説明

表面近くのpH微小環境に影響を与えることによる医療デバイスでの血栓形成の軽減

【課題】血栓形成を回避する、移植物のための改良された材料および処理方法を提供すること。
【解決手段】表面を有する少なくとも1つの基材;および該表面の少なくとも一部分の官能基、を備える、医療デバイスであって、該官能基は、該医療デバイスの該表面の近くの微小環境のpHを調整する、医療デバイス。ある実施形態において、上記表面の少なくとも一部分の上記官能基は、荷電ポリマーにより影響を受ける。ある実施形態において、上記医療デバイスは移植可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、抗血栓特性を有する医療デバイスに関する。より特定すると、本開示は、デバイスの周囲の局所的環境のpHを、血栓形成を誘導しない範囲に調整する、医療デバイスのためのコーティングまたは表面処理に関する。
【背景技術】
【0002】
血栓症(血液成分からの心臓血管系内での血餅または血栓の形成)は、ネガティブな臨床結果をもたらし得、そして潜在的に、生命を脅かす状態である。血流と直接接触する医療デバイス(例えば、ステント、脈管移植片および除細動器)は、局所的な血栓症を促進する傾向を有する。例えば、薬物溶出ステントでの血栓形成は、後期のステント血栓症をもたらし得る。
【0003】
血栓形成は、種々の処理方法により阻害され得る。例えば、凝固インヒビター(例えば、血小板凝集インヒビター、プラスミノゲンアクチベーター、フィブリノゲン、および/またはヘパリン)の結合に基づく表面処理が、移植物に対して使用されている。しかし、これらの処理は、副作用を含み得、抗凝固レベルを監視するための血液検査を必要とし、そして経時的な分解に供される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
血栓形成を回避する、移植物のための改良された材料および処理方法が、依然として望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
表面を有する少なくとも1つの基材;および
該表面の少なくとも一部分の官能基、
を備える、医療デバイスであって、該官能基は、該医療デバイスの該表面の近くの微小環境のpHを調整する、医療デバイス。
(項目2)
上記表面の少なくとも一部分の上記官能基が、荷電ポリマーにより影響を受ける、上記項目に記載の医療デバイス。
(項目3)
上記医療デバイスが移植可能である、上記項目のうちのいずれかに記載の医療デバイス。
(項目4)
上記医療デバイスが、カテーテル、ステント、除細動器、ガイドワイヤ、および移植片からなる群より選択される、上記項目のうちのいずれかに記載の医療デバイス。
(項目5)
上記医療デバイスが、患者の身体の外側にある、上記項目のうちのいずれかに記載の医療デバイス。
(項目6)
上記医療デバイスが、血液移動デバイス、透析デバイス、血漿瀉血デバイス、血液酸素化機、および体外回路からなる群より選択される、上記項目のうちのいずれかに記載の医療デバイス。
(項目7)
上記医療デバイスの上記表面が、該医療デバイスの管腔を構成する、上記項目のうちのいずれかに記載の医療デバイス。
(項目8)
上記医療デバイスの上記表面が、組織に面する表面である、上記項目のうちのいずれかに記載の医療デバイス。
(項目9)
上記医療デバイスの上記表面が、血液に接触する表面である、上記項目のうちのいずれかに記載の医療デバイス。
(項目10)
上記荷電ポリマーが、上記医療デバイスの上記表面の少なくとも一部分のコーティングを構成する、上記項目のうちのいずれかに記載の医療デバイス。
(項目11)
上記荷電ポリマーが、負電荷を有する、上記項目のうちのいずれかに記載の医療デバイス。
(項目12)
上記荷電ポリマーが、正電荷を有する、上記項目のうちのいずれかに記載の医療デバイス。
(項目13)
上記荷電ポリマーが、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−メタクリロイルアミノプロピル−トリメチルアンモニウムクロリド、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、上記項目のうちのいずれかに記載の医療デバイス。
(項目14)
上記荷電ポリマーが、3−メタクリロイルアミノプロピル−トリメチルアンモニウムクロリドと2−ヒドロキシエチルメタクリレートとの、正に荷電したコポリマーを含有する、上記項目のうちのいずれかに記載の医療デバイス。
(項目15)
上記荷電ポリマーが、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸と2−ヒドロキシエチルメタクリレートとの、負に荷電したコポリマーを含有する、上記項目のうちのいずれかに記載の医療デバイス。
(項目16)
上記荷電ポリマーが、酸と組み合わせられた、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メタクリル酸コポリマー、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、上記項目のうちのいずれかに記載の医療デバイス。
(項目17)
上記荷電ポリマーが、メタクリル酸とアクリル酸エチルとのコポリマーを含有する、上記項目のうちのいずれかに記載の医療デバイス。
(項目18)
上記酸が、クエン酸、フマル酸、コハク酸、リンゴ酸、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され、該酸が、上記コポリマーの約0.1重量%〜約10重量%の量で存在する、上記項目のうちのいずれかに記載の医療デバイス。
(項目19)
表面を有する少なくとも1つの基材;および
該表面の少なくとも一部分の官能基、
を備える、医療デバイスであって、該官能基は、該医療デバイスの該表面の近くの微小環境のpHを調整して、血栓形成を防止する、医療デバイス。
(項目20)
上記表面の少なくとも一部分の上記官能基が、荷電ポリマーにより影響を受ける、上記項目に記載の医療デバイス。
【0006】
(摘要)
本開示は、血栓形成を阻害する、医療デバイスの処理を提供する。医療デバイスの基材の少なくとも一部分は、この医療デバイスの表面のpH、およびこの医療デバイスの表面近くのpH微小環境を調整するように適合された、官能基および/または表面電荷を有する、表面を備える。
【0007】
(要旨)
本開示は、医療デバイス、およびこのようなデバイスを製造するための方法を提供する。ある実施形態において、本開示の医療デバイスは、表面を有する少なくとも1つの基材;およびこの表面の少なくとも一部分の官能基を備え、この官能基は、この医療デバイスの表面近くの微小環境のpHを調整する。
【0008】
他の実施形態において、本開示の医療デバイスは、表面を有する少なくとも1つの基材;およびこの表面の少なくとも一部分の官能基を備え、この官能基は、この医療デバイスの表面近くの微小環境のpHを調整して、血栓形成を防止する。
【0009】
添付の図面は、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成し、本開示の実施形態を図示し、そして上に与えられた本開示の一般的な説明、および以下に与えられる実施形態の詳細な説明と一緒になって、本開示の原理を説明する役に立つ。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、血栓形成を回避する、移植物のための改良された材料および処理方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本開示の医療デバイスの表面の側面図であり、この医療デバイスの表面近くの微小環境のpHを図示する。
【図2】図2は、本開示に従って処理されて、ステントの表面近くの微小環境のpHを変更し得る、拡張したステントの1つの例の斜視図である。
【図3】図3は、大動脈瘤に挿入された二又移植片の断面図を図示する。この移植片は、本開示に従って処理されて、この移植片の表面近くの微小環境のpHを変更する。
【図4】図4は、2つの別々のハンドルにより制御されるパドルを利用する内部除細動器を図示する。これらのハンドルは、電極間の特定の所望の距離で分離またはロックされ得、これによって、単一のユニットとして作動し得る。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示に従って、血栓形成を防止する目的で、医療デバイスの表面のpH、およびこの医療デバイスの表面近くの微小環境のpHを調整する材料から形成され得るか、またはこのような材料で処理され得る、医療デバイスが提供される。本明細書中で使用される場合、「微小環境」は、デバイスの表面近くの領域を含む。この領域は、このデバイスが配置される環境のバルクpHに近いが異なるpHを示し得る。本開示は、医療デバイスの血栓症関連故障を防止するため、および移植された医療デバイスの存在に起因して血栓症を発症する患者のネガティブな臨床結果を防止するために、使用され得る。
【0013】
医療デバイスの表面のpH、およびこのデバイスの表面近くの微小環境のpHは、このデバイスのバルクpHまたはその領域の血液のバルクpHとは異なる微小環境pHを生じさせるために必要な特徴を有する材料を含めることによって、血栓形成を防止するように調整され得る。血栓症に対するpHの影響は、例えば、Thomasら、「High Molecular Weight Kininogen Adsorption on Hemodialysis Membranes:Influence of pH and Relationship with Contact Phase Activation of Blood Plasma−influence of Pre−treatment with Poly(ethyleneimine)」、International Journal of Artificial Organs、第23巻、20−26頁(2000)により研究されており、その全開示は、本明細書中に参考として援用される。
【0014】
ある実施形態において、医療デバイスの表面は、この表面を形成する材料のpH、およびこのデバイスの表面近くの微小環境のpHを調整し得る官能基を有し得る。この材料は、陽イオンまたは陰イオンを、周囲環境から引き付けて、この医療デバイス周囲の微小環境において、異なるpHを生じさせ得る。微小環境pHを制御する能力は、血栓症をもたらし得る要因(例えば、凝固プロセス中の酵素活性)の制御を可能にする。
【0015】
血餅形成がより塩基性のpHにおいて優先的である場合、この医療デバイスの表面、およびこのデバイスの表面近くの微小環境のpHは、わずかにより酸性のpHを有して、血栓形成を回避または軽減し得る。例えば、酸性pHは、血液凝固を開始する際の第VII因子の効力を(例えば、凝固カスケードの外因性経路において)低下させ得る。例えば、Bladbjergら、「Activity of Recombinant Factor VIIa under Different Conditions In Vitro:Effect of Temperature,pH,and Haemodilution」、Blood Coagulation and Fibrinosys、第19巻、第5号、369−374頁(2008)を参照のこと。その全開示は、本明細書中に参考として援用される。従って、表面または表面に隣接する微小環境において、より酸性のpHを有するデバイスは、このデバイスの表面またはその近くにおいて、血栓の形成の防止または遅延を補助し得る。
【0016】
血餅形成がより酸性のpHにおいて優先的である他の場合において、医療デバイスの表面、およびこのデバイスの表面近くの微小環境のpHは、わずかにより塩基性のpHを有して、血栓形成を回避または軽減し得る。従って、表面またはそのような表面に隣接する微小環境において、より塩基性のpHを有するデバイスは、このようなプロセス(血栓形成に対する影響が挙げられる)の防止または遅延を補助し得る。
【0017】
あるいは、表面電荷は、医療デバイスの表面またはその近くでの、血栓形成の速度論に有意に影響を与え得る。例えば、血液成分は、負に荷電した表面との接触の際に、凝固し得る(例えば、凝固カスケードの内因性経路において)。例えば、Norrisら、「Blood Coagulation」、Best Pract Res Clin Obstet Gynaecol.、2003年6月;17(3):369−83を参照のこと。その全開示は、本明細書中に参考として援用される。従って、正電荷を有する医療デバイス表面は、これらの場合において、血栓形成を遅延させる。
【0018】
ある実施形態において、医療デバイスの表面、およびこの表面近くの微小環境のpHは、この表面または微小環境に電荷を付与することにより調整され得る。電荷は、医療デバイスを形成するために利用される材料(ある実施形態においては、ポリマー)に電荷を付与し得る材料を混合すること、または医療デバイスの表面に電荷を付与し得る材料を含有するコーティングを塗布することによって、医療デバイスの表面に付与され得る。他の実施形態において、医療デバイスは、このデバイスの表面またはその近くの材料のpHを調整し得る表面官能基を有し得る。局所pHを調整する能力、および/または表面近くの微小環境においてpH緩衝能力を有する能力は、血栓形成の防止、または血栓形成の速度の遅延を可能にする。これらの調節は、局所pHと、デバイスの表面近くの微小環境のpH緩衝能力との両方に影響を与え得る。
【0019】
材料は、共有結合、イオン結合または疎水性結合のいずれかによって形成され得る。物理的(非共有結合性)架橋は、複合体化、水素結合、脱溶媒和、ファンデルワールス相互作用、イオン結合、これらの組み合わせなどからもたらされ得る。化学的(共有結合性)架橋は、多数の機構(フリーラジカル重合、縮合重合、陰イオン重合または陽イオン重合、段階成長重合、求電子剤−求核剤反応、これらの組み合わせなどが挙げられる)のいずれかによって達成され得る。
【0020】
材料の特定の特性(種々の組織への接着、医療デバイスにおいて使用するための機械的強度、および/または配置後の崩壊に抵抗するための頑丈さが挙げられる)は、有用であり得る。従って、容易に滅菌されて天然材料の使用に関与する疾患伝染の危険性を回避する合成材料が、使用され得る。この材料は、抗血栓症特性を有し得、そして血液または他の体液と非反応性であり得る。一般に、これらの材料はまた、生体適合性を示すこと、および毒性がないことに基づいて選択される。
【0021】
医療デバイスをpHに影響を与え得る材料で形成することによって、医療デバイスの表面のpH、およびこの医療デバイスの表面近くの微小環境のpHは、この医療デバイスが抗血栓性であるように調整され得る。従って、上記のように、血餅形成が酸性pHにおいて優先的である場合、この医療デバイスの表面、およびこのデバイスの表面近くの微小環境のpHは、血栓形成を回避または遅延するために、わずかにより塩基性のpHを有し得る。血餅形成がより塩基性のpHにおいて優先的である他の場合、この医療デバイスの表面、およびこのデバイスの表面近くの微小環境のpHは、血栓形成を回避または遅延するために、わずかにより酸性のpHを有し得る。
【0022】
ある実施形態において、医療デバイスの表面全体のpH微小環境を調整することが望ましくあり得、そして他の実施形態において、医療デバイスの組織に面する表面および/または組織に面さない表面のpH微小環境を調整することが望ましくあり得る。なお他の実施形態において、医療デバイスの血液または体液に接触する表面のpH微小環境を調整することが望ましくあり得る。
【0023】
ある実施形態において、医療デバイスの表面のpH、およびこの医療デバイスの表面近くの微小環境のpHは、このデバイスを形成するために荷電ポリマーを使用して、またはこの医療デバイスを形成するために利用される材料(ある実施形態においては、ポリマー)に電荷を付与し得る材料を混合することによって、変更され得る。このようなポリマーを形成するための方法、または材料をポリマー材料と組み合わせるための方法は、当業者の知識の範囲内であり、そしてブレンド、混合、撹拌、共重合、これらの組み合わせなどが挙げられる。
【0024】
他の実施形態において、医療デバイスの表面のpH、およびこの医療デバイスの表面近くの微小環境のpHは、この医療デバイスの、血液と接触し得る表面に電荷を付与し得る材料を含有するコーティングを付与することによって変更され得、局所pH微小環境の制御を補助し得る。このようなコーティングは、血液のpHに影響を与えるべきではなく、この医療デバイスの、血液と接触する表面の少なくとも一部分に塗布されるべきである。
【0025】
コーティングを塗布するための方法は、当業者の知識の範囲内であり、そして浸漬、噴霧、プラズマ蒸着、これらの組み合わせなどが挙げられるが、これらに限定されない。なお他の実施形態において、医療デバイスの表面、およびこの医療デバイスの表面近くの微小環境のpHは、コーティングまたはフィルム(例えば、硬化したコーティング溶液)をこの医療デバイスの表面に塗布することによって、調整され得る。
【0026】
医療デバイスまたはこの医療デバイスに塗布されるべきコーティングを形成する際に利用され得る荷電ポリマーの例としては、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AAMPS)、3−メタクリロイルアミノプロピル−トリメチルアンモニウムクロリド(MAPTAC)、N,N−ジアリル−N,N−ジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)、これらの組み合わせなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
例えば、ポリマーがMAPTACベースである場合、このポリマーは、第四級アンモニウム基(これは、全てのpH値において陽イオンのままである)の存在に起因して、正電荷を有する。ある実施形態において、MAPTACとHEMAとのコポリマーが利用され得、このコポリマーは、負に荷電した低分子量種(例えば、水酸化物イオン)を引き付け、そして水素イオンを排出する。このようなコポリマーは、このコポリマーの約0.1重量%〜約10重量%の量のMAPTAC、およびこのコポリマーの約90重量%〜約99.9重量%の量のHEMAを有し得る。他の実施形態において、このようなコポリマーは、このコポリマーの約0.2重量%〜約5重量%の量のMAPTACを有し得、このコポリマーの約95重量%〜約99.8重量%の量でHEMAが存在し得る。
【0028】
あるいは、荷電ポリマーがAAMPSベースである場合、このポリマーは、スルホネート基(これは、非常に酸性の条件においてさえもイオン化したままである)の存在に起因して、負電荷を有する。ある実施形態において、HEMA中のAAMPSのコポリマーが利用され得、従って、このコポリマーは、水素イオン(すなわち、プロトン)を引き付ける。このようなコポリマーは、このコポリマーの約0.1重量%〜約10重量%の量のAAMPSを有し得、HEMAは、このコポリマーの約90重量%〜約99.9重量%の量で存在し得る。ある実施形態において、AAMPSは、このコポリマーの約0.2重量%〜約5重量%の量で存在し得、HEMAは、このコポリマーの約95重量%〜約99.8重量%の量で存在し得る。
【0029】
他の実施形態において、荷電ポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アクリル酸コポリマー、マレイン酸コポリマー、メタクリル酸コポリマーなどから形成され得、メタクリル酸とアクリル酸エチルとのコポリマー、およびこれらの組み合わせなどが挙げられる。メタクリル酸とアクリル酸エチルとのコポリマーは、EUDRAGIT(登録商標)の名称でRohm Pharma Polymers(Piscataway,NJ)から市販されているコポリマーが挙げられる。ある実施形態において、これらのポリマーは、このポリマーへの酸の組み込みによって、荷電し得る。このようなコポリマーに含有され得る適切な酸としては、例えば、クエン酸、フマル酸、コハク酸、リンゴ酸、これらの組み合わせなどが挙げられ得る。荷電ポリマーを形成するために酸がポリマーに添加される場合、この酸は、このコポリマーの約0.1重量%〜約10重量%の量、ある実施形態においては、このコポリマーの約0.5重量%〜5重量%の量で添加され得る。
【0030】
他のポリマーもまた利用され得る。上記のように、ある実施形態において、ポリマーは、医療デバイスの表面のpH、およびこの医療デバイスの表面近くの微小環境のpHを変え得る官能基を有し得る。例えば、ある実施形態において、カルボキシル化ポリマーを生成するために、無水コハク酸と、任意のヒドロキシル官能性ポリマーまたはアミン官能性ポリマーとの反応を利用し得る。このようなポリマーは、医療デバイスの一部分またはそのコーティングを形成するために利用される場合、pH微小環境に影響を与える能力を有する。なぜなら、これらのポリマーは、カルボン酸基での中和によって塩基を中和し、カルボン酸陰イオンを形成することができるからである。この反応の要約を、以下に与える:
【0031】
【化1】

他の実施形態において、ペンダントエポキシ官能基を提供するために、メタクリル酸グリシジル(GMA)をコポリマーにおいて使用し得る。エポキシ基は、酸(プロトン)を吸収して開環反応を起こし、従って、プロトン化される能力を有する。従って、このようなコポリマーもまた、水性微小環境のpHに影響を与える能力を有する。GMAポリマーの前駆体であるGMAモノマーについての関連する化学構造を、以下に与える。
【0032】
【化2】

なお他の実施形態において、アセトアセトキシエチルメタクリレート(AAEM)コポリマーが利用され得る。AAEMコポリマーは、金属イオン(ある実施形態において、二価イオンまたは多価イオン)を、2つのカルボニル基の間にキレートし得、これは次いで、ポリマー構造に電荷を付与し得る。このようなコポリマーによりキレートされ得る金属イオンとしては、銀、コバルト、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、白金、スズ、セレン、マンガン、これらの組み合わせなどが挙げられるが、これらに限定されない。ある実施形態において、陰イオン性(負)電荷は、陽イオンまたは金属イオンがない塩基性環境で生成し得る。AAEMポリマーの前駆体であるAAEMモノマーについての関連する化学構造を以下に与える。
【0033】
【化3】

適切なコポリマーの形成は、当業者の知識の範囲内であり、そして架橋剤(例えば、多官能性のアクリレートまたはメタクリレート)、光開始剤(例えば、ベンゾインエチルエーテル)、これらの組み合わせなどの使用を包含し得る。
【0034】
医療デバイスの表面の局所pH微小環境、およびこのデバイスの表面近くの微小環境のpHは、荷電ポリマーおよび/または官能基の存在に起因して、約3〜約11、ある実施形態においては、約5〜約9であり得る。いくつかの実施形態において、局所pH微小環境は、約6.0〜約7.39、そして他の実施形態においては、約7.41〜約8.5であり得る。
【0035】
pH微小環境を決定するための方法は、当業者の知識の範囲内であり、そして例えば、電流滴定および電位差滴定微小電極(例えば、Thermo Fisher Scientific(Waltham,MA)によるORION(登録商標)微小電極);光学および蛍光pHセンサ(中空繊維膜マイクロプローブが挙げられる);イオン選択膜;イオン選択性電界効果トランジスタ;2端末マイクロセンサ;金属酸化物および電気伝導度pH感知デバイス;ならびに共焦点レーザー走査顕微鏡(CLSM)、pHを連続的に空間分解により監視するための高解像度および非侵襲性技術(Agiら、「Fluorescence Monitoring of the Microenvironmental pH of Highly Charged Polymers」、Journal of Polymer Science,Part A,Polymer Chemistry,2105−2110頁(1997);Tatavartiら、「Microenvironmental pH Modulation Based Release Enhancement of a Weakly Basic Drug from Hydrophilic Matrices」、Journal of Pharmaceutical Sciences,第95巻、第7号、1459−1468頁(2006);Liermannら、「Microenvironments of pH in Biofilms Grown on Dissolving Silicate Surfaces」Chemical Geology 171,1−16頁(2000);Korostynskaら、「Review Paper:Materials and Techni1ques for In Vivo pH Monitoring」、IEEE Sensors Journal,第8巻、第1号、20−28頁(2008);Ruiz−Ederraら、「In Situ Fluorescence Measurement of Tear Film[Na],[K],[Cl],and pH in Mice Shows Marked Hypertonicity in Aquaporin−5 Deficiency」、Investigative Ophthalmology & Visual Science,第50巻、第5号、2132−2138頁(2009);Grantら、「A Sol−gel Based Fiber Optic Sensor for Local Blood pH Measurements」、Sensors and Actuators,B45,35−42頁(1997);およびKorostynskaら、「Review on State−of−the art in Polymer Based pH Sensors」Sensors,第7巻、3027−3042頁(2007)(これらの各々の全開示は、本明細書中に参考として援用される)によりさらに開示されるような技術)が挙げられる。
【0036】
本開示のプロセスおよび概念を利用して、医療デバイスの表面と内部との両方に存在するpH微小環境(血栓形成速度論に影響を与え得る)は、このデバイスの表面またはその近くでの血栓形成が遅延または回避されるように変えられ得、これによって、このデバイス上での凝固を防止し得る。
【0037】
血液、血液成分、または凝塊を形成し得る他の体液と接触し得る、医療デバイスの任意の表面が、本開示に従って処理され得る。従って、本開示の医療デバイスは、血液またはその成分と接触し得る任意の医療デバイスであり得る。この医療デバイスは、移植されるデバイス(例えば、カテーテル、ステント、除細動器、ガイドワイヤ、および移植片)であり得るか、または外部デバイス(例えば、血液移動デバイス(血液透析器ならびに他の透析デバイスおよび血漿瀉血デバイスなど)、血液酸素化機、ならびに体外回路)であり得る。デバイスの表面またはデバイスの内側を通る、血液または血液成分の流れを可能にする任意のデバイスが、本開示のプロセスおよび処理から利益を得ることができる。
【0038】
本開示によるpH微小環境により得られる効果は、局所化され得、そして一過性であり得る。図1に図示されるように、本開示の医療デバイスの表面2は、この医療デバイスの表面2の近くのpH微小環境4を有し得る。従って、表面2に隣接する微小環境4内で得られる効果は、この医療デバイスのバルクにも、その領域の血液のバルクpHにも影響を与えない。
【0039】
図2を参照すると、表面近くのpH微小環境を制御するために本開示の処理を受けた医療デバイスは、ステント20を備え得る。ステント20は、複数の支柱により規定される、管状部材の形態を有し得る。これらの支柱は、複数のバンド22、および隣接するバンド間に延びてこれらのバンドを接続する複数のコネクタ24を備え得る。使用中に、バンド22は、初期の小さい直径から、より大きい直径へと拡張して、ステント20を脈管の壁に接触させ得、これによって、この脈管の開存性を維持し得る。コネクタ24は、ステント20に可撓性および適応性を提供し得、これは、ステントが脈管の輪郭に適合することを可能にする。
【0040】
図3を参照すると、他の実施形態において、脈管移植片10は、その表面近くのpH微小環境を制御するために、本開示の処理を受け得る。図3は、大動脈瘤に挿入された二又移植片10の断面図を図示する。二又移植片10は、血管内の動脈瘤12に挿入される。ある実施形態において、二又移植片10の3つの端部は、同心状のドッキングヘッド(この移植片の近位端の1つの第一のドッキングヘッド14、および遠位端の2つのドッキングヘッド16)を備える。ドッキングヘッド14および16は、この移植片を脈管に、ある実施形態においては縫合なしで結合するように適合し、そして外科医に、動脈瘤に移植片を迅速に接続する能力を提供する。
【0041】
図4を参照すると、他の実施形態において、内部除細動機が、その表面近くのpH微小環境を制御するために、本開示の処理を受け得る。電極(205)はそれぞれ、1対のパドル(207a、207b)の一端に取り付けられる。これらのパドルは、それぞれ、左右のハンドル(209a、209b)に接続される。これらの左右のハンドルは、少なくとも1つのワイヤ(210)によって、電気的に接続される。任意の可撓性導体および/またはフレックスボードが、伝導経路を提供し得ることが留意されるべきである。必要に応じて、ハンドル(209a、209b)は、スライド式トラック(213)に配置され得、これは、電極(209a、209b)が必要に応じて間隔を空けられることを可能にする。このトラックは、ハンドル(および従って、電極)を、互いから所望の距離で保持するためのロック機構(215)を有し得る。このロック機構は、掛金または蝶ナットおよびボルト(トラックに切り込まれたスロット内を移動し得る)、フック、または使用者がロックおよび/または解放の両方を迅速に行い得る任意の公知の型のロックデバイスであり得る。
【0042】
上で議論されたように、荷電ポリマーは、種々の医療デバイスでの血栓形成を防止することを補助する。1つの実施形態において、荷電ポリマーは、医療デバイスと一体的に形成されて、この医療デバイスの表面での血栓形成を防止する。別の実施形態において、医療デバイスの血液に接触する表面が、荷電ポリマーでコーティングされて、この医療デバイス上をまたはこの医療デバイスを通って通過する血液の血栓形成の防止を補助する(この医療デバイスが管腔または血流のための他のチャネルもしくは通路を備える場合)。従って、本開示の医療デバイスは、この医療デバイスの血栓関連故障を回避し得る。この故障は、回避されない場合、このような医療デバイスの表面または内部での血栓形成に起因して起こり得る。
【0043】
生物活性剤が、本開示の医療デバイスに添加されて、特定の生物学的特性または治療特性をこの医療デバイスに提供し得る。組織修復を増幅し得、敗血症の危険性を制限し得、そして医療デバイスの機械的特性を調節し得る、任意の製品が、このデバイスの調製中に添加され得るか、またはこのデバイスにコーティングされ得る。
【0044】
さらに、医療デバイスはまた、1つ以上の生物活性剤の送達のために使用され得る。この生物活性剤は、医療デバイスの製造中に、この医療デバイスに(例えば、自由懸濁、リポソーム送達、マイクロスフェアなどにより)組み込まれ得るか、またはこの医療デバイスの表面もしくはその一部分を(例えば、ポリマーコーティング、乾燥コーティング、凍結乾燥、メッシュ表面への塗布、イオン結合、共有結合、または親和性結合により)コーティングすることにより組み込まれ得る。他の実施形態において、生物活性剤は、この生物活性剤の放出のために、医療デバイスの表面またはこの表面の一部分に、コーティングされ得る。
【0045】
生物活性剤は、本明細書中で使用される場合、その最も広い意味で使用され、そして 臨床用途を有する任意の物質または物質混合物を包含する。従って、生物活性薬剤は、それ自体で薬理学的活性を有しても有さなくてもよい(例えば、色素)。あるいは、生物活性薬剤は、治療効果もしくは予防効果を提供する任意の薬剤であり得るか、組織成長、細胞増殖、および/もしくは細胞分化に影響を与えるかまたは関与する化合物であり得るか、接着防止化合物であり得るか、生物学的作用(例えば、免疫応答)を引き起こし得る化合物であり得るか、あるいは1つ以上の生物学的プロセスにおいて他の任意の役割を果たし得る。種々の生物活性剤が、医療デバイスに組み込まれ得る。
【0046】
本開示により利用され得る生物活性薬剤のクラスの例としては、例えば、接着防止剤;抗菌薬;鎮痛薬;解熱薬;麻酔薬;鎮痙薬;抗ヒスタミン薬;抗炎症薬;抗血栓薬;心臓血管薬剤;診断剤;交感神経様作用薬;コリン様作用薬;抗ムスカリン薬;鎮痙薬;ホルモン;増殖因子;成長因子;筋弛緩薬;アドレナリン作用性ニューロン遮断薬;抗腫瘍薬;免疫原性薬剤;免疫抑制薬;胃腸薬;利尿薬;ステロイド;脂質;リポ多糖類;多糖類;血小板活性化薬;凝固因子;および酵素が挙げられる。生物活性薬剤の組み合わせが使用され得ることもまた意図される。
【0047】
生物活性薬剤として含有され得る他の生物活性薬剤としては、局所麻酔薬;非ステロイド性抗受精剤;副交感神経様作用剤;精神療法剤;トランキライザ;うっ血除去薬;鎮静催眠薬;ステロイド;スルホンアミド;交感神経様作用剤;ワクチン;ビタミン;抗マラリア薬;抗片頭痛薬;抗パーキンソン剤(例えば、L−ドパ);鎮痙薬;抗コリン作用性剤(例えば、オキシブチニン);鎮咳薬;気管支拡張薬;心臓血管薬剤(例えば、冠状血管拡張薬およびニトログリセリン);アルカロイド;鎮痛薬;麻酔薬(例えば、コデイン、ジヒドロコデイノン、メペリジン、モルヒネなど);非麻酔薬(例えば、サリチレート、アスピリン、アセトアミノフェン、d−プロポキシフェンなど);オピオイドレセプターアンタゴニスト(例えば、ナルトレキソンおよびナロキソン);抗癌剤;鎮痙薬;制吐薬;抗ヒスタミン薬;抗炎症剤(例えば、ホルモン剤、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、非ホルモン剤、アロプリノール、インドメタシン、フェニルブタゾンなど);プロスタグランジンおよび細胞傷害性薬剤;化学療法剤;エストロゲン;抗菌剤;抗生物質;抗真菌剤;抗ウイルス剤;抗凝固薬;鎮痙薬;抗うつ薬;抗ヒスタミン薬;ならびに免疫学的薬剤が挙げられる。
【0048】
医療デバイスに含有され得る適切な生物活性薬剤の他の例としては、例えば、ウイルスおよび細胞、ペプチド、ポリペプチドおよびタンパク質、ならびにそのアナログ、ムテイン、および活性フラグメント、免疫グロブリン、抗体、サイトカイン(例えば、リンホカイン、モノカイン、ケモカイン)、血液凝固因子、造血因子、インターロイキン(IL−2、IL−3、IL−4、IL−6)、インターフェロン(β−IFN、α−IFNおよびγ−IFN)、エリスロポイエチン、ヌクレアーゼ、腫瘍壊死因子、コロニー刺激因子(例えば、GCSF、GM−CSF、MCSF)、インスリン、抗腫瘍剤および癌抑制因子、血液タンパク質(例えば、フィブリン、トロンビン、フィブリノゲン、合成トロンビン、合成フィブリン、合成フィブリノゲン)、性腺刺激ホルモン(例えば、FSH、LH、CGなど)、ホルモンおよびホルモンアナログ(例えば、成長ホルモン)、ワクチン(例えば、腫瘍性抗原、細菌性抗原およびウイルス性抗原);ソマトスタチン;抗原;血液凝固因子;増殖因子または成長因子(例えば、神経発育因子、インスリン様成長因子);骨形成タンパク質;TGF−β;タンパク質インヒビター;タンパク質アンタゴニスト;タンパク質アゴニスト;核酸(例えば、アンチセンス分子、DNA、RNA、RNAi);オリゴヌクレオチド;ポリヌクレオチド;ならびにリボザイムが挙げられる。
【0049】
医療デバイスとpH調整材料との種々の組み合わせが、本開示に従って使用され得ることが理解されるべきである。例えば、任意の医療デバイスが、所望のpH微小環境に依存して、上記のような任意のpH調整材料と組み合わせられ得る。
【0050】
本開示の数個の実施形態が記載されたが、本開示はこれらの実施形態に限定されることは意図されない。なぜなら、本開示は、当該分野が許容すると同程度まで範囲が広く、そして本明細書も同様に読まれることが意図されるからである。従って、上記説明は、限定であると解釈されるべきではなく、単に、本開示の実施形態の例示であると理解されるべきである。医療デバイスの様々な改変および変更、ならびに表面のpH、および従って、微小環境を改変するためのこの医療デバイスおよび材料を形成する方法の様々な改変および変更は、上記詳細な説明から、当業者に明らかである。このような改変および変更は、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲内であることが意図される。
【符号の説明】
【0051】
2 表面
4 pH微小環境
10 二又移植片
12 動脈瘤
14、16 ドッキングヘッド
20 ステント
22 バンド
24 コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面を有する少なくとも1つの基材;および
該表面の少なくとも一部分の官能基、
を備える、医療デバイスであって、該官能基は、該医療デバイスの該表面の近くの微小環境のpHを調整する、医療デバイス。
【請求項2】
前記表面の少なくとも一部分の前記官能基が、荷電ポリマーにより影響を受ける、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項3】
前記医療デバイスが移植可能である、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項4】
前記医療デバイスが、カテーテル、ステント、除細動器、ガイドワイヤ、および移植片からなる群より選択される、請求項3に記載の医療デバイス。
【請求項5】
前記医療デバイスが、患者の身体の外側にある、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項6】
前記医療デバイスが、血液移動デバイス、透析デバイス、血漿瀉血デバイス、血液酸素化機、および体外回路からなる群より選択される、請求項5に記載の医療デバイス。
【請求項7】
前記医療デバイスの前記表面が、該医療デバイスの管腔を構成する、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項8】
前記医療デバイスの前記表面が、組織に面する表面である、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項9】
前記医療デバイスの前記表面が、血液に接触する表面である、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項10】
前記荷電ポリマーが、前記医療デバイスの前記表面の少なくとも一部分のコーティングを構成する、請求項2に記載の医療デバイス。
【請求項11】
前記荷電ポリマーが、負電荷を有する、請求項2に記載の医療デバイス。
【請求項12】
前記荷電ポリマーが、正電荷を有する、請求項2に記載の医療デバイス。
【請求項13】
前記荷電ポリマーが、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−メタクリロイルアミノプロピル−トリメチルアンモニウムクロリド、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項2に記載の医療デバイス。
【請求項14】
前記荷電ポリマーが、3−メタクリロイルアミノプロピル−トリメチルアンモニウムクロリドと2−ヒドロキシエチルメタクリレートとの、正に荷電したコポリマーを含有する、請求項2に記載の医療デバイス。
【請求項15】
前記荷電ポリマーが、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸と2−ヒドロキシエチルメタクリレートとの、負に荷電したコポリマーを含有する、請求項2に記載の医療デバイス。
【請求項16】
前記荷電ポリマーが、酸と組み合わせられた、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メタクリル酸コポリマー、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項2に記載の医療デバイス。
【請求項17】
前記荷電ポリマーが、メタクリル酸とアクリル酸エチルとのコポリマーを含有する、請求項16に記載の医療デバイス。
【請求項18】
前記酸が、クエン酸、フマル酸、コハク酸、リンゴ酸、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され、該酸が、前記コポリマーの約0.1重量%〜約10重量%の量で存在する、請求項16に記載の医療デバイス。
【請求項19】
表面を有する少なくとも1つの基材;および
該表面の少なくとも一部分の官能基、
を備える、医療デバイスであって、該官能基は、該医療デバイスの該表面の近くの微小環境のpHを調整して、血栓形成を防止する、医療デバイス。
【請求項20】
前記表面の少なくとも一部分の前記官能基が、荷電ポリマーにより影響を受ける、請求項19に記載の医療デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−189134(P2011−189134A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−57228(P2011−57228)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(507156015)コンフルエント サージカル, インコーポレイテッド (21)
【Fターム(参考)】