説明

表面処理された不織布

本開示は、複数の連続繊維と、これら繊維のうちの少なくとも一部の繊維の表面上に配置された表面改質物質を含む組成物とを備える不織布に関する。少なくとも一部の繊維が、1つまたは複数のボンドによって互いに接合されている。本開示はまた、そのような不織布を製造する方法および装置ならびにそのような不織布を含む積層体および製品にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
米国特許法第119条のもとで、本出願は、2010年1月12日付の米国仮特許出願第61/294,328号の優先権を主張し、この米国仮特許出願の内容全体が、本参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
[発明の分野]
本開示は、表面処理された不織布、ならびに関連の積層体、製品、装置、および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
紡いだポリマー材料から製造される不織布は、種々さまざまな用途に使用されている。例えば、そのような不織布を、使い捨てのおむつまたは生理用品のカバーシートまたはバックシートとして使用することができる。使い捨てのおむつをより快適にし、乳幼児により良好にフィットするようにすることに大きな関心が存在する。おむつの快適さの重要な一部分は、おむつのトップシート、脚部バリアカフス、および一部の先進の設計においてバックシートフィルムへと積層される布地を含めて、おむつを製作するために使用される不織布の柔らかさである。さらに、一部のおむつの設計においては、柔らかくて快適なフィットを実現するために弾性要素と協働する高度の布地の伸びが必要とされる。
【0004】
また、繊維の蓄積に起因する汚染が、高歪/高せん断のプロセスによる不織布のロールグッド(roll good)の変換の際に、とくには二要素繊維を有する不織布に関して、とくには不織布を他のロールグッド基材へと積層するために接着剤が使用されるプロセスにおいて、直面される大きな問題である。なぜならば、接触圧によって接着剤が多孔質ウェブを通って変換設備の表面上へと押し出され、変換設備の表面がウェブそのものからの遊離繊維を絶えず引き付ける可能性があるからである。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、不織布の表面にポリシロキサンポリマーなどの表面改質剤を含む組成物を少量加えることによって、この布地を使用してパーソナルケア製品(例えば、おむつ)を製造する際の布地の耐摩耗性が大きく改善されるという予期せぬ発見にもとづいている。
【0006】
一態様において、本開示は、複数の連続繊維と、これら複数の連続繊維のうちの少なくとも一部の繊維の表面上に配置された組成物とを含む不織布を主題とする。複数の連続繊維の少なくとも一部が、互いに接合されている。組成物は、表面改質物質(例えば、この不織布を潤滑する物質)を含んでいる。この不織布のサンプルの片面が、320グリットのサンドペーパおよび1ポンドのおもりを使用するSutherland Ink Rub試験(ASTM D−5264)に供されたときに、サンプルの重量減少が0.1mg/cm以下である。いくつかの実施形態においては、各々の繊維が、第1のポリマーおよび第1のポリマーとは異なる第2のポリマーを含んでいる。
【0007】
別の態様において、本開示は、複数の連続繊維と、これらの繊維のうちの少なくとも一部の繊維の表面上に配置された組成物とを含む不織布を主題とする。複数の連続繊維の少なくとも一部が、互いに接合されている。組成物は、表面改質物質(例えば、この不織布を潤滑する物質)を含んでいる。貫通(Strike−through)試験(EDANA ERT 150.5)において5mlの人工尿がこの不織布を通過するのに少なくとも5秒を要する。いくつかの実施形態においては、各々の繊維が、第1のポリマーおよび第1のポリマーとは異なる第2のポリマーを含んでいる。
【0008】
別の態様において、本開示は、複数の連続繊維と、これらの繊維のうちの少なくとも一部の繊維の表面上に配置された組成物とを含む不織布を主題とする。複数の連続繊維の少なくとも一部が、互いに接合されている。この組成物は、不織布の耐摩耗性を改善する物質を含んでいる。Sutherland Ink Rub試験において、摩耗に起因する不織布の重量の減少が、表面改質物質を含む組成物を含まない布地の重量減少よりも少なくとも25%小さい。いくつかの実施形態においては、各々の繊維が、第1のポリマーおよび第1のポリマーとは異なる第2のポリマーを含んでいる。
【0009】
別の態様において、本開示は、バックシートに使用するための不織布を主題とする。この不織布が、複数の連続繊維と、これらの繊維のうちの少なくとも一部の繊維の表面上に配置された組成物とを含んでいる。複数の連続繊維の少なくとも一部が、互いに接合されている。この組成物は、表面改質物質を含んでいる。この表面改質物質は、ポリシロキサンの単独重合体または共重合体を含む。いくつかの実施形態においては、各々の繊維が、第1のポリマーおよび第1のポリマーとは異なる第2のポリマーを含んでいる。
【0010】
別の態様において、本開示は、複数の連続繊維のうちの少なくとも一部の繊維の表面上に配置された組成物を含む不織布を主題とする。この組成物は、表面改質物質を含む。この不織布は、積層体の形成に使用されたときに、この積層体が少なくとも60分間にわたって本明細書に開示のShear Hang Time試験に合格できるようにする。
【0011】
別の態様において、本開示は、複数の連続繊維のうちの少なくとも一部の繊維の表面上に配置された組成物を含む不織布を主題とする。この組成物は、表面改質物質を含む。この不織布は、積層体の形成に使用されたときに、本明細書に開示のSide Creep試験に供されたときに積層体のクリープを12ミリメートル以下にすることができる。
【0012】
別の態様において、本開示は、上述の不織布のうちの1つと、この不織布に取り付けられた層とを含む不織積層体を主題とする。
【0013】
別の態様において、本開示は、上述の不織布または不織積層体を含んでいるパーソナルケア製品(例えば、使い捨てのパーソナル製品)を主題とする。
【0014】
別の態様において、本開示は、複数の連続繊維を含む不織布を形成するステップと、この不織布の少なくとも一部分の表面上に組成物(例えば、水溶液または乳剤)を配置するステップとを含む方法を主題とする。各々の繊維が、第1のポリマーおよび第1のポリマーとは異なる第2のポリマーを含んでいる。この組成物は、表面改質物質(例えば、不織布を潤滑する物質)を含んでいる。この不織布のサンプルの片面が、320グリットのサンドペーパおよび1ポンドのおもりを使用するSutherland Ink Rub試験に供されたときに、このサンプルの重量減少が0.1mg/cm以下である。
【0015】
別の態様において、本開示は、複数の連続繊維を含む不織布を形成するステップと、この不織布の少なくとも一部分の表面上に組成物を配置するステップとを含む方法を主題とする。各々の繊維が、第1のポリマーおよび第1のポリマーとは異なる第2のポリマーを含んでいる。この組成物は、表面改質物質(例えば、不織布を潤滑する物質)を含んでいる。5mlの人工尿が、貫通試験において少なくとも5秒で不織布を通過する。
【0016】
別の態様において、本開示は、複数の連続繊維を含む不織布を形成するステップと、この不織布の少なくとも一部分の表面上に組成物を配置するステップとを含む方法を主題とする。各々の繊維が、第1のポリマーおよび第1のポリマーとは異なる第2のポリマーを含んでいる。この組成物は、不織布の耐摩耗性を改善する物質を含んでいる。Sutherland Ink Rub試験において、摩耗に起因する不織布の重量の減少が、表面改質物質を含む組成物を含まない布地の重量減少よりも少なくとも25%小さい。
【0017】
別の態様において、本開示は、複数の連続繊維を含む不織布を形成するステップと、この不織布の少なくとも一部分の表面上に組成物を配置して、バックシートを形成するステップとを含む方法を主題とする。各々の繊維が、第1のポリマーおよび第1のポリマーとは異なる第2のポリマーを含んでいる。この組成物は、表面改質物質を含んでいる。この表面改質物質が、ポリシロキサンの単独重合体または共重合体を含んでいる。
【0018】
別の態様において、本開示は、吸収性物品の変換のための装置を主題とする。この装置は、ウェブに接触するように構成された接触面を備え、この接触面の少なくとも一部分が、表面改質物質を含む組成物を含んでいる。
【0019】
実施形態は、以下の随意による特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0020】
前記不織布のサンプルの片面が320グリットのサンドペーパおよび1ポンドのおもりを使用するSutherland Ink Rub試験に供されたときに、このサンプルの重量減少が0.1mg/cm以下である。
【0021】
前記表面改質物質が、ポリシロキサン(例えば、ポリ(ジメチルシロキサン)などのポリ(ジアルキルシロキサン))の単独重合体または共重合体を含む。例えば、前記組成物が、ポリ(ジアルキルシロキサン−コ−アルキレングリコール)(例えば、ポリ(ジメチルシロキサン−コ−アルキレングリコール))を含む。
【0022】
前記ポリシロキサンの単独重合体または共重合体が、前記組成物の総重量の少なくとも50%(例えば、少なくとも70%)である。
【0023】
前記組成物が、乳剤を形成するための乳化剤をさらに含む。この乳化剤は、アルコキシポリエトキシエタノール、ポリアルキレングリコールポリマー、またはポリアルキレングリコールポリマーのアルキルモノエーテルを含むことができる。
【0024】
前記組成物が、不織布の総重量の0.01重量%以上かつ0.5重量%以下(例えば、0.1重量%以下または0.04重量%以下)である。種々の実施形態において、前記組成物を、i)不織布の総重量の0.15%以下かつ不織布の総重量の0.005%以上、ii)不織布の総重量の0.1%以下かつ不織布の総重量の0.01%以上、iii)不織布の総重量の0.08%以下かつ不織布の総重量の0.01%以上、および/またはiv)不織布の総重量の0.06%以下かつ不織布の総重量の0.01%以上とすることができる。
【0025】
種々の実施形態においては、前記組成物を、i)不織布の総重量の0.45%以下かつ不織布の総重量の0.0225%以上、ii)不織布の総重量の0.335%以下かつ不織布の総重量の0.045%以上、iii)不織布の総重量の0.225%以下かつ不織布の総重量の0.1%以上、および/またはiv)不織布の総重量の0.18%以下かつ不織布の総重量の0.125%以上とすることができる。いくつかの実施形態においては、前記組成物を、不織布の総重量の0.12%〜0.20%(例えば、0.12%〜0.14%)とすることができる。
【0026】
本開示の実施形態は、二要素の繊維に関するが、本開示の実施形態は、単一の要素(例えば、ポリマーの混合物などの複数の成分によって形成された単一の要素)を有し、あるいは3つ以上の要素を有するさまざまな種類の繊維にも適用可能である。
【0027】
各々の繊維が、第1および第2のポリマーの混合物を含む。
【0028】
各々の繊維が、第1のポリマードメインおよび第2のポリマードメインを含み、第1のポリマードメインが第1のポリマーを含み、第2のポリマードメインが第2のポリマーを含む。
【0029】
第1のポリマードメインが、芯として構成され、第2のポリマードメインが、鞘として構成される。芯および鞘が、90:10〜10:90(例えば、80:20〜20:80または75:25〜65:35)の範囲の重量比を有する。
【0030】
第1のポリマーが、ポリプロピレンポリマーであり、第2のポリマーが、ポリエチレンポリマーである。
【0031】
前記複数の連続繊維が、25μm以下の平均径を有する。
【0032】
不織布が、縦方向および横方向の少なくとも一方において、少なくとも70パーセントのピーク荷重時伸びを有する。
【0033】
不織布が水溶液を生成するように水で抽出されたときに、この水溶液が55ダイン/cmよりも大きい表面張力を有する。
【0034】
前記複数の連続繊維が、スパンボンド繊維である。
【0035】
不織布が、2つ以上の層(例えば、2つ、3つ、4つ、または5つ以上の層)を含む。これら2つ以上の層の各々が、スパンボンド(spunbond)繊維を含む。いくつかの実施形態においては、前記2つ以上の層のうちの少なくとも1つが、スパンボンド繊維を含み、前記2つ以上の層のうちの少なくとも別の1つが、メルトブロー(meltblow)繊維を含むことができる。
【0036】
不織布が、接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)をさらに含む。
【0037】
不織布が、積層体の形成に使用されたときに、この積層体が少なくとも90分間(例えば、少なくとも120分間、少なくとも150分間、または少なくとも180分間)にわたって本開示のShear Hang Time試験に合格できるようにする。
【0038】
不織布が、積層体の形成に使用されたときに、本開示のSide Panel Creep試験に供されたときにこの積層体のクリープを、11ミリメートル以下(例えば、10ミリメートル以下、9ミリメートル以下、8ミリメートル以下、7ミリメートル以下、または6ミリメートル以下)にすることができる。
【0039】
前記積層体の層が、第2の不織布(例えば、メルトブロー布地)またはフィルム(例えば、伸張性フィルムまたは弾性フィルム)を含む。
【0040】
前記積層体の不織布が、機械的な引き伸ばしによって恒久的に伸ばされる。
【0041】
Sutherland Ink Rub試験において、摩耗に起因する不織布の重量の減少が、ポリシロキサンの単独重合体または共重合体を含む組成物を含まない布地の重量減少よりも少なくとも25%小さい。
【0042】
前記パーソナルケア製品(例えば、使い捨てのパーソナルケア製品)を、例えばおむつ(例えば、パンツ型のおむつ、トレーニングパンツおむつ、テープ式おむつ、または機械ファスナ式おむつ)、失禁パッド、失禁ブリーフ、生理用ナプキン、包帯、またはスライディングシート(例えば、患者を或るベッドから別のベッドへと移すための)とすることができる。
【0043】
前記方法が、不織布を形成するステップにおいて、第1および第2のポリマーを溶融させる工程と、溶融させた第1のポリマーを第1の押し出し装置を通って押し出し、溶融させた第2のポリマーを第2の押し出し装置を通って押し出して、押し出しによる繊維を形成する工程とを含む。不織布を形成するステップは、前記押し出しによる繊維をコレクタ上に配置する工程をさらに含むことができる。押し出しによる繊維をコレクタ上に配置した後で、前記方法は、不織布を形成するステップにおいて、複数の連続繊維のうちの少なくとも一部の繊維の間に(例えば、機械的な穿刺(needling)、熱接合、超音波接合、または化学結合によって)ボンドを形成する工程をさらに含むことができる。
【0044】
前記方法が、前記組成物の配置後の不織布へと層(例えば、メルトブロー布地や、伸張性または弾性フィルムなどのフィルム)を取り付け、それによって不織積層体を形成するステップをさらに含む。次いで、この積層体を(例えば、リングロールによって)引き伸ばして、使い捨てのパーソナルケア製品を形成することができる。
【0045】
前記方法が、不織布の少なくとも一部分の表面上に前記組成物を配置した後で、この不織布へと接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)を塗布するステップをさらに含む。
【0046】
不織布の少なくとも一部分の表面上に配置される前記組成物が、前記表面改質物質を含む水溶液または乳剤を含む。そのような組成物が、キスロールを使用し、あるいは噴霧などの別の表面コーティング方法によって、不織布の少なくとも一部分の表面上に配置される。
【0047】
前記装置が、ローラ、ガイド、ブレード、またはリングロールをさらに備え、前記接触面の少なくとも一部分が、前記ローラ、ガイド、ブレード、またはリングロール上に位置する。いくつかの実施形態においては、装置のこれらの構成要素上の接触面の1つまたは複数の部分を、上述の表面改質組成物で処理することができる。
【0048】
実施形態は、以下の利点のうちの1つまたは複数をもたらすことができる。
【0049】
いくつかの実施形態において、不織布の多要素繊維の少なくとも一部の表面を少量(例えば、不織布の0.2重量%以下または0.04重量%以下)の上述の組成物で処理するだけで、繊維の耐摩耗性を大きく向上させることができ、(例えば、この不織布を使用するパーソナルケア製品の製造の際に)摩耗性の表面および/または引き伸ばし時の機械的な力に曝されたときの繊維の破損または繊維の抜け出しを大きく減らすことができる。さらに、いくつかの実施形態においては、少量の上述の組成物で処理された不織布の表面の疎水性が、組成物による処理のない布地と同様の疎水性を有することができる。そのような実施形態において、おむつのバックシート(典型的には、疎水性表面を有する)の製造を、製造時に破損された繊維によって引き伸ばし装置(例えば、リング圧延装置)を汚染することなく行なうために、この不織布を使用することができる。
【0050】
表面改質組成物の追加は、例えば不織布から加工設備へと表面改質剤が連続的に受け渡されることで、不織布の積層に使用される接着剤が不織布を通って加工設備へと移動することが防止され、したがって遊離繊維の設備への付着が最小限となるため、不織布の加工性を改善する。
【0051】
本明細書に記載のレベルで表面改質物質によって処理された不織布を含む製品は、物質が低レベルであるがゆえに不織布における化学的/機械的な結合の相互作用を妨げないと予想されるため、良好な機能を維持することができる。したがって、本明細書に記載のレベルで表面改質物質によって処理された不織布を含む積層体は、本明細書に記載のとおりに弾性クリープおよびせん断吊り下げ時間について試験されたときに、良好な性能を示すべきである。
【0052】
本開示の他の特徴、目的、および利点が、明細書および図面ならびに特許請求の範囲から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】複数の多要素繊維で形成されたスパンボンド不織布の斜視図である。
【図2】多要素繊維の斜視図である。
【図3】図1に示した不織布を含む不織積層体の斜視図であり、それぞれの層が図を分かり易くするために露出されている。
【図4】図1に示した不織布を含む三層不織積層体の斜視図である。
【図5】前部で固定することができる着用可能な吸収性物品を示している内側の平面図である。
【図6】パンツ型の着用可能な吸収性物品を示している内側の平面図である。
【図7】生理用ナプキン吸収性物品を示している内側の平面図である。
【図8】例示的なリング圧延装置を示している。
【発明を実施するための形態】
【0054】
図1は、複数の連続多要素繊維12で形成され、その繊維の少なくとも一部(例えば、すべて)が複数の間欠的なボンド14によって互いに接合されているスパンボンド不織布10の斜視図である。本明細書において使用されるとき、用語「不織布」は、一体に接合された連続繊維の1つまたは複数の層を指す。本明細書において、用語「連続繊維」は、フィラメントを指す。フィラメントは、典型的には、不織布の長さまたは幅とは無関係かつ不織布の長さまたは幅とは異なる明確な長さ(例えば、1.5インチ)を有する短繊維と対照的に、不織布の全長または全幅の大部分にわたって延びる繊維である。不織布を、連続繊維またはフィラメントを押し出して布地としてもたらす連続プロセスにて形成することができる。次いで、不織布を特定のサイズ(明確な長さおよび幅を有する)へと切断することができ、連続繊維またはフィラメントが、通常は不織布の長さまたは幅以上の長さを有すると考えられる。例示的な多要素繊維12が、図2に示され、さらに詳しく後述される。一般に、不織布10は、比較的可撓性かつ多孔性である平坦な構造を備えている。本開示の実施形態は、不織布に向けられているが、本開示の実施形態は、種々の他の種類の繊維ウェブにも適用可能であると考えられる。
【0055】
いくつかの実施形態においては、不織布10の多要素繊維12の少なくとも一部(例えば、繊維のすべて)が、表面上に表面改質組成物(例えば、表面改質剤を含んでいる組成物)を含んでいる。例えば、組成物を、布地の表面へともたらすことができ、その表面を形成している繊維が、この組成物を含むことができる。一般に、この組成物は、表面改質剤を含み、随意により乳化剤を含む。表面改質剤を、界面活性剤または潤滑剤(例えば、不織布10を滑らかにする物質)とすることができる。
【0056】
理論に拘束されるつもりはないが、表面改質剤は、以下の機能、すなわち不織布を潤滑してリング圧延による引き伸ばしの際に不織布を保護する機能、不織布の耐摩耗性を改善する機能、引き伸ばし時の繊維の破損または繊維の抜け出しを軽減する機能、傷んだ繊維のくずおよび接着剤をリングロールの表面から取り除く機能、および積層体の不織布−フィルムの界面の接着剤が布地を通ってリングロールの表面へと移行することを防止し、リングロールの表面の汚染を最小限にする機能、のうちの1つまたは複数を果たすことができると考えられる。したがって、これらの機能のうちの1つまたは複数をもたらすどんな材料でも、本明細書に記載の表面改質剤として有用であることができる。
【0057】
表面改質剤を、ポリシロキサンポリマー(例えば、ポリシロキサンの単独重合体または共重合体)とすることができる。例えば、ポリシロキサンポリマーを、ポリ(ジアルキルシロキサン)単独重合体(例えば、ポリ(ジメチルシロキサン))またはポリ(ジアルキルシロキサン)共重合体(例えば、ポリ(ジメチルシロキサン−コ−アルキレングリコール))とすることができる。ポリ(ジアルキルシロキサン)の単独重合体および共重合体は、米国特許第4,169,905号明細書、第4,324,720号明細書、および第5,811,482号明細書に記載されているものなど、当技術分野で知られている。いくつかの実施形態においては、ポリシロキサンポリマーを、乾燥状態(例えば、水などの溶媒を有さない)の表面改質組成物の総重量の少なくとも50%(例えば、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%)または最大で100%(例えば、最大で95%、最大で90%、最大で85%、最大で75%、最大で65%、または最大で55%)にすることができる。
【0058】
いくつかの実施形態においては、ポリシロキサン共重合体が、疎水性モノマー単位(例えば、シロキサンモノマー単位)および親水性モノマー単位(例えば、アルキレングリコールモノマー単位)を含むことができる。そのようなポリシロキサン共重合体の疎水性は、共重合体における疎水性モノマー単位と親水性モノマー単位との間のモル比に依存して変化することができる。いくつかの実施形態においては、ポリシロキサン共重合体が、不織布10の表面の疎水性を維持するために充分な量の疎水性モノマー単位と、共重合体を容易な塗布(例えば、キスロールによる)のために水中に容易に乳化させることができるような充分な量の親水性モノマー単位とを含む。例えば、おむつのバックシート(典型的には、充分に高い疎水性を有する)を製造するために、不織布10の表面の表面改質組成物は、疎水性モノマー単位と親水性モノマー単位との間のモル比が少なくとも2:1(例えば、少なくとも3:1、少なくとも4:1、少なくとも5:1、または少なくとも6:1)である疎水性ポリシロキサンポリマー、または最大で10(例えば、最大で8、最大で6、最大で5、最大で4、最大で2、または最大で1)という親水性親油性バランス(HLB)値を有する疎水性ポリシロキサンポリマーを含むことができる。
【0059】
種々の実施形態においては、不織布を、不織布が親水性になるように本開示の表面改質剤で処理することもできる。
【0060】
いくつかの実施形態においては、表面改質剤を、合成繊維の製造に典型的に使用される潤滑剤などの潤滑剤とすることができる。そのような潤滑剤の例として、精製ホワイト油、あるいは脂肪族のC8〜C18の分岐鎖または直鎖の飽和または不飽和のカルボン酸と一水酸基の脂肪族のC3〜C18の分岐鎖または直鎖のアルコールとのモノまたはジエステルが挙げられる。エステルは、一般に、35℃で測定したときに10〜100%の相対湿度範囲において15〜40センチポアズ未満の粘度を有する。例示的なエステルとして、ステアリン酸ブチル、パルミチン酸イソブチル、ステアリン酸オクチル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソセチル、セバシン酸ジオクチル、トリメチロールプロパントリペラルゴネート、ペンタエリトリトールテトラペラルゴナート、鉱油、ココナッツ油、トウモロコシ油、およびマッコウクジラ油が挙げられる。他の例は、例えば米国特許第3,997,450号明細書に記載されている。
【0061】
いくつかの実施形態においては、表面改質剤を、飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸(例えば、リシノール酸などのオメガ9の不飽和脂肪酸)とすることができる。
【0062】
一般に、表面改質組成物において乳化剤が、表面改質剤(例えば、ポリシロキサンポリマー)を溶媒(例えば、水性溶媒)に分散することができるようにするために使用される。適切な乳化剤の例として、アルコキシポリエトキシエタノール、ポリアルキレングリコールポリマー、およびポリアルキレングリコールポリマーのアルキルモノエーテルが挙げられる。いくつかの実施形態においては、乳化剤を、乾燥状態(例えば、水などの溶媒を有さない)の表面改質組成物の総重量の最大で50%(例えば、最大で40%、最大で30%、最大で20%、最大で10%、最大で7%、または最大で5%)または少なくとも0%(例えば、少なくとも3%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、または少なくとも25%)にすることができる。いくつかの実施形態においては、表面改質組成物が乳化剤を含まない。例えば、表面改質剤(例えば、ポリシロキサンポリマー)が組成物に使用される溶媒(例えば、有機溶媒)に可溶である場合には、組成物が乳化剤を含む必要がない。
【0063】
いくつかの実施形態においては、表面改質剤を、不織材料上での印刷のためのインクの溶液などの他の組成物に含ませることができる。種々の実施形態においては、表面改質組成物を、透明または不透明にすることができる。
【0064】
いくつかの実施形態においては、乾燥状態(例えば、水などの溶媒を有さない)の表面改質組成物が、70重量%〜90重量%のポリ(ジメチルシロキサン−コ−アルキレングリコール)共重合体および10重量%〜30重量%のポリアルキレングリコールを含むことができる。市販のそのような組成物の例が、Momentive Performance Materials(ニューヨーク州Albany)のSILWET L−7602である。いくつかの実施形態においては、乾燥状態の表面改質組成物が、少なくとも80重量%のポリ(ジメチルシロキサン)単独重合体および3重量%〜7重量%のアルコキシポリエトキシエタノールを含むことができる。市販のそのような組成物の例が、Goulston Technologies, Inc.(ノースカロライナ州Monroe)のLUROL 3503である。
【0065】
いくつかの実施形態においては、表面改質組成物が、組成物中の有効成分の不織布10の表面への塗布を容易にするために、溶液または乳剤を形成するための溶媒をさらに含むことができる。溶媒は、一般に、表面改質組成物で覆われるべき繊維に使用されるポリマーを実質的に溶かさない。適切な溶媒の例として、水または有機溶媒(例えば、アルコールなどの極性有機溶媒)が挙げられる。例えば、表面改質組成物を、不織布10の表面上に塗布する前に、水性乳剤(例えば、水に分散された表面改質剤を含んでいる)または水溶液(例えば、水とアルコールとの混合物に溶解された表面改質剤を含んでいる)とすることができる。他の例として、表面改質組成物を、不織布10の表面上への塗布に先立って、有機溶媒(例えば、アルコール)に溶解された表面改質剤を含んでいる有機溶液とすることができる。
【0066】
不織布10上の乾燥状態(例えば、水などの溶媒を有さない)の表面改質組成物の量を、所望に応じて変えることができる。一般に、表面改質組成物の量は、繊維の耐摩耗性を改善するために充分に多く、布地10の接着性との干渉を少なくし、製造コストを低くするために充分に少ない。とりわけ、表面改質組成物の量が少なすぎる場合、布地10の繊維の耐摩耗性を効果的に改善することができない。他方で、表面改質組成物の量が多すぎる場合、製造コストが上昇し、布地の親水性が望ましいレベルを超えて高くなり、最終のパーソナルケア製品(例えば、おむつ)における布地10と他の層(例えば、伸張性のポリオレフィンフィルム)との間の接着が弱くなる可能性がある。また、表面改質組成物の量を、使用される表面改質剤および乳化剤の種類および量にもとづいて変えることも可能である。いくつかの実施形態においては、乾燥状態の表面改質組成物を、布地10の総重量の最大で0.5重量%(例えば、最大で0.3重量%、最大で0.15重量%、最大で0.1重量%、最大で0.08重量%、最大で0.06重量%、最大で0.04重量%、または最大で0.02重量%)または少なくとも0.005重量%(例えば、少なくとも0.01重量%)にすることができる。期せずして、いくつかの実施形態においては、不織布10の多要素繊維12の少なくとも一部の表面を、乾燥状態において上述のように実に少ない量(例えば、不織布の最大で0.2重量%または最大で0.4重量%)の表面改質組成物で処理することによって、繊維の耐摩耗性を大きく向上させることができ、(例えば不織布を使用するパーソナルケア製品の製造の際に)摩耗性の表面および/または引き伸ばし時の機械的な力に曝されたときの繊維の破損または繊維の抜け出しを大きく減らすことができる。さらに、いくつかの実施形態においては、上述の少量の組成物によって処理された不織布の表面の疎水性が、組成物による処理がない不織布と同様の疎水性を有する。そのような実施形態においては、おむつのバックシートまたは側パネル(典型的には、疎水性の表面を有する)の製造を、製造時に損傷した繊維によって引き伸ばし装置(例えば、リング圧延機)を汚染することなく行なうために不織布を使用することができる。上述の表面改質組成物は、単一要素繊維で作られた布地と比べ、多要素繊維(例えば、鞘/芯の構造を有している)から作られた布地にとくに有用である。なぜならば、多要素繊維に使用されるポリマー組成物のうちの1つ(例えば、鞘/芯の構造における鞘)が、引き伸ばしの際に比較的容易に破損または摩耗しがちであるからである。
【0067】
いくつかの実施形態においては、表面改質剤の性質に応じて、少量(例えば、最大で0.04重量%)の表面改質剤(例えば、Silwet L−7602)で処理された不織布10が、疎水性の表面を有することができる一方で、大量の同じ表面改質剤で処理された不織布10が、親水性の表面を有することができる。
【0068】
不織布10の繊維の耐摩耗性を、Sutherland Ink Rub試験における不織布の重量減少によって表わすことができる。Sutherland Ink Rub試験は、ASTM D−5264に一般的に記載され、後述される実施例の箇所ならびに例えば米国特許第7,491,770号明細書および米国特許出願公開第2002/0119720号明細書にさらに具体的に記載されている。例えば、不織布10のサンプルの面が、320グリットのサンドペーパおよび1ポンドの重量を使用するSutherland Ink Rub試験に曝されるとき、サンプルは、Sutherland Ink Rub試験において最大で0.1mg/cm(例えば、最大で0.09mg/cm、最大で0.08mg/cm、最大で0.07mg/cm、最大で0.06mg/cm、最大で0.05mg/cm、または最大で0.04mg/cm)の重量減少を有することができる。いくつかの実施形態においては、Sutherland Ink Rub試験において、摩耗に起因する不織布10の重量の減少が、表面改質剤を含む組成物を含んでいない布地による重量減少よりも少なくとも15%(例えば、少なくとも20%または少なくとも25%)少ない。
【0069】
いくつかの実施形態においては、理論に拘束されるつもりはないが、不織布10の表面が、上述の表面改質組成物とともに、表面改質組成物を有さない表面の疎水性と同様の疎水性を有することができると考えられる。いくつかの実施形態においては、不織布10の疎水性を、布地10の表面から表面改質剤を抽出するために使用される水の表面張力によって特徴づけることができる。そのような特徴表現方法が、ASTM D−1331に一般的に記載され、後述の実施例の箇所でさらに具体的に説明される。いくつかの実施形態においては、表面改質剤を、水を使用して抽出した後で、水が55ダイン/cmよりも大きい(例えば、60ダイン/cmよりも大きく、65ダイン/cmよりも大きく、70ダイン/cmよりも大きく、71ダイン/cmよりも大きく、72ダイン/cmよりも大きく、73ダイン/cmよりも大きく、あるいは74ダイン/cmよりも大きい)表面張力を有する。そのような布地は、おむつのバックシートとしての使用に適することができる。
【0070】
いくつかの実施形態においては、不織布10の疎水性を、貫通試験において特定の量(例えば、5ml)の人工の尿が布地10を通過する時間を測定することによって特徴づけることができる。そのような貫通試験は、EDANA試験法150.5−02に一般的に記載され、後述の実施例の箇所でさらに具体的に説明される。EDANA試験法150.5−02において使用される人工の尿は、蒸留水に9g/LのNaCl溶液を含んでおり、70±2ダイン/cmの表面張力を有する。例えば、不織布10は、貫通試験において5mlの人工の尿が布地を通過するために少なくとも5秒(例えば、少なくとも10秒、少なくとも20秒、少なくとも50秒、または少なくとも100秒)を要するような疎水性を有することができる。対照的に、親水性の表面を有する布地(おむつのトップシートとして使用される布地など)は、同じ条件のもとで測定したときに5秒未満(例えば、2〜3秒)の貫通時間を有する。
【0071】
理論に拘束されるつもりはないが、表面改質組成物を加えることにより、不織布の加工性が改善されると考えられる。例えば、おむつへの変換プロセスにおいて処理済みの不織布に接触する加工設備の部分が、この変換プロセスにおいて接触部分が不織布から移動する接着剤または繊維を捕捉することがないよう、不織布から移動する表面改質剤を連続的に受け取ることができる。これらの部分を、鋼、アルミニウム、炭化タングステン、他の金属合金、または他の材料で製作することができる。種々の実施形態においては、処理済みの不織布と接触する加工設備の部分を、酸化ニッケルポリマーから由来する恒久的な圧縮された非導電性のコーティングなど、追加のコーティングで覆うことができる。例として、コーティングを、ニュージャージー州LindenのMagnaplate Companyから入手できるNEDOXコーティングとすることができる。
【0072】
上述の表面改質組成物を、不織布の少なくとも一部分の表面、したがって不織布10の少なくとも一部の多要素繊維の表面上に、連続的または不連続(例えば、組成物の量が少ない場合)に分布させることができる。表面改質組成物が不織布の表面に不連続に分布される場合、表面の特定の領域が組成物によって覆われない。
【0073】
パーソナルケア製品の製造のために、不織布10は、(i)柔軟性、(ii)尿と接着剤との両者に対するバリア能力、(iii)(例えばリング圧延による)引き伸ばしの際の形成、強度、および伸展性、ならびに(iv)紡糸の経済性という潜在的に相反する要件をバランスさせるための適切なデニール(すなわち、線密度)の多要素繊維を含むことができる。例えば、多要素繊維12は、フィラメント当たり最大5デニール(例えば、フィラメント当たり最大4デニール、フィラメント当たり最大3デニール、またはフィラメント当たり最大2デニール)またはフィラメント当たり少なくとも0.5デニール(例えば、フィラメント当たり少なくとも1デニール、フィラメント当たり少なくとも1.5デニール、またはフィラメント当たり少なくとも2デニール)の線密度を有することができる。好ましくは、多要素繊維12が、フィラメント当たり1〜5デニールの間(フィラメント当たり1.5〜4デニールの間、またはフィラメント当たり2〜3デニールの間)の線密度を有することができる。いくつかの実施形態においては、不織布10が、カーペットの製造に使用されるカーペット布地と比べ、より小さい線密度を有する繊維を含む。そのような不織布10は、典型的には、比較的小さい平均径の多要素繊維12を含む。例えば、多要素繊維12が、最大25μm(例えば、最大20μm、最大15μm、または最大10μm)または少なくとも5μm(例えば、少なくとも8μm、少なくとも13μm、または少なくとも18μm)の平均径を有することができる。
【0074】
一般に不織布10は、(i)柔軟性、(ii)バリア性、(iii)引き伸ばしの際の形成、強度、および伸展性、ならびに(iv)コストという要件をバランスさせるための適切な坪量を有することができる。例えば、不織布10は、おむつのトップシート、バックシート、または側パネルとして使用される場合、8〜40g/m(例えば、10〜30g/mまたは12〜25g/m)の坪量を有することができる。
【0075】
不織布10は、繊維からなる1つの層を含むことができ、あるいは繊維からなる2つ以上の層(例えば、2つ、3つ、4つ、または5つ以上の層)を含むことができる。例えば、布地10が2つ以上の層を含む場合、各々の層が、例えばS、SS、またはSSSタイプの布地を形成するためのスパンボンド(S)繊維を含むことができる。種々の実施形態において、不織布10が本明細書に記載の表面改質組成物で処理される場合、不織布を、スパンボンド繊維からなる1つまたは複数の層で、メルトブロー繊維などの他の種類の繊維を必要とせずに形成することができる。そのような実施形態において、本開示の積層体は、スパンボンド繊維のみで作られた不織布を有することができる。他の種類の繊維(例えば、メルトブロー繊維)を必要とせずにスパンボンド繊維を使用することができることで、貫通性能の向上、スパンボンド繊維上のグラフィックの明瞭さの向上、および通気性の向上など、いくつかの潜在的な利点がもたらされる。
【0076】
本明細書に記載の積層体の通気性は、空気の透過率を測定することによって評価することができる。本明細書において使用されるとき、空気の透過率は、試験方法GCAS 95059095によって以下のパラメータ、すなわち試験dp=125PAおよび試験領域=38cmにて測定され、単位はメートル/分である。種々の実施形態において、本開示の積層体は、70〜200メートル/分(例えば、90〜200メートル/分、110〜200メートル/分、または130メートル/分)の空気の透過率を有することができる。
【0077】
不織布10はまた、布地からなる2つ以上の層を含むこともでき、少なくとも1つの層が、他の層の繊維の形成に使用される方法とは異なる方法によって形成された繊維を含むことができる。例えば、布地10が、繊維からなる2つ以上の層を含む場合に、少なくとも1つの層がスパンボンド繊維を含むことができ、少なくとも1つの別の層がメルトブロー(M)繊維を含むことができる。そのような布地において、スパンボンド繊維を含む層およびメルトブロー繊維を含む層を、所望に応じた任意の順序に配置することができる。例えば、層をSM、SMS、SMMS、またはSSMMSの順序で配置することができる。そのような実施形態において、スパンボンド繊維およびメルトブロー繊維を、当技術分野において知られている材料を使用することによって形成できる。例えば、スパンボンド繊維を、本明細書に記載の多要素繊維12とすることができ、メルトブロー繊維を、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、またはこれらの共重合体)またはポリエステル(例えば、PET)を使用することによって形成することができる。メルトブロー繊維を、単一要素繊維または多要素繊維とすることができる。いくつかの実施形態においては、メルトブロー繊維が、スパンボンド繊維よりも小さい平均径(例えば、約3〜6μm)を有することができる。
【0078】
不織布10を、スパンボンディングなどの当技術分野においてよく知られている方法によって製造することができる。スパンボンド不織布10を、知られているスパンボンドプロセス(例えば、Reifenhauser−3またはReifenhauser−4のプロセス)によって製造することができる。例えば、多要素繊維を製作するためのポリマーを溶融させた後で、溶融ポリマーを押し出し装置から押し出すことができる。次いで、溶融ポリマーを、複合紡糸オリフィスを有するスピナレットへと案内し、このスピナレットによる紡糸によって多要素繊維(例えば、連続的な多要素繊維)を形成することができる。その後に、繊維を(例えば、冷気によって)急冷し、機械式または空気式(例えば、高速の流体によって)にて縮径し、コレクタ(例えば、移動するワイヤまたはベルトなどの移動する基材)の表面上に無作為な配置にて集めて、不織ウェブを形成することができる。いくつかの実施形態においては、急冷および縮径の能力が異なる複数のスピナレットを使用し、多要素のスパンボンド繊維12からなる1つまたは複数(例えば、2つ、3つ、4つ、または5つ)の層をコレクタ上に配置して、スパンボンド繊維からなる1つまたは複数の層を含む布地(例えば、S、SS、またはSSSタイプの布地)を形成することができる。いくつかの実施形態においては、メルトブロー繊維からなる1つまたは複数の層を、上述のスパンボンド繊維からなる層の間に挿入し、スパンボンド繊維およびメルトブロー繊維の両方を含む布地(例えば、SMS、SMMS、またはSSMMSタイプの布地)を形成することができる。
【0079】
次いで、複数の間欠的なボンド14を、少なくとも一部の繊維(例えば、繊維のすべて)の間に形成し、単一の密着した不織布を形成することができる。ボンド14を、機械的な穿刺、熱接合、超音波接合、または化学結合などの適切な方法によって形成することができる。ボンド14を、共有結合(例えば、化学結合によって形成される)または物理的な取り付け(熱接合によって形成される)とすることができる。好ましくは、ボンド14が熱接合によって形成される。例えば、ボンド14を、点接合パターン(例えば、連続的または不連続なパターン)を有するカレンダロールを使用するプロセスなど、知られている熱接合の技法によって形成することができる。ボンド14は、不織布10の総面積の6〜40パーセント(例えば、8〜30パーセントまたは22〜28パーセント)を覆うことができる。理論に拘束されるつもりはないが、これらのパーセントの範囲で布地10にボンドを形成することで、布地の強度および完全性を維持しながら、引き伸ばし時に布地10の全領域にわたる伸びを可能にすることができる。
【0080】
ボンド14の形成後に、上述の表面改質組成物を、当技術分野においてよく知られている方法によって不織布10の少なくとも一部の多要素繊維の表面へと塗布することができる。例えば、表面改質剤および/または乳化剤が液体である場合、表面改質組成物を、溶媒を含ませることなく知られているコーティング法(例えば、スプレーコーティング、溶液コーティング、または印刷コーティング)によって表面へと直接塗布することができる。あるいは、表面改質剤および/または乳化剤が液体である場合に、それらを最初に溶媒(例えば、水性または有機溶媒)で希釈して溶液、乳剤、または分散液を形成し、知られているコーティング法によって(例えば、キスロールの使用または噴霧などの他の塗布方法によって)不織布10の少なくとも一部の多要素繊維の表面へと塗布し、次いで乾燥させて表面改質組成物を形成することができる。表面改質剤および/または乳化剤が固体である場合には、それらを最初に溶媒(例えば、水性または有機溶媒)に溶かし、あるいは分散させて溶液、乳剤、または分散液を形成し、次いでこれを不織布10の少なくとも一部の多要素繊維の表面へと塗布して表面改質組成物を形成することができる。また、表面改質剤および/または乳化剤を泡にして不織布10の少なくとも一部の多要素繊維の表面へと塗布することもできる。
【0081】
代案として、多要素繊維12を接合してボンド14を形成する前に、表面改質組成物を、不織布10の少なくとも一部の多要素繊維の表面上に塗布することができる。例えば、押し出しによる繊維をコレクタ上に堆積させ、溶液または乳剤としての表面改質組成物を押し出しによる繊維の表面上に塗布し、溶液または乳剤を乾燥させ、次いでこのように形成された多要素繊維の少なくとも一部の間にボンドを形成して、不織布を形成することができる。別の実施例として、不織布10を、(1)多要素繊維12が紡糸によって形成された後で、表面改質剤および/または乳化剤を含む溶液を急冷ゾーンの急冷用の空気へと霧状にして導入し、(2)得られた多要素繊維12を空気による縮径プロセスにおいて乾燥させ、(3)このようにして形成された繊維をコレクタ上に堆積し、次いで(4)少なくとも一部の多要素繊維の間にボンドを形成して、不織布10を製造することができる。
【0082】
いくつかの実施形態においては、不織布10が積層体を形成すべく接着剤によって別の層(例えば、メルトブロー布地またはフィルム)へと取り付けられた後で、表面改質剤を、不織布10の少なくとも一部の多要素繊維の表面上に形成することも可能である。他の実施形態においては、表面改質剤を、そこから不織布の繊維が生成されるマスターバッチ材料に含ませることが可能である。
【0083】
表面改質組成物が不織布10上に形成された後で、布地を、当技術分野において知られている方法により(例えば、リング圧延機の使用により)パーソナルケア製品(例えば、おむつ)の製造に使用することができる。
【0084】
図2に、図1に示した不織布10の製造に使用することができる例示的な多要素繊維20を示している。多要素繊維20が、第1のポリマードメイン22および第2のポリマードメイン24を含んでいる。本明細書において使用されるとき、用語「ドメイン」は、1つまたは複数の他の要素へと無作為に分散された要素と対照的に、別個の構造とされた要素を指す。例えば、本明細書において言及されるポリマードメインを、繊維の全長にわたって連続的に延びるように、多要素繊維の断面における別個の領域に配置することができる。いくつかの実施形態においては、多要素繊維20が、3つ以上(例えば、3〜10の任意の数)のドメインを含むことができる。
【0085】
図2に示されるとおり、第1のポリマードメイン22が、芯として構成され、第2のポリマードメイン24が、第1のポリマードメイン22を実質的に囲む鞘として構成される。いくつかの実施形態においては、多要素繊維が、別の構成(例えば、横並び配置、パイ配置、または「海上の島」配置)において2つ以上のポリマードメインを含むこともできる。典型的には、鞘−芯の構成を有する多要素繊維20の断面は、円形である。そのような繊維における第1および第2のポリマードメインを、同心または非同心(例えば、横並びまたは偏心の多要素繊維の構成)のいずれかとすることができる。
【0086】
多要素繊維20におけるポリマードメインまたは要素の重量比を、所望に応じてさまざまにすることができる。典型的には、第1のポリマードメイン22の第2のポリマードメイン24に対する重量比が、90:10〜10:90(例えば、80:20〜20:80または70:30などの75:25〜65:35)の範囲にある。いくつかの実施形態においては、第1および第2のポリマードメインの重量比を、上述の範囲の外側とすることができる。
【0087】
一般に、第1のポリマードメイン22が、第1のポリマーを有し、第2のポリマードメイン24が、第1のポリマーとは異なる第2のポリマーを有する。本明細書において言及される用語「ポリマー」は、単独重合体と共重合体(例えば、ランダム共重合体、ブロック共重合体、またはグラフト共重合体)との両方を含む。共重合体は、2つ以上(例えば、3〜5の任意の数)の異なる種類のモノマー繰り返し単位を含むことができる。また、共重合体を、3つの異なるモノマー繰り返し単位を含む三元重合体とすることもできる。第1および第2のポリマーの各々を別個独立に、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレンまたはポリプロピレン)などの付加重合体またはポリエステル(例えば、ポリラクチド)などの縮合重合体とすることができる。例えば、第1のポリマーをポリプロピレンポリマーとすることができ、第2のポリマーをポリエチレンポリマーとすることができる。他の例として、第1のポリマーをポリラクチドポリマーとすることができ、第2のポリマーをポリプロピレンポリマーとすることができる。第1および第2のポリマーを、異なる分子量、分子量分布、メルトフロー、またはメルトインデックスを有する同じモノマーから形成することもできる。例えば、第1のポリマーを、第1の分子量を有するポリプロピレンとすることができ、第2のポリマーを、第1の分子量とは異なる第2の分子量を有するポリプロピレンとすることができる。
【0088】
いくつかの実施形態においては、第1のポリマーが、第1の溶融温度を有することができ、第2のポリマーが、第1の溶融温度とは異なる第2の溶融温度を有することができる。いくつかの実施形態においては、第2の溶融温度が、第1の溶融温度よりも少なくとも10℃(例えば、少なくとも30℃、少なくとも50℃、少なくとも70℃、または少なくとも90℃)低い。
【0089】
さまざまな種類のポリエチレンを、第1または第2のポリマードメインに使用することができる。例として、第1または第2のポリマードメインが、分岐状(すなわち、非直線)低密度ポリエチレンまたは直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を含むことができる。ポリエチレンを、メタロセンおよびZiegler−Natta触媒系を使用することによって作成されるものなど、よく知られているプロセスのいずれかから製造することができる。LLDPEは、典型的には、当技術分野において確立された条件下で触媒溶液または流動床プロセスによって製造される。得られるポリマーは、基本的に直線状の骨格を特徴とする。LLDPEの密度を、そのままであれば直線状であるポリマーの骨格に取り入れられる1つまたは複数のコモノマーの量によって制御することができる。典型的には、種々のアルファオレフィン(例えば、4〜8個の炭素原子を有するオレフィン)が、LLDPEの製造においてエチレンと重合される。アルファオレフィンは、最大約10重量パーセントの量でポリマーに存在できる。LLDPEのためのコモノマーの例として、ブテン、ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、およびオクテンが挙げられる。一般に、LLDPEを、ポリマーがポリプロピレンとの融解紡糸に適することができるような種々の密度およびメルトインデックス特性にて製造することができる。例えば、LLDPEに適した密度の値は、0.87〜0.96g/cc(ASTM D−792)(例えば、0.90〜0.945g/cc)の範囲であり、メルトインデックス値は、通常は0.1〜約150g/10ml(ASTM D1238−89、190℃)の範囲である。スパンボンドフィラメントにおいて、LLDPEは、典型的には10よりも大きい(例えば、15よりも大きく、あるいは25よりも大きい)メルトインデックスを有する。市場で入手することができるLLDPEポリマーの例として、ASPUN Type 6811(MI:27、密度:0.923)、Dow ASPUN Type 6835A(MI:17、密度:0.950)、Dow ASPUN Type 6850A(MI:30、密度:0.955)、Dow LLDPE2500(MI:55、密度:0.923)、およびDow LLDPE Type 6808A(MI:36、密度:0.940)などのDow Chemical CompanyからのLLDPEポリマー、ならびにEXACT 2003(MI:31、密度:0.921)などのExxon Chemical CompanyからのEXACTという一連のLLDPEポリマーが挙げられる。
【0090】
当技術分野において知られているプロセスによって製造される種々のポリプロピレン(メタロセンまたはZiegler−Natta触媒系を使用することによって作成されるものを含む)を、第1または第2のポリマードメインにおいて使用することも可能である。一般に、ポリプロピレンを、イソタクチックまたはシンジオタクチックにすることができ、単独重合体または共重合体とすることができる。ポリプロピレンは、5よりも大きい(例えば、10よりも大きく、15よりも大きく、20よりも大きく、25よりも大きく、30よりも大きく、35よりも大きく、あるいは65よりも大きい)メルトフローレート(MFR)を有することができる。市場で入手することができるプロピレン単独重合体の例として、SOLTEX Type 3907(MFR:35、CR grade)、HIMONT Grade X10054−12−1(MFR:65)、Exxon Type3445(MFR:35)、Exxon Type3635(MFR:35)、AMOCO Type10−7956F(MFR:35)、Aristech CP350J(MFR:約35)、およびTotal PP M3766(MFR:約22)が挙げられる。市場で入手することができるプロピレン共重合体の例として、
Exxon 9355(すなわち、35というメルトフローレートを有するプロピレンの3%のエチレンとのランダム共重合体)、Rexene 13S10A(すなわち、10というメルトフローレートを有するプロピレンの3%のエチレンとのランダム共重合体)、Fina 7525MZ(すなわち、11というメルトフローレートを有するプロピレンの3%のエチレンとのランダム共重合体)、Montel EPIX 30F(すなわち、8というメルトフローレートを有するプロピレンの1.7%のエチレンとのランダム共重合体)、およびHimont社からのCATALLOYという一連のプロピレン共重合体が挙げられる。
【0091】
第1または第2のポリマードメインは、2つ以上の(例えば、2〜5の任意の数の)ポリマーを含むことができる。例えば、第1または第2のポリマードメインは、ポリオレフィンと他のポリマーとを含む混合物を含むことができる。他の多要素繊維の例が、例えば米国特許第6,420,285号明細書、米国特許第6,417,122号明細書、および米国特許第6,417,121号明細書に開示されている。
【0092】
多要素繊維20を、当技術分野において知られている適切な設備および加工技術を使用して製造することができる。例えば、2つのポリマー(例えば、ポリプロピレンおよびポリエチレン)を2つの押し出し機へと供給し、ポリマーを溶融させて押し出し機から押し出すことができる。次いで、この溶融ポリマーを、鞘/芯、横並び、または他の多要素繊維の種類のための複合紡糸オリフィスを備えるスピナレットへと案内でき、このスピナレットによって紡糸し、急冷し、その後に縮径させて多要素繊維(例えば、連続的な多要素繊維)を形成することができる。そのような押し出しプロセスの例が、例えば米国特許第3,595,731号明細書および米国特許第4,770,925号明細書に開示されている。
【0093】
いくつかの実施形態においては、多要素繊維20の代わりに、単一要素多成分繊維を使用することができる。多成分繊維は、2つ以上の成分(例えば、2つ、3つ、4つ、または5つの異なる種類のポリマー)の混合物を含む。この成分を融和性または非融和性とすることができ、多要素繊維における使用に関して上述したポリマーとすることができる。例えば、単一要素繊維が、ポリプロピレンおよびポリエチレンの混合物を含むことができる。複数の成分を含む布地は、例えば米国特許第5,804,286号明細書に記載されている。いくつかの実施形態においては、上述の表面改質組成物を、複数の成分を含む多要素繊維20についても使用することができる。
【0094】
図3は、上述の布地10を含む例示的な積層体30の斜視図である。本明細書において使用されるとき、用語「積層体」は、不織布を追加の不織布、他の種類の布地、またはフィルムなどの1つまたは複数の追加の材料層へと(例えば、接合によって)取り付けることによって形成される構造体を指す。この実施形態においては、積層体30が、プライ32、プライ34、および複数の間欠的なボンド36を含む2プライ(または、2層)の積層体である。プライ32が、上述の繊維20などの多要素繊維で形成された不織布10(例えば、スパンボンド不織布)を含んでいる。プライ34を、メルトブロー不織布、スパンボンド不織布、短繊維からなる布地、またはフィルム(例えば、延伸フィルムまたは弾性フィルム)などの任意の適切な形態の複合布地とすることができる。図3に2プライの積層体を示しているが、積層体30が1つまたは複数のさらなるプライ(プライ32または34と同じでも、異なってもよい)を含むことができることを、当業者であれば理解することができる。例えば、積層体が、プライ32が接合された表面とは反対側のプライ34の表面上に接合された追加のプライ(図3には示されていない)を含むことができる。
【0095】
一般に、プライ32および34の接合および/または積層を、当技術分野において知られている任意の適切な方法によって行なうことができる。積層および/または接合を、例えば繊維の水流交絡(hydroentanglement)、スポット接合、通風(through−air)接合、などによって実現することができる。例えば、プライ32および34を、36に示されている熱による不連続な点接合を形成するために、パターンを有する加熱されたカレンダに通すことによるスポット接合プロセスによって積層することができる。また、適切な接合剤(例えば、ホットメルト接着剤などの接着剤)の使用によって接合を実現することも可能である。スポット接合は、連続的または不連続なパターン接合、一様または無作為な点接合、またはこれらの組み合わせを含み、これらはすべて当技術分野においてよく知られている。
【0096】
積層体30が3つ以上のプライを含む場合、すべてのプライを同時に接合すべく積層体30を集合させた後で行なうことができ、あるいは積層体30の最終的なアセンブリ に先立って選択されたプライを接合するようにプライ間の接合を行なうことができる。種々のプライを、種々の接合プロセスによって、種々の接合パターンにて接合することができる。一般に、積層体の接合を、個々の層の接合に使用されるプロセスと同じプロセスまたは異なるプロセスにすることができ、あるいは個々の層の接合と併せて使用することができる。
【0097】
上述の多要素繊維から作られたスパンボンド不織布とメルトブローマイクロ繊維からなる布地または層とから作られた積層体を、医療装置、防護服、および衛生製品のバリア布地(例えば、おむつの脚部バリアカフ)として使用することができる。
【0098】
いくつかの実施形態においては、不織布積層体を、1つまたは複数の不織スパンボンド布地10を熱可塑性ポリマー(例えば、ポリオレフィン)のフィルムなどのフィルム(例えば、延伸フィルムまたは弾性フィルム)と組み合わせることによって製作することができる。そのような積層体を、衛生製品に(例えば、おむつの脚部バリアカフおよびバックシートとして)使用することができる。例えば、不織布積層体を、弾性フィルムの反対側上に不織スパンボンド布地10を形成することによって製作することができる。次いで、積層体を(例えば、リング圧延機を使用することによって)引き伸ばして、おむつの後ろ耳、腰バンド、またはパンツ式おむつの側パネルとして使用することができる弾性おむつ要素を形成することができる。いくつかの実施形態においては、積層体30が、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン)で形成されたフィルム34へと積層された不織布(例えば、上述の多要素繊維で形成されたスパンボンド不織布)のプライまたは層32を含む。フィルム34は、0.8〜1ミル(すなわち、20.32μm〜25.4μm)の厚さを有することができる。
【0099】
フィルム34を、非通気性または通気性フィルムのいずれかとすることができる。本明細書において使用されるとき、用語「通気性フィルム」は、液体(水、血液、または尿など)の通過に対するバリアをもたらすが、気体の状態の水(例えば、水蒸気)の通過は許すフィルムを指す。フィルムの形成時に(例えば、フィルムの製造に使用される溶融ポリマーへと炭酸カルシウムなどの粒子材料を追加することによって)、フィルムを通気性にすることができる。そのようなフィルムは、市場で入手可能である。フィルムの形成後にフィルムを通気性にすることもできる。例えば、フィルムを別の基材(例えば、上述の不織布)へと積層し、積層体を(例えば、機械的な引き伸ばしによって)引き伸ばした後で、通気性をフィルムに付与することができる。そのような積層体は、使い捨ておむつなどの使い捨ての吸収性物品、医療用の布地(例えば、使い捨ての医療用または外科用ガウン)、および他の防護服のバックシート要素としてとくに有用である。通気性フィルムの例が、米国特許第5,865,926号明細書に開示されている。
【0100】
フィルム層34への不織布32の積層および/または接合を、接着剤の連続的または不連続な層を使用する接着剤積層によって実現することができる。この手法は、優れた柔軟性を有するおむつのバックシートをもたらすことができる。所望であれば、布地32、フィルム34のいずれかまたは両方に連続的または不連続なコーティングとして適切な接着剤を施すことができる。連続的な接着剤のコーティングが使用される場合には、接着剤の層を比較的薄くすることができ、布地32およびフィルム34が引き伸ばしの際に伸びることができるように充分に可撓性または伸張性にすることができる。不連続な接着剤が使用される場合には、接着剤を、あまり伸張性のない接着剤とすることができ、任意の適切な間欠パターン(線、渦巻き、または点、など)とすることができる。噴霧、スロットコーティング、またはメルトブローなどの任意の一般に認められた方法によって接着剤を連続的または間欠的に塗布することができる。
【0101】
適切な接着剤を、ポリオレフィン、ポリ酢酸ビニル、ポリアミド、炭化水素樹脂、ろう、天然アスファルト、スチレンゴム、およびこれらの混合物などの種々の材料から製作することができる。市販の接着剤の例として、Century Adhesives,Inc.(オハイオ州Columbus)によって製造されているCentury 5227およびH.B.Fuller Company(ミネソタ州St.Paul)によって製造されているHL−1258が挙げられる。
【0102】
不織積層体30を、不織布32のフィルム34への熱積層によって製造することもできる。この手法の1つの利点は、接着剤が不要になることで、製造コストが低くなる点にある。不織布32に組み合わせられたときに得られる積層体30が所望の柔軟性および良好な熱接合特性を有することができるように、ポリオレフィン層に組み合わせてシール/接合層を備える共押し出しフィルム34を利用することが望ましいこともある。また、不織積層体30を、フィルム34を不織布32へと直接押し出すことによって製造することも可能である。
【0103】
フィルム34を、元の長さの少なくとも100%伸ばすことができるポリオレフィンフィルム(例えば、延伸ポリオレフィンフィルム)とすることができる。このフィルムは、1平方メートル当たり10〜40グラムの範囲の坪量を有することができる。好ましくは、このフィルムは、使い捨ておむつの不浸透性の外側要素として従来から使用されている種類のフィルムである。
【0104】
積層体30の層34を、フィラメントを接合してなるウェブ、ネット、フィルム、発泡体、平行なフィラメントアレイなど、種々の形態の弾性層とすることができる。そのような構造を、当技術分野において知られている方法によって製造することができる。本明細書において言及される「弾性」層は、元の寸法の10%の単一伸張の後で少なくとも75%の回復を有する層を指す。任意の適切なエラストマ形成樹脂またはその混合物を、上述の構造を生成するために利用することができる。そのような適切な材料の例として、ポリスチレン(S)ならびに/あるいは不飽和または完全水素化ゴムブロックにもとづくジブロックまたはトリブロック共重合体が挙げられる。ゴムブロックは、ブタジエン(B)、イソプレン(I)、エチレン−ブチレン(EB)、または水素化バージョンを含むことができる。例えば、S−B、S−I、S−EB、S−B−S、S−I−S、およびS−EB−Sブロック共重合体を、ゴムブロックを製造するために使用することができる。市販のエラストマの例として、Kraton Polymer US,LLCによって販売されているKRATONポリマー、DEXCO社によって販売されているVECTORポリマー、B.F.Goodrich Companyによって販売されているESTANEなどのポリウレタンエラストマ材料、E.I.Du Pont De Nemours Companyによって販売されているHYTRELなどのポリエステルエラストマ、Akzo Plasticsによって販売されているARNITELなどのポリエーテルエステルエラストマ材料、およびElf Atochem Companyによって販売されているPEBAXなどのポリエーテルアミド材料、Dow Chemical社によって販売されているINSITE、AFFINITY、またはENGAGEポリエチレンプラストマなどのポリオレフィンエラストマ、あるいはExxon Chemicalによって販売されているEXACTというポリエチレンプラストマが挙げられる。架橋ウレタンおよびゴムなどの架橋エラストマも、使用することが可能である。これらのポリマーのポリオレフィンなどの他のポリマーとの混合物を、加工性を向上させる(例えば、溶融粘度を下げ、より低い溶融圧力および溶融温度を可能にし、および/または処理量を増やす)ために使用することができる。
【0105】
積層体30の組み立てにおいて、層32および34を、個々の供給ロールから引き伸ばされていない状態で供給することができる。次いで、所望であれば、接着剤を層32または34の表面に塗布ことができる。接着剤が塗布されたすぐ後に、層32および34に、積層体30を形成すべく(例えば、カレンダ・ニップ・ロールを通って送ることによって)圧力を加えることができる。あるいは、層32および34を、接着剤を使用し、あるいは接着剤を使用せずに、熱手段によって接合し、積層体30を形成することができる。
【0106】
いくつかの実施形態においては、積層体30が、層32とは反対の層34のサイド上に第3の層を備え、三層積層体を形成することができる。そのような三層積層体が、図4に示されている。そのような実施形態において、積層体40は、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン)で形成された層44へと積層された不織布(例えば、上述の多要素繊維で形成されたスパンボンド不織布)のプライまたは層42と、層42の反対側で層44へと積層された第3の層とを含むことができる。この第3の層46を、伸張性または非伸張性とすることができる。任意の適切な材料を、第3の層46を形成するために使用することができる。例えば、第3の層46を、織成または不織の材料、フィルム、または複合材料(例えば、フィルムでコートされた不織材料)で形成することができる。例えば、第3の層46は、上述のスパンボンド不織布10を含むことができる。他の例として、熱可塑性ポリマー(例えば、ポリプロピレンまたはポリエチレン)フィルムを、第3の層46として使用することができる。第3の層46のための市販のフィルムとして、Tredegar Industries, Inc.(インディアナ州Terre Haute)によって製造されているフィルムが挙げられる。第3の層46が実質的に液体を通さない場合、使い捨てのパーソナルケア製品(例えば、おむつ、トレーニングパンツ、失禁用ブリーフ、または婦人衛生製品)のバックシートとして使用することが可能である。第3の層46を層44へと積層するための任意の適切な技法を利用することができる。例えば、第3の層46を、すでに述べたやり方で接着剤の薄い層によって積層することができる。
【0107】
いくつかの実施形態においては、第3の層46が、伸張性または基本的に非伸張性であることができる不織布とすることができる。例えば、積層体30または40の両面に不織布が使用されるように、不織布を、布地32の形成に使用される多要素繊維と同様の多要素繊維から形成される別の布地とすることができる。いくつかの実施形態においては、第3の層46が、低伸長性繊維(例えば、Hercules Type196というポリプロピレン短繊維)からなる熱的に点接合されたカーディングされたウェブなど、基本的に非伸張性の不織布を含むことができる。典型的には、積層体40の層42および46は、伸張性の不織布を含む。好ましい伸張性の不織布は、上述の表面改質剤で処理された多要素繊維を含む。層44を、弾性ウェブまたはフィルム(上述したフィルムのうちの1つなど)とすることができる。そのような積層体40は、おむつ、トレーニングパンツの後ろ耳、側パネル、または腰バンドに有用な弾性積層体をもたらすための引き伸ばしに適している。
【0108】
積層体30または40が、パーソナルケア製品の製造に使用されるとき、縦方向(マシーンディレクション、MD)および/または横方向(クロスマシーンディレクション、CD)に積層体を伸ばして長くするために、引き伸ばし力を積層体30または40へと加えることができる。本明細書において使用されるとき、用語「伸張性」は、EDANA法20.2−89による引張試験が加えられたときに破損することなく縦方向または横方向に元のサイズの少なくとも10%(例えば、少なくとも30%、少なくとも50%、少なくとも70%、少なくとも90%、少なくとも110%、少なくとも130%、少なくとも150%、少なくとも200%、または少なくとも300%)の伸びを有することができる材料を指す。この定義に当てはまらない材料が、非伸張性であると考えられる。積層体30または40を、伸張性の積層体とすることができる。多数の確立された技術をこの操作の実行に使用することができる。例えば、MDの伸びを得るために、積層体を、各組が先行の組よりも高速で動いている2組以上のニップロールに通すことができる。CDの伸びを、幅出し(tentering)によって実現することができる。MDまたはCDの伸びを得る他の方法は、「リング圧延」である。リング圧延プロセスの例が、米国特許第5,242,436号明細書に開示されている。期せずして、表面改質剤(上述の表面改質剤など)を含む組成物を布地32または42の表面上に塗布することによって、積層体30または40は、大きく改善された繊維の耐摩耗性ならびに引き伸ばし(例えば、リング圧延プロセス)の際の繊維の破損または繊維の抜け出しの減少を呈し、したがって引き伸ばし装置(例えば、リング圧延機)の汚染を最小限にすることができる。
【0109】
引き伸ばし力が積層体30または40へと加えられると、伸張性の布地32または42において引き伸ばしの方向を向いた繊維が引張を被る可能性があり、布地および繊維が変形を被る可能性がある。このプロセス中に、繊維が、自身の引き伸ばし前の長さよりも充分に伸びることができる。例として、70%〜300%の間(例えば、100%〜200%の間)の布地の伸びを実現することができる。いくつかの実施形態においては、繊維をそれらの弾性限界を超えて伸ばすことで、塑性変形を生じさせ、恒久的に伸ばされた状態とすることができる。いくつかの実施形態においては、繊維が層32または42内に充分に拘束され、引き伸ばしプロセスの際の繊維の剥離を少なくできるように、層32または42の全体に分布した間欠的なボンドを高い強度とすることができる。
【0110】
積層体30または40は、おむつ(例えば、パンツ式おむつ、トレーニングパンツおむつ、テープ式おむつ、または機械ファスナ式おむつ)、失禁パッド、失禁ブリーフ、生理用ナプキン、包帯、スライディングシート(例えば、患者を或るベッドから別のベッドに移すための)、および女性用衛生用品などの種々のパーソナルケア製品における使用にとくによく適することができる。積層体30または40は、柔軟および丈夫の両方であるため、そのような積層体から作られたおむつは、使用時に着用者の皮膚に摩擦または擦傷を生じることなく着用者の激しい動きに耐えることができる。
【0111】
いくつかの実施形態においては、本開示の実施形態に従って製作された布地または積層体を、吸収性物品に取り入れることができる。吸収性物品は、汗、血液、尿、月経、などの体からの浸出液を吸収することができる。吸収性物品を、製品または材料とすることができる。吸収性物品の例として、生理用、衛生用、および/または傷のケアのための製品および/または材料が挙げられる。
【0112】
いくつかの吸収性物品は、使い捨てである。使い捨ての吸収性物品は、1回の使用後に一部分または全体が捨てられるように構成される。使い捨ての吸収性物品は、汚れた物品または物品の汚れた部分の回復および再使用(例えば、洗濯)が意図されないように構成される。使い捨ての吸収性物品の例として、包帯およびガーゼなどの傷ケア製品ならびにパッドおよびライナなどの婦人ケア製品が挙げられる。使い捨ての吸収性物品は、本開示の実施形態を使用することができる。
【0113】
いくつかの吸収性物品は、着用可能である。着用可能な吸収性物品は、着用者の体の上または体の周囲に装着されるように構成される。着用可能な吸収性物品を、使い捨てとすることもできる。使い捨ての着用可能な吸収性物品の例として、使い捨ておむつおよび使い捨ての失禁用下着が挙げられる。使い捨ての着用可能な吸収性物品は、着用者によって着用されているときに、体からの浸出液を受け止めて収容することができる。いくつかの実施形態においては、使い捨ての着用可能な吸収性物品が、トップシート、吸収性コア、外カバー、腰部開口、および脚部開口を含むことができる。使い捨ての着用可能な吸収性物品は、本開示の実施形態を使用することができる。
【0114】
図5〜図7に、1つまたは複数の構成要素が本開示の実施形態による材料で作られている種々の吸収性物品を示している。分かり易くするために、図5〜図7は、吸収性物品の詳細をすべて示しているわけではない。
【0115】
図5は、前部で固定することができる着用可能な吸収性物品512Aを示している内側の平面図である。本開示は、当業者であれば理解できるとおり、前部で固定することができるように構成された吸収性物品を、後部で固定できるようにも構成でき、あるいは横で固定できるようにも構成できると考える。
【0116】
前部で固定することができる着用可能な吸収性物品512Aは、着用者側外面513A、衣服側外面515A、および吸収性材料514Aを含んでいる。吸収性材料514Aは、着用者側外面513Aと衣服側外面515Aとの間に配置されている。
【0117】
着用者側外面513Aは、前部で固定することができる着用可能な吸収性物品の内側の少なくとも一部を形成する1つまたは複数の材料の層であり、吸収性物品512Aが着用者によって着用されたときに着用者に面する。図5においては、着用者側外面513Aの一部が、衣服側外面515Aを示すために切り取られて図示されている。着用者側外面は、トップシートと称されることもある。着用者側外面513Aは、吸収性物品512Aによって受け止められる体液が着用者側外面513Aを通って吸収性材料514Aへと通過できるよう、液体透過性であるように構成される。種々の実施形態においては、着用者側外面が、不織材料および/または他の材料を含むことができる。
【0118】
吸収性材料514Aは、吸収性物品512Aの少なくとも一部分において、着用者側外面513Aの下方かつ衣服側外面515Aの上方に配置される。いくつかの実施形態においては、吸収性物品の吸収性材料が、吸収性コアと称される構造の一部である。吸収性材料514Aは、吸収性物品512Aによって受け止められる体液を吸収できるよう、液体吸収性であるように構成される。種々の実施形態においては、吸収性材料が、木材パルプ、超吸収性ポリマー(SAP)、または他の種類の吸収性材料、あるいはこれらの材料のいずれかの組み合わせを含むことができる。
【0119】
衣服側外面515Aは、前部で固定することができる着用可能な吸収性物品の外側の少なくとも一部を形成する1つまたは複数の材料の層であり、吸収性物品512Aが着用者によって着用されたときに着用者の衣服に面する。衣服側外面は、バックシートと称されることもある。衣服側外面515Aは、吸収性物品512Aによって受け止められる体液が衣服側外面513Aを通過できないように、液体不透過性に構成される。種々の実施形態において、衣服側外面5153は、本明細書に記載の不織布または積層体を含むことができる。他の実施形態においては、衣服側外面513Aが、フィルムおよび/または他の材料を含むことができる。
【0120】
前部で固定することができる着用可能な吸収性物品512Aは、物品512Aの着用時に着用者の横腹の周囲に引き伸ばされるように構成された伸張性の側耳をさらに含むことができる。伸張性の側耳は、物品の後ろ側を前側へと固定するための固定具を備えることができる。伸張性の側耳の各々を、本明細書に記載の積層体の実施形態のいずれかで形成することができる。第1の実施例として、側耳を、増加的に引き伸ばされる不織布−フィルムの積層体で形成することができる。第2の実施例として、側耳を、増加的に引き伸ばされる不織布−フィルム−不織布の積層体で形成することができる。これらの実施例のどちらにおいても、追加の材料を加えることができ、追加の処理を採用することができる。
【0121】
図6は、パンツ式の着用可能な吸収性物品612Bを示している内側の平面図である。本開示は、当業者であれば理解できるとおり、パンツ式であるように構成された吸収性物品を、側で固定できるようにも構成でき、あるいは固定具を持たないようにも構成できると考える。
【0122】
パンツ式の着用可能な吸収性物品612Bは、おおむね図5の実施形態中と同様の参照番号の構成要素と同じやり方でそれぞれ構成された着用者側外面613B、衣服側外面615B、および吸収性材料614Bを含んでいる。
【0123】
パンツ式の着用可能な吸収性物品612Bは、物品612Bの着用時に着用者の横腹の周囲に引き伸ばされるように構成された伸張性の側パネルをさらに含むことができる。伸張性の側パネルは、物品の後部を前部へと固定するための固定具を備えることができ、あるいは固定具を備えなくてもよい。伸張性の側パネルの各々を、本明細書に記載の積層体の実施形態のいずれかで形成することができる。第1の実施例として、側パネルを、増加的に引き伸ばされる不織布−フィルムの積層体で形成することができる。第2の実施例として、側パネルを、増加的に引き伸ばされる不織布−フィルム−不織布の積層体で形成することができる。これらの実施例のどちらにおいても、追加の材料を加えることができ、追加の処理を採用することができる。
【0124】
図7は、生理用ナプキン吸収性物品712Cを示している内側の平面図である。生理用ナプキン吸収性物品712Cは、図5および図6の実施形態中と同様の参照番号の構成要素と同様のやり方でそれぞれ構成された着用者側外面713C、衣服側外面715C、および吸収性材料714Cを含んでいる。
【0125】
図8に、本開示の不織材料812のウェブを増加的に引き伸ばすために使用される例示的なリング圧延装置820を示している。装置820は、隆起要素または歯824を備えるパターンロール822と、パターンを持たない溝ロール826とを備えている。歯824が、不織材料812のウェブを引き伸ばす。本開示の不織布または積層体のウェブを、リング圧延装置820の変形例および/または1つまたは複数の他の種類の引き伸ばし装置を使用して増加的に引き伸ばすことも可能であると考えられる。
【0126】
本開示の実施形態を、フィルム−不織布の積層体のアクティベーション(例えば、増加的な引き伸ばし)の際に汚染のない処理を可能にする疎水性または親水性コーティングを有する不織ウェブをもたらすために使用することができる。また、本開示の実施形態を、アクティベート後の引き伸ばしパネル積層体の一部として依然として完全に機能する自動清掃でコート済みの不織布によるアクティベーション設備への接着剤除去剤の連続塗布のプロセスと理解することが可能である。さらに、本開示の実施形態を、汚染のない処理のための接着剤除去剤塗布器および接着剤除去ふき取り布として働く機能的な引き伸ばし積層体不織基材と理解することができる。この材料の機能を、クリープ、接着剤接合強度、フィルム中の穴などを測定および評価することによって判断することができる。
【0127】
以下の実施例は、例示にすぎず、本開示を限定しようとするものではない。
【実施例】
【0128】
[スパンボンド二要素布地の作成]
以下のスパンボンド二要素布地、すなわち(1)x460109(表面改質剤Aによって処理して疎水性表面を形成した)、(2)x400109(表面改質剤Bによって処理して疎水性表面を形成した)、(3)x460109およびx400109の再製品、ならびに(4)x340109(親水性の表面改質剤で処理した)を、それらの表面を表面改質剤で処理することによって製作した。さらに、表面改質剤による処理を行なわない布地(すなわち、x350109および065RXJO09P)を作成し、比較として使用した。x350109を、表面改質剤による処理が行なわれない点を除き、他の布地の実施例の作成に使用したやり方と同じやり方で作成した。065RXJO09Pを、x350109の形成に使用した油温よりも15〜20℃低い油温を使用して接合を行なったことを除き、x350109の作成に使用したやり方と同じやり方で作成した。x460109およびx400109の再製品は、それぞれ2.56dpf(すなわち、2.84dtex)および2.48dpf(すなわち、2.76dtex)の平均線密度を有していた。
【0129】
これらのスパンボンド二要素布地を、現時点において独国TroisdorfのReifenhauser Company.Machinenfabrikによって販売に供されている装置(例えば、米国特許第5,162,074号明細書、米国特許第5,344,297号明細書、米国特許第5,466,410号明細書、および米国特許第5,814,349号明細書を参照)と同様の商業規模のReicofil−3型の製造ラインにおいて製造した。二要素布地を、Dow 6850A LLDPE(MI:30、密度:0.955)を鞘ポリマーとして使用し、TotalポリプロピレンM3766(MFR:約22)を芯ポリマーとして使用して製造した。Dow 6850A LLDPEは、TotalポリプロピレンM3766よりも低い溶融温度を有する。鞘と芯との重量比を、約30/70とした。さらに、芯には約0.3重量%のTiOを含ませた。具体的には、スパンボンド二要素布地を、鞘および芯ポリマーを2つの異なる押し出し機において溶融させ、溶融した鞘および芯ポリマーを別々に受け取るように押し出し機へと接続されたスピンバンクまたはスピンビームアセンブリ(スピナレット板および分配板を備えている)へと溶融ポリマーを搬送し、これらのポリマーをスピナレットのオリフィスにおいて組み合わせて多要素繊維のカーテンを形成し、繊維からなる全幅のカーテンとして出て来る繊維を冷気で急冷し、カーテンの繊維を縮径し、縮径後の繊維からなるカーテン(もしくは、スピンビームの数に応じた複数のカーテン)をフィラメント配置ユニット(ディフューザ)を介して移動ワイヤ上に堆積し、次いで得られた繊維ウェブに接合を施して不織布をもたらすことによって製造した。
【0130】
表1に挙げた布地を製造するために、スパンボンド二要素繊維のウェブの接合に特別の注意を払った。不織布の表面の約25〜30%を接合するエンボス加工されたカレンダパターンを使用した。カレンダの温度および布地の速度を、カレンダ表面への二要素ウェブの貼り付きが生じない可能な限り最大の温度でウェブを接合するように注意深く選択した。カレンダの温度を直接には測定せずに、カレンダのエンボス加工されたロールおよび平滑ロールを循環する高温油の温度を測定し、ポリエチレン鞘ポリマーの溶融温度よりも大幅に高くした。したがって、欧州特許第1,432,860号明細書に記載の付着防止コーティングとおおむね同様の付着防止調合物でコートされたエンボス加工されたロールを使用することが重要であった。
【0131】
このようにして形成された布地を、上述の表面改質剤で処理した。布地の疎水性表面を形成するために、2つの異なる表面改質剤を使用した。表面改質剤A、すなわちSilwet L−7602(ニューヨーク州AlbanyのMomentive Performance Materials社)を、x460109およびその再製品を作成するために使用した。表面改質剤B、すなわちLurol 3503(Goulston Technologies社、ノースカロライナ州Monroe)を、x400019およびその再製品を作成するために使用した。さらに、親水性の表面改質剤、すなわちNuwet237(ニューヨーク州AlbanyのMomentive Performance Materials社から入手できるシロキサンポリマー)を、x340109を作成するために使用した。具体的には、表面改質剤を水に加えて希釈液またな乳剤を形成し、その後にキスロールを使用することによって上述のように形成された布地の表面に塗布した。次いで、表面処理後の布地を、水を除去すべく乾燥させた。布地の総重量における乾燥状態の表面改質剤の割合が、表1にまとめられている。
【0132】
このように形成された布地を、3ビームのスパンボンド装置を使用して製作し、その結果SSS形式の構造を形成した。布地の坪量は、22.0g/mであった。繊維の平均線密度は、フィラメント当たり約2.0〜2.6デニールの範囲であったが、これをポリマーの処理量(グラム/分/穴)、ポリマー溶融温度、急冷温度、および縮径キャビン圧力などの種々の因子をバランスさせることによって実現した。
【0133】
これらの布地の特性を測定し、以下の表1にまとめた。
【0134】
[機械的特性−CDおよびMDの引張強度および伸び]
上述のように作成した布地のCDおよびMDの引張強度および伸びの値を、幅50mmの布地細片を使用し、EDANA法20.2−89に従って100mmのゲージ長および100mm/分のクロスヘッド速度で測定した。結果は、これらの布地のCD伸び値がいずれも70%よりも大きく、高い伸張性を呈したことを示した。さらに、CD引張強度値は、いずれも3N/cm未満であった。これらの布地を伸張性のフィルムまたは弾性フィルムに組み合わせたとき、得られた積層体は、リング圧延による引き伸ばしに耐えることができた。
【0135】
[Sutherland Ink Rub試験]
他の実施例として、これらの布地の耐摩耗性を、Sutherland Ink Rub試験を使用することによって測定した。320グリットのサンドペーパおよび1ポンドの重量を使用したことを除き、ASTMのD−5264の方法におおむね従って試験を実行した。具体的には、布地試験サンプルの表面を20サイクルにわたって42サイクル/分の速度でこすって摩耗させた後に、繊維除去テープ(3M社によって部品番号3126として販売されているポリマスク保護テープ)を2,200グラムの重量のもとで20秒間にわたって布地試験サンプルに押し当てて保持した。摩耗面への塗布の前後において、繊維除去テープの重量を測定した。重量の変化を記録し、摩耗した試験サンプルから取り除かれた毛羽の重量とした。平均値を生成できるよう、各々の布地候補について5つの試料を摩耗させた。
【0136】
Sutherland Ink Rub試験においては、11.0cm×4.0cmのサンプルサイズを使用し、その結果サンドペーパとの接触面積は44cmであった。試験によって測定された重量減少を、mg/cmとして記録した。27g/mの高伸張のカーディングされた(HEC)布地サンプル(サウスカロライナ州SimpsonvilleのFiberweb社)を、基準サンプルとして使用した。Ink Rub試験結果の算出に必要な相関係数を得るために、基準サンプル(5つの試料)を各組の布地候補と一緒に摩耗させた。相関係数は、サンドペーパのロットごとの変化に起因する結果の相違を補償するために必要であった。ASTMの試験法に指定されているとおり、最終的なInk Rub結果を、この相関係数および実際に測定された布地の重量減少にもとづいて算出した。
【0137】
Sutherland Ink Rub試験の結果として、試験された布地のエンボス加工された側および平滑側の両方において、重量減少は0.1000mg/cm未満であった。
【0138】
[疎水性]
(I)貫通試験
疎水性の表面を有する布地は、典型的には、おむつのバックシートとして使用される。上述のように作成した布地の疎水性を、EDANA液体貫通時間試験150.5−02を使用することによって測定した。具体的には、この試験において、5mlの人工尿(すなわち、蒸留水における9g/LのNaCl溶液)が布地試験サンプルを通過して布地の下方の紙の層に吸収される時間を測定した。
【0139】
この試験結果が、表1にまとめられている。具体的には、再製品のx460109および再製品のx400109(それぞれ疎水剤AおよびBで処理されている)の貫通値は、25秒よりも大きかった。対照的に、X340109(親水剤で処理されている)の貫通値は、乳幼児の皮膚を保護するために尿が速やかに通過しなければならない親水性のトップシート布地に典型的なわずか2.67秒であった。
【0140】
(II)抽出試験
また、上述のように作成した布地の疎水性を、ASTM D−1331、すなわちStandard Test Method for Surface and Interfacial Tension of Solutions of Surface−Active Agentsを使用し、間接的に試験した。この試験において、指定のサイズの布地を、71ダイン/cmよりも大きい表面張力を有するビーカ内の40mlの純水に置いた。布地サンプルを水中に置いた後で、水を5分間にわたって攪拌した。次いで、布地を水から取り出した。その後に、液体の表面張力を測定した。
【0141】
上述のように作成した個々の布地について、その結果(試験した5つの試料の平均値)を表1にまとめた。71ダイン/cmを下回る表面張力の低下は、おむつのバックシートの一部としての使用に好ましくない布地につながると考えられる。この結果は、布地x350109、x0460109、および0400109の抽出に使用された水の表面張力の値が、いずれも70ダイン/cmより大きいことを示した。対照的に、布地x340109(親水剤で処理され、したがってバックシート用としては好ましくない)の抽出に使用された水の表面張力の値は、わずか47.8ダイン/cmであった。
【0142】
[上述のように作成した布地を用いる積層体の作成]
上述のように作成した布地を、パイロットライン上においてホットメルト接着剤を使用することによって弾性フィルムの両面に積層した。次いで、得られた各々の積層体を、弾性積層体を得るべくリング圧延によって引き伸ばした。リング圧延を指定の時間枠にわたって続けた後で、プロセスを停止してリングロールの表面を調べ、リングロールの表面に接着剤および/または布地のくずが堆積していないかどうかを確認した。この結果が、表1にまとめられている。
【0143】
表1に示されるとおり、布地x460109およびx400109(それぞれ表面改質剤AおよびBで処理されている)の引き伸ばしに使用されたリングロールについては、60〜100分間のリング圧延の後に、接着剤または布地くずによる汚染がほとんどなかった。対照的に、布地x350109(表面改質剤による処理が行なわれていない)の引き伸ばしに使用されたリングロールは、かなりの量の接着剤および布地くずで汚染された。
【0144】
[上述のように作成した積層体を用いるおむつの作成]
上述の積層およびリング圧延のプロセスを、布地x460109およびx400109を使用してパンツ式の乳幼児用おむつを製作する統合プロセスの一部として繰り返した。おむつ製造装置のリングロールを用いての長時間(例えば、1〜2時間)の引き伸ばしの後で、接着剤または繊維くずからの汚染の証拠のために、リングロールを調べた。
【0145】
表1に示されるとおり、布地x460109およびx400109をおむつの製造に使用した場合、リングロールの汚染のレベルは、清掃を必要とすることなく長時間(すなわち、最大2時間)にわたっておむつ製造プロセスを続けることができるように充分に低かった。対照的に、布地x350109と同様の布地(上述の表面改質剤による処理が行なわれていない)(表1には示さず)をおむつの製造に使用した場合、リングロールに蓄積される汚染を清掃するために、5分と経たずにおむつ製造プロセスを停止させなければならなかった。結果として、この布地は、おむつの商業生産における使用に適さないと考えられる。
【0146】
【表1】

【0147】
[Shear−Hang Time試験]
Shear−Hang Time試験を、固定式の使い捨ての着用可能な吸収性物品の側耳またはパンツ型の使い捨ての着用可能な吸収性物品の側パネルに使用することができる。本開示のShear−Hang Time試験は、使い捨ての着用可能な吸収性物品の他の構成要素には適していない。Shear−Hang Time試験の目的は、積層体が指定の時間内にせん断モードで破れるか否かを判断することにある。したがって、Shear−Hang Time試験によれば、積層体に一定のせん断応力が加えられたときの積層体の層の間の取り付け強度が評価される。
【0148】
積層体が、固定式の使い捨ての着用可能な吸収性物品の側耳である場合、側耳に隣接するシャシーの部分を完全に全周にわたって切断することによって、側耳が物品から除去される。切断は、側耳のシャシーへの取り付け位置からずらされる。切断は、約10mmの一定の距離だけずらされる。側耳の材料は、除去の際に切断されない。除去の際に側耳を引き伸ばさない。また、側耳は、除去の際に物品から完全に外される。除去された側耳および切断されたシャシーの部分(側耳につながったままである)が、Shear−Hang Time試験のための試験サンプルになる。
【0149】
積層体がパンツ型の使い捨ての着用可能な吸収性物品の側パネルである場合、側パネルの前部に隣接するシャシーの部分を完全に全周にわたって切断し、側パネルの後部に隣接するシャシーの部分を完全に全周にわたって切断することによって、側パネルが物品から除去される。各々の切断は、側パネルのシャシーへの取り付け位置からずらされる。この切断は、約10mmの一定の距離だけずらされる。側パネルの材料は、除去の際に切断されない。除去の際に側パネルを引き伸ばさない。側パネルが、側パネルの前部と側パネルの後部との間の縫い目を含む場合、縫い目は除去の際に手つかずのまま残される。側パネルが、側パネルの前部と側パネルの後部との間の固定具を含む場合、除去後に固定具を完全に固定(側パネルの前部および後部を結合)させなければならない。除去された側パネルおよび切断されたシャシーの部分(側パネルにつながったままである)が、Shear−Hang Time試験のための試験サンプルになる。
【0150】
Shear−Hang Time試験において、試験サンプルは、垂直にぶら下がるように吊られた状態に片側上で固定される。試験サンプルの非固定側に、500グラムのおもりによって加えられる一様に分布した応力と同等のせん断応力が、試験サンプルの全幅にわたって一様に加えられる。積層体の層が、指定の時間枠内に互いから剥離した場合、試験サンプルはShear−Hang Time試験に不合格であったと判断される。積層体の層が、指定の時間枠内に互いから剥離しなかった場合、試験サンプルはShear−Hang Time試験に合格したと判断される。Shear−Hang Time試験は、37.8℃±2℃および50%±2%の相対湿度の閉じた制御された環境において実行される。
【0151】
Shear−Hang Time試験の合格の基準は、2という臨界係数についてANSI ASQC Z1.4(1993)によって指示されるとおりの容認サンプリング頻度内において不具合がゼロであることである。したがって、施されるコーティングのレベルは、変換設備への蓄積/汚染を防止するために充分に高くなければならないが、せん断ぶら下がり時間によって測定される最終的な製品へと一体化されたときの化学的/機械的な接合/接着との干渉を防止するために、充分に低くなければならない。
【0152】
表2が、以下のとおり、本明細書に記載のとおりに表面改質剤で処理された不織布で構成され、次いでShear−Hang Time試験に供されたパンツ型おむつ製品についての試験結果を含んでいる。
【0153】
【表2】

【0154】
[Side Creep試験]
表3が、以下のとおり、本明細書に記載のとおりに表面改質剤で処理された不織布で構成され、次いでSide Creep試験に供されたパンツ型おむつ製品についての試験結果を含んでいる。本明細書において使用されるとき、Side Creep試験は、おむつの中央シャシー部分へと2点(前部および後部)において機械的または化学的(接着剤による)に接合されたおむつの引き伸ばし積層体側部分(側耳または側パネル)について、出来上がった製品が37.8℃±2℃および50%±2%の相対湿度の閉じた制御された環境において2時間にわたって使用された後の中央のシャシーからの剥離/移動の距離の指標を指す。このSide Creep試験は、使用時のパンツ型おむつの引き伸ばし側パネル領域と中央シャシー部分との間の接合の安全性のきわめて信頼できる指標であることが明らかになっている。このSide Creep試験の目的は、使用時のせん断モードの所与の応力に鑑みて、側パネル領域が剥離時にパンツ型おむつの中央シャシーからどれだけ遠ざかるかを評価することにある。したがって、Side Creep試験は、一定のせん断応力のもとでの不織布、積層体、またはおむつの接着剤および機械的な接合の安全性および耐久性を評価する。
【0155】
この検証試験方法についての合格の基準は、クリープ試験において、1)おむつの引き伸ばし積層体側部分と中央シャシー部分との間の剥離/移動の距離が指定の距離以下であり、2)2という臨界係数についてANSI ASQC Z1.4(1993)によって規定されるとおりの容認サンプリング頻度において不具合がゼロであることである。したがって、施されるコーティングのレベルが、変換設備への蓄積/汚染を防止するために充分に高くなければならないが、側クリープによって測定される最終的な製品へと一体化されたときの化学的/機械的な接合/接着との干渉を防止するために、充分に低くなければならない。
【0156】
【表3】

【0157】
添付の特許請求の範囲の組成物、製品、および方法の範囲は、本明細書に記載の具体的な組成物、製品、および方法には限定されず、これらは、特許請求の範囲のいくつかの態様の例示として意図されているにすぎず、機能的に均等なあらゆる組成物、製品、および方法が、特許請求の範囲に包含される。本明細書において図示および説明された組成物、製品、および方法に加え、組成物、製品、および方法の種々の変更が、添付の特許請求の範囲に包含される。さらに、本明細書に開示の特定の代表的な組成物、製品、および方法の各段階だけが具体的に説明されているが、組成物、製品、および方法の各段階の他の組み合わせも、たとえ具体的には述べられていなくても、添付の特許請求の範囲に包含される。したがって、段階、構成要素、部品、または成分の或る組み合わせが本明細書において明示的に述べられることがあるが、段階、構成要素、部品、および成分の他の組み合わせも、たとえ明示的には述べられなくても含まれる。用語「・・・を備える」およびその変種は、本明細書において使用されるとき、用語「・・・を含む」およびその変種と同じ意味で使用され、オープンで限定を意味しない用語である。用語「・・・を備える」および「・・・を含む」が、種々の実施形態を説明するために本明細書において使用されているが、用語「・・・で基本的に構成され」および「・・・で構成され」が、本明細書のさらに具体的な実施形態を提示するために「・・・を備える」および「・・・を含む」の代わりに使用可能であり、やはり開示されている。
【0158】
本明細書において言及されるすべての刊行物、特許出願、特許、および他の参考資料は、本参照によってその内容全体が本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の連続繊維であって、各々が第1のポリマーとこの第1のポリマーとは異なる第2のポリマーとを備え、これら複数の連続繊維の少なくとも一部が互いに接合されている複数の連続繊維と、
前記複数の連続繊維のうちの少なくとも一部の繊維の表面上に配置され、表面改質物質を含む組成物と
を備える不織布であって、
当該不織布のサンプルの片面が、320グリットのサンドペーパおよび1ポンドのおもりを使用するSutherland Ink Rub試験に供されたときに、このサンプルの重量減少が0.1mg/cm以下である不織布。
【請求項2】
複数の連続繊維であって、各々が第1のポリマーとこの第1のポリマーとは異なる第2のポリマーとを備え、これら複数の連続繊維の少なくとも一部が互いに接合されている複数の連続繊維と、
前記複数の連続繊維のうちの少なくとも一部の繊維の表面上に配置され、表面改質物質を含む組成物と
を備える不織布であって、
貫通試験において5mlの人工尿が当該不織布の通過に少なくとも5秒を要する不織布。
【請求項3】
不織布であって、
複数の連続繊維であって、各々が第1のポリマーとこの第1のポリマーとは異なる第2のポリマーとを備え、これら複数の連続繊維の少なくとも一部が互いに接合されている複数の連続繊維と、
前記複数の連続繊維のうちの少なくとも一部の繊維の表面上に配置され、当該不織布を潤滑する物質を含む組成物と
を備える不織布であって、
当該不織布のサンプルの片面が、320グリットのサンドペーパおよび1ポンドのおもりを使用するSutherland Ink Rub試験に供されたときに、このサンプルの重量減少が0.1mg/cm以下である不織布。
【請求項4】
不織布であって、
複数の連続繊維であって、各々が第1のポリマーとこの第1のポリマーとは異なる第2のポリマーとを備え、これら複数の連続繊維の少なくとも一部が互いに接合されている複数の連続繊維と、
前記複数の連続繊維のうちの少なくとも一部の繊維の表面上に配置され、当該不織布を潤滑する物質を含む組成物と
を備える不織布であって、
貫通試験において5mlの人工尿が当該不織布の通過に少なくとも5秒を要する不織布。
【請求項5】
不織布であって、
複数の連続繊維であって、各々が第1のポリマーとこの第1のポリマーとは異なる第2のポリマーとを備え、これら複数の連続繊維の少なくとも一部が互いに接合されている複数の連続繊維と、
前記複数の連続繊維のうちの少なくとも一部の繊維の表面上に配置され、当該不織布の耐摩耗性を改善する物質を含む組成物と
を備える不織布であって、
Sutherland Ink Rub試験において、摩耗に起因する当該不織布の重量の減少が、前記物質を含む組成物を有さない布地の重量減少よりも少なくとも25%小さい不織布。
【請求項6】
複数の連続繊維であって、各々が第1のポリマーとこの第1のポリマーとは異なる第2のポリマーとを備え、これら複数の連続繊維の少なくとも一部が互いに接合されている複数の連続繊維と、
前記複数の連続繊維のうちの少なくとも一部の繊維の表面上に配置され、ポリシロキサンの単独重合体または共重合体を含む表面改質物質を含む組成物と
を備える、バックシートに使用される不織布。
【請求項7】
貫通試験において5mlの人工尿が当該不織布の通過に少なくとも5秒を要する請求項6に記載の不織布。
【請求項8】
当該不織布のサンプルの片面が、320グリットのサンドペーパおよび1ポンドのおもりを使用するSutherland Ink Rub試験に供されたときに、このサンプルの重量減少が0.1mg/cm以下である請求項2、4、および5〜7のいずれか一項に記載の不織布。
【請求項9】
前記物質がポリシロキサンの単独重合体または共重合体を含む請求項1〜5、7および8のいずれか一項に記載の不織布。
【請求項10】
前記物質がポリ(ジアルキルシロキサン)の単独重合体または共重合体を含む請求項1〜9のいずれか一項に記載の不織布。
【請求項11】
前記物質が、ポリ(ジアルキルシロキサン−コ−アルキレングリコール)を含む請求項1〜9のいずれか一項に記載の不織布。
【請求項12】
前記ポリシロキサンの単独重合体または共重合体が、前記組成物の総重量の少なくとも50%である請求項9〜11のいずれか一項に記載の不織布。
【請求項13】
前記組成物が、乳剤を形成するための乳化剤をさらに含む請求項1〜12のいずれか一項に記載の不織布。
【請求項14】
前記乳化剤が、アルコキシポリエトキシエタノールを含む請求項13に記載の不織布。
【請求項15】
前記乳化剤が、ポリアルキレングリコールポリマーまたはポリアルキレングリコールポリマーのアルキルモノエーテルを含む請求項13に記載の不織布。
【請求項16】
前記組成物が、当該不織布の総重量の0.5重量%以下である請求項1〜15のいずれか一項に記載の不織布。
【請求項17】
前記第1のポリマーがポリプロピレンポリマーであり、前記第2のポリマーがポリエチレンポリマーである請求項1〜16のいずれか一項に記載の不織布。
【請求項18】
各々の繊維が、前記第1のポリマーと前記第2のポリマーの混合物からなる請求項1〜17のいずれか一項に記載の不織布。
【請求項19】
各々の繊維が、第1のポリマードメインと第2のポリマードメインとを備え、前記第1のポリマードメインが、前記第1のポリマーを備え、前記第2のポリマードメインが、前記第2のポリマーを備える請求項1〜17のいずれか一項に記載の不織布。
【請求項20】
前記第1のポリマードメインが芯として構成され、前記第2のポリマードメインが鞘として構成される請求項19に記載の不織布。
【請求項21】
前記芯および前記鞘が、90:10〜10:90の範囲の重量比を有する請求項20に記載の不織布。
【請求項22】
前記複数の連続繊維が、25μm以下の平均径を有する請求項1〜21のいずれか一項に記載の不織布。
【請求項23】
前記不織布が縦方向および横方向の少なくとも一方において、少なくとも70パーセントのピーク荷重時伸びを有する請求項1〜22のいずれか一項に記載の不織布。
【請求項24】
前記不織布が水で抽出され水溶液を生成する場合、この水溶液が55ダイン/cmよりも大きい表面張力を有する請求項1〜23のいずれか一項に記載の不織布。
【請求項25】
前記複数の連続繊維が、スパンボンド繊維である請求項1〜24のいずれか一項に記載の不織布。
【請求項26】
前記不織布が2つ以上の層を備える請求項1〜25のいずれか一項に記載の不織布。
【請求項27】
各々の層が、スパンボンド繊維を含む請求項26に記載の不織布。
【請求項28】
少なくとも1つの層が、スパンボンド繊維を含み、少なくとも1つの別の層が、メルトブロー繊維を含む請求項27に記載の不織布。
【請求項29】
Sutherland Ink Rub試験において、摩耗に起因する当該不織布の重量の減少が、前記物質を含む組成物を有さない布地の重量減少よりも少なくとも25%小さい請求項1〜4および請求項6〜28のいずれか一項に記載の不織布。
【請求項30】
接着剤をさらに含む請求項1〜29のいずれか一項に記載の不織布。
【請求項31】
前記接着剤が、ホットメルト接着剤である請求項30に記載の不織布。
【請求項32】
表面改質物質を含む組成物を複数の連続繊維のうちの少なくとも一部の繊維の表面上に配置して有する不織布であって、積層体の形成に使用されたときに、この積層体が少なくとも60分間にわたって本明細書に開示のShear Hang Time試験に合格できる不織布。
【請求項33】
前記不織布が、積層体の形成に使用されたときに、この積層体が少なくとも90分間にわたって本明細書に開示のShear Hang Time試験に合格できる請求項32に記載の不織布。
【請求項34】
前記不織布が、積層体の形成に使用されたときに、この積層体が少なくとも120分間にわたって本明細書に開示のShear Hang Time試験に合格できる請求項32に記載の不織布。
【請求項35】
前記不織布が積層体の形成に使用されたときに、この積層体が少なくとも150分間にわたって本明細書に開示のShear Hang Time試験に合格できる請求項32に記載の不織布。
【請求項36】
前記不織布が積層体の形成に使用されたときに、この積層体が少なくとも180分間にわたって本明細書に開示のShear Hang Time試験に合格できる請求項32に記載の不織布。
【請求項37】
前記複数の連続繊維のうちの少なくとも一部の繊維の表面上に配置された組成物であって、表面改質物質を含む組成物を備える不織布であって、前記不織布が積層体の形成に使用されたときに、本明細書に開示のSide Creep試験に供される場合、この積層体のクリープが12ミリメートル以下である不織布。
【請求項38】
前記不織布が積層体の形成に使用されたときに、本明細書に開示のSide Creep試験に供される場合、この積層体のクリープが11ミリメートル以下にすることができる請求項37に記載の不織布。
【請求項39】
前記不織布が積層体の形成に使用されたときに、本明細書に開示のSide Creep試験に供される場合、この積層体のクリープが10ミリメートル以下である請求項37に記載の不織布。
【請求項40】
前記不織布が積層体の形成に使用されたときに、本明細書に開示のSide Creep試験に供される場合、この積層体のクリープを9ミリメートル以下にすることができる請求項37に記載の不織布。
【請求項41】
前記不織布が積層体の形成に使用されたときに、本明細書に開示のSide Creep試験に供される場合、この積層体のクリープを8ミリメートル以下にすることができる請求項37に記載の不織布。
【請求項42】
積前記不織布が層体の形成に使用されたときに、本明細書に開示のSide Creep試験に供される場合、この積層体のクリープを7ミリメートル以下にすることができる請求項37に記載の不織布。
【請求項43】
前記不織布が積層体の形成に使用されたときに、本明細書に開示のSide Creep試験に供される場合、この積層体のクリープを6ミリメートル以下にすることができる請求項37に記載の不織布。
【請求項44】
複数の連続繊維であって、各々が第1のポリマーとこの第1のポリマーとは異なる第2のポリマーとを備え、前記複数の連続繊維の少なくとも一部が互いに接合されている複数の連続繊維と、
前記複数の連続繊維のうちの少なくとも一部の繊維の表面上に配置され、エステルまたは脂肪酸を含む表面改質物質を含む組成物と
を備える不織布。
【請求項45】
前記表面改質物質が、エステルを含む請求項44に記載の不織布。
【請求項46】
前記エステルが、脂肪族のC8〜C18の分岐鎖または直鎖の飽和または不飽和のカルボン酸と、一水酸基の脂肪族のC3〜C18の分岐鎖または直鎖のアルコールとから作られるモノエステルまたはジエステルを含む請求項45に記載の不織布。
【請求項47】
前記エステルが、ステアリン酸ブチル、パルミチン酸イソブチル、ステアリン酸オクチル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソセチル、セバシン酸ジオクチル、トリメチロールプロパントリペラルゴネート、ペンタエリトリトールテトラペラルゴナート、鉱油、ココナッツ油、トウモロコシ油、またはマッコウクジラ油を含む請求項46に記載の不織布。
【請求項48】
前記表面改質物質が、脂肪酸を含む請求項44に記載の不織布。
【請求項49】
前記脂肪酸が、飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸を含む請求項48に記載の不織布。
【請求項50】
前記脂肪酸が、オメガ9の不飽和脂肪酸を含む請求項49に記載の不織布。
【請求項51】
前記脂肪酸が、リシノール酸を含む請求項49に記載の不織布。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2013−517392(P2013−517392A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−549025(P2012−549025)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【国際出願番号】PCT/US2011/020968
【国際公開番号】WO2011/088106
【国際公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(505450814)ファイバーウェブ,インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】