説明

表面改質ナノ粒子を含むポリマーブレンドおよびその製造方法

本発明は、表面改質ナノ粒子を用いてポリマーブレンドの形態および微細構造を変更することに関する。不混和性のポリマーを含んでなるポリマーブレンドに表面改質ナノ粒子を加えると、ポリマーブレンドの分散相の均一分布が促進される。一実施態様では、本発明は、(1)少なくとも1種のポリマー、モノマーまたはオリゴマー、および複数の表面改質ナノ粒子を含む連続相であって、前記ナノ粒子が約100ナノメートル未満の粒径を有していて、前記連続ポリマー相中に分散している連続相と、(2)少なくとも1種のポリマー、モノマーまたはオリゴマーを含む分散相とを含み、前記連続ポリマー相と前記分散ポリマー相が不混和性である、ポリマーブレンドに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般にはポリマーブレンドに関し、さらに詳細には、表面改質ナノ粒子を用いてポリマーブレンドの形態を変更することに関する。
【背景技術】
【0002】
多相ポリマーブレンドは、ポリマー産業界において経済的に大変重要なものである。さまざまなポリマーをブレンドすると、魅力的なバランスの取れた物理的性質を有する新規の高分子材料を作り出すことができる。例えば、ポリスチレンのような脆性のあるポリマーの衝撃強度を向上させるために、少量のポリブタジエンなどのゴム系ポリマーを添加すると、ブレンドしないポリスチレンよりももっと強靭で延性のあるポリマーブレンドを作り出すことができる。
【0003】
ほとんどのポリマーにはもともと混和性がないため、有用なポリマーブレンドを開発することは困難であり、その結果として得られるきめの粗い状態で相分離したポリマー混合物は、成分間の界面が組成的にはっきり区別され、機械的に弱い。ポリマーブレンドがもともと不混和性であるということによって引き起こされる問題を克服するために、大抵の市販のポリマーブレンドは、ブロックコポリマーやグラフトコポリマーなどの第3の相溶化ポリマーを少量用いて混ぜ合わせた2種類のポリマーから構成されている。ポリスチレン/ポリブタジエンの例では、ポリスチレンモノマーとポリブタジエンモノマーとを含むブロックコポリマーまたはグラフトコポリマーを使用できる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
相溶化ポリマーを使用すると、普通なら不混和性であるポリマーのブレンドをより安定したものにするのに効果的であるが、相溶化ポリマーは、特定のブレンドに使用される特定のポリマー用に合わせて作らなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、表面改質ナノ粒子を用いてポリマーブレンドの形態および微細構造を変更することに関する。不混和性のポリマーを含んでなるポリマーブレンドに表面改質ナノ粒子を加えると、ポリマーブレンドの分散相の均一分布が促進される。
【0006】
一実施態様では、本発明は、(1)少なくとも1種のポリマー、モノマーまたはオリゴマー、および複数の表面改質ナノ粒子を含む連続相であって、前記ナノ粒子が約100ナノメートル未満の粒径を有していて、連続ポリマー相中に分散している連続相と、(2)少なくとも1種のポリマー、モノマーまたはオリゴマーを含む分散相とを含むポリマーブレンドであって、連続ポリマー相と分散ポリマー相が不混和性であるポリマーブレンドに関する。
【0007】
本発明の変形であるさらなる実施態様を、以下にさらに説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
一実施態様では、本発明は、表面改質ナノ粒子を用いてポリマーブレンドの形態および微細構造を変更することに関する。不混和性のポリマーを含んでなるポリマーブレンドに表面改質ナノ粒子を加えると、ポリマーブレンドの分散相の均一分布が促進される。一実施態様では、本発明において利用する表面改質ナノ粒子は、粒径が約100ナノメートル未満の表面処理された個別の無機粒子である。
【0009】
多くの場合、粒径が100nmより大きいヒュームドシリカのような無機粒子が、主に充填剤としてまたはポリマーブレンドのバルクの物理的性質を変更するために、多くのポリマーブレンドに含められている。充填剤は、コスト低減、加工の改良、密度調整、光学効果、熱伝導性、熱膨張の調整、および機械的性質(かたさや引裂抵抗など)の改良など、他のさまざまな理由でポリマーに使用できる。典型的には、充填剤として使用されるそのような無機粒子は表面処理されておらず、非常に多い量が使用される。
【0010】
本明細書で使用される「ナノ粒子」という用語は、約100ナノメートル(nm)未満の直径を有する粒子を指す。実施態様によっては、ナノ粒子は、約50nm未満の直径を有する粒子を指す。さらなる実施態様では、ナノ粒子は、約20nm未満の直径を有する粒子を指し、他の実施態様では、ナノ粒子は約10nm未満の直径を有する粒子を指す。本発明の表面改質ナノ粒子は好ましくは個別の粒子であり、会合したり、凝集したり、塊状化したりしていない。ナノ粒子が凝集している場合、その凝集粒子の断面の最大寸法は上記のいずれかの範囲内にある。
【0011】
本明細書で使用される「ポリマーブレンド」とは、2種以上のポリマー、オリゴマーまたはモノマーの混合物を意味する。
【0012】
本明細書で使用される「連続相」という用語は、ポリマーブレンドにおいて質量が多いほうの成分を意味する。ポリマーブレンドの連続相は、典型的には不連続の分離された領域に存在しない。
【0013】
本明細書で使用される「分散相」という用語は、ポリマーブレンドにおいて質量が少ないほうの成分を意味する。ポリマーブレンドには、2種以上の分散相が存在してもよく、その場合、各分散相は連続相よりも少ない量(質量)だけ存在する。ポリマーブレンドの分散相は、典型的には不連続の分離された領域に存在する。
【0014】
本明細書で使用される「共連続相(co−continuous phases)」は、質量でほぼ同じレベルの2つの成分を含んだポリマーブレンドを指す。
【0015】
「相転換(phase−flipping)」とは、分散相と連続相が逆転し、その結果、連続相が分散相になり、分散相が連続相になる現象のことである。
【0016】
本明細書で使用される「相溶化剤」または「相溶化試剤」という用語は、ポリマーブレンド中の2種以上の成分の間の界面におけるエネルギーを減少させる成分を意味する。本明細書で定義する相溶化剤としては、ブロックコポリマー、グラフトコポリマー、および界面活性剤があるが、これらに限定されない。
【0017】
本明細書で使用される「不混和性のポリマー」とは、溶解度が限られていて界面張力がゼロでないポリマーブレンド、すなわち、混合の自由エネルギー(ΔGm)がゼロより大きいブレンドを形成するポリマーのことである。
ΔGm≒ΔHm>0
【0018】
典型的には、2種類のポリマーの構造が異なる場合、ペア相互作用(pair interactions)エネルギーが大きいので、混合エンタルピー(ΔHm)は正であり、そのためポリマーは相互作用に抵抗する。これとは逆に、これらのポリマーの構造が似ている場合、混合エンタルピーは負であり、このため混合の自由エネルギーも負となり、これらのポリマーは均質の混合物を形成することになる。したがって「混和性のポリマー」は、ゼロより小さい混合の自由エネルギーを有するブレンドを形成するポリマーである。
【0019】
一実施態様では、本発明のポリマーブレンドは、粒径が100ナノメートル未満の表面改質ナノ粒子を含み、このナノ粒子はブレンド中に配置されている。この表面改質ナノ粒子は、ポリマーブレンドの連続相に分散している。
【0020】
表面改質ナノ粒子は、形成される組成物がポリマー組成物の所望の性質を阻害するような程度の粒子の会合、塊状化、または凝集を起こさないようなものを選択する。本明細書で使用される粒子の「会合」とは、任意の弱い種類の化学結合力が原因で生じる可逆的な化学結合と定義される。粒子の会合の例としては、水素結合、静電引力、ロンドン力、ファンデルワールス力、および疎水性相互作用がある。本明細書で使用される「塊状化」という用語は、分子またはコロイド状粒子が結合してクラスターになることと定義される。塊状化は、電荷の中和が原因で生じうるものであり、典型的には可逆的である。本明細書で使用される「凝集」という用語は、大きな分子またはコロイド状粒子がクラスター状または塊状に結合して溶解状態から分離または沈殿する傾向として定義される。凝集粒子は相互に堅く会合するので、破壊するのに高剪断力が必要とされる。塊状化粒子および会合粒子は、一般には容易に分離できる。
【0021】
凝集形態のシリカ(互いにしっかり凝集して不規則な網目になっている直径の小さい一次粒子からなるヒュームドシリカまたは沈降シリカなど)は、本明細書に記載する用途にはあまり適していない。そのような凝集体の場合、破壊するには高剪断力が必要であり、たとえ高剪断力にさらしたとしても、通常、凝集体は破壊されて個別の一次粒子にはならない。より大きな凝集粒子に表面処理を行い、その後その凝集体を剪断によってばらばらにすると、処理されていない新しい粒子表面が露出し、それはポリマー成分への粒子の溶解度/分散性に影響する。
【0022】
本発明では、不可逆凝集の起こらない個別の粒子を使用する。個別の粒子を表面処理する場合、表面処理は粒子の全表面にわたって施す。この表面処理により、粒子が不可逆的に凝集するのが防止される。乾燥させるかまたは貧溶媒中に分散させると、粒子は塊状化していくらか大きな粒子になることがあるが、塊状化した表面処理粒子は一般には、もっと相溶性のある溶媒に分散させるかまたは適度な剪断により、容易に分離することができ、それによって小さい個別の表面処理粒子を再び得ることができる。
【0023】
表面改質ナノ粒子は、ポリマーブレンドの連続相と相溶性のあるようなものを選択する。さまざまな成分を含む連続相の場合、表面改質ナノ粒子は、連続相の少なくとも1種の成分と相溶性のあるものを選択できる。ナノ粒子が相溶性を有する相が連続相となるので、ナノ粒子はポリマーブレンドの連続相中に分散することが重要である。ナノ粒子が分散相との相溶性を有する場合、相転換が起こることがある。その場合、分散相が連続相となり、連続相が分散相となる。
【0024】
表面改質ナノ粒子は、ナノ粒子の溶解度特性を改質する表面基を有する。表面基は、連続相との相溶性を粒子に付与するようなもの、例えば、ブレンドの連続相中に含まれているポリマーのモノマーを選択する。ナノ粒子がいったん連続相に含有されると、得られた組成物は、ブレンドされると、均一に分散した分散相を含んだポリマーブレンドを形成する。組成物が重合性である場合、表面基は、連続相の少なくとも1種の成分と会合または反応して組成物のポリマーの網目の一部となるようなものを選択できる。
【0025】
さまざまな方法を用いて、表面改質ナノ粒子と連続相との相溶性を評価することができる。透明な連続相の場合、表面改質ナノ粒子と透明な連続相との相溶性を評価する有用な方法の1つとして、表面改質ナノ粒子と連続相を混ぜ合わせて、得られた組成物が透明になるほど表面改質ナノ粒子が連続相に溶けるように見えるかどうかを観察する方法がある。表面改質ナノ粒子の無機粒子成分の性質は、表面改質ナノ粒子が連続相に実際に溶解するのを阻止しようとする。すなわち、表面改質ナノ粒子は連続相中に分散しようとする。しかし、連続相との表面基の相溶性により、表面改質ナノ粒子は連続相中に溶解するように見える。表面改質ナノ粒子のサイズが大きくなるにつれ、一般に連続相の濁り(haziness)が増大する。表面改質ナノ粒子は、好ましくは連続相から沈殿しないようなものを選択する。
【0026】
好適な表面基は、表面基および連続相の溶解パラメーターに基づいて選択することもできる。表面基、または表面基のもとになる試剤の溶解パラメーターは、連続相の溶解パラメーターとほぼ同じであることが好ましい。例えば、連続相が疎水性である場合、当業者は、疎水性の連続相と相溶性のある表面改質粒子となるように、さまざまな疎水性の表面基の中から選択できる。同様に、連続相が親水性である場合、当業者は親水性の表面基から選択でき、連続相がフルオロカーボンである場合、当業者はさまざまなフルオロカーボン表面基の中から選択できる。
【0027】
粒子には、少なくとも2種類の異なる表面基を含めることもでき、それらが組み合わさって、粒子の溶解パラメーターと連続相の溶解パラメーターとが同様になるようにすることもできる。表面基は、統計的に平均化されランダムに表面改質された粒子となるようなものを選択できる。
【0028】
表面基は、後で凝集することなく連続相中に分散できるような表面改質ナノ粒子が得られるほど十分な量だけ、粒子の表面に存在する。表面基は、粒子の表面に単一層、好ましくは連続単一層を形成するほど十分な量だけ存在することが好ましい。
【0029】
表面改質基は、表面改質剤から得られる。概略を説明すると、表面改質剤は、式A−Bで表すことができ、式中、A基は粒子の表面に結合でき、B基は連続相中の一成分と結合またはそれと強く会合することができる基である。連続相の特性に応じて、表面改質基は、粒子の極性が比較的大きくなるように、極性が比較的小さくなるように、あるいは比較的非極性となるように選択することができる。
【0030】
好適な表面改質剤の種類としては、例えば、シラン、有機酸、有機塩基およびアルコールがある。
【0031】
特に有用な表面改質剤としては、シランがある。有用なシランの例としては、オルガノシランがあり、それには、例えば、アルキルクロロシラン、アルコキシシラン(例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ポリトリエトキシシラン(polytriethoxysilane)、ビニルトリメトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルメチルジアセトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリ(t−ブトキシ)シラン、ビニルトリス(イソブトキシ)シラン、ビニルトリス(イソプロペノキシ)シランおよびビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン)を含む);トリアルコキシアリールシラン;イソオクチルトリメトキシシラン;N−(3−トリエトキシシリルプロピル)メトキシエトキシエトキシエチルカルバメート;N−(3−トリエトキシシリルプロピル)メトキシエトキシエトキシエチルカルバメート;シラン官能性(メタ)アクリレート(例えば、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルトリエトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルメチルジメトキシシラン、3−(アクリロイルオキシプロピル)メチルジメトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルジメチルエトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)メチルトリエトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)メチルトリメトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルジメチルエトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)プロペニルトリメトキシシランおよび3−(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシランを含む);ポリジアルキルシロキサン(例えば、ポリジメチルシロキサンを含む)、アリールシラン(例えば、置換および非置換アリールシランを含む)、アルキルシラン(例えば、置換および非置換アルキルシラン(例えば、メトキシおよびヒドロキシ置換アルキルシランがある)を含む)、およびそれらの組合わせがある。
【0032】
シラン官能性(メタ)アクリレートを使用したシリカの表面改質方法は、例えば、米国特許第4,491,508号明細書および第4,455,205号明細書(オルセン(Olsen)ら);米国特許第4,478,876号明細書および第4,486,504号明細書(チュン(Chung))、および米国特許第5,258,225号明細書(カツァンベリス(Katsamberis))に記載されており、その開示内容全体を本明細書に援用する。
【0033】
有用な有機酸の表面改質剤としては、例えば、炭素のオキシ酸(例えば、カルボン酸)、硫黄およびリンのオキシ酸、およびそれらの組合わせがある。
【0034】
カルボン酸官能性を有する極性表面改質剤の代表的な例としては、CH3O(CH2CH2O)2CH2COOH(以下、MEEAA)、および化学構造CH3OCH2CH2OCH2COOHを有する2−(2−メトキシエトキシ)酢酸(以下、MEAA)およびモノ(ポリエチレングリコール)スクシネートがある。
【0035】
カルボン酸官能性を有する非極性表面改質剤の代表的な例としては、オクタン酸、ドデカン酸およびオレイン酸がある。
【0036】
好適なリン含有酸の例としては、例えば、オクチルホスホン酸、ラウリルホスホン酸、デシルホスホン酸、ドデシルホスホン酸およびオクタデシルホスホン酸がある。
【0037】
有用な有機塩基の表面改質剤としては、例えば、アルキルアミンがあり、それには、例えば、オクチルアミン、デシルアミン、ドデシルアミンおよびオクタデシルアミンがある。
【0038】
他の有用なシラン以外の表面改質剤の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、β−カルボキシエチルアクリレート、モノ−2−(メタクリロイルオキシエチル)スクシネート、およびそれらの組合わせがある。極性と反応性の両方をナノ粒子に付与する有用な表面改質剤は、モノ(メタクリロイルオキシポリエチレングリコール)スクシネートである。
【0039】
好適な表面改質アルコールの例としては、例えば、脂肪族アルコール(例えば、オクタデシルアルコール、ドデシルアルコール、ラウリルアルコールおよびフルフリルアルコールがある)、脂環式のアルコール(例えば、シクロヘキサノールがある)、および芳香族アルコール(例えば、フェノールやベンジルアルコールがある)、およびそれらの組合わせがある。連続相が芳香環含有エポキシ樹脂を含む場合、有用な表面改質基として、芳香環を挙げることができる。エポキシ樹脂組成物に特に適した表面改質基の例は、米国特許第5,648,407号明細書(ゲッツ(Goetz)ら)に開示されており、その開示内容全体を本明細書に援用する。
【0040】
ナノ粒子の表面を改質するさまざまな方法があり、それには、例えば、表面改質剤をナノ粒子(例えば、粉末またはコロイド分散系の形態)に添加し、表面改質剤をナノ粒子と反応させる方法がある。その他の有用な表面改質法は、例えば、米国特許第2,801,185号明細書(イラー(Iler))および第4,522,958号明細書(ダス(Das)ら)に記載されており、その開示内容全体を本明細書に援用する。
【0041】
一実施態様では、ナノ粒子は無機質である。好適な無機ナノ粒子の例としては、シリカおよび金属酸化物のナノ粒子があり、それには、ジルコニア、チタニア、セリア、アルミナ、酸化鉄、バナジア、酸化アンチモン、酸化スズ、アルミナ/シリカ、およびそれらの組合わせが含まれる。ナノ粒子は、平均粒径が、1つの実施態様では約100nm未満、別の実施態様では約50nm未満、別の実施態様では約3nm〜約50nm、別の実施態様では約3nm〜約20nm、別の実施態様では約3nm〜約10nmである。ナノ粒子が凝集している場合、その凝集粒子の断面の最大寸法は上記のいずれかの範囲内にある。
【0042】
有用な表面改質ジルコニアナノ粒子としては、カルボン酸(例えば、オレイン酸とアクリル酸とを組み合わせたもの)が粒子の表面に吸着したものがある。
【0043】
有用な表面改質シリカナノ粒子としては、シラン表面改質剤(例えば、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、イソオクチルトリメトキシシラン、およびそれらの組合わせがある)で表面改質されたシリカナノ粒子がある。シリカナノ粒子は、多数の表面改質剤、例えば、アルコール、オルガノシラン(例えば、アルキルトリクロロシラン、トリアルコキシアリールシラン、トリアルコキシ(アルキル)シラン、およびそれらの組合わせがある)、および有機チタネートならびにそれらの混合物で処理することができる。
【0044】
ナノ粒子はコロイド分散系の形態であってよい。改質されていない市販の有用なシリカ出発物質の例としては、イリノイ州ネーパーヴィルのナルコ・ケミカル社(Nalco Chemical Co.,Naperville,Ill)からNALCO 1040、1050、1060、2326、2327、および2329コロイド状シリカという製品名で入手可能なナノサイズのコロイド状シリカがある。
【0045】
有用な金属酸化物コロイド分散系としては、コロイド状酸化ジルコニウム(その好適な例は、米国特許第5,037,579号明細書に記載されており、その開示内容全体を本明細書に援用する)、およびコロイド状酸化チタン(その有用な例は、1998年7月30日に出願されたPCT公開、国際公開第00/06495号パンフレット(発明の名称「透明金属酸化物コロイドおよびセラマー製造用のナノサイズ金属酸化物粒子(Nanosize Metal Oxide Particles for Producing Transparent Metal Oxide Colloids and Ceramers)」(アーネイ(Arney)ら)に記載されており、これもその全体を本明細書に援用する)がある。
【0046】
一般に、ナノ粒子は、最終ポリマーブレンドの製造時のどの時点で添加してもよく、さまざまな方法を用いて表面改質ナノ粒子と連続相を混合してよい。1つの方法では、表面改質ナノ粒子のコロイド分散系を連続相と混ぜ合わせる。その後、組成物中に存在する溶媒を除去して、表面改質ナノ粒子が連続相中に分散された状態にする。溶媒は、蒸発(例えば、蒸留、回転蒸発またはオーブン乾燥を含む)によって除去できる。任意選択的に、一部のコロイド分散系(例えば、コロイド水分散液)の場合、連続相の添加に先立って、水の除去を助ける補助溶媒(例えば、メトキシ−2−プロパノールまたはN−メチルピロリドン)をコロイド分散系に添加することもできる。連続相の添加後に、水と補助溶媒を除去する。
【0047】
表面改質ナノ粒子のコロイド分散系を連続相に含有させる別の方法として、表面改質ナノ粒子のコロイド分散系を乾燥させて粉末にし、その後、ナノ粒子を分散させる連続相またはその連続相の少なくとも1つの成分を添加する方法がある。乾燥工程は、オーブン乾燥または噴霧乾燥などの従来の方法で遂行できる。乾燥時に不可逆の凝集が起こるのを防ぐため、表面改質ナノ粒子は十分な量の表面基を有することが好ましい。乾燥時間および乾燥温度は、表面被覆率が100%より小さいナノ粒子にとって最小となるようにすることが好ましい。
【0048】
表面改質ナノ粒子は、さまざまな量だけ組成物中に存在してよく、例えば、組成物の全質量に対して、約0.1乾燥質量%〜約70乾燥質量%、約0.1乾燥質量%〜約30乾燥質量%、約0.1乾燥質量%〜約10乾燥質量%、約0.1乾燥質量%〜約5乾燥質量%、および約0.1乾燥質量%〜約1乾燥質量%だけ存在してよい。表面改質ナノ粒子は、好ましくは連続相全体に分散しており、理想的には連続相全体に均一に分散している。
【0049】
組成物の連続相は、固体、半固体、液体またはそれらの混合物(例えば、溶液、エマルジョン、懸濁液、分散系、シロップおよび溶融体が含まれる)であってよい。連続相は、組成物の所望の性質(例えば、剛性、硬さ、密度、容積、透明性、柔軟性、なじみやすさ、回復力、クリープ、強度、弾性率、伸び率、耐化学薬品性、耐熱性、耐環境性および圧縮性を含む)に基づいて選択する。
【0050】
ポリマーブレンドの連続相または分散相として、多数の材料を使用できる。連続相は、1種または複数種のモノマー、オリゴマー、またはポリマーで構成されていてよい。有用な有機連続相の例としては、天然ゴムおよび合成ゴム系樹脂があり、それには熱硬化性ゴムならびに熱可塑性ゴムおよびエラストマーが含まれ、その中には、例えば、ニトリルゴム(例えば、アクリロニトリル−ブタジエン)、ポリイソプレンゴム、ポリクロロプレンゴム、ポリブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレン−ジエンモノマーゴム(EPDM)、サントプレン(Santoprene(登録商標))、ポリプロピレン−EPDMエラストマー、エチレン−プロピレンゴム、スチレン−ブタジエンコポリマー、スチレン−イソプレンコポリマー、スチレン−ブタジエン−スチレンゴム、スチレン−イソプレン−スチレンゴム、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンゴム、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンゴム、ポリイソブチレンゴム、エチレン酢酸ビニルゴム、シリコーンゴム(例えば、ポリシロキサンを含む)、メタクリレートゴム、ポリアクリレートゴム(例えば、イソオクチルアクリレートとアクリル酸のコポリマーを含む)、ポリエステル、ポリエーテルエステル、ポリビニルエーテル、ポリウレタンおよびそれらのブレンドおよび組合わせ(例えば、それらの線状、放射状(radial)、星形およびテーパー(tapered)のブロックコポリマーを含む)が含まれる。
【0051】
その他の有用なエラストマーとしては、例えば、フルオロエラストマー(例えば、ポリトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレンおよびフッ素化エチレン−プロピレンコポリマーを含む)、フルオロシリコーンおよびクロロエラストマー(chloroelastomers)(例えば、塩素化ポリエチレンを含む)、およびそれらの組合わせがある。
【0052】
有用な熱可塑性樹脂の例としては、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、スチレン−アクリロニトリル、セルロース、塩素化ポリエーテル、エチレン酢酸ビニル、フルオロカーボン(例えば、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレン−プロピレンおよびポリフッ化ビニリデンがある)、ポリアミド(例えば、ポリカプロラクタム、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリヘキサメチレンセバカミド、ポリウンデカノアミド(polyundecanoamide)、ポリラウロアミド(polylauroamide)およびポリアクリルアミドがある)、ポリイミド(例えば、ポリエーテルイミドがある)、ポリカーボネート、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンおよびポリ−4−メチルペンテンがある)、ポリアルキレンテレフタレート(例えば、ポリエチレンテレフタレートがある)、ポリアルキレンオキシド(例えば、ポリフェニレンオキシドがある)、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリイソシアヌレート、ビニルポリマー(例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポリ塩化ビニリデンおよびそれらの組合わせがある。
【0053】
有用な熱硬化性樹脂としては、例えば、ポリエステルやポリウレタンおよびそれらのハイブリッドおよびコポリマー(例えば、アクリル化ウレタン樹脂およびアクリル化ポリエステルを含む)、アミノ樹脂(例えば、アミノプラスト樹脂)(例えば、アルキル化ウレア−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂を含む)、アクリル樹脂(例えば、アクリル酸およびメタクリル酸樹脂)、アクリル酸ビニル樹脂(vinyl acrylates)、アクリル化エポキシ樹脂、アクリル化ウレタン樹脂、アクリル化ポリエステル樹脂、アクリル化アクリル酸樹脂(acrylated acrylics)、アクリル化ポリエーテル、ビニルエーテル樹脂(vinyl ethers)、アクリル化油およびアクリル化シリコーン、アルキド樹脂(ウレタンアルキド樹脂を含む)、ポリエステル樹脂、反応性ウレタン樹脂、フェノール樹脂(例えば、レゾール樹脂、ノボラック樹脂およびフェノール−ホルムアルデヒド樹脂を含む)、フェノール/ラテックス樹脂、エポキシ樹脂(例えば、ビスフェノールエポキシ樹脂、脂肪族および脂環式のエポキシ樹脂、エポキシ/ウレタン樹脂、エポキシ/アクリレート樹脂およびエポキシ/シリコーン樹脂を含む)、イソシアネート樹脂、イソシアヌレート樹脂、ポリシロキサン樹脂(アルキルアルコキシシラン樹脂を含む)、反応性ビニル樹脂およびそれらの混合物がある。
【0054】
連続相は、例えば、感圧接着剤組成物、ホットメルト接着剤組成物、熱硬化性接着剤組成物および熱可塑性接着剤組成物を含め、接着剤組成物となるようなものを選択できる。連続相は、例えば、溶剤塗布可能、ホットメルト塗布可能、放射線硬化性(電子ビーム、化学線(例えば、可視およびUVを含む)、および熱)、水性エマルジョン型の接着剤およびそれらの組合わせを含め、任意の感圧接着剤組成物を含んでいてよい。好適な感圧接着剤組成物としては、例えば、粘着性ゴム接着剤(例えば、天然ゴム)、オレフィン類、シリコーン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリウレタン、スチレン−イソプレン−スチレンおよびスチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーおよび他のエラストマー、ならびにイソオクチルアクリレートとアクリル酸のコポリマーを含む粘着性および非粘着性アクリル接着剤組成物がある。
【0055】
アクリレート感圧接着剤は当該技術分野において周知である。それらの接着剤の多くは、アクリル酸のアルキルエステルと(任意選択的に)少量部分のコモノマーのコポリマーである。有用なアクリル酸エステルとしては、1個〜20個の炭素原子を有する一価アルコールのアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルがあり、それには例えば、イソオクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソノニルアクリレート、イソデシルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、ヘキシルアクリレート、アクリル酸ブチル、およびオクタデシルアクリレートおよびそれらの組合わせがある。アクリレートをベースにした接着剤組成物のその他の有用なモノマーとしては、エチレン系不飽和モノマーがあり、それには例えば、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、N−オクチルアクリルアミド、t−アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルおよびプロピルメタクリレートおよびそれらの組合わせが含まれる。その他の有用なエチレン系不飽和モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、置換アクリルアミド(例えば、N,N−ジメチルアクリルアミドを含む)、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アクリロニトリル、テトラヒドロフルフリルアクリレート、グリシジルアクリレート、2−フェノキシアクリル酸エチルおよびアクリル酸ベンジル、およびそれらの組合わせがある。
【0056】
連続相は、例えば、開始剤、硬化剤、硬化促進剤、触媒、架橋剤、粘着付与剤、可塑剤、染料、難燃剤、カップリング剤、顔料、耐衝撃性改良剤、流れ調整剤、起泡剤、充填剤、ガラスおよびポリマーの微小球および微粒子、その他の粒子(導電性粒子、熱伝導性粒子を含む)、繊維、帯電防止剤、酸化防止剤および紫外線吸収剤を含め、その他の成分を含んでいてもよい。
【0057】
連続相がモノマーを含む場合、重合は、化学的に開始または照射によって開始することができる従来のさまざまなラジカル重合法で成し遂げることができ、それには、例えば、溶媒重合、乳化重合、懸濁重合、塊状重合および放射線重合(例えば、化学線(例えば、可視光線、紫外線、電子線照射およびそれらの組合わせを含む)を用いた方法を含む)がある。
【0058】
有用なラジカル開始剤としては、熱開始剤および光活性開始剤がある。使用する開始剤の種類は重合方法によって異なる。光開始剤の例としては、ベンゾインエーテル(ベンゾインメチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテルなど)、置換ベンゾインエーテル(アニソインメチルエーテルなど)、置換アセトフェノン(2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンなど)、および置換α−ケトール(2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノンなど)がある。
【0059】
連続相は、コポリマーの光開始剤(例えば、2−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロペノイル)フェノキシ]エチル−2−メチル−2−N−プロペノイルアミノプロパノエイトがある)および重合性光開始剤(チバガイギー(Ciba−Geigy)から商品名「ダロキュア(DAROCUR)ZLJ 3331」で入手可能)、および光酸発生開始剤(例えば、ジアリールヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート(diaryliodoniumhexafluoroantimonate)(ペンシルバニア州エクストンのサートマー(Sartomer(Exton、Pa.))から商品名「サーキャット(SarCat)CD−1012」で入手可能)およびトリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート(triarylsulfonium hexafluorophosphate)(商品名「サーキャット(SarCat)CD−1011」(サートマー(Sartomer))で入手可能)がある)も含んでいてよい。
【0060】
好適な熱開始剤の例としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ジベンゾイル、ジラウリルペルオキシド(dilauryl peroxide)、シクロヘキサンペルオキシド(cyclohexane peroxide)、メチルエチルケトンペルオキシド、ヒドロペルオキシド(例えば、ブチルヒドロペルオキシドおよびクメンヒドロペルオキシドがある)、ジシクロヘキシルペルオキシジカーボネート(dicyclohexyl peroxydicarbonate)、t−ブチルペルベンゾエートなどの過酸化物、およびアゾ化合物(例えば、2,2,−アゾ−ビス(イソブチロニトリル)(AIBN))およびそれらの組合わせがある。市販の熱開始剤の例としては、デラウェア州ウィルミントンのデュポン・スペシャルティー・ケミカル(DuPont Specialty Chemical(Wilmington,Del.))から「バゾ(VAZO)」という商品名で入手可能な開始剤(バゾ(VAZO)64(2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル))、バゾ(VAZO)52、バゾ(VAZO)65およびバゾ(VAZO)68がある)、ならびにペンシルバニア州フィラデルフィアのエルフ・アトケム・ノース・アメリカ(Elf Atochem North America、(Philadelphia,Pa.))から「ルシドール(Lucidol)」という商品名で入手可能な熱開始剤およびコネチカット州ミドルベリのユニロイヤル・ケミカル社(Uniroyal Chemical Co.(Middlebury,Conn.))から「セロゲン(Celogen)」という商品名で入手可能な開始剤がある。
【0061】
開始剤は、組成物中に存在するモノマーの重合を促進するのに有効な量だけ使用し、その量は、例えば、開始剤の種類、開始剤の分子量、得られる接着剤組成物の目的用途および重合プロセス(例えば、プロセスの温度を含む)によって異なることになる。
【0062】
組成物を架橋して、組成物の性質を変更することができる。架橋は、架橋剤を用いるかどうかにかかわらず、γ線または電子線照射などの高エネルギー照射を用いて達成できる。架橋剤または架橋剤の組合わせを重合性モノマーの混合物に添加して、架橋を促進させることができる。
【0063】
有用な放射線硬化架橋剤としては、米国特許第4,379,201号明細書(ハイルマン(Heilmann)ら)(その全体を本明細書に援用する)に開示されているような多官能価のアクリレート(それには、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、1,2−エチレングリコールジアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、1,12−ドデカノールジアクリレート、およびそれらの組合わせがある)、ならびに米国特許第4,737,559号明細書(ケレン(Kellen)ら)(その開示内容全体を本明細書に援用する)に開示されているような共重合性芳香族ケトンコモノマーがある。好適な紫外線源としては、例えば、中圧水銀ランプおよび紫外線ブラックライトがある。
【0064】
重合性モノマー組成物は、連鎖移動剤を含んでいてもよい。連鎖移動剤は、重合の前にモノマー混合物に可溶性であることが好ましい。好適な連鎖移動剤の例としては、トリエチルシランおよびメルカプタンがある。
【0065】
ポリマー組成物の成分は、さまざまな用途に適した材料が得られるようなものを選択できる。代表的な例としては、接着剤、自動車工業における用途(例えば、自動車ボディーのモールディングがある)、建設工業における用途(これには例えば、構造部材(例えば、同じサイズの材木、成形化粧縁、柱、梁および成形構造部材がある)、軽量セラミック(例えば、プレキャストおよび現場打ち建設材料(例えば、セメント状用材や石膏材(ブロック、ボード、パネル、ルーフデッキおよびフローリングなど)がある)が含まれる)、さらに埋立カバー、臭いバリヤー、およびダストカバーがある。
【0066】
ここで本発明を以下の実施例によりさらに説明する。実施例中に記載する部、比率、パーセントおよび量はすべて、特に指定がない限り、質量に基づいている。
【実施例】
【0067】
疎水性に改質されたナノ粒子の合成
250gのナルコ(Nalco)2326(5nmの多孔質シリカ粒子)を、機械式撹拌器および還流冷却器を備えた三つ口丸底フラスコ中に入れる。シリカ溶液を撹拌しながら、イソオクチルトリメトキシシラン(ペンシルバニア州タリータウンのゲレスト(Gelest,Tullytown,PA))15.36gと1−メトキシ−2−プロパノール(ウィスコンシン州ミルウォーキーのシグマアルドリッチ(Sigma−Aldrich,Milwaukee,WI))281.25gの溶液を添加する。この混合物を16時間にわたり80℃で加熱する。この反応を冷やし、ベント式オーブンにおいて150℃で乾燥させて改質粒子を回収する。
【0068】
押出し装置
TDXパウチ中で部分的に重合させられたアクリル系接着剤配合物(93/7/0.02のイソオクチルアクリレート/アクリル酸/イルガキュア(Irgacure)651)を、96%のクラトン(Kraton)RP6240と一緒におおよそ65/35(質量基準)の比率で押し出した。アクリレートが連続相である。
【0069】
上述の粒子を使用して、また使用せずに連続実験を実施した。粒子を押出機の最後の直前にある受口に入れて、1質量%で実施した。最終製品である接着剤を目視比較すると、粒子を含んだブレンドの表面のほうが滑らかだった。図1および2は、2つの系の顕微鏡写真である。図1の顕微鏡写真は、ナノ粒子なしで作られたポリマーブレンドを示しており、図2の顕微鏡写真は、ナノ粒子と一緒に作られたポリマーブレンドを示している。
【0070】
顕微鏡写真の黒い領域はアクリレートポリマーであり、灰色の領域はクラトン(Kraton)である。顕微鏡写真から分かるように、クラトン(Kraton)領域の平均サイズは小さくなっており、領域の数が増加している。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】表面処理粒子を含まない押し出しポリマーブレンドのSEMである。
【図2】1質量%の表面処理粒子を含んだ押し出しポリマーブレンドのSEMである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のポリマー、モノマーまたはオリゴマー、および複数の表面改質ナノ粒子を含む連続相であって、前記ナノ粒子が約100ナノメートル未満の粒径を有していて、前記連続ポリマー相中に分散している連続相と、
少なくとも1種のポリマー、モノマーまたはオリゴマーを含む分散相と
を含むポリマーブレンドであって、前記連続ポリマー相と前記分散ポリマー相とが不混和性である、ポリマーブレンド。
【請求項2】
前記連続相と前記分散相とが混和性である、請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項3】
前記ブレンドが相溶化試剤を含まない、請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項4】
前記ブレンドが少なくとも1種の相溶化試剤を含む、請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項5】
前記ナノ粒子が凝集していない、請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項6】
前記ナノ粒子が約20ナノメートル未満の粒径を有する、請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項7】
前記ナノ粒子が、シリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニア、バナジア、セリア、酸化鉄、酸化アンチモン、酸化スズ、アルミニウム/シリカ、およびそれらの組合わせからなる群から選択される、請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項8】
前記ナノ粒子が、疎水基、親水基およびそれらの組合わせからなる群から選択される表面基を含む、請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項9】
前記ナノ粒子が、シラン、有機酸、有機塩基、およびそれらの組合わせからなる群から選択される試剤に由来する表面基を含む、請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項10】
前記ナノ粒子が、アルキルシラン、アリールシラン、アルコキシシラン、およびそれらの組合わせからなる群から選択される試剤に由来するオルガノシリル表面基を含む、請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項11】
前記ナノ粒子が、カルボン酸、スルホン酸、燐酸およびそれらの組合わせからなる群から選択される試剤に由来する表面基を含む、請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項12】
前記ナノ粒子が前記ブレンドの少なくとも約0.1乾燥質量%を構成している、請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項13】
前記ナノ粒子が前記ブレンドの約0.1乾燥質量%〜約1乾燥質量%を構成している、請求項12に記載のポリマーブレンド。
【請求項14】
前記ナノ粒子が、前記連続相と同様の溶解パラメーターを有する表面基を含む、請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項15】
少なくとも1種のポリマー、モノマーまたはオリゴマーを含む連続相を提供することと、
直径が約100nm未満の複数の表面改質ナノ粒子を前記連続相に入れてブレンドすることと、
分散相を前記ナノ粒子含有連続相に入れてブレンドすることとを含むポリマーブレンドの製造方法であって、前記連続相と前記分散ポリマー相とが不混和性である、ポリマーブレンドの製造方法。
【請求項16】
前記連続相と前記分散相とが混和性である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ポリマーブレンドが相溶化試剤を含まない、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記ポリマーブレンドが少なくとも約0.1%の表面改質ナノ粒子を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記ポリマーブレンドが約30%以下の表面改質ナノ粒子を含む、請求項18に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−527087(P2008−527087A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−549538(P2007−549538)
【出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【国際出願番号】PCT/US2005/046987
【国際公開番号】WO2006/083431
【国際公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】