説明

表面改質剤

【課題】水と接触した場合であっても基材から離脱しがたく、親水性、撥水性などの所望の性質を有する薄膜を形成しうる表面改質剤を提供すること。
【解決手段】式(I):


(式中、R1は、水素原子またはメチル基、R2は、親水性基、疎水性基、陽イオン性基または陰イオン性基を示す)で表わされる繰り返し単位を有し少なくとも片末端に式(II):


で表わされるアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル系ポリマーを含有する表面改質剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面改質剤に関する。さらに詳しくは、例えば、親水性、撥水性、親油性、撥油性などの性質を有する薄膜を形成しうる表面改質剤、当該表面改質剤によって表面改質された表面改質基材、および当該表面改質剤に有用なアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル系ポリマーの製造方法に関する。本発明の表面改質剤は、例えば、ガラス表面処理剤、塗装用表面処理剤、印刷用表面処理剤、医療用材料、生体適合性材料、光学材料、樹脂フィルム、樹脂シートなどの幅広い用途での使用が期待されるものである。
【背景技術】
【0002】
親水性を有する基材に求められる表面特性として、防曇性、帯電防止性、防汚性などが知られている。これらの表面特性は、一般に基材表面に界面活性剤を塗布することによって与えられている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。しかし、界面活性剤を基材表面に塗布した場合、基材表面に水分が付着したときに界面活性剤が水分に溶解するため、表面特性を安定して維持させることができない。
【0003】
基材に親水性を付与することができるポリマーとして、例えば、(メタ)アクリル酸塩とアクリルアミドとの共重合体のグラフト側鎖に親水性アクリルアミドポリマーが用いられた親水性グラフトポリマーが知られている(例えば、特許文献3参照)。しかし、この親水性グラフトポリマーは、原料としてカルボン酸塩が用いられているのでアニオン性を呈することから、当該親水性グラフトポリマーの親水性がこれと接触する水のpHによって大きく変化するという欠点を有する。
【0004】
疎水性の樹脂基材の表面に容易に固着させることができる親水性層として、親水性シリカと酸化チタンとの混合物をフィルム基材に塗布し、乾燥させることによって得られた親水性層が提案されており、この親水性層は、プラスチック成形物の表面に転写させることによってプラスチック成形物の表面で親水性層として利用されている(例えば、特許文献4参照)。しかし、この親水性層は、プラスチック成形物の表面上でただ単に形成されているだけであるので、当該プラスチック成形物に用いられている樹脂基材が可撓性を有する場合、外的応力を受けたときに容易に剥がれ落ちたり、親水性層が割れたりするおそれがある。
【0005】
本件出願人は、基材の表面に親水性を有する材料として、基材表面で特定組成を有するモノマー組成物を重合させることによって得られたるポリマーを基材に付着させた材料を提案している(例えば、特許文献5参照)。この材料は、その表面が親水性に優れるととともに基材に対する密着性にも優れるという利点を有するが、基材の表面上でモノマー組成物を重合させる必要があることから、表面に親水性が付与された基材を製造するのに長時間を要する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平02−16185号公報
【特許文献2】特開2003−238207号公報
【特許文献3】特開2002−308950号公報
【特許文献4】特開2006−231890号公報
【特許文献5】特開2010−57745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、水と接触した場合であっても、基材から離脱しがたく、親水性、撥水性、親油性、撥油性などの所望の性質を有する薄膜を形成しうる表面改質剤、当該表面改質剤によって表面改質基材、および当該表面改質剤に有用なアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル系ポリマーの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
〔1〕 式(I):
【0009】
【化1】

【0010】
(式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は親水性基、疎水性基、陽イオン性基または陰イオン性基を示す)
で表わされる繰り返し単位を有し、少なくとも片末端に式(II):
【0011】
【化2】

【0012】
(式中、R3、R4およびR5は、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のアルコキシ基であって、R3、R4およびR5のうちの少なくとも1つの基は炭素数1〜4のアルコキシ基、R6は炭素数1〜12のアルキレン基を示す)
で表わされるアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル系ポリマーを含有してなる表面改質剤、
〔2〕 式(I)において、R2が水素原子、水酸基またはフッ素原子を有していてもよい炭素数2〜20のアルキル基、水酸基またはフッ素原子を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、片末端に水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を有し水酸基またはフッ素原子を有していてもよいエチレンオキサイド基、片末端に水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を有し水酸基またはフッ素原子を有していてもよいエチレンオキサイド基の付加モル数が2〜20であるポリエチレンオキサイド基、片末端に水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を有し水酸基またはフッ素原子を有していてもよいプロピレンオキサイド基、片末端に水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を有し水酸基またはフッ素原子を有していてもよいプロピレンオキサイド基の付加モル数が2〜20であるポリプロピレンオキサイド基、式(III):
【0013】
【化3】

【0014】
(式中、R7およびR8は、それぞれ独立して炭素数1〜4のアルキレン基、R9およびR10は、それぞれ独立して水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す)
で表わされる基、または式(IV):
【0015】
【化4】

【0016】
(式中、R11は炭素数1〜4のアルキレン基、R12およびR13はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、R14は有機基、X-は陰イオンを示す)
で表わされる基である前記〔1〕に記載の表面改質剤、
〔3〕 式(I)で表わされる繰り返し単位の数が1〜1000である前記〔1〕または〔2〕に記載の表面改質剤、
〔4〕 前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の表面改質剤によって表面改質されてなる表面改質基材、
〔5〕 式(V):
【0017】
【化5】

【0018】
(式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は親水性基、疎水性基、陽イオン性基または陰イオン性基を示す)
で表わされる(メタ)アクリル系モノマーを、式(VI):
【0019】
【化6】

【0020】
(式中、R3、R4およびR5は、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のアルコキシ基であって、R3、R4およびR5のうちの少なくとも1つの基は炭素数1〜4のアルコキシ基、R6は炭素数1〜12のアルキレン基を示す)
で表わされるアルコキシシリル基含有化合物の存在下で重合させることを特徴とする式(I):
【0021】
【化7】

【0022】
(式中、R1およびR2は前記と同じ)
で表わされる繰り返し単位を有し、少なくとも片末端に式(II):
【0023】
【化8】

【0024】
(式中、R3、R4、R5およびR6は前記と同じ)
で表わされるアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル系ポリマーの製造方法、ならびに
〔6〕 式(I)において、R2が水素原子、水酸基またはフッ素原子を有していてもよい炭素数2〜20のアルキル基、水酸基またはフッ素原子を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、片末端に水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を有し水酸基またはフッ素原子を有していてもよいエチレンオキサイド基、片末端に水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を有し水酸基またはフッ素原子を有していてもよいエチレンオキサイド基の付加モル数が2〜20であるポリエチレンオキサイド基、片末端に水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を有し水酸基またはフッ素原子を有していてもよいプロピレンオキサイド基、片末端に水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を有し水酸基またはフッ素原子を有していてもよいプロピレンオキサイド基の付加モル数が2〜20であるポリプロピレンオキサイド基、式(III):
【0025】
【化9】

【0026】
(式中、R7およびR8は、それぞれ独立して炭素数1〜4のアルキレン基、R9およびR10は、それぞれ独立して水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す)
で表わされる基、または式(IV):
【0027】
【化10】

【0028】
(式中、R11は炭素数1〜4のアルキレン基、R12およびR13はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、R14は有機基、X-は陰イオンを示す)
で表わされる基である前記〔5〕に記載のアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル系ポリマーの製造方法
に関する。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、水と接触した場合であっても、基材から離脱しがたく、親水性、撥水性、親油性、撥油性などの所望の性質を有する薄膜を形成しうる表面改質剤、当該表面改質剤によって表面改質された表面改質基材、および当該表面改質剤に有用なアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル系ポリマーの製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】(a)および(b)は、それぞれ実施例7で得られた表面改質基材および比較例1のガラスプレートを用いて防曇性を調べた結果を示す図面代用写真である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の表面改質剤は、前記したように、式(I):
【0032】
【化11】

【0033】
(式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は親水性基、疎水性基、陽イオン性基または陰イオン性基を示す)
で表わされる繰り返し単位を有し、少なくとも片末端に式(II):
【0034】
【化12】

【0035】
(式中、R3、R4およびR5は、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のアルコキシ基であって、R3、R4およびR5のうちの少なくとも1つの基は炭素数1〜4のアルコキシ基、R6は炭素数1〜12のアルキレン基を示す)
で表わされるアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル系ポリマーを含有するものである。
【0036】
式(I)で表わされる繰り返し単位において、R1は、水素原子またはメチル基である。
2は、親水性基、疎水性基、陽イオン性基または陰イオン性基である。この親水性基、疎水性基、陽イオン性基または陰イオン性基の種類により、本発明の表面改質剤によって基材に付与される性質を調整することができる。例えば、基材に親水性を付与する場合には、親水性を有する有機基が選ばれ、また基材に疎水性を付与する場合には、疎水性を有する有機基が選ばれる。
【0037】
2としては、例えば、水素原子、水酸基またはフッ素原子を有していてもよい炭素数2〜20のアルキル基、水酸基またはフッ素原子を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、片末端に水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を有し水酸基またはフッ素原子を有していてもよいエチレンオキサイド基、片末端に水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を有し水酸基またはフッ素原子を有していてもよいエチレンオキサイド基の付加モル数が2〜20であるポリエチレンオキサイド基、片末端に水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を有し水酸基またはフッ素原子を有していてもよいプロピレンオキサイド基、片末端に水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を有し水酸基またはフッ素原子を有していてもよいプロピレンオキサイド基の付加モル数が2〜20であるポリプロピレンオキサイド基、式(III):
【0038】
【化13】

【0039】
(式中、R7およびR8は、それぞれ独立して炭素数1〜4のアルキレン基、R9およびR10は、それぞれ独立して水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す)
で表わされる基、式(IV):
【0040】
【化14】

【0041】
(式中、R11は炭素数1〜4のアルキレン基、R12およびR13はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、R14は有機基、X-は陰イオンを示す)
で表わされる基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの基のなかでは、塗膜強度を高める観点から、式(III)で表わされる基が好ましい。
【0042】
式(III)において、R7およびR8は、それぞれ独立して炭素数1〜4のアルキレン基である。R7は、好ましくはメチレン基、エチレン基、n−プロピレン基またはイソプロピレン基であり、より好ましくはメチレン基またはエチレン基である。R8は、好ましくはメチレン基またはエチレン基である。
【0043】
式(IV)において、R11は、炭素数1〜4のアルキレン基である。R11は、好ましくはメチレン基、エチレン基、n−プロピレン基またはイソプロピレン基であり、より好ましくはメチレン基またはエチレン基である。R12およびR13は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基である。R14は、有機基である。有機基の具体例としては、炭素数1〜22のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数2〜6のカルボキシアルキル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。X-は、陰イオンである。X-の好適な例としては、炭素数1〜4のアルキルクロライドイオン、アルキル基の炭素数が1〜4の1価のジアルキル硫酸イオン、炭素数6〜8のアリールクロライドイオン、アルキル基の炭素数が1〜4のアルキル硫酸ハライドイオン、ハロゲンイオン、酢酸イオン、ホウ酸イオン、クエン酸イオン、酒石酸イオン、硫酸水素イオン、重亜硫酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。前記アルキル硫酸ハライドイオンにおけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が挙げられる。前記ハロゲンイオンにおけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が挙げられる。X-のなかでは、炭素数1〜4のアルキルクロライドイオン、アルキル基の炭素数が1〜4の1価のジアルキル硫酸イオンおよび炭素数6〜8のアリールクロライドイオンが好ましい。
【0044】
式(IV)で表わされる基を有するモノマーの具体例としては、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートのメチルクロライド塩、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートのジメチル硫酸塩、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートのジエチル硫酸塩、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートのベンジルクロライド塩、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートのメチルクロライド塩、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートのジメチル硫酸塩、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートのジエチル硫酸塩、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートのベンジルクロライド塩、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートのメチルクロライド塩、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートのジメチル硫酸塩、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートのジエチル硫酸塩、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートのベンジルクロライド塩、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレートのメチルクロライド塩、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレートのジメチル硫酸塩、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレートのジエチル硫酸塩、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレートのベンジルクロライド塩などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのモノマーのなかでは、安価で容易に入手することができることから、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートのメチルクロライド塩、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートのジエチル硫酸塩などが好ましい。
【0045】
2において、親水性基としては、例えば、水素原子、水酸基を少なくとも1個有する炭素数1〜4のアルキル基、片末端に水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を有する炭素数1〜20のポリエチレングリコール基、片末端に水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を有する炭素数1〜10のポリプロピレングリコール基、式(III)で表わされる基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの基のなかでは、塗膜強度を高める観点から、式(III)で表わされる基が好ましい。
【0046】
2において、疎水性基としては、例えば、フッ素原子を有していてもよい炭素数2〜20のアルキル基、フッ素原子を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの基のなかでは、撥油性の観点から、フッ素原子数3以上の炭素数2〜20のアルキル基およびフッ素原子数3以上の炭素数6〜20のアリール基が好ましい。
【0047】
2において、陽イオン性基としては、例えば、式(IV)で表わされる基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0048】
2において、陰イオン性基としては、例えば、カルボキシエテニルフェノキシドデシル基、カルボキシアセチルアミノエチル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0049】
基材表面に親水性、撥水性、陽イオン性または陰イオン性を付与する観点から、式(I)で表わされる繰り返し単位の数の下限値は、好ましくは1以上、より好ましくは10以上であり、式(I)で表わされる繰り返し単位の数の上限値は、好ましくは1000以下、より好ましくは500以下である。
【0050】
式(II)で表わされるアルコキシシリル基において、R3、R4およびR5は、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のアルコキシ基であって、R3、R4およびR5のうちの少なくとも1つの基は炭素数1〜4のアルコキシ基である。R3、R4およびR5のうちの少なくとも1つの基が炭素数1〜4のアルコキシ基であるのは、表面改質剤を基材に化学的結合によって固定するためである。したがって、R3、R4およびR5のうちの少なくとも1つの基が炭素数1〜4のアルコキシ基であることが好ましく、R3、R4およびR5のうちの少なくとも2つの基が炭素数1〜4のアルコキシ基であることがより好ましく、R3、R4およびR5のいずれもが炭素数1〜4のアルコキシ基であることがさらに好ましい。炭素数1〜4のアルキル基のなかでは、メチル基およびエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。炭素数1〜4のアルコキシ基のなかでは、メトキシ基およびエトキシ基が好ましく、メトキシ基がより好ましい。
【0051】
式(II)で表わされるアルコキシシリル基において、R6は、炭素数1〜12のアルキレン基である。R6のなかでは、炭素数1〜6のアルキレン基が好ましく、炭素数2〜6のアルキレン基がより好ましい。
【0052】
式(II)で表わされるアルコキシシリル基は、(メタ)アクリル系ポリマーの少なくとも片末端に存在するが、(メタ)アクリル系ポリマーが有する性質を十分に発現させる観点から、(メタ)アクリル系ポリマーの片末端にのみ存在することが好ましい。式(II)で表わされるアルコキシシリル基が(メタ)アクリル系ポリマーの片末端にのみ存在する場合、その他方の末端には、(メタ)アクリル系ポリマーが有する性質を十分に発現させる観点から、例えば、水酸基、炭素数1〜4のアルコキシ基、重合開始剤の残基などの基が存在することが好ましい。
【0053】
式(I)で表わされる繰り返し単位を有し、少なくとも片末端に式(II)で表わされるアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル系ポリマーは、例えば、式(V):
【0054】
【化15】

【0055】
(式中、R1およびR2は、前記と同じ)
で表わされる(メタ)アクリル系モノマーを、式(VI):
【0056】
【化16】

【0057】
(式中、R3、R4、R5およびR6は、前記と同じ)
で表わされるアルコキシシリル基含有化合物の存在下で重合させることによって調製することができる。
【0058】
式(V)で表わされる(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン、N−(メタ)アクリロイルアミノエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの(メタ)アクリル系モノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なお、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタインは、例えば、特開平9−95474号公報、特開平9−95586号公報、特開平11−222470号公報などに記載されている方法により、高純度で容易に調製することができる。
【0059】
式(VI)で表わされるアルコキシシリル基含有化合物としては、例えば、1−チオプロピル−3−トリメトキシシラン、1−チオプロピル−3−トリエトキシシラン、1−チオプロピル−3−トリイソプロポキシシラン、1−チオプロピル−3−メチルジメトキシシラン、1−チオプロピル−3−メチルジエトキシシラン、1−チオプロピル−3−メチルジプロポキシシランなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのアルコキシシリル基含有化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0060】
式(VI)で表わされるアルコキシシリル基含有化合物の量は、特に限定されないが、通常、重合に供されるモノマー全量100重量部あたり、0.01〜10重量部程度であることが好ましい。
【0061】
なお、本発明の目的が阻害されない範囲内であれば、式(V)で表わされる(メタ)アクリル系モノマーを他の重合性モノマーと併用してもよい。
【0062】
他の重合性モノマーとしては、例えば、スチレン、α−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸セチル、(メタ)アクリル酸エチルカルビトール、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシブチル、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−tert−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−オクチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、スチレン、イタコン酸メチル、イタコン酸エチル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタムなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの他の重合性モノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0063】
式(VI)で表わされるアルコキシシリル基含有化合物の存在下で、式(V)で表わされる(メタ)アクリル系モノマーを重合させる際には、重合開始剤を用いることが好ましい。
【0064】
重合開始剤としては、例えば、アゾイソブチロニトリル、アゾイソ酪酸メチル、アゾビスジメチルバレロニトリル、過酸化ベンゾイル、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、ベンゾフェノン誘導体、ホスフィンオキサイド誘導体、ベンゾケトン誘導体、フェニルチオエーテル誘導体、アジド誘導体、ジアゾ誘導体、ジスルフィド誘導体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの重合開始剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0065】
重合開始剤の量は、特に限定されないが、通常、式(V)で表わされる(メタ)アクリル系モノマーを含む重合に供されるモノマー全量100重量部あたり0.01〜5重量部程度であることが好ましい。
【0066】
式(V)で表わされる(メタ)アクリル系モノマーを重合させる方法としては、例えば、溶液重合法などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。式(V)で表わされる(メタ)アクリル系モノマーを溶液重合法によって重合させる場合には、例えば、式(V)で表わされる(メタ)アクリル系モノマーを溶媒に溶解させ、得られた溶液を攪拌しながら重合開始剤を添加することにより、重合させることができる。
【0067】
溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素化合物、n−ヘキサンなどの脂肪族炭化水素化合物、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素化合物、酢酸メチル、酢酸エチルなどの酢酸エステルなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの溶媒は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0068】
溶媒の量は、通常、式(V)で表わされる(メタ)アクリル系モノマーを含む重合に供されるモノマーを溶媒に溶解させることによって得られる溶液におけるモノマーの濃度が10〜80重量%程度となるように調整することが好ましい。
【0069】
式(V)で表わされる(メタ)アクリル系モノマーを重合させる際の重合温度、重合時間などの重合条件は、そのモノマーの種類およびその使用量、重合開始剤の種類およびその使用量などに応じて適宜調整することが好ましい。
【0070】
式(V)で表わされる(メタ)アクリル系モノマーを重合させるときの雰囲気は、不活性ガスであることが好ましい。不活性ガスとしては、例えば、窒素ガス、アルゴンガスなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0071】
重合反応の終了や反応系内における未反応モノマーの有無は、例えば、ガスクロマトグラフィーなどの一般的な分析方法で確認することができる。
【0072】
以上のようにして式(V)で表わされる(メタ)アクリル系モノマーおよび必要により使用される他のモノマーを重合させることにより、アルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル系ポリマーを得ることができる。なお、アルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル系ポリマーの粘度平均分子量は、例えば、ゲルパーミエイションクロマトグラフィーなどによって測定することができる。
【0073】
アルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル系ポリマーの粘度平均分子量は、表面改質効果を十分に発現させる観点から、好ましくは100以上、より好ましくは500以上であり、アルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル系ポリマーの溶解性を高める観点から、好ましくは100000以下、より好ましくは50000以下である。
【0074】
本発明の表面改質剤は、前記アルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル系ポリマーを含有するものであり、当該アルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル系ポリマーのみで構成されていてもよく、溶媒を含有していてもよい。
【0075】
溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素化合物、n−ヘキサンなどの脂肪族炭化水素化合物、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素化合物、酢酸メチル、酢酸エチルなどの酢酸エステルなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの溶媒は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0076】
溶媒の量は、特に限定されないが、通常、アルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル系ポリマーを溶媒に溶解させることによって得られる溶液におけるアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル系ポリマーの濃度が10〜80重量%程度となるように調整することが好ましい。
【0077】
本発明の表面改質剤を用いて表面改質された表面改質基材は、本発明の表面改質剤を基材に塗布することによって製造することができる。
【0078】
基材としては、本発明の表面改質剤に含まれているアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル系ポリマーを化学的に基材に固定する観点から、その表面上に水酸基が存在する基材、シリカが蒸着された基材などを好適に用いることができる。
【0079】
基材の材質としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ナイロンに代表されるポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、尿素樹脂、ポリ乳酸、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、ポリスルホン、ポリカーボネート、ABS樹脂、AS樹脂、シリコーン樹脂、ガラス、セラミック、金属などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0080】
本発明の表面改質剤は、表面上に水酸基が存在している基材に対し、より強固に固定されることから、表面上に水酸基が存在している基材に使用することが好ましい。表面上に水酸基が存在していない基材を用いる場合には、その表面上に水酸基が存在するように表面を改質させることが好ましい。なお、例えば、ガラスなどからなる基材のように、その表面に水酸基が十分に存在している場合には、その表面上に水酸基が存在するように表面を改質させなくてもよいことは言うまでもない。
【0081】
また、本発明の表面改質剤は、基材としてシリカが蒸着された基材を用いた場合にも、当該基材の表面に強固に本発明の表面改質剤を固定することができる。シリカが蒸着された基材に用いられる基材が、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ナイロンに代表されるポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、尿素樹脂、ポリ乳酸、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、ポリスルホン、ポリカーボネート、ABS樹脂、AS樹脂、シリコーン樹脂などの樹脂で形成されている場合、当該樹脂は、通常、疎水性を有するため、表面改質剤を当該樹脂からなる基材(以下、樹脂基材ともいう)の表面に強固に固定することが困難であると考えられる。これに対し、本発明において、前記樹脂基材の表面にシリカを蒸着させた場合には、本発明の表面改質剤をシリカが蒸着された樹脂基材に強固に固定することができる。
【0082】
樹脂基材の表面にシリカを蒸着させる方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、化学蒸着法などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。例えば、真空蒸着法によって樹脂基材の表面にシリカを蒸着させる場合、樹脂基材を真空容器内に入れ、加熱下で脱気した後、テトラメトキシシランなどのアルコキシシランの蒸気を当該真空容器内に導入することによって樹脂基材の表面にシリカを蒸着させることができる。
【0083】
樹脂基材の表面上で蒸着されたシリカの量は、樹脂基材に用いられる樹脂の種類などによって異なるので一概には決定することができないことから、当該樹脂の種類などに応じて適宜決定することが好ましいが、通常、シリカが蒸着された樹脂基材の表面に本発明の表面改質剤が強固に固定される程度の量であればよい。
【0084】
基材の形状は、特に限定されず、例えば、フィルム、シート、プレート、ロッド、所定形状に成形された成形体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0085】
本発明の表面改質剤を基材に塗布する方法としては、例えば、フローコート法、スプレーコート法、浸漬法、刷毛塗法、ロールコート法などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0086】
本発明の表面改質剤を基材に塗布する際の雰囲気は、通常、大気であればよい。また、本発明の表面改質剤を基材に塗布する際の温度は、通常、常温であってもよく、加温であってもよい。本発明の表面改質剤を基材に塗布する際の本発明の表面改質剤の塗布量は、基材の用途などによって異なるので一概には決定することができないため、その用途などに応じて適宜調整することが好ましい。本発明の表面改質剤を基材に塗布した後は、生産効率を高める観点から、基材を加熱することが好ましい。基材を加熱する温度は、その基材の耐熱温度などによって異なるので一概には決定することができないが、通常、50〜150℃の範囲内で、その基材に適した温度を選択することが好ましい。
【0087】
以上のようにして、本発明の表面改質剤を基材に塗布することにより、本発明の表面改質剤に含まれているアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル系ポリマーを基材に固定することができる。
【0088】
本発明の表面改質基材は、その表面上に本発明の表面改質剤に含まれているアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル系ポリマーが固定化されているので、アルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル系ポリマーが有する性質を基材に付与することができ、従来の界面活性剤を用いたときのように水分が付着したときに流失することを防止することができる。
【0089】
したがって、本発明の表面改質剤によって表面改質基材は、アルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル系ポリマーが有する性質を適宜調整することにより、例えば、親水性、疎水性、親油性、撥油性などの所望の性質を基材に付与することができる。
【0090】
さらに、本発明の表面改質剤は、前記特許文献5に記載の発明のように、基材の表面上でモノマー組成物を重合させる必要がなく、基材の表面に塗布するだけでその基材表面を改質することができるので、基材表面が改質された表面改質基材を短時間で容易に製造することができるという利点を有する。
【実施例】
【0091】
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
【0092】
実施例1
窒素ガス導入管、コンデンサーおよび撹拌機を備えた500mL容のコルベンに、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン〔大阪有機化学工業(株)製、商品名:GLBT〕32.31g、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製、商品名:KBM−803〕1.55gおよびエタノール146.20gを添加した。コルベン内を減圧することによって脱気した後、窒素ガスをコルベン内に導入して常圧に戻し、コルベン内の酸素ガスをできるだけ排除した。
【0093】
次に、コルベンに備え付けられている油浴により、コルベンの内容物を65℃まで加温した後、アゾビスイソブチロニトリル1.83gを添加し、コルベンの内容物の温度を70℃に保持しながら4時間熟成させた。その後、さらにコルベン内にアゾビスイソブチロニトリル0.37gを添加し、反応温度を70℃に保持しながら4時間熟成を行なうことにより、ポリマー溶液を得た。
【0094】
得られたポリマー溶液を水浴にて30℃に冷却し、エタノール182.76gで希釈することにより、アルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル系ポリマー溶液を得た。
【0095】
得られたアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル系ポリマー溶液の粘度をウベローデ型粘度計〔(株)相互理化学硝子製作所製、品番:U−0327−26〕にて25℃で測定することにより、粘度平均分子量を求めたところ、その粘度平均分子量は15000であった。このアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル系ポリマー溶液を表面改質剤として用いた。
【0096】
実施例2
窒素ガス導入管、コンデンサーおよび撹拌機を備えた500mL容のコルベンに、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン〔大阪有機化学工業(株)製、商品名:GLBT〕35.00g、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製、商品名:KBM−803〕3.27gおよびエタノール153.10gを添加した。コルベン内を減圧することによって脱気した後、窒素ガスをコルベン内に導入して常圧に戻し、コルベン内の酸素ガスをできるだけ排除した。
【0097】
次に、コルベンに備え付けられている油浴により、コルベンの内容物を65℃まで加温した後、アゾビスイソブチロニトリル0.38gを添加し、コルベンの内容物の温度を70℃に保持しながら4時間熟成させた。その後、さらにコルベン内にアゾビスイソブチロニトリル0.38gを添加し、反応温度を70℃に保持しながら4時間熟成を行なうことにより、ポリマー溶液を得た。
【0098】
得られたポリマー溶液を水浴にて30℃に冷却し、エタノール191.37gで希釈することにより、アルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル系ポリマー溶液を得た。このアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル系ポリマー溶液を表面改質剤として用いた。
【0099】
得られたアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル系ポリマー溶液の粘度をウベローデ型粘度計〔(株)相互理化学硝子製作所製、品番:U−0327−26〕にて25℃で測定することにより、粘度平均分子量を求めたところ、その粘度平均分子量は3000であった。
【0100】
実施例3
窒素ガス導入管、コンデンサーおよび撹拌機を備えた500mL容のコルベンに、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン〔大阪有機化学工業(株)製、商品名:GLBT〕35.00g、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製、商品名:KBM−803〕0.75gおよびエタノール143.02gを添加した。コルベン内を減圧することによって脱気した後、窒素ガスをコルベン内に導入して常圧に戻し、コルベン内の酸素ガスをできるだけ排除した。
【0101】
次に、コルベンに備え付けられている油浴により、コルベンの内容物を65℃まで加温した後、アゾビスイソブチロニトリル0.89gを添加し、コルベンの内容物の温度を70℃に保持しながら4時間熟成させた。その後、さらにコルベン内にアゾビスイソブチロニトリル0.36gを添加し、反応温度を70℃に保持しながら4時間熟成を行なうことにより、ポリマー溶液を得た。
【0102】
得られたポリマー溶液を水浴にて30℃に冷却し、エタノール178.78gで希釈することにより、アルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル系ポリマー溶液を得た。
【0103】
得られたアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル系ポリマー溶液の粘度をウベローデ型粘度計〔(株)相互理化学硝子製作所製、品番:U−0327−26〕にて25℃で測定することにより、粘度平均分子量を求めたところ、その粘度平均分子量は5000であった。このアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル系ポリマー溶液を表面改質剤として用いた。
【0104】
実施例4
窒素ガス導入管、コンデンサーおよび撹拌機を備えた500mL容のコルベンに、メトキシトリエチレングリコールアクリレート〔大阪有機化学工業(株)製、品番:V−MTG〕30.00g、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製、商品名:KBM−803〕1.44gおよびエタノール125.68gを添加した。コルベン内を減圧することによって脱気した後、窒素ガスをコルベン内に導入して常圧に戻し、コルベン内の酸素ガスをできるだけ排除した。
【0105】
次に、コルベンに備え付けられている油浴により、コルベンの内容物を65℃まで加温した後、アゾビスイソブチロニトリル1.57gを添加し、コルベンの内容物の温度を70℃に保持しながら4時間熟成させた。その後、さらにコルベン内にアゾビスイソブチロニトリル0.31gを添加し、反応温度を70℃に保持しながら4時間熟成を行なうことにより、ポリマー溶液を得た。
【0106】
得られたポリマー溶液を水浴にて30℃に冷却し、エタノール157.10gで希釈することにより、アルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル系ポリマー溶液を得た。
【0107】
得られたアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル系ポリマー溶液の粘度をウベローデ型粘度計〔(株)相互理化学硝子製作所製、品番:U−0327−26〕にて25℃で測定することにより、粘度平均分子量を求めたところ、その粘度平均分子量は5000であった。このアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル系ポリマー溶液を表面改質剤として用いた。
【0108】
実施例5
窒素ガス導入管、コンデンサーおよび撹拌機を備えた500mL容のコルベンに、2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート〔大阪有機化学工業(株)製、品番:V−3FM〕35.00g、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製、商品名:KBM−803〕2.35gおよびエタノール149.39gを添加した。コルベン内を減圧することによって脱気した後、窒素ガスをコルベン内に導入して常圧に戻し、コルベン内の酸素ガスをできるだけ排除した。
【0109】
次に、コルベンに備え付けられている油浴により、コルベンの内容物を65℃まで加温した後、アゾビスイソブチロニトリル1.87gを添加し、コルベンの内容物の温度を70℃に保持しながら4時間熟成させた。その後、さらにコルベン内にアゾビスイソブチロニトリル0.37gを添加し、反応温度を70℃に保持しながら4時間熟成を行なうことにより、ポリマー溶液を得た。
【0110】
得られたポリマー溶液を水浴にて30℃に冷却し、エタノール186.74gで希釈することにより、アルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル系ポリマー溶液を得た。
【0111】
得られたアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル系ポリマー溶液の粘度をウベローデ型粘度計〔(株)相互理化学硝子製作所製、品番:U−0327−26〕にて25℃で測定することにより、粘度平均分子量を求めたところ、その粘度平均分子量は4000であった。このアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル系ポリマー溶液を表面改質剤として用いた。
【0112】
実施例6
窒素ガス導入管、コンデンサーおよび撹拌機を備えた500mL容のコルベンに、2−(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート〔ダイキン工業(株)製、品番:M−1620〕12.00g、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製、商品名:KBM−803〕0.29gおよび2,2,2−トリフルオロエタノール49.15gを添加した。コルベン内を減圧することによって脱気した後、窒素ガスをコルベン内に導入して常圧に戻し、コルベン内の酸素ガスをできるだけ排除した。
【0113】
次に、コルベンに備え付けられている油浴により、コルベンの内容物を65℃まで加温した後、アゾビスイソブチロニトリル0.61gを添加し、コルベンの内容物の温度を70℃に保持しながら4時間熟成させた。その後、さらにコルベン内にアゾビスイソブチロニトリル0.12gを添加し、反応温度を70℃に保持しながら4時間熟成を行なうことにより、ポリマー溶液を得た。
【0114】
得られたポリマー溶液を水浴にて30℃に冷却し、2,2,2−トリフルオロエタノール61.44gで希釈することにより、アルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル系ポリマー溶液を得た。
【0115】
得られたアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル系ポリマー溶液の粘度をウベローデ型粘度計〔(株)相互理化学硝子製作所製、品番:U−0327−26〕にて25℃で測定することにより、粘度平均分子量を求めたところ、その粘度平均分子量は10000であった。このアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル系ポリマー溶液を表面改質剤として用いた。
【0116】
実施例7〜12
実施例1〜6で得られた表面改質剤をガラスプレート(縦:100mm、横:100mm、厚さ:1mm)上にフローコートし、余剰の表面改質剤をエタノールで洗浄することによって除去した後、このガラスプレートを温風乾燥機内に入れ、120℃の温度で30分間温風乾燥を行なうことにより、表面改質基材を得た。
【0117】
次に、前記で得られた表面改質基材の物性として、耐熱水性、水との接触角および皮膜の厚さを以下の方法に基づいて評価した。その結果を表1に示す。
【0118】
〔耐熱水性〕
表面改質基材に水滴を滴下し、接触角計〔エルマ(株)製〕を用いて水との接触角を25℃の大気中で測定した。その後、この表面改質基材を80℃に加温されている熱水中に5時間浸漬することにより、耐熱水試験を行なった。次に、この熱水中から表面改質基材を取り出し、水で洗浄し、表面改質基材に付着している水をエアガンで乾燥させた後、表面改質基材に水滴を滴下し、接触角計〔エルマ(株)製〕を用いて水との接触角を25℃の大気中で測定し、耐熱水性を以下の評価基準に基づいて評価した。
【0119】
(評価基準)
○:耐熱水性試験前後の水に対する接触角の差の絶対値が10度未満
×:耐熱水性試験前後の水に対する接触角の差の絶対値が10度以上
【0120】
〔水との接触角〕
表面改質基材に水滴を滴下し、接触角計〔エルマ(株)製〕を用いて水との接触角を25℃の大気中で測定した。
【0121】
〔皮膜の厚さ〕
表面改質基材に形成されている表面改質剤からなる皮膜の厚さを、触針式段差計〔ケーエルエー・テンコール(株)製、品番:P−10〕を用いて測定した。
【0122】
また、各実施例において、表面改質剤をガラスプレート上にフローコートし、120℃の熱風で30分間乾燥させた後、90℃の水蒸気を前記表面改質剤がフローコートされたガラスプレートに5分間曝した。このガラスプレートの防曇性を目視で観察することにより、以下の評価基準に基づいて評価した。
【0123】
(防曇性の評価基準)
○:ガラスプレートに曇りの発生なし
×:ガラスプレートに曇りの発生あり
【0124】
なお、表1中の「ガラスプレートの種類」の欄に記載の実施例番号は、その実施例番号で得られた表面改質剤がフローコートされたガラスプレートを用いて物性が調べられたことを意味する。
【0125】
比較例1
実施例7において、表面改質剤で改質されたガラスプレートの代わりに、表面改質剤で改質されていないガラスプレートを用い、実施例7と同様にして水との接触角および防曇性を調べた。その結果を表1に示す。
【0126】
比較例2
1%ラウリン酸ナトリウム水溶液をガラスプレート上にフローコートし、このガラスプレートを温風乾燥機内に入れ、120℃の温度で30分間温風乾燥を行なうことにより、界面活性剤で処理された基板を得た。得られた基板の物性を実施例7と同様にして物性を調べた。その結果を表1に示す。
【0127】
比較例3
1%ミリスチン酸ナトリウム水溶液をガラスプレート上にフローコートし、このガラスプレートを温風乾燥機内に入れ、120℃の温度で30分間温風乾燥を行なうことにより、界面活性剤で処理された基板を得た。得られた基板の物性を実施例7と同様にして物性を調べた。その結果を表1に示す。
【0128】
比較例4
1%パルミチン酸ナトリウム水溶液をガラスプレート上にフローコートし、このガラスプレートを温風乾燥機内に入れ、120℃の温度で30分間温風乾燥を行なうことにより、界面活性剤で処理された基板を得た。得られた基板の物性を実施例7と同様にして物性を調べた。その結果を表1に示す。
【0129】
なお、表1中の「ガラスプレートの種類」の欄に記載の比較例番号は、その比較例番号で得られた表面改質剤がフローコートされたガラスプレートを用いて物性が調べられたことを意味する。
【0130】
次に、実施例7で得られた表面改質基材および比較例1のガラスプレートの裏面に「OOC」という文字が印刷されたフィルムを重ね合わせたときの観察結果をそれぞれ図1の(a)および(b)に示す。図1において、(a)および(b)は、それぞれ実施例7で得られた表面改質基材および比較例1のガラスプレートを用いて防曇性を調べた結果を示す図面代用写真である。
【0131】
図1に示された結果から、実施例7で得られた表面改質基材では、ガラスプレートを介して「OOC」という文字が鮮明に認識することができるのに対し、比較例1のガラスプレートでは、曇りが生じているため、「OOC」という文字がぼやけて認識されることがわかる。
【0132】
【表1】

【0133】
表1に示された結果から、各実施例によれば、アルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル系ポリマーの性質を変えることにより、基材に親水性や疎水性を付与することができることがわかる。また、各実施例によれば、比較例1〜4と対比して明らかなように、優れた耐熱水性を基材に付与することができることから、水と接触した場合であっても基材から離脱しがたい皮膜を形成させることができることがわかる。
【0134】
実施例13
基材としてABS樹脂製の樹脂プレート(縦:80mm、横:25mm、厚さ:1.5mm)を用いた。この樹脂プレートを真空容器に入れ、脱気した後、トリメトキシシランの蒸気(蒸気圧:約400Pa)を導入し、樹脂プレートにシリカを3時間蒸着させた。
【0135】
前記でシリカが蒸着された樹脂プレート上に実施例1で得られた表面改質剤をフローコートし、余剰の表面改質剤をエタノールで洗浄することによって除去した後、この樹脂プレートを温風乾燥機内に入れ、80℃の温度で1時間温風乾燥を行なうことにより、表面改質基材を得た。
【0136】
前記で得られた表面改質基材に90℃の水蒸気を5分間曝した。この表面改質基材の防曇性を目視で観察したところ、改質基材の表面に曇りの発生が認められなかった。このことから、樹脂基材の表面にシリカを蒸着させることにより、本発明の表面改質剤を樹脂基材表面に固定することができることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0137】
本発明の表面改質剤は、ガラス、金属、有機物などの種々の材質からなる基材に塗布することにより、その表面に所望の性質を付与することができることから、先端医療器具、人工臓器などに用いられているシリコーン樹脂表面の親水化技術や、タンパク質、細胞などの付着防止技術に適用することが期待されるものである。
【0138】
また、本発明の表面改質剤は、自動車のガラス、鏡などの表面を容易に親水化させることができるので、鏡、太陽電池パネルのガラス面、住宅の窓ガラスなどに防曇性や自己クリーニング機能などを付与したり、液晶ディスプレイなどの帯電防止によるチリやホコリなどの付着防止などにも有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

(式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は親水性基、疎水性基、陽イオン性基または陰イオン性基を示す)
で表わされる繰り返し単位を有し、少なくとも片末端に式(II):
【化2】

(式中、R3、R4およびR5は、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のアルコキシ基であって、R3、R4およびR5のうちの少なくとも1つの基は炭素数1〜4のアルコキシ基、R6は炭素数1〜12のアルキレン基を示す)
で表わされるアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル系ポリマーを含有してなる表面改質剤。
【請求項2】
式(I)において、R2が水素原子、水酸基またはフッ素原子を有していてもよい炭素数2〜20のアルキル基、水酸基またはフッ素原子を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、片末端に水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を有し水酸基またはフッ素原子を有していてもよいエチレンオキサイド基、片末端に水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を有し水酸基またはフッ素原子を有していてもよいエチレンオキサイド基の付加モル数が2〜20であるポリエチレンオキサイド基、片末端に水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を有し水酸基またはフッ素原子を有していてもよいプロピレンオキサイド基、片末端に水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を有し水酸基またはフッ素原子を有していてもよいプロピレンオキサイド基の付加モル数が2〜20であるポリプロピレンオキサイド基、式(III):
【化3】

(式中、R7およびR8は、それぞれ独立して炭素数1〜4のアルキレン基、R9およびR10は、それぞれ独立して水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す)
で表わされる基、または式(IV):
【化4】

(式中、R11は炭素数1〜4のアルキレン基、R12およびR13はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、R14は有機基、X-は陰イオンを示す)
で表わされる基である請求項1に記載の表面改質剤。
【請求項3】
式(I)で表わされる繰り返し単位の数が1〜1000である請求項1または2に記載の表面改質剤。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の表面改質剤によって表面改質されてなる表面改質基材。
【請求項5】
式(V):
【化5】

(式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は親水性基、疎水性基、陽イオン性基または陰イオン性基を示す)
で表わされる(メタ)アクリル系モノマーを、式(VI):
【化6】

(式中、R3、R4およびR5は、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のアルコキシ基であって、R3、R4およびR5のうちの少なくとも1つの基は炭素数1〜4のアルコキシ基、R6は炭素数1〜12のアルキレン基を示す)
で表わされるアルコキシシリル基含有化合物の存在下で重合させることを特徴とする式(I):
【化7】

(式中、R1およびR2は前記と同じ)
で表わされる繰り返し単位を有し、少なくとも片末端に式(II):
【化8】

(式中、R3、R4、R5およびR6は前記と同じ)
で表わされるアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル系ポリマーの製造方法。
【請求項6】
式(I)において、R2が水素原子、水酸基またはフッ素原子を有していてもよい炭素数2〜20のアルキル基、水酸基またはフッ素原子を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、片末端に水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を有し水酸基またはフッ素原子を有していてもよいエチレンオキサイド基、片末端に水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を有し水酸基またはフッ素原子を有していてもよいエチレンオキサイド基の付加モル数が2〜20であるポリエチレンオキサイド基、片末端に水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を有し水酸基またはフッ素原子を有していてもよいプロピレンオキサイド基、片末端に水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を有し水酸基またはフッ素原子を有していてもよいプロピレンオキサイド基の付加モル数が2〜20であるポリプロピレンオキサイド基、式(III):
【化9】

(式中、R7およびR8は、それぞれ独立して炭素数1〜4のアルキレン基、R9およびR10は、それぞれ独立して水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す)
で表わされる基、または式(IV):
【化10】

(式中、R11は炭素数1〜4のアルキレン基、R12およびR13はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、R14は有機基、X-は陰イオンを示す)
で表わされる基である請求項5に記載のアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル系ポリマーの製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2011−236403(P2011−236403A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−247944(P2010−247944)
【出願日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(000205638)大阪有機化学工業株式会社 (101)
【Fターム(参考)】