説明

表面後架橋された吸水性ポリマー粒子の後給湿方法

吸水性ポリマー粒子の製造方法であって、その際に表面後架橋された吸水性ポリマー粒子が後給湿及び空気輸送され、かつその際に後給湿と空気輸送との時間間隔が1時間未満である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸水性ポリマー粒子の製造方法に関し、その際に表面後架橋された吸水性ポリマー粒子が後給湿及び空気輸送され、かつその際に後給湿と空気輸送との時間間隔が1時間未満である。
【0002】
吸水性ポリマー粒子は、おむつ、タンポン、生理用ナプキン及び他の衛生用品の製造のため、しかしまた市場園芸における保水剤として、使用される。吸水性ポリマー粒子は超吸収体とも呼ばれる。
【0003】
吸水性ポリマー粒子の製造は、モノグラフ"Modern Superabsorbent Polymer Technology", F.L. Buchholz及びA.T. Graham, Wiley-VCH, 1998, p.71-103に記載されている。
【0004】
吸水性ポリマー粒子の性質は、例えば、使用される架橋剤量を通じて調節されることができる。架橋剤含量が上昇するにつれて、遠心機保持容量(Zentrifugenretentionskapazitaet, CRC)は低下し、かつ21.0g/cm2の圧力下の吸収(AUL0.3psi)は最大値を通過する。
【0005】
例えばおむつ中での膨潤ゲル床の透過性(SFC)及び49.2g/cm2の圧力下の吸収(AUL0.7psi)のような応用特性を改善するには、吸水性ポリマー粒子は一般的に表面後架橋される。これにより前記粒子表面の架橋度は上昇し、それにより49.2g/cm2の圧力下の吸収(AUL0.7psi)及び遠心機保持容量(CRC)は、少なくとも部分的に結び付きを外れることができる。この表面後架橋は、水性ゲル相中で実施されることができる。しかし好ましくは、乾燥され、粉砕され、かつふるい分けされたポリマー粒子(ベースポリマー)は、その表面上で表面後架橋剤でコーティングされ、熱により表面後架橋される。そのために適した架橋剤は、吸水性ポリマー粒子の少なくとも2個のカルボン酸基と共有結合を形成することができる化合物である。
【0006】
吸水性ポリマー粒子は、熱による表面後架橋後に、しばしば1質量%未満の水分量を有する。それにより、前記ポリマー粒子の帯電する傾向が高められる。前記ポリマー粒子の帯電は、例えばおむつ製造の際の、計量供給精度に影響を及ぼす。この問題は通常、定義された水分量に水又は水溶液の添加により調節することによって解決される(後給湿)。
【0007】
後給湿する方法は、例えば、国際公開(WO-A1)第98/49221号及び欧州特許出願公開(EP-A1)第0 780 424号明細書に開示されている。
【0008】
吸水性ポリマー粒子は、空気輸送システムを用いて輸送されることができる。
【0009】
空気輸送する方法は、例えば、国際公開(WO-A2)第2007/104657号、国際公開(WO-A2)第2007/104673号及び国際公開(WO-A1)第2007/104676号に記載されている。
【0010】
本発明の課題は、吸水性ポリマー粒子を製造する、改良された方法を提供すること、特に小さすぎるポリマー粒子の回避及び/又は改良された分離にあった。
【0011】
前記課題は、
a)少なくとも部分的に中和されていてよい、酸基を有する少なくとも1種のエチレン系不飽和モノマー、
b)少なくとも1種の架橋剤、
c)少なくとも1種の開始剤、
d)任意に、a)に挙げたモノマーと共重合可能な1種又はそれ以上のエチレン系不飽和モノマー及び
e)任意に、1種又はそれ以上の水溶性ポリマー
を含有するモノマー溶液又はモノマー懸濁液を重合させることによって吸水性ポリマー粒子を製造し、
乾燥させ、粉砕し、分級し、かつ表面後架橋することを含み、その際に
i)表面後架橋されたポリマー粒子を後給湿し、
ii)後給湿されたポリマー粒子を空気輸送し、かつ
iii)任意に、後給湿されたポリマー粒子を分級する
ことによる吸水性ポリマー粒子の製造方法によって解決され、
前記方法は、後給湿i)と空気輸送ii)との時間間隔が1時間未満であることによって特徴付けられている。
【0012】
後給湿i)は通常、適した混合装置中で水性液体の添加により実施される。適した水性液体は、水、水溶液及び水性分散液である。有利には、高速混合器具を備えたミキサーが使用される、それというのも、これにより吸水性ポリマー粒子の粘着傾向(Verklumpungsneigung)が最小限になるからである。粘着傾向のさらなる影響因子は、吸水性ポリマー粒子の温度及び後給湿に使用される水溶液のイオン強度である。粘着傾向は、温度が上昇するにつれ、かつイオン強度が上昇するにつれて、低下する。
【0013】
故に、後給湿i)に供給される吸水性ポリマー粒子の温度は、好ましくは40〜80℃、特に好ましくは45〜75℃、極めて特に好ましくは50〜70℃である。
【0014】
後給湿i)に使用可能なミキサーは、制限を受けない。好ましくは、回転する混合器具を備えたミキサーが使用される。回転する混合器具を備えたミキサーは、生成物流方向に対する回転軸の据え付けに従い、垂直ミキサーと水平ミキサーとに区分される。有利には、水平ミキサーが後給湿のために使用される。
【0015】
可動式混合器具を備えた適した水平ミキサーは、例えば、スクリューミキサー、ディスクミキサー、ブレードミキサー、ヘリカルリボンミキサー及び連続ミキサー(Durchlaufmischer)である。水性液体は、高速ミキサー中並びに低い撹拌速度を有するミキサー中に噴霧されることができる。好ましい水平ミキサーは、連続ミキサーである。適した連続ミキサーは、例えばGebrueder Ruberg GmbH & Co KG, Nieheim, DEから入手可能である。
【0016】
水平ミキサーの内壁は、好ましくは80°未満、特に好ましくは65°未満、極めて特に好ましくは50°未満の接触角(Randwinkel)を水に対して有する。接触角は、湿潤挙動の尺度であり、かつDIN 53900に従って測定される。
【0017】
有利には、生成物と接触される内壁がステンレス鋼製である水平ミキサーが使用される。ステンレス鋼は通常、クロム10.5〜13質量%のクロム含量を有する。高いクロム含分は、鋼表面上に二酸化クロムの保護不動態の形成をもたらす。別の合金成分は、耐食性を高め、かつ機械的性質を改善する。
【0018】
特に適した鋼は、炭素を例えば少なくとも0.08質量%含有するオーステナイト鋼である。有利には、オーステナイト鋼は、鉄、炭素、クロム、ニッケル及び任意にモリブデンに加えて、さらに別の合金成分、好ましくはニオブ又はチタンを含有する。
【0019】
好ましいステンレス鋼は、DIN EN 10020による材料番号1.45xxを有する鋼であり、ここでxxは0〜99の自然数であってよい。特に好ましい材料は、材料番号1.4541及び1.4571を有する鋼、特に材料番号1.4571を有する鋼である。
【0020】
有利には、生成物と接触される水平ミキサーの内壁は研磨されている。研磨されたステンレス鋼表面は、マットな鋼表面又は粗面化された鋼表面よりも、より少ない粗さ及び水に対するより小さい接触角を有する。
【0021】
水平ミキサー中の滞留時間は、好ましくは1〜180分、特に好ましくは2〜60分、極めて特に好ましくは5〜20分である。
【0022】
水平ミキサー中の混合器具の周速度は、好ましくは0.1〜10m/s、特に好ましくは0.5〜5m/s、極めて特に好ましくは0.75〜2.5m/sである。
【0023】
表面後架橋された吸水性ポリマー粒子は、水平ミキサー中で、好ましくは0.01〜6、特に好ましくは0.05〜3、極めて特に好ましくは0.1〜0.7のフルード数に相当する速度で運動される。
【0024】
水平に据え付けられた混合器具を有するミキサーについては、フルード数は次のように定義されている:
【数1】

ここで、
r:混合器具の半径
ω:角振動数
g:重力加速度。
【0025】
水平ミキサーの充填度は、好ましくは30〜80%、特に好ましくは40〜75%、極めて特に好ましくは50〜70%である。
【0026】
水性液体は、好ましくは二流体ノズルを用いて、特に好ましくは内部混合式二流体ノズルを用いて、噴霧される。
【0027】
二流体ノズルは、微細な小滴もしくは噴霧ミストを噴霧することを可能にする。噴霧形態として、円形又はそしてまた楕円形のソリッドコーン又はホローコーンが形成される。二流体ノズルは、外部混合式又は内部混合式に構成されることができる。外部混合式二流体ノズルの場合に、液体及び噴霧ガスは、別個の開口部を通りノズルヘッドを出る。これらは、噴霧ノズルを出た後ではじめて噴霧ジェット中で混合される。このことは、液滴の大きさ分布及び処理量の幅広い範囲内で独立した制御を可能にする。噴霧ノズルの噴霧コーンは、空気キャップアラインメントを通じて調節されることができる。内部混合式二流体ノズルの場合に、液体及び噴霧ガスは、噴霧ノズルの内部で混合され、かつ二相混合物は、ノズルヘッドからその穴を通り(もしくは平行に構成された複数の穴を通り)出る。内部混合部式二流体ノズルの場合に、量比及び圧力比は、外部混合式噴霧ノズルの場合よりも強く結び付いている。故に、処理量の僅かな変更は、液滴の大きさ分布の変化をもたらす。所望の処理量への適合は、ノズル穴の選択された断面積を通じて行われる。
【0028】
噴霧ガスとして、0.5バール及びそれ以上の圧縮空気、ガス又は蒸気が考慮に値する。小滴の大きさは、液体対噴霧ガスの比並びにガス圧及び液体圧を通じて個々に調節されることができる。
【0029】
特に好ましい一実施態様において、前記液体は、水平ミキサー中で、運動されるポリマー粒子層の生成物床表面の、好ましくは少なくとも10mm、特に好ましくは少なくとも50mm、極めて特に好ましくは少なくとも100mm下方に噴霧され、すなわち噴霧ノズルは生成物床に潜り込む。
【0030】
生成物床表面は、水平ミキサー中で運動される表面後架橋された吸水性ポリマー粒子と、上にある雰囲気との間に確立される界面である。
【0031】
水平ミキサー中で、ミキサー軸と噴霧ノズルのフィードとの角度は、好ましくは約90°である。前記液体は、垂直に上から供給されることができる。片側に傾斜したフィードは同様に可能であり、その際に、垂直に対する角度は、好ましくは60〜90°、特に好ましくは70〜85°、極めて特に好ましくは75〜82.5°である。フィードの傾斜した配置は、より短いフィードの使用、ひいては水平ミキサーの運転中の少ない機械的負荷を可能にする。
【0032】
特に好ましい一実施態様において、噴霧ノズルは、水平ミキサー中で回転軸の下方に存在し、かつ回転方向に噴霧する。この配置により、後給湿された吸水性ポリマー粒子は、噴霧ノズルから最適に輸送されて離れる。傾斜した配置との組合せで、生成物を排出することなく、噴霧ノズルをミキサーの運転中に交換することも可能である。
【0033】
本発明のさらに好ましい一実施態様において、少なくとも1種の噴霧ノズルは、断熱される及び/又は補助加熱される。
【0034】
断熱は、噴霧ノズルの外部表面が少なくとも部分的に別の材料層を有することを意味し、その際に別の材料層の材料は、噴霧ノズルの材料よりも小さい熱伝導率を有する。別の材料層の材料の20℃での熱伝導率は、好ましくは2Wm-1K-1未満、特に好ましくは0.5Wm-1K-1未満、極めて特に好ましくは0.1Wm-1K-1未満である。
【0035】
補助加熱は、噴霧ノズルに、付加的に熱エネルギーが、例えば電気エネルギーを用いて又は熱媒により貫流される加熱ジャケットを用いて、供給されることを意味する。適した熱媒は、市販の熱媒油、例えばMarlotherm(登録商標)、蒸気又は温水である。
【0036】
混合の際に使用される装入物質のうちの1種、すなわち表面後架橋された吸水性ポリマー粒子又は噴霧すべき液体を通じての考えられる熱供給は、本発明の意味での補助加熱ではない。
【0037】
噴霧ノズルの温度は、表面後架橋された吸水性ポリマー粒子の温度よりも、好ましくは1〜20℃、特に好ましくは2〜15℃、極めて特に好ましくは5〜10℃高い。
【0038】
断熱された噴霧ノズルの場合に、噴霧すべき液体の温度は、表面後架橋された吸水性ポリマー粒子の温度よりも、好ましくは1〜20℃、特に好ましくは2〜15℃、極めて特に好ましくは5〜10℃高い。噴霧すべき液体の温度は、噴霧ノズルの温度にほぼ相当する。
【0039】
補助加熱され、かつ任意に断熱された噴霧ノズルの場合に、表面後架橋された吸水性ポリマー粒子と、噴霧すべき液体との温度差は、好ましくは20℃未満、より好ましくは10℃未満、特に好ましくは5℃未満、極めて好ましくは2℃未満である。
【0040】
噴霧すべき液体と、噴霧ガスとの温度差は、好ましくは20℃未満、より好ましくは10℃未満、特に好ましくは5℃未満、極めて好ましくは2℃未満である。
【0041】
後給湿i)に使用可能な水性液体は、好ましくは、無機粒状物質、コロイド状に溶解された無機物質、有機ポリマー、カチオン性ポリマー及び/又は多価金属カチオンを含有する。適したカチオン性ポリマー及び/又は多価金属カチオンは、好ましい一実施態様において、後給湿i)の前に、それらの水溶性塩と有機又は無機のアニオンとの形で存在し、かつ水溶液又は水性分散液として使用される。
【0042】
適した無機粒状物質(無機粒子)は、粘土鉱物、例えばモンモリロナイト、カオリナイト及びタルク、水に不溶の硫酸塩、例えば硫酸ストロンチウム、硫酸カルシウム及び硫酸バリウム、炭酸塩、例えば炭酸マグネシウム、炭酸カリウム及び炭酸カルシウム、多価金属カチオンの塩、例えば硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム(カリウムミョウバン)及び硫酸アルミニウムナトリウム(ナトリウムミョウバン)、硫酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム、乳酸マグネシウム、硫酸ジルコニウム、乳酸ジルコニウム、乳酸鉄、クエン酸鉄、酢酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム、クエン酸カルシウム、乳酸カルシウム、乳酸ストロンチウム、乳酸亜鉛、硫酸亜鉛、クエン酸亜鉛、乳酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、ギ酸アルミニウム、ギ酸カルシウム、ギ酸ストロンチウム、酢酸ストロンチウム、酸化物、例えば酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化鉄(II)、二酸化ジルコニウム及び二酸化チタン、水に不溶のリン酸塩、例えばリン酸マグネシウム、リン酸ストロンチウム、リン酸アルミニウム、リン酸鉄、リン酸ジルコニウム及びリン酸カルシウム、ケイソウ土、ポリケイ酸、ゼオライト及び活性炭である。好ましくは、ポリケイ酸が使用され、これらは製造の仕方に応じて沈降シリカと熱分解シリカとに区別される。双方の変種は、Silica FK、Sipernat(登録商標)、Wessalon(登録商標)(沈降シリカ)もしくはAerosil(登録商標)(熱分解シリカ)の名称で商業的に入手可能である。また有利であるのは、シリカ粒子が典型的には1μm未満の直径を有するコロイドシリカ溶液である。この種の溶液は、名称Levasil(登録商標)で得ることができる。
【0043】
しかし、好ましくは、水に不溶の無機粒子、例えば熱分解シリカ、沈降シリカ及び水に不溶の金属リン酸塩が使用される。適した水に不溶の無機粒子は、独国特許出願公開(DE-A1)第102 39 074号明細書に、適した水に不溶の金属リン酸塩は、米国特許(US)第6,831,122号明細書に記載されており、それら双方とも明らかに本開示の構成要素である。
【0044】
水に不溶は、この場合に、水100gあたり1g未満、好ましくは水100gあたり0.5g未満、特に好ましくは水100gあたり0.1g未満、極めて特に好ましくは水100gあたり0.05g未満の23℃での水への溶解度を意味する。
【0045】
好ましくは、熱分解シリカ及び/又は沈降シリカが無機粒子として使用される。
【0046】
無機粒子は、好ましくは400μm未満、特に好ましくは100μm未満、極めて特に好ましくは50μm未満の平均粒度を有する。
【0047】
無機粒子が使用される場合には、使用量は、吸水性ポリマー粒子を基準として、好ましくは0.05〜5質量%、特に好ましくは0.1〜1.5質量%、極めて特に好ましくは0.3〜1質量%である。
【0048】
適した有機ポリマーは、第一級又は第二級アミノ基を有する全ての多官能性アミン、例えばポリエチレンイミン、ポリアリルアミン及びポリリシンである。本発明による方法によれば好ましい有機ポリマーは、ポリアミン、例えばポリビニルアミンである。特に適した有機ポリマーは、独国特許出願公開(DE-A1)第102 39 074号明細書に記載されたN含有ポリマーであり、これらは明らかに本開示の構成要素である。好ましい一実施態様において、そこに記載された、部分加水分解されたポリ−N−ビニルカルボン酸アミドが使用される。
【0049】
有機ポリマーが使用される場合には、有機ポリマーの使用量は、吸水性ポリマー粒子を基準として、好ましくは0.1〜15質量%、特に好ましくは0.5〜10質量%、極めて特に好ましくは1〜5質量%である。
【0050】
適したカチオン性ポリマーは、ポリアクリルアミドのカチオン性誘導体及びポリ第四級アミンである。使用されるカチオン性ポリマーのアニオンは、知られた全ての有機及び無機のアニオンであり、塩化物イオン、ギ酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、リンゴ酸イオン、酒石酸イオン、クエン酸イオン及び乳酸イオンが好ましい。カチオン性ポリマーは、しかし例えば硫酸塩、リン酸塩又は炭酸塩としても使用されることができ、その際に場合により水に難溶の塩が生じ、これらは粉末又は水性分散液として使用されることができる。
【0051】
ポリ第四級アミンは、例えば、ヘキサメチレンジアミン、ジメチルアミン及びエピクロロヒドリンの縮合生成物、ジメチルアミン及びエピクロロヒドリンの縮合生成物、ヒドロキシエチルセルロース及びジアリルジメチルアンモニウムクロリドのコポリマー、アクリルアミド及びα−メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドのコポリマー、ヒドロキシエチルセルロース、エピクロロヒドリン及びトリメチルアミンの縮合生成物、ジアリルジメチルアンモニウムクロリドのホモポリマー及びアミドアミンのエピクロロヒドリン付加生成物である。さらに、ポリ第四級アミンは、硫酸ジメチルと、ポリマー、例えばポリエチレンイミン、ビニルピロリドン及びジメチルアミノエチルメタクリラートのコポリマー又はエチルメタクリラート及びジエチルアミノエチルメタクリラートのコポリマーとの反応により得ることができる。ポリ第四級アミンは、幅広い分子量の範囲内で入手可能である。
【0052】
カチオン性ポリマーが使用される場合には、カチオン性ポリマーの使用量は、吸水性ポリマー粒子を基準として、好ましくは0.1〜15質量%、特に好ましくは0.5〜10質量%、極めて特に好ましくは1〜5質量%である。
【0053】
適した多価金属カチオンは、例えば、2価カチオン、例えば亜鉛、マグネシウム、カルシウム、鉄及びストロンチウムのカチオン、3価カチオン、例えばアルミニウム、鉄、クロム、希土類及びマンガンのカチオン、4価カチオン、例えばチタン及びジルコニウムのカチオンである。対イオンとして、塩化物イオン、臭化物イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオン及びカルボン酸イオン、例えば酢酸イオン、クエン酸イオン、酒石酸イオン及び乳酸イオンが可能である。硫酸アルミニウム、乳酸アルミニウム及び硫酸ジルコニウムが好ましい。酒石酸の場合のように異なるジアステレオマーが存在する場合に、全ての形態が包含されており、かつアニオンとして全てについて本発明により使用可能な多価金属カチオンが使用されることができる。多価金属カチオンは、好ましくは溶液として使用される。
【0054】
特に適した別の多価金属カチオンは、国際公開(WO-A1)第2005/080479号に記載されており、これらは明らかに本開示の構成要素である。さらに、1価及び多価の金属カチオンの可溶性塩の任意の混合物が使用されることができ、例えば適した水溶液が、乳酸又はアルカリ金属乳酸塩を硫酸アルミニウムと一緒に溶解させることにより製造され、かつ使用されることができる。その原理は、多価金属カチオンの任意の塩に一般化されることができる。異なる多価金属カチオンの混合物又はそれらの塩の任意の混合物、例えば乳酸ジルコニウム及び乳酸アルミニウム、乳酸アルミニウム及び乳酸カルシウム、乳酸ジルコニウム及びクエン酸カルシウムも使用されることができる。
【0055】
さらに、1価カチオンの任意の有機及び無機の塩、好ましくはアルカリ金属塩、有機酸及び/又は無機酸は付加的に、多価金属カチオンを有する溶液中に存在していてよい。これらの例は、アルカリ金属リン酸塩、アルカリ金属硫酸塩、アルカリ金属硫酸水素塩、アルカリ金属リン酸二水素塩、アルカリ金属炭酸水素塩、アルカリ金属亜硫酸水素塩、並びにアルカリ金属、アンモニウム及びトリエタノールアンモニウムのギ酸塩、酢酸塩、乳酸塩、プロピオン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩である。
【0056】
多価金属カチオンが使用される場合には、多価金属カチオンの使用量は、吸水性ポリマー粒子を基準として、通常、少なくとも0.0001質量%、好ましくは0.005〜5質量%、特に好ましくは0.05〜1.5質量%、極めて特に好ましくは0.1〜1質量%である。
【0057】
後給湿されたポリマー粒子は、引き続き空気輸送される。
【0058】
原則的に、空気輸送の場合に3種の異なる輸送の仕方に区別されることができる。
・高いガス流速の範囲内での浮遊輸送(Flugfoerderung)及び流動輸送(Stroemfoerderung)の場合に、自由流動する個々の粒子の法則がほぼ当てはまる。これは古典的な種類の空気輸送である。生成物堆積は全く起こらない。管中に本質的に均一な被輸送物分布が存在する。
・ガス流速が低下する場合には、管底流輸送(Straehnenfoerderung)の範囲内となり、そこで被輸送物はとりわけ下半分で流動する。管の上半分に浮遊輸送が存在する。
・小さいガス流速の場合に、輸送は極めてゆっくりと、濃厚流動輸送(プラグ輸送、インパルス輸送(Impulsfoerderung))として高い圧力損失を伴って行われる。
【0059】
原則的に、圧送式輸送は、吸引式輸送よりもゆっくりとした輸送速度で操作することができる、それというのも、加圧中では真空中よりも圧力容量(Druckreserven)は大きいからであり、かつ圧力が上昇するにつれて、生成物を予め駆動させる輸送ガス密度が増加するからである。
【0060】
輸送ガスは圧縮可能であるので、輸送管中で一定の圧力に支配されるのではなくて、始めは終わりよりも高い。しかしそれによりガス体積も変わるので、始めは、より高い圧力で、よりゆっくりとしたガス流速が支配的であり、かつ終わりは、より低い圧力で、より高いガス流速が支配的である。
【0061】
H. Kalman, Powder Technology 104 (1999) 214〜220には、空気輸送システムにおける摩耗について研究が記載されている。少ない機械的負荷に基づいて、より低い輸送速度が有利である。前記刊行物によれば、しかし空気輸送の場合にしばしば安全上の理由から、しばしば不必要に高い輸送速度が選択される。
【0062】
管底流輸送の範囲内の低すぎる輸送速度は問題がある、それというのも、濃厚流動輸送と管底流輸送との間の不安定な範囲内では安定な輸送は可能でないからである。むしろ、その際に生じる機械的負荷は、輸送管が固定具から引き離されるまでの輸送システムの重大な損傷をまねきうる。
【0063】
空気輸送ii)の際の最適なガス初速度は、輸送管の直径に依存する。この依存は、最良にはフルード数を用いて記載される。空気輸送については、フルード数は次のように定義されている:
【数2】

v ガス流速
D 輸送管の内径
g 重力加速度。
【0064】
吸水性ポリマー粒子の空気輸送ii)の際のフルード数は、好ましくは10〜18、特に好ましくは11〜16、極めて特に好ましくは12〜14である。
【0065】
低すぎる輸送速度の場合に、空気輸送ii)は不安定になり、かつより高い輸送速度は、上昇する機械的負荷のために望ましくない摩耗を高める。
【0066】
空気輸送ii)の被輸送物負荷は、好ましくは0.5〜20kg/kg、特に好ましくは1〜10kg/kg、極めて特に好ましくは2〜6kg/kgであり、その際に被輸送物負荷は、被輸送物質量流量及びガス質量流量の商である。
【0067】
原則的に、被輸送物負荷が上昇するにつれて最適なガス初速度も高められる。
【0068】
空気輸送ii)が実施される管路の直径は、好ましくは3〜30cm、特に好ましくは4〜25cm、極めて特に好ましくは5〜20cmである。小さすぎる管直径は、空気輸送ii)によるより高い機械的負荷をまねき、かつそのために望ましくない摩耗を促進する。大きすぎる管直径は、吸水性ポリマー粒子の輸送管中での同じように望ましくない沈降を可能にする。
【0069】
機械的負荷を小さく維持するために、空気輸送システムの管路中の屈曲部の数はできるだけ少ないべきであり、好ましくは6未満、より好ましくは5未満、特に好ましくは4未満、極めて特に好ましくは3未満であるべきである。空気輸送システムにおける管路は、吸水性ポリマー粒子用の供給装置と受入容器との区間、すなわち吸水性ポリマー粒子がガス流中で輸送される範囲である。
【0070】
後給湿i)と空気輸送ii)との時間間隔(滞留時間)は、好ましくは45分未満、特に好ましくは30分未満、極めて特に好ましくは15分未満である。
【0071】
本発明は、後給湿の際に使用される水が、吸水性ポリマー粒子の弾性を高めるという知見に基づくものである。しかし吸水性ポリマー粒子の弾性にとって、粒子表面付近の水のみが重要であるように思われる。粒子表面上では、水濃度はしかし後給湿の直後が最も高い。時間と共に、水はゆっくりと粒子表面から粒子内部へ拡散し、粒子表面上の水濃度は再び低下する。
【0072】
空気輸送の際に、吸水性ポリマー粒子に機械的負荷がかかる。弾性の吸水性ポリマー粒子は、あまり著しく損傷されない。それゆえ、吸水性ポリマー粒子を、後給湿の直後に空気輸送することが有利である。
【0073】
引き続き、後給湿されたポリマー粒子は、分級されることができ、その際に小さすぎる及び/又は大きすぎるポリマー粒子は分離され、かつプロセスへ返送される。
【0074】
分級iii)に適したふるい分け機は、制限を受けない。好ましくはタンブラシフタ(Taumelsiebmaschinen)が使用される。適したタンブラシフタは、例えばALLGAIER Werke GmbH, Uhingen, DE及びMINOX Siebtechnik GmbH, Offenbach/Queich, DEから入手可能である。
【0075】
タンブラシフタの場合に、分級すべき吸水性ポリマー粒子は、強制振動のために、ふるい全体で渦巻き状に運動される。小さなふるい面積での相対的に長いふるい経路は、分級の際の高い分離シャープさをもたらす。強制振動は典型的には、0.7〜40mm、好ましくは1.5〜25mmの振幅、及び1〜100Hz、好ましくは5〜10Hzの振動数を有する。
【0076】
タンブラシフタは、好ましくは少なくとも2個、特に好ましくは少なくとも3個、極めて特に好ましくは少なくとも4個のふるいを有する。有利には、その際に、上のふるいから落ちてくる吸水性ポリマー粒子は、好ましくは漏斗状の装置を通り、下のふるいのふるい中央の方向へ寄せられる。
【0077】
ふるいの目開きは、好ましくは100〜1 000μmの範囲内、特に好ましくは150〜850μmの範囲内、極めて特に好ましくは150〜600μmの範囲内である。
【0078】
吸水性ポリマー粒子は、分級中に、好ましくは40〜120℃、特に好ましくは45〜100℃、極めて特に好ましくは50〜80℃の温度を有する。
【0079】
特に有利には、分級は連続的に実施される。吸水性ポリマー粒子の処理量は、その際に、通常、少なくとも100kg/m2・h、好ましくは少なくとも150kg/m2・h、より好ましくは少なくとも200kg/m2・h、特に好ましくは少なくとも250kg/m2・h、極めて特に好ましくは少なくとも300kg/m2・hである。
【0080】
好ましくは、吸水性ポリマー粒子に、分級中にガス流、特に好ましくは空気が貫流される。ガス量は、典型的にはふるい面積1m2あたり0.1〜10m3/h、好ましくはふるい面積1m2あたり0.5〜5m3/h、特に好ましくはふるい面積1m2あたり1〜3m3/hであり、その際にガス体積は、標準状態下に測定される(25℃及び1バール)。特に好ましくは、ガス流は、ふるい装置へ入る前に、典型的には40〜120℃の温度に、好ましくは50〜110℃の温度に、より好ましくは60〜100℃の温度に、特に好ましくは65〜90℃の温度に、極めて特に好ましくは70〜80℃の温度に予熱される。ガス流の含水量は、典型的には5g/kg未満、好ましくは4.5g/kg未満、より好ましくは4g/kg未満、特に好ましくは3.5g/kg未満、極めて特に好ましくは3g/kg未満である。少ない含水量を有するガス流は、例えば、より高い含水量を有するガス流から、相応する水量が冷却により凝縮されることによって発生されることができる。
【0081】
本発明の好ましい一実施態様において、複数のタンブラシフタが並行して操作される。
【0082】
タンブラシフタは通常、電気的にアースされる。
【0083】
後給湿i)と分級iii)との時間間隔(滞留時間)は、好ましくは少なくとも30分、特に好ましくは少なくとも45分、極めて特に好ましくは少なくとも60分である。
【0084】
本発明は、後給湿の際に使用される水が、吸水性ポリマー粒子のガラス転移温度を低下させ、粒子表面は粘着性になるという知見に基づくものである。粒子表面上では、水濃度はしかし後給湿の直後が最も高い。時間と共に、水はゆっくりと粒子表面から粒子内部へ拡散し、粒子表面上の水濃度は再び低下する。それゆえ、粒子表面の粘着性は、最大値を通過する。
【0085】
しかし、粒子表面の粘着性は、極めて小さな粒子が、より大きな粒子に堅固に付着し、それにより、これらのくっついた極めて小さな粒子は、分級によっては困難を伴ってのみ分離されうることをまねく。故に、後給湿後に、さらに十分な時間、分級を待つことが有利である。この時間内に、前記水の一部が粒子表面へ拡散し、かつ粒子表面の粘着性は再び低下する。
【0086】
後給湿i)と分級iii)との所望の滞留時間を達成するために、吸水性ポリマー粒子は適した容器中に中間貯蔵されることができる。
【0087】
以下に、表面後架橋されたポリマー粒子の製造がより詳細に説明される:
吸水性ポリマー粒子は、モノマー溶液又はモノマー懸濁液の重合により製造され、かつ通常、水に不溶である。
【0088】
モノマーa)は、好ましくは水溶性であり、すなわち23℃での水への溶解度は、典型的には少なくとも1g/100g水、好ましくは少なくとも5g/100g水、特に好ましくは少なくとも25g/100g水、極めて特に好ましくは少なくとも35g/100g水である。
【0089】
適したモノマーa)は、例えばエチレン系不飽和カルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸及びイタコン酸である。特に好ましいモノマーは、アクリル酸及びメタクリル酸である。アクリル酸が極めて特に好ましい。
【0090】
適したさらなるモノマーa)は、例えばエチレン系不飽和スルホン酸、例えばスチレンスルホン酸及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)である。
【0091】
不純物は、重合にかなりの影響を及ぼしうる。故に、使用される原料は、できるだけ高い純度を有するべきである。故に、モノマーa)を特別に精製することはしばしば有利である。適した精製方法は、例えば、国際公開(WO-A1)第2002/055469号、国際公開(WO-A1)第2003/078378号及び国際公開(WO-A1)第2004/035514号に記載されている。適したモノマーa)は、例えば、国際公開(WO-A1)第2004/035514号に従って精製された、アクリル酸99.8460質量%、酢酸0.0950質量%、水0.0332質量%、プロピオン酸0.0203質量%、フルフラール類0.0001質量%、無水マレイン酸0.0001質量%、ジアクリル酸0.0003質量%及びヒドロキノンモノメチルエーテル0.0050質量%を有するアクリル酸である。
【0092】
モノマーa)の全量に対するアクリル酸及び/又はその塩の割合は、好ましくは少なくとも50mol%、特に好ましくは少なくとも90mol%、極めて特に好ましくは少なくとも95mol%である。
【0093】
モノマーa)は通常、重合防止剤、好ましくはヒドロキノンモノエーテルを貯蔵安定剤として含有する。
【0094】
モノマー溶液は、それぞれ中和されていないモノマーa)を基準として、ヒドロキノンモノエーテルを好ましくは250質量ppmまで、より好ましくは最大でも130質量ppm、特に好ましくは最大でも70質量ppm、より好ましくは少なくとも10質量ppm、特に好ましくは少なくとも30質量ppm、殊に約50質量ppm含有する。例えば、モノマー溶液の製造のために、相応する含量のヒドロキノンモノエーテルを有し、酸基を有するエチレン系不飽和モノマーが使用されることができる。
【0095】
好ましいヒドロキノンモノエーテルは、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)及び/又はα−トコフェロール(ビタミンE)である。
【0096】
適した架橋剤b)は、架橋に適した少なくとも2個の基を有する化合物である。この種の基は、例えば、ポリマー鎖へラジカル重合により導入されることができるエチレン系不飽和基及びモノマーa)の酸基と共有結合を結合することができる官能基である。さらに、モノマーa)の少なくとも2個の酸基と配位結合を形成することができる多価の金属塩も、架橋剤b)として適している。
【0097】
架橋剤b)は、好ましくは、ポリマーネットワーク中へラジカル重合により導入されることができる少なくとも2個の重合可能な基を有する化合物である。適した架橋剤b)は、例えば、欧州特許出願公開(EP-A1)第0 530 438号明細書に記載されたようなエチレングリコールジメタクリラート、ジエチレングリコールジアクリラート、ポリエチレングリコールジアクリラート、アリルメタクリラート、トリメチロールプロパントリアクリラート、トリアリルアミン、テトラアリルアンモニウムクロリド、テトラアリルオキシエタン、欧州特許出願公開(EP-A1)第0 547 847号明細書、欧州特許出願公開(EP-A1)第0 559 476号明細書、欧州特許出願公開(EP-A1)第0 632 068号明細書、国際公開(WO-A1)第93/21237号、国際公開(WO-A1)第2003/104299号、国際公開(WO-A1)第2003/104300号、国際公開(WO-A1)第2003/104301号及び独国特許出願公開(DE-A1)第103 31 450号明細書に記載されたようなジアクリラート及びトリアクリラート、独国特許出願公開(DE-A1)第103 31 456号明細書及び独国特許出願公開(DE-A1)第103 55 401号明細書に記載されたようなアクリラート基に加えて別のエチレン系不飽和基を有する混合アクリラート、又は例えば独国特許出願公開(DE-A1)第195 43 368号明細書、独国特許出願公開(DE-A1)第196 46 484号明細書、国際公開(WO-A1)第90/15830号及び国際公開(WO-A2)第2002/032962号に記載されたような架橋剤混合物である。
【0098】
好ましい架橋剤b)は、ペンタエリトリトールトリアリルエーテル、テトラアリルオキシエタン、メチレンビスメタクリルアミド、15エトキシル化されたトリメチロールプロパントリアクリラート、ポリエチレングリコールジアクリラート、トリメチロールプロパントリアクリラート及びトリアリルアミンである。
【0099】
極めて特に好ましい架橋剤b)は、アクリル酸又はメタクリル酸でジアクリラート又はトリアクリラートへとエステル化されたポリエトキシル化及び/又はポリプロポキシル化されたグリセリンであり、これらは例えば国際公開(WO-A1)第2003/104301号に記載されている。3〜10エトキシル化されたグリセリンのジアクリラート及び/又はトリアクリラートが特に有利である。1〜5エトキシル化及び/又は1〜5プロポキシル化されたグリセリンのジアクリラート又はトリアクリラートが極めて特に好ましい。3〜5エトキシル化及び/又は3〜5プロポキシル化されたグリセリンのトリアクリラートが最も好ましく、殊に3エトキシル化グリセリンのトリアクリラートである。
【0100】
架橋剤b)の量は、それぞれモノマーa)を基準として、好ましくは0.05〜1.5質量%、特に好ましくは0.1〜1質量%、極めて特に好ましくは0.3〜0.6質量%である。架橋剤含量が上昇するにつれて、遠心機保持容量(CRC)は低下し、かつ21.0g/cm2の圧力下の吸収は最大値を通過する。
【0101】
開始剤c)として、重合条件下でラジカルを発生させる全ての化合物、例えば熱開始剤、レドックス開始剤、光開始剤が使用されることができる。適したレドックス開始剤は、ペルオキソ二硫酸ナトリウム/アスコルビン酸、過酸化水素/アスコルビン酸、ペルオキソ二硫酸ナトリウム/重亜硫酸ナトリウム及び過酸化水素/重亜硫酸ナトリウムである。好ましくは、熱開始剤及びレドックス開始剤の混合物、例えばペルオキソ二硫酸ナトリウム/過酸化水素/アスコルビン酸が使用される。しかし、還元成分として、2−ヒドロキシ−2−スルフィナト酢酸のナトリウム塩、2−ヒドロキシ−2−スルホナト酢酸の二ナトリウム塩及び重亜硫酸ナトリウムの混合物が好ましくは使用される。この種の混合物は、Brueggolite(登録商標) FF6及びBrueggolite(登録商標) FF7(Brueggemann Chemicals; Heilbronn; DE)として入手可能である。
【0102】
酸基を有するエチレン系不飽和モノマーa)と共重合可能なエチレン系不飽和モノマーd)は、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリラート、ヒドロキシエチルメタクリラート、ジメチルアミノエチルメタクリラート、ジメチルアミノエチルアクリラート、ジメチルアミノプロピルアクリラート、ジエチルアミノプロピルアクリラート、ジメチルアミノエチルメタクリラート、ジエチルアミノエチルメタクリラートである。
【0103】
水溶性ポリマーe)として、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、デンプン誘導体、変性セルロース、例えばメチルセルロース又はヒドロキシエチルセルロース、ゼラチン、ポリグリコール又はポリアクリル酸、好ましくはデンプン、デンプン誘導体及び変性セルロースが使用されることができる。
【0104】
通常、モノマー水溶液が使用される。このモノマー溶液の含水量は、好ましくは40〜75質量%、特に好ましくは45〜70質量%、極めて特に好ましくは50〜65質量%である。モノマー懸濁液、すなわち過飽和のモノマーa)、例えばアクリル酸ナトリウムを有するモノマー溶液を使用することも可能である。含水量が上昇するにつれて、その後の乾燥の際のエネルギー消費が増加し、かつ含水量が低下するにつれて、重合熱はもはや不十分に排出されることができるにすぎない。
【0105】
好ましい重合防止剤は、最適な作用のために溶存酸素を必要とする。故に、モノマー溶液から重合の前に、不活性化、すなわち不活性ガス、好ましくは窒素又は二酸化炭素での貫流により、溶存酸素が取り除かれ、かつモノマー溶液中に含まれる重合開始剤が失活されることができる。好ましくは、重合の前のモノマー溶液の酸素含量は、1質量ppm未満、特に好ましくは0.5質量ppm未満、極めて特に好ましくは0.1質量ppm未満に低下される。
【0106】
適した反応器は、例えば混練反応器又はベルト反応器である。そのニーダー中で、モノマー水溶液又は水性モノマー懸濁液の重合の際に生じるポリマーゲルは、例えば、国際公開(WO-A1)第2001/038402号に記載されたように、互いに反転する撹拌軸により連続的に粉砕される。ベルト上での重合は、例えば、独国特許出願公開(DE-A1)第38 25 366号明細書及び米国特許(US)第6,241,928号明細書に記載されている。ベルト反応器中での重合の場合にはポリマーゲルが生じ、このゲルはさらなる処理工程において、例えば押出機又はニーダー中で、粉砕されなければならない。
【0107】
乾燥特性の改善のために、ニーダーを用いて得られた粉砕されたポリマーゲルは付加的に押し出されることができる。
【0108】
しかしまた、モノマー水溶液を滴下し、かつ発生した液滴を加熱されたキャリヤーガス流中で重合させることも可能である。この場合に、重合及び乾燥の処理工程は、国際公開(WO-A2)第2008/040715号及び国際公開(WO-A1)第2008/052971号に記載されたように、統合されることができる。
【0109】
得られたポリマーゲルの酸基は通常、部分的に中和されている。中和は、好ましくはモノマーの段階で実施される。これは通常、中和剤を水溶液として又は好ましくは固体としても混入することにより行われる。中和度は、好ましくは25〜95mol%、特に好ましくは30〜80mol%、極めて特に好ましくは40〜75mol%であり、ここで、常用の中和剤、好ましくはアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属炭酸塩又はアルカリ金属炭酸水素塩並びにそれらの混合物が使用されることができる。アルカリ金属塩の代わりに、アンモニウム塩も使用されることができる。ナトリウム及びカリウムは、アルカリ金属として特に好ましく、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナトリウム並びにそれらの混合物がしかしながら極めて特に好ましい。
【0110】
しかしまた、中和を重合後に、重合の際に生じたポリマーゲルの段階で実施することも可能である。さらに、中和剤の一部が既にモノマー溶液に添加され、かつ重合後にポリマーゲルの段階で初めて所望の最終中和度に調節されることによって、酸基の40mol%まで、好ましくは10〜30mol%、特に好ましくは15〜25mol%を重合の前に中和することが可能である。ポリマーゲルが少なくとも部分的に重合後に中和される場合には、ポリマーゲルは好ましくは機械的に、例えば押出機を用いて粉砕され、その際に中和剤が噴霧され、ふりかけられ(uebergestreut)又は注ぎ入れられ、ついで注意深く混合されることができる。それに加えて、得られたゲル状物は、均質化するためにさらに何度も押し出されることができる。
【0111】
ついで、ポリマーゲルは、残留水分量が好ましくは0.5〜15質量%、特に好ましくは1〜10質量%、極めて特に好ましくは2〜8質量%になるまで好ましくはバンド乾燥器を用いて乾燥され、ここで、残留水分量は、EDANAにより推奨された試験法No. WSP 230.2-05"Moisture Content"に従って測定される。高すぎる残留水分の場合に、乾燥されたポリマーゲルは、低すぎるガラス転移温度Tgを有し、さらに加工するのが困難であるに他ならない。低すぎる残留水分の場合に、乾燥されたポリマーゲルは脆すぎ、かつその後の粉砕工程において、小さすぎる粒度を有する望ましくない大量のポリマー粒子(微粉(Feinkorn))が生じる。前記ゲルの固体含量は、乾燥前に、好ましくは25〜90質量%、特に好ましくは35〜70質量%、極めて特に好ましくは40〜60質量%である。しかし、選択的に、乾燥のために、流動床乾燥器又はパドル乾燥器が使用されることもできる。
【0112】
乾燥されたポリマーゲルは、この後に、粉砕され、かつ分級され、その際に粉砕のために、通常、一段式又は多段式のロールミル、好ましくは二段式又は三段式のロールミル、ピンミル、ハンマーミル又は振動ミルが使用されることができる。
【0113】
生成物の画分として分離されたポリマー粒子の平均粒度は、好ましくは少なくとも200μm、特に好ましくは250〜600μm、極めて特に300〜500μmである。生成物の画分の平均粒度は、EDANAにより推奨された試験法No. WSP 220.2-05 "Partikel Size Distribution"を用いて算出されることができ、その際にふるい画分の質量割合は、累積してプロットされ、かつ平均粒度はグラフにより決定される。平均粒度は、この場合に、累積50質量%について得られる目開きの値である。
【0114】
少なくとも150μmの粒度を有する粒子の割合は、好ましくは少なくとも90質量%、特に好ましくは少なくとも95質量%、極めて特に好ましくは少なくとも98質量%である。
【0115】
小さすぎる粒度を有するポリマー粒子は、透過性(SFC)を低下させる。故に、小さすぎるポリマー粒子(微粉)の割合は低いべきである。
【0116】
故に、小さすぎるポリマー粒子は通常、分離され、かつプロセスへ返送される。これは、好ましくは重合前、重合中又は重合直後に、すなわちポリマーゲルの乾燥の前に行われる。小さすぎるポリマー粒子は、返送前又は返送中に水及び/又は水性界面活性剤で湿らされることができる。
【0117】
後の処理工程において、小さすぎるポリマー粒子を、例えば表面後架橋又は他のコーティング工程の後に、分離することも可能である。この場合に、返送された小さすぎるポリマー粒子は、表面後架橋されているか、もしくはさもなければ、例えば熱分解シリカで、コーティングされている。
【0118】
重合するために混練反応器が使用される場合には、小さすぎるポリマー粒子は好ましくは重合の最後の3分の1の間に添加される。
【0119】
小さすぎるポリマー粒子が極めて早く、例えば既にモノマー溶液に、添加される場合には、それにより、得られた吸水性ポリマー粒子の遠心機保持容量(CRC)は低下する。しかしこれは、例えば架橋剤b)の使用量を適合させることにより、補償されることができる。
【0120】
小さすぎるポリマー粒子が極めて遅く、例えば重合反応器の後方にある装置、例えば押出機中で初めて、添加される場合には、小さすぎるポリマー粒子は得られたポリマーゲル中へもはや困難を伴ってしか配合されることができない。不十分に配合された小さすぎるポリマー粒子は、しかし粉砕中に乾燥されたポリマーゲルから再びはがれ、故に分級する際に改めて分離され、かつ返送すべき小さすぎるポリマー粒子の量を高める。
【0121】
最大でも850μmの粒度を有する粒子の割合は、好ましくは少なくとも90質量%、特に好ましくは少なくとも95質量%、極めて特に好ましくは少なくとも98質量%である。
【0122】
有利には、最大でも600μmの粒度を有する粒子の割合は、好ましくは少なくとも90質量%、特に好ましくは少なくとも95質量%、極めて特に好ましくは少なくとも98質量%である。
【0123】
大きすぎる粒度を有するポリマー粒子は、膨潤速度を低下させる。故に大きすぎるポリマー粒子の割合は同様に低いべきである。
【0124】
故に、大きすぎるポリマー粒子は通常、分離され、かつ乾燥されたポリマーゲルの粉砕へ返送される。
【0125】
前記ポリマー粒子は、それらの性質をさらに改善するために表面後架橋される。適した表面後架橋剤は、前記ポリマー粒子の少なくとも2個のカルボン酸基と共有結合を形成することができる基を有する化合物である。適した化合物は、例えば、欧州特許出願公開(EP-A2)第0 083 022号明細書、欧州特許出願公開(EP-A1)第0 543 303号明細書及び欧州特許出願公開(EP-A2)第0 937 736号明細書に記載されたような多官能性アミン、多官能性アミドアミン、多官能性エポキシド、独国特許出願公開(DE-A1)第33 14 019号明細書、独国特許出願公開(DE-A1)第35 23 617号明細書及び欧州特許出願公開(EP-A2)第0 450 922号明細書に記載されたような二官能性又は多官能性のアルコール、又は独国特許出願公開(DE-A1)第102 04 938号明細書及び米国特許(US)第6,239,230号明細書に記載されたようなβ−ヒドロキシアルキルアミドである。
【0126】
さらに、独国特許(DE-C1)第40 20 780号明細書には環式カーボネートが、独国特許出願公開(DE-A1)第198 07 502号明細書には2−オキサゾリドン及びその誘導体、例えば2−ヒドロキシエチル−2−オキサゾリドンが、独国特許(DE-C1)第198 07 992号明細書にはビス−2−オキサゾリジノン及びポリ−2−オキサゾリジノンが、独国特許出願公開(DE-A1)第198 54 573号明細書には2−オキソテトラヒドロ−1,3−オキサジン及びその誘導体が、独国特許出願公開(DE-A1)第198 54 574号明細書にはN−アシル−2−オキサゾリドンが、独国特許出願公開(DE-A1)第102 04 937号明細書には環式尿素が、独国特許出願公開(DE-A1)第103 34 584号明細書には二環式アミドアセタールが、欧州特許出願公開(EP-A2)第1 199 327号明細書にはオキセタン及び環式尿素が、及び国際公開(WO-A1)第2003/031482号にはモルホリン−2,3−ジオン及びその誘導体が、適した表面後架橋剤として記載されている。
【0127】
好ましい表面後架橋剤は、グリセリン、エチレンカーボネート、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリアミドとエピクロロヒドリンとの反応生成物及びプロピレングリコールと1,4−ブタンジオールとの混合物である。
【0128】
極めて特に好ましい表面後架橋剤は、2−ヒドロキシエチルオキサゾリジン−2−オン、オキサゾリジン−2−オン及び1,3−プロパンジオールである。
【0129】
さらに、独国特許出願公開(DE-A1)第37 13 601号明細書に記載されたような、重合可能な付加的なエチレン系不飽和基を有する表面後架橋剤も使用されることができる。
【0130】
表面後架橋剤の量は、それぞれポリマー粒子を基準として、好ましくは0.001〜2質量%、特に好ましくは0.02〜1質量%、極めて特に好ましくは0.05〜0.2質量%である。
【0131】
本発明の好ましい一実施態様において、表面後架橋前、表面後架橋中又は表面後架橋後に、表面後架橋剤に加えて、多価カチオンが前記粒子表面へ施与される。
【0132】
本発明による方法において使用可能な多価カチオンは、例えば、2価カチオン、例えば亜鉛、マグネシウム、カルシウム、鉄及びストロンチウムのカチオン、3価カチオン、例えばアルミニウム、鉄、クロム、希土類及びマンガンのカチオン、4価カチオン、例えばチタン及びジルコニウムのカチオンである。対イオンとして、塩化物イオン、臭化物イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオン及びカルボン酸イオン、例えば酢酸イオン、クエン酸イオン及び乳酸イオンが可能である。硫酸アルミニウム及び乳酸アルミニウムが好ましい。金属塩以外に、多官能性アミンも多価カチオンとして使用されることができる。多官能性アミンは、少なくとも2個のアミノ基及び/又はアンモニウム基を有する化合物である。しかし好ましくは、金属カチオンが多価カチオンとして使用される。
【0133】
多価カチオンの使用量は、それぞれポリマー粒子を基準として、例えば0.001〜1.5質量%、好ましくは0.005〜1質量%、特に好ましくは0.02〜0.8質量%である。
【0134】
表面後架橋は通常、表面後架橋剤の溶液が、乾燥されたポリマー粒子へ噴霧されるようにして実施される。噴霧に引き続き、表面後架橋剤でコーティングされたポリマー粒子は、加熱乾燥され、その際に表面後架橋反応は、乾燥前並びに乾燥中に行われることができる。
【0135】
表面後架橋剤の溶液の噴霧は、好ましくは、可動式混合器具を備えたミキサー、例えばスクリューミキサー、ディスクミキサー及びブレードミキサー中で、実施されることができる。水平ミキサー、例えばブレードミキサーが特に好ましく、垂直ミキサーが極めて特に好ましい。水平ミキサー及び垂直ミキサーの区別は、混合シャフトの据え付けにより行われ、すなわち水平ミキサーは水平に据え付けられた混合シャフトを有し、かつ垂直ミキサーは垂直に据え付けられた混合シャフトを有する。適したミキサーは、例えば、Horizontale Pflugschar(登録商標) Mischer(Gebr. Loedige Maschinenbau GmbH; Paderborn; DE)、Vrieco-Nauta Continuous Mixer(Hosokawa Micron BV; Doetinchem; NL)、Processall Mixmill Mixer(Processall Incorporated; Cincinnati; US)及びSchugi Flexomix(登録商標)(Hosokawa Micron BV; Doetinchem; NL)である。しかし、表面後架橋剤溶液を流動床中で噴霧することも可能である。
【0136】
表面後架橋剤は、典型的には水溶液として使用される。非水溶剤の含量もしくは全溶剤量を通じて、前記ポリマー粒子への表面後架橋剤の浸透深さが調節されることができる。
【0137】
専ら水が溶剤として使用される場合には、有利には界面活性剤が添加される。それにより、濡れ挙動は改善され、かつ粘着傾向は減少される。しかし好ましくは、溶剤混合物、例えばイソプロパノール/水、1,3−プロパンジオール/水及びプロピレングリコール/水が使用され、その際に混合質量比は好ましくは20:80〜40:60である。
【0138】
加熱乾燥は、好ましくは接触乾燥器、特に好ましくはパドル乾燥器、極めて特に好ましくはディスク乾燥器中で、実施される。適した乾燥器は、例えばHosokawa Bepex(登録商標) Horizontal Paddle Dryer(Hosokawa Micron GmbH; Leingarten; DE)、Hosokawa Bepex(登録商標) Disc Dryer(Hosokawa Micron GmbH; Leingarten; DE)及びNara Paddle Dryer(NARA Machinery Europe; Frechen; DE)である。さらに、流動層乾燥器も使用されることができる。
【0139】
前記乾燥は、ミキサー自体中で、そのジャケットの加熱又は温風の吹き込みにより、行われることができる。後方にある乾燥器、例えば箱形乾燥器、回転管炉又は加熱可能なスクリューが同じように適している。特に有利には、流動層乾燥器中で混合及び乾燥される。
【0140】
好ましい乾燥温度は、100〜250℃、好ましくは120〜220℃、特に好ましくは130〜210℃及び極めて特に好ましくは150〜200℃の範囲内である。反応ミキサー又は乾燥器中のこの温度での好ましい滞留時間は、好ましくは少なくとも10分、特に好ましくは少なくとも20分、極めて特に好ましくは少なくとも30分、及び通常、最高でも60分である。
【0141】
本発明による方法により製造される吸水性ポリマー粒子は、好ましくは1〜15質量%、特に好ましくは1.5〜10質量%、極めて特に好ましくは2〜8質量%の含水量を有し、その際に含水量は、EDANAにより推奨された試験法No. WSP 230.2-05"Moisture Content"に従って測定される。
【0142】
本発明による方法により製造される吸水性ポリマー粒子は、典型的には少なくとも15g/g、好ましくは少なくとも20g/g、より好ましくは少なくとも22g/g、特に好ましくは少なくとも24g/g、極めて特に好ましくは少なくとも26g/gの遠心機保持容量(CRC)を有する。吸水性ポリマー粒子の遠心機保持容量(CRC)は、通常60g/g未満である。遠心機保持容量(CRC)は、EDANAにより推奨された試験法No. WSP 241.2-05"Centrifuge Retention Capacity"に従って測定される。
【0143】
本発明による方法により製造される吸水性ポリマー粒子は、典型的には少なくとも15g/g、好ましくは少なくとも20g/g、より好ましくは少なくとも22g/g、特に好ましくは少なくとも24g/g、極めて特に好ましくは少なくとも26g/gの49.2g/cm2の圧力下の吸収を有する。吸水性ポリマー粒子の49.2g/cm2の圧力下の吸収は、通常35g/g未満である。49.2g/cm2の圧力下の吸収は、EDANAにより推奨された試験法No. WSP 242.2-05"Absorption under Pressure"に類似して測定され、その際に21.0g/cm2の圧力の代わりに49.2g/cm2の圧力に調節される。
【0144】
吸水性ポリマー粒子は、次に記載された試験法を用いて試験される。
【0145】
方法:
測定は、他に記載されない限り、23±2℃の周囲温度及び50±10%の相対空気湿度で実施する。吸水性ポリマー粒子を、その測定前に十分混合する。
【0146】
液体再伝導性(Fluessigkeitsweiterleitung (Saline Flow Conductivity))
0.3psi(2070Pa)の圧力負荷下の膨潤ゲル層の液体再伝導性(SFC)を、欧州特許出願公開(EP-A1)第0 640 330号明細書に記載されたように、吸水性ポリマー粒子からなる膨潤ゲル層のゲル層透過性として測定し、その際に前記の特許出願公開明細書の19頁及び図8に記載された装置を、ガラスフリット(40)をもはや使用せず、プランジャー(39)がシリンダー(37)と同じプラスチック材料からなり、かつ今や接触面全体にわたって均一に分布された21個の同じ大きさの孔を有するように変更した。測定の手順並びに評価は、欧州特許出願公開(EP-A1)第0 640 330号明細書に対して不変である。流れは自動的に検出される。
【0147】
液体再伝導性(SFC)は次のように計算される:
SFC[cm3s/g]=(Fg(t=0)×L0)/(d×A×WP)
ここで、Fg(t=0)はNaCl溶液の流れ[g/s]であり、これは流れ測定のデータFg(t)の線形回帰分析に基づいてt=0に対する外挿により得られ、L0はゲル層の厚さ[cm]であり、dはNaCl溶液の密度[g/cm3]であり、Aはゲル層の面積[cm2]であり、かつWPはゲル層の静水圧[dyn/cm2]である。
【0148】
遠心機保持容量(Centrifuge Retention Capacity)
遠心機保持容量(CRC)は、EDANAにより推奨された試験法No. WSP 241.2-05"Centrifuge Retention Capacity"に従って測定される。
【0149】
49.2g/cm2の圧力下の吸収(Absorption under Pressure)
49.2g/cm2の圧力下の吸収(AUL0.7psi)は、EDANA(European Disposables and Nonwovens Association)により推奨された試験法No. WSP 242.2-05"Absorption under Pressure"に類似して測定され、その際に21.0g/cm2の圧力(AUL0.3psi)の代わりに49.2g/cm2の圧力(AUL0.7psi)に調節される。
【0150】
EDANA試験法は、例えば、EDANA, Avenue Eugene Plasky 157, B-1030 Bruessel, Belgienで入手可能である。
【0151】
実施例
例1(吸水性ポリマー粒子の製造)
脱イオン水、50質量%カセイソーダ液及びアクリル酸の連続的な混合により、アクリル酸/アクリル酸ナトリウム溶液を製造したので、中和度は71.3mol%に相当していた。モノマー溶液の固体含量は38.8質量%であった。
【0152】
エチレン系多不飽和架橋剤として、ポリエチレングリコール−400−ジアクリラート(400g/molの平均モル質量を有するポリエチレングリコールから出発するジアクリラート)を使用した。使用量は、モノマー溶液1tあたり架橋剤2kgであった。
【0153】
ラジカル重合を開始するために、モノマー溶液1tあたり、0.25質量%過酸化水素水溶液1.03kg、15質量%ペルオキソ二硫酸ナトリウム水溶液3.10kg及び1質量%アスコルビン酸水溶液1.05kgを使用した。
【0154】
モノマー溶液の処理量は20t/hであった。反応溶液は、入口で23.5℃の温度を有していた。
【0155】
個々の成分を以下の量で連続的に、体積6.3m3を有するタイプList Contikneterの反応器(LIST AG、Arisdorf、CH)中へ計量供給した:
モノマー溶液 20t/h
ポリエチレングリコール−400−ジアクリラート 40kg/h
過酸化水素溶液/ペルオキソ二硫酸ナトリウム溶液 82.6kg/h
アスコルビン酸溶液 21kg/h。
【0156】
架橋剤の添加位置と開始剤の添加位置の間で、モノマー溶液を窒素で不活性化した。
【0157】
約50%の滞留時間の後に、製造プロセスから粉砕及びふるい分けにより生じる微粉(1000kg/h)を反応器へ計量供給するのを付加的に行った。反応器中の反応混合物の滞留時間は15分であった。
【0158】
得られたポリマーゲルをバンド乾燥器上へ装入した。バンド乾燥器上でポリマーゲルの周りに連続的に空気/ガス混合物を流し、かつポリマーゲルを乾燥させた。バンド乾燥器中の滞留時間は37分であった。
【0159】
乾燥させたポリマーゲルを粉砕し、150〜850μmの粒度の画分にふるい分けした。得られたベースポリマーを表面後架橋させた。
【0160】
Schugi Flexomix(登録商標)(Hosokawa Micron B.V., Doetinchem, NL)中で、ベースポリマーを表面後架橋剤溶液でコーティングし、引き続きNARA Paddle Dryer(GMF Gouda, Waddinxveen, NL)中で190℃で45分間乾燥させた。
【0161】
以下の量をSchugi Flexomix(登録商標)中へ計量供給した:
ベースポリマー 7.5t/h
表面後架橋剤溶液 270.0kg/h。
【0162】
表面後架橋剤溶液は、2−ヒドロキシエチル−2−オキサゾリドン2.8質量%、硫酸アルミニウム2.8質量%、脱イオン水66.1質量%及びイソプロパノール28.3質量%を含有していた。
【0163】
乾燥後に、表面後架橋されたベースポリマーを、NARA Paddle-Cooler(GMF Gouda、Waddinxveen、NL)中で約60℃に冷却した。
【0164】
得られた吸水性ポリマー粒子は、28.4g/gの遠心機保持容量(CRC)を有していた。
【0165】
例2
型式ProfiMixx 47のキッチンマシン(Robert Bosch GmbH; Gerlingen-Schillerhoehe; DE)中に、例1からの吸水性ポリマー粒子220gを装入し、撹拌しながら(スピード4;約500rpm)、水5.5gで後給湿し、1分間後撹拌した。水を、チューブポンプを用いて5g/minの計量供給速度で噴霧した。チューブは2.54mmの内径を有していた。
【0166】
後給湿された吸水性ポリマー粒子それぞれ20gに、0、2、4、6、8、10、30、60もしくは120分後に、機械的負荷をかけた。そのためには、吸水性ポリマー粒子を、完全に被覆された(mit runden Kappen)30個のセラミック媒体(各約7.4g)と共に、ボールミル中で150rpmで5分間粉砕した。
【0167】
引き続き、粒度分布を測定した。示されたパーセント値は質量パーセントである。結果は、第1表にまとめられている:
第1表:水2.5質量%での後給湿及び5分の負荷時間
【表1】

【0168】
例3
例2のように行った。30個のセラミック媒体で5分間の代わりに、40個のセラミック媒体で15分間粉砕した。
【0169】
引き続き、粒度分布を測定した。示されたパーセント値は質量パーセントである。結果は、第2表にまとめられている:
第2表:水2.5質量%での後給湿及び15分の負荷
【表2】

【0170】
例4
例3のように行った。水5.5gの代わりに、水11.0gで後給湿した。
【0171】
引き続き、粒度分布を測定した。示されたパーセント値は質量パーセントである。結果は、第3表にまとめられている:
第3表:水5質量%での後給湿及び15分の負荷
【表3】

【0172】
第1〜3表では、それぞれ、後給湿と機械的負荷との滞留時間が増大するにつれて、小さなポリマー粒子(<150μm)の明らかな増加を確認することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも部分的に中和されていてよい、酸基を有する少なくとも1種のエチレン系不飽和モノマー、
b)少なくとも1種の架橋剤、
c)少なくとも1種の開始剤、
d)任意に、a)に挙げたモノマーと共重合可能な1種又はそれ以上のエチレン系不飽和モノマー及び
e)任意に、1種又はそれ以上の水溶性ポリマー
を含有するモノマー溶液又はモノマー懸濁液を重合させることによって吸水性ポリマー粒子を製造し、
乾燥させ、粉砕し、分級し、かつ表面後架橋することを含み、その際に
i)表面後架橋されたポリマー粒子を後給湿し、
ii)後給湿されたポリマー粒子を空気輸送し、かつ
iii)任意に、後給湿されたポリマー粒子を分級することによる
吸水性ポリマー粒子の製造方法であって、
後給湿i)と空気輸送ii)との時間間隔が1時間未満である
ことを特徴とする、吸水性ポリマー粒子の製造方法。
【請求項2】
吸水性ポリマー粒子を、共有結合の形成により表面後架橋させる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
表面後架橋の際に、付加的に多価金属カチオンを使用する、請求項2記載の方法。
【請求項4】
後給湿i)に供給される吸水性ポリマー粒子が、40〜80℃の温度を有する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
後給湿i)のために、無機粒状物質、コロイド状に溶解された無機物質、有機ポリマー、カチオン性ポリマー及び/又は多価金属カチオンの塩を含有する水溶液又は水性分散液を使用する、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
空気輸送ii)に供給される吸水性ポリマー粒子が、40〜80℃の温度を有する、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
空気輸送ii)の際の初速度が、10〜18のフルード数に相当する、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
吸水性ポリマー粒子の少なくとも95質量%が、少なくとも150μmの粒度を有する、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
吸水性ポリマー粒子の少なくとも95質量%が、最大でも600μmの粒度を有する、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
吸水性ポリマー粒子が少なくとも15g/gの遠心機保持容量を有する、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。

【公表番号】特表2013−507466(P2013−507466A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−532569(P2012−532569)
【出願日】平成22年10月5日(2010.10.5)
【国際出願番号】PCT/EP2010/064817
【国際公開番号】WO2011/042429
【国際公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】