説明

表面積を完全に利用する光起電モジュール

光起電モジュールは、(i)互いに対して接近して間隔を置いて平行に配置された3つ以上の基板(1、2、3)を備え、該基板は、第1の面及び第2の面を有する中央基板(2)と、内面及び外面を有する第1の外側基板(1)であって、前記内面及び前記中央基板の第1の面が近接するように配置された第1の外側基板と、内面及び外面を有する第2の外側基板(3)であって、前記内面及び前記中央基板の第2の面が近接するように配置された第2の外側基板とを備え、(ii)前方光起電デバイス(A、B、C)が、前記第1の外側基板(1)と前記中央基板(2)の第1の面との間に形成され、(iii)接続手段及び/又は分割手段(11)が少なくとも一対の前方光起電デバイス間に配置され、(iv)後方光起電デバイス(D、E)が、前記第2の外側基板(3)と前記中央基板(2)の第2の面との間に形成され、(v)前方光起電デバイス及び後方光起電デバイスは、前方デバイス(A、B、C)の接続手段及び分割手段(11)が後方デバイス(D、E)の能動光起電領域に対向するようにオフセットされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多重セル光起電デバイス(光起電モジュール)、及び一体型エネルギー生成/蓄積(CEGS)デバイスに関する。より詳細には、本発明は、ナノ色素ソーラーセル(NDSC)、及びNDSC技術に基づく光起電モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
電磁放射のエネルギーを電気エネルギーに変換するために、種々の光起電デバイスを利用することができる。これらには、従来の固体状態(solid-state)デバイス(M.グリーン著、「第三世代光起電:低コスト高効率のコンセプト」、電気化学協会会報、Vol.2001−10、3〜18頁を参照)と、最近になって開発されたNDSCデバイスとが含まれる。
【0003】
関連するタイプのNDSCデバイスの例が、以下の米国特許に開示されている。
米国特許第4927721号明細書、「光電気化学セル」、マイケル−グラッツェル及びポール−リスカ、1990年、
米国特許第5525440号明細書、「光−電気化学セルの製造方法及びこの方法で製造されたセル」、アンドレアス−ケイ、マイケル−グラッツェル及びブライアン−オーレーガン、1996年、
米国特許第6,297,900号明細書、「エレクトロフォトクロミックスマートウィンドウ及び方法」、G.E.タロック及びI.L.スクリャビン、1997年、
米国特許第6,555,741号明細書、「多重セル再生型光起電光電気化学デバイスにおける導通路を設ける方法」、J.A.ホプキンス、G.ファーニ、I.L.スクリャビン、1999年、
米国特許第6,652,904号明細書、「単一セル及び多重セル再生型光電気化学装置の製造方法」、J.A.ホプキンス、D.ヴィットリオ、G.ファーニ、1999年。
【0004】
CEGSデバイスの例が、2004年5月21日に、I.L.スクリャビン及びS.M.タロックによって出願された、国際特許出願PCT/AU2004/000689号「ナノフォトキャパシター」に開示されている。
【0005】
[発明の背景]
上記の特許に開示されるタイプから成るような、数多くの薄膜光起電デバイス、特にNDSCデバイスは、必要以上のコストをかけることなく、面積の大きい2つの基板の間に層状に配置されて製造することができる。1つの典型的な配置は、2つのガラス基板を含み、それぞれがガラス基板の内側表面上で導電性コーティングを利用する。別の典型的な配置は、ガラス又はポリマーである第1の基板と第2の基板とを含み、第1の基板が該第1の基板の内側表面上で導電性コーティングを利用する。いくつかの配置では、ポリマーである上記第2の基板の内側表面は、導電性コーティングでコーティングされるのに対し、他の配置では、ポリマーである上記第2の基板は、ポリマーフォイルラミネートを含み、炭素のような隣接する導電性材料を利用する。また、いくつかの配置では、外側表面は、層状の金属薄膜であってもよく、他の配置では、外側表面は、金属によってコーティングされていてもよい。他の配置では、基板は、金属又は金属メッシュで製造されるか、又は基板の内側表面は、金属によってコーティングされる。第1の基板及び第2の基板のうちの少なくとも一方は、取り付けられた透明な導電性(TEC)コーティングのように、可視光に対して概ね透過性である。
【0006】
一般的に、光起電デバイスは、能動光起電領域と、これらの能動光起電領域を電気的に接続するための接続手段と、これらの能動光起電領域を分離するための分割手段とを備える。
【0007】
特に、NDSCデバイスの能動光起電領域は、一方の導電性コーティングに取り付けられたナノ微粒子色素増感ワイドバンドギャップ半導体(例えば、チタニアとして知られている二酸化チタン)から成る作用電極と、典型的には、他方の導電性コーティング又は導電性材料に取り付けられた触媒層から成る対向電極と、作用電極と対向電極との間に配置されたレドックス媒体物を含む電解質とを備える。
【0008】
多くのNDSCモジュール設計は、個々のNDSCデバイスのサイズを大きくすることによって利益がもたらされるであろう。しかしながら、そのような透明な導体(TEC)は、通常は金属酸化物又は金属メッシュを含み、通常の金属導体と比べると相対的に高い抵抗率を有し、結果として、面積の大きなNDSCデバイスの場合に求められる抵抗損よりも高くなり、それが特に高照度条件下でのNDSCデバイスの効率に影響を及ぼす。
【0009】
従来技術において記載される1つの配置では、これらの抵抗損は、TECコーティング上の母線、パッド、格子線又は任意の他のパターンの形をとる導電性材料(ECM)のパターン、あるいは、嵌め込まれる(inlaid)か又は表面に配置された導電性メッシュ又はワイヤのパターンのような接続手段を用いることによって低減される。上記導電手段は、光起電モジュールの表面のある特定の部分を占有し、それゆえ、NDSCの能動光起電領域のために利用可能な面積を少なくする。この結果、NDSCデバイスに入射する太陽放射の一部しか能動光起電領域に達しないので、NDSCデバイスの全効率が低下する。
【0010】
従来技術において記載される別の配置では、これらの抵抗損は、2つ以上の相対的に小さな個別のNDSCデバイスを形成し、かつ、単一のNDSCモジュールの中でそれらを分離すると共に接続することによって低減される。再び、個別のNDSCデバイス間の内部コネクタ及び/又はセパレータが、光起電モジュールの表面のある特定の部分を占有し、それゆえ、NDSCデバイスの全効率が低下する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
[発明の目的]
本発明の目的は、従来技術における上記短所を克服することになる光起電モジュールを提供することである。本発明のさらなる目的は、表面積を実効的に100%利用するNDSCモジュールを提供することである。本発明の別の目的は、全光変換効率を改善したNDSCモジュールを提供することである。本発明のさらなる目的は、エネルギーの蓄積特性とエネルギーの生成特性とを組み合わせた光起電モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
[発明の概要]
本発明は、接続手段及び分離手段が光起電モジュールのある特定の部分を占有するものの、これらの手段(及び、半導体電極のNDSCのデザインにおいては、電極そのもの)によって占有される部分は、部分的に光透過性であり、それゆえ、この部分を直接に、又は屈折若しくは反射によって透過する太陽放射を、当該接続手段及び分離手段の後ろに配置された別の光起電デバイスによって良好に電気に変換できることを実現することに基づく。
【0013】
概括的には、本発明は、前方光起電デバイスの相互接続手段又は分割手段が後方光起電デバイスの能動光起電領域に対向するように前後に配置された少なくとも2つの個別の又は内部接続された光起電デバイスを備えるタンデム型光起電モジュールを提供する。
【0014】
本発明は、互いに対して接近して間隔を置いて平行に配置された3つ以上の基板を備える光起電モジュールであって、
該基板は、
第1の面及び第2の面を有する中央基板、又は第1の面及び第2の面が見えるように背合わせにされる2つの基板と、
内面及び外面を有する第1の外側基板であって、前記内面及び前記第1の面が並置されるように配置された第1の外側基板と、
内面及び外面を有する第2の外側基板であって、該第2の外側基板の前記内面及び前記第2の面が並置されるように配置された第2の外側基板と
を備え、
前方光起電デバイスが、前記第1の外側基板と前記中央基板の前記第1の面との間に形成され、
接続手段及び/又は分割手段が、少なくとも一対の前記前方光起電デバイス間に配置され、
後方光起電デバイスが、前記第2の外側基板と前記中央基板の前記第2の面との間に形成され、
前記前方光起電デバイス及び前記後方光起電デバイスは、前記前方光起電デバイスの前記接続手段及び前記分割手段が前記後方光起電デバイスの能動光起電領域に対向するようにオフセットされる、光起電モジュールを提供する。
【0015】
一つの態様では、本発明は、
前記前方光起電デバイスは、内部で接続されて前方2端子電源を形成し、
前記後方光起電デバイスは、内部で接続されて後方2端子電源を形成する、光起電モジュールを提供する。
【0016】
本発明のこの態様による光起電モジュールは、4つの電気的端子を有する(4端子モジュール)。
【0017】
我々は、前方光起電デバイスと後方光起電デバイスとの間の内部接続を実施して、接続2端子電源を形成することが有用であることを発見した。本発明は、接続2端子電源内の前方光起電デバイスと後方光起電デバイスとの間の並列接続、直列接続及び並列−直列混在接続を提供する。
【0018】
一つの実施形態では、内側基板の中に穴が形成されて、前方NDSCデバイスと後方NDSCデバイスとを上記のように電気的に接続できるようにする。1つ又は複数の導体(たとえば、ピン、ワイヤ、はんだ、導電性ペースト)が上記穴のそれぞれの中に挿入され、及び/又は、上記穴が導電性材料又は非導電性材料(たとえば、セラミック被膜)で満たされ、それにより、上記導体と上記導電性材料との間に電気的接続が形成され、上記導体と上記基板との間に接着が形成され、上記穴が封止される。
【0019】
さらに別の態様では、本発明は、前方光起電デバイスと後方光起電デバイスとの間の電気経路内にダイオード素子を組み込むことを提供する。そのダイオード素子は、前方光起電デバイス及び後方光起電デバイスの両方に電気的に接続され、前方光起電デバイスによって生成された電気エネルギーが後方光起電デバイスにおいて浪費されないように形成され、それゆえ、後方光起電デバイスが不十分な電圧を生成するときの電力損失を防止する。ダイオード素子は、少なくとも2つの層を含み、その電気的特性を調整して、これらの2つの層間の界面に整流用のp−n接合が形成される。
【0020】
一つの実施形態では、ダイオード層の2つの層は、半導体酸化物に基づく。これらの2つの層のうちの1つは、ドナーでドープされ、別の層は、アクセプタドーパントでドープされる。
【0021】
さらなる実施形態では、上記半導体酸化物は、色素増感ナノ微粒子半導体層(dye sensitised nanoparticulate semiconducting layer)を形成するためにNDSCデバイスにおいて用いられるのと同じ材料である。
【0022】
本発明は、特に、NDSCデバイスを活用することを提供する。本発明の一つの態様によれば、光起電モジュールは、他の光起電デバイス(たとえば、薄膜Siに基づくデバイス)と組み合わせたNDSCデバイスを含む。別の態様によれば、後方光起電デバイス及び前方光起電デバイスはいずれもNDSCデバイスである。
【0023】
前方光起電デバイス(又は後方光起電デバイス)だけがNDSCデバイスである場合には、これらのNDSCデバイス内の色素が、他方の光起電デバイスの吸収特性(例えば、Si製p−n接合の吸収特性)に対して光学的に相補的になるように選択される。
【0024】
本発明は、後方光起電デバイス及び前方光起電デバイスがいずれもNDSCであるときに、NDSCモジュールを提供する。本発明のこの態様による一つの実施形態では、上記後方光起電デバイスにおいて用いられる光増感剤(色素)が、前方光起電デバイスにおいて用いられる光増感剤に対して光学的に相補的である。これは、前方色素及び後方色素の吸光機能が重なり合うときに太陽スペクトルのさらに多くの部分を包含するように、それらの色素が選択されることを意味する。一例では、前方色素は、スペクトルの青色部分において優先的に吸収する一方、スペクトルの赤色部分に対して概ね透過性である。この赤色部分は、後方色素によって良好に吸収される。
【0025】
1つのタイプの電気的接続では、前方NDSCデバイスは、後方NDSCデバイスと並列に接続される。この場合、前方光起電デバイス及び後方光起電デバイスは、同じ電圧下で動作するであろう。後方光起電デバイスの電圧が前方光起電デバイスの電圧と同じであることを確実にするために、前方光起電デバイスが、より大きな割合の太陽放射を受光し、それゆえ、より高い電流を生成するときに、本発明は、後方光起電デバイスの電解質組成を調整することを提供する。この調整は、レドックスカップル成分の相対的な濃度を変更することによって、又は溶媒の化学組成を変更することによって、又は電解質に対する添加剤の濃度若しくは組成を変更することによって実行してもよい。この実施形態では、本発明は、2つの異なる電解質を提供する。一方は前方光起電デバイス用であり、他方は後方光起電デバイス用であるが、同じ電解質を用いること、並びに半導体のセル厚及び/又は特性のような他の特性を変更することを除外しない。これらの電解質は、第1の外側基板の外面に、又は続く第1の外側基板の保護表面に入射する太陽放射下の前方NDSCデバイスの電圧が、前方光起電デバイス並びにその相互接続手段及び分離手段によって減衰される太陽放射を受光する後方光起電デバイスの電圧に等しく(あるいは近く)なるように選択される。
【0026】
さらなる実施形態では、後方光起電デバイスの能動光起電領域の幅を調整して、後方光起電デバイスの領域全体が太陽放射によって概ね均一に照明されることを確実にする。これは、後方光起電デバイス及び前方光起電デバイスが直列に接続されるときに、従って、前方光起電デバイス内の電流が後方光起電デバイス内の電流に等しいときに、特に重要である。
【0027】
第1の外側基板及び内側基板は概ね透明であることが不可欠である。本発明は、光起電モジュールのための基板として用いることができる広範な材料を提供する。一つの実施形態では、基板のうちの少なくとも1つが可撓性材料から形成される。典型的には、第1の外側基板及び中央基板はプラスチック材料から形成されるのに対して、第3の基板は金属又は金属/ポリマー積層体である。いくつかの実施態様では、本発明は、3つの基板のうちのいずれかにおいて金属メッシュを用いることを提供するが、好ましい実施形態では、金属メッシュは、第1の外側基板及び中央基板においてのみ用いられる。
【0028】
本発明のこの態様によるさらなる実施形態では、基板のうちの少なくとも1つはガラスから形成される。
【0029】
さらなる態様では、本発明は、NDSCデバイス内のエネルギー蓄積を提供する。NDSCデバイスは、エネルギーを蓄積することができる。エネルギー蓄積特性は、チタニア層及び/又は電解質を変更することによって、及び炭素粒子を添加することによって高めることができる。通常、この変更は、エネルギー蓄積の改善をもたらす。
【0030】
一つの実施形態では、前方デバイスは主に光起電デバイスであるのに対して、後方デバイスは主にエネルギー蓄積デバイスである。
【0031】
別の実施形態では、前方デバイスは光起電デバイスであるのに対して、後方デバイスはエネルギー蓄積デバイス(たとえば、コンデンサ、バッテリ等)である。
【0032】
本発明のさらに別の態様では、前方NDSCデバイス及び後方NDSCデバイスは、デバイス層及び導体(例えば、TEC層、接続手段)から成る1組の一連の堆積物の中の1つの基板上に形成され、それゆえ、モノリシックの一体化配置(monolithic integrated arrangement)を提供する。
【0033】
[実施例の説明]
本発明の特徴を説明してきたが、ここで、例示にすぎないが、多数の特定の例が説明される。以下の説明では、添付の図面が参照される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
図1を参照すると、デバイスは、第1の外側基板1と、中央基板2と、第2の外側基板3との間に形成されている。第1の外側基板及び第2の外側基板の表面及び中央基板の両面が、透明な導体(TEC)4の層によってコーティングされている。TEC層は、フッ素ドープされた酸化スズを含んでいる。各TECコーティングは、レーザグルービングによって形成された、分離線5によって個別の電気的に分離された領域に分割されている。分離されたNDSCデバイスは、向かい合った一対のこれらの領域間、すなわち、第1の外側基板の内面と中央基板の第1の面との間に(前方光起電デバイス)、且つ第2の外側表面の内面と中央基板の第2の面との間に(後方光起電デバイス)形成されている。これらのデバイスはそれぞれ、チタニアのナノ微粒子色素増感層(作用電極)6と、Ptに基づく触媒層(対向電極)7と、電解質8とを含んでいる。前方光起電デバイスは、接続手段11(ポリマーマトリックス内に埋め込まれたタングステン導体粒子)によって直列に接続されて、一対の前方電気端子が形成され、正の前方端子が中央基板の第1の面上に形成され、負の前方端子が第1の外側基板の内面上に形成されている。これらのデバイスは、分離(分割)手段12によって環境からシールされている。
【0035】
同様に、後方光起電デバイスが直列に接続されて、第2の一対の後方電気端子を形成し、正の後方端子が第2の外側基板の内面上に配置され、負の後方端子が中央基板の第2の面上に配置されている。
【0036】
後方光起電デバイスの作用電極(能動光起電領域)は、前方光起電デバイスの接続手段の後ろに配置されている。
【0037】
第1の外側基板の外面に入射する太陽放射の一部は、前方光起電デバイスの作用電極によって吸収され、一対の前方端子において利用可能な電気に変換される。太陽放射の残りの部分は、中央基板を通過し、わずかに失われた後に、後方光起電デバイスの作用電極によって吸収され、一対の後方電極において利用可能な電気を生成する。
【0038】
図2aを参照すると、第2の例のデバイスは、第1の例のデバイスと同じように形成されている。外部端子の数を減らすために、内部の電気的接続9が中央基板を貫通して形成されている。さらに、後方光起電デバイスの電圧が前方光起電デバイスの電圧に等しいか、または同程度であることを確実にするために、後方光起電デバイスにおいて電解質10が用いられている。後方電解質である電解質10は、その化学組成の結果として、同じ照射において前方電解質である電解質8によって生成される電圧よりも高くなるという点で、前方光起電デバイスにおいて実装される電解質8とは異なる。典型的には、後方光起電デバイスは、前方光起電デバイスよりも少ない照射を受光するので、電解質の化学組成の差によって、後方光起電デバイス及び前方光起電デバイスが同じ電圧を生成することを確実にする。
【0039】
図2bを参照すると、各NDSCデバイスが番号14によって表され、接続手段の抵抗が番号13によって表されている。A、B及びCは前方光起電デバイスであり、D及びEは後方光起電デバイスである。
【0040】
図3aを参照すると、第3の例の2端子デバイスが、接続手段を用いることなく形成されている。これは、各基板のTECコーティング面の分離された領域上に隣接する作用電極及び対向電極を形成することによって達成される。その後、そのデバイスは、ポリマー不浸透性材料(例えば、改質されたシリコーン)から形成された分離(分割)手段12によって分離される。
【0041】
図3bを参照すると、等価回路図が、前方光起電デバイスA、B及びCと、後方光起電デバイスD及びEとの間の電気的接続を示している。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】縮尺通りに描かれてないが、本発明の第1の例を含む、4端子NDSCデバイスの概略的な断面図である。
【図2a】縮尺通りに描かれていないが、本発明の第2の例を含む、2端子光起電デバイスの物理的な構成を示す概略的な断面図である。
【図2b】本発明の第2の例に従って製造された光起電デバイスの等価電気回路図である。
【図3a】縮尺通りに描かれていないが、本発明の第3の例を含む、2端子光起電デバイスの物理的な構成を示す概略的な断面図である。
【図3b】本発明の第3の例に従って製造された光起電デバイスの等価電気回路図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対して接近して間隔を置いて平行に配置された3つ以上の基板を備える光起電モジュールであって、
該基板は、
第1の面及び第2の面を有する中央基板、又は第1の面及び第2の面が見えるように背合わせにされる2つの基板と、
内面及び外面を有する第1の外側基板であって、前記内面及び前記第1の面が並置されるように配置された第1の外側基板と、
内面及び外面を有する第2の外側基板であって、該第2の外側基板の前記内面及び前記第2の面が並置されるように配置された第2の外側基板と
を備え、
前方光起電デバイスが、前記第1の外側基板と前記中央基板の前記第1の面との間に形成され、
接続手段及び/又は分割手段が、少なくとも一対の前記前方光起電デバイス間に配置され、
後方光起電デバイスが、前記第2の外側基板と前記中央基板の前記第2の面との間に形成され、
前記前方光起電デバイス及び前記後方光起電デバイスは、前記前方光起電デバイスの前記接続手段及び前記分割手段が前記後方光起電デバイスの能動光起電領域に対向するようにオフセットされる、光起電モジュール。
【請求項2】
前記前方光起電デバイスは、内部で接続されて前方2端子電源を形成し、
前記後方光起電デバイスは、内部で接続されて後方2端子電源を形成する、請求項1に記載の光起電モジュール。
【請求項3】
前記前方光起電デバイス及び前記後方光起電デバイスは、内部で接続されて接続2端子電源を形成する、請求項1に記載の光起電デバイス。
【請求項4】
前記前方デバイスと前記後方デバイスとの間の電気経路内に、ダイオード層が収容される、請求項3に記載の光起電モジュール。
【請求項5】
前記ダイオード層は、半導体酸化物に基づく、請求項4に記載の光起電モジュール。
【請求項6】
前記前方光起電デバイスと前記後方光起電デバイスとの間を電気的に接続できるようにするために、前記内側基板内に穴が形成されている、請求項3に記載の光起電モジュール。
【請求項7】
前記穴のそれぞれの内に、1つ又は複数の導体が挿入されている、請求項6に記載の光起電モジュール。
【請求項8】
前記穴のうちの少なくとも1つは、導電性材料で満たされている、請求項6に記載の光起電モジュール。
【請求項9】
前記後方光起電デバイスの能動光起電領域の幅は、前記前方光起電デバイスの能動光起電領域の幅よりも小さい、請求項3に記載の光起電モジュール。
【請求項10】
前記前方光起電デバイス及び前記後方光起電デバイスのうちの少なくとも1つは、ワイドバンドギャップ半導体の色素増感ナノ微粒子層と、電解質層(NDSCデバイス)とを備える、請求項1〜9のいずれか一項に記載の光起電モジュール。
【請求項11】
前記後方光起電デバイスは、エネルギー蓄積特性を高めたNDSCデバイスである、請求項10に記載の光起電モジュール。
【請求項12】
前記後方光起電デバイスは、NDSCデバイスであり、
前記後方光起電デバイスにおいて用いられる色素(後方色素)は、前記前方光起電デバイスの能動光起電層に対して光学的に相補的である、請求項10に記載の光起電モジュール。
【請求項13】
全ての前記後方光起電デバイス及び全ての前記前方光起電デバイスは、NDSCデバイスである、請求項10に記載の光起電モジュール。
【請求項14】
前記後方色素は、前記前方光起電デバイスにおいて用いられる色素(前方色素)に対して光学的に相補的である、請求項13に記載の光起電モジュール。
【請求項15】
前記前方色素は、主に太陽スペクトルの青色部分の光を吸収するのに対して、前記後方色素は、少なくとも太陽スペクトルの赤色部分の光を吸収する、請求項14に記載の光起電モジュール。
【請求項16】
前記前方光起電デバイスであるNDSCデバイスは、前記内側基板の前記第1の面上に形成され、
前記後方光起電デバイスであるNDSCデバイスは、前記内側基板の前記第2の面上に形成される、請求項13に記載の光起電モジュール。
【請求項17】
前記前方光起電デバイスであるNDSCデバイスは、前記後方光起電デバイスであるNDSCデバイスと並列に接続されている、請求項13に記載の光起電モジュール。
【請求項18】
前記後方光起電デバイスであるNDSCデバイスの電解質層(後方電解質)は、前記前方光起電デバイスであるNDSCデバイスにおいて用いられる電解質層(前方電解質)とは異なる化学組成を有する、請求項17に記載の光起電モジュール。
【請求項19】
前記後方電解質内のレドックスカップルの濃度は、前記前方電解質内のレドックスカップルの濃度よりも小さい、請求項18に記載の光起電モジュール。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3a】
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【図3b】
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【公表番号】特表2008−503035(P2008−503035A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515729(P2007−515729)
【出願日】平成17年6月15日(2005.6.15)
【国際出願番号】PCT/AU2005/000844
【国際公開番号】WO2005/124802
【国際公開日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【出願人】(506210107)ダイソル・リミテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】DYESOL LTD
【住所又は居所原語表記】11 Aurora Ave, Queanbeyan, NSW 2620, Australia
【Fターム(参考)】