説明

表面検査装置の評価装置及び表面検査装置の評価方法

【課題】微小な表面欠陥を検査する表面検査装置に対して適切な校正を行うべく、信頼性の高い性能評価を行うことができる表面検査装置の評価装置及び表面検査装置の評価方法を提供する。
【解決手段】校正装置30は、表面検査装置10のリング照明11及びカメラ13を検査時の相対位置関係を保ったまま後退させて検査面1aから離反させ、そこに校正板40を配置する。このとき、校正板40からリング照明11までの距離を、検査時における検査面1aからリング照明11までの距離と同じにする。また、校正板40には、検査対象の微小表面欠陥と同等レベルの穴41を形成しておく。この状態で、カメラ13によって校正板40の表面画像を撮像し、検査時と同様の画像処理を行って、校正板40の穴41を適切に検査できているか否かを確認することで、表面検査装置10の検査性能を評価する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼板などの検査対象物の表面に存在する微小欠陥を検査する表面検査装置の検査性能を評価する評価装置及び評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鋼板表面に存在する微小欠陥を検出する表面検査装置として、例えば特許文献1に記載の技術がある。この技術は、リング照明と、該リング照明の中央開口部を通して鋼板表面を撮像するエリアカメラとを用いて、鋼板表面のスケール残り等の微小欠陥を検査するものである。
図8は、リング照明とエリアカメラを使用した一般的な表面検査装置の概要を示す図である。この図8に示すように、表面検査装置100は、鋼板1の検査面に平行に配置したリング照明101と、リング照明101の光源102と、リング照明101の中央開口部を通して鋼板表面を撮像する高解像度のCCDカメラ103と、CCDカメラ103で撮像した鋼板表面画像について一連の画像処理を行った後、2値化閾値を用いて微小欠陥を検出する画像処理装置104とを備える。
【0003】
ここでは、検出対象をφ0.1mm〜φ0.5mmの微小点状欠陥とし、CCDカメラ103の分解能を0.03mmとしている。また、高分解能とするためにはカメラ視野を狭くする必要があるため、CCDカメラ103と鋼板101の検査面までの距離を200mm、リング照明の光出射部102と鋼板101の検査面までの距離を80mmと短くし、カメラ視野領域を40mm(w)×30mm(l)としている。
【0004】
ところで、通常、表面検査装置の検査性能は、照明部や撮像部の汚れや劣化により設置当初と比べて低下していく。このような性能異常は、経年的に悪化する傾向があり、短時間で気付きにくいケースが多い。よって、定期的に装置が正常であるか否かを確認する点検作業を実施し、必要に応じて装置の校正を行うことが望ましい。また、この校正処置は、1回/1日のように短周期で実施することが理想だが、製造ライン直近に設置する表面検査装置では、一般的にライン停止時に実施するしかなく、短周期での校正が困難であった。
【0005】
そこで、製造ラインの操業中に操業停止することなく、表面検査装置の校正を実施する方法として、例えば特許文献2に記載の技術がある。この技術は、鋼板の表面に光を照射し、その表面からの反射光を受光器で検出し、受光信号の強度に基づいて鋼板の表面を検査する表面検査装置の光学系を校正するものである。ここでは、鋼板に該鋼板を貫通するφ10mmの開口部を設け、この開口における反射光強度の大きさに基づいて表面検査装置の光学系の校正を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−210322号公報
【特許文献2】特開平11−132967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献2に記載の表面検査装置の校正方法にあっては、その都度形成される校正用の開口部を用いて表面検査装置の校正を行う。したがって、開口部のサイズが常に一定でない可能性があり、校正の信頼性が低い。また、カメラ1台で表面検査を行う表面検査装置であれば開口部は1つでよいが、複数台のカメラを用いた装置の場合、各カメラ視野領域に開口部を形成しなければならない。
【0008】
さらに、開口部サイズがφ10mmであるため、φ1.0mm程度の微小欠陥を検査目標とする場合には、校正時の検査サイズが検査目標に対し10倍と大きく、検査性能の確認が不十分である。検査性能の確認を十分に行うためには、検査目標である欠陥サイズに対応させて微小な開口部を形成する必要があるが、φ1.0mm程度の開口部をその都度精度良く形成するのは困難である。
そこで、本発明は、微小な表面欠陥を検査する表面検査装置に対して適切な校正を行うべく、信頼性の高い性能評価を行うことができる表面検査装置の評価装置及び表面検査装置の評価方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る表面検査装置の評価装置は、検査対象物を所定の検査距離を隔てて照射する照明装置と、前記照明装置で照射した前記検査対象物の表面画像を撮像するカメラと、前記カメラで撮像した前記検査対象物の表面画像に対して所定の画像処理を行って、前記検査対象物の微小表面欠陥を検査する画像処理装置と、を備える表面検査装置の評価装置において、前記照明装置及び前記カメラを、前記微小表面欠陥の検査時における相対位置関係を保ったまま前記検査対象物の表面に直交する方向に前記検査距離以上移動し、前記検査対象物から離反させる移動手段と、前記カメラの視野内で、且つ前記移動手段で移動した後の前記照明装置との距離が前記検査距離となる位置に、前記微小表面欠陥と同等の大きさを有する校正用表面欠陥が形成された校正板を配置する校正板配置手段と、前記カメラで、前記校正板配置手段によって配置された前記校正板の表面画像を撮像する撮像手段と、前記撮像手段で撮像した前記校正板の表面画像に対して前記画像処理装置における前記画像処理と同一処理を行って、前記校正用表面欠陥を検査することで、前記表面検査装置の性能を評価する評価手段と、を備えることを特徴としている。
【0010】
このように、予め用意した校正板を用いて表面検査装置の性能評価を行うので、常に評価に用いる校正用表面欠陥のサイズを一定とすることができ、表面検査装置の評価・校正の安定性を向上させることができる。また、校正板に形成する校正用表面欠陥を検査対象である微小表面欠陥と同等サイズとするので、表面検査装置の評価・校正の信頼性を向上させることができる。さらに、性能評価に際し、校正板を検査時と同条件で校正用表面欠陥の検査を行える位置に移動する構成とするので、複数台のカメラを用いる表面検査装置の場合には、各カメラの視野内に校正板を移動することで対応可能である。
【0011】
また、上記において、前記校正板には、大きさが異なる複数の前記校正用表面欠陥が形成されており、前記評価手段は、前記校正板の表面画像において、前記校正用表面欠陥に対応する欠陥画像領域を個別に包含する複数の評価領域を設定し、当該評価領域について、それぞれ前記校正用表面欠陥の検査を行うことを特徴としている。
このように、校正用表面欠陥の大きさ毎に評価領域を設定し、その評価領域毎に校正用表面欠陥の検査を行うことで表面検査装置の性能評価を行う。したがって、所定サイズの欠陥までは検査可能だが、当該所定サイズよりも小さい欠陥は検査不可能であるなど、表面検査装置の劣化度合いを把握することができる。
【0012】
さらに、上記において、前記校正板には、同一サイズの前記校正用表面欠陥が複数形成されており、前記評価手段は、同一サイズの前記校正用表面欠陥に対応する欠陥画像領域を包含する複数の評価領域を1つの評価領域としてグルーピングすることを特徴としている。
このように、同一サイズの複数の校正用表面欠陥をグルーピングして評価領域を設定し検査を行うので、微小な校正用表面欠陥1つのみを用いる場合と比較して、評価精度を向上させることができる。
【0013】
また、上記において、前記評価手段は、前記校正板の表面画像を2値化処理した2値化画像における黒色画素部分を前記校正用表面欠陥として検出するものであって、前記校正板の表面画像の平均輝度及び黒色画素数がそれぞれの許容範囲内であるか否かに応じて、前記表面検査装置の性能良否を判定することを特徴としている。
このように、表面検査装置の評価指標として平均輝度を用いるので、例えば平均輝度が許容下限値以下である場合には、照明装置の汚れや劣化により照明装置の光量が低下しているか、カメラの汚れによりカメラの受光量が低下していると判断することができる。また、表面検査装置の評価指標として黒色画素数を用いるので、例えば黒色画素数が許容上限値以上である場合には、カメラの汚れや劣化が発生していると判断することができる。したがって、適切に表面検査装置の性能評価を行うことができる。
【0014】
さらにまた、上記において、前記照明装置は、前記検査対象物の表面と平行に配置したリング状の光出射部を有するリング照明により構成され、前記カメラは、前記リング照明の中心線上に配置され、前記リング照明の中央開口部から前記検査対象物を撮像することを特徴としている。
このように、照明装置としてリング照明を用い、検査対象物の表面をムラなく照射して微小表面欠陥を検査する表面検査装置を対象として、当該表面検査装置の性能評価を適切に行うことができる。
【0015】
また、上記において、前記照明装置は、前記光出射部と前記検査対象物との間に、前記光出射部と同心円状で且つ前記光出射部よりも径の小さい光学的な開口部を有する遮光板を備えることを特徴としている。
このように、照明装置として遮光板を備えるリング照明を用い、検査対象物に直接光が照射されないようにすることで微小表面欠陥を精度良く検査する表面検査装置を対象として、当該表面検査装置の性能評価を適切に行うことができる。
【0016】
さらに、本発明に係る表面検査装置の評価方法は、検査対象物を所定の検査距離を隔てて照射する照明装置と、前記照明装置で照射した前記検査対象物の表面画像を撮像するカメラと、前記カメラで撮像した前記検査対象物の表面画像に対して所定の画像処理を行って、前記検査対象物の微小表面欠陥を検査する画像処理装置と、を備える表面検査装置の評価方法において、前記照明装置及び前記カメラを、前記微小表面欠陥の検査時における相対位置関係を保ったまま前記検査対象物の表面に直交する方向に前記検査距離以上移動し、前記検査対象物から離反させた後、前記カメラの視野内で、且つ前記照明装置との距離が前記検査距離となる位置に、前記微小表面欠陥と同等の大きさを有する校正用表面欠陥が形成された校正板を配置し、前記カメラで、当該校正板の表面画像を撮像し、撮像した前記校正板の表面画像に対して前記画像処理装置における前記画像処理と同一処理を行って、前記校正用表面欠陥を検査することで、前記表面検査装置の性能を評価することを特徴としている。
これにより、微小な表面欠陥を検査する表面検査装置に対して安定性及び信頼性の高い性能評価を行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、検査対象物の微小表面欠陥を検査する表面検査装置に対して適切な校正を行うべく、安定性及び信頼性の高い性能評価を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】検査時における表面検査装置の評価装置の構成を示す図である。
【図2】リング照明の構成を示す図である。
【図3】校正板の構成を示す側面図である。
【図4】校正時における表面検査装置の評価装置の構成を示す図である。
【図5】校正装置で実行する校正処理手順を示すフローチャートである。
【図6】校正板を用いた評価方法を説明する図である。
【図7】評価結果表示画面と良否判定内容の一例を示す図である。
【図8】リング照明とエリアカメラを使用した一般的な表面検査装置の概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(構成)
図1は、本実施形態における表面検査装置とその評価装置の構成を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
図中、符号1は製造ライン上を搬送中の鋼板(検査対象物)であり、符号10は鋼板1の表面(検査面)1aに存在するスケール残り等の微小表面欠陥を検査する表面検査装置である。この図1は、表面検査装置10による検査面1aの検査時における状態を示している。
表面検査装置10は、リング照明11と、光源12と、カメラ13と、カメラケース14と、画像処理装置15とを備える。リング照明11は、鋼板1の検査面1aに平行に配置されて検査面1aを照射するものであり、光源12と連結されている。光源12としては、キセノンストロボ装置等が好適である。
【0020】
また、カメラ13は、リング照明11と同一軸上に配置され、リング照明11の中央開口部を通して検査面1aの表面を撮像する高解像度のCCDカメラである。本実施形態ではφ0.1mm〜φ1.0mmの微小欠陥を検査対象とするものとし、カメラ13の空間分解能は、少なくとも0.1mm以下、望ましくは0.03mm〜0.05mm程度とする。さらに、高分解能とするためには、カメラ視野を例えば40mm(w)×30mm(l)と狭くする必要があるため、ここでは、検査面1aからリング照明11までの前後方向距離(図1(a)の左右方向の距離)D1を80mm、検査面1aからカメラ13までの前後方向距離D2を200mmと短く設定する。
光源12及びカメラ13は、画像処理装置15から出力される画像撮像指令を受けて検査面1aを同期撮像するように構成されている。カメラ13で撮像した検査面1aの表面画像は、画像処理装置15に入力される。
【0021】
次に、リング照明11の構成について、図2をもとに具体的に説明する。
図2(a)に示すように、リング照明11はリング状に配した光出射部11aを備える。光出射部11aは、LEDをリング状に配置したり、光源12に連結した光ファイバー束をリング状に分配したりして構成する。この光出射部11aは、検査面1aまでの作動距離が短くても照射光がラップするように、内向きに所定角度だけ傾けて配置されている。
鋼板表面の微細凹凸などに起因する画像ノイズの発生を抑制するために、リング照明11によって鋼板1の検査面1aをできるだけ均一に照射する必要がある。したがって、リング照明11としては集光性の低い拡散照明を適用する。これは、光出射部11aの前面に光拡散板を設置することで実現することができる。
【0022】
また、リング照明11の配置の指標となる角度αは、概略17°以上34°以下とする。ここで、角度αは、光出射部11aの半径をR、光出射部11aと鋼板1の検査面1aとの距離をDとしたとき、tanα=R/Dとなる角度である。このように、角度αが17°以上34°以下となるようにリング照明11を配置することで、過剰検出を抑止して微小な表面欠陥の検出SN比を向上させることができる。
【0023】
また、リング照明11として、図2(b)に示すように、光出射部11aと鋼板1との間に遮光板11bを設けたものを適用することもできる。この遮光板11bは、光出射部11aと同心円状で、且つ光出射部11aよりも径の小さい光学的なリング状の開口部を有するものである。遮光板11bとしては、光学的に不透明なものであれば材質を問わないが、例えば、表面を黒アルマイト処理したアルミ材などを用いることができる。なお、照明光の透過率が十分小さいものであれば、完全な遮光板でなくても使用可能である。
【0024】
このような構成により、検査面1aには、明るいリング状の照光部11cの内側に暗い遮光部11dが形成される。このとき、カメラ視野領域全体が遮光部11dに入るように、遮光部11dの大きさを設定する。これにより、リング照明11からの直接的な反射光はカメラ13に入らない。つまり、回折光が、後方拡散反射してカメラ13に入ることになる。この後方拡散反射光は、検査面1aの微細な角度変化があっても反射強度が略一定であるため、明暗点の輝度パターンが生じなくなり、微小な表面欠陥の検査をより精度良く行うことができる。
【0025】
図1に戻って、画像処理装置15は、図示しないCPUやメモリ等を有するマイクロコンピュータ等によって構成され、カメラ13から取得した検査面1aの表面画像に基づいて、検査面1aの微小表面欠陥を検査する表面検査処理を実行する。この表面検査処理では、先ず、取得した表面画像に対してシェーディング補正などの前処理を施した後、2値化処理を行い、予め実験などにより設定した閾値レベルを下回る部分を抽出し、これを表面欠陥に対応する黒点画素(黒色画素)であると判定する。これは、欠陥部分は健全部分より暗く撮影されることを利用したものである。
【0026】
また、カメラケース14内において、リング照明11及びカメラ13は設置ベース21上に固定されており、設置ベース21は駆動ステージ22上を前後方向(図1(b)の左右方向)にスライド移動可能に構成されている。なお、以下の説明では、図1(a)及び(b)の左方向を前方向、右方向を後方向とする。
さらに、駆動ステージ21の前方側で、且つ検査時におけるリング照明11の配置位置近傍には、駆動ステージ21の左右方向(図1(b)の紙面直交方向)に延在する駆動ステージ23が配置されている。駆動ステージ23の一部は、カメラケース14の前方側側部に連結された収納箱24内に配置されているものとする。駆動ステージ23上には、当該駆動ステージ23上をスライド移動可能な設置ベース25が設置されており、検査時には、この設置ベース25はカメラ視野領域外となる収納箱24内に収納されている。設置ベース25上には校正板40が固定されている。
【0027】
図3は、校正板40の構成を示す側面図(カメラ13側側面図)である。
校正板40は、検査対象物である鋼板1と同一製品を所定のサイズ(ここでは、50mm×50mm)に加工し、その表面に複数の穴41を形成した構成とする。穴41は、検査目標とした欠陥サイズに合わせた大きさとする。本実施形態では、検査目標をφ0.1mm〜φ0.5mmとしているので、穴41は同サイズの穴(例えば、φ0.5mm)とその周辺サイズの穴とする。
【0028】
具体的には、横一列に同一サイズの穴41を複数(ここでは、5個)形成すると共に、異なるサイズの穴41を縦に複数行(ここでは、5行)形成する。この例では、穴41のサイズを上から下に徐々に小さくしており、各サイズは上から順にφ0.9mm、φ0.7mm、φ0.5mm、φ0.3mm、φ0.1mmとしている。
なお、ここでは校正板40に校正用の穴41を形成する場合について説明したが、穴41の代わりに、金属メッキ等で同等の黒点を描写するようにしてもよい。
【0029】
図1において、設置ベース21及び25の移動は、校正装置30が、例えばモータ等で構成されるアクチュエータ31を駆動制御することで実現する。校正装置30は、作業者が図示しない校正ボタン等を押下することで表面検査装置10の校正処理を実行開始するものであり、校正処理を行うに際し、アクチュエータ31を駆動制御して駆動ステージ22及び23上の設置ベース21及び25を、図1に示す検査時の配置状態から図4に示す校正時の配置状態へ移動する。
【0030】
校正装置30は、先ず設置ベース21を図1に示す検査時の配置状態に対して後方にD1=80mm移動することで、リング照明11及びカメラ13を、検査時における相対位置関係を保ったまま検査面1aから離反させ、図4に示す校正時の配置状態とする。このとき、設置ベース21が駆動ステージ23から離反するため、校正装置30は、ここに設置ベース25を移動する。つまり、校正時においては、図4に示すように、校正板40の中心位置がカメラ13の中心軸に一致するように校正板40が配置される。この状態では、校正板40の検査面からリング照明11までの前後方向距離が、検査時における鋼板1の検査面1aからリング照明11までの前後方向距離と同じD1=80mmとなる。これにより、検査時と同条件でカメラ13による校正板40の撮像が可能となる。
【0031】
ここで、設置ベース21の移動量は、駆動ステージ22の後方側に配置された位置検出センサ32によって検出する。位置検出センサ32は、校正時に設置ベース21の後端部が到達する位置に設置されており、校正装置30は、位置検出センサ32から設置ベース21の後端部を検出したこと示す検出信号を入力することで、設置ベース21が校正時の位置に到達したことを検知する。なお、特に図示しないが、設置ベース25の移動量の検出に関しても同様である。
そして、校正装置30は、この校正時の配置状態において、光源12及びカメラ13に対して校正板40の画像撮像指令を出力し、これによって得られた校正板40の表面画像に基づいて表面検査装置10の検査性能を評価し、その結果をモニタ33に表示する。作業者は、モニタ33に表示された評価結果をもとに、必要に応じて校正を行う。
【0032】
以下、表面検査装置10の校正処理について具体的に説明する。
図5は、校正装置30で実行する校正処理手順を示すフローチャートである。この校正処理は、上述したように、検査時に作業者が校正ボタン等を押下することで実行開始する。
先ずステップS1で、校正装置30は、リング照明11及びカメラ13を校正位置へ移動し、ステップS2に移行する。即ち、校正装置30は、アクチュエータ31を駆動制御し、設置ベース21を図1に示す検査位置から図4に示す校正位置まで後退させる。
【0033】
ステップS2では、校正装置30は、校正板40を校正位置へ移動し、ステップS3に移行する。即ち、校正装置30は、アクチュエータ31を駆動制御し、設置ベース25を図1に示す検査位置から図4に示す校正位置へ移動させる。
ステップS3では、校正装置30は、光源12及びカメラ13に対して画像撮像指令を出力する。これにより、ストロボ発光されて校正板40の表面画像が撮像される。
【0034】
次にステップS4では、校正装置30は、前記ステップS3でカメラ13が撮像した校正板40の表面画像を取得し、これをメモリに記憶してステップS5に移行する。
ステップS5では、校正装置30は、前記ステップS4でメモリに記憶した校正板40の表面画像に対して、検査時における検査面1aの表面画像に対する画像処理と同一の画像処理を行う。このとき、校正板40の表面画像を複数の評価領域に分割し、その評価領域毎に画像処理を行う。ここで、評価領域は、穴41を個別に包含する領域(例えば、矩形領域)とし、同一サイズの穴41を包含する複数の評価領域については1つの評価領域にグルーピングするものとする。
【0035】
すなわち、図3に示す校正板40の場合、図6に示すように、校正板40の表面画像内で、横一列に形成された同一サイズの5つの穴41とその周辺領域とで構成される矩形領域を、上記評価領域とする。この評価領域は、穴41の大きさ毎に設定するため、この例では評価領域として5つの範囲(範囲1〜範囲5)が設定される。そして、範囲1〜範囲5のそれぞれに対して一連の画像処理を実行し、各範囲の平均輝度[cd/m2]と黒点画素数[個]とを算出する。算出した平均輝度及び黒点画素数は、メモリに記憶する。
【0036】
次にステップS6では、校正装置30は、校正板40の表面画像を所定枚数(例えば、10枚)撮像し、取得したか否かを判定する。そして、所定枚数取得していない場合には前記ステップS3に移行し、所定枚数取得している場合にはステップS7に移行する。
ステップS7では、校正装置30は、上記所定枚数の校正板40の表面画像に基づいてそれぞれ算出した平均輝度及び黒点画素数について、それぞれ平均値を算出し、ステップS8に移行する。
【0037】
ステップS8では、校正装置30は、前記ステップS7で算出した平均輝度及び黒点画素数の数値と、予め設定した所定の管理値とを比較して、表面検査装置10の検査性能の良否判定を行う。上記管理値としては、各数値の許容上下限値、前回校正時の数値との許容差異(前回との差異)、及び1ヶ月前の校正時の数値との許容差異(1ヶ月前との差異)を用い、以下の3つの条件をすべて満足するとき、良否結果を「良」とする。
[1]許容下限値<数値<許容上限値
[2]前回校正時の数値に対して差異が±X%以内(例えば、±1.0%以内)
[3]1ヶ月前の校正時の数値に対して差異が±Y%以内(例えば、±2.0%以内)
この良否判定は、各範囲1〜5に対してそれぞれ行う。
【0038】
次にステップS9では、校正装置30は、前記ステップS8で行った良否判定結果をモニタ33に表示する。良否判定結果画面の例を図7に示す。図7は、各範囲1〜5における各管理値(許容下限、許容上限、前回との差異、1ヶ月前との差異)と良否判定結果(合否)とを表示した例を示している。なお、良否判定結果画面としては、少なくとも各範囲1〜5の良否判定結果(合否)が表示されていればよく、図7に示す表示形式に限定されない。
【0039】
作業者は、モニタ33に表示された良否判定結果に基づいて、表面検査装置10の校正処置を行う。具体的には、平均輝度に基づいて良否結果が「否」であると判定された場合、その原因として光源12のランプやリング照明11の劣化、カメラ13や照明部の汚れ等が考えられるため、校正処置として、光源12のランプやリング照明11、カメラ13の交換や清掃作業を行う。一方、黒点画素数に基づいて良否結果が「否」であると判定された場合、その原因としてカメラ13のレンズ汚れた画素劣化が考えられるため、校正処置としてレンズ面の清掃やカメラ13の交換作業を行う。
【0040】
次にステップS10では、校正装置30は、校正板40を検査位置へ移動し、ステップS11に移行する。即ち、校正装置30は、アクチュエータ31を駆動制御し、設置ベース25を図4に示す校正位置から図1に示す検査位置へ移動させる。
ステップS11では、校正装置30は、リング照明11及びカメラ13を検査位置へ移動し、校正処理を終了する。即ち、校正装置30は、アクチュエータ31を駆動制御し、設置ベース21を図4に示す校正位置から図1に示す検査位置まで前進させる。これにより、鋼板1の検査面1aの表面検査が開始可能な状態に復帰する。
なお、図5において、ステップS1が移動手段に対応し、ステップS2が校正板配置手段に対応し、ステップS3が撮像手段に対応し、ステップS5〜S8が評価手段に対応している。
【0041】
(動作)
次に、本実施形態の動作について説明する。
表面検査装置10は、通常検査時には、図1に示すように、検査面1aからリング照明11までの前後方向距離D1が80mmとなるように配置されており、この状態で、鋼板1の検査面1aに存在する微小欠陥を検査する。画像処理装置15が光源12及びカメラ13に対して画像撮像指令を出力すると、カメラ13で製造ラインを搬送中の鋼板1の検査面1aを撮像し、撮像された検査面1aの表面画像が画像処理装置15に入力される。このとき、画像処理装置15は、カメラ13から取得した表面画像に対して一連の画像処理を行った後、2値化閾値を用いて黒点として写る微小表面欠陥を抽出する。
本実施形態では、表面検査装置10の照明部として図2に示す構成のリング照明11を用い、撮像部として空間分解能が0.03mm以上0.1mm以下の高解像度のカメラ13を用いている。したがって、φ0.1mm〜φ1.0mm程度の微小点状の欠陥を精度良く検査することができる。
【0042】
そして、例えば、検査対象でない鋼板1が搬送されているときなどの任意のタイミングで、作業者が表面検査装置10の校正処理を行うべく校正ボタンを押下すると、校正装置30が校正処理を実行開始する。先ず、校正装置30は、設置ベース21を図1に示す検査位置からD1=80mm後退させ、図4に示す校正位置に移動する(図5のステップS1)。すると、検査時において駆動ステージ23上に載置されていた設置ベース21が、駆動ステージ23上から離反するので、校正装置30は、この位置に設置ベース25を移動する(ステップS2)。これにより、図4に示すように校正板40は、カメラ13の中心軸上で、且つ校正位置に移動された後のリング照明11と鋼板1との間におけるリング照明11からの前後方向距離がD1=80mmとなる位置に配置される。
【0043】
このように、製造ラインの操業中に操業停止することなく、表面検査装置10の校正処理を開始することができる。また、校正処理を開始するタイミングは、作業者が任意に決定することができる。また、検査位置と校正位置との2ポジション間におけるリング照明11、カメラ13及び校正板40の移動は、アクチュエータ31による完全自動化となっているため、短い作業時間で高精度な配置作業を行うことができる。
【0044】
したがって、製造ライン停止時に表面検査装置の校正処理を実施するシステムや、校正処理に際し、人手を介して校正板を校正用の位置に配置するシステムの場合には、時間制約や人手不足などにより、例えば1回/1ヶ月程度のスパンでしか表面検査装置10の性能要否を確認することができなかったのに対し、本実施形態では、1回/1日程度の短スパンで表面検査装置10の性能良否を確認することができる。そのため、照明部の汚れやランプ劣化等による光量低下やカメラ汚れによる受光量低下、カメラ劣化等の装置異常を早期に発見することができる。
さらに、校正処理に用いる校正板40は、表面検査装置10による検査時には当該検査に影響を与えないようにカメラ視野領域外の収納箱24内に収納しておき、校正時にカメラ視野領域内に自動的に移動する。したがって、毎回同じ校正板40を決められた校正位置に配置して校正処理を行うことができる。
【0045】
ところで、従来、鋼板の表面処理ラインにおいて、鋼板の製品歩留まりに影響がない領域に校正用の開口を設け、この開口における反射光強度の大きさに基づいて表面検査装置の光学系の校正を行うものがある。しかしながら、この場合、開口の大きさが校正の度に異なる可能性があり、校正の安定性が低い。また、鋼板の蛇行や開口部の位置ずれ等により、校正時に開口部が狭いカメラ視野領域内を通らず、校正ができない場合がある。さらに、複数台のカメラを有する表面検査装置の校正を行う場合、各カメラ視野領域を開口部が通るように、開口部が複数必要となる。
【0046】
これに対して、本実施形態では、上述したように毎回同じ校正板40を決められた校正位置に配置して校正処理を行うことができるので、校正の安定性を向上させることができる。また、複数台のカメラを有する表面検査装置の場合であっても、各カメラ視野領域内に校正板40を移動するだけで対応可能である。
図4に示す校正時の配置状態において、校正装置30が光源12及びカメラ13に対して画像撮像指令を出力すると(ステップS3)、カメラ13で撮像された校正板40の表面画像が校正装置30に入力され(ステップS4)、校正装置30はこの表面画像に対して検査時と同一の一連の画像処理を行う。このとき、校正板40の表面画像を図6に示すように5つの範囲に分割し、その範囲毎に表面検査装置10の評価指標として用いる平均輝度及び黒点画素数を算出する(ステップS5)。
【0047】
そして、校正板40の表面画像を10枚撮像し、これら10枚の校正板40の表面画像に基づいてそれぞれ評価指標を算出すると(ステップS6でYes)、各評価指標の平均値を算出し、これらを最終的な表面検査装置10の評価指標とする(ステップS7)。このように、複数枚の平均値を用いるので、ストロボのショートにムラがある場合でも、信頼性の高い評価指標を得ることができる。
【0048】
表面検査装置10の評価に際しては、平均輝度及び黒点画素数の数値について、それぞれ許容範囲内にあるか否かを判定する。表面検査装置10に装置異常が発生していない場合、図6の各範囲1〜5の平均輝度及び黒点画素数は、それぞれ許容範囲内にあり、上述した条件[1]〜[3]を満足する。そのため、各範囲1〜5はそれぞれ「良」と判定され(ステップS8)、これがモニタ33に表示される(ステップS9)。
【0049】
一方、装置異常として例えばリング照明11の汚れが発生している場合には、照射光量が正常時に比して低下するため、各範囲1〜5の平均輝度の数値が低くなる。そして、この数値が許容下限値以下となると、良否判定結果が「否」と判定され、これがモニタ33に表示される。したがって、作業者はモニタ33を確認することで、リング照明11に汚れが発生していることを認識することができる。これにより、作業者は、表面検査装置10の校正処置としてリング照明11の清掃などの適切な対処を行うことができる。
【0050】
また、装置異常として例えばカメラ13の劣化が発生している場合には、各範囲1〜5の黒点画素数が増加する。そして、この数値が許容下限値以下となると、良否判定結果が「否」と判定され、これがモニタ33に表示されることで、作業者はカメラ13が劣化していること認識することができる。したがって、作業者は、表面検査装置10の校正処置としてカメラ13の交換などの適切な対処を行うことができる。
【0051】
本実施形態では、校正板40の表面画像を5つの範囲に分割し、各範囲でそれぞれ評価指標を算出して表面検査装置10を評価する。その際、各範囲にはそれぞれ同一サイズの穴41のみが包含されるようにする。そのため、例えば、範囲1における黒点画素数が許容下限値以下であり、範囲2〜5における黒点画素数が許容範囲内である場合には、φ0.3mm以上の穴41については適切に検査可能であり、φ0.1mmの穴41のみが検査不能な状態であると判断することができる。このように、表面検査装置10の検査可能範囲(若しくは劣化度合い)を適切に認識することができる。
【0052】
したがって、例えば検査対象の鋼板1が高レベルな検査を必要とせず、表面検査装置10がφ0.3mmの微小欠陥まで検査可能であれば問題ない場合には、上記のように範囲1で良否結果が「否」でも、範囲2〜5で良否結果が「良」であれば、そのまま校正処置を行わずに鋼板1の表面検査を継続し、検査対象の鋼板1が高レベルな検査を必要とする場合には、範囲1〜範囲5の何れか1つでも良否結果が「否」であれば速やかに校正処置を行うなど、作業者は要求レベルに応じた対応を行うことができる。
【0053】
そして、校正板40を用いた表面検査装置10の校正処理が終了すると、校正装置30は、設置ベース25を、図4に示す校正位置から図1に示す検査位置に移動する(ステップS10)。その後、校正装置30は、設置ベース21を図4に示す校正位置からD1=80mm前進させ、図1に示す検査位置に移動する(ステップS11)。これにより、表面検査装置10による鋼板1の検査面1aの表面検査が再開可能となる。
【0054】
(効果)
このように、上記実施形態では、製造ラインを停止することなく任意のタイミングで、鋼板の微小表面欠陥を検査する表面検査装置の性能評価及び校正を行うことができる。したがって、例えば1回/1日程度の短スパンで定期的に表面検査装置の良否判定を行うことができ、装置異常の早期発見が可能となる。そのため、品質保証体制のレベルアップを実現することができる。
【0055】
また、予め用意した校正板を用い、検査時と同条件で校正板の表面検査を行えるように、リング照明、カメラ及び校正板を自動的に校正位置に配置する。したがって、毎回同じ校正板を決められた校正位置に精度良く配置して校正処理を行うことができ、評価・校正の安定性を向上させることができる。また、校正時における一連の作業を自動化することができるので、カメラの前面に校正板を配置するといった作業を人が実施する場合と比較して、作業時間を大幅に短縮することができる。さらに、校正板に形成する校正用表面欠陥を検査対象である微小表面欠陥と同等サイズとするので、表面検査装置の評価・校正の信頼性を向上させることができる。
【0056】
さらに、表面検査装置の性能評価を行う指標として、校正板の表面画像の平均輝度及び黒点画素数を用いるので、これらの数値が許容範囲内にあるか否かを判定することで、表面検査装置の装置異常として、照明の汚れやランプの劣化による光量低下、カメラの汚れによる受光量低下、カメラの劣化等の現象を発見することができる。
また、このとき、校正板の表面画像において、校正用表面欠陥の大きさ毎に評価領域を設定し、その評価領域毎に表面検査装置の性能評価を行うので、所定サイズの欠陥までは検査可能だが、当該所定サイズよりも小さい欠陥は検査不可能であるなど、表面検査装置の劣化度合いを把握することができる。
【0057】
(応用例)
なお、上記実施形態においては、照明装置としてリング照明11を用いる場合について説明したが、例えば検査面の両側からスポット照明を対称的に照射するようにした表面検査装置を用いることもできる。
また、上記実施形態においては、鋼板の表面に存在する微小欠陥を検査する表面検査装置10の評価装置に本発明を適用する場合について説明したが、検査対象物は鋼板に限定されない。
【符号の説明】
【0058】
1…鋼板(検査対象物)、1a…検査面、10…表面検査装置、11…リング照明(照明装置)、11a…光出射部、11b…遮光板、12…光源、13…カメラ、14…カメラケース、15…画像処理装置、21…設置ベース、22…駆動ステージ、23…駆動ステージ、24…収納箱、25…設置ベース、30…校正装置、31…アクチュエータ、32…位置検出センサ、33…モニタ、40…校正板、41…穴(校正用表面欠陥)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物を所定の検査距離を隔てて照射する照明装置と、前記照明装置で照射した前記検査対象物の表面画像を撮像するカメラと、前記カメラで撮像した前記検査対象物の表面画像に対して所定の画像処理を行って、前記検査対象物の微小表面欠陥を検査する画像処理装置と、を備える表面検査装置の評価装置において、
前記照明装置及び前記カメラを、前記微小表面欠陥の検査時における相対位置関係を保ったまま前記検査対象物の表面に直交する方向に前記検査距離以上移動し、前記検査対象物から離反させる移動手段と、
前記カメラの視野内で、且つ前記移動手段で移動した後の前記照明装置との距離が前記検査距離となる位置に、前記微小表面欠陥と同等の大きさを有する校正用表面欠陥が形成された校正板を配置する校正板配置手段と、
前記カメラで、前記校正板配置手段によって配置された前記校正板の表面画像を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段で撮像した前記校正板の表面画像に対して前記画像処理装置における前記画像処理と同一処理を行って、前記校正用表面欠陥を検査することで、前記表面検査装置の性能を評価する評価手段と、を備えることを特徴とする表面検査装置の評価装置。
【請求項2】
前記校正板には、大きさが異なる複数の前記校正用表面欠陥が形成されており、
前記評価手段は、前記校正板の表面画像において、前記校正用表面欠陥に対応する欠陥画像領域を個別に包含する複数の評価領域を設定し、当該評価領域について、それぞれ前記校正用表面欠陥の検査を行うことを特徴とする請求項1に記載の表面検査装置の評価装置。
【請求項3】
前記校正板には、同一サイズの前記校正用表面欠陥が複数形成されており、
前記評価手段は、同一サイズの前記校正用表面欠陥に対応する欠陥画像領域を包含する複数の評価領域を1つの評価領域としてグルーピングすることを特徴とする請求項2に記載の表面検査装置の評価装置。
【請求項4】
前記評価手段は、前記校正板の表面画像を2値化処理した2値化画像における黒色画素部分を前記校正用表面欠陥として検出するものであって、前記校正板の表面画像の平均輝度及び黒色画素数がそれぞれの許容範囲内であるか否かに応じて、前記表面検査装置の性能良否を判定することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の表面検査装置の評価装置。
【請求項5】
前記照明装置は、前記検査対象物の表面と平行に配置したリング状の光出射部を有するリング照明により構成され、
前記カメラは、前記リング照明の中心線上に配置され、前記リング照明の中央開口部から前記検査対象物を撮像することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の表面検査装置の評価装置。
【請求項6】
前記照明装置は、前記光出射部と前記検査対象物との間に、前記光出射部と同心円状で且つ前記光出射部よりも径の小さい光学的な開口部を有する遮光板を備えることを特徴とする請求項5に記載の表面検査装置の評価装置。
【請求項7】
検査対象物を所定の検査距離を隔てて照射する照明装置と、前記照明装置で照射した前記検査対象物の表面画像を撮像するカメラと、前記カメラで撮像した前記検査対象物の表面画像に対して所定の画像処理を行って、前記検査対象物の微小表面欠陥を検査する画像処理装置と、を備える表面検査装置の評価方法において、
前記照明装置及び前記カメラを、前記微小表面欠陥の検査時における相対位置関係を保ったまま前記検査対象物の表面に直交する方向に前記検査距離以上移動し、前記検査対象物から離反させた後、前記カメラの視野内で、且つ前記照明装置との距離が前記検査距離となる位置に、前記微小表面欠陥と同等の大きさを有する校正用表面欠陥が形成された校正板を配置し、
前記カメラで、当該校正板の表面画像を撮像し、撮像した前記校正板の表面画像に対して前記画像処理装置における前記画像処理と同一処理を行って、前記校正用表面欠陥を検査することで、前記表面検査装置の性能を評価することを特徴とする表面検査装置の評価方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−173045(P2012−173045A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−33349(P2011−33349)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】