説明

表面検査装置を調整するためのデータを出力する調整装置、調整データ出力方法及びプログラム

【課題】オペレータが表面検査装置を調整する際に、基準板等の特殊な道具を用いることなく、調整を容易に行うことが可能な調整データを出力する。
【解決手段】調整部51の分散値算出部11は、カメラ3のレンズ位置を所定位置に設定するための位置指令をレンズ位置設定部12に出力し、レンズ位置設定部12から所定位置への移動の完了を入力すると、カメラ3から反射光の強度を入力し、反射光の強度の分布に基づいて分散値を算出する。最大位置決定部13は、分散値算出部11からレンズ位置及び分散値を入力し、全てのレンズ位置及びそれに対応する分散値を得た後、全ての分散値のうち分散値が最大となるレンズ位置を最大レンズ位置として決定する。調整データ出力部14は、レンズ位置、反射光の強度の分布、分散値及び最大レンズ位置を調整データとして出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯状体の材料の表面を光学的に検査する表面検査装置を調整するためのデータを出力する調整装置、調整データ出力方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属、紙等の帯状体の材料の表面に表れた疵、凹凸、錆等の欠陥を検査する装置が知られている。これらの欠陥は、帯状体の材料を製造する工程において、材料に異物が付着すること等が原因で発生するものである。これらの欠陥を検出する表面検査装置は、帯状体の材料の表面に光を照射する照明装置、その光の反射を撮像するカメラ、及び、カメラにより撮像された材料の表面の反射光を処理し、欠陥を検出して欠陥情報を生成する処理装置等を備えて構成される。
【0003】
このような表面検査装置を用いて材料の欠陥を精度高く検出するためには、材料の反射光を撮像するカメラの焦点を正しく設定すると共に、材料に光を照射する照明装置の位置及びカメラの位置等を正しく設定する必要がある。
【0004】
従来、カメラの焦点設定等の表面検査装置に対する調整は、オペレータが反射光の撮像画像を見ながら手動で行っていた。また、手動調整の困難さを軽減するために、所定幅の線が描かれた基準板を用いる手法が知られている(特許文献1を参照)。
【0005】
また、カメラの回転ズレ等のズレ量を確認するために、基準線を中心にして上下に互い違いに三角形が描かれたパターンを有する基準板を用いる手法が知られている(特許文献2を参照)。
【0006】
ところで、カメラの焦点設定の方式として、アクティブ方式及びパッシブ方式が知られている(非特許文献1を参照)。アクティブ方式は、対象物に超音波等を当て、その反射光を受け取るまでの時間及び反射角度を検出することにより、対象物までの距離を測定するものである。この方式は、対象物の模様に関係なく使用することができるが、レーダー装置が必要になりコストがかかってしまう。一方、パッシブ方式には、位相差検出方式及びコントラスト検出方式等があり、この方式は、カメラ内のレンズの位置を移動させて撮像画像の変化を検出することにより、対象物までの距離を測定するものである。この方式では、対象物が無地の場合に、変化のある撮像画像を検出し難くなり、対象物までの距離を正しく測定することができない。カメラの焦点設定は、このような方式を用いて行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−136473号公報
【特許文献2】特開2001−174414号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】“光学屋さんのまめ知識「オートフォーカス」”、[online]、シグマ光機株式会社、[平成23年9月12日検索]、インターネット<URL:http://www.sigma-koki.com/pages/community/knowledge/016_jp.php>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、オペレータが反射光の撮像画像を見ながらカメラの焦点等を調整する手動の手法では、調整に失敗する可能性があり、感覚的な要素が含まれてしまう。このため、欠陥検出の際に誤検出の発生確率を高めてしまうという問題があった。
【0010】
また、特許文献1,2に記載された基準板を用いる手法では、材料に基準板を付す必要があり、手間になるという問題があった。また、同じ材料に対して再調整を行う場合、基準板を材料に再度付す必要があり、再調整を行うのが容易でないという問題もあった。
【0011】
そこで、本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、オペレータが表面検査装置を調整する際に、基準板等の特殊な道具を用いることなく、調整を容易に行うことが可能な調整データを出力する調整装置、調整データ出力方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明による調整装置は、帯状体の材料の幅方向へ向けて光を照射する照明装置と、前記材料上の反射光を、レンズを介して撮像する撮像装置と、前記反射光の強度に基づいて前記材料の表面を検査する処理装置とを含んで構成される表面検査装置を調整するための調整データを出力する調整装置において、前記撮像装置のレンズを所定のレンズ位置に移動させ、前記撮像装置から反射光の強度を入力し、前記反射光の強度の分布に基づいて、前記反射光の強度のばらつき度合いを示す分散値を算出し、前記レンズの移動処理、前記反射光の強度の入力処理、及び分散値の算出処理を、複数のレンズ位置のそれぞれについて行い、各レンズ位置についての反射光の強度及び分散値を求める分散値算出部と、前記分散値算出部により求められた各レンズ位置についての分散値のうち、最も大きい分散値に対応するレンズ位置を最大レンズ位置として決定する最大位置決定部と、前記分散値算出部により求められた各レンズ位置についての反射光の強度及び分散値、並びに前記最大位置決定部により決定された最大レンズ位置を調整データとして出力する調整データ出力部と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明による調整装置は、前記分散値算出部が、前記撮像装置から入力した反射光の強度について平均値を算出し、前記平均値に対する反射光の強度の分散値を算出する、ことを特徴とする。
【0014】
また、本発明による調整装置は、前記分散値算出部が、前記撮像装置から入力した反射光の強度を近似し、近似式を算出し、前記近似式に対する反射光の強度の分散値を算出し、前記調整データ出力部が、前記近似式の係数を含む調整データを出力する、ことを特徴とする。
【0015】
また、本発明による調整装置は、前記分散値算出部が、所定次数の関数を用いて最小自乗法により近似し、近似式を算出する、ことを特徴とする。
【0016】
さらに、本発明による調整データ出力方法は、帯状体の材料の幅方向へ向けて光を照射する照明装置と、前記材料上の反射光を、レンズを介して撮像する撮像装置と、前記反射光の強度に基づいて前記材料の表面を検査する処理装置とを含んで構成される表面検査装置を調整するための調整データを出力する方法において、前記撮像装置のレンズを所定のレンズ位置に移動させ、前記撮像装置から反射光の強度を入力するステップと、前記反射光の強度の分布に基づいて、前記反射光の強度のばらつき度合いを示す分散値を算出するステップと、前記レンズの移動及び前記反射光の強度の入力を行うステップ、及び前記分散値の算出するステップを、複数のレンズ位置のそれぞれについて実行し、各レンズ位置についての反射光の強度及び分散値を求めるステップと、前記各レンズ位置についての分散値のうち、最も大きい分散値に対応するレンズ位置を最大レンズ位置として決定するステップと、前記各レンズ位置についての反射光の強度及び分散値、並びに最大レンズ位置を調整データとして出力するステップと、を有することを特徴とする。
【0017】
さらに、本発明による調整データ出力プログラムは、コンピュータを、前記調整装置として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明によれば、オペレータは、表面検査装置を調整する際に、基準板等の特殊な道具を用いる必要がないから、調整負荷を軽減し調整を容易に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】表面検査装置の全体構成を示す概略図である。
【図2】処理装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態による調整部(調整装置)の構成を示すブロック図である。
【図4】実施例1による調整部の処理を示すフローチャートである。
【図5】実施例2による調整部の処理を示すフローチャートである。
【図6】画素位置と反射光の強度との関係を示す図である。
【図7】レンズ位置R1における反射光の強度の分布(実施例1)を示す図である。
【図8】レンズ位置R2における反射光の強度の分布(実施例1)を示す図である。
【図9】所定のレンズ位置における反射光の強度の分布及び近似式の曲線(実施例2)を示す図である。
【図10】所定のレンズ位置における反射光の強度の分布及び近似式の直線(実施例2の変形例)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
〔表面検査装置〕
まず、本発明の実施形態による調整部(調整装置)が用いられる表面検査装置の全体構成について説明する。図1は、表面検査装置の全体構成を示す概略図である。この表面検査装置1は、照明装置2、カメラ3、PG(パルスジェネレータ)4、処理装置5、表示装置6、記憶装置7及びロール8を備えて構成される。表面検査装置1は、ロール8上を走行する帯状体の材料9−1,9−2の表面を、光学的に検査する装置である。材料9−1と材料9−2との間には所定幅のスリットが存在し、材料9−1,9−2は、所定幅のスリットを有する状態で同速度にて走行する。また、ロール8は、材料9−1,9−2の走行に伴って回転する。材料9−1,9−2の走行する向きは、y軸のプラス方向であってもよいしマイナス方向であってもよい。
【0021】
照明装置2は、照明手段の一例であり、走行する材料9−1,9−2の幅方向に対して略平行になるように設置され、所定の波長を有する帯状光を材料9−1,9−2へ照射する。帯状光は、材料9−1,9−2の幅方向に横切って、図1に示すx軸方向の所定領域に照射される。また、帯状光は、材料9−1,9−2の領域だけでなく、スリットの領域及び材料9−1,9−2の外側の領域(他方の材料9−1,9−2が存在しない側の領域)にも照射される。
【0022】
カメラ3は、撮像手段の一例であり、例えばラインセンサーカメラ、エリアセンサーカメラである。ラインセンサーカメラは、1列分の画像を撮影するカメラであり、エリアセンサーカメラは、平面の画像を撮影するカメラである。以下、カメラ3がラインセンサーカメラであるとして説明する。カメラ3は、照明装置2から照射された帯状光が材料9−1,9−2から反射した反射光を撮像し、反射光の明るさの指標となる強度(画素の明るさ)を処理装置5に出力する。カメラ3は、材料9−1,9−2の領域だけでなく、スリットの領域及び材料9−1,9−2の外側の領域を含む撮像領域を撮影する。図1において、p1,p2は、x軸上における撮像領域の端を示す。これにより、処理装置5は、カメラ3から、撮像領域のx軸上における画素位置毎の反射光の強度を入力する。
【0023】
PG4は、材料9−1,9−2の走行に伴って回転するロール8の回転量をパルス信号として処理装置5に出力する。処理装置5により、パルス信号から材料9−1,9−2の走行量が算出される。
【0024】
処理装置5は、反射光の強度の分布に基づいて、その強度のばらつき度合いを示す分散値を算出し、表面検査装置1を調整するための調整データを生成して出力する機能、及び、反射光の強度に基づいて材料9−1,9−2の表面を検査して疵を検出し、疵データを生成して出力する機能を有する。詳細については後述する。このようにして、表示装置6には調整データが表示され、記憶装置7には調整データ及び疵データが格納される。調整データは、オペレータにより表面検査装置1を調整するための基準データとして用いられる。
【0025】
〔処理装置〕
次に、図1に示した処理装置5について説明する。図2は、処理装置5の構成を示すブロック図である。この処理装置5は、調整部(調整装置)51及び疵検出部52を備えている。
【0026】
疵検出部52により、材料9−1,9−2の表面の疵を検出する処理が行われる前に、調整部51により、表面検査装置1を調整するための調整データが生成され出力される。オペレータは、調整部51により出力された調整データを用いて、表面検査装置1の調整を行う。オペレータにより表面検査装置1の調整が完了した後、疵検出部52による疵検出処理が行われる。調整部51にて調整処理を行うか、または疵検出部52にて疵検出処理を行うかは、処理装置5に対するオペレータの設定入力により決定される。
【0027】
調整部51は、カメラ3のレンズ位置を所定位置に設定し、カメラ3から反射光の強度を入力し、反射光の強度の分布に基づいて分散値を算出する。そして、調整部51は、予め設定された複数のレンズ位置に対する分散値を得て、分散値が最大となるレンズ位置を決定し、レンズ位置に対する反射光の強度の分布、分散値等の調整データを生成し、表示装置6及び記憶装置7に出力する。詳細については後述する。
【0028】
疵検出部52は、カメラ3から反射光の強度を入力し、反射光の強度に基づいて材料9−1,9−2の表面を検査して疵を検出し、パルス信号から材料9−1,9−2の走行量を算出し、疵の位置、大きさ等の疵データを生成し、記憶装置7に出力する。
【0029】
〔調整部(調整装置)〕
次に、図2に示した調整部51の詳細について説明する。図3は、調整部51の構成を示すブロック図である。この調整部51は、分散値算出部11、レンズ位置設定部12、最大位置決定部13及び調整データ出力部14を備えている。調整部51は、前述のとおり、疵検出部52が材料9−1,9−2の疵の検出処理を行う前に、表面検査装置1を調整するための調整データを生成し、オペレータへ提示する。尚、オペレータが、調整部51により出力された調整データを用いてカメラ3の焦点設定を行う場合、カメラ3の焦点設定の方式は、前述の非特許文献1に記載された方式のうち、パッシブ方式であるといえる。
【0030】
分散値算出部11は、カメラ3のレンズ位置を所定位置に設定するための位置指令をレンズ位置設定部12に出力する。これにより、カメラ3のレンズは、分散値算出部11の位置指令に従った所定位置に移動する。そして、分散値算出部11は、レンズ位置設定部12から所定位置への移動の完了を入力すると、カメラ3から、カメラ3のレンズ位置が所定位置に設定された状態において反射光の強度を入力し、反射光の強度の分布に基づいて分散値を算出する。そして、分散値算出部11は、レンズ位置及び分散値を最大位置決定部13に出力すると共に、レンズ位置、反射光の強度の分布及び分散値等の各種情報を調整データ出力部14に出力する。また、分散値算出部11は、カメラ3のレンズ位置を、予め設定された複数の所定位置にそれぞれ設定するための位置指令を出力してレンズを移動させ、それぞれのレンズ位置に対応する反射光の強度の分布に基づいて分散値を算出し、それぞれのレンズ位置に対応する分散値を得る。分散値算出部11は、レンズ位置に対応する分散値を算出する毎に、レンズ位置及び分散値を最大位置決定部13に出力すると共に、レンズ位置、反射光の強度の分布及び分散値等の各種情報を調整データ出力部14に出力する。
【0031】
レンズ位置設定部12は、分散値算出部11からレンズの位置指令を入力し、入力した位置指令が示す位置にカメラ3のレンズを移動させ、移動が完了したときに、完了を分散値算出部11に出力する。これにより、カメラ3のレンズは、分散値算出部11により出力された位置指令に従った所定位置に移動する。また、レンズ位置設定部12は、最大位置決定部13からレンズの位置指令を入力し、入力した位置指令が示す位置にカメラ3のレンズを移動させ、移動が完了したときに、完了を最大位置決定部13に出力する。後述のとおり、最大位置決定部13から入力するレンズの位置指令は、分散値が最大となるレンズ位置の指令であり、カメラ3のレンズは、カメラ3の材料9−1,9−2に対する焦点が合った位置に移動することになる。尚、オペレータは、レンズへの手動操作によってレンズ位置を設定するようにしてもよい。
【0032】
最大位置決定部13は、分散値算出部11からレンズ位置及び分散値を入力し、全てのレンズ位置及びそれに対応する分散値を得た後、全ての分散値のうち、分散値が最大となるレンズ位置を決定する。そして、最大位置決定部13は、決定したレンズ位置を最大レンズ位置として調整データ出力部14に出力する。
【0033】
最大位置決定部13により決定された、分散値が最大となるレンズ位置である最大レンズ位置が、オペレータにより調整されるべきカメラ3の焦点位置となる。これは、カメラ3の材料9−1,9−2に対する焦点が合っている場合、材料9−1,9−2の表面には僅かな強度の変化が現れ、反射光の強度の分散値が最大になるからである。
【0034】
最大位置決定部13は、分散値が最大となる最大レンズ位置の位置指令をレンズ位置設定部12に出力する。これにより、カメラ3のレンズは、最大レンズ位置に移動する。すなわち、カメラ3の材料9−1,9−2に対する焦点が合う位置に移動する。
【0035】
尚、最大位置決定部13は、オペレータにより設定されたレンズ位置を入力し、そのレンズ位置の位置指令をレンズ位置設定部12に出力するようにしてもよい。オペレータは、必ずしも所望のレンズ位置として最大レンズ位置を設定するとは限らず、後述する調整データ出力部14により出力され表示装置6に表示された調整データを用いて、所望のレンズ位置を設定する。
【0036】
調整データ出力部14は、分散値算出部11から、分散値が算出される毎に、レンズ位置、反射光の強度の分布及び分散値等の各種情報を入力し、最大位置決定部13から最大レンズ位置を入力し、全てのレンズ位置に対応する反射光の強度の分布及び分散値等の各種情報並びに最大レンズ位置を調整データとして生成し、表示装置6及び記憶装置7に出力する。尚、調整データ出力部14は、分散値算出部11からレンズ位置、反射光の強度の分布及び分散値等の各種情報を入力する毎に、これらの情報を調整データとして表示装置6及び記憶装置7に出力し、最大位置決定部13から最大レンズ位置を入力したときに、最大レンズ位置を調整データとして表示装置6及び記憶装置7に出力するようにしてもよい。
【0037】
〔実施例1〕
次に、実施例1として、反射光の強度の分布が均一である場合の調整部51の処理について説明する。実施例1は、反射光の強度の分布について平均値を算出し、平均値を用いて分散値を算出し、分散値が最大となるレンズ位置を決定し、レンズ位置に対する分散値等を調整データとして出力する例である。実施例1の目的は、オペレータが表面検査装置におけるカメラ3の焦点設定の調整を行う際に、基準板等の特殊な道具を用いることなく、調整を容易に行うことが可能な調整データを出力することにある。
【0038】
図4は、実施例1における調整部51の処理を示すフローチャートである。まず、調整部51の分散値算出部11は、カメラ3のレンズ位置を所定位置に設定するための位置指令をレンズ位置設定部12に出力し、レンズ位置設定部12は、位置指令が示す位置にカメラ3のレンズを移動させ、移動が完了したときに、完了を分散値算出部11に出力する(ステップS401)。これにより、カメラ3のレンズは所定位置に移動する。
【0039】
分散値算出部11は、カメラ3から反射光の強度を入力する(ステップS402)。図6は、画素位置と反射光の強度との関係を示す図である。カメラ3がラインセンサーカメラの場合、撮像領域は、図1に示した材料9−1,9−2の幅方向におけるx軸上にて、1列分の1画素毎の領域となる。分散値算出部11に入力される撮像領域の反射光の強度は、図6に示すように、x軸上における撮像領域p1からp2までの1画素毎の値となる。材料9−1,9−2が存在する撮像領域における反射光の強度は、スリット及び材料9−1,9−2の外側の撮像領域における反射光の強度よりも高くなる。尚、分散値算出部11は、後述するステップS403,S404において、スリット部分の反射光の強度を、分散値を算出するための演算に含めない。スリット部分の反射光の強度を演算に含めると、スリット部分での分散が大きくなり、材料9−1,9−2表面の僅かな明るさの分散を抑圧してしまい、結果として、材料9−1,9−2表面の分散値を正しく算出することができなくなるからである。
【0040】
図4に戻って、分散値算出部11は、各画素位置における反射光の強度の分布について、平均値を算出する(ステップS403)。図7は、レンズ位置R1における反射光の強度の分布を示す図であり、図8は、レンズ位置R2における反射光の強度の分布を示す図である。図7及び図8において、反射光の強度は、図6に示したx軸上において、例えば材料9−1に対するものであるとする(後述する図9及び図10も同様である)。尚、スリットの無い材料9に対する反射光の強度としてもよい。以下、材料9として説明する。カメラ3のレンズ位置は、ステップS401において、分散値算出部11及びレンズ位置設定部12によりそれぞれ所定位置R1,R2に設定され、画素位置p3から画素位置p4までの範囲は、材料9が存在しかつ処理対象の範囲である。また、この範囲における反射光の強度は、材料9に反射した反射光の強度を示す。分散値算出部11は、図7または図8に示す反射光の強度を入力した場合、画素位置p3から画素位置p4までの範囲において、各画素位置における反射光の強度から平均値を算出する。
【0041】
分散値算出部11は、ステップS402にて入力した反射光の強度と、ステップS403にて算出した平均値とを用いて、平均値に対する画素位置p3から画素位置p4までの反射光の強度の分布について、分散値を算出する(ステップS404)。例えば、分散値算出部11は、以下の式により分散σを算出する。
【数1】

ここで、nは、画素位置p3から画素位置p4までの画素数であり、iは、画素位置p3から画素位置p4までの画素位置を示す番号であり、yは、各画素位置における反射光の強度であり、Yは平均値である。尚、分散値算出部11は、分散σの代わりに標準偏差√σを算出するようにしてもよい。
【0042】
図7に示した反射光の強度のばらつき度合いと、図8に示した反射光の強度のばらつき度合いとを比較すると、図7の方が図8よりもばらつき度合いが高いことがわかる。したがって、分散値算出部11により算出される分散値は、図7の方が図8よりも大きくなる。この分散値は、カメラ3の焦点が合っているか否かを示す指標となる。具体的には、カメラ3の焦点が合っている場合、材料9の表面の僅かな変化が反射光の強度に現れるから、分散値は大きくなる。一方、カメラ3の焦点が合っていない場合、画像が全体的に滑らかになり、画素位置毎の反射光の強度の差がさほどなくなるから、分散値は小さくなる。
【0043】
分散値算出部11は、予め設定された全てのレンズ位置についてステップS401〜ステップS404の処理が完了したか否かを判定し(ステップS405)、全てのレンズ位置についてステップ401〜ステップS404の処理が完了したことを判定した場合(ステップS405:Y)、ステップS406へ移行する。一方、分散値算出部11は、ステップS405において、全てのレンズ位置についてステップS401〜ステップS404の処理が完了していないと判定した場合(ステップS405:N)、ステップS401へ移行し、新たなレンズ位置を設定し、ステップS401〜ステップS404の処理を行う。
【0044】
最大位置決定部13は、ステップS405から移行して、分散値算出部11からレンズ位置及び分散値を入力し、全てのレンズ位置及びそれに対応する分散値を得た後、全ての分散値のうち、分散値が最大となるレンズ位置を決定する(ステップS406)。最大位置決定部13により決定されたレンズ位置が、カメラ3の焦点が合う最大レンズ位置となる。
【0045】
調整データ出力部14は、分散値算出部11からレンズ位置、反射光の強度の分布及び分散値を入力し、最大位置決定部13から最大レンズ位置を入力し、これらを調整データとして生成し、表示装置6及び記憶装置7に出力する(ステップS407)。
【0046】
以上のように、実施例1の調整部51によれば、反射光の強度の分布が均一である場合、オペレータは、予め設定された複数のレンズ位置におけるそれぞれの反射光の強度の分布及び分散値、並びに分散値が最大となる最大レンズ位置を調整データとして取得することができる。したがって、オペレータは、表面検査装置1におけるカメラ3の焦点を調整する際に、基準板等の特殊な道具を用いることなく、調整データを用いて容易に調整を行うことができる。
【0047】
例えば、オペレータは、取得した調整データのうち、分散値が最大となる最大レンズ位置を用いて、カメラ3の焦点を設定することができる。例えば、オペレータが最大レンズ位置を調整部51へ設定することにより、調整部51の最大位置決定部13は、オペレータにより設定された最大レンズ位置を入力し、その最大レンズ位置の位置指令をレンズ位置設定部12に出力し、レンズ位置設定部12は、カメラ3のレンズ位置が最大レンズ位置になるようにレンズを移動させる。
【0048】
また、実施例1の調整部51によれば、材料9が存在する画素位置p3から画素位置p4までの広い範囲で統計処理を行い、調整データを生成するようにしたから、材料9上の一部に汚れ等があったとしても、それに伴う誤差を抑制することができる。
【0049】
また、実施例1の調整部51は、特に無地の材料9に対して有効な調整データを生成し出力することができる。無地の材料9と模様等を有する材料9とを比べると、無地の材料9の方がその表面に変化が少ない。しかし、無地の材料9であってもその表面には僅かな変化がある。調整部51は、カメラ3から反射光の強度を入力し、その反射光の強度の分布を統計的に処理するようにしたから、その僅かな変化を捉えた調整データを生成することができる。したがって、オペレータは、無地の材料9を検査する表面検査装置1を調整するために、有効な調整データを取得することができる。
【0050】
〔実施例2〕
次に、実施例2として、反射光の強度の分布が均一でない場合の調整部51の処理について説明する。例えば、均一な帯状光を照射する照明装置2を用いたとしても、処理装置5が入力する材料9の反射光の強度は、撮像領域の中央よりも両端の方が低くなる傾向にある。そこで、実施例2では、処理装置5が入力する反射光の強度の分布特性に適合した近似式を算出し、近似式を用いて分散値を算出する。実施例2の目的は、オペレータが表面検査装置におけるカメラ3の焦点設定に加えて、カメラ3及び照明装置2の位置設定等の調整を行う際に、基準板等の特殊な道具を用いることなく、調整を容易に行うことが可能な調整データを出力することにある。
【0051】
図5は、実施例2における調整部51の処理を示すフローチャートである。図5に示すステップS501〜ステップS507のうちのステップS501,S502,S505,S506は、図4に示したステップS401,S402,S405,S406と同様であるから、ここでは説明を省略する。以下、ステップS503,S504,S507について説明する。
【0052】
分散値算出部11は、ステップS502から移行して、各画素位置における反射光の強度の分布を、例えば2次関数を用いて最小自乗法により近似し、近似式を算出する(ステップS503)。図9は、所定のレンズ位置における反射光の強度の分布及び近似式の曲線を示す図である。図9において、カメラ3のレンズ位置は、ステップS501において、分散値算出部11及びレンズ位置設定部12により所定のレンズ位置に設定され、画素位置p3から画素位置p4までの範囲は、材料9が存在しかつ処理対象の範囲である。また、この範囲における反射光の強度は、材料9に反射した反射光の強度を示す。分散値算出部11は、図9に示す反射光の強度を入力した場合、画素位置p3から画素位置p4までの範囲の反射光の強度の分布を、2次関数を用いて最小自乗法により近似し、近似式f(x)=ax+bx+c、またはf(x)=a(x−b’)+c’を算出する。ここで、f(x)は近似式における反射光の強度であり、xは画素位置であり、a,b,c,b’,c’は近似式の係数(パラメータ)である。これらのパラメータa,b,c,b’,c’は、画像の状態(強度の分布等)が数値化されたものであり、照明装置2及びカメラ3の設置関係のズレが反映された値である。オペレータは、これらのパラメータa,b,c,b’,c’を調整データとして取得することにより、照明装置2及びカメラ3の設置位置を調整することができる。
【0053】
分散値算出部11は、ステップS502にて入力した反射光の強度と、ステップS503にて算出した近似式とを用いて、近似式に対する画素位置p3から画素位置p4までの反射光の強度の分布について、分散値を算出する(ステップS504)。例えば、分散値算出部11は、以下の式により分散σを算出する。
【数2】

ここで、nは、画素位置p3から画素位置p4までの画素数であり、iは、画素位置p3から画素位置p4までの間の画素位置を示す番号であり、yは、各画素位置における反射光の強度であり、f(i)は近似式である。尚、分散値算出部11は、実施例1と同様に、分散σの代わりに標準偏差√σを算出するようにしてもよい。
【0054】
この分散値は、実施例1と同様に、カメラ3の焦点が合っているか否かを示す指標であり、カメラ3の焦点が合っている場合、分散値は大きくなり、カメラ3の焦点が合っていない場合、分散値は小さくなる。
【0055】
調整データ出力部14は、ステップS506から移行して、分散値算出部11から入力したレンズ位置、反射光の強度の分布、近似式(近似式のパラメータ)及び分散値、並びに最大位置決定部13から入力した最大レンズ位置を調整データとして生成し、表示装置6及び記憶装置7に出力する(ステップS507)。具体的には、調整データ出力部14は、分散値算出部11から、分散値が算出される毎に、レンズ位置、反射光の強度の分布、近似式及び分散値を入力し、最大位置決定部13から最大レンズ位置を入力し、全てのレンズ位置に対応する反射光の強度の分布、近似式及び分散値、並びに最大レンズ位置を調整データとして生成し、表示装置6及び記憶装置7に出力する。尚、調整データ出力部14は、分散値算出部11からレンズ位置、反射光の強度の分布、近似式及び分散値を入力する毎に、これらのデータを調整データとして表示装置6及び記憶装置7に出力し、最大位置決定部13から最大レンズ位置を入力したときに、最大レンズ位置を調整データとして表示装置6及び記憶装置7に出力するようにしてもよい。
【0056】
以上のように、実施例2の調整部51によれば、反射光の強度の分布が均一でない場合であっても、オペレータは、予め設定された複数のレンズ位置におけるそれぞれの反射光の強度の分布、近似式及び分散値、並びに分散値が最大となる最大レンズ位置を調整データとして取得することができる。したがって、オペレータは、表面検査装置1におけるカメラ3の焦点に加え、カメラ3及び照明装置2の位置等を調整する際に、基準板等の特殊な道具を用いることなく、調整データを用いて容易に調整を行うことができる。その他、実施例1と同様の効果を奏する。
【0057】
また、前述した特許文献1,2では、オペレータは、基準板を用いてカメラ3の焦点及び位置を調整する。これに対し、実施例2の調整部51では、オペレータは、調整データを用いて、カメラ3の焦点及び位置だけでなく、照明装置2の位置も調整することができる。例えば、カメラ3の位置を固定にして、照明装置2の位置を調整することができる。
【0058】
また、オペレータは、取得した調整データのうち、分散値が最大のときの近似式f(x)=a(x−b’)+c’におけるパラメータa,b’,c’を用いて、照明装置2及びカメラ3の位置を調整することができる。パラメータaはカメラ3のねじれ度合いを示し、パラメータb’はカメラ3の中心位置のズレを示し、パラメータc’は反射光の強度の度合い(全体の明るさ)を示す。つまり、オペレータは、パラメータa,b’,c’の値に基づいて、カメラ3のねじれを直したり、中心位置を正しい位置に合わせたり、照明装置2及び/またはカメラ3の位置を変えて全体の明るさを変更したりすることができ、表面検査装置1の調整を容易に行うことができる。ここで、カメラ3のねじれは、図1を参照して、カメラ3から撮像領域の中央に対する軸を基準にした場合のカメラ3の回転角度をいい、カメラ3の中心位置のズレは、カメラ3から撮像領域の中央に対する軸を基準にした場合のx軸方向の距離をいう。
【0059】
尚、調整部51は、調整データ出力部14により出力された近似式のパラメータa,b’,c’が、オペレータにより設定された設定値とそれぞれ一致するように、カメラ3のねじれ、カメラ3の設置位置、及び照明装置2の設置位置をそれぞれ変更するフィードバック制御を行うようにしてもよい。
【0060】
以上、実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
【0061】
〔実施例2の変形例〕
実施例2では、分散値算出部11は、各画素位置における反射光の強度の分布を、2次関数を用いて最小自乗法により近似し、2次関数の近似式f(x)=ax+bx+c(またはf(x)=a(x−b’)+c’)を算出し、この近似式に対する反射光の強度の分布について、前記式(2)を用いて分散値を算出するようにした。これに対し、実施例2の変形例として、分散値算出部11は、各画素位置における反射光の強度の分布を、1次関数を用いて最小自乗法により近似し、1次関数の近似式f(x)=dx+eを算出し、この近似式に対する反射光の強度の分布について、前記式(2)を用いて分散値を算出するようにしてもよい。ここで、パラメータdは、カメラ3の中心位置のズレを示し、パラメータeは反射光の強度の度合い(全体の明るさ)を示す。
【0062】
図10は、所定のレンズ位置における反射光の強度の分布及び近似式の直線を示す図である。図10において、カメラ3のレンズ位置は、図5に示したステップS501において、分散値算出部11及びレンズ位置設定部12により所定のレンズ位置に設定され、画素位置p3から画素位置p4までの範囲は、材料9が存在しかつ処理対象の範囲である。また、この範囲における反射光の強度は、材料9に反射した反射光の強度を示す。分散値算出部11は、図10に示す反射光の強度を入力した場合、画素位置p3から画素位置p4までの範囲の反射光の強度の分布を、1次関数を用いて最小自乗法により近似し、近似式f(x)=dx+eを算出する。そして、分散値算出部11は、反射光の強度と1次関数の近似式とを用いて、近似式に対する画素位置p3から画素位置p4までの反射光の強度の分布について、前記式(2)を用いて分散値を算出する。
【0063】
このように、実施例2の変形例による調整部51によれば、オペレータは、調整データのうちパラメータd,eの値を用いて、カメラ3の位置を直したり、照明装置2及び/またはカメラ3の位置を変えて全体の明るさを変更したりすることができ、表面検査装置1の調整を容易に行うことができる。
【0064】
〔その他の実施例〕
また、実施例1,2では、カメラ3は、材料9に対して1列分の画像を撮影するラインセンサーカメラであるとして説明した。つまり、処理装置5の調整部51は、カメラ3から、1列の撮像ラインにおける反射光の強度を入力し、これを統計的に処理して分散値を算出し調整データを生成するようにした。これに対し、カメラ3は、平面の画像を撮影するエリアセンサーカメラであってもよい。この場合、処理装置5の調整部51は、カメラ3から、平面の撮像範囲における反射光の強度を入力し、x軸上の撮像範囲の画素位置毎に、y軸上の複数の画素位置における反射光の強度を積算する。これにより、図6〜図10に示すような特性が、撮像領域内の(x軸上の)各画素位置における反射光の強度として求められ、ラインセンサーカメラの場合と同様の処理を行うことができる。これにより、撮像範囲をラインから平面に広げるようにしたから、例えば無地の材料9のように、表面の変化が少ない場合であっても、反射光の強度を平面にて積算し、表面上の僅かな変化を捉えた分散値を算出することができる。
【0065】
また、実施例1,2では、調整部51の分散値算出部11は、カメラ3から入力した全ての反射光の強度(撮像範囲の全ての画素位置における反射光の強度)を用いて、平均値等を算出し、分散値を算出するようにした。すなわち、処理対象は、図6に示したx軸において、材料9−1が存在する位置の反射光の強度である。これに対し、処理対象は、材料9−1だけでなく材料9−2が存在する位置の反射光の強度を含むようにしてもよい。また、処理対象は、材料9−1が存在する位置の反射光の強度のうち、一部の範囲の反射光の強度であってもよい。例えば、材料9−1における両端の所定領域を除いて、製品として扱われる範囲の反射光の強度であってもよい。これにより、処理コストを削減することができる。さらに、分散値算出部11は、入力した反射光の強度のうち、所定間隔の画素位置における反射光の強度を間引き、間引き後の反射光の強度を用いて、平均値等を算出し、分散値を算出するようにしてもよい。これにより、処理コストを削減することができる。前述した特許文献1,2の基準板を用いた調整手法では、基準板上のマークを厳密に処理する必要があることから、高解像度でサンプリングする必要があり、データを間引くことができない。本実施例では、データを間引くことができるから、従来の調整手法に比べ、処理コストを削減することができる。
【0066】
また、材料9の表面にマークが付されている場合には、そのマーク部分に対する処理を行わないようにする。具体的には、マークを認識するためのマークセンサを、表面検査装置1の上流側に設置し、表面検査装置1における処理装置5の調整部51は、マークセンサからマーク認識有無の信号を入力し、この信号に基づいて、材料9上でマークが付されていない箇所を判定し、図4及び図5に示した処理を行う。
【0067】
また、実施例2の調整部51では、分散値算出部11は、反射光の強度の分布を、最小自乗法により近似し、近似式を算出するようにしたが、最小自乗法は一例である。本発明は、最小自乗法に限定されるものでなく、近似式を算出する他の手法を用いるようにしてもよい。
【0068】
また、実施例2または実施例2の変形例の調整部51では、分散値算出部11は、反射光の強度の分布を、最小自乗法により2次関数または1次関数により近似し、近似式を算出するようにしたが、2次関数または1次関数は一例である。本発明は、近似式の関数の次数に限定されるものでなく、他の次数の関数を用いるようにしてもよい。
【0069】
尚、本発明の実施例1,2等による処理装置5のハードウェア構成としては、通常のコンピュータを使用することができる。処理装置5は、CPU、RAM等の揮発性の記憶媒体、ROM等の不揮発性の記憶媒体、及びインターフェース等を備えたコンピュータによって構成される。処理装置5に備えた調整部51の分散値算出部11、レンズ位置設定部12、最大位置決定部13及び調整データ出力部14の各機能は、これらの機能を記述したプログラムをCPUに実行させることによりそれぞれ実現される。また、これらのプログラムは、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD等)、半導体メモリ等の記憶媒体に格納して頒布することもできる。
【符号の説明】
【0070】
1 表面検査装置
2 照明装置
3 カメラ
4 PG
5 処理装置
6 表示装置
7 記憶装置
8 ロール
9−1,9−2 材料
11 分散値算出部
12 レンズ位置設定部
13 最大位置決定部
14 調整データ出力部
51 調整部
52 疵検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状体の材料の幅方向へ向けて光を照射する照明装置と、前記材料上の反射光を、レンズを介して撮像する撮像装置と、前記反射光の強度に基づいて前記材料の表面を検査する処理装置とを含んで構成される表面検査装置を調整するための調整データを出力する調整装置において、
前記撮像装置のレンズを所定のレンズ位置に移動させ、前記撮像装置から反射光の強度を入力し、前記反射光の強度の分布に基づいて、前記反射光の強度のばらつき度合いを示す分散値を算出し、前記レンズの移動処理、前記反射光の強度の入力処理、及び分散値の算出処理を、複数のレンズ位置のそれぞれについて行い、各レンズ位置についての反射光の強度及び分散値を求める分散値算出部と、
前記分散値算出部により求められた各レンズ位置についての分散値のうち、最も大きい分散値に対応するレンズ位置を最大レンズ位置として決定する最大位置決定部と、
前記分散値算出部により求められた各レンズ位置についての反射光の強度及び分散値、並びに前記最大位置決定部により決定された最大レンズ位置を調整データとして出力する調整データ出力部と、
を備えたことを特徴とする調整装置。
【請求項2】
請求項1に記載の調整装置において、
前記分散値算出部は、
前記撮像装置から入力した反射光の強度について平均値を算出し、前記平均値に対する反射光の強度の分散値を算出する、ことを特徴とする調整装置。
【請求項3】
請求項1に記載の調整装置において、
前記分散値算出部は、
前記撮像装置から入力した反射光の強度を近似し、近似式を算出し、前記近似式に対する反射光の強度の分散値を算出し、
前記調整データ出力部は、
前記近似式の係数を含む調整データを出力する、ことを特徴とする調整装置。
【請求項4】
請求項3に記載の調整装置において、
前記分散値算出部は、所定次数の関数を用いて最小自乗法により近似し、近似式を算出する、ことを特徴とする調整装置。
【請求項5】
帯状体の材料の幅方向へ向けて光を照射する照明装置と、前記材料上の反射光を、レンズを介して撮像する撮像装置と、前記反射光の強度に基づいて前記材料の表面を検査する処理装置とを含んで構成される表面検査装置を調整するための調整データを出力する方法において、
前記撮像装置のレンズを所定のレンズ位置に移動させ、前記撮像装置から反射光の強度を入力するステップと、
前記反射光の強度の分布に基づいて、前記反射光の強度のばらつき度合いを示す分散値を算出するステップと、
前記レンズの移動及び前記反射光の強度の入力を行うステップ、及び前記分散値の算出するステップを、複数のレンズ位置のそれぞれについて実行し、各レンズ位置についての反射光の強度及び分散値を求めるステップと、
前記各レンズ位置についての分散値のうち、最も大きい分散値に対応するレンズ位置を最大レンズ位置として決定するステップと、
前記各レンズ位置についての反射光の強度及び分散値、並びに最大レンズ位置を調整データとして出力するステップと、
を有することを特徴とする調整データ出力方法。
【請求項6】
コンピュータを、請求項1から4までのいずれか一項に記載の調整装置として機能させるための調整データ出力プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−72801(P2013−72801A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−213163(P2011−213163)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【特許番号】特許第5087165号(P5087165)
【特許公報発行日】平成24年11月28日(2012.11.28)
【出願人】(390014384)日本リライアンス株式会社 (58)
【Fターム(参考)】