説明

表面活性化接合による金属クラッド帯の製造方法及びその装置

【解決課題】従来よりも効率的な活性化接合方法、装置を提供する。
【解決手段】第1の金属帯及び第2の金属帯を一定の送り速度で移送し、第1の金属帯に対する第1主活性化領域、及び、第2の金属帯に対する第2主活性化領域に、活性化源からの衝突エネルギーを付与して第1の金属帯及び第2の金属帯を表面活性化し、接合領域で接合する金属クラッド帯の製造方法において、第1主活性化領域と接合領域との間の少なくとも一部の領域である第1副活性化領域と、第2主活性化領域と接合領域との間の領域の少なくとも一部の領域である第2副活性化領域の双方に対して、衝突エネルギーを追加的に付与する工程を有し、第1副活性化領域における積算エネルギーと第1主活性化領域における積算エネルギーとの比、及び、第2副活性化領域における積算エネルギーと第2主活性化領域における積算エネルギーとの比をいずれも20〜50%とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面活性化接合の適用による帯状の金属クラッド材の製造方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表面活性化接合(SAB)は、真空中で被接合材料の接合面に原子ビーム、イオンビーム、プラズマ等を照射し、その衝突エネルギーにより表面上の酸化膜、水、汚染物(有機物等)を除去することにより、活性状態の原子を露出させ、その状態で直ちに接合を行う接合法である。この表面活性化接合は、上記のような接合機構に基づき、被接合材料を加圧や加熱することなく接合を可能にするものであり、加工・加熱により組織変化・相変態等が生じ得る金属材料の接合に好適である。また、この接合方法は、同種材料は勿論、異種材料の接合も可能とするものであり、更に、その形態も限定することはない。これらの利点から表面活性化接合は、例えば、配向度が調整された材料のように、熱により特性消失のおそれのある材料の接合に利用されている。
【0003】
そして、表面活性化接合は、面間接合における接合性が良好であることから、帯状、テープ状のクラッド材料の製造に好適である。ここで、表面活性化接合を適用した帯状クラッド材の製造における具体的な工程としては、例えば、特許文献1記載の装置によるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平7−55384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような表面活性化接合装置は、真空槽内に、接合する2種の金属帯を巻き付けた巻き出しリールと金属帯を接合するための圧接ロールを配し、更に、巻き出しリールから圧接ロールまでの間に適宜にロールを設置して金属帯を移送すると共に、金属帯表面を活性化させるための活性化源となる原子ビーム、イオンビーム銃等が設置される。
【0006】
ところで、表面活性化接合においては、接合面の十分な表面活性化が必要であるから、上記のような表面活性化接合装置では、金属帯の移送を一定時間停止して表面活性化を行い、表面活性化が完了した後に接合を行うバッチ方式の接合が最適といえる。ところが、このバッチ方式においては、活性化された領域を隙間なく繋げながら接合する繊細な位置調整が必要であり、また、製造効率に優れるものではないから、長尺のクラッド材を製造するには不向きな方法である。
【0007】
また、上記バッチ方式に対して連続方式、即ち、金属帯の移送を一定速で連続的に行い、表面活性化を行いつつ移送して接合する方法も可能である。しかし、この場合、十分表面活性化を行うために金属帯の移送速度を遅くする必要が生じ、これも製造効率を低下させる。
【0008】
そこで本発明は、活性化接合によりクラッド材を製造する方法において、製造効率に優れ、長尺のクラッド材を製造することができる方法、及び、そのための装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
従来の活性化接合の工程において、金属帯の移送を連続的且つ高速なものとして活性化することは、活性化源の改良や活性化条件の最適化といった試行により対応可能といえる。本発明者等も、活性化源として高速原子衝撃ビーム(FAB)を適用した予備的試験を行っており、移送速度を高速としても十分な表面活性化ができることを確認している。
しかしながら、本願発明者等によると、この予備的試験において、十分な表面活性化はできても接合が不十分な場合があり、接合強度が不足することが確認されている。
【0010】
本発明者等は、上記のような表面活性化が十分になされているにもかかわらず、接合が困難となる現象の要因について検討した。その結果、表面活性化により除去された酸化膜等の不純物が活性表面近傍に残り、これが早い移送速度によりそのまま接合領域まで同伴しつつ活性表面に再吸着するとの見解に達した。そして、本発明者等は、かかる不純物の再吸着の影響を考慮しつつ、接合時の金属帯の表面活性を回復させることが必要であるとして、本願発明に想到した。
【0011】
即ち、本発明は、真空槽内で、第1の金属帯及び第2の金属帯を一定の送り速度で移送し、前記第1の金属帯に対する第1主活性化領域、及び、前記第2の金属帯に対する第2主活性化領域に、活性化源からの衝突エネルギーを付与して前記第1の金属帯及び前記第2の金属帯を表面活性化し、その後、接合領域にて前記第1の金属帯と前記第2の金属帯とを重ね合わせて接合する表面活性化接合による金属クラッド帯の製造方法において、前記第1主活性化領域と前記接合領域との間の少なくとも一部の領域である第1副活性化領域と、前記第2主活性化領域と前記接合領域との間の領域の少なくとも一部の領域である第2副活性化領域の双方に対して、衝突エネルギーを追加的に付与する工程を有し、第1副活性化領域における積算エネルギーと第1主活性化領域における積算エネルギーとの比、及び、第2副活性化領域における積算エネルギーと第2主活性化領域における積算エネルギーとの比をいずれも20〜50%とすることを特徴とする金属クラッド帯の製造方法である。
【0012】
本発明は、被接合材である各金属帯の双方について、表面活性化を行う活性化領域と接合領域との間の領域についても表面活性化処理を行うものである。このような副活性化領域に追加的な表面活性化処理を行うことにより、主活性化領域で一旦分離した不純物が金属帯に同伴し再び吸着するような場合でも、活性状態を維持することができ、その後の接合も良好なものとなる。
【0013】
ここで、追加的な表面活性化処理は、各金属帯の第1及び第2の主活性化領域における表面活性化よりも軽度の条件のものである。これまで説明した再吸着し得る不純物は、量的にはさほどのものではないことから、比較的軽度の表面活性化で表面活性の回復が可能だからである。また、この追加的表面活性化処理は、主活性化領域における表面活性化と同じく、材料表面に衝突エネルギーを付与するものであり、必要以上の表面活性化は材料表面を損傷するおそれがある。そこで、本発明では追加的表面活性化の程度として、第1副活性化領域における積算エネルギーと第1主活性化領域における積算エネルギーとの比、及び、第2副活性化領域における積算エネルギーと第2主活性化領域における積算エネルギーとの比が、いずれも20〜50%となるようにする。本発明において、各活性化領域における積算エネルギーとは、活性化される面が受ける衝突エネルギーと照射時間との積で定義されるものであるが、以下に説明する具体的な態様により調整することができる。
【0014】
本発明の追加的表面活性化処理を有する表面活性化接合方法の具体的なものとしては、まず、従来と同様に、第1主活性化領域への衝突エネルギー付与のための第1の活性化源と、第2主活性化領域への衝突エネルギー付与のための第2の活性化源を配し、更に、追加の(第3の)活性化源を配するものである。この追加される活性化源は、第1副活性化領域と第2副活性化領域の双方に衝突エネルギーを付与するものである。そして、それぞれの活性化源により、各活性化領域を表面活性化するものである。
【0015】
この場合における主活性化領域、副活性化領域における積算エネルギーの調整は、各領域に対する活性化源の出力及び照射時間を変化させることで対応可能である。即ち、各活性化源について、その出力・照射時間の一方又は双方を調整して、両者の積が所定の範囲内になるようにすることで、積算エネルギーを調整する。
【0016】
また、上記のような追加の活性化源は必ずしも必須ではない。高速原子衝撃ビームによる表面活性化は、直進性のビームを広範囲に照射することができ、活性化源及び被活性化材の配置や照射角度の調整により複数の領域を照射することができる。そこで、第1主活性化領域への衝突エネルギー付与ための第1の活性化源と、第2主活性化領域への衝突エネルギー付与ための第2の活性化源の2つの活性化源のみを配しても本発明に係る接合方法を実施できる。このとき、第1の活性化源により、第1の主活性化領域に位置する第1の金属帯を表面活性化させると共に第2副活性化領域に位置する第2の金属帯を表面活性化させ、同時に、記第2の活性化源により、第2の主活性化領域に位置する第2の金属帯を表面活性化させると共に第1副活性化領域に位置する第1の金属帯を表面活性化する。
【0017】
活性領域における表面活性化及び追加的表面活性化を行った後の金属帯の接合は、加圧しても良いが実質的に無加圧でも可能である。接合に要する加圧力の低さは表面活性化接合における利点である。本発明においては、追加的表面活性化により十分に表面活性された状態での接合が可能であり、0.25MPa以下の極低加重での接合が可能である。
【0018】
尚、本発明を適用する金属帯の構成材料については特に限定されるものではない。第1及び第2の金属帯について、異種材料を適用しても良いし、同種材料を適用しても良い。尚、異種材料を接合する場合、各金属帯に対する活性化条件が相違することもあるが、その場合の主活性化領域と副活性化領域における積算エネルギーの比は、双方が上記の範囲内にあれば良い。
【0019】
また、上記のように本願発明は、金属帯を連続的且つ高速で移送する際の接合性を改良するものである。この金属帯の移送速度の下限は、5m/hとするのが好ましい。これ未満では本願発明が目指す効率的製造に値しないからである。また、移送速度の上限は特に限定されるものではなく、装置の規模や活性化源の出力により調整が可能であり、それらにより500m/hまでの高速化が可能である。
【0020】
そして、本発明に係る表面活性化接合装置は、上記の追加的表面活性化処理のための活性化源の配置により以下の2種のものである。第1の表面活性化接合装置は、第1の金属帯及び第2の金属帯がそれぞれ巻回された、第1の巻き出しリール及び第2の巻き出しリールと、前記第1、第2の巻き出しリールから巻き出された第1、第2の金属帯をそれぞれ支持しつつ移送する1以上の第1、第2のガイドロールと、第1、第2のガイドロールにより移送される第1、第2の金属帯を両者が重ね合わされた状態で圧下する圧接ロールと、を備え、前記第1、第2のガイドロールは、第1、第2の金属板が略平坦な主活性化領域を形成するように配置されており、更に、前記主活性化領域にある第1、第2の金属帯に衝突エネルギーを付与する第1及び第2の活性化源と、前記主活性化領域と圧接ロールとの間の第1、第2の金属帯に衝突エネルギーを付与する第3の活性化源と、を備える表面活性化接合装置である。
【0021】
この装置は、第1、第2の活性化領域を表面活性化するための活性化源に加え、追加的表面活性化処理を行うための第3の活性化源を備えるものである。
【0022】
また、上記のように、追加的表面活性化のための活性化源は必須のものではない。即ち、第2の表面活性化接合装置は、第1の金属帯及び第2の金属帯がそれぞれ巻回された、第1の巻き出しリール及び第2の巻き出しリールと、前記第1、第2の巻き出しリールから巻き出された第1、第2の金属帯をそれぞれ支持しつつ移送する1以上の第1、第2のガイドロールと、第1、第2のガイドロールにより移送される第1、第2の金属帯を両者が重ね合わされた状態で圧下する圧接ロールと、を備え、前記第1、第2のガイドロールは、第1、第2の金属板が略平坦な主活性化領域を形成するように配置されており、前記主活性化領域にある第1、第2の金属帯、主活性領域と圧接ロールとの間の第1、第2の金属帯、そのいずれにも対し衝突エネルギーを付与できるように、その位置又は照射角度の少なくともいずれかが調節可能に設置された第1及び第2の活性化源を備える表面活性化接合装置である。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、本発明によれば、表面活性化接合によるクラッド材の製造方法において、製造効率に優れ、長尺のクラッド材を製造することができる。尚、本発明における活性化源としては、原子ビーム(高速原子衝撃ビーム)、イオンビーム等が適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1実施形態に係る表面活性化接合装置の構成。
【図2】第2実施形態における活性化源(原子銃)の位置調整によるビーム分割を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
第1実施形態:図1は、本実施形態に係る表面活性化接合装置の構成を示すものである。この表面活性化接合装置では、第1、第2の金属帯M1、M2が巻回された巻き出しリール10、20を備える。巻き出しリール10、20から巻き出された金属帯M1、M2は、それぞれのガイドロール11、12及び21、22により一定速度で移送され、圧接ロール30、30’により両者を重ね合わせて接合する。接合されたクラッド材は、巻き取りリール40により回収される。これら巻き出し・巻き取りリール、ガイドロール、圧接ロールは個々に駆動モータ(図示せず)により回転数を制御することができる。
【0026】
そして、金属帯M1、M2を表面活性化するための第1、第2の活性化源である原子銃50,60が設置されている。このとき、ガイドロール11、12及び21、22によって支持される金属帯M1、M2は、各ガイドロール間でその表面が第1、第2の原子銃50,60に対向するようになっており、第1、第2主活性化領域を形成する。また、本実施形態に係る表面活性化接合装置には、第1、第2主活性化領域を経て接合ロールに到達するまでの金属帯M1、M2の双方の表面について追加的表面活性化処理するための第3の活性化源である原子銃70が設置される。原子銃50,60,70は、その位置及び角度が調整できるようになっており、金属帯M1、M2に対する照射距離及び照射角度を変化させることができる。
【0027】
以上の各構成部材は、真空ポンプに接続された真空槽100の内部に設置される。そして、巻き出しリール10、20、ガイドロール11、12、21、22、圧接ロール30、30’、及び巻き取りリール40の回転速度(移送速度)や、原子銃50、60、70の出力等の接合条件は、真空槽外部の制御板(図示せず)により任意に調節可能となっている。本実施形態に係る表面活性化接合装置における各種条件の設定可能範囲は以下の通りである(括弧内は好ましい範囲)。
【0028】
移送速度(S):8〜80m/h(8〜40m/h)
照射距離(L):80〜240mm(80〜160mm)
照射角度(θ):−8〜+30°(+12〜+30°)
圧接力(P) :2000〜10000N(6000〜10000N)
原子銃出力(電流値(A)):100〜600mA(500〜600mA)
真空度:5×10−5Pa以下
*照射角度は、水平方向を0°とし、金属帯の移送方向へ傾斜したときを+とする
【0029】
この表面活性化接合装置を用いて、各種金属帯の接合を行いクラッド材を製造した。そして、製造したクラッド材について、接合強度(剥離強度)を評価した。接合強度の評価は、引張り試験機を用いた剥離試験にて行った。各実施例における条件及び評価結果を表1に示す。
【0030】
【表1】

【0031】
本実施形態では、移送速度が一定であり、また、各原子銃は連続的にビームを放射するものであり、主活性化領域と副活性化領域との積算エネルギー比が各原子銃の出力比に対応している。表1から、各実施例のように第3の原子銃による表面活性化を行って接合を行うことで接合強度の高いクラッド材を製造することができる。この効果は、同種・異種材料のいずれの接合においても同様である。
【0032】
第2実施形態:ここでは、第1実施形態の表面活性化接合装置において、副活性化領域の活性化処理を行うにあたり、第3の原子銃70は使用せずに(取外して)、第1、第2の原子銃50、60のみで表面活性化を行った。従って、ここでの表面活性化接合装置の構成は、第1実施形態の装置に対して、第3の原子銃70がない点のみが相違し、その他は第1実施形態と同様である。また、その各種条件の設定可能範囲も同様である。
【0033】
この実施形態は、第1、第2の原子銃の間隔を変更し、これらからの高速原子衝撃ビームが、第1、第2主活性領域の金属帯を表面活性化すると同時に、各活性領域と圧接ロールとの間の金属帯も表面活性化できるようになっている。図2は、第2実施形態における活性化源の位置調整と表面活性化について説明する図である。図2からわかるように、本実施形態に係る表面活性化接合装置では、第1金属帯、第2金属帯をそれぞれ2つのガイドロール(11、12、21、22)にて支持し、これらのガイドロールで支持された金属帯が活性化源に対向するようにし、主活性化領域を形成する。そして、主活性化領域を経過した金属帯は、後段のガイドロール(12、22)で屈曲し、両者の間にある圧接ロール30、30’へ移送される。本実施形態では、第1、第2活性化源50、60の間隔を第1実施形態よりも小さくし(照射角度はそのまま)、原子ビーム光束(図2の点線)の中心線が、後段のガイドロール(12、22)の金属帯が屈曲する部分における接線と重なるようにしている。
【0034】
このようにすることで、各原子銃からの原子ビームの50%が主活性領域を照射し、50%が副活性化領域を照射する。このとき、副活性化領域に向かう原子ビームは交差しており、この領域においては原子ビームの散乱が一部で生じるため金属帯表面上の積算エネルギーは主活性化領域よりも低くなる。尚、上記のような原子ビーム光束の中心線の調整による原子ビームの分割は、本実施形態のように、50%:50%とするのが最も好ましいが、主活性領域:副活性化領域で50%:50%〜70%:30%と主活性領域側への照射量を多少増加させても良い。
【0035】
本実施形態に係る表面活性化接合装置を用いて、各種金属帯の接合を行いクラッド材を製造した。そして、製造したクラッド材について、接合強度(剥離強度)を評価した。接合強度の評価は、第1実施形態と同様である。各実施例における条件及び評価結果を表2に示す。
【0036】
【表2】

【0037】
表2から、追加的な原子銃を用いない場合であっても副活性領域を活性化することで接合強度の改善が見られることがわかる。また、異種材料(Cu/SUS)においては、接合強度がやや劣るが、同種材料(Cu/Cu)においては、第1実施形態と同様の接合強度を有する。本実施形態は、同種材料の接合に際し、高価な原子銃を追加することなく良好な接合状態を得る上で有効なものである。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明に係る表面活性化接合方法及びその装置は、製造効率に優れ、長尺のクラッド材であっても接合強度に優れたものを製造することができる。本発明は、例えば、超電導材料を複合化したクラッド材料等に適用が期待できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空槽内で、第1の金属帯及び第2の金属帯を一定の送り速度で移送し、
前記第1の金属帯に対する第1主活性化領域、及び、前記第2の金属帯に対する第2主活性化領域に、活性化源からの衝突エネルギーを付与して前記第1の金属帯及び前記第2の金属帯を表面活性化し、
その後、接合領域にて前記第1の金属帯と前記第2の金属帯とを重ね合わせて接合する表面活性化接合による金属クラッド帯の製造方法において、
前記第1主活性化領域と前記接合領域との間の少なくとも一部の領域である第1副活性化領域と、前記第2主活性化領域と前記接合領域との間の領域の少なくとも一部の領域である第2副活性化領域の双方に対して、衝突エネルギーを追加的に付与する工程を有し、
第1副活性化領域における積算エネルギーと第1主活性化領域における積算エネルギーとの比、及び、第2副活性化領域における積算エネルギーと第2主活性化領域における積算エネルギーとの比をいずれも20〜50%とすることを特徴とする金属クラッド帯の製造方法。
【請求項2】
第1主活性化領域への衝突エネルギー付与ための第1の活性化源と、第2主活性化領域への衝突エネルギー付与ための第2の活性化源を配し、
更に、第1副活性化領域、及び、第2副活性化領域の双方に衝突エネルギーを付与するための第3の活性化源を配し、各活性化領域を表面活性化する請求項1記載の金属クラッド帯の製造方法。
【請求項3】
第1主活性化領域への衝突エネルギー付与ための第1の活性化源と、第2主活性化領域への衝突エネルギー付与のための第2の活性化源を配し、
前記第1の活性化源により、第1主活性化領域に位置する第1の金属帯を表面活性化させると共に第2副活性化領域に位置する第2の金属帯を表面活性化させ、
前記第2の活性化源により、第2主活性化領域に位置する第2の金属帯を表面活性化させると共に第1副活性化領域に位置する第1の金属帯を表面活性化する請求項1記載の金属クラッド帯の製造方法。
【請求項4】
請求項1又は請求項2記載の表面活性化接合方法に適用される装置であって、
第1の金属帯及び第2の金属帯がそれぞれ巻回された、第1の巻き出しリール及び第2の巻き出しリールと、
前記第1、第2の巻き出しリールから巻き出された第1、第2の金属帯をそれぞれ支持しつつ移送する1以上の第1、第2のガイドロールと、
第1、第2のガイドロールにより移送される第1、第2の金属帯を両者が重ね合わされた状態で圧下する圧接ロールと、を備え、
前記第1、第2のガイドロールは、第1、第2の金属板が略平坦な主活性化領域を形成するように配置されており、
更に、前記主活性化領域にある第1、第2の金属帯に衝突エネルギーを付与する第1及び第2の活性化源と、
前記主活性化領域と圧接ロールとの間の第1、第2の金属帯に衝突エネルギーを付与する第3の活性化源と、
を備える表面活性化接合装置。
【請求項5】
請求項1又は請求項3記載の表面活性化接合方法に適用される装置であって、
第1の金属帯及び第2の金属帯がそれぞれ巻回された、第1の巻き出しリール及び第2の巻き出しリールと、
前記第1、第2の巻き出しリールから巻き出された第1、第2の金属帯をそれぞれ支持しつつ移送する1以上の第1、第2のガイドロールと、
第1、第2のガイドロールにより移送される第1、第2の金属帯を両者が重ね合わされた状態で圧下する圧接ロールと、を備え、
前記第1、第2のガイドロールは、第1、第2の金属板が略平坦な主活性化領域を形成するように配置されており、
前記主活性化領域にある第1、第2の金属帯、主活性領域と圧接ロールとの間の第1、第2の金属帯、そのいずれにも対し衝突エネルギーを付与できるように、その位置又は照射角度の少なくともいずれかが調節可能に設置された第1及び第2の活性化源を備える表面活性化接合装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−269323(P2010−269323A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−121525(P2009−121525)
【出願日】平成21年5月20日(2009.5.20)
【出願人】(000213297)中部電力株式会社 (811)
【出願人】(509352945)田中貴金属工業株式会社 (99)
【Fターム(参考)】