説明

表面保護コーティング及びその使用方法

熱成形可能なハードコートを提供するのに好適なコーティング組成物が開示される。組成物は、シラン含有オリゴマー(A)、一般式、RSiX(4−d)〔式中、Rの各々は独立してC1−C8アルキル、C2−C8アルケニルもしくはC6−C20アリールであり、Xの各々はハロゲン原子、C1−C6アルコキシ、C1−C6アシロキシ、C1−C6アルケノキシもしくはヒドロキシドであり、dは0、1もしくは2である〕を持つシラン(B)、金属酸化物(C)ならびに縮合触媒(D)を含有し、ここで成分(A)、(B)および(C)は成分(D)の存在下において加水分解縮合されて約0.3から約2.5のT対T比を達成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可撓性で傷耐性な保護コーティング組成物およびそれを用いるコートされた物品に関する。より詳細には、それは熱成形の使用を要求する用途に好適な熱成形ハードコート組成物に関する。本発明はまた、熱成形ハードコート組成物の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
透明熱可塑性樹脂は多くの用途においてガラスに取ってかわってきた。透明熱可塑性樹脂より作られる例示的な製品は、建築用ガラス、列車、バスおよび飛行機のような公共交通機関のためのガラス、眼鏡用レンズ、ならびに他の光学機器などを含む。熱可塑性樹脂はガラスよりもより軽く、より飛散を防止する一方で、それらの耐摩耗性は比較的低い。典型的に、粉塵の存在、研磨剤や洗浄装置との接触、風食などの通常の使用においてさえ、これらの透明熱可塑性樹脂は傷や引っかき傷ができる。この表面高度および傷耐性の欠損が、透明熱可塑性樹脂材料の使用を厳しく制限する。
【0003】
透明熱可塑性樹脂をコーティングしてこれらの材料の傷耐性を向上させる手段に関する大きな技術の群が存在する。例えば、コロイド状シリカもしくはシリカゲル、ならびに加水分解媒体中の加水分解性シランのようなシリカの混合物より形成されるコーティングが、傷耐性を与えるために開発されてきた。米国特許第3,708,225号、米国特許第3,986,997号、米国特許第3,976,497号、米国特許第4,368,235号、米国特許第4,324,712号、米国特許第4,624,870号および米国特許第4,863,520号がそのような組成物を記載し、そして、それらのすべての内容は参照によりここに組み入れる。
【0004】
これらのコーティング組成物は傷耐性を与えるのに有用であるかも知れないが、それらは典型的には硬化すると剛体になる。従って、それらの組成物によってコートされたプラスチックシートを曲げたり再成形することはしばしば細かい亀裂を引き起こす。このため、最近の市販のハードコーティングは、典型的には平坦な熱可塑性樹脂もしくは予め成型された物品上で用いられる。しかしながら、産業界において予めハードコートされた熱可塑性シートを熱成形することによって傷耐性の物品を製造すること、すなわちすなわち、プラスチックシートに対して最初にハードコートを塗布し、そしてシートをその軟化温度まで加熱し、そして結果的にその加熱した材料を機械的または空気圧によって金型の輪郭に対して押し込めるということの強い必要性が存在する。従来のコーティングプロセスが、全表面を完全にカバーするようにラッカーを均等に塗布することにおいて困難さを持つような複雑な成形物をコートすることを含むような用途もここに当てはまる。
【0005】
ハードコートの可撓性を向上させるためにコーティング産業において多くの試みがなされてきた。例えば、米国特許第4,159,206号は、ジアルキルシロキサン単位を組み込み、コーティング組成物の架橋密度を低くする二官能性シランの共縮合を介することによる可撓性を向上させる方法を開示する。しかしながら、二官能性シランの配置はランダムであり、容易には制御できない。さらに、この参照物は、熱成形によって生じる応力を緩和するためのメカニズムについて一切開示しない。従って、応力は耐候性能を減ずると知られているので、当該特許に開示されるコーティングの耐候性能は望まれるものよりも低い。
【0006】
米国特許第4,914,143号は、約5から約10ナノメートルより大きくない粒径を持つコロイド状シリカを用いることによってコーティングの可撓性を向上させることを開示する。そのようなコーティング組成物は比較的穏やかな熱成形の用途において限定された可撓性を提供できるが、例えば部品をより小さい曲率半径へと折り曲げる事を必要とするような用途のような、より厳しい用途に対しては、それらはいまだ好適ではない。さらに、小粒径のコロイド状シリカの使用はまた、望まれるものより劣った摩耗および傷に対する抵抗性を生じさせる。
【0007】
米国特許第4,368,235号は、水性コロイド状シリカ分散液中でアルキルトリアルコキシシランもしくはアリールトリアルコキシシランを加水分解し、加水分解産物に対し直鎖官能性末端オリゴマー性シロキサンを添加することによって調製されるコーティング組成物を開示する。しかしながら、コーティングの可撓性の向上は中程度であり、’235号特許に開示されるコーティング組成物は厳しい熱成形の用途におって好適ではないであろう。
【0008】
米国特許第7,482,062号は、(A)有機ケイ素化合物、(B)アルコキシシラン、および/もしくは(C)フッ素含有有機ケイ素化合物の共加水分解共縮合によって得られるシリコーン樹脂を含有するシリコーンコーティング組成物を開示する。’062号特許は、熱成形技術を含む用途において使用するために好適な開示されるコーティング組成物そ作製するために必要なパラメータを一切開示しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このように、厳しい熱成形の用途に好適な改善されたコーティング組成物への必要性が存在すると理解される。本発明はこの必要性に対する解決を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一態様において、本発明は
(A)
(i)一般式(1):
【化1】


〔式中、Rの各々は独立してC1−C8アルキルもしくはC6−C20アリールであり;Rの各々は独立してC2−C8アルキレンであり;Xの各々は独立してハロゲン原子、C1−C6アルコキシ、C1−C6アシロキシ、C1−C6アルケノキシ、もしくはヒドロキシドであり;Yの各々は独立して酸素もしくはRであり;aは0と30の間の整数であり;bは2もしくは3であり;そしてcは0と6の間の整数である〕、
を持つ一化合物ならびに/またはそれらの部分加水分解縮合物、
(ii)CR=CRC(O)ORとCR=CRC(O)ORSiX(3−d)とのコポリマー
〔式中、Rの各々は独立してC1−C8アルキルもしくはC6−C20アリールであり;Rの各々は独立してC2−C8アルキレンであり;Xの各々は独立してハロゲン原子、C1−C6アルコキシ、C1−C6アシロキシ、C1−C6アルケノキシ、もしくはヒドロキシドであり;dは1、2もしくは3である〕、
ならびにそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも一つのシラン含有オリゴマー;
(B)一般式(2):
SiX(4−e) (2)
〔式中、Rの各々は独立してC1−C8アルキル、C2−C8アルケニルもしくはC6−C20アリールであり、Xの各々はハロゲン原子、C1−C6アルコキシ、C1−C6アシロキシ、C1−C6アルケノキシもしくはヒドロキシドであり、eは0、1もしくは2である〕を持つ少なくとも一つのシラン、ならびに/またはそれらの部分加水分解縮合物、
(C)金属酸化物;ならびに
(D)縮合触媒
を含有し、ここで成分(A)、(B)および(C)は成分(D)の存在下において加水分解縮合されて約0.3から約2.5のT対T比を達成する、熱成形ハードコートをもたらすのに好適なコーティング組成物に関する。
【0011】
他の態様において、本発明は、上に定義される成分(A)〜(D)、ならびに成分(A)〜(C)の少なくとも一つと共縮合できるUV吸収剤を含有し、ここで成分(A)、(B)、(C)、および(E)が成分(D)の存在下において加水分解縮合して約0.3から約2.5のT対T比を達成する、熱成形ハードコートをもたらすのに好適なコーティング組成物に関する。
【0012】
さらに他の態様において、本発明は、本発明のハードコート組成物でコートされる少なくとも一つの表面を持つ物品に関する。コーティング組成物は硬化されて、剛性、傷耐性、亀裂耐性および耐候性を持つ可撓性の硬化コーティングをもたらすことができる。有利にも、硬化したコーティングは150℃未満のTgを持ち、ASTM D1044に従う500サイクルのテーバー磨耗試験の後で20%未満のデルタヘイズ(delta haze)を示す。さらに、コーティングは5%より大きい歪みを持ち、コートされた物品が例えば0.34%より大きな圧縮または引張歪みの振動もしくは繰り返し歪み負荷を実行したのちにも、亀裂も剥離も示さない。
【0013】
本発明の物品は、ガラスの用途もしくは窓ガラスの用途においての使用に好適であり、コーティングは熱調節の目的で使用できる。物品はまた、太陽電池をカバーするのにも使用できる。ガラスの用途において用いられるとき、物品は自動車用ガラス用途のためのANSI Z26.1試験に適合し、AS2の要件と等しいかもしくはそれより低い。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施態様において、
(A)
(i)一般式(1):
【化2】


〔式中、Rの各々は独立してC1−C8アルキルもしくはC6−C20アリールであり;Rの各々は独立してC2−C8アルキレンであり;Xの各々は独立してハロゲン原子、C1−C6アルコキシ、C1−C6アシロキシ、C1−C6アルケノキシ、もしくはヒドロキシドであり;Yの各々は独立して酸素もしくはRであり;aは0と30の間の整数であり;bは2もしくは3であり;そしてcは0と6の間の整数である〕、
を持つ化合物ならびに/またはそれらの部分加水分解縮合物、
(ii)CR=CRC(O)ORとCR=CRC(O)ORSiX(3−d)とのコポリマー
〔式中、Rの各々は独立してC1−C8アルキルもしくはC6−C20アリールであり;Rの各々は独立してC2−C8アルキレンであり;Xの各々は独立してハロゲン原子、C1−C6アルコキシ、C1−C6アシロキシ、C1−C6アルケノキシ、もしくはヒドロキシドであり;dは1、2もしくは3である〕、
ならびにそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも一つのシラン含有オリゴマー;
(B)一般式(2):
SiX(4−e) (2)
〔式中、Rの各々は独立してC1−C8アルキル、C2−C8アルケニルもしくはC6−C20アリールであり、Xの各々は独立してハロゲン原子、C1−C6アルコキシ、C1−C6アシロキシ、C1−C6アルケノキシもしくはヒドロキシドであり、eは0、1もしくは2である〕を持つ少なくとも一つのシラン、ならびに/またはそれらの部分加水分解縮合物、
(C)金属酸化物;ならびに
(D)縮合触媒
を含有し、ここで成分(A)、(B)および(C)は成分(D)の存在下において加水分解縮合されて約0.3から約2.5のT対T比を達成する、熱成形ハードコートをもたらすのに好適なコーティング組成物が提供される。
【0015】
ここで使用されるとき、「アルキル」は直鎖、分岐および環状のアルキル基を含む。アルキルの非限定的な具体例は、メチル、エチル、プロピルおよびイソブチルを含むが、これらに限定されない。
【0016】
ここで使用されるとき、「アルケニル」は、一つもしくはそれ以上の炭素−炭素二重結合を含有する任意の直鎖の、分岐の、もしくは環状のアルケニル基を含む。アルケニルの非限定的な具体例は、ビニル、プロペニル、アリルおよびメタリルを含む。
【0017】
ここで「アリール」は、そこから一つの水素原子が取り除かれた任意の芳香族炭化水素の非限定的な基を意味する。アリールは、縮合しているかまたは単結合もしくは他の基と結合していてもよいような一つもしくはそれ以上の芳香族環を持っていてもよい。アリールの非限定的な具体例は、トリル、キシリル、フェニルおよびナフタレニルを含むがそれらには限定されない。
【0018】
ここで「アルキレン」は、飽和した分岐の、もしくは分岐していない脂肪族アルキレン、例示的にアルカンジイル官能基を意味する。アルキレン基の例は、1,2−エタンジイル、1,3−プロパンジイル、1,4−ブタンジイルおよび1−メチル−1,2−エタンジイルである。
【0019】
アルコキシ基はその通常の意味を持ち、そして、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、フェノキシおよびベンジルオキシを含むがそれらに限定されない。
【0020】
「アシロキシ」によって、CHCOO−のようなカルボン酸より誘導される一価のラジカル、R−COO−を意味する。好ましくはRはC1−C6炭化水素である。
【0021】
「アルケノキシ」によって、−O−CH=CH、−O−C(CH)=CH、−O−CH−CH=CHのような不飽和で分岐の、もしくは分岐していない脂肪族のアルコールラジカルを意味する。
【0022】
「加水分解縮合」によって、コーティング組成物の一つもしくはそれ以上の成分が最初に加水分解され、そのあとにそれ自体との縮合反応、または加水分解した他のコーティング組成物の成分と、および/もしくは加水分解していない他のコーティング組成物の成分を意味する。
【0023】
ここで「T/T」によって、RSi(OSi)(T)対RSi(OSi)OR’(T)〔式中、Rは飽和のもしくは非飽和の、脂肪族もしくは芳香族ラジカルであり、R’はH、飽和のもしくは不飽和の、脂肪族ラジカルもしくは芳香族ラジカルである〕の相対存在量を意味する。より大きなT/T値は、より大きな縮合度合いを示す。Rがアルキル基である時、TおよびTの化学シフトは、29Si NMRによってそれぞれ約−58と−67ppmであると測定され得る。Rがビニルもしくはアリール基であるとき、TおよびTの化学シフトは、それぞれ約−68と−77ppmである。
【0024】
コーティング組成物の成分(A)は、式(1)を持つシリコーン系オリゴマー、有機系オリゴマー、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるシラン含有オリゴマーであってよい。一実施態様において、成分(A)はシリコーン系オリゴマーである。シリコーン系オリゴマーはcがゼロであるとき直鎖であり得、cが0より大きい時分岐であり得る。好ましくは、シリコーン系オリゴマーは、硬化した組成物に対して必要な可撓性を提供するのに十分な鎖長を持つが、しかしながら、オリゴマーとコーティング組成物の他の成分との相溶性に悪影響を与えるほど長過ぎない。式(1)に関して、好ましくは、RはC1−C5アルキルでありXはC1−C4アルコキシであり、aは1から6である。
【0025】
単独で用いても成分(A)としての式(1)の化合物と組み合わせて用いてもよい有機系オリゴマーは、モノマー(A):CR=CRC(O)ORとモノマー(B):CR=CRC(O)ORSiX(3−d)とのコポリマーであり、式中、dは1、2もしくは3であり、そしてR、RおよびXは式(1)に関連して上述されたのと同じである。
【0026】
モノマー(A)は、好ましくはメチルメタクリラート、メチルアクリラート、エチルメタクリラート、エチルアクリラート、ブチルメタクリラートもしくはブチルアクリラートであり、より好ましくはメチルメタクリラートもしくはメチルアクリラートである。好ましいモノマー(B)は、ガンマ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランもしくはガンマ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシランである。モノマー(A)対モノマー(B)の比率は約1から約30であり、好ましくは約8から約18である。コポリマーは、好適な開始剤と、熱もしくはUV照射との存在下におけるラジカル重合化、または当業者に公知の他の方法によって調製できる。
【0027】
ハードコート組成物の成分(B)は、一般式RSiX(4−e)(2)〔式中、Rの各々は独立してC1−C8アルキル、C2−C8アルケニルもしくはC6−C20アリールであり、Xの各々は独立してハロゲン原子、C1−C6アルコキシ、C1−C6アシロキシ、C1−C6アルケノキシもしくはヒドロキシドであり、eは0、1もしくは2である〕を持つシランであってよい。好ましい実施態様において、RはC1−C5アルキルであり、XはC1−C6アルコキシ基である。成分(B)の非限定的な代表例は、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランを含む。
【0028】
コーティング組成物の成分(C)は、シリカ、アルミナ、チタン、セリア、酸化スズ、ジルコニア、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化鉄、酸化鉄および/もしくはジルコニアでドープしたチタン、希土類酸化物、ならびにそれらの混合物および錯体を含むがそれらには限定されない金属酸化物である。粉状のそのような金属酸化物のコロイド状分散液もまた使用できる。代替的に、粉状の金属酸化物は、シリコーンコーティング組成物中に分散されていてもよい。
【0029】
好ましい金属酸化物はコロイド状シリカである。本発明において使用できるコロイド状シリカの水性分散物は、2〜150nmの範囲の平均粒子径を、そして好ましくは5〜30nmの平均粒子径を持つ。そのような分産物は当分野で公知であり、そして市販されるものは、たとえば、LUDOX(登録商標)(DuPont)、SNOWTEX(登録商標)(Nissan Chemical)、ならびにBINDZIL(登録商標)(Akzo Nobel)およびNALCOAG(登録商標)を含む。そのような分産物は酸性もしくはアルカリ性ヒドロゾルの形状で入手可能である。
【0030】
酸性とアルカリ性のコロイド状シリカは両方とも本発明において使用できる。低アルカリ含量を持つコロイド状シリカは、より安定なコーティング組成物を提供し、そしてそれゆえに好ましい。特に好ましいコロイド状シリカは、Nalco Chemical Companyによって販売されるNALCOAG(登録商標)1034A、およびNissan Chemicalによって販売されるSNOWTEX(登録商標)O40、SNOWTEX(登録商標)OL−40を含む。
【0031】
コーティング組成物の成分(D)は、コーティング組成物の成分(A)、(B)および(C)の完全加水分解物もしくは部分加水分解物の縮合を促進する縮合触媒である。硬化触媒はとくに限定されない。好ましくは、成分(D)は、式(3):[(CN][OC(O)−R]〔式中、Rは水素、約1から8個の炭素原子を含有するアルキル基および約6から20個の炭素原子を含有する芳香族基からなる群より選択される〕のカルボン酸テトラブチルアンモニウム熱硬化触媒である。好ましい実施態様において、Rはメチル、エチル、プロピル、ブチルおよびイソブチルのような約1から4個の炭素原子を含有する基である。例示的な式(3)の触媒は、テトラ−n−ブチルアンモニウムアセタート(TBAA)、テトラ−n−ブチルアンモニウムホルマート、テトラ−n−ブチルアンモニウムベンゾアート、テトラ−n−ブチルアンモニウム−2−エチルヘキサノアート、テトラ−n−ブチルアンモニウム−p−エチルベンゾアート、およびテトラ−n−ブチルアンモニウムプロピオナートである。本発明のための有効性および適合性の観点から、好ましい縮合触媒は、テトラ−n−ブチルアンモニウムアセタートおよびテトラ−n−ブチルアンモニウムホルマートであり、テトラ−n−ブチルアンモニウムアセタートがもっとも好ましい。
【0032】
本発明の組成物は、平滑剤として界面活性剤を含むことができる。好適な界面活性剤の例は、St.Paul,Minnの3M社からのFLUORADのようなフッ素化界面活性剤、ならびにAlbany,NYのMomentive Performance Materials,Inc.から入手可能なSilwet(登録商標)およびCoatOSil(登録商標)の品名のもの、ならびにWallingford,CTのBYK Chemie USAより入手可能なBYKのようなシリコーンポリエーテルを含む。
【0033】
組成物はまた、ベンゾトリアゾールのようなUV吸収剤を含むことができる。好ましいUV吸収剤はシランと共縮合できるものである。そのようなUV吸収剤は、米国特許第4,863,520号、米国特許第4,374,674号、米国特許第4,680,232号および米国特許第5,391,795号に開示され、それらは参照によりそのすべての内容がここに組み入れられる。具体例は、4−[ガンマ−(トリメトキシシリル)プロポキシル]−2−ヒドロキシベンゾフェノンおよび4−[ガンマ−(トリエトキシシリル)プロポキシル]−2−ヒドロキシベンゾフェノンおよび4,6−ジベンゾイル−2−(3−トリエトキシシリルプロピル)レゾルシノールを含む。シランと共縮合できる好ましいUV吸収剤が用いられるとき、コーティング組成物を基体へと塗布する前に完全に混合することによってUV吸収剤が他の反応種と共縮合することが重要である。UV吸収剤を共縮合する事は、遊離のUV吸収剤が風食中の環境へと到達することによって生じるコーティング性能の消失を防ぐ。
【0034】
組成物はまた、抗酸化剤(例えば、Ciba Specialty ChemicalsからのIRGANOX(登録商標)1010)、染料(例えば、メチレングリーン、メチレンブルーなど)、充填剤ならびに他の添加剤を含むことができる。
【0035】
本発明のコーティング組成物は成分(A)〜(C)を混合し、その後に加水分解縮合が続くことによって調製でき、成分(A)および(B)の加水分解、ならびに成分(C)と加水分解した成分(A)および(B)との縮合を含む。混合物のさらなる縮合は成分(D)の存在下において可能となる。
【0036】
一実施態様において、成分(A)は最初に成分(B)、溶媒、そして任意選択の加水分解触媒と混合されて混合物を提供する。そして成分(C)は、混合物へと混合しながらゆっくりと添加される。混合は数時間続けられ、そして成分(D)および平滑剤のような任意選択の添加剤が添加され、混合物のさらなる縮合が可能になる。縮合の度合いが所望のレベルに到達した後、pHと混合物の固形物含量が調整されて本発明のコーティング組成物を提供できる。
【0037】
UV吸収剤は、加水分解縮合反応の間のどの時点においてもコーティング組成物へと混合できる。シランと共縮合できるUV吸収剤が使用されるとき、このUV吸収剤を成分(A)および(B)とプロセスの開始時に混合でき、そしてそれを他の反応成分と完全に共縮合させることができる。
【0038】
加水分解縮合反応において用いられる溶媒は、通常はメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノール、メトキシプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコールブチルエール、もしくはそれらの組み合わせのようなアルコールである。アセトン、メチルエチルケトン、エチレングリコールモノプロピルエーテルおよび2−ブトキシエタノールのような水混和性有機溶媒もまた使用できる。典型的にはこれらの溶媒は水と組み合わせて使用される。
【0039】
加水分解反応の温度は、一般的に約20℃から約50℃の範囲に保たれ、好ましくは40℃未満である。一般的な法則として加水分解のために認められるより長い反応時間は、より高い粘度となる。
【0040】
もし必要なら、加水分解触媒は加水分解プロセス中において存在してもよい。一実施態様において、加水分解触媒は酸である。好適な酸は、塩酸、酢酸、クロロ酢酸、クエン酸、フェニル酢酸、ギ酸、プロピオン酸、グリコール酸、マロン酸、トルエンスルホン酸およびシュウ酸を含む。触媒は希釈しないで、もしくは水性溶液の状態で使用できる。
【0041】
一実施態様において、シラノールのRSi(OH)と(HO)Si(R)O(Si(RO)OSi(R)(OH)は、対応するオルガノトリアルコキシシランおよびジアセトキシ末端化シリコーンオリゴマーとコロイド状シリカの水性分散液との混合の結果としてその場で形成される。メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、アセトキシなどはアルコキシおよびアシロキシ官能基は、ヒドロキシ官能基を生成し、そしてメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、酢酸などの対応するアルコールおよびカルボン酸を遊離する。
【0042】
これらのシラノールのヒドロキシル置換基を生成する際、縮合反応が始まってケイ素−酸素−ケイ素結合を生成する。縮合反応は網羅的ではない。産生されるシロキサンはケイ素結合ヒドロキシ基の数を維持し、このことはポリマーが水−アルコール溶媒混合物において可溶性である理由である。この可溶性の部分縮合物は、ケイ素結合ヒドロキシル基及びSiO繰り返し単位を持つシロキサンポリマーとして特徴づけられる。
【0043】
熱成形用途に好適なコーティング組成物の作製のために、オルガノシランのすべての加水分解性もしくはヒドロキシル基が加水分解縮合されないように反応を調整するすることは重要である。縮合は通常、触媒の存在下で実行される。縮合の度合いはT/Tによって特徴づけられる。好適なT/T比は、約0.3から約2.5であり、好ましくは約0.3から約2.0である。もし比率が低すぎると、コーティングは湿潤性でなくなり、そしてそれゆえにもやがかかったものとなるか、または厳しい熱成形の用途に十分なほど可撓性でなくなる。比率が高過ぎると、コーティングは傷や摩耗に対しての耐性が低くなる。T/T比は、29Si NMRによって観測できる。高いT/T比は、高いレベルの縮合を示す。
【0044】
/T比が所望の比率に到達した後、コーティング組成物の固形物含量は典型的にはアルコールを反応混合物へと添加することによって調整される。好適なアルコールは、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、メトキシプロパノールなど、もしくはそれらの組み合わせのような1から6個の炭素原子を持つ低級脂肪族を含む。溶媒系、すなわち水とアルコールの混合物は、好ましくは約20〜75重量%のアルコールを含有し、部分縮合物が可溶性であるようにする。
【0045】
任意選択で、ジアセトンアルコール、ブチルセロソルブなどのような追加の水混和性の極性溶媒を少量含ませる事ができ、通常は溶媒系の20重量%より多くはない。
【0046】
溶媒による調整の後、本発明のコーティング組成物は、全組成物の約10〜50重量%の固形物を含有し、より好ましくは全組成物の約20重量%の固形物を含有する。コーティング配合物の不揮発性固形分は、コロイド状シリカとシラノールの部分縮合物との混合物である。ここでの好ましいコーティング組成物において、部分縮合物は全固形分の約40〜75重量パーセントの量で存在し、コロイド状シリカはアルコール/水共溶媒中の固形分の全重量に基づいて約25〜60重量%の量で存在する。
【0047】
本発明のコーティング組成物は、好ましくは約4から7の範囲の、そしてもっとも好ましくは約5から6の範囲のpHを持つ。加水分解縮合反応のあと、組成物のpHをこれらの範囲に入るように調整する事は必要かも知れない。pH値を上昇させるためには、水酸化アンモニウムのような揮発性のアルカリが好ましい。pHを下げるためには、酢酸およびギ酸のような揮発性の酸が好ましい。
【0048】
代替的に、本発明のコーティング組成物は、Albany,NYのMomentive Performance Materials,Inc.からのAS4000、AS4700およびSHC502のようなシリコーン熱ハードコート組成物へと成分(A)のオリゴマーを後から添加することによって調製できる。この調製方法が選択されるとき、オリゴマーのシラン部分がシリコーンハードコート組成物の部分縮合混合物と共縮合するために時間をかけることが重要である。生じる混合物のpHはさらに調節できる。適切な量の溶媒もまた、固形物含量を調節するために必要かも知れない。
【0049】
本発明のハードコート組成物は、プラスチックもしくは金属表面のような基体上に、下塗りの使用があってもなくても好適にコートされ得る。そのようなプラスチックの例は、例えばポリ(メチルメタクリラート)などのようなアクリルポリマー、例えばポリ(エチレンテレフタラート)、ポリ(ブチレンテレフタラート)などのようなポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、アクリロニトリル−スチレンコポリマー、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエンターポリマー、塩化ポリビニル、ポリエチレンなどのような合成有機ポリマー材料を含む。
【0050】
特筆すべきは、SABIC Innovative Plasticsから入手可能なLEXAN(登録商標)ポリカーボナート樹脂として知られるようなポリカーボナートより製造されるものや、そのような材料より製造される透明なパネルである。本発明の組成物は、そのような物品の表面への保護コーティングとして特に有用である。
【0051】
一旦、本発明のコーティング組成物が基体上にコートされると、すべての溶媒の除去を例えば蒸発による乾燥によって可能にし、そして乾燥したコーティングを残す。
【0052】
コーティング組成物は、約160℃から約180℃の温度で硬化し、硬化したコーティングをもたらす。代替的にコーティング組成物は完全に硬化する前に前硬化できる。一実施態様において前硬化したコーティングと硬化したコーティングは約150℃未満のTを持つ。
【0053】
熱成形プロセスが必要とされるなら、コーティング組成物を前硬化することは有利である。前硬化ステップにおいては、風乾されたコーティングが、わずかな高温に比較的短い加熱時間の間供され、前硬化コーティングをもたらす。適切な前硬化がコーティングの耐磨耗性を維持しつつ熱成形における微小亀裂を防ぐということは驚くべきことであった。比較として、コーティングが1時間もしくはそれ以上の間、125度という典型的な硬化条件で完全に硬化されたとき、熱成形用途の際にコーティングに亀裂が生じる。
【0054】
好適な前硬化条件は、コートされた物品をさまざまな時間でさまざまな前硬化温度に供し、約100℃から約300℃の温度で5分から30分間、好ましくは約150〜180℃の温度で5分から30分間、部品を熱成形することによって決定される。最適な条件は、熱成形された部品が微小亀裂を全く持たず、同時により優れたテーバー耐摩耗性を示すものが選択される。一旦、コートされた基体がそのような条件で前硬化されると、基体は通常の操作に対する十分な機械的完全性と耐磨耗性をもたらすのに十分な硬さのコーティングを持つが、コートされたシートを切断したり、エンボス加工したり、またはコーティングに亀裂や裂け目を生じることなく所定の形に成形したりできるするのに十分なほどの可撓性をなおも持つ。
【0055】
好適な前硬化条件はコーティング組成物による。好ましい前硬化条件は、コートされた基体を約10から約60分間、50から100℃に加熱する。より好ましい前硬化条件はコートされた基体を約10から60分間、好ましくは15から60分間、60から90℃に加熱する。
【0056】
熱成形を適用するために、前硬化ステップののち、コートされた基体は常温へとさまされ、そののち、たとえばオーブンの使用などの当業者に公知の任意の方法によって例えば約160℃から約180℃の所定の温度へと加熱される。一度、所定の温度に達すると、ハードコートされた基体は成形されて硬化したコーティングを持つ物品を提供する。
【0057】
本発明は多くの用途に使用できる。硬化したコーティングが高い可撓性を持ち、高い度合いで伸びることが可能なため、組成物は、ポリカーボナート、ポリメチルメタクリラート、ポリエチレンテレフタラート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレンなどのような熱可塑性樹脂によって製造されるフィルム産物のハードコーティングに有用である。そのようなハードコートされたフィルムは、屋外用途の熱制御ウィンドウの処理や太陽集光器において使用されるソーラー反射フィルム、ならびに屋内用途の家庭用電化製品や家電製品を含むがそれらには限定されない用途を見出す。
【0058】
事実上、典型的に熱可塑性である典型的な熱可塑性基体および下塗は、高度に架橋されたハードコートよりもより高い熱膨張係数(CTE)を持つ。コートされた基体が温度変化に供されたとき、CTEの相違のために熱可塑性樹脂の基体もしくは下塗とハードコートとの間に歪みが生じる。CTEの不釣合いによって生じる歪みはしばしば微小亀裂を生じ、結果的にしばしば耐候性における致命的な障害を作り出す。本発明によるハードコートの向上した可撓性は、ハードコートとその下に存在する熱可塑性樹脂もしくは下塗との間のCTEのより良い釣り合いをもたらし、結果として、風食の間の微小亀裂を最小にする。
【0059】
向上した可撓性は、自動車の窓およびフロントガラス、車体、サンルーフ、オートバイの風防および車体、ボートならびに航空機などのような常に振動が発生するようなものの艶出しにおいてもまた、用途を見出し得る。
【0060】
以下の実施例は例示であって、ここに開示されクレームされるような発明を限定と解釈されるべきではない。他に明示的に言及されない限り、すべての部およびパーセンテージは重量に基づき、すべての温度は摂氏である。ここに引用されるすべての特許出願、特許および他の文献は、参照によりそのすべての内容を組み入れる。
【実施例】
【0061】
以下の実施例の部分もしくはすべてにおいて使用された試験の簡単な説明が与えられる。
【0062】
他に記載されない限り、コートされたシートは下の実施例で特定されるコーティング組成物を、可撓性の測定のためには約5.08センチメートル(約2インチ)の幅と、約25.4センチメートル(約10インチ)の長さを持つ0.127もしくは0.254ミリメートル(5もしくは10ミル)のポリカーボナートシートへと塗布することによって調製され、テーバー磨耗評価のためには約10.16センチメートル(約4インチ)の幅と、約15.24センチメートル(約6インチ)の長さを持つ3.175ミリメートル(1/8インチ)のポリカーボナートシートへと塗布することによって調製された。コーティングは続けて硬化された。
【0063】
コート厚測定
硬化されたコーティングの厚さは、BK−7サンプルによって調整されたFilmetrics F20薄膜分析器を用いて測定された。
【0064】
歪み(もしくは可撓性)
異なる曲げ応力へとコーティングを供するため、コートされたシートで1.6ミリメートルから11ミリメートルの範囲の半径(r)を持つさまざまな金属管の周りを覆った。その後、コーティングは微小亀裂について調べられた。亀裂が観察されないコーティングについて、応力は、コーティングの厚さ(h)および金属管の可能な最小のr値を用いて応力=100%h/rの公式に基づいて計算された。より大きな応力値はより良い可撓性を示す。
【0065】
テーバー摩耗測定
テーバー摩耗は、ASTM D−1044に従って、Taber Industriesからの5130Abraserを用いてCS−10Fホイールと500g荷重によって測定された。耐磨耗性は所定の摩耗サイクルの後のヘイズの変化によって測定された。ヘイズは、BYK Gardner Haze−Gard Plusによって測定された。小さいデルタヘイズは優れた耐磨耗性を示す。
【0066】
実施例1 シラン含有有機オリゴマーによって作製される可撓性ハードコート
120グラムのAS4000シリコーンハードコート(Momentive Performance Materials Inc.、メチルトリメトキシシラン、コロイド状シリカ、およびシリル化ヒドロキシベンゾフェノンと水及びアルコール共溶媒との部分縮合物)ならびに12グラムのSS4179(Momentive Performance Materials Inc.、酢酸中のメチルメタクリラートとメチルメタクリロキシプロピルトリメトキシシランとのコポリマー)がコンテナに充填された。少量の熱触媒(0.101グラム、水中40%酢酸テトラブチルアンモニウム溶液を含有するTBAA触媒溶液)と2.67グラムのシリル化UV吸収剤、4−[ガンマ−(トリエトキシシリル)プロポキシル]−2−ヒドロキシベンゾフェノン(SHBP)とが混合中に連続して添加された。その後、混合物のpHが0.5グラムの0.7Mの水酸化アンモニウム水溶液によって調整され、コーティング組成物がもたらされた。
【0067】
歪みおよびテーバー摩耗測定のために、コーティングは0.127ミリメートル(5ミル)のポリカーボナートフィルムおよび3.175ミリメートル(1/8インチ)のポリカーボナートシートへとコートされて1時間125℃で硬化された。AS4000単独のものはまた、比較のためにポリカーボナートフィルムへとコートされた。結果は表1に示される。
【0068】
表1に見られるように、SS4179の添加は歪みの上昇によって示されるようにコーティングの可撓性を向上させ、同時にテーバー耐磨耗性を維持する。
【0069】
実施例2および3 シラン含有オリゴマーより製造されるより可撓性のハードコート組成物
異なるタイプのシリコーンハードコート、AS4010(Momentive Performance Materials Inc.より入手可能なメチルトリメトキシシラン、コロイド状シリカ、およびシリル化ジベンゾレゾルシノールと水及びアルコール共溶媒との部分縮合物)とUV吸収剤、4,6−ジベンゾイル−2−(3−トリエトキシシリルプロピル)レゾルシノール(SDBR)が使用されたこと以外は実施例1と同じ手順が踏襲された。さらに、酢酸がpHを調製するのに使用された。成分の正確な量は表1に記載される。
【0070】
歪みおよびテーバー摩耗測定のために、コーティングは0.127ミリメートル(5ミル)のポリカーボナートフィルムおよび3.175ミリメートル(1/8インチ)のポリカーボナートシートへとコートされて1時間125℃で硬化された。AS4010単独のものはまた、比較のためにコートされた。結果は表1に示される。再び、テーバー摩耗に大きな変化がない一方で、SS4179含有のコーティングの可撓性が上昇した。
【0071】
【表1】



【0072】
本発明によるさらなるコーティング組成物およびその性能は表2に示される。実施例4〜12のすべてのコーティングは1時間88℃で硬化された。
【0073】
【表2】



【0074】
実施例13 オルガノシラン末端化シリコーンオリゴマーの調製
マグネチックスターラーを備えたビーカーに、56.5グラムのメチルトリアセトキシシランが充填された。これに対し、約610ダルトンの平均分子量を持つシラノール末端化ポリジメチルシロキサンが43.5グラム添加された。添加速度は、反応メディウムの温度が40℃未満に維持されるように調整された。添加が完了した後、それが熱成形ハードコートの調製に使われる前に、透明の反応溶液は室温までさまされた。
【0075】
実施例12〜24 熱成形ハードコート組成物の調製
さまざまな製造元からのさまざまな溶媒およびコロイド状シリカが、熱成形ハードコート組成物の調製に使用された。調製は一般的に下記の手順に従った。
【0076】
大気条件下においてコンテナに実施例13のオリゴマーが充填され、メチルトリメトキシシラン、およびメトキシプロパノール、n−ブタノールおよびイソプロパノールのような脂肪族アルコール溶媒の添加が後に続いた。反応混合物は室温で約10分間攪拌された。Nalco ChemicalからのNalcoag(登録商標)1034A、Du PontからのLudox(登録商標)AS40、Nissan ChemicalからのSnowtex(登録商標)O40のようなコロイド状シリカの水溶液が反応混合物に対しゆっくりと添加された。コロイド状シリカの添加速度は反応温度が40℃を超えることがないように制御された。コロイド状シリカの添加が完了すると、混合物は約16時間室温で攪拌された。そして、熱触媒TBAAが添加され、シリル化ジベンジオールレゾルシノール(SDBR)、およびBYKからの平滑剤BYK302の添加が後に続いた。さらなる5分間んの混合ののち、反応混合物のpHが水酸化アンモニウム水溶液もしくは酢酸によって約5.5に調整された。pHを調整された混合物は、コーティングの前にエージングのために45℃で5日間貯蔵された。縮合のレベルは、T/T比を測定するための29Si NMRによって観測された。適切なT/Tに到達したら、ハードコート組成物はコーティング準備ができたことになる。
【0077】
コーティング
0.254ミリメートル(10ミル)のポリカーボナートフィルムおよび3.175ミリメートル(1/8インチ)厚のポリカーボナートシートへと塗布され、1時間125℃で硬化された。歪みおよびテーバー耐磨耗性が測定され、結果は表3に示される。本発明のハードコートは高い歪みデータにより示される向上した可撓性を示し、同時にASTM D−1044に従ってCS−10Fホイールと500グラム荷重を用いた500サイクルの摩耗のあとの低いデルタヘイズによって示される耐磨耗性および傷耐性の性能を維持することが結果として示された。
【0078】
【表3】

【0079】
実施例25−30 熱成形
実施例22および23に記載されるような2つの熱成形ハードコート組成物が熱成形を実施するために使用された。
【0080】
30.48センチメートル(12インチ)×40.64センチメートル(16インチ)×3.175ミリメートル(1/8インチ)のポリカーボナートシートは最初に下塗(SHP401、Momentive Performance Materials Inc.からのアクリル下塗)によってフローコーティングで下塗りされた。溶媒は10分間周囲環境で蒸発された。ハードコートは下塗の上にフローコーティングでコートされた。そして、溶媒は周囲環境で10分間蒸発された。ポリカーボナートシートは両方のサイドで下塗りされてハードコートされた。
【0081】
風乾されたシートはその後、60℃もしくは80℃で15、30もしくは60分間前硬化された(詳細は表4に示される)。これらの前硬化シートはそののち、常温へとさまされ、そして最終的な成形プロセスへと移された。
【0082】
成形プロセスにおいて、コートされたシートは2つの加熱されたプレートの間、もしくはオーブン中で160〜175℃に加熱された。シートは165℃の設定値に平衡化するまで置かれた。成形時間は5〜10分の範囲であり得る。目的の温度が達成された後、シートはすぐに成形の型へと移され、そこで所望の最終形を持つ物品を得るためにそれらで型を覆うかまたはそれらが型に入れられた。物品は、それら自身の重さで最成形することなく取り出されることができるようになるまで型でさまされた。熱成形された部品は微小亀裂について調べられた。詳細は表4に示される。
【0083】
表4に示されるように、実施例22のコーティング組成物はより可撓性が低く、少数の微小亀裂を示したが、どちらのハードコートも熱成形試験に合格した。これらの亀裂は、通常と異なる厚い末端を成形するためのフローコーティングの後、コーティングをやめる場所であるサンプルの最底部のみで起こり、フローコーティングにおいて通常起こる典型的な現象である。末端は製品においては切断されるため、シートのこの部分での亀裂は欠陥とは見なされない。
【0084】
【表4】

【0085】
実施例31および比較例1〜2
実施例31は本発明に従って製造され、ここではメチルジアセトキシシラン末端化オリゴマーを調製するため、メチルトリメトキシシランと溶媒の添加に先だってシラノール末端化シリコーンオリゴマーがメチルトリアセトキシシランと混合された。
【0086】
比較例1および2は、米国特許4,368,235号の開示に従って作製された。比較例1においては、メチルトリアセトキシシランが使用されないのでオルガノシラン末端化シリコーンオリゴマーが存在しない。しかしながら、反応メディウムを実施例31に可能な限り近づけるために、オリゴマーが実施例13に従って作製される時に生じる7.67グラムの酢酸が添加された。
【0087】
比較例2においては、シラノールオリゴマーとの末端化反応を最小限にするために、シラノールポリジメチルシロキサンがメチルトリメトキシシラン、メトキシプロパノールおよびイソプロパノールと混合されるまで、メチルトリアセトキシシランが添加されなかった。配合されたサンプルを45℃で6日間エージングした後でおいてさえ、29Si NMRによって、比較的多量の非末端化シラノールオリゴマーとしてのMOHの存在が確認された
【0088】
表5に見られるように、シラノールオリゴマーが本発明に開示されるような多官能性末端(例えば実施例31)に転換されないような両方の比較例のコーティングは、相対歪みによって示されるように本発明のコーティングである実施例31と同じくらいの可撓性を示さなかった。
【0089】
【表5】

【0090】
比較例3
この比較例は、亀裂のない熱成形産物の作製のための前硬化の重要性を示す。
【0091】
30.48センチメートル(12インチ)×30.48センチメートル(12インチ)×3.175ミリメートル(1/8インチ)ポリカーボナートシートはSHP401によって両方のサイドがフローコートされ、溶媒を飛ばすために10分間周囲環境で乾燥された。実施例22のハードコートもまた乾燥された下塗層の上にフローコートされ、ハードコートの溶媒が10分間周囲環境下で飛ばされた。
【0092】
コートされたシートはそのあと、開示された発明に従う前硬化条件の代わりに、125℃1時間というシリコーンハードコートに典型的な硬化条件において硬化された。硬化されたシートが周囲温度にさまされたのち、実施例25〜30で記載されたのと同じ熱成形が実施された。成形された部品には多数の大きな亀裂が見出され、そのうちのいくつかは25.4センチメートルに達した。
【0093】
比較例4
2つの市販のシリコーンハードコート産物、上述のAS4000およびPHC587(メチルトリメトキシシラン、コロイド状シリカ、シリル化ヒドロキシベンゾフェノンおよびスチレンアクリルポリマーと水および共溶媒としてのアルコールとの反応産物)はどちらもMomentive Performance Materials Inc.のものであり、それらは上述の実施例で用いられたポリカーボナート基体へと個別にコートされた。コーティングは1時間80℃で硬化された。そして、熱成形は実施例25〜30に例示されるのと同様の様式で実施された。S4000とPHC587のいずれによってコートされた物品においてもコーティング全体にわたって多数の微小亀裂とあわせて大きな亀裂が見出された。さらに、PHC587の場合、コーティングはまた、接着を失っていた。
【0094】
AS4000とPHC587はまた、130℃1時間というそれらの推奨される硬化温度で硬化された。熱成形の際、サンプルは湾曲部と成形された表面において過度の亀裂を示した。
【0095】
実施例32 熱成形コーティング組成物
発明者は熱成形ハードコート樹脂を予めエージングすることが重要であると見出した。エージングはT/T比を測定する29Si NMRによって観察される。有用な産物はT/Tの狭い範囲にのみ存在する。T/T比が低過ぎる場合、コート可能性は非常に低くなり、コーティングは非常にかすんだものとなる。T/Tが高過ぎる場合、コーティングは耐磨耗性を失い、そして、有用でなくなる。以下の実施例はエージング現象を証明する。
【0096】
熱成形コーティング組成物の調製
好適なコンテナに、周囲環境下で実施例13に示されるように調製された53.49グラムのオルガノシラン末端化シリコーンオリゴマーが充填され、101.25グラムのメチルトリメトキシシランおよび546.9グラムのメトキシプロパノールの添加が後に続いた。常温において約10分間反応混合物が混合された。混合の間、159.9グラムのコロイド状シリカ(Nalco ChemicalからのNalcoag 1034A)の水溶液がシラン混合物に対しゆっくりと添加された。加水分解と縮合による発熱が検出された。コロイド状シリカの添加速度は反応温度が40℃をこえない用に制御された。コロイド状シリカの添加が完了すると、混合物を常温で混合し続けた。約16時間の混合の後、1.26グラムの触媒TBAAが添加され、53.97グラムのシリル化ジベンゾイルレゾルシノール(SDBR)、および0.55グラムのBYKからの平滑剤BYK302の添加が後に続いた。さらなる5分間の混合の後、3.1グラムの8.6%NHOH水溶液が充填されさらなる10分間混合された。
【0097】
エージング研究
上述の配合物は45℃のオーブンで数日間加熱することによってエージングされた。T/T比は29Si NMRによって観察された。さまざまなレベルのエージングのコーティングが、3.175ミリメートル(1/8インチ)厚のポリカーボナートシートへとコートされ、そして125℃1時間硬化され、ASTM D−1044に従ってテーバー耐磨耗性が測定された。詳細な結果は表6に示される。
【0098】
【表6】



【0099】
表に示されるように、低いレベルのエージング(T/T=0.29)において、コートされたサンプルは非常に高いヘイズを示し、コートされた表面は多数のはじきを持つ。T/T比が2.82に到達するとき、コーティングの有用性において、100および500サイクルのテーバー摩耗の後のデルタヘイズが高過ぎるようになる。
【0100】
より高い温度でのエージングはまた、同様の結果を示した。下の結果は同様の狭いT/T要件を示す。T/T比>3において、コーティングの耐磨耗性は劇的に減少する。
【0101】
【表7】

【0102】
上述のように本発明はその特定の実施態様を参照しつつ記載されるが、ここに開示される発明の精神を外れることなく多数の変更、修正および変形も可能であることは明らかである。従って、添付の請求項の精神および広い範囲に含まれるような多くのそのような変更、修正および変形を包含することが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱成形可能なハードコートを提供するのに好適なコーティング組成物であって、
(A)
(i)一般式(1):
【化3】


〔式中、Rの各々は独立してC1−C8アルキルもしくはC6−C20アリールであり;Rの各々は独立してC2−C8アルキレンであり;Xの各々は独立してハロゲン原子、C1−C6アルコキシ、C1−C6アシロキシ、C1−C6アルケノキシ、もしくはヒドロキシドであり;Yの各々は独立して酸素もしくはRであり;aは0と30の間の整数であり;bは2もしくは3であり;そしてcは0と6の間の整数である〕、
を持つ化合物ならびに/またはそれらの部分加水分解縮合物、
(ii)CR=CRC(O)ORとCR=CRC(O)ORSiX(3−d)とのコポリマー
〔式中、Rの各々は独立してC1−C8アルキルもしくはC6−C20アリールであり;Rの各々は独立してC2−C8アルキレンであり;Xの各々は独立してハロゲン原子、C1−C6アルコキシ、C1−C6アシロキシ、C1−C6アルケノキシ、もしくはヒドロキシドであり;dは1、2もしくは3である〕、
ならびにそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも一つのシラン含有オリゴマー;
(B)一般式(2):
SiX(4−e) (2)
〔式中、Rの各々は独立してC1−C8アルキル、C2−C8アルケニルもしくはC6−C20アリールであり、Xの各々は独立してハロゲン原子、C1−C6アルコキシ、C1−C6アシロキシ、C1−C6アルケノキシもしくはヒドロキシドであり、eは0、1もしくは2である〕を持つ少なくとも一つのシラン、ならびに/またはそれらの部分加水分解縮合物、
(C)金属酸化物;ならびに
(D)縮合触媒
を含有し、ここで成分(A)、(B)および(C)は成分(D)の存在下において加水分解縮合されて約0.3から約2.5のT対T比を達成する、コーティング組成物。
【請求項2】
式(1)において、Rの各々が独立してC1−C5アルキルであり、そしてXの各々が独立してC1−C4アルコキシである、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項3】
式(2)において、Rの各々が独立してC1−C5アルキルであり、そしてXの各々が独立してC1−C4アルコキシ基である、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項4】
前記金属酸化物がコロイド状シリカである、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項5】
成分(D)が
式(3)
[(CN][OC(O)−R] (3)
〔式中、Rは水素、約1から8個の炭素原子を含有するアルキル基および約6から20個の炭素原子を含有する芳香族基からなる群より選択される〕
を持つカルボン酸テトラブチルアンモニウムである熱硬化触媒である、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項6】
RがC1−C4アルキルである、請求項5に記載のコーティング組成物。
【請求項7】
成分(D)がテトラ−n−ブチルアンモニウムアセタート(TBAA)、テトラ−n−ブチルアンモニウムホルマート、テトラ−n−ブチルアンモニウムベンゾアート、テトラ−n−ブチルアンモニウム−2−エチルヘキサノアート、テトラ−n−ブチルアンモニウム−p−エチルベンゾアート、およびテトラ−n−ブチルアンモニウムプロピオナートからなる群より選択される、請求項5に記載のコーティング組成物。
【請求項8】
熱成形可能なハードコートを提供するのに好適なコーティング組成物であって、
(A)
(i)一般式(1):
【化4】


〔式中、Rの各々は独立してC1−C8アルキルもしくはC6−C20アリールであり;Rの各々は独立してC2−C8アルキレンであり;Xの各々は独立してハロゲン原子、C1−C6アルコキシ、C1−C6アシロキシ、C1−C6アルケノキシ、もしくはヒドロキシドであり;Yの各々は独立して酸素もしくはRであり;aは0と30の間の整数であり;bは2もしくは3であり;そしてcは0と6の間の整数である〕、
を持つ化合物ならびに/またはそれらの部分加水分解縮合物、
(ii)CR=CRC(O)ORとCR=CRC(O)ORSiX(3−d)とのコポリマー
〔式中、Rの各々は独立してC1−C8アルキルもしくはC6−C20アリールであり;Rの各々は独立してC2−C8アルキレンであり;Xの各々は独立してハロゲン原子、C1−C6アルコキシ、C1−C6アシロキシ、C1−C6アルケノキシ、もしくはヒドロキシドであり;dは1、2もしくは3である〕、
ならびにそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも一つのシラン含有オリゴマー;
(B)一般式(2):
SiX(4−e) (2)
〔式中、Rの各々は独立してC1−C8アルキル、C2−C8アルケニルもしくはC6−C20アリールであり、Xの各々は独立してハロゲン原子、C1−C6アルコキシ、C1−C6アシロキシ、C1−C6アルケノキシもしくはヒドロキシドであり、eは0、1もしくは2である〕を持つ少なくとも一つのシラン、ならびに/またはそれらの部分加水分解縮合物、
(C)金属酸化物;ならびに
(D)縮合触媒;
(E)成分(A)、(B)もしくは(C)の少なくとも一つと共縮合可能なUV吸収剤;
を含有し、ここで成分(A)、(B)、(C)および(E)は成分(D)の存在下において加水分解縮合されて約0.3から約2.5のT対T比を達成する、コーティング組成物。
【請求項9】
UV吸収剤が、4−[ガンマ−(トリメトキシシリル)プロポキシル]−2−ヒドロキシベンゾフェノン、4−[ガンマ−(トリエトキシシリル)プロポキシル]−2−ヒドロキシベンゾフェノン、4,6−ジベンゾイル−2−(3−トリエトキシシリルプロピル)レゾルシノールならびにそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項8に記載のコーティング組成物。
【請求項10】
請求項1に記載のコーティング組成物によってコートされた少なくとも一つの表面を持つ物品。
【請求項11】
請求項8に記載のコーティング組成物によってコートされた少なくとも一つの表面を持つ物品。
【請求項12】
前記物品の前記表面が、前記コーティング組成物によってコートされる前に下塗組成物によって最初に下塗りされている、請求項10に記載の物品。
【請求項13】
前記物品が合成有機ポリマーを含有している請求項10に記載の物品。
【請求項14】
前記有機ポリマーがポリカーボナート請求項13に記載の物品。
【請求項15】
前記コーティング組成物が前記物品の前記表面において前硬化されている、請求項10に記載の物品。
【請求項16】
前記コーティング組成物が15分から90分の間、60℃から90℃の範囲の温度で前硬化されている、請求項10に記載の物品。
【請求項17】
前記コーティング組成物が硬化されて、前記物品の表面上の硬化されたコーティングを提供する、請求項10に記載の物品。
【請求項18】
前記コーティング組成物が硬化されて、前記物品の表面上の硬化されたコーティングを提供する、請求項15に記載の物品。
【請求項19】
前記物品が、前記コーティング組成物の前記前硬化の後に、熱成形されている、請求項15に記載の物品。
【請求項20】
前記物品が約5分から30分の間、約100℃から約300℃の範囲の温度で熱成形されている、請求項15に記載の物品。
【請求項21】
前記硬化されたコーティングが150℃未満のTgを持ち、ASTM D1044に従う500サイクルのテーバー摩耗試験の後に20%未満のデルタヘイズを示す、請求項17に記載の物品。
【請求項22】
前記硬化されたコーティングが5%より大きい歪みを示し、ASTM D1044に従う500サイクルのテーバー摩耗試験の後に20%未満のデルタヘイズを示す、請求項17に記載の物品。
【請求項23】
前記物品が、AS2要件と等しいかそれ以下の自動車ガラス用途のためのANSI Z26.1を満たす自動車ガラスである、請求項17に記載の物品。
【請求項24】
前記硬化されたコーティングが前記物品の振動もしくは繰り返し荷重の後に、亀裂や剥離をまったく示さない、請求項17に記載の物品。
【請求項25】
前記物品が窓もしくはソーラーセルのカバーである、請求項10に記載の物品。
【請求項26】
部分的に硬化されているかまたは完全に硬化されたコーテイングを持つコートされた物品を調製するためのプロセスであって、
1)請求項1に従うコーティング組成物および基体を提供するステップ;
2)前記基体へと前記コーティング組成物を塗布するステップ;
3)前記コーティング組成物を少なくとも部分的にもしくは完全に硬化させるのに十分な時間高温に加熱し、それによって前記部分的に硬化されているかまたは完全に硬化されたコーテイングを持つコートされた物品を作製するステップ
を含有するプロセス。
【請求項27】
前記コーティング組成物が約15分から60分間、約60℃から90℃の温度で加熱され、前記コーティング組成物が少なくとも部分的に硬化される、請求項26に記載のプロセス。
【請求項28】
前記コートされた基体が約160℃から約180℃の温度に加熱され、前記コーティング組成物が完全に硬化される、請求項26に記載のプロセス。
【請求項29】
前記少なくとも部分的に硬化したコーティングを持つ物品を約160℃から約180℃の温度に加熱して熱成形可能なコートされた物品を提供するステップと前記熱成形可能なコートされた物品を所望の形に成形するステップをさらに含有する、請求項27に記載のプロセス。


【公表番号】特表2013−509485(P2013−509485A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−536976(P2012−536976)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【国際出願番号】PCT/US2010/054182
【国際公開番号】WO2011/056615
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(508229301)モメンティブ パフォーマンス マテリアルズ インコーポレイテッド (120)
【Fターム(参考)】