説明

表面処理液、表面処理鋼板およびその製造方法

【課題】非クロム系の表面処理液であって、加工ワレの発生を抑制しつつ、塗膜密着性および耐水性が高い表面処理皮膜を形成することができる表面処理液を提供すること。
【解決手段】本発明の表面処理液は、水溶性レゾール型フェノール樹脂と、アミノ基またはエポキシ基を有するシランカップリング剤とを含有し、かつ金属成分を含有しない、pHが8〜13の水溶液である。水溶性レゾール型フェノール樹脂とシランカップリング剤との質量比は、90:10〜40:60の範囲内である。この表面処理液をAl含有めっき鋼板の表面に塗布し、乾燥させることで、めっき層表層に含まれるAlも利用して塗膜密着性および耐水性が高い表面処理皮膜を形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面処理液、表面処理鋼板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、溶融めっき鋼板などを塗装原板として塗装鋼板を製造する場合、塗装前処理としてクロメート処理を行うのが一般的であった。塗料を塗布する前にクロメート処理を行うことで、塗膜密着性や耐水性、耐食性などを向上させることができる。
【0003】
しかしながら、近年になって、環境負荷の軽減が重視される傾向から、六価クロムを含有しない非クロム系の塗装前処理液の開発が盛んに進められている。非クロム系の塗装前処理液の多くは、水性有機樹脂や金属化合物などを水系溶媒に配合したものである(例えば、特許文献1〜5参照)。金属化合物は、防錆効果の向上を目的として配合されているが、アルカリ水溶液中では沈殿してしまうことが多い。したがって、通常は、金属化合物を含有する表面処理液は、酸性に調整されている。
【0004】
また、金属化合物を含有しない非クロム系の塗装前処理液も開発されている(例えば、特許文献6、7参照)。特許文献6、7には、フェノール樹脂とシランカップリング剤とを水系溶媒に配合した、酸性の表面処理液が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−058599号公報
【特許文献2】特開2001−089868号公報
【特許文献3】特開2001−240979号公報
【特許文献4】特開2003−013252号公報
【特許文献5】特開2007−046143号公報
【特許文献6】特開平09−241576号公報
【特許文献7】特開平11−276987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の通り、従来の非クロム系の表面処理液(塗装前処理液)は、酸性のものがほとんどであった。酸性タイプの表面処理液は、金属基材に対するエッチング作用が強く、塗装原板からの金属の溶出量が多大である。したがって、酸性タイプの表面処理液を塗装原板の表面に塗布すると、塗装原板と表面処理皮膜との間に形成される反応層の厚みが増大しやすい。この反応層は、金属成分の含有率が高いため、柔軟性に乏しく、曲げや延伸、圧縮などの加工によりワレが発生しやすい。このような加工ワレが発生してしまうと、却って塗膜密着性、耐水性および耐食性が低下してしまうことになる。
【0007】
反応層の増大に起因する加工ワレを回避するためには、表面処理液の塗布量を少なくして反応層の増大を抑制すればよい。その一方で、表面処理液の塗布量が過少量の場合は、十分な膜厚の表面処理皮膜を形成することができず、塗膜密着性、耐水性および耐食性を十分に向上させることができない。
【0008】
このように、酸性タイプの表面処理液には、極めて狭い範囲で厳密に塗布量を制御しなければならず、使用しにくいという問題があった。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、非クロム系の表面処理液(塗装前処理液)であって、加工ワレが発生しにくく、かつ塗膜密着性および耐水性が高い表面処理皮膜を容易に形成することができる表面処理液を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、塗膜密着性および耐水性が高い表面処理鋼板ならびにその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、水溶性レゾール型フェノール樹脂と、アミノ基またはエポキシ基を有するシランカップリング剤とを主成分とし、かつpHがアルカリ性の表面処理液を塗装原板に塗布することで、塗装原板に含まれるAlをも利用して塗膜密着性および耐食性に優れた表面処理皮膜を形成できることを見出し、さらに検討を加えて本発明を完成させた。
【0012】
すなわち、本発明の第一は、以下の表面処理液に関する。
[1]水溶性レゾール型フェノール樹脂と、アミノ基またはエポキシ基を有するシランカップリング剤とを含有し、かつ金属成分を含有しない、pHが8〜13の水溶液である、Al含有めっき鋼板用の表面処理液。
[2]前記水溶性レゾール型フェノール樹脂と前記シランカップリング剤との質量比は、90:10〜40:60の範囲内である、[1]に記載の表面処理液。
【0013】
本発明の第二は、以下の表面処理鋼板の製造方法に関する。
[3]めっき層中にAlを0.17質量%以上含有し、かつめっき層表面から4nmの厚み領域における全金属元素の原子数とCを除く半金属元素の原子数との総和に対するAlの原子数の割合が0.25以上である、Al含有めっき鋼板を準備するステップと;水溶性レゾール型フェノール樹脂と、アミノ基またはエポキシ基を有するシランカップリング剤とを含有し、かつ金属成分を含有しない、pHが8〜13の水溶液である表面処理液を準備するステップと;前記Al含有めっき鋼板に前記表面処理液を塗布し、乾燥させて、表面処理皮膜を形成するステップとを有する、表面処理鋼板の製造方法。
[4]前記表面処理液における前記水溶性レゾール型フェノール樹脂と前記シランカップリング剤との質量比は、90:10〜40:60の範囲内である、[3]に記載の表面処理鋼板の製造方法。
【0014】
本発明の第三は、以下の表面処理鋼板に関する。
[5]Al含有めっき鋼板に表面処理液を塗布し、乾燥させて、表面処理皮膜を形成することで得られる、表面処理鋼板であって:前記Al含有めっき鋼板は、めっき層中にAlを0.17質量%以上含有し、かつめっき層表面から4nmの厚み領域における全金属元素の原子数とCを除く半金属元素の原子数との総和に対するAlの原子数の割合が0.25以上であり;前記表面処理液は、水溶性レゾール型フェノール樹脂と、アミノ基またはエポキシ基を有するシランカップリング剤とを含有し、かつ金属成分を含有しない、pHが8〜13の水溶液である、表面処理鋼板。
[6]前記表面処理液における前記水溶性レゾール型フェノール樹脂と前記シランカップリング剤との質量比は、90:10〜40:60の範囲内である、[5]に記載の表面処理鋼板。
[7]前記表面処理皮膜の付着量は、10〜300mg/mの範囲内である、[5]または[6]に記載の表面処理鋼板。
[8]前記表面処理皮膜は、Alを0.2原子%以上含有する、[5]〜[7]のいずれかに記載の表面処理鋼板。
[9]前記表面処理皮膜の上に、エポキシ樹脂またはポリエステルを含む塗膜をさらに有する、[5]〜[8]のいずれかに記載の表面処理鋼板。
[10]前記塗膜は、防錆顔料を含有する、[9]に記載の表面処理鋼板。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、塗膜密着性および耐水性が高い表面処理鋼板を容易に製造することができる。本発明の表面処理鋼板は、例えば外装建材用のプレコート鋼板の塗装原板として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
1.表面処理液
本発明の表面処理液は、Al含有めっき鋼板に表面処理(塗装前処理)を行う際に使用する表面処理液であって、水溶性レゾール型フェノール樹脂と、アミノ基またはエポキシ基を有するシランカップリング剤とを含有する水溶液である。
【0017】
本発明の表面処理液は、1)有機樹脂として水溶性レゾール型フェノール樹脂を含有すること、2)アミノ基またはエポキシ基を有するシランカップリング剤を含有すること、3)pHが8〜13の範囲内であること、4)金属成分を含有しないこと、を主たる特徴とする。
【0018】
[フェノール樹脂]
本発明の表面処理液は、有機樹脂としてヒドロキシ基(ヒドロキシアルキル基を含む)を多数有する水溶性レゾール型フェノール樹脂を含有する。後述するように、水溶性レゾール型フェノール樹脂は、硬化する際にヒドロキシ基を介してシランカップリング剤およびアルミン酸イオンとも結合して、塗膜密着性および耐水性に優れる強固かつ緻密な皮膜を形成する。
【0019】
水溶性レゾール型フェノール樹脂は、フェノールやビスフェノールAなどのフェノール類とホルムアルデヒドなどのアルデヒド類とをアルカリ触媒の存在下で縮合反応させることで得られる。
【0020】
水溶性レゾール型フェノール樹脂の数平均分子量は、120〜1000の範囲内が好ましく、150〜500の範囲内が特に好ましい。また、レゾール型フェノール樹脂は、ベンゼン核1核あたりのメチロール基の平均数が0.3〜2.5個の範囲内のものが好ましく、0.5〜2.0個の範囲内のものがより好ましい。上記要件を満たすレゾール型フェノール樹脂を使用することで、塗膜密着性および耐水性に優れる強固かつ緻密な皮膜を形成することができる。このようなレゾール型フェノール樹脂の市販品としては、スミライトレジンPR−50781(住友ベークライト株式会社)、レヂトップPL−4667(群栄化学工業株式会社)などが挙げられる。
【0021】
[シランカップリング剤]
本発明の表面処理液は、アミノ基またはエポキシ基を有するシランカップリング剤を含有する。表面処理液中においては、シランカップリング剤のアルコキシ基は加水分解されてシラノール基の状態で存在している。後述するように、シランカップリング剤は、シラノール基を介して塗装原板表面、フェノール樹脂およびアルミン酸イオンと結合する。また、シランカップリング剤は、アミノ基またはエポキシ基を介して、表面処理皮膜の上に形成される塗膜を構成する有機樹脂(例えば、エポキシ樹脂やポリエステルなど)とも結合する。結果として、アミノ基またはエポキシ基を有するシランカップリング剤は、フェノール樹脂やアルミン酸イオンなどと共に塗膜密着性および耐水性に優れる強固かつ緻密な皮膜を形成する。
【0022】
シランカップリング剤の種類は、アミノ基またはエポキシ基を有するものであれば特に限定されない。アミノ基を有するシランカップリング剤の例には、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス(3−(トリメトキシシリル)プロピル)アミンなどが含まれる。エポキシ基を有するシランカップリング剤の例には、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどが含まれる。
【0023】
水溶性レゾール型フェノール樹脂とアミノ基またはエポキシ基を有するシランカップリング剤との質量比は、90:10〜40:60の範囲内が好ましい。質量比がこれらの範囲外の場合、塗膜密着性および/または耐水性が不十分な皮膜となるおそれがある。
【0024】
[表面処理液のpH]
本発明の表面処理液は、pHが8〜13の範囲内であること、すなわちアルカリ性であることを一つの特徴とする。
【0025】
まず、アルカリ性の表面処理液は、酸性の表面処理液に比べてエッチング作用が弱い。したがって、アルカリ性の表面処理液をAl含有めっき鋼板の表面に塗布した場合、Al含有めっき鋼板と表面処理皮膜との間に形成される反応層の厚みが過剰に増大することはない。結果として、アルカリ性の表面処理液は、酸性の表面処理液に比べて加工ワレが生じにくい表面処理皮膜を形成することができる。
【0026】
また、アルカリ性の表面処理液をAl含有めっき鋼板の表面に塗布した場合、めっき層表層のAl(酸化物または水酸化物)は、アルミン酸イオン(Al(OH))となって表面処理液に溶解する。アルミン酸イオンは、塗装原板表面、フェノール樹脂およびシランカップリング剤と結合して、塗膜密着性および耐水性に優れる強固かつ緻密な皮膜を形成することができる。
【0027】
一方で、酸性の表面処理液をAl含有めっき鋼板の表面に塗布した場合は、めっき層表層のAlは、アルミニウムイオン(Al3+)となって表面処理液に溶解する。アルミニウムイオンは、シラノール基やヒドロキシ基と結合しないため、皮膜中においても単独で存在するものと考えられる。このように皮膜中に単独で存在するAlは、水分が皮膜中に浸透してきたときに水和または溶解しやすく、水分の浸入を促進するため、皮膜の耐湿性を顕著に低下させてしまう。
【0028】
以上のように、表面処理液をアルカリ性とすることで、1)反応層の厚みの増大を抑制して、加工ワレが生じにくい表面処理皮膜を形成することができ、かつ2)めっき層表層のAlも利用して、塗膜密着性および耐水性に優れる強固かつ緻密な皮膜を形成することができる。
【0029】
[金属成分]
本発明の表面処理液は、金属成分を含有しないことを一つの特徴とする。前述の通り、従来の表面処理液は、酸性であり、かつ防錆効果が期待される金属化合物(例えば、Ti化合物やZr化合物など)を含有するものがほとんどであった。しかしながら、本発明の表面処理液を使用した場合、塗膜密着性および耐水性に優れた強固かつ緻密な表面処理皮膜が形成されることから、金属化合物を配合しなくても十分な耐食性を実現することができる。また、アルカリ性の水溶液中では、金属化合物が沈殿してしまうことが多いため、本発明の表面処理液に金属化合物を配合すると、表面処理液の保存安定性が低下してしまうおそれもある。したがって、本発明の表面処理液には、金属化合物を配合しないことが好ましい。
【0030】
後述するように、本発明の表面処理液を用いて作製した表面処理鋼板の耐食性をさらに向上させたい場合は、表面処理皮膜の上に形成する下塗り塗膜に防錆顔料を配合すればよい。
【0031】
[表面処理液の調製方法]
本発明の表面処理液の調製方法は、特に限定されない。たとえば、アミノ基またはエポキシ基を有するシランカップリング剤の水溶液に、所定量の水溶性レゾール型フェノール樹脂を添加し、水で所望の濃度まで希釈すればよい。表面処理液中の固形分の濃度は、特に限定されず、塗布方法や希望する粘度、付着量などに応じて適宜設定すればよい。通常、表面処理液中の固形分の濃度は、0.1〜15質量%程度である。
【0032】
次に説明するように、従来のクロメート処理の代わりに、本発明の表面処理液を用いて表面処理(塗装前処理)を行うことで、塗装原板の表面に塗膜密着性および耐水性に優れた表面処理皮膜を形成することができる。
【0033】
2.表面処理鋼板の製造方法
本発明の表面処理鋼板の製造方法は、1)塗装原板としてAl含有めっき鋼板を準備する第1のステップと、2)本発明の表面処理液を準備する第2のステップと、3)Al含有めっき鋼板の表面に本発明の表面処理液を塗布して表面処理皮膜を形成する第3のステップとを含む。以下、各ステップについて説明する。
【0034】
[第1のステップ]
第1のステップでは、塗装原板としてAl含有めっき鋼板を準備する。
【0035】
本発明の表面処理鋼板の製造方法では、めっき層表層に含まれるAlの一部をアルミン酸イオン(Al(OH))として表面処理液中に溶解させ、このアルミン酸イオンも利用して表面処理皮膜を形成する。したがって、塗装原板としては、1)めっき層中にAlを0.17質量%以上含有し、かつ2)めっき層表面から4nmの厚み領域(表面酸化皮膜に相当する)における全金属元素の原子数とCを除く半金属元素の原子数との総和に対するAlの原子数の割合「Alの原子数/(全金属元素の原子数+Cを除く半金属元素の原子数)」が0.25以上であるAl含有めっき鋼板を使用する。
【0036】
めっき層全体のAlの濃度は、JIS H0401に記載のヘキサメチレンテトラミン法によってめっき層を溶解した後、点滴ろ紙法による検量線法を用いて溶解液の蛍光X線分析を行うことで測定することができる。Znを含有しない溶融Alめっき鋼板については、JIS H8672に記載の水酸化ナトリウム法でめっき層を溶解すればよい。また、めっき層表層のAlの原子数の割合は、X線光電子分光分析装置(XPS)を用いることで測定することができる。XPS分析は、X線源をMg Kα線、取り出し角を45°として行うことが好ましい。この条件でXPS分析を行った場合、光電子が基材から放出される深さは0〜4nmとなる。
【0037】
塗装原板として使用できるAl含有めっき鋼板の例としては、溶融Zn−0.2質量%Al合金めっき鋼板や、溶融Zn−4質量%Al合金めっき鋼板、溶融Zn−6質量%Al−3質量%Mg合金めっき鋼板、溶融Zn−55質量%Al合金めっき鋼板、溶融Al−9質量%Si合金めっき鋼板などが挙げられる。Alを含有するめっき浴を用いて溶融めっきを行うと、Alはめっき層の表面に濃化する。したがって、Al含有量が比較的少ない溶融Zn−0.2質量%Al合金めっき鋼板や、溶融Zn−4質量%Al合金めっき鋼板、溶融Zn−6質量%Al−3質量%Mg合金めっき鋼板などにおいても、溶融めっき浴から引き上げた鋼帯の冷却速度や冷却条件を管理することにより、めっき層表面から4nmの厚み領域における全金属元素の原子数とCを除く半金属元素の原子数との総和に対するAlの原子数の割合を0.25以上とすることができる。
【0038】
Al含有めっき鋼板の下地鋼としては、低炭素鋼や中炭素鋼、高炭素鋼、合金鋼などが使用される。加工性が必要とされる場合は、低炭素Ti添加鋼、低炭素Nb添加鋼などの深絞り用鋼板が下地鋼として好ましい。
【0039】
[第2のステップ]
第2のステップでは、上述の本発明の表面処理液を準備する。
【0040】
前述の通り、本発明の表面処理液の調製方法は、特に限定されない。たとえば、アミノ基またはエポキシ基を有するシランカップリング剤の水溶液に、所定量の水溶性レゾール型フェノール樹脂を添加し、水で所望の濃度まで希釈すればよい。
【0041】
[第3のステップ]
第3のステップでは、第2のステップで準備した本発明の表面処理液を、第1のステップで準備したAl含有めっき鋼板(塗装原板)の表面に塗布し、乾燥させて、表面処理皮膜を形成する。このとき、Al含有めっき鋼板の片面のみに表面処理皮膜を形成してもよいし、両面に表面処理皮膜を形成してもよい。
【0042】
表面処理液の塗布方法は、特に限定されず、プレコート鋼板の製造に使用されている方法から適宜選択すればよい。そのような塗布方法の例には、ロールコート法、フローコート法、カーテンフロー法、スプレー法、浸漬法などが含まれる。
【0043】
表面処理液の塗布量は、特に限定されないが、乾燥させた後の付着量が10〜300mg/mの範囲内(膜厚が2〜50nmの範囲内)となる量であることが好ましい。付着量が10mg/m未満の場合、塗膜密着性および耐水性を十分に向上させることができない。一方、付着量が300mg/m超の場合、膜厚の増大に伴って加工時に皮膜の凝集破壊が発生しやすくなり、表面処理皮膜の効果が低下してしまうおそれがある。
【0044】
表面処理液の乾燥温度は、水溶性レゾール型フェノール樹脂を硬化させることができれば特に限定されず、例えば40〜230℃程度であればよい。
【0045】
Al含有めっき鋼板の表面にアルカリ性の表面処理液を塗布すると、めっき層表層のAl(酸化物および水酸化物)は、アルミン酸イオン(Al(OH))となり表面処理液中に溶解する。したがって、塗布された表面処理液中には、ヒドロキシ基を有する水溶性レゾール型フェノール樹脂、アミノ基またはエポキシ基とヒドロキシ基とを有するシランカップリング剤、およびヒドロキシ基を有するアルミン酸イオンが溶解している。
【0046】
次いで、40〜230℃程度で塗布した表面処理液を乾燥させると、水溶性レゾール型フェノール樹脂が硬化するとともに、シランカップリング剤およびアルミン酸イオンはフェノール樹脂を架橋する。また、水溶性レゾール型フェノール樹脂、シランカップリング剤およびアルミン酸イオンは、めっき層表層にも結合する。すなわち、水溶性レゾール型フェノール樹脂のヒドロキシ基、シランカップリング剤のヒドロキシ基、アルミン酸イオンのヒドロキシ基およびめっき層表層のヒドロキシ基が互いに脱水縮合して、表面処理皮膜が形成される。
【0047】
このようにして形成された表面処理皮膜は、皮膜を構成する各成分がめっき層表層に脱水縮合しているため、Al含有めっき鋼板(塗装原板)に強固に密着している(塗膜密着性の向上)。また、皮膜を構成する各成分が互いに脱水縮合しているため、強固かつ緻密な皮膜を形成している(耐湿性の向上)。さらに、シランカップリング剤のアミノ基またはエポキシ基は、表面処理皮膜(塗装前処理皮膜)の上に形成される塗膜を構成する有機樹脂(例えば、エポキシ樹脂やポリエステル)と脱水縮合して強固に結合することができる(塗膜密着性の向上)。
【0048】
以上のように、本発明の表面処理鋼板の製造方法によれば、六価クロムを使用せずに、塗膜密着性および耐水性に優れた表面処理鋼板を製造することができる。
【0049】
本発明の製造方法で形成された表面処理鋼板(以下「本発明の表面処理鋼板」ともいう)では、表面処理皮膜は、通常、Alを0.2原子%以上含有している。表面処理皮膜中のAlの含有比率は、X線光電子分光分析装置(XPS)を用いて表面処理皮膜の表面から測定することができる。
【0050】
3.塗装鋼板
本発明の表面処理鋼板の表面処理皮膜(塗装前処理皮膜)の上に塗膜を形成することで、塗膜密着性および耐水性に優れた塗装鋼板を製造することができる。
【0051】
塗膜は、1層であってもよいし、2層以上であってもよい。通常は、下塗り塗膜と上塗り塗膜の2層からなる。
【0052】
塗膜は、公知の方法で形成されうる。たとえば、ベースとなる有機樹脂を含む塗料を本発明の表面処理鋼板の表面に塗布し、焼き付ければよい。塗料の塗布方法は、特に限定されず、プレコート鋼板の製造に使用されている方法から適宜選択すればよい。塗布方法の例には、ロールコート法、フローコート法、カーテンフロー法、スプレー法などが含まれる。焼き付け条件は、例えば、到達板温150〜270℃で30〜120秒間焼き付ければよい。
【0053】
塗膜を構成する有機樹脂の種類は、特に限定されず、必要な性質に応じて公知の有機樹脂から適宜選択すればよい。たとえば、下塗り塗膜と上塗り塗膜を形成する場合、エポキシ樹脂またはポリエステルをベースとする下塗り塗膜を形成し、その上にポリエステル、フッ素樹脂またはアクリル樹脂をベースとする上塗り塗膜を形成すればよい。表面処理皮膜のすぐ上に形成される塗膜(上記の例では下塗り塗膜)を、エポキシ樹脂またはポリエステルをベースとする塗膜とすることで、表面処理皮膜への密着性をより向上させることができる。
【0054】
本発明の表面処理鋼板の表面処理皮膜には、金属化合物からなる防錆顔料が含有されていない。したがって、塗装鋼板の耐食性をさらに向上させる観点からは、塗膜(特に、下塗り塗膜)に、防錆顔料を配合することが好ましい。環境負荷の低減という本発明の目的を考慮すると、塗膜に配合する防錆顔料としては、六価クロムを含有しない防錆顔料が好ましい。そのような防錆顔料の例には、リン酸亜鉛、亜リン酸亜鉛、リン酸亜鉛マグネシウム、リン酸マグネシウム、亜リン酸マグネシウム、シリカ、カルシウムイオン交換シリカ、リン酸ジルコニウム、トリポリリン酸2水素アルミニウム、酸化亜鉛、リンモリブデン酸亜鉛、メタホウ酸バリウムなどが含まれる。
【0055】
また、塗膜には、着色顔料や、パール顔料、メタリック顔料、体質顔料を配合してもよい。着色顔料の例には、酸化チタン、カーボンブラック、酸化クロム、酸化鉄、ベンガラ、チタンイエロー、コバルトブルー、コバルトグリーン、アニリンブラック、フタロシアニンブルーなどが含まれる。メタリック顔料の例には、アルミやステンレス、ニッケルなどの金属粉が含まれる。体質顔料の例には、硫酸バリウム、酸化チタン、シリカ、炭酸カルシウムなどが含まれる。
【0056】
さらに、塗膜には、塗膜硬度および耐摩耗性を向上させる観点または塗膜表面に凹凸を付与し外観を向上させる観点から、鱗片状無機質添加材や無機質繊維、粒状または塊状の有機骨材、粒状または塊状の無機骨材、つや消し材などを配合してもよい。鱗片状無機質添加材の例には、ガラスフレーク、硫酸バリウムフレーク、グラファイトフレーク、合成マイカフレーク、合成アルミナフレーク、シリカフレーク、雲母状酸化鉄(MIO)などが含まれる。無機質繊維の例には、チタン酸カリウム繊維、ウォラスナイト繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、アルミナシリケート繊維、シリカ繊維、ロックウール、スラグウール、ガラス繊維、炭素繊維などが含まれる。有機骨材の例には、アクリルビーズ、ポリアクリロニトリルビーズなどが含まれる。無機骨材、つや消し剤の例には、ガラスビース、シリカ粉などが含まれる。
【0057】
本発明の塗装鋼板は、塗膜密着性、耐湿性および耐食性に優れており、かつ六価クロムを含まず環境負荷が小さいため、例えば外装材用のプレコート鋼板として好適である。
【0058】
以下、本発明を実施例を参照して詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されない。
【実施例】
【0059】
1.塗装鋼板の作製
(1)塗装原板
塗装原板として、以下の6種類のめっき鋼板(板厚0.5mm)を準備した。
1)めっき鋼板A
・溶融Zn−0.2質量%Al合金めっき鋼板
・片面付着量:125g/m
2)めっき鋼板B
・溶融Zn−4質量%Al合金めっき鋼板
・片面付着量:125g/m
3)めっき鋼板C
・溶融Zn−6質量%Al−3質量%Mg合金めっき鋼板
・片面付着量:90g/m
4)めっき鋼板D
・溶融Zn−55質量%Al合金めっき鋼板
・片面付着量:75g/m
5)めっき鋼板E
・溶融Al−9質量%Si合金めっき鋼板
・片面付着量:50g/m
6)めっき鋼板F(比較材)
・電気Znめっき鋼板
・片面付着量:20g/m
【0060】
めっき鋼板A、B、CおよびFについては、表面調整剤(NPコンディショナー700;日本ペイント株式会社)を用いてNi置換析出型の表面調整(化成処理)を行った。めっき鋼板DおよびEについては、アルカリ脱脂し、水洗した。
【0061】
各めっき鋼板について、めっき層表面から4nmの厚み領域における全金属元素の原子数とCを除く半金属元素の原子数との総和に対するAlの原子数の割合を、X線光電子分光分析装置(XPS)を用いて測定した。XPS分析は、X線源をMg Kα線とし、取り出し角を45°として行った。表1に測定結果を示す。
【0062】
【表1】

【0063】
(2)表面処理(塗装前処理)
表2に示すめっき鋼板の表面(片面)に、表2に示す組成の表面処理液をバーコーターで塗布し、100℃で乾燥させて、表面処理皮膜(塗装前処理皮膜)を形成した。なお、表2の比較例5および9については、調製直後に表面処理液に沈殿が生じてしまったため、表面処理液を塗装原板に塗布することができなかった。
【0064】
表面処理液は、以下の手順で調製した。まず、0.5Lのイオン交換水および所定量のシランカップリング剤をビーカーに入れて攪拌した後、1日放置してシランカップリング剤を加水分解させた。次いで、ビーカー内の水溶液に所定量のレゾール型フェノール樹脂を添加した後、合計量が1Lとなるようにイオン交換水を加え、攪拌した。
【0065】
調製した各表面処理液について、30℃の恒温槽内で7日間静置した後の様子を観察して、安定性を評価した。調製直後と変化がない場合を「○」、わずかに変色が見られたものを「△」、沈殿が発生したりゲル化したりしたものを「×」と評価した。各表面処理液の安定性の評価結果を表2に示す。
【0066】
各表面処理めっき鋼板の表面処理皮膜中のSiおよび各種金属含有量を蛍光X線分析装置を用いて測定し、測定されたSiおよび各種金属含有量から表面処理皮膜の付着量を算出した。シランカップリング剤を含有しない表面処理皮膜(比較例1)については、赤外線分光法の吸光度法により付着量を測定した。前述の通り、比較例5および9については、表面処理液を塗装原板に塗布することができなかったため、付着量は測定しなかった。各表面処理めっき鋼板の表面処理皮膜の付着量を表2に示す。
【0067】
また、各表面処理めっき鋼板の表面処理皮膜中のAlの含有量をX線光電子分光分析装置(XPS)を用いて測定した。各表面処理めっき鋼板の表面処理皮膜中のAlの含有量を表2に示す。
【0068】
【表2】

【0069】
表2に示される水溶性レゾール型フェノール樹脂について、樹脂Aは、スミライトレジンPR−50781(住友ベークライト株式会社)を使用した。樹脂Bは、スミライトレジンPR−14170(住友ベークライト株式会社)を使用した。
【0070】
また、シランカップリング剤について、アミノシランAは、Z−6011(3−アミノプロピルトリエトキシシラン;東レ・ダウコーニング株式会社)を使用した。アミノシランBは、KBM−602(N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン;信越化学工業株式会社)を使用した。エポキシシランは、KBE−403(3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン;信越化学工業株式会社)を使用した。メタクリロキシシランは、Z−6030(3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン;東レ・ダウコーニング株式会社)を使用した。メルカプトシランは、KBM−803(3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン;信越化学工業株式会社)を使用した。
【0071】
(3)下塗り塗装および上塗り塗装
各表面処理めっき鋼板(表面処理できなかった比較例5および9を除く)の表面に、溶剤系下塗り塗料を塗布し、200℃で焼き付けて、膜厚5μmの下塗り塗膜を形成した。
【0072】
溶剤系下塗り塗料としては、イソシアネート架橋型エポキシ樹脂をベースとし、防錆顔料として、リン酸水素マグネシウム(塗料固形分中5質量%)、リン酸亜鉛(10質量%)およびトリポリリン酸アルミニウム(10質量%)を配合し、体質顔料として、酸化チタン(15質量%)および硫酸バリウム(10質量%)を配合したものを使用した。
【0073】
次いで、下塗り塗膜を形成した各めっき鋼板の表面に、ポリエステル樹脂をベースとする上塗り塗料(フレキコート1060;日本ペイント株式会社)を塗布し、215℃で焼き付けて、膜厚15μmの上塗り塗膜を形成した。
【0074】
2.評価試験
(1)塗膜密着性試験
各塗装鋼板(実施例1〜14、比較例1〜4、6〜8および10)から試験片を切り出し、塗膜密着性試験を実施した。各試験片を沸騰水に2時間浸漬した後、沸騰水から取り出した。次いで、各試験片に2Tの折り曲げ加工を施した。各試験片の折り曲げ加工部に粘着テープを貼り付けた後、瞬時にテープを引き剥がした。テープ剥離後、各試験片について塗膜の剥離状態を観察した。塗膜が剥離しなかった場合は「◎」、10面積%未満の微小な剥離が発生した場合は「○」、10面積%以上30面積%未満の剥離が発生した場合は「△」、30面積%以上の剥離が発生した場合は「×」と評価した。
【0075】
(2)耐食性試験
各塗装鋼板(実施例1〜14、比較例1〜4、6〜8および10)から試験片を切り出し、耐食性試験を実施した。塗膜の表面からめっき層に達するX字型の切り込み(クロスカット部)を各試験片にカッターナイフを用いて形成した。クロスカット部を形成した各試験片について、「JIS K 5600−7−9:2006、塗料一般試験方法、第7部:塗膜の長期耐久性、第9節:サイクル腐食試験方法 サイクルA」に準拠して、1000時間(125サイクル)サイクル腐食試験を行った。試験後、各試験片について、クロスカット部からの最大フクレ幅を計測した。フクレ幅が1mm以下の場合は「◎」、1mm超2mm以下の場合は「○」、2mm超4mm以下の場合は「△」、4mm超の場合は「×」と評価した。
【0076】
(3)評価結果
各表面処理めっき鋼板(実施例1〜14、比較例1〜4、6〜8および10)の塗膜密着性試験および耐食性試験の結果を表3に示す。
【0077】
【表3】

【0078】
めっき層がAlを含有しない塗装原板Fを用いた比較例3の塗装鋼板では、表面処理皮膜中にAlが取り込まれず、安定した強固かつ緻密な皮膜を形成できないため、塗膜密着性および耐食性のいずれについても良好な結果を得られなかった。同様に、水溶性レゾール型フェノール樹脂を配合していない表面処理液を用いた比較例7の塗装鋼板、および水溶性レゾール型フェノール樹脂の配合比率が小さい表面処理液を用いた比較例2の塗装鋼板でも、安定した強固かつ緻密な皮膜を形成できないため、塗膜密着性および耐食性のいずれについても良好な結果を得られなかった。
【0079】
シランカップリング剤を配合していない表面処理液を用いた比較例1の塗装鋼板、ならびにアミノ基およびエポキシ基のいずれも有しないシランカップリング剤を配合した表面処理液を用いた比較例10の塗装鋼板では、表面処理皮膜の下塗り塗膜に対する密着性が不十分なため、塗膜密着性および耐食性のいずれについても良好な結果を得られなかった。
【0080】
酸性〜中性の表面処理液を用いた比較例4、6、8および10の塗装鋼板では、めっき層と表面処理層との界面に形成される反応層が厚くなってしまったため、塗膜密着性および耐食性のいずれについても良好な結果を得られなかった。また、表面処理液に金属化合物を配合した比較例6、8では、表面処理液の安定性が悪かった。
【0081】
一方、水溶性レゾール型フェノール樹脂と、アミノ基またはエポキシ基を有するシランカップリング剤とを含有し、かつ金属化合物を含有しない、アルカリ性の表面処理液水溶液を用いた実施例1〜14の塗装鋼板では、塗膜密着性および耐食性のいずれについても良好な結果を得られた。
【0082】
以上の結果から、実施例1〜14の塗装鋼板は、塗膜密着性および耐食性に優れていることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明の表面処理液は、塗膜密着性および耐水性が高い表面処理鋼板を容易に製造することができるため、塗装前処理用の処理液として有用である。また、本発明の製造方法により得られた表面処理鋼板は、塗膜密着性および耐水性に優れているため、例えば外装建材用のプレコート鋼板の塗装原板として有用である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性レゾール型フェノール樹脂と、アミノ基またはエポキシ基を有するシランカップリング剤とを含有し、かつ金属成分を含有しない、pHが8〜13の水溶液である、Al含有めっき鋼板用の表面処理液。
【請求項2】
前記水溶性レゾール型フェノール樹脂と前記シランカップリング剤との質量比は、90:10〜40:60の範囲内である、請求項1に記載の表面処理液。
【請求項3】
めっき層中にAlを0.17質量%以上含有し、かつめっき層表面から4nmの厚み領域における全金属元素の原子数とCを除く半金属元素の原子数との総和に対するAlの原子数の割合が0.25以上である、Al含有めっき鋼板を準備するステップと、
水溶性レゾール型フェノール樹脂と、アミノ基またはエポキシ基を有するシランカップリング剤とを含有し、かつ金属成分を含有しない、pHが8〜13の水溶液である表面処理液を準備するステップと、
前記Al含有めっき鋼板に前記表面処理液を塗布し、乾燥させて、表面処理皮膜を形成するステップと、
を有する、表面処理鋼板の製造方法。
【請求項4】
前記表面処理液における前記水溶性レゾール型フェノール樹脂と前記シランカップリング剤との質量比は、90:10〜40:60の範囲内である、請求項3に記載の表面処理鋼板の製造方法。
【請求項5】
Al含有めっき鋼板に表面処理液を塗布し、乾燥させて、表面処理皮膜を形成することで得られる、表面処理鋼板であって、
前記Al含有めっき鋼板は、めっき層中にAlを0.17質量%以上含有し、かつめっき層表面から4nmの厚み領域における全金属元素の原子数とCを除く半金属元素の原子数との総和に対するAlの原子数の割合が0.25以上であり、
前記表面処理液は、水溶性レゾール型フェノール樹脂と、アミノ基またはエポキシ基を有するシランカップリング剤とを含有し、かつ金属成分を含有しない、pHが8〜13の水溶液である、表面処理鋼板。
【請求項6】
前記表面処理液における前記水溶性レゾール型フェノール樹脂と前記シランカップリング剤との質量比は、90:10〜40:60の範囲内である、請求項5に記載の表面処理鋼板。
【請求項7】
前記表面処理皮膜の付着量は、10〜300mg/mの範囲内である、請求項5に記載の表面処理鋼板。
【請求項8】
前記表面処理皮膜は、Alを0.2原子%以上含有する、請求項5に記載の表面処理鋼板。
【請求項9】
前記表面処理皮膜の上に、エポキシ樹脂またはポリエステルを含む塗膜をさらに有する、請求項5に記載の表面処理鋼板。
【請求項10】
前記塗膜は、防錆顔料を含有する、請求項9に記載の表面処理鋼板。

【公開番号】特開2012−52163(P2012−52163A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−193954(P2010−193954)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000004581)日新製鋼株式会社 (1,178)
【Fターム(参考)】