説明

表面実装型コネクタ及び基板ユニット

【課題】 配線制限を少なくしつつ、基板のたわみにも対応が可能な表面実装型のピン型コネクタを提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
基板と基板に表面実装により搭載されたコネクタとを有し、前記コネクタは、筐体と、前記筐体に取り付けられ、一端を基板表面に接合させ、他端を嵌合対象のコネクタに設けられた端子と嵌合させる為の複数の端子とを有し、前記複数の端子は、基板に対し離接方向において規制範囲内での移動を許容する状態で筐体に取り付けられている基板ユニット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、表面実装型コネクタ及び基板ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表面実装により端子を接続するコネクタが使用するようになってきた。
【0003】
図1に、従来技術における、表面実装型コネクタの一種であるピン型コネクタ101の斜視図を示す。
【0004】
ピン型コネクタ101は、上面が開放された空洞部1001aを有するポリアミド樹脂などの樹脂製の筐体1001を有している。そして、該空洞部1001aの内部に、上方向に突出する複数の導電性のピン端子1002が、2列に整列配置されている。このピンの端子は、ニッケル合金や黄銅などの金属によって形成されている。ピン型コネクタ101の嵌合対象となるレセプタクルコネクタ(図示せず)は、解放されている上面方向から差し込まれることにより、ピン型コネクタの各ピン端子が、該レセプタクルコネクタに設けられている複数の端子に嵌合する構造となっている。また、筐体1001の下部より側方に向け、下部端子1002aが配設されている。
【0005】
複数のピン端子1002は、図2に示すように、L字型の下部端子1002aと一体形成されている。詳しくは、ピン端子1002は、上部から、上端に尖った領域1002b、第1の円筒部1002c、その下部に第2の円筒部1002d、そして、直径が第2の円筒部1002dより小さい円筒をL字型に曲げた形の下部端子1002aにより形成される。
【0006】
また、筐体1001の底板1001bには、図3に示すように、ピン端子1002を差し込み、固定するための貫通孔1001cがピン端子の配列に合わせて複数設けられている。それぞれの貫通孔1001cは、底板1001bの上面に開口する第1の円筒型孔1001c1と、底板1001bの上面に開口し、第1の円筒型孔1001c1より直径が大きい第2の円筒型孔1001c2とが連結した形状となっている。
【0007】
そして、図4に示されるように、第1の円筒型孔1001c1の内径とピン端子1002の第1の円筒部1002cの直径は同じD1(0.3mm)である。また、第2の円筒型孔1001c2の内径D2は0.4mmである。ピン端子1002の第2の円筒部1002dの直径は、この内径D2と同じか0.01mm程度大きく形成される。第2の円筒型孔1001c2と、第2の円筒部1002dとの高さは、H1で同じある。
【0008】
そして、このピン型コネクタ101は、図5に示すように、各貫通孔1001cの各々に対し、筐体1001の底板1001bの下部底板側から、ピン端子1002を差し込む。
【0009】
図6は、図5に示される工程で組み立てた後の、ピン型コネクタ101を矢印B方向で断面した断面図の一部を拡大したものである。
【0010】
図6に示すように、ピン端子1002は、第2の円筒部1002dが、第2の円筒型孔1001c2に収納される位置まで、第2の円筒型孔1001c2側から差し込まれる。
上記したように、ピン端子1002の第2の円筒部1002dの直径は、この内径D2と同じか0.01mm程度大きく形成されている。しかし、筐体1001は樹脂製であり、弾性を有するため、図6に示すように、ピン端子1002の第2の円筒部1002dを、円筒型孔1001c2に収納される位置まで差し込むことは可能である。加えて、貫通穴1002cの内壁とピン端子1002の第2の円筒部1002dとが、密着することとなり、各ピン端子1002は、筐体1001の所定位置に固定されることとなる。
【0011】
次に、このようなピン型コネクタ101の基板への取り付けについて説明する。
【0012】
図7に示されるように、表面実装型のピン型コネクタ101を基板102に装着する場合、基板102の表面に、図7に示されるように、ピン型コネクタ101の下部端子1002cに対応した、導電パターン1021を形成しておく。図7では、説明の都合上、この導電パターン1021のみを記載しているが、実際には、該導電パターンの各々に接続される配線を含む他の導電パターンが基板102に形成されている。
【0013】
そして、図8に示されるように、半田ペースト1022を塗布した導電パターン1021の各々に、各下部端子1002aが載置される位置に置き、加熱を行なうことで、半田を溶解させることで、各導電パターン1021と下部端子1002aとの接合を行なう。
【0014】
しかしながら、基板102は、完全な平面ではなく、多少のたわみが生じている。
【0015】
このような、たわみが生じたコアレス基板に表面実装型のピン型コネクタを載置した場合、図9に示されるように、下部端子1002aが直接基板102の導電パターン1021に接触できない場合がある。しかし、基板102の表面には、一般に半田付を行なう領域を除き、ソルダレジストと呼ばれる熱硬化性エポキシ樹脂皮膜が塗布されており、このソルダレジストは、融解した半田を弾く性質を有している。このため、半田ペースト1022が融解すると、導電パターン1021以外の領域では、融解した半田ペーストが弾かれるため、導電パターン1021上で球状に盛り上がる。よって、図10のCで示す領域のように、下部端子1002aと導電パターンとが、基板102の撓みによって、ある程度、離れていたとしても接合される。従来、多層基板では、この平面度を確保するために、ガラスエポキシ硬化樹脂などのコア材を使用しない基第の上に多層形成していることが多かったため、ある程度の平面度が確保されていた。このため、基板102のたわみの量は大きくなく、上記した半田ペースト1022が融解し球状に盛り上がることで接合することが可能であった。
【0016】
しかしながら、近年、搭載機器の軽量化やコストダウンを図るために、基板の薄型化が望まれ、大型の基板においても、コアレス基板と呼ばれるが登場するようになった。コア材を使用している基板においては、コア材の強度により、所定以上の表面の平面度を確保することができるが、コアレス基板の場合、コア材自体を含まないため、強度が不足し、たわみが生じやすくなっている。
【0017】
このたわみのために、図11に示されるように下部端子1002aと導電パターン1021との間に半田ペースト1022の融解に伴う盛り上がりでも吸収できないほどの隙間が空いてしまうことがある。
【0018】
この課題に対応するため、半田ペースト1022の塗布量を増やして、融解時の盛り上がりを大きくする事が考えられる。しかしながら、大量の半田ペーストを融解させると、基板102の表面上にレジストが塗布されていても、隣接する導電パターンとの接合(ショート)してしまう事があり、その結果、半田ペーストの塗布量は制限を受けるため、塗布量増加に限界がある。
【0019】
これに対応するために、図12に示されるような、ピン端子1002の第2の円筒部1002dの代わりに、コイルばね1002fを設け、下部への移動を規制する抑え板1003を設けたものがある。
【0020】
このようなコネクタ101では、図13に示されるように、基板上に設けたロック機構103に、コネクタ101の両端側面に設けた凸部(図示せず)を押し下げさせることによって、コネクタ基板102方向への付勢が付いた状態でコネクタ1001を固定させるようにする。
【0021】
このように固定すると、図14に示されるように、基板102のたわみに応じて、バネが屈伸し、全ての下部端子1002aが基板102上の導電パターンに接触させることが可能となる。よって、基板102に、所定以上のたわみがあったとしても、下部端子1002aと導電パターン1021とを接触・固定させることが出来るようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】特開2006−294308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
しかしながら、上記した構成では、基板102上のコネクタ101の設置位置の近傍に、ロック機構103を設置する領域を確保する。加えて、上記したように、ロック機構103は、コネクタ101を基板に押し付ける力を発生させて固定させる程度の力を発生させなければならず、基板102上に強固に固定しておくことが望ましい。このため、このロック機構は、基板102上に開けられた貫通穴を有し、この貫通穴の裏面から固定ネジを用いて取り付けを行なう事が行われることが多い。このため、基板102のロック機構103が取り付けられた面のみならず、反対側の面も、該ネジや貫通孔の領域を確保する事になり、配線面積や自由度の制限が生じる。特に多層基板では、貫通穴を開けることで、全層に配線面積や配線の自由度に制限を与えてしまうこととなる。
【0024】
本開示技術は、以上の点に鑑み、配線制限を少なくしつつ、基板のたわみにも対応が可能な表面実装型のコネクタを提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本開示の技術における表面実装型のコネクタは、筐体と、前記筐体に取り付けられ、一端を基板表面に接合させ、他端を嵌合対象のコネクタに設けられた端子と嵌合させる為の複数の端子とを有し、前記複数の端子は、基板に対し離接方向において規制範囲内での移動を許容する状態で筐体に取り付けられている。
【発明の効果】
【0026】
本開示の技術によれば、撓みがある基板にも、ロック機構などの配線制限に関与する機構を使わず、コネクタを基板に置くだけで、各ピン端子が基板に接触出来る様になる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】従来のピン型コネクタの斜視図。
【図2】従来のピン端子の斜視図。
【図3】従来のピン型コネクタの筐体の断面図
【図4】従来のピン型コネクタの底板に設けられた貫通孔とピン端子との関係を示した説明図。
【図5】従来のピン型コネクタの分解斜視図。
【図6】従来のピン型コネクタの要部断面図。
【図7】従来のピン型コネクタを搭載する基板の要部表面図。
【図8】従来のピン型コネクタの基板への搭載を説明した説明図。
【図9】従来のピン型コネクタを基板に載置した際の断面図。
【図10】従来のピン型コネクタを基板に搭載した際の要部断面図。
【図11】従来のピン型コネクタをたわみの大きい基板に搭載した際の要部断面図。
【図12】他の従来のピン型コネクタのピン端子を説明した説明図。
【図13】他の従来のピン型コネクタを基板に搭載した際の斜視図。
【図14】他の従来のピン型コネクタを基板に搭載した際の要部断面図。
【図15】本実施の形態のピン型コネクタの斜視図。
【図16】本実施の形態のピン端子の斜視図。
【図17】本実施の形態のピン型コネクタの筐体の断面図。
【図18】本実施の形態のピン型コネクタの底板に設けられた貫通孔とピン端子との関係を示した説明図。
【図19】本実施の形態のピン型コネクタの分解斜視図。
【図20】本実施の形態のピン型コネクタの要部断面図。
【図21】本実施の形態のピン型コネクタを搭載する基板の要部表面図。
【図22】本実施の形態のピン型コネクタの基板への搭載を説明した説明図。
【図23】本実施の形態のピン型コネクタを基板に載置した際の断面図。
【図24】本実施の形態のピン型コネクタを基板に載置した際の要部断面図。
【図25】本実施の形態のピン型コネクタを基板に搭載した際の要部断面図。
【図26】比較例のピン型コネクタを基板に載置した際の要部断面図。
【図27】比較例のピン型コネクタを基板に搭載した際の要部断面図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図15に、本実施の形態の表面実装型のコネクタの一種であるピン型コネクタ1の斜視図を示す。
【0029】
このピン型コネクタ1は、上面が開放された空洞部11aを有する筐体11を有している。そして、該空洞部11aの内部に、上方向に突出する複数のピン端子12が、2列に整列配置されている。ピン型コネクタ1の嵌合対象となるレセプタクルコネクタ(図示せず)は、開放されている上面方向から差し込まれ、該レセプタクルコネクタに設けられている複数の端子とピン型コネクタ1の各ピン端子12とを嵌合させる構造となっている。また、筐体11の下部より側方に向け、下部端子12aが配設されている。
【0030】
上記した複数のピン端子12は、図16に示すように、L字型の下部端子12a一体形成されている。詳しくは、ピン端子12は、上部から、上端に尖った領域12b、第1の円筒部12c、その下部に第2の円筒部12d、そして、直径が第2の円筒部12dより小さい円筒をL字型に曲げた形の下部端子12aにより形成される。
【0031】
また、筐体11の底板11bには、図17に示すように、ピン端子12を差し込み、固定するための貫通孔11cがピン端子の配列に合わせて複数設けられている。それぞれの貫通孔11cは、底板11bの上面に開口する第1の円筒型孔11c1と、底板11bの上面に開口し、第1の円筒型孔11c1より直径が大きい第2の円筒型孔11c2とが連結した形状となっている。
【0032】
そして、図18に示されるように、第1の円筒型孔11c1の内径D1は、ピン端子12の第1の円筒部12cの直径D3より大きく、ピン端子12の第2の円筒部の直径D4より小さい。また、第2の円筒型孔11c2の内径D2は、ピン端子12の第2の円筒部12dの直径D4より大きく形成されている。また、ピン端子の第1の円筒部12cの直径D3と、下部端子12aの直径D5とは同じ直径である。
【0033】
本実施の形態では、第1の円筒型孔11c1の内径D1は0.5mm、ピン端子12の第1の円筒部12c及び下部端子12aの直径D3,D5は0.4mm、第2の円筒型孔11c2の内径D2は0.8mm、第2の円筒部12dの直径D4は0.7mmとする。
【0034】
また、底板11ピン端子12の第2の円筒部12dの高さH2は、第2の円筒型孔11c2の高さより低い。
【0035】
本実施の形態の場合、底板11ピン端子12の第2の円筒部12dの高さH2は0.3mm、第2の円筒型孔11c2の高さは、0.65mmとする。
【0036】
このピン型コネクタ1は、図19に示すように、各貫通孔11cの各々に対し、筐体11の底板11bの下部底板側から、ピン端子12を差し込み、下側より、これら差し込んだピンを下から支える抑え板13を装着することで組立てられる。
【0037】
この抑え板13は、ピン端子12の列の間に配置される基幹部13aと、各々のピン端子12の間に配置される複数の腕部13bとによって形成されている。
【0038】
図20は、ピン型コネクタ1を、図15の矢印B方向で示される方向に切断した断面の一部を拡大した図である。
【0039】
抑え板13の隣接する腕部13b間には幅D7の間隔が空いている。この幅D7は、ピン端子12の下部端子12aの直径D5より広く、第2の円筒部12dの直径D4より狭い(本実施の形態の場合、0.5mmとする)。このため、ピン端子12を下方向に移動させようとした場合、第2の円筒部12dの下面が腕部13bの上面と接触するため、下方向への移動が規制される。
【0040】
図18〜図20で説明してきたように、ピン端子の第2の円筒部12dは、その上方向への移動は、第1の円筒型孔11c1と第2の円筒型孔11c2との段差によって規制され、下方向に移動させようとした場合、腕部13bの上面と接触するため、下方向への移動が規制される。
【0041】
また、ピン端子12の第1の円筒部12c、第2の円筒部12d、下部端子12aの直径D3、D4は、各々が収容される第1の円筒型孔11c1、第2の円筒型孔11c2の内径より小さい。このため、ピン端子12は、第1の円筒部11c1,第2の円筒部11c2、及び、抑え板13の腕部との接触抵抗が少ない状態で保持されている。
【0042】
以上の構成により、ピン端子12は上下方向(図20の矢印E方向)に、L=H1(第2の円筒型孔11c2の高さ)−H2(第2の円筒部12dの高さ)だけ移動自在に保持されている。
【0043】
次に、このピン型コネクタ1の基板2への取り付けについて説明する。
【0044】
表面実装型のピン型コネクタ1を装着する基板2の表面には、図21に示されるように、ピン型コネクタ1の下部端子12aに対応した、導電パターン21を形成されている。図21では、説明の都合上、この導電パターン21のみを記載しているが、実際には、該導電パターンの各々に接続される配線を含む他の導電パターンが基板2に形成されている。
【0045】
そして、図22に示されるように、半田ペースト22を塗布した導電パターン21の各々に、各下部端子12aが載置を置き、加熱を行なうことにより半田ペースト22を溶解させることで、各導電パターン21と下部端子12aとの接合を行なう。
【0046】
次に、たわみが生じている基板2に接合された後のピン型コネクタ1の状態について、図23の断面図を用いて説明する。
【0047】
上記したように、ピン型コネクタ1では、各ピン端子12は、基板2への接合前は、上下方向に移動自在である。基板2に載置すると、山なりの頂点付近に配置された導電パターン21(図23では、J1,J2で示される領域の導電パターン21)に接触するピン端子12の第2の円筒部12dの上端が、第1の円筒型孔11c1と第2の円筒型孔11c2との段差に接触する。即ち、これらの領域のピン端子12は、筐体1からみて移動可能な一番上の位置で保持される。これにより、これらJ1,J2の領域にあるピン端子12がコネクタ1を支える事となる。
【0048】
その他のピン端子12は、上下方向に自在にLだけ上下可能であるため、図23にあるように、たわみに沿って下部端子12aが下がり、対応する導電パッドと接触する。
【0049】
しかしながら、ピン端子が移動可能な範囲は、上記した長さLの範囲であるため、この長さLの移動では吸収できないたわみが生じている領域(図23では、K1,K2の領域)では、載置しただけでは、対応する下部端子12aと導電パッド21とが直接接触しない領域も存在する。
【0050】
この点について、図24を用いて詳細に説明する。図24は、図23の領域Mを拡大した図である。
【0051】
なお、便宜上、図24のピン端子12の付番を、図面左側から順に、12−1,12−2,12−3,12−4として説明する。
【0052】
また、ピン端子12−1〜4の各構成要素には、上記ピン端子12−1〜4の付番にあわせ、図22までに説明した付番の後ろに「−1」〜「−4」を付して説明する。
【0053】
更に、ピン端子12−1〜4の第2の円筒部12d−1〜4を各々収容する筐体11の底板11bに設けられた第2の円筒型孔11c2、及び、その上部の第1円筒型孔11c1についても、付番の後ろに左側から順に「−1」〜「−4」を付して説明する。
【0054】
また、ピン端子12−1〜4の下部端子12a−1〜4と接触する導電パッド21にも付番の後ろに左側から順に「−1」〜「−4」を付して説明する。
【0055】
上記してきたように、基板2の山成の頂点に付近にあるピン端子12−1は、筐体1からみて移動可能な一番上の位置で保持され、ピン端子12−2,3は、距離Lの範囲内で下方向へ下がることで導電パッド21−2,3と接触している。しかし、ピン端子12−4は、第2の円筒部12dの下面が、抑え板13の腕部13bに接触しても、下部端子12a−4を対応する導電端子21−4に接触できない。(この際の下部端子12a−4の下端と導電パッド21−4との距離をD8とする。)
しかしながら、上記で説明してきたように、下部端子12a−1〜4と導電パターン21−1〜4とは、各々、半田材による接合が行われる。この接合は、上記したように、導電パターン上に半田ペーストを塗布した上で、加熱することで行われる。半田ペーストは、加熱することで融解し液状化する。基板2の表面には、一般に半田付を行なう領域を除き、ソルダレジストと呼ばれる熱硬化性エポキシ樹脂皮膜が塗布されている。このソルダレジストは、融解した半田を弾く性質を有しているため、半田付けを行なう領域以外に半田が付着し、半田ペースト22の融解による隣接する導電パターンがショートを防止する役割を有する。
【0056】
本実施の形態の図24においては、基板2上面のうち導電パターン21−1〜4の領域以外の部分にソルダレジストが塗布されているものとする。
【0057】
この状態において、半田ペースト22−1〜4を融解させると、上記した理由により導電パターン21−1〜4以外の領域の基板2の表面が半田ペーストを弾くため、図25に示すように、各導電パターン22−1〜4上で球状となる。これにより、下部端子12a−4と導電パターン21−4のように、ある程度の隙間が空いていても、下部端子12a−4と導電パターン21−4を接合することができる。
【0058】
次に、このピン端子12が、従来のように上下方向に移動不可能であった場合と本実施例との比較を、図26を用いて説明する。なお、図26では、説明の都合上、本実施例の各構成要件と対応する構成要件に「’」を付して説明している。
【0059】
図26に示されるように、一番高い位置にある左端のピン端子12’以外は、本実施の形態のように、下方向への移動ができないので、対応する導電パターン21’に接触することができない。
【0060】
このため、最右端のピン端子のように下部端子12a’と導電パターン21’との隙間D9が、本実施の形態の下部端子12a−4と導電パターン21−4との隙間D8より大きくなってしまうこととなる。
【0061】
本実施の形態の説明に於いて、接合に使用する半田ペースト22は球状となり、ある程度の隙間があっても接合可能としたが、この球状になる大きさも限界がある。このため、ある程度隙間が大きくなった場合、図27の右端のピン端子12’のように、接触できなくなる。
【0062】
即ち、本実施の形態のピン型コネクタ1は、従来のようにピン端子12を固定したしたものでは接合できなかったようなたわみの大きい基板にも、各ピン端子12’を確実に対応する導電パターンに接合させることが可能となる。
【0063】
また、本実施の形態のピン型コネクタ1は、単に上下方向に回動自在にしておくことで、重力により、各ピン端子12が基板2のたわみに沿って下方向へ下がることによって、基板2のたわみ対応できる構造である。このため、本実施の形態のピン型コネクタは、ピン端子の一部にバネを使用したもののように、ピン型コネクタ1の筐体11を基板方向に押し付ける為のロック機構を用いなくとも良く、基板2上にロック機構を設置する領域を確保しなくとも良くなるので、基板2の部品実装、配線パターンの自由度を向上させることが可能となる。
【0064】
尚、本実施の形態では、ピン端子12の第1の円筒部12cと第1の円筒型孔11c1、ピン端子12の第2の円筒部12dと第2の円筒型孔11c2の各々の直径と内径の差を規定した。これは、各ピン端子12が、ピン型コネクタ1に嵌合するレセプタコネクタと嵌合できる程度傾くことを許容し、かつ、上下方向に自由に移動できるような各大きさを規定したものである。即ち、各ピン端子12が、ピン型コネクタ1に嵌合するレセプタコネクタと嵌合できる程度の傾きを許容し、かつ、上下方向に自由に移動できるような各大きさであれば、上記した各直径と内径との差は、本実施の形態で規定された物でなくとも良い。
【0065】
更に、ピン端子12の第2の円筒部12dの高さと、底板11bの第2の円筒型孔11c2の高さの差、即ち、ピン端子12の上下移動可能量も、ピン型コネクタ1の大きさ、及び、平均的な基板2の反り具合などにより、逐次設定されるものであって良い。
【0066】
なお、本実施の形態のピン型コネクタ1は、各下部端子12aが、対応する各導電パターン21に半田付けされることにより搭載された後も、基板2のたわみの変化に応じて上下動することが可能である。これにより、経年変化や移設などにより基板のたわみ具合が変わってしまう場合にも、該ピン端子12が追従して上下動することになる。よって、ピン端子12が固定されているピン型コネクタに比べ、たわみの変化による半田の剥離などが発生しづらくなる。
【0067】
なお、本実施の形態では、ピン型コネクタを例に説明してきたが、レセプタクル型コネクタなど、他の種類の表面実装型コネクタにも適用可能である。
【符号の説明】
【0068】
1 ピン型コネクタ
2 基板
11 筐体
11a 空洞部
11b 底板
11c 貫通孔
11c1 第1の円筒型孔
11c2 第2の円筒型孔
12 ピン端子
12a 下部端子
12b 尖った領域
12c 第1の円筒部
12d 第2の円筒部
13 抑え板
13a 基幹部
13b 腕部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体に取り付けられ、一端を基板表面に接合させ、他端を嵌合対象のコネクタに設けられた端子と嵌合させる為の複数の端子とを有し、
前記複数の端子は、基板に対し離接方向において規制範囲内での移動を許容する状態で筐体に取り付けられている事を特徴とする表面実装型コネクタ。
【請求項2】
前記筐体は、上部開口及び下部開口が内部より狭い複数の貫通孔を有し、
前記複数の端子は、
記貫通孔の上部開口及び下部開口の径より大きくかつ内部の径以下の第1の領域を有し、
前記貫通孔の内部に前記第1の領域を収容されている
事を特徴とする請求項1に記載の表面実装型コネクタ。
【請求項3】
基板と基板に表面実装により搭載されたコネクタとを有し、
前記コネクタは、
筐体と、
前記筐体に取り付けられ、一端を基板表面に接合させ、他端を嵌合対象のコネクタに設けられた端子と嵌合させる為の複数の端子とを有し、
前記複数の端子は、基板に対し離接方向において規制範囲内での移動を許容する状態で筐体に取り付けられている事を特徴とする基板ユニット。
【請求項4】
前記筐体は、上部開口及び下部開口が内部より狭い複数の貫通孔を有し、
前記複数の端子は、
記貫通孔の上部開口及び下部開口の径より大きくかつ内部の径以下の第1の領域を有し、
前記貫通孔の内部に前記第1の領域を収容されている
事を特徴とする請求項3に記載の基板ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2012−190558(P2012−190558A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−50696(P2011−50696)
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】