説明

袋状液洩れ検知部材

【課題】各発電所設備、核燃料再処理施設、石油精製プラント、一般化学工業プラントなどにおける液体輸送管のバルブや継手部分に取り付け、前記バルブや継手部分からの水、薬品洩れを検知し、かつ洩れ液の飛散を防止し得る部材を提供する。
【解決手段】袋状部材であって、シールされた両側縁部と底部とからなる液溜め部を下部に有し、この液溜め部より上方の両側縁部及び上端部が開口していると共に、該上端部に、当該部材を前記バルブ及び/又は継手部分に脱着自在に保持し得る掛止手段を1つ以上設け、かつ内側に液洩れを検知するためのインジケーター機能を設けてなる袋状液洩れ検知部材である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、袋状液洩れ検知部材に関する。さらに詳しくは、本発明は、各発電所設備、核燃料再処理施設、石油精製プラント、一般化学工業プラント、紙・パルプ工業プラントなどにおける液体輸送管のバルブや、フランジ、配管溶接部などの継手部分に容易に取り付けることができ、前記バルブや継手部分からの水、薬品洩れを検知し、かつ洩れ液の飛散を防止する機能を有する袋状液洩れ検知部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水力発電所、火力発電所、原子力発電所などの発電所設備、核燃料再処理施設、石油精製プラント、一般化学工業プラント、紙・パルプ工業プラントなどにおいては、水を始め、各種液体薬品を移送するための液体輸送管が配設されている。この液体輸送管には、多くのバルブや、フランジ、配管溶接部などの継手部分が設けられており、これらのバルブや継手部分から、液洩れの発生がしばしば生じていた。
移送薬品の中には、濃硝酸、濃硫酸、塩酸、リン酸などの酸類、あるいは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、亜硝酸ナトリウムなどの塩基類、さらには酸化剤や還元剤などがあり、これらの薬品が洩れた場合、例えば床材などと反応してNOxガスやSOxガスなどの有毒ガスが発生する場合がある。
従来、液体輸送管のバルブや継手部分に簡単に取り付けることのできる液洩れ飛散防止部材はなく、したがって、絶えず点検を行い、液洩れが確認できた個所を、事後処理で補修作業を行っているのが実状である。このような補修作業は、有毒ガスの発生や、薬品の飛散などにより、補修作業者にとっては、大変な危険を伴っていた。
また、前記個所より、水や薬品が洩れた場合、変色や光線透過性の変化などにより、液洩れを検知する部材は、これまで見出されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、このような事情のもとで、各発電所設備、核燃料再処理施設、石油精製プラント、一般化学工業プラント、紙・パルプ工業プラントなどにおける液体輸送管のバルブや、フランジ、配管溶接部などの継手部分に容易に取り付けることができ、前記バルブや継手部分からの水、薬品洩れを検知し、かつ洩れ液の飛散を防止する機能を有する部材を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、袋状部材であって、シールされた両側縁部と底部とからなる液溜め部を下部に有し、この液溜め部より上方の両側縁部及び上端部が開口していると共に、該上端部に、当該部材を前記バルブ及び/又は継手部分に脱着自在に保持し得る掛止手段を1つ以上設け、かつ内側に液洩れを検知するためのインジケーター機能を設けた部材により、その目的を達成し得ることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)液体輸送管のバルブ及び/又は継手部分に保持され、前記バルブ及び/又は継手部分からの液洩れを検知し、かつ洩れた液の飛散を防止する機能をもつ部材であって、シールされた両側縁部と底部とからなる液溜め部を下部に有し、この液溜め部より上方の両側縁部及び上端部が開口していると共に、該上端部に、当該部材を前記バルブ及び/又は継手部分に脱着自在に保持し得る掛止手段を1つ以上設け、かつ内側に液洩れを検知するためのインジケーター機能を設けたことを特徴とする袋状液洩れ検知部材、
(2)透明又は半透明のオレフィン系重合体シートから作製されてなる上記(1)項に記載の袋状液洩れ検知部材、
(3)インジケーター機能が、内側表面の粗面化処理によるものである上記(1)又は(2)項に記載の袋状液洩れ検知部材、
(4)インジケーター機能が、洩れ液により変化する層を設けたことによるものである上記(1)又は(2)項に記載の袋状液洩れ検知部材、
(5)液溜め部より上方の開口している両側縁部において、対面しているシートの一方の側の内表面又は外表面に、側縁に沿って剥離シート付粘着剤層を設けてなる上記(1)ないし(4)項のいずれかに記載の袋状液洩れ検知部材、
(6)上端部に設けられた掛止手段が、スナップボタン方式である上記(1)なしい(5)項のいずれかに記載の袋状液洩れ検知部材、及び
(7)上端部のほぼ中央に、取手機構を設けてなる上記(1)ないし(6)項のいずれかに記載の袋状液洩れ検知部材、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、各発電所設備、核燃料再処理施設、石油精製プラント、一般化学工業プラント、紙・パルプ工業プラントなどにおける液体輸送管のバルブや、フランジ、配管溶接部などの継手部分に容易に取り付けることができ、前記バルブや継手部分からの水、薬品洩れを検知し、かつ洩れ液の飛散を防止する機能を有する袋状液洩れ検知部材を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の袋状液洩れ検知部材は、シールされた両側縁部と底部とからなる液溜め部を下部に有し、この液溜め部より上方の両側縁部及び上端部が開口していると共に、該上端部に、当該部材を前記バルブ及び/又は継手部分に脱着自在に保持し得る掛止手段を1つ以上設け、かつ内側に液洩れを検知するためのインジケーター機能を有する部材である。
この袋状液洩れ検知部材を構成する基材シートとしては、洩れ液によって溶解、分解、腐食などなされないものであれば特に制限なく使用できるが、耐薬品性及び外部から液洩れを確認し得る点から、透明又は半透明のオレフィン系重合体及びフッ素樹脂のシートが好ましく、経済性の面からオレフィン系樹脂のシートがより好ましく、特にエチレン系重合体及びプロピレン系重合体のシートが好適である。
前記エチレン系重合体としては、高密度、中密度、低密度ポリエチレンや直鎖状低密度ポリエチレンなどを例示することができる。一方、プロピレン系重合体としては、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体やランダム共重合体、プロピレン−エチレン−ジエン化合物共重合体などを例示することができる。
【0007】
本発明の袋状液洩れ検知部材を構成するシートの厚さについては特に制限はないが、通常30〜300μm程度、好ましくは50〜200μmである。
この袋状液洩れ検知部材には、内側に液洩れを検知するためのインジケーター機能を有している。該インジケーター機能としては、水や薬品洩れを検知し得るものであればよく、特に制限されず、例えば(1)内側表面の粗面化処理によるもの、及び(2)洩れ液により変化する層を設けることによるものなどを挙げることができる。
前記(1)の粗面化処理法としては、算術平均粗さRaが0.5〜50μm程度になるように粗面化される方法であればよく、特に制限されず、サンドブラスト処理、エンボスロール処理など、いかなる方法を用いてもよい。
このようにして粗面化された面を内側にして作製された本発明の部材は、外部から見た場合半透明もしくは不透明であるが、水や薬品が洩れて粗面化された個所に付着すると、その個所が透明になるため、液洩れを検知することができる。特に水洩れに対しては、他に有効な検知手段がないので効果的である。
また、前記(2)の洩れ液により変化する層としては、洩れ液により、変色したり、層が脱落するものをいう。変色するものとしては、例えば酸塩基指示薬や酸化還元指示薬などがある。酸塩基指示薬は、pHにより変色する薬剤で、構造的にはフタレイン系、スルホンフタレイン系、ベンゼイン系、アゾ系、トリフェニルメタン系、ニトロ系などがある。また、酸化還元指示薬は、一定の酸化還元電位によって速やかに酸化又は還元された変色する薬剤であり、例えばジフェニルアミン、フェロイン、メチレンブルーなどがある。これらは、本発明の部材内側にそのまま、または高分子化合物などのバインダーに分散させたものを塗布して層を形成する。
脱落するものとしては、顔料、染料などの着色剤をデンプン類、ヒドロキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、アクリルアミド/アクリル酸エステル共重合体などの水溶性高分子化合物に分散させた組成物、水溶性インキなどを、本発明の部材内側に塗布乾燥させて層を形成することができる。水溶性の層なので、水などの洩れ液により、その部分がシートから脱落する。
本発明において、変化する層を設ける場合、インジケーター機能としての万能化を図るために、例えばpHにより変色域が異なる複数種の帯状層を設けたり、変色したり、層が脱落するものを組み合わせて設けることができる。
図4(a)及び(b)は、それぞれ本発明の袋状液洩れ検知部材において、洩れ液により変色する層を内側に設けた場合の変色前(液洩れ発生前)及び変色後(液洩れ発生後)の状態を外部から見た場合の1例の模式図である。図において、斜線部は未変色部、符号30は変色域を示す。
【0008】
本発明においては、インジケーター機能として、前記(1)及び(2)を組み合わせてもよい。例えばまず、シートの一方の面を粗面化したのち、その上に、部分的に、前記(2)で説明した層を設けることができる。この場合、粗面化した上に層を設けるので、基材シートと該層との密着性は良好であるが、前述の粗面化を行わずに直接基材シートに層を設ける場合、基材シートとの密着性を向上させるために、該基材シートの表面に、所望により、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン・紫外線照射処理、火炎処理、クロム酸処理、熱風処理などの処理などを施すことができる。
本発明のインジケーター機能としては、以上の外に、数ヶ月間経過しないと液洩れが生じたのか否か分からないような液洩れの量が極めて少量の箇所には、例えばカプセル内に臭いを発生する物質を収納しておき、洩れ液に接するとカプセルが溶解して臭いを放出する構成のものを適用することができる。具体的には、にんにくエキスのような刺激臭の強いものを、ゼラチン類からなるソフトカプセルに収納させ、このカプセルを、前記(2)の場合のように、単独で高分子化合物などのバインダーに分散させたものを塗布して臭い発生層を形成させた袋状液洩れ検知部材、又は該カプセルを前記(2)の層に分散させてなる袋状液洩れ検知部材、あるいは単独の臭い発生層と単独の前記(2)の層を組み合わせた袋状液洩れ検知部材を適用することができる。
このような臭い発生層を、前記(2)におけるようにシート内側面に設けておくことにより、臭いのみを検出することができるし、(2)の場合において、変色の程度が微量で識別困難な場合では、臭いセンサを使用することにより、わずかな液洩れでも変色と臭いの二重検知により、確実に検出することができる。
【0009】
本発明の袋状液洩れ検知部材においては、シールされた両側縁部と底部とからなる液溜め部を下部に有し、かつ内側に、前述のようにして液洩れを検知するためのインジケーター機能が設けられていると共に、前記液溜め部より上方の両側縁部及び上端部が開口している。そして、前記液溜め部より上方の開口している両側縁部において、対面しているシートの一方の側の内表面又は外表面に、側縁に沿って帯状の剥離シート付粘着剤層を設けることが好ましい。このように、剥離シート付粘着剤層を設けることにより、洩れた液を処分するために運搬する際、該剥離シートを剥がし、対面している側のシートの端部を接着して、両側縁部を密封することができるので、液が洩れるのを防止することができる。この剥離シート付粘着剤層は、テープ基材の両面に粘着剤層が設けられた両面粘着テープを用いて形成することができる。
テープ基材としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィンフィルム等の合成樹脂フィルム、グラシン紙、コート紙などの紙、織布、不織布などが用いられる。テープ基材の厚さは通常5〜70μm程度である。
帯状の粘着剤層の幅に特に制限はないが、通常5〜20mm程度である。粘着剤層を構成する粘着剤の種類に特に制限はなく、従来公知の粘着剤、例えばゴム系、アクリル系、シリコーン系、ポリウレタン系及びポリエステル系粘着剤などの中から、適宜選択することができる。この粘着剤層の厚みは、通常5〜100μm、好ましくは10〜60μm程度である。
また、剥離シートとしては、例えばグラシン紙、コート紙などの紙基材、これらの紙基材にポリエチレンなどの熱可塑性樹脂をラミネートしたラミネート紙、あるいはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィンフィルムなどのプラスチックフィルムに、シリコーン樹脂などの剥離剤を塗布したものなどが挙げられる。この剥離シートの厚さについては特に制限はないが、通常20〜150μm程度である。
【0010】
一方、開口している上端部に設けられた1つ以上の掛止手段は、本発明の部材を、バルブ及び/又は継手部分に脱着自在に保持するためのものであり、その手段については特に制限はなく、例えばスナップボタン方式、面ファスナー方式、マジックテープ方式などを用いることができるが、掛止強度の点などから、スナップボタン方式が好適である。
この掛止手段は、本発明の部材の大きさにもよるが、通常1〜6個、好ましくは2〜4個設けられる。
本発明において、掛止手段として、スナップボタン方式を採用する場合、ボタン取り付け部分は、掛止強度をさらに向上させるために、対面するシートそれぞれを折り返して、その間にポリエチレンテレフタレートシートなどの補強材を入れることが好ましい。
さらに、本発明の袋状液洩れ検知部材においては、洩れ液を処分する際の運搬を容易にするために、上端部のほぼ中央に取手機構を設けることが好ましい。この取手機構は、例えば対面する両シートを所定の大きさに打ち抜き、プラスチックシートの枠体を取付けることにより、設けることができる。
次に本発明の袋状液洩れ検知部材は以下のようにして作製することができる。
【0011】
図1は、本発明の袋状液洩れ検知部材の1例の展開図であり、まず、基材シート原反を、全体形状が図1のシート1で示される如く、破線Xを中心軸として対称の形状になるように裁断する。なお、この裁断されたシートには、図1で示す斜線部領域内にインジケーター機構が設けられている。
次いで、切り込み線Zを有するスナップボタン取り付け部2a及び4aに、それぞれスナップボタン取り付け穴3a、3a'及び5a、5a'を打ち抜き、点線部Yを中心軸としてシートの一部を折り返し、略同形状の補強材を介入させ、それぞれの穴3a(3a')及び5a(5a')に雄型ボタンを取り付ける。一方、切り込み線Zを有するスナップボタン取り付け部2b及び4bに、上記と同様にして、それぞれ雌型ボタンを取り付け、スナップボタン方式による掛止手段を設ける。
図2は、スナップボタン取り付け部2aに、雄型スナップボタンを取り付けた状態を示す説明図であって、スナップボタン取り付け部2aのシート1を折り返し、折り返し部に、スナップボタン取り付け穴(図示せず)が設けられた補強材20を介入し、各スナップボタン取り付け穴の位置合わせを行った後、該穴に雄型スナップボタン3Aを取り付けた状態が示されている。
次に、取手部6a及び6bを打ち抜き、そこにプラスチック製の枠体を装着して、取手機構を設け、一点鎖線Xを軸にして前記シートを二つ折りにし、ヒートシール部9aとヒートシール部9b及びヒートシール部10aとヒートシール部10bをヒートシールして袋体を作製する。最後に、該袋体の外表面又は内表面の両側端部に、両面粘着テープを用いて、側縁に沿って帯状の剥離シート付粘着剤層7及び8を設けることにより、図3に示す本発明の袋状液洩れ検知部材Aが得られる。
【0012】
図3は、本発明の袋状液洩れ検知部材Aの1例の平面図であり、符号2、4はスナップボタン取り付け部、3、5はスナップボタン、6は取手機構である取手部、7、8は剥離シート付粘着剤層、9、10はヒートシール部である。
このようにして得られた本発明の袋状液洩れ検知部材Aは、輸送管における所定のバルブや継手部を包むようにして掛止手段(図3におけるスナップボタン3及び5)により保持し、該バルブや継手部から液洩れが生じた場合、洩れた液が、ヒートシールされた両側縁部(図3における9、10)及び底部(図3における11)で構成される液溜め部12に溜まるようにして使用する。液洩れが生じた場合、当該検知部材の内側にインジケーター機能が設けられているので、外部から、液洩れを速やかに確認することができる。前記液溜め部には、所望により、吸水性樹脂を収納させておいてもよい。
洩れ液を処分する場合には、粘着剤層の剥離シートを剥がし、対面するシートの両側端部を接着させて、両側縁部を密封してから、取手部(図3における6)を把持して運搬する。なお、前記液溜め部には、収容された洩れ液を排出するための排出バルブを設けてもよい。
以上、袋状液洩れ検知部材について述べたが、液洩れがほとんど生じる可能性はないが、念のために取り付けておきたい箇所には、テープ状の洩れ検知部材を配置しておくこともできる。このテープ状の洩れ検知部材は、テープ基材として、例えば先に述べた合成樹脂シートを使用し、その上に酸塩基指示薬や酸化還元指示薬を高分子化合物などのバインダーに分散させた組成物、あるいは顔料、染料などの着色剤をデンプン類などの水溶性高分子化合物に分散させた組成物を塗布することにより製造することができる。
【実施例】
【0013】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例1
片面に算術平均粗さRaが10μmの梨地様に粗面化処理された厚さ100μmの低密度ポリエチレンシート[林一二(株)製、商品名「ハイシボフィルム梨地」]を用い、この粗面化処理低密度ポリエチレンシートを粗面化面が袋の内側になるようにして、全体形状が図1に示す形状(L=1220cm、W=700cm)に裁断した。そして取手部6a、6bを設けると共に、スナップボタン取り付け部2a及び4aに、それぞれ雄型ボタン3A及び5Aを取り付け、一方、スナップボタン取り付け部2b及び4b部に、それぞれ雌型ボタン3B及び5Bを取り付けた。なお、スナップボタン取り付け部2a、2b、4a、4bは折り返して補強材(厚さ188μm、縦30mm、横100mmのポリエチレンテレフタレートシート)を入れた。
次に、前記シートを、一点鎖線Xを軸にして、粗面化処理面が内側になるように二つ折りし、ヒートシール部9aとヒートシール部9b及びヒートシール部10aとヒートシール部10bをヒートシールしたのち、厚さ14μmの不織布の両面に60μm厚のアクリル系粘着剤層が設けられ、かつ片面に剥離シートが設けられたロール状両面粘着テープ[リンテック社製、商品名「タックライナーTL−13K」]を用いて、外表面の両側端部に、幅10mmの帯状の剥離シート付き粘着剤層7及び8を設けることにより、図3に示すような袋状液洩れ検知部材を作製した。
この検知部材は半透明であるが、内側の粗面化処理面に、水などの液体が接触すると透明となり、外部から、容易に液洩れを確認することができた。
【0014】
実施例2
片面にコロナ放電処理が施された、厚さ100μmの低密度透明ポリエチレンシート[林一二(株)製、商品名「ハイラックUL」]のコロナ放電処理面に、水溶性インキ[尾地工業(株)製、商品名「SL14クリアー」]を用い、図1の斜線部にグラビア印刷機を使用し、3μm厚のインキ層を設けた以外は、実施例1と同様にして、図3のような袋状液洩れ検知部材を作製した。この検知部材は白色半透明であるが、袋内側のインキ層に水が接触すると、その部分のインキ層がシートから溶けて脱落し、透明となり外部から容易に液洩れを確認することができた。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明の袋状液洩れ検知部材は、水力発電所、火力発電所、原子力発電所などの各発電所設備、核燃料再処理施設、石油精製プラント、一般化学工業プラント、紙、パルプ工業プラントなどにおける液体輸送管のバルブや、フランジ、配管溶接部などの継手部分に取り付けることにより、該バルブや継手部分からの液洩れを容易に検知することができ、かつ洩れ液の飛散を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の袋状液洩れ検知部材の1例の展開図である。
【図2】スナップボタン取り付け部に、雄型スナップボタンを取り付けた状態の1例を示す説明図である。
【図3】本発明の袋状液洩れ検知部材の1例の正面図である。
【図4】本発明の袋状液洩れ検知部材において、洩れ液により変色する層を内側に設けた場合の変色前(液漏れ発生前)[(a)]、及び変色後(液漏れ発生後)[(b)]の状態を外部から見た場合の1例の模式図である。
【符号の説明】
【0017】
1 袋状液洩れ検知部材作製用シート
2、2a、2b、4、4a、4b スナップボタン取り付け部
3、5 スナップボタン
3a、3a'、5a、5a' 雄型スナップボタン取り付け穴
3b、3b'、5b、5b' 雌型スナップボタン取り付け穴
3A 雄型スナップボタン
6、6a、6b 取手部
7、8 剥離シート付粘着剤層
9、9a、9b、10、10a、10b ヒートシール部
11 底部
12 液溜め部
20 補強材
30 変色域
A 袋状液洩れ検知部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体輸送管のバルブ及び/又は継手部分に保持され、前記バルブ及び/又は継手部分からの液洩れを検知し、かつ洩れた液の飛散を防止する機能をもつ部材であって、シールされた両側縁部と底部とからなる液溜め部を下部に有し、この液溜め部より上方の両側縁部及び上端部が開口していると共に、該上端部に、当該部材を前記バルブ及び/又は継手部分に脱着自在に保持し得る掛止手段を1つ以上設け、かつ内側に液洩れを検知するためのインジケーター機能を設けたことを特徴とする袋状液洩れ検知部材。
【請求項2】
透明又は半透明のオレフィン系重合体シートから作製されてなる請求項1に記載の袋状液洩れ検知部材。
【請求項3】
インジケーター機能が、内側表面の粗面化処理によるものである請求項1又は2に記載の袋状液洩れ検知部材。
【請求項4】
インジケーター機能が、洩れ液により変化する層を設けたことによるものである請求項1又は2に記載の袋状液洩れ検知部材。
【請求項5】
液溜め部より上方の開口している両側縁部において、対面しているシートの一方の側の内表面又は外表面に、側縁に沿って剥離シート付粘着剤層を設けてなる請求項1ないし4のいずれかに記載の袋状液洩れ検知部材。
【請求項6】
上端部に設けられた掛止手段が、スナップボタン方式である請求項1なしい5のいずれかに記載の袋状液洩れ検知部材。
【請求項7】
上端部のほぼ中央に、取手機構を設けてなる請求項1ないし6のいずれかに記載の袋状液洩れ検知部材。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−56539(P2006−56539A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−238197(P2004−238197)
【出願日】平成16年8月18日(2004.8.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.マジックテープ
【出願人】(000141060)株式会社関電工 (115)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】