説明

表面修飾ナノ粒子が共有結合した導電性粒子を含む組成物及びその製造方法

複数の導電性粒子を含む組成物が開示され、各導電性粒子は、導電性粒子の表面に共有結合した複数の表面修飾ナノ粒子を含む。共有結合した複数の表面修飾ナノ粒子を含む複数の導電性粒子が、有機ビヒクル中に提供される組成物もまた開示される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
例えば、導電性接着剤、誘電体層等において導電性粒子を使用することは、業界において一般的な方法である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
複数の導電性粒子を含む組成物が開示され、各導電性粒子は、導電性粒子の表面に共有結合した複数の表面修飾ナノ粒子を含む。共有結合された複数の表面修飾ナノ粒子を含む複数の導電性粒子が、有機ビヒクル中に提供される組成物もまた開示される。
【0003】
一態様において、本明細書に開示されるのは、複数の導電性粒子を含む組成物であり、各導電性粒子は、導電性粒子の表面に共有結合した複数の表面修飾ナノ粒子を含む。
【0004】
別の態様において、本明細書に開示されるのは、複数の導電性粒子を含む有機ビヒクルを含む組成物であり、各導電性粒子は、導電性粒子の表面に共有結合した複数の表面修飾ナノ粒子を含む。
【0005】
別の態様において、本明細書に開示されるのは、表面修飾ナノ粒子が共有結合した複数の導電性粒子を含む組成物の製造方法であり、その方法は、液体中に複数のナノ粒子を用意する工程と;各ナノ粒子の表面の少なくとも一部が、ナノ粒子に共有結合した多官能性表面修飾剤分子を含むように、ナノ粒子の少なくともいくつかを多官能性表面修飾剤分子と反応させる工程と;複数の導電性粒子を液体に加える工程と;導電性粒子の少なくともいくつかを、ナノ粒子の表面に共有結合した多官能性表面修飾剤分子の少なくともいくつかと反応させて、その結果、反応した各導電性粒子が、多官能性表面修飾剤により結合した複数の表面修飾ナノ粒子を含む工程と、を含む。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本明細書に開示されるのは、複数の導電性粒子を含む組成物であり、各導電性粒子は、導電性粒子の表面に共有結合した複数の表面修飾ナノ粒子を含む。本明細書で使用される場合、導電性粒子という用語は、少なくとも約1×10ジーメンス/メートル(S/m)の固有の電気伝導率を有するとして認められる材料の少なくとも1つの層(例えば、表面コーティング)を含む、任意の粒子を意味する。したがって、導電性粒子という用語は、導電性材料(例えば、金属粒子)から実質的に又は全体的になる粒子、並びに、伝導性コーティングでコーティング(例えば、表面コーティング)されている比較的非導電性のコア(例えば、ポリマー材料、ガラス等の)からなる粒子を包含する。
【0007】
このように、固体金属の導電性粒子を使用することができるが、そのような粒子は、最適な密度よりも高い密度を有する場合があり、この高い密度は、例えば、重力の影響下で、粒子が懸濁されている有機ビヒクル(例えば、そこから感圧性接着剤が誘導され得るシロップ)を通って望ましくない程度まで粒子を沈ませる可能性がある。一部の実施形態において、本明細書に開示される導電性粒子は、したがって、導電性材料でコーティングされた比較的低密度のコア材料を含み得る。より詳細には、ポリマーフレーク、ガラス、又はセラミック破片等は、コア粒子として十分であり得る。導電性金属、混合物、及びそれらの合金等を粒子の表面上で使用して、低い電気抵抗を与えることができる。それらの上に導電性コーティング、例えば導電性金属コーティングを有する低密度材料を使用することにより、有利には、例えば、少なくとも安定した感圧性接着剤コーティング層がそこから形成されることができるまで、粒子が、例えば有機ビヒクル中により容易に懸濁したままとなることが可能となる。
【0008】
種々の実施形態において、導電性粒子は、炭素フレーク又は繊維のような低密度導電性充填剤であってもよく、あるいは、銀、銅、ニッケル、金、スズ、亜鉛、白金、パラジウム、鉄、タングステン、モリブデン、それらの合金、はんだ、又は同様のもののような金属の表面被覆又はコーティングを用いて調製された、ポリエチレン、ポリスチレン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、若しくはアクリル樹脂、又はガラス破片、シリカ、グラファイト、又はセラミックなどの低密度材料の充填剤であってもよい。伝導性コーティングは、一般に連続的であってもよく、また、コーティングと基礎粒子とを加えた総重量の、例えば約5〜約45重量パーセント(重量%)を構成してもよい。
【0009】
このような導電性粒子は、任意の所望の形状、例えば、破片、くさび型、台形等を含み得る。いくつかのそのような粒子は、厚さよりもはるかに大きな幅及び/又は奥行きを有してもよく、これは、粒子のアスペクト比によって表わされることができる(本明細書では、粒子の最長寸法と粒子の最小寸法との比として定義される)。種々の実施形態において、導電性粒子は、少なくとも約2:1、少なくとも約4:1、又は少なくとも約7:1のアスペクト比を有し得る。一部の実施形態において、粒子は、一般に同じような幅と奥行きとを有し得る繊維であってもよく、この幅と奥行きの寸法は、典型的には、長さよりもはるかに小さい。一部の実施形態において、粒子は、例えば一般に同じような長さ、幅、及び奥行き寸法を有する球状であってもよい。
【0010】
球状粒子などの低アスペクト比の粒子は、有利には、導電性粒子を含有する層(例えば、接着剤層)の厚さを通る高いz軸伝導率を提供することができる。フレーク及び/又は繊維などの高アスペクト比の粒子は、有利には、導電性粒子を含有する層(例えば、接着剤層)の平面内に高いx−y電気伝導率を提供することができる(当業者は、例えば高アスペクト比の粒子を使用することによるx−y伝導率の改善は、場合によっては、z軸伝導率もまた高めることができることを理解するであろう)。このように、導電性粒子の種類(例えば、形状)及び量は、特定用途にとって望ましいように選択され得る。例えば、本明細書に開示の導電性粒子を使用して、比較的等方性の伝導率特性を有する導電性接着剤、又は、比較的異方性の伝導率特性を有する導電性接着剤(例えば、いわゆるz軸導電性接着剤)を提供することができる。
【0011】
一部の実施形態において、導電性粒子の密度と有機ビヒクル(例えば、感圧性接着剤前駆体又はそこから形成される接着剤)の密度との比は、約5未満である。例えば、感圧性接着剤樹脂の密度は、およそ0.98〜約1.1グラム/立方センチメートルの範囲であってよく、伝導性コーティングを有する低密度基礎粒子を伴う導電性粒子は一般に、約5グラム/立方センチメートル(g/cc)未満の密度を有する。対照的に、既知の導電性金属粒子は、多くの場合少なくとも約7g/ccの密度を有する。
【0012】
導電性粒子の量、サイズ等は、所望のレベルの電気伝導率をもたらすように選択され得る。一部の実施形態において、これらのパラメーターは、導電性粒子が提供される有機ビヒクル(例えば、接着剤層)により長い範囲の(例えば、x−y及び/又はz軸)伝導率を付与することを必ずしも必要とせずに、導電性粒子が単に(例えば、粒子自体の)局所伝導率を提供するように選択されてもよい。他の実施形態において、これらのパラメーターは、導電性粒子が有機ビヒクルに全体的により長い範囲の伝導率(例えば、接着剤のz軸厚さを通る、及び/又は接着剤のx−y平面を通る伝導率)を提供するように選択されてもよい。一部の実施形態において、導電性粒子の量及び/又は配列は、粒子を含む感圧性接着剤が、3M XYZ/等方性の導電性接着剤転写テープ9707の技術データシートに概説されている手順を用いて測定した場合、4.0オーム未満のz軸抵抗を含むようなものであってもよい。種々の実施形態において、この方法で測定されたz方向の電気抵抗は、3、2、0.5、又は0.05オーム未満であり得る。一部の実施形態において、本明細書に開示の方法によって測定される、接着剤のx−y平面(即ち、接着剤の最短寸法(z軸厚さ寸法)に対して垂直な方向)における有機ビヒクル(例えば、感圧性接着剤)の電気抵抗は、100オーム未満であり得る。種々の実施形態において、こうして測定された面内x−y方向の電気抵抗は、50、20、10、5、又は1オーム未満であり得る。
【0013】
一部の実施形態において、導電性粒子の量及び配列は、粒子を含む感圧性接着剤が、3M XYZ/等方性の導電性接着剤転写テープ9707の技術データシートに概説されている手順を用いて測定した場合、少なくとも1.0アンペア/1平方インチ(/6.45平方センチメートル)の通電容量を含むようなものであり得る。
【0014】
一般に、接着剤で使用される導電性粒子の量(体積百分率又はvol%)の範囲は、少なくとも約1、2、5、10、20又は更にはこれ以上であり得る。他の実施形態において、接着剤で使用される粒子の量(vol%)は、約60、30、25、20未満、又は更には約10未満であってもよい。前述のように、導電性粒子は、比較的球状の粒子の形状であってもよく、あるいはフレーク、繊維等のようであってもよい。様々な形状及びサイズの導電性粒子の組み合わせを用いることができる。
【0015】
導電性粒子は、導電性粒子を含有する有機ビヒクルに高い熱伝導率特性を付与することができる熱伝導率を含み得る。種々の実施形態において、導電性粒子を含む有機ビヒクル(例えば、感圧性接着剤)は、少なくとも0.5、1、2、4、又は更には10ワット/メートル・ケルビン(0.5、1、2、4、又は更には10ワット/メートル・℃)の見掛熱伝導率を示すことができる(例えば、ASTM D5470の手順と同様の方法で測定した場合)。
【0016】
本明細書に開示される用途に適し得る導電性粒子としては、例えば、Potters Industries(Valley Forge,PA)から商品名Conduct−O−Filで入手可能な製品、及びNovamet Specialty Products(Wycoff,NJ)から商標名Novametで入手可能な粒子を挙げることができる。他の好適な導電性粒子は、米国特許出願第60/820174号、発明の名称「Electrically Conductive Pressure Sensitive Adhesives」に記載されており、当該特許出願はこの目的ために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0017】
本明細書で使用される場合、用語「ナノ粒子」は、平均一次粒径が100ナノメートル未満である粒子を意味し、これら一次粒子は、上述のサイズの一次粒子を提供するために簡単に解凝集されることができない凝集体の形態で存在しない。「平均一次粒径」は、複数の個別(凝集していない)粒子の測定から得られる平均直径を指す。ナノ粒子のサイズ測定は、例えば、透過電子顕微鏡法によって行われることができる。実質的に球状の形状から逸脱するナノ粒子の場合には、粒径は(実際の粒子と同じ体積の球体の)有効粒径を指すことを、当業者は認識するであろう。一部の実施形態において、ナノ粒子は、約40ナノメートル未満、約20ナノメートル未満、又は約10ナノメートル未満の平均粒径を有する。更なる実施形態において、ナノ粒子は、少なくとも1、2、又は3ナノメートルの平均一次又は凝集体粒径を有する。
【0018】
これと関連して、本明細書で定義される「ナノ粒子」は、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、沈殿シリカ等のような物質とは区別される。そのようなシリカ物質は、100nmを超える(例えば、典型的には少なくとも200ナノメートルの)平均サイズを有し、かつそこから個々の一次粒子を簡単に抽出することは不可能である凝集体の形態で、互いに本質的に不可逆的に結合されている一次粒子からなるとして、当業者には既知である。
【0019】
一部の実施形態において、本明細書で使用するナノ粒子は、無機ナノ粒子である。つまり、ある種の(例えば、架橋された)有機材料は、必要に応じて、使用するのに十分な硬度及び耐久性を有することができるが、一部の実施形態において、ナノ粒子は無機物質を含む。ナノ粒子の形態で利用可能であり得る代表的な無機物質としては、例えば、金属リン酸塩、スルホン酸塩、及び炭酸塩(例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト);酸化物、例えば、金属酸化物(例えば、ジルコニア、チタニア、シリカ、セリア、アルミナ、酸化鉄、ヴァナディア(vanadia)、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化スズ、及びアルミナ−シリカ)、並びに金属(例えば、金、銀、又は他の貴金属)が挙げられる。ナノ粒子、例えば、シリカナノ粒子は、商業的供給源、例えばNalco Co(Napervillle,IL)から入手可能である。ナノ粒子は、当該技術分野において既知の技術を用いて作製することも可能である。例えば、ジルコニアナノ粒子は、例えばPCT出願第2008/087385号に記載されているような水熱技術を用いて調製され得る。
【0020】
一部の実施形態において、ナノ粒子は、コロイド状分散体の形態で入手可能である。例えば、コロイダルシリカ分散体は、Nalco Co.から商品名「NALCO 1040」、「NALCO 1050」、「NALCO 1060」、「NALCO 2326」、「NALCO 2327」、及び「NALCO 2329」で入手可能である。ジルコニアナノ粒子分散体は、Nalco Chemical Co.から商品名「NALCO OOSSOO8」で、及びBuhler AG(Uzwil,Switzerland)から商品名「Buhler zirconia Z−WO」で入手可能である。特定の目的のために、必要に応じて、一部のコロイド状分散体を乾燥させて、乾燥ナノ粒子を得ることができる。
【0021】
ナノ粒子は、十分に凝縮されてもよい。完全凝縮ナノ粒子(シリカを例外として)の結晶化度(単離金属酸化物粒子として測定した場合)は、典型的には55%を超え、好ましくは60%を超え、より好ましくは70%を超える。例えば、結晶化度は、約86%まで又はそれ以上の範囲にすることができる。結晶化度は、X線回折法によって割り出すことができる。凝縮結晶性(例えば、ジルコニア)のナノ粒子は屈折率が高いが、非晶質ナノ粒子は典型的には屈折率がより低い。
【0022】
表面修飾とは、ナノ粒子がそれらの表面上に少なくともいくつかの有機基を含有するために修飾されることを意味する。広くは、表面修飾剤は、ナノ粒子表面に共有結合することができる少なくとも1つの反応性基を有する少なくとも第1の末端と、ナノ粒子表面の性質を改質することができる第2の有機末端とを有する。
【0023】
潜在的に有用な表面修飾(処理)剤の例としては、アルコール、アミン、カルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸、シラン、及びチタン酸塩が挙げられる。好ましい種類の修飾剤は、一つには、(例えば金属酸化物)ナノ粒子表面の化学的性質によって決定され得る。シランは、シリカに対して、及びその他のシリカ系充填剤に対して好ましい場合がある。ジルコニアなどの金属酸化物に対しては、シラン及びカルボン酸が好ましい場合がある。
【0024】
ある用途で好ましい表面修飾剤としては、性質上一般的に無極性である非反応性の有機末端(置換基)を有するシランが挙げられる。そのような置換基は、炭化水素(例えば、アルキル、フェニル等)であってもよく、又は当業者が置換基を無極性であると認識するであろうように、十分に少量のヘテロ原子を有する炭化水素であってもよい。この種類の代表的な表面修飾剤としては、イソオクチルトリメトキシシラン(炭化水素基はイソオクチル基であり、メトキシ基は、例えばナノ粒子の表面を、例えば加水分解するする及びこれと反応することができる反応性基である)及びチルトリメトキシシランが挙げられる。このような無極性置換基は、表面修飾ナノ粒子が、一般に無極性成分(例えば、イソオクチルアクリレート等)から主になる有機ビヒクル中に含まれる用途において、特に有用であり得る。しかしながら、例えば比較的極性の物質(例えば、アクリル酸等)である重要な構成要素を含有する有機ビヒクルの中に含ませるために、比較的極性の置換基を有する表面修飾剤を使用してもよい。
【0025】
例示的なシランとしては、限定はされないが、n−オクチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、イソオクチルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、及びヘキシルトリメトキシシランなどのアルキルトリアルコキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、及び3−(メタクリルオキシ)プロピルトリエトキシシランなどのメタクリルオキシアルキルトリアルコキシシラン又はアクリルオキシアルキルトリアルコキシシラン、3−(メタクリルオキシ)プロピルメチルジメトキシシラン、及び3−(アクリルオキシプロピル)メチルジメトキシシランなどのメタクリルオキシアルキルアルキルジアルコキシシラン又はアクリルオキシアルキルアルキルジアルコキシシラン、3−(メタクリルオキシ)プロピルジメチルエトキシシランなどのメタクリルオキシアルキルジアルキルアルコキシシラン又はアクリルオキシアルキルジアルキルアルコキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプトアルキルトリアルコキシルシラン、スチリルエチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、及びp−トリルトリエトキシシランなどのアリールトリアルコキシシラン、ビニルメチルジアセトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリ−t−ブトキシシラン、ビニルトリス(イソブトキシ)シラン、ビニルトリイソプロペノキシシラン、及びビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シランなどのビニルシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどの3−グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)メトキシエトキシエトキシエチルカーバメート(PEG3TES)、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)メトキシエトキシエトキシエチルカーバメート(PEG2TES)、及びSILQUEST A−1230などのポリエーテルシラン、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0026】
一部の実施形態において、表面修飾剤は、複数の反応性基を含有するように多官能性であってもよく、これらの反応性基によって、表面修飾剤はナノ粒子の表面(また更には、本明細書においてより詳細に記載されるように、導電性粒子の表面)に共有結合することができる。このように、一部の実施形態において、ナノ粒子の表面修飾を用意するのに使用することができるのと同じ多官能性剤を使用して、導電性粒子に対する表面修飾ナノ粒子の共有結合をもたらすことも可能である。例えば、イソオクチルトリメトキシシランをこの二重目的のために使用することができる。他の実施形態において、1種の薬剤(例えば、トリメチルメトキシシランなどの単官能性シラン)を主に使用して表面修飾をもたらしてもよく、異なる多官能性剤を使用して、導電性粒子と表面修飾ナノ粒子との間に共有結合をもたらしてもよい。
【0027】
表面修飾を行うために、例えばナノ粒子を分散又は懸濁させる及び/又は表面修飾剤を分散、懸濁又は溶解させるように、例えば作用することができる液体中で、ナノ粒子を表面修飾剤と混合させてもよい。使用すべき表面修飾剤の量は、ナノ粒子のサイズ、ナノ粒子の種類、表面修飾剤の分子量、及び修飾剤の要素に応じて決定され得る。広くは、おおむね単層の修飾剤を、ナノ粒子の表面に結合させることが好ましく場合がある。結合手順又は反応条件もまた、使用する表面修飾剤によって左右され得る。シランの場合、酸性又は塩基性の条件下で、高温で約1〜24時間表面処理することが好ましい場合がある。
【0028】
例えばコロイド状分散体中のナノ粒子の表面修飾は、様々な方法で達成することができる。このプロセスは、無機分散体を1種以上の表面修飾剤と混合することを含み得る。任意選択的に、例えば、1−メトキシ−2−プロパノール、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリジノン、及びこれらの混合物などの共溶媒を添加することができる。共溶媒は、表面修飾剤並びに表面修飾されたナノ粒子の分散性を向上させることができる。コロイド状分散体と表面修飾剤とを含む混合物を、その後、室温又は高温で、混合あり又はなしで、反応させることができる。
【0029】
ナノ粒子の表面修飾方法は、例えば、米国特許第6,586,483号及び米国特許出願第61/220698号、発明の名称「Method of Milling Particles with Nanoparticles and Milled Free−flowing Powder」により詳細に記述されており、当該特許文献はこの目的ために参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0030】
導電性粒子と、それらの表面に共有結合した表面修飾ナノ粒子との開示される結合は、例えば、1種以上の表面修飾剤とナノ粒子との前述された共有結合を行った後、反応混合物に導電性粒子を添加して、表面修飾剤と導電性粒子とを反応させる又は反応を促進することによって達成され得る。こうして、前述のように、多官能性表面修飾剤は、その剤の反応性基の1つ以上を介してナノ粒子の表面に共有結合されると同時に、その剤の少なくとも1つ以上の反応性基を、それらが導電性粒子の表面と反応することができる状態に保つことができる。このように、例えば、イソオクチルトリメトキシシランなどの表面修飾剤は、反応混合物中で、例えばシリカナノ粒子と混合されることができ、そうして、その剤の分子のメトキシ基の1つ又は2つは加水分解されて、シリカナノ粒子の表面に共有結合される。次に、例えば少なくとも部分的に銀コーティングされたガラスフレークなどの導電性粒子を反応混合物に添加し、そうして、その剤の分子の1つ又は2つの残っているメトキシ基が加水分解して、導電性粒子の表面に共有結合することができる(このような結合は、例えば、ガラスフレークの表面の、銀でコーティングされていない一部の残留ヒドロキシル基と、銀の上に存在する酸化物層の一部となどとであり得る)。言うまでもなく、多くの表面修飾剤分子とナノ粒子と導電性粒子との間の多くのこのような結合が、実際には存在する。
【0031】
表面修飾ナノ粒子と導電性粒子との間の共有結合を最も有利に達成するために、ナノ粒子及び導電性粒子の量に対する表面修飾剤の量、並びに反応混合物を反応させる条件及び時間は、要望通りに制御され得る。
【0032】
ナノ粒子を表面修飾し、かつナノ粒子を他の粒子に結合させる方法は、例えば米国特許出願第61/141311号、発明の名称「Composite Particles and Method of Forming」により詳細に記述されており、当該特許出願はこの目的ために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0033】
本明細書に開示されるように導電性粒子の表面に共有結合した複数の表面修飾ナノ粒子を含む導電性粒子を使用して、これら導電性粒子を提供するのが望ましい任意の有機ビヒクル(この有機ビヒクルとは、一般的に、任意の有機担体、樹脂、材料、マトリックス、シロップ、ニス、塗料、セラック、コーティング、接着剤、結合剤等を意味する)の利益を得ることができる。特定の実施形態において、表面修飾ナノ粒子が共有結合した導電性粒子は、ビヒクルの中に分散される。
【0034】
有機ビヒクルは、例えば、感圧性接着剤組成物、ホットメルト接着剤組成物、熱硬化接着剤組成物、及び熱可塑性樹脂系接着剤組成物などの接着剤組成物を提供するように選択され得る。(このように、有機ビヒクルという用語は、例えば有機シロップ、及び有機シロップである接着剤前駆体から作製され得る接着剤などの接着剤を包含して、本開示において広義に用いられる。)有機ビヒクルは、例えば、溶剤コーティング可能な接着剤、ホットメルトコーティング可能な接着剤、放射線硬化性(電子ビーム、例えば、可視光線及び紫外線などの化学線、並びに熱放射)接着剤、水性エマルション型接着剤、及びこれらの組み合わせなどを含む、任意の接着剤組成物を包含し得る。好適な感圧性接着剤組成物としては、例えば、粘着力のあるゴム接着剤、例えば、天然ゴム、オレフィン、シリコーン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリウレタン、スチレンイソプレンスチレン及びスチレンブタジエンスチレンブロックコポリマー、並びにその他のエラストマーが挙げられる。
【0035】
一部の実施形態において、有機ビヒクルは、シロップ(例えば、100cps〜10000cps、又は200cps〜5000cpsの粘度を含む液体又は液体混合物)を含み、これは、例えばシロップ中に存在するモノマー、オリゴマー、官能性ポリマー等の硬化、反応、重合などによって、感圧性接着剤に変換され得る。このようなシロップとしては、周知のようなシリコーン感圧性接着剤を形成するために使用することができる、例えばシリコーン材料を挙げることができる。特定の実施形態において、シロップは、アクリレート官能性又はメタクリレート官能性(以下、総称して「(メタ)アクリレート」と呼ばれる)モノマー又はオリゴマーを含む。これと関連して、本明細書で用いられる用語「モノマー」は、オリゴマー等を包含して広義に用いられることが理解されよう。そのようなモノマーは、反応して、周知の一群の(メタ)アクリレート感圧性接着剤を形成することができる。有用な(メタ)アクリル酸エステルとしては、1〜20個の炭素原子を有する一価アルコール、例えば、イソオクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソノニルアクリレート、イソデシルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ブチルアクリレート、及びオクタデシルアクリレート、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。(メタ)アクリレート系接着剤組成物のためのその他の有用なモノマーとしては、例えば、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、N−オクチルアクリルアミド、t−ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート及びプロピルメタクリレート、並びにこれらの組み合わせなどのエチレン系不飽和モノマーが挙げられる。他の有用なエチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、置換アクリルアミド類、例えば、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アクリロニトリル、テトラヒドロフルフリルアクリレート、グリシジルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート及びベンジルアクリレート、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0036】
有機ビヒクルがモノマー、オリゴマー等を含む場合、重合は、多様な従来のフリーラジカル重合方法によって達成されることができ、その方法は、例えば可視光及び紫外線、電子ビーム照射、並びにこれらの組み合わせを包含する化学線を用いる過程を包含する、例えば溶媒重合、エマルション重合、懸濁重合、バルク重合、及び放射線重合を含む、化学又は放射線によって重合が開始され得る。
【0037】
有機ビヒクルは、(有機シロップ又は感圧性接着剤の形態に関わらず)当技術分野において周知のとおり、粘着付与剤、架橋剤等を含んでもよい。例えば、シロップ中の導電性粒子の懸濁を改善するために、シロップのコーティング特性を改善するためになど、要望通りにシロップの粘度を増加させるために、シロップは、例えば導電性粒子を添加する前又は後に、部分的に予備重合されてもよい。
【0038】
多くの場合、こうした(メタ)アクリレート感圧性接着剤は、比較的多量の比較的非極性のモノマー及び比較的少量の比較的極性のモノマーから形成される。特定の実施形態において、シロップは、アルキル基が平均で約4〜14個の炭素原子を有する非第三級アルコールの(メタ)アクリル酸エステルと、任意に極性コモノマーとを含む照射感応化無溶剤(メタ)アクリル系感圧性接着剤前駆体を含み得る。
【0039】
(メタ)アクリル系感圧性接着剤前駆体で使用される非第三級アルコールの比較的無極性の(メタ)アクリル酸エステルは、前駆体の約100〜約50重量部を構成し得る。一部の実施形態において、このエステルは前駆体の約98重量部未満を構成し得る。一部の実施形態において、このエステルは前駆体の約80重量部未満を構成し得る。好適な非極性モノマーとしては、例えば、イソオクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、及びステアリルアクリレートが挙げられる。好適な任意の極性コモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、N,Nジメチルアクリルアミドのような特定の置換アクリルアミド類、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、及びこれらの組み合わせが挙げられる。任意の極性コモノマーは、存在する場合、(メタ)アクリル系感圧性接着剤前駆体の約0.5〜約50重量部を構成し得る。一部の実施形態において、極性モノマーは前駆体の少なくとも約2重量部を構成する。他の実施形態において、極性モノマーは前駆体の少なくとも約5重量部を構成する。
【0040】
モノマー、オリゴマー等、及びそれらの割合は、例えば、周知のダルキスト基準を満たす、通常粘着性及び感圧性接着剤コポリマーを提供するように選択される。一部の実施形態において、このような混合物は、約50〜98重量部の非極性モノマーと、2〜50重量部のそれらと共重合可能な極性モノマーとを、これらの合計が100重量部となるように含有してもよい。言うまでもなく、所望ならば、2つ以上の非極性モノマー及び/又は2つ以上の極性モノマーを混合物において使用することができる。無溶剤(メタ)アクリル系感圧性接着剤前駆体はまた、多官能性(メタ)アクリレートモノマーを、例えば前駆体の約0.05〜約1重量部の量で含んでもよい。無溶剤アクリル系PSA前駆体は、あらゆる既知の反応開始剤、例えば熱及び光開始剤の添加によって感光性になり得る。
【0041】
アルキル基が平均で約4〜14個の炭素原子を有する非第三級アルコールの(メタ)アクリル酸エステルと、極性コモノマーとを含む照射感応化無溶剤(メタ)アクリル系感圧性接着剤前駆体の組成及び構成の更なる詳細は、米国特許出願第60/820174号、発明の名称「Electrically Conductive Pressure Sensitive Adhesives」に見出され、当該特許出願はこの目的ために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0042】
感圧性接着剤は、例えば、基材上に好適な有機ビヒクルを堆積し、感圧性接着剤特性を得るためにビヒクルを固化(例えば、硬化、反応等)することによって形成され得る。このような感圧性接着剤は、当業者にはよく知られているように、例えば転写テープを形成するために1つ以上の剥離ライナの上(例えば、間)に堆積されてもよく、それらの間に比較的永久的な結合を有して基材上に堆積されてもよく、以下同様である。このようにして形成された感圧性接着剤層は、例えば導電性接着剤等として有利に使用され得る。導電性接着剤、例えば等方性の導電性接着剤の特性及び用途は、米国特許出願第60/820174号、発明の名称「Electrically Conductive Pressure Sensitive Adhesives」に記述されており、当該特許出願はこの目的ために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。前述のように、場合によっては、このような接着剤は、高い熱伝導率もまた提供することができる。
【0043】
本明細書に開示されるように導電性粒子の表面に共有結合した表面修飾ナノ粒子を含む導電性粒子の使用は、(例えば、感圧性接着剤を形成するために使用される)有機シロップの処理を有利に向上させることができることが見出されている。具体的には、当業者であれば、導電性粒子、特にフレーク、繊維等などの比較的高いアスペクト比を有する導電性粒子の接着剤前駆体シロップ中への分散が困難であり得ることを理解するであろう。具体的には、接着剤前駆体シロップ中へのそのような導電性粒子の混合は、接着剤前駆体シロップをゲル化させる(例えば、更に混合する、ポンピングする、均一層にコーティングする等が困難な粘弾性の塊となる)可能性がある。このような導電性粒子が存在する場合には、本明細書に開示される表面修飾ナノ粒子の存在は、そうしたゲル化の可能性及び/又は程度を、有意かつ有利に低減することができることが見出されている。
【0044】
本明細書において実施例の項の表1で実証されるように、導電性粒子に共有結合した表面修飾ナノ粒子は、(例えば、導電性粒子と乾式混合された)導電性粒子に共有結合されていない表面修飾ナノ粒子よりも、この作用を実施する際により効果的であり得ることも見出されている。驚くべきことに、導電性粒子の表面上の表面修飾ナノ粒子、及び導電性粒子に共有結合した表面修飾ナノ粒子の存在は、導電性粒子によって接着剤に付与され得る導電性を損ねるとは考えられないことが更に見出されている。具体的には、表面修飾ナノ粒子が共有結合した導電性粒子を有して調製された感圧性接着剤は、表2において実証されているように、十分なx−y電気伝導率(つまり、接着剤層の平面内)を呈することが見出されている。これとは際立って対照的に、導電性粒子の表面に対するこうした表面修飾剤の直接的な付着は、(表1から分かるように、接着剤前駆体シロップ中に導電性粒子をより簡単に分散させることができるが)、表2において実証されているように、導電性粒子を含有する感圧性接着剤のx−y伝導率を大幅に減少させることが見出されている。このように、本明細書に開示される方法により、(導電性粒子の表面上に直接存在する表面修飾剤によるのではなく)導電性粒子に共有結合したナノ粒子の表面上に存在する表面修飾剤により、特定用途にとって望ましい伝導率を提供する導電性粒子の能力に不都合に影響を与えない方法で、導電性粒子を接着剤前駆体シロップ中により容易に分散させることが可能になり得る。
【0045】
本明細書に開示される特定の代表的な構造、特徴、詳細、構成等は、多くの実施形態において変更され得る及び/又は組み合され得ることは、当業者には明らかであろう。そのような変例及び組み合わせは全て、本発明者により、本考案の発明の範囲内にあるものとして考えられる。したがって、本発明の範囲は、本明細書に記載された特定の図示された構造に限定されるべきではなく、むしろ「特許請求の範囲」の言語によって記載された構造、並びにこれら構造の等価物によるべきである。参照により本明細書に援用したいずれかの文書内での仕様と開示との間の不一致及び矛盾が存在するという点に関して、本明細書は制御されるであろう。
【実施例】
【0046】
別段の記載のない限り、実施例及びこれ以降の明細書に記載される部、百分率、及び比率は全て、重量に基づく。用いた溶媒及びその他の試薬は、別段の記載のない限り、Sigma−Aldrich Chemical Company(Milwaukee,WI)から入手した。
【0047】
シリカナノ粒子(水中に分散された16.6%固形分)を、Nalco Company(Naperville,Illinois)から商品名NALCO 2326で入手した。これらナノ粒子は約5nmの平均粒径を有すると供給元から報告されていた。
【0048】
導電性粒子を、Potters Industries(Valley Forge,PA)から商品名Conduct−o−Fil SG15F35で入手した。これら導電性粒子は、銀の重量%が35%、平均直径が15マイクロメートル、及び平均厚さが2マイクロメートルの、銀コーティングされたガラスフレークであると供給元から報告されていた。この製品は、したがって、供給元により報告された寸法に基づくと、約7.5の平均アスペクト比を有していた。
【0049】
導電性粒子を、Novamet Specialty Products(Wycoff,NJ)から商品名Novametで入手した。これら導電性粒子は、銀コーティングされたニッケル球体であると供給元から報告されていた。この製品は、したがって、約1.0の平均アスペクト比を有していた。
【0050】
共有結合した表面修飾ナノ粒子を有する銀コーティングされたガラスフレークの調製
NALCO 2326シリカナノ粒子を、米国特許出願第61/220698号、発明の名称「Method of Milling Particles with Nanoparticles and Milled Free−flowing Powder」に記載されているのと同様の方法で、イソオクチルトリメトキシシランとメチルトリメトキシシランとの混合物で表面修飾した。油浴を80℃に設定し、反応の準備をしている間にこの温度に達するようにした。機械的撹拌機及び凝縮器を備えた3首丸底フラスコの中に、6.5gのNalco 2326水中分散体を量り入れた。フラスコを油浴の中に引下げ、内容物を中〜高速度で撹拌した。400gのエタノール(EMD,Gibbstown,New Jersey)及び100gのメタノールを、600mLのビーカーの中で混合した。溶媒混合液の約3分の1を3首丸底フラスコに加えた。50gの溶媒混合液を150mLのビーカーの中に量り入れ、そこに0.41gのイソオクチルトリメトキシシラン(Gelest,Morrisville,Pennsylvania)及び0.05gのメチルトリメトキシシランを加えた。この溶液を十分に混合し、この3首丸底フラスコに加えた。50gの溶媒混合液でビーカーを2回すすぎ、このすすぎに使った混合液を3首丸底フラスコに加えた。反応混合物を1時間撹拌した。次に、200gの銀コーティングされたガラスフレークを撹拌しながらフラスコに加え、残りの溶媒を使用して反応混合物中の銀コーティングされたガラスフレークを洗浄した。反応混合物を更に3.5時間攪拌した。修飾された銀フレークをアルミ製の鍋の移し、乾燥するまで120℃で乾燥した。以下に記載される試料SMN1、SMN2、SMN3、及びSMN4の調製にこれらの材料を使用した。
【0051】
表面修飾を有する銀コーティングされたガラスフレークの調製
油浴を80℃に設定し、反応の準備をしている間にこの温度に達するようにした。銀コーティングされたガラスフレークを3首丸底フラスコの中に量り入れた。200gのエタノールと50gのメタノールとを500mLのビーカーの中で混合した。機械的撹拌機及び凝縮器を備えた3首丸底フラスコの中に溶媒の約3分の1を加え、銀フレークを完全に湿潤させた。フラスコを油浴の中に引下げ、内容物を中〜高速度で撹拌した。50gの溶媒混合液を100mLのビーカーに入れ、イソオクチルトリメトキシシラン及びメチルトリメトキシシランを加えた。溶液を混合し、反応フラスコの中の内容物に加えた。ビーカーを残りの溶媒ですすぎ、反応物を少なくとも4時間撹拌した。修飾された銀フレークをアルミ製の鍋に移し、乾燥するまで120℃で乾燥した。以下に記載される試料SMF1、SMF2、及びSMF3の調製にこれらの材料を使用した。
【0052】
表面修飾ナノ粒子と乾式混合された銀コーティングされたガラスフレークの調製
NALCO 2326シリカナノ粒子を、米国特許出願第61/220698号、発明の名称「Method of Milling Particles with Nanoparticles and Milled Free−flowing Powder」に記載されているのと同様の方法で、イソオクチルトリメトキシシランとメチルトリメトキシシランとの混合物で表面修飾した。前述の手順で行われたように銀コーティングされたガラスフレークを反応混合物に加えなかったことを除き、前述と同様の方法で表面修飾を行った。その代わり、表面修飾ナノ粒子を乾燥させた後、ナノ粒子の重量比約0.5重量%で銀コーティングされたガラスフレークと乾式混合させた。以下に記載される試料DB1及びDB2の調製にこれらの材料を使用した。
【0053】
感圧性接着剤前駆体シロップの調製
87.5部のイソオクチルアクリレート、12.5部のアクリル酸、及び0.04部の光開始剤(Ciba(登録商標)Irgacure(登録商標)651)の混合物を、蛍光ブラックライトランプを用いて部分的に光重合し、約2200センチポアズ(2.2Ns/m)の粘度を有するシロップとした。更に0.19部のCiba(登録商標)Irgacure(登録商標)651及び0.065部のヘキサンジオールジアクリレート架橋剤を、シロップに加えて混合した(シロップ1)。
【0054】
93.5部のイソオクチルアクリレート、6.5部のアクリル酸、及び0.04部のCiba(登録商標)Irgacure(登録商標)184の混合物を、蛍光ブラックライトランプを用いて部分的に光重合し、約2000センチポアズ(2Ns/m)の粘度を有するシロップとした。更に0.35部のCiba(登録商標)Irgacure(登録商標)184、0.15部のXL−330トリアジン架橋剤、及び10部のForal 85粘着付与剤をシロップに加えて混合した(シロップ2)。
【0055】
銀コーティングされたガラスフレークと感圧性接着剤前駆体シロップとの混合物
90部のシロップ1及び10部のシロップ2を混合して混合シロップを形成した。400mLのプラスチック製計量カップに混合シロップを入れた。Teflon扇型パドルを備えるガラス製攪拌棒を、パドルが完全に浸るまでシロップの中に引下げた後、オーバーヘッド攪拌機を中〜高速で作動させた。銀フレークを徐々に加え、各増加分を次の添加の前にシロップに完全に組み込ませた。添加中、ゲル化の開始(生じる場合)が認められた。フレークの全量が組み込まれてフレークの装填が(フレークを含むシロップの総重量の)約42重量%になるまで、銀フレークの添加を続けた。全てのフレークが添加された後、更に3〜5分間シロップを混合した。舌圧子を使用して撹拌中にゲルを平らにした。様々な銀フレーク(未修飾のフレーク(対照)、表面修飾されたフレーク(SMF)、表面修飾ナノ粒子と乾式混合されたフレーク(DB)、共有結合した表面修飾ナノ粒子を有するフレーク(SMN))を使用して実験を行った。表1に示される特定の処方の複数の試料で実験を行った。ゲル化を生じさせたフレークの(フレークを含むシロップの総重量の百分率としての)重量パーセントを記録し、これを表1に示す。
【0056】
【表1】

【0057】
銀コーティングされたガラスフレーク含有接着剤のコーティング
シロップ1及び2を前述のとおりに作製した。180gのシロップ1及び20gのシロップ2を、144.8gの共有結合した表面修飾ナノ粒子を有する銀コーティングされたガラスフレーク(試料SMN4)及び107.3gのNovamet製の銀コーティングされたニッケル球体(表面修飾されておらずかつ共有結合したナノ粒子を含まない)と混合した。混合物を減圧下で脱気し、直ちに、2枚のシリコーン処理した透明なプラスチックフィルムの間に、およそ51μmの厚さにコーティングした。接着剤コーティングの表面において受容されるエネルギーが約540ミルジュール(mJ)/cmになるように、コーティングに不活性雰囲気中で蛍光ブラックライトランプを照射した。接着剤コーティング表面において受容される照射エネルギーは、Electronic Instrumentation and Technology,Inc.(Sterling,VA))から入手可能なライト・マッパー・UVI・マップ(Light Mapper UVI Map)を用いて較正された。
【0058】
共有結合した表面修飾ナノ粒子を有する銀コーティングされたガラスフレークの代わりに表面修飾銀コーティングされたガラスフレーク(SMF3)を使用したことを除き、同様の接着剤を作製した。
【0059】
共有結合した表面修飾ナノ粒子を有する銀コーティングされたガラスフレークの代わりに入荷したままの状態の未修飾の銀ガラスフレーク(対照)を使用したことを除き、同様の接着剤を作製した。
【0060】
コーティングされた接着剤の伝導率測定
接着剤のx−y平面抵抗を以下の手順で測定した。IPC多目的試験板(IPC−B−25A)をDiversified Systems,Inc.(Indianapolis,IN)から入手した。接着剤試料を、厚さ2.0ミル(51μm)のポリエステルフィルムに積層した。その積層体から幅5mm及び長さ約25mmの試験ストリップ試料を切断した。複数対の導電性トレースが横断するように、試験ストリップをIPC−B−25A試験板に積層した(各トレースは、幅が2.0mm、トレース対の隣接するトレース間の間隔が2.0mmであった)。積層は、4.5lb(2.04kg)のゴムローラーを使用して行われた。この試験アセンブリを1時間の間23℃に維持した。オートレンジモードに設定されたKeithley 200−20マルチメーターを使用して、(トレース対の隣接するトレース間にまたがる長さ2.0mmの接着剤試料を通る)電気抵抗を測定した。典型的には、抵抗は、いくつかの異なる位置にある接着剤ストリップ試料に対応するいくつかの(例えば、6つ)のトレース対に関して測定された。典型的には、いくつかのストリップ試料をこの方法で試験した。
【0061】
共有結合した表面修飾ナノ粒子を有する銀コーティングされたガラスフレークを含有する接着剤に関して、得られた平均x−y平面抵抗が表2に報告されている(試料SMN4と標示)。
【0062】
表面修飾銀コーティングされたガラスフレークを含有する接着剤の平均x−y平面抵抗が、同様に測定され、表2に報告されている(SMF3と標示)。
【0063】
入荷したままの状態の未修飾銀ガラスフレークを含有する接着剤の平均x−y平面抵抗が、同様に測定され、表2に報告されている(対照と標示)。
【0064】
【表2】

少なくともメガオームの範囲の抵抗に相当すると考えられる得られた「開回路」読取値。
【0065】
上記の試験及び試験結果は予測ではなく例示のみを意図したものであり、試験方法が変われば異なる結果が生じ得ると考えられる。実施例の項における定量的な値は全て、用いられる手順に伴う一般的に既知の許容誤差を考慮した近似的な値であるものと理解される。上記の詳細な説明及び実施例はあくまで理解を助けるために示したものである。これらによって不要な限定をするものと理解されるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の導電性粒子を含む組成物であって、
各導電性粒子が、前記導電性粒子の表面に共有結合した複数の表面修飾ナノ粒子を含む、組成物。
【請求項2】
前記導電性粒子が、少なくとも約2:1のアスペクト比を有する非球形粒子である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記導電性粒子が、少なくとも約7:1のアスペクト比を有する非球形粒子である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記導電性粒子が非導電性コアを含み、かつ、少なくとも約1×10ジーメンス/メートルの電気伝導率を有する材料の少なくとも1つの層を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記導電性粒子が、0を超えるが約5グラム/立方センチメートル未満の密度を有する、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記導電性粒子が、少なくとも約2:1のアスペクト比を有する金属コーティングされたガラスフレークである、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記表面修飾ナノ粒子が、前記ナノ粒子の表面修飾を用意するのに使用されたのと同じ多官能性表面修飾剤によって前記導電性粒子に共有結合される、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
導電性粒子に対する表面修飾ナノ粒子の重量比が、約0.25%〜約1.0%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記表面修飾ナノ粒子が、表面修飾剤に由来する無極性有機置換基を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
複数の導電性粒子を含む有機ビヒクルを含む組成物であって、
各導電性粒子が、前記導電性粒子の表面に共有結合した複数の表面修飾ナノ粒子を含む、組成物。
【請求項11】
前記導電性粒子が、少なくとも約2:1のアスペクト比を有する非球形粒子である、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記有機ビヒクルが、100cps〜10000cpsの粘度を有する有機シロップを含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項13】
前記有機ビヒクルが、感圧性接着剤を含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項14】
前記有機ビヒクルが、(メタ)アクリレート感圧性接着剤を含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記有機ビヒクルが、アルキル基が平均で約4〜14個の炭素原子を有する非第三級アルコールの(メタ)アクリル酸エステルと、極性コモノマーとを含む感圧性接着剤前駆体シロップの反応生成物を含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記感圧性接着剤が、20オーム未満のx−y平面抵抗を有する導電性接着剤層である、請求項13に記載の組成物。
【請求項17】
前記導電性粒子が、少なくとも約2:1のアスペクト比を有し、かつ0を超えるが約5グラム/立方センチメートル未満の密度を有する金属コーティングされたガラスフレークである、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記感圧性接着剤が、少なくとも1ワット/メートル・ケルビン(1ワット/メートル・℃)の見掛熱伝導率を有する、請求項13に記載の組成物。
【請求項19】
表面修飾ナノ粒子が共有結合した複数の導電性粒子を含む組成物の製造方法であって、
液体中に複数のナノ粒子を用意する工程と、
各ナノ粒子の表面の少なくとも一部が、前記ナノ粒子に共有結合した多官能性表面修飾剤分子を含むように、前記ナノ粒子の少なくともいくつかを多官能性表面修飾剤分子と反応させる工程と、
複数の導電性粒子を前記液体に加える工程と、
前記導電性粒子の少なくともいくつかを、前記ナノ粒子の表面に共有結合した前記多官能性表面修飾剤分子の少なくともいくつかと反応させて、その結果、反応した各導電性粒子が、前記多官能性表面修飾剤により結合した複数の表面修飾ナノ粒子を含む工程と、を含む、方法。
【請求項20】
表面修飾ナノ粒子が共有結合した複数の導電性粒子を含む前記組成物を、有機シロップと混合する工程を更に含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記有機シロップが、感圧性接着剤前駆体組成物である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記感圧性接着剤前駆体を堆積させて層を形成する工程と、前記感圧性接着剤前駆体組成物を硬化させて感圧性接着剤を形成する工程と、を更に含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記感圧性接着剤が、20オーム未満のx−y平面抵抗を有する(メタ)アクリレート感圧性接着剤を含み、前記導電性粒子が、少なくとも約2:1のアスペクト比を有し、かつ0を超えるが約5グラム/立方センチメートル未満の密度を有する金属コーティングされたガラスフレークである、請求項22に記載の方法。

【公表番号】特表2013−511813(P2013−511813A)
【公表日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−540084(P2012−540084)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【国際出願番号】PCT/US2010/057399
【国際公開番号】WO2011/063217
【国際公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】