説明

表面検査装置

【課題】被検査物の内周面の表面状態を検査可能であるとともに、その外周面の表面状態も検査可能である表面検査装置を提供する。
【解決手段】同軸に配置された被検査物100の内部に対して出没可能に設けられ、外周に設けられた透光窓16aから検査光が射出される検査ヘッド16を有し、検査ヘッド16がその軸線AXの方向に移動して被検査物100の内周面100aに向けて検査光を照射し、その反射光の光量に基づいて被検査物100の表面を検査する表面検査装置1であって、被検査物100から透光窓16aが突出する位置にて検査ヘッド16から射出される検査光の光路を被検査物100の外周面100bよりも外側で検査ヘッド16の軸線方向へと変更する第1外周面ミラー8と、第1外周面ミラー8にて変更された光路を被検査物100の外周面100bに向けて変更する第2外周面ミラー9と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検査物の表面を検査光で走査してその表面からの反射光を受光し、その反射光の光量に基づいて表面状態を検査する表面検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被検査物の内部に検査ヘッドを挿入して内周面を検査するとともに、被検査物の上方にミラーを配置して上端部の平坦面をも検査する表面検査装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2005−291771号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
被検査物の内周面だけではなく、近年はその外周面の表面状態の検査の要望も多い。外周面の検査に専用の装置を設けると装置設置のスペースや費用等のコストが発生するため、被検査物の内周面の表面状態を検査する装置を利用したい。
【0004】
そこで、本発明は被検査物の内周面の表面状態を検査可能であるとともに、その外周面の表面状態も検査可能である表面検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の表面検査装置は、同軸に配置された被検査物(100)の内部に対して出没自在に設けられ、外周に設けられた開口部(16a)から検査光が射出される検査ヘッド(16)を有し、前記検査ヘッドがその軸線(AX)方向に移動して前記被検査物の内周面(100a)に向けて検査光を照射し、その反射光の光量に基づいて前記被検査物の表面を検査する表面検査装置(1)であって、前記被検査物から前記開口部が突出する位置にて前記検査ヘッドから射出される検査光の光路を前記被検査物の外周面(100b)よりも外側で前記検査ヘッドの軸線方向へと変更する第1光路変更部材(8)と、前記第1光路変更部材にて変更された光路を前記被検査物の外周面に向けて変更する第2光路変更部材(9)と、を備えたことにより上記課題を解決する。
【0006】
本発明の表面検査装置によれば、検査ヘッドから射出される検査光の光路は、第1光路変更部材により検査ヘッドの軸線方向へと変更され、さらに第2光路変更部材により被検査物の外周面へと変更される。検査光は外周面で反射し、その反射光は検査光とは逆向きの光路をたどり、外周面の検査に供される。検査ヘッドを被検査物の内部に挿入すれば被検査物の内周面の検査も可能である。従って、被検査物の内周面及び外周面の検査を1台の検査ヘッドで行うことができる。
【0007】
本発明の表面検査装置の一形態において、前記検査ヘッドはその軸線の回りに回転自在に設けられ、前記第1光路変更部材及び前記第2光路変更部材は、それぞれリング状の光路変更面(8a、9a)を有し、その光路変更面が前記被検査物の外周面を取り囲むようにして設けられていてもよい。この形態によれば、第1光路変更部材及び第2光路変更部材が被検査物の周囲を取り囲むようにして設けられているので、検査ヘッドを回転させることにより、外周面の周方向の走査が可能となる。
【0008】
本発明の表面検査装置の一形態において、前記被検査物を前記軸線の回りに回転させる回転移動機構(76)を備えてもよい。この形態によれば、被検査物をその軸線の回りに回転させることにより、外周面の周方向の走査が可能となる。
【0009】
本発明の表面検査装置の一形態において、前記第1光路変更部材及び前記第2光路変更部材を保持する保持部材(10)を備えてもよい。この形態によれば、第1光路変更部材及び第2光路変更部材を同一の保持部材に保持させることで操作性を向上することができる。
【0010】
保持部材が設けられた形態において、前記保持部材には、前記第1光路変更部材と前記第2光路変更部材との間に、前記検査光及び前記反射光を集光する第1レンズ(72)が設けられていてもよい。この形態によれば、第1光路変更部材及び第2光路変更部材間に第1レンズを設けたことにより、検査光及び反射光の収差が補正される。これにより、より高精度に外周面の検査をすることができる。
【0011】
保持部材が設けられた形態において、前記保持部材には、前記第2光路変更部材と前記被検査物との間に、前記検査光及び前記反射光を集光する第2レンズ(73)が設けられていてもよい。この形態によれば、第2光路変更部材及び被検査物の外周面のとの間に第2レンズを設けたことにより、検査光及び反射光の収差が補正される。これにより、より高精度に外周面の検査をすることができる。
【0012】
保持部材が設けられた形態において、前記検査ヘッドの軸線方向の移動に伴って、前記保持部材を同期して移動させる第1移動機構(71)を備えてもよい。この形態によれば、第1移動機構により、第1光路変更部材及び第2光路変更部材が検査ヘッドの移動に伴って被検査物に対して相対的に移動することになる。これにより、被検査物の外周面に対して軸線方向の走査が可能となる。
【0013】
保持部材が設けられた形態において、前記保持部材に対して前記第2光路変更部材を前記軸線方向に移動させる第2移動機構(74)を備えてもよい。この形態によれば、第2移動機構により、第2光路変更部材が被検査物の外周面に対して相対的に移動することになる。検査ヘッド及び第1光路変更部材を軸線方向に移動させなくても、第2光路変更部材を軸線方向に移動させることにより、外周面の軸線方向の走査が可能となる。
【0014】
本発明の表面検査装置の一形態において、前記被検査物を前記軸線方向に移動させる被検査物移動機構(75)を備えてもよい。この形態によれば、検査ヘッド、第1光路変更部材及び第2光路変更部材を軸線方向に移動させなくても、被検査物を軸線方向に移動させることにより、被検査物の外周面の軸線方向の走査が可能となる。
【0015】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0016】
以上、説明したように、本発明の表面検査装置においては、検査ヘッドから射出される検査光の光路は、第1光路変更部材により検査ヘッドの軸線方向へと変更され、さらに第2光路変更部材により被検査物の外周面へと変更される。検査光は外周面で反射し、その反射光は検査光とは逆向きの光路をたどり、外周面の検査に供される。検査ヘッドを被検査物の内部に挿入すれば被検査物の内周面の検査も可能である。従って、被検査物の内周面及び外周面の検査を1台の検査ヘッドで行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1に、本発明の一形態に係る表面検査装置の概略構成を示す。表面検査装置1は被検査物100に設けられた円筒形の内周面100aの検査とともに外周面100bの検査にも適した装置であり、検査を実行するための検査機構2と、その検査機構2の動作制御、検査機構2による測定結果の処理等を実行するための制御部3とを備えている。さらに、検査機構2は、被検査物100に対して検査光を投光し、かつ被検査物100からの反射光を受光するための検出手段としての検出ユニット5と、その検出ユニット5に所定の動作を与えるための駆動ユニット6と、被検査物100の外周面100bを検査するための外周面検査ユニット7とを備えている。まず、被検査物100の内周面100aの検査のための構成を中心に説明する。
【0018】
検出ユニット5は、検査光の光源としてのレーザダイオード(以下、LDと呼ぶ。)11と、被検査物100からの反射光を受光し、その反射光の単位時間当りの光量(反射光強度)に応じた電流又は電圧の信号を出力するフォトディテクタ(以下、PDと呼ぶ。)12と、LD11から射出される検査光を被検査物100に向かって導く投光ファイバ13と、被検査物100からの反射光をPD12に導くための受光ファイバ14と、それらのファイバ13、14を束ねた状態で保持する保持筒15と、その保持筒15の外側に同軸的に設けられる中空軸状の検査ヘッド16とを備えている。検査ヘッド16は保持筒15のさらに外側にて回転自在に支持されている。
【0019】
保持筒15の先端には、投光ファイバ13を介して導かれた検査光を検査ヘッド16の軸線AXの方向(以下、軸線方向と呼ぶ。)に沿ってビーム状に射出させ、かつ検査ヘッド16の軸線方向に沿って検査光とは逆向きに進む反射光を受光ファイバ14に集光するレンズ17が設けられている。検査ヘッド16の先端部(図1において右端部)には、ミラー18が固定され、検査ヘッド16の外周にはそのミラー18と対向するようにして開口部としての透光窓16aが設けられている。ミラー18は、レンズ17から射出された検査光の光路を透光窓16aに向けて変更し、かつ、透光窓16aから検査ヘッド16内に入射した反射光の光路をレンズ17に向かって進む方向に変更する。
【0020】
駆動ユニット6は、直線駆動機構30と、回転駆動機構40と、焦点調節機構50とを備えている。直線駆動機構30は検査ヘッド16をその軸線方向に移動させる直線駆動手段として設けられている。そのような機能を実現するため、直線駆動機構30は、ベース31と、そのベース31に固定された一対のレール32と、レール32に沿って検査ヘッド16の軸線方向に移動可能なスライダ33と、そのスライダ33の側方に検査ヘッド16の軸線AXと平行に配置された送りねじ34と、その送りねじ34を回転駆動する電動モータ35とを備えている。スライダ33は検出ユニット5の全体を支持する手段として機能する。すなわち、LD11及びPD12はスライダ33に固定され、検査ヘッド16は回転駆動機構40を介してスライダ33に取り付けられ、保持筒15は焦点調節機構50を介してスライダ33に取り付けられている。さらに、スライダ33にはナット36が固定され、そのナット36には送りねじ34がねじ込まれている。従って、電動モータ35にて送りねじ34を回転駆動することにより、スライダ33がレール32に沿って検査ヘッド16の軸線方向に移動し、それに伴ってスライダ33に支持された検出ユニット5の全体が検査ヘッド16の軸線方向に移動する。直線駆動機構30を用いた検出ユニット5の駆動により、被検査物100の内周面100aに対する検査光の照射位置(走査位置)を検査ヘッド16の軸線方向に関して変化させることができる。
【0021】
ベース31の前端(図1において右端)には壁部31aが設けられ、その壁部31aには検査ヘッド16と同軸の通し孔31bが設けられている。その通し孔31bにはサンプルピース37が取り付けられている。サンプルピース37は表面検査装置1の動作状態を判別するためのサンプルとして設けられるものであり、その中心線上には検査ヘッド16と同軸の貫通孔37aが設けられている。貫通孔37aは検査ヘッド16が通過可能な内径を有しており、検査ヘッド16はその貫通孔37aを通過して被検査物100の内部へと繰り出される。
【0022】
回転駆動機構40は検査ヘッド16を軸線AXの回りに回転させる回転駆動手段として設けられている。そのような機能を実現するため、回転駆動機構40は、回転駆動源としての電動モータ41と、その電動モータ41の回転を検査ヘッド16に伝達する伝達機構42とを備えている。伝達機構42には、ベルト伝達装置、歯車列等の公知の回転伝達機構を利用してよいが、この形態ではベルト伝達装置が利用される。電動モータ41の回転を伝達機構42を介して検査ヘッド16に伝達することにより、検査ヘッド16がその内部に固定されたミラー18を伴って軸線AXの回りに回転する。回転駆動機構40を用いた検査ヘッド16の回転により、被検査物100の内周面100aに対する検査光の照射位置を被検査物100の周方向に関して変化させることができる。そして、検査ヘッド16の軸線方向への移動と軸線AXの回りの回転とを組み合わせることにより、被検査物100の内周面100aをその全面に亘って検査光で走査することが可能となる。なお、検査ヘッド16の回転時において、保持筒15は回転しない。さらに、回転駆動機構40には、検査ヘッド16が所定の単位角度回転する毎にパルス信号を出力するロータリエンコーダ43が設けられている。ロータリエンコーダ43から出力されるパルス信号の個数は検査ヘッド16の回転量(回転角度)に相関し、そのパルス信号の周期は検査ヘッド16の回転速度に相関する。
【0023】
焦点調節機構50は、検査光が被検査物100の内周面100aにて焦点を結ぶように保持筒15を軸線AXの方向に駆動する焦点調整手段として設けられている。その機能を実現するため、焦点調節機構50は、保持筒15の基端部に固定された支持板51と、直線駆動機構30のスライダ33と支持板51との間に配置されて支持板51を検査ヘッド16の軸線方向に案内するレール52と、検査ヘッド16の軸線AXと平行に配置されて支持板51にねじ込まれた送りねじ53と、その送りねじ53を回転駆動する電動モータ54とを備えている。電動モータ54にて送りねじ53を回転駆動することにより、支持板51がレール52に沿って移動して保持筒15が検査ヘッド16の軸線方向に移動する。これにより、検査光が被検査物100の内周面100a上で焦点を結ぶようにレンズ17からミラー18を経て内周面100aに至る光路の長さを調節することができる。なお、外周面検査ユニット7の説明については、後述する。
【0024】
次に制御部3について説明する。制御部3は、表面検査装置1による検査工程の管理、検出ユニット5の測定結果の処理等を実行する演算処理部60と、その演算処理部60の指示に従って検出ユニット5の各部の動作を制御する動作制御部61と、PD12の出力信号に対して所定の処理を実行する信号処理部62と、演算処理部60に対してユーザが指示を入力するための入力部63と、演算処理部60が処理した検査結果等をユーザに提示するための出力部64と、演算処理部60にて実行すべきコンピュータプログラム、及び、測定されたデータ等を記憶する記憶部65とを備えている。演算処理部60、入力部63、出力部64及び記憶部65はパーソナルコンピュータ等の汎用コンピュータ機器を利用してこれらを構成することができる。この場合、入力部63にはキーボード、マウス等の入力機器が設けられ、出力部64にはモニタ装置が設けられる。プリンタ等の出力機器が出力部64に追加されてもよい。記憶部65には、ハードディスク記憶装置、あるいは記憶保持が可能な半導体記憶素子等の記憶装置が用いられる。動作制御部61及び信号処理部62はハードウエア制御回路によって実現されてもよいし、コンピュータユニットによって実現されてもよい。
【0025】
被検査物100の内周面100aの表面を検査する場合、演算処理部60、動作制御部61及び信号処理部62のそれぞれは次の通り動作する。なお、この場合、被検査物100は検査ヘッド16と同軸上に配置される。検査の開始にあたって、演算処理部60は入力部63からの指示に従って動作制御部61に被検査物100の内周面100aを検査するために必要な動作の開始を指示する。その指示を受けた動作制御部61は、LD11を所定の強度で発光させるとともに、検査ヘッド16が軸線方向に移動し、かつ軸線AXの回りに一定速度で回転するようにモータ35及び41の動作を制御する。さらに、動作制御部61は、検査光が被検査面としての内周面100a上で焦点を結ぶようにモータ54の動作を制御する。このような動作制御により、内周面100aがその一端から他端まで検査光によって走査される。なお、検査ヘッド16の軸線方向の駆動に関しては、一定速度の送り動作としてもよいし、検査ヘッド16が一回転する毎に所定ピッチずつ移動する間欠的な送り動作としてもよい。
【0026】
上述した内周面100aの走査に連係して信号処理部62にはPD12の出力信号が順次導かれる。信号処理部62は、PD12の出力信号を演算処理部60にて処理するために必要なアナログ信号処理を実施し、さらに、その処理後のアナログ信号を所定のビット数でA/D変換し、得られたデジタル信号を反射光信号として演算処理部60に出力する。演算処理部60にて実行する信号処理としては、PD12が検出した反射光の明暗差を拡大するようにその出力信号を非線形に増幅する処理、出力信号からノイズ成分を除去する処理といった各種の処理を適宜に用いてよい。高速フーリエ変換処理、逆フーリエ変換処理等を適宜に組み合わせることも可能である。また、信号処理部62によるA/D変換は、ロータリエンコーダ43から出力されるパルス列をサンプリングクロック信号として利用して行われる。これにより、検査ヘッド16が所定角度回転する間のPD12の受光量に相関した階調のデジタル信号が生成されて信号処理部62から出力される。
【0027】
信号処理部62から反射光信号を受け取った演算処理部60は、その取り込んだ信号を記憶部65に記憶する。さらに、演算処理部60は、記憶部65が記憶する反射光信号を利用して被検査物100の内周面100aを平面的に展開した2次元画像を生成する。その2次元画像は、例えば被検査物100の周方向をx軸方向、検査ヘッド16の軸線方向をy軸方向とする直交2軸座標系で定義される平面上に内周面100aを展開した画像に相当する。なお、演算処理部60における2次元画像の生成時には、反射光信号から得られる原画像に対して、エッジ処理、二値化処理等を施すことにより、検出すべき欠陥等を強調した2次元画像を生成してもよい。そして、演算処理部60は、得られた画像を所定のアルゴリズムで処理することにより、内周面100aに許容限度を超える欠陥等が存在するか否か等を判定し、その判定結果を出力部64に出力する。
【0028】
図2に外周面検査ユニット7の概略図を示す。外周面検査ユニット7は、ミラー18の対向に設けられ、ミラー18により透光窓16aへ向けて変更された検査光の光路を軸線AXの方向に向けて変更する第1光路変更部材としての第1外周面ミラー8と、第1外周面ミラー8の対向に設けられ、第1外周面ミラー8からの検査光を外周面100bに向けて変更する第2光路変更部材としての第2外周面ミラー9と、各外周面ミラー8、9を保持する保持部材としての外筒10と、外筒10を軸線方向に移動させる第1移動機構71とを備えている。検査ヘッド16は、被検査物100から透光窓16aが突出して位置し、その透光窓16aと第1外周面ミラー8とが対向するように配置される。
【0029】
第1外周面ミラー8は、リング状で光路変更面としての反射面8aが所定の傾きを有し、検査ヘッド16を360°の方向に取り囲むようにして設けられている。つまり、第1外周面ミラー8のリングの中心に検査ヘッド16が位置し、回転する検査ヘッド16のミラー18に対して、常に一定の間隔を有し、検査光の向きを軸線方向と平行な方向へ変更する。第2外周面ミラー9も、第1外周面ミラー8と同様のリング状で光路変更面としての反射面9aが所定の傾きを有し、被検査物100の外周を360°の方向に取り囲むようにして設けられている。ただし、第2外周面ミラー9の反射面9aは、第1外周面ミラー8からの検査光を被検査物100の外周面100bに垂直に入射する向きに変更するようにして設けられている。一例として、ミラー18が軸線方向に対して45°の角度で設置されている場合、回転するミラー18の反射面と向かい合う第1外周面ミラー8の反射面8aとが平行になるように第1外周面ミラー8が設けられる。第1外周面ミラー8にて軸線方向と平行な方向に検査光の光路が変更される。第2外周面ミラー9の反射面9aが第1外周面ミラー8の反射面8aと垂直となるようにして第2外周面ミラー9が設けられる。この場合、第2外周面ミラー9により検査光は外周面100bに対して垂直に入射する。
【0030】
外筒10は、被検査物100の周囲を覆うようにして設けられ、外筒10の軸線は検査ヘッド16の軸線AXと一致している。外筒10は、第1外周面ミラー8及び第2外周面ミラー9がその内周面10aに固定される筒部10bと、筒部10bの上端に設けられた蓋部10cとを有する。蓋部10cの中心には、検査ヘッド16が挿入される挿入孔10dが設けられている。挿入孔10dに検査ヘッド16が挿入され、第1外周面ミラー8にミラー18が対向することにより被検査物100の外周面100bが検査される。なお、筒部10bと蓋部10cとは、一体に形成されていてもよいし、筒部10bと蓋部10cとが着脱可能に設けられていてもよい。筒部10bの下端にも蓋部が設けられていてもよいし、蓋部10cが設けられていなくともよい。外筒10は、検査ヘッド16に対して着脱可能に設けられている。
【0031】
第1移動機構71は、検査ヘッド16の軸線方向の移動に対して外筒10を同期して軸線方向へ移動させる。このとき、検査ヘッド16の透光窓16a、つまり、ミラー18の反射面と、第1外周面ミラー8の反射面8aとの対向を保つようにして外筒10が移動する。第1移動機構71の構成は、モータやレールを組み合わせる等、周知の駆動技術を利用してよい。第1移動機構71を動作制御部61にて制御してもよい。
【0032】
外周面検査ユニット7による、被検査物100の外周面の検査について説明する。検査ヘッド16のミラー18と第1外周面ミラー8とが対向するように検査ヘッド16に外周面検査ユニット7を取り付ける。検査ユニット16の軸線方向の移動と外周面検査ユニット7の軸線方向の移動とが同期するように動作制御部61にて第1移動機構71の動作が制御される。被検査物100は所定の位置に固定される。検査ヘッド16と外周面検査ユニット7とが同期して移動するので、外周面100bの軸線方向への走査が可能となる。また、各外周面ミラー8、9が被検査物100を取り囲むようにして設けられているので、検査ヘッド16が回転することにより外周面100bの周方向への走査も可能となる。これにより、外周面100bの全面の検査ができる。
【0033】
LD11から射出された検査光は投光ファイバ13を介して導かれ、レンズ17にて集光されつつミラー18にて第1外周面ミラー8の方向へと光路が変更される。さらに、検査光は第1外周面ミラー8にて第2外周面ミラー9の方向へと光路が変更され、第2外周面ミラー9にて被検査物100の外周面100bに入射するように光路が変更される。外周面100bで検査光は反射し、その反射光は逆向きの光路をたどり、レンズ17にて受光ファイバ14へと集光される。そして、受光ファイバ14を介して反射光はPD12へと導かれる。外周面100bの走査に関する制御部3での処理は、上述した内周面100aの走査に関する処理と同様なので説明を省略する。
【0034】
本発明は、上述した形態に限定されることなく、種々の形態にて実施することができる。例えば、本形態の外周面検査ユニット7の各外周面ミラー8、9間に第1レンズとしてのレンズ72を設けてもよいし、第2外周面ミラー9の被検査物100の外周面100bとの間に第2レンズとしてのレンズ73を設けてもよい。図3は、レンズ72、73が設けられた外周面検査ユニット7での光路を示す図である。なお、図3において、外周面検査ユニット7の外筒10は省略されている。各レンズ72、73により検査光及び反射光の収差が補正される。各レンズ72、73は、各外周面ミラー8、9と同様、外筒10に固定され、被検査物100を取り囲むようにして360°の方向に設けられている。これにより、周方向の走査に対応することができ、高精度の検査ができる。各レンズ72、73はいずれか一方のみを設けてもよいし、あるいは、ミラー18と第1外周面ミラー8との間にレンズを設けてもよい。被検査物100の性質、形状等や、求められる精度に応じた構成を採用してもよい。各外周面ミラー8、9や各レンズ72、73は、外筒10に全てが設けられていなくともよく、個別に配置されて各自が独立して駆動するように構成してもよい。
【0035】
本形態では、被検査物100を固定して、検査ヘッド16及び外筒10を相対移動させることにより被検査物100の外周面100bを走査したが、これに限られず、外筒10に対して第2外周面ミラー9を軸線方向に移動させてもよい。この形態においては、図4にも示すように、第1移動機構71に代えて、第2外周面ミラー9を外筒10に対して軸線方向に移動させる第2移動機構74が外周面検査ユニット7に設けられている。第2移動機構74の構成については、第1移動機構71と同様、周知の駆動技術を利用してよい。検査ヘッド16は、軸線方向へは移動せず、軸線AXの回りに回転する回転移動のみ動作し、外周面検査ユニット7の外筒10及び被検査物100はともに固定される。外周面100bの軸線方向の走査は第2外周面ミラー9の移動により行われ、周方向の走査は検査ヘッド16の回転移動により行われる。第2移動機構74を動作制御部61にて制御してもよい。
【0036】
あるいは、第1移動機構71又は第2移動機構74に代えて、図5に示すように、被検査物100を軸線方向に移動させる被検査物移動機構75を外周面検査ユニット7に設けてもよい。この形態においては、外周面検査ユニット7を固定(第2外周面ミラー9も固定される。)して、被検査物100が軸線方向に移動される。被検査物移動機構75の構成についても第1移動機構と同様、周知の駆動技術を利用してもよい。検査ヘッド16は、軸線方向へは移動せず、軸線AXの回りに回転する回転移動のみ動作する。外周面100bの軸線方向の走査は被検査物100の軸線方向の移動により行われ、周方向の操作は検査ヘッド16の回転移動により行われる。
【0037】
また、検査ヘッド16が回転される形態に限られず、検査ヘッド16を回転させずに被検査物100を回転させることにより、表面状態を検査してもよい。例えば、図6に示すように外周面検査ユニット7に被検査物100を軸線AXの回りに回転させる回転移動機構76を設けてもよい。この形態においては、検査ヘッド16と外筒10とが同期して軸線方向に移動し、回転移動機構76により検査ヘッド16の軸線方向と同軸に設置された被検査物100が軸線AXの回りに回転する。外周面100bの軸線方向の走査は検査ヘッド16及び外筒10の軸線方向の移動により行われ、周方向の走査は、被検査物100の軸線AXの回りの回転移動により行われる。外筒10の軸線方向の移動には、上述した第1移動機構71を利用することができる。回転移動機構76の構成については、モータ等を組み合わせる等、周知の駆動技術を利用してよい。回転移動機構76を動作制御部61にて制御してもよい。
【0038】
あるいは、軸線方向の走査を第2外周面ミラー9の軸線方向の移動により行ってもよい。この場合においては、検査ヘッド16及び外筒10は周方向及び軸線方向のいずれにも移動せず、第2外周面ミラー9の軸線方向の移動により、外周面100bの軸線方向の走査が行われる。周方向の走査については、被検査物100の回転により行われる。第2外周面ミラー9の移動には、上述した第2移動機構74を利用することができる。あるいは、第2外周面ミラー9を含む外筒10及び検査ヘッド16を固定して、被検査物100を軸線方向に移動させ、かつ軸線AXの回りに回転移動させることにより、外周面100bの軸線方向及び周方向の走査を行ってもよい。被検査物100の軸線方向の移動及び回転移動には、上述した被検査物移動機構75及び回転移動機構76を利用することができる。なお、検査ヘッド16が回転せずに被検査物100が回転される形態においては、各外周面ミラー8、9及び各レンズ72、73(設置している場合)は、被検査物100の周囲を取り囲むように設ける必要はなく、検査光及び反射光の光路に応じて設ければよい。検査ヘッド16が回転しないので、光路も被検査物100の回りを回転しないからである。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一形態に係る表面検査装置の概略構成を示す図。
【図2】外周面検査ユニットの概略図。
【図3】レンズが設けられた外周面検査ユニットでの光路を示す図。
【図4】外周面検査ユニットに第2移動機構を設けた形態を説明する図。
【図5】外周面検査ユニットに被検査物移動機構を設けた形態を説明する図。
【図6】外周面検査ユニットに回転移動機構を設けた形態を説明する図。
【符号の説明】
【0040】
1 表面検査装置
8 第1外周面ミラー(第1光路変更部材)
9 第2外周面ミラー(第2光路変更部材)
16 検査ヘッド
100 被検査物
100a 内周面
100b 外周面
AX 軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同軸に配置された被検査物の内部に対して出没自在に設けられ、外周に設けられた開口部から検査光が射出される検査ヘッドを有し、前記検査ヘッドがその軸線方向に移動して前記被検査物の内周面に向けて検査光を照射し、その反射光の光量に基づいて前記被検査物の表面を検査する表面検査装置であって、
前記被検査物から前記開口部が突出する位置にて前記検査ヘッドから射出される検査光の光路を前記被検査物の外周面よりも外側で前記検査ヘッドの軸線方向へと変更する第1光路変更部材と、
前記第1光路変更部材にて変更された光路を前記被検査物の外周面に向けて変更する第2光路変更部材と、
を備えたことを特徴とする表面検査装置。
【請求項2】
前記検査ヘッドはその軸線の回りに回転自在に設けられ、前記第1光路変更部材及び前記第2光路変更部材は、それぞれリング状の光路変更面を有し、その光路変更面が前記被検査物の外周面を取り囲むようにして設けられていることを特徴とする請求項1に記載の表面検査装置。
【請求項3】
前記被検査物を前記軸線の回りに回転させる回転移動機構を備えたことを特徴とする請求項1に記載の表面検査装置。
【請求項4】
前記第1光路変更部材及び前記第2光路変更部材を保持する保持部材を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の表面検査装置。
【請求項5】
前記保持部材には、前記第1光路変更部材と前記第2光路変更部材との間に、前記検査光及び前記反射光を集光する第1レンズが設けられていることを特徴とする請求項4に記載の表面検査装置。
【請求項6】
前記保持部材には、前記第2光路変更部材と前記被検査物との間に、前記検査光及び前記反射光を集光する第2レンズが設けられていることを特徴とする請求項4又は5に記載の表面検査装置。
【請求項7】
前記検査ヘッドの軸線方向の移動に伴って、前記保持部材を同期して移動させる第1移動機構を備えたことを特徴とする請求項4〜6のいずれか一項に記載の表面検査装置。
【請求項8】
前記保持部材に対して前記第2光路変更部材を前記軸線方向に移動させる第2移動機構を備えたことを特徴とする請求項4に記載の表面検査装置。
【請求項9】
前記被検査物を前記軸線方向に移動させる被検査物移動機構を備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の表面検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−139432(P2010−139432A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−317229(P2008−317229)
【出願日】平成20年12月12日(2008.12.12)
【出願人】(390014661)キリンテクノシステム株式会社 (126)
【Fターム(参考)】