説明

被処理体のセルフバイアス測定方法、及びこの測定方法を用いた被処理体の離脱方法とその装置

【課題】被処理体のセルフバイアス測定方法、この測定方法を離脱条件に反映させて、被処理体を安定した状態で安全確実に離脱できる方法及びその装置を提供する。
【解決手段】プラズマ処理室内の静電チャック2上に固定される被処理体10の外周縁近くに、導電体のセルフバイアス測定用部品7を設置し、被処理体10へのプラズマ処理中にセルフバイアス測定用部品7の電圧を測定する工程と、この測定電圧が被処理体10のセルフバイアスに等しい値であると仮定して、間接的に得られた被処理体10のセルフバイアス値が0Vになるように、静電チャック2に印加された電圧の逆電圧と、測定されたセルフバイアス値の分だけオフセットした電圧とを印加するフィードバック制御を行う。電圧の測定は、冷却ステージ6とアースとの間に接続された電圧計9を用い、被処理体10の離脱条件に、プラズマ処理の状態変化に応じた被処理体10のセルフバイアスをフィードバックさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電吸着力で保持された被処理体の離脱方法に関し、特に、セルフバイアス測定方法、及びこの測定方法を用いて静電チャック上の被処理体を離脱させる方法及びそのための離脱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
静電チャック(ESC)は、例えば、半導体ウエハをドライエッチングやスパッタリング、CVDなどの手法で処理する半導体製造装置に、半導体ウエハの平坦度を維持しつつ強力に固定する部材として広く用いられており、ウエハと接触して保持する誘電体層と、固定保持するための静電力を発生させる電極からなり、冷却機能を持つジャケットと呼ばれる冷却ステージ上に接着固定されて使用される。誘電体層はセラミックスや高分子材料が用いられている。
【0003】
従来の静電チャックは、酸化アルミニウムなどのセラミックスを誘電体層として使用する場合は、使用温度環境で最適な吸着力を発揮するように、酸化チタンなどを添加した二元系以上の組成のものが使用されており、純粋な静電力であるクーロン力のほか極微小な電流が流れる状態で発生するジョンセン・ラーベック力を利用して強力な吸着力を得ている。あるいは高分子材料の誘電体層としてポリイミドなどが使用された静電チャックも使用されている。
【0004】
このような静電チャックでのウエハ(被処理体)離脱方法としては、従来、吸着時と逆極性の一定電圧をESC電極に印加してウエハ内の電荷を逃がす方法(逆電圧)や一定パワーでのプラズマを介してウエハ内の電荷を逃がす(除電プラズマ)という方法が開発されている。
しかし、スパッタプロセスでは、ターゲット使用量などでプラズマ状態が経時的に変化するなどの要因により、常に安定した離脱を行うことが困難な場合が多い。
【0005】
また、図10に示すように、スパッタ装置に静電チャック50を用いたときのウエハ52内の電荷の状態を見ると、
(a) プロセス前のウエハ52には、+の電荷と−の電荷が同数混在し、
(b) ESC電極54に電圧を印加すると、ウエハ52中の+と−の電荷が偏在し、クーロン力によってウエハは静電チャック50に吸着する。
(c) そして、プラズマが発生すると、プラズマとウエハ52とで、イオンと電子のやり取りを行い(ウエハへの照射やウエハから逃げる電荷があり)、実効的な電流が0になるような電圧(セルフバイアス)がウエハに発生したところで安定する。この電荷量は、ターゲット使用量などの条件によって変化する。
(d) プラズマと静電チャック50をオフにしても、ウエハ52中に照射された電荷の一部が残る。この残留電荷による吸着力によって、ウエハ52の離脱不良が発生する。ESC電極54に逆電圧を印加しても、残留電荷が抜け切らない場合が多い。
【0006】
このため、静電チャック(ESC)50では、ウエハ52を安全に離脱させることが困難な場合が多く、図11に示すように、離脱条件が悪いと、突き上げピン56によってウエハ52を離脱させるとき、ウエハ52の位置ずれや割れが発生する。したがって、安定してウエハ52を離脱させることが重要になってくる。
従来のウエハ離脱方法としては、特許文献1に開示するように、静電チャックプレート内の正負の電極に静電吸着時とは逆極性の電圧を印加した後、リフトアップ時に各電極に流れる電流から、各電極に残留する電荷量を個別に測定し、残留電荷量が等しくなる逆電圧の印加量を求め、この印加量をウエハに印加することにより、静電吸着力の片寄りをなくした方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−330217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、静電チャックでのウエハ離脱方法としては、吸着時と逆極性の一定電圧をESC電極に印加してウエハ内の電荷を逃がす方法(逆電圧)や一定パワーでのプラズマを介してウエハ内の電荷を逃がす(除電プラズマ)という方法が開発されているが、ターゲット使用量などで、プラズマ状態が経時的に変化するなどの要因により、常に安定した離脱を行うことが困難である。
【0009】
また、セルフバイアスの測定は、従来、ウエハ裏面に直接コンデンサをつないで、その電圧を測定するという方法もあるが、スパッタプロセス中は、ウエハの表と裏で導通がないために、発生するセルフバイアスが表裏で異なり、測定したい電圧を測定することができなかった。本来ならば、表面を測定するのが正しいが、それは、成膜プロセスなので不可能である。
【0010】
また、上記特許文献1の発明では、静電吸着時とは逆極性の電圧を印加した後、各電極に流れる電流から残留電荷量を個別に測定し、被処理体の種類や処理内容に応じて、予め、逆電圧の印加量と印加後の残留電荷量の関係から、各電極の残留電荷量の絶対値が略等しくなる印加量を求めて、被処理体にその印加量の逆電圧を印加しているが、時々刻々変化するプラズマ状態で、常に安定した離脱を行うことは困難であった。
【0011】
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたもので、被処理体のセルフバイアスを間接的に測定する方法、さらに、その結果を離脱条件に反映させて、被処理体を安定した状態で安全確実に離脱できる方法及びその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の被処理体のセルフバイアス測定方法は、プラズマ処理室内の静電チャック上に固定される被処理体の外周縁近くに、導電体のセルフバイアス測定用部品を設置し、
前記被処理体へのプラズマ処理中に、前記プラズマから照射される電荷によって前記被処理体に発生するセルフバイアス値に等しいとみなされる前記セルフバイアス測定用部品の電圧を測定することを特徴としている。
【0013】
また、好ましい実施形態では、前記セルフバイアス測定用部品は、プラズマからの電荷を受け入れる露出表面が、プラズマ発生領域から前記被処理体の表面までの距離と同等の位置に配置されている。
【0014】
さらに、請求項3に記載の被処理体の離脱方法は、プラズマ処理室内の静電チャック上に固定される被処理体の外周縁近くに、導電体のセルフバイアス測定用部品を設置し、前記被処理体へのプラズマ処理中に前記セルフバイアス測定用部品の電圧を測定する工程と、この測定電圧が前記被処理体のセルフバイアスに等しい値であると仮定して、間接的に得られた前記被処理体のセルフバイアス値が0Vになるように、前記静電チャックに印加された電圧の逆電圧と、前記測定されたセルフバイアス値の分だけオフセットした電圧とを印加するフィードバック制御を行う工程とを有し、
前記静電チャックからの被処理体の離脱条件に、前記プラズマ処理の状態変化に応じた被処理体のセルフバイアスをフィードバックしたことを特徴としている。
【0015】
この離脱方法において、前記フィードバック制御の工程は、さらに、除電用のプラズマを発生させて、再度セルフバイアスを測定し、この測定したセルフバイアスを一定にするため、前記プラズマ処理室内の圧力(チャンバ圧力)を変化させ、セルフバイアス値が0Vとなった状態で、前記被処理体を前記静電チャックから離脱するように構成されている。
【0016】
また、請求項5に記載の被処理体の離脱装置は、プラズマ処理室内に配置され、プラズマから照射される電荷を受ける被処理体を上面に載置して固定するための静電チャックプレートと、該静電チャックプレート上に固定される被処理体の外周縁近くに設置される、導電体のセルフバイアス測定用部品と、前記静電チャックプレートを支持し、冷却源に連通する冷却流路を有する冷却ステージと、前記冷却ステージまたは前記セルフバイアス測定用部品とアースとの間に接続され、前記被処理体へのプラズマ処理中に前記セルフバイアス測定用部品の電圧を測定する測定回路と、この測定された電圧を、前記プラズマから照射される電荷により前記被処理体に発生するセルフバイアス値と仮定して、間接的に得られた前記被処理体のセルフバイアス値が0Vになるように、前記静電チャックに印加された電圧の逆電圧と、前記測定されたセルフバイアス値の分だけオフセットした電圧とを印加するフィードバック制御装置とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明によれば、導電体のセルフバイアス測定用部品を被処理体の外周縁近くに設置したので、プラズマ処理中に測定されるセルフバイアス測定用部品の電圧測定により、被処理体のセルフバイアスを間接的に得ることができる。
【0018】
請求項2の発明によれば、プラズマからセルフバイアス測定用部品までの距離が、プラズマから被処理体までの距離と同等となるので、それぞれの表面に照射されるプラズマからの電荷量が等しくなり、より正確なセルフバイアス値を測定することができる。
【0019】
請求項3の発明によれば、セルフバイアス測定用部品の電圧測定により、間接的に被処理体のセルフバイアス値を得ることができ、このセルフバイアス値が0Vになるように、静電チャックに印加された電圧の逆電圧と、上記セルフバイアス値の分だけオフセットした電圧とを印加するフィードバック制御によって、静電チャックから被処理体を安全確実に離脱させることができる。
【0020】
請求項4の発明によれば、除電用のプラズマを発生させて、再度セルフバイアスを測定し、さらに、この測定値を一定にするために、プラズマ処理室内の圧力を変化させることにより、セルフバイアス値を確実に0Vとした状態で、被処理体を静電チャックから離脱することができる。
【0021】
請求項5の発明によれば、セルフバイアス測定用部品により間接的に被処理体のセルフバイアス値を測定でき、静電チャックに印加された電圧の逆電圧と測定されたセルフバイアス値の分だけオフセットした電圧とを印加するフィードバック制御装置を用いて、被処理体の残留電荷をなくし、被処理体を安全確実に静電チャックから離脱させる装置を提供できる。
【0022】
(発明の態様)
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。請求可能発明は、少なくとも、請求の範囲に記載された発明である「本発明」ないし「本願発明」を含むが、本願発明の下位概念発明や、本願発明の上位概念あるいは別概念の発明を含むこともある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。なお、以下の各項において、(1)項が請求項1に相当し、(2)項が請求項2に相当し、(6)項が請求項3に相当し、(7)項が請求項4に相当し、(8)項が請求項5に相当する。
【0023】
(1) プラズマ処理室内の静電チャック上に固定される被処理体の外周縁近くに、導電体のセルフバイアス測定用部品を設置し、
前記被処理体へのプラズマ処理中に、前記プラズマから照射される電荷によって前記被処理体に発生するセルフバイアス値に等しいとみなされる前記セルフバイアス測定用部品の電圧を測定することを特徴とする被処理体のセルフバイアス測定方法。
【0024】
上記(1)項の発明では、セルフバイアス測定用部品を被処理体の外周縁近くに設置したので、この測定用部品は、被処理体がプラズマから受け入れる電荷量と同等となり、この測定用部品の電圧を測定することにより、被処理体のセルフバイアス値を間接的に測定することができる。
【0025】
(2) 前記セルフバイアス測定用部品は、プラズマからの電荷を受け入れる露出表面が、プラズマ領域から前記被処理体の表面までの距離と同等の位置に配置されていることを特徴とする(1)項に記載の測定方法。
【0026】
上記(2)項の発明では、セルフバイアス測定用部品が受け入れる電荷量は、プラズマの電子温度、即ちエネルギーによるので、測定用部品の露出表面が、プラズマ領域から前記被処理体の表面までの距離と同等であれば、その表面に照射される電荷量は、等しくなるので、セルフバイアス値も等しくなる。
【0027】
(3) 前記セルフバイアス測定用部品は、静電チャックプレートの側面に係合して取り付けられる凹形環状体からなり、かつこの環状体外周部が前記被処理体の表面より上方に突出した形状を有することを特徴とする(1)項に記載の離脱方法。
【0028】
上記(3)項の発明では、セルフバイアス測定用部品は、プラズマ発生領域からその露出表面に照射される電荷量が、被処理体の表面に照射される電荷量と同等となり、前記測定用部品の電圧測定により被処理体のセルフバイアス値を間接的に得ることができる。また、露出表面が、被処理体の表面より上方に突出した位置になるので、被処理体は、凹形環状体によって囲まれるので、被処理体の位置ずれを防止することができる。
【0029】
(4) 前記セルフバイアス測定用部品は、静電チャックプレートの側面に係合して取り付けられる凹形環状体からなり、かつこの環状体外周部が、前記被処理体の表面より上方に突出し、この突出部から被処理体の外周縁を覆うように半径方向内方に延びていることを特徴とする(1)項に記載の離脱方法。
【0030】
上記(4)項の発明では、同様に、セルフバイアス測定用部品の電圧測定により、被処理体のセルフバイアス値を間接的に得ることができる。また、露出表面が、上方に突出し、被処理体の外周縁(エッジ)を覆うので、被処理体の位置ずれ及びエッジに成膜を生じることがない。
【0031】
(5) 前記セルフバイアス測定用部品は、静電チャックプレートの側面に係合して取り付けられる凹形環状体からなり、かつこの環状体外周部が、前記被処理体の表面より上方に突出し、この突出部から被処理体の外周縁を覆うように半径方向内方に延びると共に前記外周縁を押さえる下方端部を有することを特徴とする(1)項に記載の離脱方法。
【0032】
上記(5)項の発明では、同様に、セルフバイアス測定用部品の電圧測定により、被処理体のセルフバイアス値を間接的に得ることができる。また、露出表面が、上方に突出し、被処理体の外周縁(エッジ)を覆うと共に抑えるので、被処理体の位置を固定しかつエッジに成膜を生じることがない。
【0033】
(6) プラズマ処理室内の静電チャック上に固定される被処理体の外周縁近くに、導電体のセルフバイアス測定用部品を設置し、前記被処理体へのプラズマ処理中に前記セルフバイアス測定用部品の電圧を測定する工程と、
この測定電圧が前記被処理体のセルフバイアス値であると仮定して、間接的に得られた前記被処理体のセルフバイアス値が0Vになるように、前記静電チャックに印加された電圧の逆電圧と、前記測定されたセルフバイアス値の分だけオフセットした電圧とを印加するフィードバック制御を行う工程とを有し、
前記静電チャックからの被処理体の離脱条件に、前記プラズマ処理の状態変化に応じた被処理体のセルフバイアスをフィードバックしたことを特徴とする被処理体の離脱方法。
【0034】
上記(6)項の発明では、セルフバイアス測定用部品の電圧測定により、間接的に被処理体のセルフバイアス値を得ることができ、このセルフバイアス値を0Vになるように、静電チャックに印加された電圧の逆電圧と、上記セルフバイアス値の分だけオフセットした電圧とを印加するフードバック制御によって、静電チャックから被処理体を安全確実に離脱させることができる。
【0035】
(7) 前記フィードバック制御の工程は、さらに、除電用のプラズマを発生させて、再度セルフバイアスを測定し、この測定したセルフバイアスを一定にするため、前記プラズマ処理室内の圧力を変化させ、セルフバイアス値が0Vとなった状態で、前記被処理体を前記静電チャックから離脱することを特徴とする(6)項に記載の離脱方法。
【0036】
上記(7)項の発明では、フィードバック制御の工程が、逆電圧の他に、さらに、除電用のプラズマを発生させて、再度セルフバイアスを測定するとともに、この測定値を一定にするために、プラズマ処理室内の圧力を変化させ、セルフバイアス値が0Vとなった状態で、被処理体を静電チャックから離脱するので、被処理体の位置ずれ、割れの離脱異常を発生させることがない。
【0037】
また、チャンバ圧力は成膜レートにあまり影響がないので、被処理体上の膜厚を変化させることなく、被処理体内の残留電荷を小さくできる。
【0038】
(8) プラズマ処理室内に配置され、プラズマから照射される電荷を受ける被処理体を上面に載置して固定するための静電チャックプレートと、該静電チャックプレート上に固定される被処理体の外周縁近くに設置される、導電体のセルフバイアス測定用部品と、前記静電チャックプレートを支持し、冷却源に連通する冷却流路を有する冷却ステージと、前記冷却ステージまたは前記セルフバイアス測定用部品とアースとの間に接続され、前記被処理体へのプラズマ処理中に前記セルフバイアス測定用部品の電圧を測定する測定回路と、この測定された電圧を、前記プラズマから照射される電荷により前記被処理体に発生するセルフバイアス値と仮定して、間接的に得られた前記被処理体のセルフバイアス値が0Vになるように、前記静電チャックに印加された電圧の逆電圧と、前記測定されたセルフバイアス値の分だけオフセットした電圧とを印加するフィードバック制御装置とを含むことを特徴とする被処理体の離脱装置。
【0039】
上記(8)項の発明では、セルフバイアス測定用部品により間接的に被処理体のセルフバイアス値を測定でき、静電チャックに印加された電圧の逆電圧と測定されたセルフバイアス値の分だけオフセットした電圧とを印加して、被処理体の残留電荷をなくすので、被処理体の離脱異常を発生させることなく、被処理体を安全確実に離脱させることができる。
(9)さらに、(8)項の構成に、上述した(2)〜(5)項及び(7)項のいずれか1つの構成内容を付加することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】(a)は、本発明に係る被処理体のセルフバイアス測定方法を説明するための第1実施形態の原理構成図であり、(b)は、この測定方法に用いるセルフバイアス測定用部品の他の形態を示す拡大断面図であり、(c)は、セルフバイアス測定用部品のさらに別の形態を示す拡大断面図である。
【図2】プラズマから受ける電荷状態と、静電チャックプレートの電極によって発生する電荷状態を示すセルフバイアスの発生原理を示す概略説明図である。
【図3】本発明に係る被処理体の離脱シーケンスを説明する電圧変化の流れによる工程手順を示すシーケンス図である。
【図4】本発明に係る実施形態の別の態様である直流スパッタ装置でのセルフバイアスを説明するための図である。
【図5】プラズマ処理中の直流電力(電流×電圧)とセルフバイアスとの相関の変化を示す特性図である。
【図6】プラズマ室内に供給されるアルゴン流量に対するセルフバイアスの変化を示す特性図である。
【図7】セルフバイアスに対する残留電荷の変化を示す特性曲線のグラフである。
【図8】ターゲットの使用量に対するセルフバイアス値の変化を示す特性曲線のグラフである。
【図9】本発明と従来の離脱方法における被処理体内の残留電荷の推移を示す図である。
【図10】従来例での静電チャックとウエハとの間に発生する電荷状態の変化を示す模式図である。
【図11】従来例の静電チャックプレート上に載置されたウエハの離脱動作時に、突き上げピンによって発生する離脱状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明は、半導体ウエハ等の被処理体にプラズマから照射される電荷によって発生するセルフバイアスを間接的に測定し、その結果を離脱条件に反映させることで、安定して安全なウエハ離脱が可能になる構成を含んでいる。
【0042】
図1において、本発明に係る離脱装置1は、例えば、エッチング装置やスパッタ装置に使用されるもので、静電チャック装置2が、気密構造のプラズマ処理室内に配置されている。この処理室3は、一般的にはSUS(ステンレス)等からなる円筒形状の容器で構成され、それ自体がアースに接地されている。
【0043】
静電チャック装置2は、従来の構造と同じく、ここでは、正負一対の電極4が内蔵された静電チャックプレート5と、その下部に静電チャックプレート5とは電気的に導通しない状態で、静電チャックプレート5を支える支持体(サセプタ)としての冷却ステージ6とを有する。
【0044】
静電チャックプレート5は、上記一対の電極4を有する構造としたが、1つの電極として、例えば、2枚の高分子ポリイミドフィルムによって導電層が挟持された構成を有し、この導電層に対してプラズマ処理室外に設置されている高圧直流電源から、例えば、1.5kVの直流高電圧を印加することによって、静電チャックプレート面5a上に載置された被処理体10が、クーロン力によって吸着保持される構造であってもよい。
【0045】
冷却ステージ6は、静電チャックプレート5に接着固定され、図示しない冷却源からの供給される冷却媒体を連通させる冷却流路を有している。また、ここでは、説明を簡単にするため図示を省略したが、静電チャックプレート5内には、突き上げピンが挿通されており、突き上げピンの駆動機構(図示略)により、被処理体10を静電チャックプレート5から離脱させるようになっている。
【0046】
さらに、本発明の離脱装置1は、静電チャックプレート5の側面の回りに取り付けられる導電体で形成された凹型環状体からなるセルフバイアス測定用部品7と、セルフバイアス測定用部品7の電圧を測定するための測定回路11と、この測定電圧を、プラズマから照射される電荷により被処理体10に発生するセルフバイアス値と仮定して、間接的に得られた被処理体10のセルフバイアス値が0Vとなるように、静電チャックプレート5に印加された電圧の逆電圧と、測定されたセルフバイアス値の分だけオフセットした電圧とを静電チャックプレート5に印加するフィードバック制御装置(図示略)とを含んでいる。
【0047】
セルフバイアス測定用部品7は、一般的に、ステンレス鋼、アルミニウム、チタン等で作られている。
このセルフバイアス測定用部品7は、被処理体10のセルフバイアスを間接的に測定するためのもので、静電チャック2上に固定される被処理体10の外周縁10a近くに設置され、被処理体10の周囲を取り囲む凹型環状体からなっている。
【0048】
この凹型環状体の測定用部品7は、図1(a)に示すように、環状体外周部7aが被処理体10の表面より上方に突出した形状を有する。
また、凹型環状体の変形例としては、図1(b)の拡大断面図で示すように、環状体外周部7aが、被処理体10の表面より上方に突出し、この突出部から被処理体の外周縁を覆うように半径方向内方に延び、平坦面7bから下方に傾斜する面7cを有している。
【0049】
更に別の形状として、図1(c)に示すように、環状体外周部7aが、被処理体10の表面より上方に突出し、この突出部から被処理体の外周縁を覆うように半径方向内方に延びると共に被処理体10の外周縁を押さえる下方端部7dを有している。
【0050】
これらの形状を有するセルフバイアス測定用部品7は、プラズマ発生領域12からその露出表面に照射される電荷量が、被処理体10の表面に照射される電荷量と同等となり、セルフバイアス測定用部品7の電圧測定により被処理体10のセルフバイアス値を間接的に得ることができるようになっている。
【0051】
そのため、プラズマからセルフバイアス測定用部品7までの距離が、プラズマから被処理体10までの距離と同等となるように、プラズマ発生領域12の球形状に合わせて、セルフバイアス測定用部品7の露出表面が被処理体10の表面よりも上方に位置しており、それぞれの表面に照射されるプラズマからの電荷量が等しくなり、間接的に、より正確なセルフバイアス値を測定できるようにしている。
【0052】
また、プラズマの照射によって被処理体10の表面が受ける電荷量は、プラズマの電子温度、即ち、エネルギーの強さに対応しており、この点を考慮するとともに、電荷を受ける表面の面積もセルフバイアス測定用部品7の上面の表面積が被処理体10の表面の表面積と同等になる寸法が望ましい。
【0053】
このため、セルフバイアス測定用部品7の露出表面は、図1(b)(c)に示すように、外縁の平坦面7bから半径方向内方にかけて下方傾斜面7cを有している。これにより、より表面積を増加させている。なお、本発明の実施形態では、凹型環状体としたが、上記形状に限定されるものではなく、セルフバイアスは、測定部品7の体積によらず、近傍のプラズマの電子温度に依存するので、被処理体と近い位置であれば、被処理体10の形状と異なる体積、容量の測定部品でもよい。
【0054】
図1(a)の露出表面は、被処理体10の表面より上方に突出した位置にあり、被処理体10は、凹形環状体によって囲まれるので、被処理体10の位置ずれを防止することができる。また、図1(b)の露出表面は、上方に突出し、被処理体10の外周縁(エッジ)を覆うため、被処理体10の位置ずれ及びエッジに成膜を生じることがない。さらに、図1(c)の露出表面は、上方に突出し、被処理体10の外周縁(エッジ)を覆うと共に押えることから、被処理体10の位置を固定しかつエッジに成膜を生じることがない。
【0055】
上記測定回路11は、冷却ステージ6の下端部とアース(シールド)との間に、1MΩ以上の抵抗8と電圧計9を並列接続した電圧測定回路を構成している。なお、測定回路は、冷却ステージ6を介することなく直接セルフバイアス測定用部品7に接続した形で電圧を測定してもよい。
【0056】
一方、プラズマを介した被処理体10とアース間の抵抗は、測定回路の1MΩの抵抗8に対してほとんど無視できる程度のインピーダンスになるため、電圧計9で測定された電圧は、セルフバイアス測定用部品7に印加された電圧にほぼ等しい。
そして、セルフバイアス測定用部品7と被処理体10とは、プラズマからの照射距離が同等であり、また、プラズマに面する露出表面の表面積も同等に形成されるため、プラズマから照射される電荷量がほぼ等しくなるので、このセルフバイアス測定用部品の測定電圧は、プラズマ処理中に被処理体に発生するセルフバイアスに等しい値とみなすことができる。
このセルフバイアス値は、上記フィードバック制御装置にフィードバックされて、時間的なプラズマ状態の変化に応じて発生するセルフバイアスの値が0Vになるように制御される。
【0057】
以下に、プラズマ処理として、上記静電チャック装置2を用いたスパッタ処理における被処理体10のセルフバイアス測定について説明する。
図2に示すように、一般的に静電チャックプレート5内に設けた一対の正負の電極4に直流高電圧が印加され、電極4に生じる+の電荷と−の電荷に対応して、被処理体中にそれぞれ−の電荷と+の電荷が偏在し、クーロン力により被処理体10が静電チャックプレート5の表面に吸着保持される。そして、プラズマ処理室内の被処理体10の表面には、プラズマ処理中に、プラズマからイオン及び電子(e-)が照射される。このため、被処理体上に電荷が残留し、この電荷量により負の電圧(セルフバイアス)が発生する。
【0058】
スパッタ処理中に、この負のセルフバイアスを測定することは非常に困難であるが、本発明では、被処理体の周辺部にも被処理体と同様のセルフバイアスが発生しているとの考えに基づき、プラズマの影響を受ける被処理体に対して、ほぼ等距離に位置し、かつ露出表面積が同程度となるような形状のセルフバイアス測定用部品を設けて、その電圧を測定することにより、被処理体のセルフバイアスの測定を可能にしている。
【0059】
以下に、その手順を示す。
(1) 冷却ステージ6に支持された静電チャックプレート5上に保持される被処理体10の外周縁近くに、導電体のセルフバイアス測定用部品7を設置する。
(2) 被処理体10へのプラズマ処理(スパッタ処理)中に、セルフバイアス測定用部品7の電圧を、冷却ステージ6とアース間に接続された電圧測定回路11(1MΩ以上の抵抗8に並列接続された電圧計9)によって測定する。
(3)測定された電圧を、プラズマから照射された電荷によって被処理体10に発生するセルフバイアスに等しい値とみなし、フィードバック制御装置に被処理体10を離脱させるための条件としてフィードバックする。
この結果、セルフバイアス測定用部品7の電圧測定により、被処理体10のセルフバイアス値が間接的に測定される。
【0060】
セルフバイアスの測定は、従来、ウエハ裏面に直接コンデンサをつないでその電圧を測定するという方法があるが、スパッタプロセス中は、ウエハの表と裏で導通がないため、発生するセルフバイアスが表裏で異なり、測定したい電圧を測定できなかった。本来なら、表面を測定するのが正しいが、それは成膜プロセスなので不可能である。そのため、本発明では、ウエハと同じようにプラズマに暴露している部分に測定部品を設置することで、間接的にウエハ表面のセルフバイアスを測定できるようにしている。
被処理体のセルフバイアスは、測定部品の体積によらず、近傍のプラズマの電子温度に依存するので、ウエハに近い位置であれば、ウエハと違う体積、容量の測定物でもウエハと同等の結果が得られる。
【0061】
次に、図3を用いて、この測定電圧によるセルフバイアス値を被処理体の離脱条件に反映させて、静電チャック2に吸着保持された被処理体10の離脱方法を説明する。
被処理体の離脱動作として、最適には、ESC逆電圧の印加と、除電プラズマを行うが、これらの条件をセルフバイアス値に応じて変化させる。従来は、一定条件で離脱させていたので、プラズマ状態が変化しても安定して被処理体を離脱させることができなかった。
【0062】
以下、本発明の最適な手順を示す。
(a) スパッタ処理前、静電チャック2の電極にそれぞれ(ESC+=+V、ESC−=−V)の電圧を印加して、被処理体10を吸着する。
(b) スパッタ処理を行い、その際、上記(2)の方法で、被処理体10のセルフバイアス(−S)に等しい値であるセルフバイアス測定用部品7の電圧を測定する。
(c) スパッタ処理後、静電チャック2の電極に逆電圧を印加する。ただし、その電圧は、セルフバイアス値の分だけオフセットする(ESC+=−V+S、ESC−=+V+S)。
(d) 除電用のプラズマを発生させ、再度、上記(2)の方法で、セルフバイアスを測定する。
(e) 測定したセルフバイアスが一定の値になるようにチャンバ圧力を変化させる。
(f) セルフバイアス値が完全に0Vになるまで待つ。
(g) 突き上げピンで被処理体10を静電チャックプレート5から離脱させる。
【0063】
上記工程において、ステップ(c)の後、残留電荷が少ない場合には、ステップ(d)、(e)の工程を省略して、ステップ(f)に進行させることもできる。
上記手順により、第1段階として、プラズマ処理中のセルフバイアス(−S)を反映させて、間接的に得られた被処理体10のセルフバイアス値が0Vになるように、静電チャック2に印加された電圧の逆電圧と、前記測定されたセルフバイアス値の分だけオフセットした電圧とを印加するフィードバック制御を行うことができ、その結果、被処理体上の残留電荷をゼロにして、安全確実に被処理体10を静電チャック2から離脱することができる。
【0064】
しかし、被処理体10に蓄積された残留電荷量は、プラズマ状態の変化によって変わり、図5に示すように、プラズマ処理中の直流電力の上昇によりセルフバイアス(絶対値)も大きくなり、これが被処理体10に蓄積される。
【0065】
また、図6に示すように、プラズマ処理室内に供給されるArの流量が上昇して、チャンバ圧力が高くなると、セルフバイアス(絶対値)は、小さくなる現象が見られ、このチャンバ圧力は、成膜レートにあまり影響がないので、膜厚を変えずにセルフバイアスを変えることができるという利点がある。
【0066】
一方、図7に示すように、ウエハ内の残留電荷量とセルフバイアスとの関係を見ると、セルフバイアスの絶対値の増加につれて、残留電荷量(絶対値)も増加する。即ち、プラズマ処理中のセルフバイアス絶対値が低い方が被処理体内の残留電荷量は少なくなる。これは、プラズマ処理中のセルフバイアスによる被処理体内の残留電荷と静電チャックの残留電荷によって被処理体10の残留吸着力が生じるために起こる現象と考えられる。
【0067】
更に、図8に示すように、ターゲットの使用量に対して、セルフバイアス(絶対値)も経時的に増加する傾向にあり、その結果、被処理体10の残留電荷も一定ではないことを示している。
このようなことから、本発明の最適な離脱方法では、ステップ(a)〜(g)の一連の工程を実行する。
【0068】
本発明の離脱方法は、上述したように、静電チャックからの被処理体の離脱条件に、プラズマ処理の状態変化に応じた被処理体のセルフバイアスをフィードバックしたことを特徴としている。この離脱方法において、フィードバック制御の工程は、さらに、除電用のプラズマを発生させて、再度セルフバイアスを測定し、この測定したセルフバイアスを一定にするため、前記プラズマ処理室内の圧力を変化させ、セルフバイアス値が0Vとなった状態で、前記被処理体を前記静電チャックから離脱するように作動させる。
【0069】
また、本発明の他の実施形態における直流スパッタ装置でのセルフバイアスを考慮した制御方法を、図4を参照して説明する。
直流スパッタ装置では、ターゲットに−電圧を印加することが多い。プラズマの特性で、電子とイオンが拡散、衝突しながらプラズマ中の電流の総和がゼロとなるような状態を作る。その場合、被処理体には、電子とイオンが照射されるが、結果として、負のセルフバイアス電圧が発生する。
【0070】
このセルフバイアスの絶対値が小さくなる条件にすれば、残留電荷量を小さくすることができる。しかし、スパッタ成膜中の条件は、容易に変更することができない。
そこで、スパッタ成膜後に、先ずESC逆電圧を印加し、ある程度被処理体内の電荷、静電チャックプレート内の電荷を抜いたあとに、除電プラズマを発生させて、被処理体内の残留電荷量をさらに減少させるという二段階の除電を行う。
【0071】
このような逆電圧や除電プラズマは、最適な条件にしなければ、逆に電荷が溜まる結果となる。このため、図3に示す本発明の離脱方法における制御手順に従い、セルフバイアスを離脱条件に反映させることによって、できるだけ成膜処理の条件を変えることなく、被処理体を安定してかつ確実に離脱させることができる。
本発明の離脱方法によれば、ウエハ処理枚数に対する被処理体内の残留電荷量(絶対値)の推移が、図9に示すように、従来の離脱方法よりも残留電荷量の絶対値およびばらつきが小さくなっていることが分かる。
【符号の説明】
【0072】
1:離脱装置、 2:静電チャック装置、 3:プラズマ処理室、 4:電極、 5:静電チャックプレート、 6:冷却ステージ、 7:セルフバイアス測定用部品、 7a:環状体外周部、 7b:平坦面、 7c:下方傾斜面、 7d:下方端部、 10:被処理体、 11:電圧測定回路、 12:プラズマ発生領域、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理室内の静電チャック上に固定される被処理体の外周縁近くに、導電体のセルフバイアス測定用部品を設置し、
前記被処理体へのプラズマ処理中に、前記プラズマから照射される電荷によって前記被処理体に発生するセルフバイアス値に等しいとみなされる前記セルフバイアス測定用部品の電圧を測定することを特徴とする被処理体のセルフバイアス測定方法。
【請求項2】
前記セルフバイアス測定用部品は、プラズマからの電荷を受け入れる露出表面が、プラズマ領域から前記被処理体の表面までの距離と同等の位置に配置されていることを特徴とする請求項1記載の測定方法。
【請求項3】
プラズマ処理室内の静電チャック上に固定される被処理体の外周縁近くに、導電体のセルフバイアス測定用部品を設置し、前記被処理体へのプラズマ処理中に前記セルフバイアス測定用部品の電圧を測定する工程と、
この測定電圧が前記被処理体のセルフバイアスに等しい値であると仮定して、間接的に得られた前記被処理体のセルフバイアス値が0Vになるように、前記静電チャックに印加された電圧の逆電圧と、前記測定されたセルフバイアス値の分だけオフセットした電圧とを印加するフィードバック制御を行う工程とを有し、
前記静電チャックからの被処理体の離脱条件に、前記プラズマ処理の状態変化に応じた被処理体のセルフバイアスをフィードバックしたことを特徴とする被処理体の離脱方法。
【請求項4】
前記フィードバック制御の工程は、さらに、除電用のプラズマを発生させて、再度セルフバイアスを測定し、この測定したセルフバイアスを一定にするため、前記プラズマ処理室内のチャンバ圧力を変化させ、セルフバイアス値が0Vとなった状態で、前記被処理体を前記静電チャックから離脱することを特徴とする請求項3記載の離脱方法。
【請求項5】
プラズマ処理室内に配置され、プラズマから照射される電荷を受ける被処理体を上面に載置して固定する静電チャックプレートと、
該静電チャックプレート上に固定される被処理体の外周縁近くに設置される、導電体のセルフバイアス測定用部品と、
前記静電チャックプレートを支持し、冷却源に連通する冷却流路を有する冷却ステージと、
前記冷却ステージまたは前記セルフバイアス測定用部品とアースとの間に接続され、前記被処理体へのプラズマ処理中に前記セルフバイアス測定用部品の電圧を測定する測定回路と、
この測定された電圧を、前記プラズマから照射される電荷により前記被処理体に発生するセルフバイアス値と仮定して、間接的に得られた前記被処理体のセルフバイアス値が0Vになるように、前記静電チャックに印加された電圧の逆電圧と、前記測定されたセルフバイアス値の分だけオフセットした電圧とを印加するフィードバック制御装置とを含むことを特徴とする被処理体の離脱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−71211(P2011−71211A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−219307(P2009−219307)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】