説明

表面実装型発光装置

【課題】熱劣化による変色が小さく耐熱変色性に優れ、長寿命で、バリ取りが非常に容易で、比較的安価でしかも材料の保存安定性、ハンドリング性、加工性に優れた表面実装型発光装置を提供する。
【解決手段】乾式不飽和ポリエステル樹脂成形体からなる第1の樹脂体40と、発光素子10を被覆する第2の樹脂体50とを備え、第1の樹脂体40の凹部40cの底面部40aには、発光素子10を載置した第1のリード20が露出され、かつ第1のリード20と第2のリード30とを絶縁する樹脂絶縁部45が設けられ、乾式不飽和ポリエステル樹脂成形体は、不飽和アルキッド樹脂と架橋剤が混合された不飽和ポリエステル樹脂14〜40質量%、無機充填剤と白色顔料の合計44〜74質量%、無機充填剤と白色顔料の合計に占める白色顔料の割合30質量%以上の樹脂組成物を成形したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具、ディスプレイ、携帯電話のバックライト、動画照明補助光源、その他の一般的民生用光源等に用いられる表面実装型発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子を用いた表面実装型発光装置は、小型で電力効率が良く鮮やかな色の発光をする。また、この発光素子は半導体素子であるため球切れなどの心配がない。さらに初期駆動特性が優れ、振動やオン・オフ点灯の繰り返しに強いという特徴を有する。このような優れた特性を有するため、発光ダイオード(LED)、レーザーダイオード(LD)等の発光素子を用いる発光装置は、各種の光源として利用されている。
【0003】
従来の表面実装型発光装置としては、発光素子と、この発光素子を載置するための第1のリードと発光素子と電気的に接続される第2のリードとを一体成形した第1の樹脂体と、発光素子を被覆する第2の樹脂体とを有するものが知られている。第1の樹脂体は、リフレクターとしても機能する。
【0004】
そして第1の樹脂体には、射出成形が可能で量産性等に優れた熱可塑性樹脂、例えばナイロンやポリアミド樹脂等が用いられている(特許文献1〜3参照)。
【0005】
しかしながら、第1の樹脂体にナイロンを用いたものは、第1の樹脂体が変色し易く、リードとの密着性も高くないため機械的強度が弱いという欠点がある。すなわち、発光素子の輝度低下の要因の一つは、リフレクターを構成する第1の樹脂体の熱劣化のために起こる変色による反射率の低下であり、熱劣化による変色の少ない素材の採用が求められている。
【0006】
表面実装型発光装置の寿命を改善する技術として、特許文献4には、第1の樹脂体にエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を用いた技術が提案されている。エポキシ樹脂成形材料は耐変色性が強く、リードとの密着性も良いため、ナイロンに比べて表面実装型発光装置の寿命をさらに長くすることができる。
【0007】
なお、特許文献4においては、第1の樹脂体として不飽和ポリエステル樹脂は全く開示していない。不飽和ポリエステル樹脂成形材料は、熱硬化性樹脂の中ではリードとの密着性が比較的低いため特許文献4の主目的である機械的強度や寿命の向上の点からは着目されにくい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平6−200153号公報
【特許文献2】特開2002−374007号公報
【特許文献3】特開2010−100682号公報
【特許文献4】特許第4608294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、熱可塑性樹脂のナイロンは成形時におけるバリ発生の問題が起こらないが、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂は、熱硬化性であるため成形時にバリが発生する。そのためバリ取りのための追加の工程が必要となり、バリが取れにくい場合等にはコスト高となってしまう。
【0010】
そしてエポキシ樹脂成形材料はリードフレームとの密着性が良好である反面、成形時に発生するバリもフレームとの密着性が良く、このバリの除去が必ずしも容易でない。また、エポキシ樹脂成形材料は材料の保管を低温で行う必要がある。
【0011】
しかも、エポキシ樹脂成形材料は比較的高価であって、射出成形が容易ではない等の欠点も有している。このため、エポキシ樹脂成形材料は汎用LEDリフレクターには適していない。
【0012】
本発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、熱劣化による変色が小さく耐熱変色性に優れ、長寿命であって、バリ取りが非常に容易で、比較的安価でしかも材料の保存安定性、ハンドリング性、加工性に優れた表面実装型発光装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために、本発明の表面実装型発光装置は、
発光素子と、
この発光素子を載置するための第1のリードと前記発光素子と電気的に接続される第2のリードとに一体化され、凹部を有する乾式不飽和ポリエステル樹脂成形体からなる第1の樹脂体と、
この第1の樹脂体の前記凹部に載置された前記発光素子を被覆する第2の樹脂体とを備え、
前記凹部の底面部には、前記発光素子を載置した第1のリードが露出され、かつ前記第1のリードと前記第2のリードとを絶縁する樹脂絶縁部が設けられ、
前記乾式不飽和ポリエステル樹脂成形体は、不飽和ポリエステル樹脂、重合開始剤、無機充填剤、白色顔料、離型剤、および補強材を少なくとも含む乾式不飽和ポリエステル樹脂組成物であって、前記不飽和ポリエステル樹脂が、前記組成物全体量に対して14〜40質量%の範囲内であり、前記無機充填剤と前記白色顔料の配合量の合計が、前記組成物全体量に対して44〜74質量%の範囲内であり、前記無機充填剤と前記白色顔料の配合量の合計に占める前記白色顔料の割合が30質量%以上であり、前記不飽和ポリエステル樹脂が、不飽和アルキッド樹脂と架橋剤が混合されたものである乾式不飽和ポリエステル樹脂組成物を成形したものであることを特徴としている。
【0014】
この表面実装型発光装置において、前記無機充填剤が、シリカ、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、および炭酸バリウムからなる群から選択される1種以上であることが好ましい。
【0015】
この表面実装型発光装置において、前記白色顔料が、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、および炭酸バリウムからなる群から選択される1種以上であることが好ましい。
【0016】
この表面実装型発光装置において、前記白色顔料の配合量が、不飽和ポリエステル樹脂100質量部に対して100〜300質量部の範囲内であることが好ましい。
【0017】
この表面実装型発光装置において、前記白色顔料の平均粒径が2.0μm以下であることが好ましい。
【0018】
この表面実装型発光装置において、前記無機充填剤と前記白色顔料の配合量の合計が、前記不飽和ポリエステル樹脂100質量部に対して500質量部以下であり、前記無機充填剤の平均粒径が250μm以下であることが好ましい。
【0019】
この表面実装型発光装置において、前記補強材がガラス繊維であり、前記補強材の配合量が前記不飽和ポリエステル樹脂100質量部に対して10〜100質量部であることが好ましい。
【0020】
この表面実装型発光装置において、前記第1のリードおよび前記第2のリードの表面における少なくとも前記第1の樹脂体が接する部分にカップリング剤で処理したカップリング剤処理部が設けられていることが好ましい。
【0021】
この表面実装型発光装置において、前記第1のリードおよび前記第2のリードの表面における少なくとも前記第1の樹脂体が接する部分に表面粗度Raが2.5〜4.5μmの粗面部が設けられていることが好ましい。
【0022】
この表面実装型発光装置において、前記第1の樹脂体は、少なくとも前記第1のリードおよび前記第2のリードのアウターリード部の上面部から側端部までの範囲に密着して前記範囲を連続的に覆う密着部が設けられていることが好ましい。
【0023】
この表面実装型発光装置において、前記密着部は、前記第1のリードおよび前記第2のリードのアウターリード部の上面部から側端部を経て下面部までの範囲に密着して前記範囲を覆うことが好ましい。
【0024】
この表面実装型発光装置において、前記第1のリードおよび前記第2のリードのアウターリード部の側端部に内側に凹む切欠部が設けられ、前記第1の樹脂体の密着部は、前記切欠部に密着していることが好ましい。
【0025】
この表面実装型発光装置において、前記第1のリードおよび前記第2のリードのアウターリード部の側端部に外側に突出する突起部が設けられ、前記第1の樹脂体の密着部は、前記突起部に密着していることが好ましい。
【0026】
この表面実装型発光装置において、前記発光素子は、発光波長が420〜490nmであることが好ましく、前記第1の樹脂体は、酸化チタン白色顔料含有樹脂体であることが好ましい。
【発明の効果】
【0027】
本発明の表面実装型発光装置によれば、熱劣化による変色が小さく耐熱変色性に優れ、長寿命であって、バリ取りが非常に容易で、比較的安価でしかも材料の保存安定性、ハンドリング性、加工性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の表面実装型発光装置の実施形態を概略的に示す断面図である。
【図2】図1の表面実装型発光装置の平面図である。
【図3】本発明の表面実装型発光装置の別の実施形態を概略的に示す断面図である。
【図4】本発明の表面実装型発光装置の別の実施形態を概略的に示す断面図である。
【図5】本発明の表面実装型発光装置の別の実施形態を概略的に示す断面図である。
【図6】図5の表面実装型発光装置の平面図である。
【図7】本発明の表面実装型発光装置の別の実施形態を概略的に示す断面図である。
【図8】本発明の表面実装型発光装置の別の実施形態を概略的に示す断面図である。
【図9】第1の樹脂体(LEDリフレクター)の反射率の経時変化(波長:460nm)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0030】
不飽和ポリエステル樹脂は熱硬化性樹脂の中でもリードとの密着性が劣るため、特許文献4でも第1の樹脂体として検討されていなかった。ところが本発明者らの検討によれば、不飽和ポリエステル樹脂を第1の樹脂体に用いた場合には、成形時に発生するバリを非常に容易に取り去ることが可能なことを見出した。エポキシ樹脂等の特許文献4に開示されている熱硬化性樹脂は、成形時に発生するバリを取り去るのに非常な困難を伴う。
【0031】
不飽和ポリエステル樹脂は、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂に比べるとリードとの密着性が劣るが、ナイロンと比べると同程度であり、さらに、耐熱変色性も強いので、ナイロンよりも寿命を長くすることができる。このように特許文献4では検討されていなかった不飽和ポリエステル樹脂の密着性が低い点を、バリ取りに非常に有利である利点として着目し、本発明を完成した。
【0032】
図1は、本発明の表面実装型発光装置の実施形態を概略的に示す断面図、図2は平面図である。なお図1は図2のA−A断面を示す。
【0033】
この表面実装型発光装置は、発光素子10と、発光素子10を載置する第1の樹脂体40と、発光素子10を被覆する第2の樹脂体50とを有する。
【0034】
第1の樹脂体40は、発光素子10を載置するための第1のリード20と、発光素子10と電気的に接続される第2のリード30とを一体成形している。
【0035】
発光素子10は、同一面側に正負一対の第1の電極11と第2の電極12とを有している。本明細書においては、同一面側に正負一対の電極を有するものについて説明するが、発光素子10の上面と下面とから正負一対の電極を有するものを用いることもできる。この場合、発光素子10の下面の電極はワイヤを用いずに、電気伝導性のあるダイボンド部材を用いて第1のリード20と電気的に接続する。
【0036】
第1のリード20は第1のインナーリード部20aと第1のアウターリード部20bとを有している。発光素子10は、第1のインナーリード部20a上にダイボンド部材を介して載置されている。第1のインナーリード部20aは、発光素子10が持つ第1の電極11とワイヤ60を介して電気的に接続されている。第1のアウターリード部20bは第1の樹脂体40から露出している。第1のリード20は、第1の樹脂体40の側面外側に第1のアウターリード部20bを有している場合以外に、第1の樹脂体40の裏面側に露出している部分を第1のアウターリード部20bと呼ぶ場合もある。すなわち第1のアウターリード部20bは、外部電極と電気的に接続される部分であればよい。第1のリード20は外部電極と接続するため、金属部材を用いる。
【0037】
第2のリード30は第2のインナーリード部30aと第2のアウターリード部30bとを有している。第2のインナーリード部30aは、発光素子10が持つ第2の電極12とワイヤ60を介して電気的に接続されている。第2のアウターリード部30bは第1の樹脂体40から露出している。第2のリード30は、第2の樹脂体50の側面外側に第2のアウターリード部30bを有している場合だけでなく、第2の樹脂体50の裏面側に露出している部分を第2のアウターリード部30bと呼ぶ場合もある。すなわち第2のアウターリード部30bは、外部電極と電気的に接続される部分であればよい。第2のリード30は外部電極と接続するため、金属部材を用いる。第1のリード20と第2のリード30とが短絡しないように、裏面側における第1のリード20と第2のリード30との近接する部分に絶縁部材90が設けられている。
【0038】
第1の樹脂体40は、底面部40aと側面部40bとを持つ凹部40cが形成されている。第1のリード20の第1のインナーリード部20aは、第1の樹脂体40の凹部40cの底面部40aから露出している。この露出部分にダイボンド部材を介して発光素子10を載置している。第1の樹脂体40は、射出成形等により成形することができる。第1の樹脂体40は、後述のように不飽和ポリエステル樹脂を用いており、酸化チタン等の白色顔料70を含有している。凹部40cの開口部は、底面部40aよりも広口になっており、側面部40bには傾斜が設けられていることが好ましい。また凹部40cの底面部40aには、第1のリード20と第2のリード30とを絶縁する樹脂絶縁部45が設けられている。
【0039】
第2の樹脂体50は、発光素子10を被覆するように凹部40c内に配置している。第2の樹脂体50は、熱硬化性樹脂を用いている。第2の樹脂体50は蛍光物質80を含有する。蛍光物質80は、第2の樹脂体50よりも比重の大きいものを使用しているため、凹部40cの底面部40a側に沈降している。
【0040】
本明細書において、発光素子10が載置されている側を主面側と呼び、その反対側を裏面側と呼ぶ。
【0041】
発光素子10は、基板上にGaAlN、ZnS、ZnSe、SiC、GaP、GaAlAs、AlN、InN、AlInGaP、InGaN、GaN、AlInGaN等の半導体を発光層として形成したものが用いられる。半導体の構造としては、MIS接合、PIN接合やPN接合を有したホモ構造、ヘテロ構造あるいはダブルへテロ構造のものが挙げられる。半導体層の材料やその混晶度によって発光波長を紫外光から赤外光まで種々選択することができる。発光層は、量子効果が生ずる薄膜とした単一量子井戸構造や多重量子井戸構造としても良い。
【0042】
こうした発光素子10は、適宜複数個用いることができ、その組み合わせによって白色表示における混色性を向上させることもできる。例えば、緑色系が発光可能な発光素子10を2個、青色系および赤色系が発光可能な発光素子10をそれぞれ1個ずつとすることができる。なお、表示装置用のフルカラー発光装置として利用するためには赤色系の発光波長が610〜700nm、緑色系の発光波長が495〜565nm、青色系の発光波長が430〜490nmであることが好ましい。白色系の混色光を発光させる場合は、蛍光物質からの発光波長との補色関係や透光性樹脂の劣化等を考慮して発光素子10の発光波長は400〜530nmが好ましく、420〜490nmがより好ましい。発光素子10と蛍光物質との励起、発光効率をそれぞれより向上させるためには、450〜475nmがさらに好ましい。なお、比較的紫外線により劣化されにくい部材との組み合わせにより400nmより短い紫外線領域或いは可視光の短波長領域を主発光波長とする発光素子10を用いることもできる。
【0043】
発光素子10の大きさは□1mmサイズが実装可能で、□600μm、□320μmサイズ等のものも実装可能である。
【0044】
第1の樹脂体40は、底面部40aと側面部40bとを持つ凹部40cを有している。第1の樹脂体40は、凹部40cの底面部40aから外側に延びる第1のリード20および第2のリード30を一体成形している。第1のリード20の第1のインナーリード部20aは、凹部40cの底面部40aの一部を形成している。第2のリード30の第2のインナーリード部30aは、凹部40cの底面部40aの一部を形成しており、第1のインナーリード部20aと所定の間隔離れている。凹部40cの底面部40aに相当する第1のインナーリード部20aに発光素子10を載置する。凹部40cの底面部40aに相当する第1のインナーリード部20aと、凹部40cの底面部40aに相当する第2のインナーリード部30aと、第1のアウターリード部20b、第2のアウターリード部30bは、第1の樹脂体40から露出している。裏面側の第1のリード20および第2のリード30は露出している。これにより裏面側から電気接続することができる。
【0045】
凹部40cは、開口方向に広口となるように傾斜を設ける。これにより前方方向への光の取り出しを向上することができる。ただし、傾斜を設けず、円筒形状の凹部とすることもできる。また、傾斜は滑らかな方が好ましいが凹凸を設けることもできる。凹凸を設けることにより第1の樹脂体40と第2の樹脂体50との界面の密着性を向上することができる。凹部40cの傾斜角度は、底面部40aから測定して95〜150°が好ましく、100〜120°がより好ましい。
【0046】
第1の樹脂体40の主面側の形状は矩形であるが、楕円、円形、五角形、六角形等とすることもできる。凹部40cの主面側の形状は、楕円であるが、略円形、矩形、五角形、六角形等とすることも可能である。所定の場合に、カソードマークを付けておく。
【0047】
第1の樹脂体40は、乾式不飽和ポリエステル樹脂組成物の硬化物(乾式不飽和ポリエステル樹脂成形体)である。この乾式不飽和ポリエステル樹脂組成物において不飽和ポリエステル樹脂には、50℃以上で軟化を開始する不飽和アルキッド樹脂を用いている。
【0048】
ここで乾式とは30℃以下の温度範囲において固体であり、粉砕加工や押出しペレット加工により粒状に加工できることを意味する。
【0049】
不飽和ポリエステル樹脂は、不飽和アルキッド樹脂と共重合性モノマー等の架橋剤とを混合して得られる。共重合性モノマーは、樹脂組成物作成時に他の混合物と共に樹脂に混合されるが、樹脂組成物作製前に樹脂と混合されていてもよい。
【0050】
不飽和アルキッド樹脂は、不飽和多塩基酸類、飽和多塩基酸類とグリコール類とを脱水縮合反応させて得られるものである。
【0051】
不飽和多塩基酸類としては、例えば、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等を挙げることができる。
【0052】
飽和多塩基酸類としては、例えば、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、ヘット酸、テトラブロム無水フタル酸等を挙げることができる。
【0053】
グリコール類としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールAプロピレンオキシド化合物、ジブロムネオペンチルグリコール等を挙げることができる。
【0054】
不飽和アルキッド樹脂の中でも、溶融粘度1000〜2500cPの不飽和アルキッド樹脂を好適に用いることができ、特に、イソフタル酸系不飽和アルキッド樹脂、テレフタル酸系不飽和アルキッド樹脂を好適に用いることができる。
【0055】
これらの不飽和アルキッド樹脂を用いることにより、成形性および耐熱変色性に優れた乾式不飽和ポリエステル樹脂組成物とすることができる。
【0056】
不飽和アルキッド樹脂と混合する架橋剤としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、α−メチルスチレン、メタクリル酸メチル、酢酸ビニル等のビニル系共重合性モノマーを用いることができる。
【0057】
また、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、ジアリルテトラブロムフタレート、フェノキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、1−6ヘキサンジオールジアクリレート等の共重合性モノマーを用いることができる。さらにまた、これらのプレポリマーを用いることができる。
【0058】
特にジアリルフタレートプレポリマー、ジアリルフタレートモノマー、スチレンモノマーを好適に用いることができる。また、これらの架橋剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0059】
不飽和ポリエステル樹脂中の不飽和アルキッド樹脂と架橋剤の比率は質量比で99/1〜50/50の範囲である。なお、架橋剤としてモノマーを用いる場合、モノマーの配合量が多くなると常温固形の乾式不飽和ポリエステル樹脂組成物にならないため、モノマーの配合量は不飽和ポリエステル樹脂100質量部中10質量部以下とするのが好ましい。
【0060】
また、不飽和ポリエステル樹脂の配合量は、乾式不飽和ポリエステル樹脂組成物全体量に対して14〜40質量%の範囲内である。
【0061】
乾式不飽和ポリエステル樹脂組成物には、重合開始剤を配合することができる。重合開始剤としては、通常不飽和ポリエステル樹脂組成物に用いられる加熱分解型の有機過酸化物を用いることができる。
【0062】
これらのものとしては、例えば、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシオクトエート、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド等を挙げることができる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0063】
これらの中でも、10時間半減期温度が100℃以上の有機過酸化物を用いることが好ましく、具体的にはジクミルパーオキサイドを好適に用いることができる。
【0064】
乾式不飽和ポリエステル樹脂組成物には、白色顔料を配合することができる。白色顔料としては、例えば、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム等を挙げることができる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0065】
これらの白色顔料の中でも、特に酸化チタン、酸化アルミニウム、チタン酸バリウムを好適に用いることができる。
【0066】
酸化チタンとしては、例えば、アナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、ブルサイト型酸化チタンを挙げることができる。これらの中でも熱安定性に優れたルチル型酸化チタンを好適に用いることができる。
【0067】
酸化アルミニウム、チタン酸バリウムは、公知のものを特に制限なく用いることができる。
【0068】
白色顔料の平均粒径は好ましくは2.0μm以下、より好ましくは0.1〜1.0μm、さらに好ましくは0.3〜0.7μmの範囲である。なお、平均粒径はレーザー回折散乱法等により測定することができる。
【0069】
白色顔料の配合量は、不飽和ポリエステル樹脂100質量部に対して好ましくは100質量部以上、より好ましくは100〜300質量部の範囲である。
【0070】
白色顔料の配合量をこの範囲内とすることにより、耐熱変色性に優れ、白色で高い反射率を有する第1の樹脂体40(LED等のリフレクター)とすることができる。
【0071】
乾式不飽和ポリエステル樹脂組成物には、無機充填剤を配合することができる。無機充填剤としては、シリカ、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム等を挙げることができる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0072】
これらの無機充填剤の中でも特にシリカを好適に用いることができ、これらのものとしては、例えば、溶融シリカ粉末、球状シリカ粉末、破砕シリカ粉末、結晶シリカ粉末を挙げることができる。
【0073】
無機充填剤の平均粒径は好ましくは250μm以下、より好ましくは10〜100μmの範囲である。この平均粒径の範囲とすることにより、良好な成形性と、耐熱変色性および耐湿性に優れた乾式不飽和ポリエステル樹脂組成物とすることができる。なお、平均粒径はレーザー回折散乱法等により測定することができる。
【0074】
無機充填剤の配合量は、不飽和ポリエステル樹脂100質量部に対して好ましくは50質量部以上、より好ましくは50〜250質量部の範囲である。
【0075】
この配合範囲とすることにより、優れた成形性を有する乾式不飽和ポリエステル樹脂組成物とすることができ、これを用いて成形することにより、優れた耐熱変色性と高い反射率を有する第1の樹脂体40(LED等のリフレクター)を得ることができる。
【0076】
白色顔料と無機充填剤の配合量の合計は、乾式不飽和ポリエステル樹脂組成物全量に対して44〜74質量%、好ましくは50〜72質量%の範囲内である。
【0077】
また、白色顔料と無機充填剤の配合量の合計に占める白色顔料の割合は好ましくは30質量%以上、より好ましくは40〜85質量%の範囲内である。
【0078】
さらに、白色顔料と無機充填剤を合わせた場合の配合量の合計は不飽和ポリエステル樹脂100質量部に対して好ましくは500質量部以下、より好ましくは100〜400質量部の範囲である。白色顔料と無機充填剤の配合量の合計量をこの範囲とすることにより、適正な樹脂の流動性とすることができ、良好な成形性が得られる。
【0079】
なお、白色顔料、無機充填剤は、より微粒になるほど凝集や吸油等が生じやすく、充填が困難になることがあるため、表面が脂肪酸やカップリング剤等で表面処理されていてもよい。
【0080】
また、乾式不飽和ポリエステル樹脂組成物には、樹脂組成物の流動性や、リフレクターとしたときの反射率を阻害しない範囲において、他の無機充填剤を適宜配合することができる。
【0081】
これらのものとしては、酸化物およびその水和物、無機発泡粒子、シリカバルーン等の中空粒子等を挙げることができる。
【0082】
乾式不飽和ポリエステル樹脂組成物には、補強材を配合することができる。補強材としては、通常、BMC、SMC等のFRPに用いられる不飽和ポリエステル樹脂組成物の補強材として使用されるものであれば限定されることはなく用いることができる。
【0083】
これらものとしては、例えば、ガラス繊維、ビニロン繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維、ワラストナイト、チタン酸カリウムウィスカー等を挙げることができ、これらの中でも、ガラス繊維を好適に用いることができる。
【0084】
ガラス繊維としては、珪酸ガラス、ホウ珪酸ガラスを原料とするEガラス(電気用無アルカリガラス)、Cガラス(化学用含アルカリガラス)、Aガラス(耐酸用ガラス)、Sガラス(高強度ガラス)等のガラスよりなるガラス繊維を挙げることができ、これらを長繊維(ロービング)、短繊維(チョップドストランド)としたものを用いることができる。
【0085】
さらに、これらのガラス繊維に対して表面処理を施したものを用いることもできる。
【0086】
特に、繊維径10〜15μmのEガラス繊維を酢酸ビニル等の収束剤にて収束し、シランカップリング剤にて表面処理した後、3〜6mmにカットされたチョップドストランドを好適に用いることができる。
【0087】
補強材の配合量は、不飽和ポリエステル樹脂100質量部に対して好ましくは10〜200質量部、より好ましくは10〜100質量部、さらに好ましくは20〜80質量部の範囲である。
【0088】
この条件で補強材を用いることにより、強度特性に優れ、硬化収縮を抑え、優れた反射率を有する乾式不飽和ポリエステル樹脂組成物とすることができる。
【0089】
乾式不飽和ポリエステル樹脂組成物には、離型剤を配合することができる。離型剤としては、一般に熱硬化性樹脂に用いられる脂肪酸系、脂肪酸金属塩系、鉱物系等のワックス類を用いることができ、特に、耐熱変色性に優れた脂肪酸系、脂肪酸金属塩系のものを好適に用いることができる。
【0090】
これらのものとしては、具体的にはステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウムを挙げることができる。これらの離型剤は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0091】
これらの離型剤は不飽和ポリエステル樹脂100質量部に対し、4〜15質量部の範囲で配合することができる。離型剤の配合量が、この範囲であると、良好な離型性と優れた外観を両立させることができ、LED等のリフレクターとしたときに最適な反射率とすることができる。
【0092】
乾式不飽和ポリエステル樹脂組成物には、これらの配合成分以外に、不飽和ポリエステル樹脂の硬化条件を調整するための硬化触媒および重合禁止剤、着色剤、増粘剤、その他有機系添加剤、無機系添加剤等を必要に応じて適宜配合することができる。
【0093】
乾式不飽和ポリエステル樹脂組成物は、各成分を配合して、ミキサー、ブレンダー等を用いて十分均一に混合したあと、加圧ニーダー、熱ロール、エクストルーダー等にて混練し、粉砕・整粒して製造することができる。
【0094】
なお、重合開始剤は火災・爆発に対してより安全性を高めたマスターバッチとして用いるのが好ましい。
【0095】
このような配合による乾式不飽和ポリエステル樹脂組成物は、常温で硬化反応が進行するエポキシ樹脂組成物や、常温で架橋剤等が揮発し初期状態から増粘が起こる湿式不飽和ポリエステル樹脂組成物とは異なり、保存安定性およびハンドリング性に優れている。
【0096】
また、これを用いた第1の樹脂体40は、種々慣用の熱硬化性樹脂組成物の成形方法により成形することができ、熱劣化による変色が小さく、寿命が長い安価な第1の樹脂体40(LED等のリフレクター)を製造することができる。
【0097】
また、乾式不飽和ポリエステル樹脂組成物は、乾式で、かつ溶融時の熱安定性が良好なため、成形方法として、射出成形法、射出圧縮成形法、トランスファー成形法等の溶融加熱成形法を好適に用いることができる。
【0098】
これらの中でも射出成形機を用いた射出成形法が特に好適であり、射出成形法により成形時間をより短くすることができ、複雑な形状の第1の樹脂体40を製造することが可能となる。
【0099】
なお、乾式の条件以外の、液状または粘性を有する不飽和ポリエステル樹脂組成物の場合には、通常のペレット状とすることができないため、ハンドリング性が悪く、射出成形機で成形する場合にはホッパーにプランジャー等の設備を設ける必要があり、製造コストがかかる。
【0100】
これに対し、乾式不飽和ポリエステル樹脂組成物は、乾式のペレット状であるため保存安定性に優れ、射出成形機のホッパーから投入するのみで成形が可能であるためハンドリング性に優れている。また、製造コストを低く抑えることができる。
【0101】
また、熱硬化性樹脂のため、成形した第1の樹脂体40のフレーム上にバリが発生するが、密着性が低いため容易にバリを除去することが可能である。
【0102】
発生したバリの除去は、例えば、公知の方法により行うことができるが、なかでも不飽和ポリエステル樹脂組成物のバリ除去に広く実施されているブラスト処理により行うことが好ましい。
【0103】
ブラスト処理としては、通常バリ取りに用いられるブラスト処理法を用いることができ、これらのものとしては、例えば、ショットブラスト、サンドブラスト、ガラスビーズブラスト等を挙げることができる。
【0104】
第1のリード20は、第1のインナーリード部20aと第1のアウターリード部20bとを有する。第1のインナーリード部20aにおける第1の樹脂体40の凹部40cの底面部40aは露出しており、発光素子10を載置する。この露出された第1のインナーリード部20aは、発光素子10を載置する面積を有していればよいが、熱伝導性、電気伝導性、反射効率等の観点から広面積の方が好ましい。第1のインナーリード部20aは、発光素子10の第1の電極11とワイヤ60を介して電気的に接続されている。第1のアウターリード部20bは、発光素子10が載置されている部分を除く、第1の樹脂体40から露出している部分である。第1のアウターリード部20bは、外部電極と電気的に接続されるとともに熱伝達する作用も有する。
【0105】
第2のリード30は、第2のインナーリード部30aと第2のアウターリード部30bとを有する。第2のインナーリード部30aにおける第1の樹脂体40の凹部40cの底面部40aは露出している。この露出された第2のインナーリード部30aは、発光素子10の第2の電極12と電気的に接続する面積を有していればよいが、反射効率の観点から広面積の方が好ましい。裏面側の第1のアウターリード部20bと第2のアウターリード部30bとは露出しており、実質的に同一平面を形成している。これにより表面実装型発光装置の実装安定性を向上することができる。また半田付け時に第1のインナーリード部20aと第2のインナーリード部30aの裏面間が半田により短絡することを防止するため、電気絶縁性の絶縁部材90を薄くコーティングすることもできる。絶縁部材90は樹脂等で形成したものである。
【0106】
第1のリード20および第2のリード30は、鉄、リン青銅、銅合金等の電気良導体を用いて構成することができる。また、発光素子10からの光の反射率を向上させるため、第1のリード20および第2のリード30の表面に銀、アルミニウム、銅や金等の金属メッキを施すこともできる。また、第1のリード20および第2のリード30の表面の反射率を向上させるため、平滑にすることが好ましい。また、放熱性を向上させるため第1のリード20および第2のリード30の面積は大きくすることができる。これにより発光素子10の温度上昇を効果的に抑えることができ、発光素子10に比較的多くの電気を流すことができる。また、第1のリード20および第2のリード30を肉厚にすることにより放熱性を向上することができる。この場合、第1のリード20および第2のリード30を折り曲げる等の成形工程が困難であるため、所定の大きさに切断する。また、第1のリード20および第2のリード30を肉厚にすることにより、第1のリード20および第2のリード30のたわみが少なくなり、発光素子10の実装をしやすくすることができる。これとは逆に、第1のリード20および第2のリード30を薄い平板状とすることにより折り曲げる成形工程がしやすくなり、所定の形状に成形することができる。
【0107】
第1のリード20および第2のリード30は、一対の正負の電極である。第1のリード20および第2のリード30は、少なくとも1つずつあれば良いが、複数設けることもできる。また、第1のリード20に複数の発光素子10を載置する場合は、複数の第2のリード30を設ける必要もある。
【0108】
第2の樹脂体50は、外部環境からの外力や埃、水分等から発光素子10を保護するために設ける。また、発光素子10から出射される光を効率よく外部に放出することができる。第2の樹脂体50は、第1の樹脂体40の凹部40c内に配置している。
【0109】
第2の樹脂体50の材質は熱硬化性樹脂である。熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、アクリレート樹脂、ウレタン樹脂等を挙げることができる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。特にエポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂が好ましい。第2の樹脂体50は、発光素子10を保護するため硬質のものが好ましい。また、第2の樹脂体50は、耐熱性、耐候性、耐光性に優れた樹脂を用いることが好ましい。第2の樹脂体50は、所定の機能を持たせるため、フィラー、拡散剤、顔料、蛍光物質、反射性物質からなる群より選択される少なくとも1種を混合することもできる。第2の樹脂体50中には拡散剤を含有させても良い。具体的な拡散剤としては、例えば、チタン酸バリウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素等を好適に用いることができる。また、所望外の波長をカットする目的で有機や無機の着色染料や着色顔料を含有させることができる。さらに、第2の樹脂体50は、発光素子10からの光を吸収し、波長変換する蛍光物質80を含有させることもできる。
【0110】
蛍光物質80は、発光素子10からの光を吸収し異なる波長の光に波長変換するものであればよい。例えば、Eu、Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される窒化物系蛍光体・酸窒化物系蛍光体・サイアロン系蛍光体、Eu等のランタノイド系、Mn等の遷移金属系の元素により主に付活されるアルカリ土類ハロゲンアパタイト蛍光体、アルカリ土類金属ホウ酸ハロゲン蛍光体、アルカリ土類金属アルミン酸塩蛍光体、アルカリ土類ケイ酸塩、アルカリ土類硫化物、アルカリ土類チオガレート、アルカリ土類窒化ケイ素、ゲルマン酸塩、または、Ce等のランタノイド系元素で主に付活される希土類アルミン酸塩、希土類ケイ酸塩またはEu等のランタノイド系元素で主に賦活される有機および有機錯体等を挙げることができる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0111】
これらの蛍光物質80は、発光素子10の励起光により、黄色、赤色、緑色、青色に発光スペクトルを有する蛍光体を用いることができるほか、これらの中間色である黄色、青緑色、橙色等に発光スペクトルを有する蛍光体も用いることができる。これらの蛍光体を種々組み合わせて用いることにより、種々の発光色を有する表面実装型発光装置を製造することができる。
【0112】
なお、表面実装型発光装置の裏面側には放熱接着剤を介して放熱部材を設けることができる。
【0113】
以上の構成を備えた表面実装型発光装置は、第1のリード20の第1のアウターリード部20bおよび第2のリード30の第2のアウターリード部30bを外部電極と電気的に接続して実装することができる。例えば、第1のリード20と第2のリード30は厚肉の平板であるため、外部電極と放熱部材とで挟み込むように電気的に接続することができる。また、第1のアウターリード部20bおよび第2のアウターリード部30bと外部電極との電気的接続には鉛フリー半田を用いることができる。この他、外部電極に第1のアウターリード部20b等を載置するように電気的接続することもできる。
【0114】
この表面実装型発光装置は、次の方法により製造することができる。第1の樹脂体40の成形方法としては、射出成形法、射出圧縮成形法、トランスファー成形法等の溶融加熱成形法を好適に用いることができる。これらの中でも射出成形機を用いた射出成形法が特に好適であり、射出成形法により複雑な形状の第1の樹脂体40を製造することが可能となる。
【0115】
まず、第1の樹脂体40の凹部40cの底面部40aに相当する第1のインナーリード部20aと第2のインナーリード部30a並びに第1のアウターリード部20bと第2のアウターリード部30bとを、上金型と下金型とで挟み込む。
【0116】
上金型は第1の樹脂体40の凹部40cに相当する凹みを形成している。第1の樹脂体40の凹部40cの底面部40aに相当する上金型の部分は、第1のインナーリード部20aおよび第2のインナーリード部30aと接触するように形成されている。
【0117】
そして上金型と下金型とで挟み込まれた凹み部分に乾式不飽和ポリエステル樹脂組成物を流し込む。
【0118】
流し込まれた不飽和ポリエステル樹脂組成物は加熱して硬化され、底面部40aと側面部40bとを持つ凹部40cを有する乾式不飽和ポリエステル樹脂成形体の第1の樹脂体40が得られる。また凹部40cの底面部40aには、第1のリード20と第2のリード30とを絶縁する樹脂絶縁部45が乾式不飽和ポリエステル樹脂成形体として設けられる。
【0119】
その後、上金型および下金型を取り外す。硬化が不十分な場合は後硬化を行い作業上問題が発生しない程度に第1の樹脂体40の機械強度を向上させる。
【0120】
その後、必要に応じてバリ取り等を行った後、発光素子10を第1のインナーリード部20aに載置する。バリ取りは、例えばブラスト処理により行うことができる。ブラスト処理としては、通常、バリ取りに用いられるブラスト処理法を用いることができ、これらのものとしては、例えば、ショットブラスト、サンドブラスト、ガラスビーズブラスト等を挙げることができる。
【0121】
次に、発光素子10が持つ第1の電極11と第1のインナーリード部20aとを電気的に接続する。また発光素子10が持つ第2の電極12と第2のインナーリード部30aとを電気的に接続する。
【0122】
第1の電極11と第1のインナーリード部20aとはワイヤ60を介して電気的に接続する。ただし、発光素子10が上面と下面に電極を持つ場合は、ワイヤを用いず、ダイボンディングのみで電気的接続をとる。次に第2の電極12と第2のインナーリード部30aとはワイヤ60を介して電気的に接続する。
【0123】
次に、発光素子10が載置された凹部40c内に熱硬化性樹脂を配置する。この熱硬化性樹脂を配置する方法は、滴下手段や射出手段、押出手段等を用いることができるが、滴下手段を用いることが好ましい。滴下手段を用いることにより凹部40c内に残存する空気を効果的に追い出すことができる。この熱硬化性樹脂には、蛍光物質80を混合しておくことが好ましい。これにより表面実装型発光装置の色調調整を容易にすることができる。この熱硬化性樹脂は加熱して硬化され、第2の樹脂体50が成形される。このようにして表面実装型発光装置を製造することができる。
【0124】
図3は、本発明の表面実装型発光装置の別の実施形態を概略的に示す断面図である。
【0125】
この実施形態の表面実装型発光装置は、第1のリード20および第2のリード30の表面における少なくとも第1の樹脂体40が接する部分にカップリング剤で処理したカップリング剤処理部35が設けられている。
【0126】
このカップリング剤処理部35を設けることにより、第1のリード20および第2のリード30と第1の樹脂体40との密着力がカップリング剤による化学的結合により向上し、耐久性に優れた表面実装型発光装置を提供することができる。
【0127】
すなわち乾式不飽和ポリエステル樹脂成形体は、金属材である第1のリード20および第2のリード30との密着性が低いため、成形した第1の樹脂体40のフレーム上のバリを容易に除去することが可能である。一方で密着性が低いため第1のリード20および第2のリード30と第1の樹脂体40との剥離等に対する抑制力は小さくなる。
【0128】
そこでこの実施形態ではカップリング剤処理部35を設けることにより、第1のリード20および第2のリード30と第1の樹脂体40との密着力を向上させ、かつ成形後のバリも容易に除去できるようにしている。
【0129】
なお、カップリング剤処理部35は、第1のリード20および第2のリード30の表面における少なくとも第1の樹脂体40が接する部分に設けられていればその形成範囲は特に限定されるものではない。例えば、図3の点線で示す範囲、すなわち第1のリード20の上面部21a、側端部21b、および下面部21cの表面、第2のリード30の上面部31a、側端部31b、および下面部31cの表面に設けられていてもよい。
【0130】
カップリング剤処理部35に用いられるカップリング剤としては、乾式不飽和ポリエステル樹脂成形体である第1の樹脂体40との密着性を向上させることを考慮すると、アミノシランカップリング剤、アクリルシランカップリング剤が好ましい。
【0131】
アミノシランカップリング剤としては、例えば、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトシキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトシキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル-N-(1,3−ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0132】
アクリルシランカップリング剤としては、例えば、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0133】
カップリング剤処理部35は、例えば、従来知られているカップリング剤処理と同様の方法により設けることができる。
【0134】
図4は、本発明の表面実装型発光装置の別の実施形態を概略的に示す断面図である。
【0135】
この実施形態の表面実装型発光装置は、第1のリード20および第2のリード30の表面における少なくとも第1の樹脂体40が接する部分に表面粗度Raが2.5〜4.5μmの粗面部36が設けられている。
【0136】
なお表面粗度Raの測定値は、プローブ先端径5μmの表面粗度計によるものを用いることができる。
【0137】
この粗面部36を設けることにより、第1のリード20および第2のリード30と第1の樹脂体40との密着力が粗面部36の凹凸によるアンカー効果により向上し、耐久性に優れた表面実装型発光装置を提供することができる。
【0138】
すなわち乾式不飽和ポリエステル樹脂成形体は、金属材である第1のリード20および第2のリード30との密着性が低いため、成形した第1の樹脂体40のフレーム上のバリを容易に除去することが可能である。一方で密着性が低いため第1のリード20および第2のリード30と第1の樹脂体40との剥離等に対する抑制力は小さくなる。
【0139】
そこでこの実施形態では粗面部36を設けることにより、第1のリード20および第2のリード30と第1の樹脂体40との密着力を向上させ、かつ成形後のバリも容易に除去できるようにしている。
【0140】
なお、粗面部36は、第1のリード20および第2のリード30の表面における少なくとも第1の樹脂体40が接する部分に設けられていればその形成範囲は特に限定されるものではない。例えば、図3の点線で示す範囲、すなわち第1のリード20の上面部21a、側端部21b、および下面部21cの表面、第2のリード30の上面部31a、側端部31b、および下面部31cの表面に設けられていてもよい。
【0141】
粗面部36は、例えば、YAGレーザー照射による方法、ブラスト加工、エッチング、研削(ラッピング、ポリッシング)等の方法により第1のリード20および第2のリード30の表面に形成することができる。
【0142】
図5は、本発明の表面実装型発光装置の別の実施形態を概略的に示す断面図、図6は平面図である。なお図5は図6のA−A断面を示す。
【0143】
この実施形態の表面実装型発光装置は、第1の樹脂体40に密着部41が設けられている。密着部41は、第1のリード20および第2のリード30の第1のアウターリード部20b、第2のアウターリード部30bの上面部21a、31aから側端部21b、31bまでの範囲に密着し、この範囲を連続的に覆っている。すなわち密着部41で第1のアウターリード部20b、第2のアウターリード部30bを抱き込むような構造を有している。
【0144】
この密着部41を設けることにより、第1のリード20および第2のリード30と第1の樹脂体40との機械的な密着力が向上し、耐久性に優れた表面実装型発光装置を提供することができる。
【0145】
すなわち乾式不飽和ポリエステル樹脂成形体は、金属材である第1のリード20および第2のリード30との密着性が低いため、成形した第1の樹脂体40のフレーム上のバリを容易に除去することが可能である。一方で密着性が低いため第1のリード20および第2のリード30と第1の樹脂体40との剥離等に対する抑制力は小さくなる。
【0146】
そこでこの実施形態では密着部41を設けることにより、第1のリード20および第2のリード30と第1の樹脂体40との密着面積を増やして密着力を向上させ、かつ成形後のバリも容易に除去できるようにしている。
【0147】
なお、密着部41は、少なくとも第1のアウターリード部20b、第2のアウターリード部30bの上面部21a、31aから側端部21b、31bまでの範囲に密着してこの範囲を連続的に覆うものであればよい。従って、例えば図5中に点線で示す第1のアウターリード部20b、第2のアウターリード部30bの下面部21c、31cまでの範囲に密着してこの範囲を覆うようにしてもよい。このようにすることで密着力をさらに向上させることができる。
【0148】
第1の樹脂体40の密着部41は、射出成形法等により、前述したような手順で第1のアウターリード部20bと第2のアウターリード部30bに一体に成形することができる。
【0149】
図7は、本発明の表面実装型発光装置の別の実施形態を概略的に示す断面図である。
【0150】
この実施形態の表面実装型発光装置は、図5の実施形態と同様に第1の樹脂体40に密着部41が設けられている。そして第1のリード20および第2のリード30の第1のアウターリード部20b、第2のアウターリード部30bの側端部21b、31bに内側に凹む切欠部32が設けられ、第1の樹脂体40の密着部41は、切欠部32に密着している。
【0151】
この切欠部32を設けることにより、第1のリード20および第2のリード30と第1の樹脂体40との機械的な密着力がさらに向上し、耐久性に優れた表面実装型発光装置を提供することができる。
【0152】
切欠部32は、側端部21b、31bにおいて内側に凹む形状であれば特に限定されないが、たとえば、1本または複数本のV字溝等により形成することができる。
【0153】
図8は、本発明の表面実装型発光装置の別の実施形態を概略的に示す断面図である。
【0154】
この実施形態の表面実装型発光装置は、図5の実施形態と同様に第1の樹脂体40に密着部41が設けられている。そして第1のリード20および第2のリード30の第1のアウターリード部20b、第2のアウターリード部30bの側端部21b、31bに外側に突出する突起部33が設けられ、第1の樹脂体40の密着部41は、突起部33に密着している。
【0155】
この突起部33を設けることにより、第1のリード20および第2のリード30と第1の樹脂体40との機械的な密着力がさらに向上し、耐久性に優れた表面実装型発光装置を提供することができる。
【0156】
突起部33は、側端部21b、31bにおいて外側に突出する形状であれば特に限定されないが、例えば、側端部21b、31bの長手方向に平行な突起により形成することができる。
【実施例】
【0157】
以下に、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0158】
<第1の樹脂体用の樹脂組成物の製造>
表1に示す実施例1〜9および表2に示す比較例1〜6の樹脂組成物を、各配合成分、配合量にて配合し、配合物をシグマブレンダーにて均一に混合した後、100℃に加熱した熱ロールにて混練してシート状の混練物を作製し、これを冷却・粉砕・整粒し粒状の第1の樹脂体用(LEDリフレクター用)樹脂組成物を作製した。
【0159】
配合成分としては以下のものを用いた。
(1)樹脂
不飽和アルキッド樹脂:テレフタル酸系不飽和アルキッド樹脂 日本ユピカ(株)製 ユピカ8552
エポキシ樹脂:トリグリシジルイソシアヌレート(エポキシ当量100) 日産化学工業(株)製 TEPCIC-S
ナイロン樹脂:ナイロン46樹脂(STANYL)
【0160】
(2)架橋剤
架橋剤1:ジアリルフタレートプレポリマー ダイソー(株)製 ダップポリマー
架橋剤2:ジアリルフタレートモノマー ダイソー(株)製 ダップモノマー
架橋剤3:スチレンモノマー
【0161】
(3)重合開始剤
ジクミルパーオキサイド(40%マスターバッチ) 日油(株)製 パークミルD40
【0162】
(4)エポキシ樹脂硬化剤
ヘキサヒドロ無水フタル酸 新日本理化(株)製 リカシッドHH
【0163】
(5)白色顔料
白色顔料1:酸化チタン(ルチル型酸化チタン 平均粒子径0.4μm) タイオキサイドジャパン(株)製 Tioxide R−TC30
白色顔料2:酸化アルミニウム(平均粒子径0.5μm)
白色顔料3:チタン酸バリウム(平均粒子径0.4μm)
【0164】
(6)無機充填剤
無機充填剤1:シリカ(溶融シリカ 平均粒子径25μm) 電気化学工業(株)製 FB820
無機充填剤2:水酸化アルミニウム(平均粒径29μm)
【0165】
(7)離型剤
離型剤:ステアリン酸亜鉛 堺化学工業(株)製 SZ−P
【0166】
(8)補強材
補強材:ガラス繊維(3mm長) オーエンスコーニングジャパン社製 CS03IE830A
【0167】
<評価方法>
(1)射出成形性
表1に示す実施例1〜9および表2に示す比較例1〜6の配合割合の樹脂組成物を、射出成形機(松田製作所製、150トン 熱硬化性射出成形機)により、金型温度160℃・硬化時間60秒の条件で、JISK6911に準拠した成形収縮率測定用テストピースを作成し、目視にて実成形評価を行った。
良好なものを○、不良のものを×とした。その結果を表1、2に示す。
【0168】
(2)トランスファー成形性
表1に示す実施例1〜9および表2に示す比較例1〜6の配合割合の樹脂組成物を、トランスファー成形機(50トン プランジャー式トランスファー成形機)により、JISK6911に準拠した成形収縮率測定用テストピースを作成し、目視にて実成形評価を行った。
良好なものを○、不良のものを×とした。その結果を表1、2に示す。
【0169】
(3)反射率経時変化
表1に示す実施例1〜9および表2に示す比較例2、5の配合割合の樹脂組成物を、成形機(松田製作所製、150トン 熱硬化性射出成形機)により、また、比較例4、6の配合割合の樹脂組成物を、成形機(50トン プランジャー式トランスファー成形機)により、JISK6911に準拠した反射率経時変化用テストピースを作成した。
【0170】
このテストピースに、波長:460nmのLEDを取り付け、150℃での各LEDリフレクターの反射率経時変化を反射率測定器(日本電色工業株式会社製分光色彩計)で測定した。
【0171】
実施例4、比較例4、5のLEDリフレクターの反射率経時変化のグラフを図2に示す。
図2のグラフでは、
実施例4(不飽和ポリエステル樹脂製LEDリフレクター)(●)、
比較例4(エポキシ樹脂製LEDリフレクター)(■)、
比較例5(ナイロン樹脂製LEDリフレクター)(◆)を示している。
また、実施例1〜9および比較例1〜6の初期反射率と1000時間経過後の反射率を表1、2に示す。
【0172】
(4)耐熱変色性
上記反射率経時変化において、150℃、1000時間処理後のテストピース表面の反射率を反射率測定器(日本電色工業株式会社製分光色彩計)で測定した。
【0173】
反射率測定波長は460nmで行い、反射率が70%以上のものを○、70%未満のものを×、測定不能のものを−とした。その結果を表1、2に示す。
【0174】
(5)ブラストバリ処理性
表1に示す実施例1〜9および表2に示す比較例2、5の配合割合のLEDリフレクター用不飽和ポリエステル樹脂組成物を、射出成形機により、また、比較例4、6の配合割合のLEDリフレクター用不飽和ポリエステル樹脂組成物を、トランスファー成形機により、JISK6911に準拠した、ブラストバリ処理性用テストピースを作成した。
各テストピースについてブラスト処理(ドライブラスト法、ビーズ種類:ナイロン 条件:0.1〜0.2MPaの風量で1m/min)し、目視にてブラストバリ処理性評価を行った。
良好なものを○、不良のものを×とした。その結果を表1、2に示す。
【0175】
(6)保存安定性
表1に示す実施例1〜9および表2に示す比較例2、4〜6の配合割合の樹脂組成物の外観を20℃の条件で観察し、樹脂組成物が初期の状態からの変化があるか否かで保存安定性を判定した。
変化が無いものを○とし、変化があるものを×とした。
【0176】
【表1】

【0177】
【表2】

【0178】
表1および表2より、本発明の配合量範囲を満足する実施例1〜9では、射出成形性、トランスファー成形性、及びブラストバリ処理性、保存安定性の結果において全て良好な結果が得られた。また、特に無機充填剤としてのシリカの配合が射出成形性に対して有効であり、耐熱変色性にも好影響を及ぼすことが確認された。
【0179】
全体量に対して不飽和ポリエステル樹脂の配合量が40質量%を越え、無機充填剤を含まない比較例1、不飽和ポリエステル樹脂が14質量%未満で、白色顔料と無機充填剤の配合量が74質量%を超えている比較例3では、射出成形性の結果が不良であり、耐熱変色性の反射率も測定不能であった。
【0180】
酸化チタンとシリカの配合量に占める酸化チタンの割合が30質量%未満である比較例2では、射出成形性は良好であったが耐熱変色性の反射率が70%以下の結果であった。
【0181】
反射率経時変化では、比較例4のエポキシ樹脂製及び比較例5のナイロン樹脂製LEDリフレクターは、初期反射率は本発明の不飽和ポリエステル製LEDリフレクターよりも高い反射率を示しているものの、時間の経過とともに反射率が低下し、1000時間経過時には実施例4の不飽和ポリエステル樹脂製LEDリフレクターの反射率よりも低い値となっている。
【0182】
このことから、実施例4の不飽和ポリエステル樹脂製LEDリフレクターは、比較例4のエポキシ樹脂製および、比較例5のナイロン樹脂製LEDリフレクターに比べて、反射率の経時変化が少ないことが確認された。
【0183】
本発明の不飽和ポリエステル樹脂製LEDリフレクターは、表1からも明らかなように、波長が460nmのLEDで、初期の反射率が90%以上であり、150℃、1000時間の経過時に70%以上の反射率を有していることが確認された。
【0184】
また、保存安定性については、常温で硬化反応が進行するエポキシ樹脂組成物である比較例4および、常温で架橋剤のスチレンモノマーが揮発を起こす湿式不飽和ポリエステル樹脂組成物である比較例6では、初期状態からの増粘が起こり、不良であった。
【符号の説明】
【0185】
10 発光素子
20 第1のリード
21a 上面部
21b 側端部
21c 下面部
30 第2のリード
31a 上面部
31b 側端部
31c 下面部
32 切欠部
33 突起部
35 カップリング剤処理部
36 粗面部
40c 凹部
40 第1の樹脂体
41 密着部
50 第2の樹脂体
45 樹脂絶縁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子と、
この発光素子を載置するための第1のリードと前記発光素子と電気的に接続される第2のリードとに一体化され、凹部を有する乾式不飽和ポリエステル樹脂成形体からなる第1の樹脂体と、
この第1の樹脂体の前記凹部に載置された前記発光素子を被覆する第2の樹脂体とを備え、
前記凹部の底面部には、前記発光素子を載置した第1のリードが露出され、かつ前記第1のリードと前記第2のリードとを絶縁する樹脂絶縁部が設けられ、
前記乾式不飽和ポリエステル樹脂成形体は、不飽和ポリエステル樹脂、重合開始剤、無機充填剤、白色顔料、離型剤、および補強材を少なくとも含む乾式不飽和ポリエステル樹脂組成物であって、前記不飽和ポリエステル樹脂が、前記組成物全体量に対して14〜40質量%の範囲内であり、前記無機充填剤と前記白色顔料の配合量の合計が、前記組成物全体量に対して44〜74質量%の範囲内であり、前記無機充填剤と前記白色顔料の配合量の合計に占める前記白色顔料の割合が30質量%以上であり、前記不飽和ポリエステル樹脂が、不飽和アルキッド樹脂と架橋剤が混合されたものである乾式不飽和ポリエステル樹脂組成物を成形したものであることを特徴とする表面実装型発光装置。
【請求項2】
前記無機充填剤が、シリカ、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、および炭酸バリウムからなる群から選択される1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の表面実装型発光装置。
【請求項3】
前記白色顔料が、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、および炭酸バリウムからなる群から選択される1種以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の表面実装型発光装置。
【請求項4】
前記白色顔料の配合量が、不飽和ポリエステル樹脂100質量部に対して100〜300質量部の範囲内であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の表面実装型発光装置。
【請求項5】
前記白色顔料の平均粒径が2.0μm以下であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の表面実装型発光装置。
【請求項6】
前記無機充填剤と前記白色顔料の配合量の合計が、前記不飽和ポリエステル樹脂100質量部に対して500質量部以下であり、前記無機充填剤の平均粒径が250μm以下であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の表面実装型発光装置。
【請求項7】
前記補強材がガラス繊維であり、前記補強材の配合量が前記不飽和ポリエステル樹脂100質量部に対して10〜100質量部であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の表面実装型発光装置。
【請求項8】
前記第1のリードおよび前記第2のリードの表面における少なくとも前記第1の樹脂体が接する部分にカップリング剤で処理したカップリング剤処理部が設けられていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の表面実装型発光装置。
【請求項9】
前記第1のリードおよび前記第2のリードの表面における少なくとも前記第1の樹脂体が接する部分に表面粗度Raが2.5〜4.5μmの粗面部が設けられていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の表面実装型発光装置。
【請求項10】
前記第1の樹脂体は、少なくとも前記第1のリードおよび前記第2のリードのアウターリード部の上面部から側端部までの範囲に密着して前記範囲を連続的に覆う密着部が設けられていることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の表面実装型発光装置。
【請求項11】
前記密着部は、前記第1のリードおよび前記第2のリードのアウターリード部の上面部から側端部を経て下面部までの範囲に密着して前記範囲を覆うことを特徴とする請求項10に記載の表面実装型発光装置。
【請求項12】
前記第1のリードおよび前記第2のリードのアウターリード部の側端部に内側に凹む切欠部が設けられ、前記第1の樹脂体の密着部は、前記切欠部に密着していることを特徴とする請求項10または11に記載の表面実装型発光装置。
【請求項13】
前記第1のリードおよび前記第2のリードのアウターリード部の側端部に外側に突出する突起部が設けられ、前記第1の樹脂体の密着部は、前記突起部に密着していることを特徴とする請求項10または11に記載の表面実装型発光装置。
【請求項14】
前記発光素子は、発光波長が420〜490nmであり、前記第1の樹脂体は、酸化チタン白色顔料含有樹脂体であることを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載の表面実装型発光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−231111(P2012−231111A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232158(P2011−232158)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【特許番号】特許第4893874号(P4893874)
【特許公報発行日】平成24年3月7日(2012.3.7)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】