説明

表面処理剤と組成物、その処理加工品

【課題】キレート機能と防汚性の両方を兼ね添えた化合物の提供。
【解決手段】ポリフルオロポリエーテルの中間部または末端に金属キレート基を導入したキレート基含有ポリフルオロポリエーテル、該化合物を含んでなる洗浄用、表面処理用および有用金属回収用等組成物、並びに、MRI用造影剤としての該化合物と遷移金属との錯体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリフルオロポリエーテルの中間部または末端に金属キレート基を導入した新規物質、該物質を含んでなる洗浄用および表面処理用組成物、並びに、該組成物を用いて処理した表面を有する金属加工品、金属酸化物被膜および樹脂加工品、非水溶性キレート剤として汚水・汚泥等汚染源からの重金属除去、貴金属やレアメタル等有用金属の回収、ならびに種々の遷移金属と錯体を形成させ医療診断分野のイメージング剤に関する。
【背景技術】
【0002】
キレート剤は、その金属イオンに対する強い親和性や錯化作用を利用して、各種の洗浄用組成物や表面処理用組成物等への利用が為されている。特に、環境への影響に配慮して、生分解性に優れたアミノ酸系キレート剤の開発が進められている。例えば、特開2001−342453号公報にはエチレンジアミン−N,N’−ジ酢酸等のアミノ酸誘導体とアスパラギン酸−N,N−ジ酢酸等との組合せになるキレート剤組成物が、相乗効果に優れたキレート活性と分散安定性を有する洗浄剤組成物を与えるものとして開示されている。また、特開2002−138272号公報には、ポリアミンポリカルボン酸とピペラジノン誘導体との組合せからなるキレート剤組成物が、同様の優れた性能を有する組成物として開示されている。また、特開平9−194448号公報には、二分子のアミノ酸の連結によるジアミン型ポリアミノ酸が生分解性に優れたキレート剤として開示されている。
【0003】
一方、金属表面や金属酸化物被膜(例えば、酸化物半導体ウエハ)および樹脂加工品(例えば、透明性樹脂)等では、表面の清浄化に加えて表面防汚性を兼ね備えた洗浄剤や表面処理剤の開発が試みられている。例えば、特表2008−537557号公報には、アルキルシリル基を末端に有するポリフルオロポリエーテルが、防汚性に優れた表面処理剤であることが開示されている。しかしながら、該処理剤はキレート機能による金属除去作用はない。
【0004】
この様な現状に対して、キレート機能と防汚性の両方を兼ね添えた化合物の開発が待たれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−342453号公報
【特許文献2】特開2002−138272号公報
【特許文献3】特開平9−194448号公報
【特許文献4】特表2008−537557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、キレート機能と防汚性の両方を兼ね添えた物質の提供、該物質を含んでなる洗浄用および表面処理用組成物、並びに、該組成物を用いて処理した表面を有する金属加工品、金属酸化物被膜および樹脂加工品の提供、非水溶性キレート剤として汚水・汚泥等汚染源からの重金属除去、貴金属やレアメタル等有用金属の回収、ならびに種々の遷移金属と錯体を形成させ医療診断分野のイメージング剤等を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、驚くべきことには、従来両立が困難と目されていたキレート機能と防汚性(あるいは、撥水撥油性)が、ポリフルオロポリエーテル化合物にキレート基含有基を反応させることによって得られる新規な物質によって達成可能なことを見出し、本発明に到達した。
【0008】
即ち、本発明は、キレート基含有ポリフルオロポリエーテルであって、
式(1):
【化1】

、式(2):
【化2】

、式(3):
【化3】

、式(1’):
【化4】

、式(2’):
【化5】

および、式(3’):
【化6】

[式中、PFPEはポリフルオロポリエーテル;Rfはそれぞれ同じかまたは異なる-CH2NH2基または炭素数1〜10の含フッ素アルキル基;Zはそれぞれ同じかまたは異なるキレート基含有基、mは2〜10の整数、を表し、式(3’)はエチレンジアミンの環状多量体の誘導体であってpは1〜3、qおよびrは0または1を表し、qおよびrは同時に1ではない。]
からなる群から選ばれる少なくとも1つの式で表される、新規なキレート基含有ポリフルオロポリエーテルを提供するものである。
【0009】
本発明はまた、キレート基含有ポリフルオロポリエーテルを含んでなる新規な組成物を提供する。該組成物は微量金属除去用洗浄剤組成物であってよく、また、該組成物は撥液性表面処理剤組成物であってよい。
【0010】
本発明はまた、上記いずれかの組成物によって処理された表面を有する金属加工品、金属酸化被膜および樹脂加工品を提供する。
【0011】
本発明はまた、キレート基含有ポリフルオロポリエーテルおよび常時性金属から形成された錯体、特に、MRI造影剤または該造影剤を用いた分子イメージング剤を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るキレート基含有ポリフルオロポリエーテルは、優れたキレート機能と防汚機能を併せ持ち、該物質を含んでなる組成物は、清浄効果に優れた微量金属除去用洗浄剤組成物や防汚性に優れた撥液性表面処理剤組成物を提供し得る。
また、本発明に係るキレート基含有ポリフルオロポリエーテルおよび常磁性金属から形成された錯体は、MRI造影剤または該造影剤を用いた分子イメージング剤として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係るキレート基を含有するポリフルオロポリエーテルは、ポリフルオロポリエーテル(PFPE)鎖の片末端または両末端にキレート基含有基を有する式(1)もしくは式(1’)、または式(2)もしくは式(2’)で表される化合物、あるいは、キレート基含有基の両末端にポリフルオロポリエーテル(PFPE)鎖を有する式(3)で表される化合物、または、キレート基含有エチレンジアミンの環状多量体である環状ポリアミンにPFPE鎖が複数結合している式(3’)で表される化合物である。本発明化合物は、一分子中にポリフルオロポリエーテル鎖(PFPE)とキレート基を併存することによって、ポリフルオロポリエーテル(PFPE)鎖に由来する撥水撥油性とキレート基に由来するキレート機能とが発現されて、特徴あるキレート機能を発揮する。
Rf−PFPE鎖の重量平均分子量は、例えば、500〜100000、好ましくは、1000〜80000、より好ましくは、2000〜50000の範囲にあってよい。
【0014】
PFPE基は、−CO−、−CO−および−CFO−からなる群から選択された少なくとも一種の繰り返し単位(オキシパーフルオロアルキレン基)を有するポリフルオロポリエーテルである。
PFPE基(特に、パーフルオロポリエーテル基)の例は、次のとおりである。
F-(CF2CF2CF2O)n-CF2CF2- (nは1〜200)
F-(CF2C(CF3)FO)n-CF2CF2- (nは1〜200)
F-(CF2C(CF3)FO)n-(CF2O)m-CF2CF2- (nとmの合計は1〜200)
F-(CF2CF2O)n-(CF2O)m-CF2CF2- (nとmの合計は1〜200)
【0015】
また、ポリフルオロポリエーテル鎖におけるXは、水素、フッ素または塩素のいずれであってもよいが、好ましくはフッ素である。ポリフルオロポリエーテル鎖は、鎖中に、
-CF2CF2CF20-、
-CHFCF2CF20-、
-CHClCF2CF20-、
-CH2CF2CF20-、
-CF(CF3)CF20-、
-CF2CF20-、
-CF20-
のフルオロエーテル単位のいずれか1種または2種以上を合計7個以上必須成分として有している。
【0016】
ポリフルオロポリエーテル鎖は上記のフルオロエーテル単位を7個以上含んでいることが重要であり、それによって撥水撥液性や防汚性を付与できる。
なかでも、上記のフルオロエーテル単位を10個以上、より好ましくは20個以上有することが好ましく、それによって、よりすぐれた防汚性、撥水撥油性を発揮する。
ポリフルオロポリエーテル鎖中のフルオロエーテル単位が40個を超える場合は、汎用溶剤への溶解性が低下し、透明性が必要な用途においては、その透明性が低下する点で望ましくない。好ましくは35個以下、さらには30個以下である。
特に好ましいフルオロエーテル単位の連鎖は、-CF2CF2CF20-を単独で7〜40個有するものであり、特に、防汚性の点で顕著に表面処理効果を発揮し得る。
【0017】
キレート基含有基は特に制限されず、例えば、カルボキシル基含有基(例えば、カルボキシル基)、ホスホン酸基含有基(例えば、ホスホン酸基)、1,3−ジケトン基含有基(例えば、1,3−ジケトン基)、チオカーバメート基含有基(例えば、チオカーバメート基)、オキサレート基含有基(例えば、オキサレート基)、チオシアネート基含有基(例えば、チオシアネート基)等が挙げられる。また、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N,N',N'',N'''-四酢酸(DOTA)および1,4,7-トリアザシクロドデカン-N,N',N''-三酢酸(TOTA)等の環状ポリアミンに酢酸キレート基が付加した基等が挙げられる。
【0018】
キレート基含有基はそれが付加しているN原子と相俟って、キレート機能を発揮する。キレート基含有基は特に限定されないが、好ましくは、カルボキシル基含有基(-(CH2)jCOOH)[式中、jは0〜10の整数、好ましくは1〜4の整数、特に好ましくは1を表す。]、およびホスホン酸基含有基(-(CH2)jP(=O)(OH)2) [式中、jは0〜10の整数、好ましくは1〜4の整数、特に好ましくは1を表す。]である。これらは、それが付加しているN原子と相俟って、アミノカルボン酸基およびアミノホスホン酸基と看做される。これらの内、特に酢酸基(-CH2COOH)が好ましく、対応するアミノカルボン酸基はアミノ酸に由来するキレート基であり、経済的にも入手容易な基である。更にアミノカルボン酸基は生分解性が良好な点でも好ましい。
【0019】
本発明の好ましい態様を挙げるならば、式(1)が式(1−1):
【化7】

[式中、X、RfおよびZは前記と同義であり、n1、n2、n3およびn4はそれぞれ同じかまたは異なり0または1以上の整数を表す。]であり、
式(2)が式(2−1):
【化8】

[式中、X、Z、並びにn1、n2、n3およびn4は前記と同義であり、ZはHまたはそれぞれ同じかもしくは異なるキレート基を表す。]であり、
式(3)が式(3−1):
【化9】

[式中、Rf、X、Z、n1、n2、n3およびn4は前記と同義であり、mは2〜10の整数を表す。]であり、
式(1’)が式(1’−1):
【化10】

[式中、Rf、X、n1、n2、n3およびn4は前記と同義であり、p’は1〜4の整数を表す。]であり、
式(2’)が式(2’−1):
【化11】

[式中、X、n1、n2、n3、n4およびp’は前記と同義である。]であり、および、
式(3’)が式(3’−1):
【化12】

[式中、YはCHまたはNを表し、ZはOHまたはRf−PFPE [RfおよびPFPEは前記と同義である。]を表し、そのうち少なくとも2つがOHであって少なくとも1つがRf−PFPEであり、sは0または1であって、YがCHのときは0、YがNのときは1である。]である、キレート基含ポリフルオロポリエーテが挙げられる。
【0020】
キレート基含有ポリフルオロポリエーテル(2−1)において、Zは水素原子またはキレート基含有基である。キレート基含有基Zはそれが付加しているN原子と相俟って、キレート機能を発揮する。キレート基含有基Zの具体的例示は前述の通りである。
【0021】
式(1−1)、(1’−1)、(2−1)、(3−1)および(3’−1)において、Rfは -CH2NH2基または炭素数1〜10の含フッ素アルキル基である。含フッ素アルキル基の具体例としては、例えば、下式:
【化13】

[式中、l、m、n、tはそれぞれ同じかまたは異なり0または1〜5の整数を表す。]
などが挙げられる。
【0022】
式(3’−1)において、ZはOHまたはRf−PFPE [RfおよびPFPEは前記と同義である。]を表し、そのうち少なくとも2つがOHであって少なくとも1つがRf−PFPEであり、sは0または1であって、YがCHのときは0、YがNのときは1である。
【0023】
本発明の、更に好ましい態様を示すならば、ポリフルオロポリエーテル誘導体のキレート基含有基がカルボキシル基である場合であって、
式(1−1)が式(1−1−1):
【化14】

、式(2−1)が式(2−1−1):
【化15】

、式(3−1)が式(3−1−1):
【化16】

[式中、n1、n2、n3、n4、Xおよびmは前記と同義である。]、
式(1’−1)が式(1’−1−1):
【化17】

[式中、Rf、n1、n2、n3、n4、X、Yおよびsは前記と同義である。]、および、
式(2’−1)が式(2’−1−1):
【化18】

[式中、n1、n2、n3、n4、X、Yおよびsは前記と同義である。]である、キレート基含有ポリフルオロポリエーテルを提供する。
【0024】
同様に、キレート基含有基がホスホン酸基(CH2P(=O)(OH)2)の場合には、上記式(1−1−1)〜(3−1−1)、式(1’−1−1)および(2’−1−1)にそれぞれ対応するホスホン酸基含ポリフルオロポリエーテルが挙げられる。例えば、片末端ホスホン酸基型の式(4−1):
【化19】

および、両末端ホスホン酸基型の式(5−1):
【化20】

などが一例として挙げられる。
【0025】
本発明のキレート基含有ポリフルオロポリエーテル(1−1)はポリフルオロポリエーテル鎖の片末端にキレート基含有基が付加したタイプであり、もう一方の末端はRf基である。ここで、Rf基がCH2NH2基である場合はアミノキレート基であるから、両末端キレート基付加タイプとも言い得て、式(1−1)はその典型である。
【0026】
本発明のキレート基含有ポリフルオロポリエーテル(2−1)はポリフルオロポリエーテル鎖の両末端にキレート基含有基が付加したタイプであり、式(2−1−1)はその典型である。
【0027】
本発明のキレート基含有ポリフルオロポリエーテル(3−1)はポリアミノポリカルボン酸タイプのキレート基の両末端にポリフルオロポリエーテル鎖が付加したタイプであり、複数のキレート基含有基が分子鎖中央付近に存在している。ここで、Rf基がCH2NH2基である場合はアミノキレート基であるから、キレート基含有基が更に分子鎖末端にも存在することになる。式(3−1−1)はその典型であり、例えば、式(3−1−1)中でのm=3に相当する下式(3−1−1−1):
【化21】

などが具体的に挙げられる。
【0028】
この様に、本発明のキレート基含有ポリフルオロポリエーテルは、一分子中に撥水・撥油性を示すポリフルオロポリエーテル鎖と金属イオンに親和性を示すキレート基の分布の様々なバリエーションを有する物質を提供できることから、種々の金属イオン捕集剤組成物として、あるいは、種々の材料に対する洗浄剤組成部または表面処理剤組成物としての利用が可能である。
特に、本発明のキレート基含有ポリフルオロポリエーテルを含む組成物は、従来のキレート剤に比して水系溶媒には溶けにくく、非水系で極性の溶媒には溶けやすいという特徴を有することから、従来は利用が制限されていた用途への利用も可能となる。例えば、非水溶性キレート剤として汚水・汚泥等汚染源からの重金属除去、貴金属やレアメタル等有用金属の希薄水溶液からの回収、ならびに種々の遷移金属と錯体を形成させ医療診断分野(MRI用造影剤等)のイメージング剤等の分野である。
【0029】
次に、本発明化合物の製造方法について説明する。
本発明に係るキレート基含有ポリフルオロポリエーテルは、末端反応性基を有するポリフルオロポリエーテルとキレート化合物前駆体との反応によって合成され得る。ポリフルオロポリエーテルは、通常、パーフルオロエチレンオキシド、パーフルオロプロピレンオキシド、パーフルオロオキセタン等の環状ポリフルオロエーテルの開環(共)重合によって製造される。得られるポリフルオロポリエーテルの末端は重合反応の後処理条件よって異なるものになるが、ここでは、最も一般的な両末端カルボン酸フルロオリド(-C(=O)F)の場合を例にとって説明する。キレート基含有ポリフルオロポリエーテル(1−1)〜(3−1)の合成方法を、より具体的な官能基構造を有する式(1−1)、(2−1−1)および(3−1−1)によって以下説明する。
【0030】
まず、式(1−1)および式(2−1−1)で表される誘導体の合成方法を説明する。
両末端酸フルオリド型ポリフルオロポリエーテルから式(1−1)で示される片末端キレート基型ポリフルオロポリエーテルおよび式(2−1−1)で示される両末端キレート基型ポリフルオロポリエーテルへの変換反応を下式:
【0031】
【化22】

に沿って説明する。
【0032】
即ち、両末端の酸フルオリド基を有機アミン、無機塩基のメタノール溶液に0℃〜50℃で滴下することで両末端メチルエステル基とし、次いで0℃〜室温下、アンモニアのメタノール溶液にて両末端アミド基とし、次いで水素化ホウ素ナトリウムと塩化アルミニウムによる還元反応によって両末端アミノメチル基とする。この内、片末端のアミノメチル基と2当量のブロモ酢酸を有機アミン、無機塩基存在下室温で縮合させることによって、片末端のN原子に2個のキレート基(−CHCOOH)が置換した片末端キレート基ポリフルオロポリエーテル(1−1)を合成することができる。
【0033】
更に、誘導体(1−1)と2当量のブロモ酢酸を有機アミン、無機塩基存在下室温で縮合させることによって、両末端のN原子にそれぞれ2個のキレート基(−CHCOOH)が置換した両末端キレート基ポリフルオロポリエーテル(2−1−1)を合成することができる。
【0034】
同様に、キレート基がホスホン酸基(CHP(=O)(OH))の場合には、上記式(1−1)〜(3−1−1)にそれぞれ対応するキレート基含有ポリフルオロポリエーテルが挙げられる。具体的には、片末端キレート基型のホスホン酸キレート基含有ポリフルオロポリエーテル(式(4−1))および両末端キレート基型のホスホン酸キレート基含有ポリフルオロポリエーテル(式(5−1))を、それぞれ下式:
【化23】

に沿って合成することができる。
【0035】
得られた生成物を定法に従って後処理・精製した後、キレート基含有ポリフルオロポリエーテルの末端の化学構造を19F−NMRによって確認し、キレート基の導入をIRにより確認することが出来る。
【0036】
次に、キレート基の両末端にポリフルオロポリエーテル鎖を付加した型のキレート基含有ポリフルオロポリエーテル(3−1)および(3−1−1)の合成方法を、具体的な官能基構造を有する誘導体(3−1−1−1)を例として下式:
【0037】
【化24】

に沿って説明する。
【0038】
出発原料のジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)二無水物(下式):
【化25】

は市販品として容易に入手できる。次いで2当量の両末端アミノメチル基型ポリフルオロポリエーテルを酸無水物基に室温〜40℃付近の加熱下に付加反応させることによって、目的化合物(3−1−1−1)を得ることができる。ここで、得られた生成物(3−1−1−1)の両末端には依然として反応性の官能基(アミノメチル基:−CHNH)が存在するため、原料のジエチレントリアミン五酢酸二無水物が更に付加反応した高分子量化合物も生成し得るが、この物は有機溶剤やアルカリ性水溶液ならびに酸性水溶液に不溶な固体のために反応系から析出する。従って、反応液を室温に冷却後、析出する固体を濾過して除いた後に、反応液を定法により後処理・精製することによって、目的化合物(3−1−1−1)を純度よく得ることができる。得られたキレート基含有ポリフルオロポリエーテルを19F−NMRによって確認し、キレート基の導入をIRによって分析することによって、ポリフルオロポリエーテル鎖を両側に付加した型のキレート基付加部位構造を確認することが出来る。
【0039】
次に、一般式(1’)および(2’)で表されるキレート基含有ポリフルオロポリエーテルの合成方法について説明する。前記と同様にカルボン酸フルオリド型末端を有するPFPEから出発し、末端基をメタノールによってメチルエステル基とした後に、キレート基含有アミンとの反応によるアミド化によって目的化合物を得ることができる。
【0040】
具体的には、まず、式(1’−1−1)で表される多官能性環状ポリアミンをキレート含有基として有するポリフルオロポリエーテルの合成法について説明する。アミンとして1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−4,7,10−三酢酸を3官能性キレート基含有アミンとして用い、片末端メチルエステル型ポリフルオロポリエーテルと反応することによって、下式:
【化26】

[式中、Rf、X、n1〜n4は前記と同義である。]
で表されるキレート基含有ポリフルオロポリエーテル(1’−1−1−1)を得ることが
できる。
【0041】
次に、両末端キレート基含有ポリフルオロポリエーテル(2’−1−1)の合成方法を具体例で説明すると、前記と同様に、両末端メチルエステル型ポリフルオロポリエーテルから出発することにより、下記反応式:
【化27】

[式中、X、n1〜n4は前記と同義である。]
によって、両末端キレート基含有ポリフルオロポリエーテル(2’−1−1−1)を得ることができる。
【0042】
また、片末端アミン型ポリフルオロポリエーテルに、1、4、7、10−テトラアザシクロドデカン−1、4、7、10−四酢酸から導かれるモノ酢酸無水物を反応させることによって、以下の反応式:
【化28】

[式中、Rf、X、n1〜n4は前記と同義である。]
で表されるキレート基含有ポリフルオロポリエーテル(3’−1−1−1)を得ることが
できる。
【0043】
ここで、原料の(ポリ)アミノポリカルボン酸としては、以下の原料を用いることができる。例えば、下式:
【化29】

で表されるヒドロキシエチルエチレンジアミン四酢酸(略称:HEDTA)、下式:
【化30】

で表されるジエチレントリアミン五酢酸(略称:DTPA)、下式:
【化31】

で表されるトリエチレンテトラアミン六酢酸(略称:TTHA)、下式:
【化32】

で表される1,3−プロパンジアミン四酢酸(略称:PDTA)、下式:
【化33】

で表される1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン四酢酸(略称:DTPA−OH)、下式:
【化34】

で表されるグリコールエーテルジアミン四酢酸(略称:GEDTA)、下式:
【化35】

で表される1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−4,7,10−三酢酸(TOTA)、および、下式:
【化36】

で表される1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1、4,7,10−四酢酸(略称:DOTA)などを用いることによって、それぞれ対応する本発明のキレート基含有ポリフルオロポリエーテルを得ることができる。
【0044】
同様に、ホスホン酸基原料としてのアミノホスホン酸としては、下式:
【化37】

で表されるエチレンヂアミン四アミノホスホン酸(略称:EDTMP)が代表的に挙げられる。
【0045】
次に、本発明のキレート基含有ポリフルオロポリエーテルを含有する組成物について説明する。これらの組成物は、例えば、金属イオン捕集剤組成物、微量金属除去用洗浄剤組成部および表面処理剤組成物などである。
本発明の組成物は、キレート基含有ポリフルオロポリエーテルを目的に応じた適量を非水系極性溶媒に溶解して用いる。非水系極性溶媒としては、例えば、パーフルオロカーボン等のフッ素系溶媒、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、セルソルブ系溶媒、エステル系溶媒等を挙げることが出来る。例えば、パーフルオロエーテル、パーフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロクロロカーボン等、ケトン(例えば、メチルエチルケトン、アセトン)、アルコール(例えば、エタノール、プロパノールなどの一価アルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコールなどの多価アルコール(特に、2〜4価のアルコール))、エステル(例えば、酢酸エチル)、エーテル(例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート)である。中でも、フッ素溶媒が好ましく、特にパーフルオロエーテル、ハイドロフルオロカーボンおよびハイドロフルオロクロロカーボン(AK−225等)が好ましい。
【0046】
本発明のキレート基含有ポリフルオロポリエーテルの添加量は、組成物全体量に対して通常、0.000001〜50重量%、好ましくは、0.001〜30重量%、特に好ましくは、0.1〜20重量%である。例えば、洗浄剤組成物の場合は、通常、0.0001〜10重量%、好ましくは、0.01〜10重量%、特に好ましくは、0.1〜1重量%である。一方、表面処理剤の場合は、通常、0.001〜50重量%、好ましくは、 0.01〜30重量%、特に好ましくは、0.1〜20重量%である。
【0047】
該組成物中には処理目的に応じて種々の補助添加剤を加えることができる。例えば、界面活性剤、分散剤、表面光沢剤等である。
本発明の組成物で処理される対象物は特に制限はない。材質で云えば、金属材料、酸化物半導体のような酸化物被膜および樹脂製品等である。
本発明の組成物液で処理対象物を処理するには、例えば、スピンコート法、スプレー噴射法、コーティング法、浸漬法、混合撹拌法、CVD法等、処理目的に応じて適切な処方を選択することができる。
【0048】
本発明はまた、前記本発明のキレート基含有ポリフルオロポリエーテルのいずれか1つに記載のキレート基含有ポリフルオロポリエーテルと常磁性金属とから形成された錯体を提供する。この錯体は、MRI造影剤または該造影剤を用いた分子イメージング剤として用いられる。この常磁性金属錯体は、MRI造影剤として用いる場合、常磁性金属イオンが測定標的となる核の緩和時間を短縮させる作用があり、検出感度の増大に寄与する。この作用は、特に原子番号21〜29および57〜71の2価または三価の金属イオンであることが好ましく、特に、Cr(III)、Mn(II)、Fe(III)、Eu(III)、Gd(III)、Dy(III)およびHo(III)が好ましい。
【0049】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例で用いる原料化合物を説明する。
ポリフルオロポリエーテル(PFPE)の片末端がメチルアミン型の下式:
【化38】

[式中、n1、n2、n3、n4およびXは前記と同義である。]で表される化合物を、「デムナムメチルアミン」と称する。
また、PFPEの両末端がメチルアミン型の下式:
【化39】

[式中、n1、n2、n3、n4およびXは前記と同義である。]で表される化合物を、「デムナムジメチルアミン」と称する。
【0050】
静的接触角と転落角は全自動接触角計DropMaster700(協和界面科学製)を用いて次の方法で測定した。
<静的接触角と転落角の測定方法>
静的接触角は、水平に置いた基板にマイクロシリンジから水、n-ヘキサデカンを2μL滴下し、滴下1秒後の静止画をビデオマイクロスコープで撮影することにより求めた。
また、転落角は以下の方法で求めた。水平に置いた基板にマイクロシリンジから、水の場合は20μL、n-ヘキサデカン5μL滴下し、基板を毎秒2°の速度で傾斜させ、液滴が転落し始めるまでを、ビデオマイクロスコープで動画として記録した。その動画を再生し、液滴が転落し始める角度を転落角とした。
【0051】
実施例1
<酢酸キレート基(−CHCOH)含有ポリフルオロポリエーテル(「デムナム−TEA1」と称する。)の合成>
トリエチルアミン5mlに溶解した2−ブロモ酢酸130mg(0.9mmol)を氷冷し、デムナムメチルアミンとデムナムジメチルアミン(Mw2000)3.0g(0.15mmol)の混合物(モノアミン体:ジアミン体=6:1)をゆっくり加え、室温で12時間攪拌した。反応混合物に水5mlとAK−225を5ml加え、1N−塩酸にてpH2.0に調整した。反応層は上層から水層、エマルジョン層、AK−225層に分かれエマルジョン層とAK−225層を集め硫酸マグネシウムにて乾燥後、ろ過しオイル状粗体2.4g(収率78%)を得た。19F−NMRよりアミノ基のβ位のフッ素が−128ppmから−124ppmにシフトしたこと、IRにより1710cm−1に原料にはないカルボン酸のC=O伸縮振動が新たに観測されたことから表記化合物が合成できたことを確認した。
【0052】
実施例2
<酢酸キレート基(−CHCOH)含有ポリフルオロポリエーテル(「デムナム−TEA2」と称する。)の合成>
トリエチルアミン5mlに溶解したイミドジ酢酸400mg(3.0mmol)を氷冷し、メチル デムナムエステルとメチル デムナムジエステル(Mw2000)5.0g(0.25mmol)の混合物(モノアミン体:ジアミン体=6:1)をゆっくり加え、室温で12時間攪拌した。反応混合物に水5mlとAK−225を5ml加え、1N−塩酸にてpH2.0に調整した。反応層は上層から水層、エマルジョン層、AK−225層に分かれエマルジョン層とAK−225層を集め硫酸マグネシウムにて乾燥後、ろ過しオイル状粗体4.4g(収率82%)を得た。19F−NMRよりエステル基のα位フッ素が−128ppmから−123ppmにシフトしたこと、IRにより1710cm−1に原料にはないカルボン酸のC=O伸縮振動が新たに観測されたことから表記化合物が合成できたことを確認した。
【0053】
実施例3
<ポリアミノポリカルボン酸キレート基含有ポリフルオロポリエーテル(「デムナム−DTPA」と称する。)の合成>
トリエチルアミン5mlに溶解した1,3−プロパンジアミン四酢酸(DTPA)酸無水物350mg(1.0mmol)を氷冷し、デムナムメチルアミンとデムナムジメチルアミン(Mw2000)6.0g(0.15mmol)の混合物(モノアミン体:ジアミン体=6:1)をゆっくり加え、室温で12時間攪拌した。反応混合物に水5mlとAK−225を5ml加え、1N−塩酸にてpH2.0に調整した。反応層は上層から水層、固体層、AK−225層に分かれAK−225層を集め硫酸マグネシウムにて乾燥後、ろ過しオイル状粗体2.2g(収率34%)を得た。19F−NMRよりアミノ基のβ位のフッ素が−128ppmから−124ppm(DTPAモノデムナムアミン体)、−122ppm(DTPAジデムナムアミン体)にシフトしたこと、IRにより1710cm−1に原料にはないカルボン酸のC=O伸縮振動が新たに観測されたことから表記化合物が合成できたことを確認した。
【0054】
実施例4
<金属表面の処理および表面物性の測定>
実施例1〜3で合成したデムナム−TEA1、デムナム−TEA2およびデムナム−DTPAをそれぞれ0.1重量%の量でAK−225(旭硝子製)溶媒中に添加して撹拌し、均一な処理剤組成物を調製した。アセトンにて超音波洗浄(5分間)したハステロイ22とSUS316テストピース(5cm×2cm)を得られた処理剤組成物に浸漬して1分間かけて引出し室温で24時間放置した後、AD−225に浸して超音波洗浄(5分間)後、風乾し乾燥塗膜の表面物性を測定した。得られた結果を表1に示す。
【0055】
比較例
<未変性TEAおよび未変性DTPAによる金属表面の処理および表面物性の測定>
実施例4に準じて、ポリフルオロポリエーテルで変性されていない未変性TEAおよび未変性DTPAによる金属表面の処理を実施した。処理品表面物性の測定結果を、下記表1に併記した。
【0056】
【表1】

【0057】
上記表1の結果より、本発明のキレート基含有ポリフルオロポリエーテルを含有する組成物による処理で、ハステロイ(HC22)およびステンレス(SUS316)のいずれも、撥水性・撥油性共に顕著に向上していることが判る。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明のキレート基含有ポリフルオロポリエーテルは、一分子中に撥水・撥油性を示すポリフルオロポリエーテル鎖と金属イオンに親和性を示すキレート基の分布の様々なバリエーションを有する物質を提供できることから、種々の金属イオン捕集剤組成物として、あるいは、種々の材料に対する洗浄剤組成部または表面処理剤組成物としての利用が可能である。さらに、本発明のキレート基含有ポリフルオロポリエーテルと常磁性金属との錯体は、MRI用造影剤としても利用し得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キレート基含有ポリフルオロポリエーテルであって、
式(1):
【化1】

、式(2):
【化2】

、式(3):
【化3】

、式(1’):
【化4】

、式(2’):
【化5】

および、式(3’):
【化6】

[式中、PFPEはポリフルオロポリエーテル;Rfはそれぞれ同じかまたは異なる-CH2NH2基または炭素数1〜10の含フッ素アルキル基;Zはそれぞれ同じかまたは異なるキレート基含有基であって、隣接するZ同士は環を形成していてもよい;mは2〜10の整数、を表し、式(3’)はエチレンジアミンの環状多量体の誘導体であってpは1〜3、qおよびrは0または1を表し、qおよびrは同時に1ではない。]
からなる群のいずれか1つの式で表される、キレート基含有ポリフルオロポリエーテル。
【請求項2】
PFPEが−CO−、−CO−および−CFO−からなる群から選択された少なくとも一種の繰り返し単位(オキシパーフルオロアルキレン基)を有するポリフルオロポリエーテルである、請求項1に記載のキレート基含有ポリフルオロポリエーテル。
【請求項3】
Rf−PFPE鎖の重量平均分子量が500〜100000の範囲である、請求項1または2に記載のキレート基含有ポリフルオロポリエーテル。
【請求項4】
式(1)が式(1−1):
【化7】

[式中、X、RfおよびZは前記と同義であり、n1、n2、n3およびn4はそれぞれ同じかまたは異なり0または1以上の整数を表す。]であり、
式(2)が式(2−1):
【化8】

[式中、X、Z、並びにn1、n2、n3およびn4は前記と同義であり、ZはHまたはそれぞれ同じかもしくは異なるキレート基を表す。]であり、
式(3)が式(3−1):
【化9】

[式中、Rf、X、Z、n1、n2、n3およびn4は前記と同義であり、mは2〜10の整数を表す。]であり、
式(1’)が式(1’−1):
【化10】

[式中、Rf、X、n1、n2、n3およびn4は前記と同義であり、p’は1〜4の整数を表す。]であり、
式(2’)が式(2’−1):
【化11】

[式中、X、n1、n2、n3、n4およびp’は前記と同義である。]であり、および、
式(3’)が式(3’−1):
【化12】

[式中、YはCHまたはNを表し、ZはOHまたはRf−PFPE [RfおよびPFPEは前記と同義である。]を表し、そのうち少なくとも2つがOHであって少なくとも1つがRf−PFPEであり;sは0または1であって、YがCHのときは0、YがNのときは1である。]である、
請求項1〜3のいずれか1つに記載のキレート基含有ポリフルオロポリエーテル。
【請求項5】
がカルボキシル含有基、ホスホン酸含有基、1,3−ジケトン含有基、チオカーバメート含有基、オキサレート含有基、チオシアネート含有基から選ばれた少なくとも1種のキレート基含有基である、請求項1〜4の少なくとも1つに記載のキレート基含有ポリフルオロポリエーテル。
【請求項6】
が式(4):
-CH2COOH または -CH2P(=O)(OH)2
で表され、
が式(5):
-H 、-CH2COOH または -CH2P(=O)(OH)2
で表される、請求項1〜5のいずれか1つに記載のキレート基含有ポリフルオロポリエーテル。
【請求項7】
式(1−1)が式(1−1−1):
【化13】

、式(2−1)が式(2−1−1):
【化14】

、式(3−1)が式(3−1−1):
【化15】

[式中、n1、n2、n3、n4、Xおよびmは前記と同義である。]、
式(1’−1)が式(1’−1−1):
【化16】

[式中、Rf、n1、n2、n3、n4、X、Yおよびsは前記と同義である。]、および、
式(2’−1)が式(2’−1−1):
【化17】

[式中、n1、n2、n3、n4、X、Yおよびsは前記と同義である。]
である、請求項1〜6のいずれか1つに記載のキレート基含有ポリフルオロポリエーテル。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1つに記載のキレート基含有ポリフルオロポリエーテルを含んでなる組成物。
【請求項9】
組成物が微量金属除去用洗浄剤組成物である請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
組成物が撥液性表面処理剤組成物である請求項8に記載の組成物。
【請求項11】
請求項8〜10のいずれか1つに記載の組成物によって処理された表面を有する金属加工品、金属酸化被膜および樹脂加工品。
【請求項12】
組成物が金属イオン捕集剤組成物である請求項8に記載の組成物。
【請求項13】
請求項1〜7のいずれか1つに記載のキレート基含有ポリフルオロポリエーテルと常磁性金属とから形成された錯体。
【請求項14】
錯体がMRI造影剤または該造影剤を用いた分子イメージング剤である、請求項13に記載の錯体。

【公開番号】特開2012−97131(P2012−97131A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−243275(P2010−243275)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】