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロパナール、2-メチルプロパナール、ブタナール、2-メチルブタナール、2-エチルブタナール、ペンタナール、2-メチルペンタナール、3-メチルペンタナール、4-メチルペンタナール、2,3-ジメチルペンタナール、ヘキサナール、2-エチルヘキサナール、ヘプタナール、オクタナール、ノナナール、デカナール、ウンデカナール、2-メチルウンデカナール、ドデカナール、メトキシアセトアルデヒド、シクロプロパンカルボキシアルデヒド、シクロペンタンカルボキシアルデヒド、シクロヘキサンカルボキシアルデヒド、ジフェニルアセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、及び置換ベンズアルデヒド、並びにまた、本明細書において後述する式(XI)のアルデヒドALDである。
【0031】
少なくとも1個のエナミノ基を有するブロックされたアミンBAは、特に、少なくとも1個の第二級アミノ基を有するアミンと、カルボニル基に対してα位に少なくとも1個の水素原子を有し、したがってエノール化可能な少なくとも1種のケトン又はアルデヒドとの縮合反応によって得ることができる。特に、前記ケトンは、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソプロピルケトン、ジブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンであり、前記アルデヒドは、アセトアルデヒド、プロパナール、2-メチルプロパナール、ブタナール、2-メチルブタナール、2-エチルブタナール、ペンタナール、2-メチルペンタナール、3-メチルペンタナール、4-メチルペンタナール、2,3-ジメチルペンタナール、ヘキサナール、2-エチルヘキサナール、ヘプタナール、オクタナール、ノナナール、デカナール、ウンデカナール、2-メチルウンデカナール、ドデカナール、メトキシアセトアルデヒド、シクロプロパンカルボキシアルデヒド、シクロペンタンカルボキシアルデヒド、シクロヘキサンカルボキシアルデヒド、ジフェニルアセトアルデヒドである。少なくとも1個の第二級アミノ基を有する好適なアミンは、一方では、少なくとも2個の第二級アミノ基を有するアミン、特にピペラジン、2,5-及び2,6-ジメチルピペラジン、2,3,5,6-テトラメチルピペラジン、1,7-ジオキサ-4,10-ジアザシクロドデカン、N,N'-ジブチルエチレンジアミン、N,N'-ジtert-ブチル-エチレンジアミン、N,N'-ジメチル-1,6-ヘキサンジアミン、N,N'-ジエチル-1,6-ヘキサンジアミン、N,N'-ジメチルジエチレントリアミン、N,N'-ジメチルジプロピレントリアミン、1-(1-メチルエチルアミノ)-3-(1-メチルエチルアミノメチル)-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン(Huntsman製のJefflink(登録商標)754)、N4-シクロヘキシル-2-メチル-N2-(2-メチルプロピル)-2,4-ペンタンジアミン、N,N'-ジアルキル-1,3-キシリレンジアミン、ビス-(4-(N-アルキルアミノ)シクロヘキシル)メタン、4,4'-トリメチレンジピペリジン、及びN-アルキル化ポリエーテルアミン、例えば、Jeffamine(登録商標)-SD-231(Huntsman製);更には、1個のヒドロキシル基及び1個の第二級アミノ基を有するアミン、特にN-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン、4-ヒドロキシピペリジン、及びモノアルコキシル化第一級モノアミン、例えば、特にN-メチルエタノールアミン、N-エチルエタノールアミン、N-ブチルエタノールアミン、及びN-ブチルイソプロパノールアミン;更には、1個のメルカプト基及び1個の第二級アミノ基を有するアミン、特にN-(2-メルカプトエチル)ピペラジン、4-メルカプトピペリジン、及び2-メルカプトエチルブチルアミンである。
【0032】
少なくとも1個のオキサゾリジノ基を有するブロックされたアミンBAは、特に、場合により置換されていてもよいエチレン又はトリメチレン部分で隔てられたヒドロキシル基と第一級アミノ基とを有する少なくとも1種のヒドロキシアミンと、少なくとも1種のケトン又はアルデヒド、特にホルムアルデヒド又はエノール化可能な前記ケトン若しくはアルデヒドのうちの1種、特に好適にはアルデヒド、特に2-メチルプロパナールとの縮合反応によって得ることができる。ヒドロキシアミンとして特に好適なものは、反応してヒドロキシオキサゾリジンを形成することができるジエタノールアミン及びジイソプロピルアミンである。ヒドロキシオキサゾリジンからは、例えば、ポリイソシアネート又はポリエステルと反応させることによって、ポリオキサゾリジンを容易に生成させることができる。
【0033】
一実施形態において、好ましいブロックされたアミンBAは、1個のオキサゾリジノ基と、加水分解によって活性化可能な少なくとも1個の追加のブロックされたアミノ基、又はヒドロキシル基、メルカプト基、及び第二級アミノ基からなる群から選択される少なくとも1個の反応性基Rのいずれかとを有するオキサゾリジンBA1である。
【0034】
好適な市販オキサゾリジンは、例えば、Harter OZ(Bayer製)、Zoldine(登録商標)RD-4(Angus Chemical製)、並びにIncozol(登録商標)3、Incozol(登録商標)LV、Incozol(登録商標)4、Incozol(登録商標)HP及びIncozol(登録商標)NC(Industrial Copolymers製)である。
【0035】
特に、少なくとも1個のケチミノ又はアルジミノ基を有するブロックされたアミンBAは、少なくとも1個の第一級アミノ基を有するアミンと少なくとも1種の前記ケトン又はアルデヒドとの縮合反応によって得ることができる。第一級アミノ基のブロックにケトンを用いる場合にはケチミノ基が形成される一方、アルデヒドを用いる場合にはアルジミノ基が形成される。少なくとも1個の第一級アミノ基を有するアミンとして特に好適なものは、後述する式(Xa)のアミンB1及び式(Xb)のアミンB2である。
【0036】
好適な市販のケチミン又はアルジミンは、例えば、Epikure(登録商標)Curing Agent 3502 (Resolution Performance Products製)、Desmophen(登録商標)LS 2965A(Bayer製)、及びVestamin(登録商標)A139(Evonik Degussa製)である。
【0037】
エノール化可能なケトン又はアルデヒド、即ち、カルボニル基のC原子に対してα位に水素原子を有するケトン又はアルデヒドから誘導されるケチミノ及びアルジミノ基は、エナミノ基に互変異性化可能であるので、エナミンを形成することができる。したがって、このようなケチミノ及びアルジミノ基を、以下で「エナミンを形成することができる」ケチミノ及びアルジミノ基と称するものとする。
【0038】
加熱すると、エナミノ基、並びにエナミンを形成することができるケチミノ及びアルジミノ基は、水がなくても、即ち、加水分解することなく、イソシアネート基と直接反応することができる。しかし、水の存在下では、イソシアネートとの反応ははるかに迅速に進行する。
【0039】
別の実施形態において、特に好ましいブロックされたアミンBAは、式(I)のアルジミンBA2である。
【0040】
【化1】

【0041】
式中、
nは、1、2、3、又は4を表し、
mは、0又は1を表し、
但し、m+nは、2、3、又は4を表すことを条件とし、
Aは、少なくとも1個のヘテロ原子、特にエーテル酸素又は第三級アミン窒素の形態のヘテロ原子を場合により含んでいてよい、炭素数2〜30の(m+n)価の炭化水素部分を表すか、あるいは、R7と一緒になって、少なくとも1個のヘテロ原子、特にエーテル酸素又は第三級アミン窒素の形態のヘテロ原子を場合により含んでいてよい、炭素数3〜30の(n+2)価炭化水素部分を表すかのいずれかであり;
Xは、O、S、N-R6、又はN-R7を表し、
式中、R6は、カルボン酸エステル、ニトリル、ニトロ、ホスホン酸エステル、スルホン、又はスルホン酸エステル基を場合により少なくとも1個含んでいてよい、炭素数1〜20の一価の炭化水素部分を表すか、あるいは、式(II):
【0042】
【化2】

【0043】
(式中、Eは、エーテル酸素又は第三級アミン窒素を場合により含んでいてよい、炭素数2〜12の二価の炭化水素部分を表す)
の置換基を表すかのいずれかであり、
R7は、Aと一緒になって、少なくとも1個のヘテロ原子、特にエーテル酸素又は第三級アミン窒素の形態のヘテロ原子を場合により含んでいてよい、炭素数3〜30の(n+2)価の炭化水素部分を表し;かつ
Zは、反応性基R及び第一級アミノ基を含まず、式(III):
【0044】
【化3】

【0045】
(式中、Yは、少なくとも1個のヘテロ原子、特に酸素又は窒素を、エーテル、カルボニル、エステル、アミド、ウレア、ウレタン、又は第三級アミノ基の形態で場合により含んでいてよい、炭素数1〜32の一価の炭化水素部分を表し、
R1及びR2は、互いに独立に、それぞれ炭素数1〜12の一価の炭化水素部分を表すか、あるいは、一緒になって、炭素数5〜8、好ましくは6の、場合により置換されていてもよい炭素環の一部である、炭素数4〜12の二価の炭化水素部分を表すかのいずれかである)
のZ1部分を表すか、あるいは、Z2部分
[式中、Z2は、原子数5〜8、好ましくは6の環の大きさを有する置換又は非置換のアリール又はヘテロアリール環を表すか、あるいは
【0046】
【化4】

【0047】
(式中、R0は、水素原子、炭素数が少なくとも6の、アルコキシ部分又は置換もしくは非置換のアルケニル部分もしくはアリールアルケニル部分を表す)
を表す]
を表すかのいずれかである。
【0048】
本明細書において式中の点線は、各場合において、置換基と分子の各部分との間の結合を表す。
【0049】
式(I)のアルジミンBA2に含まれるアルジミノ基は、カルボニル基に対してα位のC原子に水素原子がないため、エナミノ基に互変異性化することができず、したがって、エナミンを形成することができない。このため、これらのアルジミノ基は、とりわけ良好に保護された(「ブロックされた」)第一級アミノ基である。以下において、このようなアルジミノ基は、「エナミンを形成することができないアルジミノ基」とも称することとする。
【0050】
好ましくは、Aは、反応性基R又は第一級アミノ基を含まない。
【0051】
Zは好ましくはZ1を表す。
【0052】
R1及びR2は好ましくはそれぞれ、メチル部分を表す。
【0053】
Z1は好ましくは、式(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、又は(IIId)の部分を表す
【0054】
【化5】

【0055】
上記式中、
R3は、水素原子、又は炭素数1〜12の、アルキル基、シクロアルキル基、又はアリールアルキル基を表し;
R4は、場合によりエーテル酸素を含んでいてもよい炭素数1〜30の炭化水素部分を表し;
R5は、水素原子を表すか、又は
場合により環状部分を有していてもよく、且つ場合により少なくとも1個のヘテロ原子、特にエーテル、カルボニル若しくはエステル基の形態の酸素を含んでいてもよい、炭素数1〜30の直鎖若しくは分岐鎖アルキル部分を表すか、又は
炭素数5〜30の一価不飽和若しくは多価不飽和の直鎖若しくは分岐鎖炭化水素部分を表すか、又は
場合により置換されていてもよい芳香族若しくはヘテロ芳香族の5若しくは6員環を表すかのいずれかであり;
R9及びR10は、互いに独立に、それぞれ、エーテル酸素若しくは第三級アミン窒素の形態のヘテロ原子を場合により含んでいてもよい、炭素数1〜20の一価の脂肪族部分、脂環式脂肪族部分、若しくはアリール脂肪族部分を表すか、又は
一緒になって、窒素原子に加えてエーテル酸素若しくは第三級アミン窒素の形態の追加のヘテロ原子を場合により含んでいてもよく、場合により置換されていてもよい、環原子数5〜8、好ましくは6の複素環の一部となる、炭素数3〜20の二価の脂肪族部分を表すかのいずれかであり;
R11及びR12は、一緒になって、場合により置換されていてもよい5、6、若しくは7員環の一部となる酸素若しくは硫黄原子を場合により含んでいてもよい、炭素数2〜10の二価部分を表すか、又は
R11が、炭素数1〜10の、アルキル、シクロアルキル、アリールアルキル、若しくはアシル部分を表し、且つ、R12が、水素原子、又は、アルキル、シクロアルキル、アリールアルキル、アリール部分、-OR12'、-SR12'、及び-NR12'R12"(式中、R12'及びR12"はそれぞれ、炭化水素部分を表すか、若しくは一緒になって、5、6、若しくは7員環の一部となるアルキレン部分を表すかのいずれかである)からなる群から選択される炭素数1〜20の一価部分を表すかのいずれかである。
【0056】
R3は好ましくは水素原子を表す。
【0057】
R4は好ましくは、場合によりエーテル酸素を含んでいてもよい、炭素数6〜30、特に炭素数11〜30の炭化水素部分を表す。
【0058】
R5は好ましくは、場合により環状部分を含んでいてもよく、且つ、場合により少なくとも1個のヘテロ原子を含んでいてもよい、炭素数6〜30、特に11〜30の直鎖若しくは分岐鎖アルキル部分、又は、炭素数6〜30、特に11〜30の一価若しくは多価不飽和の直鎖若しくは分岐鎖の炭化水素部分を表す。
【0059】
好ましくは、R9及びR10は、それぞれ、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、2-エチルヘキシル、シクロヘキシル、若しくはベンジルを表すか、又は、一緒になって、窒素原子を組み込んでいる環、特にピロリジン、ピペリジン、モルホリン、若しくはn-アルキルピペラジン環を形成し、前記環は場合により置換されていてもよい。
【0060】
好ましくは、R11が、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル−、2-エチルヘキシル、シクロヘキシル、若しくはベンジル部分を表し、且つ、R12が、水素原子、又は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、2-エチルヘキシル、シクロヘキシル、ベンジル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、若しくはイソプロポキシ部分を表すか、或いは、R11とR12とが一緒になって、窒素原子とカルボニル又はチオカルボニル基とを組み込んでいる環、特に2-ピロリドン環、ピロリジン-2,5-ジオン環、ピペリジン-2-オン環、ピペリジン-2,6-ジオン環、アゼパン-2-オン環、オキサゾリジン-2-オン環、又はチアゾリジン-2-オン環を形成し、前記環は任意選択で置換されている。
【0061】
最も好ましくは、Z1は式(IIIa')の部分を表す。
【0062】
【化6】

【0063】
式中、
R5は、場合により環状部分を有してもよく、且つ、場合により少なくとも1個のヘテロ原子、特にエーテル、カルボニル若しくはエステル基の形態の酸素を含んでいてよい、炭素数6〜30、特に11〜30の直鎖若しくは分岐鎖アルキル部分を表すか、あるいは、炭素数6〜30、特に11〜30の、一価若しくは多価不飽和の直鎖若しくは分岐鎖の炭化水素部分を表すかのいずれかであり;
R1、R2及びR3は前述の意味を有する]。
【0064】
最も好ましくは、R5'はC11アルキル部分を表す。
【0065】
Zが式(IIIa')のZ1部分を表すアルジミンBA2を、以下でアルジミンBA2'と称するものとする。アルジミンBA2'は、低臭又は無臭である点、及び、それから放出され得るアルデヒドも低臭又は無臭である点で有利である。但し、R5'部分の炭素数が少なくとも11である場合には、アルジミンは無臭であり、これから放出され得るアルデヒドも無臭である。
【0066】
式(I)のアルジミンBA2の好ましい一実施形態において、mは1を表す。式(I)のこのようなアルジミンBA2は、式(VIII):
【0067】
【化7】

【0068】
のアルジミンBA2aによって表される。
【0069】
前記式において、
n'は、1、2、又は3、好ましくは1又は2、特に好ましくは1を表し;
A1は、場合により少なくとも1個のヘテロ原子を、特にエーテル酸素若しくは第三級アミン窒素の形態で含んでいてもよい、炭素数2〜30の(n'+1)価炭化水素部分を表すか、あるいは、R8と一緒になって、場合により少なくとも1個のヘテロ原子を、特にエーテル酸素若しくは第三級アミン窒素の形態で含んでいてもよい、炭素数3〜30の(n'+2)価炭化水素部分を表すかのいずれかであり;
X1は、O、S、N-R6、又はN-R8(式中、R8は、A1と一緒になって、場合により少なくとも1個のヘテロ原子を、特にエーテル酸素又は第三級アミン窒素の形態で含んでいてもよい、炭素数3〜30の(n'+2)価炭化水素部分を表す)を表し;
Z及びR6は前述の意味を有する。
【0070】
式(VIII)のアルジミンBA2aは、以下に記載するブロックされたポリマー性アミンの製造に特に適する。
【0071】
式(I)のアルジミンBA2の別の好ましい実施形態において、mは0を表す。式(I)のこのようなアルジミンBA2は、式(IX):
【0072】
【化8】

【0073】
のアルジミンBA2aで表される。
【0074】
前記式において、
n"は、2又は3又は4、好ましくは2又は3、特に好ましくは2を表し;
A2は、場合により少なくとも1個のヘテロ原子を、特にエーテル酸素又は第三級アミン窒素の形態で含んでいてもよい、炭素数2〜30のn"価炭化水素部分を表し;
Zは前述の意味を有する。
【0075】
式(I)のアルジミンBA2は、式(X)の少なくとも1種のアミンBと、式(XI)の少なくとも1種のアルデヒドALDとの縮合反応によって得ることができる。
【0076】
【化9】

【0077】
式中、
Xaは、O、S、N-R6a、又はN-R7(式中、R6aは、場合によりカルボン酸エステル、ニトリル、ニトロ、ホスホン酸エステル、スルホン、若しくはスルホン酸エステル基を少なくとも1個含んでいてもよい、炭素数1〜20の一価炭化水素部分を表すか、あるいは、式(IIa):
【0078】
【化10】

【0079】
の置換基を表すかのいずれかである)を表し、
m、n、A、R7、E及びZは前述の意味を有する。
【0080】
この縮合に関する詳細情報は、WO 2007/036571 A1、特に5〜7頁に示されており、その内容を参照により本明細書中に組み入れる。
【0081】
第1の実施形態において、式(X)のアミンBとしては、式(Xa)のアミンB1が適する。
【0082】
【化11】

【0083】
式中、
X1aは、O、S、N-R6a、又はN-R8を表し、
n'、A1、R6a、及びR8は前述の意味を有する。
【0084】
式(Xa)のアミンB1と、式(XI)のアルデヒドALDとの反応により、式(VIII)のアルジミンBA2aが得られる。
【0085】
好適なアミンBA2aは、特に以下の通りである:
- 1個又は2個の第一級脂肪族基及び1個の第二級アミノ基を有する化合物、例えば、N-メチル-1,2-エタンジアミン、N-エチル-1,2-エタンジアミン、N-ブチル-1,2-エタンジアミン、N-ヘキシル-1,2-エタンジアミン、N-(2-エチルヘキシル)-1,2-エタンジアミン、N-シクロヘキシル-1,2-エタンジアミン、4-アミノメチルピペリジン、3-(4-アミノブチル)ピペリジン、N-(2-アミノエチル)ピペラジン、ジエチレントリアミン(DETA)、ビス-ヘキサメチレントリアミン(BHMT)、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルアミンなど;第一級モノアミン及びジアミンのシアノエチル化又はシアノブチル化とそれに続く水素化によって得られるジアミン及びトリアミン、例えば、N-メチル-1,3-プロパンジアミン、N-エチル-1,3-プロパンジアミン、N-ブチル-1,3-プロパンジアミン、N-ヘキシル-1,3-プロパンジアミン、N-(2-エチルヘキシル)-1,3-プロパンジアミン、N-ドデシル-1,3-プロパンジアミン、N-シクロヘキシル-1,3-プロパンジアミン、3-メチルアミノ-1-ペンチルアミン、3-エチルアミノ-1-ペンチルアミン、3-ブチルアミノ-1-ペンチルアミン、3-ヘキシルアミノ-1-ペンチルアミン、3-(2-エチルヘキシル)アミノ-1-ペンチルアミン、3-ドデシルアミノ-1-ペンチルアミン、3-シクロヘキシルアミノ-1-ペンチルアミン、ジプロピレントリアミン(DPTA)、N3-(3-アミノペンチル)-1,3-ペンタンジアミン、N5-(3-アミノプロピル)-2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、N5-(3-アミノ-1-エチルプロピル)-2-メチル-1,5-ペンタンジアミンなど、及び脂肪族ジアミン、例えば、N-ココアルキル-1,3-プロパンジアミン、N-オレイル-1,3-プロパンジアミン、N-ソーヤアルキル-1,3-プロパンジアミン、N-タローアルキル-1,3-プロパンジアミン、又はN-(C16〜22−アルキル)-1,3-プロパンジアミン(例えば、Akzo Nobelから商品名Duomeen(登録商標)として入手可能なもの)など;脂肪族第一級ジアミン又はトリアミンと、アクリロニトリル、マレイン酸又はフマル酸ジエステル、シトラコン酸ジエステル、アクリル酸及びメタクリル酸エステル、アクリル酸及びメタクリル酸アミド、並びにイタコン酸ジエステルとのモル比1:1のミカエル型付加反応によって得られる生成物;
- ヒドロキシアミン、例えば、2-アミノエタノール、2-アミノ-1-プロパノール、1-アミノ-2-プロパノール、3-アミノ-1-プロパノール、4-アミノ-1-ブタノール、4-アミノ-2-ブタノール、2-アミノ-2-メチルプロパノール、5-アミノ-1-ペンタノール、6-アミノ-1-ヘキサノール、7-アミノ-1-ヘプタノール、8-アミノ-1-オクタノール、10-アミノ-1-デカノール、12-アミノ-1-ドデカノール、4-(2-アミノエチル)-2-ヒドロキシエチルベンゼン、3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサノールなど;1個の第一級アミノ基、例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジブチレングリコール、並びに前記グリコールの高級オリゴマーおよびポリマーなどを有するグリコール誘導体、例えば、2-(2-アミノエトキシ)エタノール、2-(2-(2-アミノエトキシ)エトキシ)エタノール、α-(2-ヒドロキシメチルエチル)-ω-(2-アミノメチルエトキシ)ポリ(オキシ(メチル-1,2-エタンジイル));1個のヒドロキシル基及び1個の第一級アミノ基を有する、ポリアルコキシル化された三価又は多価アルコールの誘導体;グリコールの単一シアノエチル化とそれに続く水素化によって得られる生成物、例えば、3-(2-ヒドロキシエトキシ)プロピルアミン、3-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ)プロピルアミン、及び3-(6-ヒドロキシヘキシルオキシ)プロピルアミン;
- メルカプトアミン、例えば、2-アミノエタンチオール(システアミン)、3-アミノプロパンチオール、4-アミノ-1-ブタンチオール、6-アミノ-1-ヘキサンチオール、8-アミノ-1-オクタンチオール、10-アミノ-1-デカンチオール、及び12-アミノ-1-ドデカンチオールなど。
【0086】
アミンB1は、好ましくは、N-メチル-1,2-エタンジアミン、N-エチル-1,2-エタンジアミン、N-シクロヘキシル-1,2-エタンジアミン、N-メチル-1,3-プロパンジアミン、N-エチル-1,3-プロパンジアミン、N-ブチル-1,3-プロパンジアミン、N-シクロヘキシル-1,3-プロパンジアミン、4-アミノメチル-ピペリジン、3-(4-アミノブチル)ピペリジン、DETA、DPTA、BHMT、並びに脂肪族アミン、例えば、N-ココアルキル-1,3-プロパンジアミン、N-オレイル-1,3-プロパンジアミン、N-ソーヤアルキル-1,3-プロパンジアミン、及びN-タローアルキル-1,3-プロパンジアミン;脂肪族第一級ジアミンと、マレイン酸及びフマル酸ジエステル、アクリル酸及びメタクリル酸エステル、アクリル酸及びメタクリル酸アミド(好ましくはマレイン酸ジエステル、特にマレイン酸のジメチル、ジエチル、ジプロピル及びジブチルエステル、並びにアクリル酸エステル、特にアクリル酸メチルエステル)とのモル比1:1のミカエル型付加反応によって得られる生成物;並びに、第一級アミノ基がヒドロキシル又はメルカプト基から、少なくとも5個の原子を有する鎖又は環によって隔てられている、脂肪族ヒドロキシ又はメルカプトアミン、特に5-アミノ-1-ペンタノール、6-アミノ-1-ヘキサノール、及びそれらの高級同族体、4-(2-アミノエチル)-2-ヒドロキシエチルベンゼン、3-アミノメチル-3,5,5,-トリメチルシクロヘキサノール、2-(2-アミノエトキシ)エタノール、トリエチレングリコールモノアミン、並びにそれらの高級オリゴマー及びポリマー、3-(2-ヒドロキシエトキシ)プロピルアミン、3-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)-エトキシ)プロピルアミン、及び3-(6-ヒドロキシヘキシルオキシ)プロピルアミンである。
【0087】
アミンB1として特に好ましいのは、N-メチル-1,2-エタンジアミン、N-エチル-1,2-エタンジアミン、N-シクロヘキシル-1,2-エタンジアミン、N-メチル-1,3-プロパンジアミン、N-エチル-1,3-プロパンジアミン、N-ブチル-1,3-プロパンジアミン、N-シクロヘキシル-1,3-プロパンジアミン、4-アミノメチルピペリジン、3-(4-アミノブチル)-ピペリジン、DETA、DPTA、BHMT、脂肪族ジアミン、特にN-ココアルキル-1,3-プロパンジアミン、N-オレイル-1,3-プロパンジアミン、N-ソーヤアルキル-1,3-プロパンジアミン、及びN-タローアルキル-1,3-プロパンジアミン;5-アミノ-1-ペンタノール、6-アミノ-1-ヘキサノール、4-(2-アミノエチル)-2-ヒドロキシエチルベンゼン、3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサノール、2-(2-アミノエトキシ)エタノール、トリエチレングリコールモノアミン、3-(2-ヒドロキシエトキシ)プロピルアミン、3-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ)プロピルアミン、及び3-(6-ヒドロキシへキシルオキシ)プロピルアミンからなる群から選択されるアミンである。
【0088】
アミンB1として最も好ましいものは、5-アミノ-1-ペンタノール、6-アミノ-1-ヘキサノール、4-(2-アミノエチル)-2-ヒドロキシエチルベンゼン、3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサノール、2-(2-アミノエトキシ)エタノール、トリエチレングリコールモノアミン、3-(2-ヒドロキシエトキシ)プロピルアミン、3-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ)プロピルアミン、及び3-(6-ヒドロキシヘキシルオキシ)プロピルアミンからなる群から選択されるアミンである。
【0089】
別の実施形態において、式(X)の好適なアミンBは式(Xb)のアミンB2である
【0090】
【化12】

【0091】
式中、n"及びA2は前述の意味を有する。
【0092】
式(Xb)のアミンB2と式(XI)のアルデヒドALDとの反応によって、式(IX)のアルジミンBA2bが生成する。
【0093】
好適なアミンB2は特に以下の通りである:
- 脂肪族、脂環式、又はアリール脂肪族ジアミン、例えば、エチレンジアミン、1,2-プロパンジアミン、1,3-プロパンジアミン、2-メチル-1,2-プロパンジアミン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、1,3-ブタンジアミン、1,4-ブタンジアミン、1,3-ペンタンジアミン(DAMP)、1,5-ペンタンジアミン,1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン(MPMD)、2-ブチル-2-エチル-1,5-ペンタンジアミン(C11-ネオジアミン)、1,6-ヘキサンジアミン、2,5-ジメチル-1,6-ヘキサンジアミン、2,2,4-及び2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン(TMD)、1,7-ヘプタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、1,2-、1,3-、及び1,4-ジアミノシクロヘキサン、ビス-(4-アミノシクロヘキシル)メタン(H12-MDA)、ビス-(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン、ビス-(4-アミノ-3-エチルシクロヘキシル)メタン、ビス-(4-アミノ-3,5-ジメチルシクロヘキシル)メタン、ビス-(4-アミノ-3-エチル-5-メチルシクロヘキシル)メタン(M-MECA)、1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン(=イソホロンジアミンすなわちIPDA)、2-及び4-メチル-1,3-ジアミノシクロヘキサン、並びにそれらの混合物、1,3-及び1,4-ビス-(アミノメチル)シクロヘキサン、2,5(2,6)-ビス-(アミノメチル)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(NBDA)、3(4),8(9)-ビス-(アミノメチル)-トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、1,4-ジアミノ-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン(TMCDA)、1,8-メタンジアミン、3,9-ビス-(3-アミノプロピル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、並びに1,3-及び1,4-キシリレンジアミン;
- エーテル基を含む脂肪族ジアミン、例えば、ビス-(2-アミノエチル)エーテル、3,6-ジオキサオクタン-1,8-ジアミン、4,7-ジオキサデカン-1,10-ジアミン、4,7-ジオキサデカン-2,9-ジアミン、4,9-ジオキサドデカン-1,12-ジアミン、5,8-ジオキサドデカン-3,10-ジアミン、ビス-(3-アミノプロピル)ポリテトラヒドロフラン、及び分子量が最高で550までの他のポリテトラヒドロフランジアミン、並びに分子量が最高で600までのポリオキシアルキレンジアミンなど〔典型的には、ポリオキシアルキレンジアミンは、ポリオキシアルキレンジオールのアミノ化生成物であり、例えば、商品名Jeffamine(登録商標)(Huntsman製)、商品名Polyetheramin(BASF製)、又は商品名PC amine(登録商標)(Nitroil製)で入手できる。特に好適なポリオキシアルキレンジアミンは、Jeffamine(登録商標)D-230、Jeffamine(登録商標)D-400、Jeffamine(登録商標)ED-600、Jeffamine(登録商標)XTJ-568、Jeffamine(登録商標)XTJ-569、Jeffamine(登録商標)EDR-104、Jeffamine(登録商標)EDR-148、Jeffamine(登録商標)EDR-176、Polyetheramin D 230、Polyetheramin D 400、PC amine(登録商標)DA 250、及びPC amine(登録商標)DA 400である〕;
- 脂肪族、脂環式、又はアリール脂肪族トリアミン、例えば、4-アミノメチル-1,8-オクタンジアミン、1,3,5-トリス(アミノメチル)ベンゼン、1,3,5-トリス-(アミノメチル)シクロヘキサン、トリス-(2-アミノエチル)アミン、トリス(2-アミノプロピル)アミン、トリス(3-アミノプロピル)アミンなど;
- 典型的にはポリオキシアルキレントリオールのアミノ化によって得られる生成物であって、商品名Jeffamine(登録商標)(Huntsman製)、商品名Polyetheramin(BASF製)、又は商品名PC amine(登録商標)(Nitroil製)で市販されている、分子量が最高で600までのポリオキシアルキレントリアミン、例えば、Jeffamine(登録商標)T-403、Polyetheramin T403、及びPC amine(登録商標)TA 403など;
- 芳香族ジアミン及びトリアミン、例えば、1,2-、1,3-及び1,4-フェニレンジアミン、2,4-及び2,6-トルイレンジアミン(TDA)、3,4-トルイレンジアミン、3,5-ジメチルチオ-2,4-及び-2,6-トルイレンジアミン、3,5-ジエチル-2,4-及び-2,6-トルイレンジアミン(DETDA)、2,4,6-トリエチル1,3-フェニレンジアミン、2,4,6-トリイソプロピル-1,3-フェニレンジアミン、3-エチル-5-メチル-2,4-トルイレンジアミン、3,5-ジイソプロピル-2,4-トルイレンジアミン、3,5-ビス-(1-メチルプロピル)-2,4-トルイレンジアミン、3,5-ビス-(tert-ブチル)-2,4-トルイレンジアミン、3-エチル-5-イソプロピル-2,4-トルイレンジアミン、5-イソプロピル-2,4-トルイレンジアミン、5-(tert-ブチル)-2,4-トルイレンジアミン、4,6-ビス-(1-メチルプロピル)-1,3-フェニレンジアミン、4-イソプロピル-6-(tert-ブチル)-1,3-フェニレンジアミン、4-エチル-6-イソプロピル-1,3-フェニレンジアミン、4-エチル-6-(2-メチルプロピル)-1,3-フェニレンジアミン、4-エチル-6-(1-メチルプロピル)-1,3-フェニレンジアミン、4-エチル-6-(2-メチルプロピル)-1,3-フェニレンジアミン、4-イソプロピル-6-(1-メチルプロピル)-1,3-フェニレンジアミン、4-(tert-ブチル)-6-(2-メチルプロピル)-1,3-フェニレンジアミン、4-シクロペンチル-6-エチル-1,3-フェニレンジアミン、4-シクロペンチル-6-イソプロピル-1,3-フェニレンジアミン、4,6-ジシクロペンチル-1,3-フェニレンジアミン、3-イソプロピル-2,6-トルイレンジアミン、2-メチルプロピル-(4-クロロ-3,5-ジアミノベンゾエート)、tert-ブチル-(4-クロロ-3,5-ジアミノベンゾエート)、2,6-ジアミノピリジン、メラミン、4,4'-、2,4'-、及び2,2'-ジアミノジフェニルメタン(MDA)、3,3'-ジメチル-4,4'-ジアミノジフェニルメタン、3,3'-ジクロロ-4,4'-ジアミノジフェニルメタン(MOCA)、3,3',5,5'-テトラエチル-4,4'-ジアミノジフェニルメタン(M-DEA)、3,3',5,5'-テトラエチル-2,2'-ジクロロ-4,4'-ジアミノジフェニルメタン(M-CDEA)、3,3'-ジイソプロピル-5,5'-ジメチル-4,4'-ジアミノジフェニルメタン(M-MIPA)、3,3',5,5'-テトライソプロピル-4,4'-ジアミノジフェニルメタン(M-DIPA)、3,3',5,5'-テトラ-(1-メチルプロピル)-4,4'-ジアミノジフェニルメタン、3,3'-ジメチル-5,5'-ジ-tert-ブチル-4,4'-ジアミノジフェニルメタン、3,3'-ジ-tert-ブチル-4,4'-ジアミノジフェニルメタン、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン(DDS)、4-アミノ-N-(4-アミノフェニル)ベンゼンスルホンアミド、5,5'-メチレンジアントラニル酸、ジメチル-(5,5'-メチレンジアントラニレート)、1,3-プロピレンビス(4-アミノベンゾエート)、1,4-ブチレンビス(4-アミノベンゾエート)、ポリテトラメチレンオキシドビス(4-アミノベンゾエート)(Air ProductsからVersalink(登録商標)として入手可能)、及び1,2-ビス-(2-アミノフェニルチオ)エタンなど;
- 第一級芳香族及び第一級脂肪族アミノ基を有するポリアミン、特に4-アミノエチルアニリン、4-アミノメチルアニリン、4-[(4-アミノシクロヘキシル)メチル]アニリン、2-アミノエチルアニリン、2-アミノメチルアニリン、2-[(4-アミノシクロヘキシル)メチル]アニリン、及び4-[(2-アミノシクロヘキシル)メチル]アニリン。
【0094】
好ましくは、アミンB2は、1,6-ヘキサメチレンジアミン、MPMD、DAMP、IPDA、TMD、1,3-キシリレンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン、3(4),8(9)-ビス(アミノメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、1,2-、1,3-、及び1,4-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ジアミノ-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン、3,6-ジオキサオクタン-1,8-ジアミン、4,7-ジオキサデカン-1,10-ジアミン、4-アミノメチル-1,8-オクタンジアミン、2個又は3個のアミノ基を有する分子量が最高で600までのポリオキシアルキレンポリアミン、特に商品名Jeffamine(登録商標)で入手できるHuntsmanのD-230、D-400及びT-403(Huntsman製)、並びにBASF製又はNitroil製のこれらと類似した化合物;1,3-及び1,4-フェニレンジアミン、2,4-及び2,6-トルイレンジアミン、4,4'-、2,4'-、及び2,2'-ジアミノジフェニルメタン、3,3'-ジクロロ-4,4'-ジアミノジフェニルメタン、及び前記ポリアミンの混合物からなる群から選択される。
【0095】
式(XI)のアルデヒドALDはエノール化可能でない。エノール化不能なアルデヒドから製造される、アルジミノ基を有するアルジミンは、エナミノ基を形成することができず、したがって特によくブロックされたアミンといえる。
【0096】
好ましい一実施形態において、アルデヒドALDは式(IIIa)のZ1部分を有する。このようなアルデヒドは、脂肪族、脂環式又はアリール脂肪族2,2-二置換3-ヒドロキシアルデヒド(例えば、2,2-ジメチル-3-ヒドロキシプロパナール、2-ヒドロキシメチル-2-メチルブタナール、2-ヒドロキシメチル-2-エチルブタナール、2-ヒドロキシメチル-2-メチルペンタナール、2-ヒドロキシメチル-2-エチルヘキサナール、1-ヒドロキシメチルシクロペンタンカルボキシアルデヒド、1-ヒドロキシメチルシクロヘキサンカルボキシアルデヒド、1-ヒドロキシメチルシクロヘキサ-3-エンカルボキシアルデヒド、2-ヒドロキシメチル-2-メチル-3-フェニルプロパナール、3-ヒドロキシ-2-メチル-2-フェニルプロパナール及び3-ヒドロキシ-2,2-ジフェニルプロパナールなど)と、好適なカルボン酸とのエステルである。この場合、例えば、以下のカルボン酸が好適である:飽和脂肪族カルボン酸、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、2-エチル-カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキジン酸など;一価不飽和脂肪族カルボン酸、例えば、パルミトレイン酸、オレイン酸、エルカ酸など;多価不飽和脂肪族カルボン酸、例えば、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、アラキドン酸;脂環式カルボン酸、例えば、シクロヘキサンカルボン酸など;アリール脂肪族カルボン酸、例えば、フェニル酢酸など;芳香族カルボン酸、例えば、安息香酸、ナフトエ酸、トルオイル酸(toluoylic acid)、アニス酸;これらの酸の異性体など;天然油脂、例えば、ナタネ油、ヒマワリ油、アマニ油、オリーブ油、ココナッツ油、パーム核油及びパーム油の工業的鹸化(technical saponification)によって得られる脂肪酸混合物;並びに、ジカルボン酸モノアルキル-及び-アリールエステル〔ジカルボン酸(例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,12-ドデカン二酸、マレイン酸、フマル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、3,6,9-トリオキサウンデカン二酸、及びポリエチレングリコールの同様な誘導体など)と、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、及びこれらのアルコールの高級同族体及び異性体など)との単純なエステル化によって得られるもの〕。好ましいものは、炭素数が少なくとも7、特に炭素数12〜31のカルボン酸、特にラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸及びオレイン酸である。特に好ましいのはラウリン酸である。
【0097】
別の好ましい実施形態において、アルデヒドALDは、式(IIIb)のZ1部分を有する。このようなアルデヒドは、脂肪族、脂環式、又はアリール脂肪族の2,2-二置換3-ヒドロキシアルデヒドと、式R4-OHのアルコール又はフェノールとのエーテルである。このようなエーテルの形態の好ましいアルデヒドALDは、2,2-ジメチル-3-フェノキシプロパナール、3-シクロヘキシルオキシ-2,2-ジメチルプロパナール、2,2-ジメチル-3-(2-エチルヘキシルオキシ)プロパナール、2,2-ジメチル-3-ラウロキシプロパナール、及び2,2-ジメチル-3-ステアロキシプロパナールである。
【0098】
別の好ましい実施形態において、アルデヒドALDは、式(IIIc)のZ1部分を有する。特に、このようなアルデヒドは、技術文献から知られれているような、マンニッヒ(Mannich)反応又はマンニッヒ反応に類似したα-アミノアルキル化の生成物として得ることができるので、このようなアルデヒドはマンニッヒ塩基と称することもできる。この反応では、1つの第二級アルデヒド(secondary aldehyde)(特にイソ酪酸アルデヒド)、もう1つのアルデヒド(特にホルムアルデヒド)、及び第二級脂肪族アミンを、水を脱離させながら反応させて、アルデヒドALDを生成させる。このようなマンニッヒ塩基の形態の特に好適なアルデヒドALDは、2,2-ジメチル-3-ジメチルアミノプロパナール、2,2-ジメチル-3-ジエチルアミノプロパナール、2,2-ジメチル-3-ジブチルアミノプロパナール、2,2-ジメチル-3-(N-ピロリジノ)プロパナール、2,2-ジメチル-3-(N-ピペリジノ)プロパナール、2,2-ジメチル-3-(N-モルホリノ)プロパナール、2,2-ジメチル-3-(N-(2,6-ジメチル)モルホリノ)プロパナール、2,2-ジメチル-3-(N-ベンジルメチルアミノ)プロパナール、2,2-ジメチル-3-(N-ベンジルイソプロピルアミノ)プロパナール、及び2,2-ジメチル-3-(N-シクロヘキシルメチルアミノ)プロパナールである。
【0099】
別の好ましい実施形態において、アルデヒドALDは、式(IIId)のZ1部分を有する。特に、このようなアルデヒドは、式(IIIc)のZ1部分を有するアルデヒドALDと同様にして、即ち、マンニッヒ反応の生成物として得ることができるが、第二級脂肪族アミンの代わりにアミド、ラクタム、カルバメート、又はイミドを用いる。式(IIId)のZ1部分を有する特に適したアルデヒドALDは、N-(2,2-ジメチル-3-オキソプロピル)-N-メチルアセトアミド、N-(2,2-ジメチル-3-オキソプロピル)-N-ブチルアセトアミド、N-(2,2-ジメチル-3-オキソプロピル)-N-(2-エチルヘキシル)アセトアミド、N-(2,2-ジメチル-3-オキソプロピル)-N-ベンジルアセトアミド、N-(2,2-ジメチル-3-オキソプロピル)-N-メチルブチルアミド、N-(2,2-ジメチル-3-オキソプロピル)-N-メチル-(2-エチルカプロンアミド)、N-(2,2-ジメチル-3-オキソプロピル)-N-メチルベンズアミド、O-エチル-N-(2,2-ジメチル-3-オキソプロピル)-N-メチルカルバメート、N-(2,2-ジメチル-3-オキソプロピル)-ピロリジン-2-オン、N-(2,2-ジメチル-3-オキソプロピル)ピペリジン-2-オン、N-(2,2-ジメチル-3-オキソプロピル)アゼパン-2-オン、N-(2,2-ジメチル-3-オキソプロピル)オキサゾリジン-2-オン、N-(2,2-ジメチル-3-オキソプロピル)ピロリジン-2,5-ジオン、及びN-(2,2-ジメチル-3-オキソプロピル)フタルイミドである。
【0100】
別の好ましい実施形態において、アルデヒドALDはZ2部分を有する。このようなアルデヒドALDは、例えば、芳香族アルデヒド、例えば、ベンズアルデヒド、2-、3-、及び4-トルアルデヒド、4-エチル-、4-プロピル-、4-イソプロピル-、及び4-ブチル-ベンズアルデヒド、2,4-ジメチルベンズアルデヒド、2,4,5-トリメチルベンズアルデヒド、4-アセトキシベンズアルデヒド、4-アニスアルデヒド、4-エトキシベンズアルデヒド、ジ-及びトリアルコキシベンズアルデヒド異性体、2-、3-、及び4-ニトロベンズアルデヒド、2-、3-、及び4-ホルミルピリジン、2-フルフルアルデヒド、2-チオフェンカルバルデヒド、1-及び2-ナフチルアルデヒド、3-及び4-フェニルオキシベンズアルデヒド、キノリン-2-カルバルデヒドとその3-、4-、5-、6-、7-及び8-位異性体、並びにアントラセン-9-カルバルデヒド;更に、グリオキサール、グリオキサル酸エステル、例えば、グリオキサル酸メチルエステル、桂皮アルデヒド、及び置換桂皮アルデヒドなどである。
【0101】
式(XI)のアルデヒドALDとして好ましいのは、2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロパナール、2,2-ジメチル-3-ミリストイルオキシプロパナール, 2,2-ジメチル-3-パルミトイルオキシプロパナール, 2,2-ジメチル-3-ステアロイルオキシプロパナール、及び2,2-ジメチル-3-オレイルオキシプロパナールである。
【0102】
式(XI)の最も好ましいアルデヒドALDは、2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロパナールである。
【0103】
一実施形態において、ブロックされたアミンBAは、加水分解によって活性化可能な少なくとも2個のブロックされたアミノ基を有するポリマーである、ブロックされたポリマー性アミンPBAである。
【0104】
特に、ブロックされたポリマー性アミンPBAの加水分解によって活性化可能なブロックされたアミノ基は、エナミノ基、オキサゾリジノ基、ケチミノ基、及びアルジミノ基からなる群から選択される。
【0105】
一実施形態において、ブロックされたポリマー性アミンPBAは、末端アミノ基を有するポリマー(例えば、5,8-ジオキサドデカン-3,10-ジアミンの高級オリゴマー、ポリテトラヒドロフランジアミン、特にポリオキシアルキレンジ-及び-トリアミンなど)から得ることができる。典型的には、ポリオキシアルキレンジ-及び-トリアミンは、ポリオキシアルキレンジ-及びトリオールのアミノ化生成物であり、例えば、商品名Jeffamine(登録商標)(Huntsman製)、商品名Polyetheramin(BASF製)、又は商品名PC amine(登録商標)(Nitroil製)で入手できる。特に好適なポリオキシアルキレンジアミンは、Jeffamine(登録商標)D-2000、Jeffamine(登録商標)D-4000、Jeffamine(登録商標)XTJ-511、Jeffamine(登録商標)ED-900、Jeffamine(登録商標)ED-2003、Jeffamine(登録商標)XTJ-523、Jeffamine(登録商標)XTJ-536、Jeffamine(登録商標)XTJ-542、Jeffamine(登録商標)XTJ-559、並びにPolyetheramine D 2000、PC amine(登録商標)DA 650及びPC amine(登録商標)DA 2000である。特に好適なポリオキシアルキレントリアミンは、Jeffamine(登録商標)T-3000、Jeffamine(登録商標)T-5000、Polyetheramin T5000、及びPC amine(登録商標)TA 5000である。末端アミノ基を有するこのようなポリマーのアミノ基は、前述と同じ方法で、ブロックされたアミノ基に転化可能である。
【0106】
別の実施形態において、ブロックされたポリマー性アミンPBAは、特に、イソシアネート基を有するポリウレタンポリマーPUPを、少なくとも1個のブロックされたアミノ基と、ヒドロキシル基、メルカプト基、及び第二級アミノ基からなる群から選択される、少なくとも1個の反応性基Rとを有する、ブロックされたアミンBAと反応させることによって得ることができる。
【0107】
特に、ポリウレタンポリマーPUPは、少なくとも1種のポリオールを、少なくとも1種のポリイソシアネートと反応させることによって得ることができる。この反応は、一般に使用される方法、例えば50℃〜100℃の温度にて、任意選択で好適な触媒を併用して、イソシアネート基がポリオールのヒドロキシル基に対して化学量論的過剰量で存在するようにポリイソシアネートを計量することができる方法を用いて、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させることによって実施することができる。有利には、ポリイソシアネートを、1.3〜5、特に1.5〜3のNCO/OH比が保持されるように計量して導入することができる。「NCO/OH比」は、使用するイソシアネート基の、使用するヒドロキシル基の数に対する数の比を意味する。ポリオールの全てのヒドロキシル基が反応した後に、0.5〜15質量%、特に好ましくは0.5〜5質量%の遊離イソシアネート基含量がポリウレタンポリマーPUP中に残存することが望ましい。
【0108】
任意選択で、ポリウレタンポリマーPUPを、軟化剤を併用して製造することができる。但し、使用する軟化剤が、イソシアネートに対して反応性の基を含まないことを条件とする。
【0109】
ポリウレタンポリマーPUPを製造するためのポリオールとしては、例えば、以下の市販のポリオール又はそれらの混合物を使用することができる。
- ポリオキシアルキレンポリオール(ポリエーテルポリオール又はオリゴエーテロールともよばれる)。これは、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、1,2-又は2,3-ブチレンオキシド、オキセタン、テトラヒドロフラン、又はそれらの混合物の重合生成物であり、任意選択により、2つ以上の活性水素原子を有する開始剤分子(例えば、水、アンモニア、又は2つ以上のOHもしくはNH基を有する化合物、例えば、1,2-エタンジオール、1,2-及び1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール異性体類及びトリプロピレングリコール異性体類、ブタンジオール異性体類、ペンタンジオール異性体類、ヘキサンジオール異性体類、ヘプタンジオール異性体類、オクタンジオール異性体類、ノナンジオール異性体類、デカンジオール異性体類、ウンデカンジオール異性体類、1,3-及び1,4-シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、1,1,1-トリメチロールエタン、1,1,1-トリメチロールプロパン、グリセロール、アニリン、及びまた、前述の化合物の混合物など)を用いて重合される。低不飽和度(ASTM D−2849−69にしたがって測定され、ポリオール1g当たりの不飽和をミリ当量で表したもの)を有し、例えば、ダブル金属シアン化物錯体触媒(DMC触媒)とよばれるものを用いて調製されるポリオキシアルキレンポリオールを用いることも、高不飽和度を有し、例えば、アニオン触媒、例えば、NaOH、KOH、CsOH、又はアルカリ金属アルコキシドを用いて調製されるポリオキシアルキレンポリオールを用いることもできる。特に好ましいものは、ポリオキシアルキレンジオール又はポリオキシアルキレントリオール、特にポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレンのジオール及びトリオールである。
0.02mEq/g未満の不飽和度及び1,000〜30,000g/molの範囲の分子量を有するポリオキシアルキレンジオール及びトリオール、並びに400〜8,000g/molの分子量を有するポリオキシプロピレンジオール及びトリオールが特に好適である。
いわゆるエチレンオキシドを末端基とする(「EO-末端キャップ」、エチレンオキシド-末端キャップ)ポリオキシプロピレンポリオールも同様に好適である。エチレンオキシドを末端基とするポリオキシプロピレンポリオールは、特殊なポリオキシプロピレンポリオキシエチレンポリオールであり、例えば、エチレンオキシドを用いたポリプロピル化反応の完了後の純粋なポリオキシプロピレンポリオール、特にポリオキシプロピレンジオール及び-トリオールを更にアルコキシル化することによって得ることができ、結果として第一級ヒドロキシル基を有する。
- スチレン-アクリロニトリル又はアクリロニトリル-メチルメタクリレートグラフトポリエーテルポリオール。
- ポリエステルポリオール。オリゴエステロールともいわれ、公知の方法、特にヒドロキシカルボン酸の重縮合、又は、脂肪族及び/又は芳香族ポリカルボン酸と二価又多価アルコールとの重縮合によって製造される。
【0110】
ポリエステルポリオールとして特に好適なものは、二価ないし三価(特に二価)のアルコール〔例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,12-ヒドロキシステアリルアルコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ダイマー脂肪酸ジオール(ダイマージオール)、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、グリセロール、1,1,1-トリメチロールプロパン、又は前述したアルコール類の混合物〕と、有機ジ又はトリカルボン酸、特にジカルボン酸、又はこれらの無水物もしくはエステル類〔例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、トリメチルアジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、ダイマー脂肪酸、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ジメチルテレフタレート、ヘキサヒドロフタル酸、トリメリト酸、及び無水トリメリト酸、あるいは前述した酸類の混合物〕とから製造されるもの、並びにラクトン類(例えば、ε-カプロラクトン)と開始剤(例えば、前述した二価又は三価アルコールなど)とからなるポリエステルポリオールである。
【0111】
特に好適なポリエステルポリオールは、ポリエステルジオールである。
- ポリカーボネートポリオール。これらは、例えば、上述したアルコール類(ポリエステルポリオールを製造するために用いるもの)と、ジアルキルカーボネート、ジアリールカーボネート、又はホスゲンとの反応によって得られる。
- 少なくとも2個のヒドロキシル基を有するブロックコポリマー。これは、上述したタイプのポリエーテル、ポリエステル、及び/又はポリカーボネート構造を有する少なくとも2種の異なるブロックを有し、特にポリエーテルポリエステルポリオールである。
- ポリアクリレート及びポリメタクリレートポリオール。
- ポリヒドロキシ官能性の油脂。例えば、天然油脂、特に、ひまし油;又は天然油脂の化学的変性によって得られるポリオール(いわゆるオレオケミカルポリオール)、例えば、不飽和オイルのエポキシ化とそれに続いてのカルボン酸又はアルコールでの開環によって得られるエポキシポリエステル又はエポキシポリエーテル、又は不飽和オイルのヒドロホルミル化及び水素化によって得られるポリオール;又は天然油脂から、分解法(例えば、アルコリシス又はオゾン分解など)とそれに続いての化学的架橋(例えば、そのようにして得られた分解生成物の再エステル化又は二量化による架橋)によって得られるポリオール、又はそれらの誘導体。天然油脂の適した分解生成物は、特に、脂肪酸及び脂肪アルコール、並びに脂肪酸エステル、特にメチルエステル(FAME)であり、これらは例えばヒドロホルミル化及び水素化によって誘導体化されてヒドロキシ脂肪酸エステルを形成することができる。
- ポリ炭化水素ポリオール類。オリゴハイドロカーボノールともいわれ、例えば、ポリヒドロキシ官能性ポリオレフィン、ポリイソブチレン、ポリイソプレン;ポリヒドロキシ官能性のエチレン-プロピレン、エチレン-ブチレン、又はエチレン-プロピレン-ジエン・コポリマー類であり、これらは例えばKraton Polymers Companyによって製造されている;ジエン類(特に1,3-ブタジエン)のポリヒドロキシ官能性ポリマー〔これは、特に、アニオン重合でも製造することができる〕;ジエン類(例えば、1,3-ブタジエン又はジエン混合物)とビニルモノマー(例えば、スチレン、アクリロニトリル、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、イソブチレン、及びイソプレン)とからなるポリヒドロキシ官能性コポリマー、例えば、ポリヒドロキシ官能性のアクリロニトリル/ブタジエンコポリマー〔これらは、例えば、エポキシド又はアミノアルコールと、カルボキシル末端のアクリロニトリル/ブタジエンコポリマー(例えば、Nanoresins AG、ドイツ国、又はErmerald Performance Materials LLCのHypro(登録商標)(前のHycar(登録商標))CTBN及びCTBNX及びETBNの名称で市販されている)とから製造することができる〕;並びに、ジエン類の水素化されたポリヒドロキシ官能性ポリマー又はコポリマー。
【0112】
これらの上述したポリオールは、好ましくは250〜30,000g/mol、特に400-20,000g/molの平均分子量を有し、好ましくは1.6〜3の範囲の平均OH官能価を有する。
【0113】
好ましいポリオールは、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、及びポリアクリレートのポリオール、好ましくはジオール及びトリオールである。
【0114】
特に好ましいのは、ポリエーテルポリオール、特にポリオキシプロピレン及びポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンポリオール、並びに、液体のポリエステルポリオール及びポリエーテル-ポリエステルポリオールである。
【0115】
更に、40℃〜80℃、特に50℃〜70℃の範囲の融点を有する、非晶質、部分結晶質、及び結晶質のポリエステル及びポリカーボネートジオール、特に、アジピン酸/ヘキサンジオールポリエステル、アゼライン酸/ヘキサンジオールポリエステル、ドデカンジカルボン酸/ヘキサンジオールポリエステル、及びヘキサンジオールをベースとするポリカーボネートジオールが特に好ましい。
【0116】
これら上述したポリオールに加えて、少量の低分子の二価又は多価アルコールをポリウレタンポリマーPUPの製造に同時に用いることもできる。これらの低分子の二価又は多価アルコールは、例えば、1,2-エタンジオール、1,2-及び1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール異性体類及びトリプロピレングリコール異性体類、ブタンジオール異性体類、ペンタンジオール異性体類、ヘキサンジオール異性体類、ヘプタンジオール異性体類、オクタンジオール異性体類、ノナンジオール異性体類、デカンジオール異性体類、ウンデカンジオール異性体類、1,3-及び1,4-シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールA、ダイマー脂肪アルコール、1,1,1-トリメチロールエタン、1,1,1-トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、糖アルコール(例えば、キシリトール、ソルビトール、マンニトールなど)、糖類(例えば、サッカロースなど)、その他の多価アルコール、前述した二価及び多価アルコールの低分子アルコキシル化生成物、並びにこれらのアルコールの混合物である。3より多い平均OH官能基数をもつ少量のポリオール、例えば、少量の糖ポリオールを、同時に用いることがもきる。
【0117】
イソシアネート基を有するポリウレタンポリマーPUPの製造には、ポリイソシアネートとして芳香族又は脂肪族ポリイソシアネート、特にジイソシアネートを使用する。
【0118】
芳香族ポリイソシアネートとして好適なのは、特に、ジイソシアネート又はトリイソシアネートモノマー、例えば、2,4-及び2,6-トルイレンジイソシアネート並びにこれらの異性体の任意の混合物(TDI)、4,4'-、2,4'-及び2,2'-ジフェニルメタンジイソシアネート並びにこれらの異性体の任意の混合物(MDI)、MDI及びMDI同族体の混合物(MDI又はPMDIポリマー)、1,3-及び1,4-フェニレンジイソシアネート、2,3,5,6-テトラメチル-1,4-ジイソシアナトベンゼン、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート(NDI)、3,3'-ジメチル-4,4'-ジイソシアナトジフェニル(TODI)、ジアニシジンジイソシアネート(DADI),1,3,5-トリス-(イソシアナトメチル)ベンゼン、トリス-(4-イソシアナトフェニル)メタン、トリス(4-イソシアナトフェニル)チオホスフェート、前記イソシアネートのオリゴマー及びポリマー、前記イソシアネートの任意の混合物である。MDI及びTDIが好ましい。
【0119】
特に好適な脂肪族ポリイソシアネートは、特に、ジイソシアネートモノマー又はトリイソシアネートモノマー、例えば、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、2-メチルペンタメチレン-1,5-ジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4-及び2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、1,10-デカメチレンジイソシアネート、1,12-ドデカメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート及びリジンエステルジイソシアネート、シクロヘキサン-1,3-及び-1,4-ジイソシアネート、1-メチル-2,4-及び-2,6-ジイソシアナトシクロヘキサン及びこれらの異性体の任意の混合物(HTDI又はH6TDI)、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(=イソホロンジイソシアネートすなわちIPDI)、ペルヒドロ-2,4′-及び-4,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート(HMDI又はH12MDI)、1,4-ジイソシアナト-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン(TMCDI)、1,3-及び1,4-ビス-(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、m-及びp-キシリレンジイソシアネート(m-及びp-XDI)、m-及びp-テトラメチル-1,3-及び-1,4-キシリレンジイソシアネート(m-及びp-TMXDI)、ビス-(1-イソシアナト-1-メチルエチル)ナフタレン、二量体及び三量体脂肪酸イソシアネート、例えば、3,6-ビス-(9-イソシアナトノニル)-4,5-ジ-(1-ヘプテニル)シクロヘキセン(ジメリルジイソシアネート)、α,α,α',α',α",α"-ヘキサメチル-1,3,5-メシチレントリイソシアネート、前記イソシアネートのオリゴマー及びポリマー、並びに前記のイソシアネートの任意の混合物である。HDI及びIPDIが好ましい。
【0120】
好ましくは、ポリウレタンポリマーPUPは、500g/mol以上の平均分子量を有する。特に、ポリウレタンポリマーPUPは、1000〜30,000g/mol、好ましくは2000〜10,000g/molの平均分子量を有する。更に、ポリウレタンポリマーPUPは、好ましくは1.7〜3、特に1.8〜2.5の範囲の平均NCO官能基数を有する。
【0121】
好ましくは、イソシアネート基を有するポリウレタンポリマーPUPとの反応には、1個の反応性基Rに加えて、1個だけ又は2個の、好ましくは1個のブロックされたアミノ基を有するブロックされたアミンBAを使用する。
【0122】
イソシアネート基を有するポリウレタンポリマーPUPと、少なくとも1個のブロックされたアミノ基及び1個の反応性基Rを有するブロックされたアミンBAとの反応においては、得られるブロックされたポリマー性アミンPBAがイソシアネート基を含まないように、反応性基Rは、イソシアネート基に対して化学量論量で又は化学量論的過剰量で存在する。
【0123】
反応性基Rがヒドロキシル又はメルカプト基の形態で存在する場合には、反応は好ましくは室温より高温で、特に50℃〜100℃の範囲の温度で、任意選択で好適な触媒の存在下で実施する。
【0124】
一実施形態では、オキサゾリジノ基を含み、かつ、イソシアネート基、反応性基R、及び第一級アミノ基を含まない、ブロックされたポリマー性アミンPBA1を、ブロックされたポリマー性アミンPBAとして用いる。
【0125】
別の実施形態において、好ましいブロックされたポリマー性アミンPBAは、イソシアネート基、反応性基R、及び第一級アミノ基を含まない、式(XII)
【0126】
【化13】

【0127】
のブロックされたポリマー性アミンPBA2である。
【0128】
前記式(XII)において、Zは、前述の意味を有する。
【0129】
式(XII)のアルジミノ基は、エナミンを形成することができないアルジミノ基である。
【0130】
一実施形態において、ブロックされたポリマー性アミンPBA2は、特に、イソシアネート基を有する少なくとも1種のポリウレタンポリマーPUPを、式(VIII)の少なくとも1種のアルジミンBA2aと反応させることによって得られる。
【0131】
別の実施形態において、ブロックされたポリマー性アミンPBA2は、特に、少なくとも2個の第一級アミノ基を有する少なくとも1種のポリマーと、式(XI)の少なくとも1種のアルデヒドALDとの縮合反応によって得られる。
【0132】
最も好ましいブロックされたポリマー性アミンPBA2は、イソシアネート基、反応性基R、及び第一級アミノ基を含まず、式(XIIa)
【0133】
【化14】

【0134】
のアルジミノ基を有する、ブロックされたポリマー性アミンPBA2'である。
【0135】
前記式(XIIa)において、R1、R2、R3及びR5は前述の意味を有する。
【0136】
ブロックされたポリマー性アルジミンPBA2'は、低臭又は無臭である点、及びそれから放出され得るアルデヒドも高分子量であるために低臭又無臭である点で有利である。R5'部分の炭素数が少なくとも11であるならば、それらは無臭であり、それから放出され得るアルデヒドも無臭である。
【0137】
ポリウレタンポリマーPUPから製造されるブロックされたポリマー性アミンPBAを含む硬化性組成物からは、高伸び及び高強度を有する硬化物を得ることができる。このような硬化物は、弾性接着剤として特に好適である。
【0138】
本明細書において、DIN EN 53504に従って測定された場合に少なくとも300%、好ましくは少なくとも400%、特に好ましくは少なくとも450%である破断点伸びを、「高伸び」と称する。本明細書において、DIN EN 53504に従って測定された場合に少なくとも3.0MPa、好ましくは少なくとも4.0MPa、特に好ましくは少なくとも4.5MPaである引張強さを、「高強度」と称する。
【0139】
本硬化性組成物は、少なくとも1種のブロックされたアミンBAに加えて、室温で固体の少なくとも1種の表面不活性化ポリイソシアネートDIを含む。
【0140】
好ましくは、表面不活性化ポリイソシアネートDIは、微細な形態で存在する。120μm未満の平均粒径を有する物質を「微細」と称する。
【0141】
特に望ましくは、表面不活性化ポリイソシアネートDIの平均粒径は0.01〜100μm、好ましくは0.1〜50μm、特に好ましくは0.3〜30μmの範囲である。
【0142】
室温で個体の表面不活性化ポリイソシアネートは、先行技術、例えば、EP 0 062 780 A1、EP 0 100 508 A2及びEP 0 153 579 A2から知られている。
【0143】
表面不活性化ポリイソシアネートDIは、室温より明らかに高い融点を有する、室温で固体のポリイソシアネートをベースとする。望ましくは、室温で固体のポリイソシアネートは、少なくとも40℃、好ましくは少なくとも80℃、特に好ましくは少なくとも120℃の融点を有する。
【0144】
特に、室温で固体のポリイソシアネートは、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート(NDI)、3,3′-ジメチル-4,4′-ジイソシアナトジフェニル(TODI)、1,4-フェニレンジイソシアネート、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサンのイソシアヌレート、4,4′-ジフェニルメタンジイソシアネートのウレトジオン、2,4-トルイレンジイソシアネートのウレトジオン、及び2,4-トルイレンジイソシアネートのウレアからなる群から選択される。特に好ましいものは、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート(NDI)、2,4-トルイレンジイソシアネートのウレトジオン、及び2,4-トルイレンジイソシアネートのウレアである。
【0145】
好ましくは、室温で固体のポリイソシアネートは、微細な形態で存在し、0.01〜100μm、好ましくは0.1〜50μm、特に好ましくは0.3〜30μmの範囲の平均粒径を有する。
【0146】
市販の、微細な2,4-TDIのウレトジオンは、例えば、Addolink(登録商標)TT(Rhein Chemie)である。
【0147】
表面不活性化ポリイソシアネートDIは、室温で固体のポリイソシアネートの粒子からなる。前記粒子の表面は、十分に不透過性であり、かつ室温又はわずかに高温に耐える物質の多少厚い層で覆われているので、イソシアネート基を化学反応体、特に活性水素原子を有する化合物に接近させないように粒子内にイソシアネート基を永久に封入し、したがって、イソシアネート基を「不活性化」する。表面不活性化ポリイソシアネートDIを少なくとも60℃、特に少なくとも80℃の温度まで加熱すると、ポリイソシアネート粒子上の層が損傷され、粒子内のイソシアネート基が化学反応体に接近可能となり、したがって、イソシアネート基が「活性化」される。
【0148】
特に、表面不活性化ポリイソシアネートDIは、表面不活性化ポリイソシアネートのベースである室温で固体のポリイソシアネートと、イソシアネート基に対して反応性の基を少なくとも1個有する物質との反応によって得られる。ポリイソシアネート粒子の表面における化学反応によって、室温又はわずかに高温で非常に安定な、即ち不透過性で且つ不溶性の層(「保護層」)が形成される。この反応に好適な、以下で「表面不活性化用物質」と称する物質は、特に、水、第一級及び第二級脂肪族アミン、アミノアミド、ヒドラジン、ヒドラジド、フェノール、カルボン酸、アミジン、及びグアニジンからなる群から選択される。
【0149】
好ましい表面不活性化用物質は、第一級及び第二級アミン、特に第一級ポリアミン、特に式(Xb)のアミンB2と称される第一級アミン、及びまた、脂肪族アミン、ポリアルキレンアミン、ポリアミドアミン、及び前記アミンのカルボン酸塩である。これらの物質から形成される保護層は、ウレア基を含む。
【0150】
脂肪酸及び脂肪酸混合物に由来するアミンは、脂肪族アミン、例えば、ラウリルアミン、ミリスチリルアミン、パルミチンアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、ココアルキルアミン、C16〜C22-アルキルアミン、ソーヤアルキルアミン、オレイルアミン、及びタローアルキルアミンなど〔例えば、商品名Armeen(登録商標)(Akzo Nobel製)又はRofamin(登録商標)(Ecogreen Oleochemicals製)として入手可能〕;脂肪族アミンのシアノエチル化とそれに続く還元によって得られるジアミン、例えば、N-ココアルキル-1,3-プロパンジアミン、N-オレイル-1,3-プロパンジアミン、N-ソーヤアルキル-1,3-プロパンジアミン、N-タローアルキル-1,3-プロパンジアミン、若しくはN-(C16〜22アルキル)-1,3-プロパンジアミンなど〔例えば、Duomeen(登録商標)CD、Duomeen(登録商標)M、Duomeen(登録商標)O、Duomeen(登録商標)OV又はDuomeen(登録商標)T(Akzo Nobel製)として入手可能〕;並びに、脂肪族アミンに由来する全てのトリアミン及びテトラミン、例えば、ココアルキルジプロピレントリアミン、オレイルジプロピレントリアミン、タローアルキルジプロピレントリアミン、オレイルトリプロピレンテトラミン、及びタローアルキルトリプロピレンテトラミン〔Triameen(登録商標)C、Triameen(登録商標)OV、Triameen(登録商標)T、Tetrameen(登録商標)OV、及びTetrameen (登録商標)T(Akzo Nobel製)として入手可能〕である。
【0151】
特に工業用混合物(technical mixture)の形態の、第二級アミノ基の部分を含むオリゴマーエチレンアミン、例えば、ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、テトラエチレンペンタミン(TEPA)、ペンタエチレンヘキサミン(PEHA)を、ポリアルキレンアミンと称する。
【0152】
少なくとも1個のアミド基及び少なくとも1個のアミノ基を有する物質、特に、一塩基性若しくは多塩基性カルボン酸又はそのエステル若しくは無水物と、脂肪族、脂環式、又は芳香族ポリアミンとの、ポリアミンが化学量論的過剰量で使用される反応の生成物を、ポリアミドアミンと称する。通常、いわゆる二量体脂肪酸を、多塩基性カルボン酸として、また、例えばジエチレントリアミン(DETA)又はトリエチレントリアミン(TETA)などのポリアルキレンアミンを、ポリアミンとして使用する。市販のポリアミドアミンは、例えば、Versamid(登録商標)100、125、140、及び150(Cognis製)、Aradur(登録商標)223、250、及び848(Huntsman製)、Euretek(登録商標)505、510、514 S、530、531、540、541、545、547、549、3607(Huntsman製)、並びにBeckopox(登録商標)EH 651、EH 654、EH 655、EH 661、及びEH 663(Cytec製)である。
【0153】
表面不活性化に特に好ましい物質は、ポリオキシアルキレンジ-及びトリアミン、特にJeffamine(登録商標)D-230、Jeffamine(登録商標)D-400、及びJeffamine(登録商標)T-403(Huntsman製);更には、短鎖脂肪族第一級ジアミン、特にエチレンジアミン、1,2-プロパンジアミン、1,3-プロパンジアミン、1,4-ブタンジアミン、及び1,6-ヘキサンジアミン;脂環式第一級ジアミン、特にビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン、及び1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン;脂肪族アミン、特にステアリルアミン及びオレイルアミン;ポリアルキレンアミン、特にジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、及びテトラエチレンペンタミン;並びに、ポリアミドアミン、特に、二量体脂肪酸と、ジエチレントリアミン又はトリエチレンテトラミンとから製造されたものである。
【0154】
特に好ましい表面不活性化ポリイソシアネートDIは、式(Xb)のアミンB2、特にポリオキシアルキレンジアミン又はトリアミンによって表面不活性化された2,4-TDIのウレトジオンである。
【0155】
固体ポリイソシアネートと反応することとなる表面不活性化用物質は、好ましくは、イソシアナト基に対して反応性の基がイソシアナト基100個あたり0.5〜20個、好ましくは1〜15個、特に好ましくは3〜12個存在する量で使用する。
【0156】
室温で固体のポリイソシアネートと表面不活性化用物質との反応は、室温で固体のポリイソシアネートの融点未満の温度、好ましくは50℃未満の温度で、ポリイソシアネート粒子表面に形成される層がこの温度でほとんど不溶性である液体媒体中に、ポリイソシアートを分散させて実施する。好適な液体媒体は、特に、軟化剤であり、特にカルボン酸エステル、例えば、フタル酸エステル(特にフタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル若しくはフタル酸ジイソデシル)、アジピン酸エステル(特にアジピン酸ジオクチル)、アゼライン酸エステル及びセバシン酸エステル、有機リン酸及びスルホン酸エステル、又はポリブテンである。更に、ポリウレタンポリマーPUPの製造に使用される上述したポリオールも、液体媒体として適している。更に、上述したブロックされたポリマー性アミンPBA、特に上述したブロックされたポリマー性アミンPBA1及び上述したブロックされたポリマー性アミンPBA2も液体媒体として適している。更に、いわゆるキャップされたポリオール、即ち、ヒドロキシル基が反応して、例えばエステル又は特にエーテル基を形成しているポリオールも、液体媒体として適している。更に、イソシアネート基が、例えば一官能性のアルコール、チオール、又は第一級若しくは第二級アミンと反応されたポリウレタンポリマー、及びまた、イソシアネート基もイソシアネート基に対して反応性の基もほとんど有さないポリマーも、液体媒体として適している。
【0157】
室温で固体であり、表面不活性化ポリイソシアネートDIのベースとなるポリイソシアネートを、表面不活性化前に室温で液体の第2のポリイソシアネートで処理して、室温で固体のポリイソシアネートの表面を第2のポリイソシアネートで湿潤させるようにして、このような処理後に初めて、表面不活性化用物質を用いて表面不活性化を実施することができる。このようにして、表面不活性化層が、室温で液体の第2のポリイソシアネートから形成される。
【0158】
ブロックされたアミンBA及び表面不活性化ポリイソシアネートDIは、硬化性組成物中に、ブロックされたアミノ基の、イソシアネート基に対する比が0.1〜1.1、好ましくは0.2〜1.1、特に好ましくは0.3〜1.0となるような量で存在することが望ましい。
【0159】
少なくとも1種のブロックされたアミンBA及び少なくとも1種の表面不活性化ポリイソシアネートDIに加えて、硬化性組成物は更なる成分を含むことができる。
【0160】
場合により、硬化性組成物は、水又は水を発生する物質を、特に、水分子の数の、ブロックされたアミノ基の数に対する比が、0.25超、好ましくは少なくとも0.5となるような量で含んでいてよい。このような組成物は、熱硬化性組成物として使用できる。
【0161】
水は、遊離した形態で存在してもよいし、担体材料に結合していてもよい。場合により存在していてもよい担体材料への結合は可逆的であり、即ち、水はブロックされたアミンBAとの反応に利用することができる。
【0162】
水に適した担体材料は、キャビティ中に水を封入する多孔質材料、特に珪藻土及びモレキュラーシーブである。その他の好適な担体材料は、非化学量論量で水を吸収し、且つペースト状の稠度を有するもの、又はゲルを形成するもの、例えば、シリカゲル、クレイ、多糖類、又は例えばサニタリー製品の製造に使用されている、「超吸収剤」の名称でも知られるポリアクリル酸である。その他の好適な担体材料は、水を乳化させて安定なエマルジョンを形成することができるポリマーである。
【0163】
担体材料に結合する水の、その他の好適な形態は、例えば、水和物及びアクア錯体、特に、配位結合によって又は結晶水として水を含む無機化合物である。水和物の例としては、Na2SO4・10H2O、CaSO4・2H2O、CaSO4・1/2H2O、Na2B4O7・10H2O、MgSO4・7H2Oが挙げられる。アクア錯体の例は、鉄(II)、鉄(III)、コバルト(II)、コバルト(III)、及びニッケル(II)のヘキサアクア錯体、並びに[(H2O)4Co(NH3)2]3+又は[Cl(H2O)3Co(NH3)2]2+などの混合錯体である。
【0164】
水を発生する好適な物質は、特に、60℃〜160℃、好ましくは80℃〜140℃、特に好ましくは90℃〜130℃の範囲の温度に加熱すると水を発生する物質である。このような物質は、特に、ホウ酸、水酸化アルミニウム、及び珪酸である。
【0165】
また一方、硬化性組成物は、ごくわずかしか水を含まなくてもよいし、水を実質的に含まなくてもよい。
【0166】
とりわけ、硬化性組成物中に含まれるブロックされたアミノ基が、エナミノ基の形態及び/又はエナミンを形成することができるケチミノ若しくはアルジミノ基の形態で存在する場合には、硬化性組成物は、水を含まないか又はブロックされたアミノ基の数に対する水分子の数の比が0.25以下となるような量で水を含んでいても、熱硬化性組成物として使用することができる。
【0167】
硬化性組成物中に含まれるブロックされたアミノ基が、オキサゾリジノ基の形態、又はエナミンを形成することができないアルジミノ基の形態で存在し、且つ、硬化性組成物が水を含まないか又はブロックされたアミノ基の数に対する水分子の数の比が0.1以下となるような量で水を含む場合には、前記硬化性組成物は熱活性化可能な組成物として使用することができる。
【0168】
場合により、硬化性組成物は更にまた、少なくとも1種のポリオールPを含んでいてよい。好適なポリオールPは、イソシアネート基を有するポリウレタンポリマーPUPの製造に好適であると前述したものと同じポリオールである。
【0169】
特に、熱活性化可能な組成物として使用することができる組成物は、場合により少なくとも1種のポリオールPを含んでいてよい。
【0170】
更に、硬化性組成物は、特に、組成物の熱伝導度を増加させ、且つ/あるいは、その圧電特性、強磁性、若しくは超常磁性により、磁場及び/若しくは交流電場、特にマイクロ波若しくは誘導の適用によって組成物を加熱することができる少なくとも1種の材料を含む。これによって、一般に熱伝導度が限られている組成物をより迅速に加熱し、ひいてはより迅速に硬化させることが可能になる。この目的に適する材料は、特に、グラファイト、導電性カーボンブラック、及び金属粉末;圧電性物質、例えば、石英、トルマリン、チタン酸バリウム、硫酸リチウム、酒石酸カリウム(ナトリウム)、酒石酸エチレンジアミン、及びチタン酸ジルコン酸鉛など;強磁性又は超常磁性物質、例えば、金属アルミニウム、コバルト、鉄、ニッケル、及びそれらの合金、n-マグヘマイト(γ-Fe2O3)型、n-マグネタイト(Fe3O4)型、及び一般式MFe2O4(式中、Mは、銅、亜鉛、コバルト、ニッケル、マグネシウム、カルシウム、又はカドミウムの群からの二価金属を表す)のフェライト型の金属酸化物である。好ましくは、この材料は非常に微細であり、平均粒径が120μm未満、特に50μm未満である。超常磁性効果を利用するためには、平均粒径は好ましくは50nm未満、特に30nm未満である。
【0171】
更に、硬化性組成物は、ポリウレタン組成物中に常用される助剤又は添加剤、例えば、以下のものを含むことができる:
- 柔軟化剤、特にカルボン酸エステル、例えばフタレート類、特に、ジオクチルフタレート、ジイソノニルフタレート、及びジイソデシルフタレート、アジペート類、特に、ジオクチルアジペート、アゼレート類、及びセバケート類、有機リン酸及びスルホン酸エステル、及びポリブテン類;
- 非反応性の熱可塑性ポリマー、例えば、不飽和モノマー、特に、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、イソプレン、酢酸ビニル、及びアルキル(メタ)アクリレート類を含む群からの不飽和モノマーのホモ又はコポリマー、特に、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリイソブチレン、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、及びアタクティックポリ-α-オレフィン(APAO);
- 溶媒;
- 無機及び有機フィラー、例えば、粉砕又は沈降性炭酸カルシウム(これは任意選択により脂肪酸、特にステアレートで被覆されていてもよい)、バライト(BaSO、重晶石ともよばれる)、石英粉末、焼成カオリン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ケイ酸、特に、熱分解法からの高分散されたケイ酸、カーボンブラック、特に工業的に製造されたカーボンブラック(以下で「カーボンブラック」という)、PVC粉末、及び中空球体;
- 繊維、特に、ポリエチレン製繊維;
- 顔料、特に、二酸化チタン又は酸化鉄;
- アルジミノ基の加水分解を促進させる触媒、特に酸類、特に、有機カルボン酸、例えば、安息香酸、サリチル酸、及び2-ニトロ安息香酸、有機カルボン酸無水物、例えば、無水フタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、及び無水ヘキサヒドロメチルフタル酸、有機カルボン酸のシリルエステル、有機スルホン酸、例えば、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、及び4-ドデシルベンゼンスルホン酸、スルホン酸エステル、その他の有機又は無機酸、あるいは前記の酸及び酸エステルの混合物;
- イソシアネート基の反応を促進させる触媒、例えば、有機スズ化合物(例えば、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫ジアセチルアセトナート、及びジオクチル錫ジラウレート)、ビスマス化合物(例えば、ビスマストリオクトエート、及びビスマストリス(ネオデカノエート))、及び三級アミノ基を有する化合物(例えば、2,2’-ジモルホリノジエチルエーテル及び1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン;
- レオロジー調整剤、例えば、特に、増粘剤又はチキソ性付与剤、例えば、尿素化合物、ポリアミドワックス、ベントナイト、又は熱分解法ケイ酸;
- 乾燥剤、例えば、モレキュラーシーブス、酸化カルシウム、高反応性イソシアネート、例えば、p-トシルイソシアネート、オルソギ酸エステル、アルコキシシラン類、例えばテトラエトキシシラン;有機アルコキシシラン類、例えば、ビニルトリメトキシシラン、及びケイ素基のα位に官能基を有する有機アルコキシシラン類;
- 接着促進剤、特に、オルガノアルコキシシラン(「シラン」)、例えば、エポキシシラン類、ビニルシラン類、(メタ)アクリルシラン類、イソシアナートシラン類、カルバメートシラン類、アルキルシラン類、S-(アルキルカルボニル)メルカプトシラン類、及びアルジミノシラン類、並びにこれらのシラン類のオリゴマー形態;
- 熱、光、及びUV照射から保護するための安定剤;
- 難燃性物質;
- 界面活性剤、例えば、特に、湿潤剤、流動性向上剤、通気剤、又は気泡抑制剤;
- 殺生物剤、例えば、殺藻剤、防かび剤、又は菌類の増殖を抑制する物質。
【0172】
このような追加の構成成分を用いる場合、その成分が組成物の貯蔵寿命を大きく低下させないことを確実にすることが有利である。このことは、貯蔵中にこれらの構成成分が、顕著な程度にまで架橋をもたらす反応を引き起こすべきではないことを意味しており、架橋をもたらす反応は例えば、アルジミノ基の加水分解またはイソシアネート基の架橋である。このことはこれらの構成成分の全てが、いかなる水も含むべきではないか、多くとも非常に微量の水しか含まないべきであることを意味している。所定の構成成分を、組成物中に混合する前に、化学的に又は物理的に乾燥させることは有用でありうる。
【0173】
好ましくは、硬化性組成物は少なくとも1種の触媒を含む。特に、触媒は、金属化合物、及び/又は第三級アミノ基を有する化合物、及び/又は前述した酸、例えば、安息香酸若しくはサリチル酸などである。
【0174】
好ましくは、硬化性組成物は更に少なくとも1種のフィラーを含む。
【0175】
好ましくは、硬化性組成物は一成分型組成物である。
【0176】
本明細書において、組成物の全成分が混合された形態で同一容器に保存され、且つ、数週間から数ヶ月間、室温で保存安定である、即ち、適用性又は使用特性が保存によって経時的に変質しないか又はごくわずかしか変質しない硬化性組成物を、「一成分型」と称する。
【0177】
硬化性組成物を硬化させるために、表面不活性化ポリイソシアネートDIを、加熱によって活性化させる。このために、組成物を60℃〜160℃、好ましくは80℃〜140℃、特に好ましくは90℃〜130℃の範囲の温度に加熱する。このプロセスで、表面不活性化ポリイソシアネートDIの保護層が損傷され、その結果、そのイソシアネート基が活性化され、ひいては、組成物中に存在する加水分解された又は加水分解性のブロックされたアミノ基に接近可能となる。更なるイソシアネート基の放出を伴う2,4-TDIウレトジオンのウレトジオン環の開環は、130℃以下の温度では観察されていない。
【0178】
特に、表面不活性化ポリイソシアネートDIの使用により、熱の作用がなければ遊離ポリイソシアネートを含まない組成物を実現することが可能になる。したがって、このような組成物は室温で極めて長い貯蔵寿命を有する。組成物を熱だけでなく水分からも保護すれば、この貯蔵寿命は更に延長することができる。
【0179】
特に、本硬化性組成物は、熱硬化性接着剤として、特に、例えば、自動車、輸送車両及び船舶の組み立てのための工業用途用弾性熱硬化性接着剤として、並びにSMC(シート成形コンパウンド)中の熱硬化性反応樹脂として使用することができる。これについては以下に解説する。
【0180】
更に、熱活性化可能な組成物は、接着剤、シーリング材、若しくはコーティングとして、特に、建築及び工業で使用するための熱活性化可能な弾性接着剤及びシーリング材として、好ましくは建築物用の伸縮目地の形態のシーリング材として、又は自動車、輸送車両及び船舶の組み立てのための接着剤として使用することができる。これについては以下に解説する。
【0181】
好ましい一実施形態において、硬化性組成物は熱硬化性組成物である。
【0182】
特に好ましい一実施形態において、硬化性組成物は、
a')前述のブロックされたポリマー性アミンPBAの形態の少なくとも1種のブロックされたアミンBA、
b)室温で固体の少なくとも1種の表面不活性化ポリイソシアネートDI、及び
c)任意選択で、水又は水生成物質
を含む熱硬化性組成物HHである。
【0183】
熱硬化性組成物HHの形態のブロックされたポリマー性アミンPBAとしては、ブロックされたポリマー性アミンPBA1及びブロックされたポリマー性アミンPBA2が好ましい。特に好ましいのは、ブロックされたポリマー性アミンPBA2である。最も好ましいのは、低臭又は無臭であるブロックされたポリマー性アミンPBA2'である。
【0184】
好ましくは、熱硬化性組成物HHは、水又は水生成物質を含む。有利には、水又は水生成物質は、水分子の数の、ブロックされたアミノ基の数に対する比が0.25超、好ましくは少なくとも0.5となるような量で存在する。
【0185】
熱硬化性組成物HH中に含まれるブロックされたアミノ基が、エナミノ基の形態、及び/又はエナミンを形成することができるケチミノ若しくはアルジミノ基の形態で存在する場合には、エナミノ基が加水分解しなくてもイソシアネートと直接反応し得るので、組成物は水なしで熱の作用によって硬化することもできる。このプロセスでは、エナミノ基1個当たり1個又は2個のイソシアネート基が、対応するケトン又はアルデヒドを開裂することなく反応する。この場合、組成物は、水分子の数の、ブロックされたアミノ基の数に対する比が0.25以下となるような量で水を含むこともできる。しかし、水がより多く存在すれば、硬化はより速く且つより低温で進行する。
【0186】
有利には、熱硬化性組成物HHは少なくとも1種の触媒を含む。熱硬化性組成物HHに好適な触媒は、前述した触媒、並びに、亜鉛、マンガン、鉄、クロム、コバルト、銅、ニッケル、鉛、カドミウム、水銀、アンチモン、バナジウム、チタン、ジルコニウム、又はカリウムの化合物、例えば、酢酸亜鉛(II)、2-エチルヘキサン酸亜鉛(II)、ラウリン酸亜鉛(II)、アセチルアセトン酸亜鉛(II)、2-エチルヘキサン酸鉄(III)、2-エチルヘキサン酸コバルト(II)、2-エチルヘキサン酸銅(II)、ナフテン酸ニッケル(II)、乳酸アルミニウム、オレイン酸アルミニウム、ジイソプロポキシチタンビス(エチルアセトアセテート)、酢酸カリウム;第三級アミン、例えば、N-エチルジイソプロピルアミン、N,N,N',N'-テトラメチルアルキレンジアミン、ペンタメチルアルキレントリアミン及びそれらの高級同族体、ビス(N,N-ジエチルアミノエチル)アジペート、トリス(3-ジメチルアミノプロピル)アミン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)、1,5-ジアザビシクロ[4,3,0]ノナ-5-エン(DBN)、N-アルキルモルホリン、N,N'-ジメチルピペラジン、N-複素環式化合物、例えば、4-ジメチルアミノピリジン、N-メチルイミダゾール、N-ビニルイミダゾール、若しくは1,2-ジメチルイミダゾール;有機アンモニウム化合物、特にテトラアルキルアンモニウムカルボキシレート、ハロゲン化物、及び水酸化物、例えば、テトラアルキルアンモニウムアセテート及びベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、又はアルコキシル化第三級アミン;既知の金属又はアミン触媒の変更形態に相当する、いわゆる「遅延作用型」触媒;前記化合物の組合せ、特に金属化合物と第三級アミンとの組合せである。
【0187】
熱硬化性組成物HHは、室温で保存安定性である、即ち、例えば、バレル、バケツ、バッグ、カートリッジ、又はボトルなどの好適な包装又は装置中で数ヶ月にわたって、その適用性を変えることも、その使用に関連する程度まで硬化後の特性を変えることもなく、保存することができる。通常、貯蔵寿命は、粘度又は押出力の測定によって測定することができる。
【0188】
熱硬化性組成物HHは、熱の作用によって硬化する。前述のように、このプロセスで、表面不活性化ポリイソシアネートDIの保護層は損傷され、その結果、そのイソシアネート基が活性化され、ひいては組成物中に存在する加水分解された又は加水分解性のブロックされたアミノ基に接近可能となり、したがって硬化が開始される。表面不活性化ポリイソシアネートDIの保護層の損傷は不可逆的であるので、イソシアネート基の活性化は、組成物を場合により冷却した後でも、引き続き維持される。このため、組成物の加熱が比較的短時間であっても、硬化が起こる。ブロックされたポリマー性アミンPBAの加水分解に必要な水は、有利には、組成物中に既に含まれているか、又は水を発生する物質から熱の作用によって発生させるかのいずれかである。
【0189】
イソシアネート基と加水分解性のブロックされたアミノ基との反応では、ケトン又はアルデヒドが放出される。イソシアネート基と加水分解性ブロックされたアミノ基との反応は必ずしも遊離アミノ基を介して進行する必要はないが、中間加水分解過程を有する反応も同様に可能である。したがって、例えば、ヘミアミナール基の形態の加水分解性アルジミノ基は、イソシアナト基と反応することができる。熱硬化性組成物HH中に存在する、ブロックされたアミノ基に対して過剰量のイソシアネート基は、場合により存在する、イソシアナト基に対して反応性の基と反応するだけでなく、存在する水分とも直接反応する。これらの反応の結果、組成物は硬化して、固体材料を形成する。このプロセスは架橋とも称される。
【0190】
熱硬化性組成物HHの硬化は、60℃〜160℃、好ましくは80℃〜140℃、特に好ましくは90℃〜130℃の範囲の温度で起こる。これらの条件下で、硬化は非常に迅速に進行する。硬化の進行の程度は、ブロックされたポリマー性アミンPBAによる硬化がより高く、水分との直接反応による硬化はごくわずかであるため、組成物は、実質的に空隙を含むことなく硬化する。
【0191】
熱硬化性組成物の硬化に必要な熱は、任意のエネルギー源を用いて発生させることができる。好適な加熱手段は、特に熱対流式オーブン、熱風送風機、又は赤外線放射器である。少なくとも1つの基材が強磁性であり、且つ/あるいは、組成物が圧電性、強磁性、又は超常磁性材料を含む場合には、交流磁場及び/又は電場、特にマイクロ波又は誘導の適用によっても加熱が起こり得る。これにより、熱硬化性組成物の特に迅速な加熱が可能となる。
【0192】
熱硬化性組成物HH中のブロックされたアミンBAがブロックされたポリマー性アミンPBAの形態で存在するという事実により、硬化後には、高い伸び及び強度を有する概して弾性の材料を得ることができ、機械的性質は、とりわけ、ブロックされたポリマー性アミンPBA1又はPBA2の製造に使用されるポリウレタンポリマーPUPのタイプによって左右される。
【0193】
ブロックされたポリマー性アミンPBAとして、低臭又は無臭のブロックされたポリマー性アミンPBA2'のみが熱硬化性組成物HH中に存在し、更に他の揮発性成分が存在しない場合には、組成物の硬化中には、臭気はごくわずかしか発生しないか又は全く発生しない。低臭又は無臭の硬化は、必要条件ではないとしても、多くの用途で、特に屋内空間での多くの用途で大きな利点となる。
【0194】
とりわけ、硬化性組成物HHは熱硬化性接着剤として、特に工業用途用の、例えば、自動車、輸送車両及び船舶の組み立てのための熱硬化性弾性接着剤として、並びにSMC(シート成形コンパウンド)中の熱硬化性反応樹脂として適する。
【0195】
別の実施形態において、硬化性組成物は熱活性化可能な組成物である。
【0196】
好ましい一実施形態において、硬化性組成物は、
a")前述のオキサゾリジンBA1、式(I)のアルジミンBA2、オキサゾリジノ基を含むブロックされたポリマー性アミンPBA1、及び式(XII)のアルジミノ基を含むブロックされたポリマー性アミンPBA2からなる群から選択される少なくとも1種のブロックされたアミンBA、
b)室温で固体の少なくとも1種の表面不活性化ポリイソシアネートDI、並びに
d)任意選択で、少なくとも1種のポリオールP
を含み、水を含まないか、又は水分子の数のブロックされたアミノ基の数に対する比が0.1以下となるような量で水若しくは水を発生する物質を含む、熱活性化可能な組成物HAである。
【0197】
好ましくは、熱活性化可能な組成物HAは、ブロックされたアミンBAとしてオキサゾリジンBA1又は式(I)のアルジミンBA2のいずれかが存在する場合には、少なくとも1種のポリオールPを含む。
【0198】
このため、熱活性化可能な組成物HAは、好ましくは少なくとも1種のオキサゾリジンBA1若しくは少なくとも1種の式(I)のアルジミンBA2をそれぞれ少なくとも1種のポリオールPとの組合せとして含むか、又は
少なくとも1種のブロックされたポリマー性アミンPBA1若しくは少なくとも1種のブロックされたポリマー性アミンPBA2を含むかのいずれかである。
【0199】
このような熱活性化可能な組成物HAを用いると、高伸び及び高強度を有する、ほとんど弾性の材料が硬化時に形成される。
【0200】
熱活性化可能な組成物HA中のブロックされたアミンBAとしては、式(I)のアルジミンBA2及びブロックされたポリマー性アミンPBA2が好ましい。特に好ましいものは、低臭又は無臭のアルジミンBA2'及び低臭又は無臭のブロックされたポリマー性アミンPBA2'である。
【0201】
最も好ましくは、熱活性化可能な組成物HAは、少なくとも1種の低臭若しくは無臭アルジミンBA2'を少なくとも1種のポリオールPとの組合せとして含むか、又は少なくとも1種の低臭若しくは無臭ブロックされたポリマー性アミンPBA2'を含む。
【0202】
ポリオールPは、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、及びポリアクリレートポリオール、好ましくはジ-及びトリオールからなる群から選択することが望ましい。
【0203】
ポリオールPとして特に好ましいのは、ポリエーテルポリオール、特にポリオキシプロピレン及びポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンポリオール、並びに液体ポリエステルポリオール、及びポリエーテル-ポリエステルポリオールである。
【0204】
更に、ポリオールPとして特に好ましいのは、融点が40℃〜80℃、特に50℃〜70℃の範囲の非晶質、部分結晶質及び結晶質のポリエステル及びポリカーボネートジオール、特にアジピン酸/ヘキサンジオールポリエステル、アゼライン酸/ヘキサンジオールポリエステル、ドデカンジカルボン酸/ヘキサンジオールポリエステル、及びヘキサンジオールをベースとするポリカーボネートジオールである。
【0205】
熱活性化可能な組成物HAがブロックされたアミンPBAを含まない場合には、ポリオールPは、イソシアネート基のヒドロキシル基に対する比が1.3〜2.5の間、好ましくは1.4〜2.2の間、特に好ましくは1.5〜2.1の間となるような量で存在することが望ましい。
【0206】
ポリイソシアネートDIの活性化後、ポリオールPはイソシアネート基と反応して、イソシアネート基を有するポリウレタンポリマーを形成する。組成物が、イソシアナト基に対して反応性のその他の基、特にブロックされたアミンBAを含む場合には、前記基もイソシアネート基と反応する。この反応の完了後に残っている全てのイソシアネート基及び全てのブロックされたアミノ基は、組成物が水と接触しない限りは保存安定である。
【0207】
活性化前は、熱活性化可能な組成物は室温で極めて保存安定である、即ち、例えばバレル、バケツ、バッグ、カートリッジ、又はボトルなどの好適な包装又は装置中で、非常に長期間にわたって、例えば、数年間、その適用性を変えることも、その使用に関連する程度まで硬化後に特性を変えることもなく、保存することができる。通常、貯蔵寿命は、粘度又は押出力の測定によって測定できる。この組成物は、一方では、遊離イソシアネート基と組合せても安定性なブロックされたアミノ基のみを含み、他方では、遊離イソシアネートの代わりに表面不活性化ポリイソシアネートDIを含むので、特に保存安定である。この組合せは、室温での保存中の望ましくない連鎖延長反応を極めて高度に排除する。
【0208】
熱活性化可能な組成物の活性化は、60℃〜160℃、好ましくは80℃〜140℃、特に好ましくは90℃〜130℃の温度範囲で起こる。前述したように、このプロセスで、表面不活性化ポリイソシアネートDIの保護層が損傷され、その結果、そのイソシアネート基が活性化され、ひいては組成物中に存在する加水分解された又は加水分解性のブロックされたアミノ基に接近可能となる。表面不活性化ポリイソシアネートDIの保護層の損傷は不可逆的であるので、イソシアネート基の活性化は、組成物を場合により冷却した後であっても、引き続き維持される。表面不活性化ポリイソシアネートDIの活性化後、熱活性化可能な組成物は、水分と接触するとすぐに硬化し始める。
【0209】
好ましい一実施形態において、熱活性化可能な組成物HAは、適用前に防湿シール容器、例えば、密封カートリッジ内で活性化が進行する。前述したようにこのオキサゾリジノ及びアルジミノ基は、水分が排除されている限りは遊離イソシアネート基の存在下で保存安定であるので、活性化された組成物HAはシール容器中で依然として保存安定である。このようにして活性化された組成物HAは、先行技術においてよく知られている一成分型水分硬化性組成物と全く同様に使用できる。
【0210】
別の実施形態において、この組成物の活性化は、組成物の適用時に実施する。このために、組成物の適用時に、例えば、容器(例えば、特にバレル若しくはホボック(hobbock)など)を加熱することもできるし、又は組成物を、例えば、加熱されたホースを通して排出することもできる。
【0211】
別の実施態様において、この組成物の活性化は、適用後に初めて実施する。特に、このような適用は、熱活性化可能な組成物HAがポリオールPを含まない場合及び組成物が、ブロックされたアミノ基の加水分解に充分な量の水分を環境から吸収できるであろう場合に、有用である。
【0212】
活性化後は、熱活性化可能な組成物HAは、水分との接触時に、室温であっても反応する。活性化によって、既に接近可能にされていた組成物中に含まれるイソシアネート基は、加水分解性オキサゾリジノ及びアルジミノ基と反応し、このプロセスにおいて、ケトン又は特にアルデヒドが放出される。イソシアネート基と、加水分解性のブロックされたアミノ基との反応は、必ずしも遊離アミノ基を介して進行する必要はないが、中間加水分解過程を有する反応も同様に可能である。したがって、例えば、ヘミアミナール基の形態の加水分解性アルジミノ基はイソシアナト基と反応することができる。熱硬化性組成物中に存在する、ブロックされたアミノ基に対して過剰量のイソシアネート基は、水分と直接反応する。これらの反応結果、組成物は硬化して、固体材料を形成する。このプロセスは架橋とも称される。
【0213】
熱活性化可能な組成物HAが、少なくとも1種のオキサゾリジンBA1又は少なくとも1種のアルジミンBA2と、少なくとも1種のポリオールPとの組合せを含む場合には、組成物は、空気中に含まれる水分との接触前に熱によって活性化することが好ましい。この方法で、表面不活性化ポリイソシアネートDIの活性化イソシアネート基は、最初にポリオールPのヒドロキシル基と反応して、イソシアネート基を有するポリウレタンポリマーを形成し、その後それが水分と接触すると、特にオキサゾリジンBA1又はアルジミンBA2の加水分解性のブロックされたアミノ基と反応し続ける。
【0214】
硬化に必要な水分は、空気(空気中の湿気)に由来することができる。あるいは、組成物を、例えば、ブラッシングによって、例えば、平滑剤を用いて、若しくは噴霧によって、水を含む成分と接触させることもできる。あるいは、適用の際に、組成物に水含有成分を、例えば水性ペーストの形態で添加すること、例えばスタティックミキサーを用いて混ぜ合わせることもできる。
【0215】
好ましくは、組成物は、空気中の水分を用いて硬化させる。
【0216】
一般に、熱活性化可能な組成物HAは、膨れを生じずに硬化する。硬化速度は、1種又は複数種の任意選択の触媒のタイプ及び量、硬化中の温度、並びに、空気中の水分及び/又は添加する水の量によって制御することができる。
【0217】
熱活性化可能な組成物HAは多数の利点を有する。
【0218】
室温において、熱活性化可能な組成物HAは、実質的に限りなく保存安定である。適用前に加えられる熱インパルスによる活性化後、熱活性化可能な組成物HAは、先行技術において知られている一成分型水分硬化性ポリウレタン組成物の適用性及び硬化特性、並びに最終強度を有する。特に、この熱インパルスは、水分を含まない条件下で、充填された組成物に適用することができる。このため、例えば、組成物を収容するシールカートリッジ、ホボック、又はバレルを、表面不活性化ポリイソシアネートDIの活性化に必要とされる温度まで加熱し、続いて冷却することができる。まだシールされている容器中に含まれている、予め加熱された組成物HAは、数日から数週間までの貯蔵寿命を有し、前述したとおり、先行技術においてよく知られている一成分型水分硬化性組成物と全く同様にして使用できる。
【0219】
ブロックされたアミンBAとして、低臭若しくは無臭のブロックされたポリマー性アミンPBA2'、又は低臭若しくは無臭のブロックされたポリマー性アルジミンBA2'のみを使用する場合には、熱活性化可能な組成物HAの硬化中には、臭気はごくわずかに発生するか又は全く発生しない。低臭又は無臭の硬化は、必要条件ではないとしても、多くの用途で、特に屋内空間での多くの用途で大きな利点となる。
【0220】
熱活性化可能な組成物HAは、熱活性化可能な接着剤、シーリング材若しくはコーティングとして、特に建築及び工業で使用するための弾性接着剤及びシーリング材として、好ましくは建築物用の伸縮目地の形態のシーリング材として、又は自動車、輸送車両及び船舶の組み立てのための接着剤として適切である。
【0221】
熱活性化可能な組成物HAは、非常に長期間の保存を予想しなければならない用途に特に好適である。例えば、これは、組成物を長距離にわたって輸送しなければならない場合、及び/又は小売りされる場合、更には、生成物が専ら少量で販売されるが、経済的理由からより大量に生産され且つ保存される場合が、これに該当する。このような用途では、充填された材料は、顧客への販売直前に加熱によって活性化されることができ、顧客は、事前保存(pre-storage)が比較的長期に及ぶにもかかわらず通常の貯蔵寿命を有する材料を入手する。
【0222】
更に、熱活性化可能な組成物HAは、一成分型水分硬化性組成物が、イソシアネート基と一緒では極めて限られた貯蔵寿命しか有さない成分を含まざるを得ない用途に好適である。例えば、このような成分は、特殊触媒、特殊難燃剤、又は組成物に望ましい性質を与える任意の他の物質であり得る。表面不活性化ポリイソシアネートDIを含む熱活性化可能な組成物HA中にこのような物質が存在することにより、この組成物は非常に長期間、保存安定となる。この組成物は、使用前に顧客によって活性化されることができ、用いられた物質のタイプにもよるが、その後も依然として、例えば数時間から数週間の限られた貯蔵寿命を有する。
【0223】
本発明の別の態様は、
i)熱硬化性組成物を基材S1に適用する工程、および
ii)適用した組成物を基材S2と接触させる工程;あるいは
i')熱硬化性組成物を基材S1及び基材S2に適用する工程、および
ii')適用した組成物を互いに接触させる工程
のいずれかと、その後、
iii)適用した組成物を好適な方法によって、60℃〜160℃、好ましくは80℃〜140℃、特に好ましくは90℃〜130℃の温度に加熱する工程と
を含み、前記基材S2が基材S1と同じ又は異なる材料から形成されている、基材S1を基材S2に接着するための第1の方法に関する。
【0224】
前記組成物は、工程iii)に従って加熱することによって硬化する。
【0225】
熱硬化性組成物の適用は、好ましくは室温又はわずかに高温、特に50℃未満の温度において行う。
【0226】
本発明の別の態様は、
α)熱活性化可能な組成物を好適な方法によって60℃〜160℃、好ましくは80℃〜140℃、特に好ましくは90℃〜130℃の温度に加熱する工程と、
その後の、
β)工程α)で加熱した組成物を基材S1に適用する工程、および
γ)適用した組成物をそのオープンタイム内に基材S2と接触させる工程;あるいは
β')工程α)で加熱した組成物を基材S1及び基材S2に適用する工程、および
γ')適用した組成物をそのオープンタイム内に互いに接触させる工程
のいずれかと
を含み、熱活性化可能な組成物の加熱と適用との間の経過時間が数分から数日又は数週間であることができ、前記基材S2が基材S1と同じ又は異なる材料から形成されている、基材S1を基材S2に接着するための別の方法に関する。
【0227】
本明細書で、予め加熱された組成物HAが、その組成物と水分との接触後に加工できる時間を「オープンタイム」と称する。
【0228】
本発明の別の態様は、シーリンフ方法に関する。前記方法は、
α)熱活性化可能な組成物を好適な方法によって60℃〜160℃、好ましくは80℃〜140℃、特に好ましくは90℃〜130℃の温度に加熱する工程と、
β")前記工程で加熱した組成物を基材S1と基材S2との間に、組成物が基材S1及び基材S2に接触するように適用する工程と
を含み、熱活性化可能な組成物の加熱と適用との間の経過時間が数分から数日又は数週間であることができ、前記基材S2が基材S1と同じ又は異なる材料から形成されている。
【0229】
通常、シーリング材はいわゆる目地に圧入する。
【0230】
本発明の別の態様は、基材S1のコーティング方法に関する。前記方法は、
α)熱活性化可能な組成物を好適な方法によって60℃〜160℃、好ましくは80℃〜140℃、特に好ましくは90℃〜130℃の温度に加熱する工程と、
β''')前記工程で加熱した組成物を、組成物のオープンタイム内に基材S1に適用する工程と
を含み、熱活性化可能な組成物の加熱と適用との間の経過時間が数分から数日又は数週間であることができる。
【0231】
予め加熱した組成物の適用は、室温で行うことができるが、これより高温又低温で行うことも可能である。
【0232】
これらの記載した方法において、好適な基材S1及び/又はS2は、特に、以下のものである:
- ガラス、ガラスセラミック、コンクリート、モルタル、れんが、アドービれんが、石膏及び天然石、例えば、花崗岩及び大理石、
- 金属又は合金、例えば、アルミニウム、鋼、鉄、非鉄金属、亜鉛メッキ金属、
- 革、織物、紙、木材、樹脂結合木質系材料、樹脂-織物複合材料及び他のいわゆるポリマー複合材料、
- プラスチック、例えば、ポリ塩化ビニル(硬質及び軟質PVC)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー(ABS)、SMC(シートモールディングコンパウンド)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリエステル、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリウレタン(PUR)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリオレフィン(PO)、ポリエチレン(PE)又はポリプロピレン(PP)、エチレン/プロピレンコポリマー(EPM)及びエチレン/プロピレン/ジエンターポリマー(EPDM)、ここで、プラスチックは好ましくは、プラズマ、コロナ、又は火炎(フレーム)で表面処理されていてよい、
- コーティングされた基材、例えば、粉末塗装された金属又は合金;並びに、塗料、ワニスで塗装された基材。
【0233】
基材は必要に応じて上記組成物を適用する前に前処理されていることができる。そのような前処理には、特に、物理的及び/又は化学的な清浄化方法、例えば、研磨、サンドブラスト、ブラシがけなど、あるいは洗浄剤又は溶媒での処理、あるいは接着促進剤、接着促進剤の溶液、もしくはプライマーの適用、が含まれる。
【0234】
接着結合、シーリング、又はコーティングのためのこれらの説明した方法によって、あるいは接着剤、シーリング材、充填用コンパウンド、コーティング剤、床被覆剤、塗料、ワニス、プライマー、又はフォーム(発泡体)としての上述した組成物の使用によって、物品を製造することができる。
【0235】
この物品は、特に構造物、特に地表面より上又は下の構造物、あるいは工業物品もしくは消費者物品、特に、窓、家庭用品、又は輸送手段、特に水用又は陸用車両、好ましくは自動車、バス、トラック、列車、もしくは船舶、あるいは輸送手段の取り付け部品、又は家具、布帛、もしくは包装工業の物品である。
【0236】
硬化性組成物を車両製造における弾性接着のための接着剤として使用する場合には、硬化性組成物はペースト状の稠度と構造粘性を有するのが好ましい。このような接着剤は、好適な装置を用いて、好ましくは実質的に円形又は三角形の断面(cross-sectional area)を有するビードの形態で基材に適用する。接着剤を適用するための好適な方法は、例えば、手動で若しくは圧縮空気によって操作可能な市販カートリッジから適用する方法、又は、供給ポンプ若しくは押出機を用い、場合によりロボットを用いることができる、バレル若しくはホボックから適用する方法である。良好な適用性を有する接着剤は、高い寸法安定度(stability under load)及び低い曳糸性を有する。これは、接着剤が適用後に適用された形態であり続けること、即ち、流れず且つ糸も非常に短い糸さえも曳かず、したがって基材の汚れを回避することを意味する。
【0237】
車両の製造における弾性接着は、例えば、輸送手段の塗装ボディーへの、プラスチック製のカバー、トリム、フランジ、バンパー、運転室若しくは他の付属品などのパーツの接着、又はボディーへの窓ガラスの接着である。車両としては、自動車、トラック、バス、鉄道車両及び船舶が挙げられる。
【実施例】
【0238】
「標準気候条件(standard climate)」は、温度23±1℃及び相対空気湿度50±5%と定義する。
【0239】
用いた出発物質:
【0240】
【表1】

【0241】
[1.測定方法の説明]
アミン含量、即ち、製造された化合物中のブロックされたアミノ基(アルジミノ基)及びフリーアミノ(free amino)基の総量を、滴定法(クリスタルバイオレットに対して、氷酢酸中0.1 N HClO4を使用)によって測定し、常にmmol N/gで示す。
【0242】
[2.ブロックアミンの製造]
アルジミンA-1
丸底フラスコに、窒素雰囲気下で2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロパナール280 gを入れた。激しく撹拌しながら、2-(2-アミノエトキシ)エタノール(DGA、Diglycolamine(登録商標)Agent、Huntsman社、アミン含量9.46 mmol N/g)100 gを滴下漏斗から添加した。次いで、揮発性化合物を減圧下で除去した(10 mbar、80℃)。収量:360 g(室温で低粘度、透明、かつ無臭の無色液体、アミン含量2.58 mmol N/g)。
【0243】
アルジミンA-2
蒸留した2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロパナール743gを窒素雰囲気下で丸底フラスコに入れた。激しく撹拌しながら、Jeffamine(登録商標)D-230 300 gを滴下漏斗からゆっくりと添加した。次いで、揮発性化合物を減圧下で除去した(10 mbar、80℃)。収量:995 g(透明な淡黄色の液体、アミン含量2.50 mmol N/g)。
【0244】
アルジミンA-3
蒸留した2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロパナール550 gを窒素雰囲気下で丸底フラスコに入れた。激しく撹拌しながら、1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン(イソホロンジアミン、IPDA、Vestamin(登録商標)IPD、Degussa社、アミン含量11.68 mmol N/g)156 gを滴下漏斗から添加した。次いで、揮発性化合物を減圧下で除去した(10 mbar、80℃)。収量:671 g(無色透明な液体、アミン含量2.73 mmol N/g)。
【0245】
ケチミンA-4
水分離器及び撹拌機を備えた丸底フラスコに、2-(2-アミノエトキシ)エタノール(Diglycolamine(登録商標)Agent、Huntsman社)105 g、4-メチル-2-ペンタノン120 g及びメチルシクロヘキサン100 mlを入れ、計算量の水が分離されるまで混合物を還流させた。次いで、反応混合物の揮発性化合物を減圧下でほとんど除去した(10 mbar、100℃)。収量:193 g(淡黄色の透明な液体、アミン含量5.17 mmol N/g)。
【0246】
オキサゾリジンA-5
水分離器及び撹拌機を備えた丸底フラスコに、ジエタノールアミン20.00 g、イソブチルアルデヒド15.10 g及びシクロヘキサン100 mlを入れ、計算量の水が分離されるまで混合物を還流させた。次いで、反応混合物の揮発性化合物を減圧下で除去した(10 mbar、70℃)。収量:30.8 g(無色透明な液体、アミン含量6.33 mmol N/g)。
【0247】
[3.ブロックされたポリマー性アミンの製造]
ポリマーAP-1
Acclaim(登録商標)4200 N 400 g及びDesmodur(登録商標)44 MC L 52 gを、公知の方法に従って80℃において反応させて、1.90 wt%のフリーイソシアネート基含量を有する、NCO末端ポリウレタンポリマーを得た。アルジミンA-1 80 gをこのポリウレタンポリマー中で撹拌し、FT IRスペクトルでNCOバンド(約2270cm-1)がもはや検出できなくなる(約12時間後)まで、60℃に保った。アルジミノ基を含む得られたポリマーは、20℃において約100 Pa・sの粘度を有していた。
【0248】
ポリマーAP-2
Acclaim(登録商標)4200 N 130 g、Caradol(登録商標)MD34-02 260 g、Desmodur(登録商標)44 MC L 60 g及びPalatinol(登録商標)Z 50 gを、公知の方法に従って80℃において反応させて、2.05 wt%のフリーイソシアネート基含量を有する、NCO末端ポリウレタンポリマーを得た。アルジミンA-1 95 gをこのポリウレタンポリマー中で撹拌し、FT IRスペクトルでNCOバンドがもはや検出できなくなる(約12時間後)まで、60℃に保った。アルジミノ基を含む得られたポリマーは、20℃において約100 Pa・sの粘度を有していた。
【0249】
ポリマーAP-3
Acclaim(登録商標)4200 N 100 g、Caradol(登録商標)MD34-02 200 g及びトリレンジイソシアネート(TDI、Desmodur(登録商標)T 80 P、Bayer社)30 gを、公知の方法に従って80℃において反応させて、2.04 wt%のフリーイソシアネート基含量を有する、NCO末端ポリウレタンポリマーを得た。アルジミンA-1 62 gをこのポリウレタンポリマー中で撹拌し、FT IRスペクトルでNCOバンドがもはや検出できなくなる(約24時間後)まで、60℃に保った。アルジミノ基を含む得られたポリマーは、20℃において約60 Pa・sの粘度を有していた。
【0250】
ポリマーAP-4
アルジミンA-1 80 gの代わりにケチミンA-4 40 gを用いる以外はポリマーAP-1と同様にしてポリマーAP-4を製造した。得られたケチミン末端ポリウレタンポリマーは、20℃において約350 Pa・sの粘度を有していた。
【0251】
ポリマーAP-5
アルジミンA-1 80 gの代わりにオキサゾリジンA-5 32.5 gを用いる以外はポリマーAP-1と同様にしてポリマーAP-5を製造した。得られたオキサゾリジン末端ポリウレタンポリマーは、20℃において約250 Pa・sの粘度を有していた。
【0252】
[4.表面不活性化ポリイソシアネートの製造]
イソシアネートペーストDI-1
分散器(dispersing tool)中で、細かくした2,4-トルイレンジイソシアネート二量体(Addolink(登録商標)TT、RheinChemie社、粒径約5〜50 μm、NCO含量24.0%)40 gを、Palatinol(登録商標)Z 55 g中に分散させた。これにJeffamine(登録商標)D-400 5 gを添加し、混合物を分散させることによって加工して、微細ペーストを得た。
【0253】
[5.熱硬化性接着剤の製造]
(例1〜8及び比較例9)
真空ミキサー中で、表1に質量百分率で示した成分を、湿気を排除して加工して、塊のない均一なペーストを得て、それを直ちに内面塗装アルミニウムカートリッジ中に充填し、カートリッジを気密シールした。
【0254】
チキソ性ペーストを以下のようにして調製した:
Palatinol(登録商標)Z 3000 g及びDesmodur(登録商標)44 MC L 480 gを真空ミキサーに添加し、わずかに加熱した。続いて、激しく撹拌しながら、モノブチルアミン270 gをゆっくりと滴下により添加した。得られたペーストを真空下で更に撹拌し、1時間冷却した。
【0255】
水性ペーストを以下のようにして調製した:
Acclaim(登録商標)4200 N 40 g及びDesmodur(登録商標)44 MC L 5.2 gを、公知の方法に従って80℃において反応させて、1.90wt%のフリーイソシアネート基含量を有する、NCO末端ポリウレタンポリマーを得た。冷却後、アルジミンA-2 10.76 g、サリチル酸溶液(アジピン酸ジオクチル中5wt%)0.2 g及びポリエチレングリコールジブチルエーテル(Polyglycol BB300、Clariant社、平均分子量300 g/mol)56.0 gを均一混合し、60℃に加熱した。水47.38 gを添加し、混合物を60℃で20分間撹拌した。乳白色の低粘度のエマルジョンが得られた。真空ミキサー中で、前記のエマルジョンを、工業用ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(Rhodacal(登録商標)DS-10、Rhodia社)1.9 g、ナトリウムタレート(sodium tallate)(Dresinate(登録商標)TX、Eastman社)1.9 g、トリエチルアミン0.9 g、ポリエチレングリコールジブチルエーテル(Polyglycol BB 300、Clariant社、平均分子量300)14.1 g、親水性の熱分解法ケイ酸(Aerosil(登録商標)200、Degussa社)9.4 g及び疎水性の熱分解法ケイ酸(Aerosil(登録商標)R972、Degussa社)9.4 gと混合して、含水量23.9 wt%のクリーム状ペーストを形成した。
【0256】
【表2】

【0257】
こうして得られた熱硬化性接着剤を、以下に記載するようにして試験した。
【0258】
「貯蔵寿命」を測定するために、接着剤を、シールしたカートリッジ内で、オーブン中で40℃において保存し、粘度が2倍になる時間を測定した。
【0259】
硬化特性を評価するために、接着剤を示差走査熱量計(DSC)によって調べ、測定した加熱曲線(温度範囲25〜180℃、加熱速度10℃/分)の発熱ピークの極大(「DSC極大」)を求めた。この目的のために、Mettler Toledo製のDSC 822eを使用した。
【0260】
硬化後の機械的性質を測定するために、PTFE被覆箔に塗布した接着剤を、加熱可能なプレス機中で厚さ約2 mmのフィルムにプレスし、このフィルムを10分間90℃に加熱した。こうして得られた硬化フィルムの機械的性質を、直接(「後硬化させずに」)又は標準気候条件下で更に24時間保存後に(「後硬化させて」)試験した。機械的性質の試験は、長さ75 mm、ランド長さ(land length)30mm及びランド幅(land width)4mmを有するいくつかのダンベル試験片を打ち抜き、その試験片をDIN EN 53504に準拠して引張速度200 mm/分で、「引張強さ」(破断荷重)、「破断点伸び」、及び「弾性率」(0〜50%歪みで記録した)について試験をすることによって行った。
【0261】
更に、硬化した接着剤の目視検査によって「膨れ」を測定するための、並びに硬化中及び硬化直後の「臭気」を測定するための定性試験も行った。
【0262】
結果を表2に示す。
【0263】
【表3】

【0264】
表2から、本発明による例1〜8の熱硬化性接着剤は、迅速且つ完全に、且つ1つの例外はあるものの、使用条件下で膨れを生じずに硬化することがわかる。これらは、硬化した状態では様々な機械特性を有する。用いたブロックアミンの種類によって、特にポリマーAP-1、AP-2及びAP-3では、高い強度及び伸びを達成できる。硬化中に、例4及び5の接着剤は、それぞれ4-メチル-2-ペンタノン及びイソブチルアルデヒドの強い臭いがした。硬化中に、例4の接着剤では膨れが形成された。膨れは、加熱時に蒸発する4-メチル-2-ペンタノンの放出によって引き起こされたと考えられる。比較例9の熱硬化性接着剤は、イソシアネート基に対する反応性の成分としてブロックされたアミノ基を含まないが、先行技術から知られているポリオキシプロピレントリアミンとポリオキシプロピレンポリオキシエチレントリオールの組合せを含む。比較例9の熱硬化性接着剤は、同様に迅速に且つ膨れを生じずに硬化するが、機械特性が劣る傾向がある。
【0265】
更に、例1の熱硬化性接着剤を、温度及び加熱時間に応じた強度の発現について試験した。この目的のために、接着剤をフィルムとして種々の温度で種々の時間(「硬化条件」)加熱した。そうして得られた硬化したフィルムを、後硬化させずに直ちに機械特性及び膨れについて前述のようにして試験した。
【0266】
結果を表3に示す。
【0267】
【表4】

【0268】
表3から、例1の熱硬化性接着剤が90及び100℃の温度で非常に迅速に硬化して、良好な機械特性を有する弾性材料を与えることがわかる。硬化は80℃でははるかに長い時間を要し、より高い温度では得られる機械特性の値が若干低く、140℃を超える温度ではわずかな膨れが観察される。
【0269】
更に、例6及び7の熱硬化性接着剤を、ガラス(板ガラス、空気側)及び陰極浸漬被覆鋼(cathode dip-coated steel)(陰極浸漬被覆鋼板)の基材への接着力について試験した。ガラスは、Sika(登録商標)Activator(Sika Schweiz AGから入手可能)で前処理し、この活性化剤を10分間乾燥させた。各接着剤を、直径約1 cmの三角形ビードとして基材に適用し、そのビードをLDPE細片で覆い、その細片上に圧力を加えることによってわずかにプレスした。接着剤を硬化させるために、次に、接着剤で被覆された基材を100℃の熱対流炉中に10分間入れた後、標準気候条件下で7日間貯蔵した。その後、「ビード試験」を用いて接着力を試験した。このためには、ビードの端部に、接着面の真上まで切り込みを入れる。切り込みを入れたビード端部を先端丸型ピンセットでつかんで基材面から引っぱる。これは、ピンセット先端部で慎重にビードを巻き上げ、且つビードの引張方向に対して垂直に、基材面に至るまで切れ目を入れることによって行う。ビード剥離速度は、必ず約3秒毎に(約2〜3 mmの切れ目間隔で)切れ目が入れられるように選択しなければならない。試験長さは少なくとも8 cmなければならない。
【0270】
接着特性は、ビードを引っぱった後に表面に残っている接着剤(凝集破壊)に基づいて評価し、即ち、接着面の凝集部分を評価することによって行う。この方法では、95%を超える凝集破壊を有する破壊パターンを「優れている」とランク付けする。
【0271】
結果を表4に示す。
【0272】
【表5】

【0273】
(例10〜16)
真空ミキサー中で、表5に質量百分率で示した成分を、湿気を排除したもとで、塊のない均一なペーストが得られるまで加工し、それを直ちに内面塗装アルミニウムカートリッジ中に充填し、カートリッジを気密シールした。例1に記載したようにして、チキソ性ペーストを調製した。
【0274】
【表6】

【0275】
こうして得られた接着剤を、例1に記載したようにして試験した。但し、接着フィルムは、それをプレス中で120℃において5分間加熱することによって硬化させ、機械特性は、後硬化なしで測定した。結果を表6に示す。
【0276】
【表7】

【0277】
例10〜16の熱硬化性接着剤は水を添加しなくても硬化することが、表6からわかる。加熱時に、ポリマーAP-4のエナミン型のケチミノ基は加水分解されずに、活性化されたポリイソシアネートDIと反応すると考えられる。このタイプの硬化の示唆は、例えば、例12の接着剤は、表面を不活性化されたポリイソシアネートDIのイソシアネート基に対して例10の半分しかケチミノ基を含まないが、例10の接着剤よりも高強度を有するという事実による。エナミン型のケチミノ基は2個の活性化されたイソシアネート基と反応し、それによって架橋を増大させたと思われる。接着剤の硬化中に気泡が形成されなかったという事実は、4-メチル-2-ペンタノンがほとんど開裂されなかったらしいことを示しており、これはまた、エナミン型のケチミンの反応を裏付けている。更に、表6からは、これらの接着剤が、酸及び第三級アミンのいずれを触媒として用いても硬化し、酸を触媒とする場合には、より高強度の硬化接着剤が得られることがわかる。
【0278】
[6.熱活性化可能な水分硬化性接着剤の製造]
(例17〜22及び比較例23)
表7に質量百分率で示した成分を真空ミキサー中で湿気を排除したもとで加工し、塊のない均一なペーストを得て(混合中の最大温度 = 50℃)、それを直ちに内面塗装アルミニウムカートリッジ中に充填し、カートリッジを気密シールした。チキソ性ペーストは、例1に記載したようにして調製した。
【0279】
【表8】

【0280】
こうして得られた熱活性化可能な湿気硬化性接着剤を、以下のようにして試験した。
【0281】
活性化温度を特性評価するために、例1に記載したようにしてDSC極大を求めた。
【0282】
硬化後の機械特性を測定するために、接着剤を最初に、カートリッジオーブン中で110℃において30分間加熱することによって活性化させた。次いで、接着剤を室温まで冷まし、コーキングガンを用いてPTFE被覆箔に適用し、厚さ約2 mmのフィルムにプレスした。フィルムを標準気候条件下で5日間硬化させた後、例1に記載したようにして、その引張強さ、破断点伸び、及び弾性率を測定した。
【0283】
貯蔵寿命、膨れ、及び臭気を、例1に記載したようにして測定した。
【0284】
結果を表8に示す。
【0285】
【表9】

【0286】
本発明による例17〜22の接着剤は、熱活性化とそれに続く、標準気候条件下での冷却後に、硬化して弾性フィルムを形成することが表8からわかる。しかし、ブロックされたアミンを含まない比較例23は、硬化時に、多くの膨れを含むフィルムを形成した。
【0287】
別の一連の試験において、例17の接着剤を、接着剤の適用直後に熱活性化を実施するようにして硬化させた。この一連の試験では、熱の作用の継続時間を変え、活性化時間による強度の発現を調べた。いずれの場合にも、接着剤をPTFE被覆箔に適用し、加熱可能なプレス中で厚さ約2 mmのフィルムにプレスし、このフィルムをさまざまな時間、100℃に加熱した。続いて、こうして得られたフィルムを標準気候条件下に5日間保ってから、例1に記載したようにして機械特性を試験した。結果を表9に示す。
【0288】
【表10】

【0289】
表9から、例17の熱活性化可能な接着剤は、熱活性化なしには硬化しないことがわかる。しかし、表面不活性化ポリイソシアネートを活性化するためは100℃で1分間の活性化で既に十分であって、完全硬化後の機械特性は例17によって達成可能な値にほぼ等しい。完全硬化後に測定された機械的数値は、表面不活性化ポリイソシアネートが100℃でわずか5分の活性化後に、明らかに十分に活性化されていることを示している。
【0290】
最後に、例17の接着剤を、活性化させない以外は上述のようにして適用した。この接着剤を標準気候条件下で2日間貯蔵後、スパチュラを用いて、適用後に接着剤の稠度が明確に変化したかどうかを試験した(新しい材料と直接比較した)。全く変化は認められなかった。
【0291】
その後、接着フィルムを熱対流炉中で100℃において10分間加熱し、いかなる後硬化もさせずに室温まで冷まし、上述のようにして機械特性について試験した。以下の数値が得られた:
膨れ: なし 破断点伸び: 540%
引張強さ: 6.0 MPa 弾性率: 4.0 MPa
【0292】
例17の熱活性化可能な湿気硬化性接着剤が短時間の加熱後に完全に硬化するという事実は、それが熱硬化性接着剤のように挙動することを示している。明らかに、標準気候条件下で2日間の貯蔵中に空気から拡散によって接着剤によって吸収される水分の量は、熱活性化後の接着剤を大幅に又は完全に架橋させるのに既に十分なものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)加水分解によって活性化可能な少なくとも1個のブロックされたアミノ基;および
加水分解によって活性化可能な少なくとも1個の追加のブロックされたアミノ基、又は、ヒドロキシル基、メルカプト基、及び第二級アミノ基からなる群から選択される少なくとも1個の反応性基Rのいずれか
を有するアミンBAと、
b)室温において固体である少なくとも1種の表面不活性化ポリイソシアネートDIと、
c)場合により含まれていてもよい、水又は水生成物質と
を含む硬化性組成物。
【請求項2】
前記表面不活性化ポリイソシアネートDIの平均粒径が、0.01〜100μm、好ましくは0.1〜50μm、特に好ましくは0.3〜30μmの範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項3】
前記表面不活性化ポリイソシアネートDIのベースとなる、室温で固体のポリイソシアネートが、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート(NDI)、3,3'-ジメチル-4,4'-ジイソシアナトジフェニル(TODI)、1,4-フェニレンジイソシアネート、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサンのイソシアヌレート、4,4′-ジフェニルメタンジイソシアネートのウレトジオン、2,4-トルイレンジイソシアネートのウレトジオン、及び2,4-トルイレンジイソシアネートのウレアからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
前記ブロックされたアミンBA及び前記表面不活性化ポリイソシアネートDIが、前記硬化性組成物中に、ブロックされたアミノ基のイソシアネート基に対する比が0.1〜1.1、好ましくは0.2〜1.1、特に好ましくは0.3〜1.0となるような量で存在することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項5】
前記ブロックされたアミンBAが、下記式(I)のアルジミンBA2であり、
【化1】

式中、
nは、1、2、3、又は4を表し、
mは、0又は1を表し、
但し、m+nは、2、3、又は4を表すことを条件とし;
Aは、少なくとも1個のヘテロ原子、特にエーテル酸素又は第三級アミン窒素の形態のヘテロ原子を場合により含んでいてよい、炭素数2〜30の(m+n)価の炭化水素部分を表すか、あるいは、R7と一緒になって、少なくとも1個のヘテロ原子、特にエーテル酸素又は第三級アミン窒素の形態のヘテロ原子を場合により含んでいてよい、炭素数3〜30の(n+2)価炭化水素部分を表すかのいずれかであり;
Xは、O、S、N-R6、又はN-R7を表し、
式中、R6は、カルボン酸エステル、ニトリル、ニトロ、ホスホン酸エステル、スルホン、又はスルホン酸エステル基を場合により少なくとも1個含んでいてよい、炭素数1〜20の一価の炭化水素部分を表すか、あるいは、式(II):
【化2】

(式中、Eは、エーテル酸素又は第三級アミン窒素を場合により含んでいてよい、炭素数2〜12の二価の炭化水素部分を表す)
の置換基を表すかのいずれかであり、
R7は、Aと一緒になって、少なくとも1個のヘテロ原子、特にエーテル酸素又は第三級アミン窒素の形態のヘテロ原子を場合により含んでいてよい、炭素数3〜30の(n+2)価の炭化水素部分を表し;かつ
Zは、反応性基R及び第一級アミノ基を含まず、式(III):
【化3】

(式中、Yは、少なくとも1個のヘテロ原子、特に酸素又は窒素を、エーテル、カルボニル、エステル、アミド、ウレア、ウレタン、又は第三級アミノ基の形態で場合により含んでいてよい、炭素数1〜32の一価の炭化水素部分を表し、
R1及びR2は、互いに独立に、それぞれ炭素数1〜12の一価の炭化水素部分を表すか、あるいは、一緒になって、炭素数5〜8、好ましくは6の、場合により置換されていてもよい炭素環の一部である、炭素数4〜12の二価の炭化水素部分を表すかのいずれかである)
のZ1部分を表すか、あるいは、Z2部分
[式中、Z2は、原子数5〜8、好ましくは6の環の大きさを有する置換又は非置換のアリール又はヘテロアリール環を表すか、あるいは
【化4】

(式中、R0は、水素原子、炭素数が少なくとも6の、アルコキシ部分又は置換もしくは非置換のアルケニル部分もしくはアリールアルケニル部分を表す)
を表す]
を表すかのいずれかである
ことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項6】
式(I)の前記アルジミンBA2が、式(IIIa')の残基Z1
【化5】

(式中、
R3は、水素原子、又は炭素数1〜12の、アルキル基、シクロアルキル基、もしくはアリールアルキル基を表し;かつ、
R5'は、場合により環状部分を有していてもよく、かつ、少なくとも1個のヘテロ原子、特にエーテル、カルボニル、又はエステル基の形態の酸素を場合により含んでいてもよい、炭素数6〜30、特に11〜30の直鎖又は分岐鎖のアルキル部分を表すか、あるいは
炭素数6〜30、特に11〜30の一価不飽和又は多価不飽和の直鎖又は分岐鎖の炭化水素部分を表すかのいずれかである)
を有することを特徴とする、請求項5に記載の硬化性組成物。
【請求項7】
前記ブロックされたアミンBAが、加水分解によって活性化可能な少なくとも2個のブロックされたアミノ基を有するポリマーである、ブロックされたポリマー性アミンPBAであることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項8】
前記ブロックされたアミンBAが、イソシアネート基、反応性基R、及び第一級アミノ基を含まず、かつ、式(XIIa):
【化6】

(式中、
R1及びR2は、互いに独立して、それぞれ、炭素数1〜12の一価の炭化水素部分を表すか、あるいは、一緒になって、炭素数5〜8、好ましくは6の、場合により置換されていてもよい炭素環の一部である、炭素数4〜12の二価の炭化水素部分を表すかのいずれかであり;
R3は、水素原子、又は炭素数1〜12の、アルキル基、シクロアルキル基、もしくはアリールアルキル基を表し;かつ、
R5'は、場合により環状部分を有していてもよく、かつ、場合により少なくとも1個のヘテロ原子、特にエーテル、カルボニル、又はエステル基の形態の酸素を含んでいてもよい、炭素数6〜30、特に11〜30の直鎖又は分岐鎖のアルキル部分を表すか、あるいは
炭素数6〜30、特に11〜30の一価不飽和又は多価不飽和の直鎖又は分岐鎖の炭化水素部分を表すかのいずれかである)
のアルジミノ基を有する、ブロックされたポリマー性アミンPBA2'であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項9】
水又は水生成物質を、水分子の数の、ブロックされたアミノ基の数に対する比が0.25より大、好ましくは少なくとも0.5となるような量で含むことを特徴とし、かつ、前記組成物が熱硬化性であることを更に特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項10】
前記組成物に含まれる前記ブロックされたアミノ基が、エナミノ基の形態、及び/又は、エナミンを形成することができるケチミノ若しくはアルジミノ基の形態で存在し、前記組成物が、水を含まないか、あるいは、水を、水分子の数の、ブロックされたアミノ基の数に対する比が0.25以下となるような量で含むことを特徴とし、かつ、前記組成物が熱硬化性であることを更に特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項11】
前記組成物中に含まれる前記ブロックされたアミノ基が、オキサゾリジノ基又はエナミンを形成することができないアルジミノ基の形態で存在し、前記組成物が、水を含まないか、あるいは、水を、水分子の数の、ブロックされたアミノ基の数に対する比が0.1以下となるような量で含むことを特徴とし、かつ、前記組成物が場合によりポリオールPを含有していてもよく、前記組成物が熱活性化可能であることを更に特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項12】
i)請求項9又は10のいずれか一項に記載の硬化性組成物を基材S1に適用する工程、および
ii)適用した組成物を基材S2と接触させる工程;あるいは
i')請求項9又は10のいずれか一項に記載の硬化性組成物を基材S1及び基材S2の両方に適用する工程、および
ii')適用した組成物を互いに接触させる工程;
ならびに、その後の、
iii)適用した組成物を、適切な方法によって、60℃〜160℃、好ましくは80℃〜140℃、特に好ましくは90℃〜130℃の温度に加熱する工程
を含み、前記基材S2が、基材S1と同じ又は異なる材料から形成されている、基材S1と基材S2との接着方法。
【請求項13】
α)請求項11に記載の硬化性組成物を、適切な方法によって、60℃〜160℃、好ましくは80℃〜140℃、特に好ましくは90℃〜130℃の温度に加熱する工程と、
その後の、
β)工程α)で加熱した組成物を基材S1に適用する工程、および
γ)適用した組成物を、そのオープンタイム内に基材S2と接触させる工程;あるいは
β')工程α)で加熱した組成物を基材S1及び基材S2に適用する工程、および
γ')適用した組成物を、そのオープンタイム内に互いに接触させる工程
のいずれかと
を含み、
組成物の加熱と適用との間の経過時間が数分から数日又は数週間であることができ、前記基材S2が、基材S1と同じ又は異なる材料から形成されている、基材S1と基材S2との接着方法。
【請求項14】
熱硬化性接着剤としての、特に、工業用途用弾性熱硬化性接着剤、例えば、自動車、輸送車両、及び船舶の組み立て用弾性熱硬化性接着剤としての、並びにSMC(シート成形コンパウンド)中の熱硬化性反応樹脂としての、請求項9又は10のいずれか一項に記載の硬化性組成物の使用。
【請求項15】
熱活性化可能な接着剤、シーリング材、又はコーティングとしての、特に、建築及び工業で使用するための熱活性化可能な弾性接着剤及びシーリング材としての、好ましくは、建築物用の伸縮目地の形態のシーリング材としての、あるいは、自動車、輸送車両、及び船舶の組み立てのための接着剤としての、請求項11に記載の硬化性組成物の使用。

【公表番号】特表2012−522094(P2012−522094A)
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−502655(P2012−502655)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【国際出願番号】PCT/EP2010/054263
【国際公開番号】WO2010/112536
【国際公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(504274505)シーカ・テクノロジー・アーゲー (227)
【Fターム(参考)】