説明

表面改質粒子及びその分散並びにそれらを用いたコーティング材料

本願発明は、表面改質粒子、特に反応性表面、さらにはシラン反応性及び/若しくはシロキサン反応性基を含む表面、好ましくはヒドロキシル含有表面を具備する無機ベース粒子に関し、且つ/又は、金属及び/若しくは半金属酸化物及び/若しくは水酸化物からなる粒子、好ましくはナノ粒子に関し、その表面に、ポリシロキサンベースの改質剤で、好ましくは化学的結合、特に共有結合の生成で反応されたポリシロキサンベースの改質剤を有する粒子に関し、さらに、これら表面改質粒子の製造に関する。この方法において表面が改質された粒子は、フィラーとして使用されるのに適しており、大変広い種類の系、特にコーティング材料、例えばペンキ、インキ等のような分散系、且つすべての種類の分散系、合成樹脂、発泡剤、マニキュア液等の化粧品、接着剤、密封剤等における使用に適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、反応性表面、特にシラン反応性又はシロキサン反応性表面、特に水酸基含有表面を有する表面改質粒子、特に無機質ベースの粒子、且つ/又は、金属若しくは半金属酸化物及び/若しくは水酸化物を具備する粒子、好ましくはその表面にポリシロキサンベースの改質剤を有し、特にポリシロキサンベースの改質剤、好ましくは化学的、特に共有結合の生成でそれらの表面に反応したナノ粒子に関し、さらにそれらの表面改質粒子を製造する方法に関する。
【0002】
また、本願発明は、コーティング材料及び塗装系、特に、ペンキ、着色料等におけるこれら表面改質粒子の使用に関し、合成樹脂、発泡剤、化粧品、特にマニキュア液、接着剤、密閉剤等における分散に関する。さらに、本願発明は、特に上述したシステムにおけるフィラーとしてのこれら表面活性粒子の使用に関する。
【0003】
さらに、本願発明は、表面改質粒子を含むシステム、特にコーティング材料及びコーティングシステム、特にペンキ、絵の具等、合成樹脂、発泡剤及び化粧品、特にマニキュア液に関する。最後に、本願発明の主題は、キャリヤ又は分散性媒体において、表面改質粒子を有する新しい分散である。
【背景技術】
【0004】
コーティング及び分散系における粒子、特にナノ粒子を使用することは、当業者には基本的に公知である。このように、塗装系に関してフィラーとしてナノ粒子を使用することは、コーティング材料が所望の特性(例えば、引っ掻き抵抗の向上)を、同時に考慮すべき逆効果(例えば、低い透過性)なしに、得るという利点を提供する。
【0005】
塗装系へのナノ粒子の混合が、例えば塗装系の機械的特性の改善、例えばUV硬化塗装系の改善に導くことは公知である。
【0006】
アルコキシシランでナノスケールのシリカ粒子を改質して、対応する塗装系への混合の後、機械的特性における改善を提供する方法が、特許文献1に記載されている。明確な効果は、例えばエポキシド樹脂におけるような別の高いレベルの架橋系においても見出される。機械的特性における改善は、ナノ粒子を化学的接着によって周囲マトリクスに結合させることによって効果的に説明される。前記粒子の有機マトリクスへの化学的結合によって、脆化の向上が観察され、
ナノ粒子を有するコーティング材料のフィラー含有物によって、且つ適用される分野によって、それはコーティングに関して有害である。もし、公知のシリカベースナノスケールフィラーが有機マトリクスに混合されないならば、UV硬化性又はエポキシドベース塗装系の機械的特性における改善の所望の効果は、あまりはっきりしなくなる。
【0007】
シリカナノ粒子に加えて、他の種類のナノ粒子が、コーティング材料に混合され、それらの機械的特性を最適化する。例えば、ナノスケール酸化アルムニウム(例えば、ドイツヴェゼルのビックケミー株式会社の商品NANOBYK−3600及びNANOBYK−3601)を、UV効果塗装系に付加することによって、摩擦抵抗の明確な改善が、前記系の汎用性をもたらすことなしに達成される。この場合、酸化アルミニウムは、塗装系の有機マトリクスに結合されない。ペンキマトリクスにナノ粒子を安定化させることは、商業的湿潤と分散型添加剤で実行される。
【0008】
UV硬化型でなくエポキシド系に基づく塗装系は、ナノ粒子の付加によって引っ掻き抵抗性に関して同様に最適化される。
【0009】
特許文献2に記載される方法において、ポリシロキサンと結合したシリカ粒子が、二成分ポリウレタンペンキに使用される。ポリシロキサンは、共有結合基を介してペンキマトリクスと結合する反応性基を所有する。ポリシロキサンをナノ粒子に結合させることは、単に同等の相互作用によって生じる。ナノ粒子とポリシロキサンの特定の結合は、コーティング/空気インターフェースにナノ粒子を指向させる効果をもたらし、向上した引っ掻き抵抗によってしめされる機械的強度の上昇を導く。ナノ粒子をコーティング/空気インターフェースに指向させることは、耐候性及び耐摩耗性におけるコーティングにかかるストレスを介して、最上段の層が、最初に排除され、その活性が時間と共に減少するので、不利益である。
【0010】
特許文献3は、例えば自動車用コーティングペンキに使用される塗装系の引っ掻き抵抗における改善が、改質されたナノ粒子の混合によって達成されることを教示する。ナノ粒子の改質は、例えばポリマーがナノ粒子表面に共有結合を形成するような官能ポリウレタンで実行される。さらに、この方法で改質されたナノ粒子のポリマーのシェルは、コーティング材料の結合剤系との共有結合に関連する。特に高いナノ粒子含有物でのペンキ系の脆化については何ら述べていない。
【0011】
従来技術による改質ナノ粒子は、それらが使用されるペンキの引っ掻き抵抗をなるほど改善するが、特に非放射線硬化、特にUV架橋系で、ペンキマトリクスへの改質によってナノ粒子を結合することは、批評を受けやすい。ペンキマトリクスへのナノ粒子の結合を介して、硬化ペンキフィルムのネットワーク密度が上昇し、ペンキフィルムの脆化を上昇させる。
【0012】
ポリマーマトリクスに分散されるナノスケールフィラー粒子は、特許文献4から公知である。シラン、特に有機性アルコキシシランが、表面改質剤として他のものに記載されている。表面改質剤は、500ダルトン以下の分子量を有する低い分子量化合物である。そのような化合物を担持する官能基は、ナノスケール粒子の表面基及びマトリクスとの所望の相互作用によって決定される。このような改質粒子は、マトリクスについて親和性を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】EP 1 236 765 A1
【特許文献2】US 6,593,417 A
【特許文献3】US 5,853,809 A
【特許文献4】DE 195 40 623 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本願発明が基づく目的は、上述した系に使用されるのに適切であり、通常の粒子と同様にその粒子の製造方法と関連する不利益を本質的に避け又は少なくとも軽減する表面改質粒子、特にナノスケール表面改質粒子を提供することにある。
【0015】
本願発明のさらなる目的は、最初に述べたタイプの粒子、特にナノ粒子の新しい、有効な表面改質を提供することにある。
【0016】
さらに、本願発明が基づく目的は、例えば表面コーティング業界に使用されるような適当な分散剤及びキャリヤ(例えば、用材、水等)へ安定して分散する粒子、特にナノ粒子を提供することにある。これらの新しい分散は、高い粒子含有量ですら高い貯蔵安定性を有するべきである。これら粒子の傾向、特に沈殿又はゲル生成に対するナノ粒子の分散が、優先的に除外されるべきである。その上、コーティング材料の製造に使用される場合、前記分散は、とりわけ硬化コーティングの引っ掻き抵抗に上昇をもたらす。それらが費用される系に対する、特にペンキ系の結合剤化合物に対する新しい表面改質粒子、特にナノ粒子の反応性は、できるだけ最小化され、脆化に対する硬化ペンキフィルムの傾向を避けるべきである。特に、表面改質は、できるかぎり不活性でなければならず、また表面改質粒子が使用される系に対して、特にペンキマトリクスに対して低い反応性を有するものでなければならない。
【0017】
最後に、本願発明のさらなる目的は、単純な方法で実行され、広い範囲で変化可能である新しい表面活性粒子、特にナノ粒子の製造方法を提供することであり、この方法において、新しい表面改質粒子、特にナノ粒子及びそれらの分散を異なる応用に適用することが可能となるものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
もし、金属及び/若しくは半金属の水酸化酸化物及び/若しくは水酸化酸化物からなるそれらの表面及び/若しくは粒子上に、反応性基、好ましくはシラン−又はシロキサン−反応性基、特にヒドロキシル基を有する粒子、特に無機ベース粒子、好ましくはナノ粒子が、高い分子量を有し、構造的に線形であり、周囲マトリクスに対して不活性であり、改質する極性基を有するポリシロキサンベース改質剤と、好ましくは化学的共有結合で反応する場合に、上述した目的が達成されることを、出願人は発見した。この方法において、粒子の分散性は、驚くほど改善され、表面改質は、公知の系にわたって改善され、極性がよりよく制御された。
【0019】
上記目的を達成するために、本願発明は、請求項1による表面改質粒子を提案する。さらなる利益的特性は、適当な従属請求項2〜11の主題にある。
【0020】
本願発明のさらなる主題は、請求項13による発明の表面改質粒子の製造方法である。さらなる利益的特性は、従属方法請求項の主題である。
【0021】
本願発明のさらなる主題は、請求項18によるフィラーとして本願発明の表面改質粒子を使用することにある。
【0022】
本願発明のさらなる主題は、請求項19によるすべてのタイプの分散、合成樹脂、発泡剤、化粧品、特にマニキュア液、接着剤及び密封剤に、コーティング材料及び塗装系、特にペンキ、着色剤等として、本願発明の表面改質粒子を使用することにある。
【0023】
さらに、本願発明の主題は、請求項20によるキャリヤ又は分散媒体に本願発明の表面改質粒子を含ませる分散である。
【0024】
本願発明のさらなる主題は、請求項21による発明の表面改質粒子を含むコーティング材料及び塗装系であり、特にペンキ、着色剤等、合成樹脂、発泡剤、化粧品、特にマニキュア液、接着剤、密封剤である。
【0025】
本願発明は、本願発明の表面改質粒子、特にナノ粒子に基づいて詳細に記載される。したがって、この効果に対する具体例は、本願発明の他の様相及び主題−発明の製造方法、発明の使用、発明の分散等−に適用され、不必要な繰り返し引用を避けるために、本願発明の他の様相及び手段についてここに記載する。
【0026】
本願発明の第1の様相に係る主題は、金属及び/若しくは半金属水酸化酸化物及び/若しくは水酸化酸化物からなるその表面及び/若しくは粒子、好ましくはナノ粒子上に、反応性、特にはシラン反応性又はシロキサン反応性基、特に水酸基を有する表面改質粒子、特に無機ベース粒子、好ましくはナノ粒子において、前記粒子が、その表面にポリシロキサンベースの改質剤を有し、特にそれらの表面でポリシロキサンベースの改質剤と、化学的、特に共有結合の生成で、反応したことであり、前記表面改質粒子は、改質剤が下記する一般式(化1)を有するポリシロキサンであることを特徴とする表面改質粒子にある。
【0027】
【化1】

【0028】
上記化1において、
・x=0〜2、特にx=0;
・y=1〜10、特にy=2〜5;
・R=1価の有機ラジカル、1〜18、特に1〜10、さらには1〜3の炭素原子を有するもの;
・R=下記のものからなるOH基又は加水分解基:
− 1〜6の炭素原子、特に1〜2の炭素原子を有する線形又は枝分かれ又は環状アルコキシ基、
− ハロゲン原子、特に塩素原子、又は
− 1〜4の炭素原子、特に2の炭素原子を有するカルボン酸ラジカル;
・R=下記のものからなる酸素又は少なくとも2価の有機ラジカル:
− 線形又は枝分かれ、好ましくは線形アルキレンラジカル、特に1〜8の炭素原子を有するもの、
− アルキレンエーテル、
− アルキレンチオエーテル、
− アルキレンポリエーテルであって、好ましくは酸化エチレン、酸化プロピレン、酸化ブチレン若しくは酸化スチレン又は酸化物の混合物に基づくもの、又はスタティスティク若しくはブロックポリエーテルに基づくもの、
− アリーレンポリエーテル、
− アルキレンポリエステル、又は
− 有機脂肪族又は芳香族又はアリル脂肪族基、特にそれによって前記基が、エステル及び/若しくはエーテル基に加えて、ウレタン及び/若しくは尿素基を有するもの;
・R=4〜200の珪素ユニット及び珪素原子上にC〜C18のアルキル基を有する単価又は多価ラジカルであって、C〜C18アルキル基が、下記する1つ又は複数の改質基(G)、好ましくは極性改質基(G)によって、部分的に又はお互い独立した場合に交換又は置換され、下記する(i)〜(iv)に基づいてリストアップされた下記する改質基(G1)〜(G4)から選択されるもの:
(i) (ポリ)エーテル基を含み、特に少なくとも一つの酸化アルキレンに基づく基(G1)、
(ii) ポリエステル基を含む基(G2)、
(iii) アリルアルキル基を含む基(G3)、
(iv) 過フッ素化アルキル基を含む基(G4)。
【0029】
本願発明の利益的な具体例は、従属請求項から明らかである。
【0030】
本願発明の決定的に重要な特徴は、基(G4)の極性改質において見られる。上述したように、ポリジアルキルシロキサンラジカル(例えば、シリコン原子上のC〜C13アルキル基のアルキル基は、部分的に且つお互いに独立して、改質、好ましくは極性基(G)によって(移植によって)置換される。この方法において、一方で本願発明の粒子の分散性が改善され、他方で極性が目標に合わせて制御され、適用性も、調整可能である。最後に、この方法において、表面改質は、枢軸的に特に所望の適用性に関して改善される(例えばペンキの引っ掻き抵抗等)。ラジカルRに関する改質基(G)は、適用性又は適用マトリクス及びそれらの含有物(例えばペンキマトリクス)について、それらが利益的に両立できるという、特に不活性又はほとんど反応しないという方法において選択される。好ましい極性改質基(G)は、例えば、商業的に適切な開始材料から開始されるラジカルRに移植することによって(例えば、ヒドロシリル化若しくは付加反応によって、又は縮合反応によって)、混合される。これは、当業者にとって当然のことであり、下記するように、より詳細に記載される。
【0031】
改質基(G)の選択に関する特に好ましい例が、請求項2〜5の主題である。
【0032】
本願発明の表面改質粒子の特別な例が、請求項6の主題である。
【0033】
本願発明の粒子の性能における例外的な上昇は、請求項11及び/若しくは12の主題によるシランで付加的に表面を改質することによって達成される。
【0034】
本願発明の粒子、特にナノ粒子の粒子サイズは、0.1〜1,000nmの範囲内、特に0.5〜500nmの範囲内、好ましくは1〜350nmの範囲内、より好ましくは2〜200nmの範囲内、最も好ましくは100nm以下であり、特には50nm以下である。本願発明によれば、粒子サイズは、透過型電子顕微鏡によって測定される。
【0035】
本願発明によれば、上述した粒子サイズ範囲(0.1〜1,000nmの範囲内、特に0.5〜500nmの範囲内、好ましくは1〜350nmの範囲内、より好ましくは2〜200nmの範囲内、最も好ましくは100nm以下であり、特には50nm以下)内の粒子サイズを有する微粒子状固体は、ナノ粒子として知られている。上述したように、本願発明に関する粒子サイズの測定は、透過型電子顕微鏡(TEM)によって実行される。TEMによる調査は、本願発明の粒子又はナノ粒子の粒子サイズを測定するために実行される。この目的のために、当該ナノ粒子分散は、通常希釈され、炭素グリドル(特に600メッシュカーボンフィルム)に移され、乾燥される。分析は、それぞれのケースにおいて、例えばLEO912透過型電子顕微鏡で実行される。TEM映像の評価は、Soft Imaging System GmbHの会社分析ソフトでデジタル的に実行される。粒子径は、一般的に、粒子又はナノ粒子の測定領域は同一領域の円内で相関関係を算定され、少なくとも1000粒子単位で演算される。最後に、平均値は、その結果から引き出される。
【0036】
請求される粒子、特にナノ粒子は、一般的に、その表面が、反応性、好ましくはシラン反応性又はシロキサン反応性基、特には水酸基であり、改質剤の化学的、好ましくは共有結合に要求されるように配置される。言い換えると、改質された粒子の表面に配される反応性基は、改質剤と反応する。水酸基に加えて、本願発明によれば、別のシラン及び/若しくはシロキサン反応性基、例えばハロゲン(例えば、フッ素又は塩素のような)、又はハロゲン原子を有する基等が考慮されるべきである。
【0037】
特に、粒子は、少なくとも一つの金属及び/若しくは半金属酸化物、水酸化酸化物且つ/又は水酸化物からなる。金属及び/若しくは半金属酸化物、水酸化酸化物且つ/又は水酸化物が、考慮される(例えば、混合された金属及び/若しくは半金属酸化物、水酸化酸化物且つ/又は水酸化物からなる粒子)。例えば、水酸化酸化物及び/若しくは水酸化酸化アルミニウム、水酸化酸化珪素、水酸化酸化亜鉛、及び/若しくは水酸化酸化チタンが、改質粒子又は改質ナノ粒子の製造に使用される。さらに、例えば、水酸化酸化アルミニウムのような水酸化酸化物が、記載された方法によって改質される。同様に、他の無機材料、特に、リン酸塩、硫酸塩、ハロゲン化物、炭酸塩等が適当であり、さらに任意に上述した金属及び/若しくは半金属酸化物、水酸化酸化物且つ/又は水酸化物との混合物である無機塩が適当である。しかしながら、本願発明によれば、上述した書類の金属及び/若しくは半金属酸化物、水酸化酸化物且つ/又は水酸化物が好ましい。
【0038】
本願発明によって使用される粒子、特に酸化、水酸化又は水酸化酸化粒子、特にナノ粒子の製造方法は、例えば、イオン変換工程、プラズマ工程、ゾル/ゲル工程、沈殿、粉砕(例えばミルによって)又は加水分解等のように様々な工程によって実行される。本願発明によれば、その工程によって酸化又は水酸化粒子が製造され、製造された上述された種類の粒子が、表面改質されることは、無関係である。
【0039】
本願発明に関して、発見された革新的な表面改質粒子、特にナノ粒子は、それぞれに本願発明の粒子、本願発明のナノ粒子として示される。本願発明に関して、本願発明の粒子又はナノ粒子の新しい分散が、本願発明の分散として示される。
【0040】
従来技術を考えて、本願発明の基礎を形成する上述したものは、本願発明の粒子によって、本願発明の調剤によって、本願発明の分散によって、且つ本願発明の他の手段によって達成されることは、当業者にとって予見できないものであった。
【0041】
本願発明に粒子の製造及び本願発明の分散は、不便な方法又は工程に係わりのない簡単な方法において実行される。
【0042】
本願発明のナノ粒子は、例えば、熱硬化、放射線硬化、又は2成分コーティング系、熱可塑性樹脂、発泡剤等の製造に適している。
【0043】
本願発明の分散の手段を介して、所望の効果、例えば改良された機械的安定度、言い換えると引っ掻き抵抗を達成するために、いろいろなコーティング系で簡単に測定可能な簡単に処理できる粒子濃縮、特にナノ粒子濃縮を提供することが達成される。
【0044】
本願発明の分散の簡単な測定と同様に、沈殿及びゲル形成に対する分散の高い安定性が、特に高い固体含有物で見出された。
【0045】
本願発明の粒子、特にナノ粒子は、粒子表面にまだ存在可能である官能反応性基が、原子の立体的配置に関する理由について、これらの基と他の官能基との反応が決して実行されないようにシールドされるような方法において基を改質することによって覆われるものである。
【0046】
本願発明の粒子、特にナノ粒子の表面は、少なくとも1種類の改質基で覆われている。改質基の構造は、下記に示される。
【0047】
改質基は、化学的に、好ましくは共有結合的に、粒子表面に結合される。前記改質基は、それぞれの場合に、前記粒子表面と少なくとも一つの化学的、特に共有結合的な結合を形成する異なる構造的要素を有する。さらに、前記改質基は、粒子表面との反応に参加せず且つマトリクス(例えば、他のコーティング成分、樹脂構成物等)に対して等しく本質的に不活性であるスペーサ成分によって構成される。改質基のスペーサ成分は、例えば300〜5,000ダルトンの範囲内の数値平均分子量を有するポリマーから形成される。スペーサーラジカルの構造は線形であることが望ましい。
【0048】
これは、改質剤が、ポリジアルキルシロキサン粒子(先に限定されたラジカルRの成分)と同様に、表面に対する反応する少なくとも1つ又は複数のアンカー基によって構成されることを意味する。前記架橋構造を有するアンカー基は、ポリジアルキルシロキサンの端部に取り付けられるか、又はポリジアルキルシロキサン状の側基として存在することができる。
【0049】
本願発明に用いられる改質剤の構造は、下記するような例によって図解的に示され、図示された例において示されるように、3つの異なる極性置換基又は改質基(G)が、ラジカルR(=ポリジアルキルシロキサン)について選択されたものである(置換基の意味に関して上記限定及び特許請求の範囲を参照):
【0050】
【化2】

【0051】
指標は、アンカー基の数を示し、指標b,c,d....は、ポリジアルキルシロキサン(R4)の側基における極性置換基又は改質基(G)の数を示す。例えば:
a≧1
b+c+d+....≧1
【0052】
上述したように、粒子の表面改質は、一般的に少なくとも1つの化学的、特に共有結合を介して粒子表面に結合され、1つ又は複数のスペーサ成分を有する請求項11及び/若しくは12によるシランで実行される。この様相の詳細については特許請求の範囲を参照すること。
【0053】
本願発明のナノ粒子の製造は、微粒子状、特にナノ粒子状粉末に、改質剤を混合することによって簡単に実行される。改質剤の化学的、特に供給結合を、ナノ粒子の表面に実行することに注意を払わなければならない。これについての状態は、お互いが反応するために官能基の反応性によって導かれ、当業者によって簡単に測定することが可能となる。もし反応が室温で実行されていなくても、改質剤の化学的供給結合的接着は、約1時間、80℃の温度で、ナノ粒子状粉末と改質剤の混合物を加熱することによって達成することができる。
【0054】
本願発明に使用される改質剤の製造は、当業者にはなじみがあるものであり、例えば下記のように達成される。
【0055】
商業的に適当な開鎖且つ環状のポリジメチルシロキサン及びSiH官能ポリジメチルシロキサンから開始し、SiH官能ポリメチルシロキサンが、平衡反応において調製され(例えば、Noll,"Chemie und Technologie der Silicone"「シリコン化学及び技術」Willy/VCH出版, 1984に記載されているように)、次の段階において本願発明に使用される改質剤試薬に変換される。本願発明の内容の範囲内において、SiH官能ポリジメチルシロキサンのSiH基の数は、少なくとも2つでなければならない(アンカー基(R1XR23-xSiR3y)の装着のための少なくとも一つのSiH基及び極性改質の装着のための少なくとも一つSiH基が必要である)。
【0056】
例えば、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−ヘキサデセン及び1−オクタデセンのような不飽和化合物は、例えばヘキサクロロ白金酸、シュパイアー触媒、白金ジビニルテトラメチルジシロキサン複合体又は支持体に装着される白金化合物が存在する適当な触媒を使用する公知の方法によってSiH基を有するポリシロキサンに装着されるものである。ヒドロシリル化の状態は、一般的に知られており、ヒドロシリル化の温度は、使用される触媒によって、室温と200℃の間、好ましくは50℃と150℃の間にあることが望ましい。
【0057】
アルケンの装着に対する類似において、不活性基を有する別の化合物が、それに代えて、ヒドロシリル化の意味の範囲内でSiH基に付加される。例えばポリアルキレングリコールアリルアルキルエーテル(例えば、ポリグリコール AMタイプ、Clariant GmbH)又はトリアルコキシビニルシラン(例えば、Dynasylan VTMO又はDyasylan VTEO,Degussa AG)が,SiH基に付加される。
【0058】
例えば、アリルアルコール、ヘキセノール、アリルグリコール又はビニルヒドロキシブチルエーテル等のエチレンの不飽和アルコールへのε−カプロラクトン及び/若しくはδ−バレロラクトンのようなラクトンの付加化合物が、SiH記に付加される。例えば、これらの化合物は、アルキル化され、又はアシル化される。
【0059】
エチレンの不飽和化合物をSiH基に付加する可能性に加えて、縮合反応においてSiH官能ポリジメチルシロキサンに、ヒドロキシル官能化合物を結合させる可能性もある。例えば、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル(例えば、ブチルポリエチレングリコール)は、この公知の工程において水素ガスの離層で、SiHに縮合される。例えば、アセチルアセトン酸亜鉛は、この反応において触媒として使用される。類似した方法において、他の置換基が、ポリジメチルシロキサン、例えばエステル基を有する基に挿入される。
【0060】
ヒドロシリル化及び縮合反応も、SiH官能ポリジメチルシロキサンを改質するために実行される。結合方法が、改質剤を調製するために使用されることも可能である。
【0061】
ヒドロシリル化(Si−C結合の生成)に対して、Si−O架橋が、縮合反応において形成される。
【0062】
この方法において、ラジカルRは、請求項1の(i)〜(iV)に示されたような極性基(G)を介して改質される。
【0063】
本願発明の粒子、特にナノ粒子は、例えばコーティング材及び合成樹脂に直接的に使用される。しかしながら、本願発明の粒子、特にナノ粒子は、例えば水、溶剤、可塑剤、ワックス、ミネラルオイル及び反応性希釈液及びコーティング及び合成樹脂工業に使用されるその他のキャリヤ媒体への分散の調製に適している。
【0064】
本願発明の分散の調製は、対応して改質された粒子を、歯コロイドミル、溶解機、超音波分散機等のような通常の分散装置を使用して、所望の分散媒体又はキャリヤ又は分散剤に結合することによって実行される。
【0065】
改質剤を粒子分散、特にナノ粒子分散に付加することによって、本願発明の分散が得られる。この方法において、粒子表面、特にナノ粒子表面への改質剤の化学的、特に共有的結合が確実に実行される。1つの分散から別の分散媒体への本願発明の分散の転換は、例えば蒸留によって達成される。この方法は、排除されるべき分散剤で、低い沸点の共沸を形成する適当な共留剤の使用によって簡単に最適化される。
【0066】
強熱残分として測定される本願発明の分散の粒子含有物は、この方法において、ゲル形成又は十分な沈殿なしに、40%を超えるところまで上昇する。
【0067】
本願発明の分散は、典型的なコーティング添加剤、固着剤、架橋剤の領域から選択される少なくとも一つの付加的物質からなるものである。ここで述べられる例は、湿潤且つ分散添加剤及びレオロジー的特性を制御するための添加剤であるだけでなく、脱泡剤、軽量安定器及び触媒である。
【0068】
本願発明の粒子、特にナノ粒子及び本願発明の分散は、極端に広い範囲で利用可能である。本願発明の粒子、特にナノ粒子及び本願発明の分散の特別に高い活性と結合した広い応用性は、十分なゆとりによって従来技術の粒子、特にナノ粒子及び分散を超えている。
【0069】
本願発明の粒子、特にナノ粒子及び分散は、例えばコーティング材料、接着剤、合成樹脂等にさらに加工を加えた従来の系への付加によって使用される。本願発明の粒子、特にナノ粒子の少量の付加及び発明の分散は、結果として達成されたコーティング及び成形の化学的影響に対する付随して上昇する抵抗を有する著しき上昇する機械的安定性を生じる。
【0070】
コーティング及び合成樹脂の加工特性には、あまり影響を及ぼさないので、外部パラメータの再最適化はそれらの使用について必要とされない。
【0071】
本願発明の粒子、特にナノ粒子及びその分散は、コーティング材料、合成樹脂、接着剤、密封剤等における使用に最適である。
【0072】
本願発明のさらなる具体例、改良例及び変形例は、当業者が本願発明の範囲を離れることなく明細書を読み込むことによって容易に理解し認識することができるものである。
【0073】
しかしながら、本願発明は、下記する例によって説明されるが、それは本願発明をいかなる方法においても限定するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0074】
以下、この発明に実施例について説明する。
【実施例1】
【0075】
1.改質剤の調製(改質剤 1−11)
【0076】
【表1】

【0077】
一般的な調製手順:
(A)は、攪拌機、温度計、還流凝縮器及び不活性ガス接続に装着された250mlの4首フラスコに(E)に入れられ、窒素下で80℃まで加熱され、(E)と処理される。(B)は、40分間滴下で付加され、その反応混合物は、30分間120℃で撹拌される。(C)は、20分間にわたって滴下で付加される。付加が完了した後、その反応混合物は、さらに30分間120℃で撹拌される。最後に、(D)は、150分間にわたって滴下で付加され、それに続いて60分間撹拌される。
【0078】
コメント:
シリコンMDH29D86M(化3参照)が、Noll"Chemie und Technologie der Silicone"「シリコン化学及び技術」、Wiley/VCH出版、1984に記載されているような平衡反応において簡単に調製される。
【0079】
【化3】

【実施例2】
【0080】
2.ナノ粒子濃縮物の調製(ナノ粒子濃縮物 1−11)
【表2】

【0081】
一般的調製手順:
(A)は、(B)と、攪拌機、温度計及び環流凝縮器と装着される250ml4首フラスコで処理され、70℃まで加熱された後、(C)が付加される。90分間の反応時間の後、(D)が付加される。その後、真空が適用され、100gの溶剤混合物が、70℃の温度で排除される。(E)及び(F)が、連続して追加され、撹拌が120分間70℃で継続される。(G)が最終的に追加される。真空下で60g溶剤混合物の分離によって、21.7%のナノ粒子混合物が達成される。
【実施例3】
【0082】
3.応用例(応用例 1−11)
2成分自動車修理系
【0083】
【表3】



Macrynal SM 515/70BAC (ヒドロキシル官能ポリアクリラート):UCB
TinStab BL277 (ジブチル錫ジラウレート):Akcros Chemicals
Desmodur N 3390(脂肪酸ポリイソシアネート):Bayer AG
【0084】
それぞれの構成材料の成分は、最初に混合される。コーティングの後直ぐに、2つの成分1及び2が混合された。コーティング系の応用は、PMMAプレート(200mm×400mm)にスプレー塗布することによって実行された。室温で1時間の蒸発の後、60℃での強制乾燥が12時間実行された。達成されたコーティングの膜厚は、約45μmであった。
【0085】
引っ掻き抵抗は、引っ掻き抵抗のための摩擦試験装置(CM−5型、AT−LAS)でテストされた。この目的のために、コーティングされたプレートは、会社3Mの研磨布(3M、研磨布、グレード;9mic)で、再生するように研磨された(付加力:9N)。引っ掻き抵抗の評価は、テストシートの非研磨部位との比較で研磨された部位の光沢度を測定することによって実行された。その結果は、残留光沢度としてパーセントで報告された。前記光沢度は、会社BYK-GARDNERのmicro-TRI-Gloss装置で測定された。観測角度は、85°に設定された。
【0086】
コーティング表面の品質、特にコーティング材料の流動性は、スケール1〜5を使用して光学的に評価された。1の値は、コーティングの良好な流動性に対応し、5の値は、コーティングの悪い流動性に対応し、それはオレンジの皮のような表面として示される。
【0087】
【表4】

【実施例4】
【0088】
4.改質剤の調製(改質剤12)
下記する平均的構造を有する100gのSiH官能ポリシロキサンは、ヒータ、内部温度計、攪拌機及び防護ガス接続に装着される250mlの4首フラスコに入れられる。
【0089】
【化4】

【0090】
このシリコンは、Noll "Chemie und Technologieder Silicone"「シリコン化学及び技術」、Wiley/VCH出版、1984に記載されているような平衡反応において簡単に調製される。
【0091】
前記シリコンは、窒素下において70°まで加熱され、10ppmのヘキサクロロIV白金酸が加えられる。それから、251gのポリ(オキシエチレン)グリコール−ア−メチル−オ−アリルエーテル(Uniox PKA-5009 NOF Europe)が、反応温度が80℃を超えないように付加される。それから、73gのビニルトリエトキシシラン(例えば、Geniosil XL10, Wacker Chemie GmbH)が付加される。温度が80℃を超えないように注意しなければならない。付加の後、反応混合物は、80℃で1時間撹拌される。それら真空が適用され、約2gの未反応のビニルトリメトキシシラン及びポリシロキサンの容易に揮発する成分が、蒸留分離される。製品は、低い粘度であり、琥珀色を有する。
【実施例5】
【0092】
5.ナノ粒子濃縮の調製(ナノ粒子濃縮12)及び対応する比較物
40gのナノスケール酸化アルミニウムが、4gの改質剤試薬で、予め調製された試薬(改質剤12)から調理用ミキサーにおいて処理される。それから、その混合物は、1分間均質化される。改質剤試薬でコートされた粉末は、80℃で1時間加熱される。40gの改質されたナノ粒子は、56.8gのメトキシルプロピルアセタート及び3.2gの湿潤及び分散助剤(BYK-9077, BYK-Chemie GmbH)の溶液に撹拌され、超音波で分散される。これによって得られた分散は、低い粘度を有し、28日間の貯蔵の後、ゲル生成又は沈殿に対していかなる傾向も示さないものである。
【実施例6】
【0093】
6.応用例
UVクリヤワニス
【0094】
【表5】


1: Sartomer Company Inc
2: Lamberti S.p.A. chemical specialties
【0095】
クリヤワニスのそれぞれの成分は、均質的に混合され、少なくとも12時間室温、暗所で貯蔵される。
【0096】
ワニスは、25μm螺旋アプリケータで、PVCシートに塗布され、15分間水分を飛ばした。ワニスの硬化は、UV機能において実行された。ワニスは、120W/cmの放射密度で、5.0m/minのベルトスピードで全体的に2回処理された。
【0097】
3日間の貯蔵時間の後、コートされたPVCシートは、商標KIWI(KIWI茶色)の靴墨で汚損された。30及び60分後及び24時間後に、靴墨が、乾布で手によって排除され、テスト部位が光学的に評価された。
【0098】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に、反応基、特に水酸基を有する表面改質粒子、特にナノ粒子、且つ/又は金属、半金属酸化物、水酸化物及び/若しくは水酸化酸化物を具備する粒子、特にナノ粒子であって、該粒子が、その表面にポリシロキサンベースの改質剤を有し、特にポリシロキサンベースの改質剤と、好ましくは化学的共有結合でその表面に反応した粒子において、
前記改質剤は、
【化1】


の一般的な化学式で示されるポリシロキサンであり、該化学式において:
・x=0〜2、特にx=0;
・y=1〜10、特にy=2〜5;
・R=1〜18、特に1〜10、さらには1〜3の炭素原子を有する1価の有機ラジカル;
・R=下記のものからなるOH基又は加水分解基:
− 1〜6、特に1〜2の炭素原子を有する線形又は分岐又は環状アルコキシ基、
− ハロゲン原子、特に塩素原子、又は
− 1〜4、特に1〜2の炭素原子を有するカルボン酸ラジカル;
・R=下記のものからなる酸素又は少なくとも二価の有機ラジカル:
− 1〜8の炭素原子を有する線形又は分岐、好ましくは線形アルキレンラジカル、
− アルキレンエーテル、
− アルキレンチオエーテル、
− アルキレンポリエーテルであって、好ましくは酸化エチレン、酸化プロピレン、酸化ブチレン若しくは酸化スチレン又は酸化物の混合物に基づくもの、又はスタティスティク若しくはブロックポリエーテルに基づくもの、
− アリーレンポリエーテル、
− アルキレンポリエステル、又は
− 有機脂肪族又は芳香族又はアリル脂肪族基であって、特にそれによって前記基が、エステル及び/若しくはエーテル基に加えて、ウレタン及び/若しくは尿素基を有するもの;
・R=4〜200の珪素ユニット及び珪素原子上にC〜C18のアルキル基を有する単価又は多価ラジカルであって、C〜C18アルキル基が、下記する1つ又は複数の改質基(G)、好ましくは極性改質基(G)によって、部分的に又はお互い独立した場合に交換又は置換され、下記する(i)〜(iv)に基づいてリストアップされた下記する改質基(G1)〜(G4)から選択されるもの:
(i) (ポリ)エーテル基を含み、特に少なくとも一つの酸化アルキレンに基づく基(G1)、
(ii) ポリエステル基を含む基(G2)、
(iii) アリルアルキル基を含む基(G3)、
(iv) 過フッ素化アルキル基を含む基(G4):
であること特徴とする表面改質粒子。
【請求項2】
(ポリ)エーテル基を有する前記基(G1)は、一般的化学式
【化2】


で示される少なくとも一つの酸化アルキレンに基づいており、
該化学式において示されるラジカルR’が、水素原子、フェニルラジカル又はアルキルラジカルを示し、又はこれら酸化アルキレンの少なくとも2つの混合物に基づいており、且つ
(ポリ)エーテル基を有する基(G1)が、116〜15,000ダルトンの範囲内の分子量を有し、且つ
ポリジアルキルシロキサンと、改質基(G1)との質量比が、12:1〜0.07:1の範囲内にあることを特徴とする請求項1記載の表面改質粒子。
【請求項3】
ポリエステル基を有する基(G2)が、脂肪族及び/若しくは脂環式及び/若しくは芳香族ポリエステル基を有する基、又は、これら基の1つを有する基であること;且つ/又は
ポリエステル基を有する基(G2)が、
【化3】


及び/若しくは
【化4】


の少なくとも3つの基を有すること;且つ/又は
ポリエステル基を有する基(G2)が、344〜4,000ダルトンの範囲内、好ましくは500〜2,000ダルトンの範囲内、より好ましくは500〜1,500ダルトンの範囲の分子量を有すること;且つ/又は
ポリ(ジ)アルキルシロキサン及び改質基(G2)の質量比が、1:5〜1:0.05の範囲内、好ましくは1:2〜1:0.2の範囲内であることを特徴とする請求項1又は2に記載の表面改質粒子。
【請求項4】
アリルアルキル基を有する基(G3)は、フェニルプロピル基、特に2−フェニルプロピル基、又はこの基を有する基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の表面改質粒子。
【請求項5】
過フッ素化アルキル基を含む基(G4)が、3〜8の炭素原子を有する過フッ素化アルキル基であり、若しくはこの基を有する基であること、且つ/又は
過フッ素化アルキル基を含む基(G4)が、3〜8の炭素原子を有するテトラヒドロ過フッ素化アルキル基、特に1,1,2,2−テトラヒドロ過フッ素化アルキル基であり、若しくはこの基を有する基であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の表面改質粒子。
【請求項6】
表面に、反応基、特に水酸基を有する表面改質粒子、特にナノ粒子、且つ/又は金属、半金属酸化物、水酸化物及び/若しくは水酸化酸化物を具備する粒子、特にナノ粒子であって、該粒子が、その表面にポリシロキサンベースの改質剤を有し、特にポリシロキサンベースの改質剤と、好ましくは化学的共有結合でその表面に反応した請求項1〜5のいずれか1つに記載の粒子において、
前記改質剤は、
【化5】


の一般的な化学式で示されるポリシロキサンであり、該化学式において:
・x=0〜2、特にx=0;
・y=1〜10、特にy=2〜5;
・R=1〜18、特に1〜10、さらには1〜3の炭素原子を有する1価の有機ラジカル;
・R=下記のものからなるOH基又は加水分解基:
− 1〜6、特に1〜2の炭素原子を有する線形又は分岐又は環状アルコキシ基、
− ハロゲン原子、特に塩素原子、又は
− 1〜4、特に1〜2の炭素原子を有するカルボン酸ラジカル;
・R=下記のものからなる酸素又は少なくとも二価の有機ラジカル:
− 1〜8の炭素原子を有する線形又は分岐、好ましくは線形アルキレンラジカル、
− アルキレンエーテル、
− アルキレンチオエーテル、
− アルキレンポリエーテルであって、好ましくは酸化エチレン、酸化プロピレン、酸化ブチレン若しくは酸化スチレン又は酸化物の混合物に基づくもの、又はスタティスティク若しくはブロックポリエーテルに基づくもの、
− アリーレンポリエーテル、
− アルキレンポリエステル、又は
− 有機脂肪族又は芳香族又はアリル脂肪族基であって、特にそれによって前記基が、エステル及び/若しくはエーテル基に加えて、ウレタン及び/若しくは尿素基を有するもの;
・R=4〜200の珪素ユニット及び珪素原子上にC〜C18のアルキル基を有する単価又は多価ラジカルであって、C〜C18アルキル基が、下記する1つ又は複数の改質基(G)、好ましくは極性改質基(G)によって、部分的に又はお互い独立した場合に交換又は置換され、下記する(i)〜(iv)に基づいてリストアップされた下記する改質基(G1)〜(G4)から選択されるもの:
(i) (ポリ)エーテル基を含み、特に少なくとも一つの酸化アルキレンに基づき、特に
【化6】


で示される少なくとも一つの酸化アルキレンに基づく基(G1)であって、
該化学式において示されるラジカルR’が、水素原子、フェニルラジカル又はアルキルラジカルを示し、又はこれら酸化アルキレンの少なくとも2つの混合物に基づいており、
特に、(ポリ)エーテル基を有する基(G1)が、116〜15,000ダルトンの範囲内、好ましくは160〜4,000ダルトンの範囲内、より好ましくは250〜2,500ダルトン範囲内の分子量を有し、且つ/又は
ポリジアルキルシロキサンと、改質基(G1)との質量比が、12:1〜0.07:1の範囲内、好ましくは2:1〜0.5:1の範囲内にあるもの;
(ii) 脂肪族及び/若しくは脂環式及び/若しくは芳香族ポリエステル基を有する基、又は、これら基の1つを有する基から選択されるポリエステル基を含む基(G2)であって、
ポリエステル基を有する基(G2)が、
【化7】


及び/若しくは
【化8】


の少なくとも3つの基を有し、
ポリエステル基を有する基(G2)が、344〜4,000ダルトンの範囲内、好ましくは500〜2,000ダルトンの範囲内、より好ましくは500〜1,500ダルトンの範囲の分子量を有し、且つ/又は
ポリ(ジ)アルキルシロキサン及び改質基(G2)の質量比が、1:5〜1:0.05の範囲内、好ましくは1:2〜1:0.2の範囲内であるもの;
(iii) 好ましくはフェニルプロピル基、特に2−フェニルプロピル基、又はこの基を有する基であるアリルアルキル基を含む基(G3);
(iv) 3〜8の炭素原子を有する過フッ素化アルキル基であり、若しくはこの基を有する基であり、及び/若しくは、3〜8の炭素原子を有するテトラヒドロ過フッ素化アルキル基、特に1,1,2,2−テトラヒドロ過フッ素化アルキル基であり、若しくはこの基を有する基である過フッ素化アルキル基を含む基(G4);
であることを特徴とする表面改質粒子。
【請求項7】
改質剤の留分は、表面改質粒子の総重量に対して0.01〜50重量%、好ましくは0.05〜30重量%、より好ましくは0.1〜15重量%であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の表面改質粒子。
【請求項8】
前記粒子は、それらの表面に反応性基を有し、特に、好ましくはヒドロキシル基、ハロゲン原子及びハロゲン原子を有する基の群から選択されたシラン反応性及び/若しくはシロキサン反応性基を有する無機ベース粒子であること、且つ/又は、前記粒子は、それらの表面にヒドロキシル基を有する無機ベース粒子であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の表面改質粒子。
【請求項9】
前記粒子は、少なくとも一つの金属又は半金属、又は混合物の少なくとも一つの酸化物、水酸化物及び/若しくは水酸化酸化物、又はその化合物の組み合わせからなり、又は、これらの化合物、特にアルミニウム、シリコン、亜鉛及び/若しくはチタンの少なくとも一つの酸化物、水酸化物及び/若しくは水酸化酸化物を具備し、又はこれらの化合物を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の表面改質粒子。
【請求項10】
前記粒子は、透過電子顕微鏡によって測定された0.1〜1,000nmの範囲内、好ましくは0.5〜500nm、より好ましくは1〜350nm、さらに好ましくは2〜200nm、特に好ましくは100nm以下、最も好ましくは50nm以下の粒子サイズを有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の表面改質粒子。
【請求項11】
前記粒子は、
【化9】


の一般的化学式で示されるシランで付加的に改質されることを特徴とし、且つ
前記化学式において、
・x’=1〜3;
・R=1〜18、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜3の炭素原子を有する線形又は分岐又は環状有機ラジカル;
・R=ヒドロキシル基又は加水分解基であって、
1〜6、特に1〜2の炭素原子を有する線形又は分岐又は環状アルコキシ基、ハロゲン原子、特に塩素原子、又は
1〜4の炭素原子、好ましくは2炭素原子を有するカルボン酸ラジカルからなり又は具備するもの;
であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載の表面改質粒子。
【請求項12】
前記粒子は、
【化10】


の一般的化学式で示されるシランで付加的に改質されることを特徴とし、且つ
前記化学式において:
・x”=1〜3;
・R=ヒドロキシル基又は加水分解基であって、
1〜6,特に1〜2の炭素原子を有する線形又は分岐又は環状アルコキシ基、
ハロゲン原子、特に塩素原子、又は
1〜4、特に2の炭素原子を有するカルボン酸ラジカルからなり又は具備するもの;
・R=酸素又は少なくとも二価の有機ラジカルであって、
特に1〜8の炭素原子を有する線形又は分岐、好ましくは線形のアルキレンラジカル、
アルキレンエーテル、
アルキレンチオエーテル、
アルキレンポリエーテルであって、好ましくは酸化エチレン、酸化プロピレン、酸化ブチレン若しくは酸化スチレン、又は酸化物の混合物に基づくもの、又は素他ティスティック又はブロックポリエーテルに基づくもの、
アリーレンポリエーテル、
アルキレンポリエステル、又は
有機脂肪族又は芳香族又はアリル脂肪族基であって、特にエステル及び/若しくはエーテル基に加えてウレタン及び/若しくは尿素基を具備するもの;
・R=二価の有機基であって、130〜5,000ダルトンの範囲内の分子量を有し、
ポリエーテル基であって、酸化エチレン、酸化プロピレン、酸化ブチレン若しくは酸化スチレン、又はこれら酸化物の混合物からなり又は具備するもの、
脂肪酸及び/若しくは脂環式及び/若しくは芳香族ポリエステル基であって、
ポリエステル基を有する基(G2)が、
【化11】


及び/若しくは
【化12】


の少なくとも3つの基を有するもの;
・R10=アルキル基又はアセトキシ基又はラジカルO−R11であって、R11が1〜18の炭素原子を有するアルキル基であり、又はラジカル−O−CO−NH−R12であって、R12が1〜18の炭素原子を有するアルキル基であるもの;
であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1つに記載の表面改質粒子。
【請求項13】
表面に、反応基、特に水酸基を有する表面改質粒子、特にナノ粒子、且つ/又は金属、半金属酸化物、水酸化物及び/若しくは水酸化酸化物を具備する粒子、特にナノ粒子であって、該粒子が、その表面にポリシロキサンベースの改質剤を有し、特にポリシロキサンベースの改質剤と、好ましくは化学的共有結合でその表面に反応した粒子であって、請求項1〜12のいずれか1つに記載の粒子の製造方法において、
【化13】


の一般的な化学式で示されるポリシロキサンが、改質剤として使用されることを特徴とする表面改質粒子の製造方法。
【請求項14】
前記改質剤は、得られた表面開始粒子の総重量に対して、0.01〜50重量%、好ましくは0.05〜30重量%、より好ましくは0.1〜15重量%の量で使用されることを特徴とする請求項13記載の表面改質粒子の製造方法。
【請求項15】
前記粒子は、
【化14】


の一般的化学式で示されるシランで、付加的に改質されたことを特徴とする請求項13又は14に記載の表面改質粒子の製造方法。
【請求項16】
前記粒子は、
【化15】


の一般的化学式で示されるシランで、付加的に改質されたことを特徴とする請求項13〜15のいずれか1つに記載の表面改質粒子の製造方法。
【請求項17】
それらの表面に反応性基、特にヒドロキシル基を有する無機ベース粒子が粒子として使用され、且つ/又は、少なくとも一つの金属又は半金属の少なくとも一つの酸化物、水酸化物及び/若しくは水酸化酸化物からなり、又はその化合物の混合物又は組み合わせを具備する粒子、特にアルミニウム、シリコン、亜鉛及び/若しくはチタンの酸化物、水酸化物及び/若しくは水酸化酸化物からなる粒子が粒子として使用され、且つ/又は、さらに金属及び/若しくは半金属酸化物、水酸化物及び/若しくは水酸化酸化物の少なくとも一つを有する混合物において、有機塩、特にリン酸塩、硫酸塩、ハロゲン化物及び/若しくは炭酸塩の少なくとも一つを具備する粒子が粒子として使用されることを特徴とする請求項13〜16のいずれか1つに記載の表面改質粒子の製造方法。
【請求項18】
フィラーとしての請求項1〜12のいずれか1つに記載の表面改質粒子の使用。
【請求項19】
コーティング材料及びコーティング系、特にペンキ、着色料、すべての種類の分散、合成樹脂、発泡剤、化粧品、特にマニキュア液、接着剤及び密封剤における請求項1〜12のいずれか1つに記載の表面改質粒子の使用。
【請求項20】
キャリヤ又は分散媒体における請求項1〜12のいずれか1つに記載の表面改質粒子を具備する分散。
【請求項21】
請求項1〜12のいずれか1つに記載の表面改質粒子を具備するコーティング材料及びコーティング系、特にペンキ、着色料、合成樹脂、発泡剤、化粧品、特にマニキュア液、接着剤及び密封剤。


【公表番号】特表2010−500422(P2010−500422A)
【公表日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−523168(P2009−523168)
【出願日】平成19年7月16日(2007.7.16)
【国際出願番号】PCT/EP2007/006273
【国際公開番号】WO2008/017364
【国際公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(596089399)ビック−ケミー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (21)
【Fターム(参考)】