説明

表面金属化の方法、プラスチック製品を調製する方法、およびそのような方法から製造されたプラスチック製品

プラスチックの表面を金属化する方法を提供する。この方法は、1)前記プラスチックの表面を気化して、前記化学めっき促進剤を露出するステップと、2)前記プラスチックの表面に、銅またはニッケルの層を化学めっきするステップと、3)ステップ2)でめっきされた表面に、電気めっきまたは化学めっきにより、少なくとももう一度めっきを行い、前記プラスチックの表面に、金属化層を形成するステップと、を有する。また、プラスチック製品を調製する方法、およびその方法によって製造されたプラスチック製品を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、表面処理に関し、特に、プラスチックのような非金属材料の表面金属化、すなわち表面金属化方法、プラスチック製品を調製する方法、およびそのような方法から製造されたプラスチック製品に関する。
【背景技術】
【0002】
表面に、電磁気信号の伝導の経路として金属化層を有するプラスチック基板は、自動車、工業、コンピュータ、および遠隔通信等の分野で広く使用されている。選択的に金属化層を形成することは、そのようなプラスチック製品を調製する上で重要なプロセスの一つである。従来の金属化層を形成する方法は、通常、プラスチックサポート表面に、触媒中心として金属コアを形成することにより実施され、化学めっきが実施される。しかしながら、これに関するプロセスは、複雑であり、装置に対する厳格な要求が必要となる一方で、エネルギー消費が高くなる。また、コーティングとプラスチックサポートの間の接合力が低い場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
以上のことに鑑み、プラスチックの金属化が低いエネルギー消費で容易に行われ、コーティング層とプラスチックサポートの間に高い接合力が得られるような、プラスチック表面を金属化する方法を提供することに関する要望が残存する。また、コーティング層とプラスチックまたは非金属サポートの間の接合力が向上するような、プラスチック製品を調製する方法、およびその方法から製造されたプラスチック製品を提供することに関する要望が残存する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の実施例では、プラスチックの表面を金属化する方法が提供される。プラスチックは、サポートおよび化学めっき促進剤を有しても良い。この方法は、1)前記プラスチックの表面を気化して、前記化学めっき促進剤を露出するステップと、2)前記プラスチックの表面に、銅またはニッケルの層を化学めっきするステップと、3)ステップ2)でめっきされた表面に、少なくとももう一度電気めっきまたは化学めっきを行い、前記プラスチックの表面に、金属化層を形成するステップと、を有する。前記化学めっき促進剤は、一般式がABO3で表されるペロブスカイト型化合物であり、ここでAは、周期律表の9、10、および11族から選定され、または、任意で周期律表のIAおよびIIA族、ならびにランタノイド系から選定された、1または2以上の元素であり、Bは、周期律表のIVB族およびVB族から選択された、1または2以上の元素である。
本発明の別の実施例では、プラスチック製品を調製する方法が提供される。この方法は、1)少なくとも一部をサポート、または支持材料および化学めっき促進剤を含むサポートから構成されたプラスチック製品を形成するステップと、2)前記サポートの表面を気化して、前記化学めっき促進剤を露出するステップと、3)前記表面に、銅またはニッケルの層を化学めっきしてから、少なくとももう一度、電気めっきまたは化学めっきを行い、前記表面に金属化層を形成するステップと、を有する。前記化学めっき促進剤は、一般式がABO3で表されるペロブスカイト型化合物であり、ここでAは、周期律表の9、10、および11族から選定され、または、任意で周期律表のIAおよびIIA族、ならびにランタノイド系から選定された、1または2以上の元素であり、Bは、周期律表のIVB族およびVB族から選択された、1または2以上の元素である。
【0005】
本発明のさらに別の実施例では、前述の方法で製造されたプラスチック製品が提供される。
【0006】
本願発明者らによって見出されたように、化学めっき促進剤を有する表面上に選択的化学めっきが直接実施されると、プラスチックは、一般式がABO3で表されるペロブスカイト型化合物により、金属酸化物が純金属に還元されることがなく、劣化しない。本発明の実施例では、化学めっき促進剤は、CaCu3Ti4O12、Na0.04Ca0.98Cu3Ti4O12、La0.01Ca0.99Cu3Ti4O12、CuTiO3、CuNiTi2O6、CuNbO3、CuTaO3、CuZrO3、およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選定されても良い。
【0007】
プラスチック製品を調製する方法において、化学めっき促進剤は、プラスチックサポートに均一に分散され、プラスチックサポートの表面の所定の領域は、例えばレーザによって気化され、化学めっき促進剤が露出され、化学めっき促進剤は、大きなエネルギー消費をせずに、純金属に還元される。さらなる電気めっきまたは化学めっきが実施され、所望の金属化層が形成されることにより、低エネルギー消費の簡単なプロセスで、低コストに、金属化選択表面が得られる。
【0008】
また、化学めっき促進剤は、プラスチックサポートに均一に分散されても良く、化学めっき後のコーティング層とプラスチックサポートの間の接合力が大きくなり、製造後のプラスチック製品の品質が向上する。
【0009】
本発明の実施例の追加の利点および態様は、以下の記載に示されており、以下の記載から明らかとなり、あるいは本発明の実施例の実行から理解される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施例について詳しく説明する。本願に記載する実施例は、説明のための一例であり、全般に本発明の理解のために使用される。実施例は、本発明を限定するものと解してはならない。同じまたは同様の機能を有する同じまたは同様の1つもしくは複数の素子には、記載を通じて、同様の参照符号が付されている。
【0011】
以下、プラスチック表面を金属化する方法について、説明する。プラスチックは、サポート、または支持材料および化学めっき促進剤を有しても良い。本発明の実施例では、本方法は、1)プラスチック表面を気化して、化学めっき促進剤を露出させるステップと、2)銅またはニッケルの層をプラスチック表面に化学めっきするステップと、3)ステップ2)におけるめっきされた表面に、少なくとももう一度電気めっきまたは化学めっきを行い、プラスチック表面に金属化層を形成するステップとを有する。本発明の実施例では、プラスチック表面は、レーザによって気化され、化学めっき促進剤が露出されても良い。レーザは、約157nmから約10.6μmの範囲の波長を有し、走査速度は、約500mm/秒から約8000mm/秒であり、走査ステップは、約3μmから約9μmであり、走査時間遅延は、約30μsから100μsであり、レーザパワーは、約3Wから約4Wであり、周波数は、約30kHzから約40kHzであり、充填距離は、約10μmから約50μmであっても良い。
【0012】
本発明の実施例では、化学めっき促進剤は、約20nmから約100μmの範囲の平均直径を有しても良く、これは、約50nmから約10μmであることが好ましく、約200nmから約4μmであることがより好ましい。
【0013】
本発明の実施例では、化学めっき促進剤は、一般式がABO3で表されるペロブスカイト型の化合物であり、ここでAは、周期律表の9、10、および11族から選定され、任意で、周期律表のIA族およびIIA族、ならびにランタノイド属から選択された、1または2以上の元素であり、Bは、周期律表のIVB族およびVB族から選択された1または2以上の元素である。例えば、複合酸化物ABO3の元素Aは、Co、Rh、Ni、Pd、Cu、Ag、およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択された元素であっても良く、必要に応じて、Na、Ca、La、Ce、およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択された元素を含む。元素Bは、Ti、Zr、Nb、V、およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択された元素であっても良い。本発明の実施例では、複合酸化物ABO3は、CaxCu4-xTi4O12、Na0.04Ca0.98Cu3Ti4O12、La0.01Ca0.99Cu3Ti4O12、CuNiTi2O6、CuNbO3、CuTaO3、またはCuZrO3であっても良い。ここで0≦x<4である。より具体的には、複合酸化物ABO3は、これに限られるものではないが、CaCu3Ti4O12、Na0.04Ca0.98Cu3Ti4O12、La0.01Ca0.99Cu3Ti4O12、CuTiO3、CuNiTi2O6、CuNbO3、CuTaO3、またはCuZrO3を含んでも良い。
【0014】
サポートまたは支持材料は、熱可塑性もしくは熱硬化性の樹脂であっても良い。熱可塑性の樹脂には、ポリオレフィン、ポリカーボネート(PC)、ポリエステル、ポリアミド、多環芳香族エーテル、ポリエステルイミド、ポリカーボネート/アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン複合材(PC/ABS)、ポリフェニレン酸化物(PPO)、ポリフェニレン硫化物(PPS)、ポリイミド(PI)、ポリサルフォン(PSU)、ポリ(エーテルエーテルケトン)(PEEK)、ポリベンズイミダゾール(PBI)、液晶ポリマ(LCP)、およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択された材料が含まれる。ポリオレフィンは、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、またはポリ(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)(ABS)から選定しても良い。ポリエステルは、ポリシクロへキシレンジメチレンテレフタレート(PCT)、ポリ(イソフタル酸ジアリル)(PDAIP)、ポリ(ジアリルフタレート)(PDAP)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、またはポリブチレンテレフタレート(PBT)から選定されても良い。ポリアミドは、ポリヘキサメチレンアジパミド(PA-66)、ポリ(ヘキサメチレンアゼラミド)(PA-69)、ポリヘキサメチレンスクシンアミド(PA-64)、ポリ(ヘキサメチレンドデカノアミド)(PA-612)、ポリ(ヘキサメチレンセバクアミド)(PA-610)、ポリ(デカメチレンセバクアミド)(PA-1010)、ポリウンデカノアミド(PA-11)、ポリドデカノアミド(PA-12)、ポリカプリルラクタム(PA-8)、ポリアゼルアミド(PA-9)、ポリカプロラクタム(PA-6)、ポリ(p−フェニテン(phenytene)テレフタルアミド)(PPTA)、ポリ−m−キシリレンアジパミド(MXD6)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(PA6T)、またはポリ(ノナメチレンテレフタルアミド)(PA9T)から選定されても良い。液晶ポリマ(LCP)は、剛性鎖を有し、液相内に高秩序構造の領域を形成可能なポリマであっても良い。熱硬化性樹脂は、フェノール樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン、およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択された材料を含んでも良い。
【0015】
前述のような表面金属化方法では、プラスチックサポートの表面は、例えばレーザによって気化し、化学めっき促進剤が露出されるため、該化学めっき促進剤は、高エネルギーを消費することなく、純金属に還元される。また、化学めっき後のコーティング層とプラスチックサポートの間の接合力は、極めて大きく、これにより、選択表面の金属化プロセスが改善される。
【0016】
しかしながら、プラスチック表面を金属化する方法は、電気装置、例えば携帯電話、ラップトップコンピュータ、冷蔵庫の外郭、ランプスタンド、プラスチック容器等のシェルのような選択的な表面の金属化処理が必要となるプラスチック製品の製造に使用しても良いことに留意する必要がある。以下、プラスチック製品を調製する方法について、詳しく説明する。
【0017】
本発明の実施例では、プラスチック製品を調製する方法は、1)サポートおよび化学めっき促進剤を有するサポートから製造された、少なくとも一つの部品を有するプラスチック製品を形成するステップと、2)サポートの表面を気化し、化学めっき促進剤を露出させるステップと、3)表面に銅またはニッケルの層を化学めっきした後、少なくとももう一度、電気めっきまたは化学めっきして、表面に金属化層を形成するステップと、を有しても良い。
【0018】
本発明の実施例では、化学めっき促進剤は、一般式がABO3で表されるペロブスカイト型の化合物であっても良い。ここでAは、周期律表の9、10、および11族から選定され、任意で、周期律表のIA族およびIIA族、ならびにランタノイド属から選択された、1または2以上の元素であり、Bは、周期律表のIVB族およびVB族から選択された1または2以上の元素である。例えば、複合酸化物ABO3の元素Aは、Co、Rh、Ni、Pd、Cu、Ag、およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択された元素であっても良く、必要に応じて、Na、Ca、La、Ce、およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択された元素を含む。元素Bは、Ti、Zr、Nb、V、およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択された元素であっても良い。本発明の実施例では、複合酸化物ABO3は、CaxCu4-xTi4O12、Na0.04Ca0.98Cu3Ti4O12、La0.01Ca0.99Cu3Ti4O12、CuNiTi2O6、CuNbO3、CuTaO3、またはCuZrO3であっても良い。ここで0≦x<4である。より具体的には、複合酸化物ABO3は、これに限られるものではないが、CaCu3Ti4O12、Na0.04Ca0.98Cu3Ti4O12、La0.01Ca0.99Cu3Ti4O12、CuTiO3、CuNiTi2O6、CuNbO3、CuTaO3、またはCuZrO3を含んでも良い。
【0019】
ペロブスカイト型化合物は、良く知られている。本発明の実施例では、ペロブスカイト型化合物は、市販のものであっても良く、これは、必要な直径が得られるようにボールミル処理されても良い。本発明の別の実施例では、ペロブスカイト型化合物は、良く知られた方法で調製されても良い。例えば、CaCu3Ti4O12を調製するプロセスは、化学量論比で高純度のCaCO3、CuO、およびTiO2粉末を混合するステップと、蒸留水中で、粉末を約12時間ボールミル処理して、混合物を形成するステップと、乾燥後に混合物を約950℃の温度で、約2時間焼成するステップと、再度ボールミル処理するステップと、乾燥後に、アグロメラントポリビニルアルコール(PVA)で乾燥粉末を粒状化し、微粒子を得るステップと、約100MPaの圧力の下、微粒子を円形シートに加圧するステップと、約1100℃の温度で、約6時間円形シートを焼結して、これにより促進剤を形成するステップと、を有しても良い。同様に、前述のプロセスによって、高純度Na2CO3、CaCO3、CuO、およびTiO2粉末により、Na0.04Ca0.98Cu3Ti4O12が調製されても良く、高純度La2O3、CaCO3、CuO、およびTiO2粉末により、La0.01Ca0.99Cu3Ti4O12が調製されても良い。
【0020】
多くの研究によって、化学めっきの核またはグレインとして、純CuおよびPdを使用する場合を除き、ナノCuOは、化学めっきの間のプラスチック表面上の金属原子の化学成膜速度を改善することが示されている。しかしながら、ナノCuOは、プラスチックを劣化させる原因ともなる。本願発明者らの多くの実験により、一般式がABO3で表されるペロブスカイト型化合物を、表面処理に使用することができ、そのような化学めっき促進剤は、プラスチックの劣化を引き起こさずに、長時間サポートに保持されたままで、表面への化学めっきの化学成膜を促進することが見出されている。
【0021】
本発明のプラスチック製品を調製する方法では、最初に、サポートおよび化学めっき促進剤を有するサポートが提供される。化学めっき促進剤は、サポート内に均一に分散されても良い。
【0022】
本発明の実施例では、サポートは、熱可塑性または熱硬化性の樹脂であっても良い。熱可塑性の樹脂には、ポリオレフィン、ポリカーボネート(PC)、ポリエステル、ポリアミド、多環芳香族エーテル、ポリエステルイミド、ポリカーボネート/アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン複合材(PC/ABS)、ポリフェニレン酸化物(PPO)、ポリフェニレン硫化物(PPS)、ポリイミド(PI)、ポリサルフォン(PSU)、ポリ(エーテルエーテルケトン)(PEEK)、ポリベンズイミダゾール(PBI)、液晶ポリマ(LCP)、およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択された材料が含まれる。ポリオレフィンは、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、またはポリ(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)(ABS)から選定しても良い。ポリエステルは、ポリシクロへキシレンジメチレンテレフタレート(PCT)、ポリ(イソフタル酸ジアリル)(PDAIP)、ポリ(ジアリルフタレート)(PDAP)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、またはポリブチレンテレフタレート(PBT)から選定されても良い。ポリアミドは、ポリヘキサメチレンアジパミド(PA-66)、ポリ(ヘキサメチレンアゼラミド)(PA-69)、ポリヘキサメチレンスクシンアミド(PA-64)、ポリ(ヘキサメチレンドデカノアミド)(PA-612)、ポリ(ヘキサメチレンセバクアミド)(PA-610)、ポリ(デカメチレンセバクアミド)(PA-1010)、ポリウンデカノアミド(PA-11)、ポリドデカノアミド(PA-12)、ポリカプリルラクタム(PA-8)、ポリアゼルアミド(PA-9)、ポリカプロラクタム(PA-6)、ポリ(p−フェニテン(phenytene)テレフタルアミド)(PPTA)、ポリ−m−キシリレンアジパミド(MXD6)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(PA6T)、またはポリ(ノナメチレンテレフタルアミド)(PA9T)から選定されても良い。液晶ポリマ(LCP)は、剛性鎖を有し、液相内に高秩序構造の領域を形成可能なポリマであっても良い。熱硬化性樹脂は、フェノール樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン、およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択された材料を含んでも良い。
【0023】
本発明の実施例では、プラスチック製品を形成する方法は、従来の知られた方法であっても良い。この方法は、最初に、促進剤およびサポートを均一に混合して、混合物を得るステップと、バンバリーミキサ、シングルスクリュー押出機、ツインスクリュー押出機、またはミキサーのような、従来のプラスチック混合器で混合物を処理し、射出成形、ブロー成形、押出、またはホットプレス処理により、所望の形状のサポートを形成するステップと、を有しても良い。
【0024】
本発明の実施例では、化学めっき促進剤の量は、サポートの重量をベースとして、約1wt%から約40wt%であっても良い。本発明の別の実施例では、化学めっき促進剤の量は、サポートの重量をベースとして、約1wt%から約30wt%であっても良い。本発明のさらに別の実施例では、化学めっき促進剤の量は、サポートの重量をベースとして、約2wt%から約15wt%であっても良い。
【0025】
本発明の実施例では、サポートは、さらに、無機フィラー、酸化防止剤、光安定化剤、潤滑剤、およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選定された材料を有しても良い。無機フィラー、酸化防止剤、光安定化剤、および潤滑剤は、市販のものであっても良く、サポートおよび化学めっき促進剤と混合して、サポートを形成しても良い。
【0026】
本発明の実施例では、サポートの重量をベースとして、酸化防止剤の量は、約0.01wt%から約2wt%であり、光安定化剤の量は、約0.01wt%から約2wt%であり、潤滑剤の量は、約0.01wt%から約2wt%であり、無機フィラーの量は、約1wt%から約70wt%であっても良い。
【0027】
酸化防止剤は、サポートの耐酸化性を高めるものであり、チバケミカルズ社(Ciba Specialty Chemicals)の酸化防止剤1098、1076、1010、または168のような良く知られたものであっても良い。光安定化剤は、サポートの光安定性を高めるものであり、良く知られたものであっても良く、特に、チバケミカルズ社から利用できる光安定化剤944のような、ヒンダードアミン光安定化剤であっても良い。
【0028】
潤滑剤は、プラスチックの流動性を高め、プラスチックサポートを均一に混合することができる。これは、メチルポリシロキサン、エチレン/ビニルアセテートワックス(EVA wax)、ポリエチレンワックス、ステアリン酸塩、およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選定された材料を含んでも良い。
【0029】
無機フィラーは、タルカムパウダー、炭酸カルシウム、ガラス繊維、ケイ酸カルシウム繊維、スズ酸化物、またはカーボンブラックから選定されても良い。ガラス繊維は、レーザによる気化の際に、サポートのエッチング深さを大きくする。これは、Cuの化学めっきの間のCuの密着性にとって好ましい。スズ酸化物、特にナノスズ酸化物、またはカーボンブラックは、レーザのエネルギー利用率を高め得る。ある実施例では、無機フィラーは、さらに、微小ガラスビード、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、真珠パウダー、珪灰石、珪藻岩、カオリン、石炭粉、陶土、雲母、油頁岩灰、ケイ酸アルミニウム、アルミナ、カーボン繊維、二酸化ケイ素、または亜鉛酸化物から選定されても良い。無機フィラーは、Crのような、環境および人体に有害な元素を含まないことが好ましい。
【0030】
本発明の実施例では、化学めっき促進剤は、サポート内に均一に分散され、化学めっき促進剤とサポートの間の接合力は、極めて高いため、以降の化学めっきは、化学めっき促進剤の表面に、直接実施される。その結果、形成されたコーティング層とサポートの間の接合力は、大きく向上する。
【0031】
レーザ気化処理は、プラスチック製品の表面で行われ、プラスチックで構成された部分が気化し、化学めっき促進剤が露出される。本発明の実施例では、本発明の方法により、サポートの表面に、所望のパターンが形成されても良い。レーザ機器は、従来の赤外線レーザ、例えばCO2レーザのマーキングシステムであっても良い。レーザの波長は、約157nmから約10.6μmであっても良く、走査速度は、約500mm/秒から約8000mm/秒であっても良く、走査ステップサイズは、約3μmから約9μmであっても良く、走査時間遅延は、約30μsから約100μsであっても良く、レーザパワーは、約3Wから4Wであっても良く、周波数は、約30kHzから約40kHzであっても良く、充填距離は、約10μmから約50μmであっても良い。本発明のエネルギー需要は低い。これは、エネルギーは、サポートの表面を気化して、化学めっき促進剤を露出させるためのみに必要となり、サポートを純金属まで還元する必要はないからである。
【0032】
本発明の実施例では、サポートの厚さは、約500μmよりも厚く、サポートのエッチング深さは、約1μmから約20μmであるため、化学めっき促進剤が露出され、微細で、凹凸のあるボイドを有する粗い表面が形成される。以降の銅またはニッケル層の化学めっきのプロセスの間、銅またはニッケル層は、粗い表面のボイドに埋設され、これによりプラスチックサポートとの強固な接合力が形成される。
【0033】
プラスチックサポートの気化処理では、プラスチックスモークが発生し、このスモークは、下降し、露出された化学めっき促進剤を被覆する。本発明の実施例では、レーザ気化処理の間、スモークを排気するため、換気ユニットが使用されても良い。また、レーザ気化処理後のサポートに対して、超音波洗浄を行っても良い。
【0034】
本発明の実施例では、銅またはニッケル層を化学めっきするプロセスは、露出された化学めっき促進剤上に実施され、その後、再度、電気めっきまたは化学めっきが行われ、サポート上に、金属化層領域が形成されても良い。化学めっき法は、従来より実施されているいかなる方法であっても良い。例えば、サポートは、化学めっき浴中に浸漬しても良い。
【0035】
化学めっき浴において、銅の化学めっき溶液またはニッケルの化学めっき溶液と接触した後、露出された化学めっき促進剤は、CuイオンまたはNiイオンの還元を促進し、純粋なCuまたはNi粒子が形成される。これらの粒子は、化学めっき促進剤の表面を覆い、レーザ気化処理領域に、コンパクトで緻密な第1のめっき層が形成される。
【0036】
表面装飾性、適用性、および耐食性を高めるため、第1のめっき層上に、1または2以上のめっき層が形成され、最終金属化層が形成されても良い。
【0037】
ある実施例では、第1のめっき層は、ニッケル層であり、第2の化学めっきは、ニッケル層上に実施され、第2の銅層が形成され、その後、第3の化学めっきが実施され、第2の層上に第3のニッケル層が形成されても良い。その結果、金属化層は、プラスチック製品の内側から外側に向かって、Ni−Cu−Ni構造となる。別の実施例では、Ni−Cu−Ni層上に、Au層がストライクめっきされ、Ni−Cu−Ni−Auの金属化層が得られる。
【0038】
別の実施例では、第1のめっき層は、銅層であり、第2の電気めっきは、銅層の上で実施され、第2のニッケル層が形成される。その結果、金属化層は、プラスチック製品の内側から外側に向かってCu−Ni構造となる。さらに別の実施例では、Cu−Ni層上にAu層がストライクめっきされ、Cu−Ni−Auの金属化層が得られても良い。
【0039】
Ni−Cu−Ni、Ni−Cu−Ni−Au、Cu−Ni、またはCu−Ni−Auの金属化層において、Ni層の厚さは、約0.1μmから約50μmであり、好ましくは約1μmから約10μmであり、より好ましくは約2μmから約3μmである。Cu層の厚さは、約0.1μmから約100μmであり、好ましくは約1μmから約50μmであり、より好ましくは約5μmから約30μmである。Au層の厚さは、約0.01μmから約10μmであり、好ましくは約0.01μmから約2μmであり、より好ましくは約0.1μmから約1μmである。
【0040】
銅およびニッケルの化学めっき液、銅およびニッケルの電気めっき液、ならびに金のストライクめっき液は、従来知られたものであっても、市販のものであっても良い。本発明の実施例では、銅の化学めっき液は、約12から約13のpH値を有し、銅塩、および還元剤を有しても良く、この還元剤は、銅塩を金属銅に還元するものであり、グリオキシル酸、ヒドラジン、および次亜リン酸ナトリウムから選定された1または2以上の化合物であっても良い。ある例では、銅の化学めっき液は、NaOHおよびH2SO4により調整された、約12.5から約13のpH値を有し、以下のように提案される:約0.12mol/LのCuSO4・5H2O、約0.14mol/LのNa2EDTA・2H2O、約10mol/Lのフェロシアン化カリウム、約10mg/Lの2,2’−ビピリジン、および約0.10mol/Lのグリオキシル酸(HCOCOOH)。本発明の実施例では、約85−90℃の温度でNaOHによって調整された約5.2のpH値を有するニッケルの化学めっき液は、以下のように提案される:約23g/Lの硫酸ニッケル、約18g/Lの次亜リン酸ナトリウム、約20g/Lの乳酸、および約15g/Lのリンゴ酸。
【0041】
本発明の実施例では、銅の化学めっき時間は、約10分から約240分であり、ニッケルの化学めっき時間は、約8分から約15分であっても良い。
【0042】
金ストライクめっき液は、例えば、中性金めっき液BG−24であり、これは、Jingyanchuang Chemical Company, Shenzhen, P. R. C.から入手できる。
【0043】
本発明の実施例では、化学めっき促進剤が存在しないサポートの表面には、実質的に化学めっき成膜は行われない。すなわち、電気めっき速度は、極めて遅く、接合力は、弱くなる。化学成膜がほとんどない場合でも、これらは、容易に除去される。従って、本発明では、直接選択的表面金属化法が容易に達成される。
【0044】
また、本発明では、前述の方法により製造されるプラスチック製品が開示される。プラスチック製品は、サポートの表面に、サポートおよび金属化層を有しても良い。金属化層は、プラスチック製品の内側部から外側部に向かって、Ni−Cu−Ni層、Ni−Cu−Ni−Au層、Cu−Ni層、またはCu−Ni−Au層であっても良い。
【0045】
本発明の追加の細部は、本発明のいくつかの実施例により提供される。
【0046】
(実施例1)
プラスチック製品を調製する方法は、以下のステップを有する。
a)高速ボールグラインダで、約10時間CaCu3Ti4O12をボールミル処理して、平均直径が約700nmの粉末を形成する;高速ミキサー内で、PPE/PPS樹脂、CaCu3Ti4O12粉末、炭酸カルシウム繊維、および酸化防止剤1010を、重量比で約100:10:30:0.2となるように混合して、混合物を調製する;Nanjing Rubber&Plastic Machinery Plant Co.,Ltd.,P.R.C.のツインスクリュー押出機で、混合物を押出および微細化する:混合物を射出成形して、LED(発光ダイオード)ランプ用の回路基盤の基板を形成する;
b)波長約1064nm、走査速度約1000mm/秒、走査ステップサイズ約9μm、走査時間遅延約30μs、周波数約40kHz、パワー約3W、充填距離約50μmで、Shenzhen TEC-H LASER Technology Co.,Ltd., P.R.C.製のDPF−M12赤外レーザにより、基板をパターン化する;サポート表面の超音波洗浄;ならびに
c)ニッケルの化学めっき液に約10分間、基板を浸漬して、厚さ約3μmの第1のニッケル層を形成する;銅の化学めっき液に約4時間、基板を浸漬して、厚さが約13μmの銅層を、第1のニッケル層上に形成する;再度、ニッケルの化学めっき液中に約10分間、基板を浸漬して、銅層上に厚さ約3μmの第2のニッケル層を形成する;厚さ約0.03μmの金層を、第2のニッケル層上にストライクめっきして、LEDランプの回路基盤用の基板として、プラスチック製品を形成する;ニッケルのめっき液は、約0.12mol/LのCuSO4・5H2O、約0.14mol/LのNa2EDTA・2H2O、約10mg/Lのフェロシアン化カリウム、約10mg/Lの2,2’−ビピリジン、および約0.10mol/Lのグリオキシル酸(HCOCOOH)からなり、pH値は、NaOHおよびH2SO4を用いて、約12.5から約13に調節される;ニッケルめっき液は、約23g/Lの硫酸ニッケル、約18g/Lの次亜リン酸ナトリウム、約20g/Lの乳酸、約15g/Lのリンゴ酸を含み、pH値は、NaOHにより、約5.2に調節される;金ストライクめっき液は、BG-24中性金めっき液であり、これは、Shenzhen Jingyanchuang Chemical Company ,P.R.C.から入手できる。
【0047】
(実施例2)
実施例2の方法は、ほとんどの点で、実施例1の方法と実質的に同様であるが、以下の点が異なる。
【0048】
ステップa)において、CuNiTi2O6をボールミル処理し、平均直径が約800nmの粉末を形成する;粉末を乾燥する;高速ボールグラインダで、PEEK樹脂、CuNiTi2O6、ガラス繊維、および酸化防止剤168を、重量比で約100:20:30:0.2となるように混合し、混合物を調製する;混合物を押出および微細化する;混合物を射出成形し、シェルを形成する;
ステップc)において、ニッケルの化学めっき液中に約8分間、シェルを浸漬し、厚さ約2μmのニッケル層を形成する;銅の化学めっき浴に約3時間、シェルを浸漬し、第1のニッケル層上に、厚さ約13μmの銅層を形成する;再度、ニッケルの化学めっき液中に約10分間、シェルを浸漬し、銅層上に、厚さ約3μmの第2のニッケル層を形成する;第2のニッケル層上に、厚さ約0.03μmの金層のストライクめっきを行い、自動車モータの電子コネクタシェル用のシェルとして、プラスチック製品を形成する。
【0049】
(実施例3)
実施例3の方法は、ほとんどの点で、実施例1の方法と実質的に同様であるが、以下の点が異なる。
【0050】
ステップa)において、CuNbO3をボールミル処理し、平均直径が約800nmの粉末を形成する;粉末を乾燥した;高速ボールグラインダで、PES樹脂、CuNbO3、チタン酸カリウムウィスカ、酸化防止剤1010、およびポリエチレンワックスを、重量比で約100:10:30:0.2:0.1となるように混合し、混合物を調製する;混合物を押出および微細化する;混合物を射出成形し、シェルを形成する;
ステップc)において、銅の化学めっき液中に約3時間、シェルを浸漬し、厚さ約5μmの銅層を形成する;ニッケルの化学めっき液中に、サポートを約10分間浸漬し、銅層上に、厚さ約3μmのニッケル層を形成し、これにより、電子コネクタ用のシェルとして、プラスチック製品を形成した。
【0051】
(実施例4)
実施例4の方法は、ほとんどの点で、実施例1の方法と実質的に同様であるが、以下の点が異なる。
【0052】
ステップa)において、CuTiO3をボールミル処理し、平均直径が約900nmの粉末を形成する;粉末を乾燥する;高速ボールグラインダで、PC樹脂、CuTiO3、酸化防止剤1076、およびポリエチレンワックスを、重量比で約100:20:0.2:0.1となるように混合し、混合物を調製する;混合物を押出および微細化する;混合物をブロー成形し、シェルを形成する;
ステップc)において、ニッケルの化学めっき液中に約10分間、シェルを浸漬し、厚さ約3μmの第1のニッケル層を形成する;銅の化学めっき液中に、シェルを約2時間浸漬し、第1のニッケル層上に、厚さ約10μmの銅層を形成する;再度、ニッケルの化学めっき液中にシェルを約12分間浸漬し、銅層上に、厚さ約4μmの第2のニッケル層を形成する;これにより、自動車の電子部品用のシェルとして、プラスチック製品を形成した。
【0053】
(実施例5)
実施例5の方法は、ほとんどの点で、実施例1の方法と実質的に同様であるが、以下の点が異なる。
【0054】
ステップa)において、CuZrO3をボールミル処理し、平均直径が約900nmの粉末を形成する;粉末を乾燥する;高速ボールグラインダで、PPO樹脂、CuZrO3、炭酸カルシウム繊維、酸化防止剤1076、およびポリエチレンワックスを、重量比で約100:10:10:0.2:0.1となるように混合し、混合物を調製する;ツインスクリュー押出機により、混合物を押出し、微細化する;混合物を押出成形し、シェルを形成する;
ステップc)において、ニッケルの化学めっき液中に約8分間、シェルを浸漬し、厚さ約2μmのニッケル層を形成する;銅の化学めっき浴中に、シェルを約4時間浸漬し、第1のニッケル層上に、厚さ約15μmの銅層を形成する;再度、ニッケルの化学めっき液中にシェルを約10分間浸漬し、銅層上に、厚さ約3μmの第2のニッケル層を形成する;第2のニッケル層上に、厚さ約0.03μmの金層をストライクめっきまたはフラッシュめっきする;これにより、太陽電池セルの戸外コネクタ用のシェルとして、プラスチック製品を形成した。
【0055】
(実施例6)
プラスチック製品を調製する方法は、以下のステップを有する。
a)約2.2gのNa2CO3、約98gのCaCO3、約240gのCuO、および約330gのTiO2粉末を均一に混合する;高速ボールグラインダの蒸留水中で、粉末を約12時間ボールミル処理し、混合物を形成する;混合物を乾燥し、約950℃の温度で約2時間焼成する;再度、混合物を約4時間ボールミル処理する;乾燥し、PVA粉末で混合物を微細化する;約100MPaの圧力の下、混合物を円形シートに加圧する;約1100℃の温度で約6時間、シートを焼結し、粉末を形成する;粉末の平均直径が約900nmに達するまで、高速度で粉末をボールミル処理する;X線光電子分光法(XPS)により、得られた生成物Na0.04Ca0.98Cu3Ti4O12を分析する;
b)PA6T樹脂、Na0.04Ca0.98Cu3Ti4O12、酸化防止剤1076、ポリエチレンワックスを、重量比で約100:10:0.2:0.1となるように混合する;混合物を押出し、微細化する;混合物を押出成形し、シェルを形成する;
c)実施例1のステップb)と実質的に同様の方法により、シェルをパターン処理する;
d)めっきステップは、ほとんどの点で、実施例1のステップc)と実質的に等しいが、以下の点が異なる。ニッケルの化学めっき液中に、シェルを約8分間浸漬し、厚さが約2μmのニッケル層を形成する;銅の化学めっき浴中に、シェルを約4時間浸漬し、第1のニッケル層上に、厚さ約15μmの銅層を形成する;再度、ニッケルの化学めっき液中に、シェルを約10分間浸漬し、銅層上に、厚さが約3μmの第2のニッケル層を形成する;第2のニッケル層上に、厚さが約0.03μmの金層をストライクめっきする;これにより、自動車エンジンの電子コネクタ用のシェルとして、プラスチック製品を形成した。
【0056】
(実施例7)
プラスチック製品を調製する方法は、以下のステップを有する。
a)約3.3gのLa2CO3、約100gのCaCO3、約240gのCuO、および約330gのTiO2粉末を均一に混合する;高速ボールグラインダの蒸留水中で、粉末を約12時間ボールミル処理し、混合物を形成する;混合物を乾燥し、約950℃の温度で約2時間焼成する;再度、混合物を約4時間ボールミル処理する;乾燥し、PVA粉末で混合物を微細化する;約100MPaの圧力の下、混合物を円形シートに加圧する;約1100℃の温度で約6時間、シートを焼結し、粉末を形成する;粉末の平均直径が約1.0μmに達するまで、高速度で粉末をボールミル処理する;XPS法により、得られた生成物Na0.01Ca0.99Cu3Ti4O12を分析する;
b)PPS樹脂、Na0.01Ca0.99Cu3Ti4O12、酸化防止剤1076、ポリエチレンワックスを、重量比で約100:10:0.2:0.1となるように混合する;混合物を押出し、微細化する;混合物を押出成形し、シェルを形成する;
c)実施例1のステップb)と実質的に同様の方法により、シェルをパターン処理する;
d)めっきステップは、ほとんどの点で、実施例3のステップc)と実質的に等しいが、以下の点が異なる。銅の化学めっき液中に、シェルを約3時間浸漬し、厚さが約12μmの銅層を形成する;ニッケルの化学めっき浴中に、サポートを約10分間浸漬し、銅層上に、厚さ約3μmのニッケル層を形成し、これにより、電子コネクタ用のシェルとして、プラスチック製品を形成する。
【0057】
一例としての実施例を示し記載したが、開示の思想および原理から逸脱しない実施例において、特許請求の範囲およびその均等の範囲内に含まれる変更、代替、および改変が可能であることは、当業者には明らかである。
【0058】
本願は、2010年1月15日に国家知的財産庁、PRCに出願された中国特許出願第201010044447.0号の優先権を主張するものであり、その全内容を参照として援用する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチックの表面を金属化する方法であって、
前記プラスチックは、サポートおよび化学めっき促進剤を有し、
当該方法は、
1)前記プラスチックの表面を気化して、前記化学めっき促進剤を露出するステップと、
2)前記プラスチックの表面に、銅またはニッケルの層を化学めっきするステップと、
3)ステップ2)でめっきされた表面に、電気めっきまたは化学めっきにより、少なくとももう一度めっきを行い、前記プラスチックの表面に、金属化層を形成するステップと、
を有し、
前記化学めっき促進剤は、一般式がABO3で表されるペロブスカイト型化合物であり、ここでAは、周期律表の9、10、および11族から選定され、任意で、周期律表のIAおよびIIA族、ならびにランタノイド系から選定された、1または2以上の元素であり、Bは、周期律表のIVB族およびVB族から選択された、1または2以上の元素であることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記プラスチックの表面は、レーザにより気化され、前記化学めっき促進剤が露出されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記レーザは、約157nmから約10.6μmの波長範囲を有し、走査速度は約500mm/秒から約8000mm/秒であり、走査ステップは、約3μmから約9μmであり、走査時間遅延は、約30μsから約100μsであり、レーザパワーは、約3Wから約4Wであり、周波数は、約30kHzから約40kHzであり、充填距離は、約10μmから約50μmであることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記化学めっき促進剤は、約20nmから約100μmの範囲の平均直径を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記化学めっき促進剤は、CaxCu4-xTi4O12、Na0.04Ca0.98Cu3Ti4O12、La0.01Ca0.99Cu3Ti4O12、CuTiO3、CuNiTi2O6、CuNbO3、CuTaO3、およびCuZrO3からなる群から選定され、ここで0≦x<4であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記サポートは、熱可塑性または熱硬化性の樹脂であり、
前記熱可塑性の樹脂は、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、多環芳香族エーテル、ポリエステルイミド、ポリカーボネート/アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン複合材、ポリフェニレン酸化物、ポリフェニレン硫化物、ポリイミド、ポリサルフォン、ポリ(エーテルエーテルケトン)、ポリベンズイミダゾール、液晶ポリマ、およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択された材料を含み、
前記熱硬化性の樹脂は、フェノール樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン、およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択された材料を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記化学めっき促進剤は、前記サポートの重量をベースとして、約1wt%から約40wt%の量であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記サポートは、さらに、無機フィラー、酸化防止剤、光安定化剤、潤滑剤、およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選定された材料を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
プラスチック製品を調製する方法であって、
1)サポートおよび化学めっき促進剤を含むサポートから構成された少なくとも一部を有するプラスチック製品を形成するステップと、
2)前記サポートの表面を気化して、前記化学めっき促進剤を露出するステップと、
3)前記表面に、銅またはニッケルの層を化学めっきしてから、少なくとももう一度、電気めっきまたは化学めっきを行い、前記表面に金属化層を形成するステップと、
を有し、
前記化学めっき促進剤は、一般式がABO3で表されるペロブスカイト型化合物であり、ここでAは、周期律表の9、10、および11族から選定され、任意で、周期律表のIAおよびIIA族、ならびにランタノイド系から選定された、1または2以上の元素であり、Bは、周期律表のIVB族およびVB族から選択された、1または2以上の元素であることを特徴とする方法。
【請求項10】
前記プラスチック製品は、前記ステップ1)において、射出成型法、ブロー成型法、押出成型法、またはホットプレス法で形成されることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記表面は、レーザによって気化され、前記化学めっき促進剤が露出されることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記レーザは、約157nmから約10.6μmの波長範囲を有し、走査速度は約500mm/秒から約8000mm/秒であり、走査ステップサイズは、約3μmから約9μmであり、走査時間遅延は、約30μsから約100μsであり、レーザパワーは、約3Wから約4Wであり、周波数は、約30kHzから約40kHzであり、充填距離は、約10μmから約50μmであることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ステップ3)は、さらに、追加の電気めっきおよび/または化学めっきを実施するステップを有し、前記サポート上に、それぞれ、Ni−Cu−Ni、Ni−Cu−Ni−Au、Cu−Ni、またはCu−Ni−Au層が形成されることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項14】
Ni−Cu−Ni、Ni−Cu−Ni−Au、Cu−Ni、およびCu−Ni−Auの層において、それぞれ、前記Ni層は、厚さが約0.1μmから約50μmの範囲であり、前記Cu層は、厚さが約0.1μmから約100μmの範囲であり、前記Au層は、厚さが約0.01μmから約10μmの範囲であることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記化学めっき促進剤は、約20nmから約100μmの範囲の平均直径を有することを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記化学めっき促進剤は、CaxCu4-xTi4O12、Na0.04Ca0.98Cu3Ti4O12、La0.01Ca0.99Cu3Ti4O12、CuTiO3、CuNiTi2O6、CuNbO3、CuTaO3、およびCuZrO3からなる群から選定され、ここで0≦x<4であることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項17】
前記サポートは、熱可塑性または熱硬化性の樹脂であり、
前記熱可塑性の樹脂は、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、多環芳香族エーテル、ポリエステルイミド、ポリカーボネート/アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン複合材、ポリフェニレン酸化物、ポリフェニレン硫化物、ポリイミド、ポリサルフォン、ポリ(エーテルエーテルケトン)、ポリベンズイミダゾール、液晶ポリマ、およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択された材料を含み、
前記熱硬化性の樹脂は、フェノール樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン、およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択された材料を含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項18】
前記化学めっき促進剤は、前記サポートの重量をベースとして、約1wt%から約40wt%の量であることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項19】
前記サポートは、さらに、無機フィラー、酸化防止剤、光安定化剤、潤滑剤、およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選定された材料を有することを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項20】
前記化学めっき促進剤は、前記サポート内に均一に分散されることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項21】
請求項9に記載の方法によって製造されたプラスチック製品。

【公表番号】特表2012−524170(P2012−524170A)
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−506332(P2012−506332)
【出願日】平成22年7月19日(2010.7.19)
【国際出願番号】PCT/CN2010/075232
【国際公開番号】WO2011/085584
【国際公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(510177809)ビーワイディー カンパニー リミテッド (15)
【Fターム(参考)】