説明

表面汚染分析装置および表面汚染の分析方法

【課題】分析精度に優れ、かつ、簡便に透明板状部材の表面に付着した汚染物を分析できる装置を提供する。
【解決手段】本発明の表面汚染分析装置100は、透明板状部材の表面に付着した汚染物を分析する装置である。この表面汚染分析装置100は、外部からの光を遮断する遮光容器110と、遮光容器110の中に配置され、透明板状部材を保持する保持部120と、透明板状部材の一方の端面に光を照射して、透明板状部材の内部に光を透過させる照明部130と、透明板状部材の表面に付着した汚染物を分析する表面分析手段140と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面汚染分析装置および表面汚染の分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粘着フィルムまたはシートは、製品の表面を塵の付着、汚れ、傷などから保護するための表面保護フィルムとして用いられてきた。近年、精密電子部品の表面保護フィルムとしても用いられている。
【0003】
この粘着フィルムまたはシートには、粘着層と被着体との粘着力は適度に強いことが求められる。この適度な強さとは、自然に自己剥離したり軽い振動や衝撃で脱落したりすることが無い強さであり、かつ、剥離するときには被着体表面に粘着層を残すことなく剥離できる強さをいう。
【0004】
得られた粘着フィルムまたはシートが被着体表面に粘着層を残すことなく剥離できるかどうかの評価として、特許文献1(国際公開第2009/084517号)に記載されているような被着体への耐汚染性評価が用いられている。以下、特許文献1に記載されている被着体への耐汚染性評価について説明する。
【0005】
はじめに、粘着フィルムサンプルの粘着層を、ゴムローラーを用いて黒色アクリル板へ貼付けて、試験サンプルを作成する。つぎに、この試験サンプルをオーブンへ投入し、エージングする。つづいて、それぞれの試験サンプルから粘着フィルムサンプルを剥離してアクリル板表面に転写があるか目視で評価する。評価基準は以下の通りである。
○:汚染なし
△:わずかに汚染あり
×:顕著な汚染あり
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2009/084517号パンフレット
【特許文献2】特開2003−75367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のように目視による被着体への耐汚染性評価は簡便であるため、粘着フィルムまたはシートの粘着性評価の一つとして一般的に用いられている。しかしながら、この評価方法は、評価者によって結果にバラツキが生じたり、わずかな汚染を見逃してしまったりする場合があった。また、○、△、×など定性的な評価のため、サンプル間で精度良く優劣をつけることが難しかった。
【0008】
一方、特許文献2には、透明板状体に光を照射し、透明板状体の欠点で散乱した光を検知する透明板状体の欠点検出装置が記載されている。この欠点検出装置は、透明板状体の端面から光を照射して透明板状体の内部を透過させる照明器と、透明板状体の面側から照
射する照明器とを備えてある。この装置によれば、透明板状体の表面に付着した汚れや埃を透明板状体のキズや異物などの欠点と区別することが可能であるとされている。
しかしながら、特許文献2のような装置は、複数の照明器が必要であり、装置の構成が複雑であった。また、この装置を用いて、透明板状体の表面に付着した汚れや埃を分析するには、透明板状体に対して複数の方向から光を照射する必要があるため、分析方法も複雑であった。
【0009】
本発明は上述のような課題に鑑みてなされたものであり、分析精度に優れ、かつ、簡便に透明板状部材の表面に付着した汚染物を分析できる装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、
透明板状部材の表面に付着した汚染物を分析する装置であって、
外部からの光を遮断する遮光容器と、
前記遮光容器の中に配置され、前記透明板状部材を保持する保持部と、
前記透明板状部材の一方の端面に光を照射して、前記透明板状部材の内部に前記光を透過させる照明部と、
前記透明板状部材の表面に付着した汚染物を分析する表面分析手段と、
を備える、表面汚染分析装置が提供される。
【0011】
また、本発明によれば、
透明板状部材の表面に付着した汚染物を分析する方法であって、
外部からの光が遮断された遮光容器の中に、前記透明板状部材を配置し、
前記透明板状部材の一方の端面に光を照射して、前記透明板状部材の内部に前記光を透過させながら、前記透明板状部材の表面に付着した汚染物を分析する工程を含む、表面汚染の分析方法が提供される。
【0012】
外部からの光を遮断する遮光容器の中に透明板状部材を配置し、その透明板状部材の一方の端面に光を照射して、透明板状部材の内部に光を透過させると、透明板状部材の汚染物が付着した部分は乱反射され白っぽく観察される。また、汚染物が付着していない部分は光が透過し、透明のまま観察される。
したがって、この発明によれば、透明板状部材の表面に付着した汚染物を精度良く、かつ、簡便に分析することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、分析精度に優れ、かつ、簡便に透明板状部材の表面に付着した汚染物を分析できる装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態における表面汚染分析装置の構成を示す側面断面図である。
【図2】本実施形態における表面汚染分析装置の構成を示す正面図である。
【図3】本実施形態における保持部の構成の一例を示す正面断面図である。
【図4】本実施形態における保持部および反射手段の構成の一例を示す正面断面図である。
【図5】本実施形態における照明部および集光手段の構成の一例を示す上面図である。
【図6】本実施形態における表面汚染分析装置の構成を示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宣説明を省略する。
【0016】
<表面汚染分析装置>
はじめに、本実施形態における表面汚染分析装置100について説明するが、本実施形態における表面汚染分析装置100はこれらに限定されるものではない。
【0017】
図1は、本実施形態に係る表面汚染分析装置100の構成を示す側面断面図である。図2は、本実施形態に係る表面汚染分析装置100の構成を示す正面図である。図3は、本実施形態における保持部120の構成の一例を示す正面断面図である。
【0018】
表面汚染分析装置100は、透明板状部材128の表面に付着した汚染物を分析する装置である。この表面汚染分析装置100は、外部からの光を遮断する遮光容器110と、遮光容器110の中に配置され、透明板状部材128を保持する保持部120と、透明板状部材128の一方の端面128Aに光を照射して、透明板状部材128の内部に光を透過させる照明部130と、透明板状部材128の表面に付着した汚染物を分析する表面分析手段140と、を備えている。
【0019】
透明板状部材128は、粘着フィルムまたはシートの被着体への耐汚染性評価に使用される透明の板である。例えば、アクリル板などのプラスチック板、ガラス板などが挙げられる。
【0020】
遮光容器110は、外部からの光を遮断できる。遮光容器110の中には、保持部120と、照明部130とが配置されている。遮光容器110の外には、保持部120に保持された透明板状部材128の表面に付着した汚染物を分析する表面分析手段140が配置されている。
【0021】
遮光容器110の材質、形状や大きさは、外部からの光を遮断できれば、とくに限定されない。透明板状部材128の大きさによって適宜決められる。
遮光容器110は、遮光容器110の中を観察できる観察窓155を有する開閉板150を備えている。観察窓155から遮光容器110の内部を観察でき、透明板状部材128の表面を分析できる。また、開閉板150は上下にスライドできる。開閉板150を上下にスライドすることによって、観察窓155の位置を調節できる。
【0022】
保持部120は、透明板状部材128を保持するための部材であり、遮光容器110の中に配置されている。保持部120は、透明板状部材128の一方の端面128Aに、照明部130からの光が照射されるように透明板状部材128を支持でき、かつその状態を保持できるように構成されている。また、保持部120は、表面分析手段140により透明板状部材128の表面を分析できるように支持でき、かつその状態を保持できるように構成されている。
【0023】
保持部120は、透明板状部材128の位置を調節する機能をもつ位置調節機能を有していることが好ましい。位置調節機能は、例えば、回転軸122である。回転軸122は、自由に回転できる。回転軸122を回転させることにより、透明板状部材128を自由に回転させることができ、その結果、透明板状部材128端部への光の照射角度を調節できる。回転軸122は、回転目盛りを有していることが好ましい。回転目盛りにより光の照射角度を任意の角度に再現性良く設定できる。
【0024】
また、回転軸122は、上下に自由に移動できることが好ましい。上下に自由に移動できると、透明板状部材128と、照明部130との間の距離を任意に調節できる。つまり、表面汚染分析装置100は、回転軸122により、透明板状部材128の表面に付着した汚染物を分析する際の照射角度および照射距離を任意に設定できる。
【0025】
保持部120の構成は、図3に示すような構成が好ましい。図3は、本実施形態における保持部120の構成の一例を示す正面断面図である。以下、図3を用いて保持部120の構成について説明する。
保持部120は、回転軸122、固定軸124、取り付け部126A、Bを有している。回転軸122は、自由に回転できる。取り付け部126Aは透明板状部材128の一方の端を固定でき、取り付け部126Bは透明板状部材128の他方の端を固定できる。固定軸124は、取り付け部126A、Bを固定し、回転軸122と接続している。
【0026】
透明板状部材128の取り付け時の利便性から、取り付け部126A、Bの少なくとも一方は着脱可能であることが好ましい。少なくとも一方が着脱可能であれば、あらかじめ透明板状部材128を着脱可能な取り付け部に取り付けた後、固定軸124に固定できる。
また、取り付け部126A、Bの少なくとも一方は長軸方向に長さを調節できることが好ましい。こうすることにより、透明板状部材128の大きさが変わっても、固定軸124に安定的に固定できる。
【0027】
本実施形態における表面汚染分析装置100は、図4のように、透明板状部材128を通過した光を反射する反射手段をさらに備えていることが好ましい。図4は、本実施形態における保持部120および反射手段160の構成の一例を示す正面断面図である。反射手段160は、照明部130から透明板状部材128の一方の端面128Aに向かって照射され、透明板状部材128の内部または外部を通過した光を反射する。反射手段160で反射された光は、透明板状部材128の内部に再び透過する。よって、反射手段160を備えると、透明板状部材128を通過した光を再度使用することができ、透明板状部材128の表面に付着した汚染物をより一層精度良く分析できる。反射手段160は、光を反射できればとくに限定されないが、板状であり、かつ、光を反射できる反射板であることが好ましい。例えば、アルミニウム、銀、ステンレスなどの金属板、プラチック板やガラス板などの基材の表面に金属を蒸着させた板などである。
また、固定軸124が反射手段160を兼ねることが好ましい。
【0028】
本実施形態における照明部130は、遮光容器110の中に配置されており、透明板状部材128の一方の端面128Aに光を照射する。また、照明部130は、透明板状部材128の一方の端面128Aに光を照射できる位置に配置されている。
【0029】
照明部130は、透明板状部材128との間の距離を調節する機能をもつ位置調節機能を有していることが好ましい。位置調節機能は、例えば、回転軸132である。回転軸132は、自由に回転できる。回転軸132を回転させることにより、照明部130を回転させることができ、その結果、透明板状部材128端部への光の照射角度を調節できる。回転軸132は、回転目盛りを有していることが好ましい。回転目盛りにより光の照射角度を任意の角度に再現性良く設定できる。
【0030】
また、照明部130は、上下に自由に移動できることが好ましい。例えば、回転軸132により照明部130が上下に自由に移動できると、透明板状部材128と、照明部130との間の距離を任意に調節できる。
また、照明部130は、横方向にも自由に移動できることが好ましい。例えば、回転軸132により照明部130が横方向に自由に移動できると、透明板状部材128を斜めに回転させることにより透明板状部材128の一方の端面128Aが横方向にずれても、照射光を透明板状部材128の一方の端面128Aに照射することができる。
つまり、表面汚染分析装置100は、回転軸132により、透明板状部材128の表面に付着した汚染物を分析する際の照射角度および照射距離を任意に設定できる。
【0031】
照明部130の光源134には、ハロゲン、キセノン、水銀、ナトリウムまたは発光ダイオードなどの各種ランプ、He−Neレーザー、Arレーザー、ダイレーザー、発光ダイオードレーザーなどの各種レーザーなど、可視域の光を発光するものを使用できる。これらの中でも、透明板状部材128の一方の端面128Aを照明するには、指向性が優れる発光ダイオード、または光がビーム状に出る各種レーザーを光源134に使用することが好ましい。
【0032】
照明部130の光源134には、とくに、発光ダイオードが好ましい。発光ダイオードは指向性が優れるため、透明板状部材128の端面を効率良く照明できる。また、発光ダイオードの中でも白色発光ダイオードがとくに好ましい。
【0033】
また、本実施形態における表面汚染分析装置100は、図5のように、透明板状部材128の端面に照射する光を集光する集光手段170を有することが好ましい。図5は、本実施形態における照明部130および集光手段170の構成の一例を示す上面図である。
集光手段170は、光源134上に配置され、光源134から照射された光を集光し、透明板状部材128の端面に照射光を効率良く導くことができる。
集光手段170は、例えば、スリット、凸レンズ、ガラスファイバーなどが挙げられる。これらの中でも、照射光の幅を任意に設定可能なスリットがとくに好ましい。
また、本実施形態において、照射光の幅は、透明板状部材128の厚みよりも小さい方が好ましい。こうすることにより、透明板状部材128の一方の端面128Aから透明板状部材128の内部に、照射光をより一層効率良く透過させることができる。
【0034】
また、照明部130は波長切り替え機能を有していることが好ましい。照射光の波長を切り替えることにより、汚染物の種類によって最適な照射光を設定できる。
【0035】
本実施形態における表面分析手段140は、保持部120に保持された透明板状部材128の表面を分析する。表面分析手段140は、固定台145に固定されており、遮光容器110の外に配置されている。
固定台145は、上下および前後いずれにも移動できる。表面分析手段140を固定台145に固定後、固定台145の位置を移動させることによって、表面分析手段140を観察窓155に接続できる。
観察窓155に接続した表面分析手段140は、観察窓155を介して遮光容器110の中に配置された透明板状部材128の表面を分析することができる。
【0036】
表面分析手段140は、画像を撮像できるカメラを用いることが好ましい。表面分析手段140で取り込んだ画像は、CRTや液晶パネルなどのモニターに表示してもよい。
また、表面分析手段140としてカメラを用いる場合、透明板状部材128の少なくとも1箇所にフォーカスマークをつけておくことが好ましい。こうすることにより、透明板状部材128の画像のピントを合わせやすくなる。フォーカスマークは、シールで貼って付けてもよいし、透明板状部材128の一部を有色にして付けてもよい。
【0037】
また、表面分析手段140は、図6に示すように、撮像した画像の処理をおこなう画像処理手段210を含むことが好ましい。図6は、本実施形態に係る表面汚染分析装置200の構成を示す側面断面図である。
画像処理手段210は、例えば、演算処理機能をもつコンピューターである。画像処理手段210は、通信手段220を介して表面分析手段140に接続している。画像処理手段210は、表面分析手段140が撮像した画像を用いて、透明板状部材128の汚染部分の面積や濃淡を数値化する。こうすることにより、透明板状部材128の表面に付着した汚染物の量を定量化することができ、サンプル間でより一層精度良く優劣をつけることができる。
【0038】
<表面汚染の分析方法>
つづいて、表面汚染分析装置100を用いて、透明板状部材128の表面に付着した汚染物を分析する方法について説明する。本実施形態における透明板状部材128の表面に付着した汚染物を分析する方法は、外部からの光が遮断された遮光容器110の中に、表面に汚染物が付着した透明板状部材128を配置し、透明板状部材128の一方の端面に照明部130から光を照射して、透明板状部材128の内部に光を透過させながら、透明板状部材128の表面に付着した汚染物を分析する工程を含んでいる。
【0039】
以下、図1〜図6を参照しながら詳細に説明する。
はじめに、外部からの光が遮断された遮光容器110の中の保持部120に、表面に汚染物が付着した透明板状部材128を取り付ける。このとき、保持部120は、透明板状部材128の一方の端面128Aに照明部130からの光が照射でき、かつ、表面分析手段140により透明板状部材128の表面を分析できるように透明板状部材128を保持する。
また、保持部120は、固定軸124が照明部130からの光を反射でき、かつ、その反射光が透明板状部材128の他方の端面128Bに照射されるように透明板状部材128を保持することが好ましい。
【0040】
保持部120に透明板状部材128を取り付ける方法はとくに限定されない。例えば、透明板状部材128の端を取り付け部126Aに取り付けた後、固定軸124に接続されている取り付け部126Bに取り付ける。このとき、取り付け部126AまたはBの長さを調節してもよい。長さを調節することにより、透明板状部材128を安定的に固定できる。
また、透明板状部材128を保持部120に取り付けた後、回転軸122により、透明板状部材128の表面に付着した汚染物を分析する際の照射角度および照射距離を調節してもよい。
また、回転軸122を設けることによって生じる隙間などから、遮光容器110の中に外部からの光が入り込まないように、生じる隙間に遮光カバーを掛けるのが好ましい。こうすることにより、遮光容器110の中に外部からの光が入り込むのをより一層防ぐことができる。
【0041】
透明板状部材128を遮光容器110の中に配置した後、照明部130から透明板状部材128の一方の端面128Aに光を照射して、透明板状部材128の内部に光を透過させる。このとき、回転軸132により、透明板状部材128の表面に付着した汚染物を分析する際の照射角度および照射距離を調節してもよい。また、汚染物の種類に応じて、照明部130の照射光の波長を切り替え、最適な照射光を設定してもよい。さらに、集光手段170の幅や種類を調節することにより、照射光が透明板状部材128の端面に効率良く導かれるようにしてもよい。
【0042】
次いで、透明板状部材128の内部に光を透過させながら、表面分析手段140により透明板状部材128の表面を分析する。
以下、表面分析手段140により透明板状部材128の表面を分析する方法について説明する。まず、表面分析手段140を固定台145に固定する。つぎに、固定台145および観察窓155の位置をそれぞれ調節し、表面分析手段140を観察窓155に接続させる。
そして、透明板状部材128の内部に光を透過させながら、表面分析手段140により、透明板状部材128の表面を分析する。このとき、透明板状部材128の汚染された部分は乱反射され白っぽく観察される。また、汚染されていない部分は光が透過し、透明のまま観察される。また、表面分析手段140で取り込んだ画像は、CRTや液晶パネルなどのモニターに表示してもよい。モニターを用いることにより、汚染物をより一層明瞭に分析できる。ここで、表面分析手段140で取り込んだ画像は、後の画像処理工程のために、コンピューターに保存することが好ましい。
【0043】
(画像処理工程)
本実施形態における表面汚染の分析方法は、表面分析工程後に、撮像した画像から汚染物の量を定量化する画像処理工程をさらにおこなってもよい。まず、表面分析手段140により撮像した画像を通信手段220を用いて画像処理手段210に送信する。そして、画像処理手段210により、撮像した画像を用いて、透明板状部材128の汚染部の面積や濃淡を数値化する。画像処理工程をさらにおこなうことにより、透明板状部材128の汚染物の量を定量化でき、サンプル間でより一層精度良く優劣をつけることができる。
【0044】
以上のようにして、本実施形態における表面汚染分析装置100を用いて、透明板状部材128の表面に付着した汚染物を分析する。
【0045】
つづいて、本実施形態の効果について説明する。
外部からの光を遮断する遮光容器110の中に透明板状部材128を配置し、その透明板状部材128の一方の端面128Aに光を照射して、透明板状部材128の内部に光を透過させると、透明板状部材128の汚染された部分は乱反射され白っぽく観察される。また、汚染されていない部分は光が透過し、透明のまま観察される。したがって、本実施形態によれば、透明板状部材128の表面に付着した汚染物を精度良く分析することができる。
また、反射手段160をさらに備えると、透明板状部材128を通過した光を再度使用することができ、透明板状部材128の表面に付着した汚染物をより一層精度良く分析できる。
また、画像処理手段210をさらに備えると、透明板状部材128の表面に付着した汚染物の量を定量化できる。したがって、本実施形態によれば、サンプル間でより一層精度良く優劣をつけることができる。
【0046】
以上のように、本実施形態によれば、分析精度に優れ、かつ、簡便な、透明板状部材128の表面汚染分析装置および表面汚染の分析方法が提供できる。
【0047】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。例えば、以下のような構成が挙げられる。
【0048】
本実施形態では、保持部120の下方向にのみ照明部130が配置されている場合を示したが、保持部120の上下両方や上方向にのみ照明部130が配置されている構成を採用することもできる。
【0049】
また、本実施形態では、表面分析手段140が遮光容器110の外に配置されている場合を示したが、表面分析手段140が遮光容器110の中に配置されている構成を採用することもできる。この場合は、取り込んだ画像を外部のCRTや液晶パネルなどのモニターに表示させることが好ましい。
【0050】
また、本実施形態では、表面分析手段140で取り込んだ画像を通信手段220を用いて画像処理手段210に送信する場合を示したが、表面分析手段140で取り込んだ画像を記録媒体に保存し、その記録媒体から画像処理手段210に画像を読み込ませる方法を用いてもよい。
【符号の説明】
【0051】
100 表面汚染分析装置
110 遮光容器
120 保持部
122 回転軸
124 固定軸
126A 取り付け部
126B 取り付け部
128 透明板状部材
128A 端面
128B 端面
130 照明部
132 回転軸
134 光源
140 表面分析手段
145 固定台
150 開閉板
155 観察窓
160 反射手段
170 集光手段
200 表面汚染分析装置
210 画像処理手段
220 通信手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明板状部材の表面に付着した汚染物を分析する装置であって、
外部からの光を遮断する遮光容器と、
前記遮光容器の中に配置され、前記透明板状部材を保持する保持部と、
前記透明板状部材の一方の端面に光を照射して、前記透明板状部材の内部に前記光を透過させる照明部と、
前記透明板状部材の表面に付着した汚染物を分析する表面分析手段と、
を備える、表面汚染分析装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表面汚染分析装置において、
前記透明板状部材を通過した前記光を反射する反射手段をさらに備え、
前記反射手段は、反射した前記光が前記透明板状部材の内部を再び透過するように構成された、表面汚染分析装置。
【請求項3】
請求項2に記載の表面汚染分析装置において、
前記保持部が位置調節機能を有する、表面汚染分析装置。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれか一項に記載の表面汚染分析装置において、
前記照明部が位置調節機能を有する、表面汚染分析装置。
【請求項5】
請求項1乃至4いずれか一項に記載の表面汚染分析装置において、
前記透明板状部材の前記端面に照射する前記光を集光する集光手段をさらに備える、表面汚染分析装置。
【請求項6】
請求項1乃至5いずれか一項に記載の表面汚染分析装置において、
前記透明板状部材の前記端面に照射する前記光が発光ダイオードからの光である、表面汚染分析装置。
【請求項7】
請求項1乃至6いずれか一項に記載の表面汚染分析装置において、
前記照明部が波長切り替え機能を有する、表面汚染分析装置。
【請求項8】
請求項1乃至7いずれか一項に記載の表面汚染分析装置において、
前記表面分析手段が画像処理手段を含む、表面汚染分析装置。
【請求項9】
透明板状部材の表面に付着した汚染物を分析する方法であって、
外部からの光が遮断された遮光容器の中に、前記透明板状部材を配置し、
前記透明板状部材の一方の端面に照明部により光を照射して、前記透明板状部材の内部に前記光を透過させながら、前記透明板状部材の表面に付着した汚染物を分析する工程を含む、表面汚染の分析方法。
【請求項10】
請求項9に記載の表面汚染の分析方法において、
前記汚染物を分析する工程では、
前記透明板状部材を通過した前記光を反射させ、反射した前記光を前記透明板状部材の内部に再び透過させる、表面汚染の分析方法。
【請求項11】
請求項9または10に記載の表面汚染の分析方法において、
前記透明板状部材を配置した後に、前記透明板状部材および前記照明部の少なくとも一方の位置を調節する、表面汚染の分析方法。
【請求項12】
請求項9乃至11いずれか一項に記載の表面汚染の分析方法において、
前記透明板状部材の前記端面に照射する前記光が、発光ダイオードからの光である、表面汚染の分析方法。
【請求項13】
請求項9乃至12いずれか一項に記載の表面汚染の分析方法において、
前記汚染物の量を定量化する画像処理工程をさらに含む、表面汚染の分析方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−36949(P2013−36949A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−175548(P2011−175548)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(000174862)三井・デュポンポリケミカル株式会社 (174)
【Fターム(参考)】