説明

袋包装に保存中の向上した保存安定性を有する基材部分およびその製造方法

【課題】袋包装で保存中に活性成分の分解から保護するために袋に密封した感圧接着剤表面を有する基材部分およびその基材の製造方法を提供する。
【解決手段】感圧接着剤表面は、その接着剤表面よりも少なくとも部分的に突出したキャリア層でカバーされている。そのキャリア層は剥離補助部分を形成する切れ目で分割される。保存中には接着剤はコールドフローとなってこの切れ目を通じて漏洩し、袋と接着する原因をなしている。その基材部分は、接着剤が漏洩することを防ぐことで保存安定性を向上するために、そのキャリア層が隣接する領域で重なる二つのキャリア層部分として構成されていることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感圧接着剤を施し、しかも活性物質の損失保護のため袋内に密封した基材部分であって、その活性物質の感圧接着剤表面はその基材部分を超えて少なくとも部分的に突出したキャリア層でカバーされており、該キャリア層は切れ目で分割されており、従って剥離補助部分を形成し、その切れ目を通じて感圧接着剤は保存中にコールドフローとなって漏洩して袋と結合する、前記基材部分に関する。
【0002】
平面型感圧接着剤基材部分の製造法と使用法は公知である。例えば、これらは活性成分含有経皮治療システムである。そのようなシステムが、例えば活性物質として、揮発性成分を含む場合、製造から使用までの時間経過の間に、即ち使用までの貯蔵期間の間に、揮発性成分の蒸発に対してこれらの成分を備えた基材部分を保護する必要がある。
【0003】
例えば、その感圧接着剤表面を守るように剥離可能なキャリア層とともに感圧接着剤基材部分を提供し、その後に全面をそれを囲む袋中にその部分を密封することによって達成された。ここで、キャリア層が基材部分の感圧接着剤表面を越えて突出していることは、一方では、使用前に基材層からキャリア層を剥がすことを容易にするため、他方では、感圧接着剤材料がコールドフローとなって漏洩した結果、基材部分が包装表面に粘着することを防ぐためには、便利なことである。包装を一面でのみ解放する場合、そのような接着は積層材料を除去することをますます困難にし、またはそれを不可能にするだろう。
【0004】
この問題を解消するためには、分離可能なキャリア層中に切れ目を提供することが既に提案されているが、キャリア層の容易な分離をもたらし、しかも患者の適用部位に感圧接着剤基材部分の適用を可能にしている。この手段の欠点は、感圧接着剤が、包装した基材部分の保管中に剥離可能なキャリア層のカッティングエッジでコールドフローによって漏洩することがなお可能であり、従ってその部分の極端に不利な包装の表面への接着を引き起こすかもしれなく、その結果、一面が解放された包装から積層材料を引き取ることがより困難または不可能にしている。
【0005】
請求項1の導入部分に記載した種類の基材部分に剥離補助部分付きのキャリア層の実施を提供することが本発明の目的であり、その実施の手段によってコールドフローでの感圧接着剤の漏洩を容易に、しかも単純な方法で防止でき、従って一面が解放された包装から基材部分の取り出しを容易にしている。
保存安定性を増加するために、キャリア層は接着剤の漏洩を防ぎながら、互いに接した領域で相互に重なる二つのキャリア層部分で構成されていることで、発明のはじめに記載した種類の基材部分の発明によってこの目的を達成した。
【0006】
大きく有利になったことは、キャリア層のこの驚くべき単純な実施の手段で接着剤の漏洩とそれによる包装材料へのいかなる粘着も避けられ、包装材が一面解放されている場合の、積層材料の剥離が難なく容易となり、一方では基材部分からのキャリア層の剥離は減少することなくそのままである。
キャリア層部分を含む基材部分を形成する方法は、そのキャリア層部分がその基材部分を超えて突出し、しかも重なり領域をなしており、そのキャリア層部分を重ねた後に、例えば、WO92/17237による実施方法を通じてそのキャリア層部分に感圧接着剤基材部分を供給することに特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、本発明の基材層の断面図である。
【0008】
本発明のこれ以上の詳細、特徴、長所は図面の中に概念的に示した実施例の説明から明瞭になるだろう。
図面1は基材層1の断面を示しており、これに接している背後の層5とマトリックス6を含んでいる。そのマトリックスは完全に感圧接着剤材料から出来ていてもよく、または感圧接着剤層(図示せず)を備えることにより適用表面上に感圧接着剤が施されたものでもよい。感圧接着剤表面または感圧接着剤が施されたマトリックス6は、それぞれがそのマトリックス6を越えて少なくとも部分的に突出し、しかも本発明によって接触している領域内で互いに重なる二つのキャリア層部分2、3で構成されるキャリア層で覆われている。
キャリア層部分2、3 がマトリックス6を越えて横端7、8で公知の方法で突出しているため、接着剤の漏洩の可能な場合には、包装袋への粘着を信頼できるほどに回避できる。
【0009】
良好な剥離し易さのために二つの部分で構成されているキャリア層2、3が重なり4の領域で構成されているため、そのキャリア層はこの領域でも長い保存の間中コールドフローでの感圧接着剤の漏洩を防いでいる。
一つの実施態様はキャリア層部分の一方2は重なり4の量だけ他の部分3よりも広くしている。
しかしながら、両方のキャリア層部分2、3を構成する大きさを未分割のキャリア層1の幅の半分より、重なりの半分の量だけ広くすることがあってもよい。
【0010】
更に、重なり4の領域が基材部分1上で中心に、または偏心して、剥離補助部分としての機能を失うことなく置いてもよい。この措置が製造およびその制御を容易にする。
その基材部分を超えて突出し、重なり4の領域を形成しているキャリア層部分2、3を含む基材部分1を形成する方法は、そのキャリア層部分2、3を重ねた後に、そのキャリア層部分2,3に感圧接着剤基材部分1を供給することを特徴としている。
本発明による解決方法は驚くほど単純であり、しかも本発明の当初に指摘した課題を最適な方法で解決する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感圧接着剤が施され、しかも活性物質の損失から保護するため袋中に密封された基材部分であって、該基材部分の感圧接着剤表面が該基材部分を超えて少なくとも部分的に突出し、切れ目によって分割されたキャリア層で覆われ、そのことにより剥離補助部分を形成し、その切れ目を通じて接着剤がコールドフローとなって保存中に漏洩し、袋への粘着を起こす基材部分において、感圧接着剤の漏洩を回避することによって保存安定性を増大させるために、キャリア層が、接触した領域(4)で互いに重なる2枚のキャリア層部分(2,3)で構成されたものであることを特徴とする、前記基材部分。
【請求項2】
キャリア層部分の一方(2)が、重なり(4)の量だけ他の部分(3)より幅広であることを特徴とする、請求項1に記載の基材部分。
【請求項3】
両キャリア層部分(2,3)が重なりの半分の量だけ未分割のキャリア層の幅寸法の半分より幅広いことを特徴とする、請求項1に記載の基材部分。
【請求項4】
重なり(4)領域が基材(1)上で中心にまたは偏心して位置することを特徴とする、請求項1〜3に記載の基材部分。
【請求項5】
基材部分を超えて突出し、重なり(4)領域を形成するキャリア層部分(2,3)を含む基材部分(1)を形成する方法であって、そのキャリア層部分を重ねた後に感圧接着基材部分(2,3)をキャリア層部分(2,3)に施すことにより供給することを特徴とする、前記方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−111949(P2012−111949A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−287161(P2011−287161)
【出願日】平成23年12月28日(2011.12.28)
【分割の表示】特願2001−501197(P2001−501197)の分割
【原出願日】平成12年5月20日(2000.5.20)
【出願人】(300005035)エルテーエス ローマン テラピー−ジステーメ アーゲー (128)
【Fターム(参考)】