説明

袋体支持装置

【課題】本発明は、極めて商品価値の高い画期的な袋体支持装置を提供することを目的とする。
【解決手段】袋体1の開口部1aを開口状態に保持する袋体開口保持部2と、この袋体開口保持部2を所定高さ位置に支承する支承部3とを有する袋体支持装置であって、前記支承部3は、前記袋体開口保持部2で保持する前記袋体1の周囲に立設状態となる複数の立設支承体4で前記袋体開口保持部2を支承する構成のものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば土嚢を製造する際に袋体を開口状態で支持する袋体支持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば土嚢の製造時に土を詰入する袋体(特に災害などで使用される1トンの土を詰入し得るような大型の袋体)を開口状態で支持するための袋体支持装置が種々提案されており、これら袋体支持装置は、袋体の開口部を開口状態に保持する環状の袋体開口保持部と、この袋体開口保持部を所定高さ位置に支承する支承部とを有する構造である。
【0003】
実際に、これら袋体支持装置を用いて土嚢を製造する場合、袋体開口保持部に袋体の開口部を開口状態に保持せしめて袋体を吊下げ状態とし、この状態で袋体に土を詰入し、この土の詰入が終了した後、袋体の開口部を閉じて袋体をクレーンなどで吊り上げて取り出した状態(袋体支持装置とは別の位置へ移動させた状態)とすることで土嚢の製造は完了することになるが、この土が詰入された袋体を袋体支持装置から引き抜くように吊り上げるのが大変なのは勿論、この土を詰入した袋体を吊り上げる際、土の重みと袋体の柔軟性により袋体の下方部位が膨らみ、この袋体の下方部位が袋体を吊り上げようとする際に袋体開口保持部に引っ掛かってしまう場合があり、よって、詰入する土の量が制限されてしまうなど袋体への土の詰入が十分に行なえないという問題点がある。反対に、土が詰入された袋体をそのままの状態で袋体支持装置を吊り上げて移動させることもできるが、やはり大型の袋体支持装置を吊り上げるのは大変である。
【0004】
そこで、この問題点を解消すべく、例えば実用新案登録第3115075号に開示される袋体支持装置(以下、従来例)が提案されている。
【0005】
この従来例は、袋体開口保持部と支持部とから成る本体を、互いに分離自在に連結する複数の枠体で構成したものである。
【0006】
具体的には、上フレームと下フレームと左右のサイドフレームとを有する複数の枠体と、前記枠体のサイドフレームを互いに回動自在に連結させるための連結ピンとを有し、土嚢製造時には、複数の枠体を円環状に配置し、隣接する枠体のサイドフレームに連結ピンを挿入して組立状態とし、袋体をその開口の口縁を袋状に折り曲げて、組立状態とした複数の枠体の上フレームに取り付け、開口から袋体に用土を詰め込んでいき、用土が詰め込まれた袋体を取り出す時には、円環状に配置された複数の枠体の隣接するサイドフレームの間のうちの少なくとも1つの間の連結ピンを外して複数の枠体を開閉自在状態としたものである。
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第3115075号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、従来例は、土を詰入した袋体を取り出した状態(従来例の外部に位置する状態)とする作業の度に、枠体同士の解体作業(開放作業)及び枠体同士の組み立て作業(閉塞作業)を行わなければならず、非常に厄介で作業性が悪いという問題点がある。この問題点は複数の土嚢を連続して製造しようとする際に顕著となる。
【0009】
本発明は、前述した問題点を解消する、従来にない作用効果を発揮する画期的な袋体支持装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0011】
袋体1の開口部1aを開口状態に保持する袋体開口保持部2と、この袋体開口保持部2を所定高さ位置に支承する支承部3とを有する袋体支持装置であって、前記支承部3は、前記袋体開口保持部2で保持する前記袋体1の周囲に立設状態となる複数の立設支承体4で前記袋体開口保持部2を支承する構成であり、前記立設支承体4のうち少なくとも一つを前記袋体開口保持部2に上方へ回動自在に設けるか若しくは少なくとも一つの前記立設支承体4の一部分を上方へ屈曲自在に設け、前記立設支承体4を上方へ回動若しくは上方へ屈曲せしめた際、内部に詰入材10を詰入した前記袋体1の通過を許容する袋体通過許容部5を形成するように前記支承部3を構成したことを特徴とする袋体支持装置に係るものである。
【0012】
また、前記袋体開口保持部2で保持する前記袋体1の内部に前記詰入材10を詰入した後、前記袋体開口保持部2を側方へ移動せしめた際、この側方への移動に伴い前記立設支承体4が内部に前記詰入材10を詰入した前記袋体1を乗り越えて上方へ回動若しくは上方へ屈曲することで、内部に前記詰入材10を詰入した前記袋体1の通過を許容する袋体通過許容部5を形成するように前記支承部3を構成したことを特徴とする請求項1記載の袋体支持装置に係るものである。
【0013】
また、前記袋体1の開口周縁部1a’を添設せしめて開口部1aを開口状態に保持する環状の前記袋体開口保持部2に、複数の前記立設支承体4を前記袋体開口保持部2の周方向に並列状態で設けて前記支承部3を構成したことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の袋体支持装置に係るものである。
【0014】
また、前記袋体開口保持部2に複数の前記立設支承体4を等間隔に間隙Sを介して並列状態で設けて前記支承部3を構成し、前記立設支承体4同士の間隙Sは前記袋体開口保持部2で保持され内部に詰入材10を詰入した前記袋体1の通過を許容しない間隙Sであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の袋体支持装置に係るものである。
【0015】
また、全ての前記立設支承体4を前記袋体開口保持部2に上方へ回動自在に設けるか若しくは全ての前記立設支承体4の一部分を上方へ屈曲自在に設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の袋体支持装置に係るものである。
【0016】
また、全ての前記立設支承体4を内方へ折り畳み自在に設け、各立設支承体4を内方へ折り畳んだ際、少なくとも対向する立設支承体4同士が干渉し合わない位置関係となるように各立設支承体4を前記袋体開口保持部2に設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の袋体支持装置に係るものである。
【0017】
また、前記立設支承体4の上方への回動を阻止する回動阻止機構若しくは前記立設支承体4の上方への屈曲を阻止する屈曲阻止機構を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の袋体支持装置に係るものである。
【0018】
また、一の前記立設支承体4を上方へ回動若しくは上方へ屈曲せしめて前記支承部3に前記袋体通過許容部5を形成した際、他の前記立設支承体4により前記袋体開口保持部2の支承状態を維持し得るように設けて前記支承部3を構成したことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の袋体支持装置に係るものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明は上述のように構成したから、前述した従来例と異なり、詰入材を詰入した袋体を取り出した状態とする作業が簡易且つ迅速に行なえるなど従来にない作用効果を発揮する画期的な袋体支持装置となる。
【0020】
また、請求項2記載の発明においては、極めて操作性に秀れるなど従来にない作用効果を発揮する画期的な袋体支持装置となる。
【0021】
また、請求項3記載の発明においては、極めてシンプルな構造から、操作性が良くて作業性を向上することができ、しかも、簡易構造故にコスト安にして量産性に秀れるなど従来にない作用効果を発揮する画期的な袋体支持装置となる。
【0022】
また、請求項4記載の発明においては、無駄の無い最小限の部材で構成される為コスト安にして量産性に秀れ、しかも、立設支承体同士の間隔を最小限に留めることで可及的にコンパクトにすることができるなど画期的な袋体支持装置となる。
【0023】
また、請求項5記載の発明においては、単なる一方向だけでなく、例えば複数方向(側方)へ移動させることで詰入材を詰入した袋体を取り出した状態が簡易且つ迅速に得られるなど従来にない作用効果を発揮する画期的な袋体支持装置となる。
【0024】
また、請求項6記載の発明においては、コンパクトな折り畳み状態とすることができ、例えば収納の際や搬送の際に非常に便利であるなど画期的な袋体支持装置となる。
【0025】
また、請求項7,8記載の発明においては、より一層操作性が良くて作業性を向上することができるなど従来にない作用効果を発揮する画期的な袋体支持装置となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて簡単に説明する。
【0027】
袋体1に詰入材10を詰入する場合、支承部3により所定高さ位置に支承される袋体開口保持部2に袋体1の開口部1aを開口状態に保持せしめて袋体1を吊下げ状態とし、この状態で袋体1に詰入材10を詰入する。
【0028】
本発明に係る支承部3は、袋体開口保持部2で保持する袋体1の周囲に立設状態となる複数の立設支承体4で前記袋体開口保持部2を支承する構成であり、立設支承体4のうち少なくとも一つを袋体開口保持部2に上方へ回動自在に設けるか若しくは少なくとも一つの立設支承体4の一部分を上方へ屈曲自在に設け、この立設支承体4を上方へ回動若しくは上方へ屈曲せしめた際、内部に詰入材10を詰入した袋体1の通過を許容する袋体通過許容部5を形成するように支承部3を構成しており、よって、この構成から、詰入材10の詰入が終了した後、この詰入材10を詰入した袋体1を取り出した状態とする場合、この詰入材10を詰入した袋体1を、支承部3に形成される袋体通過許容部5を通過させることで行なう。
【0029】
具体的には、前述した構成から、例えば袋体開口保持部2を側方へ移動させると、この側方への移動に伴い少なくとも一つの立設支承体4が内部に詰入材10を詰入した袋体1を乗り越えて上方へ回動若しくは上方へ屈曲し、このことにより支承部3には袋体1の通過を許容する袋体通過許容部5が形成された状態となり、そのままこの袋体通過許容部5を詰入材10を詰入した袋体1を通過させることで取り出した状態とすることができる。
【0030】
従って、前述した従来例と異なり、詰入材10を詰入した袋体1を吊り上げたり、袋体支持装置を吊り上げたり、袋体支持装置を解体や組み立てする必要が無く、例えば袋体開口保持部2を側方へ移動させるだけで簡易且つ確実に詰入材10を詰入した袋体1を取り出した状態とすることができる。
【0031】
また、本発明は、例えば土砂崩れ現場などで並設される土嚢のように詰入材10を詰入した袋体1を並設する場合、この袋体1を並設する方向へ例えば袋体開口保持部2を移動させながら順次袋体1に詰入材10を詰入する作業を行うことで、詰入材10を詰入した袋体1が簡易且つ迅速に並設状態に製造することができる。
【0032】
また、 前記袋体1の開口周縁部1a’を添設せしめて開口部1aを開口状態に保持する環状の前記袋体開口保持部2に、複数の前記立設支承体4を前記袋体開口保持部2の周方向に並列状態で設けて前記支承部3を構成した場合には、単に袋体1の開口周縁部1a’を環状の袋体開口保持部2に添設せしめるだけで袋体1を開口状態に保持することができ、しかも、極めてシンプルな構造から、操作性が良くて作業性を向上することができ、しかも、簡易構造故にコスト安にして量産性に秀れることになる。
【0033】
また、袋体開口保持部2に複数の立設支承体4を等間隔に間隙Sを介して並列状態で設けて支承部3を構成し、この立設支承体4同士の間隙Sは袋体開口保持部2で保持され内部に詰入材10を詰入した前記袋体1の通過を許容しない間隙Sである場合には、例えば支承部3を袋体開口保持部2の周方向に連続する円弧板状の立設支承体4で構成するのではなく、等間隔に間隙Sを介して並列状態に設けられる複数の立設支承体4で構成されるものであるから、無駄の無い必要最小限の部材で構成される為コスト安にして量産性に秀れ、軽量で操作性が良く、しかも、前述したように立設支承体4のうち少なくとも一つを袋体開口保持部2に上方へ回動自在に設けるか若しくは少なくとも一つの立設支承体4の一部分を上方に屈曲自在に設けた構成を採用することで、この間隙Sを広く設定する必要は無く、立設支承体4同士の間隙Sを最小限に留めることで可及的にコンパクトにすることができる。
【0034】
また、全ての立設支承体4を袋体開口保持部2に上方へ回動自在に設けるか若しくは全ての立設支承体4の一部分を上方へ屈曲自在に設けた場合には、単なる一方向だけでなく複数の方向、即ち、袋体開口保持部2に各立設支承体4夫々を設けた側と反対方向となる任意の側方(複数の方向)へ移動させることで、内部に詰入材10を詰入した袋体1を取り出した状態が簡易且つ迅速に得られる。例えばその現場や状況に応じて最適な方向へ移動させることができる。
【0035】
また、全ての立設支承体4を内方へ折り畳み自在に設け、各立設支承体4を内方へ折り畳んだ際、少なくとも対向する立設支承体4同士が干渉し合わない位置関係となるように各立設支承体4を前記袋体開口保持部2に設けた場合には、可及的にコンパクトな折り畳み状態とすることができ、例えば収納の際や搬送の際に非常に便利となる。
【0036】
また、立設支承体4の上方への回動を阻止する回動阻止機構若しくは立設支承体4の上方への屈曲を阻止する屈曲阻止機構を有する場合には、不意に立設支承体4が回動若しくは屈曲してしまうのを阻止することができ、より一層操作性が良くて作業性を向上することができ、しかも、装置自体の転倒を防止することができ安全性にも秀れることになる。
【0037】
また、一の立設支承体4を上方へ回動若しくは上方へ屈曲せしめて支承部3に袋体通過許容部5を形成した際、他の立設支承体4により袋体開口保持部2の支承状態を維持し得るように設けて支承部3を構成した場合には、例えば詰入材10を詰入した袋体1を取り出した状態とする作業の際、一の立設支承体4における支承を解除することで危惧される不安定化の問題が生じることは無く、常に安定した状態で作業が良好に行なえることになり、より一層操作性が良くて作業性を向上することができ、しかも、装置自体が転倒してしまうことを防止することができる。
【実施例】
【0038】
本発明の具体的な一実施例について図面に基づいて説明する。
【0039】
本実施例は、袋体1の開口部1aを開口状態に保持する袋体開口保持部2と、この袋体開口保持部2を所定高さ位置に支承する支承部3とを有する袋体支持装置である。
【0040】
尚、本実施例では、袋体1に詰入する詰入材10が土の場合、即ち、土嚢を製造する際に使用しているが、袋体1に例えば工場で製造された製品を詰入する際に使用したり、或いは、廃材を詰入したりする際に使用しても良いなど、土嚢の製造に限定されるものではなくその使用範囲は多岐にわたるものである。
【0041】
以下、本実施例に係る構成各部について詳細な説明をする。
【0042】
袋体開口保持部2は、図1に図示したように適宜な金属製のパイプ(38mm径の丸パイプ)を平面視方形となる環状(縦900mm×横900mmの四角形)に形成したものである。尚、本実施例に係る構成各部の素材は鉄製であるが、この他にもステンレス、アルミ、塩ビなどでも良いなど、袋体1に詰入材10を詰入した際の荷重に耐え得る強度を具備しつつ軽量であることが望ましく、袋体支持装置として構成した際には、作業者が一人で持ち運べる程度の重量に設定される。
【0043】
具体的には、図1,2に図示したように4本のL字状パイプ2Aを丸棒状の連結部材7を介して連結して構成されており、この連結部材7の両端部に各L字状パイプ2Aの端部を被嵌してネジ部材8により止着することでL字状パイプ2A同士は連結されている。
【0044】
この環状の袋体開口保持部2に袋体1を保持せしめる際には、袋体開口保持部2の内側に配した袋体1の上部開口縁1bを外側へ開口させるとともに下方へ折り返すことで、袋体1の開口周縁部1a’を添設せしめて開口部1aを開口状態に保持せしめることになる。
【0045】
尚、袋体開口保持部2は平面視方形状に限らず、平面視円形状や四角形でない平面視多角形(三角形や五角形など)でも良いなど、本実施例の特性を発揮する構成であれば適宜採用し得るものであるが、この袋体開口保持部2を作業者が握持して該袋体開口保持部2を側方へ移動させることを考慮すると、少なくとも作業者が握持する部分はストレート部分があることが望ましい。
【0046】
また、各L字状パイプ2A同士を連結する各連結棒材7の中央部位には後述する支承部3に係る立設支承体4の上端部が連結される。
【0047】
支承部3は、図1に図示したように袋体開口保持部2で保持する袋体1の周囲に立設状態となる複数の立設支承体4で袋体開口保持部2を支承する構成であり、立設支承体4のうち少なくとも一つを袋体開口保持部2に上方へ回動自在に設けるか若しくは少なくとも一つの立設支承体4の一部分を上方へ屈曲自在に設け、立設支承体4を上方へ回動若しくは上方へ屈曲せしめた際、内部に詰入材10を詰入した袋体1の通過を許容する袋体通過許容部5を形成するように構成したものである。
【0048】
具体的には、前述した環状の袋体開口保持部2に、複数の前記立設支承体4を等間隔に間隙Sを介して袋体開口保持部2の周方向に並列状態で設けて構成したものであり、この立設支承体4同士の間隙Sは袋体開口保持部2で保持され内部に詰入材10を詰入した袋体1の通過を許容しない間隙Sに設定されている。
【0049】
立設支承体4は、図1〜3に図示したように適宜な金属製のパイプ(長さ約1000mm、38mm径の丸パイプ)で形成したものであり、前述した袋体開口保持部2における4つのストレート部夫々の中央部位に垂設される脚体として構成されている。
【0050】
この立設支承体4の上端部にはT字状パイプから成る連結部材9が設けられており、この連結部材9は前述したL字状パイプ2A同士を連結する連結棒材7に回動自在に被嵌連結し得ることになる。
【0051】
従って、全ての立設支承体4は、この袋体開口保持部2に対する連結部位を支点に約360度回動自在となる。
【0052】
前述したように各立設支承体4同士の間隙Sは、袋体開口保持部2で保持する袋体1に詰入材10を詰入する状態(後述する回動阻止機構により回動が阻止された状態)においては、この内部に詰入材10を詰入した袋体1の通過を許容しない間隙Sに設定されているが、少なくとも一つの立設支承体4を上方(外方)へ回動せしめた際、支承部3には、内部に詰入材10を詰入した袋体1の通過を許容する袋体通過許容部5が形成されることになる。
【0053】
尚、立設支承体4は、全て上方(外方)へ回動自在に設けずとも一部のみ上方(外方)へ回動自在に設けても良く、また、立設支承体4の一部分を上方(外方)へ屈曲自在に設けても良く、この屈曲自在に設ける場合においても立設支承体4の全てを屈曲自在に設けても良いし一部のみを屈曲自在に設けても良い。
【0054】
また、本実施例では、立設支承体4の上方への回動を阻止する回動阻止機構(若しくは立設支承体4の上方への屈曲を阻止する屈曲阻止機構)を有する。
【0055】
具体的には、図3に図示したように袋体開口保持部2と各立設支承体4との回動連結部位、即ち、袋体開口保持部2に係る連結棒材7と立設支承体4に係る連結部材9夫々に設けた孔7a,9aを合致させた合致孔に棒部材11を挿入して回動阻止状態とする構成である。
【0056】
また、本実施例では、一つの立設支承体4(一本の立設支承体4)を上方へ回動(若しくは上方へ屈曲)せしめて支承部3に袋体通過許容部5を形成した際、他の立設支承体4(残り3本の立設支承体4)により袋体開口保持部2の支承状態を維持し得るように構成されている。
【0057】
また、本実施例では、前述した構成から、全ての立設支承体4は内方へ折り畳み自在であり、各立設支承体4を内方へ折り畳んだ際、少なくとも対向する立設支承体4同士が干渉し合わない位置関係となるように袋体開口保持部2に対する各立設支承体4の連結位置をずれた位置関係の位置に設定している(図4参照)。
【0058】
符号6は立設支承体4の下端部に設けられる接地キャップ6であり、この接地キャップ6は、接地した地面等に没入しにくく、袋体開口保持部2を側方へ移動させて立設支承体4が詰入材10を詰入した袋体1を乗り越える際、この立設支承体4の下端部が袋体1に引っ掛かりにくい形状及び大きさいに設定されている。
【0059】
以上の構成からなる本実施例に係る袋体支持装置を用いた土嚢の製造方法について説明する。
【0060】
先ず、任意の箇所に袋体支持装置を配置し、支承部3により所定高さ位置に支承される袋体開口保持部2に袋体1の開口部1aを開口状態に保持せしめて袋体1を吊下げ状態とし、この状態で袋体1に詰入材10を詰入する(図5参照)。
【0061】
続いて、袋体1の上部開口部を閉じる。
【0062】
続いて、作業者は袋体開口保持部2を持って側方へ移動させると、この側方への移動に伴い一つの立設支承体4が内部に詰入材10を詰入した袋体1を乗り越えて上方へ回動し(図6参照)、このことにより支承部3には袋体1の通過を許容する袋体通過許容部5が形成された状態となり、そのまま袋体開口保持部2を側方へ移動させ(図7参照)、この袋体通過許容部5を詰入材10を詰入した袋体1を通過させることで取り出した状態とすることができる(図8参照)。
【0063】
また、図9に図示したように、例えば土砂崩れ現場などで並設される土嚢のように詰入材10を詰入した袋体1を並設する場合、この袋体1を並設する方向へ例えば袋体開口保持部2を移動させながら順次袋体1に詰入材10を詰入する作業を行うことで、詰入材10を詰入した袋体1が簡易且つ迅速に並設状態に製造することができる。この場合、詰入材10を詰入した袋体1を取り出した状態する際には、袋体開口保持部2は袋体1の並設方向と斜め方向となる側方へ移動させることになる。
【0064】
本実施例は上述のように構成したから、前述した従来例と異なり、詰入材10を詰入した袋体1を吊り上げたり、袋体支持装置を吊り上げたり、袋体支持装置を解体や組み立てする必要が無く、例えば袋体開口保持部2を側方へ移動させるだけで簡易且つ確実に詰入材10を詰入した袋体1を取り出した状態とすることができる。
【0065】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本実施例を示す斜視図である。
【図2】本実施例に係る要部の分解斜視図である。
【図3】本実施例に係る要部の説明断面図である。
【図4】本実施例の動作説明図である。
【図5】本実施例の使用状態説明図である。
【図6】本実施例の使用状態説明図である。
【図7】本実施例の使用状態説明図である。
【図8】本実施例の使用状態説明図である。
【図9】本実施例の使用状態説明図である。
【符号の説明】
【0067】
S 間隙
1 袋体
1a 開口部
1a’ 開口周縁部
2 袋体開口保持部
3 支承部
4 立設支承体
5 袋体通過許容部
10 詰入材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋体の開口部を開口状態に保持する袋体開口保持部と、この袋体開口保持部を所定高さ位置に支承する支承部とを有する袋体支持装置であって、前記支承部は、前記袋体開口保持部で保持する前記袋体の周囲に立設状態となる複数の立設支承体で前記袋体開口保持部を支承する構成であり、前記立設支承体のうち少なくとも一つを前記袋体開口保持部に上方へ回動自在に設けるか若しくは少なくとも一つの前記立設支承体の一部分を上方へ屈曲自在に設け、前記立設支承体を上方へ回動若しくは上方へ屈曲せしめた際、内部に詰入材を詰入した前記袋体の通過を許容する袋体通過許容部を形成するように前記支承部を構成したことを特徴とする袋体支持装置。
【請求項2】
前記袋体開口保持部で保持する前記袋体の内部に前記詰入材を詰入した後、前記袋体開口保持部を側方へ移動せしめた際、この側方への移動に伴い前記立設支承体が内部に前記詰入材を詰入した前記袋体を乗り越えて上方へ回動若しくは上方へ屈曲することで、内部に前記詰入材を詰入した前記袋体の通過を許容する袋体通過許容部を形成するように前記支承部を構成したことを特徴とする請求項1記載の袋体支持装置。
【請求項3】
前記袋体の開口周縁部を添設せしめて開口部を開口状態に保持する環状の前記袋体開口保持部に、複数の前記立設支承体を前記袋体開口保持部の周方向に並列状態で設けて前記支承部を構成したことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の袋体支持装置。
【請求項4】
前記袋体開口保持部に複数の前記立設支承体を等間隔に間隙を介して並列状態で設けて前記支承部を構成し、前記立設支承体同士の間隙は前記袋体開口保持部で保持され内部に詰入材を詰入した前記袋体の通過を許容しない間隙であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の袋体支持装置。
【請求項5】
全ての前記立設支承体を前記袋体開口保持部に上方へ回動自在に設けるか若しくは全ての前記立設支承体の一部分を上方へ屈曲自在に設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の袋体支持装置。
【請求項6】
全ての前記立設支承体を内方へ折り畳み自在に設け、各立設支承体を内方へ折り畳んだ際、少なくとも対向する立設支承体同士が干渉し合わない位置関係となるように各立設支承体を前記袋体開口保持部に設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の袋体支持装置。
【請求項7】
前記立設支承体の上方への回動を阻止する回動阻止機構若しくは前記立設支承体の上方への屈曲を阻止する屈曲阻止機構を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の袋体支持装置。
【請求項8】
一の前記立設支承体を上方へ回動若しくは上方へ屈曲せしめて前記支承部に前記袋体通過許容部を形成した際、他の前記立設支承体により前記袋体開口保持部の支承状態を維持し得るように設けて前記支承部を構成したことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の袋体支持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−31514(P2010−31514A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−193707(P2008−193707)
【出願日】平成20年7月28日(2008.7.28)
【出願人】(508227950)
【Fターム(参考)】