説明

表面後架橋された吸水性ポリマー粒子の製造法

表面後架橋された吸水性ポリマー粒子の製造法であって、その際、該吸水性ポリマー粒子を、該表面後架橋の前、該表面後架橋の間又は該表面後架橋の後に、3価の金属カチオンと1価のカルボン酸アニオンからなる少なくとも1種の塩基性塩でコーティングする製造法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の詳細な説明
本発明は、表面後架橋された吸水性ポリマー粒子の製造法に関し、その際、該吸水性ポリマー粒子を、該表面後架橋の前、該表面後架橋の間又は該表面後架橋の後に、3価の金属カチオンと1価のカルボン酸アニオンからなる少なくとも1種の塩基性塩でコーティングする。
【0002】
吸水性ポリマー粒子は、おむつ、タンポン、ナプキン及びその他の衛生物品を製造するために使用されるか、あるいはまた農業園芸における保水剤としても使用される。該吸水性ポリマー粒子は、超吸収体とも呼ばれる。
【0003】
吸水性ポリマー粒子の製造は、モノグラフィー"Modern Superabsorbent Polymer Technology",F.L.Buchholz and A.T.Graham,Wiley−VCH(1998年)の第71頁〜第103頁に記載される。
【0004】
該吸水性ポリマー粒子の特性は、例えば、使用される架橋剤量によって調整されることができる。架橋剤量の上昇とともに遠心保持容量(CRC)は低下し、かつ21.0g/cm2(AUL0.3psi)の圧力下での吸収量は最大値を通過する。
【0005】
適用特性、例えば、液体誘導性(Fluessigkeitsweiterleitung)(SFC)、ゲルベッド透過性(Gelbettpermeabilitaet)(GBP)及び49.2g/cm2(AUL0.7psi)の圧力下での吸収量の改善のために、吸水性ポリマー粒子は、一般的に表面後架橋される。それによって該粒子表面の架橋度は高まり、このことによって49.2g/cm2(AUL0.7psi)の圧力下での吸収量と遠心保持容量(CRC)とのつながりを少なくとも部分的に断つことができる。この表面後架橋は、水性ゲル相中で実施されることができる。好ましくは、しかし、乾燥、粉砕及び篩分されたポリマー粒子(ベースポリマー)が、表面後架橋剤で表面コーティングされ、かつ熱的に表面後架橋される。そのために適した架橋剤は、吸水性ポリマー粒子の少なくとも2個のカルボキシレート基と共有結合を形成することができる化合物である。
【0006】
液体誘導性もしくはゲルベッド透過性の改善のために、頻繁に、吸水性ポリマー粒子は、熱的な表面後架橋の前に、多価金属カチオンでコーティングされる。このような方法は、例えば、WO2000/053644A1、WO2000/053664A1、WO2005/108472A1及びWO2008/092843A1から公知である。
【0007】
本発明の課題は、吸水性ポリマー粒子、殊に高透過性吸水性ポリマー粒子を製造するための改善された方法を提供することであった。
【0008】
該課題は、
a)少なくとも部分的に中和されていてよい、少なくとも1種のエチレン性不飽和の酸基含有モノマー、
b)少なくとも1種の架橋剤、
c)少なくとも1種の開始剤、
c)任意に1種又は数種の、a)で挙げられたモノマーと共重合可能なエチレン性不飽和モノマー及び
d)任意に1種又は数種の水溶性ポリマー
を含有するモノマー溶液又はモノマー懸濁液の重合によって吸水性ポリマー粒子を製造するための、乾燥、粉砕、分級、及び表面後架橋を包含する方法において、該吸水性ポリマー粒子を、該表面後架橋の前、該表面後架橋の間又は該表面後架橋の後に、3価の金属カチオンと1価のカルボン酸アニオンからなる少なくとも1種の塩基性塩でコーティングすることを特徴とする方法によって解決された。
【0009】
塩基性塩の場合、水溶液中でヒドロキシルアニオン(OH-)として脱離可能な塩形成塩基のヒドロキシド基の全てが酸基によって置換されるとは限らない。
【0010】
塩基性塩におけるカルボン酸アニオンに対する金属カチオンのモル比は、通常は0.4〜10、好ましくは0.5〜5、特に有利には0.6〜2.5、極めて有利には0.8〜1.2である。
【0011】
3価の金属カチオンの使用量は、好ましくは、コーティングされる吸水性ポリマー粒子100g当たり0.00004〜0.05モル、特に有利には、コーティングされる吸水性ポリマー粒子100g当たり0.0002〜0.03モル、極めて有利には、コーティングされる吸水性ポリマー粒子100g当たり0.0008〜0.02モルである。
【0012】
3価の金属カチオンは、好ましくは、元素の周期律表の第3主族、第3副族又はランタン系列の金属カチオン、特に有利にはアルミニウム、スカンジウム、イットリウム、ランタン又はセリウム、極めて有利にはアルミニウムである。
【0013】
1価のカルボン酸アニオンは、好ましくは、C1〜C4−アルカン酸のアニオン、特に有利には、ギ酸のアニオン(ギ酸塩)、酢酸のアニオン(酢酸塩)、プロピオン酸のアニオン(プロピオン酸塩)及び酪酸のアニオン(酪酸塩)、極めて有利には酢酸のアニオンである。
【0014】
3価の金属カチオンと1価のカルボン酸アニオンからなる適した塩基性塩は、例えば、塩基性ギ酸アルミニウム、塩基性酢酸アルミニウム及び塩基性プロピオン酸アルミニウムである。極めて有利なのは、モノ酢酸アルミニウムである(CAS No.[7360−44−3])。
【0015】
3価の金属カチオンと1価のカルボン酸アニオンからなる塩基性塩は、安定化させられることができる。例えば、適した安定化剤は、多価アルコール、例えばマンニトール及びグリセリン、可溶性炭水化物、例えば二糖類及び単糖類、多価無機酸、例えばホウ酸及びリン酸、ヒドロキシカルボン酸又はこれらの塩、例えばクエン酸、乳酸及び酒石酸、又はこれらの塩、ジカルボン酸又はこれらの塩、例えばアジピン酸及びコハク酸、並びに尿素及びチオ尿素である。有利には、ホウ酸及び/又は酒石酸が安定化剤として使用される。
【0016】
3価の金属カチオンと1価のカルボン酸アニオンからなる塩基性塩の施与の仕方は、制限を受けない。適したミキサーは、例えば横型Pflugschar(R)プローシェアーミキサー(Gebr.Loedige Maschinenbau GmbH;Paderborn;Germany)、Vrieco−Nauta連続ミキサー(Hosokawa Micron BV;Doetinchem;the Netherlands)、Processall Mixmillミキサー(Processall Incorporated;Cincinnati;US)、Schugi Flexomix(R)(Hosokawa Micron BV;Doetinchem;the Netherlands)、Hosokawa Bepex(R)横型パドルドライヤー(Hosokawa Micron GmbH;Leingarten;Germany)、Hosokawa Bepex(R)ディスクドライヤー(Hosokawa Micron GmbH;Leingarten;Germany)及びNaraパドルドライヤー(NARA Machinery Europe;Frechen;Germany)である。
【0017】
殊に本発明によるコーティングは、吸水性ポリマー粒子の温度が、コーティング後に、好ましくは少なくとも120℃、特に有利には少なくとも150℃、極めて有利には少なくとも180℃である場合に好ましい。通常、このような温度は、該コーティングが熱的な表面後架橋の前又は間に実施される場合に生じる。
【0018】
3価の金属カチオンと1価のカルボン酸アニオンからなる塩基性塩は、好ましくは水溶液として使用される。該水溶液は、例えば、相応する塩基性塩を、水性溶媒、例えば水に溶解することによって製造される。あるいはまた、相応する塩基、例えば水酸化アルミニウムと、相応するカルボン酸、例えば酢酸の相応する量を、水性溶媒、例えば水中で混合することも可能である。
【0019】
水溶液の含水率は、好ましくは60〜98質量%、特に有利には65〜90質量%、極めて有利には70〜85質量%である。水溶液中での溶解性を高めるために、該溶液は、高められた温度で製造され、かつ使用されることができる。
【0020】
3価の金属カチオンと1価のカルボン酸アニオンからなる少なくとも1種の塩基性塩を含有する、本発明により使用される水溶液は、比較的長期の貯蔵に際して沈殿する傾向にありうる。好ましくは、該溶液は、それゆえ上述の安定化剤の1種を含有する。
【0021】
本発明の有利な実施形態では、3価の金属カチオンと1価のカルボン酸アニオンからなる少なくとも1種の塩基性塩を含有する水溶液と、表面後架橋剤は同じミキサー中で吸水性ポリマー粒子に施与される。該水溶液と表面後架橋剤は、その際、別個にかあるいはむしろ共通の溶液として計量供給されることができる。
【0022】
本発明の更なる有利な実施形態では、3価の金属カチオンと1価のカルボン酸アニオンからなる少なくとも1種の塩基性塩は、表面後架橋の後になって初めて施与される。コーティングのために、水溶液のみならず、相応する溶解していない塩、例えば乾燥したモノ酢酸アルミニウムも使用されることができる。
【0023】
本発明は、表面後架橋された吸水性ポリマー粒子の液体誘導性(SFC)及びゲルベッド透過性(GBP)が本発明による方法によって著しく高まるという認識に基づく。
【0024】
これまで使用されてきた塩、例えば硫酸アルミニウムと乳酸アルミニウムは、たしかに液体誘導性(SFC)を高めていたが、ゲルベッド透過性(GBP)は、コーティングが低い温度で実施された場合にのみ改善していたか(硫酸アルミニウム)、あるいは全く改善していなかった(乳酸アルミニウム)。
【0025】
更に、49.2g/cm2(AUL0.7psi)の圧力下での吸収量を下げずに、本発明による方法を用いてゲルベッド透過性(GBP)を高めることができる。
【0026】
特に好ましくは、吸水性ポリマー粒子は、乳酸アルミニウムによる表面後架橋の前に、かつモノ酢酸アルミニウムによる表面後架橋の後にコーティングされる。乳酸アルミニウムによるコーティングによって、液体誘導性(SFC)と49.2g/cm2(AUL0.7psi)の圧力下での吸収量が高められる。モノ酢酸アルミニウムによる引き続くコーティングによって、ゲルベッド透過性(GBP)が高められる。
【0027】
吸水性ポリマー粒子は、モノマー溶液又はモノマー懸濁液の重合によって製造され、かつ通常は水不溶性である。
【0028】
モノマーa)は、好ましくは水溶性であり、すなわち、23℃における水中での溶解度は、概して少なくとも1g/水 100g、好ましくは少なくとも5g/水 100g、特に有利には少なくとも25g/水 100g、極めて有利には少なくとも35g/水 100gである。
【0029】
適したモノマーa)は、例えばエチレン性不飽和カルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、及びイタコン酸である。特に有利なモノマーは、アクリル酸及びメタクリル酸である。極めて有利なのはアクリル酸である。
【0030】
更なる適したモノマーa)は、例えばエチレン性不飽和スルホン酸、例えばスチレンスルホン酸及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)である。
【0031】
不純物は、重合に重大な影響を与えかねない。それゆえ、使用される原料は、可能な限り高い純度を有していることが望ましい。それゆえ、しばしば、モノマーa)を特別に精製することが好ましい。適した精製法は、例えば、WO2002/055469A1、WO2003/078378A1及びWO2004/035514A1に記載される。適したモノマーa)は、例えば、WO2004/035514A1に従って精製されたアクリル酸であり、アクリル酸99.8460質量%、酢酸0.0950質量%、水0.0332質量%、プロピオン酸0.0203質量%、フルフラール0.0001質量%、無水マレイン酸0.0001質量%、ジアクリル酸0.0003質量%及びヒドロキノンモノメチルエーテル0.0050質量%を有する。
【0032】
モノマーa)の全体量に対するアクリル酸及び/又はこの塩の割合は、好ましくは少なくとも50mol%、特に有利には少なくとも90mol%、極めて有利には少なくとも95mol%である。
【0033】
通常、モノマーa)は、重合禁止剤、好ましくはヒドロキノン半エーテルを、貯蔵安定剤として含有する。
【0034】
モノマー溶液は、そのつど中和されていないモノマーa)に対して、ヒドロキノン半エーテルを、好ましくは250質量ppmまで、有利にはせいぜい130質量ppm、特に有利にはせいぜい70質量ppm、有利には少なくとも10質量ppm、特に有利には少なくとも30質量ppm、殊に約50質量ppm含有する。例えば、モノマー溶液の製造のために、相応するヒドロキノン半エーテルの含有量を有するエチレン性不飽和の酸基含有モノマーを使用してよい。
【0035】
有利なヒドロキノン半エーテルは、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)及び/又はα−トコフェロール(ビタミンE)である。
【0036】
適した架橋剤b)は、架橋のために適した基を少なくとも2個有する化合物である。このような基は、例えば、ポリマー鎖中にラジカル的に重合導入されることができるエチレン性不飽和基、及びモノマーa)の酸基と共有結合を形成することができる官能基である。更に、モノマーa)の少なくとも2個の酸基と配位結合を形成することができる多価金属塩も架橋剤b)として適している。
【0037】
架橋剤b)は、好ましくは、ポリマー網目にラジカル的に重合導入されることができる少なくとも2個の重合可能な基を有する化合物である。適した架橋剤b)は、例えば、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリアリルアミン、テトラアリルアンモニウムクロリド、テトラアリルオキシエタン(例えばEP0530438A1に記載)、ジアクリレート及びトリアクリレート(例えばEP0547847A1、EP0559476A1、EP0632068A1、WO93/21237A1、WO2003/104299A1、WO2003/104300A1、WO2003/104301A1及びDE10331450A1に記載)、アクリレート基の他に更なるエチレン性不飽和基を含有する混合アクリレート(例えばDE10331456A1及びDE10355401A1に記載)、又は架橋剤混合物(例えばDE19543368A1、DE19646484A1、WO90/15830A1及びWO2002/032962A2に記載)である。
【0038】
有利な架橋剤b)は、ペンタエリトリトリアリルエーテル、テトラアルコキシエタン、メチレンビス−メタクリルアミド、15箇所エトキシ化されたトリメチロールプロパントリアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート及びトリアリルアミンである。
【0039】
極めて有利な架橋剤b)は、例えばWO2003/104301A1に記載されているような、アクリル酸又はメタクリル酸でジアクリレート又はトリアクリレートへとエステル化された多重エトキシ化及び/又はプロポキシ化されたグリセリンである。特に好ましいのは、3〜10箇所エトキシ化されたグリセリンのジアクリレート及び/又はトリアクリレートである。極めて有利なのは、1〜5箇所エトキシ化及び/又はプロポキシ化されたグリセリンのジアクリレート又はトリアクリレートである。最も有利なのは、3〜5箇所エトキシ化及び/又はプロポキシ化されたグリセリンのトリアクリレート、殊に3箇所エトキシ化されたグリセリンのトリアクリレートである。
【0040】
架橋剤b)の量は、そのつどモノマーa)に対して、好ましくは0.05〜1.5質量%、特に有利には0.1〜1質量%、極めて有利には0.3〜0.6質量%である。架橋剤含有量の上昇とともに、遠心保持容量(CRC)は低下し、かつ21.0g/cm2(AUL0.3psi)の圧力下での吸収量は最大値を通過する。
【0041】
開始剤c)として、重合条件下でラジカルを生成する全ての化合物、例えば熱開始剤、レドックス開始剤、光開始剤を使用してよい。適したレドックス開始剤は、ペルオキソ二硫酸ナトリウム/アスコルビン酸、過酸化水素/アスコルビン酸、ペルオキソ二硫酸ナトリウム/重亜硫酸ナトリウム及び過酸化水素/重亜硫酸ナトリウムである。好ましくは、熱開始剤とレドックス開始剤からなる混合物、例えばペルオキソ二硫酸ナトリウム/過酸化水素/アスコルビン酸が使用される。しかし、還元性成分として、好ましくは、2−ヒドロキシ−2−スルフィナト酢酸のナトリウム塩、2−ヒドロキシ−2−スルホナト酢酸の二ナトリウム塩と重亜硫酸ナトリウムからなる混合物が使用される。このような混合物は、Brueggolite(R)FF6及びBrueggolite(R)FF7(Brueggeman Chemicals;Heilbronn;Germany)として入手可能である。
【0042】
エチレン性不飽和の酸基含有モノマーa)と共重合可能なエチレン性不飽和モノマーd)は、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジエチルアミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレートである。
【0043】
水溶性ポリマーe)として、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、デンプン誘導体、変性セルロース、例えばメチルセルロース又はヒドロキシエチルセルロース、ゼラチン、ポリグリコール又はポリアクリル酸、好ましくはデンプン、デンプン誘導体及び変性セルロースを使用してよい。
【0044】
通常、モノマー水溶液が使用される。モノマー溶液の含水率は、好ましくは40〜75質量%、特に有利には45〜70質量%、極めて有利には50〜65質量%である。モノマー懸濁液、すなわち、過剰のモノマーa)を有するモノマー溶液、例えばアクリル酸ナトリウムを使用することも可能である。含水量の上昇とともに、引き続く乾燥におけるエネルギー消費量が上昇し、かつ含水量の下降とともに、重合熱はもう不十分にしか除去することができなくなる。
【0045】
有利な重合禁止剤は、最適な作用のために溶存酸素を要する。それゆえ、モノマー溶液から、重合前に、不活性化によって、すなわち、不活性ガス、好ましくは窒素又は二酸化炭素による流過によって溶存酸素を取り除き、かつモノマー溶液中に含有される重合禁止剤を失活させてよい。好ましくは、重合前のモノマー溶液の酸素含有率は、1質量ppm未満に、特に有利には0.5質量ppm未満に、極めて有利には0.1質量ppm未満に低下される。
【0046】
適した反応器は、例えば混練反応器またはベルト反応器である。混練機中では、モノマー水溶液又はモノマー懸濁液の重合に際して生ずるポリマーゲルが、WO2001/038402A1に記載されるように、例えば反転撹拌シャフトによって連続的に微粉砕される。ベルト上での重合は、例えばDE3825366A1及びUS6,241,928に記載される。ベルト反応器中での重合に際してポリマーゲルが生じ、該ポリマーゲルは、更なる方法工程において、例えば押出機中又は混練機中で微粉砕されなければならない。
【0047】
あるいはまた、モノマー水溶液を液滴化し、かつ生成された該液滴を、加熱されたキャリアーガス流中で重合させることも可能である。この場合、WO2008/040715A2及びWO2008/052971A1に記載されるように、方法工程の重合と乾燥は一括りにされることができる。
【0048】
得られたポリマーゲルの酸基は、通常、部分的に中和されている。中和は、好ましくはモノマーの段階で実施される。通常、これは、中和剤を水溶液として、それに又は有利には固体として混入することによって行われる。中和度は、好ましくは25〜95モル%、特に有利には30〜80モル%、極めて有利には40〜75モル%であり、その際、通常の中和剤、好ましくはアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属炭酸塩又はアルカリ金属炭酸水素塩並びにこれらの混合物を使用してよい。アルカリ金属塩の代わりに、アンモニウム塩も使用してよい。ナトリウム及びカリウムは、アルカリ金属として特に有利であるが、しかしながら、極めて有利なのは、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナトリウム並びにこれらの混合物である。
【0049】
あるいはまた、中和を重合後に、該重合に際して生じるポリマーゲルの段階で実施することも可能である。更に、中和剤の一部をすでにモノマー溶液に添加し、かつ所望の最終中和度を重合後に初めて、ポリマーゲルの段階で調整することによって、酸基を重合前に40モル%まで、好ましくは10〜30モル%、特に有利には15〜25モル%中和することが可能である。ポリマーゲルが少なくとも部分的に重合後に中和される場合、該ポリマーゲルは、好ましくは機械的に、例えば押出機を用いて微粉砕され、その際、中和剤を吹き付けるか、振り掛けるか又は注ぎ込み、次いで入念に相互に混合してよい。そのために、得られたゲル材料は、なお繰り返し均質化のために押出してよい。
【0050】
次いでポリマーゲルは、好ましくはベルト乾燥機により、残留湿分含有率が、好ましくは0.5〜15質量%、特に有利には1〜10質量%、極めて有利には2〜8質量%になるまで乾燥され、その際、該残留湿分含有率は、EDANAより推奨される試験法No.WSP 230.2−05 "Moisture Content"に従って測定される。残留湿分が高すぎる場合、乾燥されたポリマーゲルは低すぎるガラス転移温度Tgを有し、更に加工するにも困難を伴う。残留湿分が低すぎる場合、乾燥されたポリマーゲルは過度に脆性となり、かつ引き続く微粉砕工程で、不所望にも大量の過度に低い粒径を有するポリマー粒子(篩下粒)が発生する。ゲルの固体含有率は、乾燥前に、好ましくは25〜90質量%、特に有利には35〜70質量%、極めて有利には40〜60質量%である。選択的に、あるいはまた流動床乾燥機又はパドル乾燥機も乾燥のために使用することができる。
【0051】
乾燥されたポリマーゲルは、この後に粉砕及び分級され、その際、粉砕のために、通常、単段式又は多段式のロールミル、有利には二段式又は三段式のロールミル、ピンミル、ハンマーミル又は振動ミルを使用してよい。
【0052】
生成物画分として分離されたポリマー粒子の平均粒径は、好ましくは少なくとも200μm、特に有利には250〜600μm、極めて有利には300〜500μmである。該生成物画分の平均粒径は、EDANAより推奨される試験法No.WSP 220.2−05 "Partikel Size Distribution"によって算出されることができ、その際、該篩画分の質量割合は累積的にプロットされ、かつ平均粒径はグラフにより定められる。この場合、平均粒径は、累積して50質量%となるメッシュサイズの値である。
【0053】
少なくとも150μmの粒径を有する粒子の割合は、好ましくは少なくとも90質量%、特に有利には少なくとも95質量%、極めて有利には少なくとも98質量%である。
【0054】
過度に低い粒径を有するポリマー粒子は、透過性(SFC)を下げる。それゆえ過度に小さいポリマー粒子(篩下粒)の割合は低いことが望ましい。
【0055】
過度に小さいポリマー粒子は、それゆえ通常は分離され、かつプロセスに返送される。これは、好ましくは、重合前、重合中又は重合直後に、すなわち、ポリマーゲルの乾燥前に行われる。過度に小さいポリマー粒子は、返送前又は返送中に、水及び/又は水性界面活性剤で湿らせてよい。
【0056】
過度に小さいポリマー粒子を、後の方法工程で、例えば表面後架橋の後又は他のコーティング工程後に分離することも可能である。この場合、返送された過度に小さいポリマー粒子は、表面後架橋されているか、もしくは他の方法で、例えば熱分解法シリカによりコーティングされている。
【0057】
重合のために混練反応器が使用される場合、過度に小さいポリマー粒子は、好ましくは、重合の終わりの3分の1の間に添加される。
【0058】
過度に小さいポリマー粒子が、非常に早期に、例えば、すでにモノマー溶液に添加される場合、それによって、得られた吸水性ポリマー粒子の遠心保持容量(CRC)は低下する。これは、しかし、例えば架橋剤b)の使用量を調整することによって補うことができる。
【0059】
過度に小さいポリマー粒子が、非常に遅く、例えば、重合反応器に後接続された装置中で、例えば押出機中で初めて添加される場合、過度に小さい該ポリマー粒子を、得られたポリマーゲル中に組み込むのはもう困難でしかない。しかし、不十分に組み込まれた過度に小さいポリマー粒子は、乾燥されたポリマーゲルから粉砕中に再び離れ、それゆえ分級に際して新たに分離され、かつ返送される過度に小さいポリマー粒子の量を高める。
【0060】
せいぜい850μmの粒径を有する粒子の割合は、好ましくは少なくとも90質量%、特に有利には少なくとも95質量%、極めて有利には少なくとも98質量%である。
【0061】
好ましくは、せいぜい600μmの粒径を有する粒子の割合は、好ましくは少なくとも90質量%、特に有利には少なくとも95質量%、極めて有利には少なくとも98質量%である。
【0062】
過度に大きい粒径を有するポリマー粒子は膨潤速度を低下させる。それゆえ、過度に大きいポリマー粒子の割合も同様に低いことが望ましい。
【0063】
過度に大きいポリマー粒子は、それゆえ通常は分離され、かつ乾燥されたポリマーゲルの粉砕に返送される。
【0064】
ポリマー粒子は、特性の更なる改善のために表面後架橋される。適した表面後架橋剤は、ポリマー粒子の少なくとも2個のカルボキシレート基と共有結合を形成することができる基を含有する化合物である。適した化合物は、例えば、多官能性アミン、多官能性アミドアミン、多官能性エポキシド(例えばEP0083022A2、EP0543303A1及びEP0937736A2に記載)、二官能性又は多官能性のアルコール(例えばDE3314019A1、DE3523617A1及びEP0450922A2に記載)、又はβ−ヒドロキシアルキルアミド(例えばDE10204938A1及びUS6,239,230に記載)である。
【0065】
加えて、DE4020780C1には環状カーボネートが、DE19807502A1には2−オキサゾリドン及びこの誘導体、例えば2−ヒドロキシエチル−2−オキサゾリドンが、DE19807992C1にはビス−及びポリ−2−オキサゾリジノンが、DE19854573A1には2−オキソテトラヒドロ−1,3−オキサジン及びこの誘導体が、DE19854574A1にはN−アシル−2−オキサゾリドンが、DE10204937A1には環状尿素が、DE10334584A1には二環状アミドアセタールが、EP1199327A2にはオキセタン及び環状尿素が、かつWO2003/31482A1にはモルホリン−2,3−ジオン及びこの誘導体が適した表面後架橋剤として記載されている。
【0066】
有利な表面後架橋剤は、グリセリン、エチレンカーボネート、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリアミドとエピクロロヒドリンとの反応生成物及びプロピレングリコールと1,4−ブタンジオールからなる混合物である。
【0067】
極めて有利な表面後架橋剤は、2−ヒドロキシエチルオキサゾリジン−2−オン、オキサゾリジン−2−オン及び1,3−プロパンジオールである。
【0068】
更に、DE3713601A1に記載されているように、付加的な重合可能なエチレン性不飽和基を含有する表面後架橋剤も使用してよい。
【0069】
表面後架橋剤の量は、そのつどポリマー粒子に対して、好ましくは0.001〜2質量%、特に有利には0.02〜1質量%、極めて有利には0.05〜0.2質量%である。
【0070】
本発明では、表面後架橋の前、表面後架橋の間又は表面後架橋の後に、表面後架橋剤に加えて、3価の金属カチオンと1価のカルボン酸アニオンからなる少なくとも1種の塩基性塩が粒子表面に施与される。
【0071】
当然の事ながら、付加的に更なる多価カチオンを使用することも可能である。適した多価カチオンは、例えば、2価のカチオン、例えば亜鉛、マグネシウム、カルシウム、鉄及びストロンチウムのカチオン、3価のカチオン、例えばアルミニウム、鉄、クロム、希土類元素及びマンガンのカチオン、4価のカチオン、例えばチタン及びジルコニウムのカチオンである。対イオンとして、塩化物イオン、臭化物イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオン及びカルボン酸イオン、例えば酢酸イオン及び乳酸イオンが可能である。硫酸アルミニウム及び乳酸アルミニウムが有利である。更なる多価カチオンとしてポリアミンも使用してよい。
【0072】
通常、表面後架橋は、表面後架橋剤の溶液を、乾燥されたポリマー粒子上に吹き付けるように実施される。吹き付けに引き続き、表面後架橋剤でコーティングされたポリマー粒子は熱的に乾燥され、その際、表面後架橋反応は、乾燥前でも乾燥中でも行うことができる。
【0073】
表面後架橋剤の溶液の吹き付けは、好ましくは、可動式混合ツールを有するミキサー、例えばスクリューミキサー、ディスクミキサー及びパドルミキサー中で実施される。特に有利なのは横型ミキサー、例えばパドルミキサーであり、極めて有利なのは縦型ミキサーである。横型ミキサーと縦型ミキサーは、ミキシングシャフトの支持部により区別が行われ、すなわち、横型ミキサーは、水平に取り付けられたミキシングシャフトを有し、かつ縦型ミキサーは、鉛直に取り付けられたミキシングシャフトを有する。適したミキサーは、例えば横型Pflugschar(R)ミキサー(Gebr.Loedige Maschinenbau GmbH;Paderborn;Germany)、Vrieco−Nauta連続ミキサー(Hosokawa Micron BV;Doetinchem;the Netherlands)、Processall Mixmillミキサー(Processall Incorporated;Cincinnati;US)及びSchugi Flexomix(R)(Hosokawa Micron BV;Doetinchem;the Netherlands)である。あるいはまた、表面後架橋剤溶液を流動床中で吹き付けることも可能である。
【0074】
表面後架橋剤は、概して水溶液として使用される。非水性溶媒の含有量もしくは全体の溶媒量により、ポリマー粒子中への表面後架橋剤の侵入深さを調整することができる。
【0075】
もっぱら水が溶媒として使用される場合、好ましくは界面活性剤が添加される。それによって濡れ挙動が改善され、かつ凝塊傾向が減少される。好ましくは、しかし、溶媒混合物、例えばイソプロパノール/水、1,3−プロパンジオール/水及びプロピレングリコール/水が使用され、その際、該混合物の質量比は、好ましくは20:80〜40:60である。
【0076】
熱的な乾燥は、好ましくは接触乾燥機、特に有利にはパドル乾燥機、極めて有利にはディスク乾燥機中で実施される。適した乾燥機は、例えばHosokawa Bepex(R)横型パドルドライヤー(Hosokawa Micron GmbH;Leingarten;Germany)、Hosokawa Bepex(R)ディスクドライヤー(Hosokawa Micron GmbH;Leingarten;Germany)及びNaraパドルドライヤー(Nara Machinery Europe;Frechen;Germany)である。そのうえ、流動床乾燥機も使用してよい。
【0077】
乾燥は、ミキサーそれ自体中で、ジャケットの加熱又は熱風の送り込みによって行なってよい。同様に適しているのは、後接続された乾燥機、例えば箱形乾燥機、回転管炉又は熱スクリューである。特に好ましくは、流動床乾燥機中で混合され、かつ乾燥される。
【0078】
有利な乾燥温度は、100〜250℃、有利には120〜220℃、特に有利には130〜210℃、極めて有利には150〜200℃の範囲にある。反応ミキサー又は乾燥機中におけるこの温度での有利な滞留時間は、好ましくは少なくとも10分、特に有利には少なくとも20分、極めて有利には少なくとも30分であり、かつ通常はせいぜい60分である。
【0079】
表面後架橋されたポリマー粒子は、特性の更なる改善のためにコーティング又は後湿潤化させることができる。
【0080】
後湿潤化は、好ましくは、30〜80℃、特に有利には35〜70℃、極めて有利には40〜60℃で実施される。過度に低い温度では、吸水ポリマー粒子は凝塊形成する傾向にあり、かつ比較的高い温度では、すでに水が顕著に蒸発する。後湿潤化に使用される水量は、好ましくは1〜10質量%、特に有利には2〜8質量%、極めて有利には3〜5質量%である。後湿潤化によって、ポリマー粒子の機械的安定性が高められ、かつ静電帯電する傾向が減少される。
【0081】
膨潤速度並びに液体誘導性(SFC)もしくはゲルベッド透過性(GBP)を改善するための適したコーティングは、例えば無機不活性物質、例えば水不溶性の金属塩、有機ポリマー、カチオン性ポリマー並びに2価又は多価の金属カチオンである。集塵のための適したコーティングは、例えばポリオールである。ポリマー粒子の不所望な凝結傾向に対する適したコーティングは、例えば熱分解法シリカ、例えばAerosil(R)200、及び界面活性剤、例えばSpan(R)20である。
【0082】
引き続き、表面後架橋されたポリマー粒子を新たに分級してよく、その際、過度に小さいポリマー粒子及び/又は過度に大きいポリマー粒子がプロセスに返送される。
【0083】
本発明の更なる対象は、本発明による方法に従って得られる吸水性ポリマー粒子である。
【0084】
本発明による吸水性ポリマー粒子は、概して0〜15質量%、好ましくは0.2〜10質量%、特に有利には0.5〜8質量%、極めて有利には1〜5質量%の湿分含有率、及び/又は概して少なくとも20g/g、好ましくは少なくとも26g/g、特に有利には少なくとも28g/g、極めて有利には少なくとも30g/gの遠心保持容量(CRC)、及び/又は概して少なくとも12g/g、好ましくは少なくとも16g/g、特に有利には少なくとも18g/g、極めて有利には少なくとも20g/gの49.2g/cm2(AUL0.7psi)の圧力下での吸収量、及び/又は概して少なくとも20×10-7cm3s/g、好ましくは少なくとも40×10-7cm3s/g、特に有利には少なくとも50×10-7cm3/g、極めて有利には少なくとも60×10-7cm3/gの液体誘導性(SFC)、及び/又は概して少なくとも20ダルシー、好ましくは少なくとも40ダルシー、特に有利には少なくとも50ダルシー、極めて有利には少なくとも60ダルシーのゲルベッド透過性(GBP)を有する。
【0085】
吸水性ポリマー粒子の遠心保持容量(CRC)は、通常、60g/g未満である。吸水性ポリマー粒子の49.2g/cm2(AUL0.7psi)の圧力下での吸収量は、通常、35g/g未満である。吸水性ポリマー粒子の液体誘導性(SFC)は、通常、200×10-7cm3s/gである。吸水性ポリマー粒子のゲルベッド透過性(GBP)は、通常、200ダルシー未満である。
【0086】
本発明の更なる対象は、
i)少なくとも部分的に中和されていてよい、少なくとも1種の重合されたエチレン性不飽和の酸基含有モノマー、
ii)少なくとも1種の重合された架橋剤、
iii)任意に1種又は数種の、i)で挙げられたモノマーと共重合されたエチレン性不飽和モノマー及び
iv)任意に1種又は数種の水溶性ポリマー
を含有する吸水性ポリマー粒子であって、その際、該吸水性ポリマー粒子は、3価の金属カチオンと1価のカルボン酸アニオンからなる少なくとも1種の塩基性塩でコーティングされている。
【0087】
3価の金属カチオンの量は、好ましくは、コーティングされた吸水性ポリマー粒子100g当たり0.00004〜0.05モル、特に有利には、コーティングされた吸水性ポリマー粒子100g当たり0.0002〜0.03モル、極めて有利には、コーティングされた吸水性ポリマー粒子100g当たり0.0008〜0.002モルである。
【0088】
本発明の更なる対象は、本発明による吸水性ポリマー粒子を含有する衛生物品である。
【0089】
吸水性ポリマー粒子を、以下に記載される試験法によって調べる。
【0090】
方法:
測定は、別途記載がない場合、23±2℃の周囲温度及び50±10%の空気の相対湿度で実施されるべきである。吸水性ポリマー粒子は、測定前に良く混合される。
【0091】
液体誘導性(生理食塩水流れ誘導性(Saline Flow Conductivity))
0.3psi(2070Pa)の圧力負荷下での膨潤されたゲル層の液体誘導性(SFC)を、EP0640330A1に記載される通り(第19頁、第13行目〜第21頁、第35行目)、吸水性ポリマー粒子からの膨潤されたゲル層のゲル層透過性として測定し、その際、図8に記載される装置を、ガラスフリット(40)はもはや使用せず、プランジャー(39)は円筒体(37)と同じプラスチック材料から成り、そのとき全接触面にわたり均等に割り当てられて21個の同一サイズの穿孔を含むように一部変更した。測定の手順並びに評価は、EP0640330A1と変わらない。流量は自動的に検出される。
【0092】
液体誘導性(SFC)は、下記の通り計算される:
SFC[cm3s/g]=(Fg(t=0)×L0)/(d×A×WP)、
式中、Fg(t=0)はg/秒でのNaCl溶液の流量であり、これは、流量測定のデータFg(t)の線形回帰分析を手がかりにしてt=0に対する外挿法によって得られ、L0はcmでのゲル層の厚さであり、dはg/cm3でのNaCl溶液の密度であり、Aはcm2でのゲル層の面積であり、かつWPはdyn/cm2でのゲル層上の静水圧である。
【0093】
ゲルベッド透過性(Gel Bed Permeability)
0.3psi(2070Pa)の圧力負荷下での膨潤されたゲル層のゲルベッド透過性(GBP)を、US2007/0135785に記載される通り(段落[0151]及び[0152])、吸水性ポリマー粒子からの膨潤されたゲル層のゲルベッド透過性として測定する。
【0094】
遠心保持容量(Centrifuge Retention Capacity)
遠心保持容量(CRC)は、EDANAにより推奨される試験法No.WSP 241.2−05 "Centrifuge Retention Capacity"に従って測定される。
【0095】
49.2g/cm2の圧力下での吸収量(Absorption under Pressure)
49.2g/cm2(AUL0.7psi)の圧力下での吸収量は、EDANA(European Disposables and Nonwovens Association)によって推奨される試験法No.WSP 242.2−05 "Absorption under Pressure"と同様に測定され、その際、21.0g/cm2(AUL0.3psi)の圧力の代わりに、49.2g/cm2(AUL0.7psi)の圧力が調整される。
【0096】
実施例
ベースポリマーの製造:
実施例1
機械的攪拌を伴う二重壁ガラス反応器10l中に、前もって活性炭を通して濾過した37.3質量%のアクリル酸ナトリウム溶液4931gと水376gを装入した。攪拌及び同時に冷却しながら、アクリル酸470gをゆっくりと計量供給した。窒素を30分間、泡立たせた後、3箇所エトキシ化されたグリセリントリアクリレート8.47g並びに水中で30質量%の過硫酸ナトリウムの溶液6.32gを添加し、そして更に1分間攪拌した。その際、反応混合物を、温度が決して35℃を超えず、かつ終わりにかけて約20℃となるように冷却した。引き続き、反応混合物をポンプによって、60℃に予熱され、かつ窒素ガスでパージされたIKA(R)横型混練機 HKSタイプ(容量10l)に移した。最後に、横型混練機中に、水中で1質量%のアスコルビン酸の溶液5.64g並びに3質量%の過酸化水素1.89gを攪拌下で添加した。反応器ジャケット温度を95℃に上げ、15分の反応時間後に、生じたポリマーゲルを横型混練機から取り出した。そのようにして得られたポリマーゲルを、ワイヤー基部を有する金属シート上に分配し、そして165℃にて90分間、空気循環式乾燥庫内で乾燥させた。引き続き、超遠心粉砕機により微粉砕し、そしてこの生成物を150〜850μmに篩分した。そのようにして製造されたベースポリマーは、36.0g/gの遠心保持容量を有していた。
【0097】
実施例2
機械的攪拌を伴う二重壁ガラス反応器10l中に、前もって活性炭を通して濾過した37.3質量%のアクリル酸ナトリウム溶液4936gと水373gを装入した。攪拌及び同時に冷却しながら、アクリル酸470gをゆっくりと計量供給した。窒素を30分間、泡立たせた後、3箇所エトキシ化されたグリセリントリアクリレート6.61g並びに水中で30質量%の過硫酸ナトリウムの溶液6.27gを添加し、そして更に1分間攪拌した。その際、反応混合物を、温度が決して35℃を超えず、かつ終わりにかけて約20℃となるように冷却した。引き続き、反応混合物をポンプによって、60℃に予熱され、かつ窒素ガスでパージされたIKA(R)横型混練機 HKSタイプ(容量10l)に移した。最後に、横型混練機中に、水中で1質量%のアスコルビン酸の溶液5.64g並びに3質量%の過酸化水素1.88gを攪拌下で添加した。反応器ジャケット温度を95℃に上げ、15分の反応時間後に、生じたポリマーゲルを横型混練機から取り出した。そのようにして得られたポリマーゲルを、ワイヤー基部を有する金属シート上に分配し、かつ165℃にて90分間、空気循環式乾燥庫内で乾燥させた。引き続き、超遠心粉砕機により微粉砕し、そしてこの生成物を150〜850μmに篩分した。そのようにして製造されたベースポリマーは、41.5g/gの遠心保持容量を有していた。
【0098】
ベースポリマーの表面後架橋及びコーティング:
実施例3
実施例1で製造したベースポリマー800gを、Loedige(R)実験室用ミキサーに移し、そして70℃に加熱した。N−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキサゾリジノン0.72g、1,3−プロパンジオール0.72g、イソプロピルアルコール8.8g、水中で17.4質量%のモノ酢酸アルミニウムの溶液24.8g(ホウ酸で安定化)(ベースポリマー100gに対してAl3+0.0039モル%に相当)から成る溶液を450rpmの攪拌速度で、加熱されたベースポリマーに噴霧し、そして更に30秒間この速度で混合した。引き続き、更に2分間、200rpmの設定で混合した。続けて、湿ったポリマー粒子を素早く200℃の生成物温度に加熱し、そして更に60分間混合した。表面後架橋されたポリマー粒子を周囲温度に冷却し、そして150〜850μmの粒径に篩分した。
そのようにして製造された表面後架橋されたポリマー粒子は以下の特性を有していた:
CRC=29.6g/g
AUL0.7psi=19.1g/g
GBP=73ダルシー
SFC=53×10-7cm3s/g
【0099】
比較例1
実施例3における方法と同じように行ったが、しかし、モノ酢酸アルミニウムの溶液の代わりに、水中で20.8質量%の硫酸アルミニウムの溶液25.8g(ベースポリマー100gに対してAl3+0.0039モル%に相当)を使用した。
そのようにして製造された表面後架橋されたポリマー粒子は以下の特性を有していた:
CRC=27.6g/g
AUL0.7psi=17.9g/g
GBP=57ダルシー
SFC=50×10-7cm3s/g
【0100】
比較例2
実施例3における方法と同じように行ったが、しかし、モノ酢酸アルミニウムの溶液の代わりに、水中で25質量%の三乳酸アルミニウムの溶液36.7g(ベースポリマー100gに対してAl3+0.0039モル%に相当)を使用した。
そのようにして製造された表面後架橋されたポリマー粒子は以下の特性を有していた:
CRC=27.5g/g
AUL0.7psi=19.2g/g
GBP=40ダルシー
SFC=56×10-7cm3s/g
実施例3と比較例1及び2は、高いゲルベッド透過性(GBP)と、同時に本発明による吸水性ポリマー粒子のより高い遠心保持容量(CRC)を証明する。
【0101】
実施例4
市販の、33.4g/gのCRC、22.8g/gのAUL0.7psi及び6ダルシーのGBPを有する超吸収体Hysorb(R)T8400(BASF Corporation)をミキサー中に装入した。水中で27質量%のモノ酢酸アルミニウム2.96g(ホウ酸で安定化)を、アトマイザーによってほぼ同じサイズの8回の分量で超吸収体に噴霧した(超吸収体100gに対してAl3+0.0058モル%)。1回分の噴霧毎に、コーティングされた超吸収体を約5〜10秒間混合した。全ての溶液の供給後に、コーティングされた超吸収体を100℃で60分間、空気循環式乾燥庫内で乾燥させ、引き続き周囲温度に冷却した。
そのようにして製造されたコーティングされた超吸収体は以下の特性を有していた:
CRC=31.7g/g
AUL0.7psi=21.2g/g
GBP=65ダルシー
【0102】
比較例3
実施例4における方法と同じように行ったが、しかし、モノ酢酸アルミニウムの溶液の代わりに、水中で27質量%の硫酸アルミニウムの溶液3.69g(超吸収体100gに対してAl3+0.0058モル%に相当)を使用した。そのようにして製造されたコーティングされた超吸収体は以下の特性を有していた:
CRC=30.9g/g
AUL0.7psi=20.2g/g
GBP=40ダルシー
【0103】
比較例4
実施例4における方法と同じように行ったが、しかし、モノ酢酸アルミニウムの溶液の代わりに、水中で25質量%の三乳酸アルミニウムの溶液6.86g(超吸収体100gに対してAl3+0.0058モル%)を使用した。そのようにして製造されたコーティングされた超吸収体は以下の特性を有していた:
CRC=28.5g/g
AUL0.7psi=21.7g/g
GBP=12ダルシー
実施例4と比較例3及び4は、モノ酢酸アルミニウムの水溶液からなる後処理後の本発明による吸水性ポリマー粒子の著しく改善されたゲルベッド透過性(GBP)を証明する。
【0104】
実施例5
市販の、6ダルシーのGBPを有する超吸収体Hysorb(R)T8400(BASF Corporation)を300〜600μmに篩分した。篩分された超吸収体10gを、モノ酢酸アルミニウム80mg(超吸収体100gに対してAl3+0.0058モル%)と混合した。そのようにして処理された超吸収体は以下の特性を有していた:
GBP=55ダルシー
【0105】
比較例5
実施例5における方法と同じように行ったが、しかし、モノ酢酸アルミニウムの代わりに、Al2(SO43×18H2O(超吸収体100gに対してAl3+0.0058モル%)を使用した。そのようにして製造されたコーティングされた超吸収体は以下の特性を有していた:
GBP=27ダルシー
【0106】
比較例6
実施例5における方法と同じように行ったが、しかし、モノ酢酸アルミニウムの代わりに、三乳酸アルミニウム172mg(超吸収体100gに対してAl3+0.0058モル%)を使用した。そのようにして製造されたコーティングされた超吸収体は以下の特性を有していた:
GBP=8ダルシー
実施例5と比較例5及び6は、溶媒を含まない後処理後の本発明による吸水性ポリマー粒子の著しく改善されたゲルベッド透過性(GBP)を証明する。
【0107】
実施例6
実施例2で製造されたベースポリマー1000gを、Loedige(R)実験室用ミキサーに移し、そして25℃に調温した。エチレングリコールジグリシジルエーテル0.7g、1,2−プロパンジオール12.0g及び水27gから成る溶液を、450rpmの攪拌速度でベースポリマー上に噴霧し、そして更に30秒間この速度で混合した。引き続き、更に2分間、200rpmの設定で混合した。続けて、湿ったポリマー粒子を素早く170℃の生成物温度に加熱し、そして更に45分間混合した。表面後架橋されたポリマー粒子を周囲温度に冷却し、かつ150〜600μmの粒径に篩分し、そして該ポリマー粒子は以下の特性を有する:
CRC=37.3g/g
AUL0.7psi=24.8g/g
GBP=4ダルシー
そのようにして表面後架橋されたポリマー粒子100gを、攪拌しながら、モノ酢酸アルミニウムの27質量%の溶液1.5g(ホウ酸で安定化)(ベースポリマー100gに対してAl3+0.0030モル%に相当)で噴霧し、引き続き100℃で60分間乾燥した。
そのようにして製造されたコーティングされたポリマー粒子は以下の特性を有していた:
CRC=37.2g/g
AUL0.7psi=22.9g/g
GBP=23ダルシー
【0108】
実施例7
実施例6における方法と同じように行ったが、しかし、表面後架橋されたポリマー粒子を、乾燥したモノ酢酸アルミニウム0.4g(ホウ酸で安定化)(ベースポリマー100gに対してAl3+0.0030モル%に相当)と混合した。
そのようにして製造されたコーティングされたポリマー粒子は以下の特性を有していた:
CRC=36.8g/g
AUL0.7psi=23.5g/g
GBP=20ダルシー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも部分的に中和されていてよい、少なくとも1種のエチレン性不飽和の酸基含有モノマー、
b)少なくとも1種の架橋剤、
c)少なくとも1種の開始剤、
c)任意に1種又は数種の、a)で挙げられたモノマーと共重合可能なエチレン性不飽和モノマー及び
d)任意に1種又は数種の水溶性ポリマー
を含有するモノマー溶液又はモノマー懸濁液の重合による、乾燥、粉砕、分級、及び表面後架橋を包含する吸水性ポリマー粒子の製造法において、該吸水性ポリマー粒子を、該表面後架橋の前、該表面後架橋の間又は該表面後架橋の後に、3価の金属カチオンと1価のカルボン酸アニオンからなる少なくとも1種の塩基性塩でコーティングすることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記コーティングされる吸水性ポリマー粒子100g当たり0.00004〜0.05モルの前記3価の金属カチオンを使用することを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記3価の金属カチオンがアルミニウムカチオンであることを特徴とする、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記1価のカルボン酸アニオンがアセテートアニオンであることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記塩基性塩が少なくとも1種の安定化剤を含有することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記安定化剤がホウ酸であることを特徴とする、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記塩基性塩を水溶液として使用することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか1項記載の方法により得られる吸水性ポリマー粒子。
【請求項9】
i)少なくとも部分的に中和されていてよい、少なくとも1種の重合されたエチレン性不飽和の酸基含有モノマー、
ii)少なくとも1種の重合された架橋剤、
iii)任意に1種又は数種の、i)で挙げられたモノマーと共重合されたエチレン性不飽和モノマー及び
iv)任意に1種又は数種の水溶性ポリマー
を含有する吸水性ポリマー粒子であって、その際、該吸水性ポリマー粒子が、3価の金属カチオンと1価のカルボン酸アニオンからなる少なくとも1種の塩基性塩でコーティングされている吸水性ポリマー粒子。
【請求項10】
前記吸水性ポリマー粒子が、コーティングされた吸水性ポリマー粒子100g当たり0.00004〜0.05モルの前記3価の金属カチオンでコーティングされていることを特徴とする、請求項9記載のポリマー粒子。
【請求項11】
前記3価の金属カチオンがアルミニウムカチオンである、請求項9又は10記載のポリマー粒子。
【請求項12】
前記1価のカルボン酸アニオンがアセテートアニオンである、請求項9から11までのいずれか1項記載のポリマー粒子。
【請求項13】
前記吸水性ポリマー粒子が、少なくとも15g/gの遠心保持容量を有する、請求項9から12までのいずれか1項記載のポリマー粒子。
【請求項14】
請求項9から13までのいずれか1項記載の吸水性ポリマー粒子を含有する衛生製品。

【公表番号】特表2012−521463(P2012−521463A)
【公表日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−501265(P2012−501265)
【出願日】平成22年3月22日(2010.3.22)
【国際出願番号】PCT/EP2010/053657
【国際公開番号】WO2010/108875
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】