説明

袖付き羽子板

【目的】 立体感があり、位置の調節を可能とする袖付き羽子板の提供を目的とする。
【構成】 基板と押絵から構成される本体を有する羽子板において、基端を本体に固定された湾曲自在の芯材を袖部に挿通し、前記袖部を前記本体に揺動自在に取り付けてある。また基板と押絵から構成される本体を有する羽子板において、基端を本体に固定された、針金と紙、布片などによる被覆部とからなる湾曲自在の芯材を袖部に挿通し、前記袖部を前記本体に揺動自在に取り付けてある。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、羽子板など、押絵からなる本体をもつ袖付き羽子板にかんする。
【0002】
【従来の技術】
従来の羽子板は、人物、花鳥などを表わす本体が押絵から構成されているため、押絵の幅(高さ)による立体感は得られるが、えられる立体感には押絵構造からする制約があり、全体的に平板的な感じをあたえ、また押絵は固定されているから変化に乏しい。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
本考案は、このような欠点を克服し、顕著な立体感をもち、さらに方向、位置の調節を可能とする袖付き羽子板の提供を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本考案にかかる袖付き羽子板は、基板と押絵から構成される本体を有する羽子板において、基端を本体に固定された湾曲自在の芯材を袖部に挿通し、前記袖部を前記本体に揺動自在に取り付けてなる。
【0005】
また、基板と押絵から構成される本体を有する羽子板において、基端を本体に固定された、針金と紙、布片などによる被覆部とからなる湾曲自在の芯材を袖部に挿通し、前記袖部を前記本体に揺動自在に取り付けてなる。
【0006】
【作用】
袖部5に挿通された芯材9は湾曲自在であるから、芯材9を湾曲させて袖部5の位置、向きなどを調整でき、変化のある袖部5を構成する。
【0007】
また針金に紙、布片などによる被覆部18を形成した湾曲自在の芯材9を袖部5に挿通したから、芯材9に適宜の太さと剛性を付与できる。また袖部5に自然な感じがでるとともに、強度がでる。
【0008】
【実施例】
本考案にかかる羽子板の実施例を図面にもとずいて説明する。
羽子板1は基板2と本体4を有し、本体4は人物、花鳥などを表わした押絵3から構成されている。押絵3は、厚紙で所定の形をつくり、中に綿を入れて高低をつけて布で包んで基板に張り付ける伝統的な構造のものから、一体成形により高低を設けた発泡ウレタンの芯型表面に布を被着して本体を形成したもの(図示せず)、プレスにより高低を設けた厚紙の芯型表面に布を被着して本体を形成したもの(図示せず)など、公知の構造のものを採用する。このような従来の押絵は押絵の厚み(高さ)による立体感は得られるが、全体的には平板な感じを与えるとともに、動きによる変化がない。
【0009】
袖部5は布を重ねあわせて作られており、1側に開口部6と他側に袖口7を有する。袖部5に芯材9が挿通してあり、芯材9は針金8とこれに紙、布などを巻き付けてなる被覆部18からなり、湾曲自在であり、所定の太さと適宜な剛性をもつ。ここで芯材9に湾曲性があるとは、折曲を含む、任意の曲げ可能な性質をいう。すなわち湾曲自在の芯材9を適宜に湾曲(すなわち折曲を含む任意の曲げ)
を行ない袖部5の方向、位置を任意に調整できる。
【0010】
芯材9の基端16を本体4に固定する構成に制限はないが、その具体例をあげれば、図2に示すものは、挿入部15を有する筒状の取付部10を介して本体4に固定したものであり、一方の開口より押絵3を挿入部15に押し込むように挿入し、その挿入部分を必要に応じ接着剤で強固に固定する。
また取付部10の他方の開口からは挿入部15に芯材の基端16が挿入されており、必要に応じその挿入部分を接着剤などで強固に固定してある。
【0011】
あるいはまた図3、図4に示されるように、取付部10を介することなく、芯材の基端16を押絵3に差し込んで固定し、あるいは押絵3と押絵3の間に押込し込んで固定し、必要に応じ接着剤などで本体4(基板2を含むことがある)にさらに強固に固定してある。
【0012】
芯材の他端14に手首部の装着部12が設けてあり、挿入部13を有する筒状の装着部12に芯材の他端14を挿入し、必要に応じその挿入部分を接着剤などで強固に固定する。そして手首部の下部17を挿入部13に挿入し、必要に応じその挿入部分を接着剤などで強固に固定し、手首部11が装着部12に装着してある。
なお本考案は、前記構成の袖付き羽子板1を額などに収納した飾り物なども対象とする。
【0013】
【効果】
以上のように、本考案によれば、袖部5の立体感と揺動による変化に富む袖付き羽子板1が形成される。また袖部5の方向、位置の調節が可能であり、変化のある袖付き羽子板1となる。
従って、従来の押絵構造のみからなる羽子板にはない顕著な立体感と豪華さがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案にかかる袖付き羽子板の袖部の取り付け状態を示す説明図である。
【図2】本考案にかかる袖付き羽子板の芯材と本体との固定を示す説明図である。
【図3】本考案にかかる袖付き羽子板の芯材と本体との他の固定を示す説明図である。
【図4】本考案にかかる袖付き羽子板の芯材と本体とのさらに他の固定を示す説明図である。
【図5】本考案にかかる袖付き羽子板の装着部の縦断面図である。
【図6】本考案にかかる袖付き羽子板の斜視図である。
【符合の説明】
1 羽子板
2 基板
3 押絵
4 本体
5 袖口
6 開口部
7 袖口
8 針金
9 芯材
10 取付部
11 手首部
12 装着部
13 挿入部
14 芯材他端
15 挿入部
16 芯材基端
17 手首部の下部
18 被覆部

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】基板と押絵から構成される本体を有する羽子板において、基端を本体に固定された湾曲自在の芯材を袖部に挿通し、前記袖部を前記本体に揺動自在に取り付けてなる袖付き羽子板。
【請求項2】基板と押絵から構成される本体を有する羽子板において、基端を本体に固定された、針金と紙、布片などによる被覆部とからなる湾曲自在の芯材を袖部に挿通し、前記袖部を前記本体に揺動自在に取り付けてなる袖付き羽子板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【登録番号】第3006300号
【登録日】平成6年(1994)11月2日
【発行日】平成7年(1995)1月24日
【考案の名称】袖付き羽子板
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平6−4409
【出願日】平成6年(1994)3月18日
【出願人】(594071022)株式会社シブカワ (2)