表面実装型圧電発振器
【課題】圧電振動子とICチップ搭載実装基板との半田接合状態を均一にして、圧電振動子の端子とICチップ搭載実装基板の接続端子との間に正常な半田フィレットを形成させ、近接するIC実装用の電極パッドとの干渉を防止しつつ、当該接合部分の強度を向上した圧電発振器を提供する。
【解決手段】圧電振動子2の端子27と、圧電振動子2と共に発振回路を構成するICチップ33を搭載した実装基板3の接続端子36の間に配置する半田ボール4が溶融した際に、その流動を規制して半田を所定の領域に留置する中間層5を設けた。中間層5は、近接して配置されている配線パターンや電極35に半田ボールの溶融半田が流れないようにする、所謂ソルダレジストとしての機能も有する。
【解決手段】圧電振動子2の端子27と、圧電振動子2と共に発振回路を構成するICチップ33を搭載した実装基板3の接続端子36の間に配置する半田ボール4が溶融した際に、その流動を規制して半田を所定の領域に留置する中間層5を設けた。中間層5は、近接して配置されている配線パターンや電極35に半田ボールの溶融半田が流れないようにする、所謂ソルダレジストとしての機能も有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電発振器に係り、特に、圧電振動子とこの圧電振動子と共に発振回路を構成する集積回路チップ(ICチップ)を半田または金バンプにより接続して発振器とした表面実装型圧電発振器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機や所謂タブレットなどの携帯情報端末、あるいは車載の各種電子機器の普及に伴って、これらの機器に搭載される電子部品の多くは表面実装型デバイス(Surface Mounting Device)と称する小型かつ低背な部品とされるようになった。表面実装型デバイスは、その腹面(実装基板との対向面)に平坦な接続端子(表面実装端子)を備え、実装基板の表面に形成された端子パッド(ランド、或いはランドパターンとも称する)に面―面対応で半田膜を介して接続される。
【0003】
圧電材料としては水晶が一般的なので、ここでは、圧電振動子を水晶振動子、水晶振動子を用いた圧電発振器を水晶発振器として説明する。しかし、本発明は、このような圧電発振器に限るものではなく、SAWフィルタなどの圧電関連部品、積層回路部品、各種のディスクリート部品にも同様に適用できるものである。
【0004】
ここで例として説明する水晶発振器は、小型・軽量であることから周波数や時間の基準源として、単体で、あるいは他の回路に組み込まれて、携帯機器を始めとした各種の電子機器に表面実装される。また、近年、車載機器のような衝撃や温度環境に変化の大きい電子機器では、経時変化(ヒートサイクル)に伴う熱膨張係数差、あるいは外力印加による基板歪等の応力変化に起因する半田クラックの発生、基板あるいは部品本体へのダメージを防止するための強固な半田接続構造を考慮することが求められている。
【0005】
図9は、従来技術による表面実装型圧電発振器の例としての水晶発振器の一構成例を説明する模式断面図である。この水晶発振器1は、水晶振動子2とICチップ33を搭載した実装基板3で構成される。水晶振動子2は、セラミック材料を好適とする底壁層21と枠壁層22とからなる容器本体の当該枠壁層22で囲まれた凹部に水晶片24が収容されている。水晶片24は水晶の薄片の両面に励振電極(図示せず)が形成されており、この励振電極から端縁に延びる引き出し電極(同じく、図示せず)を前記凹部の内底面(一主面)に設けられている一対の水晶保持端子26に導電性接着剤25を用いて固着されている。
【0006】
水晶片24を収納した凹部は金属板で形成した蓋体23で密閉封止されて水晶振動子2としている。なお、蓋体23としては、水晶板、セラミック板、硬質樹脂板などを用いることができる。底壁層21の外底面(他主面)には、ICチップ33を搭載した実装基板3と接続するための外部端子である端子27が設けられている。
【0007】
この例では、ICチップ33を搭載した実装基板3は、セラミック板31と同32の積層基板で構成されている。なお、実装基板3は積層基板に限らず、単層としたものもある。実装基板3の一主面(ICチップ搭載面)には、配線パターンと複数の電極パッド35、および水晶発振器1の端子27を接続するための複数の接続端子36が形成されている。また、実装基板3の他主面(実装面)には、適用する電子機器の回路基板に表面実装するための複数の実装端子37が設けられている。なお、この例では、セラミック板31と同32の中間には、電磁遮蔽機能を奏するグランド層(接地層)38が設けられており、図示しない接地パターンに接続されている。
【0008】
ICチップ33は、その実装バンプ34(金バンプ、等)を電極パッド35に超音波熱圧着等で固着される。さらに、実装基板3との間にエポキシ樹脂を好適とする接着層、あるいはアンダーフィル層39が充填されている。ICチップ33を搭載した実装基板3と水晶振動子2とは、接続端子36の上に配置した半田ボールに水晶振動子2の端子27を位置付けし、半田リフロー処理で半田ボールを溶融し、硬化させて固着する。なお、水晶振動子2の他主面とICチップの間をエポキシ樹脂等の接着剤28で接着したものもある。なお、この種の発振器に関する従来技術を開示したものとしては、特許文献1を挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−180012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記したように、水晶発振器1は、水晶振動子2をICチップ33を搭載した実装基板3の接続端子36の上に半田ボール4を配置して仮固定し、リフロー処理で半田ボール4を溶融して接続端子36と水晶振動子2の端子27を接続し、半田の硬化で両者を固着する。
【0011】
図10は、図9の構成における水晶振動子とICチップを搭載した実装基板との接続状態の説明図である。図10(a)はICチップを搭載した実装基板3の一主面に形成された接続端子パターンの一例を示す平面図、同図(b)は実装基板32の接続端子36に半田ボールを仮固着した状態図で、同図(a)のY−Y’線に沿った断面を示す。また、図11は、水晶振動子の端子を半田ボールで固着した状態図である。図10(a)に示されたように、実装基板3の一主面(水晶振動子と対向する面)にはICチップの実装バンプと接続する電極パッド35と、水晶振動子の端子27と半田ボールを介して接続する接続端子36を含む配線パターンが形成されている。
【0012】
図10(b)は実装基板32の接続端子36に仮固着した半田ボールがリフロー処理で溶融する状態を示す。半田ボール4が接続端子36の上に正しく配置されない場合、溶融した半田40は接続端子36から外に流れ出してしまう。そのため、水晶振動子21を接続した際に、図11に示したように水晶振動子21の端子27との間に形成される硬化半田の外観形状である半田フィレットはいびつな形になると共に、接続端子36と水晶振動子21の端子27を固着する半田量が十分でなくなり、固着強度の低下をもたらす。これらは、全て製品の歩留まり向上の障りとなる。
【0013】
さらに、上記のような複数個所の半田接続の状態が各接続部分で不均一になると、電子機器に実装した後に、外部からの衝撃の印加や経時的に繰り返される温度変化の累積(温度ストレス)により、上記の接続部分に応力が集中して水晶振動子と実装基板との接続部分における接合力の分布が不均衡になり、接合部分の分離や接合部にクラックが発生して機能不全をもたらす畏れがある。
【0014】
本発明の目的は、水晶振動子とICチップ搭載実装基板との半田接合状態を均一にして、水晶振動子の端子とICチップ搭載実装基板の接続端子との間に正常な半田フィレットを形成させ、近接するIC実装用の電極パッドとの干渉を防止しつつ、当該接合部分の強度を向上した水晶発振器に代表される圧電発振器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため、本発明は、水晶振動子と共に発振回路を構成するICチップを搭載した実装基板の接続端子の間に配置する半田ボールが溶融した際に、その流動を規制して半田を所定の領域に留置する中間層を設けたことを特徴とする。この中間層は、近接して配置されている配線パターンや電極に半田ボールの溶融半田が流れないようにする、所謂ソルダレジストとしての機能も有する。その材料としては、当該実装基板と同様のセラミックシート、あるいはセラミックペースト、等が用いられる。
【0016】
中間層5にセラミックシートを用いる場合は、製品となった状態での水晶振動子と実装基板との間に形成される間隙以下の厚みを持つセラミックシートに、実装基板3に有する接続端子の位置に対応する位置に半田ボール配置穴とICチップ実装バンプ領域に対応する開口を形成したものを実装基板の一主面に設置する。これを実装基板と共焼成して一体化する。なお、実装基板を構成する複数のセラミックシートの間には外部との電磁遮蔽層となる接地層として金属膜(銅、タングステン、等)を形成するのが望ましい。
【0017】
また、中間層5としてセラミックペーストを用いる場合には、実装基板と同種のセラミック材料の微粒子を分散媒に分散し、適当な粘度のスラリーとしたものをスクリーン印刷、あるいはディスペンサを用いる方法などで上記と同様に半田ボール配置開口とICチップ実装バンプ領域に対応する開口(ICチップ搭載部開口)を形成するように塗布する。これを実装基板と共焼成する。それ以外は上記したセラミックシートを用いるものと同様である。
【発明の効果】
【0018】
中間層に形成した複数の半田ボール配置開口により、複数の半田ボールがそれぞれに決められた所定の配置位置に規制されるため、配置された各半田ボールの仮固定、およびリフロー処理での本固着時に、溶融し、その後硬化した状態で水晶振動子の端子と実装基板の接続端子との間に綺麗な形状の半田フィレットが均一に形成される。また、実装基板の接続端子から外への溶融した半田の流れ出しも防止されて、隣接する他の配線あるいは電極パターンへの干渉が防止され、短絡による製品不良の発生が著しく抑制される。そのため、水晶振動子と実装基板との均一かつ強固な接続が可能となり、信頼性の高い水晶発振器等の圧電発振器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明による表面実装型圧電発振器の実施例1である表面実装型水晶発振器を説明する展開図である。
【図2】本発明の実施例1に用いる中間層と実装基板の一主面に形成した電極パッドと接続端子の配置例の説明図である。
【図3】本発明の実施例1に用いる中間層と実装基板の配置関係の説明図である。
【図4】本発明の実施例1における実装基板の電極パッドと半田ボールの配置状態の説明図である。
【図5】本発明の実施例1における実装基板の電極パッドに対する半田ボールの配置状態の説明図である。
【図6】本発明の実施例1における実装基板の電極パッドと水晶振動子の端子との間に形成される半田フィレットの形成状態の説明図である。
【図7】本発明による表面実装型圧電発振器の実施例2である表面実装型水晶発振器を説明する展開図である。
【図8】本発明の実施例3に用いる中間層と実装基板の一主面に形成した電極パッドと接続端子の配置例の説明図である。
【図9】従来技術による表面実装型圧電発振器の例としての水晶発振器の一構成例を説明する模式断面図である。
【図10】図9の構成における水晶振動子とICを搭載した実装基板との接続状態の説明図である。
【図11】図9の構成における水晶振動子の端子を半田ボールで固着した状態図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、実施例の図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0021】
図1は、本発明による表面実装型圧電発振器の実施例1である表面実装型水晶発振器を説明する展開図である。実施例1に係る水晶発振器1は、水晶振動子2とICチップ33を搭載した実装基板3で構成される。水晶振動子2は、底壁層21と枠壁層22とからなる容器本体の当該枠壁層22で囲まれた凹部に水晶片24が収容されている。水晶片24は水晶の薄片の表裏両面に励振電極(図示せず)が形成されており、この励振電極から一端縁に延びる引き出し電極(同じく、図示せず)を前記凹部の内底面(一主面)に設けられている一対の水晶保持端子26に導電性接着剤25を用いて固着されている。
【0022】
水晶片24を収納した凹部は金属板で形成した蓋体23で密閉封止されて水晶振動子2としている。蓋体23としては、この他に、水晶板、セラミック板、硬質樹脂板なども用いることができる。金属板の蓋体を用いる場合には、枠壁層22との間に蓋体23と同様の金属薄膜を介してシーム溶接される。また、底壁層21の外底面(他主面)には、ICチップ33を搭載した実装基板3と接続するための端子(外部端子)27が設けられている。
【0023】
ICチップ33を搭載した実装基板3は、セラミック板31と同32の積層基板で構成されている。この例では、実装基板3を積層基板としてあるが、単層としたものもある。実装基板3の一主面(ICチップ搭載面)には、複数の配線パターンや電極パッド35、および水晶発振器1を接続するための複数の接続端子36が形成されている。また、実装基板3の他主面(実装面)には適用する電子機器に実装するための複数の実装端子37が設けられている。なお、セラミック板31と同32の中間には、電磁遮蔽機能を有するグランド層(接地層)38が設けられており、実装基板に設けられた図示しない接地パターンに接続されている。
【0024】
実施例1では、水晶振動子2と実装基板3の間に中間層5を介挿している。この中間層5は半田ボール4を接続端子36の上に正確に配置する機能を有すると共に、半田ボール4を配置する接続端子36に近接して配置されている配線パターンや電極パッド35に半田ボール4の溶融半田が流れないようにする、所謂ソルダレジストとしての機能も有する。中間層5は、実装基板3と同様のセラミックシートを用いる。
【0025】
図2は、本発明の実施例1に用いる中間層と実装基板の一主面に形成した電極パッドと接続端子の配置例の説明図である。図2(a)は実装基板3の一主面(水晶振動子2と対向する面)の平面図で、水晶振動子2の端子27と接続する複数の接続端子36、これらの接続端子に近接して配置されている複数の配線パターンや電極パッド35が形成されている。これらの接続端子36、配線パターンや電極パッド35は実装基板3に設けた図示しないスルーホールやビアホールを介してICチップ33や実装端子37に接続している。
【0026】
図2(b)は中間層5の平面図で、その四隅に半田ボール載置部開口51が形成されており、ICチップの配置領域となる中央部にはICチップ搭載部開口52が形成されている。図2(c)は実装基板3と中間層5とを一体にした平面図である。この平面図に示されたように、中間層5の半田ボール載置部開口51には接続端子36が露呈し、ICチップ搭載部開口52には配線パターンや電極パッド35が露呈している。
【0027】
また、図3は、本発明の実施例1に用いる中間層と実装基板の配置関係の説明図である。図3は図2をさらに詳しく説明するもので、中間層5の半田ボール載置部開口51の中心が接続端子36の中心に対応するように中間層5と実装基板3が積層されている。
【0028】
図4は、本発明の実施例1における実装基板の電極パッドと半田ボールの配置状態の説明図である。図4の(a)は図2(c)に対応する。図4の(b)は図4の(a)のX−X’線に沿った部分断面図である。半田ボール4は中間層5の半田ボール載置部開口51に載置される。半田ボール載置部開口51は接続端子36の略中心に一致した中心を有するので、半田ボール4は接続端子36から外れることなく載置され、接続端子36に塗布されたフラックスにより仮固定される。(図示せず)図4の(b)は半田ボール4を接続端子36に仮固定した状態を示す。
【0029】
図5は、本発明の実施例1における実装基板の電極パッドに対する半田ボールの配置状態の説明図である。図4(b)で説明したように半田ボール4を配置した実装基板3に水晶振動子2を太矢印に示したように張り合わせる。その状態でリフロー炉に通して半田ボール4を溶融し、リフロー炉を通過後に半田が硬化する。半田が硬化した状態を図6に示す。
【0030】
図6は、本発明の実施例1における実装基板の電極パッドと水晶振動子の端子との間に形成される半田フィレットの形成状態の説明図である。図示されたように、半田の流れ出しがないので、半田フィレット40は水晶振動子2の端子27と接続端子36との間でバランスの取れた側壁外観形状を呈するように形成される。
【0031】
上記したように、中間層5は、製品となった状態での水晶振動子と実装基板との間に形成される間隙以下の厚みを持つセラミックシートに、実装基板3に有する接続端子36の位置に対応する位置に半田ボール載置部開口51とICチップ実装バンプ領域に対応する開口(ICチップ搭載部開口)52を形成したものを実装基板の一主面に設置する。これを実装基板と共焼成して一体化する。なお、実装基板を構成する複数のセラミックシートの間には外部との電磁遮蔽層となる接地層として金属膜(銅、タングステン、等)を形成するのが望ましい。
【0032】
中間層5に形成した複数の半田ボール載置部開口51により、複数の半田ボール4がそれぞれに決められた所定の配置位置に規制されるため、配置された各半田ボール4の仮固定、およびリフロー処理での本固着時に、溶融し硬化した状態で水晶振動子の端子27と実装基板3の接続端子36との間に綺麗な形状の半田フィレットが均一に形成される。また、実装基板3の接続端子36から外への溶融した半田の流れ出しも防止され、隣接する他の配線パターンあるいは電極パッド35への干渉が防止され、短絡による製品不良の発生が抑制される。これにより、水晶振動子2と実装基板3との均一かつ強固な接続が可能となり、信頼性の高い水晶発振器等の圧電発振器を提供できる。
【実施例2】
【0033】
図7は、本発明による表面実装型圧電発振器の実施例2である表面実装型水晶発振器を説明する展開図である。水晶発振器1の全体構造は、中間層50を除いて実施例1と同様であるため、特に必要とする事項以外は重複する説明を省略する。
【0034】
実施例2では、中間層50としてセラミックペーストの塗布層を焼成したものを用いる。セラミックペーストは、実装基板3と同種のセラミック材料の微粒子を分散媒に分散し、適当な粘度のスラリーとしたものをスクリーン印刷、あるいはディスペンサを用いる方法などで上記と同様に半田ボール搭載部開口51とICチップ実装バンプ領域に対応する開口であるICチップ搭載部開口52を形成するように塗布する。これを実装基板3と共焼成して一体化する。
【0035】
中間層50を形成した実装基板3にICチップ33を搭載する。ICチップ33の搭載は、IC実装バンプ34を電極パッド35に超音波熱圧着で固定して行う。その後、半田ボール載置部開口51に半田ボール4を載置し、仮固定した後にリフロー炉に通して半田ボール4を溶融し、リフロー炉を通過後に半田が硬化する。半田が硬化した状態は前記図6に示したものと同様である。
【0036】
実施例2によっても、中間層50に形成した複数の半田ボール載置部開口51により、複数の半田ボール4がそれぞれに決められた所定の配置位置に規制されるため、配置された各半田ボール4の仮固定、およびリフロー処理での本固着時に、溶融し硬化した状態で水晶振動子の端子27と実装基板3の接続端子36との間に綺麗な外観形状を呈する半田フィレットが均一に形成される。また、実装基板3の接続端子36から外への溶融した半田の流れ出しも防止され、隣接する他の配線パターンあるいは電極パッド35への干渉が防止され、短絡による製品不良の発生が抑制される。これにより、水晶振動子2と実装基板3との均一かつ強固な接続が可能となり、信頼性の高い水晶発振器等の圧電発振器を提供できる。
【実施例3】
【0037】
図8は、本発明の実施例3に用いる中間層と実装基板の一主面に形成した電極パッドと接続端子の配置例の説明図である。実施例3は、実施例2の変形例でもあり、ICチップ実装基板3に形成される半田ボールを載置する電極パッド35のうち、単独で形成された電極パッドを除いたもの、すなわち図8の(a)に向かって右下の電極パッド36−3を除いた配線パターンと繋がった形状を持つ電極パッド36−1、36−2、36−4について、それらに繋がる配線パターン側に中間層50を設けたものである。
【0038】
この中間層50は、セラミックのスラリーを用い、図8の(b)に示した開口51を形成した印刷マスク60によるスクリーン印刷で形成するか、或いは適宜のディスペンサを用いて形成する。その後、実装基板と共に共焼成される。
【0039】
図8の(c)に示したように、配線パターンと繋がった形状を持つ電極パッド36−1、36−2、36−4の当該配線パターンとの接続側に中間層50を設けたことにより、電極パッドに載置される半田ボールは所定の中心位置に配置されると共に、半田ボールがリフロー処理で溶融したときに、溶融半田が配線パターンに濡れ流れることが防止され、隣接する他の配線パターンあるいは電極パッド35への干渉が阻止されて、短絡による製品不良の発生が防止される。
【0040】
このように、電極パッド36−1、36−2、36−4への半田ボールは、単独で形成された電極パッド36−3と同様にそれらの中心部分に載置され、溶融し硬化した状態で水晶振動子の全ての端子27と実装基板3の接続端子36−1、36−2、36−3、36−4との間に綺麗な外観形状を呈する半田フィレットが均一に形成される。これにより、水晶振動子2と実装基板3との均一かつ強固な接続が可能となり、信頼性の高い水晶発振器等の圧電発振器を提供できる。
【0041】
なお、図8で説明した中間層50を、印刷ではなく、例えば、予めセラミックシートから刳り抜いたチップ状のものを配線パターンと繋がった形状を持つ電極パッド36−1、36−2、36−4の配線パターン側に載置し、これを実装基板と共焼成して中間層とすることもできる。
【0042】
以上説明した各実施例において、ICチップ33は、その実装バンプ34(金バンプ、等)を電極パッド35に超音波熱圧着等で固着するが、さらに、実装基板3との間にエポキシ樹脂を好適とする接着層、あるいはアンダーフィル層を充填してもよい。なお、水晶振動子2の他主面とICチップ33の間を、前記図8で説明したものと同様に、エポキシ樹脂等の接着剤で接着するのが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、実施例で説明した実装基板への水晶振動子等の圧電振動子の実装に限るものではなく、SAWフィルタなどの複合部品の実装にも同様に適用できる。
【符号の説明】
【0044】
1・・・水晶発振器、2・・・水晶振動子、21・・・底壁層、22・・・枠壁層、23・・・蓋体、24・・・水晶片、25・・・導電性接着剤、26・・・水晶保持端子、27・・・水晶振動子の端子、28・・・接着剤、3・・・ICチップ実装基板、31,32・・・セラミック板、33・・・ICチップ、34・・・ICチップ実装バンプ、35・・・電極パッド、36・・・接続端子、37・・・実装端子、38・・・接地層、39・・・接着層、4・・・半田ボール、5,50・・・中間層、51・・・半田ボール載置部開口、52・・・ICチップ搭載部開口。
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電発振器に係り、特に、圧電振動子とこの圧電振動子と共に発振回路を構成する集積回路チップ(ICチップ)を半田または金バンプにより接続して発振器とした表面実装型圧電発振器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機や所謂タブレットなどの携帯情報端末、あるいは車載の各種電子機器の普及に伴って、これらの機器に搭載される電子部品の多くは表面実装型デバイス(Surface Mounting Device)と称する小型かつ低背な部品とされるようになった。表面実装型デバイスは、その腹面(実装基板との対向面)に平坦な接続端子(表面実装端子)を備え、実装基板の表面に形成された端子パッド(ランド、或いはランドパターンとも称する)に面―面対応で半田膜を介して接続される。
【0003】
圧電材料としては水晶が一般的なので、ここでは、圧電振動子を水晶振動子、水晶振動子を用いた圧電発振器を水晶発振器として説明する。しかし、本発明は、このような圧電発振器に限るものではなく、SAWフィルタなどの圧電関連部品、積層回路部品、各種のディスクリート部品にも同様に適用できるものである。
【0004】
ここで例として説明する水晶発振器は、小型・軽量であることから周波数や時間の基準源として、単体で、あるいは他の回路に組み込まれて、携帯機器を始めとした各種の電子機器に表面実装される。また、近年、車載機器のような衝撃や温度環境に変化の大きい電子機器では、経時変化(ヒートサイクル)に伴う熱膨張係数差、あるいは外力印加による基板歪等の応力変化に起因する半田クラックの発生、基板あるいは部品本体へのダメージを防止するための強固な半田接続構造を考慮することが求められている。
【0005】
図9は、従来技術による表面実装型圧電発振器の例としての水晶発振器の一構成例を説明する模式断面図である。この水晶発振器1は、水晶振動子2とICチップ33を搭載した実装基板3で構成される。水晶振動子2は、セラミック材料を好適とする底壁層21と枠壁層22とからなる容器本体の当該枠壁層22で囲まれた凹部に水晶片24が収容されている。水晶片24は水晶の薄片の両面に励振電極(図示せず)が形成されており、この励振電極から端縁に延びる引き出し電極(同じく、図示せず)を前記凹部の内底面(一主面)に設けられている一対の水晶保持端子26に導電性接着剤25を用いて固着されている。
【0006】
水晶片24を収納した凹部は金属板で形成した蓋体23で密閉封止されて水晶振動子2としている。なお、蓋体23としては、水晶板、セラミック板、硬質樹脂板などを用いることができる。底壁層21の外底面(他主面)には、ICチップ33を搭載した実装基板3と接続するための外部端子である端子27が設けられている。
【0007】
この例では、ICチップ33を搭載した実装基板3は、セラミック板31と同32の積層基板で構成されている。なお、実装基板3は積層基板に限らず、単層としたものもある。実装基板3の一主面(ICチップ搭載面)には、配線パターンと複数の電極パッド35、および水晶発振器1の端子27を接続するための複数の接続端子36が形成されている。また、実装基板3の他主面(実装面)には、適用する電子機器の回路基板に表面実装するための複数の実装端子37が設けられている。なお、この例では、セラミック板31と同32の中間には、電磁遮蔽機能を奏するグランド層(接地層)38が設けられており、図示しない接地パターンに接続されている。
【0008】
ICチップ33は、その実装バンプ34(金バンプ、等)を電極パッド35に超音波熱圧着等で固着される。さらに、実装基板3との間にエポキシ樹脂を好適とする接着層、あるいはアンダーフィル層39が充填されている。ICチップ33を搭載した実装基板3と水晶振動子2とは、接続端子36の上に配置した半田ボールに水晶振動子2の端子27を位置付けし、半田リフロー処理で半田ボールを溶融し、硬化させて固着する。なお、水晶振動子2の他主面とICチップの間をエポキシ樹脂等の接着剤28で接着したものもある。なお、この種の発振器に関する従来技術を開示したものとしては、特許文献1を挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−180012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記したように、水晶発振器1は、水晶振動子2をICチップ33を搭載した実装基板3の接続端子36の上に半田ボール4を配置して仮固定し、リフロー処理で半田ボール4を溶融して接続端子36と水晶振動子2の端子27を接続し、半田の硬化で両者を固着する。
【0011】
図10は、図9の構成における水晶振動子とICチップを搭載した実装基板との接続状態の説明図である。図10(a)はICチップを搭載した実装基板3の一主面に形成された接続端子パターンの一例を示す平面図、同図(b)は実装基板32の接続端子36に半田ボールを仮固着した状態図で、同図(a)のY−Y’線に沿った断面を示す。また、図11は、水晶振動子の端子を半田ボールで固着した状態図である。図10(a)に示されたように、実装基板3の一主面(水晶振動子と対向する面)にはICチップの実装バンプと接続する電極パッド35と、水晶振動子の端子27と半田ボールを介して接続する接続端子36を含む配線パターンが形成されている。
【0012】
図10(b)は実装基板32の接続端子36に仮固着した半田ボールがリフロー処理で溶融する状態を示す。半田ボール4が接続端子36の上に正しく配置されない場合、溶融した半田40は接続端子36から外に流れ出してしまう。そのため、水晶振動子21を接続した際に、図11に示したように水晶振動子21の端子27との間に形成される硬化半田の外観形状である半田フィレットはいびつな形になると共に、接続端子36と水晶振動子21の端子27を固着する半田量が十分でなくなり、固着強度の低下をもたらす。これらは、全て製品の歩留まり向上の障りとなる。
【0013】
さらに、上記のような複数個所の半田接続の状態が各接続部分で不均一になると、電子機器に実装した後に、外部からの衝撃の印加や経時的に繰り返される温度変化の累積(温度ストレス)により、上記の接続部分に応力が集中して水晶振動子と実装基板との接続部分における接合力の分布が不均衡になり、接合部分の分離や接合部にクラックが発生して機能不全をもたらす畏れがある。
【0014】
本発明の目的は、水晶振動子とICチップ搭載実装基板との半田接合状態を均一にして、水晶振動子の端子とICチップ搭載実装基板の接続端子との間に正常な半田フィレットを形成させ、近接するIC実装用の電極パッドとの干渉を防止しつつ、当該接合部分の強度を向上した水晶発振器に代表される圧電発振器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため、本発明は、水晶振動子と共に発振回路を構成するICチップを搭載した実装基板の接続端子の間に配置する半田ボールが溶融した際に、その流動を規制して半田を所定の領域に留置する中間層を設けたことを特徴とする。この中間層は、近接して配置されている配線パターンや電極に半田ボールの溶融半田が流れないようにする、所謂ソルダレジストとしての機能も有する。その材料としては、当該実装基板と同様のセラミックシート、あるいはセラミックペースト、等が用いられる。
【0016】
中間層5にセラミックシートを用いる場合は、製品となった状態での水晶振動子と実装基板との間に形成される間隙以下の厚みを持つセラミックシートに、実装基板3に有する接続端子の位置に対応する位置に半田ボール配置穴とICチップ実装バンプ領域に対応する開口を形成したものを実装基板の一主面に設置する。これを実装基板と共焼成して一体化する。なお、実装基板を構成する複数のセラミックシートの間には外部との電磁遮蔽層となる接地層として金属膜(銅、タングステン、等)を形成するのが望ましい。
【0017】
また、中間層5としてセラミックペーストを用いる場合には、実装基板と同種のセラミック材料の微粒子を分散媒に分散し、適当な粘度のスラリーとしたものをスクリーン印刷、あるいはディスペンサを用いる方法などで上記と同様に半田ボール配置開口とICチップ実装バンプ領域に対応する開口(ICチップ搭載部開口)を形成するように塗布する。これを実装基板と共焼成する。それ以外は上記したセラミックシートを用いるものと同様である。
【発明の効果】
【0018】
中間層に形成した複数の半田ボール配置開口により、複数の半田ボールがそれぞれに決められた所定の配置位置に規制されるため、配置された各半田ボールの仮固定、およびリフロー処理での本固着時に、溶融し、その後硬化した状態で水晶振動子の端子と実装基板の接続端子との間に綺麗な形状の半田フィレットが均一に形成される。また、実装基板の接続端子から外への溶融した半田の流れ出しも防止されて、隣接する他の配線あるいは電極パターンへの干渉が防止され、短絡による製品不良の発生が著しく抑制される。そのため、水晶振動子と実装基板との均一かつ強固な接続が可能となり、信頼性の高い水晶発振器等の圧電発振器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明による表面実装型圧電発振器の実施例1である表面実装型水晶発振器を説明する展開図である。
【図2】本発明の実施例1に用いる中間層と実装基板の一主面に形成した電極パッドと接続端子の配置例の説明図である。
【図3】本発明の実施例1に用いる中間層と実装基板の配置関係の説明図である。
【図4】本発明の実施例1における実装基板の電極パッドと半田ボールの配置状態の説明図である。
【図5】本発明の実施例1における実装基板の電極パッドに対する半田ボールの配置状態の説明図である。
【図6】本発明の実施例1における実装基板の電極パッドと水晶振動子の端子との間に形成される半田フィレットの形成状態の説明図である。
【図7】本発明による表面実装型圧電発振器の実施例2である表面実装型水晶発振器を説明する展開図である。
【図8】本発明の実施例3に用いる中間層と実装基板の一主面に形成した電極パッドと接続端子の配置例の説明図である。
【図9】従来技術による表面実装型圧電発振器の例としての水晶発振器の一構成例を説明する模式断面図である。
【図10】図9の構成における水晶振動子とICを搭載した実装基板との接続状態の説明図である。
【図11】図9の構成における水晶振動子の端子を半田ボールで固着した状態図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、実施例の図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0021】
図1は、本発明による表面実装型圧電発振器の実施例1である表面実装型水晶発振器を説明する展開図である。実施例1に係る水晶発振器1は、水晶振動子2とICチップ33を搭載した実装基板3で構成される。水晶振動子2は、底壁層21と枠壁層22とからなる容器本体の当該枠壁層22で囲まれた凹部に水晶片24が収容されている。水晶片24は水晶の薄片の表裏両面に励振電極(図示せず)が形成されており、この励振電極から一端縁に延びる引き出し電極(同じく、図示せず)を前記凹部の内底面(一主面)に設けられている一対の水晶保持端子26に導電性接着剤25を用いて固着されている。
【0022】
水晶片24を収納した凹部は金属板で形成した蓋体23で密閉封止されて水晶振動子2としている。蓋体23としては、この他に、水晶板、セラミック板、硬質樹脂板なども用いることができる。金属板の蓋体を用いる場合には、枠壁層22との間に蓋体23と同様の金属薄膜を介してシーム溶接される。また、底壁層21の外底面(他主面)には、ICチップ33を搭載した実装基板3と接続するための端子(外部端子)27が設けられている。
【0023】
ICチップ33を搭載した実装基板3は、セラミック板31と同32の積層基板で構成されている。この例では、実装基板3を積層基板としてあるが、単層としたものもある。実装基板3の一主面(ICチップ搭載面)には、複数の配線パターンや電極パッド35、および水晶発振器1を接続するための複数の接続端子36が形成されている。また、実装基板3の他主面(実装面)には適用する電子機器に実装するための複数の実装端子37が設けられている。なお、セラミック板31と同32の中間には、電磁遮蔽機能を有するグランド層(接地層)38が設けられており、実装基板に設けられた図示しない接地パターンに接続されている。
【0024】
実施例1では、水晶振動子2と実装基板3の間に中間層5を介挿している。この中間層5は半田ボール4を接続端子36の上に正確に配置する機能を有すると共に、半田ボール4を配置する接続端子36に近接して配置されている配線パターンや電極パッド35に半田ボール4の溶融半田が流れないようにする、所謂ソルダレジストとしての機能も有する。中間層5は、実装基板3と同様のセラミックシートを用いる。
【0025】
図2は、本発明の実施例1に用いる中間層と実装基板の一主面に形成した電極パッドと接続端子の配置例の説明図である。図2(a)は実装基板3の一主面(水晶振動子2と対向する面)の平面図で、水晶振動子2の端子27と接続する複数の接続端子36、これらの接続端子に近接して配置されている複数の配線パターンや電極パッド35が形成されている。これらの接続端子36、配線パターンや電極パッド35は実装基板3に設けた図示しないスルーホールやビアホールを介してICチップ33や実装端子37に接続している。
【0026】
図2(b)は中間層5の平面図で、その四隅に半田ボール載置部開口51が形成されており、ICチップの配置領域となる中央部にはICチップ搭載部開口52が形成されている。図2(c)は実装基板3と中間層5とを一体にした平面図である。この平面図に示されたように、中間層5の半田ボール載置部開口51には接続端子36が露呈し、ICチップ搭載部開口52には配線パターンや電極パッド35が露呈している。
【0027】
また、図3は、本発明の実施例1に用いる中間層と実装基板の配置関係の説明図である。図3は図2をさらに詳しく説明するもので、中間層5の半田ボール載置部開口51の中心が接続端子36の中心に対応するように中間層5と実装基板3が積層されている。
【0028】
図4は、本発明の実施例1における実装基板の電極パッドと半田ボールの配置状態の説明図である。図4の(a)は図2(c)に対応する。図4の(b)は図4の(a)のX−X’線に沿った部分断面図である。半田ボール4は中間層5の半田ボール載置部開口51に載置される。半田ボール載置部開口51は接続端子36の略中心に一致した中心を有するので、半田ボール4は接続端子36から外れることなく載置され、接続端子36に塗布されたフラックスにより仮固定される。(図示せず)図4の(b)は半田ボール4を接続端子36に仮固定した状態を示す。
【0029】
図5は、本発明の実施例1における実装基板の電極パッドに対する半田ボールの配置状態の説明図である。図4(b)で説明したように半田ボール4を配置した実装基板3に水晶振動子2を太矢印に示したように張り合わせる。その状態でリフロー炉に通して半田ボール4を溶融し、リフロー炉を通過後に半田が硬化する。半田が硬化した状態を図6に示す。
【0030】
図6は、本発明の実施例1における実装基板の電極パッドと水晶振動子の端子との間に形成される半田フィレットの形成状態の説明図である。図示されたように、半田の流れ出しがないので、半田フィレット40は水晶振動子2の端子27と接続端子36との間でバランスの取れた側壁外観形状を呈するように形成される。
【0031】
上記したように、中間層5は、製品となった状態での水晶振動子と実装基板との間に形成される間隙以下の厚みを持つセラミックシートに、実装基板3に有する接続端子36の位置に対応する位置に半田ボール載置部開口51とICチップ実装バンプ領域に対応する開口(ICチップ搭載部開口)52を形成したものを実装基板の一主面に設置する。これを実装基板と共焼成して一体化する。なお、実装基板を構成する複数のセラミックシートの間には外部との電磁遮蔽層となる接地層として金属膜(銅、タングステン、等)を形成するのが望ましい。
【0032】
中間層5に形成した複数の半田ボール載置部開口51により、複数の半田ボール4がそれぞれに決められた所定の配置位置に規制されるため、配置された各半田ボール4の仮固定、およびリフロー処理での本固着時に、溶融し硬化した状態で水晶振動子の端子27と実装基板3の接続端子36との間に綺麗な形状の半田フィレットが均一に形成される。また、実装基板3の接続端子36から外への溶融した半田の流れ出しも防止され、隣接する他の配線パターンあるいは電極パッド35への干渉が防止され、短絡による製品不良の発生が抑制される。これにより、水晶振動子2と実装基板3との均一かつ強固な接続が可能となり、信頼性の高い水晶発振器等の圧電発振器を提供できる。
【実施例2】
【0033】
図7は、本発明による表面実装型圧電発振器の実施例2である表面実装型水晶発振器を説明する展開図である。水晶発振器1の全体構造は、中間層50を除いて実施例1と同様であるため、特に必要とする事項以外は重複する説明を省略する。
【0034】
実施例2では、中間層50としてセラミックペーストの塗布層を焼成したものを用いる。セラミックペーストは、実装基板3と同種のセラミック材料の微粒子を分散媒に分散し、適当な粘度のスラリーとしたものをスクリーン印刷、あるいはディスペンサを用いる方法などで上記と同様に半田ボール搭載部開口51とICチップ実装バンプ領域に対応する開口であるICチップ搭載部開口52を形成するように塗布する。これを実装基板3と共焼成して一体化する。
【0035】
中間層50を形成した実装基板3にICチップ33を搭載する。ICチップ33の搭載は、IC実装バンプ34を電極パッド35に超音波熱圧着で固定して行う。その後、半田ボール載置部開口51に半田ボール4を載置し、仮固定した後にリフロー炉に通して半田ボール4を溶融し、リフロー炉を通過後に半田が硬化する。半田が硬化した状態は前記図6に示したものと同様である。
【0036】
実施例2によっても、中間層50に形成した複数の半田ボール載置部開口51により、複数の半田ボール4がそれぞれに決められた所定の配置位置に規制されるため、配置された各半田ボール4の仮固定、およびリフロー処理での本固着時に、溶融し硬化した状態で水晶振動子の端子27と実装基板3の接続端子36との間に綺麗な外観形状を呈する半田フィレットが均一に形成される。また、実装基板3の接続端子36から外への溶融した半田の流れ出しも防止され、隣接する他の配線パターンあるいは電極パッド35への干渉が防止され、短絡による製品不良の発生が抑制される。これにより、水晶振動子2と実装基板3との均一かつ強固な接続が可能となり、信頼性の高い水晶発振器等の圧電発振器を提供できる。
【実施例3】
【0037】
図8は、本発明の実施例3に用いる中間層と実装基板の一主面に形成した電極パッドと接続端子の配置例の説明図である。実施例3は、実施例2の変形例でもあり、ICチップ実装基板3に形成される半田ボールを載置する電極パッド35のうち、単独で形成された電極パッドを除いたもの、すなわち図8の(a)に向かって右下の電極パッド36−3を除いた配線パターンと繋がった形状を持つ電極パッド36−1、36−2、36−4について、それらに繋がる配線パターン側に中間層50を設けたものである。
【0038】
この中間層50は、セラミックのスラリーを用い、図8の(b)に示した開口51を形成した印刷マスク60によるスクリーン印刷で形成するか、或いは適宜のディスペンサを用いて形成する。その後、実装基板と共に共焼成される。
【0039】
図8の(c)に示したように、配線パターンと繋がった形状を持つ電極パッド36−1、36−2、36−4の当該配線パターンとの接続側に中間層50を設けたことにより、電極パッドに載置される半田ボールは所定の中心位置に配置されると共に、半田ボールがリフロー処理で溶融したときに、溶融半田が配線パターンに濡れ流れることが防止され、隣接する他の配線パターンあるいは電極パッド35への干渉が阻止されて、短絡による製品不良の発生が防止される。
【0040】
このように、電極パッド36−1、36−2、36−4への半田ボールは、単独で形成された電極パッド36−3と同様にそれらの中心部分に載置され、溶融し硬化した状態で水晶振動子の全ての端子27と実装基板3の接続端子36−1、36−2、36−3、36−4との間に綺麗な外観形状を呈する半田フィレットが均一に形成される。これにより、水晶振動子2と実装基板3との均一かつ強固な接続が可能となり、信頼性の高い水晶発振器等の圧電発振器を提供できる。
【0041】
なお、図8で説明した中間層50を、印刷ではなく、例えば、予めセラミックシートから刳り抜いたチップ状のものを配線パターンと繋がった形状を持つ電極パッド36−1、36−2、36−4の配線パターン側に載置し、これを実装基板と共焼成して中間層とすることもできる。
【0042】
以上説明した各実施例において、ICチップ33は、その実装バンプ34(金バンプ、等)を電極パッド35に超音波熱圧着等で固着するが、さらに、実装基板3との間にエポキシ樹脂を好適とする接着層、あるいはアンダーフィル層を充填してもよい。なお、水晶振動子2の他主面とICチップ33の間を、前記図8で説明したものと同様に、エポキシ樹脂等の接着剤で接着するのが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、実施例で説明した実装基板への水晶振動子等の圧電振動子の実装に限るものではなく、SAWフィルタなどの複合部品の実装にも同様に適用できる。
【符号の説明】
【0044】
1・・・水晶発振器、2・・・水晶振動子、21・・・底壁層、22・・・枠壁層、23・・・蓋体、24・・・水晶片、25・・・導電性接着剤、26・・・水晶保持端子、27・・・水晶振動子の端子、28・・・接着剤、3・・・ICチップ実装基板、31,32・・・セラミック板、33・・・ICチップ、34・・・ICチップ実装バンプ、35・・・電極パッド、36・・・接続端子、37・・・実装端子、38・・・接地層、39・・・接着層、4・・・半田ボール、5,50・・・中間層、51・・・半田ボール載置部開口、52・・・ICチップ搭載部開口。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電振動子と、前記圧電振動子と共に発振回路を構成するICチップを搭載した実装基板とを半田ボールを用いて接合した表面実装型圧電発振器であって、
前記圧電振動子は、底壁層と、前記底壁の一主面に積層して凹部を形成する枠壁層からなる容器本体を有し、前記凹部に圧電振動片を収容すると共に、その開口端を蓋体で密閉封止してなり、前記容器本体を構成する前記底壁層の他主面に前記実装基板と接続する端子が設けられており、
前記実装基板はセラミックシートで構成され、当該実装基板の前記圧電振動子と対向する前記一主面には、前記圧電振動子の端子との間で半田ボールを溶融硬化して接続された接続端子を有すると共に、前記ICチップの実装バンプを接続した電極パッドを有する配線パターンが形成されており、
前記実装基板の前記一主面には、前記接続端子の中央位置に前記半田ボールを配置するための半田ボール載置部開口と、前記ICチップを搭載するためのICチップ搭載部開口とを有する中間層を前記実装基板と一体に成型されてなり、
前記実装基板の前記他主面には、電子機器に実装するための表面実装端子を備えたことを特徴とする表面実装型圧電発振器。
【請求項2】
請求項1において、
前記中間層は、前記実装基板と同種のセラミックシートに前記半田ボール載置部開口と前記ICチップ搭載部開口とを形成した基板を当該実装基板と共焼成して一体化されたものであることを特徴とする表面実装型圧電発振器。
【請求項3】
請求項1において、
前記中間層は、前記実装基板と同種のセラミック材料の微粒子を分散したセラミックペーストを当該実装基板の前記他主面の前記半田ボール載置部開口と前記ICチップ搭載部開口を形成して塗布したものを前記実装基板と共焼成したものであることを特徴とする表面実装型圧電発振器。
【請求項4】
請求項1乃至3において、
前記圧電振動子の前記端子と前記実装基板の前記接続端子との間を接続する前記半田ボールの溶融硬化で形成された半田フィレットは略均一な鼓形状の外観を呈していることを特徴とする表面実装型圧電発振器。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかにおいて、
前記圧電振動子は水晶振動子であることを特徴とする表面実装型圧電発振器。
【請求項1】
圧電振動子と、前記圧電振動子と共に発振回路を構成するICチップを搭載した実装基板とを半田ボールを用いて接合した表面実装型圧電発振器であって、
前記圧電振動子は、底壁層と、前記底壁の一主面に積層して凹部を形成する枠壁層からなる容器本体を有し、前記凹部に圧電振動片を収容すると共に、その開口端を蓋体で密閉封止してなり、前記容器本体を構成する前記底壁層の他主面に前記実装基板と接続する端子が設けられており、
前記実装基板はセラミックシートで構成され、当該実装基板の前記圧電振動子と対向する前記一主面には、前記圧電振動子の端子との間で半田ボールを溶融硬化して接続された接続端子を有すると共に、前記ICチップの実装バンプを接続した電極パッドを有する配線パターンが形成されており、
前記実装基板の前記一主面には、前記接続端子の中央位置に前記半田ボールを配置するための半田ボール載置部開口と、前記ICチップを搭載するためのICチップ搭載部開口とを有する中間層を前記実装基板と一体に成型されてなり、
前記実装基板の前記他主面には、電子機器に実装するための表面実装端子を備えたことを特徴とする表面実装型圧電発振器。
【請求項2】
請求項1において、
前記中間層は、前記実装基板と同種のセラミックシートに前記半田ボール載置部開口と前記ICチップ搭載部開口とを形成した基板を当該実装基板と共焼成して一体化されたものであることを特徴とする表面実装型圧電発振器。
【請求項3】
請求項1において、
前記中間層は、前記実装基板と同種のセラミック材料の微粒子を分散したセラミックペーストを当該実装基板の前記他主面の前記半田ボール載置部開口と前記ICチップ搭載部開口を形成して塗布したものを前記実装基板と共焼成したものであることを特徴とする表面実装型圧電発振器。
【請求項4】
請求項1乃至3において、
前記圧電振動子の前記端子と前記実装基板の前記接続端子との間を接続する前記半田ボールの溶融硬化で形成された半田フィレットは略均一な鼓形状の外観を呈していることを特徴とする表面実装型圧電発振器。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかにおいて、
前記圧電振動子は水晶振動子であることを特徴とする表面実装型圧電発振器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−115732(P2013−115732A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262316(P2011−262316)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000232483)日本電波工業株式会社 (1,148)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000232483)日本電波工業株式会社 (1,148)
【Fターム(参考)】
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