表面処理されたメークアップ化粧料用無機粉体及びこれを含むメークアップ化粧料
【課題】表面処理されたメークアップ化粧料用無機粉体及びこれを含むメークアップ化粧料の提供。
【解決手段】マイカ、セリサイト等のメークアップ化粧料の顔料として使用される無機粉体を、陽イオン性界面活性剤であるジステアリルジモニウムクロリド（Ｄｉｓｔｅａｒｙｌｄｉｍｏｎｉｕｍ Ｃｈｌｏｒｉｄｅ）で処理することにより、表面が改質された粉体。この粉体を用いることにより、使用感に優れ、成形性の良いメークアップ化粧料が得られる。
【解決手段】マイカ、セリサイト等のメークアップ化粧料の顔料として使用される無機粉体を、陽イオン性界面活性剤であるジステアリルジモニウムクロリド（Ｄｉｓｔｅａｒｙｌｄｉｍｏｎｉｕｍ Ｃｈｌｏｒｉｄｅ）で処理することにより、表面が改質された粉体。この粉体を用いることにより、使用感に優れ、成形性の良いメークアップ化粧料が得られる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、表面処理されたメークアップ化粧料用無機粉体及びこれを含むメークアップ化粧料に関するものであり、具体的には、マイカ、セリサイト等のメークアップ化粧料の顔料として使用される無機粉体を陽イオン性界面活性剤であるジステアリルジモニウムクロリド（Ｄｉｓｔｅａｒｙｌｄｉｍｏｎｉｕｍ Ｃｈｌｏｒｉｄｅ）で処理することにより、無機粉体の表面を改質して、使用感に優れ、成形性の良いメークアップ化粧料用無機粉体を製造する技術に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
一般的に、メークアップ化粧料は、身体の一部分、主に顔に塗布して色彩を表すものであり、肌の欠点を隠し、肌色を変化させて立体感と色彩感を付与する補正と美化を主要目的として使用される。しかし、メークアップ化粧料の表面改質技術及び製造技術の発展に伴い、補正と美化の主目的を満たすと共に、肌に塗布時に均一に塗れて、すっきり且つ滑らかな使用感を与えるメークアップ化粧料製品の開発に次第に拡大している。
【０００３】
メークアップ化粧料に使用される顔料は、使用目的に応じて、タルク、セリサイト、マイカ、カオリン、無水ケイ酸、窒化ホウ素等の体質顔料と、酸化鉄、紺青、アルミニウムレーキ、ウルトラマリン等の着色顔料、二酸化チタン、酸化亜鉛のような白色顔料に分けられ、メークアップ化粧料にはこのような顔料の性質を考慮して使用目的に応じて混用している。
【０００４】
一般的に、メークアップ化粧料に使用される顔料は、広がり性、皮膚親和性、肌欠点隠ぺい力、吸油性、肌感触、肌保護性等、様々な機能が要求されているが、このような機能をいずれか１つの顔料の使用だけでは得ることができないため、混用して使用したり、粉体表面を多様な表面改質剤により改質することにより、複合的な機能を付与することに努めている。
【０００５】
本発明者等は、これに関する研究中に、リンスに含まれて毛髪に滑らかな使用感を付与する役割をする陽イオン性界面活性剤をメークアップ化粧料用無機粉体の表面改質剤として使用すると、差別化された使用感を付与でき、プレスパウダーに利用する際は成形性が向上するということを見出し本発明を完成した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
よって、本発明は表面処理されて使用感に優れ、成形性を向上させるメークアップ化粧料用無機粉体を提供することを目的とする。
【０００７】
また、本発明は表面処理された前記無機粉体を含んで、広がり性と仕上げ感触等の使用感に優れたメークアップ化粧料を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
前記目的を達成するために、本発明によると、陽イオン性界面活性剤であるジステアリルジモニウムクロリド（Ｄｉｓｔｅａｒｙｌｄｉｍｏｎｎｉｕｍ Ｃｈｌｏｒｉｄｅ）を無機粉体の総重量に対して０．１〜１０重量％の量で無機粉体にコーティングして表面処理したメークアップ化粧料用無機粉体が提供できる。前記メークアップ化粧料用無機粉体は、タルク、セリサイト、マイカ、カオリン、無水ケイ酸または窒化ホウ素であり、好ましくは、マイカ又はセリサイトである。
【０００９】
前記の他の目的を達成するために、本発明によると、前記の表面処理されたメークアップ化粧料用無機粉体を化粧料の総重量に対して０．５〜５０重量％含むメークアップ化粧料が提供できる。
【発明の効果】
【００１０】
本発明にかかる無機粉体は、陽イオン性界面活性剤であるジステアリルジモニウムクロリドで表面処理されて改質されるため、これを含むメークアップ化粧料は滑らかな使用感を表し、圧縮成形時に優れた成形性を有する。
【図面の簡単な説明】
【００１１】
【図１】本発明の一実施例によって製造されたメークアップ化粧料の成形性テストの結果を表す写真である。
【発明を実施するための形態】
【００１２】
以下、本発明を詳しく説明する。
【００１３】
本発明において、メークアップ化粧料用無機粉体は、タルク、セリサイト、マイカ、カオリン、無水ケイ酸、窒化ホウ素のような体質顔料を意味する。メークアップ用化粧料に最も多く使用されている体質顔料であるマイカとセリサイトで実験を行ったが、これに限定されるのではない。
【００１４】
メークアップ化粧料の無機粉体を表面処理して改質する際に使用される陽イオン性界面活性剤はジステアリルジモニウムクロリドであり、下記の化学式で示される。
【００１５】
【化１】
ジステアリルジモニウムクロリドは、無機粉体表面を改質して粉体の滑らかさ、つまり、広がり性を向上させ、圧縮成形してメークアップ化粧料を製造する場合に成形性を高める機能をする。前記メークアップ化粧料は、ツーウェイケーキ（ｔｗｏ−ｗａｙ ｃａｋｅ）、パウダーファンデーション、フェイスパウダー、アイシャドウ、パウダーチーク又はこの他に圧縮成形して使用する全ての形態のメークアップ化粧料の剤形で使用できる。
【００１６】
以下、本発明の一具現例に従い、前記ジステアリルジモニウムクロリドを使用して湿式工程によってメークアップ化粧料用無機粉体を表面改質する方法について詳しく説明する。
【００１７】
先ず、乳化槽内の熱水にジステアリルジモニウムクロリドを入れ、完全に溶解させる。前記表面処理剤が完全に溶解されたら、マイカやセリサイトのようなメークアップ化粧料用無機粉体を入れて混合する。混合が終わったら、減圧ろ過器でろ過し、再度温水に入れて分散させる。これを再度減圧ろ過し温水を流して洗浄する。高温で２時間程度乾燥した後、粉砕する。
【００１８】
前記のように表面処理された無機粉体の特性を評価するために、粉体の安息角を測定した。安息角は、粉体の広がり性に関するものであり、すべすべした使用感は、粉体原料の広がり性によって発現されるため、メークアップ化粧料において非常に重要な評価要素になる。安息角測定の結果、本発明によって表面処理された無機粉体は、表面処理前の無機粉体と安息角値の差が大きく表れ、これは粉体の滑らかさ、つまり、広がり性が向上したということを示す。また、前記の表面処理された無機粉体を含むメークアップ化粧料を圧縮成形して成形性を比較した結果、表面処理された無機粉体で成形されたメークアップ化粧料は、表面処理されていない無機粉体で成形されたメークアップ化粧料よりも優れた成形性を示した。
【００１９】
以下、本発明を実施例及び試験例によって詳しく説明するが、本発明が実施例によって限定されるのではない。
【実施例】
【００２０】
実施例１：無機粉体の表面処理
無機粉体としてマイカを使用して表面処理した。先ず、乳化槽内の７５℃の水にジステアリルジモニウムクロリド１ｇを入れ、完全に溶解させた。前記表面処理剤が完全に溶解した後、マイカ（インド，Ｍｉｃａｆａｂ社，Ａｌｂａ３２５）９９９ｇを入れ、攪拌して混合させた。混合が終わったら減圧ろ過器でろ過し、再度温水に入れて分散させた。これを再度減圧ろ過し温水を流して洗浄した。高温で２時間程度乾燥した後、解砕した。
【００２１】
実施例２：無機粉体の表面処理
無機粉体としてセリサイトを使用して表面処理したことを除いては、前記実施例１と同様に表面処理した。
【００２２】
先ず、乳化槽内の７５℃の水にジステアリルジモニウムクロリド１ｇを入れ、完全に溶解させた。前記表面処理剤が完全に溶解した後、セリサイト（日本，三信セリサイト社，Ｓｅｒｉｃｉｔｅ ＦＳＥ）９９９ｇを入れ、攪拌して混合させた。混合が終わったら減圧ろ過器でろ過し、再度温水に入れて分散させた。これを再度減圧ろ過し温水を流して洗浄した。高温で２時間程度乾燥した後、解砕した。
【００２３】
試験例１：表面処理された無機粉体の安息角の測定
前記実施例１、２で製造した無機粉体に対して安息角を測定した。一般的に、粉体の広がり性を調べる評価方法として、粉体の安息角（Ａｎｇｌｅ ｏｆ Ｒｅｐｏｓｅ）を測定する。安息角の測定方法は色々あるため、同一原料であっても測定法によってその値が異なるが、ここでは安息角測定装置である粉体試験機（Ｐｏｗｄｅｒ Ｔｅｓｔｅｒ，日本，Ｈｏｓｏｋａｗａ社製造）を使用して基準板上に滞積した粉体の安息角と、積もっている粉体に衝撃を加え粉体の崩れる程度を測定して、粉体の広がり性を測定した。衝撃前、後の安息角値の差が大きいほど粉体の滑らかさ、つまり広がり性が良いことを示す。その結果を下表１に示した。
【００２４】
【表１】
【００２５】
前記表１の結果から確認できるように、表面改質後の無機粉体の安息角の差異値は、表面改質前の無機粉体の安息角差異値より大きかった。これは、前記陽イオン性界面活性剤による表面処理によって表面改質が行われて粉体の広がり性が向上したことを示すものである。
【００２６】
実施例３及び比較例１：パウダーファンデーションの製造
下表２の組成でメークアップ化粧料であるパウダーファンデーションを製造した。
【００２７】
【表２】
【００２８】
先ず、原料Ａ、Ｂ相を秤量した。次いで、原料Ｃ、Ｄ層を秤量した後、７５℃に加熱した。液相であるＣ、Ｄ相をＡ、Ｂ相混合物に噴霧した。続いて、これを粉砕して成形した。（成形圧力６５Ｋｇ／ｃｍ２，５ｓｅｃ）
試験例２：使用感評価
前記実施例３と比較例１で作られたパウダーファンデーションの実際の使用効果を比較するために、２０代から３０代の女性１０名を対象に２週間使用させた後、広がり性、密着力、持続力、感触、粉の飛び散り、カバー力等、計６項目に対して評価した。その結果を下表３に示した。
【００２９】
【表３】
【００３０】
１：非常に悪い，２：悪い，３：どちらでもない，4：良い，５：非常に良い
前記表３の結果から確認できるように、表面処理された無機粉体を使用した実施例３はより優れた使用感を有し、特に、広がり性と仕上げ感触において相当優れた品質を有することが分かった。
【００３１】
試験例３：成形性の評価
前記実施例３と比較例１で作られたパウダーファンデーションの成形性を評価した。２つのサンプルを同時に、床から５ｃｍ、１０ｃｍ、１５ｃｍ、２０ｃｍ、２５ｃｍ、３０ｃｍの高さから落として成形性の維持可否を確認した。３０ｃｍの高さから落とした場合の写真を図１に示した。
【００３２】
図１から確認できるように、実施例３のパウダーファンデーションは、３０ｃｍの高さから落とした場合、縁の一部分だけに破損が生じたが、比較例１の場合は全体的に破損の程度が深刻なことが分かり、本発明の表面処理された粉体を使用する場合は製品の成形性が大きく向上することが確認できた。
【技術分野】
【０００１】
本発明は、表面処理されたメークアップ化粧料用無機粉体及びこれを含むメークアップ化粧料に関するものであり、具体的には、マイカ、セリサイト等のメークアップ化粧料の顔料として使用される無機粉体を陽イオン性界面活性剤であるジステアリルジモニウムクロリド（Ｄｉｓｔｅａｒｙｌｄｉｍｏｎｉｕｍ Ｃｈｌｏｒｉｄｅ）で処理することにより、無機粉体の表面を改質して、使用感に優れ、成形性の良いメークアップ化粧料用無機粉体を製造する技術に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
一般的に、メークアップ化粧料は、身体の一部分、主に顔に塗布して色彩を表すものであり、肌の欠点を隠し、肌色を変化させて立体感と色彩感を付与する補正と美化を主要目的として使用される。しかし、メークアップ化粧料の表面改質技術及び製造技術の発展に伴い、補正と美化の主目的を満たすと共に、肌に塗布時に均一に塗れて、すっきり且つ滑らかな使用感を与えるメークアップ化粧料製品の開発に次第に拡大している。
【０００３】
メークアップ化粧料に使用される顔料は、使用目的に応じて、タルク、セリサイト、マイカ、カオリン、無水ケイ酸、窒化ホウ素等の体質顔料と、酸化鉄、紺青、アルミニウムレーキ、ウルトラマリン等の着色顔料、二酸化チタン、酸化亜鉛のような白色顔料に分けられ、メークアップ化粧料にはこのような顔料の性質を考慮して使用目的に応じて混用している。
【０００４】
一般的に、メークアップ化粧料に使用される顔料は、広がり性、皮膚親和性、肌欠点隠ぺい力、吸油性、肌感触、肌保護性等、様々な機能が要求されているが、このような機能をいずれか１つの顔料の使用だけでは得ることができないため、混用して使用したり、粉体表面を多様な表面改質剤により改質することにより、複合的な機能を付与することに努めている。
【０００５】
本発明者等は、これに関する研究中に、リンスに含まれて毛髪に滑らかな使用感を付与する役割をする陽イオン性界面活性剤をメークアップ化粧料用無機粉体の表面改質剤として使用すると、差別化された使用感を付与でき、プレスパウダーに利用する際は成形性が向上するということを見出し本発明を完成した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
よって、本発明は表面処理されて使用感に優れ、成形性を向上させるメークアップ化粧料用無機粉体を提供することを目的とする。
【０００７】
また、本発明は表面処理された前記無機粉体を含んで、広がり性と仕上げ感触等の使用感に優れたメークアップ化粧料を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
前記目的を達成するために、本発明によると、陽イオン性界面活性剤であるジステアリルジモニウムクロリド（Ｄｉｓｔｅａｒｙｌｄｉｍｏｎｎｉｕｍ Ｃｈｌｏｒｉｄｅ）を無機粉体の総重量に対して０．１〜１０重量％の量で無機粉体にコーティングして表面処理したメークアップ化粧料用無機粉体が提供できる。前記メークアップ化粧料用無機粉体は、タルク、セリサイト、マイカ、カオリン、無水ケイ酸または窒化ホウ素であり、好ましくは、マイカ又はセリサイトである。
【０００９】
前記の他の目的を達成するために、本発明によると、前記の表面処理されたメークアップ化粧料用無機粉体を化粧料の総重量に対して０．５〜５０重量％含むメークアップ化粧料が提供できる。
【発明の効果】
【００１０】
本発明にかかる無機粉体は、陽イオン性界面活性剤であるジステアリルジモニウムクロリドで表面処理されて改質されるため、これを含むメークアップ化粧料は滑らかな使用感を表し、圧縮成形時に優れた成形性を有する。
【図面の簡単な説明】
【００１１】
【図１】本発明の一実施例によって製造されたメークアップ化粧料の成形性テストの結果を表す写真である。
【発明を実施するための形態】
【００１２】
以下、本発明を詳しく説明する。
【００１３】
本発明において、メークアップ化粧料用無機粉体は、タルク、セリサイト、マイカ、カオリン、無水ケイ酸、窒化ホウ素のような体質顔料を意味する。メークアップ用化粧料に最も多く使用されている体質顔料であるマイカとセリサイトで実験を行ったが、これに限定されるのではない。
【００１４】
メークアップ化粧料の無機粉体を表面処理して改質する際に使用される陽イオン性界面活性剤はジステアリルジモニウムクロリドであり、下記の化学式で示される。
【００１５】
【化１】
ジステアリルジモニウムクロリドは、無機粉体表面を改質して粉体の滑らかさ、つまり、広がり性を向上させ、圧縮成形してメークアップ化粧料を製造する場合に成形性を高める機能をする。前記メークアップ化粧料は、ツーウェイケーキ（ｔｗｏ−ｗａｙ ｃａｋｅ）、パウダーファンデーション、フェイスパウダー、アイシャドウ、パウダーチーク又はこの他に圧縮成形して使用する全ての形態のメークアップ化粧料の剤形で使用できる。
【００１６】
以下、本発明の一具現例に従い、前記ジステアリルジモニウムクロリドを使用して湿式工程によってメークアップ化粧料用無機粉体を表面改質する方法について詳しく説明する。
【００１７】
先ず、乳化槽内の熱水にジステアリルジモニウムクロリドを入れ、完全に溶解させる。前記表面処理剤が完全に溶解されたら、マイカやセリサイトのようなメークアップ化粧料用無機粉体を入れて混合する。混合が終わったら、減圧ろ過器でろ過し、再度温水に入れて分散させる。これを再度減圧ろ過し温水を流して洗浄する。高温で２時間程度乾燥した後、粉砕する。
【００１８】
前記のように表面処理された無機粉体の特性を評価するために、粉体の安息角を測定した。安息角は、粉体の広がり性に関するものであり、すべすべした使用感は、粉体原料の広がり性によって発現されるため、メークアップ化粧料において非常に重要な評価要素になる。安息角測定の結果、本発明によって表面処理された無機粉体は、表面処理前の無機粉体と安息角値の差が大きく表れ、これは粉体の滑らかさ、つまり、広がり性が向上したということを示す。また、前記の表面処理された無機粉体を含むメークアップ化粧料を圧縮成形して成形性を比較した結果、表面処理された無機粉体で成形されたメークアップ化粧料は、表面処理されていない無機粉体で成形されたメークアップ化粧料よりも優れた成形性を示した。
【００１９】
以下、本発明を実施例及び試験例によって詳しく説明するが、本発明が実施例によって限定されるのではない。
【実施例】
【００２０】
実施例１：無機粉体の表面処理
無機粉体としてマイカを使用して表面処理した。先ず、乳化槽内の７５℃の水にジステアリルジモニウムクロリド１ｇを入れ、完全に溶解させた。前記表面処理剤が完全に溶解した後、マイカ（インド，Ｍｉｃａｆａｂ社，Ａｌｂａ３２５）９９９ｇを入れ、攪拌して混合させた。混合が終わったら減圧ろ過器でろ過し、再度温水に入れて分散させた。これを再度減圧ろ過し温水を流して洗浄した。高温で２時間程度乾燥した後、解砕した。
【００２１】
実施例２：無機粉体の表面処理
無機粉体としてセリサイトを使用して表面処理したことを除いては、前記実施例１と同様に表面処理した。
【００２２】
先ず、乳化槽内の７５℃の水にジステアリルジモニウムクロリド１ｇを入れ、完全に溶解させた。前記表面処理剤が完全に溶解した後、セリサイト（日本，三信セリサイト社，Ｓｅｒｉｃｉｔｅ ＦＳＥ）９９９ｇを入れ、攪拌して混合させた。混合が終わったら減圧ろ過器でろ過し、再度温水に入れて分散させた。これを再度減圧ろ過し温水を流して洗浄した。高温で２時間程度乾燥した後、解砕した。
【００２３】
試験例１：表面処理された無機粉体の安息角の測定
前記実施例１、２で製造した無機粉体に対して安息角を測定した。一般的に、粉体の広がり性を調べる評価方法として、粉体の安息角（Ａｎｇｌｅ ｏｆ Ｒｅｐｏｓｅ）を測定する。安息角の測定方法は色々あるため、同一原料であっても測定法によってその値が異なるが、ここでは安息角測定装置である粉体試験機（Ｐｏｗｄｅｒ Ｔｅｓｔｅｒ，日本，Ｈｏｓｏｋａｗａ社製造）を使用して基準板上に滞積した粉体の安息角と、積もっている粉体に衝撃を加え粉体の崩れる程度を測定して、粉体の広がり性を測定した。衝撃前、後の安息角値の差が大きいほど粉体の滑らかさ、つまり広がり性が良いことを示す。その結果を下表１に示した。
【００２４】
【表１】
【００２５】
前記表１の結果から確認できるように、表面改質後の無機粉体の安息角の差異値は、表面改質前の無機粉体の安息角差異値より大きかった。これは、前記陽イオン性界面活性剤による表面処理によって表面改質が行われて粉体の広がり性が向上したことを示すものである。
【００２６】
実施例３及び比較例１：パウダーファンデーションの製造
下表２の組成でメークアップ化粧料であるパウダーファンデーションを製造した。
【００２７】
【表２】
【００２８】
先ず、原料Ａ、Ｂ相を秤量した。次いで、原料Ｃ、Ｄ層を秤量した後、７５℃に加熱した。液相であるＣ、Ｄ相をＡ、Ｂ相混合物に噴霧した。続いて、これを粉砕して成形した。（成形圧力６５Ｋｇ／ｃｍ２，５ｓｅｃ）
試験例２：使用感評価
前記実施例３と比較例１で作られたパウダーファンデーションの実際の使用効果を比較するために、２０代から３０代の女性１０名を対象に２週間使用させた後、広がり性、密着力、持続力、感触、粉の飛び散り、カバー力等、計６項目に対して評価した。その結果を下表３に示した。
【００２９】
【表３】
【００３０】
１：非常に悪い，２：悪い，３：どちらでもない，4：良い，５：非常に良い
前記表３の結果から確認できるように、表面処理された無機粉体を使用した実施例３はより優れた使用感を有し、特に、広がり性と仕上げ感触において相当優れた品質を有することが分かった。
【００３１】
試験例３：成形性の評価
前記実施例３と比較例１で作られたパウダーファンデーションの成形性を評価した。２つのサンプルを同時に、床から５ｃｍ、１０ｃｍ、１５ｃｍ、２０ｃｍ、２５ｃｍ、３０ｃｍの高さから落として成形性の維持可否を確認した。３０ｃｍの高さから落とした場合の写真を図１に示した。
【００３２】
図１から確認できるように、実施例３のパウダーファンデーションは、３０ｃｍの高さから落とした場合、縁の一部分だけに破損が生じたが、比較例１の場合は全体的に破損の程度が深刻なことが分かり、本発明の表面処理された粉体を使用する場合は製品の成形性が大きく向上することが確認できた。
【特許請求の範囲】
【請求項１】
陽イオン性界面活性剤であるジステアリルジモニウムクロリド（Ｄｉｓｔｅａｒｙｌｄｉｍｏｎｎｉｕｍ Ｃｈｌｏｒｉｄｅ）を無機粉体の総重量に対して０．１〜１０重量％の量で無機粉体にコーティングして表面処理したメークアップ化粧料用無機粉体。
【請求項２】
前記メークアップ化粧料用無機粉体は、マイカ又はセリサイトであることを特徴とする請求項１に記載のメークアップ化粧料用無機粉体。
【請求項３】
請求項１または２に記載の前記の表面処理されたメークアップ化粧料用無機粉体を、化粧料の総重量に対して０．５〜５０重量％含むメークアップ化粧料。
【請求項４】
前記メークアップ化粧料は、ツーウェイケーキ、パウダーファンデーション、フェイスパウダー、アイシャドウ又はパウダーチークの剤形を有することを特徴とする請求項３に記載のメークアップ化粧料。
【請求項１】
陽イオン性界面活性剤であるジステアリルジモニウムクロリド（Ｄｉｓｔｅａｒｙｌｄｉｍｏｎｎｉｕｍ Ｃｈｌｏｒｉｄｅ）を無機粉体の総重量に対して０．１〜１０重量％の量で無機粉体にコーティングして表面処理したメークアップ化粧料用無機粉体。
【請求項２】
前記メークアップ化粧料用無機粉体は、マイカ又はセリサイトであることを特徴とする請求項１に記載のメークアップ化粧料用無機粉体。
【請求項３】
請求項１または２に記載の前記の表面処理されたメークアップ化粧料用無機粉体を、化粧料の総重量に対して０．５〜５０重量％含むメークアップ化粧料。
【請求項４】
前記メークアップ化粧料は、ツーウェイケーキ、パウダーファンデーション、フェイスパウダー、アイシャドウ又はパウダーチークの剤形を有することを特徴とする請求項３に記載のメークアップ化粧料。
【図１】
【公開番号】特開２０１２−７７０８２（Ｐ２０１２−７７０８２Ａ）
【公開日】平成２４年４月１９日（２０１２．４．１９）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１１−２０９４５８（Ｐ２０１１−２０９４５８）
【出願日】平成２３年９月２６日（２０１１．９．２６）
【出願人】（５１１２３２２５９）イーストヒル コーポレーション (1)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２４年４月１９日（２０１２．４．１９）
【国際特許分類】
【出願日】平成２３年９月２６日（２０１１．９．２６）
【出願人】（５１１２３２２５９）イーストヒル コーポレーション (1)
【Ｆターム（参考）】
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