説明

表面被覆粉体及び該粉体を含有する化粧料

粉体表面を、オルガノポリシロキサンと金属酸化物とが分子レベルで複合化している金属酸化物・オルガノポリシロキサンハイブリッドで被覆してなる表面被覆粉体である。金属酸化物・オルガノポリシロキサンハイブリッドゾルで粉体を被覆して、粉体表面に上記のハイブリッドの薄膜を形成させる。上記の金属酸化物・オルガノポリシロキサンハイブリッドの金属酸化物は、酸化チタン、酸化ジルコニウム及び二酸化ケイ素から選ばれた一種又は二種以上の金属酸化物が好ましい。上記の金属酸化物・オルガノポリシロキサンハイブリッドは、金属酸化物とオルガノポリシロキサンとの割合を調整することによって撥水性をコントロールできるので、この割合を調整して粉体の撥水性を容易にコントロールできる。また、表面被覆粉体を配合した化粧料は、自然な外観及び塗布時の感触が優れている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、表面被覆した粉体に関する。更に詳しくは、金属酸化物・オルガノポリシロキサンハイブリッドで表面被覆した粉体に関する。また、該粉体からなる化粧品用粉体、及び該粉体を含有する化粧料に関する。
【背景技術】
化粧料に用いる粉体は、化粧持ちを向上させたり、化粧塗布時の感触を改善するため、シリコーン、金属石鹸、パーフルオロアルキルリン酸エステルに代表されるフッ素含有物質などの撥水性表面処理剤で表面被覆されるのが一般的である。
そして、この表面被覆処理後の粉体の撥水性が低いと化粧持ちが向上しない。逆に撥水性が高すぎると肌なじみが悪くなり、結果として化粧持ちが悪くなったり、化粧の崩れ方が汚くなったりする。したがって、撥水性の調整が重要になる。この粉体の撥水性の調整は、粉体を表面被覆処理するときの撥水性表面処理剤の処理量を変えることで可能であるが、処理量が少なすぎると粉体の表面を完全に被覆することができず、品質のばらつきや凝集の原因にもなる。また処理量を増やした場合でも、その量が多すぎると粉体の表面に被覆されないで余るものが出てくるため、処理量に応じた撥水性が出ないという問題がある。さらに、処理量が少なすぎても多すぎても感触が悪くなるという問題もある。すなわち、撥水性表面処理剤の処理量を変えて粉体の撥水性の程度を調整するのには問題点がある。
粉体の撥水性表面処理剤として最も一般的に使用されているものは、構造のバリエーション、入手しやすさ、機能性、安全性などの点から、シリコーンもしくはその誘導体である。本出願人は、先に、オルガノポリシロキサンの珪素原子の一部が酸素を介して金属原子と共有結合し均一に複合化している金属酸化物・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体を開発した(特開2001−64395号)。この粉体はそのまま化粧料に配合している。
【発明の開示】
本発明者らは、表面処理によって粉体表面の撥水性をコントロールするには、撥水性表面処理剤の粉体表面への被覆量をコントロールして行うのではなく、撥水性表面処理剤の撥水性そのものをコントロールして行なうほうが良いと考えた。
そして、金属酸化物・オルガノポリシロキサンハイブリッドが、親水性である金属酸化物と疎水性であるオルガノポリシロキサンとのハイブリッドであることに注目し、すなわち、金属酸化物とオルガノポリシロキサンの割合を変えることによってハイブリッドの撥水性を調整できることに注目し、このハイブリッドを粉体表面処理剤に用いて表面処理粉体の撥水性をコントロールすることを思い付き、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、粉体表面を、オルガノポリシロキサンと金属酸化物とが分子レベルで複合化している金属酸化物・オルガノポリシロキサンハイブリッドで被覆してなる表面被覆粉体である。上記の金属酸化物・オルガノポリシロキサンハイブリッドの金属酸化物は、酸化チタン、酸化ジルコニウム及び二酸化ケイ素から選ばれた一種又は二種以上の金属酸化物が好ましい。また、上記の金属酸化物・オルガノポリシロキサンハイブリッドのオルガノポリシロキサンは、下記一般式(1):

〔式中、Rは炭素数1〜22アルキル基、アリール基又はアラルキル基であって、それぞれ同一でも異なってもよい。Yは、−R、−O−又は−R−Si(−O−)で示される基(但し、Rは炭素数1〜5のアルキレン基)であり、同一でも異なってもよいが、少なくとも1個は−O−又は−R−Si(−O−)である。また、n=1〜100、m=0〜5である。〕
で表される残基が好ましい。
また、本発明は、金属アルコキシドの部分加水分解物に、末端或いは側鎖に反応性の官能基をもつオルガノポリシロキサンを反応して得たハイブリッドゾルで、粉体を表面被覆処理し、その後乾燥することを特徴とする表面被覆粉体の製造方法である。このオルガノポリシロキサンとしては、下記一般式(2):

〔式中、Rは炭素数1〜22のアルキル基、アリール基又はアラルキル基であって、それぞれ同一でも異なってもよい。Xは、−H、−R又は−R−Si(−ORで示される基(但し、Rは炭素数1〜5のアルキレン基、Rは水素又は炭素数1〜5のアルキル基)であり、同一でも異なってもよいが、少なくとも1個は−H、又は−R−Si(−ORである。また、n=1〜100、m=0〜5である。〕
が好ましい。
また、本発明は、上記の表面被覆した粉体からなる化粧品用粉体、更にはこの化粧品用粉体を含有する化粧料である。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の表面被覆した酸化チタンと未処理酸化チタンの受光角と輝度(Y)との関係を示したグラフである。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明の表面被覆粉体において、粉体の表面を被覆する金属酸化物・オルガノポリシロキサンハイブリッドは、オルガノポリシロキサンと金属酸化物が分子レベルで複合化したものである。ここに、「分子レベルで複合化」とは、オルガノポリシロキサン相と金属酸化物相との2つの相がナノメーターのオーダーで混ざり合っていることを指す。このものは、オルガノポリシロキサン相と金属酸化物相とのドメインサイズが可視光の波長(400nm)以下であり、光学顕微鏡ではオルガノポリシロキサン相と金属酸化物相の2つの相を確認することが出来ない性質を有する。また、オルガノポリシロキサン相と金属酸化物相との界面において、金属原子の一部とオルガノポリシロキサンの珪素原子とが酸素を介して結合する共有結合が存在する。このような共有結合が存在することによって、金属酸化物とオルガノポリシロキサンとが均質に複合化したハイブリッド体が得られる。
本発明では、この金属酸化物・オルガノポリシロキサンハイブリッドを、前駆体であるゾルの状態で粉体表面に被覆する。そして、この粉体表面で金属酸化物・オルガノポリシロキサンハイブリッドを生成させる。
上記の金属酸化物・オルガノポリシロキサンハイブリッドにおいて、オルガノポリシロキサンとハイブリッド化させる金属酸化物の金属としては、チタン、ジルコニウム、アルミニウム等が挙げられ、更に珪素も用いられる。これらの金属の酸化物はそれぞれ単独で使用してもよいし、2種以上混合して使用してもよい。金属酸化物の中でも酸化チタン、酸化ジルコニウ厶が好ましく、特に酸化チタンが好適である。これらの金属酸化物は、後述するごとく、金属アルコキシド(アルコール類の水酸基の水素をチタンなどの金属で置換した化合物)を出発物質に用いることが好ましい。ハイブリッド化の過程において金属は金属酸化物に変化する。このアルコキシドとしては、メトキシド、エトキシド、プロポキシド、ブトキシド、イソプロポキシドなどが挙げられる。
また、金属酸化物とハイブリッドさせるのに使用するオルガノポリシロキサンは、その末端或いは側鎖に反応性の官能基をもつオルガノポリシロキサン(本発明では、反応性オルガノポリシロキサンという)であれば特に限定されない。反応性の官能基は例えばアルコキシ基、シラノール基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基等であるが、アルコキシ基を持つオルガノポリシロキサンやシラノール基を持つオルガノポリシロキサン(ここでは、これらアルコキシ基やシラノール基を持つオルガノポリシロキサンを、単にアルコキシ基含有オルガノポリシロキサン、シラノール基含有オルガノポリシロキサンということがある。)が好ましい。
上記のアルコキシ基はメトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、イソプロポキシ基などである。特に次式の一般式(2)で示されるアルコキシ基を有するオルガノポリシロキサン誘導体が好ましく用いられる。

〔式中、Rは炭素数1〜22のアルキル基、アリール基又はアラルキル基であって、それぞれ同一でも異なってもよい。Xは、−H、−R又は−R−Si(−ORで示される基(但し、Rは炭素数1〜5のアルキレン基、Rは水素又は炭素数1〜5のアルキル基)であり、同一でも異なってもよいが、少なくとも1個は−H、又は−R−Si(−ORである。また、n=1〜100、m=0〜5である。〕
上記Rのアルキル基はメチル基、エチル基、プロピル基などであり、特にメチル基の化合物が好ましく用いられる。また上記Rのアリール基はフェニル基、トリル基などであり、アラルキル基はフェネチル基などである。これらのオルガノポリシロキサン誘導体としては例えば一般式(3)が挙げられる(この一般式(3)中のR、R、n、は一般式(2)における定義と同じである)。具体的には、次式(4)、(5)で示される化合物が挙げられる。



本発明の表面被覆粉体の製造方法を説明する。本発明では、金属酸化物・オルガノポリシロキサンハイブリッドを、その前駆体であるゾルの状態で粉体の表面被覆に用い、そして粉体表面で完結した金属酸化物・オルガノポリシロキサンハイブリッドにする。ここでは、金属酸化物として酸化チタンを選択し、その出発原料としてチタンのアルコキシドを用い、反応性オルガノポリシロキサンとしてアルコキシ基含有ジメチルポリシロキサンを用いた場合を例にして説明する。
チタンのアルコキシドに水と有機溶媒と酸の混合液を滴下して部分的に加水分解し、チタニアゾルを生成させる。このとき、混合液をゆっくりと添加して透明なゾルが得られるようにするのが好ましい。このチタニアゾルにアルコキシ基含有ジメチルポリシロキサン誘導体を添加することにより、ハイブリッドゾルが生成する。この段階では、加水分解・重合は完全には完結していない状態にある。このハイブリッドゾルを粉体の表面被覆に用いる。
このハイブリッドゾルは、透明な薄膜を形成する性質を有する。このハイブリッドゾルで粉体表面を被覆し、粉体表面おいて、更にハイブリッドゾルの加水分解・重合を進めることにより、酸化チタン・ジメチルポリシロキサンハイブリッドで表面被覆された表面被覆粉体を得ることができる。
本発明において、ハイブリッドゾルで粉体表面を被覆し、粉体表面おいて酸化チタン・ジメチルポリシロキサンハイブリッドを形成させる方法としては、ハイブリッドゾルと粉体を混合し、その後乾燥する方法、ハイブリッドゾルを粉体表面に噴霧し、その後乾燥する方法、ハイブリッドゾルと粉体を混合し、その後アンモニア水などのアルカリ剤を添加してハイブリッドを粉体表面に析出させから乾燥する方法などが挙げられる。
ハイブリッドゾルを用いて形成させたハイブリッド薄膜は、透明で柔軟性のある均一な皮膜である。このハイブリッドの薄膜は、酸化チタンとジメチルポリシロキサンとの組成比を変えることによって、撥水性、屈折率をコントロールすることができる。なお、チタンのアルコキシドを単独で加水分解・重合を行うと酸化チタンが生成し、通常、透明な薄膜を作成するのは困難である。一方、アルコキシ基含有オルガノポリシロキサンを単独で加水分解・重合を行っても、単に高分子量化するだけであり、強固な皮膜を形成することはできない。
本発明において、金属酸化物・オルガノポリシロキサンハイブリッドで表面被覆される粉体としては、化粧品一般に使用される粉体であれば、板状、紡錘状、針状等の形状や、粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、複合粉体類等が挙げられる。具体的には、コンジョウ、群青、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化セリウム、二酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、マイカ、合成マイカ、合成セリサイト、セリサイト、タルク、カオリン、炭化ケイ素、硫酸バリウム、ベントナイト、スメクタイト、窒化ホウ素等の無機粉体類、オキシ塩化ビスマス、雲母チタン、酸化鉄コーティング雲母、酸化鉄雲母チタン、有機顔料処理雲母チタン、アルミニウムパウダー等の光輝性粉体類、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、N−アシルリジン、ナイロン等の有機粉体類、有機タール系顔料、有機色素のレーキ顔料等の色素粉体類、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有二酸化ケイ素、酸化亜鉛含有二酸化ケイ素等の複合粉体等が挙げられ、これら粉体は一種または二種以上組み合わせて用いることができる。また、これら粉体は一種または二種以上の複合化したものを用いてもよい。
本発明で、粉体に対する金属酸化物・オルガノポリシロキサンハイブリッドの量は、特に限定されないが、好ましく、粉体に対して1〜99質量%(以下、単に「%」と記す)、より好ましくは3%以上である。
本発明の表面被覆粉体は、塗料、インキ、化粧料などにおいて、粉体として用いられる。特に化粧用粉体として有用である。
本発明の表面被覆粉体の撥水性は、水と有機溶媒である2−プロパノールの混液に対する濡れ易さの程度で評価した。混液に粉体を添加すると、濡れない場合は液面に浮遊するが、水に対する2−プロパノールの割合を増やしていくと、最終的には粉体は沈降する。このときの水に対する2−プロパノールの容量の割合を撥水化度と定義した。例えば、水25mLに対して2−プロパノールの量が10mLである場合、撥水化度は0.4となる。撥水化度が大きいほど、粉体の撥水性が高いことを示している。表面被覆粉体を化粧料に用いる場合、撥水化度が低すぎると汗で濡れてしまうため化粧持ちが悪くなる。一方、撥水化度が高すぎても肌とのなじみが悪くなることから化粧持ちが悪くなる。具体的には、撥水化度の値が0.6以上、1.2未満が好ましい。
化粧料のファンデーション等に用いられる粉体の開発において、塗布時の自然な外観を実現するため、粉体の光学的特性をコントロールすることが一般に行われている。具体的には、例えば、粉体に光が入射したときの表面反射光の割合を減じ、散乱光を増やすことによって、塗布時の不自然なつやをなくし、かつ肌の欠点を隠すことが可能である。粉体表面に、屈折率の異なる二酸化ケイ素や酸化チタンなどを被覆することにより、相対的に散乱光を増やすことができる。しかし、これら無機酸化物を用いた複合体の場合、そのままでは感触に固さがあり、さらに撥水性を付与するために表面処理を行う必要がある。これらに対して、本発明では、金属酸化物・オルガノポリシロキサンハイブリッドにより粉体を被覆することで、感触の柔らかさと適度な撥水性を付与しつつ、粉体表面に形成される透明な金属酸化物・オルガノポリシロキサンハイブリッド層により、散乱光を増加させることができる。
次に本発明の表面被覆粉体を配合した化粧料について説明する。金属酸化物・オルガノポリシロキサンハイブリッドで表面被覆した本発明の表面被覆粉体を配合することによって、化粧持ち、使用感、自然な仕上がりに優れた化粧料を得ることができる。化粧料の剤型としては、主にファンデーション、白粉等のメイクアップ化粧料を中心に、日焼け止め化粧料、乳液、化粧水等のスキンケア化粧料、頭髪化粧料等にも用いることができる。表面被覆粉体の配合量は特に限定されないが、好ましくは、0.1質量%以上である。
更に、本発明の化粧料には、剤型を保持するためやその他種々の目的に応じて通常化粧料に用いられる成分を本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。例えば、油性成分によりエモリエント感を付与したり、有機粉体、無機粉体、顔料等の粉体により着色効果やパウダリー感を付与したり、水溶性高分子、アルコール類、水等の水性成分によりモイスチュア感を付与したり、粉体分散、感触調整のための界面活性剤、ポリマーエマルジョン等の皮膜形成剤、紫外線吸収剤、保湿剤、酸化防止剤、美容成分、pH調整剤、消泡剤、褪色防止剤、防腐剤、香料などを各種の効果を付与するために適宜配合することができる。
以下に本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
ハイブリッドゾルの製造例1.
1molのチタンテトライソプロポキシド(和光純薬製)をガラス製ビーカーにとり、マグネティックスターラーにて攪拌しつつ、ここに1molの水、0.06molの塩酸、イソプロピルアルコール400mLの混合液を約2mL/minの速度で滴下し、透明なチタニアゾルを得た。滴下終了直後に0.2molの前記化学式(4)で示されるアルコキシ基含有ジメチルポリシロキサンとイソプロピルアルコール200mLの混合液を添加し、酸化チタン・ジメチルポリシロキサンハイブリッドゾルを得た。チタンテトライソプロポキシドとアルコキシ基含有ジメチルポリシロキサンの仕込み比がモル比で5:1であることから、ここで得たゾルを以後5/1ハイブリッドゾルと称する。
ハイブリッドゾルの製造例2.
1molのチタンテトライソプロポキシド(和光純薬製)をガラス製ビーカーにとり、マグネティックスターラーにて攪拌しつつ、ここに1molの水、0.06molの塩酸、イソプロピルアルコール400mLの混合液を約2mL/分の速度で滴下し、透明なチタニアゾルを得た。滴下終了直後に0.1molの前記の化学式(4)に示されるアルコキシ基含有ジメチルポリシロキサンとイソプロピルアルコール100mLの混合液を添加し、酸化チタン・ジメチルポリシロキサンハイブリッドゾルを得た。チタンテトライソプロポキシドとアルコキシ基含有ジメチルポリシロキサンの仕込み比がモル比で10:1であることから、ここで得たゾルを以後10/1ハイブリッドゾルと称する。
【実施例1】
酸化チタン(ルチル型、試薬特級・関東化学製)100部に対し、製造例1の5/1ハイブリッドゾル20部を加えて混合し、さらにイソプロピルアルコールを加えてスラリー状とした。ハイブリッドゾル中のイソプロピルアルコール、及び脱離するアルコキシ基を考慮し、粉体表面に被覆される酸化チタン/ジメチルポリシロキサンハイブリッドが生成物(処理後の粉体をいう、以下同じ)に対して約5質量%となる固形分量とした。これを自動乳鉢で混合粉砕しながらイソプロピルアルコールを揮発させた。これを100℃で乾燥した後粉砕し、5/1ハイブリッド被覆酸化チタンを得た。
【実施例2】
酸化チタン(ルチル型、試薬特級・関東化学製)100部に対し、製造例2の10/1ハイブリッドゾル25部を加えて混合し、さらにイソプロピルアルコールを加えてスラリー状とした。ハイブリッドゾル中のイソプロピルアルコール、及び脱離するアルコキシ基を考慮し、粉体表面に被覆される酸化チタン/ジメチルポリシロキサンハイブリッドが生成物に対して約5質量%となる固形分量とした。これを自動乳鉢で混合粉砕しながらイソプロピルアルコールを揮発させた。これを100℃で乾燥した後粉砕し、10/1ハイブリッド被覆酸化チタンを得た。
比較例1.
酸化チタン(ルチル型、試薬特級・関東化学製)100部に対し、前記の化学式(4)のアルコキシ基含有ジメチルポリシロキサン4部をイソプロピルアルコールで希釈して混合し、さらにイソプロピルアルコールを加えてスラリー状とした。これを自動乳鉢で混合粉砕しながらイソプロピルアルコールを揮発させた。これを100℃で乾燥した後粉砕し、シリコーン被覆酸化チタンを得た。
比較例2.
酸化チタン(ルチル型、試薬特級・関東化学製)98.2部に対し、メチルハイドロジェンジメチルポリシロキサン0.8部をイソプロピルアルコールで希釈して混合し、さらにイソプロピルアルコールを加えてスラリー状とした。これを自動乳鉢で混合粉砕しながらイソプロピルアルコールを揮発させた。これを100℃で乾燥した後粉砕し、0.8%メチルハイドロジェンジメチルポリシロキサン被覆酸化チタンを得た。
比較例3.
酸化チタン(ルチル型、試薬特級・関東化学製)100部に対し、メチルハイドロジェンジメチルポリシロキサン4部をイソプロピルアルコールで希釈して混合し、さらにイソプロピルアルコールを加えてスラリー状とした。これを自動乳鉢で混合粉砕しながらイソプロピルアルコールを揮発させた。これを100℃で乾燥した後粉砕し、3.8%メチルハイドロジェンジメチルポリシロキサン被覆酸化チタンを得た。
〔撥水性試験〕
実施例1、2及び比較例1〜3について撥水性を評価した。撥水性の評価は以下の方法で行った。
100mLビーカーに水25mLと測定サンプル0.05gをとり、マグネティックスターラーにより攪拌しながら、ビュレットを用いて2−プロパノールを滴下した。攪拌している状態で液面に浮遊しているサンプルが目視で確認できなくなった時点での滴下量を読み取った。結果を以下の第1表にまとめる。表中の撥水化度とは、2−プロパノールの滴下量と水の容量比をとった値であり、撥水化度が高いほど撥水性が高いことを示している。

実施例1、2の結果より、出発物質の比(チタンテトライソプロポキシドとアルコキシ基含有ジメチルポリシロキサンの仕込み比)を変えることにより、同一の処理量でも撥水性の程度がコントロールされていることがわかる。比較例1の結果より、ハイブリッドの原料であるアルコキシ基含有ジメチルポリシロキサンのみでは充分な撥水性を示さないことがわかる。
実施例1、2及び被覆処理前の酸化チタンについて変角色差計を用いて評価を行った。半透明の粘着テープ(住友3M製)の粘着面に、評価サンプルをブラシにより塗布し、変角色差計(テックワールド社製・マルチ分光ゴニオフォトメータ)により測定を行った。入射角は−5°、受光角は5°から80°の範囲とした(第1図)。このときの輝度(Y)と受光角の関係をプロットした結果から、実施例1、2の被覆処理後の酸化チタンは、未処理の酸化チタンと比較して、低角度側での輝度が下がり、相対的に高角度側の輝度が上がっていることが確認された。低角度側は正反射光に対応し、高角度側は散乱光に対応することから、ハイブリッドゾルで被覆することで光の散乱能が上がっていることが確認された。
実施例3、4.
上記の実施例1、2及び比較例1〜3を配合したパウダーファンデーション、すなわち下表に示す組成のパウダーファンデーションを製造し、専門パネル40名により、「のび・広がり」、「密着感」、「化粧持続性」、「自然な外観」について使用テストを行った。良いと判定した人数により、下記基準にて評価した。評価結果を第2表にまとめる。
〔評価〕
◎: 35名以上
○: 25〜34名
△: 15〜24名
×: 15名未満

(製造方法)
A: 成分1〜11を混合分散する。
B: 成分12〜16を混合する。
C: AにBを添加混合し、粉砕してパウダーファンデーションを得た。
表の結果から明らかのように、本発明に係わる実施例3、4はすべての項目において良好な結果が得られた。
【実施例5】
黄酸化鉄100部に対し、製造例1の5/1ハイブリッドゾル20部を加えて混合し、さらにイソプロピルアルコールを加えてスラリー状とした。ハイブリッドゾル中のイソプロピルアルコール、及び脱離するアルコキシ基を考慮し、粉体表面に被覆される酸化チタン/ジメチルポリシロキサンハイブリッドが生成物に対して約5質量%となる固形分量とした。これを自動乳鉢で混合粉砕しながらイソプロピルアルコールを揮発させた。これを100℃で乾燥した後粉砕し、5/1ハイブリッド被覆黄酸化鉄を得た。同様にして、5/1ハイブリッド被覆ベンガラ、黒酸化鉄を得た。得られたこれらの5/1ハイブリッド被覆酸化鉄は、色の濁りがなく、シリコーンのみで被覆処理したものと比べても同等レベルであった。撥水化度はいずれも0.6以上0.8未満の範囲にあった。
【実施例6】
黄酸化鉄100部に対し、製造例2の10/1ハイブリッドゾル25部を加えて混合し、さらにイソプロピルアルコールを加えてスラリー状とした。ハイブリッドゾル中のイソプロピルアルコール、及び脱離するアルコキシ基を考慮し、粉体表面に被覆される酸化チタン/ジメチルポリシロキサンハイブリッドが生成物に対して約5質量%となる固形分量とした。これを自動乳鉢で混合粉砕しながらイソプロピルアルコールを揮発させた。これを100℃で乾燥した後粉砕し、10/1ハイブリッド被覆黄酸化鉄を得た。同様にして、10/1ハイブリッド被覆ベンガラ、黒酸化鉄を得た。得られたこれらの10/1ハイブリッド被覆酸化鉄は、色の濁りがなく、シリコーンのみで被覆処理したものと比べても同等レベルであった。撥水化度はいずれも0.8以上1.0未満の範囲にあった。
【実施例7】
セリサイト100部に対し、製造例1の5/1ハイブリッドゾル20部を加えて混合し、さらにイソプロピルアルコールを加えてスラリー状とした。ハイブリッドゾル中のイソプロピルアルコール、及び脱離するアルコキシ基を考慮し、粉体表面に被覆される酸化チタン/ジメチルポリシロキサンハイブリッドが生成物に対して約5質量%となる固形分量とした。これを自動乳鉢で混合粉砕しながらイソプロピルアルコールを揮発させた。これを100℃で乾燥した後粉砕し、5/1ハイブリッド被覆セリサイトを得た。同様にして、5/1ハイブリッド被覆タルク、マイカを得た。撥水化度はいずれも0.6以上0.8未満の範囲にあった。
【実施例8】
セリサイト100部に対し、製造例2の10/1ハイブリッドゾル25部を加えて混合し、さらにイソプロピルアルコールを加えてスラリー状とした。ハイブリッドゾル中のイソプロピルアルコール、及び脱離するアルコキシ基を考慮し、粉体表面に被覆される酸化チタン/ジメチルポリシロキサンハイブリッドが生成物に対して約5質量%となる固形分量とした。これを自動乳鉢で混合粉砕しながらイソプロピルアルコールを揮発させた。これを100℃で乾燥した後粉砕し、10/1ハイブリッド被覆セリサイトを得た。同様にして、10/1ハイブリッド被覆タルク、マイカを得た。撥水化度はいずれも1.0以上1.2未満の範囲にあった。
【実施例9】
パウダーファンデーション
(成分) (%)
1.5/1ハイブリッド被覆酸化チタン(実施例1) 10.0
2.10/1ハイブリッド被覆酸化チタン(実施例2) 10.0
3.10/1ハイブリッド被覆タルク(実施例8) 15.0
4.10/1ハイブリッド被覆セリサイト(実施例8) 残量
5.球状ナイロンパウダー 5.0
6.シリカ 5.0
7.10/1ハイブリッド被覆黄酸化鉄・ベンガラ・
黒酸化鉄(実施例6) 5.0
8.流動パラフィン 4.0
9.ポリイソブチレン 2.0
10.トリイソステアリン酸ジグリセリル 3.0
11.美容成分 適量
12.香料 適量
(製造方法)
A:成分1〜7を混合する。
B:成分8〜10を加温溶解し、これに成分11及び12を添加する。
C:AにBを加え混練後、ハンマーミルで粉砕する。
D:金皿にプレス成型しパウダーファンデーションを得た。
得られたパウダーファンデーションは、伸び広がり、肌なじみが良く、適度な密着感があり、自然な仕上がり、化粧もちに優れていた。
【実施例8】
油性ファンデーション
(成分) (%)
1.5/1ハイブリッド被覆酸化チタン(実施例1) 8.0
2.10/1ハイブリッド被覆酸化チタン(実施例2) 6.0
3.酸化亜鉛 10.0
4.5/1ハイブリッド被覆セリサイト(実施例7) 残量
5.5/1ハイブリッド被覆マイカ(実施例7) 10.0
6.5/1ハイブリッド被覆黄酸化鉄・ベンガラ・
黒酸化鉄(実施例5) 7.0
7.スクワラン 15.0
8.カルナウバワックス 3.0
9.マイクロクリスタリンワックス 5.0
10.メチルポリシロキサン 10.0
11.デカメチルシクロペンタシロキサン 10.0
12.美容成分 適量
13.香料 適量
(製造方法)
A:成分1〜6を混合する。
B:成分7〜10を90℃にて溶解し、これに成分11を添加する。
C:AにBを加え、練り合わせる。
D:Cに成分12〜13を加え、均一に混合する。
E:Dを金皿に加温成型し、油性ファンデーションを得た。
得られた油性ファンデーションは、伸び広がり、密着感があり、自然な仕上がり、化粧もちに優れていた。
【実施例9】
油中水型乳化ファンデーション
(成分) (%)
1.5/1ハイブリッド被覆酸化チタン(実施例1) 5.0
2.10/1ハイブリッド被覆酸化チタン(実施例2) 3.0
3.5/1ハイブリッド被覆セリサイト(実施例7) 5.0
4.5/1ハイブリッド被覆黄酸化鉄・ベンガラ・
黒酸化鉄(実施例5) 4.0
5.ジカプリン酸ネオペンチルグリコール 6.0
6.大豆レシチン 1.0
7.セスキオレイン酸ソルビタン 2.0
8.精製水 残量
9.プロピレングリコール 9.0
10.防腐剤 適量
11.デカメチルシクロペンタシロキサン 20.0
12.スクワラン 5.0
13.ポリアクリル酸アルキル粉体 3.0
14.美容成分 適量
15.香料 適量
(製造方法)
A:成分5〜7を溶解した後、成分1〜4を添加し、充分混合する。
B:成分11〜15をホモミキサーで混合した後、Aを加え分散混合する。
C:Bに別に溶解混合した成分8〜10を添加して乳化混合する。
D:Cを脱泡して油中水型ファンデーションを得た。
得られた油中水型ファンデーションは、伸び広がり、密着感があり、自然な仕上がり、化粧もちに優れていた。
【実施例10】
アイシャドウ
(成分) (%)
1.10/1ハイブリッド被覆セリサイト(実施例8) 35.0
2.10/1ハイブリッド被覆タルク(実施例8) 残量
3.10/1ハイブリッド被覆酸化チタン(実施例2) 5.0
4.10/1ハイブリッド被覆黄酸化鉄・ベンガラ・
黒酸化鉄(実施例6) 10.0
5.ベンガラ被覆被覆雲母チタン 10.0
6.球状ポリスチレンパウダー 5.0
7.無孔質球状二酸化ケイ素 5.0
8.リンゴ酸ジイソステアリル 4.0
9.スクワラン 4.0
10.トリイソステアリン酸ジグリセリル 4.0
11.美容成分 適量
12.香料 適量
(製造方法)
A:成分1〜7を混合する。
B:成分8〜10を加温溶解し、これに成分11及び12を添加する。
C:AにBを加え混練後、ハンマーミルで粉砕する。
D:金皿にプレス成型しアイシャドウを得た。
得られたアイシャドウは、発色が良く、肌なじみが良く、適度な密着感があり、化粧もちに優れたものであった。
【実施例11】
マスカラ
(成分) (%)
1.カルナウバワックス 4.0
2.ビーズワックス 4.0
3.ロジン酸ペンタエリスリット 2.0
4.ベヘニルアルコール 1.5
5.ショ糖脂肪酸エステル 1.5
6.セスキオレイン酸ソルビタン 2.0
7.モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) 1.0
8.5/1ハイブリッド被覆酸化チタン(実施例1) 2.0
9.パーフルオロアルキル基含有エステル被覆黒色酸化鉄 8.0
10. 5/1ハイブリッド被覆マイカ(実施例7) 6.0
11. 精製水 残量
12. 水酸化ナトリウム 0.5
13. 1,3−ブチレングリコール 8.0
14. 防腐剤 適量
15. ポリアクリル酸アルキル水分散溶液 30.0
16. ナイロン末 4.0
17. 美容成分 適量
18. 香料 適量
(製造方法)
A:成分1〜4を100℃にて加熱溶解し、成分5〜7を添加して溶解する。それに8〜10を添加し、充分練り合わせて粉体を分散させ、75℃とする。
B:成分11〜17を混合溶解し、75℃とする。
C:AにBを添加して乳化混合する。その後脱泡し、冷却後、成分18を添加してマスカラを得た。
得られたマスカラは、発色や睫への付着性が良好であった。
【実施例12】
口紅
(成分) (%)
1.マイクロクリスタリンワックス 10.0
2.セレシンワックス 5.0
3.ポリエチレンポリプロピレンコポリマー 5.0
4.液状ラノリン 7.0
5.ワセリン 5.0
6.イソオクタン酸セチル 10.0
7.流動パラフィン 残量
8.着色顔料 10.0
9.雲母チタン 10.0
10.5/1ハイブリッド被覆酸化チタン(実施例1) 5.0
11.染料 1.0
12.美容成分 適量
13.香料 適量
(製造方法)
A:成分1〜7を110℃にて加熱溶解する。
B:Aに成分8〜13を加え、90℃にて分散し、その後脱泡する。
C:Bを容器に充填し、冷却して口紅を得た。
得られた口紅は、伸びが良く滑らかで使用性に優れていた。
【実施例13】
日焼け止め化粧料
(成分) (%)
1.5/1ハイブリッド被覆酸化チタン(実施例1) 10.0
2.10/1ハイブリッド被覆酸化チタン(実施例2) 10.0
3.デカメチルシクロペンタシロキサン 20.0
4.ジカプリン酸ネオペンチルグリコール 5.0
5.パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 10.0
6.4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン 5.0
7.ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体 3.0
8.香料 適量
9.エタノール 5.0
10.美容成分 適量
11.精製水 残量
(製造方法)
A:成分1〜8をホモミキサーにて分散混合する。
B:Aに成分9〜11の混合溶解物を添加して乳化混合し、日焼け止め化粧料を得た。
得られた日焼け止め化粧料は、高い紫外線遮断効果を有しながらも白さが目立たず、伸び広がりなどの使用性も良好であった。
【発明の効果】
本発明の表面被覆粉体においては、その表面を被覆する金属酸化物・オルガノポリシロキサンハイブリッドが、金属酸化物とオルガノポリシロキサンとの割合を変えることによって、撥水性を調整することができるので、この撥水性の調整によって、母体となる粉体に同一量のハイブリッドを付着させても、粉体表面の撥水性を変えることができる。
また、上記の金属酸化物・オルガノポリシロキサンハイブリッドは可視光領域で高い透明性を持ち、母体となる粉体の色味を損なわない一方で、屈折率がコントロールされた均一な膜を粉体表面に形成することができ、そのため母粉体の光学的な性質を変えることができる。
さらに、金属酸化物・オルガノポリシロキサンハイブリッドは、オルガノポリシロキサンに由来する柔軟性を持つため良好な使用感の表面被覆粉体を得ることができる。また、本発明の表面被覆粉体を配合した化粧料は、塗布時の感触が優れ、また自然な外観の化粧を施すことができる。
【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体表面を、オルガノポリシロキサンと金属酸化物とが分子レベルで複合化している金属酸化物・オルガノポリシロキサンハイブリッドで被覆してなる表面被覆粉体。
【請求項2】
金属酸化物・オルガノポリシロキサンハイブリッドの金属酸化物が、酸化チタン、酸化ジルコニウム及び二酸化ケイ素から選ばれた一種又は二種以上の金属酸化物であることを特徴とする請求の範囲第1項記載の表面被覆粉体。
【請求項3】
金属酸化物・オルガノポリシロキサンハイブリッドのオルガノポリシロキサンが下記一般式(1):

〔式中、Rは炭素数1〜22のアルキル基、アリール基又はアラルキル基であって、それぞれ同一でも異なってもよい。Yは、−R、−O−又は−R−Si(−O−)で示される基(但し、Rは炭素数1〜5のアルキレン基)であり、同一でも異なってもよいが、少なくとも1個は−O−又は−R−Si(−O−)である。また、n=1〜100、m=0〜5である。〕
で表される残基である請求の範囲項第1項又は第2項記載の表面被覆粉体。
【請求項4】
一般式(1)のRがメチル基である請求の範囲第3項記載の表面被覆粉体。
【請求項5】
金属アルコキシドの部分加水分解物に、末端或いは側鎖に反応性の官能基をもつオルガノポリシロキサンを反応して得たハイブリッドゾルで粉体を表面被覆し、その後乾燥することを特徴とする請求の範囲第1項記載の表面被覆粉体を製造する方法。
【請求項6】
末端或いは側鎖に反応性の官能基をもつオルガノポリシロキサンが下記一般式(2):

〔式中、Rは炭素数1〜22アルキル基、アリール基又はアラルキル基であって、それぞれ同一でも異なってもよい。Xは、−H、−R又は−R−Si(−ORで示される基(但し、Rは炭素数1〜5のアルキレン基、Rは水素又は炭素数1〜5のアルキル基)であり、同一でも異なってもよいが、少なくとも1個は−H、又は−R−Si(−ORである。また、n=1〜100、m=0〜5である。〕
で表されるオルガノポリシロキサン誘導体である請求の範囲第5項記載の方法。
【請求項7】
一般式(2)のRがメチル基である請求の範囲第6項記載の方法。
【請求項8】
一般式(2)のオルガノポリシロキサン誘導体が、下記一般式(3):

(式中、Rは炭素数2〜4のアルキレン基、Rは−CH又は−C、nは6〜16)
で表される化合物である請求の範囲第6項記載の方法。
【請求項9】
請求の範囲第1〜4項のいずれかに記載の表面被覆粉体からなる化粧品用粉体。
【請求項10】
請求の範囲第9項記載の化粧品用粉体を含有する化粧料。

【国際公開番号】WO2005/059010
【国際公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【発行日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−516390(P2005−516390)
【国際出願番号】PCT/JP2004/019267
【国際出願日】平成16年12月15日(2004.12.15)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】