表面板と主桁を連結する合成セグメント、合成セグメントの製造方法およびトンネル
【課題】内部連結作業が省略できる合成セグメント、このセグメントを組み合わせた覆工を備えるトンネル、および合成セグメントの製造方法を提供する。
【解決手段】鋼殻11と、その内部に充填される充填材12とを有し、複数のピースを組み合わせてトンネル覆工に利用される表面板と主桁を連結する合成セグメント10であって、鋼殻は、周方向に沿って互いに対向する主桁13と、主桁の周方向両端部同士を連結する一対の継手板14と、トンネル地山側および内空側の何れかにて対向する主桁に渡って設けられる表面板15G,15Sと、主桁の鋼殻内側表面に設けられてトンネル軸方向に沿って延びる接続ピース13A,13Bと、表面板の鋼殻内側表面に設けられて接続ピースに対して間隔をあけて対向する受けピース17とを備え、これらの主桁、継手板および表面板で少なくとも5面が囲まれた内部に充填材が充填され、各ピースは充填材により一体化される。
【解決手段】鋼殻11と、その内部に充填される充填材12とを有し、複数のピースを組み合わせてトンネル覆工に利用される表面板と主桁を連結する合成セグメント10であって、鋼殻は、周方向に沿って互いに対向する主桁13と、主桁の周方向両端部同士を連結する一対の継手板14と、トンネル地山側および内空側の何れかにて対向する主桁に渡って設けられる表面板15G,15Sと、主桁の鋼殻内側表面に設けられてトンネル軸方向に沿って延びる接続ピース13A,13Bと、表面板の鋼殻内側表面に設けられて接続ピースに対して間隔をあけて対向する受けピース17とを備え、これらの主桁、継手板および表面板で少なくとも5面が囲まれた内部に充填材が充填され、各ピースは充填材により一体化される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のセグメントピースを組み合わせてトンネル覆工に利用される合成セグメント、その製造方法、この合成セグメントを組み合わせたトンネル覆工を備えるトンネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、合成セグメントは、鋼殻(鋼材で形成された外殻)の内部に中詰めコンクリートを充填して構成される。鋼殻を形成する鋼材としては、円弧状をなす一対の主桁と、主桁の両端部に渡って固定される一対の継手板と、一対の主桁に渡って設けられる円筒面状のスキンプレートとが用いられる(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
特許文献1に記載された合成セグメントでは、前述した一対の主桁、一対の継手板、トンネル地山側に配置される地山側の表面板(スキンプレート)を有し、鋼殻は5面の鋼材で構成される。
特許文献2に記載された合成セグメントでは、地山側の表面板に加えて、トンネル内空側に配置される内空側の表面板を有し、鋼殻は6面の鋼材で構成される。
【0003】
これらの合成セグメントにおいては、表面板の内空側にH鋼(例えば、特許文献1)あるいは頭付アンカーを用いたジベル(例えば、特許文献2)が設置され、中詰めコンクリート内に対するずれ止めが図られている。このようなずれ止めにより、主桁などの鋼材と中詰めコンクリートとのずれを防止し、外力に対して一体的に挙動させる合成効果が得られることで、剛性や耐力を向上させつつ薄型化が可能な高性能の合成セグメントが実現できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−27894号公報
【特許文献2】特開平3−59300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の合成セグメントでは、鋼殻を形成する主桁と表面板との連結にあたって、地山側に露出する周縁を溶接等するのみならず、内部構造において荷重伝達がなされるように構成されていた。例えば、特許文献1では、ずれ止め用のH鋼は、地山側の表面板の内面に固定されているとともに、表面板と主桁とを連結する際に、H鋼の端部を主桁の内空側面に溶接あるいはボルト締結等して固定される。
【0006】
しかし、このようなセグメント内部での溶接あるいはボルト締結等の連結作業が必要となることで、製造にあたっての作業工数の低減ができず、このような内部連結作業の解消が求められていた。特に、特許文献2のような6面を鋼材で囲まれる合成セグメントでは、内部空間が密閉されるため、最後の鋼材に関しては他との内部連結が作業的に困難である。
このため、例えば、内空側の表面板を最後に取り付ける場合、他の鋼材と同表面板との内部連結が省略され、同表面板と他の鋼材あるいは中詰めコンクリートとの一体性が十分に確保できないことになる。また、主桁あるいは継手板を最後に取り付ける場合、内外一対の表面板の一体性が確保できるものの、これら一対の表面板で挟まれる狭い空間で前述した内部連結作業を行うことは大きな困難が伴っていた。
【0007】
本発明の目的は、内部連結作業が省略できる合成セグメント、この合成セグメントの製造方法、およびこの合成セグメントを組み合わせたトンネル覆工を備えるトンネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の合成セグメントは、鋼殻と、その内部に充填される充填材とを有して構成されるとともに、複数のピースを組み合わせてトンネル覆工に利用される表面板と主桁を連結する合成セグメントであって、前記鋼殻は、トンネル周方向に沿って延びて互いに対向する主桁と、これら主桁のトンネル周方向両端部同士を連結する一対の継手板と、トンネル地山側およびトンネル内空側の少なくとも何れかにて前記主桁に渡って設けられる表面板とが設けられ、前記主桁の前記鋼殻内側表面にはトンネル軸方向に沿って延びる接続ピースが設けられ、前記表面板の前記鋼殻内側表面には、前記主桁近傍に、前記接続ピースに対して間隔をあけて対向するとともに、トンネル軸方向の前記主桁に面する端部において前記主桁内面と隙間をもって配置される受けピースが設けられ、これらの前記主桁、継手板および表面板で少なくとも5面が囲まれた内部に前記充填材が充填され、前記接続ピースと前記受けピースとは、トンネル軸方向に渡りラップするように配置され、前記接続ピースと前記受けピース各々の間および各々の周囲に充填される前記充填材により一体化されている。
【0009】
本発明において、受けピースはいわゆる接続用のブラケットのような、単独で表面板の辺縁に設けられるものでよい。この際、受けピースには、表面板から起立する部分に加えて、表面板に対して間隔をあけて対向する部分を確保することで、トンネルの周方向および径方向に交差するため、各方向にずれ止めとしての作用が十分に得られ、主桁と表面板との連結に必要十分な性能を得ることができる。
このような本発明によれば、接続ピースと受けピースとが充填材により一体化されることで主桁と表面板との鋼殻内部での連結が行われる。主桁と表面板とは通常は溶接により連結されるが、溶接部のみでは連結剛性が低く、十分な荷重伝達がなされない。この本発明の連結は、予め主桁に接続ピースを形成しかつ表面板に受けピースを形成しておき、これらの主桁と表面板とを鋼殻となるべく配置し、これにより接続ピースと受けピースとを対向させた状態で鋼殻内に充填材を充填することで行われる。つまり、主桁と表面板とを連結するために、従来のように溶接や締結などの局所的な操作が連結部位毎に個別に必要となることはなく、複数の箇所を一気に連結することができる。このため、本発明によれば、製造にあたっての作業効率を飛躍的に向上できるととともに、鋼殻内の奥まった部位の連結も何ら支障なく実施することができる。
【0010】
本発明の合成セグメントにおいて、前記表面板における前記鋼殻内側表面には、当該表面から突出するとともにトンネル軸方向に沿って延びる複数の地山側もしくは内空側リブ材が設けられ、前記地山側もしくは内空側リブ材の端部により前記受けピースが形成されていることが望ましい。 このような本発明によれば、地山側もしくは内空側リブ材がずれ止めとして作用し、充填材との一体性を確保することができるとともに、この地山側もしくは内空側リブ材の端部を利用して受けピースを構成することで、部材兼用による構造の簡略化を図ることができる。
【0011】
本発明の表面板と主桁を連結する合成セグメントにおいて、前記複数のリブ材は、トンネル軸方向の両端部において前記受けピース材が形成されていることが好ましい。
このような本発明によれば、リブ材のずれ止め機能が拡大して充填材との一体性の効果がさらに高まりセグメントの性能を向上させることができる。
【0012】
本発明の表面板と主桁を連結する合成セグメントにおいて、前記複数のリブ材は、それぞれ前記表面板から起立するウェブ部と、前記ウェブ部に連続しかつ前記表面板と対向するフランジ部とを有し、前記ウェブ部は、一対の前記接続ピースにより、トンネル周方向に間隔をあけて対向するように配置されるとともに、少なくとも一つの前記接続ピースは、前記フランジ部と前記表面板との間に挿入されて前記フランジ部および前記表面板と間隔をあけて対向されているものとすることができる。 ここで、ウェブ部とフランジ部とを有するリブ材としては、例えば断面L字状の形鋼、断面T字状の形鋼、あるいは断面コ字状の形鋼など、汎用の形鋼を用いることができる。
このような本発明では、形鋼が入手容易であり、実施が容易にできるとともに、リブ材をトンネルの軸方向に配置することで、ウェブ部とフランジ部とがトンネルの周方向および径方向に交差し、ずれ止めとしての作用が十分に得られる。さらに、リブ材の端部のウェブ部およびフランジ部が受けピースとなり、接続ピースがウェブ部と対向することでトンネル周方向の荷重伝達が担保され、フランジ部および表面板と対向することでトンネル径方向の荷重伝達が担保され、主桁と表面板との連結に必要十分な性能を得ることができる。
【0013】
本発明の表面板と主桁を連結する合成セグメントにおいて、前記複数のリブ材は、それぞれ前記表面板に固定された筒状もしくは前記表面板とで構成される閉塞部が形成される閉断面部材であり、前記接続ピースは、前記閉断面部材の内側に挿入されて周囲と間隔をあけて対向されているものとしてもよい。
ここで、リブ材として用いる筒状の部材としては、例えば断面正方形あるいは断面長方形の形鋼、断面円形あるいは他の多角形の形鋼などを用いることができる。なかでも、断面形状においてトンネルの周方向および径方向に交差する部分が大きく確保できるもの、例えば断面正方形あるいは長方形のものが望ましい。なお、断面コ字状の形鋼を、その開口側が表面材側となるように接合することで、結果として断面が筒状をなすようにしてもよい。
このような本発明では、筒状のリブ材の端部が受けピースとなり、その内側に挿入される接続ピースと充填材により一体化される。この際、筒状のリブ材はトンネルの周方向および径方向に交差するため、各方向にずれ止めとしての作用が十分に得られ、主桁と表面板との連結に必要十分な性能を得ることができる。
【0014】
本発明の表面板と主桁を連結する合成セグメントにおいて、前記鋼殻は、トンネル地山側およびトンネル内空側に設けられた一対の表面板を有し、これらの主桁、継手板および表面板で6面が囲まれた内部に前記充填材が充填され、前記一対の表面板の前記鋼殻内側表面にそれぞれ設けられた前記地山側および内空側リブ材が剪断補強材で互いに連結されていることが望ましい。
本発明は、内部連結の簡素化という点で5面の鋼殻でも有効性が期待できるが、内部が密閉される6面の鋼殻においては一層有効性が期待できる。すなわち、6面の鋼殻では、従来最後の一面の鋼材は他との内部連結が困難であるが、本発明によれば、6面を閉じた状態でも充填材の充填により内部の接続ピースおよび受けピースの各々が互いに連結され、6面の鋼殻でありながら鋼殻内部の構造全てが相互に連結されたものとすることができる。
【0015】
本発明における表面板と主桁を連結する合成セグメントにおいて、前記鋼殻は、トンネル地山側およびトンネル内空側に設けられた一対の表面板を有し、これらの主桁、継手板および表面板で6面が囲まれた内部に前記充填材が充填され、前記一対の表面板の前記鋼殻内側表面に設けられた前記内空側リブ材のうち、前記トンネル地山側に設けられる地山側リブ材と前記トンネル内空側に設けられる内空側リブ材とがトンネル径方向に対向しないずれた位置に設けられていることが望ましい。
このような本発明によると、地山側表面板に地山側リブ材を設けることで充填材との一体性をより一層向上させることができ、内外面に設けられたリブ材をトンネル径方向に対向させないことによって、ひび割れ誘発点となるリブ材の相互距離を長く確保されることから、ひび割れ長さを長くすることができ、セグメントの性能が向上する。
【0016】
本発明のトンネルは、前述した本発明の表面板と主桁を連結する合成セグメントを組み合わせたトンネル覆工を備えることを特徴とする。
このような本発明では、前述した合成セグメント自体の製造の容易さ、製造コストの低さに基づいて、トンネルとしての施工コスト低減および工期短縮を図ることができる。
【0017】
本発明の表面板と主桁を連結する合成セグメントの製造方法は、鋼殻と、その内部に充填される充填材とを有して構成されるとともに、複数のピースを組み合わせてトンネル覆工に利用される合成セグメントの製造方法であって、トンネル周方向に沿って延びて互いに対向する主桁と、これら主桁のトンネル周方向両端部同士を連結する一対の継手板と、トンネル地山側およびトンネル内空側の少なくとも何れかにて前記一対の主桁に渡って設けられる表面板と、前記主桁の前記鋼殻内側表面に設けられてトンネル軸方向に沿って延びる接続ピースと、前記表面板の前記鋼殻内側表面に設けられて前記接続ピースに対して間隔をあけて対向する受けピースとを製造し、前記表面板における前記鋼殻内側表面に受けピースを固定する工程と、前記主桁における前記鋼殻内側表面に前記接続ピースを固定する工程と、前記受けピースと前記表面板との間に接続ピースを一括挿入する工程を経て、前記主桁、一対の継手板および表面板により少なくとも5面が囲まれた前記鋼殻を形成し、前記鋼殻の内部に前記充填材を充填し、前記接続ピースと前記受けピースとを各々の間および各々の周囲に充填される前記充填材により一体化することを特徴とする。
このような本発明では、主桁と表面板との内部での連結が、充填材の充填により一括して行われる。このため、接続ピースと受けピースとの個別連結といった煩雑な作業を解消することができ、合成セグメントの製造効率を飛躍的に向上することができ、合成セグメントの製造コストも大幅に低減できる。
【0018】
本発明の表面板と主桁を連結する合成セグメントの製造方法において、前記鋼殻を形成する際に、先ず一方の前記主桁を水平に載置し、その周縁に沿って前記一対の表面板および一対の継手板を立て、これらの上縁に充填材を充填する複数の開口孔が設けられた他方の前記主桁を接続することにより6面が囲まれた前記鋼殻を形成し、前記開口孔から鉛直方向下向きに前記充填材を充填することが望ましい。
このような本発明では、何れかの表面板を下にして載置する場合よりも作業場所の占有面積を縮小することができ、何れかの継手板を下にして載置する場合のような不安定さがなく、作業性を向上することができるとともに、鋼殻の製作組み立てから充填材の充填までを製品の姿勢を代えずに一貫して行なえることから、合成セグメントの製造効率を飛躍的に向上することができ、合成セグメントの製造工期や製造コストも大幅に低減できる。
【発明の効果】
【0019】
以上のような本発明の合成セグメント、その製造方法およびトンネルによれば、主桁と表面板との内部での連結が、充填材の充填により一括して行われる。このため、接続ピースと受けピースとの個別連結といった煩雑な作業を解消することができ、合成セグメントの製造効率を飛躍的に向上することができ、合成セグメントの製造コストも大幅に低減できる。さらに、本発明のトンネルによれば、前述した合成セグメント自体の製造の容易さ、製造コストの低さに基づいて、トンネルとしての施工コスト低減および工期短縮を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の合成セグメントを用いたトンネル覆工とそのセグメントが現場架設される状況を示す概略斜視図である。
【図2】第1実施形態に係る合成セグメントを示す一部省略した斜視図である。
【図3】前記第1実施形態の合成セグメントを示す断面図である。
【図4】前記第1実施形態の合成セグメントの組み立てを示す斜視図である。
【図5】前記第1実施形態の合成セグメントの組み立てを示す斜視図である。
【図6】前記第1実施形態の合成セグメントの組み立てを示す斜視図である。
【図7】前記第1実施形態の合成セグメントの組み立てを示す斜視図である。
【図8】前記第1実施形態の合成セグメントの組み立てを示す斜視図である。
【図9】第2実施形態に係る合成セグメントを示す断面図である。
【図10】第3実施形態に係る合成セグメントを示す断面図である。
【図11】第4実施形態に係る合成セグメントを示す断面図である。
【図12】第5実施形態に係る合成セグメントを示す断面図である。
【図13】第6実施形態の要部を示す断面図である。
【図14】前記第6実施形態の要部を示す異なる方向の断面図である。
【図15】第7実施形態に係る合成セグメントを示す断面図である。
【図16】第8実施形態に係る合成セグメントを示す断面図である。
【図17】前記合成セグメントの変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、第2実施形態以降において、次の第1実施形態で説明する構成部材と同じ構成部材、および同様な機能を有する構成部材には、第1実施形態の構成部材と同じ符号を付し、それらの説明を省略または簡略化する。
【0022】
図1は、本発明の合成セグメントを用いたトンネル覆工1とそのセグメントが現場架設される状況を示す概略斜視図である。
トンネル覆工1は、掘削した地山Gの内部にて複数のセグメントピースPを組み合わせて構成されている。なお、以下の説明において、トンネル軸方向をX方向と表現し、トンネル径方向をR方向と表現し、トンネル周方向をθ方向と表現することとする。地山Gを掘削するシールドマシンMは、その後方に複数のジャッキJを有し、ジャッキJでトンネル覆工1を押してX方向に前進し、前進しつつ掘削した空間にてセグメントピースPが円筒状に組み立てられてトンネル覆工1が構築される。このトンネル覆工1は、地山Gとトンネル内空Sとを仕切り、地山Gからの土圧や水圧に抵抗してトンネル内空Sの空間を確保するようになっている。なお、トンネル断面形状としては、一般的な円形のみに限定されるものではなく、矩形トンネルをはじめとする異形トンネル断面でも、トンネル覆工は円弧形のみならず、平板形でも本発明の効果は発揮される。
以下、セグメントピースPを構成する各形態の合成セグメント10,20,30に関し、その構造を詳しく説明する。
【0023】
〔第1実施形態〕
図2は、第1実施形態に係る表面板と主桁を連結する合成セグメント10を示す一部省略した斜視図であり、図3は、合成セグメント10を示す断面図である。
図2、図3において、合成セグメント10は、6つの面が囲まれた鋼殻11と、この鋼殻11内部に充填される充填材としての中詰めコンクリート12とを有し、これらの鋼殻11および中詰めコンクリート12が一体化されて構成されている。
【0024】
鋼殻11は、θ方向に沿って延びて互いに対向する一対の主桁13,13と、これら一対の主桁13,13のθ方向両端部同士を連結する一対の継手板14,14と、トンネル内空S側の表面材である内空側の表面板15Sと、トンネル地山G側の表面材である地山側の表面板15Gと、を備え、これらの主桁13,13、継手板14,14および内外一対の表面板15S,15Gを箱状に形成されている。なお、本実施形態では主桁13が2枚のみで構成される2主桁構造を示すが、3枚以上で構成される多主桁構造であっても互いに対向する一対の主桁が複数存在する構造を呈することに他ならないので、本発明の効果は変わらず発揮される。
【0025】
主桁13は、X方向に直交してR方向およびθ方向に沿った円弧板状の鋼板から構成されている。主桁13の途中位置複数箇所には継手板(図示省略)が適宜配置され、この継手板を用いてX方向に隣り合う他の合成セグメント10と接合される。
継手板14は、X方向およびR方向に沿った直板状の鋼板から構成され、その内面の途中位置には、ボルトボックス(図示省略)が適宜配置され、このボルトボックスを用いてθ方向に隣り合う他の合成セグメント10と接合される。
【0026】
表面板15S,15Gは、R方向に略直交してX方向およびθ方向に沿った薄板状の鋼板から円筒面状に構成され、各々の鋼殻内側表面には、複数の地山側もしくは内空側リブ材16が鋼殻11の内方に突出して固定されている。これらの地山側もしくは内空側リブ材16は、中詰めコンクリート12とのずれ止めとして機能するようになっている。
【0027】
箱形に形成された鋼殻11の各鋼材、つまり主桁13,13、継手板14,14および内外一対の表面板15S,15Gは、互いの隣接辺縁を地山側から溶接して接続されるとともに、その内部において中詰めコンクリート12により強固に一体化される。
【0028】
地山側もしくは内空側リブ材16は、基部が表面板15S,15Gの表面に溶接されるウェブ部16Aと、その先端に接続されて表面板15S,15Gの表面に対向配置されるフランジ部16Bとを有する。あるいは地山側もしくは内空側リブ材16の表面板15S,15Gに当接する位置に図示しないフランジ材を突出させ、表面板15S,15Gとボルトもしくはドリルネジ(いずれも図示せず)により係合した後に螺合部を止水処理することでもよい。地山側もしくは内空側リブ材16は、ウェブ部16Aの基部において表面板15S,15Gの表面に溶接されているだけであり、その端部は主桁13の鋼殻内側表面に対して接続されてはいない。地山側もしくは内空側リブ材16の端部は表面板15S,15Gに設置される受けピース17を兼ねている。この受けピース17は、径方向の受けピース17Aと、周方向の受けピース17Bとで構成されている。径方向の受けピース17Aは、トンネル径方向に延びるウェブ部16Aの端部により形成されてトンネル周方向の力を受ける。周方向の受けピース17Bは、トンネル周方向に延びるフランジ部16Bの端部により形成されてトンネル径方向の力を受ける。
【0029】
主桁13の鋼殻内側表面には、地山側もしくは内空側リブ材16に対応した部位に、各一対の接続ピース13A,13Bが溶接されている。
一方の接続ピース13Aは、受けピース17B(フランジ部16B)とこれに対向する表面板15S,15Gの表面との間の空隙内に挿入され、受けピース17B、受けピース17A(ウェブ部16A)および表面板15S,15Gの表面の何れとも接触しておらず、それぞれとの間に間隔がおかれている。
他方の接続ピース13Bは、受けピース17A(ウェブ部16A)を挟んで接続ピース13Aと反対側に配置され、同様に受けピース17Aおよび表面板15S,15Gの表面との間に間隔がおかれている。
【0030】
これらの接続ピース13A,13Bと受けピース17A,17Bおよび表面板15S,15Gの表面との間隔は、それぞれ鋼殻11内に中詰めコンクリート12が充填される際に、同コンクリート12が容易に進入できる程度の広さが確保されている。その結果、鋼殻11内に中詰めコンクリート12が充填された際には、同コンクリート12が各間隔に進入して固化するとともに、接続ピース13A,13Bと受けピース17A,17Bとの周囲においてもこれらを包囲するように同コンクリート12が固化することにより、接続ピース13A,13Bと受けピース17A,17Bとが中詰めコンクリート12によって強固に一体化され、互いの連結が行われる。
【0031】
本実施形態の表面板と主桁を連結する合成セグメント10は、例えば以下に述べる手順で製造される。
図4に示すように、先ず、一方の主桁13を水平な載置面上に載置する。この際、主桁13は鋼殻11の内側となる表面を上向きにし、各々の接続ピース13A,13Bが上向きに起立する状態としておく。
次に、主桁13の地山G側の辺縁に、地山側リブ材16が固定された地山側の表面板15Gを載せ、互いの接合縁を溶接する。この際、リブ材16の端部の受けピース17は、その径方向の受けピース17A(リブ材16のウェブ部16A)が一対の接続ピース13A,13Bの間に収まるようにする。
図5に示すように、地山側の表面板15Gが一方の主桁13に載置できたら、同様にして主桁13の内空S側の辺縁に、内空側リブ材16が固定された内空側の表面板15Sを載せ、互いの接合縁を溶接する。
【0032】
図6に示すように、内外の表面板15S,15Gが主桁13に溶接できたら、主桁13の残る辺縁に、それぞれ継手板14,14を載せ、互いの接合縁を溶接する。
図7に示すように、両側に継手板14,14が溶接されることで上面が開口した鋼殻が形成される。この後、上面の開口に他方の主桁13を載置し、全周を溶接して閉じた鋼殻11を形成する。他方の主桁13には接続ピース13A,13Bを係止しておき、その間に内外の表面板15S,15Gの地山側もしくは内空側リブ材16端部の受けピース17が挿入されるようにする。
【0033】
図8に示すように、他方の主桁13には充填用の開口13Sを形成しておき、ここから鋼殻11内に流動状態のコンクリート12Aを注入することで、中詰めコンクリート12の充填を行う。なお、前述したように、主桁13には、X方向に隣り合う他の合成セグメント10と接合するためのリング間継手が形成されるが、そのボルト挿通孔が十分に大きければ、これを利用して開口13Sとしてもよい。
また、前記鋼殻11の製造方法では主桁13を水平に載置しているが、例えば地山側の表面板15Gを水平に船形に載置した後、地山側の主桁13および継手板14,14を地山側の表面板15Gの辺縁に立て、他方の主桁13を最後に立てた後に全周を溶接して閉じた鋼殻11を形成しても良い。
このようにして鋼殻11内に中詰めコンクリート12を充填することで、同コンクリート12が接続ピース13A,13Bと受けピース17A,17Bとの各間隔に進入して固化するとともに、接続ピース13A,13Bと受けピース17A,17Bとの周囲においてもこれらを包囲するように同コンクリート12が固化する。その結果、接続ピース13A,13Bと受けピース17A,17Bとが中詰めコンクリート12によって強固に一体化され、互いの連結が行われる。
【0034】
以上のような本実施形態の表面板と主桁を連結する合成セグメント10によれば、以下の効果を得ることができる。
本実施形態によれば、接続ピース13A,13Bと受けピース17(受けピース17Aおよび受けピース17B)とが充填材である中詰めコンクリート12により一体化されることで、主桁13と表面板である表面板15S,15Gとの内部連結が行われる。この連結は、予め主桁13に接続ピース13A,13Bを形成するとともに、表面板15S,15Gに地山側もしくは内空側リブ材16を形成しておき、これらを鋼殻11の形に組み立て、接続ピース13A,13Bと受けピース17を対向させた状態とすることでその準備を行うことができ、この後、鋼殻11内に中詰めコンクリート12を充填し固化させることで各々の連結を完成させることができる。
従って、主桁13と表面板15S,15Gとを連結するために、従来のように溶接や締結などの局所的な操作が連結部位毎に個別に必要となることはなく、複数の箇所を一気に連結することができる。このため、製造にあたっての作業効率を飛躍的に向上できるととともに、鋼殻11内の奥まった部位の連結も何ら支障なく実施することができる。
【0035】
さらに、本実施形態では、受けピース17を地山側もしくは内空側リブ材16の端部を利用したため、構成を簡素化できるとともに設置作業が簡略化できる。また、地山側もしくは内空側リブ材16として汎用されるL字断面の形鋼を用いたため、入手容易であり、実施が容易にできる。さらに、地山側もしくは内空側リブ材16のウェブ部16Aとフランジ部16Bとを利用して受けピース17A,17Bを構成したため、接続ピース13Aがウェブ部16Aの端部の受けピース17Aと対向することでトンネル周方向の荷重伝達が担保され、接続ピース13Bがフランジ部16Bの受けピース17Aおよび表面板15S,15Gの表面と対向することでトンネル径方向の荷重伝達が担保され、これら二方向の荷重負担により主桁13と表面板15S,15Gとの連結に必要十分な性能を得ることができる。
【0036】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態に係る表面板と主桁を連結する合成セグメント20を図9に基づいて説明する。
合成セグメント20は、前記第1実施形態の合成セグメント10と同様の鋼殻11および中詰めコンクリート12を有し、鋼殻11は、合成セグメント10と同様に、一対の主桁13,13、一対の継手板14,14、内外の表面板15S,15G、接続ピース13A,13Bを有し、これらの構成は前記第1実施形態と同様である。
【0037】
本実施形態の表面板と主桁を連結する合成セグメント20は、表面板15S,15Gの内側表面にトンネル軸方向の地山側および内空側リブ材26を有し、その端部により受けピース27が形成されている。
前記第1実施形態の合成セグメント10のリブ材16(図3参照)がL字断面の形鋼であったのに対し、本実施形態の地山側および内空側リブ材26はT字断面の形鋼とされている。
リブ材26は、基部が表面板15S,15Gの表面に溶接されるウェブ部26Aと、その先端に接続されて表面板15S,15Gの表面に対向配置されるフランジ部26Bとを有する。つまり、前記第1実施形態の地山側もしくは内空側リブ材16がウェブ部26Aの片側のみにフランジ部26Bを有していたのに対し、本実施形態のリブ材26はウェブ部26Aの両側にフランジ部26Bが張り出している。
【0038】
前記第1実施形態の受けピース17が径方向の受けピース17Aおよびその片側に延びる周方向の受けピース17B(図3参照)を備えていたのに対し、本実施形態の受けピース27では、径方向の受けピース27Aの両側に延びる一対の周方向の受けピース27Bを備えている。
本実施形態では、一対の接続ピース13A,13Bは、何れも受けピース27Bとこれに対向する表面板15S,15Gの表面との間の空隙内に挿入され、鋼殻11内に中詰めコンクリート12が充填された際には、周方向および径方向の受けピース27A,27Bと一体化される。
【0039】
以上のような本実施形態の表面板と主桁を連結する合成セグメント20によれば、前記第1実施形態と略同様の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
一対の接続ピース13A,13Bは、何れも周方向および径方向の受けピース27A,27Bと一体化されるため、一方の接続ピース13Aのみが周方向の受けピース17Bと表面板15S,15Gとの間に挿入される前記第1実施形態よりも一層高い連結強度を得ることができる。
【0040】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態に係る表面板と主桁を連結する合成セグメント30を図10に基づいて説明する。
合成セグメント30は、前記第1実施形態の合成セグメント10と同様の鋼殻11および中詰めコンクリート12を有し、鋼殻11は、合成セグメント10と同様に、一対の主桁13,13、一対の継手板14,14、内外の表面板15S,15Gを有し、これらの構成は前記第1実施形態と同様である。
【0041】
本実施形態の表面板と主桁を連結する合成セグメント30は、表面板15S,15Gの内側表面にトンネル軸方向の地山側もしくは内空側リブ材36を有し、その端部により受けピース37が形成されている。
前記第1実施形態の表面板と主桁を連結する合成セグメント10のリブ材16(図3参照)がL字断面の形鋼であったのに対し、本実施形態の地山側もしくは内空側リブ材36はコ字断面の形鋼とされている。
地山側もしくは内空側リブ材36は、ウェブ部36Bの両側に一対のフランジ部36Aを有し、一対のフランジ部36Aの各先端を表面板15S,15Gの表面に溶接され、ウェブ部36Bが表面板15S,15Gの表面に対向配置される。
【0042】
前記第1実施形態では受けピース17が径方向の受けピース17Aおよびその片側に延びる周方向の受けピース17B(図3参照)を備えていたのに対し、本実施形態の受けピース37では、一対のフランジ部36Aの端部により一対の周方向の受けピース37Aが形成され、ウェブ部36Bの端部により径方向の受けピース37Bが形成される。
前記第1実施形態では主桁13に一対の接続ピース13A,13Bを設けたのに対し、本実施形態では、主桁13の地山側もしくは内空側リブ材36に対応する部位には接続ピース13Cが一つ設置される。接続ピース13Cは断面正方形とされ、受けピース37内に挿入されることで、周囲の受けピース37A,37Bおよび表面板15S,15Gの表面との間に所定間隔が形成される。
【0043】
以上のような本実施形態の表面板と主桁を連結する合成セグメント30によれば、前記第1実施形態と略同様の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
表面板15S,15Gに溶接されることで受けピース37A,37Bおよび表面板15S,15Gが筒状となるため、接続ピース13Cは中詰めコンクリート12を介してこれらに全周を包囲されることになり、周方向および径方向以外の方向についても高い連結強度を得ることができる。
なお、本実施形態において、地山側もしくは内空側リブ材36を断面コ字状の形鋼ではなく、正方形あるいは長方形の断面を有する形鋼としてもよい。このような形鋼を用いても、表面板15S,15Gに溶接した状態では本実施形態と同様な受けピース37A,37B(図10参照)を確保することができる。
【0044】
〔第4実施形態〕
次に、本発明の第4実施形態に係る表面板と主桁を連結する合成セグメント40を図11に基づいて説明する。
合成セグメント40は、前記第1実施形態の合成セグメント10と同様の鋼殻11および中詰めコンクリート12を有し、鋼殻11は、合成セグメント10と同様に、一対の主桁13,13、一対の継手板14,14、内外の表面板15S,15Gを有し、これらの構成は前記第1実施形態と同様である。
【0045】
本実施形態の表面板と主桁を連結する合成セグメント40は、表面板15S,15Gの内側表面にトンネル軸方向の地山側もしくは内空側リブ材46を有し、その端部により受けピース47が形成されている。
前記第1実施形態の表面板と主桁を連結する合成セグメント10の地山側もしくは内空側リブ材16(図3参照)がL字断面の形鋼であったのに対し、本実施形態の地山側もしくは内空側リブ材46は円形断面の鋼管材とされている。
前記第1実施形態では受けピース17が径方向の受けピース17Aおよび周方向の受けピース17B(図3参照)を備えていたのに対し、本実施形態の受けピース47ではリブ材46の断面そのままの円形断面を有する筒状である。
前記第1実施形態では主桁13に一対の接続ピース13A,13Bを設けたのに対し、本実施形態では、主桁13のリブ材46に対応する部位には接続ピース13Dが一つ設置される。接続ピース13Dはリブ材46の内径より小さい外径を有する丸棒状とされ、受けピース47内に挿入されることで、受けピース47の内壁により全周を囲われ、同内壁との間に所定間隔が形成される。
【0046】
以上のような本実施形態の表面板と主桁を連結する合成セグメント40によれば、前記第1実施形態と略同様の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
地山側もしくは内空側リブ材46が円形断面を有するため、受けピース47も円形断面となり、接続ピース13Dは中詰めコンクリート12を介してこれらに全周を包囲されることになり、主桁13の表面に沿った全方向について一様に高い連結強度を得ることができる。
【0047】
〔第5実施形態〕
次に、本発明の第5実施形態に係る表面板と主桁を連結する合成セグメント50を図12に基づいて説明する。
合成セグメント50は、前記第1実施形態の表面板と主桁を連結する合成セグメント10と同様の鋼殻11および中詰めコンクリート12を有し、鋼殻11は、合成セグメント10と同様に、一対の主桁13,13、一対の継手板14,14、内外の表面板15S,15Gを有し、これらの構成は前記第1実施形態と同様である。
【0048】
本実施形態の合成セグメント50は、表面板15S,15Gの内側表面にトンネル軸方向のリブ材56を有し、その端部により受けピース57が形成されている。
前記第1実施形態の合成セグメント10の地山側もしくは内空側リブ材16(図3参照)がL字断面の形鋼であったのに対し、本実施形態の地山側もしくは内空側リブ材56は中心角が鈍角のV字断面を有する形鋼とされている。
前記第1実施形態では受けピース17が径方向の受けピース17Aおよび周方向の受けピース17B(図3参照)を備えていたのに対し、本実施形態の受けピース57では地山側もしくは内空側リブ材56の断面に基づくV字断面を有する。
前記第1実施形態では主桁13に設けた一対の接続ピース13A,13Bが単純な板状であったのに対し、本実施形態では、地山側もしくは内空側リブ材56と同様なV字断面を有する接続ピース13E,13Fが一対設置される。
本実施形態において、鋼殻11を組み立てた状態では、受けピース57が接続ピース13E,13Fの間に挿入される。この際、各々の断面形状のV字同士が互いの山を合わせた状態に配置され、各々の間には一定の間隔が維持されるようになっている。
【0049】
以上のような本実施形態の表面板と主桁を連結する合成セグメント50によれば、前記第1実施形態と略同様の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
接続ピース13E,13Fおよび地山側もしくは内空側リブ材56(受けピース57)がそれぞれV字断面とされているため、各々の剛性を確保しやすいとともに、互いの連結性能を高めることができる。
【0050】
〔第6実施形態〕
次に、本発明の第6実施形態に係る表面板と主桁を連結する合成セグメント60を図13、図14に基づいて説明する。
合成セグメント60は、前記第1実施形態の合成セグメント10と同様の鋼殻11および中詰めコンクリート12を有し、鋼殻11は、合成セグメント10と同様に、一対の主桁13,13、一対の継手板14,14、内外の表面板15S,15G、一対の接続ピース13A,13Bを有し、これらの構成は前記第1実施形態と同様である。
【0051】
本実施形態の表面板と主桁を連結する合成セグメント60は、表面板15S,15Gの内側表面にトンネル軸方向の地山側もしくは内空側リブ材66を有する。但し、その端部は受けピースとして利用されていない。
本実施形態では、地山側もしくは内空側リブ材66のない部分に断面L字状の受けピース67が設置され、そのウェブ部67Aが一対の接続ピース13A,13Bの間に挿入されるとともに、フランジ部67Bが接続ピース13Bを覆うように配置される。
【0052】
以上のような本実施形態の表面板と主桁を連結する合成セグメント60によっても、前記第1実施形態と略同様の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
リブ材66の端部を受けピースに利用しないため、各々の断面形状あるいは配置パターン、設置数に関する設計自由度を高めることができる。
【0053】
〔第7実施形態〕
次に、本発明の第7実施形態に係る表面板と主桁を連結する合成セグメント70を図15に基づいて説明する。
合成セグメント70は、前記第1実施形態の合成セグメント10と同様の鋼殻11および中詰めコンクリート12を有し、鋼殻11は、合成セグメント10と同様に、一対の主桁13,13、一対の継手板14,14、内外の表面板15S,15G、一対の接続ピース13A,13Bを有し、これらの構成は前記第1実施形態と同様である。
本実施形態の合成セグメント70では、内空側表面板15Sに接続された内空側のリブ材16と地山側表面板15Gに接続された地山側のリブ材16とを、R方向に対向しないずれた位置に設ける。
このような構成によれば、内空側のリブ材16および地山側のリブ材16を起点としたひび割れが生じた場合でも、これらが重ならないようにでき、ひび割れ長さを長くすることができるため、中詰めコンクリート12の強度を高めることができる。
【0054】
〔第8実施形態〕
次に、本発明の第8実施形態に係る表面板と主桁を連結する合成セグメント80を図16に基づいて説明する。
合成セグメント80は、前記第1実施形態の合成セグメント10と同様の鋼殻11および中詰めコンクリート12を有し、鋼殻11は、合成セグメント10と同様に、一対の主桁13,13、一対の継手板14,14、内外の表面板15S,15G、接続ピース13A,13Bを有し、これらの構成は前記第1実施形態と同様である。
図16に示すように、本実施形態では、表面板15Sに沿った内空側リブ材16と表面板15Gに沿った地山側リブ材16とを結ぶせん断補強材16Tが設けられる。
このような構成にすることで、相互の地山側および内空側リブ材16,16の変位が抑制されるとともに、トンネル径方向に一対の表面板15G,15Sが離れようとする力に抵抗することができる。その結果、鋼殻11内に充填される中詰めコンクリート12の割れ防止を図ることが可能となり、さらには中詰めコンクリート12のせん断強度を高めることができ、合成セグメント10全体の強度を向上させて、さらなる高性能化および薄型化を実現することができる。
【0055】
〔変形例〕
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
前記各実施形態では、内外の表面板15G,15Sの内側にそれぞれ地山側もしくは内空側リブ材16〜56を設けたが、これらは各々独立させておくのではなく、地山側および内空側リブ材16〜56を互いに連結してもよい。
【0056】
前記各実施形態では、内外の表面板15G,15Sの両方を設け、鋼殻11を6面で構成したが、表面板15G,15Sの何れかを省略し、鋼殻11を5面で構成してもよい。
図17において、図示の構成は前記第1実施形態(図3参照)と同様であるが、内空側の表面板15Sが省略され、鋼殻11は地山側の表面板15Gと、一対の主桁13,13と、一対の継手板14,14とで構成されている。
このような構成においては、開放された内側(図3において表面板15Sが設置されていた部位)から鋼殻11内の作業が容易に行えるが、接続ピース13A,13Bおよび受けピース17の各部の連結が中詰めコンクリート12の充填により一括して行える点で、従来の個別の連結よりも作業効率を高めることができる。
【0057】
前記実施形態では、主桁13と内外の表面板15G,15Sを連結するために接続ピースおよび受けピースを設置したが、継手板14と表面板15G,15Sとの連結、あるいは主桁13と継手板14との連結のために、同様な接続ピースおよび受けピースを用いてもよい。
【0058】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0059】
1…トンネル覆工、10,20,30,40,50,60,70,80…合成セグメント、11…鋼殻、12…充填材である中詰めコンクリート、12A…流動状態のコンクリート、13…主桁、13A,13B,13C,13D,13E,13F…接続ピース、13S…開口、14…継手板、15G,15S…表面板、16,26,36,46,56,66…地山側もしくは内空側リブ材、16A,26A,36B,67A…ウェブ部、16B,26B,36A,67B…フランジ部、16T…せん断補強材、17,17A,17B,27,27A,27B,37,37A,37B,47,57,67…受けピース。
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のセグメントピースを組み合わせてトンネル覆工に利用される合成セグメント、その製造方法、この合成セグメントを組み合わせたトンネル覆工を備えるトンネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、合成セグメントは、鋼殻(鋼材で形成された外殻)の内部に中詰めコンクリートを充填して構成される。鋼殻を形成する鋼材としては、円弧状をなす一対の主桁と、主桁の両端部に渡って固定される一対の継手板と、一対の主桁に渡って設けられる円筒面状のスキンプレートとが用いられる(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
特許文献1に記載された合成セグメントでは、前述した一対の主桁、一対の継手板、トンネル地山側に配置される地山側の表面板(スキンプレート)を有し、鋼殻は5面の鋼材で構成される。
特許文献2に記載された合成セグメントでは、地山側の表面板に加えて、トンネル内空側に配置される内空側の表面板を有し、鋼殻は6面の鋼材で構成される。
【0003】
これらの合成セグメントにおいては、表面板の内空側にH鋼(例えば、特許文献1)あるいは頭付アンカーを用いたジベル(例えば、特許文献2)が設置され、中詰めコンクリート内に対するずれ止めが図られている。このようなずれ止めにより、主桁などの鋼材と中詰めコンクリートとのずれを防止し、外力に対して一体的に挙動させる合成効果が得られることで、剛性や耐力を向上させつつ薄型化が可能な高性能の合成セグメントが実現できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−27894号公報
【特許文献2】特開平3−59300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の合成セグメントでは、鋼殻を形成する主桁と表面板との連結にあたって、地山側に露出する周縁を溶接等するのみならず、内部構造において荷重伝達がなされるように構成されていた。例えば、特許文献1では、ずれ止め用のH鋼は、地山側の表面板の内面に固定されているとともに、表面板と主桁とを連結する際に、H鋼の端部を主桁の内空側面に溶接あるいはボルト締結等して固定される。
【0006】
しかし、このようなセグメント内部での溶接あるいはボルト締結等の連結作業が必要となることで、製造にあたっての作業工数の低減ができず、このような内部連結作業の解消が求められていた。特に、特許文献2のような6面を鋼材で囲まれる合成セグメントでは、内部空間が密閉されるため、最後の鋼材に関しては他との内部連結が作業的に困難である。
このため、例えば、内空側の表面板を最後に取り付ける場合、他の鋼材と同表面板との内部連結が省略され、同表面板と他の鋼材あるいは中詰めコンクリートとの一体性が十分に確保できないことになる。また、主桁あるいは継手板を最後に取り付ける場合、内外一対の表面板の一体性が確保できるものの、これら一対の表面板で挟まれる狭い空間で前述した内部連結作業を行うことは大きな困難が伴っていた。
【0007】
本発明の目的は、内部連結作業が省略できる合成セグメント、この合成セグメントの製造方法、およびこの合成セグメントを組み合わせたトンネル覆工を備えるトンネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の合成セグメントは、鋼殻と、その内部に充填される充填材とを有して構成されるとともに、複数のピースを組み合わせてトンネル覆工に利用される表面板と主桁を連結する合成セグメントであって、前記鋼殻は、トンネル周方向に沿って延びて互いに対向する主桁と、これら主桁のトンネル周方向両端部同士を連結する一対の継手板と、トンネル地山側およびトンネル内空側の少なくとも何れかにて前記主桁に渡って設けられる表面板とが設けられ、前記主桁の前記鋼殻内側表面にはトンネル軸方向に沿って延びる接続ピースが設けられ、前記表面板の前記鋼殻内側表面には、前記主桁近傍に、前記接続ピースに対して間隔をあけて対向するとともに、トンネル軸方向の前記主桁に面する端部において前記主桁内面と隙間をもって配置される受けピースが設けられ、これらの前記主桁、継手板および表面板で少なくとも5面が囲まれた内部に前記充填材が充填され、前記接続ピースと前記受けピースとは、トンネル軸方向に渡りラップするように配置され、前記接続ピースと前記受けピース各々の間および各々の周囲に充填される前記充填材により一体化されている。
【0009】
本発明において、受けピースはいわゆる接続用のブラケットのような、単独で表面板の辺縁に設けられるものでよい。この際、受けピースには、表面板から起立する部分に加えて、表面板に対して間隔をあけて対向する部分を確保することで、トンネルの周方向および径方向に交差するため、各方向にずれ止めとしての作用が十分に得られ、主桁と表面板との連結に必要十分な性能を得ることができる。
このような本発明によれば、接続ピースと受けピースとが充填材により一体化されることで主桁と表面板との鋼殻内部での連結が行われる。主桁と表面板とは通常は溶接により連結されるが、溶接部のみでは連結剛性が低く、十分な荷重伝達がなされない。この本発明の連結は、予め主桁に接続ピースを形成しかつ表面板に受けピースを形成しておき、これらの主桁と表面板とを鋼殻となるべく配置し、これにより接続ピースと受けピースとを対向させた状態で鋼殻内に充填材を充填することで行われる。つまり、主桁と表面板とを連結するために、従来のように溶接や締結などの局所的な操作が連結部位毎に個別に必要となることはなく、複数の箇所を一気に連結することができる。このため、本発明によれば、製造にあたっての作業効率を飛躍的に向上できるととともに、鋼殻内の奥まった部位の連結も何ら支障なく実施することができる。
【0010】
本発明の合成セグメントにおいて、前記表面板における前記鋼殻内側表面には、当該表面から突出するとともにトンネル軸方向に沿って延びる複数の地山側もしくは内空側リブ材が設けられ、前記地山側もしくは内空側リブ材の端部により前記受けピースが形成されていることが望ましい。 このような本発明によれば、地山側もしくは内空側リブ材がずれ止めとして作用し、充填材との一体性を確保することができるとともに、この地山側もしくは内空側リブ材の端部を利用して受けピースを構成することで、部材兼用による構造の簡略化を図ることができる。
【0011】
本発明の表面板と主桁を連結する合成セグメントにおいて、前記複数のリブ材は、トンネル軸方向の両端部において前記受けピース材が形成されていることが好ましい。
このような本発明によれば、リブ材のずれ止め機能が拡大して充填材との一体性の効果がさらに高まりセグメントの性能を向上させることができる。
【0012】
本発明の表面板と主桁を連結する合成セグメントにおいて、前記複数のリブ材は、それぞれ前記表面板から起立するウェブ部と、前記ウェブ部に連続しかつ前記表面板と対向するフランジ部とを有し、前記ウェブ部は、一対の前記接続ピースにより、トンネル周方向に間隔をあけて対向するように配置されるとともに、少なくとも一つの前記接続ピースは、前記フランジ部と前記表面板との間に挿入されて前記フランジ部および前記表面板と間隔をあけて対向されているものとすることができる。 ここで、ウェブ部とフランジ部とを有するリブ材としては、例えば断面L字状の形鋼、断面T字状の形鋼、あるいは断面コ字状の形鋼など、汎用の形鋼を用いることができる。
このような本発明では、形鋼が入手容易であり、実施が容易にできるとともに、リブ材をトンネルの軸方向に配置することで、ウェブ部とフランジ部とがトンネルの周方向および径方向に交差し、ずれ止めとしての作用が十分に得られる。さらに、リブ材の端部のウェブ部およびフランジ部が受けピースとなり、接続ピースがウェブ部と対向することでトンネル周方向の荷重伝達が担保され、フランジ部および表面板と対向することでトンネル径方向の荷重伝達が担保され、主桁と表面板との連結に必要十分な性能を得ることができる。
【0013】
本発明の表面板と主桁を連結する合成セグメントにおいて、前記複数のリブ材は、それぞれ前記表面板に固定された筒状もしくは前記表面板とで構成される閉塞部が形成される閉断面部材であり、前記接続ピースは、前記閉断面部材の内側に挿入されて周囲と間隔をあけて対向されているものとしてもよい。
ここで、リブ材として用いる筒状の部材としては、例えば断面正方形あるいは断面長方形の形鋼、断面円形あるいは他の多角形の形鋼などを用いることができる。なかでも、断面形状においてトンネルの周方向および径方向に交差する部分が大きく確保できるもの、例えば断面正方形あるいは長方形のものが望ましい。なお、断面コ字状の形鋼を、その開口側が表面材側となるように接合することで、結果として断面が筒状をなすようにしてもよい。
このような本発明では、筒状のリブ材の端部が受けピースとなり、その内側に挿入される接続ピースと充填材により一体化される。この際、筒状のリブ材はトンネルの周方向および径方向に交差するため、各方向にずれ止めとしての作用が十分に得られ、主桁と表面板との連結に必要十分な性能を得ることができる。
【0014】
本発明の表面板と主桁を連結する合成セグメントにおいて、前記鋼殻は、トンネル地山側およびトンネル内空側に設けられた一対の表面板を有し、これらの主桁、継手板および表面板で6面が囲まれた内部に前記充填材が充填され、前記一対の表面板の前記鋼殻内側表面にそれぞれ設けられた前記地山側および内空側リブ材が剪断補強材で互いに連結されていることが望ましい。
本発明は、内部連結の簡素化という点で5面の鋼殻でも有効性が期待できるが、内部が密閉される6面の鋼殻においては一層有効性が期待できる。すなわち、6面の鋼殻では、従来最後の一面の鋼材は他との内部連結が困難であるが、本発明によれば、6面を閉じた状態でも充填材の充填により内部の接続ピースおよび受けピースの各々が互いに連結され、6面の鋼殻でありながら鋼殻内部の構造全てが相互に連結されたものとすることができる。
【0015】
本発明における表面板と主桁を連結する合成セグメントにおいて、前記鋼殻は、トンネル地山側およびトンネル内空側に設けられた一対の表面板を有し、これらの主桁、継手板および表面板で6面が囲まれた内部に前記充填材が充填され、前記一対の表面板の前記鋼殻内側表面に設けられた前記内空側リブ材のうち、前記トンネル地山側に設けられる地山側リブ材と前記トンネル内空側に設けられる内空側リブ材とがトンネル径方向に対向しないずれた位置に設けられていることが望ましい。
このような本発明によると、地山側表面板に地山側リブ材を設けることで充填材との一体性をより一層向上させることができ、内外面に設けられたリブ材をトンネル径方向に対向させないことによって、ひび割れ誘発点となるリブ材の相互距離を長く確保されることから、ひび割れ長さを長くすることができ、セグメントの性能が向上する。
【0016】
本発明のトンネルは、前述した本発明の表面板と主桁を連結する合成セグメントを組み合わせたトンネル覆工を備えることを特徴とする。
このような本発明では、前述した合成セグメント自体の製造の容易さ、製造コストの低さに基づいて、トンネルとしての施工コスト低減および工期短縮を図ることができる。
【0017】
本発明の表面板と主桁を連結する合成セグメントの製造方法は、鋼殻と、その内部に充填される充填材とを有して構成されるとともに、複数のピースを組み合わせてトンネル覆工に利用される合成セグメントの製造方法であって、トンネル周方向に沿って延びて互いに対向する主桁と、これら主桁のトンネル周方向両端部同士を連結する一対の継手板と、トンネル地山側およびトンネル内空側の少なくとも何れかにて前記一対の主桁に渡って設けられる表面板と、前記主桁の前記鋼殻内側表面に設けられてトンネル軸方向に沿って延びる接続ピースと、前記表面板の前記鋼殻内側表面に設けられて前記接続ピースに対して間隔をあけて対向する受けピースとを製造し、前記表面板における前記鋼殻内側表面に受けピースを固定する工程と、前記主桁における前記鋼殻内側表面に前記接続ピースを固定する工程と、前記受けピースと前記表面板との間に接続ピースを一括挿入する工程を経て、前記主桁、一対の継手板および表面板により少なくとも5面が囲まれた前記鋼殻を形成し、前記鋼殻の内部に前記充填材を充填し、前記接続ピースと前記受けピースとを各々の間および各々の周囲に充填される前記充填材により一体化することを特徴とする。
このような本発明では、主桁と表面板との内部での連結が、充填材の充填により一括して行われる。このため、接続ピースと受けピースとの個別連結といった煩雑な作業を解消することができ、合成セグメントの製造効率を飛躍的に向上することができ、合成セグメントの製造コストも大幅に低減できる。
【0018】
本発明の表面板と主桁を連結する合成セグメントの製造方法において、前記鋼殻を形成する際に、先ず一方の前記主桁を水平に載置し、その周縁に沿って前記一対の表面板および一対の継手板を立て、これらの上縁に充填材を充填する複数の開口孔が設けられた他方の前記主桁を接続することにより6面が囲まれた前記鋼殻を形成し、前記開口孔から鉛直方向下向きに前記充填材を充填することが望ましい。
このような本発明では、何れかの表面板を下にして載置する場合よりも作業場所の占有面積を縮小することができ、何れかの継手板を下にして載置する場合のような不安定さがなく、作業性を向上することができるとともに、鋼殻の製作組み立てから充填材の充填までを製品の姿勢を代えずに一貫して行なえることから、合成セグメントの製造効率を飛躍的に向上することができ、合成セグメントの製造工期や製造コストも大幅に低減できる。
【発明の効果】
【0019】
以上のような本発明の合成セグメント、その製造方法およびトンネルによれば、主桁と表面板との内部での連結が、充填材の充填により一括して行われる。このため、接続ピースと受けピースとの個別連結といった煩雑な作業を解消することができ、合成セグメントの製造効率を飛躍的に向上することができ、合成セグメントの製造コストも大幅に低減できる。さらに、本発明のトンネルによれば、前述した合成セグメント自体の製造の容易さ、製造コストの低さに基づいて、トンネルとしての施工コスト低減および工期短縮を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の合成セグメントを用いたトンネル覆工とそのセグメントが現場架設される状況を示す概略斜視図である。
【図2】第1実施形態に係る合成セグメントを示す一部省略した斜視図である。
【図3】前記第1実施形態の合成セグメントを示す断面図である。
【図4】前記第1実施形態の合成セグメントの組み立てを示す斜視図である。
【図5】前記第1実施形態の合成セグメントの組み立てを示す斜視図である。
【図6】前記第1実施形態の合成セグメントの組み立てを示す斜視図である。
【図7】前記第1実施形態の合成セグメントの組み立てを示す斜視図である。
【図8】前記第1実施形態の合成セグメントの組み立てを示す斜視図である。
【図9】第2実施形態に係る合成セグメントを示す断面図である。
【図10】第3実施形態に係る合成セグメントを示す断面図である。
【図11】第4実施形態に係る合成セグメントを示す断面図である。
【図12】第5実施形態に係る合成セグメントを示す断面図である。
【図13】第6実施形態の要部を示す断面図である。
【図14】前記第6実施形態の要部を示す異なる方向の断面図である。
【図15】第7実施形態に係る合成セグメントを示す断面図である。
【図16】第8実施形態に係る合成セグメントを示す断面図である。
【図17】前記合成セグメントの変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、第2実施形態以降において、次の第1実施形態で説明する構成部材と同じ構成部材、および同様な機能を有する構成部材には、第1実施形態の構成部材と同じ符号を付し、それらの説明を省略または簡略化する。
【0022】
図1は、本発明の合成セグメントを用いたトンネル覆工1とそのセグメントが現場架設される状況を示す概略斜視図である。
トンネル覆工1は、掘削した地山Gの内部にて複数のセグメントピースPを組み合わせて構成されている。なお、以下の説明において、トンネル軸方向をX方向と表現し、トンネル径方向をR方向と表現し、トンネル周方向をθ方向と表現することとする。地山Gを掘削するシールドマシンMは、その後方に複数のジャッキJを有し、ジャッキJでトンネル覆工1を押してX方向に前進し、前進しつつ掘削した空間にてセグメントピースPが円筒状に組み立てられてトンネル覆工1が構築される。このトンネル覆工1は、地山Gとトンネル内空Sとを仕切り、地山Gからの土圧や水圧に抵抗してトンネル内空Sの空間を確保するようになっている。なお、トンネル断面形状としては、一般的な円形のみに限定されるものではなく、矩形トンネルをはじめとする異形トンネル断面でも、トンネル覆工は円弧形のみならず、平板形でも本発明の効果は発揮される。
以下、セグメントピースPを構成する各形態の合成セグメント10,20,30に関し、その構造を詳しく説明する。
【0023】
〔第1実施形態〕
図2は、第1実施形態に係る表面板と主桁を連結する合成セグメント10を示す一部省略した斜視図であり、図3は、合成セグメント10を示す断面図である。
図2、図3において、合成セグメント10は、6つの面が囲まれた鋼殻11と、この鋼殻11内部に充填される充填材としての中詰めコンクリート12とを有し、これらの鋼殻11および中詰めコンクリート12が一体化されて構成されている。
【0024】
鋼殻11は、θ方向に沿って延びて互いに対向する一対の主桁13,13と、これら一対の主桁13,13のθ方向両端部同士を連結する一対の継手板14,14と、トンネル内空S側の表面材である内空側の表面板15Sと、トンネル地山G側の表面材である地山側の表面板15Gと、を備え、これらの主桁13,13、継手板14,14および内外一対の表面板15S,15Gを箱状に形成されている。なお、本実施形態では主桁13が2枚のみで構成される2主桁構造を示すが、3枚以上で構成される多主桁構造であっても互いに対向する一対の主桁が複数存在する構造を呈することに他ならないので、本発明の効果は変わらず発揮される。
【0025】
主桁13は、X方向に直交してR方向およびθ方向に沿った円弧板状の鋼板から構成されている。主桁13の途中位置複数箇所には継手板(図示省略)が適宜配置され、この継手板を用いてX方向に隣り合う他の合成セグメント10と接合される。
継手板14は、X方向およびR方向に沿った直板状の鋼板から構成され、その内面の途中位置には、ボルトボックス(図示省略)が適宜配置され、このボルトボックスを用いてθ方向に隣り合う他の合成セグメント10と接合される。
【0026】
表面板15S,15Gは、R方向に略直交してX方向およびθ方向に沿った薄板状の鋼板から円筒面状に構成され、各々の鋼殻内側表面には、複数の地山側もしくは内空側リブ材16が鋼殻11の内方に突出して固定されている。これらの地山側もしくは内空側リブ材16は、中詰めコンクリート12とのずれ止めとして機能するようになっている。
【0027】
箱形に形成された鋼殻11の各鋼材、つまり主桁13,13、継手板14,14および内外一対の表面板15S,15Gは、互いの隣接辺縁を地山側から溶接して接続されるとともに、その内部において中詰めコンクリート12により強固に一体化される。
【0028】
地山側もしくは内空側リブ材16は、基部が表面板15S,15Gの表面に溶接されるウェブ部16Aと、その先端に接続されて表面板15S,15Gの表面に対向配置されるフランジ部16Bとを有する。あるいは地山側もしくは内空側リブ材16の表面板15S,15Gに当接する位置に図示しないフランジ材を突出させ、表面板15S,15Gとボルトもしくはドリルネジ(いずれも図示せず)により係合した後に螺合部を止水処理することでもよい。地山側もしくは内空側リブ材16は、ウェブ部16Aの基部において表面板15S,15Gの表面に溶接されているだけであり、その端部は主桁13の鋼殻内側表面に対して接続されてはいない。地山側もしくは内空側リブ材16の端部は表面板15S,15Gに設置される受けピース17を兼ねている。この受けピース17は、径方向の受けピース17Aと、周方向の受けピース17Bとで構成されている。径方向の受けピース17Aは、トンネル径方向に延びるウェブ部16Aの端部により形成されてトンネル周方向の力を受ける。周方向の受けピース17Bは、トンネル周方向に延びるフランジ部16Bの端部により形成されてトンネル径方向の力を受ける。
【0029】
主桁13の鋼殻内側表面には、地山側もしくは内空側リブ材16に対応した部位に、各一対の接続ピース13A,13Bが溶接されている。
一方の接続ピース13Aは、受けピース17B(フランジ部16B)とこれに対向する表面板15S,15Gの表面との間の空隙内に挿入され、受けピース17B、受けピース17A(ウェブ部16A)および表面板15S,15Gの表面の何れとも接触しておらず、それぞれとの間に間隔がおかれている。
他方の接続ピース13Bは、受けピース17A(ウェブ部16A)を挟んで接続ピース13Aと反対側に配置され、同様に受けピース17Aおよび表面板15S,15Gの表面との間に間隔がおかれている。
【0030】
これらの接続ピース13A,13Bと受けピース17A,17Bおよび表面板15S,15Gの表面との間隔は、それぞれ鋼殻11内に中詰めコンクリート12が充填される際に、同コンクリート12が容易に進入できる程度の広さが確保されている。その結果、鋼殻11内に中詰めコンクリート12が充填された際には、同コンクリート12が各間隔に進入して固化するとともに、接続ピース13A,13Bと受けピース17A,17Bとの周囲においてもこれらを包囲するように同コンクリート12が固化することにより、接続ピース13A,13Bと受けピース17A,17Bとが中詰めコンクリート12によって強固に一体化され、互いの連結が行われる。
【0031】
本実施形態の表面板と主桁を連結する合成セグメント10は、例えば以下に述べる手順で製造される。
図4に示すように、先ず、一方の主桁13を水平な載置面上に載置する。この際、主桁13は鋼殻11の内側となる表面を上向きにし、各々の接続ピース13A,13Bが上向きに起立する状態としておく。
次に、主桁13の地山G側の辺縁に、地山側リブ材16が固定された地山側の表面板15Gを載せ、互いの接合縁を溶接する。この際、リブ材16の端部の受けピース17は、その径方向の受けピース17A(リブ材16のウェブ部16A)が一対の接続ピース13A,13Bの間に収まるようにする。
図5に示すように、地山側の表面板15Gが一方の主桁13に載置できたら、同様にして主桁13の内空S側の辺縁に、内空側リブ材16が固定された内空側の表面板15Sを載せ、互いの接合縁を溶接する。
【0032】
図6に示すように、内外の表面板15S,15Gが主桁13に溶接できたら、主桁13の残る辺縁に、それぞれ継手板14,14を載せ、互いの接合縁を溶接する。
図7に示すように、両側に継手板14,14が溶接されることで上面が開口した鋼殻が形成される。この後、上面の開口に他方の主桁13を載置し、全周を溶接して閉じた鋼殻11を形成する。他方の主桁13には接続ピース13A,13Bを係止しておき、その間に内外の表面板15S,15Gの地山側もしくは内空側リブ材16端部の受けピース17が挿入されるようにする。
【0033】
図8に示すように、他方の主桁13には充填用の開口13Sを形成しておき、ここから鋼殻11内に流動状態のコンクリート12Aを注入することで、中詰めコンクリート12の充填を行う。なお、前述したように、主桁13には、X方向に隣り合う他の合成セグメント10と接合するためのリング間継手が形成されるが、そのボルト挿通孔が十分に大きければ、これを利用して開口13Sとしてもよい。
また、前記鋼殻11の製造方法では主桁13を水平に載置しているが、例えば地山側の表面板15Gを水平に船形に載置した後、地山側の主桁13および継手板14,14を地山側の表面板15Gの辺縁に立て、他方の主桁13を最後に立てた後に全周を溶接して閉じた鋼殻11を形成しても良い。
このようにして鋼殻11内に中詰めコンクリート12を充填することで、同コンクリート12が接続ピース13A,13Bと受けピース17A,17Bとの各間隔に進入して固化するとともに、接続ピース13A,13Bと受けピース17A,17Bとの周囲においてもこれらを包囲するように同コンクリート12が固化する。その結果、接続ピース13A,13Bと受けピース17A,17Bとが中詰めコンクリート12によって強固に一体化され、互いの連結が行われる。
【0034】
以上のような本実施形態の表面板と主桁を連結する合成セグメント10によれば、以下の効果を得ることができる。
本実施形態によれば、接続ピース13A,13Bと受けピース17(受けピース17Aおよび受けピース17B)とが充填材である中詰めコンクリート12により一体化されることで、主桁13と表面板である表面板15S,15Gとの内部連結が行われる。この連結は、予め主桁13に接続ピース13A,13Bを形成するとともに、表面板15S,15Gに地山側もしくは内空側リブ材16を形成しておき、これらを鋼殻11の形に組み立て、接続ピース13A,13Bと受けピース17を対向させた状態とすることでその準備を行うことができ、この後、鋼殻11内に中詰めコンクリート12を充填し固化させることで各々の連結を完成させることができる。
従って、主桁13と表面板15S,15Gとを連結するために、従来のように溶接や締結などの局所的な操作が連結部位毎に個別に必要となることはなく、複数の箇所を一気に連結することができる。このため、製造にあたっての作業効率を飛躍的に向上できるととともに、鋼殻11内の奥まった部位の連結も何ら支障なく実施することができる。
【0035】
さらに、本実施形態では、受けピース17を地山側もしくは内空側リブ材16の端部を利用したため、構成を簡素化できるとともに設置作業が簡略化できる。また、地山側もしくは内空側リブ材16として汎用されるL字断面の形鋼を用いたため、入手容易であり、実施が容易にできる。さらに、地山側もしくは内空側リブ材16のウェブ部16Aとフランジ部16Bとを利用して受けピース17A,17Bを構成したため、接続ピース13Aがウェブ部16Aの端部の受けピース17Aと対向することでトンネル周方向の荷重伝達が担保され、接続ピース13Bがフランジ部16Bの受けピース17Aおよび表面板15S,15Gの表面と対向することでトンネル径方向の荷重伝達が担保され、これら二方向の荷重負担により主桁13と表面板15S,15Gとの連結に必要十分な性能を得ることができる。
【0036】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態に係る表面板と主桁を連結する合成セグメント20を図9に基づいて説明する。
合成セグメント20は、前記第1実施形態の合成セグメント10と同様の鋼殻11および中詰めコンクリート12を有し、鋼殻11は、合成セグメント10と同様に、一対の主桁13,13、一対の継手板14,14、内外の表面板15S,15G、接続ピース13A,13Bを有し、これらの構成は前記第1実施形態と同様である。
【0037】
本実施形態の表面板と主桁を連結する合成セグメント20は、表面板15S,15Gの内側表面にトンネル軸方向の地山側および内空側リブ材26を有し、その端部により受けピース27が形成されている。
前記第1実施形態の合成セグメント10のリブ材16(図3参照)がL字断面の形鋼であったのに対し、本実施形態の地山側および内空側リブ材26はT字断面の形鋼とされている。
リブ材26は、基部が表面板15S,15Gの表面に溶接されるウェブ部26Aと、その先端に接続されて表面板15S,15Gの表面に対向配置されるフランジ部26Bとを有する。つまり、前記第1実施形態の地山側もしくは内空側リブ材16がウェブ部26Aの片側のみにフランジ部26Bを有していたのに対し、本実施形態のリブ材26はウェブ部26Aの両側にフランジ部26Bが張り出している。
【0038】
前記第1実施形態の受けピース17が径方向の受けピース17Aおよびその片側に延びる周方向の受けピース17B(図3参照)を備えていたのに対し、本実施形態の受けピース27では、径方向の受けピース27Aの両側に延びる一対の周方向の受けピース27Bを備えている。
本実施形態では、一対の接続ピース13A,13Bは、何れも受けピース27Bとこれに対向する表面板15S,15Gの表面との間の空隙内に挿入され、鋼殻11内に中詰めコンクリート12が充填された際には、周方向および径方向の受けピース27A,27Bと一体化される。
【0039】
以上のような本実施形態の表面板と主桁を連結する合成セグメント20によれば、前記第1実施形態と略同様の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
一対の接続ピース13A,13Bは、何れも周方向および径方向の受けピース27A,27Bと一体化されるため、一方の接続ピース13Aのみが周方向の受けピース17Bと表面板15S,15Gとの間に挿入される前記第1実施形態よりも一層高い連結強度を得ることができる。
【0040】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態に係る表面板と主桁を連結する合成セグメント30を図10に基づいて説明する。
合成セグメント30は、前記第1実施形態の合成セグメント10と同様の鋼殻11および中詰めコンクリート12を有し、鋼殻11は、合成セグメント10と同様に、一対の主桁13,13、一対の継手板14,14、内外の表面板15S,15Gを有し、これらの構成は前記第1実施形態と同様である。
【0041】
本実施形態の表面板と主桁を連結する合成セグメント30は、表面板15S,15Gの内側表面にトンネル軸方向の地山側もしくは内空側リブ材36を有し、その端部により受けピース37が形成されている。
前記第1実施形態の表面板と主桁を連結する合成セグメント10のリブ材16(図3参照)がL字断面の形鋼であったのに対し、本実施形態の地山側もしくは内空側リブ材36はコ字断面の形鋼とされている。
地山側もしくは内空側リブ材36は、ウェブ部36Bの両側に一対のフランジ部36Aを有し、一対のフランジ部36Aの各先端を表面板15S,15Gの表面に溶接され、ウェブ部36Bが表面板15S,15Gの表面に対向配置される。
【0042】
前記第1実施形態では受けピース17が径方向の受けピース17Aおよびその片側に延びる周方向の受けピース17B(図3参照)を備えていたのに対し、本実施形態の受けピース37では、一対のフランジ部36Aの端部により一対の周方向の受けピース37Aが形成され、ウェブ部36Bの端部により径方向の受けピース37Bが形成される。
前記第1実施形態では主桁13に一対の接続ピース13A,13Bを設けたのに対し、本実施形態では、主桁13の地山側もしくは内空側リブ材36に対応する部位には接続ピース13Cが一つ設置される。接続ピース13Cは断面正方形とされ、受けピース37内に挿入されることで、周囲の受けピース37A,37Bおよび表面板15S,15Gの表面との間に所定間隔が形成される。
【0043】
以上のような本実施形態の表面板と主桁を連結する合成セグメント30によれば、前記第1実施形態と略同様の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
表面板15S,15Gに溶接されることで受けピース37A,37Bおよび表面板15S,15Gが筒状となるため、接続ピース13Cは中詰めコンクリート12を介してこれらに全周を包囲されることになり、周方向および径方向以外の方向についても高い連結強度を得ることができる。
なお、本実施形態において、地山側もしくは内空側リブ材36を断面コ字状の形鋼ではなく、正方形あるいは長方形の断面を有する形鋼としてもよい。このような形鋼を用いても、表面板15S,15Gに溶接した状態では本実施形態と同様な受けピース37A,37B(図10参照)を確保することができる。
【0044】
〔第4実施形態〕
次に、本発明の第4実施形態に係る表面板と主桁を連結する合成セグメント40を図11に基づいて説明する。
合成セグメント40は、前記第1実施形態の合成セグメント10と同様の鋼殻11および中詰めコンクリート12を有し、鋼殻11は、合成セグメント10と同様に、一対の主桁13,13、一対の継手板14,14、内外の表面板15S,15Gを有し、これらの構成は前記第1実施形態と同様である。
【0045】
本実施形態の表面板と主桁を連結する合成セグメント40は、表面板15S,15Gの内側表面にトンネル軸方向の地山側もしくは内空側リブ材46を有し、その端部により受けピース47が形成されている。
前記第1実施形態の表面板と主桁を連結する合成セグメント10の地山側もしくは内空側リブ材16(図3参照)がL字断面の形鋼であったのに対し、本実施形態の地山側もしくは内空側リブ材46は円形断面の鋼管材とされている。
前記第1実施形態では受けピース17が径方向の受けピース17Aおよび周方向の受けピース17B(図3参照)を備えていたのに対し、本実施形態の受けピース47ではリブ材46の断面そのままの円形断面を有する筒状である。
前記第1実施形態では主桁13に一対の接続ピース13A,13Bを設けたのに対し、本実施形態では、主桁13のリブ材46に対応する部位には接続ピース13Dが一つ設置される。接続ピース13Dはリブ材46の内径より小さい外径を有する丸棒状とされ、受けピース47内に挿入されることで、受けピース47の内壁により全周を囲われ、同内壁との間に所定間隔が形成される。
【0046】
以上のような本実施形態の表面板と主桁を連結する合成セグメント40によれば、前記第1実施形態と略同様の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
地山側もしくは内空側リブ材46が円形断面を有するため、受けピース47も円形断面となり、接続ピース13Dは中詰めコンクリート12を介してこれらに全周を包囲されることになり、主桁13の表面に沿った全方向について一様に高い連結強度を得ることができる。
【0047】
〔第5実施形態〕
次に、本発明の第5実施形態に係る表面板と主桁を連結する合成セグメント50を図12に基づいて説明する。
合成セグメント50は、前記第1実施形態の表面板と主桁を連結する合成セグメント10と同様の鋼殻11および中詰めコンクリート12を有し、鋼殻11は、合成セグメント10と同様に、一対の主桁13,13、一対の継手板14,14、内外の表面板15S,15Gを有し、これらの構成は前記第1実施形態と同様である。
【0048】
本実施形態の合成セグメント50は、表面板15S,15Gの内側表面にトンネル軸方向のリブ材56を有し、その端部により受けピース57が形成されている。
前記第1実施形態の合成セグメント10の地山側もしくは内空側リブ材16(図3参照)がL字断面の形鋼であったのに対し、本実施形態の地山側もしくは内空側リブ材56は中心角が鈍角のV字断面を有する形鋼とされている。
前記第1実施形態では受けピース17が径方向の受けピース17Aおよび周方向の受けピース17B(図3参照)を備えていたのに対し、本実施形態の受けピース57では地山側もしくは内空側リブ材56の断面に基づくV字断面を有する。
前記第1実施形態では主桁13に設けた一対の接続ピース13A,13Bが単純な板状であったのに対し、本実施形態では、地山側もしくは内空側リブ材56と同様なV字断面を有する接続ピース13E,13Fが一対設置される。
本実施形態において、鋼殻11を組み立てた状態では、受けピース57が接続ピース13E,13Fの間に挿入される。この際、各々の断面形状のV字同士が互いの山を合わせた状態に配置され、各々の間には一定の間隔が維持されるようになっている。
【0049】
以上のような本実施形態の表面板と主桁を連結する合成セグメント50によれば、前記第1実施形態と略同様の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
接続ピース13E,13Fおよび地山側もしくは内空側リブ材56(受けピース57)がそれぞれV字断面とされているため、各々の剛性を確保しやすいとともに、互いの連結性能を高めることができる。
【0050】
〔第6実施形態〕
次に、本発明の第6実施形態に係る表面板と主桁を連結する合成セグメント60を図13、図14に基づいて説明する。
合成セグメント60は、前記第1実施形態の合成セグメント10と同様の鋼殻11および中詰めコンクリート12を有し、鋼殻11は、合成セグメント10と同様に、一対の主桁13,13、一対の継手板14,14、内外の表面板15S,15G、一対の接続ピース13A,13Bを有し、これらの構成は前記第1実施形態と同様である。
【0051】
本実施形態の表面板と主桁を連結する合成セグメント60は、表面板15S,15Gの内側表面にトンネル軸方向の地山側もしくは内空側リブ材66を有する。但し、その端部は受けピースとして利用されていない。
本実施形態では、地山側もしくは内空側リブ材66のない部分に断面L字状の受けピース67が設置され、そのウェブ部67Aが一対の接続ピース13A,13Bの間に挿入されるとともに、フランジ部67Bが接続ピース13Bを覆うように配置される。
【0052】
以上のような本実施形態の表面板と主桁を連結する合成セグメント60によっても、前記第1実施形態と略同様の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
リブ材66の端部を受けピースに利用しないため、各々の断面形状あるいは配置パターン、設置数に関する設計自由度を高めることができる。
【0053】
〔第7実施形態〕
次に、本発明の第7実施形態に係る表面板と主桁を連結する合成セグメント70を図15に基づいて説明する。
合成セグメント70は、前記第1実施形態の合成セグメント10と同様の鋼殻11および中詰めコンクリート12を有し、鋼殻11は、合成セグメント10と同様に、一対の主桁13,13、一対の継手板14,14、内外の表面板15S,15G、一対の接続ピース13A,13Bを有し、これらの構成は前記第1実施形態と同様である。
本実施形態の合成セグメント70では、内空側表面板15Sに接続された内空側のリブ材16と地山側表面板15Gに接続された地山側のリブ材16とを、R方向に対向しないずれた位置に設ける。
このような構成によれば、内空側のリブ材16および地山側のリブ材16を起点としたひび割れが生じた場合でも、これらが重ならないようにでき、ひび割れ長さを長くすることができるため、中詰めコンクリート12の強度を高めることができる。
【0054】
〔第8実施形態〕
次に、本発明の第8実施形態に係る表面板と主桁を連結する合成セグメント80を図16に基づいて説明する。
合成セグメント80は、前記第1実施形態の合成セグメント10と同様の鋼殻11および中詰めコンクリート12を有し、鋼殻11は、合成セグメント10と同様に、一対の主桁13,13、一対の継手板14,14、内外の表面板15S,15G、接続ピース13A,13Bを有し、これらの構成は前記第1実施形態と同様である。
図16に示すように、本実施形態では、表面板15Sに沿った内空側リブ材16と表面板15Gに沿った地山側リブ材16とを結ぶせん断補強材16Tが設けられる。
このような構成にすることで、相互の地山側および内空側リブ材16,16の変位が抑制されるとともに、トンネル径方向に一対の表面板15G,15Sが離れようとする力に抵抗することができる。その結果、鋼殻11内に充填される中詰めコンクリート12の割れ防止を図ることが可能となり、さらには中詰めコンクリート12のせん断強度を高めることができ、合成セグメント10全体の強度を向上させて、さらなる高性能化および薄型化を実現することができる。
【0055】
〔変形例〕
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
前記各実施形態では、内外の表面板15G,15Sの内側にそれぞれ地山側もしくは内空側リブ材16〜56を設けたが、これらは各々独立させておくのではなく、地山側および内空側リブ材16〜56を互いに連結してもよい。
【0056】
前記各実施形態では、内外の表面板15G,15Sの両方を設け、鋼殻11を6面で構成したが、表面板15G,15Sの何れかを省略し、鋼殻11を5面で構成してもよい。
図17において、図示の構成は前記第1実施形態(図3参照)と同様であるが、内空側の表面板15Sが省略され、鋼殻11は地山側の表面板15Gと、一対の主桁13,13と、一対の継手板14,14とで構成されている。
このような構成においては、開放された内側(図3において表面板15Sが設置されていた部位)から鋼殻11内の作業が容易に行えるが、接続ピース13A,13Bおよび受けピース17の各部の連結が中詰めコンクリート12の充填により一括して行える点で、従来の個別の連結よりも作業効率を高めることができる。
【0057】
前記実施形態では、主桁13と内外の表面板15G,15Sを連結するために接続ピースおよび受けピースを設置したが、継手板14と表面板15G,15Sとの連結、あるいは主桁13と継手板14との連結のために、同様な接続ピースおよび受けピースを用いてもよい。
【0058】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0059】
1…トンネル覆工、10,20,30,40,50,60,70,80…合成セグメント、11…鋼殻、12…充填材である中詰めコンクリート、12A…流動状態のコンクリート、13…主桁、13A,13B,13C,13D,13E,13F…接続ピース、13S…開口、14…継手板、15G,15S…表面板、16,26,36,46,56,66…地山側もしくは内空側リブ材、16A,26A,36B,67A…ウェブ部、16B,26B,36A,67B…フランジ部、16T…せん断補強材、17,17A,17B,27,27A,27B,37,37A,37B,47,57,67…受けピース。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼殻と、その内部に充填される充填材とを有して構成されるとともに、複数のピースを組み合わせてトンネル覆工に利用される合成セグメントであって、
前記鋼殻は、トンネル周方向に沿って延びて互いに対向する主桁と、これら主桁のトンネル周方向両端部同士を連結する一対の継手板と、トンネル地山側およびトンネル内空側の少なくとも何れかにて前記主桁に渡って設けられる表面板とが設けられ、
前記主桁の前記鋼殻内側表面にはトンネル軸方向に沿って延びる接続ピースが設けられ、前記表面板の前記鋼殻内側表面には、前記主桁近傍に、前記接続ピースに対して間隔をあけて対向するとともに、トンネル軸方向の前記主桁に面する端部において前記主桁内面と隙間をもって配置される受けピースが設けられ、
前記主桁、継手板および表面板で少なくとも5面が囲まれた内部に前記充填材が充填され、前記接続ピースと前記受けピースとは、トンネル軸方向に渡りラップするように配置され、前記接続ピースと前記受けピース各々の間および各々の周囲に充填される前記充填材により一体化されていることを特徴とする表面板と主桁を連結する合成セグメント。
【請求項2】
請求項1に記載の表面板と主桁を連結する合成セグメントにおいて、
前記表面板における前記鋼殻内側表面には、当該表面から突出するとともにトンネル軸方向に沿って延びる複数の地山側もしくは内空側リブ材が設けられ、前記地山側もしくは内空側リブ材の端部により前記受けピースが形成されていることを特徴とする表面板と主桁を連結する合成セグメント。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の表面板と主桁を連結する合成セグメントにおいて、
前記複数のリブ材は、トンネル軸方向の両端部において前記受けピース材が形成されていることを特徴とする表面板と主桁を連結する合成セグメント。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の表面板と主桁を連結する合成セグメントにおいて、
前記複数のリブ材は、それぞれ前記表面板から起立するウェブ部と、前記ウェブ部に連続しかつ前記表面板と対向するフランジ部とを有し、
前記ウェブ部は、一対の前記接続ピースにより、トンネル周方向に間隔をあけて対向するように配置されるとともに、
少なくとも一つの前記接続ピースは、前記フランジ部と前記表面板との間に挿入されて前記フランジ部および前記表面板と間隔をあけて対向されていることを特徴とする表面板と主桁を連結する合成セグメント。
【請求項5】
請求項2または請求項3に記載の表面板と主桁を連結する合成セグメントにおいて、
前記複数のリブ材は、それぞれ前記表面板に固定された筒状もしくは前記表面板とで構成される閉塞部が形成される閉断面部材であり、前記接続ピースは、前記閉断面部材の内側に挿入されて周囲と間隔をあけて対向されていることを特徴とする表面板と主桁を連結する合成セグメント。
【請求項6】
請求項2から請求項5の何れかに記載の表面板と主桁を連結する合成セグメントにおいて、
前記鋼殻は、トンネル地山側およびトンネル内空側に設けられた一対の表面板を有し、これらの主桁、継手板および表面板で6面が囲まれた内部に前記充填材が充填され、前記一対の表面板の前記鋼殻内側表面にそれぞれ設けられた前記地山側および内空側リブ材が剪断補強材で互いに連結されていることを特徴とする表面板と主桁を連結する合成セグメント。
【請求項7】
請求項2から請求項5の何れかに記載の表面板と主桁を連結する合成セグメントにおいて、
前記鋼殻は、トンネル地山側およびトンネル内空側に設けられた一対の表面板を有し、これらの主桁、継手板および表面板で6面が囲まれた内部に前記充填材が充填され、前記一対の表面板の前記鋼殻内側表面に設けられた前記内空側リブ材のうち、前記トンネル地山側に設けられる地山側リブ材と前記トンネル内空側に設けられる内空側リブ材とがトンネル径方向に対向しないずれた位置に設けられていることを特徴とする表面板と主桁を連結する合成セグメント。
【請求項8】
請求項1から請求項7の何れかに記載の表面板と主桁を連結する合成セグメントを組み合わせたトンネル覆工を備えることを特徴とするトンネル。
【請求項9】
鋼殻と、その内部に充填される充填材とを有して構成されるとともに、複数のピースを組み合わせてトンネル覆工に利用される表面板と主桁を連結する合成セグメントの製造方法であって、
トンネル周方向に沿って延びて互いに対向する主桁と、これら主桁のトンネル周方向両端部同士を連結する一対の継手板と、トンネル地山側およびトンネル内空側の少なくとも何れかにて前記一対の主桁に渡って設けられる表面板と、前記主桁の前記鋼殻内側表面に設けられてトンネル軸方向に沿って延びる接続ピースと、前記表面板の前記鋼殻内側表面に設けられて前記接続ピースに対して間隔をあけて対向する受けピースとを製造し、
前記表面板における前記鋼殻内側表面に受けピースを固定する工程と、前記主桁における前記鋼殻内側表面に前記接続ピースを固定する工程と、前記受けピースと前記表面板との間に接続ピースを一括挿入する工程を経て、前記主桁、一対の継手板および表面板により少なくとも5面が囲まれた前記鋼殻を形成し、
前記鋼殻の内部に前記充填材を充填し、前記接続ピースと前記受けピースとを各々の間および各々の周囲に充填される前記充填材により一括して一体化することを特徴とする表面板と主桁を連結する合成セグメントの製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の表面板と主桁を連結する合成セグメントの製造方法において、
前記鋼殻を形成する際に、先ず一方の前記主桁を水平に載置し、その周縁に沿って前記一対の表面板および一対の継手板を立て、これらの上縁に充填材を充填する複数の開口孔が設けられた他方の前記主桁を接続することにより6面が囲まれた前記鋼殻を形成し、前記開口孔から鉛直方向下向きに前記充填材を充填することを特徴とする表面板と主桁を連結する合成セグメントの製造方法。
【請求項1】
鋼殻と、その内部に充填される充填材とを有して構成されるとともに、複数のピースを組み合わせてトンネル覆工に利用される合成セグメントであって、
前記鋼殻は、トンネル周方向に沿って延びて互いに対向する主桁と、これら主桁のトンネル周方向両端部同士を連結する一対の継手板と、トンネル地山側およびトンネル内空側の少なくとも何れかにて前記主桁に渡って設けられる表面板とが設けられ、
前記主桁の前記鋼殻内側表面にはトンネル軸方向に沿って延びる接続ピースが設けられ、前記表面板の前記鋼殻内側表面には、前記主桁近傍に、前記接続ピースに対して間隔をあけて対向するとともに、トンネル軸方向の前記主桁に面する端部において前記主桁内面と隙間をもって配置される受けピースが設けられ、
前記主桁、継手板および表面板で少なくとも5面が囲まれた内部に前記充填材が充填され、前記接続ピースと前記受けピースとは、トンネル軸方向に渡りラップするように配置され、前記接続ピースと前記受けピース各々の間および各々の周囲に充填される前記充填材により一体化されていることを特徴とする表面板と主桁を連結する合成セグメント。
【請求項2】
請求項1に記載の表面板と主桁を連結する合成セグメントにおいて、
前記表面板における前記鋼殻内側表面には、当該表面から突出するとともにトンネル軸方向に沿って延びる複数の地山側もしくは内空側リブ材が設けられ、前記地山側もしくは内空側リブ材の端部により前記受けピースが形成されていることを特徴とする表面板と主桁を連結する合成セグメント。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の表面板と主桁を連結する合成セグメントにおいて、
前記複数のリブ材は、トンネル軸方向の両端部において前記受けピース材が形成されていることを特徴とする表面板と主桁を連結する合成セグメント。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の表面板と主桁を連結する合成セグメントにおいて、
前記複数のリブ材は、それぞれ前記表面板から起立するウェブ部と、前記ウェブ部に連続しかつ前記表面板と対向するフランジ部とを有し、
前記ウェブ部は、一対の前記接続ピースにより、トンネル周方向に間隔をあけて対向するように配置されるとともに、
少なくとも一つの前記接続ピースは、前記フランジ部と前記表面板との間に挿入されて前記フランジ部および前記表面板と間隔をあけて対向されていることを特徴とする表面板と主桁を連結する合成セグメント。
【請求項5】
請求項2または請求項3に記載の表面板と主桁を連結する合成セグメントにおいて、
前記複数のリブ材は、それぞれ前記表面板に固定された筒状もしくは前記表面板とで構成される閉塞部が形成される閉断面部材であり、前記接続ピースは、前記閉断面部材の内側に挿入されて周囲と間隔をあけて対向されていることを特徴とする表面板と主桁を連結する合成セグメント。
【請求項6】
請求項2から請求項5の何れかに記載の表面板と主桁を連結する合成セグメントにおいて、
前記鋼殻は、トンネル地山側およびトンネル内空側に設けられた一対の表面板を有し、これらの主桁、継手板および表面板で6面が囲まれた内部に前記充填材が充填され、前記一対の表面板の前記鋼殻内側表面にそれぞれ設けられた前記地山側および内空側リブ材が剪断補強材で互いに連結されていることを特徴とする表面板と主桁を連結する合成セグメント。
【請求項7】
請求項2から請求項5の何れかに記載の表面板と主桁を連結する合成セグメントにおいて、
前記鋼殻は、トンネル地山側およびトンネル内空側に設けられた一対の表面板を有し、これらの主桁、継手板および表面板で6面が囲まれた内部に前記充填材が充填され、前記一対の表面板の前記鋼殻内側表面に設けられた前記内空側リブ材のうち、前記トンネル地山側に設けられる地山側リブ材と前記トンネル内空側に設けられる内空側リブ材とがトンネル径方向に対向しないずれた位置に設けられていることを特徴とする表面板と主桁を連結する合成セグメント。
【請求項8】
請求項1から請求項7の何れかに記載の表面板と主桁を連結する合成セグメントを組み合わせたトンネル覆工を備えることを特徴とするトンネル。
【請求項9】
鋼殻と、その内部に充填される充填材とを有して構成されるとともに、複数のピースを組み合わせてトンネル覆工に利用される表面板と主桁を連結する合成セグメントの製造方法であって、
トンネル周方向に沿って延びて互いに対向する主桁と、これら主桁のトンネル周方向両端部同士を連結する一対の継手板と、トンネル地山側およびトンネル内空側の少なくとも何れかにて前記一対の主桁に渡って設けられる表面板と、前記主桁の前記鋼殻内側表面に設けられてトンネル軸方向に沿って延びる接続ピースと、前記表面板の前記鋼殻内側表面に設けられて前記接続ピースに対して間隔をあけて対向する受けピースとを製造し、
前記表面板における前記鋼殻内側表面に受けピースを固定する工程と、前記主桁における前記鋼殻内側表面に前記接続ピースを固定する工程と、前記受けピースと前記表面板との間に接続ピースを一括挿入する工程を経て、前記主桁、一対の継手板および表面板により少なくとも5面が囲まれた前記鋼殻を形成し、
前記鋼殻の内部に前記充填材を充填し、前記接続ピースと前記受けピースとを各々の間および各々の周囲に充填される前記充填材により一括して一体化することを特徴とする表面板と主桁を連結する合成セグメントの製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の表面板と主桁を連結する合成セグメントの製造方法において、
前記鋼殻を形成する際に、先ず一方の前記主桁を水平に載置し、その周縁に沿って前記一対の表面板および一対の継手板を立て、これらの上縁に充填材を充填する複数の開口孔が設けられた他方の前記主桁を接続することにより6面が囲まれた前記鋼殻を形成し、前記開口孔から鉛直方向下向きに前記充填材を充填することを特徴とする表面板と主桁を連結する合成セグメントの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2010−242396(P2010−242396A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−92925(P2009−92925)
【出願日】平成21年4月7日(2009.4.7)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月7日(2009.4.7)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】
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