説明

表面処理装置

【課題】装置を構成している部材等の損傷及び被処理物の処理ムラを抑止することができる表面処理装置を提供する。
【解決手段】表面処理装置100は、希釈ガスを供給する希釈ガス供給装置1と、フッ素ガスを供給するフッ素ガス供給装置2と、前記希釈ガスと、前記フッ素ガスとを混合して混合ガスを生成させる混合器5と、前記混合ガスに被処理物を接触させる反応器6とを備えた表面処理装置100であって、前記希釈ガスを加熱する加熱手段8をさらに備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フッ素ガスを用いて試料の表面処理、表面改質等を行う表面処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、有機物等をフッ素ガスによって処理する表面改質や表面処理が行われており、例えば、下記特許文献に示す表面処理装置が知られている。特許文献1に開示されている表面処理装置は、フッ素ガス源と不活性ガス源とにそれぞれ連絡している供給管を備えたガス調整槽と、前記ガス調整槽とガス導管で連絡されている処理槽と、排ガス処理装置とを備えたものであり、小規模な表面処理や希薄なフッ素ガスを用いて行う表面処理に好適な装置である。
【0003】
【特許文献1】特開2000−319433号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、容量の大きな処理槽を用いて表面処理を行った場合は、処理槽内における被処理物の詰め位置やガスの流路やガス澱み等の影響で、処理ムラが生じやすいことがあった。この処理ムラを防止する方法として、例えば、加熱した条件において表面処理を行う方法があり、処理槽に被処理物を所定の温度に加熱する加熱手段を備えたものがある。しかしながら、このような装置においても、処理槽内で、被処理物と該被処理物を処理するために供給される混合ガスとの間で温度差が生じて、処理ムラが生じることがあった。また、処理槽へ混合ガスを導入すると、混合ガスに含まれた反応性の高いフッ素ガスによって、混合ガス導入開始直後から反応が開始され、これにより処理ムラが生じやすいことがあった。特に、処理槽の容量が大きい場合には、混合ガスが処理槽内に均一に拡散して処理槽内の条件が均一になる前に、ガス導入部付近から表面処理が開始され、処理ムラが生じるおそれがあった。このような問題を低減させるために、あらかじめ加熱した混合ガスを処理槽へ供給して、被処理物と混合ガスとの温度差が生じにくいようにしていたが、反応器までの短い流路において短時間で混合ガスを加熱する必要があり、さらに、所望する加熱(処理)温度に数十度以上加えた高温によって、ガスが流れる配管の外側から混合ガスを加熱する必要があった。このため、混合ガスに含まれるフッ素ガスの温度が急激に上昇し、フッ素ガスの反応性が高温となって更に高められることによって、ガス導管やバルブ等に使用されている金属製の部材や、これらの内部にパッキン等として使用されている樹脂材が耐食性の高い材質を用いて形成されたとしても、その高い反応性により局部的に腐食等の損傷を受けるおそれがあった。
【0005】
そこで、本発明は、装置を構成している部材等の損傷及び被処理物の処理ムラを抑止することができる表面処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0006】
本発明の表面処理装置は、希釈ガスを供給する希釈ガス供給装置と、フッ素ガスを供給するフッ素ガス供給装置と、前記希釈ガスと、前記フッ素ガスとを混合して混合ガスを生成させる混合器と、前記混合ガスに被処理物を接触させる反応器とを備えた表面処理装置であって、前記希釈ガスを加熱する加熱手段をさらに備えているものである。特に、前記加熱手段が、前記希釈ガスと前記フッ素ガスとを混合する前に、前記希釈ガスを加熱するものであることが好ましい。
【0007】
上記構成によれば、希釈ガスを加熱器で加熱し、加熱した希釈ガスとフッ素ガスとを混合することができるので、フッ素ガスが必要以上に高温となりにくくなり、装置を構成している部材等に腐食等の損傷が生じることを抑止できる。また、加熱された混合ガスを反応器へ供給することができるので、被処理物の処理ムラが生じることを抑止できる表面処理装置を提供することができる。
【0008】
また、本発明の表面処理装置においては、前記希釈ガスを駆動源として、前記フッ素ガスを吸い込むエジェクターをさらに備えていることが好ましい。ここで、エジェクターとは、流速を速くすることにより減圧状態として気体を引き込むことができるものである。
【0009】
上記構成によれば、エジェクターにより、希釈ガスを駆動源として、フッ素ガスをフッ素ガス供給装置から引き込むことができる。これにより、フッ素ガスの供給圧力を低減することができるので、フッ素ガスの高圧貯蔵を抑止でき、より安全にフッ素ガスを貯蔵及び使用することができる。また、希釈ガスよりも供給量の少ないフッ素ガスをより正確な量で供給できる。
【0010】
また、本発明の表面処理装置においては、前記希釈ガス供給装置と前記混合器とに配管を介して接続されている第1流量調整手段と、前記第1流量調整手段の上流側及び下流側に設けられている圧力計と、前記希釈ガス供給装置と前記第1流量調整手段の上流側に設けられている圧力計とに配管を介して接続されている圧力調節用バルブとさらに備えていることが好ましい。
【0011】
上記構成によれば、圧力調節用バルブによって第1流量調整手段に一定の駆動差圧をかけることができるので、希釈ガス供給装置及び第1流量調整手段の下流側に設けられている配管や、反応器内圧等の圧力による影響に関係なく、一定の流量で希釈ガスを供給することができる。なお、第1流量調整手段としては、例えば、マスフローコントローラー等を用いることができる。ここで、マスフローコントローラーとは、気体の質量流量を電気信号にて正確に制御するものである。従って、希釈ガスの質量流量を制御できるため、温度・供給圧力の影響を受けることなく、より正確で安定した希釈ガスの流量制御が可能なものである。
【0012】
また、本発明の表面処理装置においては、前記圧力調節用バルブと前記第1流量調整手段の上流側に設けられている前記圧力計との間に設けられている圧力緩衝用タンクをさらに備えていることが好ましい。
【0013】
上記構成によれば、圧力緩衝用タンクによって、圧力調節用バルブ及び第1流量調整手段に設けられているバルブとの相互影響を緩和して流量精度をさらに向上させることができる。
【0014】
また、本発明の表面処理装置においては、前記フッ素ガス供給装置と前記混合器とに配管を介して接続されている第2流量調整手段をさらに備えていることが好ましい。
【0015】
上記構成によれば、第2流量調整手段により、フッ素ガスの質量流量を電気信号にて正確に制御できるため、温度・供給圧力の影響を受けることなく、より正確で安定したフッ素ガスの流量制御が可能なものとなる。第2流量調整手段としては、第1流量調整手段と同様に、例えば、マスフローコントローラー等を用いることができる。
【0016】
また、本発明の表面処理装置においては、前記混合器に連通している第1連通管と、前記第1連通管の途中に設けられている背圧弁と、前記第1連通間の途中に、前記背圧弁の下流側に設けられているガス放出弁と、前記混合器と前記反応器との間を連結している第2連通管と、前記第2連通管の途中に設けられているガス導入弁とをさらに備えていることが好ましい。
【0017】
上記構成によれば、エジェクターに十分な真空を発生させるための駆動差圧が生じて希釈ガスの流量が安定するまで、ガス導入弁を閉じるとともにガス放出弁を開いて、第1連通管を通じて希釈ガス、又は希釈ガス及びフッ素ガスを放出することができる。そして、希釈ガスの流量が安定した後に、ガス放出弁を閉じるとともにガス導入弁を開いて、第2連通管を通じて混合ガスを反応器へ導くことができる。これにより、混合ガスを反応器へ供給する際、供給開始直後から流量、濃度が一定に調整された混合ガスを供給することができる。
【0018】
また、本発明の表面処理装置においては、前記被処理物を加熱する加熱室をさらに備えているものであることが好ましい。
【0019】
上記構成によれば、被処理物を、混合ガスに接触させる前に予め加熱室で加熱させることができるので、処理むらや不適処理を抑止できる。また、被処理物を予め加熱しておくことによって、反応器内における被処理物の加熱時間を短縮でき、コストを抑えることができるとともに、処理効率をさらに向上させることができる。
【0020】
また、本発明の表面処理装置においては、前記被処理物を前記反応器へ搬送できる、前記フッ素ガスに対する耐食性を有する可動部材をさらに備えているものであることが好ましい。
【0021】
上記構成によれば、被処理物を反応器への搬送や搬出が容易にでき、なおかつ、混合ガスに含まれるフッ素ガスによって、可動部材から不純物が発生する等の影響が生じることを抑止できる。
【0022】
また、本発明の表面処理装置において、前記反応器内に、前記被処理物と前記反応器に供給された前記混合ガスとの間に設けられている板状部材をさらに備えているものであることが好ましい。別の観点として、前記板状部材は、前記可動部材の上に、前記被処理物と前記反応器に流入した前記混合ガスとの間に設けられていてもよい。
【0023】
上記構成によれば、反応器内の混合ガス導入部の近辺において、混合ガスが被処理物へ直接接触しにくくなるので、被処理物の処理むらが生じることを抑止でき、被処理物への処理を均一に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明に係る表面処理装置の実施形態について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る表面処理装置の主要部の概略構成図であり、図2は、本発明の実施形態に係る表面処理装置の反応器の断面模式図である。
【0025】
図1において、表面処理装置100は、希釈ガス供給装置1と、フッ素ガス供給装置2と、希釈ガス発生装置1に配管を介して接続されているマスフローコントローラー(第1流量調整手段)3aと、フッ素ガス供給装置2に配管を介して接続されているマスフローコントローラー(第2流量調整手段)3bと、マスフローコントローラー3a、3bとにそれぞれ配管を介して接続されているエジェクター4と、エジェクター4と配管を介して接続され、エジェクター4の下流側に設けられている混合器5と、混合器5から供給される混合ガスによって被処理物を処理する反応器6と、反応器6から導かれたガスに含まれているフッ素ガス及びフッ化水素ガスを除害する除害装置7とを備えているものであり、マスフローコントローラー3aとエジェクター4との間には加熱器(加熱手段)8がさらに設けられている。また、マスフローコントローラー3aの上流側及び下流側にはそれぞれ圧力計9、10が設けられており、圧力計9のさらに上流には圧力調節用バルブ11と、圧力緩衝用タンク12とが設けられている。そして、混合器5と反応器6とに連通している第2連通管16と、第2連通管16の途中に設けられているガス導入弁17と、第2連通管16の途中から分岐して設けられている第1連通管13と、第1連通管13の途中に設けられている背圧弁14及びガス放出弁15とがさらに備えられている。
【0026】
希釈ガス供給装置1は、フッ素ガスを希釈する不活性ガスを供給する装置である。希釈ガスとしては、例えば、窒素ガス、酸素ガス、アルゴンガス等が挙げられるが、これらのガスに限定されるものではない。
【0027】
フッ素ガス供給装置2は、フッ素ガスを供給するものであり、例えば、図示しないフッ化水素供給装置等からフッ化水素を供給して電気分解し、フッ素ガスを発生させるフッ素ガス発生装置や、フッ素ガスが充填されたガスボンベ等が挙げられる。
【0028】
マスフローコントローラー(第1流量調整手段、第2流量調整手段)3a、3bは、気体の質量流量を電気信号にて正確に制御するものである。これにより、温度・供給圧力の影響を受けることなく、より正確かつ安定に希釈ガス及びフッ素ガス流量の制御が可能なものとなる。マスフローコントローラー3a、3bは、流量制御するために本体の出入り口ガス圧力差が0.05〜0.10MPa必要である。この圧力差がないと、マスフローコントローラー3a、3b内部の圧力損失のために正確な流量制御が出来なくなる。その為にマスフローコントローラー3a、3bを経由して供給する希釈ガス及びフッ素ガスは、マスフローコントローラー3a、3bよりも下流側に設けられている反応器6の処理圧力(例えば、大気圧)と、マスフローコントローラー3a、3bの圧力損失(例えば、0.05〜0.10MPa)と供給源である希釈ガス供給装置1又はフッ素ガス供給装置2から必要量の希釈ガス又はフッ素ガスを押し出すために必要な差圧(例えば、0.05〜0.10MPa)とを合計した圧力以上の入り口圧力(例えば、大気圧+0.10〜0.20MPa)が発生していないと正常な希釈ガス又はフッ素ガスの供給が出来ないことになる。そこで、エジェクター4とマスフローコントローラー3a、3bを組み合わせると、エジェクター4の吸引能力によってマスフローコントローラー3a、3bの出口圧力を低下することが出来、(この時、反応器6の圧力は影響しないため)結果としてマスフローコントローラー3a、3b入り口の駆動に必要な圧力も低減させることができる。その為に、フッ素ガスの保持・供給圧力もエジェクターの能力分だけ低減することができる。フッ素ガスは反応性の高いガスであり、保持圧力を低減することができると、その分だけ腐食やガス漏れの危険性を低減することができる。
【0029】
エジェクター4は、流速を速くすることにより減圧状態として気体を引き込むための器具であり、希釈ガスを駆動源としてフッ素ガスを確実に引き込むことができ、引き込んだガスは混合器5へと導かれる。ここで、エジェクター4の代わりに、例えば、バキュームジェネレーター等を用いてもよい。このエジェクター4を備えていることによって、フッ素ガス供給装置2の圧力上限は200kPa以下からでも問題なくフッ素ガスを供給でき、下限は−65kPa(G)まで使用可能である。
【0030】
混合器5は、エジェクター4によって引き込まれた希釈ガス及びフッ素ガスを混合して、反応器6へ導くものである。なお、エジェクター4において、希釈ガスを駆動源として、フッ素ガスが引き込まれることによっても混合ガスを生成することができる。
【0031】
反応器6は、希釈ガス及びフッ素ガスの混合ガスを受け入れて、被処理物の表面処理、改質を行うものである。ここで、図2を用いて詳細に説明すると、反応器6は、混合ガス供給口18と混合ガス排出口19とを有するものであり、反応器6内には、板状部材20と、被処理物21と、可動部材22とが配置されている。また、反応器6に並設して加熱室23が設けられている。
【0032】
板状部材20は、反応器6内において、混合ガス供給口18と被処理物21との間に、供給されたガスを遮るようにして立設されているものである。なお、板状部材20は、可動部材22に設けられているものでもよく取り外し可能なものでもよい。この板状部材20によって、反応器6内の混合ガス供給口18の近辺において、混合ガスが被処理物21へ直接接触しにくくなり、処理ムラや不適処理が生じることを抑止できる。
【0033】
可動部材22は、被処理物21を反応器6内又は反応器6外へ移動させることができるものであり、フッ素ガスに対する耐食性を有する金属材、例えばステンレス鋼等を用いたメッシュ又はパンチングメタルが用いられているものが好ましい。また、可動部材22には、車輪が取り付けられているが、一変形例として、車輪などが取り付けられていないものを用いてもよい。また、他の変形例として、上記金属材としてメッシュ又はパンチングメタルと金属フレームと車輪とを有しているものでもよい。
【0034】
加熱室23は、被処理物21と混合ガスとを接触させる前に、予め被処理物21を加熱するために設けられているものである。ここで、被処理物21は加熱された状態で混合ガスと接触して処理されることが好ましいため、加熱室23から反応器6へ被処理物21を早く移送することが好ましい。そこで、加熱室23は反応器6の近辺に設けられているものであることが好ましく、加熱室23と反応器6とが連通しているものでもよい。ここで、一変形例として、加熱室23と反応器6とが隣接して設けられているものや、反応器6内に加熱室23が設けられているものを用いてもよい。
【0035】
除害装置7は、反応器6の表面処理において被処理物21の表面から生じたフッ化水素ガス及びフッ素ガス等を除去して、ガスを無害化するものである。除害装置7においてフッ素ガス及びフッ化水素ガスの除害されたガスは、表面処理装置100外へ排出される。なお、フッ素ガス及びフッ化水素ガスを除去するため、例えば、ソーダ石灰等が充填されているものを用いてもよい。
【0036】
加熱器(加熱手段)8は、希釈ガス供給装置1とエジェクター4とを接続している配管の途中に設けられているものであり、希釈ガス供給装置1から供給された希釈ガスを加熱するものである。なお、希釈ガスの加熱は希釈ガスとフッ素ガスとが混合される前に行われる。加熱器(加熱手段)8として、例えば、ヒーター等を用いることができる。
【0037】
圧力計9は、マスフローコントローラー3aの上流側の圧力を測定するものであり、マスフローコントローラー3aの上流側に設けられている。圧力計10は、マスフローコントローラー3aの下流側の圧力を測定するものであり、マスフローコントローラー3aの下流側に設けられている。
【0038】
圧力調節用バルブ11は、圧力計9の圧力値と圧力計10の圧力値との差に対応して、マスフローコントローラー3aに一定の駆動差圧をかけるものであり、希釈ガス供給装置1と圧力緩衝用タンク12との間に配管を介して設けられている。これにより、圧力調節用バルブ11には、エジェクター4から下流側にかかる圧力の最大値、エジェクター4の駆動差圧、マスフローコントローラー3aの駆動差圧、表面処理装置100を構成している各要素の圧力損失値の和以上の圧力で、希釈ガスを供給することができる。また、希釈ガス(流量)をマスフローコントローラー3aによって固定して供給する場合、エジェクター4の上流側及び下流側には差圧が発生しておらず、希釈ガスを供給した場合にのみ圧力が発生する。このため、希釈ガス供給前のマスフローコントローラー3aの上流側及び下流側の差圧が駆動差圧を超えることが多く、マスフローコントローラー3aに設けられているバルブ(図示せず)が閉じてしまい、希釈ガスが供給できなくなる場合がある。この場合、圧力調節用バルブ11によって、希釈ガス流量を調整して、マスフローコントローラー3aの上流側及び下流側に一定の駆動差圧をかけて希釈ガスを供給することができる。
【0039】
ここで、マスフローコントローラー3aに設けられているバルブと圧力調節用バルブ11とのハンチングの現象を詳細に説明する。希釈ガス流量が少ないとき、マスフローコントローラー3aに設けられているバルブが開かれ、流量が増加する一方で、駆動差圧が低下する。これにより、圧力確保のため圧力調節用バルブ11が開かれ、圧力が増加するが、希釈ガス流量が設定値を超えてマスフローコントローラー3aに設けられているバルブ(図示せず)が閉じられる。そうすると、駆動差圧が高くなり、圧力調節用バルブ11が閉められる。その結果、駆動差圧は低下するが、希釈ガス流量もあわせて低下することとなる。
【0040】
圧力緩衝用タンク12は、圧力調節用バルブ11と圧力計9との間に配管を介して設けられており、希釈ガス供給装置1から供給された希釈ガスを貯留することができるものであり、例えば、設定流量、配管系、供給圧力、選定した機器の応答速度の組み合わせ等によって、マスフローコントローラー3aに設けられている図示しないバルブと圧力調節用バルブ11とがハンチングを引き起こした際、希釈ガスの流量精度が低下することを抑止することができるものである。この圧力緩衝用タンク12によって、マスフローコントローラー3aに設けられている図示しないバルブと圧力調節用バルブ11との相互影響が緩和されて、希釈ガスの流量精度をさらに向上させることができる。
【0041】
第1連通管13は、エジェクター4によって引き込まれ混合器を通過した希釈ガス、又は希釈ガス及びフッ素ガスが通過する管であり、第2連通管16に分岐して設けられているものである。また、第1連通管13の途中において、背圧弁14と、背圧弁14のさらに下流側にガス放出弁15とが設けられている。そして、第1連通管13において、ガス放出弁15のさらに下流側は、除害装置7へと導かれている。
【0042】
背圧弁14は、弁を通過する流体の圧力を一定に保つための弁であり、背圧弁14によって圧力が調整されたガスは、ガス放出弁15を通過して除害装置7へ導かれる。エジェクター4によって引き込まれ混合器5を通過した希釈ガス及び/又はフッ素ガスは背圧弁14によって圧力が一定に調整される。ここで、背圧弁14の設定圧力値は、好ましくは、マスフローコントローラー3aによって設定した希釈ガスの流量を反応器6へ導入したときのエジェクター4の下流側の圧力安定値をあらかじめ測定しておいた値である。この値を設定すれば、反応器6へ混合ガスを供給する際に、供給開始直後から、流量及び濃度が一定に管理された混合ガスを反応器6へ供給することができる。また、さらに好ましくは、混合ガスの設定流量を反応器6へ導入したときのエジェクター4の下流側の圧力安定値をあらかじめ測定しておいた値である。この値を設定すれば、流量及び濃度の管理精度をさらに向上させることができる。
【0043】
ガス放出弁15は、希釈ガスの流量が安定するまで開かれており、希釈ガスの流量が安定すると閉じられるものである。これは、エジェクター4に十分な真空を発生させるために駆動差圧が必要とされ、希釈ガスが供給された直後は、駆動差圧まで昇圧が徐々に起こるので、希釈ガスの流量が安定するまでに時間を要するからである。なお、フッ素ガスは、フッ素ガス供給装置2において圧力変動が小さいため、供給を開始すると、瞬時に流量が安定する。ガス放出弁15が開かれているときは、希釈ガス及び/又は混合ガスは、除害装置7へと導かれる。一方、ガス放出弁15が閉じられているときは、希釈ガス及び/又は混合ガスが、第2連通管16を通過して反応器6へと導かれる。
【0044】
第2連通管16は、希釈ガスの流量が安定した後に、希釈ガス及びフッ素ガスを反応器6へと導く管である。
【0045】
ガス導入弁17は、希釈ガスの流量が安定して、十分な真空度が得られた後に開かれるもので、ガス放出弁15が閉じられると同時に開かれる。なお、希釈ガスの流量が安定するまでは、閉じられている。
【0046】
ガス放出弁15及びガス導入弁17は、希釈ガスの流量が安定してエジェクター4に十分な真空度が得られると、瞬時に、ガス放出弁15が閉じられてガス導入弁17が開かれ、希釈ガス及びフッ素ガスは、第1連通管13から第2連通管16へと経路を変えて、反応器6へ導かれる。このとき、ガス放出弁15とガス導入弁17との切り替えは瞬時に行われるので、希釈ガスおよびフッ素ガスの流量や真空度の乱れは極めて小さい。なお、フッ素ガス供給装置2においては、圧力変動が小さいため、供給を開始すると、瞬時にフッ素ガスの流量が安定する。従って、ガス放出弁15とガス導入弁17との切り替えと同時にフッ素ガスの供給を開始することが好ましい。この場合、背圧弁14に、マスフローコントローラー3aによって設定した希釈ガスの流量を反応器6へ導入したときのエジェクター4の下流側の圧力安定値をあらかじめ測定しておいたものを、設定しておくことが好ましい。また、最初に希釈ガスのみを供給して、ガス放出弁15とガス導入弁17との切り替えを行う前にフッ素ガスを供給し、流量及び濃度が一定に管理された混合ガスを第1連通管13から放出し、その後、ガス放出弁15を閉じるとともにガス導入弁17を開いてもよい。このようにすると、流量及び濃度の精度がさらによく管理された混合ガスを反応器6へ供給することができる。この場合、背圧弁14に、混合ガスの設定流量を反応器6へ導入したときのエジェクター4の下流側の圧力安定値をあらかじめ測定しておいたものを、設定しておくことが好ましい。
【0047】
次に、表面処理装置100の作動について説明する。希釈ガス供給装置1から供給された希釈ガスは、圧力調節用バルブ11が開かれていると、圧力調節用バルブ11を通過して圧力緩衝用タンク12へと導かれる。そして、一部の希釈ガスが、圧力緩衝用タンク12に貯留され、その他の希釈ガスは、圧力計9を介して、マスフローコントローラー3aへと導かれる。マスフローコントローラー3aでは、質量流量が制御され、流量の調整された希釈ガスが、圧力計10を介して、加熱器8へと導かれる。
【0048】
ここで、圧力調節用バルブ11が開かれているときとは、マスフローコントローラー3aの上流側の圧力計9と下流側の圧力計10との圧力値の差が低い場合、すなわち、マスフローコントローラー3aの駆動差圧が生じていない場合である。一方、圧力調節用バルブ11が閉じられているときは、希釈ガス供給装置1から供給される希釈ガスが、圧力調節用バルブ11に遮られ、圧力緩衝用タンク12へ導かれることがない。この圧力調節用バルブ11が閉められているときとは、マスフローコントローラー3aの上流側の圧力計9と下流側の圧力計10との圧力値の差が高い場合、すなわち、マスフローコントローラー3aの駆動差圧が生じている場合である。この場合、圧力緩衝用タンク12に貯留されている希釈ガスが、マスフローコントローラー3aへ導かれていく。
【0049】
一方、フッ素ガス供給装置2からは、フッ素ガスが、希釈ガスを駆動源として、マスフローコントローラー3bを通過して、エジェクター4によって引き込まれる。なお、フッ素ガスも希釈ガスと同様に、マスフローコントローラー3bで質量流量が制御され、流量の調整された希釈ガスが、エジェクター4によって引き込まれる。そして、加熱器8において加熱された希釈ガス及びフッ素ガスは混合器5へ導かれ混合器5において混合され、希釈ガスとフッ素ガスとの混合ガスが生成される。
【0050】
その後、混合ガスは、第2連通管16へと導かれる。ここで、初めは希釈ガスの流量が安定するまで、ガス導入弁17が閉じられてガス放出弁15が開かれており、希釈ガス及び/又はフッ素ガスは第1連通管13へ導かれる。第1連通管13へと導かれた希釈ガス及び/又はフッ素ガスは、背圧弁14によって圧力が調整されて、その後、ガス放出弁15を通過して除害装置7へと導かれる。
【0051】
そして、希釈ガスの流量が安定してエジェクター4に十分な真空度が得られると、瞬時に、ガス放出弁15が閉じられガス導入弁17が開かれて、希釈ガス及びフッ素ガスは、第1連通管13から流路を変えて、第2連通管16を通過して反応器6へ導かれる。
【0052】
反応器6内には、加熱室23であらかじめ加熱された被処理物21(図2の点線図参照)が、可動部材22によって搬送されて配置されている。そして、混合ガス供給口18から供給された混合ガスは、反応器6において板状部材20に衝突して被処理物21へ接触し表面処理や表面改質が行われる。その後、所定の処理時間が経過すると、反応器6内のガスは、混合ガス排出口19から排出されて除害装置7へ導かれ、除害装置7でフッ素ガス及びフッ化水素ガスが除害され表面処理装置100外へ排出される。
【0053】
本実施形態によると、希釈ガスとフッ素ガスとを混合する前に、加熱器8であらかじめ希釈ガスを加熱し、加熱した希釈ガスと、フッ素ガスとを混合することができる。これにより、フッ素ガスが必要以上に高温となりにくくなり、フッ素ガスによる表面処理装置100を構成している部材等の腐食等の損傷が生じることを抑止できる。また、加熱された混合ガスを反応器6へ供給することができるので、被処理物21の処理ムラが生じることを抑止できる。
【0054】
また、エジェクター4により、希釈ガスを駆動源として、フッ素ガス供給装置2からフッ素ガスを引き込むことができる。これにより、フッ素ガスの供給圧力を低減することができるので、フッ素ガスの高圧貯蔵を抑止でき、より安全にフッ素ガスを貯蔵及び使用することができる。また、希釈ガスよりも供給量の少ないフッ素ガスをより正確な量で供給できる。
【0055】
また、圧力調節用バルブ11によってマスフローコントローラー3aに一定の駆動差圧をかけることができるので、希釈ガス供給装置1及びマスフローコントローラー3aの下流側に設けられている配管や、反応器6内圧等の圧力による影響に関係なく、一定の流量で希釈ガスを供給することができる。さらに、圧力緩衝用タンク12によって、圧力調節用バルブ11及びマスフローコントローラー3aに設けられているバルブ(図示せず)との相互影響を緩和して流量精度をさらに向上させることができる。そして、マスフローコントローラー3aを利用することにより、温度・供給圧力の影響を受けず、正確かつ安定なガス流量制御が可能なものとなる。
【0056】
また、マスフローコントローラー3bにより、フッ素ガスの質量流量を電気信号にて正確に制御できるため、温度・供給圧力の影響を受けず、正確かつ安定なフッ素ガスの流量制御が可能なものとなる。
【0057】
また、エジェクター4に十分な真空を発生させるための駆動差圧が生じて希釈ガスの流量が安定するまで、ガス導入弁17を閉じるとともにガス放出弁15を開いて、第1連通管13を通じて希釈ガス及び/又はフッ素ガスを除害装置7等へ放出することができる。そして、希釈ガスの流量が安定した後に、ガス放出弁15を閉じるとともにガス導入弁17を開いて、第2連通管16を通じて混合ガスを反応器6へ導くことができる。これにより、混合ガスを反応器6へ供給する際、供給開始直後から流量、濃度が一定に調整された混合ガスを供給することができる。
【0058】
また、被処理物21を、混合ガスに接触させる前に予め加熱室23で加熱させることができるので、処理むらや不適処理を抑止できる。また、被処理物21を予め加熱しておくことによって、反応器6内における被処理物21の加熱時間を短縮でき、コストを抑えることができるとともに、処理効率をさらに向上させることができる。
【0059】
また、フッ素ガスに耐食性を有する金属材を用いた可動部材22を用いているので、被処理物21を反応器6への搬送や搬出が容易にでき、なおかつ、混合ガスに含まれているフッ素ガスにより、可動部材22から不純物が発生する等の影響が生じることを抑止できる。
【0060】
また、被処理物21と、反応器6に供給された混合ガスとの間に板状部材20が備えられているので、反応器6内の混合ガス導入部の近辺において、混合ガスが被処理物21へ直接接触しにくくなり、被処理物21の処理むらが生じることを抑止でき、被処理物21への処理を均一に行うことができる。
【0061】
次に、本実施形態に係る反応器の変形例について説明する。図3は、図2の反応器の変形例を示す図である。
【0062】
図3に示したように反応器36内に、板状部材43がさらに設けられており、板状部材43によって反応室36a及び加熱室36bの2室が形成されている。なお、混合ガス供給口38と、混合ガス排出口39と、板状部材40と、被処理物41と、可動部材42とは、上記実施形態に係る混合ガス供給口18と、混合ガス排出口19と、板状部材20と、被処理物21と、可動部材22と同様の構成からなり、上記実施形態において符号18〜22がふられている各部と、本変形例において符号38〜42がふられている各部とは、順に同様のものであるので、説明を省略することがある。
【0063】
上記構成の反応器36を表面処理装置100における反応器6及び加熱室23の代りに用いれば、上記表面処理装置100と同様の効果を得ることができるとともに、反応室36aと加熱室36bとが隣接して設けられているので、被処理物を加熱室36bで加熱後、より早く反応室36aへ移動させることができる。ここで、板状部材43を取り外すことのできるものであれば、さらに容易に反応室36aへ移動させることができる。なお、板状部材43は、取り外すことのできるものでも、取り外すことのできないものでもよい。また、例えば、反応室36aと加熱室36bとの間を連通している開閉可能な開口部が設けられているものでもよい。このような構成であれば、該開口部を利用して被処理物41を加熱室36bから反応室36aへと移動させることができる。
【0064】
以上、本発明の実施形態の表面処理装置について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、本実施形態において、エジェクターと混合器との間の連通管の途中又は混合器の下流側の配管に保温材が設けられているものでもよい。この保温材により、外気温の影響を受けにくくなり、混合ガスを高温のまま反応器へ供給することができる。これにより、処理ムラなどが生じることを抑止できるとともに、処理効率をさらに向上させることができる。
【0065】
また、本実施形態において、反応器を2つ以上備えているものでもよい。この場合の表面処理装置において、少なくとも1つの反応器を反応器として用いるものとし、他の反応器を加熱室として用いてもよい。
【0066】
また、本実施形態において、表面処理装置を構成する機器を、夫々遮断可能な弁がさらに設けられているものでもよい。この弁は、一部又は全部に自動弁や手動弁等を用いてもよい。
【0067】
また、本実施形態において、混合ガスと被処理物との間に設けられている板上部材は取り外し可能なものでもよく、反応器又は可動部材に固設されているものでもよい。
【0068】
また、本実施形態において、反応器と除害装置との間にさらに排気装置等が設けられていてもよい。排気装置によって、反応器から混合ガスを排気させやすくなる。
【0069】
また、本実施形態において、反応器から排出されるガスがフッ素供給装置及び希釈ガス供給装置へ導かれる配管がさらに設けられているものでもよい。これにより、反応器から排出されたガスに含まれるフッ素ガス及び希釈ガスを再び利用することができるとともに、除害装置において処理するフッ素ガスの量を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の実施形態に係る表面処理装置の主要部の概略図である。
【図2】本発明の実施形態に係る表面処理装置の反応器の断面模式図である。
【図3】本発明の実施形態に係る表面処理装置の他の変形例に係る反応器の概略図である。
【符号の説明】
【0071】
1 希釈ガス供給装置
2 フッ素ガス供給装置
3a、3b マスフローコントローラー
4 エジェクター
5 混合器
6、36 反応器
7 除害装置
8 加熱器
9、10 圧力計
11 圧力調節用バルブ
12 圧力緩衝用タンク
13 第1連通管
14 背圧弁
15 ガス放出弁
16 第2連通管
17 ガス導入弁
18、38 混合ガス供給口
19、39 混合ガス排出口
20、40、43 板状部材
21、41 被処理物
22、42 可動部材
23、36b 加熱室
36a 反応室
100 表面処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
希釈ガスを供給する希釈ガス供給装置と、
フッ素ガスを供給するフッ素ガス供給装置と、
前記希釈ガスと、前記フッ素ガスとを混合して混合ガスを生成させる混合器と、
前記混合ガスに被処理物を接触させる反応器とを備えた表面処理装置であって、
前記希釈ガスを加熱する加熱手段をさらに備えていることを特徴とする表面処理装置。
【請求項2】
前記加熱手段が、前記希釈ガスと前記フッ素ガスとを混合する前に、前記希釈ガスを加熱するものであることを特徴とする表面処理装置。
【請求項3】
前記希釈ガスを駆動源として、前記フッ素ガスを吸い込むエジェクターをさらに備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の表面処理装置。
【請求項4】
前記希釈ガス供給装置と前記混合器とに接続されている第1流量調整手段と、
前記第1流量調整手段の上流側及び下流側に設けられている圧力計と、
前記希釈ガス供給装置と前記第1流量調整手段の上流側に設けられている圧力計とに配管を介して接続されている圧力調節用バルブをさらに備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の表面処理装置。
【請求項5】
前記圧力調節用バルブと前記第1流量調整手段の上流側に設けられている前記圧力計との間に設けられている圧力緩衝用タンクをさらに備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の表面処理装置。
【請求項6】
前記フッ素ガス供給装置と前記混合器とに接続されている第2流量調整手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の表面処理装置。
【請求項7】
前記混合器に連通している第1連通管と、
前記第1連通管の途中に設けられている背圧弁と、
前記第1連通間の途中に、前記背圧弁の下流側に設けられているガス放出弁と、
前記混合器と前記反応器との間を連結している第2連通管と、
前記第2連通管の途中に設けられているガス導入弁とをさらに備えていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の表面処理装置。
【請求項8】
前記被処理物を加熱する加熱室をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の表面処理装置。
【請求項9】
前記被処理物を前記反応器へ搬送できる、前記フッ素ガスに対する耐食性を有する可動部材をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の表面処理装置。
【請求項10】
前記反応器内において、前記被処理物と前記反応器に供給された前記混合ガスとの間に設けられている板状部材をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の表面処理装置。
【請求項11】
前記可動部材の上に、前記被処理物と前記反応器に流入した前記混合ガスとの間に設けられている板状部材をさらに備えていることを特徴とする請求項9に記載の表面処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−213946(P2009−213946A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−56951(P2008−56951)
【出願日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(000222842)東洋炭素株式会社 (198)
【出願人】(502386835)高松帝酸株式会社 (4)
【Fターム(参考)】