説明

表面金属膜材料の作製方法、表面金属膜材料、金属パターン材料の作製方法、及び金属パターン材料

【課題】基板との密着性に優れた金属膜を有し、且つ、湿度変化による密着力の変動が少ない表面金属膜材料、及びその作製方法を提供すること。
【解決手段】(1)ポリマーを含有するポリマー溶液を調製する工程と、(2a)該ポリマー溶液に、ポリマーに対して30質量%以上200質量%以下の割合となるモノマーを混合して、混合液を調製する工程と、(3)基板上に、前記混合液を、塗布、乾燥させた後、得られた膜を硬化させ、該基板上に硬化層を形成する工程と、(4)該硬化層にめっき触媒又はその前駆体を付与する工程と、(5)該めっき触媒又はその前駆体に対してめっきを行う工程と、を有し、前記ポリマー及び前記モノマーの少なくとも一方が、めっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する非解離性官能基を有することを特徴とする表面金属膜材料の作製方法、該作製方法により得られた表面金属膜材料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面金属膜材料の作製方法、表面金属膜材料、金属パターン材料の作製方法、及び金属パターン材料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、絶縁性基板の表面に金属パターンによる配線を形成した金属配線基板が、電子部品や半導体素子に広く用いられている。
かかる金属パターン材料の作製方法としては、主に、「サブトラクティブ法」が使用される。このサブトラクティブ法とは、基板表面に形成された金属膜上に、活性光線の照射により感光する感光層を設け、この感光層を像様露光し、その後現像してレジスト像を形成し、次いで、金属膜をエッチングして金属パターンを形成し、最後にレジストを剥離する方法である。
【0003】
この方法により得られる金属パターンにおいては、基板表面に凹凸を設けることにより生じるアンカー効果により、基板と金属膜との間の密着性を発現させている。そのため、得られた金属パターンの基板界面部の凹凸に起因して、金属配線として使用する際の高周波特性が悪くなるという問題点があった。また、基板表面に凹凸化処理するためには、クロム酸などの強酸で基板表面を処理するが必要であるため、金属膜と基板との密着性に優れた金属パターンを得るためには、煩雑な工程が必要であるという問題点があった。
【0004】
この問題を解決するため、基板上に、めっき触媒となる金属イオンを補足する能力のあるキレート配位子を有する高分子化合物を含有する硬化層を形成し、その硬化層にめっきする方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この方法ではキレート配位子を有する高分子化合物を含有する硬化層を形成する際に、ポリマーと硬化剤とを同時に混合することで調整した組成物を用いているが、このような組成物は経時安定性に懸念があり、均一な硬化膜が得られないといった問題を生じる可能性がある。
また、特許文献1に記載の方法では、キレート配位子として例示されているものは、イミノ二酢酸に代表されるようなカルボン酸型、アゾ型、ポリアミン又はポリイミン型、アルコール性又はフェノール性のヒドロキシル型、β―ジケトン型などの配位子であり、すべて親水性でありそのため、温度や湿度変化により水分の吸収や脱離が生じ易く、その結果、形成された金属膜や基板が変形をしたり、金属膜が基板から剥がれやすくなるという問題を有していた。更に、金属配線基板の配線として使用する際には、基板界面部分に極性基を有するグラフトポリマーが残存し、水分やイオン等を保持しやすくなるため、温・湿度依存性や配線間の耐イオンマイグレーション性や、形状の変化に懸念があった。特に、プリント配線板などの微細配線に適用した際には、配線(金属パターン)間における高い絶縁性が必要であり、配線間の絶縁信頼性のより一層の向上が要求されているのが現状である。
【特許文献1】特開平11−12504号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来の技術の欠点を考慮してなされたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明の第1の目的は、基板との密着性に優れた金属膜を有し、且つ、湿度変化による密着力の変動が少ない表面金属膜材料、及びその作製方法を提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、基板との密着性に優れた金属パターンを有し、且つ、金属パターンの非形成領域の絶縁信頼性に優れた金属パターンを有する金属パターン材料、及び該金属パターン材料を有機溶剤の使用を低減しつつ作製することができる金属パターン材料の作製方法その作製方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題に鑑みて鋭意検討した結果、以下に示す手段により上記目的を達成しうることを見出した。
本発明の第1の表面金属膜材料の作製方法は、(1)ポリマーを含有するポリマー溶液を調製する工程と、(2a)該ポリマー溶液に、ポリマーに対して30質量%以上200質量%以下の割合となるモノマーを混合して、混合液を調製する工程と、(3)基板上に、前記混合液を、塗布、乾燥させた後、得られた膜を硬化させ、該基板上に硬化層を形成する工程と、(4)該硬化層にめっき触媒又はその前駆体を付与する工程と、(5)該めっき触媒又はその前駆体に対してめっきを行う工程と、を有し、前記ポリマー及び前記モノマーの少なくとも一方が、めっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する非解離性官能基を有することを特徴とする。
また、本発明の第2の表面金属膜材料の作製方法は、(1)ポリマーを含有するポリマー溶液を調製する工程と、(2b)該ポリマー溶液に、ポリマーに対して30質量%以上200質量%以下の割合となるモノマーと、めっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する非解離性官能基及び反応性基有する化合物と、を混合して、混合液を調製する工程と、(3)基板上に、前記混合液を、塗布、乾燥させた後、得られた膜を硬化させ、該基板上に硬化層を形成する工程と、(4)該硬化層にめっき触媒又はその前駆体を付与する工程と、(5)該めっき触媒又はその前駆体に対してめっきを行う工程と、を有し、前記ポリマー及び前記モノマーの少なくとも一方が、めっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する非解離性官能基を有する化合物中の反応性基と反応する官能基を有することを特徴とする。
【0007】
本発明において、モノマーが、多官能モノマーであることが好ましい。
また、モノマーがラジカル重合性モノマーであることも好ましい態様の1つである。
更に、(3)工程で用いられる基板が、基材上に、重合開始剤を含有する、又は重合開始可能な官能基を有する重合開始層が形成された基板であることが好ましい。
また、(3)工程においては、基板として、基材上に、重合開始剤を含有する、又は重合開始可能な官能基を有する重合開始層が形成されたものが用いられ、基板と硬化層との間に化学結合が形成されることが好ましい態様である。
【0008】
また、本発明の表面金属膜材料の作製方法においては、(5)工程では、無電解めっきが行われることが好ましく、該無電解めっきの後に、更に電気めっきが行われることがより好ましい。
【0009】
本発明の表面金属膜材料は、本発明の表面金属膜材料の作製方法により得られたものである。
【0010】
本発明の第1の金属パターン材料の作製方法は、(6)本発明の表面金属膜材料のめっき膜をパターン状にエッチングする工程を有することを特徴とする。
つまり、金属パターン材料の作製方法は、前述の表面金属膜材料の作製方法における(1)、(2)、(3)、(4)、及び(5)工程を行った後、形成されためっき膜をパターン状にエッチングする工程〔(6)工程〕を行うものである。
【0011】
また、本発明の金属パターン材料は、本発明の金属パターン材料の作製方法により得られたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、基板との密着性に優れた金属膜を有し、且つ、湿度変化による密着力の変動が少ない表面金属膜材料、及びその作製方法を提供することができる。
また、本発明によれば、基板との密着性に優れた金属パターンを有し、且つ、金属パターンの非形成領域の絶縁信頼性に優れた金属パターンを有する金属パターン材料、及びその作製方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
<表面金属膜材料の作製方法、及び金属パターン材料の作製方法>
本発明の第1の表面金属膜材料の作製方法(以下、適宜、「表面金属膜材料の作製方法〔1〕」と称する。)は、(1)ポリマーを含有するポリマー溶液を調製する工程と、(2a)該ポリマー溶液に、ポリマーに対して30質量%以上200質量%以下の割合となるモノマーを混合して、混合液を調製する工程と、(3)基板上に、前記混合液を、塗布、乾燥させた後、得られた膜を硬化させ、該基板上に硬化層を形成する工程と、(4)該硬化層にめっき触媒又はその前駆体を付与する工程と、(5)該めっき触媒又はその前駆体に対してめっきを行う工程と、を有し、前記ポリマー及び前記モノマーの少なくとも一方が、めっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する非解離性官能基を有することを特徴とする。
【0014】
本発明の第2の表面金属膜材料の作製方法(以下、適宜、「表面金属膜材料の作製方法〔2〕」と称する。)は、(1)ポリマーを含有するポリマー溶液を調製する工程と、(2b)該ポリマー溶液に、ポリマーに対して30質量%以上200質量%以下の割合となるモノマーと、めっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する非解離性官能基及び反応性基有する化合物と、を混合して、混合液を調製する工程と、(3)基板上に、前記混合液を、塗布、乾燥させた後、得られた膜を硬化させ、該基板上に硬化層を形成する工程と、(4)該硬化層にめっき触媒又はその前駆体を付与する工程と、(5)該めっき触媒又はその前駆体に対してめっきを行う工程と、を有し、前記ポリマー及び前記モノマーの少なくとも一方が、めっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する非解離性官能基を有する化合物中の反応性基と反応する官能基を有することを特徴とする。
【0015】
本発明の金属パターン材料の作製方法は、(6)本発明の表面金属膜材料(本発明の表面金属膜材料の作製方法〔1〕又は〔2〕により得られた表面金属膜材料)のめっき膜をパターン状にエッチングする工程を有することを特徴とする。
つまり、金属パターン材料の作製方法は、前述の表面金属膜材料の作製方法における(1)、(2a)又は(2b)、(3)、及び(4)工程を行った後、形成されためっき膜をパターン状にエッチングする工程〔(6)工程〕を行うものである。
【0016】
本発明の表面金属膜材料の作製方法、及び金属パターン材料の作製方法においては、ポリマーとモノマーとの混合液を塗布、乾燥して得られた膜を硬化してなる硬化層を有する。この硬化層は基板上で反応することで得られた層であることから、基板との密着性に優れた層となる。また、この硬化層を形成するために用いられるポリマー及びモノマーの少なくとも一方がめっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する非解離性官能基(以下、適宜、相互作用性基と称する。)を有することから、この硬化層にめっき触媒等を付与した後、これを用いてめっきを行うことで硬化層との密着性に優れた金属膜を得ることができる。
更に、重合開始層を有する基板を用いることで、硬化層(を構成するポリマー)と基板とを直接化学結合させることができるため、基板との密着性が更に優れた金属膜を得ることができる。
これらの点から、得られた表面金属膜材料、及び金属パターンは、基板との密着性に優れた金属膜を有することになる。
また、本発明における硬化層を形成する際は、(1)工程において形成されたポリマー溶液に対し、(2a)又は(2b)工程にてモノマーを添加してなる混合液を用いる。また、この混合液は、(3)工程の直前に調製されることから、液の経時安定性に高めることができ、その結果として、面内で均一な硬化層を形成することができる。その結果、硬化層上に形成される金属膜又は金属パターンは、基板との密着性とその面内均一性を得ることができる。
【0017】
また、本発明における硬化層は、上述のように相互作用性基を含むモノマーやポリマーを用いて形成される。この硬化層中に存在する相互作用性基は、非解離性官能基であるため、めっき触媒又はその前駆体との相互作用性に優れると共に、高温高湿下であっても吸水性が低く、また、疎水性が高い層となる。
以上の点から、得られた表面金属膜材料は、基板との密着性に優れた金属膜を有し、更に、ポリマー層が湿度変化に応じて変化することがないため、湿度変化による密着力の変動が少ないものとなる。このような表面金属膜材料は、後述の金属パターン材料の作製方法等に適用されて、電気配線用材料として用いられる他にも、電磁波防止膜、シールド材料等に用いることができる。
【0018】
また、金属パターン材料の作製方法では、(6)工程にて、基板全面に形成されためっき膜をパターン状にエッチングして金属パターンを得る。この際、得られた金属パターンの非形成領域に熱融着層が露出した状態が形成されても、この露出した部分は吸水することがなく、これに起因する絶縁性の低下が起こらない。その結果、本発明の金属パターン材料の作製方法において形成された金属パターン材料は、金属パターンの非形成領域の絶縁信頼性に優れたものとなる。
【0019】
まず、本発明の表面金属膜材料の作製方法〔1〕及び〔2〕における(1)〜(5)の各工程について説明する。
【0020】
〔(1)工程〕
本発明の表面金属膜材料の作製方法〔1〕及び〔2〕における(1)工程では、ポリマーを含有するポリマー溶液を調製する。
本工程で用いるポリマーについては、(2a)工程で用いられるモノマー、(2b)工程で用いられるモノマー、並びに、めっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する非解離性官能基及び反応性基有する化合物と組み合わせて、後述する。
【0021】
本工程において調製されるポリマー溶液のポリマー濃度は、塗布性の観点から、1質量%〜30質量%が好ましく、5質量%〜20質量%がより好ましい。
【0022】
ポリマー溶液を調製する際の条件としては、次工程で溶解させる化合物(モノマー、相互作用性基含有化合物等)の溶解性によっては、次工程で溶解させる化合物を溶媒に溶解させた形(溶液状態)で添加することが好ましい。この際には、目的の塗布液(混合液)濃度よりも濃厚状態で調製することが好ましい。この時、次工程で溶解させる化合物を10質量%〜50質量%で含む溶液が用いられ、このような濃度の化合物を溶解させることのできる濃度でポリマー溶液を調液することが好ましい。また、濃厚なポリマー溶液では保存安定性が悪い場合は、保存安定性が良好な濃度まで希釈して保存し、塗布直前に溶媒を気化することで、濃度を調整することもできる。
【0023】
〔(2a)及び(2b)工程〕
本発明の表面金属膜材料の作製方法〔1〕における(2a)工程では、(1)工程で調製されたポリマー溶液に、ポリマーに対して30質量%以上200質量%以下の割合となるモノマーを混合して、混合液を調製する。
また、本発明の表面金属膜材料の作製方法〔2〕における(2b)工程では、(1)工程で調製されたポリマー溶液に、ポリマーに対して30質量%以上200質量%以下の割合となるモノマーと、めっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する非解離性官能基及び反応性基有する化合物(以下、適宜、「相互作用性基含有化合物」と称する。)と、を混合して、混合液を調製する。
【0024】
本工程で混合液を調製する際の条件としては、前述のように、(2a)工程の場合にはモノマー、(2b)工程の場合にはモノマー及び相互作用性基含有化合物を、溶液状態にして添加することが好ましい。この溶液中、モノマーや相互作用性基含有化合物の総含有量は、10質量%〜50質量%が好ましい。
なお、ここで溶液を調製する際に用いる溶剤と、前記(1)工程にてポリマー溶液を調製する際に用いる溶剤と、は同じものであっても良いし、異なっていてもよい。
また、本工程において、モノマーや相互作用性基含有化合物を添加し、混合液を調製した後は、この混合液は、経時させずに塗布に用いることが好ましく、1週間以内に使いきることを要する。
【0025】
本工程において、モノマーの添加割合は、ポリマーの質量に対して、30質量%以上200質量%以下であることを要する。30質量%未満であれば膜が十分に硬化せず、200質量%より多く添加すると塗布後の膜にべとつきが生じ取り扱いが困難であり、また、硬化後の膜の架橋率が高まり後工程のめっき触媒等の吸着が起きづらくなる。また、モノマーの添加割合はポリマーの質量に対して、30質量%〜130質量%がより好ましい。30質量%〜100質量%が最も好ましい。
【0026】
また、モノマーの添加比率としては、混合液を塗布、乾燥してなる膜1g当たり重合性基が2.0mmol/g以上となることが好ましく、更に好ましくは4.0mmol/gである。2.0mmol/g未満であると十分な硬化性が得られない場合がある。
また、混合液を塗布、乾燥してなる膜(硬化層)1g当たり、相互作用性基が2.0mmol/g以上含まれていることが好ましく、更に好ましくは3.0mmol/g以上である。
【0027】
本発明の表面金属膜材料の作製方法〔2〕における(2b)工程においては、相互作用性基含有化合物の添加割合は、硬化層の相互作用性基量が上記の範囲となるように調製することが好ましい。具体的には、添加する相互作用性基含有化合物の分子量にもよるが、相互作用性基含有化合物以外の固形分全成分に対して、20質量%〜150質量%が好ましく、50質量%〜120質量%がより好ましい。この範囲であることで、硬化層中の相互作用性基量を制御することが可能となり、所望の通りめっき触媒等を吸着でき、高い密着力を有する金属膜(めっき膜)を形成することができる。
【0028】
本工程で調製される混合液には、硬化性を高めるために光重合開始剤を添加することができる。光重合開始剤は、照射される活性光線に対して活性であり、活性種が発生する化合物であれば特に制限はなく、例えば、ラジカル重合開始剤、アニオン重合開始剤、カチオン重合開始剤などを用いることができるが、扱い易さ、反応性の観点からは、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤が好ましく、更に、ラジカル重合開始剤が好ましい。
【0029】
そのような光重合開始剤としては、具体的には、例えば、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、2,2’−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンの如きアセトフェノン類;ベンゾフェノン(4,4’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、の如きケトン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルの如きベンゾインエーテル類;ベンジルジメチルケタール、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンの如きベンジルケタール類;トリフェニルスルホニウムクロライド、トリフェニルスルホニウムペンタフルオロフォスフェートなどのスルホニウム塩、ジフェニルヨードニウムクロライド、ジフェニルヨードニウムサルフェートなどのヨードニウム塩などが挙げられる。
重合開始剤の含有量は、混合液中の全固形分に対して、0.1質量%〜30質量%の範囲が好ましく、1質量%〜20質量%の範囲が特に好ましい。
【0030】
<ポリマー、モノマー、相互作用性基含有化合物の組み合わせ>
以下、本発明において用いられるポリマー、モノマー、相互作用性基含有化合物の組み合わせについて説明する。
なお、本発明に用いられるポリマーは、混合液の経時安定性の観点から重合性基を含有していないことが好ましい。なお、重合性基を含有していないというのは、H1−NMR測定にてオレフィンパートが現れる7−5.5ppmの積分値がその他の積分値の1%未満であることを指す。これにより連鎖移動等により導入される重合性基が存在した場合であっても、微量であるため、本発明における重合性基を含有していないポリマーに該当する。
【0031】
≪表面金属膜材料の作製方法〔1〕における組み合わせ≫
本発明の表面金属膜材料の作製方法〔1〕では、(1)工程において、相互作用性基を有するポリマー、又は、相互作用性基有しないポリマーが用いられる。
【0032】
まず、本発明における「相互作用性基」について説明する。
本発明における相互作用性基としては、めっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成するものであり、且つ、非解離性の官能基であれば制限されず、具体的には、多座配位を形成可能な基、含窒素官能基、含硫黄官能基、含酸素官能基などの非解離性官能基(解離によりプロトンを生成しない官能基)が挙げられる。
このような非解離性官能基を用いることで、硬化層の吸水性、吸湿性を低減することが可能となる。
【0033】
本発明における相互作用性基としては、具体的には、金属イオンと配位形成可能な基、具体的には、イミド基、ピリジン基、3級のアミノ基、アンモニウム基、ピロリドン基、アミジノ基、トリアジン環構造を含む基、イソシアヌル構造を含む基、ニトロ基、ニトロソ基、アゾ基、ジアゾ基、アジド基、シアノ基、シアネート基(R−O−CN)などの含窒素官能基、エーテル基、N−オキシド構造を含む基、S−オキシド構造を含む基、N−ヒドロキシ構造を含む基などの含酸素官能基、チオエーテル基、チオキシ基、スルホキシド基、スルホン基、サルファイト基、スルホキシイミン構造を含む基、スルホキシニウム塩構造を含む基、スルホン酸エステル構造を含む基などの含硫黄官能基、フォスフィン基などの含リン官能基、及び不飽和エチレン基等が挙げられる。また、隣接する原子又は原子団との関係により非解離性を示す態様であれば、イミダゾール基、ウレア基、チオウレア基を用いてもよい。
中でも、極性が高く、めっき触媒等への吸着能が高いことから、エーテル基(より具体的には、−O−(CH−O−(nは1〜5の整数)で表される構造)、又はシアノ基が特に好ましく、シアノ基が最も好ましいものとして挙げられる。
【0034】
一般的に、高極性になるほど吸水率が高くなる傾向であるが、シアノ基は硬化層中にて互いに極性を打ち消しあうように相互作用しあうため、膜が緻密になり、且つ、硬化層全体としての極性が下がるため、吸水性が低くなる。また、硬化層の良溶剤にて触媒を吸着させることで、シアノ基が溶媒和されてシアノ基間の相互作用がなくなり、めっき触媒と相互作用できるようになる。以上のことから、シアノ基を有する硬化層は低吸湿でありながら、めっき触媒とはよく相互作用をする、相反する性能を発揮する点で、好ましい。
また、本発明における相互作用性基としては、アルキルシアノ基であることが更に好ましい。これは、芳香族シアノ基は芳香環に電子を吸引されており、めっき触媒等への吸着性として重要な不対電子の供与性が低めになるが、アルキルシアノ基はこの芳香環が結合していないため、めっき触媒等への吸着性の点で好ましい。
【0035】
本発明の表面金属膜材料の作製方法〔1〕における(1)工程で用いられる相互作用性基を有しないポリマーとしては特に制限されないが、硬化層のめっき触媒吸着性やめっき膜と硬化層との密着力を加味すると、柔軟性に富む、主鎖にアクリル構造を有するポリマー(アクリル樹脂)が好ましい。具体的には、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(エチルアクリレート)、ポリ(n−ブチルアクリレート)、ポリ(t−ブチルアクリレート)、ポリ(ペンチルアクリレート)、ポリ(2−エチルヘキシルアクリレート)
などの、ポリアルキルアクリレート類が挙げられる。
【0036】
一方、本発明の表面金属膜材料の作製方法〔1〕における(1)工程で用いられる相互作用性基を有するポリマーとしても、前述のような相互作用性基を有しているポリマーであれば特に制限されない。本発明においては、硬化層のめっき触媒等への吸着性や、めっき膜と硬化層との密着性に有効で、更に、硬化膜の柔軟性を高めることができるアクリル樹脂が好ましく、このアクリル樹脂に、前述の相互作用性基が導入されたポリマーが好ましいものとしが挙げられる。より具体的には、以下に示す、シアノ基を有するモノマーを用いてなるホモポリマー又はコポリマーが好ましい。
【0037】
【化1】

【0038】
本発明の表面金属膜材料の作製方法〔1〕における(1)工程では、硬化層中に相互作用性基をより多く導入する点から、相互作用性基を有するポリマーを用いることが好ましい。硬化層中に相互作用性基を導入するためには、後記(2a)工程で相互作用性基を有するモノマーを用いる方法もあるが、モノマーは低分子量成分であるため、未反応であると、現像などにより除去されてしまう可能性がある。一方、相互作用性基を有するポリマーは高分子量成分であるため、除去される可能性が低くなる。その結果、相互作用性基を有するポリマーを用いた場合に、硬化層中に相互作用性基をより多く導入することが可能となる。
なお、硬化層中に相互作用性基をより多く導入する点からは、相互作用性基を有するポリマーと、相互作用性基を有するモノマーを併用することが好ましい。
【0039】
本発明の表面金属膜材料の作製方法〔1〕では、(2a)工程において、相互作用性基を有するモノマー、又は、相互作用性基有しないモノマーが用いられる。
【0040】
本発明の表面金属膜材料の作製方法〔1〕における(2a)工程で用いられる相互作用性基を有しないモノマーとしては、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有するラジカル重合性化合物であり、相互作用性基を有しないものであれば、特に制限されない。
相互作用性基を有しないモノマーとしては、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。本発明においては、ラジカル重合性基を2つ以上有する多官能モノマーが、反応性の観点から、好ましい。このような化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらの重合性化合物を特に限定無く用いることができる。モノマーの例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基や・アミノ基・メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル・アミド類と、単官能若しくは多官能イソシアネート類もくしはエポキシ類との付加反応物、単官能若しくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアナート基やエポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル又はアミド類と、単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類及びチオール類との付加反応物、更に、ハロゲン基やトシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル又はアミド類と、単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類及びチオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。

【0041】
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルであるラジカル重合性化合物の具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等がある。
【0042】
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールヘキサメタクリレート、等がある。
【0043】
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールテトライタコネート、ソルビトールヘキサイタコネート等がある。
【0044】
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールテトラクロトネート、ソルビトールヘキサジクロトネート等がある。
【0045】
イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールテトライソクロトネート、ソルビトールヘキサイソクロトネート等がある。
【0046】
マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールテトラマレート、ソルビトールヘキサマレート等がある。
【0047】
その他のエステルの例として、例えば、特公昭46−27926号公報、特公昭51−47334号公報、特開昭57−196231号公報に記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240号公報、特開昭59−5241号公報、特開平2−226149号公報に記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号公報に記載のエステル等も好適に用いられる。
【0048】
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。
【0049】
その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726号公報に記載のシクロへキシレン構造を有すものを挙げることができる。
【0050】
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記一般式(a)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
【0051】
一般式(a)
CH=C(R)COOCHCH(R’)OH
(但し、R及びR’は、それぞれ、H又はCHを示す。)
【0052】
本発明の表面金属膜材料の作製方法〔1〕における(2a)工程で用いられる相互作用性基を有するモノマーとしては、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有するラジカル重合性化合物であり、相互作用性基を有するものであれば、特に制限されない。
具体的には、前述のような相互作用性基を有しないモノマーに、前述の相互作用性基(非解離性官能基)を置換により導入したものが用いられる。より具体的には、前述の相互作用性基を有するポリマーを合成する際に用いるシアノ基を有するモノマーが、好適である。
【0053】
≪表面金属膜材料の作製方法〔2〕における組み合わせ≫
本発明の表面金属膜材料の作製方法〔2〕では、(1)工程において、相互作用性基含有化合物中の反応性基と反応する官能基を有するポリマー、又は、該官能基を有しないポリマーが用いられる。
ここで用いられるポリマー自体は、相互作用性基を有していてもよいし、有していなくともよい。具体的には、本発明の表面金属膜材料の作製方法〔1〕の(1)工程で用いられる、相互作用性基を有するポリマーや相互作用性基を有しないポリマーに、相互作用性基含有化合物中の反応性基と反応する官能基を導入したポリマーが用いられる。
【0054】
本発明の表面金属膜材料の作製方法〔2〕では、(2b)工程において、相互作用性基含有化合物中の反応性基と反応する官能基を有する、又は、該官能基を有しないポリマーが用いられる。
ここで用いられるモノマー自体は、相互作用性基を有していてもよいし、有していなくともよい。具体的には、本発明の表面金属膜材料の作製方法〔1〕の(2a)工程で用いられる、相互作用性基を有するモノマーや相互作用性基を有しないモノマーに、相互作用性基含有化合物中の反応性基と反応する官能基を導入したモノマーが用いられる。
【0055】
本発明の表面金属膜材料の作製方法〔2〕では、(2b)工程において、相互作用性基含有化合物が用いられる。
この相互作用性基含有化合物は、前述の相互作用性基と、モノマーやポリマーと反応して共有結合を形成しうる反応性基と、を有する化合物である。このような化合物としては、以下のものが挙げられる。
【0056】
【化2】

【0057】
相互作用性基含有化合物中の反応性基と、ポリマー及び/又はモノマーが有する相互作用性基含有化合物中の反応性基と反応する官能基と、の組み合わせとしては、以下に示すものが挙げられる。
即ち、(ポリマー及び/又はモノマーが有する相互作用性基含有化合物中の反応性基と反応する官能基,相互作用性基含有化合物中の反応性基)=(−COOH,アミン)、(−COOH,アジリジン)、(−COOH,イソシアネート)、(−COOH,エポキシ)、(−NH,イソシアネート)、(−NH,アルデヒド類)、(−NCO,アミン)、(−NCO,イソシアネート)、(−NCO,アルコール)、(−NCO,エポキシ)、(−OH,アルコール)、(−OH,ハロゲン化化合物)、(−OH,アミン)、(−OH,酸無水物)、(−OH,イソシアネート)が挙げられる。中でも、反応効率の高さから、(官能基,反応性基)=(−OH,イソシアネート)が、好ましい組み合わせである。
【0058】
相互作用性基含有化合物をポリマー及び/又はモノマーと反応させるタイミングは特に問わないが、混合液を塗布、乾燥するタイミングで反応させることが、工程数を増やさないという観点で好ましい。
【0059】
〔(3)工程〕
本発明の表面金属膜材料の作製方法〔1〕及び〔2〕における(3)工程では、基板上に、(2a)又は(2b)工程で調製された混合液を、塗布、乾燥させた後、得られた膜を硬化させ、該基板上に硬化層を形成する。
【0060】
本工程において、混合液の塗布には、スピンコート、バーコート、コーターコート等の公知の塗布方法が用いられる。
塗布量としては、0.1μm〜5μmが好ましく、更に好ましくは0.5μm〜2μmが好ましい。
【0061】
また、塗布後の乾燥温度としては、50℃〜150℃が好ましく、更に好ましくは70℃〜100℃である。乾燥時間は1分〜1時間が好ましく、更に好ましくは1分〜10分である。
【0062】
乾燥後に得られた膜を硬化させる際には、加熱や露光などのエネルギー付与が行われる。
【0063】
乾燥後に得られた膜を硬化させる際には、加熱や露光などのエネルギー付与が行われる。
このエネルギー付与としては、例えば、加熱や露光等の輻射線照射を用いることができる。例えば、UVランプ、可視光線などによる光照射、ホットプレートなどでの加熱等が可能である。光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、等がある。放射線としては、電子線、X線、イオンビーム、遠赤外線などがある。また、g線、i線、Deep−UV光、高密度エネルギービーム(レーザービーム)も使用される。
一般的に用いられる具体的な態様としては、熱記録ヘッド等による直接画像様記録、赤外線レーザーによる走査露光、キセノン放電灯などの高照度フラッシュ露光や赤外線ランプ露光などが好適に挙げられる。
エネルギー付与に要する時間としては、目的とする膜の硬化性及び光源により異なるが、通常、10秒〜5時間の間である。
【0064】
〔基板〕
次に、本発明において用いる基板について説明する。
本発明における基板としては、形状保持性を有するものであればよく、その表面が、硬化層を形成する際に使用されるモノマーと反応し、化学結合しうる機能を有することが好ましい。具体的には、基板自体がこのような表面特性を有するものであってもよく、また、該基材上に別途中間層(例えば、後述する重合開始層)を設け、該中間層がこのような特性を有するものであってもよい。
【0065】
(基材、基板)
本発明に使用される基材は、寸度的に安定な板状物であることが好ましく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、ポリイミド、エポキシ、ビスマレインイミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド、液晶ポリマー、ポリテトラフルオロエチレン等)、上記の如き金属がラミネート若しくは蒸着された紙又はプラスチックフィルム等が含まれる。本発明に使用される基材としては、エポキシ樹脂、又はポリイミド樹脂が好ましい。
なお、これらの基材表面が、硬化層を形成する際に使用されるモノマーと反応し、化学結合しうる機能を有している場合には、その基材そのものを基板として用いてもよい。
【0066】
本発明における基板として、特開2005−281350号公報の段落番号[0028]〜[0088]に記載の重合開始部位を骨格中に有するポリイミドを含む基材を用いることもできる。
【0067】
また、本発明の金属パターン材料の作製方法により得られた金属パターン材料は、半導体パッケージ、各種電気配線基板等に適用することができる。このような用途に用いる場合は、以下に示す、絶縁性樹脂を含んだ基板、具体的には、絶縁性樹脂からなる基板、又は、絶縁性樹脂からなる層を基材上に有する基板を用いることが好ましい。
【0068】
絶縁性樹脂からなる基板、絶縁性樹脂からなる層を得る場合には、公知の絶縁性樹脂組成物が用いられる。この絶縁性樹脂組成物には、主たる樹脂に加え、目的に応じて種々の添加物を併用することができる。例えば、絶縁層の強度を高める目的で、多官能のアクリレートモノマーを添加する、絶縁体層の強度を高め、電気特性を改良する目的で、無機、若しくは有機の粒子を添加する、などの手段をとることもできる。
なお、本発明における「絶縁性樹脂」とは、公知の絶縁膜や絶縁層に使用しうる程度の絶縁性を有する樹脂であることを意味するものであり、完全な絶縁体でないものであっても、目的に応じた絶縁性を有する樹脂であれば、本発明に適用しうる。
【0069】
絶縁性樹脂の具体例としては、例えば、熱硬化性樹脂でも熱可塑性樹脂でもまたそれらの混合物でもよく、例えば、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリオレフィン系樹脂、イソシアネート系樹脂等が挙げられる。
エポキシ樹脂としては、例えば、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノールF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、フェノール類とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物のエポキシ化物、トリグリシジルイソシアヌレート、脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。それにより、耐熱性等に優れるものとなる。
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、シクロオレフィン系樹脂、これらの樹脂の共重合体等が挙げられる。
【0070】
熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリフェニレンスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニルエーテル、ポリエーテルイミド等が挙げられる。
その他の熱可塑性樹脂としては、1,2−ビス(ビニルフェニレン)エタン樹脂(1,2−Bis(vinylphenyl)ethane)、若しくはこれとポリフェニレンエーテル樹脂との変性樹脂(天羽悟ら、Journal of Applied Polymer Science Vol.92,1252-1258(2004)に記載)、液晶性ポリマー(具体的には、クラレ製のベクスターなど)、フッ素樹脂(PTFE)などが挙げられる。
【0071】
熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とは、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。これはそれぞれの欠点を補いより優れた効果を発現する目的で行われる。例えば、ポリフェニレンエーテル(PPE)などの熱可塑性樹脂は熱に対しての耐性が低いため、熱硬化性樹脂などとのアロイ化が行われている。たとえば、PPEとエポキシ、トリアリルイソシアネートとのアロイ化、或いは重合性官能基を導入したPPE樹脂とそのほかの熱硬化性樹脂とのアロイ化として使用される。またシアネートエステルは熱硬化性の中ではもっとも誘電特性の優れる樹脂であるが、それ単独で使用されることは少なく、エポキシ樹脂、マレイミド樹脂、熱可塑性樹脂などの変性樹脂として使用される。これらの詳細に関しては、“電子技術”2002/9号、P35に記載されている。また、熱硬化性樹脂として、エポキシ樹脂及び/又はフェノール樹脂を含み、熱可塑性樹脂としてフェノキシ樹脂及び/又はポリエーテルスルフォン(PES)を含むものも誘電特性を改善するために使用される。
【0072】
絶縁性樹脂組成物には、架橋を進めるために重合性の二重結合を有する化合物のようなもの、具体的には、アクリレート、メタクリレート化合物を含有していてもよく、特に多官能のものが好ましい。そのほか、重合性の二重結合を有する化合物として、熱硬化性樹脂、若しくは熱可塑性樹脂、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂等に、メタクリル酸やアクリル酸等を用い、樹脂の一部を(メタ)アクリル化反応させた樹脂を用いてもよい。
【0073】
本発明における絶縁性樹脂組成物には、樹脂被膜の機械強度、耐熱性、耐候性、難燃性、耐水性、電気特性などの特性を強化するために、樹脂と他の成分とのコンポジット(複合素材)も使用することができる。複合化するのに使用される材料としては、紙、ガラス繊維、シリカ粒子、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、フッ素樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂などを挙げることができる。
【0074】
更に、この絶縁性樹脂組成物には必要に応じて一般の配線板用樹脂材料に用いられる充填剤、例えば、シリカ、アルミナ、クレー、タルク、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウムなどの無機フィラー、硬化エポキシ樹脂、架橋ベンゾグアナミン樹脂、架橋アクリルポリマーなどの有機フィラーを一種又は二種以上配合してもよい。中でも、充填材としてはシリカを用いることが好ましい。
また、更に、この絶縁性樹脂組成物には、必要に応じて着色剤、難燃剤、接着性付与剤、シランカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、などの各種添加剤を一種又は二種以上添加してもよい。
【0075】
これらの材料を絶縁性樹脂組成物に添加する場合は、いずれも、樹脂に対して、1〜200質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは10〜80質量%の範囲で添加される。この添加量が、1質量%未満である場合は、上記の特性を強化する効果がなく、また、200質量%を超えると場合には、樹脂特有の強度などの特性が低下する。
【0076】
このような用途に用いる場合の基板として、具体的には、1GHzにおける誘電率(比誘電率)が3.5以下である絶縁性樹脂からなる基板であるか、又は、該絶縁性樹脂からなる層を基材上に有する基板であることが好ましい。また、1GHzにおける誘電正接が0.01以下である絶縁性樹脂からなる基板であるか、又は、該絶縁性樹脂からなる層を基材上に有する基板であることが好ましい。
絶縁性樹脂の誘電率及び誘電正接は、常法により測定することができる。例えば、「第18回エレクトロニクス実装学会学術講演大会要旨集」、2004年、p189、に記載の方法に基づき、空洞共振器摂動法(例えば、極薄シート用εr、tanδ測定器、キーコム株式会社製)を用いて測定することができる。
このように、本発明においては誘電率や誘電正接の観点から絶縁樹脂材料を選択することも有用である。誘電率が3.5以下であり、誘電正接が0.01以下の絶縁性樹脂としては、液晶ポリマー、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、シアネートエステル樹脂、ビス(ビスフェニレン)エタン樹脂などが挙げられ、更にそれらの変性樹脂も含まれる。
【0077】
本発明に用いられる基板は、半導体パッケージ、各種電気配線基板等への用途を考慮すると、表面凹凸が500nm以下であることが好ましく、より好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下、最も好ましくは20nm以下である。この基板の表面凹凸(中間層や重合開始層が設けられている場合はその層の表面凹凸)が小さくなるほど、得られた金属パターン材料を配線等に適用した場合に、高周波送電時の電気損失が少なくなり好ましい。
【0078】
本発明においては、基板が板状物、例えば、樹脂フィルム(プラスチックフィルム)であれば、その両面に(a)、(b)工程を施すことで、樹脂フィルムの両面に熱融着層を形成することができる。
このように樹脂フィルム(基板)の両面に硬化層が形成された場合には、更に、後述する(c)工程、及び(d)工程を行うことで、基板の両面に金属膜が形成された表面金属膜材料を得ることができる。
【0079】
本発明において、基板表面と硬化層を形成する際に使用されるモノマーと反応させ、化学結合を形成させるためには、基材上に、重合開始剤を含有する、又は重合開始可能な官能基を有する重合開始層を形成した基板を用いることが好ましい。この基板を用いることで、活性点を効率よく発生させ、モノマーと基板との結合させることができる。
以下、本発明における重合開始層について説明する。なお、基材が板状物であれば、その両面に重合開始層を形成してもよい。
【0080】
(重合開始層)
本発明における重合開始層としては、高分子化合物と重合開始剤とを含む層や、重合性化合物と重合開始剤とを含む層、重合開始可能な官能基を有する層が挙げられる。この層を設けることで、重合開始層と硬化層とを化学結合することができるため、好ましい形態である。
本発明における重合開始層は、必要な成分を、溶解可能な溶媒に溶解し、塗布などの方法で基材表面に設け、加熱又は光照射により硬膜することで、形成することができる。
【0081】
本発明における重合開始層に用いられる化合物としては、基材との密着性が良好であり、且つ、活性光線照射などのエネルギー付与により、活性種を発生するものであれば特に制限なく用いることができる。具体的には、多官能モノマーや分子内に重合性基を有する疎水性ポリマーと、重合開始剤とを混合したものが用いることができる。
【0082】
このような分子内に重合性基を有する疎水性ポリマーとしては、具体的には、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリぺンタジエンなどのジエン系単独重合体、アリル(メタ)アクリレー卜、2−アリルオキシエチルメタクリレー卜などのアリル基含有モノマーの単独重合体;
ブタジエン、イソプレン、ペンタジエンなどのジエン系単量体又はアリル基含有モノマーを構成単位として含む、スチレン、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリルなどの二元又は多元共重合体;
不飽和ポリエステル、不飽和ポリエポキシド、不飽和ポリアミド、不飽和ポリアクリル、高密度ポリエチレンなどの分子中に炭素−炭素二重結合を有する線状高分子又は3次元高分子類;などが挙げられる。
なお、本明細書では、「アクリル、メタクリル」の双方或いはいずれかを指す場合、「(メタ)アクリル」と表記することがある。
これらの重合性化合物の含有量は、重合性層中、固形分で10〜100質量%の範囲が好ましく、10〜80質量%の範囲が特に好ましい。
【0083】
重合開始層には、エネルギー付与により重合開始能を発現させるための重合開始剤を含有する。ここで用いられる重合開始剤は、所定のエネルギー、例えば、活性光線の照射、加熱、電子線の照射などにより、重合開始能を発現し得る公知の熱重合開始剤、光重合開始剤などを、目的に応じて、適宜選択して用いることができる。中でも、光重合を利用することが製造適性の観点から好適であり、このため、光重合開始剤を用いることが好ましい。
光重合開始剤は、照射される活性光線に対して活性であり、これを含む重合開始層から活性種を発生しうるものであれば、特に制限はなく、例えば、ラジカル重合開始剤、アニオン重合開始剤、カチオン重合開始剤などを用いることができるが、扱い易さ、反応性の観点からは、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤が好ましく、更に、ラジカル重合開始剤が好ましい。
【0084】
そのような光重合開始剤としては、具体的には、例えば、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、2,2’−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンの如きアセトフェノン類;ベンゾフェノン(4,4’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、の如きケトン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルの如きベンゾインエーテル類;ベンジルジメチルケタール、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンの如きベンジルケタール類;トリフェニルスルホニウムクロライド、トリフェニルスルホニウムペンタフルオロフォスフェートなどのスルホニウム塩、ジフェニルヨードニウムクロライド、ジフェニルヨードニウムサルフェートなどのヨードニウム塩などが挙げられる。
重合開始剤の含有量は、重合開始層中、固形分で0.1〜70質量%の範囲が好ましく、1〜40質量%の範囲が特に好ましい。
【0085】
上記重合性化合物及び重合開始剤を塗布する際に用いる溶媒は、それらの成分が溶解するものであれば特に制限されない。乾燥の容易性、作業性の観点からは、沸点が高すぎない溶媒が好ましく、具体的には、沸点40℃〜150℃程度のものを選択すればよい。
具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、3−メトキシプロパノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテートなどが挙げられる。
これらの溶媒は、単独或いは混合して使用することができる。そして塗布溶液中の固形分の濃度は、2〜50質量%が適当である。
【0086】
重合開始層を基材上に形成する場合の塗布量は、十分な重合開始能の発現、及び、膜性を維持して膜剥がれを防止するといった観点からは、乾燥後の質量で、0.1〜20g/mが好ましく、0.1〜15g/mがより好ましく、0.1〜2g/mが更に好ましい。
【0087】
本発明においては、上記のように、基材上に上記の重合開始層形成用の組成物を塗布などにより配置し、溶剤を除去することにより成膜させて重合開始層を形成するが、この時、加熱及び/又は光照射を行って硬膜することが好ましい。特に、加熱により乾燥した後、光照射を行って予備硬膜しておくと、重合性化合物のある程度の硬化が予め行なわれるので、重合開始層上に熱融着層が形成された後に重合開始層ごと脱落するといった事態を効果的に抑制し得るため好ましい。
加熱温度と時間は、塗布溶剤が充分乾燥し得る条件を選択すればよいが、製造適正の点からは、温度が100℃以下、乾燥時間は30分以内が好ましく、乾燥温度40〜80℃、乾燥時間10分以内の範囲の加熱条件を選択することがより好ましい。
【0088】
加熱乾燥後に所望により行われる光照射には、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、等が用いられる。また、放射線として、電子線、X線、イオンビーム、遠赤外線などがある。また、g線、i線、Deep−UV光、高密度エネルギービーム(レーザービーム)も使用される。
なお、重合開始層中に存在する重合開始剤が、重合性化合物を硬化する際にラジカル重合しても、完全に消費しない程度に光照射することが好ましい。光照射時間については、光源の強度により異なるが、一般的には30分以内であることが好ましい。このような予備硬化の目安としては、溶剤洗浄後の膜残存率が80%以下となり、且つ、予備硬化後の開始剤残存率が1%以上であることが、挙げられる。
【0089】
また、上記の重合性化合物及び重合開始剤を含有する重合開始層以外に、特開2004−161995公報に記載の重合開始基が側鎖にペンダントしてなるポリマーを用いた重合開始層も好ましい。このポリマーは、具体的には、側鎖に重合開始能を有する官能基(重合開始基)及び架橋性基を有するポリマー(以下、重合開始ポリマーと称する。)であり、このポリマーにより、ポリマー鎖に結合した重合開始基を有し、かつ、そのポリマー鎖が架橋反応により固定化された形態の重合開始層を形成することができる。
このようにして形成される重合開始層も、本願の重合開始層として好適である。
【0090】
ここで用いられる重合開始ポリマーは、特開2004−161995号公報の段落番号〔0011〕〜〔0158〕に記載にものが挙げられる。重合開始ポリマーの特に好ましいものの具体例としては、以下に示すものが挙げられる。
【0091】
【化3】



【0092】
【化4】

【0093】
−重合開始層の成膜−
本発明における重合開始ポリマーを用いてなる重合開始層は、上述の重合開始ポリマーを適当な溶剤に溶解し、塗布液を調製し、その塗布液を基材上に塗布などにより配置し、溶剤を除去し、架橋反応が進行することにより成膜する。つまり、この架橋反応が進行することにより、重合開始ポリマーが固定化される。この架橋反応による固定化には、重合開始ポリマーの自己縮合反応を使用する方法、及び架橋剤を併用する方法があり、架橋剤を用いることが好ましい。重合開始ポリマーの自己縮合反応を使用する方法としては、例えば、架橋性基が−NCOである場合、熱をかけることにより自己縮合反応が進行する性質を利用したものである。この自己縮合反応が進行することにより、架橋構造を形成することができる。
【0094】
また、架橋剤を併用する方法に用いられる架橋剤としては、山下信二編「架橋剤ハンドブック」に掲載されているような従来公知のものを用いることができる。
重合開始ポリマー中の架橋性基と架橋剤との好ましい組み合わせとしては、(架橋性基,架橋剤)=(−COOH,多価アミン)、(−COOH,多価アジリジン)、(−COOH,多価イソシアネート)、(−COOH,多価エポキシ)、(−NH,多価イソシアネート)、(−NH,アルデヒド類)、(−NCO,多価アミン)、(−NCO,多価イソシアネート)、(−NCO,多価アルコール)、(−NCO,多価エポキシ)、(−OH,多価アルコール)、(−OH,多価ハロゲン化化合物)、(−OH,多価アミン)、(−OH,酸無水物)が挙げられる。中でも、架橋の後にウレタン結合が生成し、高い強度の架橋が形成可能であるという点で、(官能基,架橋剤)=(−OH,多価イソシアネート)が、更に好ましい組み合わせである。
【0095】
本発明における架橋剤の具体例としては、以下に示す構造のものが挙げられる。
【0096】
【化5】

【0097】
このような架橋剤は、重合開始層の成膜の際、上述の重合開始ポリマーを含有する塗布液に添加される。その後、塗膜の加熱乾燥時の熱により、架橋反応が進行し、強固な架橋構造を形成することができる。より詳細には、下記のex1.で示される脱水反応やex2.で示される付加反応により架橋反応が進行し、架橋構造が形成される。これらの反応における温度条件としては、50℃以上300℃以下が好ましく、更に好ましくは80℃以上200℃以下である。
【0098】
【化6】

【0099】
また、塗布液中の架橋剤の添加量としては、重合開始ポリマー中に導入されている架橋性基の量により変化するが、架橋度合や、未反応の架橋成分の残留による重合反応への影響の観点から、通常、架橋性基のモル数に対して0.01〜50当量であることが好ましく、0.01〜10当量であることがより好ましく、0.5〜3当量であることが更に好ましい。
【0100】
また、重合開始層を塗布する際に用いる溶媒は、上述の重合開始ポリマーが溶解するものであれば特に制限されない。乾燥の容易性、作業性の観点からは、沸点が高すぎない溶媒が好ましく、具体的には、沸点40℃〜150℃程度のものを選択すればよい。
具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、3−メトキシプロパノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテートなどが挙げられる。
これらの溶媒は、単独或いは混合して使用することができる。そして塗布溶液中の固形分の濃度は、2〜50質量%が適当である。
【0101】
重合開始ポリマーを用いてなる重合開始層の塗布量は、活性種の発生能や、膜性の観点から、乾燥後の質量で、0.1〜20g/mが好ましく、更に、1〜15g/mが好ましい。
【0102】
更に、本発明において、前述のような、絶縁性樹脂からなる層を基材上に有する基板を用いる場合、この絶縁性樹脂からなる層中に、公知の重合開始剤を含有させて、絶縁性の重合開始層とすることが好ましい。この絶縁性の重合開始層中に含有させる重合開始剤としては、特に制限はなく、例えば、前述の、熱重合開始剤、光重合開始剤(ラジカル重合開始剤、アニオン重合開始剤、カチオン重合開始剤)や、特開平9−77891号、特開平10−45927号に記載の活性カルボニル基を側鎖に有する高分子化合物、更には、側鎖に重合開始能を有する官能基及び架橋性基を有するポリマー(重合開始ポリマー)などを用いることができる。
絶縁性の重合開始層中に含有させる重合開始剤の量は、一般的には、絶縁層中に固形分で0.1〜50質量%程度であることが好ましく、1.0〜30.0質量%程度であることがより好ましい。
【0103】
〔(4)工程〕
(4)工程では、上記(3)工程において形成された硬化層に、めっき触媒又はその前駆体を付与する。本工程においては、硬化層中に存在する相互作用性基が、その機能に応じて、付与されためっき触媒又はその前駆体を付着(吸着)する。
ここで、めっき触媒又はその前駆体としては、後述する(5)めっき工程における、めっきの触媒や電極として機能するものが挙げられる。そのため、めっき触媒又はその前駆体は、(5)めっき工程におけるめっきの種類により決定される。
なお、ここで、本工程において用いられるめっき触媒又はその前駆体は、無電解めっき触媒又はその前駆体であることが好ましい。
【0104】
(無電解めっき触媒)
本発明において用いられる無電解めっき触媒は、無電解めっき時の活性核となるものであれば、如何なるものも用いることができ、具体的には、ものであり、自己触媒還元反応の触媒能を有する金属(Niよりイオン化傾向の低い無電解めっきできる金属として知られるもの)などが挙げられ、具体的には、Pd、Ag、Cu、Ni、Al、Fe、Coなどが挙げられる。中でも、多座配位可能なものが好ましく、特に、配位可能な官能基の種類数、触媒能の高さから、Pdが特に好ましい。
この無電解めっき触媒は、金属コロイドとして用いてもよい。一般に、金属コロイドは、荷電を持った界面活性剤又は荷電を持った保護剤が存在する溶液中において、金属イオンを還元することにより作製することができる。金属コロイドの荷電は、ここで使用される界面活性剤又は保護剤により調節することができる。
【0105】
(無電解めっき触媒前駆体)
本工程において用いられる無電解めっき触媒前駆体とは、化学反応により無電解めっき触媒となりうるものであれば、特に制限なく使用することができる。主には、上記無電解めっき触媒として挙げた金属の金属イオンが用いられる。無電解めっき触媒前駆体である金属イオンは、還元反応により無電解めっき触媒である0価金属になる。無電解めっき触媒前駆体である金属イオンは、硬化層へ付与した後、無電解めっき浴への浸漬前に、別途還元反応により0価金属に変化させて無電解めっき触媒としてもよいし、無電解めっき触媒前駆体のまま無電解めっき浴に浸漬し、無電解めっき浴中の還元剤により金属(無電解めっき触媒)に変化させてもよい。
【0106】
実際には、無電解めっき前駆体である金属イオンは、金属塩を用いて硬化層上に付与する。使用される金属塩としては、適切な溶媒に溶解して金属イオンと塩基(陰イオン)とに解離されるものであれば特に制限はなく、M(NO、MCln、M2/n(SO)、M3/n(PO)(Mは、n価の金属原子を表す)などが挙げられる。金属イオンとしては、上記の金属塩が解離したものを好適に用いることができる。具体例としては、例えば、Agイオン、Cuイオン、Alイオン、Niイオン、Coイオン、Feイオン、Pdイオンが挙げられ、中でも、多座配位可能なものが好ましく、特に、配位可能な官能基の種類数、及び触媒能の点で、Pdイオンが好ましい。
【0107】
無電解めっき触媒である金属、或いは、無電解めっき前駆体である金属塩を硬化層に付与する方法としては、金属を適当な分散媒に分散した分散液、或いは、金属塩を適切な溶媒で溶解し、解離した金属イオンを含む溶液を調製し、その分散液又は溶液を硬化層上に塗布するか、或いは、その分散液又は溶液中に硬化層が形成された基板を浸漬すればよい。
【0108】
また、前記(2a)又は(2b)工程において、基板上に、混合液を塗布するが、この混合液中に、無電解めっき触媒又はその前駆体を添加する方法を用いてもよい。混合液中に無電解めっき触媒又はその前駆体を含有させたものを、基板上に適用して硬化層を形成すれば、本発明における(4)工程を省略することができる。
【0109】
なお、基板として樹脂フィルムを用い、該樹脂フィルムの両面に対して硬化層が形成されている場合には、その両面の硬化層に対して同時に無電解めっき触媒又はその前駆体を接触させるために、上記の浸漬法を用いることが好ましい。
【0110】
上記のように無電解めっき触媒又はその前駆体を接触させることで、硬化層中の相互作用性基に、ファンデルワールス力のような分子間力による相互作用、又は、孤立電子対による配位結合による相互作用を利用して、無電解めっき触媒又はその前駆体を吸着させることができる。
このような吸着を充分に行なわせるという観点からは、分散液、溶液、組成物中の金属濃度、又は溶液中の金属イオン濃度は、0.001〜50質量%の範囲であることが好ましく、0.005〜30質量%の範囲であることが更に好ましい。また、接触時間としては、30秒〜24時間程度であることが好ましく、1分〜1時間程度であることがより好ましい。
【0111】
(その他の触媒)
本発明において、後述の(3)工程において、硬化層に対して、無電解めっきを行わず直接電気めっきを行うために用いられる触媒としては、0価金属を使用することができる。この0価金属としては、Pd、Ag、Cu、Ni、Al、Fe、Coなどが挙げられ、中でも、多座配位可能なものが好ましく、特に、特に、相互作用性基(シアノ基)に対する吸着(付着)性、触媒能の高さから、Pd、Ag、Cuが好ましい。
【0112】
以上説明した(2)工程を経ることで、硬化層中の相互作用性基とめっき触媒又はその前駆体との間に相互作用を形成することができる。
【0113】
〔(3)工程〕
(3)工程では、無電解めっき触媒又はその前駆体が付与された硬化層に対し、めっきを行うことで、めっき膜が形成される。形成されためっき膜は、優れた導電性、密着性を有する。
本工程において行われるめっきの種類は、無電解めっき、電気めっき等が挙げられ、前記(2)工程において、硬化層との間に相互作用を形成しためっき触媒又はその前駆体の機能によって、選択することができる。
つまり、本工程では、めっき触媒又はその前駆体が付与された硬化層に対し、電気めっきを行ってもよいし、無電解めっきを行ってもよい。
中でも、本発明においては、硬化層中に発現するハイブリッド構造の形成性及び密着性向上の点から、無電解めっきを行うことが好ましい。また、所望の膜厚のめっき層を得るために、無電解めっきの後に、更に電気めっきを行うことがより好ましい態様である。
以下、本工程において好適に行われるめっきについて説明する。
【0114】
(無電解めっき)
無電解めっきとは、めっきとして析出させたい金属イオンを溶かした溶液を用いて、化学反応によって金属を析出させる操作のことをいう。
本工程における無電解めっきは、例えば、無電解めっき触媒が付与された基板を、水洗して余分な無電解めっき触媒(金属)を除去した後、無電解めっき浴に浸漬して行なう。使用される無電解めっき浴としては一般的に知られている無電解めっき浴を使用することができる。
また、無電解めっき触媒前駆体が付与された基板を、無電解めっき触媒前駆体が硬化層に吸着又は含浸した状態で無電解めっき浴に浸漬する場合には、基板を水洗して余分な前駆体(金属塩など)を除去した後、無電解めっき浴中へ浸漬される。この場合には、無電解めっき浴中において、めっき触媒前駆体の還元とこれに引き続き無電解めっきが行われる。ここで使用される無電解めっき浴としても、上記同様、一般的に知られている無電解めっき浴を使用することができる。
なお、無電解めっき触媒前駆体の還元は、上記のような無電解めっき液を用いる態様とは別に、触媒活性化液(還元液)を準備し、無電解めっき前の別工程として行うことも可能である。触媒活性化液は、無電解めっき触媒前駆体(主に金属イオン)を0価金属に還元できる還元剤を溶解した液で、0.1%〜50%、好ましくは1%〜30%がよい。還元剤としては、水素化ホウ素ナトリウム、ヂメチルアミンボランのようなホウ素系還元剤、ホルムアルデヒド、次亜リン酸などの還元剤を使用することが可能である。
【0115】
一般的な無電解めっき浴の組成としては、溶剤の他に、1.めっき用の金属イオン、2.還元剤、3.金属イオンの安定性を向上させる添加剤(安定剤)が主に含まれている。このめっき浴には、これらに加えて、めっき浴の安定剤など公知の添加物が含まれていてもよい。
【0116】
このめっき浴に用いられる溶剤には、吸水性が低く、疎水性の高い硬化層(前記1〜4の条件を全て満たす硬化層)に対して、親和性の高い有機溶剤を含有させることが好ましい。有機溶剤の種類の選択や、含有量は、硬化層の物性に応じて調製すればよい。特に、硬化層の条件1における飽和吸水率が大きければ大きいほど、有機溶剤の含有率を小さくすることが好ましい。具体的には、以下の通りである。
即ち、条件1における飽和吸水率が0.01〜0.5質量%の場合、めっき浴の全溶剤中の有機溶剤の含有量は20〜80%であることが好ましく、同飽和吸水率が0.5〜5質量%の場合、めっき浴の全溶剤中の有機溶剤の含有量は10〜80%であることが好ましく、同飽和吸水率が5〜10質量%の場合、めっき浴の全溶剤中の有機溶剤の含有量は0〜60%であることが好ましく、同飽和吸水率が10〜20質量%の場合、めっき浴の全溶剤中の有機溶剤の含有量は0〜45%であることが好ましい。
めっき浴に用いられる有機溶剤としては、水に可能な溶媒である必要があり、その点から、アセトンなどのケトン類、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類が好ましく用いられる。
【0117】
無電解めっき浴に用いられる金属の種類としては、銅、すず、鉛、ニッケル、金、パラジウム、ロジウムが知られており、中でも、導電性の観点からは、銅、金が特に好ましい。
また、上記金属に合わせて最適な還元剤、添加物がある。例えば、銅の無電解めっきの浴は、銅塩としてCuSO、還元剤としてHCOH、添加剤として銅イオンの安定剤であるEDTAやロッシェル塩などのキレート剤、トリアルカノールアミンなどが含まれている。また、CoNiPの無電解めっきに使用されるめっき浴には、その金属塩として硫酸コバルト、硫酸ニッケル、還元剤として次亜リン酸ナトリウム、錯化剤としてマロン酸ナトリウム、りんご酸ナトリウム、こはく酸ナトリウムが含まれている。また、パラジウムの無電解めっき浴は、金属イオンとして(Pd(NH)Cl、還元剤としてNH、HNNH、安定化剤としてEDTAが含まれている。これらのめっき浴には、上記成分以外の成分が入っていてもよい。
【0118】
このようにして形成される無電解めっきによるめっき膜の膜厚は、めっき浴の金属イオン濃度、めっき浴への浸漬時間、或いは、めっき浴の温度などにより制御することができるが、導電性の観点からは、0.5μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましい。
また、めっき浴への浸漬時間としては、1分〜6時間程度であることが好ましく、1分〜3時間程度であることがより好ましい。
【0119】
以上のようにして得られた無電解めっきによるめっき膜は、SEMによる断面観察により、硬化層中に無電解めっき触媒やめっき金属からなる微粒子がぎっしりと分散しており、更に硬化層上にめっき金属が析出していることが確認された。基板とめっき膜との界面は、ポリマーと微粒子とのハイブリッド状態であるため、基板(有機成分)と無機物(触媒金属又はめっき金属)との界面が平滑(例えば、凹凸差が500nm以下)であっても、密着性が良好となる。
【0120】
(電気めっき)
本工程おいては、(2)工程において付与されためっき触媒又はその前駆体が電極としての機能を有する場合、その触媒又はその前駆体が付与された硬化層に対して、電気めっきを行うことができる。
また、前述の無電解めっきの後、形成されためっき膜を電極とし、更に、電気めっきを行ってもよい。これにより基板との密着性に優れた無電解めっき膜をベースとして、そこに新たに任意の厚みをもつ金属膜を容易に形成することができる。このように、無電解めっきの後に、電気めっきを行うことで、金属膜を目的に応じた厚みに形成しうるため、本発明の金属膜を種々の応用に適用するのに好適である。
【0121】
本発明における電気めっきの方法としては、従来公知の方法を用いることができる。なお、本工程の電気めっきに用いられる金属としては、銅、クロム、鉛、ニッケル、金、銀、すず、亜鉛などが挙げられ、導電性の観点から、銅、金、銀が好ましく、銅がより好ましい。
【0122】
また、電気めっきにより得られる金属膜の膜厚については、用途に応じて異なるものであり、めっき浴中に含まれる金属濃度、或いは、電流密度などを調整することでコントロールすることができる。なお、一般的な電気配線などに用いる場合の膜厚は、導電性の観点から、0.5μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましい。
【0123】
本発明において、前述のめっき触媒、めっき触媒前駆体に由来する金属や金属塩、及び/又は、無電解めっきにより、硬化層中に析出した金属が、該層中でフラクタル状の微細構造体として形成されていることによって、金属膜と硬化層との密着性を更に向上させることができる。
硬化層中に存在する金属量は、基板断面を金属顕微鏡にて写真撮影したとき、硬化層の最表面から深さ0.5μmまでの領域に占める金属の割合が5〜50面積%であり、硬化層と金属界面の算術平均粗さRa(JIS B0633−2001)が0.05μm〜0.5μmである場合に、更に強い密着力が発現される。
【0124】
<表面金属膜材料>
本発明の表面金属膜材料の作製方法の各工程を経ることで、本発明の表面金属膜材料を得ることができる。なお、本発明の表面金属膜材料の作製方法において、基板として樹脂フィルム等を用いれば、その樹脂フィルムの両面に金属膜が形成された表面金属膜材料を得ることができる。
本発明の表面金属膜材料の作製方法により得られた表面金属膜材料は、基板に対する金属膜の密着力に優れる。
また、表面金属膜材料を構成する硬化層は、相互作用性基が非解離性官能基であるため、吸水性が低く、また、疎水性が高いものとなり、硬化層が湿度変化に応じて変化することがなくなる。その結果、この硬化層を有する表面金属膜材料は、湿度変化による密着力の変動が少ないといった効果をも有する。
この表面金属膜材料は、例えば、電磁波防止膜、コーティング膜、2層CCL材料、電気配線用材料等の種々の用途に適用することができる。
【0125】
本発明の金属パターン材料の作製方法は、(1)〜(5)の工程を経て得られた本発明の表面金属膜材料のめっき膜をパターン状にエッチングする工程〔(6)工程〕を有する。
この(6)エッチング工程について以下に説明する。
【0126】
〔(6)工程〕
(6)工程では、前記(5)工程で形成されためっき膜(金属膜)をパターン状にエッチングする。即ち、本工程では、基板表面全体に形成されためっき膜の不要部分をエッチングで取り除くことで、所望の金属パターンを形成することができる。
この金属パターンの形成には、如何なる手法も使用することができ、具体的には一般的に知られているサブトラクティブ法、セミアディティブ法が用いられる。
【0127】
サブトラクティブ法とは、形成されためっき膜上にドライフィルムレジスト層を設けパターン露光、現像により金属パターン部と同じパターンを形成し、ドライフィルムレジストパターンをマスクとしてエッチング液でめっき膜を除去し、金属パターンを形成する方法である。ドライフィルムレジストとしては如何なる材料も使用でき、ネガ型、ポジ型、液状、フィルム状のものが使用できる。また、エッチング方法としては、プリント配線基板の製造時に使用されている方法が何れも使用可能であり、湿式エッチング、ドライエッチング等が使用可能であり、任意に選択すればよい。作業の操作上、湿式エッチングが装置などが簡便で好ましい。エッチング液として、例えば、塩化第二銅、塩化第二鉄等の水溶液を使用することができる。
【0128】
また、セミアディティブ法とは、形成されためっき膜上にドライフィルムレジスト層を設け、パターン露光、現像により非金属パターン部と同じパターンを形成し、ドライフィルムレジソトパターンをマスクとして電気めっきを行い、ドライフィルムレジソトパターンを除去した後にクイックエッチングを実施し、めっき膜をパターン状に除去することで、金属パターンを形成する方法である。ドライフィルムレジソト、エッチング液等はサブトラクティブ法と同様な材料が使用できる。また、電気めっき手法としては前記記載の手法が使用できる。
【0129】
以上の(1)〜(6)工程を経ることにより、所望の金属パターンを有する金属パターン材料が作製される。
【0130】
一方、(3)の工程で得られる硬化層をパターン状に形成し、パターン状の硬化層に対して(4)、及び(5)工程を行うことで、金属パターン材料を作製することもできる(フルアディティブ工法)。
(3)の工程で得られる硬化層をパターン状に形成する方法としては、具体的には、硬化層を形成する際にパターン露光を用いればよく、また、未露光部を現像で除去することでパターン状の硬化層を形成することができる。
なお、現像方法としては、ポリマーやモノマーなどの硬化層を形成するために用いられる材料を溶解しうる溶剤に浸漬することで行われる。浸漬する時間は1分〜30分が好ましい。
また、(3)の硬化層は、グラビア印刷法、インクジェット法、マスクを用いたスプレーコート法など公知の塗布方法で直接パターニングした後、エネルギー付与し、その後、洗浄(現像)することで形成してもよい。
パターン形成した硬化層上にめっき膜を形成するための(4)、及び(5)工程は、前述の方法と同じである。
【0131】
<金属パターン材料>
本発明の金属パターン材料は、前述の本発明の金属パターン材料の作製方法により得られたものである。
得られた金属パターン材料は、基板に対する密着性に優れる金属パターンを有するものである。
なお、金属パターン材料を構成する硬化層が、吸水性が低く、また、疎水性が高いものとなるため、この硬化層の露出部(金属パターンの非形成領域)は吸水、吸湿などの変化が起こらず、これに起因する絶縁性の低下が生じない。その結果、本発明の金属パターン材料の作製方法において形成された金属パターン材料は、金属パターンの非形成領域の絶縁信頼性に優れたものとなる。
【0132】
本発明の金属パターン材料は、表面の凹凸が500nm以下(より好ましくは100nm以下)の基板上の全面又は局所的に、金属膜(めっき膜)を設けたものであることが好ましい。また、基板と金属パターンとの密着性が0.2kN/m以上であることが好ましい。即ち、基板表面が平滑でありながら、基板と金属パターンとの密着性に優れることを特徴とする。
【0133】
なお、基板表面の凹凸は、基板を基板表面に対して垂直に切断し、その断面をSEMにより観察することにより測定した値である。
より詳細には、JIS B 0601に準じて測定したRz、即ち、「指定面における、最大から5番目までの山頂のZデータの平均値と、最小から5番目までの谷底の平均値との差」で、500nm以下であることが好ましい。
また、基板と金属膜との密着性の値は、金属膜(金属パターン)の表面に、銅板(厚さ:0.1mm)をエポキシ系接着剤(アラルダイト、チバガイギー製)で接着し、140℃で4時間乾燥した後、JIS C 6481に基づき90度剥離実験を行うか、又は、金属膜自体の端部を直接剥ぎ取り、JIS C 6481に基づき90度剥離実験を行って得られた値である。
【0134】
本発明の金属パターン材料の作製方法により得られた金属パターン材料は、例えば、半導体チップ、各種電気配線板、FPC、COF、TAB、アンテナ、多層配線基板、マザーボード、等の種々の用途に適用することができる。
【実施例】
【0135】
以下、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」「部」は質量基準である。
【0136】
〔実施例1〕
[合成例:相互作用性基(シアノ基)を有するポリマー1の合成]
300mlの三口フラスコに、ジメチルカーボネート10g、アセトニトリル3.3gを入れ、窒素気流下、70℃まで加熱した。そこへ、2−シアノエチルアクリレート40.0g、及びV−65(和光純薬製)0.64gのジメチルカーボネート10g/アセトニトリル3.3gの溶液を、4時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間撹拌した。反応終了後、水で再沈を行い、固形物を取り出し、相互作用性基(シアノ基)を有するポリマーを31g得た。
得られた相互作用性基(シアノ基)を有するポリマー1の重量平均分子量は、5.5万であった。
【0137】
[基板の作製]
ガラスエポキシ基板上に、電気的絶縁層として味の素ファインテクノ社製エポキシ系絶縁膜GX−13(膜厚45μm)を、加熱、加圧して、真空ラミネーターにより0.2MPaの圧力で100℃〜110℃の条件により接着して、基材を得た。
ついで、基材の上に、下記組成の重合開始剤を含有する絶縁性組成物を厚さ3μmになるようにスピンコート法で塗布し、30℃にて1時間放置して溶剤を除去した後、140℃で30分乾燥して重合開始層(絶縁性の重合開始層)を形成した。
【0138】
(重合開始剤を含有する絶縁性組成物)
液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量176、ジャパンエポキシレジン(株)製、エピコート825)5g、トリアジン構造含有フェノールノボラック樹脂のMEKワニス(大日本インキ化学工業(株)製、フェノライトLA−7052、不揮発分62%、不揮発分のフェノール性水酸基当量120)2g、フェノキシ樹脂MEKワニス(東都化成(株)製、YP−50EK35、不揮発分35%)10.7g、重合開始剤として2−ヒドロキシ−4’−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−メチルプロピオフェノン2.3g、MEK5.3g、2−エチル−4−メチルイミダゾール0.053gを混合し、攪拌して完全に溶解させて重合開始剤を含有する絶縁性組成物を得た。
【0139】
上記のような重合開始層が形成された後、180℃で30分間硬化処理を実施した。これにより、基板A1を得た。この基板A1の表面凹凸(Rz)は0.1μmであった。
【0140】
[硬化層の形成]
(混合液1の調製)
前述の合成例で得られた相互作用性基(シアノ基)を有するポリマー1:0.6g、及びアセトン10gを混合攪拌して、ポリマー溶液を調製し、その後、このポリマー溶液中に多官能モノマーであるA−TMMT(新中村化学(株)製)0.4g、及びIRGACURE 184(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.1gをアセトン1gに溶かした溶液を添加した。
【0141】
(塗布、乾燥)
上記のようにして得られた混合液1を、前記基板A1の重合開始層上に、厚さ1μmになるように、スピンコート法により塗布し、80℃にて5分乾燥した。
【0142】
(露光)
その後、1.5kWの高圧水銀灯(USIO製 UVX−02516SILP01)を用いて、40秒間の露光を行い、基板A1の重合開始層の全面に硬化層を形成した。
【0143】
その後、攪拌した状態のアセトン中に硬化層が形成された基板を5分間浸漬し、続いて、蒸留水にて洗浄した。
これにより、硬化層を有する基板A2を得た。
【0144】
[めっき触媒の付与]
硬化層を有する基板A2を、硝酸パラジウムを1質量%含むアセトン溶液に、30分間浸漬した後、アセトンに浸漬して洗浄した。
【0145】
[無電解めっき]
上記のようにして、めっき触媒が付与された硬化層を有する基板A2に対し、下記組成の無電解めっき浴を用い、60℃で5分間、無電解めっきを行った。得られた無電解銅めっき膜の厚みは0.3μmであった。
【0146】
(無電解めっき浴の組成)
・蒸留水 859g
・メタノール 850g
・硫酸銅 18.1g
・エチレンジアミン四酢酸・2ナトリウム塩 54.0g
・ポリオキシエチレングリコール(分子量1000) 0.18g
・2,2’ビピリジル 1.8mg
・10%エチレンジアミン水溶液 7.1g
・37%ホルムアルデヒド水溶液 9.8g
以上の組成のめっき浴のpHを、水酸化ナトリウム及び硫酸で12.5(60℃)に調整した。
【0147】
[電気めっき]
続いて、無電解銅めっき膜を給電層として、下記組成の電気銅めっき浴を用い、3A/dmの条件で、電気めっきを20分間行った。得られた電気銅めっき膜の厚みは18μmであった。
【0148】
(電気めっき浴の組成)
・硫酸銅 38g
・硫酸 95g
・塩酸 1mL
・カッパーグリームPCM(メルテックス(株)製) 3mL
・水 500g
【0149】
(密着性評価)
得られためっき膜に対して、引張試験機((株)エー・アンド・デー製、RTM−100)を用いて、5mm幅について、引張強度10mm/minにて、90°ピール強度の測定を行ったところ、0.50kN/mであった。
【0150】
[金属パターンの形成、及び絶縁信頼性試験]
得られためっき膜表面に、金属パターン(配線パターン)として残すべき領域にエッチングレジストを形成し、レジストのない領域のめっき膜を、FeCl/HClからなるエッチング液により除去した。その後、エッチングレジストを3%NaOH液からなるアルカリ剥離液にて除去し、ソルダーレジストでカバーして、ライン・アンド・スペース=200μm/200μmの線間絶縁信頼性を測定するための櫛形配線(金属パターン材料)を形成した。
この櫛形配線を、ESPEC製HAST試験機(AMI−150S−25)にて、125℃−85%相対湿度(未飽和)、印加電圧10V、2気圧下で100時間放置させた所、配線間の絶縁不良は見られなかった。
【0151】
〔実施例2〕
[合成例:反応性基を有するポリマー2の調製]
300mlの三口フラスコに、ジメチルカーボネート28gを入れ、窒素気流下、70℃まで加熱した。そこへ、2−ヒドロキシエチルアクリレート29.7g、t-ブチルアクリレート8.2g及びV−65(和光純薬製)0.79gのジメチルカーボネート28gの溶液を、4時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間撹拌した。反応終了後、水で再沈を行い、固形物を取り出し、反応性基を有するポリマー2を28g得た。
反応性基を有するポリマー2の重量平均分子量は、3.4万であった。
【0152】
実施例1で作製した、重合開始層が形成された基板A1を用い、以下のようにして表面金属膜材料を作製した。
【0153】
[硬化層の形成]
(混合液2の調製)
前述の合成例で得られた反応性基を有するポリマー2:0.6g、及びアセトン10gを混合攪拌してポリマー溶液を調製し、そのポリマー溶液に、多官能モノマーであるA−TMMT(新中村化学(株)製)0.4g、相互作用性基含有化合物である4−ヒドロキシベンジルシアニド0.8gをアセトン1gに溶解した溶液を添加した。
【0154】
(塗布、乾燥)
上記のようにして得られた混合液2を、前記基板A1の重合開始層上に、厚さ1μmになるように、スピンコート法により塗布し、100℃にて30分乾燥した。これにより、反応性基を有するポリマー2中のイソシアネート基と、4−ヒドロキシベンジルシアニドと、を反応させた。
【0155】
(露光)
その後、1.5kWの高圧水銀灯(USIO製 UVX−02516SILP01)を用いて、40秒間の露光を行い、基板A1の重合開始層の全面に硬化層を形成した。
【0156】
その後、攪拌した状態のアセトン中に硬化層が形成された基板を5分間浸漬し、続いて、蒸留水にて洗浄した。
これにより、パターン状の硬化層を有する基板A3を得た。
【0157】
続いて、この硬化層を有する基板A3に対して、実施例1と同様の方法で、[めっき触媒の付与]、[無電解めっき]、及び[電気めっき]を行った。
【0158】
(密着性評価)
得られためっき膜に対して、実施例1と同様の手法で密着力を測定したところ、0.42kN/mであった。
【0159】
〔実施例3〕
実施例1で作製した、重合開始層が形成された基板A1を用い、以下のようにして表面金属膜材料を作製した。
【0160】
[硬化層の形成]
(混合液3の調製)
ポリ−t−ブチルアクリレート0.3g、及びアセトン10gを混合攪拌してポリマー溶液を調製し、そのポリマー溶液に、多官能モノマーであるA−TMMT(新中村化学(株)製)0.3g、相互作用性基を有するモノマーであるシアノエチルアクリレート0.4gをアセトン1gに溶解した溶液を添加した。
【0161】
(塗布、乾燥)
上記のようにして得られた混合液3を、前記基板A1の重合開始層上に、厚さ1μmになるように、スピンコート法により塗布し、80℃にて5分乾燥した。
【0162】
(露光)
その後、1.5kWの高圧水銀灯(USIO製 UVX−02516SILP01)を用いて、180秒間の露光を行い、基板A1の重合開始層の全面に硬化層を形成した。
【0163】
その後、攪拌した状態のアセトン中に硬化層が形成された基板を5分間浸漬し、続いて、蒸留水にて洗浄した。
これにより、硬化層を有する基板A4を得た。
【0164】
続いて、この硬化層を有する基板A4に対して、実施例1と同様の方法で、[めっき触媒の付与]、[無電解めっき]、及び[電気めっき]を行った。
【0165】
(密着性評価)
得られためっき膜に対して、実施例1と同様の手法で密着性を評価したところ、90°ピール強度は0.45kN/mであった。
【0166】
〔実施例4〕
実施例3において、混合液3の代わりに下記の混合液4を用いた以外は、実施例3と同様にして、表面金属膜材料を作製した。
【0167】
(混合液4の調製)
実施例1にて合成した相互作用性基(シアノ基)を有するポリマー1:0.3g、及びアセトン10gを混合攪拌してポリマー溶液を調製し、そのポリマー溶液に、多官能モノマーであるA−TMMT(新中村化学(株)製)0.3g、相互作用性基を有するモノマーであるシアノエチルアクリレート0.4gをアセトン1gに溶解した溶液を添加した。
【0168】
(密着性評価)
得られためっき膜に対して、実施例1と同様の手法で密着性を評価したところ、90°ピール強度は0.55N/mmであった。
【0169】
〔比較例1〕
実施例1で作製した、重合開始層が形成された基板A1を用い、以下のようにして表面金属膜材料を作製した。
【0170】
[硬化層の形成]
(比較用混合液1の調製)
多官能モノマーであるA−TMMT(新中村化学(株)製)0.2g、相互作用性基を有するモノマーであるシアノエチルアクリレート0.8g、及びアセトン10gを混合攪拌し、比較用混合液1を得た。
【0171】
(塗布、乾燥)
上記のようにして得られた比較用混合液1を、前記基板A1の重合開始層上に、厚さ1μmになるように、スピンコート法により塗布しようとしたが、混合液の粘度が低く、また、乾燥後に得られた膜に流動性があるため、1μmの厚さを得ることができなかった。
そのため、0.1μmの厚さの膜を形成した後、以下のような工程を継続し、方面金属膜材料を得た。
【0172】
(露光)
その後、1.5kWの高圧水銀灯(USIO製 UVX−02516SILP01)を用いて、180秒間の露光を行い、基板A1の重合開始層の全面に硬化層を形成した。
【0173】
その後、攪拌した状態のアセトン中に硬化層が形成された基板を5分間浸漬し、続いて、蒸留水にて洗浄した。
これにより、硬化層を有する基板A4を得た。
【0174】
続いて、この硬化層を有する基板A4に対して、実施例1と同様の方法で、[めっき触媒の付与]、[無電解めっき]、及び[電気めっき]を行った。
【0175】
(密着性評価)
得られためっき膜に対して、実施例1と同様の手法で密着性を評価したところ、90°ピール強度は0.05kN/mであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)ポリマーを含有するポリマー溶液を調製する工程と、
(2a)該ポリマー溶液に、ポリマーに対して30質量%以上200質量%以下の割合となるモノマーを混合して、混合液を調製する工程と、
(3)基板上に、前記混合液を、塗布、乾燥させた後、得られた膜を硬化させ、該基板上に硬化層を形成する工程と、
(4)該硬化層にめっき触媒又はその前駆体を付与する工程と、
(5)該めっき触媒又はその前駆体に対してめっきを行う工程と、を有し、
前記ポリマー及び前記モノマーの少なくとも一方が、めっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する非解離性官能基を有することを特徴とする表面金属膜材料の作製方法。
【請求項2】
(1)ポリマーを含有するポリマー溶液を調製する工程と、
(2b)該ポリマー溶液に、ポリマーに対して30質量%以上200質量%以下の割合となるモノマーと、めっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する非解離性官能基及び反応性基有する化合物と、を混合して、混合液を調製する工程と、
(3)基板上に、前記混合液を、塗布、乾燥させた後、得られた膜を硬化させ、該基板上に硬化層を形成する工程と、
(4)該硬化層にめっき触媒又はその前駆体を付与する工程と、
(5)該めっき触媒又はその前駆体に対してめっきを行う工程と、を有し、
前記ポリマー及び前記モノマーの少なくとも一方が、めっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する非解離性官能基を有する化合物中の反応性基と反応する官能基を有することを特徴とする表面金属膜材料の作製方法。
【請求項3】
前記モノマーが多官能モノマーであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の表面金属膜材料の作製方法。
【請求項4】
前記モノマーがラジカル重合性モノマーであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の表面金属膜材料の作製方法。
【請求項5】
前記(3)工程において、前記基板として、基材上に、重合開始剤を含有する、又は重合開始可能な官能基を有する重合開始層が形成されたものが用いられ、当該基板と前記硬化層との間に化学結合が形成されることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の表面金属膜材料の作製方法。
【請求項6】
前記(5)工程では、無電解めっきが行われることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の表面金属膜材料の作製方法。
【請求項7】
前記無電解めっきの後に、更に電気めっきが行われることを特徴とする請求項6に記載の表面金属膜材料の作製方法。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の表面金属膜材料の作製方法により得られた表面金属膜材料。
【請求項9】
(6)請求項8に記載の表面金属膜材料のめっき膜をパターン状にエッチングする工程を有することを特徴とする金属パターン材料の作製方法。
【請求項10】
請求項9に記載の金属パターン材料の作製方法により得られた金属パターン材料。

【公開番号】特開2009−263707(P2009−263707A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−113126(P2008−113126)
【出願日】平成20年4月23日(2008.4.23)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】