説明

表面装飾固形粉末化粧料およびその製造方法

【課題】 表面を光輝性粉体で均一に被覆した固形化粧料を提供することおよび光輝性粉体をその平均粒径の如何によらず、均一に固形化粧料表面に付与することができる表面装飾固形粉末化粧料の製造方法を提供すること。
【課題解決手段】 表面に、少なくとも成分(a)および(b)
(a)光輝性粉体
(b)5万cSt以上の動粘度を有するシリコーン油
を含有する複合体を保持する表面装飾固形粉末化粧料並びに固形粉末化粧料の表面に、少なくとも成分(a)、(b)および(c)
(a)光輝性粉体
(b)5万cSt以上の動粘度を有するシリコーン油
(c)揮発性溶剤
を含有し、粘度が20〜70cPである分散液を塗布し、次いで成分(c)の揮発性溶剤を揮散させることを特徴とする表面装飾固形粉末化粧料の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面装飾固形粉末化粧料およびその製造方法に関し、更に詳細には、固形粉末化粧料の表面を、美しく輝くよう装飾された表面装飾固形粉末化粧料およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
加圧成型された頬紅、アイシャドウ等の固形粉末化粧料の表面に、何らかの形で装飾性を付与しようというアイデアは以前から知られており、例えば、上記化粧料の表面に文字や絵模様を形成させることは知られている(特許文献1)。この文字等を形成する技術は、粉体を揮散性溶剤中に分散せしめて、固形粉末化粧料の表面に、文字や絵模様の輪郭に合わせて付着させ、その後に揮散性溶剤を除去するというものであった。
【0003】
しかしながら、このような単に粉体を揮散性溶剤中に分散せしめた分散液では、粉体が沈降しやすいため、固形粉末化粧料の表面に、安定的かつ均一に分散液を塗布させることができなかった。特に、粉体分散液を噴霧器等を用いてエアロゾル状にして適用させる場合には、凝集した粉体が装置に詰まるという問題点があった。また、粉体の粒径によっては、分散安定性が極端に悪化し、凝集した粉体が装置に詰まるという問題がより顕著であった。
【0004】
例えば、平均粒径が20〜50μmの光輝性粉体を単独で揮散性溶剤に分散させた系では、スプレーガンの使用により光輝性粉体を固形化粧料表面に均一に噴霧することが可能であっても、より光輝性を高めるために、平均粒径が50μm以上の光輝性粉体を使用すると均一に噴霧させることが困難となり、高い装飾効果を有する固形化粧料表面を具現化することはできなかった。
【0005】
一方、光輝性粉体を粉末のまま、自然落下により、固形粉末化粧料の表面に付着させる方法も考えられるが、この方法では、光輝性粉体を、固形粉末化粧料の表面に均一に付着させることが難しく、効率が悪いという問題点があった。
【0006】
そのため、光輝性粉体をその平均粒径の如何によらず、均一に固形化粧料表面に付与させる方法が望まれていた。特に、比較的平均粒径の大きい光輝性粉体は輝点の幅が大きく装飾効果が高いため、平均粒径が大きい光輝性粉体を均一に固形化粧料表面に付与できる方法が望まれていた。
【0007】
【特許文献1】特開平1−146812号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はかかる技術背景に鑑みてなされたものであり、その課題は、表面を光輝性粉体で均一に被覆した固形化粧料を提供することである。また、光輝性粉体をその平均粒径の如何によらず、均一に固形化粧料表面に付与することができる装飾された固形粉末化粧料の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、高粘度のシリコーンと共に、光輝性粉体を揮散性シリコーンに分散させ、その粘度を特定の範囲に調整した分散液を使用することにより、光輝性粉体を均一に表面に保持した固形粉末化粧料が得られることを見出し本発明に至った。
【0010】
すなわち本発明は、表面に、少なくとも成分(a)および(b)
(a)光輝性粉体
(b)5万cSt以上の動粘度を有するシリコーン油
を含有する複合体を保持する表面装飾固形粉末化粧料である。
【0011】
また本発明は、固形粉末化粧料の表面に、少なくとも成分(a)、(b)および(c)
(a)光輝性粉体
(b)5万cSt以上の動粘度を有するシリコーン油
(c)揮発性溶剤
を含有し、その粘度が20〜70cPである分散液を塗布し、次いで成分(c)の揮発性溶剤を揮散させることを特徴とする表面装飾固形粉末化粧料の製造方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、その表面に、均一に光輝性粉体を保持した固形化粧料を得ることができる。また、本発明方法によれば、光輝性粉体が分散液中で凝集しにくいため、分散液をエアロゾル状態にして安定的に固形化粧料表面に散布することができる。その結果、光輝性粉体をその粒径によらず、固形粉末化粧料の表面に均一に付着、保持させることができる。
【0013】
特に、本発明の製造方法によれば、比較的平均粒径が大きい光輝性粉体であっても、分散安定性を良好に保つことができるため、固形化粧料表面への均一な塗布が可能になる。そして比較的平均粒径が大きい光輝性粉体が有する大きなプリズム効果(輝点の移動する距離が大きいため、きらきらと輝いて見える現象)によって、固形化粧料表面を輝かせてより美しく見えるようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明において、固形粉末化粧料とは、粉末化粧料成分を必要に応じて他の材料と共に固形状に成型した化粧料をいい、連続相が油性成分である化粧料とは異なるものである。具体的には、粉末化粧料成分と他の成分を混合して組成物とした後、これを容器に充填することにより得られる化粧料であり、例えば、頬紅、アイシャドウ、パウダーファンデーション、フェイスパウダー等を挙げることができる。このうち、表面装飾の効果がより生かされる、頬紅、アイシャドウ等の固形化粧料に適用することが特に好ましい。
【0015】
本発明の表面装飾固形粉末化粧料の製造に用いられる分散液は、少なくとも、成分(a)として光輝性粉体、成分(b)として5万cSt以上の動粘度を有するシリコーン油および成分(c)として揮発性溶剤を含有するものであり、その粘度が20〜70cPであるものである。
【0016】
この分散液中の成分(a)である光輝性粉体は、化粧料の分野で、光輝性粉体、ラメ、パール剤、真珠光沢剤等と呼ばれているものを広く指し、その材質、物性、粒径、粒子形状等は特に限定はないが、平均粒径が50μm以上のものであることが好ましく、特に好ましくは、50〜150μmである。
【0017】
また、成分(a)は、そのアスペクト比が、50以上の扁平粉体であることが好ましい。アスペクト比が50未満の場合には、光の入射角度を変化させた時の輝きの基点移動が小さいために装飾された固形化粧料表面の美しさに欠ける場合がある。特に好ましくは、50〜150である。
【0018】
更に、本発明の成分(a)の材質としては特に限定はないが、例えば具体的には、雲母チタン、合成金雲母、酸化チタン被覆ガラス、オキシ塩化ビスマス等の無機物;ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層フィルム等の有機フィルムが挙げられ、これら光輝性粉体はフッ素化合物、シリコーン系化合物、金属石鹸、ロウ、油脂、炭化水素等を用いて通常公知の方法により表面処理を施して用いても良い。
【0019】
このうち、雲母チタン、合成金雲母、酸化チタン被覆ガラス、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルムおよびポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルムよりなる群から選ばれた1種または2種以上の光輝性粉体であることが、固形化粧料表面をより美しく装飾できるので好ましい。
【0020】
本発明の成分(a)として特に好ましいものは、平均粒径50μm以上かつアスペクト比50以上のものであり、更に平均粒径50〜150μmかつアスペクト比50〜150のものである。すなわち、上記平均粒径ないしアスペクト比の光輝性粉体の場合には、プリズム効果が大きく固形化粧料表面をより美しく輝かせることができものであるが、本発明によれば、上記の平均粒径50μm以上の光輝性粉体であっても、良好に分散させることができ、しかもその分散液は塗布装置を詰まらせることもないので、固形化粧料表面を、大きなプリズム効果により、あたかも微細なダイヤモンドを散りばめたように、より美しく輝かせることができる。
【0021】
一方、本発明で使用する分散液中の成分(b)は、5万cSt(センチストークス)以上の動粘度を有するシリコーン油である。ここで成分(b)の動粘度は、20℃においてB型粘度計で測定された粘度値と比重によって定義される。この成分(b)の動粘度は、好ましくは8万cSt以上であり、特に好ましくは、8万〜50万cStである。動粘度が高すぎると、揮発性溶剤に対する均一な溶解が困難になったり、また固形粉末化粧料の表面が固くなり小道具等におけるとれが困難になる等の場合があり、動粘度が低すぎると、光輝性粉体の均一な分散が維持できず、成分(a)が凝集して塗布装置を詰まらせたり、また光輝性粉体の均一な分散が維持できず噴霧状態にバラツキが生じるために再現性が得られなかったりする場合がある。
【0022】
成分(b)としては、20℃で5万cSt以上の動粘度を有するシリコーン油であれば特に限定はないが、特に好ましくはジメチルポリシロキサンであり、市販品としては、NUCシリコン L−45(10万)(日本ユニカー社製)、SH200−200,000CS(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)等が挙げられる。
【0023】
この成分(b)は、後記成分(c)により分散液中において溶解し、その高分子効果(立体排除効果)により成分(a)である光輝性粉体を分散させるとともに、分散液自体の粘度を上昇させることにより沈降を防ぐ作用を奏するものである。このような作用の結果、分散性が良好となり、スプレーガン等の塗布装置を詰まることを防ぎ、成分(a)である光輝性粉体の平均粒径の大きい場合であっても、これを均一に固形粉末化粧料の表面に塗布することが可能となる。
【0024】
本発明の製造方法に用いられる分散液には、成分(c)として揮散性溶剤が用いられる。揮散性溶剤とは、常圧における沸点が300℃以下の溶剤をいう。成分(c)は、少なくとも成分(a)と成分(b)を固形化粧料表面に適用させるための溶媒・分散媒として用いられ、若干は残留する場合もあるが、最終的には固形化粧料表面から実質的に揮散されて除去されるものである。
【0025】
成分(c)の常圧における沸点は300℃以下であるが、好ましくは280℃以下であり、特に好ましくは250℃以下である。沸点が高すぎる場合には成分(c)が十分に除去できず、固形化粧料表面に留まってしまい感触が異なったものとなってしまう場合がある。
【0026】
成分(c)の種類は特に限定はないが、その常圧における沸点が250℃以下の揮発性シリコーン、パラフィン等が好ましい。このうちシリコーンとしては、具体的には、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、環状ポリシロキサン等が挙げられる。市販品としては、KF−995、KF−994(信越化学社製)、SH244、SH344、SH245、DC345、DC246(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)また、パラフィンとしては、ノルマルパラフィン、イソパラフィンの両者を使用することができるが、イソパラフィンがより好ましく、具体的には、例えば、2−メチルブタン、2−メチルヘプタン、2,2,4−トリメチルペンタン等が挙げられる。これらは1種または2種以上を混合して用いることができる。市販品としては、IPソルベント1620、IPソルベント2028(出光石油化学社製)等が挙げられる。
【0027】
本発明の、少なくとも成分(a)、(b)および(c)を含有する上記分散液は、その粘度が20〜70cPであることが必須である。ここで分散液の粘度は、20℃において、B型粘度計で測定された値である。分散液の粘度は、好ましくは5〜80cPであり、特に好ましくは20〜70cPである。粘度が高すぎると塗布ができない場合があり、特にエアロゾル状態にして塗布する場合にはエアロゾルにならない場合があり、逆に粘度が低すぎると、光輝性粉体を塗布することができない場合があり、特にエアロゾル状態にして塗布する場合には、光輝性粉体が沈降し塗布装置に詰まるために、光輝性粉体を含んでいないエアロゾルが塗布される場合がある。
【0028】
成分(a)、成分(b)および成分(c)の配合割合は、特に限定はないが、成分(c)100重量部に対して、成分(a)1〜50重量部が好ましく、5〜30重量部が特に好ましい。また、成分(c)100重量部に対して、成分(b)1〜19重量部が好ましく、5〜15重量部が特に好ましい。成分(a)と成分(b)との混合割合は、重量比で1:10〜10:1が好ましく、1:5〜5:1が特に好ましい。
【0029】
本発明における分散液は、更に必要に応じて、通常化粧料に用いられる成分、例えば粉体、油剤、界面活性剤等を本発明の効果を妨げない範囲で、任意成分として含有させてもよい。
【0030】
上記のようにして得られる分散液を、固体粉末化粧料の表面に塗布する方法の好ましい例としては、分散液をエアロゾル状態にした後塗布する方法が上げられる。すなわち、本発明において用いられる分散液では、前記のように成分(a)の凝集が起こりにくいものであるため、エアロゾル状態にして塗布することにより、薄く均一に固体化粧料表面に塗布できる。
【0031】
このような、分散液をエアロゾル状態にして塗布する方法としては、スプレーガンを用いて塗布する方法等が挙げられる。このスプレーガンを用いて塗布する場合、エアー圧力0.01〜0.6MPa、ノズル径0.1〜3.0mmφ、噴霧時間0.01〜1.0sec、噴霧距離5〜50cmが、スプレーガンにエアロゾルを供給するピストンが正常に作動し、均一に固形化粧料表面に噴霧できるために好ましい。特に好ましくは、エアー圧力0.2〜0.5MPa、ノズル径0.5〜3.0mmφ、噴霧時間0.05〜0.5sec、噴霧距離10〜30cmである。
【0032】
本発明における固体粉末化粧料表面上への分散液の塗布量は、固形化粧料の表面がきれいに輝き装飾性が上がる量でれば特に限定はないが、例えば、固形粉末化粧料の表面への分散液の塗布量として、0.01〜0.5g/cm程度であれば良く、成分(c)を揮散、除去した後の成分(a)および成分(b)の量として、0.001〜0.1g/cm程度となることが好ましい。塗布量が多すぎると、成分(c)が十分に除去できなかったり、また成分(b)が化粧料表面に多く留まってしまい感触が異なってしまったり、更に成分(a)が多く修飾されるために輝きの基点移動が小さくなり表面の美しさに欠ける等の場合があり、塗布量が少なすぎると、輝きの基点移動は大きくなるが、成分(a)の量が少ないために表面全体から放たれる輝きが弱くなり美しさに欠ける等の場合がある。特に好ましくは、分散液の塗布量として、0.05〜0.3g/cm2であり、成分(c)を揮散、除去した後の成分(a)および成分(b)の量として、0.005〜0.05g/cm2である。
【0033】
上記のように固形粉末化粧料の表面に前記分散液を塗布した後は、常法に従って成分(c)を揮散、除去する。この成分(c)の揮散、除去に当たっては、自然乾燥、加熱乾燥あるいは減圧乾燥等の手段を適宜利用することができる、最後にこのようにして得られた表面装飾固形化粧料は、ケース等に収め、最終製品とすることができる。
【実施例】
【0034】
次に、実施例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約されるものではない。なお、実施例中の「部」は「重量部」を示す。
【0035】
実 施 例 1
(1)固形粉末化粧料の調製:
下記の成分1〜8をヘンシェルミキサー(三井三池社製)で均一に混合し、75℃にて加熱溶解した成分9〜11を添加混合した後、粉砕した。これを、金型に充填し、常法に従って圧縮成型して固形粉末化粧料を得た。
【0036】
( 成 分 ) (%)
1. 雲母チタン(アスペクト比30) 20.0
2. タルク(粒径20μm) 20.0
3. セリサイト 残 量
4. 球状シリカ(平均粒子径5μm) 2.0
5. 酸化チタン 1.0
6. 赤色226号 1.0
7. 黄色4号 0.1
8. パラオキシ安息香酸メチル 0.1
9. ミツロウ 0.5
10. 流動パラフィン 5.0
11. ジメチルポリシロキサン(20cs) 5.0
【0037】
(2)分散液の調製:
デカメチルシクロペンタシロキサン(成分(c))10部に対し、動粘度約10万cStの高重合メチルポリシロキサン(NUCシリコン L−45(10万)、日本ユニカー社製)(成分(b))1.5部を混合し、溶解して溶液を得た。この溶液10部に、平均粒径80μmの酸化チタン被覆ガラス末(メタシャイン1080RC−Y、日本板硝子社製)(成分(a))2部を分散させ、分散液を得た。得られた分散液の粘度は、20℃でB型粘度計を用いて測定した結果、54.0cPであった。
【0038】
(3)分散液の塗布:
上記(2)で得られた分散液を、ルミナ自動スプレーガンST−6R(扶桑精機(株)社製、ノズル径2.0mm)を用い、噴霧距離20cm、噴霧時間0.1secで、(1)で得られた固形粉末化粧料表面に噴霧した。その後、70℃に維持した恒温槽に10時間放置することにより乾燥し、実質的にデカメチルシクロペンタシロキサンを揮散、除去して、平均粒径80μmの酸化チタン被覆ガラス末を表面層に有する装飾された固形粉末化粧料を得た。噴霧直後の分散液の塗布量は0.1g/cmであり、乾燥後の高重合メチルポリシロキサンと酸化チタン被覆ガラス末の量は0.02g/cmであった。
【0039】
実 施 例 2〜3 および 比 較 例 1〜4
実施例1の各成分(a)、(b)、(c)に代えて、表1に示した化合物を配合した以外は、実施例1と同様にして、分散液を調製し、次いで固形粉末化粧料表面を装飾した。
【0040】
【表1】

【0041】
測 定 例 1
実施例1〜3及び比較例1〜4で得られた分散液についての噴霧性およびこれにより装飾された固形粉末化粧料の表面外観を、下記評価基準で評価した。結果を表2に示す。
【0042】
< 分散液の噴霧性 >
◎:スプレーガンの連続使用に全く問題がなかった
○:スプレーガンの連続使用に問題がなかった
△:噴霧開始10分未満でスプレーガンが詰まり、噴霧できなくなった
×:初期からスプレーガンが詰まり、全く噴霧しなかった
【0043】
< 表面外観 >
◎:目視観察の結果、非常に均一であった
○:目視観察の結果、均一であった
△:目視観察の結果、むらがあった
×:目視観察の結果、非常にむらがあった
−:スプレーガンの連続使用性が×であったため、評価できなかった
【0044】
【表2】

【0045】
実施例1〜3の分散液を用いると、スプレーガンを連続使用してもノズルが詰まるという問題は生じず、固形化粧料の表面層には均一に光輝性粉体が付着しており、表面が美しく輝いた装飾された固形化粧料が得られた。一方、比較例1〜4の分散液を用いると、スプレーガンのノズルが詰まるという問題が生じた。
【0046】
実 施 例 4〜5 及び 比 較 例 6〜8
表3記載の成分(b)、成分(c)を、同表記載の重量部で混合、溶解して溶液10部を調製した。この溶液に、平均粒径80μmの酸化チタン被覆ガラス末(メタシャイン1080RC−Y、日本板硝子社製)(成分(a))1部を分散させ、分散液を調製した。
【0047】
得られた分散液について、実施例1と同様の方法で粘度を測定した。次いで、実施例1と同様の方法で、スプレーガンを用い塗布・乾燥し、装飾された固形粉末化粧料を得た
【0048】
【表3】

【0049】
測 定 例 2
実施例4〜5および比較例6〜8で得られた分散液の噴霧性を測定例1と同様の評価方法で評価した。また、再分散性を下記評価方法で評価した。結果を表4に示す。
【0050】
<再分散性>
分散液を30mL沈降管に入れ、2日間静置した後、沈降管を30秒間振とうした際の沈降した成分(a)の分散性を目視で観察した。
○:沈降成分の全てが均一に分散する。
△:沈降成分の一部分が分散する。
×:沈降成分が全く分散しない。
【0051】
【表4】

【0052】
実施例4と実施例5の分散液は、噴霧性、再分散性ともに優れていた。それに対し、比較例6〜8で得られた分散液は、何れかの性能に劣っていた。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の製造方法は、使用される分散液は凝集しにくく、ノズルの詰まりがないので、分散液をエアロゾル状態にして塗布することが可能である。そして、その結果、表面に光輝性粉体を均一に保持された固形粉末化粧料を提供することができる。
【0054】
特に本発明方法では、平均粒径が大きい光輝性粉体であっても、安定に分散させることができ均一な塗布が可能になる。そして比較的平均粒径が大きい光輝性粉体が有する大きなプリズム効果によって、固形化粧料表面を輝かせてより美しくすることができ、固形粉末化粧料に新たな魅力を付与できるため、広く固形粉末化粧料の分野に利用できるものである。

以 上

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に、少なくとも成分(a)および(b)
(a)光輝性粉体
(b)5万cSt以上の動粘度を有するシリコーン油
を含有する複合体を保持する表面装飾固形粉末化粧料。
【請求項2】
固形粉末化粧料の表面に、少なくとも成分(a)、(b)および(c)
(a)光輝性粉体
(b)5万cSt以上の動粘度を有するシリコーン油
(c)揮発性溶剤
を含有し、粘度が20〜70cPである分散液を塗布し、次いで成分(c)の揮発性溶剤を揮散させることにより得られる請求項1記載の表面装飾固形粉末化粧料。
【請求項3】
成分(a)が、平均粒径50μm以上であり、アスペクト比50以上の光輝性粉体である請求項1または請求項2記載の表面装飾固形粉末化粧料。
【請求項4】
成分(a)が、雲母チタン、合成金雲母、酸化チタン被覆ガラス、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルムおよびポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルムよりなる群から選ばれた1種または2種以上の光輝性粉体である請求項1ないし請求項3の何れかの請求項記載の表面装飾固形粉末化粧料。
【請求項5】
成分(b)が、ジメチルポリシロキサンである請求項1ないし請求項4の何れかの請求項記載の表面装飾固形粉末化粧料。
【請求項6】
固形粉末化粧料の表面に、少なくとも成分(a)、(b)および(c)
(a)光輝性粉体
(b)5万cSt以上の動粘度を有するシリコーン油
(c)揮発性溶剤
を含有し、粘度が20〜70cPである分散液を塗布し、次いで成分(c)の揮発性溶剤を揮散させることを特徴とする表面装飾固形粉末化粧料の製造方法。
【請求項7】
成分(a)が、平均粒径50μm以上であり、アスペクト比50以上の光輝性粉体である請求項6記載の表面装飾固形粉末化粧料の製造方法。
【請求項8】
成分(a)が、雲母チタン、合成金雲母、酸化チタン被覆ガラス、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルムおよびポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルムよりなる群から選ばれた1種または2種以上の光輝性粉体である請求項6または請求項7記載の表面装飾固形粉末化粧料の製造方法。
【請求項9】
成分(b)が、ジメチルポリシロキサンである請求項6ないし請求項8の何れかの請求項記載の表面装飾固形粉末化粧料の製造方法。
【請求項10】
成分(c)が、その常圧における沸点が250℃以下の揮発性シリコーンまたはパラフィンである請求項6ないし請求項9の何れかの請求項記載の表面装飾固形粉末化粧料の製造方法。
【請求項11】
成分(c)が、ジメチルポリシロキサン、環状ジメチルポリシロキサンおよびイソパラフィンよりなる群から選ばれた1種または2種以上の揮発性溶剤である請求項6ないし請求項10の何れかの請求項記載の表面装飾固形粉末化粧料の製造方法。
【請求項12】
固形粉末化粧料の表面への塗布が、前記分散液をエアロゾル状態にして固形粉末化粧料表面に噴霧するものである請求項6ないし請求項11の何れかの請求項記載の表面装飾固形粉末化粧料の製造方法。
【請求項13】
固形粉末化粧料の表面への塗布が、スプレーガンを用いて行われるものである請求項12記載の装飾された固形粉末化粧料の製造方法。
【請求項14】
固形粉末化粧料の表面への前記分散液の塗布量が、成分(a)、(b)および(c)の合計量で0.01〜0.5g/cmであり、成分(c)揮散後の成分(a)および(b)の塗布量が、0.001〜0.1g/cmである請求項6ないし請求項13の何れかの請求項記載の表面装飾固形粉末化粧料の製造方法。
【請求項15】
少なくとも成分(a)、(b)および(c)
(a)光輝性粉体
(b)5万cSt以上の動粘度を有するシリコーン油
(c)揮発性溶剤
を含有する固形粉末化粧料の表面装飾用分散液。


【公開番号】特開2006−76976(P2006−76976A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−265879(P2004−265879)
【出願日】平成16年9月13日(2004.9.13)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】