説明

表面実装部品取り付け構造

【課題】 リフローなどの半田付けを経ても複数の外部端子(リード部)を有する表面実装部品が正規の位置(プリント配線板に対する角度)でプリント配線板に配置することが可能な新規の表面実装部品取り付け構造を提供すること。
【解決手段】 表面実装部品から、それぞれ複数のパッド部へ延び、パッド部と対向する位置に、外形がパッド部の外形と一部が重なった半田付け領域をそれぞれ有する複数のリード部の両側方の少なくとも一方に半田材がフィレット状に固着し、パッド部の外形と一部が重なる半田付け領域の外形がリード部の先端であることを特徴とする表面実装部品取り付け構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の外部端子(リード端子、リード部、アウターリード、リード)を有する表面実装部品である半導体チップなどの電子部品及びコネクタなどの接続端子部品をリフロー半田付け(リフロー)によってプリント基板を用いた配線基板(プリント配線板)上に設けられた半田パッド(パッド、ランド、パッド部、ランド部)に取り付けた構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の外部端子を有する表面実装部品取り付け構造は、例えば、次のような、特許文献1〜6に記載のものがある。また、表面実装部品をプリント配線板に表面実装する方法としてはリフロー半田付けが周知である。プリント配線板上に形成されている半田パッドにクリーム半田をスクリーン印刷法により印刷し、次に、表面実装部品の外部端子をクリーム半田が印刷された半田パッドの上に載置する。そして、このプリント配線板をリフロー炉に入れてクリーム半田を溶融させ、外部端子を半田パッドに半田付けする。
【0003】
このようなリフロー半田付けにおいて、表面実装部品の外部端子が半田パッドよりはみ出して載置された場合や曲がって載置された場合でも、半田溶融時に生じる半田の表面張力により部品実装位置が修正される機能(セルフアライメント機能)が一般的に知られている。セルフアライメントに関しては、後述の特許文献3の説明でも触れる。
【0004】
特許文献1には、表面実装部品の外部端子であるリード端子の幅方向の側方に半田のフィレットを形成させるために、リード端子の幅方向と基板上に形成されたランドの幅方向において中心線を一致しないようにしたものが記載されている。特許文献2には、リード端子の先端に半田のフィレットを形成させるために、リード端子の先端をテーパ状にしたものが記載されている。
【0005】
特許文献3には、リフロー時にセルフアライメント機能(部品実装位置修正機能)を十分に発揮させるために、半田パッドの形状をリード端子の先端側が広いテーパ状にしたものが記載されている。特許文献4には、リード端子先端の傾斜部の外形寸法とランド部の外形寸法とがほぼ同じものやリード端子先端の傾斜部の外形寸法よりもランド部の外形寸法が大きくないものであっても、リード端子先端の傾斜部の下面とランド部の上面との間が、くさび状の隙間が形成されるので、その隙間に半田を充填して半田付けすることにより、強度が確保できることが記載されている。
【0006】
特許文献5には、アウターリードの先端を曲げたものが記載されている。特許文献6には、複数のアウターリードを交互にガルウィング形状とJリード形状とにしたものが記載されている。なお、特許文献7には、表面実装部品が実装された基板の検査に関する記載がある。また、特許文献7の段落「0007」に記載のように、表面実装部品をリフローにより基板のパッド部に半田付けする場合において、半田溶融(リフロー)時に生じる半田の表面張力によるセルフアライメント機能が十分でないと表面実装部品の位置ずれが生じる可能性を示唆している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−282899号公報(特に、第1図)
【特許文献2】特開2006−114571号公報(特に、第3図、第8図〜第10図)
【特許文献3】特開2001−339146号公報(特に、段落[0007]及び[0008]、段落[0021]及び[0022]、第1図、第3図)
【特許文献4】特開平11−261187号公報(特に、第1図〜第3図、第15図、第16図)
【特許文献5】特開平9−232499号公報(特に、第9図、第10図、第12図)
【特許文献6】特開平4−28259号公報(特に、第2図、第4図)
【特許文献7】特開2008−10666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献3に記載のように、プリント配線板上に設ける半田パッドの形状を、外端部から内端部に向かって長手方向に次第に幅が減少するテーパ状とすることで、半田溶融時のセルフアライメント機能が十分に発揮することに加えて、半田パッド間の半田ブリッジを防止することが容易となる。もちろん、セルフアライメント機能は、特許文献1及び2、4〜6に記載の表面実装部品取り付け構造においても、適用することが可能であることはいうまでもない。
【0009】
しかし、セルフアライメント機能は表面実装部品の外部端子の載置ずれを補正する有用の機能であるが、表面実装部品の外部端子の部品本体(ボディ)への取り付け位置の公差が大きい場合、つまり、外部端子位置が部品ボディに対して公差ばらつきが大きい場合、精度よく基板へ部品を自装すると、基板上の半田パッドに対して外部端子位置がずれる(このとき、部品ボディは正しい位置にマウントされている)。そして、リフロー半田付けの後に、リフロー時のセルフアライメント機能(効果)により外部端子が半田パッドの中心に引っぱられるので、結果として、部品ボディがずれて実装される可能性があるという課題があった。
【0010】
つまり、半田パッド上に載置された外部端子の物理的位置ずれのため各端子に働くセルフアライメントしようとする横向きの力により、回転モーメントが生じ、さらに、端子先端方向にパッド上に端子が移動できる余地がある場合、この回転モーメントにより表面実装部品が回転ずれを起してプリント配線板に実装されてしまうという現象が生じる。
【0011】
また、特許文献4の第1図〜第3図に記載されているリード端子先端の傾斜部の外形寸法とランド部の外形寸法とがほぼ同じものも、表面実装部品の外部端子の部品本体への取り付け位置の公差が小さいことを前提としていることは明らかであり、セルフアライメント機能の発揮に関わらず、表面実装部品の外部端子の部品本体への取り付け位置の公差が大きい場合は、リード端子のランド部へ必要な強度で半田付けされない可能性が高いという課題があった。
【0012】
この発明は、上記のような課題を解消するためになされたもので、表面実装部品で、端子がずれて取り付けられた部品を実装する場合に、半田付け時のセフルアライメント機能によって回転ずれを起して実装されるという悪影響を取り除き、表面実装部品における複数の外部端子の位置精度低い場合、つまり、公差が大きく、外部端子の幅方向(リードなどの細長い外部端子の延びる方向が長さ方向であり、それと直交する方向)における中心軸と対応する半田パッドの中心軸とのずれが大きい場合でも、リフローなどの半田付けを経ても表面実装部品が正規の位置(プリント配線板に対する角度)でプリント配線板に配置することが可能な新規の表面実装部品取り付け構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1の発明に係る表面実装部品取り付け構造は、基板と、この基板の表面に設けられた複数のパッド部と、前記基板上に設けられた表面実装部品と、この表面実装部品から、それぞれ前記複数のパッド部へ延び、前記パッド部と対向する位置に、外形が前記パッド部の外形と一部が重なった半田付け領域をそれぞれ有する複数のリード部と、これら複数のリード部の半田付け領域と前記複数のパッド部とをそれぞれ電気的に接続する半田材とを具備し、前記リード部の両側方の少なくとも一方に前記半田材がフィレット状に固着し、前記パッド部の外形と一部が重なる前記半田付け領域の外形が前記リード部の先端であることを特徴とするものである。
【0014】
請求項2の発明に係る表面実装部品取り付け構造は、基板と、この基板の表面に設けられた複数のパッド部と、前記基板上に設けられた表面実装部品と、この表面実装部品から、それぞれ前記複数のパッド部へ延び、前記パッド部と対向する位置に半田付け領域をそれぞれ有する複数のリード部と、これら複数のリード部の半田付け領域と前記複数のパッド部とをそれぞれ電気的に接続する半田材とを具備し、前記リード部は、その先端が前記パッド部の外形と一部が重なる前記半田付け領域の端部の先に形成されることを特徴とするものである。
【0015】
請求項3の発明に係る表面実装部品取り付け構造は、前記リード部が前記半田付け領域の前記表面実装部品に繋がる側の端部に屈曲部を有し、この屈曲部と前記パッド部とが対向する領域にある前記半田材はフィレット状になっている請求項1又は2に記載のものである。
【0016】
請求項4の発明に係る表面実装部品取り付け構造は、基板と、この基板の表面に設けられた複数のパッド部と、前記基板上に設けられた表面実装部品と、半田付け領域を有し、複数の前記パッド部に向かってそれぞれが延びる前記表面実装部品の複数のリード部と、前記パッド部と前記リード部とを前記半田付け領域で電気的に接続する半田材とを具備し、前記リード部の両側方の少なくとも一方に前記半田材がフィレット状に固着し、前記リード部の先端は前記パッド部の先端に合わせて配置されると共に前記パッド部の先端の前記半田材は前記リード部で覆われていることを特徴とするものである。
【0017】
請求項5の発明に係る表面実装部品取り付け構造は、基板と、この基板の表面に設けられた複数のパッド部と、前記基板上に設けられた表面実装部品と、半田付け領域を有し、複数の前記パッド部に向かってそれぞれが延びる前記表面実装部品の複数のリード部と、前記パッド部と前記リード部とを前記半田付け領域で電気的に接続する半田材とを具備し、前記リード部の先端は前記パッド部の先端を越えて配置されると共に前記パッド部の先端の前記半田材は前記リード部で覆われていることを特徴とするものである。
【0018】
請求項6の発明に係る表面実装部品取り付け構造は、前記リード部の先端が、前記基板の表面から遠ざかる方向に屈曲した請求項2、3、5のいずれかに記載のものである。
【0019】
請求項7の発明に係る表面実装部品取り付け構造は、前記リード部の先端が、テストポイントピンとして機能する請求項2、3、5、6のいずれかに記載のものである。
【0020】
請求項8の発明に係る表面実装部品取り付け構造は、前記リード部が、前記半田付け領域の途中で前記基板の表面から遠ざかる方向に屈曲し、前記パッド部の平面と前記リード部の傾斜面との間に前記半田材がフィレット状に固着した請求項4又は5に記載のものである。
【0021】
請求項9の発明に係る表面実装部品取り付け構造は、前記半田材がフィレット状に形成された前記パッド部が、前記リード部の屈曲部又は前記リード部の傾斜面が、前記基板から遠ざかる方向に広がる請求項3又は8に記載のものである。
【0022】
請求項10の発明に係る表面実装部品取り付け構造は、前記表面実装部品は、電子部品又は接続端子部品である請求項1〜9のいずれかに記載のものである。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、請求項1〜6、8〜10に係る発明によれば、プリント基板を用いた配線基板(プリント配線板)である基板の表面に設けられた複数のパッド部に載置される複数のリード部の公差が大小に関わらず、半田付け時にセルフアライメント機能が生じる可能が低い表面実装部品取り付け構造を得ることができる。
【0024】
請求項7に係る発明によれば、請求項2、3、5、6の効果に加えて、表面実装部品に別途テストポイントピンを設けずとも、リード部の先端をテストポイントピンとして使用することが可能である表面実装部品取り付け構造を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】この発明の実施の形態1に係る表面実装部品取り付け構造の構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る表面実装部品取り付け構造の断面図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る表面実装部品取り付け構造の斜視図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る表面実装部品取り付け構造と対比用の構造の構成図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係る表面実装部品取り付け構造と対比用の構造の断面図である。
【図6】この発明の実施の形態1に係る表面実装部品取り付け構造と対比用の構造の斜視図である。
【図7】セルフアライメント機能の説明図である。
【図8】この発明の実施の形態1に係る表面実装部品取り付け構造のパッド部の詳細図である。
【図9】この発明の実施の形態2に係る表面実装部品取り付け構造の構成図である。
【図10】この発明の実施の形態2に係る表面実装部品取り付け構造の断面図である。
【図11】この発明の実施の形態2に係る表面実装部品取り付け構造の斜視図である。
【図12】この発明の実施の形態3に係る表面実装部品取り付け構造のリード部の断面図である。
【図13】この発明の実施の形態4に係る表面実装部品取り付け構造のリード部、半田材、パッド部の拡大断面図である。
【図14】この発明の実施の形態5に係る表面実装部品取り付け構造の断面図である。
【図15】この発明の実施の形態5に係る表面実装部品取り付け構造の断面図である。
【図16】この発明の実施の形態5に係る表面実装部品取り付け構造の断面図である。
【図17】この発明の実施の形態6に係る表面実装部品取り付け構造の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1について図1〜3を用いて説明する。図1(a)は表面実装部品取り付け構造の表面実装部品を中心とする上面図、図1(b)は表面実装部品取り付け構造の表面実装部品における一つのリード部の拡大斜視図、図2(a)は表面実装部品取り付け構造の表面実装部品の図1(a)に記載の点線ABによる断面図、図2(b)は表面実装部品取り付け構造の表面実装部品の図1(a)に記載の点線ABによるリード部の拡大断面図、図3(a)は表面実装部品取り付け構造の表面実装部品のリード部図、図3(b)は表面実装部品取り付け構造の表面実装部品における一つのリード部の拡大斜視図(サイドフィレットの図示省略)、図3(c)は表面実装部品取り付け構造の表面実装部品の斜視図(サイドフィレットの図示省略)である。
【0027】
図1〜3において、1はプリント基板を用いた配線基板(プリント配線板)である平板状の基板である。なお、本願にて、後述する基板1上に設けられる表面実装部品、パッド部、リード部の位置関係を強調するために、基板1は一部の断面図を除き、その領域を明示する記載は省略する。2は基板1の表面に設けられた複数のパッド部、3は基板1上に設けられた半導体チップなどの電子部品、又は、コネクタなどの接続端子部品である表面実装部品である。基板1上には、表面実装部品3を含む多数の部品や印刷された導電性パターンが形成されている。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0028】
図1〜3において、4は表面実装部品3から、それぞれ対応する複数のパッド部2へ延び、パッド部2と対向する位置に、外形がパッド部2の外形と一部が重なった半田付け領域をそれぞれ有する複数の平板状のリード部、5はリード部4の先端部分であるリード先端部、6はリード部4の側面(側方)部分であるリード側方部である。なお、リード部4は平板上である必要はなく、線状のものであってもよい。また、リード部4は、表面実装部品3のアウターリードであり、アウターリードに繋がる表面実装部品3筐体内のインナーリードの図示は省略する。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0029】
図1〜3において、7はクリーム半田が半田付け(リフロー半田付け)により、溶融から固化して、パッド部2と表面実装部品3のリード部(リード部4)と電気的に接続している半田材である。半田材7は、表面実装部品取り付け構造の一部の上面図を除き、パッド部2上に点線で領域を示し、符号を付すことは省略する。また、便宜上、半田材7を示す点線で囲われた領域を半田付け前のクリーム半田が印刷される領域として説明する場合もある。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0030】
図1〜3において、8は表面実装部品3のリード部(リード部4)の半田付け領域の表面実装部品3に繋がる側の端部の、表面実装部品3のリード部先端部分(リード先端部5)寄りに形成された踵状の第1屈曲部、9は表面実装部品3のリード部(リード部4)の半田付け領域の表面実装部品3に繋がる側の端部の、表面実装部品3本体寄りに形成された踵状の第2屈曲部、10は第1屈曲部8とパッド部2とが対向する領域に存在する半田材7であるヒールフィレットであり、ヒールフィレット10は、リード部(リード部4)が半田付け領域の表面実装部品3に繋がる側の端部に第1屈曲部8を有し、この第1屈曲部8とパッド部2とが対向する領域にある半田材7(フィレット状)である。11は表面実装部品3のリード部側方部分(リード側方部6)に存在する半田材7であるサイドフィレットである。なお、リード部4は二つのリード側方部6の少なくとも一方に半田材7がフィレット状に固着したサイドフィレット11が存在し、パッド部2の外形と一部が重なるリード部4の半田付け領域の外形がリード部4の先端(リード先端部5)である。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0031】
図1は、実施の形態1に係る表面実装部品取り付け構造を示すものである。図1(a)(b)に示すように、表面実装部品3は部品本体から複数のリード部4が部品外側に向かって取り付けられている。また基板1の表面にパッド部2が銅などの導体により形成されている。表面実装部品3の基板1への実装はリフロー半田付け法を用いる。パッド部2にクリーム半田を印刷した後(図1(a)に示すパッド部2上の点線で囲われた領域)、表面実装部品3のリード部4をクリーム半田が印刷されたパッド部2上に載置する。そして、この基板1をリフロー炉に入れて過熱することでクリーム半田が溶融し、半田付けされる(図1(b)に示す半田材7)。
【0032】
実施の形態1に係る表面実装部品取り付け構造は、図1(b)及び図2(a)に示すように、リード先端部5が、パッド部2の先端に合わせて配置されると共にパッド部2の先端の半田材7はリード部4で覆われている。つまり、図2(a)の点線EFで示す面が、段差が無い状態、所謂、「面一」となっている。なお、半田材7が内側に張り込んでいる場合でも、点線EFで示す面において、リード先端部5とパッド部2の先端とが「面一」段差が無い状態であればよい。また、リード部4が、半田付け領域(図2(b)に図示)の途中で基板1の表面から遠ざかる方向に屈曲し、パッド部2の平面とリード部4の傾斜面との間に半田材7がフィレット状に固着している。この半田材7がヒールフィレット10である。
【0033】
さらに、ヒールフィレット10に関して図3を用いて説明する。図3に示す表面実装部品取り付け構造では、ヒールフィレット10の位置や形状を明確にするために、サイドフィレット11を省略している。ここで、サイドフィレット11は、図3(a)に示すリード部4の両側方の少なくとも一方のリード側方部6に付着しいているものである。一方、図3(a)に示すリード部4のリード先端部5には、半田材7がフィレット状には、付着しない。その理由は、パッド部2の先端(表面実装部品3の反対側の端部)とリード部4の半田付け領域の外形に当たるリード先端部5とが平面視で重なっているためである。
【0034】
前述のとおり、リード先端部5には、半田材7がフィレット状には付着しないために、実施の形態1に係る表面実装部品取り付け構造における表面実装部品3の基板1への固定する力が弱まる可能性がある場合は、図3に示すヒールフィレット10の形状が大きくなりうるように、半田材7がフィレット状に形成されたパッド部2、つまり、ヒールフィレット10が形成されうるパッド部2の領域を、リード部4の第1屈曲部8(リード部4の傾斜面)が、基板1から遠ざかる方向に大きく広がるものにすればよい。
【0035】
次に、図4〜7を用いて、実施の形態1に係る表面実装部品取り付け構造がリフロー半田付けによって、セルフアライメント機能が生じない理由を説明する。なお、図4〜6は、それぞれ図1〜3に対応するものである。図4(a)は対比用表面実装部品取り付け構造の表面実装部品を中心とする上面図、図4(b)は対比用の表面実装部品取り付け構造の表面実装部品における一つのリード部の拡大斜視図、図5(a)は対比用表面実装部品取り付け構造の表面実装部品の図4(a)に記載の点線ABによる断面図、図5(b)は対比用表面実装部品取り付け構造の表面実装部品の図4(a)に記載の点線ABによるリード部の拡大断面図、図6(a)は対比用表面実装部品取り付け構造の表面実装部品のリード部図、図6(b)は対比用表面実装部品取り付け構造の表面実装部品における一つのリード部の拡大斜視図(サイドフィレットの図示省略)、図6(c)は対比用表面実装部品取り付け構造の表面実装部品の斜視図(サイドフィレットの図示省略)、図7(a)は対比用表面実装部品の上面図(リフロー前)、図7(b)は対比用表面実装部品の上面図(リフロー後)、図7(c)は実施の形態1に係る表面実装部品の上面図(リフロー前)である。
【0036】
図4〜7において、12は表面実装部品3のリード先端部5に存在する半田材7であるフロントフィレット、13は表面実装部品3から、それぞれ対応する複数のパッド部2へ延び、パッド部2と対向する位置に、外形がパッド部2の外形からリード先端部5が内側に入った半田付け領域をそれぞれ有する複数の平板状のリード部である。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。なお、図6に示す対比用表面実装部品取り付け構造では、ヒールフィレット10及びフロントフィレット12の位置や形状を明確にするために、サイドフィレット11を省略している。図7においては半田材7の表示を省略し、リード部4及びリード部13を透視してパッド部2が見えた状態を示している。図7(a)(c)には、パッド部2にクリーム半田(半田材7)が印刷されており、その上にリード部13が配置されている。図7(c)に記載のパッド部2の面積が、図7(a)(b)に記載のパッド部2の面積よりも小さいが、これはリード先端部5から先に広がったパッド部2の領域が、図7(c)に記載のパッド部2には無いことを分かりやすく図示したためであり、図7(c)に記載のパッド部2の面積が、図7(a)(b)に記載のパッド部2の面積よりも小さいことが、本願の本質的な特徴ではない。
【0037】
実施の形態1に係る表面実装部品取り付け構造と図4〜6に記載の対比用表面実装部品取り付け構造との相違点は、図4〜6に記載の表面実装部品取り付け構造において、図4〜6に示すように、リード部13のリード先端部5には、半田材7がフィレット状に付着していることである。その理由は、対比用表面実装部品取り付け構造のパッド部2の先端(表面実装部品3の反対側の端部)とリード部13の半田付け領域の外形に当たるリード先端部5とが平面視で重なっておらず、特に、図5(a)に記載の断面から分かるように、リード先端部5とパッド部2の先端とが段差が有る状態であるからである。なお、リード部13の半田付け領域は、実施の形態1に係る表面実装部品取り付け構造のリード部4と異なり、リード先端部5も、その領域に含む(図5(b))。
【0038】
このように、対比用表面実装部品取り付け構造においては、リード先端部5とパッド部2の先端とが段差が有る状態なので、リード先端部5から先にもパッド部2が広がっている。したがって、対比用表面実装部品取り付け構造のリフロー前であれば、リード先端部5から先に広がったパッド部2にはクリーム半田が印刷された状態で露出されており、対比用表面実装部品取り付け構造のリフロー後であれば、リード先端部5から先に広がったパッド部2には半田材7によるフロントフィレットがパッド部2からリード先端部5に亘り存在することになる。
【0039】
対比用表面実装部品取り付け構造は、以上のような構成になっているために、図7(a)に示すように、パッド部2に対して、リード部13がずれている場合、具体的には図7(a)に記載される表面実装部品3の上段4つのリード部13がパッド部2の中心軸(点線)から右にずれ、表面実装部品3の下段4つのリード部13がパッド部2の中心軸(点線)から左にずれている場合を例に説明を行う。なお、図7(a)に記載の横点線と表面実装部品3とが成す角度(90°)が表面実装部品3を基板1に実装した際に所定の位置となる角度とする。また、この角度と平行に表面実装部品3からリード部4が延びるとする。
【0040】
図7(a)に記載の対比用表面実装部品取り付け構造では、リフロー半田付けの際、基板1の表面に設けられたパッド部2から端子がずれて配置され、半田溶融時に半田の表面張力により表面実装部品3の各リード部13に、パッド部2の中心方向に向かって横方向の力が働き、に示すように回転モーメントが生じる。図7(a)では下段のリード部13にのみモーメントを矢印で表示しているが、上段で、下段と反対方向の矢印にモーメントが生じ、結果、表面実装部品3の中心を中心点した回転モーメントとなる。そのため、図7(b)に示すように、所定の角度90°ではなく、角度X°となってしまう表面実装部品3の回転ずれが生じて、表面実装部品3が基板1に実装される。
【0041】
このような、図7(a)に示す対比用表面実装部品取り付け構造に対して、図7(c)に示す実施の形態1に係る表面実装部品取り付け構造は、表面実装部品3の回転ずれを抑制するために、前述のように、パッド部2を表面実装部品3のリード部4の先端と面一としている。そのために、仮に、リード部4の幅方向の中心軸と対応するパッド部2の中心軸とが図7(a)のようにずれており、半田溶融時に、セルフアライメントによる回転モーメントが生じたとしても、パッド部2の先端にリード部4が移動する余地が無いため、回転を抑制することができる。したがって、リフロー前にクリーム半田が印刷されたパッド部2にリード部4を所定の位置に表面実装部品3を実装するため、正しい位置に載置することにより、リード部4の幅方向の中心軸と対応するパッド部2の中心軸とが図7(a)のずれの有無に関わらず、表面実装部品3が回転ずれを起して基板1に実装される可能性を著しく下げることができる。
【0042】
ここでは、図8を用いて、実施の形態1に係る表面実装部品取り付け構造のパッド部の詳細を説明する。図8において、14は基板1の表面に印刷などで形成され、基板1上でパッド部2と電気的に接続された導電性パターンで構成された配線パターンである。実施の形態1に係る表面実装部品において、配線パターン14は、パッド部2を介してリード部7に電気的接続される。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。図1〜7では、説明を簡単化するために、図8(b)に示すように、パッド部2を独立した島状のものとして図示・説明してきたが、実際は、実施の形態1に係る表面実装部品取り付け構造の表面実装部品3には、図8(a)(c)(d)に示すように、信号や電力を供給する配線(配線パターン14)が必要な場合が多い。もちろん、パッド部2を基板1内層に設けたスルーホールと電気的接続する場合もある。スルーホールを使用するとき、パッド部2の領域内にスルーホールを設けることで、配線パターン14が不要な場合もあることはいうまでもない。
【0043】
図8(a)に記載のように、実施の形態1に係る表面実装部品取り付け構造の表面実装部品3は、複数の配線パターン14を介して、信号を送受信したり、制御信号や動作用の電力が供給されたりすること可能である。配線パターン14は、図8(c)に示すように、パッド部2よりも幅が狭いものである。換言すると、配線パターン14の幅方向の長さがパッド部2よりも短いということになる。また、パッド部2と配線パターン14とは、基板1に印刷にて一体的な導電パターンとして形成されることが一般的であるが、図8(c)の点線GHを境界に機能としては、パッド部2と配線パターン14とに分離されるものである。さらに、図8(d)に示すように、配線パターン14の幅方向の長さがリード部4の幅方向の長さよりも短いために、前述したリード部4の幅方向の中心軸と対応するパッド部2の中心軸とが、図7(a)のずれの有無に関わらず、パッド部2の先端にリード部4が移動する余地が無いので、セルフアライメント機能による表面実装部品3の実装ずれが生じない。
【0044】
実施の形態2.
本願に係る表面実装部品取り付け構造は、半田付け時にセルフアライメントによる回転モーメントが生じたとしても、パッド部2の先端にリード部4が移動する余地を無くし、回転を抑制するものである。したがって、実施の形態1では、表面実装部品3のリード部4の先端部分であるリード先端部5の断面とパッド部2の先端の断面とが面一のものを説明したが、パッド部2の先端の半田材7がリード部(リード部4)で覆われておれば、リード部(リード部4)の先端(リード先端部5)はパッド部2の先端を越えて配置されていてもよい。実施の形態2では、その場合について説明する。
【0045】
この発明の実施の形態2について図9〜11を用いて説明する。図9(a)は表面実装部品取り付け構造の表面実装部品を中心とする上面図、図9(b)は表面実装部品取り付け構造の表面実装部品における一つのリード部の拡大斜視図、図10(a)は表面実装部品取り付け構造の表面実装部品の図9(a)に記載の点線ABによる断面図、図10(b)は表面実装部品取り付け構造の表面実装部品の図9(a)に記載の点線ABによるリード部の拡大断面図、図11(a)は表面実装部品取り付け構造の表面実装部品のリード部図、図11(b)は表面実装部品取り付け構造の表面実装部品における一つのリード部の拡大斜視図(サイドフィレットの図示省略)、図11(c)は表面実装部品取り付け構造の表面実装部品の斜視図(サイドフィレットの図示省略)である。なお、図9〜11は、それぞれ図1〜3に対応するものである。図9〜11において、図1〜3と共通の符号は実施の形態1で説明したものと同等のものであるので、詳細な説明は省略する。
【0046】
図9〜11において、15は表面実装部品3から、それぞれ対応する複数のパッド部2へ延び、パッド部2と対向する位置に半田付け領域をそれぞれ有する複数の平板状のリード部、16はリード部15の先端部分であるリード先端部、17はリード部15の側面(側方)部分であるリード側方部である。なお、リード部15は平板上である必要はなく、線状のものであってもよい。また、リード部15は、表面実装部品3のアウターリードであり、アウターリードに繋がる表面実装部品3筐体内のインナーリードの図示は省略する。さらに、リード部15は二つのリード側方部17の少なくとも一方に半田材7がフィレット状に固着したサイドフィレット11が存在し、リード部15は、その先端であるリード先端部16がパッド部2の外形と一部が重なる半田付け領域の端部の先に形成される。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0047】
図9は、実施の形態2に係る表面実装部品取り付け構造を示すものである。実施の形態2に係る表面実装部品取り付け構造は、図9(b)及び図10(a)に示すように、リード先端部16はパッド部2の先端を越えて配置されると共にパッド部2の先端の半田材7はリード部15で覆われている。つまり、図5(a)に記載の断面のように、リード先端部5とパッド部2の先端とが段差が有る状態と、リード先端部5とパッド部2との関係が逆転した段差、詳しくは、図10(a)に記載の断面のように、リード先端部16とパッド部2の先端とが段差が有る状態である。また、リード部15が、半田付け領域(図10(b)に図示)の途中で基板1の表面から遠ざかる方向に屈曲し、パッド部2の平面とリード部15の傾斜面との間に半田材7がフィレット状に固着している。この半田材7がヒールフィレット10である。
【0048】
さらに、ヒールフィレット10に関して図11を用いて説明する。図11に示す表面実装部品取り付け構造では、ヒールフィレット10の位置や形状を明確にするために、サイドフィレット11を省略している。ここで、サイドフィレット11は、図11(a)に示すリード部15の両側方の少なくとも一方のリード側方部17に付着しいているものである。一方、図11(a)に示すリード部15のリード先端部16には、半田材7がフィレット状には、付着しない。その理由は、パッド部2の先端(表面実装部品3の反対側の端部)からリード部15の半田付け領域の外形に当たるリード先端部16が平面視で飛び出しているためである。
【0049】
前述のとおり、リード先端部16には、半田材7がフィレット状には付着しないために、実施の形態2に係る表面実装部品取り付け構造における表面実装部品3の基板1への固定する力が弱まる可能性がある場合は、図11に示すヒールフィレット10の形状が大きくなりうるように、半田材7がフィレット状に形成されたパッド部2、つまり、ヒールフィレット10が形成されうるパッド部2の領域を、リード部15の第1屈曲部8(リード部15の傾斜面)が、基板1から遠ざかる方向に大きく広がるものにすればよい。また、実施の形態2に係る表面実装部品取り付け構造がリフロー半田付けによって、セルフアライメント機能が生じない理由は、実施の形態1において、図4〜7を用いて行った説明と同様であるので省略する。なお、図4〜6は、それぞれ図9〜11に対応するものである。
【0050】
実施の形態1に係る表面実装部品取り付け構造において、複数のリード部4に長さにばらつきがあり、リード部4の長さが短い表面実装部品3の場合、パッド部2の先端に間隙が生じ、図7で示した回転モーメントにより回転ずれを起してしまう可能性があった。しかし、実施の形態2に係る表面実装部品取り付け構造においては、リード部の長さをばらつき考慮して、リード部15のパッド部2からの飛び出し量(リード先端部16)を決定することで回転ずれを確実に抑制すること可能となる。
【0051】
実施の形態3.
この発明の実施の形態3について図12を用いて説明する。実施の形態3に係る表面実装部品取り付け構造は、実施の形態1及び2に係る表面実装部品取り付け構造の補足説明に当たるものである。図12は実施の形態3に係る表面実装部品取り付け構造のリード部の断面図(図1(a)及び図9(a)の点線ABによる断面におけるリード部のみに相当)である。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0052】
実施の形態3に係る表面実装部品取り付け構造において、表面実装部品3のリード部4(リード部15)は、第1屈曲部8から先端に向かう部分が水平線に対して、約5°傾斜している。この傾斜により、表面実装部品3を基板1に載置したとき、パッド部2の平面にして、第1屈曲部8からリード部4(リード部15)のリード先端部5(リード先端部16)に向かう部分が約5°傾斜する。したがって、半田付け(リフロー)後に、リード部4(リード部15)の半田付け領域とパッド部2との間に、横倒しの三角柱形状の半田材7が形成されることになり、半田付け強度が、より高まる。
【0053】
実施の形態4.
この発明の実施の形態4について図13を用いて説明する。実施の形態4に係る表面実装部品取り付け構造は、実施の形態1〜3に係る表面実装部品取り付け構造の補足説明に当たるものである。図13(a)は実施の形態3に係る表面実装部品取り付け構造のリード部、半田材、パッド部の拡大断面図(図1(a)及び図9(a)の点線CDによる断面に相当)、図13(b)(c)(d)は図13(a)の変形例の表面実装部品取り付け構造のリード部、半田材、パッド部の拡大断面図である。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0054】
実施の形態4に係る表面実装部品取り付け構造において、半田付け(リフロー)後のリード部4(リード部15)、半田材7、パッド部2、及び、サイドフィレット11の位置関係は、図13(a)〜(d)に図示するとおりである。図13(a)は実施の形態1及び2に係る表面実装部品取り付け構造に関するものである。この場合は、パッド部2とリード部4(リード部15)とが若干の位置ずれが生じているが、サイドフィレット11は、両方のリード側方部6(リード側方部17)が形成されている。もちろん、図13(b)に図示するように、パッド部2とリード部4(リード部15)とが位置ずれが生じていない場合でも、実施の形態4に係る表面実装部品取り付け構造は実施可能である。
【0055】
さらに、図13(c)に図示するように、リード部4(リード部15)の長さ方向の端部(リード側方部6(リード側方部17))がパッド部2と揃っている場合、つまり、外形が前記パッド部の外形と一部が重なり、サイドフィレット11が片側のリード側方部6(リード側方部17)にのみ形成される場合や、図13(d)に図示するように、リード部4(リード部15)の長さ方向の端部(リード側方部6(リード側方部17))がパッド部2からはみ出し、サイドフィレット11が片側のリード側方部6(リード側方部17)にのみ形成される場合でも、ヒールフィレット10及び片側のサイドフィレット11を含む半田材7の強度が十分確保されておれば、実施の形態4に係る表面実装部品取り付け構造は実施可能である。
【0056】
実施の形態5.
この発明の実施の形態5について図14〜16を用いて説明する。実施の形態5に係る表面実装部品取り付け構造は、実施の形態1を除く他の実施の形態に係る表面実装部品取り付け構造の補足説明に当たるものである。図14〜16は実施の形態5に係る表面実装部品取り付け構造の断面図(図9(a)に記載の点線ABによる断面図に相当)である。図14〜16において、18は表面実装部品3から、それぞれ対応する複数のパッド部2へ延び、パッド部2と対向する位置に半田付け領域をそれぞれ有する複数の平板状のリード部であり、リード部18は、表面実装部品3のアウターリードであり、アウターリードに繋がる表面実装部品3筐体内のインナーリードの図示は省略する。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0057】
図14〜16において、19はリード部18の先端部分が、基板1の表面から遠ざかる方向に滑らかに屈曲したリード先端部、20はリード部18の先端部分が、基板1の表面から遠ざかる方向に角張って屈曲したリード先端部、21は表面実装部品3の電気的な試験を行うための試験装置の本体から延びた握り手部分であるグリップ部、22はグリップ部21の先端に設けられ、リード先端部19(リード先端部20)に接触させて、表面実装部品3の電気的な試験を行うための触端子である。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0058】
図14及び15に示す実施の形態5に係る表面実装部品取り付け構造は、リード部(リード部18)の先端をリード先端部19及びリード先端部20のように、基板1の表面から離すようにしたので、基板1のパッド部2以外の導電性パターンや表面実装部品3以外の部品と、リード部18とが接触する可能性を低減している。また、実施の形態3に係る表面実装部品取り付け構造のように、第1屈曲部8からリード部18のリード先端部19(リード先端部20)に向かう部分が、約5°傾斜している場合は、基板1のパッド部2以外の導電性パターンや表面実装部品3以外の部品と、リード部18とが接触する可能性をより低減することができるだけでなく、リード部の先端が基板1表面に接触してしまい、リード部がパッド部2に載置できないという状態を引き起こす可能性も低減している。
【0059】
また、実施の形態5に係る表面実装部品取り付け構造は、リード先端部19及びリード先端部20が曲がっていることにより、リード部18に弾力性があるので、電気的な試験を行う際、図16に示すように、電気回路・配線(リード部18)に導通する特別な点であるテストポイントのテストポイントピンとしてリード先端部19及びリード先端部20を機能させることが可能である。したがって、表面実装部品3を電気的な試験を行うために、別途、表面実装部品3(表面実装部品3のリード部)にテストポイントピンを設ける必要が無い。なお、後述する実施の形態6に係る表面実装部品取り付け構造においては、全てのリード部の先端をテストポイントピンとして代用することが、リード部の間隔によっては、困難である場合もある。
【0060】
実施の形態6.
この発明の実施の形態6について図17を用いて説明する。実施の形態6に係る表面実装部品取り付け構造は、実施の形態1〜5に係る表面実装部品取り付け構造に適用可能なものである。図17は実施の形態6に係る表面実装部品取り付け構造の断面図(図9(a)に記載の点線ABによる断面図に相当)である。図17において、23は表面実装部品3から、それぞれ対応する複数のパッド部2へ延び、パッド部2と対向する位置に半田付け領域をそれぞれ有する複数の平板状のリード部、24は表面実装部品3のリード部(リード部23)の半田付け領域の表面実装部品3に繋がる側の端部の、表面実装部品3のリード部先端部分(リード先端部16)寄りに形成された踵状の第3屈曲部であり、実施の形態1〜5に係る表面実装部品取り付け構造の第1屈曲部8とは反対側に屈曲しているものである。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0061】
実施の形態6に係る表面実装部品取り付け構造は、実施の形態1〜5に係る表面実装部品取り付け構造と同様の効果を奏することに加え、リード先端部16(リード先端部5)を視認しにくくなること美観が向上するだけでなく、特許文献7に記載のような、表面実装部品が実装された基板の検査など技術を用いた自動検査装置において、リード先端部にフロントフィレットが無いという理由やリード先端部がパッド部からはみ出しているという理由で検査不合格となる設定を変更することなく、従来どおり、自動検査装置を使用できる可能性が高いという効果を奏する。
【0062】
なお、実施の形態6に係る表面実装部品取り付け構造を説明する図17においては、実施の形態2で中心的に説明したリード先端部16を有するリード部を例示して説明したが、実施の形態6に係る表面実装部品取り付け構造では、実施の形態1で中心的に説明したリード先端部5を有するリード部を有するもので適用可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0063】
1・・基板、2・・パッド部、3・・表面実装部品、4・・リード部、5・・リード先端部、6・・リード側方部、7・・半田材、8・・第1屈曲部、9・・第2屈曲部、10・・ヒールフィレット、11・・サイドフィレット、12・・フロントフィレット、13・・リード部、14・・配線パターン、15・・リード部、16・・リード先端部、17・・リード側方部、18・・リード部、19・・リード先端部、20・・リード先端部、21・・グリップ部、22・・触端子、23・・リード部、24・・第3屈曲部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、この基板の表面に設けられた複数のパッド部と、前記基板上に設けられた表面実装部品と、この表面実装部品から、それぞれ前記複数のパッド部へ延び、前記パッド部と対向する位置に、外形が前記パッド部の外形と一部が重なった半田付け領域をそれぞれ有する複数のリード部と、これら複数のリード部の半田付け領域と前記複数のパッド部とをそれぞれ電気的に接続する半田材とを具備し、前記リード部の両側方の少なくとも一方に前記半田材がフィレット状に固着し、前記パッド部の外形と一部が重なる前記半田付け領域の外形が前記リード部の先端であることを特徴とする表面実装部品取り付け構造。
【請求項2】
基板と、この基板の表面に設けられた複数のパッド部と、前記基板上に設けられた表面実装部品と、この表面実装部品から、それぞれ前記複数のパッド部へ延び、前記パッド部と対向する位置に半田付け領域をそれぞれ有する複数のリード部と、これら複数のリード部の半田付け領域と前記複数のパッド部とをそれぞれ電気的に接続する半田材とを具備し、前記リード部は、その先端が前記パッド部の外形と一部が重なる前記半田付け領域の端部の先に形成されることを特徴とする表面実装部品取り付け構造。
【請求項3】
前記リード部が前記半田付け領域の前記表面実装部品に繋がる側の端部に屈曲部を有し、この屈曲部と前記パッド部とが対向する領域にある前記半田材はフィレット状になっている請求項1又は2に記載の表面実装部品取り付け構造。
【請求項4】
基板と、この基板の表面に設けられた複数のパッド部と、前記基板上に設けられた表面実装部品と、半田付け領域を有し、複数の前記パッド部に向かってそれぞれが延びる前記表面実装部品の複数のリード部と、前記パッド部と前記リード部とを前記半田付け領域で電気的に接続する半田材とを具備し、前記リード部の両側方の少なくとも一方に前記半田材がフィレット状に固着し、前記リード部の先端は前記パッド部の先端に合わせて配置されると共に前記パッド部の先端の前記半田材は前記リード部で覆われていることを特徴とする表面実装部品取り付け構造。
【請求項5】
基板と、この基板の表面に設けられた複数のパッド部と、前記基板上に設けられた表面実装部品と、半田付け領域を有し、複数の前記パッド部に向かってそれぞれが延びる前記表面実装部品の複数のリード部と、前記パッド部と前記リード部とを前記半田付け領域で電気的に接続する半田材とを具備し、前記リード部の先端は前記パッド部の先端を越えて配置されると共に前記パッド部の先端の前記半田材は前記リード部で覆われていることを特徴とする表面実装部品取り付け構造。
【請求項6】
前記リード部の先端は、前記基板の表面から遠ざかる方向に屈曲した請求項2、3、5のいずれかに記載の表面実装部品取り付け構造。
【請求項7】
前記リード部の先端は、テストポイントピンとして機能する請求項2、3、5、6のいずれかに記載の表面実装部品取り付け構造。
【請求項8】
前記リード部は、前記半田付け領域の途中で前記基板の表面から遠ざかる方向に屈曲し、前記パッド部の平面と前記リード部の傾斜面との間に前記半田材がフィレット状に固着した請求項4又は5に記載の表面実装部品取り付け構造。
【請求項9】
前記半田材がフィレット状に形成された前記パッド部は、前記リード部の屈曲部又は前記リード部の傾斜面が、前記基板から遠ざかる方向に広がる請求項3又は8に記載の表面実装部品取り付け構造。
【請求項10】
前記表面実装部品は、電子部品又は接続端子部品である請求項1〜9のいずれかに記載の表面実装部品取り付け構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−74600(P2012−74600A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−219336(P2010−219336)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】