説明

表面検査装置用検査ヘッド、及びその検査ヘッドの組み立て方法

【課題】検査ヘッドの部品の交換作業を迅速に実施でき、かつ検査ヘッドを組み立てる際の芯出し作業の負担を軽減し、又は解消することが可能な表面検査装置用検査ヘッドを提供する。
【解決手段】軸線AX回りに回転可能に支持されるヘッド本体16Aと、ヘッド本体16Aの先端に着脱可能に設けられ、かつヘッド本体16Aに同軸になるように装着される走査部16Bとを備えた検査ヘッド16において、ヘッド本体16Aの先端には、走査部16Bが挿入される挿入孔81bが中心に形成され、挿入された検査部16Bを把持する縮小状態と検査部16Bを解放する拡大状態との間で半径方向に拡縮可能であり、かつ挿入孔81bがヘッド本体16Aと同軸になるように配置される第2拘束部材81と、第2拘束部材81をヘッド本体16Aの先端側に付勢して縮小状態に変形させる第1拘束部材80及びスプリング82とが設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査ヘッドから被検査物に検査光を照射してその被検査物の表面を検査する表面検査装置用検査ヘッド、及びその検査ヘッドの組み立て方法に関する。
【背景技術】
【0002】
円筒状の被検査物の内周面を検査する装置として、中空軸状の検査ヘッドをその軸線の回り回転させつつ軸線方向に送り出して被検査物の内部に検査ヘッドを挿入し、その検査ヘッドの外周から検査光としてのレーザ光を被検査物に照射してその被検査物の内周面をその軸線方向一端から他端まで逐次走査し、その走査に対応した被検査物からの反射光を検査ヘッドを介して受光し、その受光した反射光の光量に基づいて被検査物の内周面の状態、例えば欠陥等の有無を判別する表面検査装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平11−281582号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した表面検査装置においては、検査ヘッドに着脱可能に装着され、ミラーなどの光学系が設けられた部品を保守点検等の目的で交換したりすることがある。この交換作業に手間取ると検査効率が低下するため、迅速さが要求される。また、この部品の取り付け時に芯ずれが生じると芯出し作業が必要となるため、これによっても検査効率が低下するおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、検査ヘッドの部品の交換作業を迅速に実施でき、かつ検査ヘッドを組み立てる際の芯出し作業の負担を軽減し、又は解消することが可能な表面検査装置用検査ヘッド、及びその検査ヘッドの組み立て方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の表面検査装置用検査ヘッド(16)は、軸線(AX)の回りに回転可能に支持される中空筒状の回転筒部(16A)と、前記回転筒部の先端に着脱可能に設けられるとともに内部に光路変更手段(18)が組み込まれ、かつ前記回転筒部の先端に前記回転筒部と同軸になるように装着される筒状の検査部(16B)と、を備えた検査ヘッドを回転駆動手段(40)により前記軸線の回りに回転させつつ直線駆動手段(30)により前記軸線に沿って移動させるとともに、前記検査ヘッド内に前記軸線に沿って入射した検査光の光路を前記光路変更手段により変更し、該光路が変更された検査光を被検査物(100)に照射し、前記被検査物から前記検査ヘッドに返される反射光を受光し、該反射光の光量に基づいて前記被検査物の表面を検査する表面検査装置(1)に適用される検査ヘッドにおいて、前記回転筒部の先端には、前記検査部が挿入される挿入孔(81b)が中心に形成され、前記挿入孔に挿入された検査部を把持する縮小状態と前記挿入孔に挿入された検査部を解放する拡大状態との間で半径方向に拡縮可能であり、かつ前記挿入孔が前記回転筒部と同軸になるように配置されるチャック部材(81)と、前記チャック部材を前記縮小状態に変形させる締付手段(80、82)と、が設けられていることにより、上述した課題を解決する。
【0007】
本発明の検査ヘッドによれば、チャック部材の拡縮操作のみで検査部を回転筒部に装着したり、検査部を回転筒部から取り外すことができるので、検査ヘッドの部品の交換作業を迅速に実施することができる。チャック部材は挿入孔が回転部材と同軸になるように配置され、検査部はこの挿入孔に挿入されるので、検査部を回転筒部に容易に同軸に装着することができる。また、チャック部材を半径方向に拡縮させて挿入孔に挿入された検査部を把持させることにより、検査部の外周に全周から半径方向中心側への力を略均等に掛けることができる。そして、このように検査部に対して力を作用させることにより、挿入孔の中心と検査部の中心とが略同じになる位置に検査部を移動させることができる。そのため、検査ヘッドを組み立てる際の芯出し作業の負担を軽減、又は解消することができる。
【0008】
チャック部材は、拡縮することにより挿入孔に挿入された検査部を把持したり、解放したりすることが可能なものであればよい。例えば、前記チャック部材は、周方向に等間隔に設けられて前記挿入孔の少なくとも一部を形成する複数の爪にて前記検査部を把持するコレットチャックであってもよい。
【0009】
本発明の検査ヘッドの一形態においては、前記チャック部材が前記回転筒部内に前記軸線方向に移動可能に配置されるとともに、前記チャック部材の外周には前記回転筒部の先端側に向かうに従って外径が漸次減少するテーパ面(81a)が設けられ、前記締付手段として、前記チャック部材よりも前記回転筒部の先端側、かつ前記チャック部材の外側に配置され、内周に前記チャック部材のテーパ面と同一方向に傾斜して前記チャック部材のテーパ面と面接触するテーパ面(80a)を有するとともに前記回転筒部と一体回転可能な締付部材(80)と、前記チャック部材を前記縮小状態に変形させるべく前記チャック部材を前記回転筒部の先端側に付勢する付勢手段(82)と、が設けられていてもよい。この場合、チャック手段を付勢手段に抗して回転筒部内に押し込むとチャック手段が拡大状態に変形し、付勢手段によりチャック手段を回転筒部の先端側に付勢させることによりチャック手段が縮小状態に変形する。このように、チャック手段を軸線方向に移動させる操作のみでチャック手段を縮小状態及び拡大状態に変形させることができる。そのため、より迅速に部品の交換作業を実施することができる。
【0010】
この形態において、前記チャック部材は、前記回転筒部の先端側に配置される前記チャック部材の先端側端部(81c)が前記締付部材の先端側端部(80b)よりも先端側に突出した状態において前記縮小状態に変形し、前記チャック部材の先端側端部(81c)が前記締付部材の先端側端部(80b)と揃う位置まで移動することにより前記拡大状態に変形するように形成され、前記付勢手段は、前記チャック部材の先端側端部が前記締付部材の先端側端部よりも先端側に突出するように前記チャック部材を前記回転筒部の先端側に付勢してもよい。この場合、チャック部材の先端側端部を回転筒部内に押し込むことによりチャック部材を拡大状態に変形させることができ、チャック部材の押し込みを解除することによりチャック部材を縮小状態に変形させることができる。すなわち、回転筒部の先端側から見えるチャック部材の先端側端部を操作することにより、チャック部材を縮小状態及び拡大状態に変形させることができる。そのため、チャック部材の状態を変化させるための操作を簡略化できる。従って、部品の交換作業をさらに迅速に実施することができる。
【0011】
また、前記締付部材として、外周が前記回転筒部の内周と接触して前記回転筒部と一体に回転する拡大状態と前記外周が前記回転筒部の内周と離間する縮小状態との間で半径方向に拡縮可能なコレットチャックが設けられてもよい。この場合、チャック部材が付勢手段により回転筒部の先端側に付勢されると締付部材が拡大状態に変形して回転筒部と一体に回転する。また、この際に締付部材のコレットチャックの各爪はチャック部材と回転筒部とが同軸になるようにチャック部材の位置を調整するので、回転筒部、チャック部材、及び検査部のそれぞれをほぼ同軸にすることができる。そのため、芯出し作業の負担をさらに軽減し、又は解消することができる。
【0012】
本発明の検査ヘッドの組み立て方法は、上述した付勢手段及び締付部材を備えた形態の検査ヘッドの組み立て方法であって、前記チャック部材が前記拡大状態になるように前記チャック部材を前記付勢手段に抗して前記回転筒部内に押し込む治具を前記回転筒部の先端に装着する治具装着工程(S1)と、前記拡大状態に変形されたチャック部材の前記挿入孔に前記検査部を挿入する検査部挿入工程(S2)と、前記挿入孔に前記検査部が挿入された前記回転筒部から前記治具を取り外し、前記付勢手段にて前記チャック部材を前記縮小状態に変形させることにより前記チャック部材にて前記検査部を把持させる検査部固定工程(S3)と、を備えることにより、上述した課題を解決する。
【0013】
本発明の組み立て方法によれば、治具を取り付けてチャック部材を拡大状態に維持し、この状態で検査部の挿入を行うので、検査部を容易に挿入することができる。その後は、治具を取り外す作業のみでチャック部材に検査部を把持させることができる。そのため、検査ヘッドの部品の交換作業を迅速に実施することができる。また、上述したようにチャック部材にて検査部を把持させることにより、検査部をチャック部材の中心に移動させることができるので、検査ヘッドを組み立てる際の芯出し作業の負担を軽減し、又は解消することができる。
【0014】
本発明の組み立て方法の一形態においては、前記治具として、前記チャック部材の先端側端部と当接して前記チャック部を前記回転筒部内に押し込むとともに、内部に前記検査部を前記挿入孔に案内するガイド通路が形成される円筒状の第1治具(91)と、前記回転筒部の先端に取り付けられて前記第1治具と前記回転筒部とが同軸になるように前記第1治具を案内する第2治具(92)と、が使用されてもよい。この場合、まず第2治具を回転筒部に装着し、その後回転筒部に装着した第2治具にて第1治具を案内することにより、第1治具と回転筒部とを容易に同軸に合わせることができる。そのため、検査部をスムーズに挿入孔に挿入することができる。
【0015】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0016】
以上に説明したように、本発明によれば、チャック部材の拡縮操作のみで検査部を回転筒部に装着したり、検査部を回転筒部から取り外すことができるので、検査ヘッドの部品の交換作業を迅速に実施することができる。また、チャック部材に検査部を把持させることにより検査部をチャック部材の中心に移動させることができるので、検査ヘッドを交換する際の芯出し作業の負担を軽減し、又は解消することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は本発明の一形態に係る表面検査装置の概略構成を示している。表面検査装置1は被検査物としてのワーク100に設けられた円筒形の内周面100aの検査に適した装置であり、検査を実行するための検査機構2と、その検査機構2の動作制御、検査機構2による測定結果の処理等を実行するための制御部3とを備えている。さらに、検査機構2は、ワーク100に対して検査光を投光し、かつワーク100からの反射光を受光するための検出手段としての検出ユニット5と、その検出ユニット5に所定の動作を与えるための駆動ユニット6とを備えている。
【0018】
検出ユニット5は、検査光の光源としてのレーザダイオード(以下、LDと呼ぶ。)11と、ワーク100からの反射光を受光し、その反射光の単位時間当りの光量(反射光強度)に応じた電流又は電圧の信号を出力するフォトディテクタ(以下、PDと呼ぶ。)12と、LD11から射出される検査光をワーク100に向かって導く投光ファイバ13と、ワーク100からの反射光をPD12に導くための受光ファイバ14と、それらのファイバ13、14を束ねた状態で保持する保持筒15と、その保持筒15の外側に同軸的に設けられる中空軸状の検査ヘッド16とを備えている。図2に示すように検査ヘッド16は保持筒15の外側に設けられるヘッド保持筒7に回転自在に支持されている。検査ヘッド16の詳細は後述する。
【0019】
図1に戻って、保持筒15の先端には、投光ファイバ13を介して導かれた検査光を検査ヘッド16の軸線AXの方向(以下、軸線方向と呼ぶ。)に沿ってビーム状に射出させ、かつ検査ヘッド16の軸線方向に沿って検査光とは逆向きに進む反射光を受光ファイバ14に集光するレンズ17が設けられている。検査ヘッド16の先端部(図1において右端部)には、光路変更手段としてのミラー18が固定され、検査ヘッド16の外周にはそのミラー18と対向するようにして透光窓16aが設けられている。ミラー18は、レンズ17から射出された検査光の光路を透光窓16aに向けて変更し、かつ、透光窓16aから検査ヘッド16内に入射した反射光の光路をレンズ17に向かって進む方向に変更する。
【0020】
駆動ユニット6は、直線駆動機構30と、回転駆動機構40と、焦点調節機構50とを備えている。直線駆動機構30は検査ヘッド16をその軸線方向に移動させる直線駆動手段として設けられている。そのような機能を実現するため、直線駆動機構30は、ベース31と、そのベース31に固定された一対のレール32と、レール32に沿って検査ヘッド16の軸線方向に移動可能なスライダ33と、そのスライダ33の側方に検査ヘッド16の軸線AXと平行に配置された送りねじ34と、その送りねじ34を回転駆動する電動モータ35とを備えている。スライダ33は検出ユニット5の全体を支持する手段として機能する。すなわち、LD11及びPD12はスライダ33に固定され、検査ヘッド16は回転駆動機構40を介してスライダ33に取り付けられ、保持筒15は焦点調節機構50を介してスライダ33に取り付けられている。さらに、スライダ33にはナット36が固定され、そのナット36には送りねじ34がねじ込まれている。従って、電動モータ35にて送りねじ34を回転駆動することにより、スライダ33がレール32に沿って検査ヘッド16の軸線方向に移動し、それに伴ってスライダ33に支持された検出ユニット5の全体が検査ヘッド16の軸線方向に移動する。直線駆動機構30を用いた検出ユニット5の駆動により、ワーク100の内周面100aに対する検査光の照射位置(走査位置)を検査ヘッド16の軸線方向に関して変化させることができる。
【0021】
ベース31の前端(図1において右端)には壁部31aが設けられ、その壁部31aには検査ヘッド16と同軸の通し孔31bが設けられている。その通し孔31bにはサンプルピース37が取り付けられている。サンプルピース37は表面検査装置1の動作状態を判別するためのサンプルとして設けられるものであり、その中心線上には検査ヘッド16と同軸の貫通孔37aが設けられている。貫通孔37aは検査ヘッド16が通過可能な内径を有しており、検査ヘッド16はその貫通孔37aを通過してワーク100の内部へと繰り出される。
【0022】
回転駆動機構40は検査ヘッド16を軸線AXの回りに回転させる回転駆動手段として設けられている。そのような機能を実現するため、回転駆動機構40は、回転駆動源としての電動モータ41と、その電動モータ41の回転を検査ヘッド16に伝達する伝達機構42とを備えている。伝達機構42には、ベルト伝達装置、歯車列等の公知の回転伝達機構を利用してよいが、この形態ではベルト伝達装置が利用される。電動モータ41の回転を伝達機構42を介して検査ヘッド16に伝達することにより、検査ヘッド16がその内部に固定されたミラー18を伴って軸線AXの回りに回転する。回転駆動機構40を用いた検査ヘッド16の回転により、ワーク100の内周面100aに対する検査光の照射位置をワーク100の周方向に関して変化させることができる。そして、検査ヘッド16の軸線方向への移動と軸線AXの回りの回転とを組み合わせることにより、ワーク100の内周面100aをその全面に亘って検査光で走査することが可能となる。なお、検査ヘッド16の回転時において、保持筒15は回転しない。さらに、回転駆動機構40には、検査ヘッド16が所定の単位角度回転する毎にパルス信号を出力するロータリエンコーダ43が設けられている。ロータリエンコーダ43から出力されるパルス信号の個数は検査ヘッド16の回転量(回転角度)に相関し、そのパルス信号の周期は検査ヘッド16の回転速度に相関する。
【0023】
焦点調節機構50は、検査光がワーク100の内周面100aにて焦点を結ぶように保持筒15を軸線AXの方向に駆動する焦点調整手段として設けられている。その機能を実現するため、焦点調節機構50は、保持筒15の基端部に固定された支持板51と、直線駆動機構30のスライダ33と支持板51との間に配置されて支持板51を検査ヘッド16の軸線方向に案内するレール52と、検査ヘッド16の軸線AXと平行に配置されて支持板51にねじ込まれた送りねじ53と、その送りねじ53を回転駆動する電動モータ54とを備えている。電動モータ54にて送りねじ53を回転駆動することにより、支持板51がレール52に沿って移動して保持筒15が検査ヘッド16の軸線方向に移動する。これにより、検査光がワーク100の内周面100a上で焦点を結ぶようにレンズ17からミラー18を経て内周面100aに至る光路の長さを調節することができる。
【0024】
次に制御部3について説明する。制御部3は、表面検査装置1による検査工程の管理、検出ユニット5の測定結果の処理等を実行するコンピュータユニットとしての演算処理部60と、その演算処理部60の指示に従って検出ユニット5の各部の動作を制御する動作制御部61と、PD12の出力信号に対して所定の処理を実行する信号処理部62と、演算処理部60に対してユーザが指示を入力するための入力部63と、演算処理部60が処理した検査結果等をユーザに提示するための出力部64と、演算処理部60にて実行すべきコンピュータプログラム、及び、測定されたデータ等を記憶する記憶部65とを備えている。演算処理部60、入力部63、出力部64及び記憶部65はパーソナルコンピュータ等の汎用コンピュータ機器を利用してこれらを構成することができる。この場合、入力部63にはキーボード、マウス等の入力機器が設けられ、出力部64にはモニタ装置が設けられる。プリンタ等の出力機器が出力部64に追加されてもよい。記憶部65には、ハードディスク記憶装置、あるいは記憶保持が可能な半導体記憶素子等の記憶装置が用いられる。動作制御部61及び信号処理部62はハードウエア制御回路によって実現されてもよいし、コンピュータユニットによって実現されてもよい。
【0025】
ワーク100の内周面100aの表面を検査する場合、演算処理部60、動作制御部61及び信号処理部62のそれぞれは次の通り動作する。なお、この場合、ワーク100は検査ヘッド16と同軸上に配置される。検査の開始にあたって、演算処理部60は入力部63からの指示に従って動作制御部61にワーク100の内周面100aを検査するために必要な動作の開始を指示する。その指示を受けた動作制御部61は、LD11を所定の強度で発光させるとともに、検査ヘッド16が軸線方向に移動し、かつ軸線AXの回りに一定速度で回転するようにモータ35及び41の動作を制御する。さらに、動作制御部61は、検査光が被検査面としての内周面100a上で焦点を結ぶようにモータ54の動作を制御する。このような動作制御により、内周面100aがその一端から他端まで検査光によって走査される。なお、検査ヘッド16の軸線方向の駆動に関しては、一定速度の送り動作としてもよいし、検査ヘッド16が一回転する毎に所定ピッチずつ移動する間欠的な送り動作としてもよい。
【0026】
上述した内周面100aの走査に連係して信号処理部62にはPD12の出力信号が順次導かれる。信号処理部62は、PD12の出力信号を演算処理部60にて処理するために必要なアナログ信号処理を実施し、さらに、その処理後のアナログ信号を所定のビット数でA/D変換し、得られたデジタル信号を反射光信号として演算処理部60に出力する。演算処理部60にて実行する信号処理としては、PD12が検出した反射光の明暗差を拡大するようにその出力信号を非線形に増幅する処理、出力信号からノイズ成分を除去する処理といった各種の処理を適宜に用いてよい。高速フーリエ変換処理、逆フーリエ変換処理等を適宜に組み合わせることも可能である。また、信号処理部62によるA/D変換は、ロータリエンコーダ43から出力されるパルス列をサンプリングクロック信号として利用して行われる。これにより、検査ヘッド16が所定角度回転する間のPD12の受光量に相関した階調のデジタル信号が生成されて信号処理部62から出力される。
【0027】
信号処理部62から反射光信号を受け取った演算処理部60は、その取り込んだ信号を記憶部65に記憶する。さらに、演算処理部60は、記憶部65が記憶する反射光信号を利用してワーク100の内周面100aを平面的に展開した2次元画像を生成する。その2次元画像は、例えばワーク100の周方向をx軸方向、検査ヘッド16の軸線方向をy軸方向とする直交2軸座標系で定義される平面上に内周面100aを展開した画像に相当する。なお、演算処理部60における2次元画像の生成時には、反射光信号から得られる原画像に対して、エッジ処理、二値化処理等を施すことにより、検出すべき欠陥等を強調した2次元画像を生成してもよい。そして、演算処理部60は、得られた画像を所定のアルゴリズムで処理することにより、内周面100aに許容限度を超える欠陥等が存在するか否か等を判定し、その判定結果を出力部64に出力する。
【0028】
図2を参照して検査ヘッド16の詳細について説明する。図2は、検査ヘッド16を拡大して示した図である。図2において検査ヘッド16の右端部がその先端部、左端部がその基端部にそれぞれ対応する。図2に示したように検査ヘッド16の先端側については、断面を示す。検査ヘッド16は、保持筒15と検査ヘッド16との間に配置されるヘッド保持筒7にて軸線回りに回転可能に支持される。ヘッド保持筒7はスライダ33に支持されており、その内部に保持筒15が軸線方向に沿って移動自在に挿入される。検査ヘッド16は、回転筒部としてのヘッド本体16Aと、そのヘッド本体16Aの先端(図2において右端)に着脱可能に装着される検査部としての走査部16Bとを組み合わせた構成を有している。
【0029】
ヘッド本体16Aの先端からは保持筒15に装着されるレンズパイプ15aが突出しており、図2に示したように走査部16Bはこのレンズパイプ15aに被せるようにヘッド本体16Aに装着される。そのため、走査部16Bは、ヘッド本体16Aから先端側に延びるように装着される。走査部16Bは、ヘッド本体16Aに支持される支持部70と、ミラー18及び透光窓16aが設けられる光路変更部71とを備えている。支持部70と光路変更部71はそれぞれ筒状であり、かつ同軸に設けられる。走査部16Bの内部は、保持筒15が挿入可能なように保持筒15の外径よりも若干大きい径で形成されている。支持部70には、ヘッド本体16Aに挿入される側(図2の右側)から順に所定の外径で形成される挿入部72と、その挿入部72よりも外径が大きい大径部73とが設けられている。挿入部72はヘッド本体16Aの第2拘束部材28にて把持される部分である。この挿入部72の長さが短いと検査ヘッド16が回転したときの走査部16Bの振れが大きくなる。そこで、挿入部72の長さには、検査ヘッド16の回転時に走査部16Bの振れが許容範囲内に収まる値が設定される。
【0030】
ヘッド本体16A内には、基端側(図2の左端側)から順に中空筒状のベアリングハウス16bと、走査部16Bを保持する保持部16cとが設けられている。ヘッド保持筒7の外周と検査ヘッド16のベアリングハウス16bの内周との間には複数(例えば2個)の軸受20が配置されている。軸受20としては、例えば周知のボールベアリングが使用される。このように軸受20を設けることにより、ヘッド保持筒7にヘッド本体16Aが回転可能に支持される。ヘッド保持筒7の先端側には、軸受20が検査ヘッド16の軸線方向に関してヘッド保持筒7上の一定位置に拘束されるようにカラー21を介してロックナット22がねじ込まれている。また、ベアリングハウス16bの基端側(図2において左端側)にも、軸受20を検査ヘッド16の軸線方向基端側から拘束すべくエンドキャップ23が設けられている。エンドキャップ23はベアリングハウス16bの内周にねじ込まれている。これらにより、ベアリングハウス16b内に設けられている軸受20のそれぞれが検査ヘッド16の軸線方向に関してヘッド保持筒7上の一定位置に拘束される。なお、エンドキャップ23には、ロータリエンコーダ43の回転円盤43aが取り付けられる。
【0031】
ヘッド本体16Aの保持部16cには、締付部材としての第1拘束部材80と、第1拘束部材80の内部に設けられるチャック部材としての第2拘束部材81と、第2拘束部材81をヘッド本体16Aの先端側(図2において右側)に付勢する付勢手段としてのスプリング82が設けられている。第1拘束部材80は、ヘッド本体16Aと同軸に設けられる。第2拘束部材81は、ヘッド本体16A及び第1拘束部材80とそれぞれ同軸、かつ軸線方向に移動可能に設けられる。第1拘束部材80及び第2拘束部材81としては、コレットチャックが設けられる。保持部16cの先端側の内周には溝16eが設けられており、この溝16eには各拘束部材80、81がスプリング82の付勢力によって保持部16cから飛び出ることを防止するための押さえ部材83が嵌め込まれている。押さえ部材83としては、例えばスナップリングが使用される。スプリング82は、第2拘束部材81を先端側(図2において右側)に付勢するようにある程度縮められた状態であり、かつ第2拘束部材81が基端側(図2において左側)に押し込まれた際に縮むことが可能なように所定分の縮み代が設けられた状態で取り付けられる。スプリング82としては、例えばコイルバネ又は皿バネなどが使用される。第2拘束部材81は、第1拘束部材80の内部に配置されるチャック部84と、チャック部84が軸線AXに沿って保持部16c内を移動するようにチャック部84に組み付けられて支持するとともにスプリング82と当接する支持部85とを備えている。
【0032】
第1拘束部材80の内周には、基端側(図2において左側)に向かうに従って内径が漸次増大するテーパ面80aが形成されている。第2拘束部材81のチャック部84の外周には、第1拘束部材80のテーパ面80aと同一方向に傾斜してそのテーパ面80aと面接触するテーパ面81aが形成されている。また、第2拘束部材81の中心には、走査部16Bが挿入される挿入孔81bが貫通している。第2拘束部材81はヘッド本体16Aと同軸に設けられるので、その中央に設けられた挿入孔81bはヘッド本体16Aと同軸になる。挿入孔81bの内径としては、例えば走査部16Bの挿入部72の外径より若干大きく、かつ大径部73の外径より小さい値が設定される。なお、挿入孔81bの内径には、走査部16Bの挿入部72の外径とほぼ同じ値が設定されてもよい。
【0033】
第2拘束部材81のチャック部84には先端側端部81cから複数のすり割り(不図示)が軸線方向に設けられている。そのため、第2拘束部材81がスプリング82によって第1拘束部材80の内部に押し込まれると楔作用によって軸線方向への運動が各テーパ面80a、81aによって半径方向中心側の運動に変換され、挿入孔81bの内径が小さくなる。なお、第2拘束部材81に設けられるすり割りの大きさは、スプリング82によって第2拘束部材81が第1拘束部材80の内部に押し込まれたときに第2拘束部材81の先端側端部81cが第1拘束部材80の先端側端部80bよりも先端側に突出し、挿入孔81bの内径が挿入部72の外径よりも小さくなるように設定される。そのため、このように挿入孔81bの内径が縮められた際に挿入孔81bに走査部16Bが挿入されていれば、この走査部16Bを第2拘束部材81で掴んで拘束することができる。以降、このように挿入孔81bの径が挿入部72の外径よりも小さい状態を縮小状態と称することがある。このように第2拘束部材81を縮小状態に変化させることにより、第1拘束部材80及びスプリング82が本発明の締付手段として機能する。一方、第2拘束部材81の先端側端部81cと第1拘束部材80の先端側端部80bとが揃う位置、又はその位置よりも基端側(図2における左側)に第2拘束部材81を移動させると、第2拘束部材81に作用していた半径方向中心側への力が無くなるので、挿入孔81bの内径が元の大きさ、すなわち走査部16Bの挿入部72の外径より若干大きい径に戻る。そのため、走査部16Bを容易に取り外したり、挿入したりすることができる。なお、以降、この状態を拡大状態と称することがある。
【0034】
第1拘束部材80にも、基端側端部から複数のすり割り(不図示)が軸線方向に設けられている。そのため、スプリング82によって第2拘束部材81が第1拘束部材80の内部に押し込まれると第1拘束部材80の外径が拡がる。これにより、第1拘束部材80の外周と保持部16cの内周とを密着させることができるので、第2拘束部材81に把持された走査部16Bをヘッド本体16Aとともに回転させることができる。以降、この状態を拡大状態と称することがある。一方、第2拘束部材81がヘッド本体16A内に押し込まれると第1拘束部材81に作用していた半径方向外周側への力が無くなるため、第1拘束部材80の外周が保持部16cの内周から離間する。以降、このように第1拘束部材80が縮小した状態を縮小状態と称することがある。
【0035】
図3〜図5を参照してヘッド本体16Aに走査部16Bを装着する際の組み立て方法について説明する。ヘッド本体16Aへの走査部16Bの装着は、図3に示した第1着脱治具91及び第2着脱治具92を使用して行われる。なお、図3はヘッド本体16Aに第1着脱治具91及び第2着脱治具92を装着する治具装着工程S1を、図4は各着脱治具91、92が装着されたヘッド本体16Aに走査部16Bを挿入する検査部挿入工程S2をそれぞれ示している。また、図5は、走査部16Bが挿入されたヘッド本体16Aから各着脱治具91、92を取り外して走査部16Bを第2拘束部材81に把持させる検査部固定工程S3を示している。
【0036】
第1着脱治具91は第2拘束部材81を基端側(図3における左側)に移動させて挿入孔81bを拡げさせるためのものであり、第2着脱治具92は、ヘッド本体16Aと第1着脱治具91とが同軸になるように第1着脱治具91の位置を合わせるためのものである。第1着脱治具91は、円筒状の本体91aと、本体91aと同軸かつ本体91aから図3の左側に突出するように設けられて第2着脱治具92の案内孔92bに挿入される操作筒91bと、第2着脱治具92の案内孔92bに操作筒91bが挿入されるように第2着脱治具92の外側に被さって第1着脱治具91の位置を合わせるガイド部91cとを備えている。本体91aの内径は、本体91aの内部を走査部16Bが通過可能なように走査部16Bの大径部73の外径より若干大きく設定される。操作筒91bの外径には、第2拘束部材81の先端側端部81cの外径と略同じ、又は若干小さい値が設定される。操作筒91bの内径は本体91aの内径と同じである。操作筒91bの長さは、図4に示したようにヘッド本体16Aに第1着脱治具91及び第2着脱治具92が装着された場合に第2拘束部材81が第2拘束部材81の先端側端部81cと第1拘束部材80の先端側端部80bとが揃う位置に移動するように設定される。
【0037】
第2着脱治具92は、第2着脱治具92とヘッド本体16Aとを密着させるべくヘッド本体16Aの先端側外周に設けられた溝16fに嵌める爪92aと、ヘッド本体16Aと第1着脱治具91とが同軸になるように第1着脱治具91を案内する案内孔92bとを備えている。第2着脱治具92の案内孔92bの内径には、案内孔92b内に操作筒91bが挿入可能なように操作筒91bの外径より若干大きい値が設定される。
【0038】
図3に示したようにヘッド本体16Aに走査部16Bを取り付ける場合、まずヘッド本体16Aに第1着脱治具91及び第2着脱治具92を装着する。これらは、図4に示したようにまず第2着脱治具92をヘッド本体16Aに装着し、次に装着した第2着脱治具92に第1着脱治具91を装着する。ヘッド本体16Aへの第2着脱治具92の装着は、第2着脱治具92の爪92aをヘッド本体16Aの先端側外周の溝16fに嵌めることにより行われる。これにより、ヘッド本体16Aと第2着脱治具92とを密着させるとともに、第2着脱治具92の案内孔92bとヘッド本体16Aとを同軸にすることができる。次に第1着脱治具91のガイド部91cが第2着脱治具92の外側に被さり、かつ第1着脱治具91の操作筒91bが第2着脱治具92の案内孔92bに挿入されるように第1着脱治具91を第2着脱治具92に装着する。これにより、図4に示したように第2拘束部材81の先端側端部81cと第1拘束部材80の先端側端部80bとが揃う位置まで操作筒91bによって第2拘束部材81を基端側(図4における左側)に押し込むことができる。そのため、第2拘束部材81を拡大状態にして第2拘束部材81の挿入孔81bの内径を拡げることができる。
【0039】
そして、この状態のヘッド本体16Aに走査部16Bが挿入される。走査部16Bは、図4に示したように挿入部72側から第1着脱治具91の本体91a内を介してヘッド本体16Aに挿入される。上述したように挿入孔81bの内径は、走査部16Bの挿入部72の外径より若干大きく、大径部73の外径より小さい。そのため、挿入部72と大径部73との段差が第2拘束部材81の先端側端部81cに当たるまで走査部16Bを挿入することにより、挿入部72を挿入孔81b内に確実に挿入することができる。
【0040】
その後、図5に矢印で示したようにヘッド本体16Aから各着脱治具91、92を取り外す。この場合、まず第1着脱治具91がヘッド本体16Aから取り外される。これにより、第2拘束部材81がスプリング82にて先端側(図5における右側)に駆動され、挿入孔81bの内径が縮められる。そのため、走査部16Bを第2拘束部材81にて掴み、把持することができる。また、第1拘束部材80の外周が拡がるので、第1拘束部材80が拡大状態となる。その後、第2着脱治具92が取り外される。
【0041】
本発明の検査ヘッド16によれば、スプリング82によって第2拘束部材81を第1拘束部材80の内部に押し込むことにより、挿入孔81bの内径を縮めてこの挿入孔81bに挿入された走査部16Bを容易に拘束することができる。一方、着脱治具91、92を使用して第2拘束部材81を基端側に移動させることにより、挿入孔81bの内径を元の大きさに戻すことができる。この状態では、挿入孔81bの内径が走査部16Bの挿入部72の外径よりも大きいため、走査部16Bを容易に挿入孔81bに挿入することができる。そのため、この検査ヘッド16によれば、迅速に走査部16Bの交換作業を実施することができる。
【0042】
第2拘束部材81はヘッド本体16Aと同軸に設けられるので、その挿入孔81bもヘッド本体16Aと同軸になる。そのため、この挿入孔81bに走査部16Bを挿入し、走査部16Bを第2拘束部材81のチャック部84にて把持させることにより、走査部16Bをヘッド本体16Aに容易に同軸に装着できる。また、第2拘束部材81のチャック部84には複数のすり割りが周方向に等間隔で設けられるので、第2拘束部材81が第1拘束部材80の内部に押し込まれるとすり割りによって分割されたチャック部84が爪として走査部16Bを周囲から略均等に保持する。そのため、走査部16Bは、第2拘束部材81の略中心に移動する。また、第1拘束部材80もコレットチャックであるため、スプリング82によって第2拘束部材81が第1拘束部材80内に押し込まれ、これにより第1拘束部材80が拡大状態に変形すると、第1拘束部材80の不図示の爪が第2拘束部材81と第1拘束部材80とが同軸になるように第2拘束部材81の位置を調整する。従って、ヘッド本体16Aと走査部16Bとの芯出し精度を向上させ、芯出し作業の負担を軽減し、又は解消することができる。
【0043】
本発明の検査ヘッド16では、第2拘束部材28を軸線方向に移動させる操作のみで走査部16Bの取り付け及び取り外しを行うことができるので、走査部16Bの組み立て作業及び交換作業の自動化を比較的簡素な構成で行うことができる。
【0044】
本発明は、上述した形態に限定されることなく、種々の形態にて実施してよい。例えば、第1拘束部材はヘッド本体と一体に設けられていてもよい。第2拘束部材を基端側に移動させるための治具として上述した形態で使用した着脱治具を予め組み合わせた形状の治具を使用してもよい。拘束部材はコレットチャックに限定されない。軸線方向の運動を半径方向中心側の運動に変換でき、その半径方向中心側への力によって中心に設けられた挿入孔の内径を縮める事が可能なものであればよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一形態に係る検査ヘッドが組み込まれる表面検査装置の概略構成を示す図。
【図2】図1の検査ヘッドの内部を拡大して示す図。
【図3】走査部が取り付けられていない検査ヘッドを示す図。
【図4】第1着脱治具及び第2着脱治具が装着された検査ヘッドを示す図。
【図5】第1着脱治具及び第2着脱治具が装着され、かつ走査部が挿入された状態の検査ヘッドを示す図。
【符号の説明】
【0046】
1 表面検査装置
16 検査ヘッド
16A ヘッド本体(回転筒部)
16B 走査部(検査部)
18 ミラー(光路変更手段)
30 直線駆動機構(直線駆動手段)
40 回転駆動機構(回転駆動手段)
80 第1拘束部材(締付部材、締付手段)
80a テーパ面
80b 先端側端部
81 第2拘束部材(チャック部材)
81a テーパ面
81b 挿入孔
81c 先端側端部
82 スプリング(付勢手段、締付手段)
91 第1着脱治具
92 第2着脱治具
100 ワーク(被検査物)
S1 治具装着工程
S2 検査部挿入工程
S3 検査部固定工程
AX 軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線の回りに回転可能に支持される中空筒状の回転筒部と、前記回転筒部の先端に着脱可能に設けられるとともに内部に光路変更手段が組み込まれ、かつ前記回転筒部の先端に前記回転筒部と同軸になるように装着される筒状の検査部と、を備えた検査ヘッドを回転駆動手段により前記軸線の回りに回転させつつ直線駆動手段により前記軸線に沿って移動させるとともに、前記検査ヘッド内に前記軸線に沿って入射した検査光の光路を前記光路変更手段により変更し、該光路が変更された検査光を被検査物に照射し、前記被検査物から前記検査ヘッドに返される反射光を受光し、該反射光の光量に基づいて前記被検査物の表面を検査する表面検査装置に適用される検査ヘッドにおいて、
前記回転筒部の先端には、前記検査部が挿入される挿入孔が中心に形成され、前記挿入孔に挿入された検査部を把持する縮小状態と前記挿入孔に挿入された検査部を解放する拡大状態との間で半径方向に拡縮可能であり、かつ前記挿入孔が前記回転筒部と同軸になるように配置されるチャック部材と、前記チャック部材を前記縮小状態に変形させる締付手段と、が設けられていることを特徴とする検査ヘッド。
【請求項2】
前記チャック部材は、周方向に等間隔に設けられて前記挿入孔の少なくとも一部を形成する複数の爪にて前記検査部を把持するコレットチャックであることを特徴とする請求項1に記載の検査ヘッド。
【請求項3】
前記チャック部材が前記回転筒部内に前記軸線方向に移動可能に配置されるとともに、前記チャック部材の外周には前記回転筒部の先端側に向かうに従って外径が漸次減少するテーパ面が設けられ、
前記締付手段として、前記チャック部材よりも前記回転筒部の先端側、かつ前記チャック部材の外側に配置され、内周に前記チャック部材のテーパ面と同一方向に傾斜して前記チャック部材のテーパ面と面接触するテーパ面を有するとともに前記回転筒部と一体回転可能な締付部材と、前記チャック部材を前記縮小状態に変形させるべく前記チャック部材を前記回転筒部の先端側に付勢する付勢手段と、が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の検査ヘッド。
【請求項4】
前記チャック部材は、前記回転筒部の先端側に配置される前記チャック部材の先端側端部が前記締付部材の先端側端部よりも先端側に突出した状態において前記縮小状態に変形し、前記チャック部材の先端側端部が前記締付部材の先端側端部と揃う位置まで移動することにより前記拡大状態に変形するように形成され、
前記付勢手段は、前記チャック部材の先端側端部が前記締付部材の先端側端部よりも先端側に突出するように前記チャック部材を前記回転筒部の先端側に付勢することを特徴とする請求項3に記載の検査ヘッド。
【請求項5】
前記締付部材として、外周が前記回転筒部の内周と接触して前記回転筒部と一体に回転する拡大状態と前記外周が前記回転筒部の内周と離間する縮小状態との間で半径方向に拡縮可能なコレットチャックが設けられることを特徴とする請求項3又は4に記載の検査ヘッド。
【請求項6】
請求項3〜5のいずれか一項に記載の検査ヘッドの組み立て方法であって、
前記チャック部材が前記拡大状態になるように前記チャック部材を前記付勢手段に抗して前記回転筒部内に押し込む治具を前記回転筒部の先端に装着する治具装着工程と、前記拡大状態に変形されたチャック部材の前記挿入孔に前記検査部を挿入する検査部挿入工程と、前記挿入孔に前記検査部が挿入された前記回転筒部から前記治具を取り外し、前記付勢手段にて前記チャック部材を前記縮小状態に変形させることにより前記チャック部材にて前記検査部を把持させる検査部固定工程と、を備えることを特徴とする検査ヘッドの組み立て方法。
【請求項7】
前記治具として、前記チャック部材の先端側端部と当接して前記チャック部を前記回転筒部内に押し込むとともに、内部に前記検査部を前記挿入孔に案内するガイド通路が形成される円筒状の第1治具と、前記回転筒部の先端に取り付けられて前記第1治具と前記回転筒部とが同軸になるように前記第1治具を案内する第2治具と、が使用されることを特徴とする請求項6に記載の検査ヘッドの組み立て方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−128156(P2009−128156A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−302829(P2007−302829)
【出願日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(390014661)キリンテクノシステム株式会社 (126)
【出願人】(505216449)株式会社 KTSオプティクス (17)
【Fターム(参考)】