説明

表面検査装置

【課題】簡易な構成でガラス基板の表面の画像を高精度かつ迅速に取得する。
【解決手段】表面検査装置10は、被検査対象物(ガラス基板14)の移動方向に沿う複数の異なる位置にそれぞれ照明光を照射可能な複数の光源(3つの線光源11,12,13)を有する照明手段と、被検査対象物(14)を照明手段に対して相対移動させる駆動手段(駆動ローラ4)と、複数の光源(11,12,13)によってそれぞれ照明された被検査対象物(14)を所定のタイミングで撮像し、複数の異なる画像を取得する撮像手段(ラインセンサカメラ15)と、照明手段と駆動手段(4)とを制御し、被検査対象物(14)を相対移動させた状態で被検査対象物(14)の異なる位置に照明光を所定のタイミングで照射するとともに所定のタイミングで複数の異なる画像を取得するよう撮像手段(15)を制御する制御手段5と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば液晶ディスプレイなどのFPD基板、半導体ウエハ、プリント基板などの平面パネルの被検査対象物の表面に光を照射し、透過した光や反射した光を検出することにより被検査対象物の状態を検査する表面検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、薄型テレビ、PCモニター、ゲーム機等の表示デバイスとして使用される液晶ディスプレイなどのFPD基板では、表面にTFTなどの微細な電気回路を形成したガラス基板が使用されている。このような微細な電気回路は、写真技術を用いてガラス基板上に形成されている。しかし、製造工程において、製造装置の不具合や周囲のパーティクルが付着するなどに起因して、その一部に不要な導通部分や破断部分などの欠陥が生じ得る。
【0003】
このため、このようなガラス基板の検査では、例えば平面上を移動するガラス基板に対しライン状の検査光を照射し、その反射光を連続撮像することによって欠陥を検出している。
【0004】
ところで、ガラス基板上の電気回路は、微細なパターンであり、光の透過率が異なるいくつもの層が重なって形成されている。このため、検査光のガラス基板に対する照射角度の相違によって欠陥の見え方も異なってくる。例えば、ある角度では欠陥を検出することができるが、異なる角度では同じ欠陥を検出することができない場合が生じ得る。
【0005】
これらを改善する手段として、例えば、特許文献1では、複数の光源と複数のラインセンサカメラを用いた技術が提案されている。しかし、この場合は複数の光源及び複数の検出手段が必要になるため、装置構成が複雑化し、製造コストが増大する。
【0006】
また、この特許文献1では、複数の光源を一括使用しているのではなく、被検査対象物の移動方向の切り替えに対応して複数の光源を選択的に使用している。このように、特許文献1では、検査の迅速化を企図したものではない。
【0007】
これに対し、例えば、特許文献2では、複数の光源を異なる方向から照明可能なように配置し、これら複数の光源を切り替えながら点灯させて、1つのラインセンサカメラで複数の異なる画像を形成する技術が提案されている。
【0008】
同様に、特許文献3では、複数の光源をその照明配位が異なるように配置し、各光源による照明をラインセンサカメラの撮像タイミングに基づいて切り替える点が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭62−42039号公報
【特許文献2】特開2000−162146号公報
【特許文献3】特開2001−304835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献2及び特許文献3では、違った角度から夫々のタイミングで得た複数の画像が得られるが、これでは検査の迅速化を図ることはできない。
ところで、例えば一定のスピードで移動しているガラス基板を、ラインセンサを用いて検査画像を得るためには、対象となる範囲を、必要な時間と明るさで撮像できる光学系を構成する必要がある。
【0011】
例えば、仮に検査できる範囲、つまり光源からの照射が必要となる範囲を1mm、また、必要な時間、つまり光源が安定して点灯している時間を10msecとした場合、
ガラス基板が最大移動できるスピードは、100mm/secとなる(=1mm/10msec)。
【0012】
ところで、ガラス基板の検査は、所定時間内にできる限り多くの枚数の検査を連続して行うため、コンベアーなどのライン上を連続して移動させる方式がとられている。また、近年はこのガラス基板の移動スピードが高速化されてきている。
【0013】
これに対処すべく、前述したガラス基板のスピードの2倍、例えば200mm/secを達成するためには、検査できる範囲を2倍の2mmにする方法が考えられる。しかし、一般的に2倍の面積を同じ明るさにするためには、2倍の明るさ或いは量の光源が必要となる。
【0014】
一方、撮像時間を半分の5msecとする方法も考えられる。しかし、この場合も、ラインセンサカメラが取り込める光が1/2になるため、2倍の明るさ或いは量の光源が必要となる。
【0015】
このことは、複数の照明光源を切換えて順次点滅させ、ラインセンサカメラの時間を分割して撮像する方法においては、照明の数の倍数だけ、ガラス基板の移動スピードを下げて撮像しなければならないことになる。
【0016】
本発明は斯かる課題を解決するためになされたもので、簡易な構成で被検査対象物の表面の画像を高精度かつ迅速に取得することのできる表面検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、
被検査対象物の表面に光を照射し、その反射光を撮像して得られた画像を画像処理して前記被検査対象物の表面を検査する表面検査装置において、
前記被検査対象物の移動方向に沿う複数の異なる位置にそれぞれ照明光を照射可能な複数の光源を有する照明手段と、
前記被検査対象物を前記照明手段に対して相対移動させる駆動手段と、
前記複数の光源によってそれぞれ照明された前記被検査対象物を所定のタイミングで撮像し、複数の異なる画像を取得する撮像手段と、
前記照明手段と前記駆動手段とを制御し、前記被検査対象物を相対移動させた状態で前記被検査対象物の異なる位置に前記照明光を前記所定のタイミングで照射するとともに前記所定のタイミングで前記複数の異なる画像を取得するよう前記撮像手段を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【0018】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の表面検査装置において、
前記複数の光源の夫々に対応して配置された複数のシャッターを更に有し、
前記制御手段は、前記複数の光源を常時点灯させ、前記複数の光源ごとに所定の撮像タイミングで前記複数のシャッターをそれぞれ開閉制御することを特徴とする。
【0019】
請求項3に係る発明は、請求項1に記載の表面検査装置において、
前記制御手段は、所定の撮像タイミングで前記複数の光源をそれぞれ点滅制御することを特徴とする。
【0020】
請求項4に係る発明は、請求項1から3のいずれかに記載の表面検査装置において、
前記照明手段は、前記複数の光源を前記被検査対象物への照射位置が変化しない範囲で独立して移動させる光源移動装置を備える
ことを特徴とする。
【0021】
請求項5に係る発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の表面検査装置において、
前記複数の光源の数をNとし、
前記複数の光源の夫々により照明される前記被検査対象物の移動方向に沿う撮像範囲をSとしたとき、
前記複数の光源の前記被検査対象物の移動方向に沿う配置間隔(照射位置の間隔)Lは
L=S(iN+j)/N (ただし、i=0,1,2,3,・・・、j=1,2,3,・・・、j<N)
となるとき、1つの照明から次の照明までの間に前記被検査対象物を移動させる距離は
Sj/N
となる
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、簡易な構成で被検査対象物の表面の画像を高精度かつ迅速に取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1の実施の形態の表面検査装置の全体構成を示す図である。
【図2】同上の表面検査装置の平面図である。
【図3】同上の表面検査装置の要部の側面図である。
【図4】同上の表面検査装置の要部の側面図である。
【図5】同上の表面検査装置の要部の側面図である。
【図6】同上の開閉板の開閉タイミングを示すタイムチャートを示す図である。
【図7】同上の線光源の照射(撮像)タイミングと、1つの照明から次の照明までの間のガラス基板の移動距離との関係を示す図である。
【図8】比較例としての表面検査装置の平面図である。
【図9】同上の表面検査装置の要部の側面図である。
【図10】同上の表面検査装置の要部の側面図である。
【図11】同上の表面検査装置の要部の側面図である。
【図12】同上の線光源の照射(撮像)タイミングとガラス基板の移動距離との関係を示す図である。
【図13】第2の実施の形態の表面検査装置の概略構成を示す図である。
【図14】同上の表面検査装置の要部の側面図である。
【図15】同上の表面検査装置の要部の側面図である。
【図16】同上の表面検査装置の要部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態の表面検査装置の全体構成を示す図である。
【0025】
同図1において、表面検査装置10は、被検査対象物としてのガラス基板14の表面に光を照射し、その反射光を撮像して得られた画像を演算処理してガラス基板14の表面を検査する装置である。
【0026】
なお、このガラス基板14としては、例えばTFTガラス基板、カラーフィルタ基板、半導体ウエハ、プリント基板などである。
表面検査装置10は、複数の光源を有する照明手段としての線光源11,12,13と、この線光源11,12,13に対してガラス基板14を相対移動させる駆動手段としての駆動ローラ4と、線光源11,12,13の夫々の前面に配置された複数のシャッターとしての開閉板1,2,3と、この開閉板1,2,3を対応する線光源11,12,13ごとに所定の撮像タイミングで開閉制御する制御手段5と、ガラス基板14からの反射光を撮像して画像信号を出力する1台の撮像手段としてのラインセンサカメラ15と、を備えている。
【0027】
制御手段5は、ガラス基板14からの反射光を撮像して得られた画像を画像処理する画像処理部6を備えている。
線光源11,12,13としては、ガラス基板14の表面の複数位置に夫々光を照射するライン状のLEDが用いられている。この線光源11,12,13は、ガラス基板14の移動方向と交差する方向(本実施の形態では直交方向)にライン状に延びている。そして、ガラス基板14の所定範囲をライン状ごとに照明する。
【0028】
尚、この線光源11,12,13は、ライン状のLEDに限らず、例えばレーザ光源とシリンドリカルレンズやミラーを組合せた構成など、ライン状の照明光を出射するものであれば他の構成を用いてもよい。また、ラインセンサカメラ15は、エリアセンサ有するカメラを用いても構わない。
【0029】
また、本実施の形態では、この線光源11,12,13は常時点灯されていて、各線光源11,12,13からの光は略平行にガラス基板14に向けて照射される。ここで、線光源11,12,13から照射された光は、各線光源11,12,13に対応してその前面に配置された開閉板1,2,3により、開閉板1,2,3が開状態のときにのみガラス基板14に光が照射される。
【0030】
また、本実施の形態では、この線光源11,12,13は装置本体に固定されていて、ガラス基板14は駆動ローラ4により線光源11,12,13に対して図の矢印方向に所定の速度で移動している。
【0031】
開閉板1,2,3は、本実施の形態では液晶板(LCD板)が用いられている。この開閉板1,2,3は、各線光源11,12,13ごとに所定の撮像タイミングで制御手段5により開閉制御される。
【0032】
すなわち、開閉板1,2,3には制御手段5から所定のタイミングで制御信号が送出される。こうして、開閉板1,2,3に信号電圧が印加されないときは、開閉板1,2,3は開状態となって光が通過する。また、開閉板1,2,3に信号電圧が印加されると、開閉板1,2,3は閉状態となって光の通過が遮断される。
【0033】
ラインセンサカメラ15は、ガラス基板14の異なる位置からの複数の反射光を撮像して複数の異なる画像信号を出力する。
図2は、表面検査装置10の平面図である。また、図3〜図5は、表面検査装置10の要部の側面図である。
【0034】
図2において、ガラス基板14は移動方向に沿って微小間隔に分割されている。これらの分割領域の移動方向の距離Sは、これらの領域が線光源11,12,13により照明されてラインセンサカメラ15に撮像される撮像範囲を示している。
【0035】
図2において、線光源11,12,13はガラス基板14の移動方向と平行に所定間隔Lで配置されている。なお、このように、3つの線光源11,12,13を用いたのは、ガラス基板14に付着した汚れや色の違い等の二次元的欠陥のみならず、凹凸等の三次元的欠陥をも的確に検出できるようにするためである。
【0036】
ガラス基板14の表面には、例えば薄膜トランジスタ(TFT)等が形成されており、微細な凹凸が形成されている。このため、ガラス基板14の表面からの複数の直接反射光及び回折光により複数の画像を得て解析することが重要であるからである。
【0037】
また、図3に示すように、例えば線光源11から照射された照明光16はガラス基板14のライン状の撮像範囲(撮像領域)17を照射している。このライン状の撮像範囲17では、正反射した反射光18が反射しているほか、ガラス基板14の表面の微細な凹凸によって生じる回折光19がラインセンサカメラ15に入射し、第1の画像20として撮像される。
【0038】
次に、図4は、図3よりも時間Tが経過し、ガラス基板14がSだけ右方向に移動した状態を表わしている。このとき、図3におけるガラス基板14の撮像範囲17はSだけ右方向に進んだ17’に移動している。
【0039】
この状態で、例えば線光源12から照射された照明光21は、ガラス基板14のライン状の撮像範囲(撮像領域)22を照射している。このライン状の撮像範囲22では、直接反射光23が反射しているほか、回折光24として反射した光がラインセンサカメラ15に第2の画像25として撮像される。
【0040】
次に、図5は、図4よりもさらに時間Tが経過し、ガラス基板14がSだけ右方向に移動した状態を表わしている。このとき、図4におけるガラス基板14の撮像範囲(撮像領域)22はSだけ右方向に進んだ22’に移動している。
【0041】
この状態で、例えば線光源13から照射された照明光26が、ガラス基板14のライン状の撮像範囲(撮像領域)27を照射している。図5では、このライン状の撮像範囲27で直接反射した直接反射光28がラインセンサカメラ15に入り、第3の画像29として撮像される。
【0042】
このように、図3〜図5の手順を経ることにより、1つのラインセンサカメラ15で、ガラス基板14の撮像範囲17、22,27の異なる第1〜第3の画像20,25、29を得ることができる。これを、連続して繰り返すことにより、異なる第1〜第3の画像20,25,29の連続画像を撮像することが可能となる。
【0043】
そして、第1〜第3の画像20,25,29を画像処理部6で処理することにより、ガラス基板14の欠陥を正確に検査することができる。
図6は、開閉板1〜3の開閉タイミングを示すタイムチャートを示す図である。
【0044】
撮像タイミングに応じて、まず線光源11に対応する開閉板1を所定時間T/3だけ開き、次に、線光源12に対応する開閉板2を所定時間T/3だけ開き、さらに、線光源13に対応する開閉板3を所定時間T/3だけ開く。
【0045】
そして、これらの各開閉板1〜3を開いている間に、ガラス基板14を夫々S/3ずつ移動させる。
なお、本実施の形態では、3つの線光源11,12,13を常時点灯するとして説明したが、これに限らない。例えば、1台のラインセンサカメラ15の所定の撮像タイミングに合わせて、3つの線光源11,12,13を順次切換えて点滅制御するようにしてもよい。
【0046】
この場合には、3つの線光源11,12,13の前面に配置した開閉板1〜3を省略することができる。
図7は、線光源11,12,13の照射(撮像)タイミングと、1つの照明から次の照明までの間のガラス基板14の移動距離との関係を示す図である。なお、各線光源11,12,13は平行光をガラス基板14に照射するものとする。
【0047】
ここで、線光源11,12,13の数をNとし、
ガラス基板14の移動方向に沿う各線光源11,12,13による照射(撮像)範囲をSとし、
ガラス基板14の移動方向に沿う各線光源11,12,13の配置間隔(ガラス基板14への照射位置の間隔)Lを
L=S(iN+j)/N (ただし、i=0,1,2,3,・・・、j=1,2,3,・・・、j<N)
としたとき、
1つの光源(例えば線光源11)による照明から、次の光源(例えば線光源12)による照明までの間に、ガラス基板14を移動させる距離は
Sj/N となる。
【0048】
なお、i,jは自然数としたが、これに限らなくてもよい場合も想定される。
本実施の形態では、各線光源11,12,13の、ガラス基板14の移動方向に沿う配置間隔を、(7/3)Sに設定した。
【0049】
次に、図7に基づき詳細に説明する。
まず、最初の段階のAでは、線光源11がガラス基板14の領域「4」を照射している。
【0050】
次の段階のBでは、時間T/3後にガラス基板14がS/3だけ右に移動し、線光源12がガラス基板14の領域「6」を照らしている。
次の段階のCでは、さらに時間T/3後にガラス基板14がS/3右に移動し、線光源13がガラス基板14の領域「8」の領域を照らしている。
【0051】
次の段階のDでは、時間T/3後にガラス基板14がS/3右に移動し、線光源11がガラス基板14の領域「3」の領域を照らしている。
このように続けることにより、ガラス基板14の全ての領域は、各線光源11,12,13によって同じ領域を3回ずつ照らされる。そして、同じ領域につき3回撮像された画像が、画像処理部6で処理されて検査される。
【0052】
この場合、各線光源11,12,13からみて同じ範囲(例えば領域「6」)を照射(撮像)するためには、常にガラス基板14がS/3ずつ移動する状態を続けても問題はない。
【0053】
つまり、本実施の形態では、ガラス基板14が単位距離Sを移動する時間をTとすると、各線光源11,12,13からみて同じ範囲(例えば領域「6」)を照射(撮像)し、次の同じ範囲(例えば領域「5」)を照射開始(撮像)するまでに、
3×(T/3)=T の時間で済むことになる。
【0054】
従って、後述するように、簡易な構成でありながら、比較例と比較してガラス基板14の速度を2倍に増速することができる。
なお、本実施の形態では、3つの線光源11,12,13を用いて照明する場合について説明したが、これに限らない。例えば、2つの線光源でもよいし、4つ以上の線光源を用いてもよい。
【0055】
本実施の形態によれば、第1〜第3の画像(20,25,29)を得る間、ガラス基板14はSだけ進むことができる。つまり、線光源を複数設けたとしても、1つの線光源と同じ時間内で3つの正確な画像を取得することができる。
(表面検査装置の比較例説明)
図8は、比較例としての表面検査装置の概略構成の平面図である。また、図9〜図11は、表面検査装置の要部の側面図である。なお、第1の実施の形態と同一又は相当する部材には、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0056】
図8において、線光源11,12,13から夫々照射される照明光36、42,46(図9〜図11参照)は、夫々ガラス基板14の同じ位置の撮像範囲(撮像領域)34に照射されている。
【0057】
図9では、例えば線光源11から照射された照明光36が、ガラス基板14のライン状の撮像範囲34を照射している。この撮像範囲34では、直接反射光38が反射しているほか、回折光39として反射した光がラインセンサカメラ15に第1の画像40として撮像される。
【0058】
次に、図10は、線光源11での撮像が行われた僅かな時間が経過し、撮像範囲34に影響のない程度、ガラス基板14が矢印方向に進んだ状態を示している。
この図10では、例えば線光源12から照射された照明光42が、ガラス基板14の撮像範囲34を照射している。
【0059】
ガラス基板14の撮像範囲34では、直接反射光43が反射しているほか、回折光44として反射した光がラインセンサカメラ15に第2の画像45として撮像される。
次に、図11は、線光源12での撮像が行われた僅かな時間が経過し、撮像範囲34に影響のない程度、ガラス基板14が矢印方向に進んだ状態を示している。
【0060】
この図11では、例えば線光源13から照射された照明光46が、ガラス基板14の撮像範囲34を照射している。
図11の場合は、ガラス基板14の撮像範囲34で反射した直接反射光47がラインセンサカメラ15に入り、第3の画像48として撮像される。
【0061】
このように、図9〜図11の手順を経ることにより、ガラス基板14の撮像範囲34の異なる第1〜第3の画像40、45、48が得られる。これを連続して繰り返すことにより、異なる第1〜第3の画像40,45,48の連続画像を撮像することができる。
【0062】
図12は、線光源11,12,13の照射(撮像)タイミングとガラス基板14の移動距離との関係を示す図である。
ガラス基板14の移動方向に沿う各線光源11,12,13による照射(撮像)範囲をSとする。
【0063】
同図12において、最初の段階のAでは、線光源11がガラス基板14の領域「6」の右側2/3と領域「7」の左側1/3の領域を照らしている。
次の段階のBでは、ガラス基板14がS/3右に移動し、線光源12が領域「6」を照らしている。
【0064】
次の段階のCでは、ガラス基板14がS/3右に移動し、線光源13が領域「6」の左側2/3と領域「5」の右側1/3の領域を照らしている。
次の段階のDでは、ガラス基板14がS/3右に移動し、線光源11が領域「5」の右側2/3と領域「6」の左側1/3の領域を照らしている。
【0065】
以上において、同じ範囲(例えば領域「6」)を確実に照射(撮像)するためには、線光源11,12,13が照射(撮像)する間、ガラス基板14は停止している状態が必要である。
【0066】
その後、次の範囲(例えば領域「5」)にSだけ進み(この間撮像はない)、再度、ガラス基板14が停止した状態で線光源11,12,13で照射(撮像)する。
この場合、各線光源11,12,13からみて同じ範囲(例えば領域「6」)を照射(撮像)し、次の同じ範囲(例えば領域「5」)を照射開始(撮像)するまでに、ガラス基板14が単位距離Sを移動する時間をTとすると、
(3×T/3)+T=2Tの時間を要する。
【0067】
これに対し、前述した第1の実施の形態では、3×(T/3)=T の時間で済むことになる。よって、本実施の形態によれば、前述した通りガラス基板14を高速移動することができる。
[第2の実施の形態]
図13は、第2の実施の形態の表面検査装置の概略構成の平面図である。また、図14〜図16は、表面検査装置の要部の側面図である。なお、第1の実施の形態の同一又は相当する部材には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0068】
本実施の形態では、線光源11,12,13によるガラス基板14の夫々の撮像領域17、22,27を変えずに、光源移動装置70により各線光源11,12,13の位置を移動できるようにしている。
【0069】
なお、第1の実施の形態と同様に、各線光源11,12,13は常時点灯であり、各線光源11,12,13の前面には開閉板1,2,3が設けられている。
これを例えば図5と図16とで比較すると、図5では、線光源13から照射された照明光26は、撮像範囲27で反射し、直接反射光28としてラインセンサカメラ15に入っている。
【0070】
しかし、図16では、図5での線光源13と比較してやや右上上方に移動した線光源13’から、撮像範囲27に照明光が照射されている。この照明光は、直接反射光64として反射している。また、回折光65がラインセンサカメラ15に入り、第3の画像67として撮像されている。
【0071】
図14及び図15に示すように、他の線光源11,12についても、同様に移動することにより、第1の画像60及び第2の画像62として撮像される。
なお、本実施の形態では、3つの線光源11,12,13を常時点灯させ、その前面に開閉板1,2,3を設けるとして説明したが、これに限らない。例えば、1台のラインセンサカメラ15の所定の撮像タイミングに合わせて、3つの線光源11,12,13を点滅制御するようにしてもよい。この場合は、開閉板1,2,3を省略することができる。
【0072】
本実施の形態によれば、線光源11,12,13の夫々の撮像範囲17,22,27を変えずに、各線光源11,12,13の位置を移動させて、異なる状態の光をラインセンサカメラ15に入れることができる。これにより、ガラス基板14の欠陥検出力をアップすることができる。
【符号の説明】
【0073】
1 開閉板
2 開閉板
3 開閉板
4 駆動ローラ
5 制御手段
6 画像処理部
10 表面検査装置
11 線状光源
12 線状光源
13 線状光源
14 ガラス基板
15 ラインセンサカメラ
16 照明光
17 撮像範囲
18 直接反射光
19 回折光
20 第1の画像
21 照明光
22 撮像範囲
23 直接反射光
24 回折光
25 第2の画像
26 照明光
27 撮像範囲
28 直接反射光
29 第3の画像
34 撮像範囲
36 照明光
38 直接反射光
39 回折光
40 第1の画像
42 照明光
43 直接反射光
44 回折光
45 第2の画像
46 照明光
47 直接反射光
48 第3の画像
60 第1の画像
62 第2の画像
64 直接反射光
65 回折光
67 第3の画像
70 光源移動装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査対象物の表面に光を照射し、その反射光を撮像して得られた画像を画像処理して前記被検査対象物の表面を検査する表面検査装置において、
前記被検査対象物の移動方向に沿う複数の異なる位置にそれぞれ照明光を照射可能な複数の光源を有する照明手段と、
前記被検査対象物を前記照明手段に対して相対移動させる駆動手段と、
前記複数の光源によってそれぞれ照明された前記被検査対象物を所定のタイミングで撮像し、複数の異なる画像を取得する撮像手段と、
前記照明手段と前記駆動手段とを制御し、前記被検査対象物を相対移動させた状態で前記被検査対象物の異なる位置に前記照明光を前記所定のタイミングで照射するとともに前記所定のタイミングで前記複数の異なる画像を取得するよう前記撮像手段を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする表面検査装置。
【請求項2】
前記複数の光源の夫々に対応して配置された複数のシャッターを更に有し、
前記制御手段は、前記複数の光源を常時点灯させ、前記複数の光源ごとに所定の撮像タイミングで前記複数のシャッターをそれぞれ開閉制御することを特徴とする請求項1に記載の表面検査装置。
【請求項3】
前記制御手段は、所定の撮像タイミングで前記複数の光源をそれぞれ点滅制御することを特徴とする請求項1記載の表面検査装置。
【請求項4】
前記照明手段は、前記複数の光源を前記被検査対象物への照射位置が変化しない範囲で独立して移動させる光源移動装置を備える
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の表面検査装置。
【請求項5】
前記複数の光源の数をNとし、
前記複数の光源の夫々により照明される前記被検査対象物の移動方向に沿う撮像範囲をSとしたとき、
前記複数の光源の前記被検査対象物の移動方向に沿う配置間隔(照射位置の間隔)Lは
L=S(iN+j)/N (ただし、i=0,1,2,3,・・・、j=1,2,3,・・・、j<N)
となるとき、1つの照明から次の照明までの間に前記被検査対象物を移動させる距離は
Sj/N
となる
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の表面検査装置。

【図1】
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【図6】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−194067(P2012−194067A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−58369(P2011−58369)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】