説明

表面改質ナノ粒子を含む無機顔料組成物及び製造方法

表面改質ナノ粒子を含む無機顔料組成物が、当該組成物の製造方法とともに述べられる。当該組成物は、顔料の着色力を維持又は強化しながら、顔料を含まない増量剤によるかなりの程度の無機顔料の希釈を可能にすることができる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
無機顔料は数世紀にわたって知られており、ペイント、コーティング、セラミックス及び粘土物品、成型されたプラスチック樹脂などの、色の強化に用途を見いだしてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
表面改質ナノ粒子を含む無機顔料組成物が、当該組成物の製造方法とともに述べられる。当該組成物は、顔料の着色力を維持又は強化しながら、顔料を含まない増量剤によるかなりの程度の無機顔料の希釈を可能にすることができる。
【課題を解決するための手段】
【0003】
1つの態様においては、ナノ粒子により強化された無機顔料組成物の調製方法であって、複数の無機顔料粒子を提供する工程と、複数の表面改質ナノ粒子が、少なくとも幾つかの無機顔料粒子の表面の少なくとも一部の上に少なくとも単層を形成するように、複数の無機顔料粒子を複数の表面改質ナノ粒子と混合する工程とを含む方法が、本明細書に開示される。
【0004】
他の態様においては、ナノ粒子により強化された無機顔料組成物であって、複数の無機顔料粒子と、少なくとも幾つかの無機顔料粒子の表面の少なくとも一部の上に少なくとも単層を形成する、複数の表面改質ナノ粒子とを含む組成物が、本明細書に開示される。
【発明を実施するための形態】
【0005】
表面改質ナノ粒子を含む無機顔料組成物が、当該組成物の製造方法とともに、本明細書に述べられる。本明細書において使用するとき、用語無機顔料は、顔料が中に存在する組成物に相当な色又は色相を付与するために使用することができる、任意の無機粒子状材料を意味する。この文脈で、本明細書において顔料は、白以外の色を主に付与する(例えば、黄、オレンジ、赤、緑、青、紫、黒などの色を付与し得る)物質と定義され、主に白色を付与する物質(例えば、酸化亜鉛、二酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウムなどの物質)は含まない。多数の天然由来の、及び合成的に製造された無機着色顔料が公知であり、それらの固有の化学名及び/又はそれらの慣用名で知られていることがある。無機顔料の例として、フェロシアン化第二鉄(一般に紺青として知られている)、亜鉛フェライト、酸化クロム、クロムイエロー、ジンクイエロー、カドミウムイエロー、鉄黄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ローアンバー、ローシェンナ、クロムオレンジ、モリブデンオレンジ、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウムパーマネントレッド4R、硫化カドミウム、セレン化カドミウム、マンガンバイオレット、コバルト青、スズ酸コバルト、コバルト亜硝酸カリウム、カルシウム銅ケイ酸塩、アセト亜ヒ酸銅、亜砒酸銅、バリウム銅ケイ酸塩、クロム酸鉛、酸化鉛、クロムグリーン、酸化クロム、酸化鉄イエロー、酸化鉄レッド、硫化ヒ素、硫化亜鉛、硫化スズなどが、挙げられる。この文脈において、用語無機顔料は、炭素、例えばフェロシアン化第二鉄により例示されるような、シアノ基に存在する炭素を含む幾つかの顔料を包含するが、一方アゾ化合物などに基づく顔料などの有機顔料は除外する。当業者は、多くの他の無機顔料も好適であると認識する。このような無機顔料は、例えば、National Printing Ink Research Instituteにより出版されたNPIRI Raw Material Data Handbook,Volume 4−Pigmentsの中の、無機として「Chemical Type」に記載された顔料から選ぶことができる。これらの無機顔料の任意の又はすべての組み合わせを使用することができる。
【0006】
本明細書に開示された方法及び組成物は、任意の色合いの任意の顔料において、利益を得るために使用することができる。しかし、結果は、比較的濃い色の顔料(例えば、青、紫など)に関して、最も顕著である。
【0007】
本明細書において使用するとき、用語「ナノ粒子」は、100ナノメートル未満の平均一次粒子サイズであり、かつ簡単に解凝集して上述のサイズの一次粒子を提供できない凝集した形態で一次粒子が存在しない、粒子を意味する。「平均一次粒子サイズ」は、複数の個々(凝集していない)の粒子の測定から得られる平均直径を言う。ナノ粒子サイズの測定は、例えば、透過電子顕微鏡法により行うことができる。形状が実質的に球形から逸脱しているナノ粒子の場合には、当業者は、粒子サイズは有効粒子サイズ(実際の粒子と同じ体積の球の)を指すと認識する。幾つかの実施形態においては、ナノ粒子は約40ナノメートル、約20ナノメートル、又は約10ナノメートル未満の平均粒子サイズを有する。更なる実施形態においては、ナノ粒子は、少なくとも1、2、又は3ナノメートルの平均一次又は凝集粒子サイズ直径を有する。
【0008】
この文脈においては、本明細書に定義される「ナノ粒子」は、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、沈殿シリカなどの材料と区別される。このようなシリカ材料は、100nmを超える平均サイズ(例えば、典型的に少なくとも200ナノメートル)を有する凝集体の形態に本質的に不可逆的に互いに結合しており、かつこれから簡単に個々の一次粒子を取りだすことは可能ではない一次粒子からなると、当業者に知られている。
【0009】
幾つかの実施形態においては、本明細書に使用されるナノ粒子は無機ナノ粒子である。すなわち、ある(例えば架橋した)有機材料は、望むならば、使用に十分な硬さと耐久性を有し得るが、幾つかの実施形態においてはナノ粒子は無機材料からなる。ナノ粒子の形態で入手可能であり得る例示的な無機材料としては、例えば、金属リン酸塩、スルホン酸塩、及び炭酸塩(例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト)、酸化物、例えば、金属酸化物(例えば、ジルコニア、チタニア、シリカ、セリア、アルミナ、酸化鉄、バナジア、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化スズ、及びアルミナシリカ)、並びに金属(例えば、金、銀、又は他の貴金属)が、挙げられる。ナノ粒子、例えば、シリカナノ粒子は、商業的供給源、例えば、Nalco Co,Napervillle,ILから入手することができる。ナノ粒子は、当該技術分野において公知の技術を使用することにより製造することもできる。例えば、ジルコニアナノ粒子は、例えばPCT出願米国第2008/087385号に記述された水熱技術を使用して、調製することができる。
【0010】
幾つかの実施形態においては、ナノ粒子はコロイド分散の形態として入手することができる。例えば、コロイド状シリカ分散は、Nalco Co.から商品名「NALCO 1040」、「NALCO 1050」、「NALCO 1060」、「NALCO 2326」、「NALCO 2327」及び「NALCO 2329」として入手できる。ジルコニアナノ粒子分散は、Nalco Chemical Co.から、商品名「NALCO OOSSOO8」として、Buhler AG Uzwil,Switzerlandから商品名「Buhler zirconia Z−WO」として、入手できる。幾つかのコロイド分散は、特別な用途のために望ましい場合には、乾燥ナノ粒子を提供するために乾燥することができる。
【0011】
ナノ粒子は、完全に凝縮し得る。完全凝縮ナノ粒子(シリカを例外として)は、典型的には、55%を超える、好ましくは60%を超える、より好ましくは70%を超える結晶化度(単離金属酸化物粒子として測定した場合)を有する。例えば、結晶化度は、約86%又はそれ以上までの範囲にあげることができる。結晶化度は、X線回折法により測定することができる。凝縮結晶性(例えばジルコニア)ナノ粒子は屈折率が高く、非晶質ナノ粒子は典型的には屈折率がより低い。
【0012】
幾つかの実施形態においては、ナノ粒子は、少なくとも幾らかの有機(例えば炭化水素)基をその表面に含むように、表面改質されている。一般的に、表面改質剤はナノ粒子表面に付着する(共有結合的、イオン的、又は強い物理吸着による)第1の末端、及び永久相互融合などの凝集に抵抗するナノ粒子の能力を高める第2の(例えば有機)末端を有する。表面改質を加えることにより、ナノ粒子の他の材料との相溶性も改善することができる。例えば、オルガノシラン有機基などの有機末端基は、重合可能な熱可塑性樹脂などの有機マトリックス材料との、ナノ粒子の相溶性を改善することができる。表面改質ナノ粒子は一般的に無機表面よりも有機表面を構成するにもかかわらず、本明細書に開示されるように、ナノ粒子により強化された無機顔料が強化された着色力を示すように有機基で改質されたナノ粒子を無機顔料に加えることができることが、驚くべきことに見いだされた。
【0013】
表面改質(処理)剤の例としては、アルコール、アミン、カルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸、シラン、及びチタネートが挙げられる。処理剤の好ましい種類は、部分的に、ナノ粒子(例えば金属酸化物)表面の化学的性質により決定される。シランがシリカ及びその他のシリカ系充填剤に対して好ましいことがある。ジルコニアのような金属酸化物に対しては、シラン及びカルボン酸が好ましいことがある。
【0014】
例示的なシランとしては、限定はされないが、n−オクチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、イソオクチルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、及びヘキシルトリメトキシシランなどのアルキルトリアルコキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、及び3−(メタクリルオキシ)プロピルトリエトキシシランなどのメタクリルオキシアルキルトリアルコキシシラン又はアクリルオキシアルキルトリアルコキシシラン、3−(メタクリルオキシ)プロピルメチルジメトキシシラン、及び3−(アクリルオキシプロピル)メチルジメトキシシランなどのメタクリルオキシアルキルアルキルジアルコキシシラン又はアクリルオキシアルキルアルキルジアルコキシシラン、3−(メタクリルオキシ)プロピルジメチルエトキシシランなどのメタクリルオキシアルキルジアルキルアルコキシシラン又はアクリルオキシアルキルジアルキルアルコキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプトアルキルトリアルコキシルシラン、スチリルエチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、及びp−トリルトリエトキシシランなどのアリールトリアルコキシシラン、ビニルメチルジアセトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリ−t−ブトキシシラン、ビニルトリス(イソブトキシ)シラン、ビニルトリイソプロペノキシシラン、及びビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シランなどのビニルシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどの3−グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)メトキシエトキシエトキシエチルカーバメート(PEG3TES)、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)メトキシエトキシエトキシエチルカーバメート(PEG2TES)、及びSILQUEST A−1230などのポリエーテルシラン、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0015】
幾つかの実施形態においては、表面改質剤は、(例えばジルコニアを含有する)ナノ粒子に極性の特性を与え得る、カルボン酸及び/又はそのアニオンである。
【0016】
例えば、表面改質剤は揮発性の酸、すなわち、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸及びこれらの混合物などの6個以下の炭素原子を有するモノカルボン酸を含んでよい。これらのうち、酢酸は有機成分と非反応性であり、これに対してアクリル酸及びメタクリル酸は、これらの酸の(メタ)アクリレート基が有機成分のモノマーの(メタ)アクリレート基と共重合できることから、反応性揮発性樹脂である。
【0017】
他の例としては、表面改質剤はポリアルキレンオキシド基を含む、カルボン酸及び/又はそのアニオンであってもよい。幾つかの実施形態においては、カルボン酸表面改質剤は以下の化学式のものである。
【0018】
C−[O−(CH−Q−COOH
【0019】
この化学式中、Qは2価の有機連結基、xは1〜10の範囲の整数、及びyは1〜4の範囲の整数である。Q基は、多くの場合、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン、オキシ、チオ、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、又はこれらの組み合わせである。この化学式の代表的な例として、限定はされないが、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸(MEEAA)及び2−(2−メトキシエトキシ)酢酸(MEAA)が挙げられる。他の代表的な例は、脂肪族又は芳香族無水物とポリアルキレンオキシドモノエーテルとの反応生成物であり、コハク酸モノ−[2−(2−メトキシ−エトキシ)−エチル]エステル、マレイン酸モノ−[2−(2−メトキシ−エトキシ)−エチル]エステル、及びグルタル酸モノ−[2−(2−メトキシ−エトキシ)−エチル]エステルなどである。
【0020】
更に他のカルボン酸表面改質剤は、無水フタル酸と水酸基を有する有機化合物との反応生成物である。適切な例としては、例えば、フタル酸モノ−(2−フェニルスルファニル−エチル)エステル、フタル酸モノ−(2−フェノキシ−エチル)エステル、又はフタル酸モノ−[2−(2−メトキシ−エトキシ)−エチル]エステルが挙げられる。幾つかの実施例においては、水酸基を有する有機化合物は、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、又はヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートである。例としては、限定はされないが、コハク酸モノ−(2−アクリロイルオキシ−エチル)エステル、マレイン酸モノ−(2−アクリロイルオキシ−エチル)エステル、グルタル酸モノ−(2−アクリロイルオキシ−エチル)エステル、フタル酸モノ−(2−アクリロイルオキシ−エチル)エステル、及びフタル酸モノ−(2−アクリロイル−ブチル)エステルが挙げられる。更に他のものとしては、モノ−(メタ)アクリルオキシポリエチレングリコールコハク酸エステル、並びに無水マレイン酸、無水グルタル酸、及び無水フタル酸から形成されるその同族体が挙げられる。他の実施例においては、表面改質剤は、ポリカプロラクトン及び無水コハク酸の反応生成物である。
【0021】
幾つかの実施形態においては、表面改質剤は1つ以上の結合基(これにより剤はナノ粒子の表面に共有結合により結合することができる)及び1つ以上の炭化水素基(例えば、アルキル、フェニルなど)を含有する。このような基は、ナノ粒子に一般的に非極性の有機的特性を付与することができる。このような表面改質剤の例として、例えば、イソオクチルトリメトキシシラン及びメチルトリメトキシシランが挙げられる。
【0022】
参照により本明細書に援用される国際公開第2007/019229号に記載されたような、さまざまな他の表面処理が当該技術分野において既知である。
【0023】
表面改質を行うために、典型的には、ナノ粒子は表面改質剤と、例えば、ナノ粒子を分散若しくは懸濁及び/又は表面改質剤を分散、懸濁、若しくは溶解し得る液体中で、組み合わされる。使用される表面改質剤の量は、ナノ粒子のサイズ、ナノ粒子の種類、表面改質剤の分子量、及び改質剤の種類などの、幾つかの要因に依存する。一般的には、改質剤のほぼ単層をナノ粒子の表面に付着させることが好まれることがある。付着方法又は反応条件もまた、使用する表面改質剤に依存する。シランの場合、酸性又は塩基性の条件において、高温で約1〜24時間表面処理することが好ましい。カルボン酸のような表面処理剤は、高温又は長時間を必要としない場合がある。
【0024】
例えば、コロイド分散中のナノ粒子の表面改質は、さまざまな方法により実現できる。プロセスは、無機分散を1つ以上の表面改質剤と混合することを含んでよい。任意に、例えば、1−メトキシ−2−プロパノール、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリジノン、及びこれらの混合物などの共溶媒を添加できる。共溶媒は、表面改質剤の溶解性のみならず、表面改質ナノ粒子の分散性も強化し得る。コロイド分散及び表面改質剤を含む混合物を、その後、室温又は高温で、混合しながら又は混合せずに、反応させてよい。
【0025】
表面改質ナノ粒子の方法は、更に詳細に、例えば、米国特許第6,586,483号、及び表題が「Method of Milling Particles with Nanoparticles and Milled Free−flowing Powder」である米国特許出願番号第61/220698号に記述されており、これは本明細書にこの目的のために参照によりその全体を援用する。
【0026】
さまざまな実施形態において、上述の表面改質の結果である表面改質ナノ粒子は、乾燥粒子、又は液体中の懸濁若しくは分散系として提供され得る。いかなる形態で得られようとも、本明細書に開示したように、ナノ粒子により強化された無機顔料組成物を形成するために、これらは無機顔料と組み合わされ得る。
【0027】
幾つかの実施形態においては、表面改質ナノ粒子は無機顔料粒子と湿式ブレンドにより組み合わされてよい。この方法においては、表面改質ナノ粒子及び無機顔料粒子は、液体又は液体混合物の中で組み合わされてよい。使用され得る典型的な液体としては、例えば、トルエン、イソプロパノール、ヘプタン、ヘキサン、オクタン、及び/又は水が挙げられる。表面改質ナノ粒子及び無機顔料粒子を含む液体は、当業者によく知られている装置により撹拌、かき混ぜなどされてよい。所望の場合には、乾燥形態のナノ粒子により強化された無機顔料組成物を提供するために、組み合わせが完了した後で液体を(例えば、濾過、蒸発、凍結乾燥などにより)取り除いてもよい。又は、特に、ナノ粒子により強化された無機顔料組成物を含めることが望ましい特定のビヒクルに液体が相溶性を有する場合には、液体を除去するのではなく残存させておくことができる。
【0028】
さまざまな実施形態において、表面改質ナノ粒子は、無機顔料粒子に対して、少なくとも4wt%未満、2w%未満、又は1w%未満存在してよい。追加の実施形態においては、表面改質ナノ粒子は、無機顔料粒子に対して、少なくとも0.2wt%、少なくとも0.4wt%、又は少なくとも0.6wt%存在してよい。
【0029】
どのように達成されようとも、多少の又はすべての無機顔料粒子に表面改質ナノ粒子が、無機顔料粒子の外側表面の近傍、及び/又は、外側表面に結びついて、与えられることが最適であろう。幾つかの実施形態においては、表面改質ナノ粒子は、少なくとも幾つかの無機顔料ナノ粒子の表面の少なくとも一部の上に、少なくとも表面単層を形成するように分布する。もし表面改質ナノ粒子が顔料も含む組成物中に存在したとしても、本明細書に開示した方法を使用しなければこのような分布は起きないことが、当業者は分かるであろう。さまざまな実施形態においては、表面改質ナノ粒子は顔料粒子に結合(例えば、共有結合)してよい。他の実施形態において、表面改質ナノ粒子は顔料粒子に共有結合していなくてもよい。
【0030】
ナノ粒子により強化された無機顔料組成物は、表面改質ナノ粒子を含まない無機顔料に比べて、有利な色付与特性を提供し得ることが見いだされた。理論又はメカニズムに制限されるものではないが、表面改質ナノ粒子は、顔料粒子の凝集をより効果的に解凝集し非凝集顔料粒子にすることを助け、顔料粒子をより効果的に増量剤粒子中に分散することを助け、及び/又は顔料粒子を有機ビヒクル中により効果的に分散することを助け得ることがある。ナノ粒子により強化された無機顔料組成物を観察することにより、このような効果が見えることがある。このような効果は、同様に、又はそれよりはむしろ、ナノ粒子により強化された無機顔料組成物を増量剤と組み合わせることで、表1、2、及び3に明示するように、見えることがある。例えば、このような効果は、例えば、表2の実施例2−3と実施例2−1との比較により理解され得るように、増量剤に対して非常に少量の顔料でも同程度の色特性の達成を可能とすることができる。又は、このような効果は、例えば、表2の実施例2−2と実施例2−1との比較により理解され得るように、増量剤に対して与えられた量の顔料で、例えば、より鮮やかな色特性の達成を可能とすることができる。このような効果は、同様に、又はそれよりはむしろ、ナノ粒子により強化された無機顔料組成物をビヒクル(例えば、ペイントなど)に含めることで、実施例5に明示するように、見えることがある。
【0031】
表面改質ナノ粒子が通常有機表面基を含有することがあっても、表面改質ナノ粒子が無機顔料の色付与特性において上述の強化を提供できることを、更にそして驚くべきことに、見いだした。有機表面基を通常含むように表面改質されたナノ粒子が、実施例6に明示されているように、有機顔料の色付与特性に同様の強化を達成することが見いだされていない事実を考慮すると、これらの結果は特別な驚きである。
【0032】
無機顔料粒子が、本明細書に開示したようにナノ粒子と組み合わされた場合、ナノ粒子を含まない無機顔料粒子と比較して、流動特性にいかなる改善も示さない場合でも、またより劣った流動特性(例えば、塊になる又は凝集する傾向の増加)を示す場合でさえも、視覚及び/又は光学特性における上述の強化が存在し得ることが、更に、驚くべきことに、見いだされた。このような流動特性の改善が、顔料分散及びその結果としての顔料の色付与特性強化のいかなる改善にも関係するか、又は、事実上、その原因であると考えられてきたので、これは驚きである。
【0033】
本明細書に開示されたナノ粒子により強化された顔料組成物は、増量剤と組み合わせて使用された場合、特に有利に使用され得る。この文脈において、用語増量剤は、顕著な(非白)色又は色相を付与しない、任意の無機粒子状添加物を意味するために使用される。このように、この文脈においては、用語増量剤は、ときには顔料と呼ばれる、二酸化チタン、硫酸バリウムなどの(白い)材料などを包含する。本出願において増量剤として機能し得る材料は、それ故、任意の白色、透明、半透明などの無機充填剤から選択され得る。好適な増量剤としては、例えば、ケイ酸塩及び/又はアルミノケイ酸塩(例えば、タルク、粘土、雲母、及び絹雲母)、炭酸カルシウム、霞石(例えば、商品名「MINEX」として、Unimin Corp,New Canaan,CTから入手可能)、長石、ウォラストナイト、カオリナイトなどの、よく知られた任意の無機充填剤などを挙げ得る。好適な増量剤として、更に、例えば、二酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、リン酸二カルシウム、ケイソウ土などを挙げ得る。
【0034】
好適な増量剤として、更に、例えば、ガラスバブル及び/又はセラミックス微粒子(例えば、ビーズ、微小球など)を挙げ得る。代表的なセラミックスとしては、アルミン酸塩、チタン酸塩、ジルコン酸塩、ケイ酸塩、ドープされた型(例えば、ランタニド及びアクチニド)が挙げられる。セラミックス微粒子は、当該技術分野において既知の技術を使用して製造でき、及び/又は市販されている。市販されているガラスバブルの例としては、3M Company,St.Paul,Minnesotaから表記「3M SCOTCHLITE GLASS BUBBLES」として販売されているもの(例えば、等級K1、K15、S15、S22、K20、K25、S32、K37、S38、K46、S60/10000、S60HS、A16/500、A20/1000、A20/1000、A20/1000、A20/1000、H50/10000 EPX、及びH50/10000(酸洗浄したもの));Potter Industries,Valley Forge,Pennsylvaniaから商品名「SPHERICEL」(例えば、等級110P8及び60P18)、「LUXSIL」及び「Q−CEL」(例えば、等級30、6014、6019、6028、6036、6042、6048、5019、5023、及び5028)として販売されているガラスバブル;Grefco Minerals,Bala Cynwyd,Pennsylvaniaから商品名「DICAPERL」として販売されている中空ガラス微小球(例えば、等級HP−820、HP−720、HP−520、HP−220、HP−120、HP−900、HP−920、CS−10−400、CS−10−200、CS−10−125、CSM−10−300、及びCSM−10−150);並びにSilbrico Corp.,Hodgkins,Illinoisから商品名「SIL−CELL」として販売されている中空のガラス粒子(例えば、等級SIL 35/34、SIL−32、SIL−42、及びSIL−43)が、挙げられる。市販されているセラミックス微小球としては、SphereOne,Inc.,Silver Plume,Coloradoから商品名「EXTENDOSPHERES」(例えば、等級SG、CG、TG、SF−10、SF−12、SF−14、SLG、SL−90、SL−150、及びXOL−200)として市販されているセラミックス中空微小球;及び3M Companyから商品名「3M CERAMIC MICROSPHERES」(例えば、等級G−200、G−400、G−600、G−800、G−850、W−210、W−410、及びW−610)として市販されているセラミックス微小球が挙げられる。いずれかの又はすべての上記の増量剤は組み合わせて使用できる。
【0035】
ナノ粒子により強化された無機顔料組成物は、以下に述べるように、ビヒクル、例えば、1つ以上の増量剤を含有するビヒクルに直接加えてよい。しかし、幾つかの実施形態においては、後でビヒクルに加えられ得る混合物を提供するために、1つ以上の増量剤をナノ粒子により強化された無機顔料組成物に組み合わせてよい。それ故、さまざまな実施形態においては、ナノ粒子により強化された無機顔料組成物は、1つ以上の増量剤と、ナノ粒子により強化された無機顔料組成物に対する増量剤の重量比を、少なくとも2:1、少なくとも4:1、又は少なくとも8:1として、組み合わせることができる。更なる実施形態においては、増量剤は、最大で20:1、最大で15:1、又は最大で12:1の、ナノ粒子により強化された無機顔料組成物に対する重量比で存在する。増量剤によりこのようにして希釈された混合物は、本明細書において前に述べた有利な特性を呈することができ、例を挙げると、例えば、無機顔料(しかし表面改質ナノ粒子の存在により強化された無機顔料であるが)を約10重量%のみ含む混合物は、強化ナノ粒子の存在しない未希釈の無機顔料と似た視覚的に感知される色特性を示すことができる。
【0036】
顕著な色を与えるために顔料を加えることができる任意のビヒクル(これにより任意のキャリア、樹脂、材料、マトリックス、シロップ剤、ニス、ペイント、セラック、コーティング、粘着剤、結合剤などを総称的に意味する)において利益を得るために、本明細書に開示されるナノ粒子により強化された無機顔料組成物を使用することができる。幾つかの実施形態においては、ナノ粒子により強化された無機顔料組成物は、すでに増量剤を含むビヒクルに加えることができる(例えば、存在しているペイントに加え得る)。他の実施形態においては、ナノ粒子により強化された無機顔料組成物は、上述のナノ粒子により強化された無機顔料/増量剤混合物を形成するために、増量剤と混合することができ、次にビヒクルに加えることができる。
【0037】
本明細書に開示されるビヒクルは、品目の表面に適用(例えば、ペイント又はニスのように)してよく、形状物に直接成形(例えば、成型、粒子(例えば屋根用グラニュール)への成形)するなどしてよい。
【0038】
本明細書に開示される特定の代表的な構造、特徴、詳細、構成等が、多くの実施形態において変更され得る、及び/又は組み合わされ得ることは、当業者には明らかであろう。そのような変形及び組み合わせはすべて、本発明者により、本考案の発明の範囲内にあるものとして考えられている。したがって、本発明の範囲は、本明細書に記載された特定の図示された構造に限定されるべきではなく、むしろ特許請求の範囲の文言によって記載された構造、並びにこれら構造の等価物によるべきである。参照により本明細書に援用したいずれかの文書の開示と本明細書との間の不一致及び矛盾が存在する範囲で、本明細書が支配する。
【実施例】
【0039】
別段の記載のない限り、実施例及びこれ以降の明細書に記載される部、百分率、及び比率はすべて重量に基づく。使用した溶媒及びその他の試薬は、別段の記載のない限り、Sigma−Aldrich Chemical Company(Milwaukee,WI)から入手した。
【0040】
シリカナノ粒子(水中の16.6%固体)は、Nalco Company,Naperville,Illinoisから商品名、NALCO 2326、として入手した。これらのナノ粒子は、約5nmの平均粒子サイズを有すると供給元より報告されており、かつ表面改質されているとは供給元より報告されていない。シリカナノ粒子(水中の41.45%固体)は、Nalco Companyから商品名、NALCO 2327、として入手した。これらのナノ粒子は、供給元より、約20nmの平均粒子サイズを有していると報告された。
【0041】
ヒュームドシリカは、商品名、Cab−O−Sil CT−1221、として、Cabot Corporation,Billerica,MAから入手した。
【0042】
酸化鉄(赤)無機顔料は、Brenntag Specialties,South Plainfield,NJから、商品名、WCD Red、として入手した。フェロシアン化第二鉄(青)無機顔料は、Brenntag Specialtiesから、商品名、WCD Blue、として入手した。酸化鉄(赤)無機顔料は、3M Industrial Minerals Products Division,St.Paul,MNからも入手し、WCD Redと類似又は同等品と思われる。
【0043】
有機顔料は、Sun Chemical,Cincinnati,OHから、商品名、Indofast Violet 23、として入手した。
【0044】
半透明の白色球形セラミックス粒子(増量剤)は、3M Companyから、商品名、CM−111 Cosmetic Microspheres、として入手した。この製品は、約5マイクロメートルの第50百分位粒子サイズを有していると、製造者により表に記載されている。
【0045】
ペイントは、Gliddenから、商品名、Oil/Alkyd SemiGloss Paint,Ultrahide 3517、として入手した。
【0046】
NALCO 2326シリカナノ粒子は、表題が「Method of Milling Particles with Nanoparticles and Milled Free−flowing Powder」である、米国特許出願第61/220698号に概要が示されている方法に従い、イソオクチルトリメトキシシラン及びメチルトリメトキシシランの混合物により表面改質された。NALCO 2327シリカナノ粒子は、同様に、米国第61/220698号に概要が記載されている方法により、表面改質された。
【0047】
望ましい量の乾燥表面改質ナノ粒子及び顔料をトルエンとともに組み合わせ、電磁攪拌棒又は瓶中の回転のいずれかの方法により撹拌して一晩混合し、表面改質ナノ粒子を無機顔料と湿式でブレンドした。若干の試料は、示したように、トルエン中ではなくイソプロパノール/水混合物中で湿式ブレンドした。次いで、混合物をアルミニウムの浅い皿の中で乾燥し、液体の実質的な除去を確かなものとするため120℃にさらした。さまざまな実験において、無機顔料粒子に対するナノ粒子の異なる重量比を使用し、下記の表にwt%ナノ粒子として報告した。他の材料(例えば、表面改質されてないナノ粒子及びヒュームドシリカ)を、類似の方法により無機顔料と湿式ブレンドした。
【0048】
さまざまな実験において、表面改質ナノ粒子を含む乾燥無機顔料の視覚的に感知された色及び外観を記録した。他の実験においては、FlackTek,Landrum,SCから商品名、SpeedMixer DAC 150 FVZ、として入手できる混合装置を使用して、表面改質ナノ粒子を含む乾燥無機顔料を、CM−111増量剤と混合した。幾つかの事例においては、表面改質ナノ粒子を含む無機顔料が10%に対してCM−111が90%の重量比を使用し、他の事例においては、表面改質ナノ粒子を含む無機顔料が7.5%に対してCM−111が92.5%の重量比を使用し、また幾つかの事例においては表面改質ナノ粒子を含む無機顔料が1.0%に対してCM−111が99%の重量比を使用した。増量した顔料混合物の視覚的に感知される色及び外観を記録した。
【0049】
試料の光学的色特性も、Hunter Lab D25A Optical Sensor(Hunter Associates,Reston,VA)を使用して測定した。これらの測定は、当業者には試料の明るさ又は暗さの、1〜100のスケール(値1は黒で値100は白である)の尺度として知られている、L値(よく知られているLスケールの)を与えた。
【0050】
試料の流動特性も、典型的には各試料の重力下における流動傾向の観察により、目視観察した。
【0051】
表1に、10%顔料対90% CM−111の重量比で、CM−111により増量された、5nm表面改質ナノ粒子を伴う、及び伴わない酸化鉄レッド顔料(WCD Red)のデータを示した。
【0052】
【表1】

表面改質NALCO 2326
【0053】
表2に、10%顔料対90% CM−111の重量比で、実施例2〜3では1.0%顔料対99% CM−111の重量比で、CM−111により増量した、5nm表面改質ナノ粒子を伴う、及び伴わないフェロシアン化第二鉄青顔料(WCD Blue)のデータを示した。
【0054】
【表2】

表面改質NALCO 2326
【0055】
表3に、5nm表面改質ナノ粒子と湿式ブレンドされ、7.5%顔料対92.5% CM−111の重量比で、CM−111により増量された、フェロシアン化第二鉄青顔料に関するデータを、ナノ粒子のwt%(顔料重量に対して)の関数として表示する。比較のために、10%顔料/90%増量剤に増量された、ナノ粒子を含まない同じ顔料の試料(3−1)を示す。ナノ粒子を含むどの試料においても、流動特性の改善は見られなかった。
【0056】
【表3】

表面改質NALCO 2326
【0057】
表4に、さまざまなサイズの表面改質ナノ粒子、表面改質のない5nmナノ粒子、及びヒュームドシリカと、湿式ブレンドした酸化鉄レッド顔料(3M Industrial Minerals Division)に関するデータを示す。すべての試料は、10%顔料対90% CM−111の重量比で、CM−111により増量した。どの試料についても、流動性の改善は見られなかった。
【0058】
【表4】

NALCO 2326、改質無し、イソプロパノール/水中で顔料と湿式ブレンドされた。
**NALCO 2327
***(Cab−O−Sil CT−1221)
【0059】
(実施例5)
NALCO 2326シリカナノ粒子を、上に概略を述べたように、イソオクチルトリメトキシシラン及びメチルトリメトキシシランの混合物により表面改質した。上に概説したように、無機顔料に対して0.5wt%の表面改質ナノ粒子を得るように、表面改質ナノ粒子をフェロシアン化第二鉄青顔料と湿式でブレンドした。ナノ粒子により強化された無機顔料組成物の0.60gを、0.15gずつ増やしながら、18.25gのGlidden Oil/Alkyd Paint Ultrahide 3517に加え、混合物をアプリケータスティックを用いて各増分の追加後にかき混ぜ、このようにしてナノ粒子により強化された顔料組成物が重量で3.2%加えられた、ペイント製剤を用意した(ペイントの総湿潤重量基準)。無機顔料が重量で3.2%までペイントに加えられた類似の試料を調製したが、試料中の顔料はナノ粒子を含んでいなかった。次いで、各試料をバイアル瓶中で約2時間転がした。各バイアル瓶には、更に混合するための撹拌棒が含まれていた。
【0060】
次いでペイントブラシを使用して、少量の各ペイント試料をスライドガラス上に塗った。次に、塗った試料を乾燥させた。目視検査により、ナノ粒子により強化された無機顔料組成物を含むペイント試料は、ナノ粒子を含まない試料に比べて、目立ってより顕著でより均一な青色を示すことが明らかとなった。
【0061】
(実施例6)
NALCO 2326シリカナノ粒子を、上に概説したように、イソオクチルトリメトキシシラン及びメチルトリメトキシシランの混合物により表面改質した。表面改質ナノ粒子を、有機顔料(商品名、Indofast Violet 23、として、Sun Chemical,Cincinnati,OHから入手できる)と、上に概説したのと類似の方法により、湿式ブレンドし、有機顔料に対して0.5wt%の表面改質ナノ粒子を得た。上に概説したのと類似の方法により、FlackTek,Landrum,SCから商品名、SpeedMixer DAC 150 FVZ、として入手できる混合装置を使用して、表面改質ナノ粒子を含む有機顔料をCM−111増量剤と、10%表面改質ナノ粒子を含む有機顔料対90% CM−111の重量比で、混合した。CM−111増量剤/表面改質ナノ粒子を含む有機顔料の、90/10混合物は、38.3のL値を示した。CM−111増量剤/表面改質ナノ粒子を含まない有機顔料の、90/10混合物は、23.0のL値を示した。表面改質ナノ粒子を含まない90/10増量剤混合試料と比較して、表面改質ナノ粒子を含む90/10増量剤混合試料は、濃い斑点(specs)のあるより薄い色に見えた。
【0062】
上術の試験及び試験結果は予測ではなく、例示のみを意図したものであり、試験方法が変われば異なる結果が生じ得ると考えられる。実施例の項における定量的な値はすべて、用いられる手順に伴う一般的に既知の許容誤差を考慮すると、近似的な値であるものと理解される。上術の詳細な説明及び実施例はあくまで理解を助けるために示したものである。これらによって不要な限定をするものと理解されるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノ粒子により強化された無機顔料組成物の調製方法であって、
複数の無機顔料粒子を提供する工程と、
複数の表面改質ナノ粒子が、少なくとも幾つかの前記無機顔料粒子の表面の少なくとも一部の上に少なくとも単層を形成するように、前記複数の無機顔料粒子を複数の表面改質ナノ粒子と混合する工程と、を含む、方法。
【請求項2】
前記混合が、前記無機顔料粒子及び前記表面改質ナノ粒子が液体に加えられ混合される湿式ブレンドプロセスにより行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記液体が、前記混合プロセスの後除去される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ナノ粒子が、約10ナノメートル未満の平均一次粒子サイズからなる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ナノ粒子により強化された無機顔料組成物が、前記複数の表面改質ナノ粒子と混合されない同じ無機顔料のL値より、少なくとも5単位低いL値を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ナノ粒子により強化された無機顔料組成物を有機ビヒクルと混合する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ナノ粒子により強化された無機顔料組成物を無機増量剤と混合し混合物を形成する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記混合物をビヒクルと混合する工程を更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記混合物が、無機顔料及び増量剤を同一の比で含むが表面改質ナノ粒子を含まない混合物のL値より、少なくとも5単位低いL値を示す、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
ナノ粒子により強化された無機顔料組成物であって、
複数の無機顔料粒子と、
少なくとも幾つかの前記無機顔料粒子の表面の少なくとも一部の上に少なくとも単層を形成する、複数の表面改質ナノ粒子と、を含む、組成物。
【請求項11】
前記表面改質ナノ粒子が、約10ナノメートル未満の平均一次粒子サイズからなる、請求項10に記載のナノ粒子により強化された無機顔料組成物。
【請求項12】
表面改質ナノ粒子の無機顔料粒子に対する重量比が、約0.25%〜約1.0%である、請求項10に記載のナノ粒子により強化された無機顔料組成物。
【請求項13】
表面改質ナノ粒子の無機顔料粒子に対する重量比が、約0.50%〜約0.75%である、請求項10に記載のナノ粒子により強化された無機顔料組成物。
【請求項14】
前記表面改質ナノ粒子が、前記ナノ粒子に共有結合により結合した炭化水素基を含む、請求項10に記載のナノ粒子により強化された無機顔料組成物。
【請求項15】
前記組成物が、表面改質ナノ粒子を含まない同じ無機顔料のL値より少なくとも5単位低いL値を示す、請求項10に記載のナノ粒子により強化された無機顔料組成物。
【請求項16】
前記組成物が、表面改質ナノ粒子を含まない同じ無機顔料のL値より少なくとも10単位低いL値を示す、請求項10に記載のナノ粒子により強化された無機顔料組成物。
【請求項17】
前記組成物が混合物として存在するように、増量剤対顔料の重量比が少なくとも2:1で存在する複数の増量剤粒子を更に含む、請求項10に記載のナノ粒子により強化された無機顔料組成物。
【請求項18】
前記混合物が、無機顔料及び増量剤を同一の比で含むが、表面改質ナノ粒子を含まない混合物のL値より少なくとも5単位低いL値を示す、請求項17に記載のナノ粒子により強化された無機顔料組成物。
【請求項19】
前記混合物が、無機顔料及び増量剤を同一の比で含むが表面改質ナノ粒子を含まない混合物のL値より少なくとも10単位低いL値を示す、請求項17に記載のナノ粒子により強化された無機顔料組成物。
【請求項20】
前記増量剤粒子が、ガラスバブル、セラミックス微小球、炭酸カルシウム、二酸化チタン、硫酸バリウム、タルク、粘土、ケイソウ土、石灰、シリカ、アルミノケイ酸塩、雲母、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項17に記載のナノ粒子により強化された無機顔料組成物。
【請求項21】
前記表面改質ナノ粒子が、無機酸化物材料を含む、請求項10に記載のナノ粒子により強化された無機顔料組成物。
【請求項22】
前記無機顔料が、金属酸化物、金属シアン化物、金属硫化物、金属ケイ酸塩、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項10に記載のナノ粒子により強化された無機顔料組成物。

【公表番号】特表2013−511602(P2013−511602A)
【公表日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−540086(P2012−540086)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【国際出願番号】PCT/US2010/057407
【国際公開番号】WO2011/063222
【国際公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】