説明

表面多孔構造体およびその製造方法

【課題】厚さ方向の断面が凹曲面である窪みを複数有する有機重合体を含む表面多孔構造体の、該窪みの内面が金属酸化物で被覆されている表面多孔構造体およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】金属酸化物をゾル−ゲル反応でつくる過程において、金属酸化物溶液を有機重合体溶液と混合し、さらに必要に応じて水を添加した後、製膜して乾燥することで、表面に窪みを有し、該窪みの内側が金属酸化物で被覆されている表面多孔構造体が提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、厚さ方向の断面が凹曲面である窪みを複数有する有機重合体を含む表面多孔構造体の、該窪みの内面が金属酸化物で被覆されている表面多孔構造体およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表面に微細孔が規則的に配列した構造体は、光学ディスプレイ用材料、二次元フォトニック結晶、磁気記録材料、低誘電率素材、細胞培養用基材、触媒担体やバイオチップなど、多方面での応用が期待されている有望な材料である。
【0003】
規則的に配列した微細な多孔質体を製造する方法の一つとして、ガラスや樹脂表面に鋳型をパターン転写するナノインプリント法がある。この方法ではリソグラフィー方法で原盤となる鋳型を作製する必要があるため多大のコストを必要とし、大面積にナノ構造を加工する方法としては適さない。自己組織化方法は、ナノインプリント法のようなトップダウン的な手法に対して、莫大なコストのかかる装置を必要としないでナノ構造に加工できる方法として注目されている。近年、表面に微細孔が規則的に配列した構造体に関しても、自己組織化法を用いて作製する例が数多く報告されている。
【0004】
自己組織化法を用いてハニカム状多孔性ポリマーフィルムの作製方法として、ポリスチレン−ポリパラフェニレンブロック共重合体を高湿度雰囲気下において作製する方法が報告されている(非特許文献1)。また、線状ポリマー溶液を冷却し水蒸気を結露させることによって液滴の一部をポリマー溶液の表面から内部に入り込ませた後、溶媒や結露した液滴を除去することで製造したハニカム状多孔質体が開示されている(特許文献1)。
【0005】
また、水と混和しない溶剤に溶解したポリマー溶液をキャストし、溶媒の蒸発に伴う潜熱によって冷却された液膜上に高湿度空気からの微小水滴が凝結し、液膜中に生じる対流や液膜表面の毛細管力によって微小水滴が配列し、ブロック共重合体や種々のポリマーにハニカム構造を形成する手法が報告されている(非特許文献2〜4)。
【0006】
これらの方法により、リソグラフィー手法を用いなくても、ポリマー表面に多数の穴が規則的にあいた構造体の製造が可能になった。表面に微細孔が規則的に配列した構造体は、分離膜、マイクロリアクター、細胞培養基材、微小電極デバイス、フォトニック結晶など、幅広い応用が期待されている(非特許文献5)。これらの微細孔構造体の作製方法は湿度の高いガスのフロー下で作る点で共通しており、基本的に空気中の微小水滴を鋳型として微細孔が作られる。そのため、製造には湿度を調整して結露させる工程とその後溶媒を乾燥させる2段階の工程を必要とする。さらに、これらの微細空孔構造体はその空孔部に異種材料(微粒子)を配したパターンを作製するための基材としての利用等も考案されているが(非特許文献6)、この場合には当然ながら異種材料を空孔に充填する工程を必要とするだけではなく、充填の前に膜をUV−オゾンで親水化処理するなど、多くの工程を必要とする。
【特許文献1】特開平8−311231
【非特許文献1】G.Widawski,et al.,Nature,Vol.369,387 (1994)
【非特許文献2】N.Maruyama,et al.,Thin solid Films,Vol.327-329,854 (1998)
【非特許文献3】N.Maruyama,et al.,Supramolecular Science,Vol.5,331 (1998)
【非特許文献4】L.V.Gover,et al.,Macromol.Chem.Phys.,Vol.201,2721 (2000)
【非特許文献5】西川雄大、高分子、51巻、245 (2002)
【非特許文献6】H.Yabu,M.Shimomura,Polymer Preprints,Japan,Vol.53,5130 (2004)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、従来技術のような単に表面に多数の穴が空いた微細多孔体とは異なり、厚さ方向の断面が凹曲面である窪みを複数有する有機重合体を含む表面多孔構造体の、該窪みの内面が金属酸化物で被覆されている表面多孔構造体およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本出願人は、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、金属酸化物をゾル−ゲル反応でつくる過程において、金属酸化物溶液を有機重合体溶液と混合し、さらに必要に応じて水を添加した後、製膜し、乾燥することで、厚さ方向の断面が凹曲面である窪みを複数有する有機重合体を含む表面多孔構造体の、該窪みの内面が金属酸化物で被覆されている表面多孔構造体が得られることを見出した。
【0009】
即ち本発明は、以下に関するものである。
(1)厚さ方向の断面が凹曲面である窪みを複数有する有機重合体を含む表面多孔構造体の、該窪みの内面が金属酸化物で被覆されていることを特徴とする表面多孔構造体。
(2)該窪みが構造体の表面に規則的に並んでいる(1)に記載の表面多孔構造体が好ましい。
(3)金属酸化物が、珪素、チタン、ジルコニウム、アルミニウムから選ばれる1種以上の金属を含有するものである、(1)または(2)に記載の表面多孔構造体が好ましい。
(4)有機重合体が、水と混和可能な溶媒に可溶である、(1)乃至(3)のいずれかに記載の表面多孔構造体が好ましい。
(5)金属酸化物がゾル−ゲル反応により製造されるものである、(1)乃至(4)のいずれかに記載の表面多孔構造体が好ましい。
(6)金属酸化物が金属アルコキシドのゾル−ゲル反応により製造されるものである、(1)乃至(5)のいずれかに記載の表面多孔構造体が好ましい。
(7)窪みの大きさが10nm以上50μm以下である(1)乃至(6)のいずれかに記載の表面多孔構造体が好ましい。
【0010】
また、本願は以下に関するものである。
(8)少なくとも(A)〜(D)の工程を経ることを特徴とする、(1)乃至(7)のいずれかに記載の表面多孔構造体の製造方法。
(A)金属酸化物の原料溶液と、触媒を含んでいてもよい水を混合して調製して、ゾル−ゲル反応させる工程、
(B)有機重合体溶液を調製する工程、
(C)(A)工程から得られた溶液と(B)工程から得られた溶液を混合する工程、
(D)(C)工程で得られた溶液から溶媒を蒸発させて表面多孔シートを形成する工程。
(9)少なくとも(E)〜(G)の工程を経ることを特徴とする、(1)乃至(7)のいずれかに記載の表面多孔構造体の製造方法。
(E)有機重合体溶液を調製する工程、
(F)(E)工程で得られた溶液中に、金属酸化物の原料と、触媒を含んでいてもよい水を混合してゾル−ゲル反応をおこなう工程、
(G)(F)工程で得られた溶液から溶媒を蒸発させて表面多孔シートを形成する工程。
(10)(C)工程において、更に、混合溶液中の金属酸化物1重量部に対して水が1重量部以上10重量部以下含まれるように水を添加混合することを特徴とする、(8)に記載の表面多孔構造体の製造方法が好ましい。
(11)(F)工程において、ゾル−ゲル反応を行う前および/または後に、(E)工程で得られた溶液中の金属酸化物1重量部に対して水が1重量部以上10重量部以下含まれるように更に水を添加混合することを特徴とする、(9)に記載の表面多孔構造体の製造方法が好ましい。
(12)(D)工程において、相対湿度50%以下、乾燥温度100℃以下の条件で溶媒を蒸発させることを特徴とする、(10)に記載の表面多孔構造体の製造方法が好ましい。
(13)(G)工程において、相対湿度50%以下、乾燥温度100℃以下の条件で溶媒を蒸発させることを特徴とする、(11)に記載の表面多孔構造体の製造方法が好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、表面に、厚さ方向の断面が凹曲面である窪みを複数有し、窪みの内面が金属酸化物で被覆されている表面多孔構造体を提供することができる。さらに窪みの大きさがナノメートルからマイクロメートルに制御され、表面の窪みが規則的に並んだ表面多孔構造体を提供することができる。また、窪み内部と表面の窪み以外の部分とが異なる表面エネルギーを有する表面多孔構造体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明は、厚さ方向の断面が凹曲面である窪みを複数有する有機重合体を含む表面多孔構造体の、該窪みの内面が金属酸化物で被覆されていることを特徴とする表面多孔構造体である。水あるいは水と混和可能な溶媒に有機重合体を溶解した有機重合体溶液中でゾル−ゲル反応を行うことにより、内部を金属酸化物で被覆された窪みを表面に形成することを特徴とする表面多孔構造体の製造方法である。本発明の製造方法によれば、従来技術のように湿度の高いガスフローを使うことなく、簡便に表面多孔シートを製造する方法を提供できる。
【0013】
[有機重合体]
本発明に用いる有機重合体は、水あるいは水と混和可能な溶媒に溶解性を有するものであれば特に制限を受けるものではない。有機重合体の中でも樹脂が好ましく、例示すると、ポリオレフィン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアクリレート系樹脂、ポリメタクリレート系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂(ポリエーテルエーテルケトン類を含む)、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスルホン系樹脂(ポリエーテルスルホン、ポリスルホンなど)、ポリアラミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエチレングリコール系樹脂、セルロース誘導体(セルロースエステル類、セルロースカーバメート類、セルロースエーテル類)、シリコーン樹脂、ポリアセタール樹脂などから選ばれる樹脂である。これらは2種以上の樹脂を混合して使用しても良い。これらの樹脂の中でも、ポリアクリレート系樹脂、ポリメタクリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂が、表面多孔構造形成能に優れる点で好ましく用いられる。
【0014】
[溶媒]
本発明で溶媒として使用される溶剤は有機重合体を溶解できる溶剤であり、かつ水と混和可能な溶剤である。水、水と混和できる有機溶剤、水と混和できる有機溶剤と水の混合物、のいずれかから選ばれる。水と混和できる溶剤とは、溶剤に対して水を0.1重量%以上混合しても分離しないものをいう。水と混和できる溶剤と水の混合物の場合、水を溶剤に対して0.1重量%以上添加しても分離を起こさなければ好適に使用することができる。水を0.1重量%以上含むことにより、ゾル−ゲル反応を円滑に進行させることができるのみならず、表面に金属酸化物を析出させることができるようになる。具体的に用いることのできる有機溶剤は前述の条件を満たすものであれば特に制限されるものではなく、使用する有機重合体の種類により異なるが、例示すると、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブなどが挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いても良いし、2種以上を混合したものや、水と混合して用いても良い。
【0015】
[金属酸化物]
本発明に用いられる金属酸化物は、ゾル−ゲル法を用いて作製できるものであれば特に制限はされず、例えば、「ゾル−ゲル法の科学」(作花済夫著、アグネ承風社、P13、P20)に紹介されている金属、例えばリチウム、ナトリウム、銅、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、珪素、ゲルマニウム、鉛、リン、アンチモン、バナジウム、タンタル、タングステン、ランタン、ネオジム、チタン、ジルコニウムから選ばれる1種以上の金属を含有してなる金属酸化物を例として挙げることができ、好ましくは、珪素、ジルコニウム、チタン、アルミニウムから選ばれる1種以上の金属を含有してなる金属酸化物が原料の多様性の点から好ましい。用いる金属を変えることで、表面多孔シートの化学的性質(溶解度、耐薬品性、吸着能、生体親和性、接触角など)、物理的性質(密度、強度、硬度、耐熱性など)、電気的特性、光学的特性(透明性、屈折率、反射率など)等を制御することができるため、用途に応じた金属種を選ぶことで最適な表面多孔シートを得ることができる。
【0016】
[金属酸化物量]
本発明において、表面多孔シート中の金属酸化物の含有量は、表面多孔構造体100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上70質量部以下、より好ましくは0.1質量部以上50質量部以下である。70質量部以上にすると、シートの強度を損なうことがある。また、0.1質量部以下であると窪みの数が少なくなり、表面多孔構造体として用いることができなくなる。ここでいう金属酸化物の含有量とは、表面多孔構造体の有機成分を空気中800℃で焼成後に残る灰分量を指す。
【0017】
[金属酸化物原料]
ゾル−ゲル法を用いて作製できる金属酸化物の原料としては、「ゾル−ゲル法の科学」(作花済夫著、アグネ承風社、P17)に紹介されている金属アルコキシド、金属アセチルアセトネート、金属カルボキシレート、金属硝酸塩、金属オキシ塩化物、金属塩化物等が挙げられる。これらは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いても良い。また、これらを加水分解、重縮合して得られる部分加水分解重縮合化合物を用いても良い。
【0018】
金属アルコキシドの例としては、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラエトキシシラン(TEOS)、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、チタニウムイソプロポキシド、アルミニウムブトキシド、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、バリウムイソプロポキシド、カルシウムエトキシドが挙げられ、好ましくは、TMOS、TEOS、チタニウムイソプロポキシド、アルミニウムブトキシド、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド等のアルコキシシラン等である。
【0019】
金属アセチルアセトネートの例としては、ジルコニウムアセチルアセトネート、チタニウムアセチルアセトネート、アルミニウムアセチルアセトネート、インジウムアセチルアセトネートや亜鉛アセチルアセトネートなどが挙げられ、好ましくは、ジルコニウムアセチルアセトネート、チタニウムアセチルアセトネート、アルミニウムアセチルアセトネートである。
【0020】
金属カルボキシレートの例としては、酢酸鉛、ステアリン酸イットリウム、シュウ酸バリウムが挙げられる。金属硝酸塩の例としては、硝酸イットリウム、硝酸ニッケルなどが挙げられる。金属オキシ塩化物の例としては、オキシ塩化ジルコニウム、オキシ塩化アルミニウムなどが挙げられる。金属塩化物の例としては、四塩化チタン、四塩化珪素などが挙げられる。反応の制御し易さの点から、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランなどのアルコキシシラン類が好ましいが、屈折率を変えたい場合には、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、チタニウムイソプロポキシド、アルミニウムブトキシド、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムアセチルアセトネート、チタニウムアセチルアセトネート、アルミニウムアセチルアセトネートなどと組み合わせることが好ましい。
【0021】
[ゾル−ゲル触媒]
ゾル−ゲル反応をさせる際には、加水分解・重縮合反応を促進させる目的で下記に示すような加水分解・重合反応の触媒となりうるものを加えても良い。ゾル−ゲル反応の加水分解・重合反応の触媒として使用されるものは、「最新ゾル−ゲル法による機能性薄膜作製技術」(平島碩著、株式会社総合技術センター、P29)や「ゾル−ゲル法の科学」(作花済夫著、アグネ承風社、P154)等に記載されている一般的なゾル−ゲル反応で用いられる触媒である。例えば、酸触媒では塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、酢酸、蓚酸、酒石酸、トルエンスルホン酸等の無機および有機酸類、アルカリ触媒では、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドなどの4級アンモニウム水酸化物、アンモニア、トリエチルアミン、トリブチルアミン、モルホリン、ピリジン、ピペリジン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミン類、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノシラン類などが挙げられる。その他にも、有機スズ化合物、チタニウムテトライソプロポキシド、ジイソプロポキシチタニウムビスアセチルアセトナート、ジルコニウムテトラブトキシド、ジルコニウムテトラキスアセチルアセトナート、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリスエチルアセトナート、トリメトキシボランなどの金属アルコキシド等を使用することができる。
【0022】
好ましい触媒の使用量は、金属酸化物の原料となる金属アルコキシド、金属アセチルアセトネート、金属カルボキシレート、金属硝酸塩、金属オキシ塩化物、金属塩化物など1モルに対して2モル当量以下、さらに好ましくは1モル当量以下であるが、金属酸化物の原料となる金属アルコキシド、金属アセチルアセトネート、金属カルボキシレート、金属硝酸塩、金属オキシ塩化物、金属塩化物などが触媒となりうる官能基、例えばアミノ基やカルボキシル基を持つ場合にはこの限りではない。
【0023】
[ゾル−ゲル反応と水の添加量]
ゾル−ゲル反応をさせる際、好ましい水の添加量は、金属酸化物の原料となる金属アルコキシド、金属アセチルアセトネート、金属カルボキシレート、金属硝酸塩、金属オキシ塩化物、金属塩化物など1モルに対して、40モル当量以下であり、より好ましくは10モル当量以下であり、さらに好ましくは5モル当量以下である。なお、有機重合体溶液中に始めから含まれている水や、大気中の水によっても、ゾル−ゲル反応は進行するため、水を添加しなくても良い場合もある。また、溶媒として水を用いる場合にはこの限りではない。また、後述するように、塗布溶液中の水を金属酸化物1重量部に対して1重量部以上10重量部以下含まれるようにする場合には、あらかじめゾル−ゲル反応の際に相当量の水を添加しておいても良い。
【0024】
[ゾル−ゲル反応の反応条件]
本発明において、好ましいゾル−ゲル反応の反応濃度、温度、時間は、使用する有機重合体の種類や分子量、それぞれの条件が相互に関わるため一概には言えない。すなわち、有機重合体の分子量が高い場合や、反応濃度の高い場合に、反応温度を高く設定したり、反応時間を長くし過ぎたりすると、加水分解、重縮合反応に伴って反応生成物の分子量が上がり、高粘度化やゲル化する可能性がある。従って、通常の好ましい反応濃度は、概ね溶液中の固形分の重量%濃度で1%以上50%以下であり、5%以上30%以下がより好ましい。また、反応温度は反応時間にもよるが通常0℃以上150℃以下であり、好ましくは1℃以上100℃以下、より好ましくは20℃以上60℃以下であり、反応時間は1時間以上50時間程度が好ましい。
【0025】
[表面多孔構造体作製方法(工程1:有機重合体と金属酸化物の溶液調整)]
本発明においては、金属酸化物をゾル−ゲル反応により調製するが、金属酸化物の原料溶液をゾル−ゲル反応させた後に有機重合体溶液と混合してさらにゾル−ゲル反応を行う方法((A)〜(C)工程をおこなう方法)と、有機重合体溶液中で金属酸化物の原料をゾル−ゲル反応させる方法((E)〜(F)工程をおこなう方法)の2つの方法に大別される。
【0026】
本発明においては、有機重合体存在下でゾル−ゲル反応を進行させて金属酸化物を成長させる点に特徴があり、それによって本発明の表面多孔構造体が得られると考えられる。ゾル−ゲル反応とは、一般的に金属酸化物の原料を酸またはアルカリ触媒により加水分解される反応と、生成した金属水酸化物の水酸基が脱水して縮合する反応に大別される。ここでいうゾル−ゲル反応を進行させるとは、両反応を進行させることを意味するが、それぞれの反応は同時並行的に進行するため、両反応を反応操作に対応づけて区別することはできないが、反応初期の段階では前者の加水分解反応が主として起こり、反応後期の段階では後者の反応が主として起こる。また、触媒の種類により両反応の進行過程が異なることが知られている。ゾル−ゲル反応は金属酸化物の原料溶液に水、触媒を添加して開始され、必要に応じて加熱、マイクロ波照射、赤外線照射等を行って反応を促進することができる。
【0027】
本発明方法における(A)工程の金属酸化物の原料溶液と、触媒を含んでいてもよい水を混合して調製して、ゾル−ゲル反応させる方法としては具体的には以下のような方法が例示できる。(1)溶媒に、金属酸化物の原料を加え攪拌混合させた後に、必要に応じて触媒を含んでいてもよい水(水、または触媒を含んでいる水)を添加して所定温度で反応させる方法、(2)溶媒に必要に応じて触媒を含んでいてもよい水(水、または触媒を含んでいる水)を加え攪拌混合した後に、金属酸化物の原料を加え攪拌混合させた後に、所定温度で反応させる方法、(3)溶媒に必要に応じて触媒を含んでいてもよい水(水、または触媒を含んでいる水)を加え攪拌混合した後に、金属酸化物の原料を加え攪拌混合させた後に、所定温度で反応させる方法などが挙げられ、これらのどの方法で行ってもよい。得られた金属酸化物溶液は、攪拌下に有機重合体溶液と混合され((C)工程)、次いで必要に応じて加熱、マイクロ波照射、赤外線照射などの処理を行って反応を進行させて、膜を形成する工程に供せられる金属酸化物と有機重合体の複合溶液を調製することができる。
【0028】
本発明方法における(E)〜(F)工程の有機重合体溶液中でゾル−ゲル反応を行う方法としては以下のような方法が挙げられる。(1)有機重合体溶液に、金属酸化物の原料を加え攪拌混合させた後に、必要に応じて触媒を含んでいてもよい水(水、または触媒を含んでいる水)を添加して所定温度で反応させる方法、(2)有機重合体溶液に必要に応じて触媒を含んでいてもよい水(水、または触媒を含んでいる水)を加え攪拌混合した後に、金属酸化物の原料を加え攪拌混合させた後に、所定温度で反応させる方法、(3)有機重合体溶液に必要に応じて触媒を含んでいてもよい水(水、または触媒を含んでいる水)を加え攪拌混合した後に、金属酸化物の原料を加え攪拌混合させ所定温度で反応させる方法などが挙げられ、これらのどの方法で行ってもよい。
【0029】
これらの工程後、上記の調製方法によって得られた溶液に、さらに金属酸化物の原料、溶媒、水、触媒から選ばれる1種以上の物質を混合してゾル−ゲル反応を進行させることも好ましい態様である。この場合には、金属種や官能基が異なる、金属酸化物の原料を用いることができるため、反応速度の制御や、金属酸化物の化学的性質、物理的・熱的性質、電気・光学的性質を変化させることができる。また、例えばこのときにアルカリ触媒を用いることで、反応後期で進行する金属酸化物の縮合反応を促進することも可能である。反応の進行は溶液粘度の上昇や溶液の白濁により確認することができる。金属酸化物と有機重合体の複合溶液は、反応進行の程度により異なるが主に透明であり、次の工程において白濁する場合が多い。
【0030】
[表面多孔構造体作製方法(工程2:製膜工程)]
本発明においては、表面多孔構造体作製(工程1:有機重合体と金属酸化物の溶液調整)で作製した金属酸化物と有機重合体の複合溶液から溶媒を蒸発させることにより、有機重合体と金属酸化物を含む表面多孔構造体を作製する((D)及び(G)工程)。この過程で有機重合体と金属酸化物の相分離が起こり、表面多孔構造が形成されるため、溶液を膜状にする製造条件や溶媒を蒸発させる乾燥条件が得られる表面多孔構造体の表面構造に大きく影響する。
【0031】
膜状にする製造条件について具体的に例を挙げると、[表面多孔構造体作製方法(工程1:有機重合体と金属酸化物の溶液調整)]で調製された金属酸化物と有機重合体の複合溶液を、ガラス、金属、プラスチックなどの容器に展開する方法、ガラス、石英、金属、セラミックス、プラスチック、ゴム等の基板、ロール、ベルト等の上に塗布して作製する方法がある。金属酸化物と有機重合体の複合溶液から得られた構造体が自立膜でなくてもよく、基材上に膜状の表面多孔構造体を形成したものでもよい。基材の種類や形状は特に限定されない。例えば、基材となるフィルムの片面あるいは両面に塗布して、コーティングフィルムとすることもできるし、さらに別種の塗布液を塗工した複層フィルムとすることもできる。複層フィルムの場合、塗工順序は任意の順に重ね塗りできる。塗布方法は特に制限はなく、流し塗り法、浸漬法、スプレー法等があり、バーコーター、ナイフコーター、ブレードコーター、ダイコーター、コンマコーター、ロールコーター、グラビアコーター、カーテンコーター、スプレーコーター、スピンコーター等の公知の塗工機を使用できる。展開または塗布した溶液から溶媒を蒸発させるための乾燥方法としては、通常の加熱乾燥炉が利用できる以外にも、減圧、送気、赤外線照射、極超短波照射等の処理を行うことができる。乾燥の雰囲気としては、空気、イナートガス(窒素、アルゴン)等が利用できる。乾燥温度は使用した有機重合体や溶媒の沸点により異なり、適宜選択すればよいが、概ね5℃から200℃の範囲が好ましい。この温度範囲内で乾燥温度を変えた多段階での乾燥処理を行ってもよく、100℃以下の温度で予備乾燥を行った後に、連続的または断続的に昇温して乾燥する方法が好ましい。乾燥時間は溶媒の種類や塗布濃度や量により異なるため適宜選択すればよく一概には言えないが、100℃以下では概ね10分以上必要とし、減圧下あるいは乾燥気流下で乾燥する場合にはさらに短縮できる。
【0032】
本発明の表面多孔構造体を形成する過程は、概ね次のような過程を経て進行するものと推察される。まず、塗布、乾燥の過程で主に有機重合体と溶媒を含む相と、主に金属酸化物又はその前駆体と水を含む相に分離を起こす。分離した際の主に金属酸化物又はその前駆体と水を含む相の大きさで、表面多孔構造体表面の窪みの大きさが決定され、その大きさは塗布溶液に含まれる水分量で決まる。水分量が少ないと窪みの大きさは小さく、浅くなる。水分量が多いと窪みの大きさは大きくなり、深くなる。本発明で溶液中に含まれる水分量は有機重合体が不溶化して析出しない範囲であれば特に制限はないが、概ね溶液中の金属酸化物1重量部に対して1重量部以上10重量部以下の範囲であると好ましい。溶液から溶媒を蒸発させる乾燥工程において、雰囲気中の水分が溶液中に溶解する場合があるが、その場合には添加する水分量を調整するか、乾燥雰囲気中の相対湿度を50%RH以下にして乾燥を行うなどの処置をとればよい。
【0033】
水は、(D)工程または(G)工程に入る前の段階、すなわち(C)工程または(F)工程を行う前または後に添加する。(C)工程または(F)工程を行う前と後の両方で添加してもよい。このとき、溶液中の水の量が、(A)〜(C)または(E)〜(G)のゾルゲル反応の工程で添加される水の量を含めて、溶液中の金属酸化物1重量部に対して1重量部以上10重量部以下の範囲になるように添加する。
【0034】
[表面多孔構造体表面の窪み]
本発明における表面多孔構造体の表面には、表面多孔構造体の厚さ方向の断面が凹曲面である窪みが複数あり、窪みの内面が金属酸化物で被覆されている。窪みは互いに接することなく並んでおり、規則的に並んでいるものが好ましい。
【0035】
窪みの形状、大きさ、窪みと窪みの間隔は、透過電子顕微鏡(TEM)、走査型電子顕微鏡(SEM)、原子間力顕微鏡(AFM)観察により確認できる。
窪みの大きさは上述の通り、溶液中の水分量や乾燥条件などにより変化し、概ね大きさが10nm以上50μm以下であり、好ましくは10nm以上30μmであり、さらに好ましくは10nm以上25μm以下の範囲にある。本発明でいう窪みの大きさとは、表面多孔構造体の表面における窪みの幅の最大値をいう。例えば図1の点Aと点Bの距離が窪みの大きさである。窪みの形状、大きさ、窪みと窪みの間隔は、光学顕微鏡、透過電子顕微鏡(TEM)、走査型電子顕微鏡(SEM)、原子間力顕微鏡(AFM)観察によって確認できる。窪みの形状の確認は、サンプル断面のTEM観察、SEM観察が好ましい。窪みの大きさ、窪みと窪みの間隔は、デジタル顕微鏡等の光学顕微鏡が簡便な観察に好ましく使用される。窪みの大きさ、窪みと窪みの間隔が1μm未満の場合は、AFM、TEM,SEMでの観察が好ましい。窪みの大きさは、100個の窪みから無作為に選んだ窪み30個の大きさの平均値とする。
【0036】
10nm未満は、金属酸化物と有機重合体との相分離が困難であり、また50μmを超えると不均一なシートとなる。窪みの大きさが10nm以上50μm以下の範囲であれば窪みの大きさはいかなる分布を持つものであってもよい。しかしながら、表面の窪みがハニカム状に並んでいる場合には、窪みの大きさのばらつきが少ない必要があり、概ね窪みの大きさのばらつきは20%の範囲内であるとよく、好ましくは10%以内であるとよい。
【0037】
窪みの深さは、窪みの大きさの概ね1%以上300%以下の範囲にあると好ましい。窪みの深さは、窪みの大きさを測定した窪み30個について測定し、その平均値とする。
【0038】
本発明の表面多孔構造体中に、構造体形成工程中に発生した金属酸化物粒子が含まれていてもよい。その大きさ及び分散状態は、透過電子顕微鏡(TEM)、走査型電子顕微鏡(SEM)、原子間力顕微鏡(AFM)観察やX線散乱により確認できる。金属酸化物微粒子の形状は、概ね球体状、または楕円体状となる。楕円体状の粒子は表面多孔構造体の厚さ方向の断面で見た際に、粒子の長軸方向が構造体表面と水平に並んだ構造になっている。
【0039】
[添加剤]
本発明の表面多孔構造体は、その目的に応じて他のいかなる成分、例えば、紫外線吸収剤、架橋剤、増粘剤、充填剤、増感剤、可塑剤、光重合開始剤、モノマー、オリゴマー、安定剤、湿潤剤、流動剤、顔料、染料、接着促進剤、反応触媒、脱水剤などを含有しても構わない。
【0040】
[表面多孔構造体の用途]
本発明による表面多孔構造体は、表面に微細孔が規則的に配列した従来技術の構造体と同様に、分離膜、マイクロリアクター、細胞培養基材、微小電極デバイス、フォトニック結晶などに応用可能である。従来の微細孔構造体に比べて、本発明は窪み内部が金属酸化物で被覆されている特徴を持つことから、本発明の用途は上記の例示的に列挙した用途に限定されるものではなく、化学的性質(溶解度、耐薬品性、吸着能、生体親和性、接触角など)、物理・熱的性質(密度、強度、硬度、耐熱性など)、電気的特性、光学的特性(透明性、屈折率、反射率など)に応じた用途に幅広く利用可能である。
【0041】
[細胞培養基材用途]
本発明の表面多孔構造体は、種々の細胞培養基材として用いるのに適している。細胞を培養するためには、細胞の足場となる培養基材が必要であり、その基材表面の構造と化学的性質が、細胞の成長に大きく影響を及ぼすことが知られている。本発明の表面多孔体は、表面の微細な窪みによって、細胞が平面状に広がることなく、三次元的に培養することが可能である。さらに本発明の表面多孔体は、窪みの内面が親水性の金属酸化物で被覆されているため、窪みの内面に選択的に細胞を床着させることができるため、窪みの内壁に沿って三次元的に高密度な細胞を培養することが可能である。
【実施例】
【0042】
以下、本発明を実地例により更に詳細に説明する。本発明はこれにより何等制限されるものではない。なお、実地例中の記号は以下のものを意味する。また、実施例中の各評価は下記のように行った。
THF:テトラヒドロフラン
TMOS:テトラメトキシシラン
PS:ポリスチレン
【0043】
[SEM観察]
表面多孔構造体表面にカーボン蒸着処理したサンプルを、走査型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクサイエンスシステムズ製S−4500)を用いて、加速電圧5kVで観察した。
[TEM観察]
表面多孔構造体に白金蒸着処理を施したサンプルをエポキシ樹脂で包埋後、ウルトラミクロトームを用いて切削することで、超薄切片を作製した。作製した超薄切片をコロジオン膜付きの銅メッシュに載せ、透過電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクサイエンスシステムズ製H−7650)を用いて、加速電圧100kVで観察した。
[AFM観察]
Nanopics1000(セイコーインスツル株式会社製)を用いて、DFM/SSモードカンチレバー(NPXICTP004)を用いて行った。
[デジタル顕微鏡]
レンズユニット(VHZ450)を装着したVH6300(株式会社キーエンス製)を用いて、2000倍の条件で観察した。
【0044】
[合成例1]
TMOS5.425gを30mlのスクリュー管に量り取り、これにTHF5.00gを加え攪拌混合した。この溶液を氷浴で冷やしながら、2.5N塩酸2.56gを加え、5分間攪拌した後、室温(23℃)で6時間攪拌した。
【0045】
[合成例2]
メタクリル樹脂(旭化成株式会社製デルペット(登録商標)グレード:60N)(分子量9万)0.50gを50mlのスクリュー管に量り取り、これにTHF12.49gを加え、攪拌しメタクリル樹脂を溶解させ、メタクリル樹脂/THF溶液を調製した。このメタクリル樹脂/THF溶液を攪拌しながら、合成例1で得られた溶液1.30gを加え、30分攪拌することでメタクリル樹脂/シリカ溶液を調製した。
【0046】
[合成例3]
メタクリル樹脂(旭化成株式会社製 デルペット(登録商標) グレード:80NB)(分子量18万)0.50gを50mlのスクリュー管に量り取り、これにTHF12.48gを加え、攪拌しメタクリル樹脂を溶解させ、メタクリル樹脂/THF溶液を調製した。このメタクリル樹脂/THF溶液を攪拌しながら、合成例1で得られた溶液1.30gを加え、30分攪拌することでメタクリル樹脂/シリカ溶液を調製した。
【0047】
[合成例4]
TMOS5.425gを30mlのスクリュー管に量り取り、これにシクロペンタノン5gを加え攪拌混合した。この溶液を氷浴で冷やしながら、2.5N塩酸2.56gを加え、5分間攪拌した後、室温(23℃)で6時間攪拌し、反応させた。
【0048】
[合成例5]
メタクリル樹脂(旭化成株式会社製デルペット(登録商標)グレード:60N)(分子量9万)0.50gを50mlのスクリュー管に量り取り、これにシクロペンタノン12.48gを加え、攪拌しメタクリル樹脂を溶解させ、メタクリル樹脂/シクロペンタノン溶液を調製した。このメタクリル樹脂/シクロペンタノン溶液を攪拌しながら、合成例4で得られた溶液1.29gを加え、30分攪拌することでメタクリル樹脂/シリカ溶液を調製した。
【0049】
[合成例6]
メタクリル樹脂(旭化成株式会社製デルペット(登録商標)グレード:60N)(分子量9万)0.50gを50mlのスクリュー管に量り取り、これにTHF9.87gを加え、攪拌しメタクリル樹脂を溶解させ、メタクリル樹脂/THF溶液を調製した。このメタクリル樹脂/THF溶液を攪拌しながら、合成例1で得られた溶液0.16gを加え、30分攪拌することでメタクリル樹脂/シリカ溶液を調製した。
【0050】
[合成例7]
メタクリル樹脂(旭化成株式会社製デルペット(登録商標)グレード:60N)(分子量9万)0.50gを50mlのスクリュー管に量り取り、これにTHF8.219gを加え、攪拌しメタクリル樹脂を溶解させ、メタクリル樹脂/THF溶液を調製した。このメタクリル樹脂/THF溶液を攪拌しながら、合成例1で得られた溶液0.27gを加え、30分攪拌することでメタクリル樹脂/シリカ溶液を調製した。
【0051】
[合成例8]
メタクリル樹脂(旭化成株式会社製デルペット(登録商標)グレード:60N)(分子量9万)0.50gを50mlのスクリュー管に量り取り、これにTHF11.24gを加え、攪拌しメタクリル樹脂を溶解させ、メタクリル樹脂/THF溶液を調製した。このメタクリル樹脂/THF溶液を攪拌しながら、合成例1で得られた溶液0.76gを加え、30分攪拌することでメタクリル樹脂/シリカ溶液を調製した。
【0052】
[合成例9]
メタクリル樹脂(旭化成株式会社製デルペット(登録商標)グレード:60N)(分子量9万)0.50gを50mlのスクリュー管に量り取り、これにTHF14.146gを加え、攪拌しメタクリル樹脂を溶解させ、メタクリル樹脂/THF溶液を調製した。このメタクリル樹脂/THF溶液を攪拌しながら、合成例1で得られた溶液2.02gを加え、30分攪拌することでメタクリル樹脂/シリカ溶液を調製した。
【0053】
[合成例10]
メタクリル樹脂(旭化成株式会社製デルペット(登録商標)グレード:60N)(分子量9万)0.50gを50mlのスクリュー管に量り取り、これにTHF16.47gを加え、攪拌しメタクリル樹脂を溶解させ、メタクリル樹脂/THF溶液を調製した。このメタクリル樹脂/THF溶液を攪拌しながら、合成例1で得られた溶液3.03gを加え、30分攪拌することでメタクリル樹脂/シリカ溶液を調製した。
【0054】
[合成例11]
PS(和光純薬工業株式会社製)0.50gを50mlのスクリュー管に量り取り、これにTHF12.49gを加え、攪拌しPSを溶解させ、PS/THF溶液を調製した。このPS/THF溶液を攪拌しながら、合成例1で得られた溶液1.30gを加え、30分攪拌することでPS/シリカ溶液を調製した。
【0055】
[実施例1]
合成例2で得られた溶液2.7gをガラスシャーレに移し、温度23℃、相対湿度30%のグローブBOX中で乾燥し、メタクリル樹脂/シリカフィルムを得た。得られたフィルムの表面SEM写真、デジタル顕微鏡像、AFM像およびフィルムの断面TEM写真を図1〜4に示す。得られたフィルム表面には厚さ方向の断面が凹曲面である窪みが規則的に並んでいることがわかった。TEM観察によって、窪みの内部は酸化ケイ素で覆われていることがわかった。
【0056】
[実施例2]
合成例2で得られた溶液2.7gをガラスシャーレに移し、温度23℃、相対湿度12%のグローブBOX中で乾燥し、酸化ケイ素で内部を被覆された窪みを有するメタクリル樹脂フィルムを得た。得られたフィルムの表面のAFM観察を行ったところ、表面に直径100〜250nm、深さ30nm程度、厚さ方向の断面が凹曲面である窪みが並んだ構造が観察された。
【0057】
[実施例3]
合成例2で得られた溶液2.7gをガラスシャーレに移し、温度23℃、相対湿度23%のグローブBOX中で乾燥し、酸化ケイ素で内部を被覆された窪みを有するメタクリル樹脂フィルムを得た。得られたフィルムの表面のデジタル顕微鏡観察を行ったところ、表面に直径1〜2μmの窪みが並んだ構造が観察された。
【0058】
[実施例4]
合成例2で得られた溶液2.7gをガラスシャーレに移し、温度23℃、相対湿度40%のグローブBOX中で乾燥し、酸化ケイ素で内部を被覆された窪みを有するメタクリル樹脂フィルムを得た。得られたフィルムの表面のデジタル顕微鏡観察を行ったところ、表面に直径3〜5μmの窪みが並んだ構造が観察された。
【0059】
[実施例5]
合成例2で得られた溶液2.7gをスクリュー管に量り取り、この溶液を攪拌しながら、蒸留水53μLを加えた。この溶液をガラスシャーレに移し、温度23℃、相対湿度10%以下のグローブBOX中で乾燥し、酸化ケイ素で内部を被覆された窪みを有するメタクリル樹脂フィルムを得た。得られたフィルムの表面のデジタル顕微鏡像を図5に示す。デジタル顕微鏡、およびTEM観察により、表面に直径3〜5μm、深さ1.5μm程度、厚さ方向の断面が凹曲面である窪みが並んだ構造が観察された。
【0060】
[実施例6]
合成例2で得られた溶液2.7gをスクリュー管に量り取り、この溶液を攪拌しながら、蒸留水25μLを加えた。この溶液をガラスシャーレに移し、温度23℃、相対湿度10%以下のグローブBOX中で乾燥し、酸化ケイ素で内部を被覆された窪みを有するメタクリル樹脂フィルムを得た。得られたフィルムの表面のデジタル顕微鏡観察を行ったところ、表面に直径1〜2μmの窪みが並んだ構造が観察された。
【0061】
[実施例7]
合成例2で得られた溶液2.7gをスクリュー管に量り取り、この溶液を攪拌しながら、蒸留水154μLを加えた。この溶液をガラスシャーレに移し、温度23℃、相対湿度10%以下のグローブBOX中で乾燥し、酸化ケイ素で内部を被覆された窪みを有するメタクリル樹脂フィルムを得た。得られたフィルムの表面のデジタル顕微鏡観察、およびTEM観察を行ったところ、直径3〜8μm、深さ3μm程度、厚さ方向の断面が凹曲面である窪みが並んだ構造が観察された。
【0062】
[実施例8]
合成例2で得られた溶液2.7gをスクリュー管に量り取り、この溶液を攪拌しながら、蒸留水200μLを加えた。この溶液をガラスシャーレに移し、温度23℃、相対湿度10%以下のグローブBOX中で乾燥し、酸化ケイ素で内部を被覆された窪みを有するメタクリル樹脂フィルムを得た。得られたフィルムの表面のデジタル顕微鏡観察を行ったところ、表面に直径3〜8μmの窪みが並んだ構造が観察された。
【0063】
[実施例9]
合成例2で得られた溶液4.1gをスクリュー管に量り取り、この溶液を攪拌しながら、蒸留水150μLを加えた。この溶液をガラスシャーレに移し、温度23℃、相対湿度10%以下のグローブBOX中で乾燥し、酸化ケイ素で内部を被覆された窪みを有するメタクリル樹脂フィルムを得た。得られたフィルムの表面のデジタル顕微鏡観察を行ったところ、表面に直径3〜5μmの窪みが並んだ構造が観察された。
【0064】
[実施例10]
合成例2で得られた溶液4.1gをスクリュー管に量り取り、この溶液を攪拌しながら、蒸留水200μLを加えた。この溶液をガラスシャーレに移し、温度23℃、相対湿度10%以下のグローブBOX中で乾燥し、酸化ケイ素で内部を被覆された窪みを有するメタクリル樹脂フィルムを得た。得られたフィルムの表面のデジタル顕微鏡観察を行ったところ、表面に直径4〜8μmの窪みが並んだ構造が観察された。
【0065】
[実施例11]
合成例2で得られた溶液をガラス基板上に垂らし、500rpmで温度22℃、相対湿度10%の条件でスピンキャストし、酸化ケイ素で内部を被覆された窪みを有するメタクリル樹脂フィルムを得た。得られたフィルムの表面のAFM観察を行ったところ、表面に直径2〜4μm、深さ300nm程度、厚さ方向の断面が凹曲面である窪みが並んだ構造が観察された。
【0066】
[実施例12]
合成例2で得られた溶液2.7gをスクリュー管に量り取り、この溶液を攪拌しながら、蒸留水53μLを加えた。この溶液をガラス基板上に垂らし、500rpmで温度22℃、相対湿度10%の条件でスピンキャストし、酸化ケイ素で内部を被覆された窪みを有するメタクリル樹脂フィルムを得た。得られたフィルムの表面のAFM観察を行ったところ、表面に直径2〜5μm、深さ300nm程度、厚さ方向の断面が凹曲面である窪みが並んだ構造が観察された。
【0067】
[実施例13]
合成例2で得られた溶液2.7gをスクリュー管に量り取り、この溶液を攪拌しながら、THF2.7gを加えた。この溶液をガラス基板上に垂らし、500rpmで温度22℃、相対湿度50%の条件でスピンキャストし、酸化ケイ素で内部を被覆された窪みを有するメタクリル樹脂フィルムを得た。得られたフィルムの表面のAFM観察を行ったところ、表面に直径1〜2μm、深さ200nm程度、厚さ方向の断面が凹曲面である窪みが並んだ構造が観察された。
【0068】
[実施例14]
合成例2で得られた溶液2.7gをスクリュー管に量り取り、この溶液を攪拌しながら、THF10.8gを加えた。この溶液をガラス基板上に垂らし、500rpmで温度22℃、相対湿度50%の条件でスピンキャストし、酸化ケイ素で内部を被覆された窪みを有するメタクリル樹脂フィルムを得た。得られたフィルムの表面のAFM観察を行ったところ、表面に直径1〜2μm、深さ200nm程度、厚さ方向の断面が凹曲面である窪みが並んだ構造が観察された。
【0069】
[実施例15]
合成例3で得られた溶液2.7gをスクリュー管に量り取り、この溶液を攪拌しながら、蒸留水53μLを加えた。この溶液をガラスシャーレに移し、温度23℃、相対湿度10%以下のグローブBOX中で乾燥し、酸化ケイ素で内部を被覆された窪みを有するメタクリル樹脂フィルムを得た。得られたフィルムの表面のデジタル顕微鏡観察を行ったところ、表面に直径2〜4μmの窪みが並んだ構造が観察された。
【0070】
[実施例16]
合成例5で得られた溶液2.7gをガラスシャーレに移し、温度23℃、相対湿度65%の条件下で乾燥し、酸化ケイ素で内部を被覆された窪みを有するメタクリル樹脂フィルムを得た。得られたフィルムの表面のデジタル顕微鏡像を図6に示す。表面に窪みが並んだ構造が観察された。
【0071】
[実施例17]
合成例6で得られた溶液2.7gをスクリュー管に量り取り、この溶液を攪拌しながら、蒸留水92μLを加えた。この溶液をガラスシャーレに移し、温度23℃、相対湿度10%以下のグローブBOX中で乾燥し、酸化ケイ素で内部を被覆された窪みを有するメタクリル樹脂フィルムを得た。得られたフィルムの表面のデジタル顕微鏡観察および、AFM観察を行ったところ、表面に直径2〜4μm、深さ300nm程度、厚さ方向の断面が凹曲面である窪みが並んだ構造が観察された。
【0072】
[実施例18]
合成例7で得られた溶液2.7gをスクリュー管に量り取り、この溶液を攪拌しながら、蒸留水84μLを加えた。この溶液をガラスシャーレに移し、温度23℃、相対湿度10%以下のグローブBOX中で乾燥し、酸化ケイ素で内部を被覆された窪みを有するメタクリル樹脂フィルムを得た。得られたフィルムの表面のデジタル顕微鏡観察を行ったところ、表面に直径2〜5μmの窪みが並んだ構造が観察された。
【0073】
[実施例19]
合成例8で得られた溶液2.7gをスクリュー管に量り取り、この溶液を攪拌しながら、蒸留水68μLを加えた。この溶液をガラスシャーレに移し、温度23℃、相対湿度10%以下のグローブBOX中で乾燥し、酸化ケイ素で内部を被覆された窪みを有するメタクリル樹脂フィルムを得た。得られたフィルムの表面のデジタル顕微鏡観察を行ったところ、表面に直径2〜8μmの窪みが並んだ構造が観察された。
【0074】
[実施例20]
合成例9で得られた溶液2.7gをスクリュー管に量り取り、この溶液を攪拌しながら、蒸留水35μLを加えた。この溶液をガラスシャーレに移し、温度23℃、相対湿度10%以下のグローブBOX中で乾燥し、酸化ケイ素で内部を被覆された窪みを有するメタクリル樹脂フィルムを得た。得られたフィルムの表面のデジタル顕微鏡観察を行ったところ、表面に直径2〜11μmの窪みが並んだ構造が観察された。
【0075】
[実施例21]
合成例10で得られた溶液2.7gをスクリュー管に量り取り、この溶液を攪拌しながら、蒸留水19μLを加えた。この溶液をガラスシャーレに移し、温度23℃、相対湿度10%以下のグローブBOX中で乾燥し、酸化ケイ素で内部を被覆された窪みを有するメタクリル樹脂フィルムを得た。得られたフィルムの表面のデジタル顕微鏡観察を行ったところ、直径5〜14μmの窪みが並んだ構造が観察された。
【0076】
[実施例22]
合成例11で得られた溶液2.7gをガラスシャーレに移し、温度23℃、相対湿度10%以下のグローブBOX中で乾燥し、酸化ケイ素で内部を被覆された窪みを有するPSフィルムを得た。得られたフィルムの表面のデジタル顕微鏡観察を行ったところ、表面に直径2〜7μmの窪みが並んだ構造が観察された。
【0077】
[実施例23]
合成例11で得られた溶液2.7gをスクリュー管に量り取り、この溶液を攪拌しながら、蒸留水53μLを加えた。この溶液をガラスシャーレに移し、温度23℃、相対湿度10%以下のグローブBOX中で乾燥し、酸化ケイ素で内部を被覆された窪みを有するPSフィルムを得た。得られたフィルムの表面のデジタル顕微鏡観察を行ったところ、表面に直径4〜12μmの窪みが並んだ構造が観察された。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明の表面多孔構造体は、光学ディスプレイ用材料、二次元フォトニック結晶、磁気記録材料、低誘電率素材、細胞培養用基材、触媒担体やバイオチップなどに利用できる。また、有機重合体と金属酸化物の表面状態の違いを利用して、有機重合体の表面だけ、もしくは、金属酸化物の表面だけに選択的に金属、無機材料、有機材料などの材料を吸着、成長させるなどの二次加工するための複合材料の基材として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】表面多孔構造体の表面の走査型電子顕微鏡写真
【図2】表面多孔構造体の表面の走査型電子顕微鏡写真
【図3】表面多孔構造体の表面の原子間力顕微鏡写真
【図4】表面多孔構造体の断面の走査型電子顕微鏡写真
【図5】表面多孔構造体の表面の走査型電子顕微鏡写真
【図6】表面多孔構造体の表面の走査型電子顕微鏡写真

【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さ方向の断面が凹曲面である窪みを複数有する有機重合体を含む表面多孔構造体の、該窪みの内面が金属酸化物で被覆されていることを特徴とする表面多孔構造体。
【請求項2】
該窪みが構造体の表面に規則的に並んでいる請求項1に記載の表面多孔構造体。
【請求項3】
金属酸化物が、珪素、チタン、ジルコニウム、アルミニウムから選ばれる1種以上の金属を含有するものである、請求項1または2に記載の表面多孔構造体。
【請求項4】
有機重合体が、水と混和可能な溶剤に可溶である、請求項1乃至3のいずれかに記載の表面多孔構造体。
【請求項5】
金属酸化物がゾル−ゲル反応により製造されるものである、請求項1乃至4のいずれかに記載の表面多孔構造体。
【請求項6】
金属酸化物が金属アルコキシドのゾル−ゲル反応により製造されるものである、請求項1乃至5のいずれかに記載の表面多孔構造体。
【請求項7】
窪みの大きさが10nm以上50μm以下である請求項1乃至6のいずれかに記載の表面多孔構造体。
【請求項8】
少なくとも(A)〜(D)の工程を経ることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれかに記載の表面多孔構造体の製造方法。
(A)金属酸化物の原料溶液と、触媒を含んでいてもよい水を混合して調製して、ゾル−ゲル反応させる工程、
(B)有機重合体溶液を調製する工程、
(C)(A)工程から得られた溶液と(B)工程から得られた溶液を混合する工程、
(D)(C)工程で得られた溶液から溶媒を蒸発させて表面多孔構造体を形成する工程。
【請求項9】
少なくとも(E)〜(G)の工程を経ることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれかに記載の表面多孔構造体の製造方法。
(E)有機重合体溶液を調製する工程、
(F)(E)工程で得られた溶液中に、金属酸化物の原料と、触媒を含んでいてもよい水を混合してゾル−ゲル反応をおこなう工程、
(G)(F)工程で得られた溶液から溶媒を蒸発させて表面多孔構造体を形成する工程。
【請求項10】
(C)工程において、更に、混合溶液中の金属酸化物1重量部に対して水が1重量部以上10重量部以下含まれるように水を添加混合することを特徴とする、請求項8に記載の表面多孔構造体の製造方法。
【請求項11】
(F)工程において、ゾル−ゲル反応を行う前および/または後に、(E)工程で得られた溶液中の金属酸化物1重量部に対して水が1重量部以上10重量部以下含まれるように更に水を添加混合することを特徴とする、請求項9に記載の表面多孔構造体の製造方法。
【請求項12】
(D)工程において、相対湿度50%以下、乾燥温度100℃以下の条件で溶媒を蒸発させることを特徴とする、請求項10に記載の表面多孔構造体の製造方法。
【請求項13】
(G)工程において、相対湿度50%以下、乾燥温度100℃以下の条件で溶媒を蒸発させることを特徴とする、請求項11に記載の表面多孔構造体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−231244(P2008−231244A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−72521(P2007−72521)
【出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】