説明

表面処理粉体と特定の複合粉体を含有する化粧料

【課題】より良好な化粧持ちを提供可能であり、粉末化粧料として用いることが好適な技術を提供すること。
【解決手段】 下記(1)、並びに、(2)を含有する化粧料を提供すること。
(1)下記式(I)で表される含フッ素単量体、及び、下記式(II)で表されるアルコキシ基含有単量体を、含めて共重合反応させてなる含フッ素共重合体によって、粒子の表面処理がなされている表面処理粉体を、化粧料の0.1〜40質量%、
【化1】


(2)親油性基粉体粒子の表面に酸化亜鉛が被覆されている複合粉体であって、当該親油性基粉体のζ電位が皮膚上のpHにおいて負の値である酸化亜鉛被覆複合粉体を、化粧料の0.1〜50質量%。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料に関する発明であり、より詳細には、より良好な化粧持ちを提供可能であり、粉末化粧料として用いることが好適な技術に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
化粧持ちを向上させることは、特に、メーキャップ化粧料において求められ得る特性であるが、これを化粧料に配合される粉体成分の機能と両立させることは容易ではない。特に、粉末成分を主配合成分として用いる粉末化粧料においては、化粧持ちは本質的に求められる特性であるが、特定の機能性を追求すると経時安定性が犠牲になる傾向があり、逆に経時安定性にこだわると機能性が制限される傾向が強い。
【0003】
特定の機能を有する粉体成分として、例えば、特許文献1には、油分散性が良好で、優れた肌荒れ改善・防止効果を発揮する、特定の条件で酸化亜鉛を被覆した複合粉体が開示されている(特許文献2は、この特許文献1に関連する技術が開示されている)。特許文献3には、優れた親水撥油性が付与され得るアクリル酸フッ化アルキルエステル処理粉末が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−217621号公報
【特許文献2】特許第4149378号公報
【特許文献3】WO2009/142047号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の特許文献1に開示された複合粉体の優れた特性を維持しつつ、これを化粧料に配合した場合の、化粧持ちを向上させる手段を提供することを課題とする発明である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記の課題についての検討を行った結果、特許文献1に開示された複合粉体のうち、「酸化亜鉛被覆シリコーン樹脂被膜シリコーンゴム粉体」と、特許文献3に開示された表面処理粉体を組み合わせて化粧料に配合することで、当該化粧料の化粧持ちを著しく向上させることが可能であることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、下記(1)、並びに、(2)を含有する化粧料(以下、本発明の化粧料ともいう)を提供する発明である。
【0008】
(1)下記式(I)で表される含フッ素単量体、及び、下記式(II)で表されるアルコキシ基含有単量体を、含めて共重合反応させてなる含フッ素共重合体によって、粒子の表面処理がなされている表面処理粉体(以下、表面処理粉体(1)ともいう)を、化粧料の0.1〜40質量%、
【0009】
【化1】

【0010】
[式中、Rは、水素原子、メチル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、
CFR基(但し、R及びRは同一でも異なっても良く、水素原子、フッ素原子又は塩素原子である)、シアノ基、炭素原子数1〜20の直鎖状若しくは分岐状のフルオロアルキル基、置換若しくは非置換のベンジル基、又は、置換若しくは非置換のフェニル基であり;Rは、−O−、又は、−NH−であり;Rは、直接結合、−S−、又は、−SO−であり;Rは、炭素原子数1〜6のフルオロアルキル基であり;mは1〜10の数であり;nは0〜10の数であり;pは0又は1である。]
【0011】
【化2】

【0012】
[式中、Rは、水素原子、又は、メチル基であり;Rは、水素原子、又は、炭素原子数1〜22の不飽和若しくは飽和の炭化水素基であり;Rは、水素原子の一部又は全部が水酸基で置換されていてもよい炭素原子数2〜4のアルキレン基であり;qは、1〜50の整数である。]
【0013】
(2)親油性基粉体粒子の表面に酸化亜鉛が被覆されている複合粉体であって、当該親油性基粉体のζ電位が皮膚上のpHにおいて負の値である酸化亜鉛被覆複合粉体(以下、酸化亜鉛複合粉体(2)ともいう)を、化粧料の0.1〜50質量%。
【0014】
本発明の化粧料は、広義には当然に粉末が含有される粉末化粧料であり、当該粉末化粧料としては、白粉粉、固形白粉、紙白粉、水白粉、練白粉等の白粉・打粉類;ベビーパウダー、タルカムパウダー等;パウダリーファンデーション、両用ファンデーション、ケーキファンデーション、油性ファンデーション、乳化ファンデーション、2層分散ファンデーション等のファンデーション類;化粧下地、ボディパウダー、美白パウダー、エモリエントパウダー、フレグランスパウダー、口紅類、頬紅類、眉目類、アイライナー、アイシャドー、眉墨等が例示される。これらの中でも、パウダリーファンデーション(固形化粧料)は、本発明を適用する対象として好適である。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、化粧持ちに優れつつ、肌荒れ改善・防止効果を発揮し得る、特に粉末化粧料として用いるのに好適な化粧料が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[必須の配合成分]
(A)表面処理粉体(1)
上述したように、表面処理粉体(1)は、上記式(I)で表される含フッ素単量体、及び、上記式(II)で表されるアルコキシ基含有単量体を、含めて共重合反応させてなる含フッ素共重合体によって、粒子の表面処理がなされている表面処理粉体である。この表面処理粉体の製法と構成については、特許文献2に開示されている。また、上記の共重合反応の基となる含フッ素単量体(I)とアルコキシ基含有単量体(II)は、それぞれ1種又は2種以上が用いられて、当該反応が行われる。
【0017】
[含フッ素単量体]
含フッ素単量体(I)において、pは0であることが好適であり、Rは水素原子であることが好適である。また、炭素原子数1〜6のフルオロアルキル基であるRは、パーフルオロアルキル基及び/又は部分的にフッ素化されたフルオロアルキル基である。Rの炭素原子数は4〜6が好ましく、6が最適である。Rの具体例としては、−CF、−CFCF、−CFCFCF、−CF(CF、−CFCFCFCF、−CFCF(CF、−C(CF、−(CFCF、−(CFCF(CF、−CFC(CF、−CF(CF)CFCFCF、−(CFCF等である。
【0018】
含フッ素単量体(I)は、いずれかの単量体を単独で使用することはもちろんのこと、2種以上の単量体を混合して用いてもよい。
【0019】
上述のような好適条件が配慮されることを前提として、含フッ素単量体(I)としては、例えば、以下のものが挙げられる。下記式中の記号は、上述の含フッ素単量体(I)の式に付された記号と同一の意義を有する。
CH=C(−R)−C(=O)−O−(CH−S−(CH−R
CH=C(−R)−C(=O)−O−(CH−SO−(CH−R
CH=C(−R)−C(=O)−O−(CH−R
CH=C(−R)−C(=O)−NH−(CH−R
【0020】
[アルコキシ基含有単量体]
アルコキシ基含有単量体(II)は、アルキレングリコール(メタ)アクリレートであり、qは好適には1〜30、さらに好適には2〜10、最も好適には2〜5である。また、Rは、エチレン基又はトリメチレン基が好適であり、最も好適にはエチレン基である。さらに、Rは、同一分子中で異なるアルキレン基が含まれていてもよいが、その場合は当該の異なるアルキレン基の中にエチレン基が含まれていることが好適であり、例えば、エチレン基/トリメチレン基、エチレン基/テトラメチレン基の組み合わせが挙げられる。
【0021】
上述のような好適条件が配慮されることを前提として、アルコキシ基含有単量体(II)としては、例えば、以下のものが挙げられる。下記式中の記号は、上述のアルコキシ基含有単量体(II)の式に付された記号と同一の意義を有する。
CH=CHCOO−(CHCHO)−H
CH=C(CH)COO−(CHCHO)−H
CH=C(CH)COO−(CHCHO)23−H
CH=C(CH)COO−(CHCHO)50−H
CH=C(CH)COO−(CHCH(CH)O)−H
CH=CHCOO−(CHCH(CH)O)−H
CH=C(CH)COO−(CHCH(CH)O)−H
CH=C(CH)COO−(CHCHO)−(CHCH(CH)O)−H
CH=C(CH)COO−(CHCH20−(CHCH(CH)O)−H
CH=CR−(CHCHO)−CH
CH=CRCOO−(CHCH(CH)O)−CH
CH=CRCOO−(CHCHO)−(CHCH(CH)O)−CH
【0022】
[架橋性単量体]
当該含フッ素共重合体は、架橋性単量体を含んでもよい。当該架橋性単量体は、少なくとも2つの反応性基及び/又は炭素−炭素二重結合を有し、フッ素を含有しない化合物とすることができる。架橋性単量体は、少なくとも2つの炭素−炭素二重結合を有する化合物、又は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合及び少なくとも1つの反応性基を有する化合物、とすることができる。当該反応性基の例は、ヒドロキシル基、エポキシ基、クロロメチル基、ブロツクドイソシアネート、カルボキシル基、等である。ここでは、アミノ基を有する単量体は使用しない。当該架橋性単量体は、非フッ素架橋性単量体であることが好ましく、具体的には、ジ(メタ)アクリレートであることがより好ましい。
【0023】
当該架橋性単量体は、一般式(III):
【0024】
【化3】

【0025】
[式中、R及びR10は同一でも異なっても良く、水素原子またはメチル基であり;R11は、水素原子の一部又は全部が水酸基で置換されていてもよい炭素原子数2〜10のアルキレン基であり;rは、1〜50の整数である。]
【0026】
にて示される化合物(アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート)であることが、特に好ましい。なお、R11の炭素原子数は、上記の通り2〜10であり、好ましくは2〜6であり、2〜4であることが特に好ましい。当該R11は、エチレン基であることが最も好ましい。共重合体の粉体粒子への被覆特性や皮膜形成能、粉体粒子の分散能、吸湿・保湿能等を調整しつつ付与できる。当該含フッ素共重合体の質量平均分子量は、100〜1000000程度、好ましくは5000〜500000程度とすることができる。当該分子量が1000未満であると、皮膜形成能が弱くなり所望の表面処理に適さず、1000000より大きいと、ポリマーの溶解性が悪くなり、表面処理粉体の分散性が悪化する。なお、この質量平均分子量は、ゲルパーミェーションクロマトグフフイーによりポリスチレン換算で求めた値である。
【0027】
当該含フッ素共重合体は、例えば、含フッ素単量体(a)100質量部を含有するとした場合において、アルコキシ基含有単量体(b)の量は、含フッ素単量体(a)100質量部に対して、10〜400質量部、好ましくは25〜150質量部、より好ましくは43〜100質量部とすることができる。当該アルコキシ基含有単量体(b)の量は、10質量部未満であると親水性が得られず、400質量部より大きいと撥油性が低下する。また、上記のように架橋性単量体を含有させる場合において、当該架橋性単量体の量は、含フッ素単量体(a)100質量部に対して30質量部以下が好ましく、0.1〜20質量部が好ましく、特に好ましくは0.5〜10質量部とすることができる。当該架橋性単量体の量は30質量部より大きいと、硬い皮膜が形成されて、化粧料における使用感触が悪くなる。本発明において使用する含フッ素共重合体は、例えば、特開2000−290640号公報に開示される方法で合成が可能であるが、これに限定されるものではない。含フッ素共重合体の重合方法は、特に限定されず、塊状重合、溶液重合、乳化重合、放射線重合などの種々重合方法を選択できる。一般的には、例えば有機溶剤を用いた溶液重合や、水又は有機溶剤と水を併用する乳化重合が選択される。一般的には、重合後に水で希釈したり、乳化剤を加えて水に乳化することで処理液に調製される。
【0028】
当該表面処理剤は、溶液、エマルジョン又はエアゾールの形態であることが好ましい。表面処理剤は、例えば、含フッ素共重合体及び媒体(例えば有機溶媒及び水などの液状媒体)を含んでなる。表面処理剤おける含フッ素共重合体の濃度は、例えば、0.01〜50質量%とすることができる。
【0029】
表面処理される粉体への、当該表面処理剤の被覆量は、当該の表面処理される粉体の化学組成やその粒子径ボーラス性の有無、吸油量、吸水量、比表面積により異なるが、表面処理される粉体100質量部に対して、0.1〜40質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜35質量部である。当該被覆量が0.1質量部より少ないと十分な効果は得られず、40質量部より多いと、ポリマーによる粉体粒子の凝集が発生し、表面処理粉体の機能低下が認められ、化粧料における表面処理粉体の効果が不充分となり、経済性の見地からも好ましくない。
【0030】
当該含フッ素共重合体は、更に、当該フッ素共重合体以外の他の含フッ素化合物、オルガノポリシロキサン、アルキルシラン、ポリエーテル変性シラン、有機チタネート、ポリオレフィン、水添レシチン(塩の形態含む)、アシル化アミノ酸(塩の形態を含む)、酸性エステル油、脂肪酸、又は、デキストリン脂肪酸エステル等を、必要に応じて含有することができる。なお、当該フッ素共重合体以外の他の含フッ素化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロポリエーテルリン酸エステル、パーフルオロポリエーテルシラン、パーフルオロアルキルシランパーフルオロポリエーテル変性ポリウレタン、パーフルオロポリエーテル変性アクリレート、パーフルオロアルキル変性シリコーン、パーフルオロポリエーテル変性シリコーン等が挙げられる。
【0031】
特定の含フッ素共重合体(処理剤Aとする)と、これと共に複合的に表面処理される上記の他の成分(処理剤Bとする)との配合比率(質量比)は、A:Bが39.0〜0.1部:0.1〜39.0部が好ましい。更に好ましくは、A:Bが34.5〜0.5部:0.5〜34.5部である。
【0032】
表面処理粉体の素材は、化粧料において使用可能な粉体素材が選択される。当該粉体素材としては、無機及び有機のいずれを選択してもよい。
【0033】
例えば、無機粉体素材としては、窒化硼素、セリサイト、天然マイカ、焼成マイカ、合成マイカ、合成セリサイト、アルミナ、マイカ、タルク、カオリン、ベントナイト、スメクタイト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、無水ケイ酸、酸化マグネシウム、酸化スズ、酸化鉄、酸化イットリウム、酸化クロム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、水酸化クロム、紺青、群青、リン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、ケイ酸、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸ストロンチウム、炭化ケイ素、フッ化マグネシウム、タングステン酸金属塩、アルミン酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、クロルヒドロキシアルミニウム、クレー、ゼオライト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、スピネル、ムライト、コージェライト、窒化アルミニウム、窒化チタン、窒化ケイ素、ランタン、サマリウム、タンタル、テルビウム、ユーロピウム、ネオジウム、Mn−Znフェライト、Ni−Znフェライト、シリコーンカーバイート、チタン酸コバルト、チタン酸バリウム、チタン酸鉄、リチウムコバルトチタネート、アルミン酸コバルト、アンチモン含有酸化スズ、スズ含有酸化インジウム、マグネタイト、アルミニウム粉、金粉、銀粉、白金粉、銅粉、貴金属コロイド、鉄粉、亜鉛粉、コバルトブルー、コバルトバイオレット、コバルトグリーン、低次酸化チタン、微粒子酸化チタン、バタフライ状硫酸バリウム、花びら状酸化亜鉛、テトラポッド状酸化亜鉛、微粒子酸化亜鉛、パール顔料としては酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆マイカ、酸化チタン被覆合成マイカ、酸化チタン被覆シリカ、酸化チタン被覆合成マイカ、酸化チタン被覆タルク、酸化亜鉛被覆シリカ、酸化チタン被覆着色雲母、ベンガラ被覆雲母チタン、ベンガラ・黒酸化鉄被覆雲母チタン、カルミン被覆雲母チタン、コンジョウ被覆雲母チタン等が挙げられる。
【0034】
具体的には、MERCK社のIRIODIN(登録商標)シリーズ、TIMIRON(登録商標)シリーズ、COLORONAシリーズ(登録商標)シリーズ、DICHRONA(登録商標)シリーズ、XIRONA(登録商標)シリーズ、RONASTAR(登録商標)シリーズ、BASF社のDESERTREFLECTIONSシリーズ、TIMICAシリーズ、FLAMENCOシリーズ、CLOIZONNEシリーズ、DUOCROMEシリーズ、GEMTONEシリーズ、CELLINIシリーズ、MEARLMAIDシリーズ、REFLECKSシリーズ、CHROMA−LITEシリーズ、COSMICAシリーズ、ECKART社のPRESTIGE(登録商標)シリーズ、VISIONAIRE(登録商標)シリーズ、MIRAGEシリーズ、日本板硝子社のメタシヤイン(登録商標)、日本光研社のPROMINENCE(登録商標)、CQV社のCosmetica White Pear1シリーズ、Sharon Pear1シリーズ、Taizu社のPrecioso White Peartescent Pigmentsシリーズ等が挙げられる。アルミフレーク、シリカフレーク、アルミナフレーク、ガラスフレーク等のエフェクト顔料、ベンガラ被覆雲母、カルミン、酸化チタン被覆ホウケイ酸(ナトリウム/カルシウム)、酸化チタン被覆ホウケイ酸(カルシウム/アルミニウム)、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔、ステンレスパウダー、トルマリン粉末、サファイアやルビー等の宝石を粉砕したパウダー、マンゴバイオレット、ガラスファイバー、カーボンファイバー、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、βーウォラストナイト、ゾノライト、チタン酸カリウム繊維、硼酸アルミニウム繊維、塩基性硫酸マグネシウム繊維、窒化ケイ素繊維等が挙げられる。
【0035】
有機粉体素材としては、例えば、金属石鹸、N一モノ長鎖アシル塩基性アミノ酸、アミドスルホン酸多価金属塩、琥珀パウダー、カーボンブラック、タール色素をレーキ化したもの、天然色素をレーキ化したもの、ポリアミドパウダー、ポリエステルパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリウレタンパウダー、ポリプロピレンパウダー、ポリスチレンパウダー、ペンゾグァナミンパウダー、ポリメチルペンゾグアナミンパウダー、PTFEパウダー、セルロースパウダー、シルクパウダー、シリコーンパウダー、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、ビニル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ケイ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂等の合成樹脂パウダー、ナイロン繊維、ポリエステル繊維等の微結晶繊維粉体、澱粉粉末、CIピグメントイエロー、CIピグメントオレンジ等が挙げられる。
【0036】
タール色素としては赤色3号、赤色10号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、黄色4号、黄色5号黄色202号、黄色203号、黄色204号、黄色401号、青色1号、青色2号青色201号、青色404号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色206号、橙色207号等;天然色素としては、カルミン、ラッカイン酸、カルサミン、ブラシリン、クロシン、クロロフイル、βーカロチン、ベニバナパウダ一等の天然色素等の粉体が挙げられる。粉体粒子の形状は粉末状でも繊維状でもよい。粒子径は1nm〜2000μm程度の範囲のもので化粧料に配合が可能であればよい。
【0037】
なお、当該粉体粒子は、2種以上の粉体粒子が複合化された粉体粒子でもよい。例えば、マイカやパール顔料粒子表面に水酸化アルミニウムを複合化した粉体(エクセルマイカJP−2やエクセルパール:三好化成株式会社)、やセリサイトやパール顔料表面にハイドロキシアパタイトと酸化亜鉛を複合化した粉体(パウダーラヴィ:三好化成株式会社)、微粒子酸化チタンと微粒子酸化亜鉛を分散混合した粉体(TZ−POWDER TYPEl:三好化成)、タルクと微細亜鉛華、微粒子酸化チタンを分散混合した粉体(TZ−POWDER TYPE2:三好化成株式会社)、ジメチコン/ビニルジメチコンとシリカの混合物(Dow Corning 9701 Cosmetic Powder)、ジメチコン/ビニルジメチコンと酸化チタンの混合物(Dew Corning EP−9261 TI Cosmetic Powder)、ジメチコン/ビニルジメチコンとアルミナの混合物(Dow Corning EP−9293 AL Cosmetic Powder)、ジメチコン/ビニルジメチコンとラウロイルリジンの混合物(Dow Corning EP−9289LL Cosmetic Powder)、日揮触媒化成工業社より市販されているCOVERLEAFシリーズ、CONCELIGHTシリーズ等が挙げられる。
【0038】
また、当該粉体粒子は、表面処理剤との親和性や固着性の向上を図るべく、例えば、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、セリウム、ケイ素ジルコニウム、チタン、亜鉛、鉄、コバルト、マンガン、ニッケル及びスズの少なくとも1種の酸化物又は含水酸化物で予め被覆されていてもよい。
【0039】
上記の含フッ素共重合体を粉体粒子に被覆する方法は特に制限なく、公知の方法で実施できる。表面処理方法は大別すると乾式法と湿式法がある。例えば、ペンシルミキサーやボールミル、ジェットミル、ニーダー、プラネタリーミキサー、ポニーミキサー、サンドミル、アドライター、リボンブレンダー、ディスパーミキサー、ホモミキサー、エクストルーダ一等の攪拌機や粉砕機、混合機、分散機を用いて本発明において使用する表面処理剤と粉体を一定時間混合接触することにより処理される。この際に、メカノケミカル的な機械力、プラズマ、火炎、紫外線、電子線、過熱水蒸気、レーザー光、電磁波等のエネルギーを与えながら処理しても構わない。湿式法としては、水や溶剤、超臨界流体(水、二酸化炭素等)に粉体と表面処理剤を分散させ混合接触させて、その後溶媒を蒸発させることより処理が可能である。
【0040】
また、上記の含フッ素共重合体と、上記の当該含フッ素共重合体以外の他の化合物を複合的に表面処理する場合についても、当該含フッ素共重合体のみで表面処理する場合と同様に、粉体を、前記化合物を更に含む表面処理剤と混合接触させることにより表面処理することができる。なお、複合的に表面処理するために選択される化合物の性状(液状・固体状・ゲル状等)や物性(融点・沸点・ガラス転移温度・溶解性・反応性等)と被覆される粉体の種類に応じて、最適な被覆製造方法を選択すればよく、特に製造方法による限定を受けない。
【0041】
複合的に表面処理する場合、上記の含フッ素共重合体を先に被覆処理した後、当該含フッ素共重合体以外の他の表面処理剤成分を被覆する方法、当該含フッ素共重合体と当該他の表面処理剤成分を同時に被覆する方法、当該含フッ素共重合体以外の他の表面処理剤成分を先に被覆した後、当該含フッ素共重合体を被覆する方法等が挙げられる。
【0042】
好ましい被覆方法は、当該含フッ素共重合体のみで表面処理する場合及び複合的に表面処理する場合の何れにおいても、被覆される粉体粒子を予め空気中や液中でまたは他の粉体と共存下で分散した後被覆するか同時に被覆する方法である。
【0043】
当該含フッ素共重合体は、その分子中に撥油性基と親水性基を有するため、粉体粒子表面より撥油性基のみを露出させると撥水撥油性が発現する。撥油性を有する表面処理粉体の化粧料製剤に配合される他の成分との優れた親和性や分散性を得るためには親水撥油性が有利である。当該含フッ素共重合体は、被覆方法や被覆量により、粉体粒子表面上に撥油性基と親水性基の両方を露出させることが可能であり、これにより親水撥油性が実現する。
【0044】
親水撥油性を得る被覆方法としては、一つの被覆プロセスにおいて撥水撥油性を得ることのできる被覆量より多い被覆量で表面処理すると、親水撥油性の表面処理粉体が得られる。当該含フッ素共重合体は、分子中に最適なポリアルキレングリコール量が導入されていることより、粉体基材との水素結合力や皮膜形成力が高く容易に処理できるが、このとき粉体粒子への被覆量が比較的少量であると撥水撥油性を示すが、当該被覆量が多くなると、フリーのポリアルキレングリコール鎖が過剰になり、粉体粒子の置かれる環境により、分子のモビリティによって、水と接触すると親水性を示す。また、粉体の種類により異なるが表面処理時に粉体のpHを酸性やアルカリ性にして処理する方法や、処理時の温度をコントロールする方法等、によっても所望の親水撥油性粒子を得ることができる。
【0045】
親水撥油性を得る他の被覆方法として、複数の被覆処理をすることが挙げられる。すなわち、当該含フッ素共重合体で被覆して撥水撥油性を付与した表面処理粉体を、更に同一又は異なる含フッ素共重合体で被覆することにより、親水撥油性粒子が得られる。
【0046】
撥水撥油性を示す表面処理粉体粒子の第1の処理層の最表面をフルオロ鎖が露出するようにし、その表面を更に被覆して、第2の処理層のポリマーのフルオロ鎖を第1の処理層のフルオロ鎖と向かい合わせに被覆させると、ポリアルキレングリコール鎖は、粒子最表面に露出することになり親水撥油性を示す。この操作を繰り返すことより親水撥油性と撥水撥油性をコントロールすることも可能である。
【0047】
撥水撥油性及び親水撥油性の評価方法としては、水やスクワランによる接触角を測定する方法がある。この方法によれば、表面処理粉体(1)の撥水撥油性は、水やスクワランによる接触角で70°以上であることが好ましい。表面処理粉体(1)の親水撥油性は、水による接触角は20°以下であり、スクワランによる接触角は80°以上であることが好ましく、より好ましくは水による接触角が10°以下で、スクワランによる接触角が10°以上である。
【0048】
なお、上記の表面処理粉体(1)のスクワランとの接触角は、粉体を金皿に充填して6MPaの圧力で10秒間圧力をかけて成型し、その粉体の成型表面に滴下したスクワラン滴と粉体表面とがなす角度をいう。この角度が大きいほどその液滴をはじく効果が高く撥液性を示し、その角度が小さい程親液性を示す。
【0049】
親水性の他の評価方法としては、ビーカーに水を入れ、これに粉体を少量投入し、スパーテルにて1秒間に2回の割合で50回攪拌後の水面上に浮遊する粉体と、水層に分散する粉体の状態を観察することで可能である。親水撥油性を有する表面処理粉体(1)は、水面上にほとんど粉体が浮遊せず水層に粉体が分散する。
【0050】
表面処理粉体(1)は、本発明の化粧料に対して、1種又は2種以上を配合することができる。
【0051】
表面処理粉体(1)の本発明の化粧料における配合量は、化粧料に対して0.1〜40質量%、好ましくは5〜30質量%、最も好ましくは10〜26%である。
【0052】
この配合量が化粧料に対して0.1質量%よりも少ないと、化粧料の滑らかな使用感が所望するレベルに達しない。また、化粧料に対して40質量%を超えて配合しても、配合量の増加に見合った滑らかな使用感の向上が実質的に認められなくなり、取れと付きが悪くなり使用性が悪化する傾向も認められる。
【0053】
(B)酸化亜鉛複合粉体(2)
上述したとおり、酸化亜鉛複合粉体(2)は、「親油性基粉体粒子の表面に酸化亜鉛が被覆されている複合粉体であって、当該親油性基粉体のζ電位が皮膚上のpHにおいて負の値である酸化亜鉛被覆複合粉体」である。
【0054】
親油性基粉体に被覆する酸化亜鉛は、日本薬局方にも収載されており、その薬理作用として、皮膚のタンパク質と結合して被膜を形成し、収斂、消炎、皮膚保護作用を有し、かつ、特許文献1に開示されているように、皮膚上のプラスミノーゲンアクチベーターを吸着し肌荒れの改善・防止効果を発揮する。このプラスミノーゲンアクチベーターの吸着作用は、皮膚上のpH(通常は中性から弱酸性)における当該親油性基粉体のζ電位を指標にして確認することが可能である。
【0055】
液中で粉体粒子が電荷を持つとき、この電荷を打ち消すために反対の電荷のイオンが静電力で粉体粒子に引きつけられ電気二重層ができる。当該二重層の最も外側の電位がζ電位である。ζ電位は、対象物の表面荷電状態の評価に好適に用いられ、酵素を電気的に吸着する能力の評価を行うことができる。
【0056】
ζ電位は、通常スモルコフスキーの公式:ζ電位=4πηU/ε(η:溶媒の粘度、U:電気泳動易動度、ε:溶媒の誘電率)より求められる。ζ電位を求めるためには、電気泳動法によりコロイド粒子の速度(V)、及び電気泳動易動度(U)を求める。帯電しているコロイド粒子に電場(E)をかけると粒子が移動する。V=L/t(L:移動距離、t:時間)、U=V/Eで得られる。
【0057】
ζ電位の測定は、例えば、pH7.5のTris−HCl buffer中に試料を分散・超音波処理した後、電気泳動光散乱光度計(例えば、大塚電子株式会社よりLEZA−600等が販売されている)を用いて測定することができる。
【0058】
結果として、ζ電位がマイナス側に偏るほどにプラスミノーゲンアクチベーターの吸着作用が強い傾向が認められ、具体的には、皮膚上のpHにおいて負の値、特に−10mV以下であることが好適である。このような値を示す親油性基粉体粒子の素材は、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、シリコーン樹脂被覆シリコーンゴム、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート、カルバミド酸エチル等が挙げられる。
【0059】
また、当該親油性基粉体粒子の形状は特に限定されず、一般的には、球状、板状又は不定形上であり、多孔性の有無は限定されない。当該粒子形状が球状であることは、光拡散効果や使用感を考慮すると好適な態様の一つである。当該粒子の平均粒子径は特に限定されず、概ね0.01〜500μmであることが好適である。さらに、油分散時の親油性基粉体の全表面積に対する酸化亜鉛の被覆率は、1〜90質量%であることが好適である。
【0060】
当該親油性粉体粒子に被覆を行う酸化亜鉛には、プラスミノーゲンアクチベーターの阻害作用が認められ、基粉体粒子となる上記ζ電位を伴う親油性基粉体により、当該複合粉体粒子表面にプラスミノーゲンアクチベーターが吸着され、上記の酸化亜鉛のプラスミノーゲンアクチベーターの阻害作用が効率的に発揮されることとなる。
【0061】
当該親油性基粉体粒子における酸化亜鉛の被覆は、常法に従い行うことができる。すなわち、酸化亜鉛と親油性基粉体を、乾式又は湿式にて混合接触させ、例えば、メカノフュージョン処理(乾式法に属する)を行うことより、所望の複合粉体を調製することができる。このメカノフュージョン処理は、湿式法等の他の複合化法と比べると、工程が単純であり、組み合わせの幅が広く、かつ、粒子形状のコントロールも可能であり、好適な手法の一つとして挙げられる。
【0062】
一般的に複合化処理に用いられる混合装置としては、各種ボールミル、オングミル、スクリーンミル、ポットミル、乳鉢、アトライター、ハイブリダイザー、ヘンシェルミキサー等が挙げられる。
【0063】
酸化亜鉛複合粉体(2)の本発明の化粧料における配合量は、化粧料に対して0.1〜50質量%、好ましくは0.1〜10質量%、最も好ましくは0.1〜7質量%である。この配合量が化粧料に対して0.1質量%よりも少ないと、化粧料の化粧持ちが所望するレベルに達しない。また、化粧料に対して50%を超えると、却って化粧持ちが悪化する傾向が認められる。
【0064】
また、上述した表面処理粉体(1)と酸化亜鉛被膜複合粉体(2)との、本発明の化粧料における配合比は、上記の個々の配合量の範囲の中で、表面処理粉体(1):酸化亜鉛被膜複合粉体(2)(質量比)で5:1〜2:1が好適であり、3:1近傍(近傍とは、この質量比率の小数点1位以下を四捨五入して3:1となる範囲である)が特に好適である。
【0065】
〔その他の配合成分〕
本発明の粉末化粧料は、上記必須成分以外に、必要に応じて、水、上記以外の粉末、油分、界面活性剤、低級アルコール、多価アルコール、保湿剤、防腐剤、高分子(被膜剤を含む)、酸化防止剤、紫外線防御剤、香料、その他の各種薬剤等を本発明の所期の効果を損なわない質的、量的範囲で含有させることが可能である。
【0066】
本発明の化粧料においては、その中に配合する全粉末成分が、前記の表面処理粉体(1)と酸化亜鉛複合粉体(2)、であることは必ずしも必要でなく、未処理粉末又は色材と組み合わせて配合することもできる。
【0067】
未処理粉末としては、タルク、カオリン、雲母、絹雲母(セリサイト)、白雲母、黒雲母、金雲母、合成雲母、パーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、タングステン酸金属塩、マグネシウム、シリカ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム、焼セッコウ、リン酸カルシウム、フッ素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー等の無機粉末;ポリアミド樹脂粉末、ポリエチレン粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、スチレン−アクリル酸共重合体樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリ四フッ化エチレン粉末、セルロース粉末等の有機粉末;二酸化チタン、酸化亜鉛等の無機白色系顔料;酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄等の無機赤色系顔料;γ−酸化鉄等の無機褐色系顔料;黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料;黒酸化鉄、カーボン、低次酸化チタン等の無機黒色系顔料;マンゴバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色系顔料;酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等の無機緑色系顔料;群青、紺青等の無機青色系顔料;酸化チタン被覆マイカ、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、着色酸化チタン被覆マイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等のパール顔料;アルミニウムパウダー、カッパーパウダー等の金属粉末顔料;等が挙げられる。
【0068】
本発明の化粧料には、例えば、しっとり感や使用感を向上させるため、油分を配合することが好ましい。当該油分としては、25℃で液状のもので、例えば、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン等の液状油脂;流動パラフィン、スクワレン、スクワラン、プリスタン等の炭化水素油;オレイン酸、トール油、イソステアリン酸等の高級アルコール脂肪酸;ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等の高級アルコール;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、デカメチルポリシロキサン等のシリコーン;ミリスチン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸オレイル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル等が挙げられる。
【0069】
[本発明の化粧料]
本発明の化粧料は、上記の配合成分を、所望する化粧料の形態や剤形に応じた常法を用いて製造することができる。例えば、本発明の化粧料が粉末化粧料の場合、配合する粉体成分を一旦スラリー化して成型工程を行う湿式成型、乾式成型のいずれも行うこともできる。
【0070】
本発明の化粧料は、上述した必須の要件を満足する限り、化粧料の範疇のあらゆる製品形態をとることが可能であるが、好適かつ典型的な態様は、粉末化粧料である。
【実施例】
【0071】
以下、本発明を実施例により、より具体的に開示するが、これは本発明を限定することを意図するものではない。また、配合量は、特に断らない限り、配合対象に対する質量%である。
[試験方法]
本発明の化粧料の評価を行うために、「経時での粉よれのなさ」、「経時での粉浮きのなさ」、「経時での油浮きのなさ」、及び、「化粧持ちの良さ(嗜好)」に関する実使用試験を行った。
【0072】
具体的には、下記表1に示す試験品(実施例1と比較例1)を、それぞれ一般女性6名の顔面に塗布し、3時間後の状態におけるアンケートを行った。評価項目は、「経時での粉よれのなさ」、「経時での粉浮きのなさ」、「経時での油浮きのなさ」、「化粧持ちの良さ(嗜好による段階的な評価)」であり、それぞれの評価項目毎に±2点(評価点が大きい方が高評価)にて評価を行ってもらい、上記女性6名のスコア合計が、−10点以下を×、−9〜3点を△、±2点を○△、+3〜9点を○、+10点以上を◎とした。
【0073】
[参考例] 酸化亜鉛被覆シリコーン樹脂被覆シリコーンゴム粉体の調製
酸化亜鉛(亜鉛華正同:平均粒径0.5μm)とシリコーン樹脂被覆シリコーンゴム粉体(KSP100TM:ζ電位−14.0mV:平均粒径5μm)とを混合比率を、被覆率が10質量%となるように混合し、メカノフュージョン処理(2600rpm、2分)により複合化し、複合粉体を得た。
【0074】
[試験例]
表1に記載の処方で、各試験品を調製した。当該試験品の調製は、ヘンシェルミキサーを用いて全ての配合成分の混合攪拌を行い、パルペライザーによる粉砕後、成型を行うことで本試験品(パウダリーファンデーション)を得た。
【0075】
【表1】

【0076】
表1の結果から、表面処理粉体(1)と酸化亜鉛複合粉体(2)が配合されている実施例1は、その経時の化粧持ちについて所期の効果を得ることができた。実施例1は、経時での粉よれのなさ、粉浮きのなさ、及び、油浮きのなさ、において優れており、これは経時による「化粧料の薄れ」を著しく抑制することが可能であることを示している。それに対して、この組み合わせとは異なる比較例、具体的には、表面処理粉体(1)の代わりにパーフルオロオクチルトリエトキシシラン処理タルクが配合された比較例1は、評価項目全般について実施例よりも劣っていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(1)、並びに、(2)を含有する化粧料。
(1)下記式(I)で表される含フッ素単量体、及び、下記式(II)で表されるアルコキシ基含有単量体を、含めて共重合反応させてなる含フッ素共重合体によって、粒子の表面処理がなされている表面処理粉体を、化粧料の0.1〜40質量%、
【化1】

[式中、Rは、水素原子、メチル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFR基(但し、R及びRは同一でも異なっても良く、水素原子、フッ素原子又は塩素原子である)、シアノ基、炭素原子数1〜20の直鎖状若しくは分岐状のフルオロアルキル基、置換若しくは非置換のベンジル基、又は、置換若しくは非置換のフェニル基であり;Rは、−O−、又は、−NH−であり;Rは、直接結合、−S−、又は、−SO−であり;Rは、炭素原子数1〜6のフルオロアルキル基であり;mは1〜10の数であり;nは0〜10の数であり;pは0又は1である。]
【化2】

[式中、Rは、水素原子、又は、メチル基であり;Rは、水素原子、又は、炭素原子数1〜22の不飽和若しくは飽和の炭化水素基であり;Rは、水素原子の一部又は全部が水酸基で置換されていてもよい炭素原子数2〜4のアルキレン基であり;qは、1〜50の整数である。]
(2)親油性基粉体粒子の表面に酸化亜鉛が被覆されている複合粉体であって、当該親油性基粉体のζ電位が皮膚上のpHにおいて負の値である酸化亜鉛被覆複合粉体を、化粧料の0.1〜50質量%。
【請求項2】
式(I)のRは、水素原子である、請求項1に記載の化粧料。
【請求項3】
表面処理粉体(1)は、親水撥油性を有する、請求項1又は2に記載の化粧料。
【請求項4】
表面処理粉体(1)における含フッ素共重合体の共重合の際に、下記式(III)で表される架橋性単量体が共重合の対象として含まれる、請求項1〜3のいずれかに記載の化粧料。
【化3】

[式中、R及びR10は同一でも異なっても良く、水素原子またはメチル基であり;R11は、水素原子の一部又は全部が水酸基で置換されていてもよい炭素原子数2〜10のアルキレン基であり;rは、1〜50の整数である。]
【請求項5】
表面処理粉体(1)における含フッ素共重合体の質量平均分子量は、約1000〜約1000000である、請求項1〜4のいずれかに記載の化粧料。
【請求項6】
表面処理粉体(1)における含フッ素共重合体における、含フッ素単量体(I)の含有量100質量部に対して、アルコキシ基含有単量体(II)の含有量は10〜400質量部である、請求項1〜5のいずれかに記載の化粧料。
【請求項7】
表面処理粉体(1)における含フッ素共重合体の被覆量は、前記表面処理される粉体100質量部に対して、0.01〜40質量部である、請求項1〜6のいずれかに記載の化粧料。
【請求項8】
表面処理粉体(1)における含フッ素共重合体は、更に、当該フッ素共重合体以外の他の含フッ素化合物、オルガノポリシロキサン、アルキルシラン、ポリエーテル変性シラン、有機チタネート、ポリオレフィン、水添レシチン(塩の形態を含む)、アシル化アミノ酸(縁の形態を含む)、及び、デキストリン脂肪酸エステル、からなる群から選ばれる化合物の1種又は2種以上を含有する、請求項1〜7のいずれかに記載の化粧料。
【請求項9】
他の含フッ素化合物は、炭素原子数6以下のパーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルシラン、パーフルオロポリエーテルリン酸エステル、及び、パーフルオロポリエーテルシラン、からなる群から選ばれる1種又は2種以上である、請求項8に記載の化粧料。
【請求項10】
表面処理粉体(1)は、表面処理される粉体100質量部に対して、含フッ素共重合体0.01〜39.99質量部、並びに、当該フッ素共重合体以外の他の含フッ素化合物、オルガノポリシロキサン、アルキルシラン、ポリエーテル変性シラン、有機チタネート、ポリオレフィン、水添レシチン(塩の形態を含む)、アシル化アミノ酸(縁の形態を含む)、及び、デキストリン脂肪酸エステル、からなる群から選ばれる化合物の1種又は2種以上同39.9〜0.01質量部、により表面処理がなされている、請求項1〜9のいずれかに記載の化粧料。
【請求項11】
表面処理粉体(1)における表面処理される粉体は、セリサイト、マイカ、カオリン、タルク、シリカ、硫酸バリウム、窒化ホウ素、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、及び、パール顔料、からなる群から選ばれる1種又は2種以上である、請求項1〜10のいずれかに記載の化粧料。
【請求項12】
酸化亜鉛被覆複合粉体(2)の親油性基粉体粒子の素材は、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、シリコーン樹脂被覆シリコーンゴム、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート、カルバミド酸エチルからなる群から選ばれる1種又は2種以上である、請求項1〜11のいずれかに記載の化粧料。
【請求項13】
化粧料は、粉末化粧料である、請求項1〜12のいずれかに記載の化粧料。
【請求項14】
粉末化粧料は、固形化粧料である、請求項13に記載の化粧料。

【公開番号】特開2012−6893(P2012−6893A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−146830(P2010−146830)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(000001959)株式会社 資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】