説明

表面耐久性を高めた工学的ポリオレフィン材料

半結晶性ポリオレフィン成分、プロピレン系ポリオレフィン-金属塩、及びスチレンブロックアイオノマーのベース成分を含むポリオレフィン樹脂ブレンドが提示される。任意により、そのブレンドは水素化スチレン-ブタジエンランダムコポリマーのような熱可塑性エラストマーを含んでいる。そのようなブレンドは、許容しうる衝撃靭性をなお保持しつつ、高引掻抵抗と表面損傷抵抗を有する。そのようなブレンドの調製方法と、そのようなブレンドを含む生成した製品も本発明の一部である。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の分野
本発明は、増大した引掻抵抗、剛性、及び靭性を含む優れた物理的性質を有するポリオレフィン樹脂ブレンドに関する。本発明は、そのようなポリオレフィン樹脂ブレンドを製造する方法及びそのようなポリオレフィン樹脂ブレンドから生産される製品に関する。
【0002】
背景技術
多くの適用、例えば、自動車産業の多くにおいては、引掻抵抗が剛性及び衝撃靭性と釣り合った良好なレベルを示す高分子材料が求められている。しかしながら、これらの性質は、一方を高める努力によってもう一方の有益な性質の一方、又は双方の劣化がしばしば生じるように変動する傾向がある。
ポリプロピレンブレンドは、それらの強度、環境抵抗、及び加工性のために様々な適用において有効である。高度に結晶性のポリプロピレンは良好な耐表面損傷と引掻抵抗を示すが、多くの重要な適用、例えば、自動車部品の製造に必要とされる衝撃靭性をもたない。この課題をある程度克服する特定の高分子材料が開発された。
エチレンと他のα-オレフィンの衝撃変性コポリマー、エチレン、他のα-オレフィン、及びジエンのターポリマーとブレンドすることによるポリプロピレンの衝撃靭性の不足を直す試みは完全に成功していなかった。熱可塑ポリオレフィンとしても知られるエラストマー変性ポリプロピレンブレンドは、特に低温衝撃に対しての靭性改良の利点がある。それらは、形成品又は成形品、例えば自動車部品、玩具、家具、ハウジング製品に広く使われている。それらの組成物の衝撃靭性はこれらの変性剤によって改善されるが、引掻抵抗は低下することがわかった。即ち、衝撃改質剤を含有するポリプロピレンブレンド、例えば、エチレン-プロピレンコポリマー、エチレン‐プロピレンターポリマー、エチレン-ブテンコポリマー、又はエチレン-オクテンコポリマーの引掻抵抗は不十分である。
【0003】
ポリプロピレンの結晶化度を上げてより硬い表面を得ること及び/又はこれらのブレンドに硬質の鉱物質充填剤を添加することが対策として試みられたが、完全には成功しなかった。表面特性を強化する1つの従来法は、無機粒子状物質を用いることである。しかしながら、これらの微粒子の均一な分散は達成が困難であり、このことはそのような製品の不均一表面特性を生じる傾向がある。これらの微粒子の使用もポリオレフィンの他の望ましい物理的性質を損なう傾向があり、衝撃強さ及び/又は靭性が消失する結果となる。そのような微粒子のポリオレフィン系からの脱結合は応力白化の原因となり、それは望ましくない。
種々の製品の表面特性を強化する他の従来の方法は、アクリルポリマー又はコーティングを製品に適用し、続いてそのポリマー又はコーティングを放射線源、例えば、紫外線照射で硬化させることである。
【0004】
ポリオレフィンの表面特性を強化する方法は、米国特許第4,000,216号に記載され、熱可塑性ポリマーと前記熱可塑性ポリマーのための少なくとも1種のモノエチレン系不飽和モノマーの表面変性剤の押出可能な、成形可能な又は熱成形可能なブレンドが開示され、ここで、表面変性剤は平均粒径が1〜30ミクロン(マイクロメートル)である架橋ポリマー粒子を有するものである。表面変性剤は好ましくは末端重合によって調製され、変性すべき適合できるポリオレフィンと用いられる。
米国特許第5,880,198号には、ポリプロピレン、スチレン含有エラストマー、及びタルクを含み、靭性と剛性の許容しうる釣合いをもつ熱可塑性樹脂組成物が記載されている。その開示には、この釣合いを達成するために用いられた各成分の割合の重要性が強調されている。米国特許第6,384,122号には、類似した釣合いの特性がエチレン-プロピレン系ポリマー組成物、エチレンα-オレフィンコポリマー系ゴム及び/又はゴム含有ビニル芳香族化合物及びタルクを含む熱可塑性樹脂について報告されている。日本特許出願第10219040A号には、靭性と剛性の許容しうる釣合いを与える組成物の他の例がポリオレフィン系樹脂と芳香族ビニルモノマー単位とブタジエンモノマー単位に基づくブロックコポリマーからなる樹脂組成物について報告されている。例えば、自動車部品、玩具、様々な形の器材用のハウジング等として用いられる形成されることができるか又は有効な軽量で耐久性のある製品を形成又は成形することができるポリマーブレンドは、当該技術において周知である。
【0005】
熱可塑性ポリオレフィンブレンドの物理的及び/又は化学的性質は、他の熱可塑性ポリマーとブレンドするか又は1種以上の極性基を有する材料を組み込むか又はその双方によって変性することができる。例えば、米国特許第4,946,896号には、20-80質量パーセントのポリプロピレンを含む熱可塑ポリオレフィン; エチレン、アクリル酸アルキルか又はメタクリル酸アルキルのエステル単位、及び不飽和ジカルボン酸無水物からなる5-38質量パーセントエチレンコポリマー; 及び5-70質量パーセントのエチレン-プロピレンゴムが記載されている。同様に、米国特許第4,888,391号には、連続相としてポリオレフィンと不連続相としてエチレン/アクリレート/アクリル酸ターポリマーとのブレンドを含むポリオレフィン組成物が記載されている。これらのポリオレフィン系ブレンドは、塗装可能である。引掻と衝撃抵抗を改善する他の例は、米国特許第6,423,779号に報告されており、ポリプロピレンとポリフェニレンオキシド樹脂が相溶剤と共にブレンドされている。
これらの従来の技術の製剤にもかかわらず、剛性、強度、加工性、及び低温衝撃靭性の物理的性質の要求とともに良好なレベルの表面損傷/引掻抵抗を有する高分子材料が求められている。本発明は、これらの要求を満たすある種のブレンドを提供する。
【0006】
発明の概要
本発明は、約10〜90質量パーセントの半結晶性ポリオレフィン; 約0.1〜約50質量パーセントのプロピレン系ポリオレフィン-金属塩、約0.1〜約50質量パーセントのスチレンブロックアイオノマー含むポリオレフィン樹脂ブレンドに関する。プロピレン系ポリオレフィン-金属塩は、有利には、プロピレン含有ホモポリマー又はコポリマーと少なくとも1つの親水性部分を含有する少なくとも1つの有機モノマーの反応生成物である。更に、反応生成物は、少なくとも1つの金属イオンで少なくとも部分的に中和される。
スチレンアイオノマーは、典型的にはスチレンブロックアイオノマーであるが、好ましい実施態様においては、高分子金属塩成分との混合物を含むことができる。任意であるが、好ましい高分子金属塩は、典型的には、(a)スチレン骨格鎖に組み込まれた少なくとも1つの不飽和ジカルボン酸誘導体を含むランダムスチレンコポリマーと; (b)(a)の各タイプの不飽和ジカルボン酸誘導体を少なくとも部分的に中和するのに十分な量で存在する少なくとも1つの金属イオンの反応生成物である。また、スチレンブロックアイオノマは、好ましくは、少なくとも1つの極性基で変性されたスチレンブロックコポリマーの反応生成物であり、反応生成物は少なくとも1つの金属イオンで少なくとも部分的に中和されている。独立して本明細書に開示された反応生成物を少なくとも部分的に中和するために用いられる各金属イオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、鉛、スズ、亜鉛、アルミニウム又は混合物が含まれる。
【0007】
ポリオレフィン樹脂ブレンドは、好ましくは、半結晶性のポリオレフィンを約15〜約85質量パーセントの量で、プロピレン系ポリオレフィン-金属塩を約1〜約45質量パーセントの量で、及びスチレンブロックアイオノマーをポリオレフィン樹脂ブレンドの約1〜約45質量パーセントの量で含んでいる。好ましくは、半結晶性ポリオレフィンは、約20〜約80質量パーセントの量で存在し、プロピレン系ポリオレフィン-金属塩は、約2〜約40質量パーセントの量で存在し、スチレンブロックアイオノマーは、ポリオレフィン樹脂ブレンドの約2〜約40質量パーセントの量で存在する。
半結晶性ポリオレフィンは、好ましくは、プロピレンのホモポリマー、エチレンのホモポリマー、プロピレンとC2〜C20α-オレフィン成分のコポリマー、エチレンとC3〜C20αオレフィン成分のコポリマー又はその混合物の1種以上を含んでいる。また、それは各親水性部分に有効であり、各極性基は各々独立してエチレン系不飽和カルボン酸又はカルボン酸無水物モノマー、好ましくはメタクリル酸、アクリル酸、マレイン酸無水、又はその混合物を含んでいる。
【0008】
スチレンブロックアイオノマー、典型的には、少なくとも1つの極性基で変性されたスチレンブロックコポリマーは、好ましくは、スチレンブロックセグメントと任意により水素化されるエラストマーブロックセグメントを含んでいる。これには、スチレン-エチレン/ブチレン、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレン、スチレン-エチレン/プロピレン、スチレン-エチレン/プロピレン-スチレン、スチレン-エチレン/プロピレン-スチレン-エチレン-プロピレン、スチレンブタジエン、スチレン-ブタジエン-スチレン、スチレン-ブチレン-スチレン、スチレン-ブチレン-ブタジエン-スチレン、スチレン-イソプレン-スチレン、又はその組合わせのブロックを含んでいる。
【0009】
高分子金属塩のランダムスチレンコポリマーが含まれる場合、好ましくはスチレン-マレイン酸無水物が含まれる。好ましい一実施態様においては、ポリオレフィン樹脂ブレンドは、更に衝撃改質剤を約0.1〜約40質量パーセントの量で更に含んでいる。好ましくは、衝撃改質剤は、約1〜約20質量パーセントの量で存在し、スチレンブロックコポリマー、水素化スチレンブタジエンランダムコポリマー、又はその混合物を含んでいる。所望される場合には、鉱物質充填剤は約1〜約40質量パーセントの量で含むことができる。鉱物質充填剤は、通常は約5〜約25質量パーセントの量で存在し、好ましくは、タルク、炭酸カルシウム、ウォラストナイト、アルミナ3水和物、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、カーボンブラック、金属繊維、ホウ素繊維、セラミック繊維、高分子繊維、カオリン、ガラス、セラミック、炭素マイクロスフェア又は高分子マイクロスフェア、シリカ、マイカ、ガラス繊維、炭素繊維、クレー、又はその混合物を含んでいる。
本発明は、また、本明細書に開示されるポリオレフィン樹脂ブレンドの1種からできた製品に関する。
【0010】
更に、本発明は、ポリオレフィン樹脂ブレンドから製品を調製する方法に関し、半結晶性ポリオレフィン樹脂成分、プロピレン系ポリオレフィン-金属塩、及び上記種類のスチレンブロックアイオノマー成分を溶融ブレンドしてブレンドを形成する工程であって、溶融ブレンドが十分に高温度であるので各ポリマーが少なくとも部分的に溶融されている、前記工程; 及びそのブレンドを表面をもつ製品に成型する工程であって、製品の表面を20ニュートン負荷にかけた場合に引掻き評価段階が約3未満であり、あばら状又は引裂がない、前記工程を含む、前記方法に関する。
本発明のその他の特徴や利点は、後述する図面とともに示される次の詳細な説明から確認することができる。
【0011】
発明の詳細な説明
ここで良好なレベルの表面損傷/引掻抵抗を有するポリマーブレンドが必要な物理的性質の要求とともに得ることができることを発見した。これらの物理的性質の要求には、剛性、強度、加工性、低温衝撃靭性、又はあらゆるその組合わせを含むことができる。本発明は、半結晶性ポリオレフィン、プロピレン含有ホモポリマー又はコポリマーと少なくとも1種の親水性部分を含有する少なくとも1種の有機モノマーの反応生成物であり、反応生成物が少なくとも1種の金属イオンで部分的に中和されているプロピレン系ポリオレフィン-金属塩、及び高分子金属塩を任意により含むスチレンブロックアイオノマーを組み合わせることによりこれらのポリマーブレンドを提供する。
半結晶性ポリオレフィン樹脂成分は、典型的には、組成物の約10〜約90質量パーセント、好ましくは約15〜約85質量パーセント、及び更に好ましくは約20〜約80質量パーセントの量で存在し、プロピレンホモポリマー、エチレンのホモポリマー、例えば、ポリエチレン、低密度ポリエチレン、又は高密度ポリエチレン、プロピレンと少なくとも1つの他のC2〜C20α-オレフィンのコポリマー、エチレンと少なくとも1つの他のC3〜C20α-オレフィンのコポリマー、又はその混合物の1種以上より選ばれる。そのようなプロピレン及び/又はエチレンコポリマーに好ましいα-オレフィンとしては、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、メチル-1-ブテン、メチル-1-プロペン、メチル-1-ペンテン、メチル-1-ヘキサン、1-オクテン、1-デセン、又はその組合わせが含まれる。
【0012】
半結晶性のポリオレフィン樹脂の一実施態様においては、プロピレンホモポリマー又はコポリマー、即ち、ポリマー鎖自体の少なくとも50質量パーセントがプロピレン含量であるコポリマーが好ましい。適切なプロピレンホモポリマー及びコポリマーは、例えば、デラウェア州ウィルミントンのBasell North America, Inc.からPRO-FAXとして、テキサス州ヒューストンのBritish Petroleum ChemicalsからFORTILENE、HP/P 9000、ACCTUFF又はACCPROとして市販されている。プロピレン系ポリオレフィン-金属塩は、また、これらの又は他のあらゆる適切なプロピレン系ホモポリマー又はコポリマーを含むことができる。適切なエチレンホモポリマー及びコポリマーは、例えば、テキサス州ヒューストンのEquistar ChemicalsからALATHONとして、テキサス州ヒューストンのChevron PhillipsからMARLEXとして、テキサス州ヒューストンのSolvay AmericaからFORTIFLEXとして、テキサス州ヒューストンのExxonMobilからESCORENEとして市販されている。
【0013】
スチレンブロックアイオノマーは、組成物の約0.1質量パーセント〜約50質量パーセント、好ましくは約1質量パーセント〜約45質量パーセント、最も好ましくは約2質量パーセント〜約40質量パーセントの量で存在する。任意により、1種以上の高分子金属塩も含まれる。
スチレンブロックアイオノマーは、例えば、少なくとも1つの極性基で官能基化された不飽和の又は飽和(即ち、水素化又は非水素化)スチレンブロックコポリマーより選ばれ、官能基化ブロックコポリマーは金属イオンで少なくとも部分的に中和される。スチレンブロックアイオノマーを与えるのに有効なスチレンブロックコポリマーは、任意により、一実施態様においては、好ましくは水素化されてもよいスチレンブロックセグメントやエラストメリックブロックセグメントを含んでいる。スチレンブロックセグメントの構造は、線状又は放射状型、また、二元ブロック、三元ブロック又は分枝型であり得る。スチレンブロックセグメントは、α-メチルスチレン、又は環置換スチレン、特に環メチル化スチレンを含むスチレン及び/又はその類似体及び同族体のポリマーであることが好ましい。好ましいスチレンは、スチレンやα-メチルスチレンであり、スチレンが特に好ましい。
【0014】
上記スチレンブロックコポリマーのエラストマーブロックセグメントは、エチレン、ブチレン、ブタジエン、イソプレン、プロピレン、又はその組合わせであってもよい。好ましいスチレンブロックコポリマーとしては、スチレン-エチレン/ブチレン、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレン(“SEBS" )、スチレン-エチレン/プロピレン、スチレン-エチレン/プロピレン-スチレン、スチレン-エチレン/プロピレン-スチレン-エチレン-プロピレン、スチレンブタジエン、スチレン-ブタジエン-スチレン、スチレン-ブチレン-スチレン、スチレン-ブチレン-ブタジエン-スチレン、スチレン-イソプレン-スチレン、又はその組合わせが含まれる。
【0015】
本発明に用いられる官能基化スチレンブロックコポリマーを生成させるためにそのようなスチレンブロックコポリマーと反応又は組み合わせることができる極性基は、特に、酸又は無水物又はそれの誘導体、例えば、カルボン酸基及びそれらの塩、無水物、エステル、イミド基、アミド基、酸塩化物等の1種以上であり、スチレンブロックコポリマーのエラストマーブロックセグメントにグラフトされている。代表的極性モノマーとしては、マレイン酸、フマル酸、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、ケイ皮酸等、あるとすれば、酸及びその無水物、エステル及び塩誘導体が含まれる。極性基で官能基化された例示的なスチレンブロックコポリマーは米国特許第4,578,429号、米国特許第4,868,245号、及び米国特許第4,968,754号に記載されており、これらの明細書の記載は本願明細書に含まれている。例えば、極性基は、全ポリオレフィン樹脂の約0.1〜10質量パーセントの量で含むことができる。
【0016】
官能基化している化合物のあらゆる組合わせ、例えば、アクリル酸/メタクリル酸混合物を用いることができる。好ましくは、マレイン酸無水、アクリル酸、メタクリル酸、又はその組合わせが用いられる。
極性基で官能基化されたそのようなスチレンブロックコポリマーは、例えば、テキサス州ヒューストンのKraton PolymersからKRATONとして、カリフォルニア州パサデナのKuraray Company Ltd.からSEPTONとして、マサチューセッツ州マールデンのAsahi America Inc.からTUFTECとして市販されている。
【0017】
本明細書に記載されるスチレンブロックアイオノマーと含まれる任意の高分子金属塩成分は、スチレン骨格鎖に組み込まれた不飽和ジカルボン酸誘導体を含むランダムスチレンコポリマーの反応生成物であり、反応生成物は、少なくとも1種の金属イオンで少なくとも部分的に中和されている。或いは、高分子金属塩は、スチレン、ブタジエン、及び不飽和ジカルボン酸誘導体のランダムターポリマー、又はその反応生成物であり、少なくとも1種の金属イオンで少なくとも部分的に中和されている。一実施態様においては、高分子金属塩は、ランダムスチレンコポリマー反応生成物と中和されたランダムなターポリマー双方を含むことができる。好ましいスチレン材料には、スチレンやα-メチルスチレンが含まれ、スチレンが特に好ましい。適切な不飽和ジカルボン酸誘導体の例としては、マレイン酸、マレイン酸無水物、フマル酸、メサコン酸、イタコン酸、イタコン酸無水物、及びモノメチルマレエート、又はそのあらゆる組合わせが挙げられる。
そのようなランダムスチレンコポリマーを調製するための手順は、当該技術において既知であり、例えば、米国特許第2,971,939号に記載されている。衝撃変性の変形例は、例えば、ポリブタジエンの存在下にスチレン成分と不飽和ジカルボン酸誘導体成分を共重合することにより本発明の使用に生成させることができる。例えば、スチレン-マレイン酸無水物コポリマーは、カナダ、アルバータ、カルガリのNova Chemicals CorporationからDYLARKとして、ペンシルバニア州ピッツバーグのBayer CorporationからCADONとして、Reading(ペンシルバニア州リーディングのDSM Engineering Plastic Products, Inc.からSTAPRONとして市販されている。
【0018】
スチレン骨格鎖に組み込まれる極性基を含むランダムスチレンコポリマーの反応生成物は、次に有利には少なくとも1種の金属イオン、典型的にはアルカリ又はアルカリ土類含有化合物、例えば、塩又は塩基で少なくとも部分的に中和されてスチレンアイオノマーが形成される。好ましい実施態様においては、極性基は1種以上の不飽和ジカルボン酸誘導体を含んでいる。各種類の極性基は、好ましくは約30〜約100パーセント、更に好ましくは少なくとも約40パーセント、最も好ましくは少なくとも約60パーセント中和される。本発明の中和のいずれにも適切な金属イオンの例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、鉛、スズ、亜鉛、アルミニウム、又はその組合わせを挙げることができる。亜鉛、リチウム、ナトリウム、カルシウム、又はマグネシウム、又はその組合わせが好ましい。
【0019】
変性ブロックコポリマーをイオン化するための方法は、米国特許第4,972,020号に教示されており、この明細書の記載は本願明細書に含まれるものとする。'020特許では、水素化ブロックコポリマーをグラフトした水酸化アルミニウムとマレイン酸無水物を、ブラベンダープラストグラフにおいて200℃で5分間溶融ブレンドしてイオンで架橋された変性ブロックコポリマーが形成されている。そのような反応は、二軸押出機内でブレンドの押出の間その場で行うことができる。或いは、そのような反応は、官能基化ブロックコポリマー塩、高分子金属塩、スチレンブロックアイオノマー、又はその混合物を用いて一段工程で行うことができる。
ポリプロピレンは一部にはその高結晶化度のために、引掻と表面損傷に対する抵抗が優れていると考えられる。しかしながら、純粋なポリプロピレン単独は、耐衝撃性が低い。従来は、エチレン-又はスチレン含有コポリマーのようなエラストマーを添加すると、衝撃強さが改善されるが、引掻と表面損傷抵抗が顕著に悪化する傾向がある。スチレンアイオノマーの熱的に可逆的なイオン架橋は、変形後に優れたエントロピー回復を可能にし、非アイオノマースチレンポリマーを含有する又はスチレン成分を全く含有しないブレンドと比較して、ポリオレフィンブレンドの表面損傷と引掻が強化される。
【0020】
ここで、理論によって縛られることなく、半結晶性ポリオレフィンとスチレンアイオノマーの適合性がプロピレン系ポリオレフィン-金属塩の存在によって更に強化されることが考えられる。不均一なポリマーブレンドの物理的性質は、異なる相間の界面相互作用によって支配される。プロピレン系ポリオレフィン-金属塩がブレンド組成物の分散を高め、界面相互作用を増加させ、本発明のブレンドの靭性増大をもたらすと考えられる。これらの相互作用は、ポリマー相のブレンド形態、分散、及び分布に著しく影響する。半結晶性ポリオレフィンとスチレンアイオノマーブレンドのプロピレン系ポリオレフィン-金属塩を含むことにより、おそらくイオン結合のためにポリマー相の界面強度が著しく改善され、本発明の引掻抵抗、剛性、及び耐衝撃性の釣合いが優れた熱可塑性樹脂が得られる。
【0021】
プロピレン系ポリオレフィン-金属塩は、ブレンド組成物の約0.1質量パーセント〜約50質量パーセント、好ましくは約1質量パーセント〜約45質量パーセント、最も好ましくは2質量パーセント〜約40質量パーセントの量で存在する。同じ濃度は、プロピレンとカルボン酸又は無水物モノマーのコポリマー、又はプロピレン系ポリオレフィン金属塩を部分的又は完全に置換する官能基でグラフトされたプロピレン含有ポリマーを組み込んでいる実施態様にあてはまる。
本発明のプロピレン系ポリオレフィン-金属塩は、ホモポリマー又はプロピレンと約20モルパーセントまでのエチレン又は炭素原子約12個までを有する他のα-オレフィンの骨格鎖を有する。コポリマーである場合には、このポリオレフィン骨格鎖はランダム、ブロック又はC2〜C20αオレフィンとのグラフトであり得る。このポリオレフィン骨格鎖の少なくとも一部分は、不飽和の少なくとも一つの部位と少なくとも1つのカルボニル基又はカルボキシル基又は他の親水基を含有する不飽和有機化合物でグラフトされることが好ましい。
【0022】
これらの官能部分が含まれる場合、ポリマーと親水性有機化合物の合計質量に基づいて、少なくとも約0.01質量パーセント、好ましくは少なくとも約0.1質量パーセント、更に好ましくは少なくとも約0.5質量パーセントの量でポリオレフィン骨格鎖に添加される。不飽和有機化合物含量の最大量は、所望されるように変動することができるが、ポリマーと有機化合物の合計質量に基づいて、典型的には約25質量パーセント以下でなければならず、しばしば、約10質量パーセント以下でなければならず、ある好ましい場合には、約5質量パーセント以下でなければならない。典型的なポリオレフィン-金属塩には、P/Yコポリマーが含まれ、ここで、Pはオレフィン骨格鎖、例えば、プロピレン及び/又はエチレンであり; Yは官能コモノマー、例えば、アクリル又はメタクリル酸であり、ポリマーの約0.01パーセント〜好ましくは0.5パーセント〜約5質量パーセント約、約20質量パーセントの量で存在する。
【0023】
不飽和親水性有機化合物は、当業者に既知のあらゆる手法、例えば、米国特許第3,236,917号や米国特許第5,194,509号に教示されたものによってベースポリマーにグラフトされることができる、これらの明細書の記載は共に本願明細書に含まれるものとする。例えば、'917特許においては、ベースポリマーを2ロールミキサへ導入し、60℃の温度で混合する。その後、不飽和有機化合物をフリーラジカル開始剤、例えば、過酸化ベンゾイルと共に添加し、グラフト化が完了するまで、成分を30℃で混合する。'509特許では、反応温度がより高い、例えば、210°〜300℃であること以外は手順が同様であり、フリーラジカル開始剤は用いていない。
グラフト化の代替法は、米国特許第4,950,541号に教示され、混合装置として二軸脱揮発押出機を用いることによるこの開示もまた本願明細書に含まれるものとする。ベースポリマーと不飽和有機化合物は、押出機内で反応成分が溶融する温度でフリーラジカル開始剤の存在下に混合し反応させる。好ましくは、不飽和有機化合物は、押出機内で圧力下に維持されたゾーンへ注入される。
【0024】
中和することができるあらゆる親水性モノマー、例えば、不飽和カルボン酸モノマーが本発明の官能基化ポリオレフィンの製造において使用し得る。少なくとも1つのカルボニル基を含む代表的な不飽和の有機化合物としては、エチレン系不飽和カルボン酸、無水物、エステル、又は金属と非金属双方のそれらの塩、又はその組合わせが含まれる。好ましくは、有機化合物はカルボニル基と結合したエチレン系不飽和を含んでいる。代表的な化合物としては、マレイン酸、フマル酸、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、α-メチルクロトン酸、ケイ皮酸等、あるとすれば、酸又はその無水物、エステル又は塩誘導体、又はそのあらゆる組合わせが含まれる。官能化合物の好ましい組合わせには、アクリル酸/メタクリル酸混合物のような化合物が含まれる。好ましくは、マレイン酸無水、アクリル酸、メタクリル酸、又はその組合わせが用いられる。
【0025】
その後、官能基化ポリマー、又はその“反応生成物" は、有利には、少なくとも1つの金属イオン、典型的にはアルカリ又はアルカリ土類含有化合物、典型的には塩又は塩基で中和して官能基化ポリオレフィン-金属塩を形成する。好ましくは、本発明のブレンド中のアイオノマーと官能基化ポリオレフィン-金属塩の各々についての1つ又は複数の酸部分は、約30〜約100パーセント、好ましくは少なくとも約40パーセント、更に好ましくは少なくとも約60パーセント中和される。酸部分は1種以上のアルカリ又はアルカリ土類金属で中和されることが好ましいが、他のカチオン又はそれのブレンドも使用し得る。適切なカチオンの例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、鉛、スズ、亜鉛、アルミニウム、又はそのようなカチオンの組合わせが含まれる。好ましいカチオンは、亜鉛、リチウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、又はその組合わせである。これらのカチオンを塩基として添加して、酸部分の中和度を上げることが好ましい。金属イオン含有化合物の例としては、炭酸ナトリウム、酢酸亜鉛2水和物、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、又はその組合わせが含まれる。金属イオンを含有している化合物は、本発明の化合物の少なくとも約0.01質量パーセントで20質量パーセント以下を含んでいる。好ましい一実施態様においては、金属イオン含有化合物は、約0.01質量パーセント〜10質量パーセントを含み、他の実施態様においては、約5質量パーセント〜20質量パーセントの量で存在する。
【0026】
スチレン骨格鎖へ組込まれた不飽和ジカルボン酸誘導体、又は一般的には、少なくとも1つの極性基で官能基化されたスチレンブロックコポリマーを含み、スチレンアイオノマーの基礎及び/又はプロピレン系ポリオレフィン-金属塩の基礎を形成する官能基化ポリオレフィンを形成する、高分子金属塩に含まれる任意のランダムスチレンコポリマーは、続いて金属イオンによる中和工程の前に、スルホン化することができる。ポリマーをスルホン化するための手法は、米国特許第4,184,988号に教示されるように当業者に周知であり、この明細書の記載は本願明細書に含まれるものとする。'988特許では、硫酸アセチルをEPDMとヘプタンの溶液に添加し; イソプロピルアルコールを添加した1時間後に反応が終結した。この任意のステップによりスルホン化された基とカルボキシ化された基双方を含有するポリマーが生じ、これは一実施例においては好ましい。
【0027】
一実施態様においては、ポリオレフィン樹脂ブレンドは、半結晶ポリオレフィンホモポリマー及び/又はコポリマー、プロピレン系ポリオレフィン-金属塩、及びスチレンブロックアイオノマーの各々の少なくとも1つを含んでいる。好ましくは、ポリオレフィンホモポリマー及び/又はコポリマーは、主にポリプロピレンである。更に他の実施態様においては、ポリオレフィン樹脂ブレンドはポリプロピレン又はポリエチレンホモポリマー及び/又はコポリマー、又はそれの混合物はプロピレン系ポリオレフィン-金属塩、及びスチレンブロックアイオノマーを含んでいる。
他の実施態様においては、ポリオレフィン樹脂ブレンドは、ポリプロピレン又はポリエチレンホモポリマー及び/又はコポリマー、又はその混合物、プロピレンとカルボン酸又は無水物モノマーのプロピレン系ポリオレフィン-金属塩及び/又はコポリマー、及び極性基で変性されたSEBSから形成され、次に変性SEBSが少なくとも1つの金属イオンによって少なくとも部分的に中和されるスチレンブロックアイオノマーを含んでいる。
【0028】
更に他の実施態様においては、ポリオレフィン樹脂ブレンドは、半結晶性ポリオレフィン; 親水性部分、特にカルボン酸で官能基化される不飽和プロピレン含有ポリマーの反応生成物、及び少なくとも1つの極性基、特にカルボン酸で官能基化されたスチレンブロックコポリマーの反応生成物、及び、任意により、スチレン骨格鎖に組み込まれた不飽和ジカルボン酸誘導体を含むランダムスチレンコポリマーの反応生成物を含み、各反応生成物は別個に又は同時に少なくとも一つの金属イオンで少なくとも部分的に中和されている。
更に他の実施態様においては、ポリオレフィン樹脂ブレンドは、金属イオンで少なくとも部分的に中和されている、親水性部分、特にカルボン酸で官能基化されたプロピレン含有ポリマーの反応生成物; 及び少なくとも1つの金属イオンによって少なくとも部分的に中和されている、少なくとも1つの極性基、特にカルボン酸で官能基化されたスチレンブロックコポリマーのスチレンブロックアイオノマー反応生成物を含んでいる。
一実施態様においては、ポリオレフィン樹脂ブレンドは、プロピレン系ポリオレフィン-金属塩の一部又は全部が置換されたプロピレンとカルボン酸又は無水物モノマーのコポリマーを含むことができる。他の実施態様においては、ポリオレフィン樹脂ブレンドは、少なくとも1つの官能基でグラフトされた1種以上のスチレンコポリマーの形でスチレンブロックアイオノマーを含んでいる。更に他の実施態様においては、ポリオレフィン樹脂ブレンドは、任意により、スチレン骨格鎖に組み込まれた不飽和ジカルボン酸誘導体から構成されるランダムスチレンコポリマーを含む高分子金属塩を更に含んでいる。
【0029】
一実施態様においては、官能基化されたポリマーは、少なくとも1つの官能基でグラフトされたプロピレン系官能基化ポリオレフィンとスチレンブロックコポリマーが少なくとも1つの金属イオンで少なくとも部分的に中和される場合に反応生成物として形成された、プロピレン系ポリオレフィン-金属塩とスチレンブロックアイオノマーのみである。他の実施態様においては、官能基化ポリマーは、プロピレン系官能基化ポリオレフィンと、任意により、スチレン骨格鎖に組み込まれた不飽和ジカルボン酸誘導体を含むランダムスチレンコポリマーが少なくとも1つの金属イオンで少なくとも部分的に中和される場合に反応生成物として形成された、プロピレンベースのポリオレフィン-金属塩と高分子金属塩のみである。
【0030】
任意により、しかし、好ましくは、ポリオレフィン樹脂ブレンドの一実施形態に存在する成分は衝撃改質剤である。これは、好ましくは、1つ以上のスチレンブロックコポリマーを含む熱可塑性エラストマーである。許容しうるスチレンブロックコポリマーは、スチレン、エチレン及び他のアルケンのコポリマーを含むが、これに限定されるものではない。例示的なコポリマーとしては、スチレン-エチレン/ブチレン、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレン、スチレン-エチレン/プロピレン、スチレン-エチレン/プロピレン-スチレン、スチレン-エチレン/プロピレン-スチレン-エチレン-プロピレン、スチレンブタジエン、スチレン-ブチレン-スチレン、スチレン-イソプレン-スチレン、水素化されたもの又はそのあらゆる組合わせが含まれる。適切なスチレンブロックコポリマーとしては、スチレン-ブタジエン-スチレン、スチレン-ブテン-ブタジエン-スチレン、α-メチルスチレン-ブタジエン-α-メチルスチレン、α-メチルスチレン-イソプレン-α-メチルスチレン等、又はその組合わせが含まれる。本発明に用いられるスチレンブロックコポリマーの構造は、線状又は放射状型、また、二元ブロック、三元ブロック又は分枝型であり得る。ある実施態様においては、異なる少なくとも4元ブロック又は一対の反復2元ブロック、例えば、反復スチレン/ブタジエン又はスチレン/エチレンプロピレンブロックを有するスチレンブロックコポリマーも望ましいものであり得る。
【0031】
スチレンブロックコポリマーのゴム部は、不飽和であっても飽和であってもよい。不飽和のゴムモノマー単位を有するブロックコポリマーは、ブタジエン又はイソプレンのホモポリマーやこれらの2つのジエンの一方又は双方と少量のスチレンモノマーとのコポリマーを含むことができる。そのようなブロックが水素化される場合、得られた生成物は、エチレンと1-ブテンの規則的なコポリマーブロックであるか又はそれに似ている。使われる共役ジエンがイソプレンである場合、得られた水素化生成物は、エチレンとプロピレンの規則的なコポリマーブロックであるか又はそれにに似ている。不飽和ゴムモノマー単位によるブロックコポリマーの水素化は、適切な触媒成分の使用により行うことができる。
【0032】
衝撃改質剤スチレンブロックコポリマー成分が用いられる場合、全ポリオレフィンブレンドの約0.1〜約40質量パーセント、更に好ましくは約1〜約20質量パーセント、一実施態様においては更に好ましくは約5〜15質量パーセントを調製することができる。0.1質量パーセント未満の量を用いられることができるが、ブレンドの特性に対する効果が最少であることは当然のことである。
水素化スチレンブタジエンランダムコポリマーは、衝撃改質剤としてのスチレンブロックコポリマーに代わって又は加えて用いることができ、任意により、しかし一実施態様において好ましくは全ポリオレフィン樹脂ブレンドの約0.1〜約40質量パーセント、更に好ましくは約1〜約20質量パーセント、更に好ましくは約5〜約15質量パーセントの量で存在する。
【0033】
例示的な合成ブロック又はランダムコポリマーは、テキサス州ヒューストンのKraton Polymersから商標KRATONとして、日本国東京のJapan Synthetic Resinから商標DYNARONとして、マサチューセッツ州マールデンのAsahi America Inc.から商標TUFTECとして、オクラホマ州バートレスビル(Bartlesville)のPhillips Petroleum Co., Inc.から商標K-RESINとして入手できる。
ポリオレフィン樹脂ブレンドは、任意により、他の特性改質成分をそのような添加剤の存在が組成物の性能、例えば、引掻抵抗や表面損傷抵抗、ある場合には、衝撃靭性及び/又は塗装性を妨害しない程度まで含むことができる。例えば、任意改質成分の例としては、加工助剤、例えば、ステアリン酸カルシウム; 一次酸化防止剤、例えば、IRGANOX 1010又は1076のフェノール系酸化防止剤(ニューヨーク州タリータウンのCiba Specialty Chemicalsから入手できる)、二次酸化防止剤、例えば、IRGANOX 168ホスファイト(Cibaから入手できる)又はSANDOSTAB PEPQホスホナイト(ノースカロライナ州シャーロットのClariant Corporationから入手できる)又はUltranoxホスファイト(ウエストバージニア州パーカースバーグ(Parkersburg)のGeneral Electric Specialty Chemicalsから入手できる); 紫外線安定剤、例えばカーボンブラック; ヒンダードアミン光安定剤、例えば、Tinuvin & Chimassorbブランド(ニューヨーク州タリータウンのCiba Specialty Chemicalsから入手できる); 紫外線吸収剤、例えば、ベンゾトリアゾール系Tinuvinブランド(ニューヨーク州タリータウンのCiba Specialty Chemicalsから入手できる); ベンゾフェノン系Cyasorbブランド(コネティカット州のスタムフォードのCytec Industriesから入手できる)が含まれる。
【0034】
他の種類の改質成分は着色濃縮物であり、任意に含まれる場合、典型的には、約0.01〜約10パーセント、典型的には約1〜約5パーセントの範囲にある濃度で存在する。
改質成分の種類の他の例は、鉱物質充填剤である。鉱物質充填剤は、処理又は未処理無機材料、例えば、タルク、炭酸カルシウム、ウォラストナイト、アルミナ3水和物、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、カーボンブラック、金属繊維、ホウ素繊維、セラミック繊維、高分子繊維、カオリン、ガラス、セラミック、炭素又は高分子マイクロスフェア、シリカ、マイカ、ガラス線維、炭素繊維、クレー、又はその組合わせであり得る。鉱物質充填剤は、任意により、全組成物の約0〜約40質量パーセント、典型的には約0.1〜35質量パーセントの量で存在することができる。鉱物質充填剤が含まれる場合、好ましくは約5〜約25質量パーセントの量で存在する。
各任意の成分は、ブレンドの製造の間、成分と混合したブレンドと混合することができる。本発明は、例えば、押出加工によって上記ブレンドの製造方法を含んでいる。本発明のポリオレフィン樹脂ブレンドは、比較的均一なブレンドの生成を確実にするあらゆる従来方法によって混合される。任意の成分は、また、本発明の他の主要な又は任意の成分の1種以上とマスターバッチの形で調製することができる。
【0035】
本発明のポリオレフィン樹脂ブレンドは、引掻抵抗が優れ、剛性が高く、靭性を有する。これらのブレンドは塗装可能であることが好ましい。
プロピレン系ポリオレフィン-金属塩を製造する一方法は、プロピレン含有ポリマーと少なくとも1つの親水性部分を含有する少なくとも1種の有機モノマーをプロピレンポリマが各親水性部分で官能基化されるような条件下で接触させる工程、及び反応生成物を少なくとも1種類の金属イオンで中和する工程を含んでいる。
高分子金属塩を製造する一方法は、スチレンブロックコポリマーと少なくとも1つの極性基を接触させる工程とコポリマーを1種以上の金属イオンで少なくとも部分的に中和する工程を含んでいる。任意により、スチレン骨格鎖に組み込まれた不飽和ジカルボン酸誘導体から構成される1種以上のランダムスチレンコポリマーを含む高分子金属塩もまた、同時に又は順次接触させることができる。
【0036】
スチレンブロックアイオノマーを製造する一方法は、スチレンブロックコポリマーと少なくとも1つの極性基をスチレンブロックコポリマーが各極性基で官能基化されるような条件下で接触させる工程と反応生成物を1種類以上の金属イオンで中和してスチレンブロックアイオノマーを形成する工程を含んでいる。官能基化スチレンブロックコポリマーを1種以上の金属イオンで中和する工程は、ポリオレフィンとのブレンドとほぼ同時に達成することができる。一実施態様においては、別々の成分としてすでに官能基化されたプロピレン含有ポリマーを添加することができる。
プロピレン系ポリオレフィン-金属塩とスチレンブロックアイオノマーの製造は、単一反応量で行うことができる。任意により、そのような反応もまた、1種以上の官能オリゴマー塩を用いて一段工程で行うことができる。
【0037】
本発明のポリオレフィン樹脂ブレンドを製造する方法は、半結晶性ポリオレフィン樹脂成分を準備する工程、プロピレン系ポリオレフィン-金属塩を準備する工程、スチレンブロックアイオノマーを準備する工程、あらゆる任意のポリマー成分を準備する工程、及び成分をブレンドして均質なブレンドをつくる工程を含んでいる。
官能基化ポリオレフィン-金属塩及びスチレンブロックアイオノマーは、本発明の主要成分(即ち、親水性部分で官能基化されたプロピレン含有ポリマー、極性基で官能基化されたスチレンブロックコポリマー、及び金属イオン含有成分)の溶融ブレンドによって連続して、また、同時に形成することができる。ポリマーと全ての種類の任意添加剤との溶融ブレンドのための手法は、当該技術において既知であり、典型的には本発明の実施において用いることができる。典型的には、本発明の実施に用いられる溶融ブレンド操作においては、複合物の個々の成分は、機械的押出機又はミキサ内で合わせ、次に、ポリマー溶融物を形成するのに十分な温度に加熱される。メカニカルミキサは、連続又はバッチミキサであり得る。連続ミキサの例は、単軸押出機、噛み合い同時回転二軸押出機、例えばWerner & Pfleiderer ZSK(登録商標)押出機、カウンタ回転二軸押出機、例えば、Leistritz(登録商標)で製造されたもの、往復単軸ニーダ、例えば、Buss(登録商標)コニーダである。バッチミキサの例は、横方向の2ロールミキサ、例えば、Banbury(登録商標)又はBoling(登録商標)ミキサである。
【0038】
ポリオレフィン樹脂ブレンドは、溶融物中の本発明の成分をポリオレフィンの融点以上の温度で剪断混合することにより調製することができる。“融点"は一次転移温度として定義され、結晶質固体は固態から流動状態に変化する。溶融物の温度、ミキサ内の溶融物の滞留時間、ミキサの機械的設計は、本発明の適切なポリオレフィン樹脂ブレンドを得る混合中に組成物に加えられるべきせん断量を制御する変数のいくつかである。
好適実施態様においては、ポリオレフィン系樹脂ブレンドは、親水性部分で官能基化されたプロピレン含有ポリマー、少なくとも1つの極性基で官能基化されたスチレンブロックコポリマー及び任意により、スチレン骨格鎖に組み込まれた不飽和ジカルボン酸誘導体を含むランダムスチレンコポリマー、及び金属イオン含有成分モジュラ噛み合い同時回転二軸押出機、例えば、Leistritz(登録商標)で製造されものにおいて混合することにより調製される。類似した適切な種類の装置の他の製造業者には、Berstorff(登録商標)、Werner and Pfleiderer(登録商標)、日本の製鋼所等の同時回転二軸押出機が含まれる。この種類のミキサの軸径は、約25〜300 mmに変動してもよい。理論で縛られることなく、本発明の最後のポリマーブレンドの商業的に実行可能な生産速度は軸径が少なくとも約70 mmで達成可能でなければならない。
【0039】
従来の押出機の説明は、米国特許第4,857,600号に見ることができ、この明細書の記載は本願明細書に含まれるものとする。それには、組成物についてある種の混合機能を行う一連のセクション、又はモジュールが含まれている。ポリオレフィン樹脂ブレンド成分は、主フィードホッパの押出機の最初の供給部へ加えられる。他の成分、例えば、上記の充填剤、熱安定剤等もまた、乾燥粉末又は液体として混合押出機の主フィードホッパへ加えることができる。
ポリオレフィン樹脂ブレンドの成分は、押出機の最初の溶融と混合のセクションでホモジェナイズすることが好ましい。ポリマー溶融温度は、ブロックを混練する順序によってポリマーブレンドの最高軟化点よりすぐ上の温度に上げられる。押出機のこの第一混合セクション内で、約5〜20秒の溶融工程の期間内にポリマーブレンドの融点より高いポリマー温度を維持することが望ましい。あらゆる適切な溶融温度をブレンドされる高分子材料の融点に従って用いることができるが、約160℃〜250℃の溶融温度が第一混合セクションには好ましい。
【0040】
第一混合セクションに続いて、ポリオレフィン樹脂ブレンドの成分の十分に均一な分布を確実にするために混練と分配混合を行う押出機の第2混合セクションがある。このセクションにおける混合温度は、約160℃〜270℃、好ましくは約170℃〜260℃でなければならない。
混合押出機の他のセクションは、ダイプレートを通って押出す前に溶融圧縮を含んでいる。溶融圧縮は、例えば、同時回転二軸押出機で達成することができ、溶融圧縮は、脱結合工程、例えば、単軸押出機又は溶融ギヤポンプによって行うこともできる。圧縮セクションの終わりに、組成物はダイプレートを通って放出される。
或いは、官能基化されたプロピレン系ポリオレフィン-金属塩とスチレンブロックアイオノマーは、本発明の改良されたポリオレフィン樹脂ブレンドを得るためにポリプロピレンとブレンドすることもできる。
【0041】
本発明の他の態様は、製品の所望の構造と形へ記載されたポリオレフィン樹脂ブレンドを成形する工程を含む製品を製造するための方法である。
本発明は、また、結果として生じる成形されたブレンドとそれから製造される完成品を含んでいる。本発明の材料において靭性と剛性の良好な釣合いと、以前に述べた他の優れた特性を考えれば、本発明のポリオレフィン樹脂ブレンドは、多くの専門適用に適している。例えば、この材料は、多くの内外の自動車部品に用いられる成分に成形することができる。本願明細書に用いられる成形は、あらゆるタイプの成型及び/又は押出を含むことができ、詳述された成分のブレンドの射出成型が好ましい。そのような完成品は、引掻と表面損傷抵抗が優れている。
これらの発明の組成物から成形された製品は、引掻と表面損傷の抵抗が大きい。これらはある種の商業的適用には重要な特性であるが、本発明のある一定のブレンドがこれらのカテゴリの全てにおいて改良された特性をもつ必要がないことは理解されなければならない。
本発明の二次加工品は、あらゆる既知の熱可塑製造法によって、特に既知の熱可塑成型法、例えば、射出法、圧縮法、吹込法、回転/旋回法、反応射出法、成形法によって調製することができる。
【0042】
本明細書に用いられる、その前の特定のモノマーと共に“ポリオレフィン-金属塩"という用語、例えば、“プロピレン系ポリオレフィン-金属塩"は、プロピレン含有ポリマーと親水性部分を含有する有機モノマーの反応生成物であり、そのの反応生成物は少なくとも1つの金属イオンで少なくとも部分的に中和されている。典型的には、プロピレン系ポリオレフィン-金属塩は、ポリオレフィンを官能基化する前に、ポリオレフィンモノマー、即ち、プロピレンが少なくとも約80パーセント、好ましくは少なくとも95パーセントの濃度でポリオレフィンに存在し、その後、ポリオレフィンが1つ以上の親水性部分、例えば、カルボン酸酸含有又は他の親水性部分含有不飽和モノマー、即ち、マレイン酸無水物で官能基化されたポリマーである。この官能化ポリオレフィン反応生成物は、有利には、金属イオンで少なくとも部分的に中和される。
【0043】
本明細書に用いられる“スチレンアイモノマー" という用語は、スチレンブロックアイオノマー、例えば、スチレンブロックコポリマーであり、任意により、スチレンを含む高分子金属塩が含まれる。
本明細書に用いられる“高分子金属塩"という用語は、スチレン骨格鎖に組み込まれた不飽和ジカルボン酸誘導体と反応生成物中の不飽和ジカルボン酸を少なくとも部分的に中和するために用いられる少なくとも1つの金属イオンから構成される、ランダムスチレンコポリマーの反応生成物である。
本明細書に用いられる“スチレンブロックアイオノマー"という用語は、極性基で官能基化された1種以上のスチレンブロックコポリマーの反応生成物であり、反応生成物は、金属イオンで少なくとも部分的に中和されている。スチレンブロックコポリマーは、スチレンブロックセグメントと、水素化されもされなくても、即ち、任意により、一実施態様においては、好ましくは水素化されたエラストマーブロックセグメントを含んでいる。極性基は、好ましくは、α,β-エチレン系不飽和カルボン酸、又はその無水物である。
本明細書に用いられる"半結晶性"という用語は、典型的には、結晶化度が少なくとも約30%、好ましくは少なくとも50%、更に好ましくは約80%であることを意味する。
本明細書に用いられる“約"という用語は、通常は、数字の範囲で双方の数を意味するように理解されるべきである。更に、本明細書の数値範囲全てが範囲内の各全整数を含むように理解されるべきである。
【0044】
実施例
本発明のこれらの態様と他の態様は、次の実施例によって更に完全に理解されることができ、これらは単に本発明の好適実施態様を示すものであり、本発明を制限するものとして解釈すべきではない。
これらの実施例において用いられる記号の意味、述べた変数を表す単位、これらの変数を測定する方法を次に説明する。試験片を、HPM Command 90射出成形機を用いて溶融温度200℃、キャビティ温度18℃で射出成形することにより調製した。
【0045】

【0046】
表面引掻抵抗を測定するために、フォード実験試験法BN 108-13“引掻きに対する抵抗"を本発明が要求するように変更した。装置は、5本の金属フィンガ(長さ250mm)をもつ空気作用で駆動されるハンマを用いる。各金属フィンガの一端を固定し、もう一端にステンレス網先端(直径1.0mm)をもつ交換可能な引掻傷ピンを与えた。ピンに異なる重量の負荷をかけて試験材料の表面上に標準の力を加えた。試料の表面上に必要な引掻力を満たすために、フォード実験試験法において可能にされるように負荷を上げた。負荷力は、ニュートン(N)で示される。
【0047】

【0048】
試験片を、寸法の100 mm×150 mmに切断又は成形し、試験前に室温で24時間より長い時間調整した。試験プラークを、装置の5本の金属フィンガの下に入れ、毎秒約100mmの滑り速度で、右から左に手で押した。全ての試験について、各々のプラークを室温で一回行った。試験終了後、試料を1〜5の数値段階に視覚的に評価した。





【0049】

【0050】
最も重いスタイラス負荷(20Nと15N)の評価を、以下の実施例に示す。図1は、引掻評価段階の視覚的表示であり、40×倍率の光学顕微鏡による5つの(5)図を合わせたものが示されている。変形は、試験片の表面上の永続的なくぼみとして定義される。あばら状は、引掻内部に形成された三日月ライン又は波状として定義される。引裂は、引掻装置が試験片の表面を破壊するときに生じる。
従来の技術のブレンドの実施例は、表1に示される対照例1-4に含まれている。本発明のブレンドの代表的な組成物、及びその物理的性質は、表1に示される実施例1-5に見られる。このデータは、広範囲の物理的性質をもちつつ、引掻抵抗と表面損傷抵抗が優れ且つ衝撃強さが良好なポリオレフィン樹脂ブレンドが本発明の組成物を用いて製造され得ることを示している。

























【0051】
【表1】

1MFR=12dg/minのポリプロピレンホモポリマー。
2MFR=35dg/minのポリプロピレンブロックコポリマー。
3メルトインデックス=8.45dg/minの高密度ポリエチレン。
4水素化スチレンブタジエンランダムコポリマー。
5MFR=110dg/minのマレイン酸無水物(MA)で官能基化されたポリプロピレン。
6エチレン/1-オクテンコポリマー。
7水素化スチレンエラストマー、SEBSブロックコポリマー。
8水素化スチレンエラストマー、マレイン酸無水物で官能基化されたSEBSブロックコポリマー。
9酢酸亜鉛のような金属イオン含有化合物。
10Irganox B-225.
【0052】
本発明の好ましいポリオレフィン樹脂ブレンドは、引掻評価が20Nの負荷において2.5以下であり、あばら状又は引裂のない中程度の変形だけが示され; 又は15N負荷において引掻評価が2.0以下であり、あばら状又は引裂のないわずかな変形だけが示された。同時に、本発明のポリオレフィン樹脂ブレンドは、耐衝撃性と曲げモジュラスが優れた。
本発明の好適実施態様を添付の図面で示し、前述の好適実施態様の詳細な説明に記載してきたが、本発明は、開示された実施態様に限定されず、本発明の精神から逸脱することなく部分や要素の多くの再編成や変更ができることは理解される。あらゆる設計の化学的詳細と実施態様は、わずかに異なってもよく、本発明によって教示されるブレンドと方法から逸脱することなく当業者によって変更されてもよいことは理解される。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】視覚的表示の引掻評価段階である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半結晶性ポリオレフィン 約10〜約90質量パーセント;
プロピレン含有ホモポリマー又はコポリマーと少なくとも1つの親水性部分を含有する少なくとも1種の有機モノマーの反応生成物であり、該反応生成物が少なくとも1つの金属イオンで少なくとも部分的に中和されているプロピレン系ポリオレフィン-金属塩 約0.1〜約50質量パーセント; 及び
少なくとも1つの極性基で変性されたスチレンブロックアイオノマー成分の反応生成物であって、少なくとも1つの金属イオンで少なくとも部分的に中和されている、前記反応生成物 約0.1〜約50質量パーセント、
を含む、ポリオレフィン樹脂ブレンド。
【請求項2】
半結晶性ポリオレフィンがポリオレフィン樹脂ブレンドの約15〜約85質量パーセントを含み、プロピレン系ポリオレフィン-金属塩が約1〜約45質量パーセントを含み、変性スチレンブロックアイオノマー成分が約1〜約45質量パーセントを含むことを特徴とする請求項1記載のポリオレフィン樹脂ブレンド。
【請求項3】
半結晶性ポリオレフィンが1種以上のプロピレンホモポリマー、エチレンホモポリマー、プロピレンとC2〜C20α-オレフィン成分のコポリマー、エチレンとC3〜C20α-オレフィン成分のコポリマー、又はその混合物を含むことを特徴とする、請求項1記載のポリオレフィン樹脂ブレンド。
【請求項4】
各親水性部分と各極性基が各々独立してα,β-エチレン系不飽和カルボン酸又はカルボン酸無水物モノマー、又はその混合物を含むことを特徴とする、請求項1記載のポリオレフィン樹脂ブレンド。
【請求項5】
各親水性部分と各極性基が各々独立してメタクリル酸、アクリル酸、マレイン酸無水物、又はその混合物を含むことを特徴とする、請求項4記載のポリオレフィン樹脂ブレンド。
【請求項6】
ブレンドが、スチレン骨格鎖に組み込まれた少なくとも1つの不飽和ジカルボン酸誘導体; 及び各不飽和ジカルボン酸誘導体を少なくとも部分的に中和するのに十分な量で存在する少なくとも1つの金属イオンから構成されるランダムスチレンコポリマーの反応生成物である高分子金属塩を更に含むことを特徴とする、請求項1記載のポリオレフィン樹脂ブレンド。
【請求項7】
金属イオンが各々独立してリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、鉛、スズ、亜鉛、アルミニウム又はその組合わせを含むことを特徴とする、請求項1記載のポリオレフィン樹脂ブレンド。
【請求項8】
スチレンブロックコポリマー、水素化スチレンブタジエンランダムコポリマー、又はその混合物を含む衝撃改質剤を約0.1〜約40質量パーセントの量で更に含む、請求項1記載のポリオレフィン樹脂ブレンド。
【請求項9】
タルク、炭酸カルシウム、ウォラストナイト、アルミナ3水和物、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、カーボンブラック、金属繊維、ホウ素繊維、セラミック繊維、高分子繊維、カオリン、ガラス、セラミック、炭素マイクロスフェア又は高分子マイクロスフェア、シリカ、マイカ、ガラス線維、炭素繊維、クレー、又はその混合物を含む鉱物質充填剤を約1〜約40質量パーセントの量で更に含む、請求項1記載のポリオレフィン樹脂ブレンド。
【請求項10】
請求項1記載のポリオレフィン樹脂ブレンドを含む製品。
【請求項11】
自動車部品としての請求項10記載の製品の使用。
【請求項12】
ポリオレフィン樹脂ブレンドから製品を調製する方法であって、
半結晶性ポリオレフィン樹脂成分、親水性部分を含有する有機モノマーで官能基化されたプロピレン含有ポリマーと該親水性部分を少なくとも部分的に中和するのに十分な量で存在する少なくとも1つの金属イオンの反応生成物であるプロピレン系ポリオレフィン-金属塩、及び約0.1〜約50質量パーセントの、少なくとも1つの極性基で変性されたスチレンブロックアイオノマー成分を溶融ブレンドしてブレンドを形成し、該反応生成物が少なくとも1つの金属イオンで少なくとも部分的に中和されている工程であって、各ポリマーが少なくとも部分的に溶融するように該溶融ブレンドが十分に高温である、前記工程; 及び
該ブレンドを表面をもつ製品に成形する工程であって、該製品の表面が20ニュートン負荷に供されたときに、引掻評価段階がほぼ3未満であり、あばら状でもなく引裂もない、前記工程
を含む、前記方法。
【請求項13】
スチレン骨格鎖に組み込まれた少なくとも一つの不飽和ジカルボン酸誘導体から構成されるランダムスチレンコポリマーと各不飽和ジカルボン酸誘導体を少なくとも部分的に中和するのに十分な量で存在する少なくとも1つの金属イオンの反応生成物である高分子金属塩を溶融ブレンドする工程を更に含み、金属イオンが各々独立してリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、鉛、スズ、亜鉛、アルミニウム又はその組合わせを含んでいる、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記ブレンドが自動車部品に成形される、請求項12記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2006−503152(P2006−503152A)
【公表日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−544781(P2004−544781)
【出願日】平成15年9月29日(2003.9.29)
【国際出願番号】PCT/US2003/030595
【国際公開番号】WO2004/035678
【国際公開日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【出願人】(598172170)
【氏名又は名称原語表記】Solvay Engineered Polymers
【Fターム(参考)】