説明

表面形状測定装置および方法

特定の形状からの物体3、11、16、18、22、26の形状の逸脱を示す装置が記載される。装置は、放射の入射ビーム4を物体に向ける放射手段、および前記物体による透過または前記物体からの反射の後の最終ビームを検査する検査手段5を備える。装置は、物体が特定の形状を有する場合、最終ビームが実質的に平面波面を有するように構成され、検査手段5が、平面性からの最終ビームの波面のいかなる逸脱をも判定するように構成される。一実施形態において、検査手段は、たとえば回折格子6またはホログラムなどのビーム分割手段、およびCCDカメラ8などの検出器手段を備える。ビーム分割手段は、次に最終ビームを2つ以上のビームに分割し、2つ以上のビームを検出手段で横方向に変位された位置に向けるように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の形状から物体に関連付けられる形状における逸脱を判定するための装置、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第99/46768号パンフレット(国防長官)は、さまざまな焦点状況下で画像を形成させるために、二次関数にしたがって実質的に変形された回折格子を含む撮像システムを記載する。
【0003】
同時係属中の国際公開第03/074985号パンフレットは、ひとみ面に到達する放射波面のローカル形状(またはローカル位相の分布)に関するデータを判定する測定装置(および関連した方法)を記載しかつ権利を主張し、前記形状が1組の所定の正規直交関数により画定され、各関数に形状を判定する重み係数が提供され、前記データは少なくとも1つの前記重み係数を含み、装置は、入力ひとみと、放射が入力ひとみを横断するにつれて、放射の強度変化のレートを示す画素状分布を判定する前記放射に応じるレート手段と、前記強度の分布を前記データに変換する変換手段とを備え、前記変換手段は、所定値の1つ以上のマトリックスを保持する記憶装置を備え、各前記マトリックスが1つの前記正規直交関数に対応し、各前記マトリックスの大きさが前記画素状分布における画素数に対応し、前記変換手段はさらに、前記正規直交関数に対する前記重み係数を提供するために、前記画素状分布に前記マトリックスを乗算し、かつ結果を加える計算手段を備える。
【0004】
同時係属中の国際公開第03/074984号パンフレットは、装置の主ひとみ面に到達する放射波面に関するデータを判定するのに使用するための光学装置を記載しかつ権利を主張し、前記波面が、1組の重み付けられた所定の正規直交関数によって画定され、重み係数が波面の形状の関数であり、装置が、第1のひとみ面の入射側に近い第1の位置で、前記関数によって決められた第1のグレイスケールの透過マスクを提供する第1のマスク手段と、入射側に対向する第2のひとみ面の側に近い第2の位置で、前記関数によって決められた第2のグレイスケールの透過マスクを提供する第2のマスク手段とを備える。
【0005】
後者の2件の同時係属出願では、装置の特定の実施形態が、前述の国際公開第99/46768号パンフレットにおいて一般的に記載されたタイプの変形された回折格子、または変形された格子の代わりにホログラム(補助レンズ付き、または補助レンズなし)を備える。
【0006】
同時係属中の国際公開第04/068090号パンフレットは、非回折構成が、変形された回折格子と取り替えられる関連する構成に関する。これは、共通の画像面のそれぞれ別個の第1および第2の領域において、第1および第2の同軸に間隔を置かれた物体面に同時に焦点を合わせる光学装置を提供し、装置は、それぞれ第1および第2の光学路に沿った前記第1および第2の画像領域への透過用の共通路に沿って、前記物体面から光を受け入れる非回折ビーム分割手段と、前記第1および第2の物体面を前記第1および第2の領域内で焦点を合わせるように構成された焦点合わせ手段とを備える。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これらの同時係属出願に開示された装置のタイプは、波面が、名目上平坦またはわずかに湾曲され、そのため、(たとえば)遠い源または物体から波面内の歪みを検出することにおける用途を見出すことができる場合に、特に有用である。しかし、波面が益々顕著な歪曲の程度を呈するように、波面形状の決定、および/または公称の波面形状からの変形(たとえば、球形または円筒形)は、ますますむずかしくなり、または信頼性に欠けるようになる。
【0008】
放射ビームを物体に向け、結果として生じる放射ビームを検査することによって物体を調べることが知られている。たとえば、米国特許第6344898号明細書は、球面の波面を有する放射が、反射型非球面物体の形状を分析するために使用される干渉装置を記載する。しかし、多くの場合(米国特許第6344898号明細書など)には、結果として生じるビームの波面は、著しく非平面である。最終ビームが物体に対してほぼ平面波面を有するべきであるように、特定の形状を有する物体にビーム波面が遭遇する前および/または後に、ビームの波面を変形させる波面形成手段を必要な場合に提供することができ、平面性に対する最終ビーム波面を調べ、特定の形状からの形状のいかなる逸脱の表示を得ることを可能にすることがわかる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、波面の平面性を調べる任意の知られている方法の使用を含むが、本発明の一連の好ましい実施形態において、前述の同時係属中の特許出願に開示されているタイプの装置を用いることによって実行される。
【0010】
第1の態様において、本発明は、特定の形状からの物体に関連付けられた形状の逸脱を示す装置を提供し、装置は、放射の入射ビームを物体に向ける放射手段と、前記物体による透過または前記物体からの反射に続く最終ビームを検査する検査手段とを備え、装置は、前記物体が前記特定の形状を有する場合、最終ビームが実質的に平面波面になるように構成され、前記検査手段は、平面性からの最終ビームの波面のいかなる逸脱も判定するように構成され、前記検査手段は、ビーム分割手段(たとえば、回折格子、またはホログラム)と検出手段(たとえば、CCDカメラ)とを備え、ビーム分割手段は、最終ビームを2つ以上のビームに分割し、前記2つ以上のビームを検出手段上で横方向に変位された位置に向けるように構成されることを特徴とする。したがって、本発明におけるこの第1の態様の検出手段は、本発明者らの上述した特許出願に記載されたタイプの波面センサを用いてもよい。
【0011】
物体による透過のみが含まれる場合、関連付けられた形状は、たとえば、両凸状または両凹状の光学透明レンズの両方の湾曲面の形状によって決められるような、物体の透過可能な本体の全体形状であってよい。
【0012】
物体の表面による反射のみが含まれる場合、たとえば、凸状または凹状の反射要素の前反射面などの場合、関連付けられた形状は、その表面の形状であってよい。
【0013】
透過と反射の両方が含まれる場合、たとえば、後反射面を備えた鏡のような場合、関連付けられた形状は、反射面の形状を含むだけでなく、反射面の上にある材料の形状も含むことがある。反射面が完全に平面であるとわかっている場合、関連付けられた形状は、上にある透過可能な材料の形状のみになる。
【0014】
前述により、放射の透過可能材料が、均質であるとみなされることに留意されたい。明らかに、たとえば、歪み、あるいは均一でない組成による材料の特性におけるいかなるばらつきも、最終波面の形状を変えてしまう。
【0015】
実質的に平面波面を備えたビームは、実質的に平行である。しかしながらビームを横切る強度分布は、均一である必要はない。一般的に、物体が特定の形状である場合、平行に照射する放射が、平行に反射された放射または透過された放射へと変換されるように、放射手段は、平行な放射ビームを形成する手段を備える。
【0016】
本発明による装置の1つの形態において、物体が、たとえば、平面鏡または薄い透過可能な材料のシートなど、著しく波面の形状に影響しない特定の形状を有する場合、次に、実質的に平行な入射の放射ビーム(すなわち、実質的に平面波面を有する)を用い、かつ非平面性からの逸脱に対して結果として生じるほぼ平面であるビームの波面形状を検査することが可能である。したがって、このような特定の場合においては、入射の平行ビームを提供する必要を除けば、さらなる波面形成手段は必要ない。すなわち物体が、1枚のシート材料のように平行な側面を有する場合、理想的には、入射ビームは、物体上で垂直入射になる。垂直入射からの逸脱は、全体の波面形状に影響を及ぼさないが、単に最終ビームをわずかにそらせるだけである。
【0017】
しかし、物体の形状がますます波面形状に影響を及ぼすにつれて、物体による透過または反射の後のビームの波面の対応して高くなる非平面性は、その形状を確実に判定することをますます難しくし、したがって、物体の形状も同様となる。本発明において、この難しさは、放射経路における放射手段と検査手段との間にさらなる波面形成手段を用いることによって、上記に説明されるように克服あるいは緩和され、そのため、最終ビームの波面は実質的に平面であり、それにより作られる最終ビームの波面の正確な検査または測定を可能にする。
【0018】
波面形成手段がとる形態は、検査されるべき物体および装置の他の部分と関連する精密な機能によって決まる。要件が比較的単純である装置において、たとえば、単純な光学的透過レンズ、または放物面鏡などの単純な湾曲した反射器などの、少なくとも1つの湾曲面を備えた透明な物体を検査するために、平行な放射源を用いる場合、波面形成手段は、単純な光学レンズ(または湾曲した反射器でさえ)などの(比較的単純な)単一の放射波面形成要素によって構成され得る。同様に、物体形状が、比較的小量にすぎないが、無視出来ない量だけ層状形状から逸脱する場合、波面形成手段は、単一の適切なホログラム、または格子波面形成要素によって構成され得る。他の状況においては、少なくとも2つの波面形成要素を備える波面形成手段を用いることが、必要または望ましいことがある。たとえば、主な波面形成態様に対処するために比較的単純な波面形成要素(たとえば、第2のレンズ)を用い、球面からのずれに対処するためにホログラムまたは格子などのもう1つの波面形成要素をさらに提供することが適切である場合には、テスト中の光学レンズは、球形からの無視できない特定のずれを伴う、単純な球面レンズに近づくことがある。
【0019】
包含される要素の数にかかわらず、波面形成手段は、放射源と物体との間、または物体と検査手段との間にあってよい。さらに、波面形成手段が2つ以上の放射要素を備える場合、少なくとも1つの放射要素が放射源と物体との間にあり、残りの放射要素が物体と検査手段との間にあるように、放射要素を、放射源と検査手段との間の放射経路に沿って分配させることも可能であり、必要なことは、波面検査手段への最終ビームの入射が、全体として平面であることである。
【0020】
波面形成手段は、放射源から検査手段に進むにつれて、放射によって1回横断されることが好ましい。
【0021】
しかし、放射源から検査手段に進むにつれて、波面形成手段、またはその少なくとも1つの要素が、2回以上横断するように構成されることが、同様に可能である(2回以下が好ましく、放射が源から物体へと進むにつれての1回と、放射が物体から検査手段へと進むにつれての1回とが好ましい)。物体自体が反射器の役目をはたす場合、波面形成手段、またはその少なくとも1つの要素の複数回の横断が起こり得る。あるいは、本発明による装置は、波面形成手段および/または検査されるべき物体の複数の横断を得るように構成される、少なくとも1つの反射要素をさらに備え得る。適切であれば、ビーム分割器が、検査手段への透過に対して反射されたビームを分離するために用いられ得る。
【0022】
放射が、波面形成手段への入射より前に平行にされる場合、次に、物体と放射源との間、または物体と検査手段との間に設置されるかにかかわらず、形成手段の後を追う逆光線に基づいて、同一の形状を有することができる。それにもかかわらず、一般的には、波面形成手段の正確な形状は、装置内の位置および装置の全体の幾何形状に左右される。
【0023】
同様に、物体は、放射ビームの単一の反射または透過が起こるように構成されることが好ましい。たとえば後反射面を備えた鏡など、場合によっては、最終波面の全体の歪みの原因となり得る、上にある透過可能な材料の二重の横断を避けるのは不可能であることはいうまでもない。それにもかかわらず、透明物体の複数の横断、および/または反射面からの複数の反射の場合の装置の構成は、また本発明の範囲に含まれる。
【0024】
装置が、特定の形状を備えた1つの特定タイプの物体をテストするために設置される場合、装置は、そのために所定の位置を提供し得る。しかし、装置は、装置の他の部分に対して検査されるべき物体の位置を調節する手段を含み得る。これは、以下により詳しく記載されるように、たとえばテスト中の表面(たとえば、レンズまたは反射器の表面)が、部分的に球体の表面を有するように特定されるが、半径がわからない場合、有用であることがある。
【0025】
放射ビームは、たとえば、音響、無線、マイクロ波、X線などの任意の知られている形態であってよいが、本発明の好ましい形態においては、放射ビームは、光学的であり、すなわち赤外線から紫外線の周波数帯において、好ましくは可視または赤外線帯である。参照しやすいように、これから、可視光学ビームを想定することにする。しかし、たとえば検討中の課題に適切であるように、可視光を透過する光学レンズの単一面の湾曲を検査するため放射が選択され、たとえば光が反射される赤外線などの異なる波長を選択することが可能である。逆に、可視光は、赤外線レンズの単一面を反射によって検査するために用いられ得る。
【0026】
検出器手段は、好ましくは放射ビームの波長で作動する。好ましくは、検査手段の検出器手段は、画素状の撮像光センサを備える。たとえば、検出器手段は、電荷結合素子(CCD)アレイ、またはCCDカメラを備え得る。あるいは、検出器手段は、複数の検出器要素(たとえば、2つ以上のディスクリート光センサ)を備え得る。
【0027】
どんなタイプの物体もそのため測定可能である。しかし、本発明の1つの重要な用途は、窓、平面鏡、ならびに透過および反射レンズ(たとえば、赤外線、可視、および/または紫外線の範囲において使用する光学レンズ)などの光学部品の測定に対するものである。
【0028】
検査手段は、定性出力、すなわち、波面の平面性または最終ビームの平行性が許容可能な範囲内(どのように決定されても)にあり、そうでなければ、異なる出力の範囲内にある場合、1つの値を有する出力を提供することができる。このことは、物体の形状(表面)が、特定の形状に許容可能に近いかどうかを示すと見なされ得る。このような場合、物体の目的とする使用によって、限界が決定される。
【0029】
したがって、検査手段は、平行の程度を判定する任意の知られている構成であってよい。たとえば、最終ビームは2つの部分に分割され、ビームは、物体からそれぞれ異なる距離で検査され、比較される。このような比較は、それぞれ同様の撮像光センサにビームを入射させ、ローカル強度差の係数を与えるために画素状の結果として生じる強度信号を差し引き、撮像領域にわたって積分することによって達成される。平面性または平行性の程度は、次に物体形状が特定の形状に十分に近いかどうかを示す判断手段(たとえば、単純なしきい値回路)を受けることができる。
【0030】
この種の解決方法は、本発明の広い範囲に含まれる。しかしながら、有用であり、かつ単純さの長所を有するものの、実際の形状が特定の形状からどのように逸脱するかを正確に識別することができない。逸脱のあるモードが、関連した厳しい許容差が採用されることが必要となるように、構成要素または物体の性能に著しい作用があるものもある一方で、逸脱の他のモードは、作用がほとんどなく、そのため幾分厳格でない許容差に関連付けられるであろう状態がある。単純な解決方法では、許容差のレベルを設定するのに大きな問題があることになる。十分に機能する一部の物体の予想可能な排除をまねく、厳しい許容差が設定されるか、あるいは、潜在的に一部の不十分な物体が受け入れられるように許容差が緩和される。
【0031】
本発明の好ましい実施形態によれば、検査手段は、最終放射ビームの波面の形状、または形状の構成要素を分析する手段を含む。この分析は、たとえばゼルニケ(Zernike)モードなどの波面形状に寄与する1つ以上の異なる波面モードの振幅の測定値を提供し、前述の特許出願または任意の他の知られている方法のように、実施され得る。しきい値と1つ以上の異なる波面モードの振幅を比較することによって、再び、物体形状が、特定の形状に十分に一致するかどうかについての表示が得られる。十分に一致しない場合、たとえば、複雑な表面形状を備える大きな鏡の製造の過程中、適切であれば、是正処置(おそらく自動的に)が取られることを可能にするように、関連したモードが識別される。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態が、どのように波面が平面性から逸脱するかについての非常に正確な定量測定、および、それによる実際の形状と特定の形状がどのように異なるかについての非常に正確な表示をさせることが可能である限り、本発明は、前述の光学構成要素などの精密物体の測定を行うのに十分に適切である。
【0033】
本発明の他の態様によると、装置が、特定の形状からの物体形状の逸脱を示すために提供され、装置は、放射の入射ビームを物体に向ける放射手段と、前記物体による透過または前記物体からの反射の後の最終ビームを検査する検査手段とを備え、装置は、前記物体が特定の形状を有する場合、最終ビームが実質的に平面波面を有するように構成され、前記検査手段は、平面性からの最終ビームの波面のいかなる逸脱も判定するように構成され、放射手段によって物体に向けられる前記放射の入射ビームが、非球状波面を有することを特徴とする。好ましくは、放射手段によって物体に向けられた前記放射の入射ビームが、実質的に平面波面を有する。
【0034】
本発明は、特定の形状からの物体形状の逸脱を示す方法にまで及び、方法は、物体が特定形状を有する場合、物体による透過または物体からの反射に続く最終ビームが平面波面を有するように、放射の入射ビームを物体に向けるステップと、平面性からの波面の任意の逸脱に対して物体からの最終ビームを検査するステップとを含む。方法は、最終ビームを検査するステップが、最終ビームを2つ以上のビームに分割するステップと、前記2つ以上のビームを検出器上で横方向に変位された位置に向けるステップとを含むことを特徴とする。
【0035】
本発明の他の態様によると、特定の形状からの物体形状の逸脱を示す方法が、提供され、方法は、物体が特定の形状を有する場合、前記物体による透過または前記物体からの反射に続く最終ビームが平面波面を有するように、放射の入射ビームを物体に向けるステップと、平面性からの波面の任意の逸脱に対する最終ビームを検査するステップとを含み、物体に放射の入射ビームを向けるステップが、非球状(たとえば、実質的に平面)の波面を有する放射のビームを向けるステップを含むことを特徴とする。
【0036】
本発明の他の特徴および利点は、主に光学構成要素に関して、添付の図面を参照して、添付の特許請求の範囲を検討し、本発明の以下のより詳細な説明を読むことによって明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
図1から図7の各実施形態が、波面検査手段5を含み、波面検査手段5は、同時係属中の国際特許出願第PCT/GB03/00964号明細書、または同時係属中の国際公開第04/068090号パンフレットに記載されるような、波面センサの形態であり得る。しかし、特に概略的に示されるように、検査手段5は、同時係属中の国際特許出願第PCT/GB03/00979号明細書に記載された形態であり、前述の出願において概説されるように、さらに処理する出力信号9を提供するCCDカメラ8のレンズ7に、シート3を介して透過された光を向ける二次で変形された格子6を(特に)備える。理想的には、ビーム4はシート3で垂直入射になる。
【0038】
前述の出願において記載されるように、要素のこの組み合わせは、格子6からそれぞれゼロ、+1、および−1の回折次数に対応する、カメラ8の画素状にされた撮像光センサ表面上で横方向に変位されたスポットを発生させる。光センサは、レンズ7の焦点に配置されるため、格子6でのビーム入射がほぼ平行な場合、中央のゼロ次回折ビームが、センサ表面上の正確な焦点にもたらされる。後者の場合には、+1次および−1次に対するスポットは、センサ面(および、言い換えれば格子6のビーム入射が、ほぼ平行になるように、特徴が、構成の光学構成要素の正確な位置決めを確実に行うために利用され得る、同じ大きさのもの)の前後に、同様に少し焦点が外れており、かつ完全な平面性からの受け取られた波面の逸脱についての情報を含む。これらの逸脱は、さまざまなゼルニケモードの係数(または他の直交関数)として便利に測定されることができ、それらは、次に、たとえば、図1の場合のシート3などの検査されるべき物体の表面または形状における形状構成要素に変換され得る。
【0039】
検査手段5の出力は、予想される形状から検査されるべき物体の形状のあらゆる逸脱の表示または測定値を提供するために、適切に処理され得る。処理された出力は、たとえばゼルニケ係数として、形状における変形への基本的な寄与をなす存在および大きさの両方の表示を提供することができ、これらは、物体を受け入れるか、または拒否するために、あるいは許容制限内に形状をもたらすために物体をさらに処理するために使用され得る。
【0040】
図1は、窓などの光学材料の透過可能な平行側面を持ったシート3を検査するために使用されるような、本発明による装置を示す。レーザダイオードなどの光源1、およびレンズ2は、実質的に平行なビーム4を、シート3を介して検査手段5に向ける役目をする。検査手段5の処理された出力は、特に一定の厚さからのあらゆる逸脱の表示を含む。
【0041】
この特定の構成において、特に、シートが比較的薄く、湾曲が比較的小さい場合、シート材料は平面である必要はない。なぜなら、シート(たとえば、湾曲シート、または剛性の湾曲したシートに変形された材料の可撓性シート)を横切る入射角における変化、および光学(放射)厚さにおける結果として生じる変化は、ごくわずかであり、いかなる光学(集束)パワーにも寄与しないからである。後の実施形態において説明されるような、異なったまたはさらなる波面形成手段を用いる必要のある場合において、これは、シートの端の光学的な厚さがより厚いかぎりは、負の集束パワーのある形態を有することが見込まれるより厚い湾曲されたシートには適用されない。
【0042】
この構成の1つの可能性のある用途は、受け入れの可能性を推定するために、たとえば携帯電話の窓に使用されているようなプラスチック製シートにおける著しい変形を測定すること、またはガラス製シートにおける厚さのばらつきを測定することである。
【0043】
図1の実施形態において、平行なビームを提供するレンズ2を除いては、さらなる波面形成手段は必要とされない。
【0044】
公称のシート厚さに、知られている著しいばらつきがある場合、格子6上のビーム入射の平行を維持するために、それを補償するさらなる波面形成手段を差し込むことが可能である。このさらなるコリメーティング手段は、ホログラムまたは格子の形式をとることができ、所定の格子などの受動手段、またはたとえば必要とされる効果を与えるように制御され得る空間光変調手段のいずれかであってよい。さらなるコリメーティング手段は、公称厚さのばらつきに対する必要な補償を取り入れる限り、シート3の前後のどちらかの、レンズ2と格子6との間に配置され得る。
【0045】
図2の実施形態において、平行光ビーム4が、知られている特性の第1のレンズ10、および検査手段5に対するテスト中のレンズ11を介して透過される。レンズ10は、レンズ11とともに、レンズ11が公称形状を有する場合、格子6への透過のために平行光ビーム12を提供するように構成されている。特に示されるように、レンズ10、11は、光学リレーにおけるように構成され、2つのレンズの正確な相対的な位置決めは、カメラセンサでのプラスおよびマイナスの一次回折スポットにおける大きさが等しいことによって確定され得る。レンズ10、11の順番が逆にされ得ることは明らかであろう。
【0046】
公称形状からのレンズ11のあらゆる逸脱は、カメラ8の出力9を処理した後で検出され得る、ビーム12の波面における非平面構成要素を作り出す。これらの構成要素から、レンズ11の形状における逸脱するタイプが引き出され得る。この実施形態において、レンズは、平行レンズ2に加えて波面形成手段を提供する。ホログラムまたは回折格子などのさらなる波面形成手段が、単純レンズからの、レンズ形状におけるいかなる知られている著しい公称の逸脱に対しても補償するために、図1にあるように用いられ、その1つの構成が、後述される図5に示される。
【0047】
図3において、平行ビーム4は、テスト中の公称の平面半導体ウエハ16の反射面に向かって、1/4波長板15を介して反射される場合、偏光ビーム分割器へ偏光子13を介して透過される。ウエハ16の表面から反射され、1/4波長板15を介して再び透過される光は、分割器14を介して格子6へ向かって透過される。再び処理された出力9は、格子6上の波面の入射の非平面性を示し、その結果、ウエハ16の表面の非平面性を示す。
【0048】
図4は、図3の装置と類似するが、ウエハ16を湾曲した反射器18と置き換え、かつ1/4波長板15と反射器18との間の知られている特性のレンズ17を備えた装置を示す。レンズ17は、公称形状の反射板とともに、格子6上の入射波面が平面であるように構成される。出力9の適切な処理によって示される波面の平面性におけるあらゆる逸脱は、公称形状からの反射器18の形状における逸脱に相当する表示を与える。
【0049】
図5は、より複雑な表面または形状ともに使用するように構成された装置の実施形態を示す。平行ビーム4は、元々平面な波面を修正するホログラムまたは回折格子として作用する反射空間光変調器19へ、1/4波長板15を介して分割器14による反射のための偏光子13を介して透過される。修正された反射ビームは、板15および分割器14、知られている特性のレンズ20、および複雑な公称形状を有するテスト中のレンズ22へのピンホール開口21を介して、再び透過される。レンズ20および変調器19はともに、レンズ22とともに、平面波面を備えた平行ビームが、格子6に入射されるように構成される。また、平面性からのいかなる逸脱も、出力9の処理により示されるように、公称形状からのレンズ22の形状の逸脱を示す。ピンホールは、変調器19からのプラスおよびマイナス一次回折のうちの1つを選択する役目を果たす。
【0050】
図6は、図5の構成に類似するが、複雑な形状を有する湾曲した反射器26をテストするための構成である。分割器14を介した透過後の直線偏光は、第2の1/4波長板23、次に知られている特性を有するレンズ24に遭遇する。レンズ24および開口25によって透過された光は、反射器26に入射し、したがって反射された光は、開口25、レンズ24、および1/4波長板23を介して透過して戻され、格子6に向かって分割器14によって反射される。レンズ24および変調器19は、公称形状の反射器26とともに、検査手段5に入射する光の波面が平面になり、したがって逸脱が、出力9の処理により示されるように、反射器26における公称形状からの逸脱を示すように、構成される。
【0051】
図7の実施形態は、装置の主光学軸に沿った鏡18の動きを可能にする手段を含む。このようにして、知られていない湾曲のある表面を有する鏡に対処することが可能である。使用中、プラス1およびマイナス1の回折次数からのカメラセンサでのスポットの大きさが等しいことによって示されるように、鏡18は、格子6に当たる波面が平面である第1の位置18’および第2の位置18”に軸に沿って動かされる。位置18’は、好ましくは実質的に鏡の全領域におよぶ、鏡18に入射するビームの領域が比較的大きく、または少なくとも表面形状が最も関心がある領域である、図4に示される位置に相当する。しかし、位置18”において、レンズ17からのビームは、鏡18に焦点を合わせられ、その結果として最小限の領域に及ぶ。これは、形状の欠陥を検出することにおいて実用的ではないが、従来技術で知られているように、2つの位置間の関係は、鏡面の曲率半径の測定値を提供するために用いられ得る。変形例においては、レンズ17が移動される一方、鏡18は固定位置に保持される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】例えば窓などの平行な側面を持ったシート材料の形態の透過構成要素または物体を検査するために使用されるような、本発明による装置の第1の実施形態を概略的に示す。
【図2】単純な両凸状レンズの表面などの著しい集束パワーを有する透過構成要素または物体を検査するために使用されるような、本発明による装置の第2の実施形態を概略的に示す。
【図3】前反射面を備えた単純鏡または半導体ウエハなどの、平面のシート材料の形態の反射構成要素または物体を検査するために使用されるような、本発明による装置の第3の実施形態を概略的に示す。
【図4】湾曲した鏡などの、物体の単純に湾曲した前反射面を検査するために使用されるような、本発明による装置の第4の実施形態を概略的に示す。
【図5】表面が複雑な湾曲を有する高性能レンズを検査するために使用されるような、本発明による装置の第5の実施形態を概略的に示す。
【図6】複雑な湾曲を有する反射面を検査するために使用されるような、本発明による装置の第6の実施形態を概略的に示す。
【図7】表面の湾曲が最初不明である湾曲された鏡を検査するために使用されるような、図4の実施形態の変更を概略的に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の形状からの物体形状の逸脱を示す装置であり、該装置が、放射の入射ビームを物体に向ける放射手段と、前記物体による透過または前記物体からの反射の後の最終ビームを検査する検査手段とを備え、前記装置は、前記物体が前記特定の形状を有する場合、最終ビームが実質的に平面波面を有するように構成され、前記検査手段が、平面性から最終ビームの波面のいかなる逸脱も判定するように構成され、前記検査手段が、ビーム分割手段と検出器手段とを備え、ビーム分割手段が、最終ビームを2つ以上のビームに分割し、前記2つ以上のビームを検出器手段上で横方向に変位された位置に向けるように構成されることを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記放射手段が、放射の平行ビームを発生するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記放射の入射ビームが、光学放射である、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
少なくとも1つのさらなる波面形成手段が、放射手段と検査手段との間に配設される、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
少なくとも1つの前記さらなる波面形成手段が、放射手段と物体との間に配置される、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
少なくとも1つの前記さらなる波面形成手段が、物体と検査手段との間に配置される、請求項4または5に記載の装置。
【請求項7】
少なくとも1つの前記さらなる波面形成手段が、レンズ、または湾曲した反射器を備える、請求項4から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
少なくとも1つの前記さらなる波面形成手段が、回折格子、またはホログラムを備える、請求項4から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
少なくとも1つの前記さらなる波面形成手段が、空間光変調器によって提供される、請求項4から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
物体の相対位置を調節する手段と、前記波面形成手段とを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記源と前記検査手段との間にビーム分割器を備える、請求項1から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記検査手段のビーム分割手段が、回折格子とホログラムのうちの少なくとも1つを備える、請求項1から11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記検査手段のビーム分割手段が、それぞれ第1および第2の光学路に沿った、第1および第2の画像領域への透過のための共通路に沿って、2つの間隔を置かれた物体面から光を受ける非回折ビーム分割器手段と、前記第1および第2の画像領域において、前記第1および第2の物体面に焦点を合わせるように構成された焦点合わせ手段とを備える、請求項1から11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
検査手段が、最終ビームの波面の形状、または最終ビームの波面の形状の構成要素の分析を提供するように構成される、請求項1から13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
検査手段の検出器手段が、画素状にされた撮像光センサを備える、請求項1から14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
画素状にされた撮像光センサが、電荷結合素子(CCD)アレイである、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
特定の形状からの物体形状の逸脱を示す装置であり、該装置が、物体に放射の入射ビームを向ける放射手段と、前記物体による透過または前記物体からの反射の後の最終ビームを検査する検査手段とを備え、前記装置が、前記物体が前記特定の形状を有する場合、最終ビームが実質的に平面波面を有するように構成され、検査手段が、平面性からの最終ビームの波面のいかなる逸脱も判定するように構成され、放射手段によって物体上に向けられる前記放射の入射ビームが、非球状波面を有することを特徴とする、装置。
【請求項18】
放射手段によって物体上に向けられる前記放射の入射ビームが、実質的に平面波面を有する、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
特定の形状からの物体形状の逸脱を示す方法であって、該方法は、物体が特定の形状を有する場合、前記物体による透過または前記物体からの反射に続く最終ビームが、平面波面を有するように、前記物体上に放射の入射ビームを向けるステップと、平面性からの波面のあらゆる逸脱に対して最終ビームを検査するステップとを含み、最終ビームを検査するステップが、最終ビームを2つ以上のビームに分割し、前記2つ以上のビームを検出器上で横方向に変位された位置に向けるステップを含むことを特徴とする、方法。
【請求項20】
前記物体が、光学構成要素である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記光学構成要素が、窓、またはほぼ積層形状の光学構成要素であり、あるいは平面反射表面を備える、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記光学構成要素が、光パワーを有し、前記最終ビームに全体的な平面性を提供するために、放射経路内にさらなる波面形成手段を提供するステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
特定の形状からの物体形状の逸脱を示す方法であって、該方法が、物体が特定の形状を有する場合、前記物体による透過または前記物体からの反射に続く最終ビームが、平面波面を有するように、前記物体に放射の入射ビームを向けるステップと、平面性からの波面のあらゆる逸脱に対して最終ビームを検査するステップとを含み、前記物体に放射の入射ビームを向けるステップが、非球状波面を有する放射ビームを向けるステップを含むことを特徴とする、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−522468(P2007−522468A)
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−552680(P2006−552680)
【出願日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【国際出願番号】PCT/GB2005/000455
【国際公開番号】WO2005/078385
【国際公開日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(501352882)キネテイツク・リミテツド (93)
【Fターム(参考)】