説明

表面性状測定機の直角度誤差算出方法および校正用治具

【課題】簡易でかつ安価な校正用治具を用いて直角度誤差を簡易にかつ高精度に算出可能な表面性状測定機の直角度誤差算出方法および校正用治具を提供する。
【解決手段】3つの基準球62A〜62Cを校正プレート61に直角に配置した校正用治具60を、テーブル16上に配置し、接触式検出器20によって3つの基準球の中心座標を求め(第1測定工程)たのち、これら中心座標を結ぶ2つの直線の交差角度θ1を算出する(第1角度算出工程)。次に、校正用治具を、同一面内で90度回転させてテーブル上に配置し、接触式検出器によって3つの基準球の中心座標を求め(第2測定工程)たのち、これら中心座標を結ぶ2つの直線の交差角度θ2を算出する(第2角度算出工程)。最後に、交差角度θ1,θ2とからY軸駆動機構17の移動方向とX軸駆動機構48の移動方向との直角度誤差を算出する(直角度誤差算出工程)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被測定物の表面形状や表面粗さ等を測定する表面性状測定機の直角度誤差算出方法およびこれに用いる校正用治具に関する。
【背景技術】
【0002】
被測定物の表面にスタイラスを接触させた状態において、スタイラスを被測定物の表面に沿って移動させ、このとき、被測定物の表面形状や表面粗さによって生じるスタイラスの変位を検出し、このスタイラスの変位から被測定物の表面形状や表面粗さ等の表面性状を測定する表面性状測定機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
従来、この種の表面性状測定機のなかには、被測定物を複数並べて自動測定したり、あるいは、1つの測定面を何箇所か測定するために、被測定物を載置したテーブルをスタイラスの移動方向(X軸方向)に対して直交する方向(Y軸方向)へ移動させる駆動機構を内蔵したテーブルユニットを、表面性状測定機のベースに対して着脱可能かつ固定可能に取り付けられるようにした表面性状測定機も知られている。
このような表面性状測定機では、X軸方向位置およびY軸方向位置を変えて水平面内の測定点を取り込めば、この取り込んだ測定点に対して、2次元の寸法や形状の評価を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−87562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したテーブルユニットを着脱可能に構成した表面性状測定機では、ベースに位置決めレールを配置し、この位置決めレールにテーブルユニットの基準面を突き当てて、X軸(スタイラスの移動方向)とY軸(テーブルの移動方向)との直角位置決めを行っている。
しかし、この方法では、突き当て方法や作業者によってばらつきが大きい。そのため、一旦、テーブルユニットを表面性状測定機から外し、再度取り付けたときの直角度は、それ以前の状態から大きく変化してしまう。
【0006】
そこで、テーブルユニットを取り外し、取り付ける度に、XY軸間の直角度測定作業が余儀なくされることになるが、例えば、直角スコヤと電気マイクロメータを使用して直角度測定作業を行う方法では、直角スコヤや電気マイクロメータなどの高価な設備が必要で、しかも、直角スコヤの平行出しや電気マイクロメータのセッティングに時間がかかる。
【0007】
本発明の目的は、簡易でかつ安価な校正用治具を用いて直角度誤差を簡易にかつ高精度に算出することができる表面性状測定機の直角度誤差算出方法および校正用治具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の表面性状測定機の直角度誤差算出方法は、ベースと、被測定物を載置したテーブルおよびこのテーブルを水平面内の一方向へ往復移動させる第1駆動機構を有し、前記ベースの上面に着脱可能かつ固定可能に取り付けられたテーブルユニットと、前記被測定物の表面に接触されるスタイラスを有しこのスタイラスの変位を検出する検出器と、この検出器を前記テーブルの移動方向に対して直交する方向へ移動させる第2駆動機構とを備え、前記被測定物の形状または表面粗さを測定する表面性状測定機の直角度誤差算出方法において、外形形状から中心が求まる3つの基準要素を校正プレートに直角に配置した校正用治具を、前記テーブル上に配置し、前記検出器によって前記3つの基準要素を測定して3つの基準要素の中心座標を求める第1測定工程と、この第1測定工程で求められた中心座標のうち、前記直角配置の角部に位置する基準要素の中心座標と他の2つの基準要素の中心座標とを結ぶ2つの直線を求め、この2つの直線の交差角度θ1を算出する第1角度算出工程と、前記校正用治具を、同一面内で90度回転させて前記テーブル上に配置し、前記検出器によって前記3つの基準要素を測定して3つの基準要素の中心座標を求める第2測定工程と、この第2測定工程で求められた中心座標のうち、前記直角配置の角部に位置する基準要素の中心座標と他の2つの基準要素の中心座標とを結ぶ2つの直線を求め、この2つの直線の交差角度θ2を算出する第2角度算出工程と、前記第1角度算出工程で算出された交差角度θ1と、前記第2角度算出工程で算出された交差角度θ2とから前記第1駆動機構の移動方向と前記第2駆動機構の移動方向との直角度誤差を算出する直角度誤差算出工程と、を備えることを特徴とする。
【0009】
このような構成によれば、まず、外形形状から中心が求まる3つの基準要素を校正プレートに直角に配置した校正用治具を、テーブル上に配置し、検出器によって3つの基準要素を測定して3つの基準要素の中心座標を求める(第1測定工程)。続いて、これによって求められた中心座標のうち、直角配置の角部に位置する基準要素の中心座標と他の2つの基準要素の中心座標とを結ぶ2つの直線を求め、この2つの直線の交差角度θ1を算出する(第1角度算出工程)。
次に、校正用治具を、同一面内で90度回転させてテーブル上に配置し、検出器によって3つの基準要素を測定して3つの基準要素の中心座標を求める(第2測定工程)。続いて、これによって求められた中心座標のうち、直角配置の角部に位置する基準要素の中心座標と他の2つの基準要素の中心座標とを結ぶ2つの直線を求め、この2つの直線の交差角度θ2を算出する(第2角度算出工程)。
最後に、第1角度算出工程で算出された交差角度θ1と、第2角度算出工程で算出された交差角度θ2とから第1駆動機構の移動方向と第2駆動機構の移動方向との直角度誤差を算出する(直角度誤差算出工程)。
従って、外形形状から中心が求まる3つの基準要素を校正プレートに直角に配置した簡易でかつ安価な校正用治具を用いて、第1駆動機構の移動方向と第2駆動機構の移動方向との直角度誤差を求めることができるから、直角度の校正を簡易にかつ高精度に行うことができる。
【0010】
本発明の校正用治具は、ベースと、被測定物を載置したテーブルおよびこのテーブルを水平面内の一方向へ往復移動させる第1駆動機構を有し、前記ベースの上面に着脱可能かつ固定可能に取り付けられたテーブルユニットと、前記被測定物の表面に接触されるスタイラスを有しこのスタイラスの変位を検出する検出器と、この検出器を前記テーブルの移動方向に対して直交する方向へ移動させる第2駆動機構とを備え、前記被測定物の形状または表面粗さを測定する表面性状測定機の直角度誤差算出方法に用いられる校正用治具であって、校正プレートと、この校正プレートに直角に配置され、外形形状から中心が求まる3つの基準要素とを含んで構成されている、ことを特徴とする。
【0011】
このような構成の校正用治具によれば、校正プレートと、この校正プレートに直角に配置され、外形形状から中心が求まる3つの基準要素とを含んで構成されているから、簡易でかつ安価に構成できる。
【0012】
本発明の校正用治具において、前記基準要素は、基準球によって構成されている、ことが好ましい。
このような構成によれば、校正プレートに3つの球体を直角に配置すればよいから、校正用治具を簡単に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係る表面性状測定機を示す斜視図。
【図2】同上実施形態において、ベースとテーブルユニットとの取付構造を示す図。
【図3】同上実施形態において、制御装置とその周辺機構を示すブロック図。
【図4】同上実施形態において、校正用治具を示す斜視図。
【図5】同上実施形態において、第1測定工程を示す図。
【図6】同上実施形態において、第2測定工程を示す図。
【図7】同上実施形態において、直角度誤差の算出原理を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<表面性状測定機の説明(図1〜図3参照)>
本実施形態に係る表面性状測定機は、図1〜図3に示すように、ベース1と、このベース1の上面一側に着脱可能かつ固定可能に取り付けられ被測定物を水平面内の一方向(ここでは、Y軸方向)へ移動させるテーブルユニットとしてのY軸テーブルユニット10と、被測定物の表面に接触されるスタイラス24を有する接触式検出器20と、被測定物の表面画像を撮像する画像プローブ30と、これら接触式検出器20および画像プローブ30をY軸方向に対して直交するZ軸方向およびX軸方向に移動させるZ軸駆動手段40およびX軸駆動手段46と、これらを制御する制御装置50(図3参照)とを備える。
【0015】
ベース1には、前後方向中央位置に断面が逆T字形状の取付溝2がX軸方向に沿って形成されているとともに、この取付溝2より後方位置に断面矩形状の位置決めレール3がX軸方向と平行に取り付けられている。
【0016】
Y軸テーブルユニット10は、矩形枠状の本体ケース11と、この本体ケース11内にY軸方向へ移動可能に支持され上面に被測定物を載置するテーブル16と、このテーブル16をY軸方向へ移動させる第1駆動機構としてのY軸駆動機構17とを含んで構成されている。
本体ケース11には、底面にベース1の位置決めレール3に突き当てられる基準面12が形成されているとともに、側面に取付溝2に挿入されたボルト4およびこれに螺合されるナット5を利用して本体ケース11をベース1に固定するフランジ部13が形成されている。また、本体ケース11の上面には、テーブル16の移動範囲に渡って開口14が形成されているとともに、この開口14とテーブル16との隙間に蛇腹状カバー15が取り付けられている。
Y軸駆動機構17は、例えば、モータ18と、このモータ18によって回転駆動されテーブル16をY軸方向へ進退移動させる送りねじ19などによって構成されている。
【0017】
Z軸駆動手段40は、ベース1の上面に立設されたコラム41と、このコラム41に上下方向(Z軸方向)へ移動可能に設けられたZスライダ42と、このZスライダ42を上下方向へ昇降させるZ軸駆動機構43とを含んで構成されている。
X軸駆動手段46は、Zスライダ42にY軸方向およびZ軸方向に対して直交する方向(X軸方向)へ移動可能に設けられたXスライダ47と、このXスライダ47をX軸方向へ移動させる第2駆動機構としてのX軸駆動機構48とを含んで構成されている。
なお、これらY軸駆動機構43およびZ軸駆動機構48は、図示省略されているが、例えば、ボールねじ軸と、このボールねじ軸に螺合され可動側部材に固定されたナット部材とを有する送りねじ機構によって構成されている。
【0018】
接触式検出器20は、Xスライダ47に吊り下げ支持された検出器本体21と、この検出器本体21に揺動可能に支持され先端にスタイラス24を有するアーム25と、このアーム25の揺動量を検出する検出部(図示省略)とから構成されている。
【0019】
画像プローブ30は、Xスライダ47に接触式検出器20とともに一体的に連結された筒状のプローブ本体32と、このプローブ本体32の先端に下向きに支持されたプローブヘッド33とを備える。プローブヘッド33は、図示省略したが、対物レンズと、この対物レンズの外周に配置された光源としてのLEDと、対物レンズを透過した被測定物からの反射光を受光し被測定物の画像を撮像するCCDセンサとを含んで構成されている、
【0020】
制御装置50には、図3に示すように、X軸駆動機構48、Y軸駆動機構17、Z軸駆動機構43、接触式検出器20、画像プローブ30のほかに、入力装置51、表示装置52、記憶装置53が接続されている。
入力装置51は、例えば、携帯型のキーボードやジョイスティックなどによって構成され、各種動作指令やデータ入力を行う。
表示装置52には、画像プローブ30で取得した画像が表示されるとともに、接触式検出器20によって得られた形状や粗さデータが表示される。
記憶装置53には、測定プログラム等を記憶したプログラム記憶部54、後述する直角度誤差などの補正データを記憶する補正データ記憶部55、および、測定時に取り込んだ画像データや測定データなどを記憶する測定データ記憶部56などが設けられている。
【0021】
制御装置50は、測定プログラムの実行によって得られた測定データを測定データ記憶部56に記憶し、この測定データを補正データ記憶部55に記憶された補正データで補正して測定値として出力する機能のほかに、画像プローブ30によって取り込まれた被測定物の画像から被測定物のエッジを検出するエッジ検出機能や、被測定物の高さ方向(Z軸方向)の面に対物レンズの焦点位置が一致するように、対物レンズを高さ方向へ変位させて、この変位量から被測定物の高さ方向の位置を検出するオートフォーカス機能を備える。
【0022】
<校正用治具の説明(図4参照)>
校正用治具60は、上述した表面性状測定機において、Y軸駆動機構17の移動方向とX軸駆動機構48の移動方向との直角度誤差を算出する際に用いられる校正用治具であって、校正プレート61と、この校正プレート61に直角に配置された基準要素としての3つの基準球62A,62B,62Cとを含んで構成されている。
校正プレート61は、所定の厚みを有する略正方形の板材によって構成されている。
3つの基準球62A,62B,62Cは、円盤状の基準球取付部材63を介して、校正プレート61の3つの角部に埋設されている。つまり、基準球62A,62B,62Cが基準球取付部材63の中心に一部露出するように埋設され、3つの基準球62A,62B,62Cが直角になるように、基準球取付部材63が校正プレート61の角部に位置調整されて接着固定されている。
これにより、基準球62Aの中心と基準球62Bの中心とを結ぶ直線と、基準球62A,の中心と基準球62Cの中心とを結ぶ直線とのなす角度(交差角度)が直角になるように構成されている。
【0023】
<直角度誤差算出方法の説明(図5〜図7参照)>
表面性状測定機において、Y軸駆動機構17の移動方向とX軸駆動機構48の移動方向との直角度誤差を算出するには、次のようにして行う。
(a)まず、校正用治具60をテーブル16上に配置したのち、接触式検出器20によって3つの基準球62A,62B,62Cの中心座標を求める(第1測定工程)。
これには、図5に示すように、各基準球62A,62B,62C毎に、接触式検出器20のスタイラス24が基準球62A,62B,62Cの円形輪郭線を交差するようにY軸駆動機構17およびX軸駆動機構48を移動させ、基準球62A,62B,62Cの円形輪郭線のうち少なくとも3点以上の位置データを取得し、この取得された位置データに円を当てはめて円の中心座標、つまり、基準球62A,62B,62Cの中心座標P1,P2,P3を求める。
【0024】
(b)続いて、第1測定工程で測定された中心座標P1〜P3のうち、直角配置の角部に位置する基準球62Aの中心座標P1と他の2つの基準球62B,62Cの中心座標P2,P3とを結ぶ2つの直線を求め、この2つの直線の交差角度を算出する(第1角度算出工程)。
具体的には、基準球62Aの中心座標P1と基準球62Bの中心座標P2を結ぶ直線L1と、基準球62Aの中心座標P1と基準球62Cの中心座標P3とを結ぶ直線L2とを求め、この2つの直線L1,L2の交差角度θ1を算出する。
【0025】
(c)次に、図6に示すように、校正用治具60を、同一面内で90度回転させた状態でテーブル16上に配置し、接触式検出器20によって3つの基準球62A,62B,62Cの中心座標P4,P5,P6を求める(第2測定工程)。なお、基準球62A,62B,62Cの中心座標P4,P5,P6を求めるには、第1測定工程と同じようにして行う。
【0026】
(d)続いて、第2測定工程で測定された中心座標P4,P5,P6のうち、直角配置の角部に位置する基準球62Aの中心座標P4と他の2つの基準球62B,62Cの中心座標P5,P6とを結ぶ2つの直線を求め、この2つの直線の交差角度θ2を算出する(第2角度算出工程)
具体的には、基準球62Aの中心座標P4と基準球62Aの中心座標P5を結ぶ直線L3と、基準球62Aの中心座標P4と基準球62Cの中心座標P6とを結ぶ直線L4とを求め、この2つの直線L3,L4の交差角度θ2を算出する。
【0027】
(e)最後に、第1角度算出工程で算出された交差角度θ1と、第2角度算出工程で算出された交差角度θ2とから、Y軸駆動機構17の移動方向とX軸駆動機構48の移動方向との直角度誤差を算出する(直角度誤差算出工程)。
つまり、第1角度算出工程で算出された交差角度θ1と、第2角度算出工程で算出された交差角度θ2は、図7に示すように、校正用治具60に配置された基準球62A、62B,62Cの位置により不変のθに対して、直角度誤差δを持っているから、次の式から直角度誤差δを算出できる。
【0028】
θ1=θ−δ ……(1)
θ2=θ+δ ……(2)
δ=(θ2−θ1)/2 ……(3)
【0029】
このようにして算出した直角度誤差δを補正データ記憶部55に記憶しておくと、制御装置50は、測定プログラムの実行によって得られた測定データを測定データ記憶部56に記憶し、この測定データを補正データ記憶部55に記憶された補正データで補正して測定値として出力することができるから、Y軸駆動機構17の移動方向とX軸駆動機構48の移動方向との直角度誤差を補正することができる。
【0030】
<実施形態の効果>
本実施形態によれば、3つの基準球62A,62B,62Cを校正プレート61に直角に配置した校正用治具60を用いて、Y軸駆動機構17の移動方向とX軸駆動機構48の移動方向との直角度誤差を算出することができるから、この直角度誤差を補正値として測定値を補正すれば、直角度の校正を簡易にかつ高精度に行うことができる。
【0031】
従って、使用者自身がY軸テーブルユニット10を取り外し、取り付けた場合でも、Y軸駆動機構17の移動方向とX軸駆動機構48の移動方向との直角度精度を簡易に校正できるから、高精度で使用できる。とくに、Y軸およびX軸の複合精度の信頼性が向上するため、斜め測定などでも高精度な測定が期待できる。
また、校正用治具60は、校正プレート61と、この校正プレート61の角部に配置された3つの基準球62A,62B,62Cとから構成されているから、簡易でかつ安価に製造できる。
【0032】
また、画像プローブ30を備えているので、画像プローブ30の単独使用による測定も可能である。例えば、画像プローブ30によって取得した画像から、線幅や孔径などを測定することができるほか、画像プローブ30のオートフォーカス機能を用いて、対物レンズの光軸方向の寸法(段差寸法)なども測定できる。
【0033】
<変形例>
本発明は、前述の実施形態に限定されるものでなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良などは本発明に含まれる。
【0034】
前記実施形態では、校正用治具60の3つの基準球62A,62B,62Cを接触式検出器20で測定して、これら基準球62A,62B,62Cの中心座標を算出するようにしたが、画像プローブ30によって基準球62A,62B,62Cの円形輪郭線のうち少なくとも3箇所の位置をエッジ検出し、この3つの位置から円を当てはめて円の中心座標、つまり、基準球62A,62B,62Cの中心座標を求めるようにしてもよい。
【0035】
前記実施形態では、校正プレート61に3つの基準球62A,62B,62Cを直角に配置した校正用治具60を用いたが、これに限られない。例えば、半球状の基準要素を配置した構成でもよい。あるいは、校正プレート61の3つの角部に凹球面形状の窪みを形成した構成でもよい。要するに、外形形状から中心座標を特定できる形状であれば、前記実施形態に限られない。
【0036】
前記実施形態では、画像プローブ30を備える構成であったが、画像プローブ30は特に備えていなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、例えば、表面粗さ測定機や形状測定機などに利用できる。
【符号の説明】
【0038】
1…ベース、
10…Y軸テーブルユニット、
16…テーブル、
17…Y軸駆動機構(第1駆動機構)、
20…接触式検出器、
48…X軸駆動機構(第2駆動機構)、
60…校正用治具、
61…校正プレート、
62A〜62C…基準球(基準要素)、
P1〜P3、P4〜P6…中心座標、
L1〜L4…直線、
θ1,θ2…交差角度、
δ…直角度誤差。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、被測定物を載置したテーブルおよびこのテーブルを水平面内の一方向へ往復移動させる第1駆動機構を有し、前記ベースの上面に着脱可能かつ固定可能に取り付けられたテーブルユニットと、前記被測定物の表面に接触されるスタイラスを有しこのスタイラスの変位を検出する検出器と、この検出器を前記テーブルの移動方向に対して直交する方向へ移動させる第2駆動機構とを備え、前記被測定物の形状または表面粗さを測定する表面性状測定機の直角度誤差算出方法において、
外形形状から中心が求まる3つの基準要素を校正プレートに直角に配置した校正用治具を、前記テーブル上に配置し、前記検出器によって前記3つの基準要素を測定して3つの基準要素の中心座標を求める第1測定工程と、
この第1測定工程で求められた中心座標のうち、前記直角配置の角部に位置する基準要素の中心座標と他の2つの基準要素の中心座標とを結ぶ2つの直線を求め、この2つの直線の交差角度θ1を算出する第1角度算出工程と、
前記校正用治具を、同一面内で90度回転させて前記テーブル上に配置し、前記検出器によって前記3つの基準要素を測定して3つの基準要素の中心座標を求める第2測定工程と、
この第2測定工程で求められた中心座標のうち、前記直角配置の角部に位置する基準要素の中心座標と他の2つの基準要素の中心座標とを結ぶ2つの直線を求め、この2つの直線の交差角度θ2を算出する第2角度算出工程と、
前記第1角度算出工程で算出された交差角度θ1と、前記第2角度算出工程で算出された交差角度θ2とから前記第1駆動機構の移動方向と前記第2駆動機構の移動方向との直角度誤差を算出する直角度誤差算出工程と、
を備えることを特徴とする表面性状測定機の直角度誤差算出方法。
【請求項2】
ベースと、被測定物を載置したテーブルおよびこのテーブルを水平面内の一方向へ往復移動させる第1駆動機構を有し、前記ベースの上面に着脱可能かつ固定可能に取り付けられたテーブルユニットと、前記被測定物の表面に接触されるスタイラスを有しこのスタイラスの変位を検出する検出器と、この検出器を前記テーブルの移動方向に対して直交する方向へ移動させる第2駆動機構とを備え、前記被測定物の形状または表面粗さを測定する表面性状測定機の直角度誤差算出方法に用いられる校正用治具であって、
校正プレートと、
この校正プレートに直角に配置され、外形形状から中心が求まる3つの基準要素とを含んで構成されている、
ことを特徴とする校正用治具。
【請求項3】
請求項2に記載の校正用治具において、
前記基準要素は、基準球によって構成されている、ことを特徴とする校正用治具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−88149(P2012−88149A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−234535(P2010−234535)
【出願日】平成22年10月19日(2010.10.19)
【出願人】(000137694)株式会社ミツトヨ (979)
【Fターム(参考)】