説明

表面処理装置

【課題】表面処理装置において、処理に要する時間、印加電圧、表面処理品質などに関して更なる向上を図る。
【解決手段】処理槽10と、処理槽10内でバスケット6を保持するバスケット保持手段11とを有し、処理槽10内には、バスケット保持手段11に保持されたバスケット6内の被処理物に対して導通可能とする陽極が、当該バスケット6の周壁6bまわりを周回する状態で回転可能に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
めっき等の表面処理に関し、処理時間の短縮化を目指して種々の装置が提案されている。例えば、斜めに傾斜させた処理槽内で籠型のバレルを回転させることで、バレル内のワークに攪拌作用を促進させようにした装置などが提案されている(特許文献1等参照)。
上記特許文献1に記載された処理槽には、バレルの外周面のうち、傾斜させたときに下側を向く領域に対してバックネット状に対向するようになる金属製格子体が設けられており、この格子体が陽極として使用されている。この格子体は、バレルの回転を邪魔しないように、バレルの外周面と所定間隔をおくように配置され、処理槽内で固定されている。
【0003】
なお、上記特許文献1は、格子体型をした本来の陽極とは別に、コイル状電極と棒状電極とを組み合わせた補助的な陽極をもバレル内へ挿入することで、陽極としての総合表面積を増加させ、もって表面処理時間の短縮化を試みた技術である。
【特許文献1】特開2003−147594号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
めっき等の表面処理では、処理に要する時間、印加電圧、表面処理品質(表面処理膜の厚さや均一さ等)の面で、絶え間ない努力が積み重ねられている。上記した特許文献1でも、格子体型をした本来の陽極とは別に、コイル状電極と棒状電極とを組み合わせた補助的な陽極をも併用する構造を採ることで、陽極としての総合表面積を増加させ、もって表面処理時間の短縮化を試みているのである。
ところで、処理槽内に固定されている陽極では、めっき等の表面処理を行っていく過程で多くの気泡が発生し、その表面に付着した状態になる。このように陽極の表面に多くの気泡が付着した状態は、極端な表現をすれば、陽極が気泡に包まれたようなものと言えるから、処理液との接触機会は低下し、また気泡表面での表面張力などが原因して処理槽内での処理液自体の対流にも悪影響が生じているのではないかと予測される。本出願人はこの点に着眼して、処理に要する時間、印加電圧、表面処理品質などの更なる向上を図るものである。
【0005】
なお、処理槽内で被処理物を収容する籠型の入れ物について、上記特許文献1では「バレル」と呼んでいるが以下では「バスケット」と言う。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、処理に要する時間、印加電圧、表面処理品質などに関して更なる向上が図れるようにした、表面処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明は次の手段を講じた。
即ち、本発明に係る表面処理装置は、処理液を貯留可能な処理槽と、被処理物を収容するバスケットを上記処理槽内で保持可能とすべく処理槽内に設けられたバスケット保持手段とを有したものであって、上記処理槽内には、バスケット保持手段に保持されたバスケット内の被処理物に対して導通可能とする陽極が、当該バスケットの周壁まわりを周回する状態で回転可能に設けられている。
ここにおいて「陽極が、当該バスケットの周壁まわりを周回する状態で回転可能」とは、陽極がバスケットと相対回転するか一体回転するかを区別して言うものではなく、陽極の回転軸心とバスケットの中心(周壁によって取り囲まれた閉鎖形体の中心)とが一致又は略一致していることを言う。
【0007】
従って、陽極だけが回転してバスケットが停止している状態や陽極とバスケットとが相対逆方向に回転する状態、更には陽極とバスケットとが同一方向に回転するがその回転速度が異なる状態(いずれも相対回転)も、陽極及びバスケットが同一方向及び同一回転速度で回転する状態(一体回転)も、含むものとする。
このように本発明に係る表面処理装置では、処理槽内に設けられる陽極が、バスケット保持手段によって保持されたバスケットの周壁まわりを周回するように回転するため、陽極によって発生した気泡は陽極表面に付着し難く、また仮に付着したとしても陽極の回転によって吹き飛ばされる。
【0008】
従って、陽極は処理液との接触機会が阻害されることがなく、また処理槽内での処理液自体の対流に悪影響が生じることも防止される等々、多くの好適な作用が得られることになる。むしろ、陽極の回転に伴って処理槽内の処理液には積極的且つ強制的な対流が生起されるため、バスケット内外での処理液の流通が促進されることになる。そのため、表面処理の効率が一層、高められることになる。
これらのことから、本発明に係る表面処理装置では処理時間の短縮や印加電圧の抑制、表面処理品質の向上など、実質的な効果を上げることに成功しており、上記の作用が奏功したと推量される。なお、処理槽の容量や表面処理の種類、被処理品の量や大きさ、材質などによっても異なるが、従来60%に過ぎなかった表面処理の効率が、本発明に係る表面処理装置を実施することによって90〜95%まで高められたという結果も報告されている。
【0009】
バスケット保持手段は、バスケットの周壁を取り囲む包囲壁と、この包囲壁をバスケットの中心まわりで回転可能にする回転駆動部とを有しており、且つ上記包囲壁が導体により形成されているものとすることができる。このようにすることで、包囲壁自体で陽極を形成させることができる。
このようにすることにより、処理槽内に、わざわざ別個独立した状態として陽極を設ける必要がなくなるから、処理槽はバスケットを収納できる範囲で可及的に小型化することができ、その分、処理槽の容量を抑えることができる。従って、処理液の貯留量も少なく抑えることができる。
【0010】
このことは、処理液を浄化したり濃度調整したり、或いは生成させたりするための管理槽を設ける場合、この管理槽へ向けて処理槽から処理液を出し入れするのに要する時間を短縮化でき、管理槽において処理液を浄化、濃度調整、生成、温度管理などさせるための時間も短縮化できることになる。当然に、管理槽の小型化も可能となる。
更に、陽極がバスケット外周面に接触した状態とできるから、表面処理に要する時間、電圧、表面処理品質(表面処理膜の厚さや均一さ等)の面でも更なる改善が図れるようになる。
【0011】
バスケット保持手段の包囲壁は、バスケットの周壁を取り囲んだ状態としての周方向に沿って互いに所定間隔で多数の支持柱が立設されることによって形成されたものとすることができる。
このようにすることで包囲壁として十分に耐える堅牢構造になり、またそれでいて透水性を高めることができ、尚かつ、包囲壁として低廉に製作できるといった多くの利点に繋がる。
この場合、殊に、バスケット保持手段の包囲壁に採用される支持柱は、バスケットの中心部から径方向外方へ延びる方向で板面を沿わすように並べられる板片として形成されたものとするのが好適である。
【0012】
このようにすることで包囲壁としての表面積を大きくすることができ、陽極面積を可及的に拡大させ、もって陰極対陽極のデシ比を1対1、又は陰極より陽極を大きくできるといった利点に繋がるものである。従って、この点でも表面処理時間の短縮や、良質の表面処理を施す点で極めて有益なものとなる。
バスケットは、その周壁が下すぼみのテーパ形状に形成されたものを使用することができる。この場合において、バスケット保持手段の包囲壁は、バスケットの周壁に対応して下すぼみのテーパコーン状に形成されたものとし、バスケットの保持状態下ではバスケット保持手段における包囲壁の内周面とバスケットにおける周壁の外周面とを接触可能にするのが好適である。
【0013】
このようにすることで、バスケットの外周面とバスケット保持手段の包囲壁とを確実に接触させることができ、もって両者間での導通を確実にできることになる。このことは、バスケットやバスケット保持手段(殊にバスケット)において、その寸法精度の誤差を吸収できる利点に繋がる。すなわち、バスケット等はその製作精度をそれほど高精度化させる必要がなく、またバスケット等が熱収縮変形や使用中の多少の変形などを起こした場合でも表面処理装置としての稼働をそのまま続けることができることになる。
バスケット保持手段は、バスケットの回転軸心が斜めに傾むく状態に保持可能なものとすればよい。
【0014】
このようにすることで表面処理を行う際には、バスケット内で被処理物が巧く攪拌されるようになり、表面処理時間の短縮や、良質の表面処理を施す点で極めて有益なものとなる。
また、バスケット保持手段には、バスケットの回転軸心を斜めに傾斜させることでバスケットを傾斜回転させる処理モードと、バスケットの回転軸心を鉛直状態にさせることでバスケットを水平回転させる脱水モードとに切り替える傾動手段が設けられたものとすればよい。
【0015】
このようにすると、処理モードでは上記したような表面処理時間の短縮や表面処理が良質となる効果が得られ、また脱水モードでは安定的でバランスのよい高速回転が実施できることに伴って確実で迅速な脱水ができるといった利点に繋がるものである。
すなわち、もしも処理モードでバスケットの回転軸心を傾斜させたまま、鉛直状態にさせることなくバスケットを高速回転させたとすると、バスケット内の被処理物は、傾斜の下側に偏った塊状の状態からいきなり高速回転による遠心力を受けることになる。そのため、被処理物は塊状の状態を維持し続け、個々の被処理物から処理液の振り切りが起こり難くなる。また、バスケットに作用する遠心力がフライホイルのような作用(偏心錘の回転状況)を生起するので、表面処理装置全体として大きな振動や騒音を発生させることになる。場合によっては、装置構成部品の結合緩みや故障に繋がるおそれもある。
【0016】
このように本発明に係る表面処理装置において、処理モードでバスケットの回転軸心を傾斜させた状態から、脱水モードへ移行させるときにバスケットの回転軸心を鉛直状態にさせる、ということの意味は、上記した種々の不具合を防止し、処理モード及び脱水モードでの各々の作用効果を十分に引き出すうえで有益となることにある。脱水モードとして、強力な遠心力を発生させるようにした本発明の表面処理装置であるからこそ、価値のある構成であると言うことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る表面処理装置では、処理に要する時間、印加電圧、表面処理品質などに関して更なる向上が図れるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
図1乃至図9は、本発明に係る表面処理装置1の第1実施形態を示しており、図10はこの表面処理装置1を複数台用いて構築した表面処理システム2を示している。この表面処理システム2は、表面処理工程3、水洗工程4、脱水工程5が処理順序にしたがって一連に配置され、被処理物を収容するバスケット6(図1等参照)がこれら各工程間をその配置順に従って移送される構成となっている。図例では、表面処理システム2の始端位置にロードステーション8が付属され、終端位置にアンロードステーション9が付属されたものとしてある。これら各ステーション8,9は必須不可欠ではない。
【0019】
なお、バスケット6は底板6aとこの底板6aの回りで立ち上がる周壁6bとを有する籠型とされ、これら底板6aや周壁6bが多孔板や網構造材等により形成されて透水性を有したものとなっている。周壁6bは、上半分がストレートの円筒形に形成され、下半分が下すぼみのテーパコーン状に形成されたものを使用するものとする。
バスケット6の移送は、例えば上方軌道(図示略)に沿って移動可能とされた昇降型ハンドリング装置7等による。
図例では、表面処理工程3として、脱脂工程3a、酸洗工程3b、電解工程3c、めっき第1〜第5工程3d〜3h、硝酸工程3i、三価白工程3jが採用されており、各表面処理工程3(3a〜3j)ごとに水洗工程4が付随され、また全工程の終段を締めくくるように脱水工程5が付随される配置となっている。めっき第1〜第5工程3d〜3hは例えば亜鉛めっきである。被処理物としてはボルトやナット等をはじめとして種々様々なものに適応されるものであって、何ら限定されるものではない。
【0020】
なお、本発明に係る表面処理装置1では、後述するように個々独立して実施する脱水モードでの運転により、十分な脱水効果を得ることができるので、上記した脱水工程5に関しては必須不可欠というものではなく、省略することも可能である。あくまでも、本実施形態においては一連の表面処理を終えた最終段階で、集中的に被処理物の完全脱水を行わせる(各工程間では必要最小限の脱水効果に留めておく)ような運転態様とするために、終段に脱水工程5を付属させているにすぎない。
本発明に係る表面処理装置1は、表面処理工程3(3a〜3j)、水洗工程4、及び脱水工程5のうち、酸洗工程3bなど、処理液への特別な対策(耐酸性等)が必要とされる工程を除いた全ての工程で同一構成のものを採用することも可能であるし、いずれかの工程だけ選択的に本発明に係る表面処理装置1を採用することも可能である。勿論、処理液への特別な対策(耐酸性等)を施せば、表面処理工程3(3a〜3j)、水洗工程4、及び脱水工程5の全ての工程で同一構成の表面処理装置1を採用することも可能である。
【0021】
図1乃至図3に示すように、本発明に係る表面処理装置1は、処理液を貯留可能な処理槽10と、この処理槽10内でバスケット6を保持可能とすべく処理槽10内に設けられたバスケット保持手段11とを有している。このバスケット手段11は回転自在とされており、表面処理装置1はこのバスケット保持手段11に回転力を伝える回転駆動部12をも有している。
処理槽10の下部には管理槽13が設けられている。すなわち、処理槽10は管理槽13を基礎としてその上部に二階建て状に設けられたものとなっている。
【0022】
処理槽10は上部が開放されてバスケット6の搬入及び搬出が可能になっており、この上部開放部分には蓋16が設けられている。この蓋16は、流体圧シリンダ等の蓋開閉装置17によって開閉可能とされている。この蓋16に対して陰極20が設けられている。この陰極20は、処理槽10内にバスケット6を収納した状態で蓋16を閉じたときに、この蓋16を閉じる動きによってバスケット6内へと差し込まれ、バスケット6内に被処理物が装填されていればこの被処理物に接触するようになっている。
このように蓋16に対して陰極20を設ける構造については、従来の表面処理装置として未だ提案されたものはなく、新規構造である。蓋16に対して陰極20を設けることで、陰極20の配置や陰極20への電流印加(配線)が容易であると共に省スペース化が図れ、また被処理物に対する陰極20の接触が確実となる等の各種利点が得られるものである。
【0023】
なお、蓋16に対して陰極20を上下動自在に保持させておき、蓋16の開閉を行う際に陰極20を必要に応じて上げ下げさせるようにしてもよい。このときの陰極20の上下動も、例えば流体圧シリンダやモータ駆動機構等によって機械的に行わせることが可能である。
バスケット保持手段11はバスケット6の底板6aを支持する載置台25を有している。またバスケット保持手段11は、バスケット6の周壁6bを取り囲む包囲壁26を有している。この包囲壁26は、載置台25まわりで立ち上がるような配置とされており、これら載置台25と包囲壁26とは相互連結されている。また、このバスケット保持手段11には傾動手段27が設けられている。
【0024】
載置台25は平面視して円形に形成されており、その中心部にはバスケット6の底板6aよりも径小の円盤形をした支持突起25a(図2参照)が設けられている。この支持突起25aによって底板6aとの接触(支持安定性)を確実化させてある。
図4及び図5に示すように、包囲壁26は、バスケット6の周壁6bを取り囲んだ状態としての周方向に沿って互いに所定間隔で多数の支持柱30が立設されることによって形成されている。支持柱30は、バスケット6の中心部から径方向外方へ延びる方向で板面を沿わすように並べられる板片として形成されている。
【0025】
なお、各支持柱30は、載置台25の外周部に沿った配置となっており、載置台25の回転中心(「バスケット6の中心(バスケット6を平面視したときの中心)」に同じ)から径方向外方へ延びる方向で板面を沿わした状態と言うこともできる。
このように多数本の支持柱30の集合体として包囲壁26が形成されているため、包囲壁26は、脱水時などの高速回転時にバスケット6により付加される横荷重にも十分に耐え得る堅牢構造を持つに至っている。また、各支持柱30の相互間によって透水性も十分に高められたものとなっているのである。なお、このように多数本の支持柱30を用いて包囲壁26を形成させると、包囲壁26を低廉に製作できる利点もある。
【0026】
本実施形態において包囲壁26は、図6に示すように、ストレートの短円筒形を呈する上部半体26aと、下すぼみのテーパコーン状(逆円錐台形)を呈する下部半体26bとを別々に製作したうえで、これらをボルト止め又は溶接等で連結する構造とした。上部半体26aは、2枚の円環体31a間を長方形状の板片とされた支持柱30で連結した構造であり、また下部半体26bは、上部半体26aで用いたのと同じ円環体31aとこれより径小の円環体31bとの間を平行四辺形状の板片とされた支持柱30で連結した構造となっている。
【0027】
この包囲壁26は、回転駆動部12による回転中にバスケット6が径方向のガタツキを生じさせない程度に、当該バスケット6の周壁6b外周面に対して微小周間を保持可能な内径で形成されている。具体的には、包囲壁26は、包囲壁26とバスケット6の周壁6bとの周間Gが3mmを超えないようにする内径で形成されている。この周間Gは、好ましくは2mm以下とするのがよい。
本実施形態では、上記したように包囲壁26をバスケット6の周壁6bに対応して下すぼみのテーパコーン状に形成されたものとしているので、バスケット保持手段11でバスケット6を保持する状態とすれば、必然的に包囲壁26の内周面とバスケット6における周壁6bの外周面とが接触するようになる。そこで、包囲壁26における上部半体26aの部分で、バスケット6の周壁6bとの周間Gを上記規定値とさせた。
【0028】
包囲壁26をバスケット6の周壁6bに対応したテーパーコーン状にすることで、包囲壁26の内周面とバスケット6の外周面との接触を確実化できることは、バスケット6とバスケット保持手段11との両者間での導通を確実にできることに繋がる。そのため、バスケット保持手段11において載置台25は必ずしも必要ではない。
また、バスケット保持手段11でバスケット6を保持させて、バスケット保持手段11における包囲壁26の内周面とバスケット6における周壁6bの外周面とが接触したとき、バスケット保持手段11における載置台25や包囲壁26の中心とバスケット6の中心とが自動調心されることになる。これらのことから、バスケット6やバスケット保持手段11(殊にバスケット6)において、その寸法精度の誤差を吸収できる利点に繋がる。すなわち、バスケット6等はその製作精度をそれほど高精度化させる必要がなく、またバスケット6等が熱収縮変形や使用中の多少の変形などを起こした場合でも表面処理装置1としての稼働をそのまま続けることができることになる。
【0029】
図1及び図2に示したように、このようなバスケット保持手段11において、載置台25の下面には包囲壁26の中心位置に一致するようにして回転軸32が突設されており、この回転軸32が処理槽10の槽底部33に設けられた軸受け34を介して回転自在に保持されている。なお、この軸受け34は、処理槽10内に貯留される処理液に対して防水性を保持すると共に、処理液に対する耐薬品性を有するものとなっている。
回転駆動部12には、バスケット保持手段11の回転速度を「表面処理に適した処理速度」と「脱水に適した脱水速度」とに切り替え可能にする変速手段40が設けられている。処理速度は2rpm以上12rpm以下の範囲(好ましくは3rpm以上10rpm以下)であり、脱水速度は180rpm以上600rpm以下の範囲(好ましくは200rpm以上500rpm以下)である。
【0030】
この変速手段40は、回転駆動部12に設けられる回転駆動用モータ41をインバータ制御する変速回路42を有している。そのため、図7に示すように回転駆動用モータ41の加速や減速は、緩やかな増減傾向で制御されるものとなる。これによりバスケット保持手段11に対するバスケット6の保持状態やバスケット6内に収容された被処理物に対し、慣性的な衝撃(瞬発的な始動や急停止等)が起こることはない。
ところで、本実施形態では、バスケット保持手段11自体(載置台25及び包囲壁26)がSS材などの導体により形成されており、陽極として使用できるようにしてある。これに伴い、バスケット保持手段11の載置台25に対し、回転軸32が電気的な絶縁をされた状態で連結されるようになっており、バスケット保持手段11と処理槽10とが直接的に導通しないようにしてある。
【0031】
すなわち、バスケット保持手段11として形成されている陽極は、バスケット手段11によってバスケット6が保持されている状態下にあって、このバスケット6の周壁まわりを周回するような状態で回転するものである。
そのため、この陽極によって発生した気泡は、陽極表面(包囲壁26の各支持柱30表面)に付着し難く、また仮に付着したとしても陽極の回転によって吹き飛ばされることになる。従って、陽極は処理液との接触機会が阻害されることがなく、また処理槽10内での処理液自体の対流に悪影響が生じることも防止される等々、多くの好適な作用が得られることになる。
【0032】
むしろ、陽極の回転に伴って処理槽10内の処理液には積極的且つ強制的な対流が生起されるため、バスケット6の内外にわたって処理液の流通が促進されることになる。そのため、表面処理の効率が一層、高められることになる。
これらのことから、本発明に係る表面処理装置1では処理時間の短縮や印加電圧の抑制、表面処理品質の向上など、実質的な効果を上げることに成功しており、上記の作用が奏功したと推量される。なお、処理槽10の容量や表面処理の種類、被処理品の量や大きさ、材質などによっても異なるが、従来60%に過ぎなかった表面処理の効率が、本発明に係る表面処理装置1を実施することによって90〜95%まで高められたという結果も報告されている。
【0033】
上記のようにバスケット保持手段11自体で陽極を形成可能とさせていることに関連させて、バスケット6はPVC、PP、PEの樹脂材とするか、又は鉄やステンレスを芯材として形成させたうえで上記樹脂材によりコーティングすることにより、非導体とさせている。これによってバスケット保持手段11(陽極)と陰極20との間での短絡が起こるのを可及的に抑えて、被処理物に対する表面処理が十分に優先されるようにしている。
また、バスケット保持手段11の包囲壁26は、多数本の板片状支持柱30を有していることから、包囲壁26としての表面積、即ち、陽極面積を可及的に拡大させたものとなっている。そのため、陰極対陽極のデシ比を1対1、又は陰極より陽極を大きくできるといった利点に繋がる。従って表面処理時間の短縮や、良質の表面処理を施す点で極めて有益なものとなっている。
【0034】
傾動手段27は、バスケット6の回転軸心を斜めに傾斜させたり(図8(B)参照)鉛直状態にさせたり(図9(A)参照)を切り替えるべく、バスケット保持手段11を傾動させるものである。バスケット6の回転軸心を斜めに傾斜させたとき、バスケット6は傾斜回転する処理モードとなり、バスケット6の回転軸心を鉛直状態にさせたとき、バスケット6は水平回転する脱水モードとなる。
本実施形態においてこの傾動手段27は、処理槽10自体を傾動させることでバスケット保持手段11を傾動させるものとなっている。なお、傾動手段27は、処理槽10を介することなく、バスケット保持手段11だけを傾動させる(即ち、処理槽10は固定しておきその槽内でバスケット保持手段11を傾動させる)ように構成させることもできる。
【0035】
処理モードでは、処理槽10及びバスケット保持手段11と共にバスケット6が傾斜した状態で回転駆動部12が作動し、バスケット6が鈍速回転されるようになる。そのためバスケット6内では被処理物が底板6a(底板6aは傾いている)上で最も下位となる片隅(周壁6b寄り)に塊状に偏りつつ、鈍速回転による転がり作用を受けて巧く攪拌されるようになる。その結果、表面処理時間の短縮や、良質の表面処理(十分厚の表面処理膜が得られ且つ均一厚となる等)を施す点で極めて有益なものとなる。
また脱水モードでは、処理槽10及びバスケット保持手段11と共にバスケット6が正立(水平)状態で回転駆動部12が作動し、バスケット6が高速回転されるようになる。そのためバスケット6内では被処理物が底板6a(底板6aは水平になっている)上の外周寄り全周で均一に散らばり、安定的でバランスのよい高速回転(遠心力)を受けるようになる。その結果、確実で迅速に脱水ができるといった利点に繋がるものである。
【0036】
図3に示すように、管理槽13には処理液が貯留され、必要に応じて処理液の濃度調整部(例えば亜鉛等の溶解材44を投入する部分など)45が設けられている。
処理槽10と管理槽13との間には処理液送給手段46が設けられている。この処理液送給手段46は、例えば管理槽13から処理槽10へ処理液を送る供給管47と、この供給管47に設けられたポンプ48と、処理槽10から管理槽13へ処理液を戻す回収管49とを有したものとすることができる。回収管49は、処理槽10内の処理液水面を一定水位に規制するためのオーバーフロー管を兼ねるものとして形成してもよい。
【0037】
なお、この回収管49には遠隔操作によって開閉操作可能な開閉弁(図示略)を設けてもよい。この開閉弁を設ける場合、ポンプ48は管理槽13から処理槽10への処理液供給用として使用し、処理槽10内が所定水位となったときに開閉弁を閉じ、これと同時にポンプ48も停止させるようにすればよい。処理槽10から管理槽13への処理液回収は、開閉弁を開いて処理液を自然流下させればよい。勿論、処理槽10から管理槽13への処理液の回収時にもポンプ48(又は回収専用のポンプを別に設けてもよい)を運転させるといった使い方ができる。
【0038】
回収管49に開閉弁を設けない場合では、ポンプ48の連続運転によって管理槽13から処理槽10への処理液供給を常態化させ、これによって処理槽10内を一定水位に保持させるようにすればよい。処理槽10から管理槽13への処理液回収時にはポンプ48を停止させて処理液を自然流下させることになる。このように開閉弁を設ける仕様とするか設けない仕様とするかは、適宜変更可能である。
上記のようにして、管理槽13から処理槽10へ処理液を供給して処理槽10内に保持されるバスケット6を処理液への浸漬状態にしたり、反対に、処理槽10から管理槽13へ処理液を戻して処理槽10内に保持されるバスケット6を処理液と非接触の乾燥状態にしたりの切り替えが可能になっている。従って、表面処理後に実施する脱水が、個々の処理槽10ごとに独自のタイミングで行える(他の処理槽10でのタイミングと歩調を合わせなくても良い)という利点に繋がる。
【0039】
表面処理装置1の動作状況としては、まず図8(A)に示すように、処理槽10において蓋16が開いた状態で待機し、バスケット6が処理槽10内に搬入されると蓋16が閉じられる。これと同時に、蓋16に設けられた陰極20がバスケット6内へ挿入されることになる。
次に、図8(B)に示すように、管理槽13内で濃度調整された処理液がポンプ48の作動によって管理槽13から供給管47(図2等参照)を介して処理槽10内へと供給され、処理槽10内の処理液が所定水位とされる。そして処理槽10が全体として斜めに傾斜される。なお、処理槽10を傾斜させた後に処理槽10へ処理液を供給させるようにしてもよい。
【0040】
かくしてバスケット6内の被処理物は、傾斜したバスケット6の低位部に塊状に偏り、処理液内に浸漬された状態になる。また蓋16に設けられた陰極20とバスケット6内の被処理物とが接触した状態になる。これらの状態となった後、回転駆動部12に備えられる回転駆動用モータ41が、変速手段40の変速回路42(図1参照)によるインバータ制御を受けつつバスケット保持手段11を鈍速回転(処理モード)させることになる。
ここにおいてバスケット6は、バスケット保持手段11の包囲壁26に対し、少なくとも周方向の一箇所(傾斜した状態での低位部)で当接状態が維持されることになるので、バスケット6とバスケット保持手段11(即ち、陽極)との間で電気的な導通状態は確実に維持されていることになる。
【0041】
加えて、バスケット保持手段11の包囲壁26をバスケット6の周壁6bに対応して下すぼみのテーパコーン状に形成させているので、包囲壁26の内周面とバスケット6における周壁6bの外周面との接触は確実なものとなっており、この点でも、バスケット6とバスケット保持手段11との両者間での導通が確実化されていることになる。かくして、バスケット保持手段11(陽極)と陰極20との間へ電圧を印加することにより、バスケット6内の被処理物に対する表面処理が開始される。
表面処理に必要な所定時間の経過後(12分以内で十分である)、バスケット保持手段11(陽極)と陰極20との間の電圧印加が解除され、図7に示すように回転駆動用モータ41は一旦停止される。そして図9(A)に示すように、処理槽10内の処理液が管理槽13へ回収されて処理槽10内が空にされると共に、処理槽10が全体として水平状態に戻される。これら処理液の回収と処理槽10の水平移行とはどちらが先行してもよい。
【0042】
これらの状態となった後、回転駆動部12に備えられる回転駆動用モータ41が、変速手段40の変速回路42(図1参照)によるインバータ制御を受けつつバスケット保持手段11を高速回転(脱水モード)させることになり、脱水が開始される。
なお、この脱水時において、バスケット6内の被処理物は、バスケット6の底板6a上でその外周寄りで全周的に均一に散らばるようになり、安定的でバランスのよい高速回転(遠心力)を受けることになる。そのため、確実で迅速な脱水が実施されることになる。
また、バスケット保持手段11が高速回転をはじめるときやこの高速回転から停止する際には、回転駆動用モータ41が、図7に示すように変速手段40の変速回路42(図1参照)によるインバータ制御を受けてその加速や減速が緩やかな増減傾向に制御されることになる。そのため、バスケット保持手段11に対するバスケット6の保持状態や、バスケット6内に収容された被処理物に対し、慣性的な衝撃(瞬発的な始動や急停止等)が起こることがなく、バスケット保持手段11、バスケット6、及び被処理物において、破損などは起こらない。
【0043】
脱水に必要な所定時間の経過後(被処理物の大きさ、形状、量、処理液の粘度などにより異なる)、図9(B)に示すように、処理槽10の蓋16が開かれ、バスケット6が搬出される。
以上詳説したところから明かなように、本発明に係る表面処理装置1では陽極(本第1実施形態ではバスケット保持手段11)が、保持状態としたバスケット6の周壁まわりを周回するような状態で回転するものである。この陽極の回転は、バスケット6と一体回転であるか相対回転であるかは特に限定されるものではない。
【0044】
このような回転する陽極であれば、この陽極によって発生した気泡が陽極表面(包囲壁26の各支持柱30表面)に付着し難く、また仮に付着したとしても陽極の回転によって吹き飛ばされることになるので、陽極は処理液との接触機会が阻害されることがなく、また処理槽10内での処理液自体の対流に悪影響が生じることも防止される等々、多くの好適な作用が得られることになる。
むしろ、陽極の回転に伴って処理槽10内の処理液には積極的且つ強制的な対流が生起されるため、バスケット6の内外にわたって処理液の流通が促進されることになる。そのため、表面処理の効率が一層、高められることになる。
【0045】
これらのことから、本発明に係る表面処理装置1では処理時間の短縮や印加電圧の抑制、表面処理品質の向上など、実質的な効果を上げることに成功しており、上記の作用が奏功したと推量される。
一方、本発明に係る表面処理装置1では変速手段40を有しており、これによってバスケット保持手段11は「表面処理に適した処理速度」と「脱水に適した脱水速度」とに切り替え可能になっている。すなわち1台の装置として、「表面処理に適した処理速度」と「脱水に適した脱水速度」とを発生可能にしたものであるから、表面処理後において、処理槽10からいちいちバスケット6を取り出すことなく、そのまま脱水を行うことができる。
【0046】
もとより、ここで行う脱水は「脱水に適した脱水速度」に達するものであるから、十分な振り切り効果(脱水、乾燥の効果)を得ることができる。そのため、持ち出される処理液も最小限に抑制乃至皆無にできることになる。かくして、処理時間の短縮化が図れ、また処理液の無駄も省けるものとなる。
しかも、処理槽10内でバスケット6を保持するためのバスケット保持手段11自体(少なくとも包囲壁26)が陽極を形成するようになっているため、処理槽10内に、わざわざ別個独立した状態として陽極を設ける必要はない。このことから、処理槽10はバスケット6を収納できる範囲で可及的に小型化することができ、その分、容量を抑えることができることから、処理液の貯留量も少なく抑えることができるのである。
【0047】
従って、処理液を浄化したり濃度調整したり、或いは生成させたりするための管理槽13を設ける場合、この管理槽13へ向けて処理槽10から処理液を出し入れするのに要する時間を短縮化でき、管理槽13において処理液を浄化、濃度調整、生成、温度管理などさせるための時間も短縮化できることになる。当然に、管理槽13の小型化も可能となる。
更に、陽極がバスケット6の外周面に接触した状態とできるから、表面処理に要する時間、電圧、表面処理品質(表面処理膜の厚さや均一さ等)の面でも改善が図れるようになる。
【0048】
図11は、本発明に係る表面処理装置1の第2実施形態を示しており、図12はこの表面処理装置1を複数台用いて構築した表面処理システム2を示している。
第2実施形態の表面処理装置1は、一つの処理槽10に対して複数台(図例では2台)のバスケット保持手段11が設けられている点で、第1実施形態と異なっている。その他の構成及び作用効果については第1実施形態と略同様である。
図13は、本発明に係る表面処理装置1の第3実施形態を示している。この第3実施形態の表面処理装置1は、バスケット保持手段11とは別個独立する状態で陽極50が設けられたものとなっている。
【0049】
この陽極50は、バスケット保持手段11の載置台25に対してその下側へ回り込むように側面視形状がL型に形成されており、載置台25の中心を支えている回転軸32に外嵌状態で設けられた筒型回転軸60に対して、ブラケットハブ61を介して一体回転可能に結合されている。
筒型回転軸60と回転軸32とは、それらの内外周面間にブシュ等を介した状態で互いに同軸で相対回転自在の関係に保持されているが、軸方向には相対移動しないようになっている。そしてこれら筒型回転軸60及び回転軸32のうち、筒型回転軸60のほうが、処理槽10の槽底部33に設けられた軸受け34を介して回転自在に保持されている。
【0050】
筒型回転軸60は短めに形成されており、その下端部からは内側の回転軸32(ブラケット手段11側のもの)が突出している。この回転軸32の下端部には、バスケット保持手段11に回転力を伝える回転駆動部12の従動プーリ62が結合されており、回転駆動用モータ41によって回転駆動されるようになっているのに対し、筒型回転軸60の下端部には、陽極50に回転力を伝える回転駆動部64の従動プーリ63が結合され、回転駆動用モータ65によって回転駆動されるようになっている。
回転駆動部12による回転軸32の回転(即ち、バスケット手段11及びバスケット6の回転)と、回転駆動部64による筒型回転軸60の回転(即ち、陽極50の回転)とは、同一方向で異なる速度としたり、相対逆の方向で同一又は異なる速度としたりすることができる。
【0051】
その他の構成及び作用効果については第1実施形態と略同様である。なお、陽極50に回転力を伝える回転駆動部64としては、回転駆動用モータ65を具備させず、バスケット保持手段11に回転力を伝える回転駆動部12又は回転軸32などから差動歯車装置などを介して回転を取り出すような構造にすることも可能である。
ところで、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、実施の形態に応じて適宜変更可能である。
バスケット6は、下すぼみのテーパ状とすることが限定されるものではなく、周壁6bがストレートの円筒形状(所謂、ずんどう状)を呈したものとしてもよい。また、底板6aや周壁6bはパンチングメタルや網材等により形成されて透水性を有したものを採用してもよい。
【0052】
本発明において、表面処理の種類は何ら限定されるものではない。所謂、電着(電圧を印加して行う塗装)やメッキ後の被膜処理なども含まれる。また、被処理物についても何ら限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明に係る表面処理装置の第1実施形態を示した側断面図(図9のA−A線矢視図に相当)である。
【図2】図1のB−B線矢視に対応させてバスケット保持手段が傾動した状態を示した表面処理装置の正面断面図である。
【図3】図1のC−C線断面図である。
【図4】図2のD−D線断面図である。
【図5】図4のE部拡大図である。
【図6】バスケット保持手段の包囲壁を分解して示した斜視図である。
【図7】バスケット保持手段の回転制御を説明した図である。
【図8】表面処理装置の動作説明図であって(A)はバスケットの搬入段階であり(B)は表面処理段階である。
【図9】表面処理装置の動作説明図であって(A)は脱水段階であり(B)はバスケットの搬出段階である。
【図10】本発明に係る第1実施形態の表面処理装置を採用して構築した表面処理システムの平面図である。
【図11】本発明に係る表面処理装置の第2実施形態を示した側断面図(図12のH−H線矢視図に相当)である。
【図12】本発明に係る第2実施形態の表面処理装置を採用して構築した表面処理システムの平面図である。
【図13】本発明に係る表面処理装置の第3実施形態を示した側断面図である。
【符号の説明】
【0054】
1 表面処理装置
2 表面処理システム
3 面処理工程
4 水洗工程
5 脱水工程
6 バスケット
6a 底板
6b 周壁
10 処理槽
11 バスケット保持手段
12 回転駆動部
13 管理槽
25 載置台
26 包囲壁
27 傾動手段
30 支持柱
40 変速手段
41 回転駆動用モータ
42 変速回路
46 処理液送給手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理液を貯留可能な処理槽(10)と、被処理物を収容するバスケット(6)を上記処理槽(10)内で保持可能とすべく処理槽(10)内に設けられたバスケット保持手段(11)とを有する表面処理装置において、
上記処理槽(10)内には、バスケット保持手段(11)に保持されたバスケット(6)内の被処理物に対して導通可能とする陽極が当該バスケット(6)の周壁(6b)まわりを周回する状態で回転可能に設けられている
ことを特徴とする表面処理装置。
【請求項2】
前記バスケット保持手段(11)は、バスケット(6)の周壁(6b)を取り囲む包囲壁(26)と、この包囲壁(26)をバスケット(6)の中心まわりで回転可能にする回転駆動部(12)とを有しており、且つ上記包囲壁(26)が導体により形成されていることによりこの包囲壁(26)自体が陽極を形成可能になっていることを特徴とする請求項1記載の表面処理装置。
【請求項3】
前記バスケット保持手段(11)の包囲壁(26)は、バスケット(6)の周壁(6b)を取り囲んだ状態としての周方向に沿って互いに所定間隔で多数の支持柱(30)が立設されることによって形成されていることを特徴とする請求項2記載の表面処理装置。
【請求項4】
前記バスケット保持手段(11)の包囲壁(26)に採用される支持柱(30)は、バスケット(6)の中心部から径方向外方へ延びる方向で板面を沿わすように並べられる板片として形成されていることを特徴とする請求項3記載の表面処理装置。
【請求項5】
前記バスケット(6)の周壁(6b)が下すぼみのテーパ形状に形成されている場合において、前記バスケット保持手段(11)の包囲壁(26)はバスケット(6)の周壁(6b)に対応して下すぼみのテーパコーン状に形成されており、バスケット(6)の保持状態下ではバスケット保持手段(11)における包囲壁(26)の内周面とバスケット(6)における周壁(6b)の外周面とが接触可能になっていることを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載の表面処理装置。
【請求項6】
前記バスケット保持手段(11)は、バスケット(6)の回転軸心が斜めに傾むく状態に保持可能になっていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の表面処理装置。
【請求項7】
前記バスケット保持手段(11)には、バスケット(6)の回転軸心を斜めに傾斜させることでバスケット(6)を傾斜回転させる処理モードと、バスケット(6)の回転軸心を鉛直状態にさせることでバスケット(6)を水平回転させる脱水モードとに切り替える傾動手段(27)が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の表面処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−179874(P2008−179874A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−39684(P2007−39684)
【出願日】平成19年2月20日(2007.2.20)
【出願人】(592190486)木田精工株式会社 (26)